説明

修飾ポリペプチド

【課題】半減期の増加を有し、かつ減少した免疫原性という付加価値も有し、かつ毒性を欠いている、修飾GH分子を提供する。
【解決手段】i)成長ホルモンの成長ホルモン受容体結合ドメインの修飾されたアミノ酸配列を有する第一の修飾ドメインであって、該修飾は少なくとも1個のアミノ酸残基の付加、欠失、または置換である第一の修飾ドメイン、およびii)成長ホルモンの成長ホルモン受容体結合ドメインの修飾されたアミノ酸配列を有する第二の修飾ドメインであって、該修飾は少なくとも1個のアミノ酸残基の付加、欠失、または置換である第二の修飾ドメイン、を含み、前記第一及び第二の修飾ドメインは直列に融合され、前記第一及び第二の修飾ドメインの少なくとも一方における修飾が部位2における修飾であり、当該ポリペプチドはアンタゴニストであることを特徴とするキメラポリペプチド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キメラポリペプチド(ここで上記ポリペプチドは成長ホルモン受容体の受容体結合ドメインに結合した成長ホルモンの修飾結合ドメインを含む)、および上記修飾成長ホルモン結合ドメインの直列/オリゴマーに関する。
【背景技術】
【0002】
GHは、哺乳類の成長および発達の調節に関与するホルモンの巨大ファミリーの一員である。ヒトGHは、22kDaのポリペプチドであり、これは多数の生物学的プロセスに関与している。例えば、細胞増殖、乳汁分泌、マクロファージの活性化、およびエネルギー代謝の調節。GHは、部位1および部位2と称される、GH上の離れた2ヶ所を介してGHRに結合した2枚の膜と経時的に相互作用する。部位1は、高親和性結合部位であり、そして部位2は低親和性部位である。単独のGH分子は、部位1を介して1つのGHRと結合する。次いで、第二のGHRが部位2を介して動員されてGHR:GH:GHR複合体を形成する。次いで、複合体は内部移行して、シグナル伝達カスケードを活性化し、遺伝子発現の変化を導く。
【0003】
GHRの細胞外ドメインは、結合した、それぞれ約100アミノ酸の2個のドメイン(SD−100)、細胞表面に最も近接しているC末端SD−100ドメイン(b)および最も離れているN末端SD−100ドメイン(a)として存在する。三量体複合体GHR−GH−GHRの形成を伴うホルモン結合で生じるのは、これらの2個のドメインの立体配座の変化である。
【0004】
修飾GHは、米国特許第5,849,535号に開示され、これを参照して本明細書の一部とする。GHに対する修飾は、部位1および部位2両方の結合部位でのものである。部位1に対する修飾は、野生型GHと比較してGHRに対しより高い親和性を有するGH分子を産生する。これらの修飾GH分子は、アゴニストとして作用する。部位2の修飾もまた開示されており、これはGHアンタゴニストの創造をもたらす。部位1についての、GHの結合親和性を変更する、GHに対する修飾のさらなる例は、米国特許第5,854,026号、米国特許第6,004,931号、米国特許第6,022,711号、米国特許第6,057,292号、および米国特許第6136563号に開示され、これらのそれぞれを参照して本明細書の一部とする。部位1に対してなされた修飾の要約は、表1に提供される。部位2、詳細には、アミノ酸残基G120(アルギニン、リシン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、またはグルタミン酸のいずれかに修飾された場合、アンタゴニスト性を持つGH分子を作り出す)に対する修飾もまた開示される。
【0005】
また、修飾GHは、「peg化」(これは複数の有益な効果を有する)として既知のプロセスによりポリエチレングリコール(PEG)に被覆(coat)される。第一に、PEG被覆は、GHの有効分子量を22kDから約40kDに増加させる。これが有する効果は、GHの糸球体濾過を減少させ、それによりin vivoでのGHの半減期を増加させることであり、これは所望の効果を生成するために投与される用量を減少させる。さらに、peg化は、この方法で処理されるタンパク質の免疫原性および毒性の両方を減少させると考えられる(非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Abuchowski et al J Biol Chem., 252,3578-3581, (1977)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、peg化の結果は、修飾GH分子のGHRに対する親和性を減少させることである。このことは、親和性の減少を克服するために用量の増加が要求されることを意味する。これは、修飾GHの半減期の増加に関するpeg化の有利な効果を相殺するため、望ましくない。peg化を必要とせずに、半減期の増加を有し、かつ減少した免疫原性という付加価値も有し、かつ毒性を欠いている、修飾GH分子を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によると、キメラペプチドであって、
i)成長ホルモンの、少なくとも1ヶ所が修飾された結合ドメインであって、該修飾は少なくとも1個のアミノ酸残基の付加、欠失、または置換である、少なくとも1ヶ所が修飾された結合ドメイン、および
ii)成長ホルモン受容体のリガンド結合ドメイン、
を含むキメラポリペプチドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】pHEAT.GH.G120Rのプラスミドマップ、これは、GH.G120R遺伝子の結合により生成され、BamHIおよびNotI制限部位間のPCRにより合成された。プラスミド上の選択マーカーはAmpRである。
【図2】pTrcHis−TOPO.1A7のプラスミドマップ、これは、GH.G120R遺伝子をpTrcHis 1A1のBamHIおよびNotI部位間に結合することにより生成された。リンカーは(G4S)4であり、そしてプラスミド上の選択マーカーはAmpRである。
【図3】pTrcHis−TOPO.1B2のプラスミドマップ、これは、GH.G120R遺伝子をpTrcHis 1B1のBamHIおよびNotI部位間に結合することにより生成された。リンカーは(G4S)4であり、そしてプラスミド上の選択マーカーはAmpRである。
【図4】pTrcHis−TOPO.1C3のプラスミドマップ、これは、GH.G120R遺伝子をpTrcHis 1A7のEcoRIおよびHinDIII部位間に結合することにより生成された。リンカーは(G4S)4であり、そしてプラスミド上の選択マーカーはAmpRである。
【図5】GH.G120R遺伝子の配列で、開始コドン、6×Hisタグ、関連制限部位、終止コドン、およびG120R突然変異(CGC)を示す。実際のGH.G120Rコンポーネントは大文字で示され、そして配列決定された領域は太字で示される。
【図6】1A7遺伝子の配列で、開始コドン、6×Hisタグ、関連制限部位、終止コドン、およびG120R突然変異(CGC)を示す。実際のGH.G120R−(G4S)4−GHR(b)コンポーネントは大文字で示され、そして配列決定された領域は太字で示される。
【図7】1B2遺伝子の配列で、開始コドン、6×Hisタグ、関連制限部位、終止コドン、およびG120R突然変異(CGC)を示す。実際のGH.G120R−(G4S)4−GHR(flec)コンポーネントは大文字で示され、そして配列決定された領域は太字で示される。
【図8】1C3遺伝子の配列で、開始コドン、6×Hisタグ、関連制限部位、終止コドン、およびG120R突然変異(CGC)を示す。実際のGH.G120R−(G4S)4−GH.G120Rコンポーネントは大文字で示され、そして配列決定された領域は太字で示される。
【図9】GH.G120R、1A7、1B2、および1C3の発現研究のため、一次抗体として抗ヒトGHを用いた15%SDS PAGEゲルのウェスタンブロット。発現は、エシェリヒア・コリXL1 Blueまたはエシェリヒア・コリSURE細胞中、pTrcHisベクターからであり、これらの試料は、1mM(最終濃度)のIPTGでの誘導後4時間をおいた。ブロットは、GH.G120Rおよび1C3が単独のバンドを生成し、一方1A7および1B2の試料は開裂生成物を含むことを示す。
【図10】精製GH.G120R、1A7、および1C3のクーマシー染色した[C]15%SDS PAGEゲル。一次抗体として抗ヒトGHを用いたこれらの試料のウェスタンブロット[W]もまた示す。クーマシー染色したゲルは、精製タンパク質試料が95%より多い純度であることを示すが、しかしウェスタンブロットは、GH.G120Rおよび1C3のみが単独のバンドを生成し、一方1A7の試料は開裂生成物を含むことを示す。
【図11】GH.G120R、1A7、および1C3についてのGHバイオアッセイの結果を示すグラフである。各グラフは、標準曲線、異なる濃度における構築物単独でのアッセイ、および25ng/mlのhGHと合わせた異なる濃度における構築物でのアッセイを示す。これらは、タンパク質のいずれも固有のアゴニスト活性を有さないが、全てアンタゴニスト活性を有し、ここでGH.G120Rが最も活性であり、1A7が最低であることを示す。
【図12】未修飾のGHのアミノ酸配列である。
【図13】未修飾GHの核酸配列である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態において、上記ポリペプチドは、成長ホルモンの部位1結合ドメインで修飾されている。
本発明のさらに好適な実施形態において、上記ポリペプチドは、成長ホルモンの部位2結合ドメインで修飾されている。
本発明のなおさらに好適な実施形態において、上記ポリペプチドは、成長ホルモンの部位1および部位2両方で修飾されている。
【0011】
既に記載されたように、部位1突然変異は、当該技術分野で既知であり、これは成長ホルモン受容体上の結合ドメインに対する成長ホルモンの親和性を増加させる。そのような修飾成長ホルモンはアゴニストとして作用する。部位1の修飾が部位2の修飾と組合せられている場合(ここで後者の修飾は、不活性または部分的に活性な部位2結合部位をもたらす)、そのような分子はアンタゴニストとなる。野生型部位1結合部位を活用する部位2のみに対する修飾もまたアンタゴニストを作り出す。
【0012】
本発明のさらに好適な実施形態において、アミノ酸置換により修飾されている部位1結合ドメインを含むポリペプチドが提供され、ここで該修飾は、以下からなる群より選択される。図13に表される配列の、18位ヒスチジンをアラニンまたはアスパラギン酸で、および/または21位ヒスチジンをアスパラギンで、および/または22位グルタミンをアラニンで、および/または25位フェニルアラニンをアラニンで、および/または26位アスパラギン酸をアラニンで、および/または29位グルタミンをアラニンで、および/または167位グルタミン酸をアラニンで、および/または171位アスパラギン酸をセリンで、および/または172位リシンをセリンまたはアラニンで、および/または179位イソロイシンをチロシンで。
【0013】
好ましくは、GHRのその結合ドメインに対する部位1の親和性を増加させるための上記修飾は、図13のGHアミノ酸配列により表されるように、18位ヒスチジンをアスパラギン酸で、21位ヒスチジンをアスパラギンで、167位アルギニンをアスパラギンで、171位アスパラギン酸をアルギニンで、174位グルタミン酸をセリンで、および179位イソロイシンをスレオニンでの、アミノ酸置換からなる。
【0014】
本発明のさらに好適な実施形態において、GHRのその結合ドメインに対する部位1の親和性を増加させるための上記修飾は、図13のGHアミノ酸配列により表されるように、18位ヒスチジンをアラニンで、22位グルタミンをアラニンで、25位フェニルアラニンをアラニンで、26位アスパラギン酸をアラニンで、29位グルタミンをアラニンで、65位グルタミン酸をアラニンで、168位リシンをアラニンで、および174位グルタミン酸をアラニンでの、アミノ酸置換からなる。
【0015】
本発明のさらに好適な実施形態において、上記部位2修飾は、図13に表される配列のアミノ酸残基120位に対するものである。好ましくは、上記部位2修飾は、本明細書中開示されるとおり、部位1修飾と組合される。あるいは、GHは、アミノ酸残基120位グリシンにおいてのみ修飾される。
【0016】
本発明の好適な実施形態において、上記部位2修飾は、アルギニン、アラニン、リシン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、およびグルタミン酸からなる群より選択されるアミノ酸でのグリシンの置換である。好ましくは、上記置換は、120位グリシンのアルギニンまたはリシンまたはアラニンでのものである。
【0017】
本発明のさらに好適な実施形態において、GHRの成長ホルモン結合ドメインは、GHRの細胞外ドメインである。より好ましくは、結合ドメインは、GHのC末端SD−100ドメインである。
【0018】
あるいは、上記結合ドメインは全長GHRである。
【0019】
本発明の好適な実施形態において、上記キメラポリペプチドは、融合タンパク質であり、ここで修飾GHは、GHR、またはその一部とインフレーム翻訳融合(inframe translationalfusion)している。好ましくは、上記融合ポリペプチドは、修飾GH、およびGHRのC末端SD−100ドメインを含む。
【0020】
本発明の代替的なさらに好適な実施形態において、GHの修飾結合ドメインは、GHRのGH結合ドメインに対するリンカーにより結合している。リンカーは可動性(flexible)であってもよい。
【0021】
リンカーは、受容体の細胞外ドメイン内の任意の残基のところにあってもよく、これは、修飾GHが自由な受容体と細胞表面で可動的に結合することを可能にする。好ましくは、結合は、修飾GH分子のC末端に近い残基とGHRのN末端に近い残基との間で作られる。より好ましくは、結合は、修飾GH分子のC末端に近い残基とC末端SD−100のN末端のN末端に近い残基との間で作られる。より好ましくは、結合は、GHRのC末端SD−100のN末端の残基126〜128のいずれかで作られる。本発明の1つの実施形態において、結合は、C末端SD−100のN末端の残基127で作られる。好ましくは、リンカーはペプチドである。
【0022】
GHR:GH:GHR複合体の結晶構造は、GHのC末端(191残基)とC末端SD−100のN末端(126〜128残基)との間の距離が10Aであることを明らかにする。これは、リンカー設計に関して貴重な情報を提供する。
【0023】
好ましくは、リンカーは、5個〜30個のアミノ酸残基を含むポリペプチドである。より好ましくは、リンカーは、10個〜20個のアミノ酸残基を含む。さらにより好ましくは、リンカーはペプチドの少なくとも1つのコピーを含む:
GlyGlyGlyGlySer(本明細書中以下、「Gly4Ser」として示す)。
【0024】
本発明の1つの実施形態において、リンカーは、長さが10個のアミノ酸であり、かつGly4Serリンカーのコピーを2つ含む。本発明の代替的な実施形態において、リンカーは長さが15個のアミノ酸であり、かつGly4Serリンカーのコピーを3つ含む。なお代替的な実施形態において、リンカーは、長さが20個のアミノ酸であり、かつGly4Serリンカーのコピーを4つ含む。
【0025】
本発明の好適な実施形態において、上記ポリペプチドは、ヒトGHおよびヒトGHRに由来する。
【0026】
本発明のさらなる態様によると、核酸分子であって、
i)図13の核酸配列に表されるとおりの核酸分子と、
ii)(i)の該核酸配列とハイブリダイズする核酸分子と、
からなる群から選択される、本発明によるポリペプチドをコードする核酸分子が提供される。
【0027】
本発明による修飾成長ホルモンをコードする核酸分子は、通常、当該技術分野で既知の、および組換え技法ならびにオリゴヌクレオチドシンセサイザーを用いる核酸分子合成を含む分子技法により合成され得る。
【0028】
本発明の好適な実施形態において、上記核酸分子は、厳密な(stringent)ハイブリダイゼーションの下、ハイブリダイズする。
【0029】
用語「厳密なハイブリダイゼーション条件」は、本明細書中使用されるとおり、当該技術分野で一般的なパラメーターを示す。核酸ハイブリダイゼーションパラメーターは、そのような方法をまとめた参照文献、例えば、「分子クローニング:実験室手引書(Molecular Cloning : A Laboratory Manual)」(J. Sambrook, et al. eds, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989)、または「分子生物学における最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」(F. M. Ausubel, et al. eds, John Wiley & Sons, INC., New York)に見られ得る。より詳細には、厳密な条件は、本明細書中使用されるとおり、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SSC、0.02%のフィコール、0.02%のポリビニルピロリドン、0.02%のウシ血清アルブミン、2.5mMのNaH2PO4(pH7)、0.5%のSDS、2mMのEDTA)中65℃でのハイブリダイゼーションを示す。SSCは0.15M塩化ナトリウム/0.015Mクエン酸ナトリウム(pH7)であり、SDSは、ドデシル硫酸ナトリウムであり、そしてEDTAは、エチレンジアミン四酢酸である。ハイブリダイゼーション後、その上にDNAが移された膜を、室温で2×SSCで、次いで上限68℃で0.1〜0.5×SSC/0.1×SDSで洗浄する。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、本発明による核酸分子を含むベクターが提供される。
【0031】
本発明の好適な実施形態において、上記ベクターは、組換え遺伝子発現に順応した発現ベクターである。
【0032】
通常、上記順応には、制限としてではなく例として、細胞/組織特異的発現を媒介する転写調節配列(プロモーター配列)の提供が挙げられる。これらのプロモーター配列は、細胞/組織特異的、誘導性、または構成型(constitutive)であってもよい。
【0033】
プロモーターは、当該技術分野で認識された用語であり、そして明瞭にするために、以下の特徴を含むが、これは例としてのみ提供されるものであり、制限としてではない。エンハンサーエレメントは、遺伝子の転写開始部位に対して5'でしばしば見いだされるシス作用核酸配列である(エンハンサーは、遺伝子配列に対して3'で見いだされてもよく、またはさらにイントロン配列に位置してもよく、それゆえ位置独立性である)。エンハンサーは、エンハンサーが結合している遺伝子の転写速度を増加させるように機能する。エンハンサー活性は、特にエンハンサーエレメントに結合することが示されているトランス作用転写因子に応答する。転写因子の結合/活性(「真核生物転写因子(Eukaryotic Transcription Facters)」(David S Latchman, Academic Press Ltd, San Diego)を参照してほしい)は、いくつかの環境的合図に応答し、これには、制限としてではなく例として、中間代謝産物および/または環境的作動体が挙げられる。
【0034】
プロモーターエレメントはまた、転写開始部位を選択するように機能するいわゆるTATAボックスおよびRNAポリメラーゼ開始選択(RIS)配列も含む。
【0035】
これらの配列も、とりわけRNAポリメラーゼによる転写開始選択を促進するように機能するポリペプチドに結合する。
【0036】
順応はまた、選択可能なマーカーおよび自己複製配列の提供を含み、これらは両方とも真核生物細胞または原核生物宿主のいずれかにおける上記ベクターの維持を促進する。自律的に維持されるベクターは、エピソームベクターと称される。エピソームベクターは、これらの分子が巨大DNAフラグメント(30〜50kbのDNA)を取り込み得るので、望ましい。この型のエピソームベクターは、WO98/07876に記載されており、これを参照して本明細書の一部とする。
【0037】
ベクターコード遺伝子の発現を促進する順応として、転写終結/ポリアデニル化配列の提供が挙げられる。これはまた、ビシストロンまたはマルチシストロン発現カセットに配列されたベクターコード遺伝子の発現を最大限にするように機能する配列内リボソーム進入部位(IRES)の提供を含む。
【0038】
これらの順応は当該技術分野で既知である。一般に、発現ベクター構築および組換えDNA技法に関しては、非常に多くの文献が出版されている。Sambrook et al (1989) 「分子クローニング:実験室手引書(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」(Cold Spring Harbour Laboratory, Cold Spring Harbour, NY)およびその中の参照文献、 Marston, F (1987) 「DNAクローニング技法:実践的アプローチ第三巻(DNA Cloning Techniques : A Practical Approach Vol III)」(IRL Press, Oxford UK)、「DNAクローニング(DNA Cloning)」(F M Ausubel et al)、「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」(John Wiley & Sons, Inc. (1994))を参照してほしい。
【0039】
本発明のさらなる態様によれば、本発明によるポリペプチドの医薬品としての使用が提供される。本発明の好適な実施形態において、上記ポリペプチドは、巨人症、末端肥大症、癌(例えば、ウィルムス腫瘍、骨原性肉腫、乳癌、大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌)、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎障害、ならびに糖尿病およびGH過剰の他の合併症からなる群より選択される状態を治療するための薬物の製造に使用するためのものである。
【0040】
本発明のポリペプチドおよび組成物は、注射を含む、任意の従来経路または経時でのゆるやかな輸液により投与され得る。投与は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内(intracavity)、眼内、皮下、または経皮であってもよい。医薬組成物は、便宜上単位剤形で提供されてもよく、そして薬学の分野で既知の任意の方法により調製されてもよい。
【0041】
投与される場合、本発明の医薬調製物は、医薬上許容可能な量で、かつ医薬上許容可能な組成物に適用される。用語「医薬上許容可能な」は、活性成分の生物活性の有効性に影響を及ぼさない無毒性物質を意味する。そのような調製物は、日常業務上、塩、緩衝化剤、保存料、適合性(compatible)キャリア、および随意に他の治療剤を含み得る。
【0042】
組成物は、所望であれば、医薬上許容可能なキャリアと組み合わせてもよい。用語「医薬上許容可能なキャリア」は、ヒトへの投与に適した、1種またはそれ以上の適合性の固体もしくは液体の、充填剤、希釈剤、またはカプセル化物質を意味する。用語「キャリア」は、適用を促進するためにそれと活性成分が組合わされる、天然または合成の、有機または無機成分、を表す。医薬組成物は、適した緩衝化剤を含んでもよく、これには塩での酢酸、塩でのクエン酸、塩でのホウ酸、および塩でのリン酸が挙げられる。医薬組成物はまた、随意に、適切な保存料(塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベン、およびチメロサールなど)を含んでもよい。
【0043】
本発明のなおさらなる態様によれば、本発明による核酸またはベクターで形質転換または形質移入された細胞が提供される。
【0044】
本発明の好適な実施形態において、上記細胞は、真核生物細胞である。好ましくは、上記細胞は、粘菌(例えば、タマホコリカビ種)、酵母菌細胞(例えば、サッカロミセス・セレビジエ、ピヒア種)、哺乳類細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣)、植物細胞、昆虫細胞(例えば、スポドプテラ種)からなる群より選択される。
【0045】
代替的な好適な実施形態において、上記細胞は、原核細胞、好ましくはエシェリヒア・コリ(Echerichia coli)またはバチルス種(Bacillus spp)である。
【0046】
本発明のさらなる態様によると、本発明のポリペプチドの製造法であって、
i)本発明による細胞を提供すること、
ii)該細胞を、上記ポリペプチドの産生を導く条件下、培養すること、および随意に
iii)該ポリペプチドを該細胞または細胞培地から単離すること、
を含む、本発明に記載のポリペプチドの製造法が提供される。
【0047】
本発明の好適な方法において、上記ポリペプチドには、上記細胞からのポリペプチドの精製を促進するために、分泌シグナルが提供される。さらにより好ましくは、上記ポリペプチドには、上記細胞または細胞培地からのポリペプチドの精製を促進するために、アフィニティータグ(an affinity tag)が提供される。
【0048】
本発明のなおさらなる態様によると、上記哺乳類に本発明によるポリペプチドを投与することを含む、哺乳類、好ましくはヒトの治療法が提供される。
【0049】
本発明のさらなる態様によると、2より多い修飾成長ホルモン結合ドメインを含むキメラポリペプチドが提供され、ここで上記修飾は、少なくとも1個のアミノ酸残基の付加、欠失、または置換である。
【0050】
本発明の好適な実施形態において、複数の修飾成長ホルモン結合ドメインを含むキメラポリペプチドが提供される。
【0051】
本発明のさらに好適な実施形態において、少なくとも2個の修飾部位2成長ホルモン結合ドメインを含むキメラポリペプチドが提供される。
【0052】
本発明のさらに好適な実施形態において、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個の修飾部位2成長ホルモン結合ドメインを含むキメラポリペプチドが提供される。
【0053】
本発明のなおさらに好適な実施形態において、上記キメラポリペプチドは、リンカー分子により互いに結合した、2より多い修飾成長ホルモン結合ドメインを含む。好ましくは、上記リンカー分子は、本明細書中上記に開示されるとおりである。
【0054】
本発明のなおさらなる態様に従って、2より多い修飾成長ホルモン結合ドメインを含む上記キメラポリペプチドはさらに、成長ホルモン受容体の少なくとも1個の成長ホルモン結合ドメインを含む。
【0055】
好ましくは、上記キメラポリペプチドは、2個の修飾成長ホルモン結合ドメインおよび成長ホルモン受容体の1個の成長ホルモン結合ドメインからなる。
【0056】
好ましくは、上記キメラポリペプチドは、少なくとも2個の修飾部位2成長ホルモン結合ドメインからなる。
【0057】
受容体結合ドメインに結合した成長ホルモン(growth a hormone)結合ドメインを含むキメラポリペプチドに関連する態様および実施形態は、より多くまたは複数の成長ホルモン結合ドメインを含むキメラポリペプチドに応用可能である。例えば、上記キメラポリペプチドをコードする核酸を含むベクター、上記ポリペプチドを含む医薬組成物、上記キメラポリペプチドを発現する細胞株、上記ポリペプチドの製造法、および上記ポリペプチドを用いる治療法は、この種のキメラポリペプチドに関して、全て本発明の範囲内にある。
【実施例】
【0058】
本発明の実施形態は、ここで例としてのみ、そして以下の表および図を参照して記載される。
【0059】
表1は、ヒトGHの部位1および部位2に対するアミノ酸置換の要約を表す。
【0060】
[材料および方法]
部位1および/または部位2で修飾されたGHを生成する方法は、米国特許第5,849,535号、米国特許第5,854,026号、米国特許第6,004,931号、米国特許第6,022,711号、米国特許第6,057,292号、および米国特許第6136563号に開示され、これらのそれぞれを参照して本明細書の一部とする。
【0061】
[DNA構築]
部位2が突然変異したGHアンタゴニスト(GHa)の生成
ヒトGHのcDNA(図1)を、ヒト下垂体組織からPCR増幅し、そしてベクターpTrcHis−Topo(pTrcHis−TOPO−GHstop)中にクローニングした。GHR細胞外ドメインを、PCRを用いてヒト肝臓cDNAから増幅した。
【0062】
成長ホルモンアンタゴニスト(G120R)構築
成長ホルモンのG120R突然変異
ファージミドssDNA突然変異法を用いて、成長ホルモン(GH)遺伝子を、突然変異させた。最初に、GH遺伝子を、pTrcHisGHから、pT7T318中、BamHI部位とHindIII部位との間にサブクローニングして、pT7T318−GHを産生した。次いで、このプラスミドをエシェリヒア・コリCJ236中に形質転換し、そして一本鎖ssDNAを産生した。
【0063】
次いで、ssDNAであるpT7T318−GHを、Gly120についてのコドンをGGCからCGCへ変更することにより突然変異させ、プライマーGH.(G120R)Forを使用した(表1)。
【0064】
次いで、突然変異プロセス後、産生したdsDNAであるpT7T318−GH.G120Rを用いて、GH.G120RをpHEATベクター中にサブクローニングした、これによりpHEAT.GH.G120Rを得た(図1)。
【0065】
[GH.G120R構築物の生成]
χ1A7[GH.G120R−(G4S)4−GHR(b)]=GHRのbドメインに結合したGHa。
制限部位BamHIおよびNotIを用いて、GH.G120R遺伝子をpHEAT.GH.G120R(図1)から切除した。次いで、遺伝子をpTrcHisχ1A1[GH−(G4S)4−GHR(b)]のGH遺伝子の場所に結合した(図2)。得られるプラスミドをエシェリヒア・コリXL1 Blue中に形質転換し、そしてLB(0.3%のグルコース、50μg/mlのアンピシリン、12.5μg/mlのテトラサイクリン)寒天板上に蒔いた。
【0066】
χ1B2[GH.G120R−(G4S)4−GHRflec]=GHRの全長細胞外ドメインに結合したGHa。
χ1A7遺伝子を生成するために使用した戦略を繰り返したが、しかしレシピエントベクターはpTrcHisχ1B1[GH−(G4S)4−GHRflec](図3)であった。得られるプラスミドをエシェリヒア・コリXL1 Blue中に形質転換し、そしてLB(0.3%のグルコース、50μg/mlのアンピシリン、12.5μg/mlのテトラサイクリン)寒天板上に蒔いた。
【0067】
χ1C3[GH.G120R−(G4S)4−GH.G120R]=GHa直列。
プライマーDiGHEcoF1およびDiGHHinR1を用いて、pTrcHisGHでPCR反応を行った(表1)。次いで、PCR産物をEcoRIおよびHindIIIで消化し、次いでこれをpTrcHisχ1A1[GH−(G4S)4−GHR(b)]のGHR(b)ドメインの場所に結合させた(図4)。得られるプラスミドを組換え欠損エシェリヒア・コリSURE中に形質転換し、そしてLB(0.3%のグルコース、50μg/mlのアンピシリン、12.5μg/mlのテトラサイクリン、50μg/mlのカナマイシン)寒天板上に蒔いた。
【0068】
[配列決定の結果]
構築遺伝子を含むプラスミドを配列決定した。GH.G120R、χ1A7、χ1B2、およびχ1C3について配列決定された、遺伝子および領域の配列を、それぞれ図5〜図8に示す。
【0069】
[発現研究]
単独のコロニーを使用して、エシェリヒア・コリXL1 Blue細胞については3mLのLB(0.3%のグルコース、50μg/mlのアンピシリン、12.5μg/mlのテトラサイクリン)ブロスで、そしてエシェリヒア・コリSURE細胞については3mlのLB(0.3%のグルコース、50μg/mlのアンピシリン、12.5μg/mlのテトラサイクリン、50μg/mlのカナマイシン)ブロスで接種した。これらを37℃で一晩、増殖、振盪させた。
【0070】
次いで、適切な抗生物質を含む4mlの4YT培地に、200μlの一晩LB培養物(the overnight LB culture)を接種した。これらを3時間増殖させ、次いで1mlの試料を取った(T0試料)。
【0071】
次いで4YT培養物に、IPTGで1mMの最終濃度まで誘導し、次いでさらに4時間、さらにインキュベートした(T4試料)。
【0072】
T0およびT4試料を、それらを採取した直後に処理した。最初にそれらを遠心分離して、細胞をペレットにし、次いで、上清を廃棄してペレットをSDS PAGEゲル上で処理した。タンパク質を、クーマシー染色によるか、または構築物を調査するために抗GH一次抗体を使用するウェスタンブロットによるかのいずれかで、これらのPAGEゲル上で可視化した。
【0073】
全ての場合において、クーマシー染色したPAGEゲルは、構築物の過剰発現を示さなかった。しかしながら、構築物はウェスタンブロットで観測された(図9)。これらは、全ての場合において、適正な大きさのタンパク質が発現されることを示す。
【0074】
[精製]
概して、4YT(適切な抗生物質を含む)で増殖し、IPTGで1mMの最終濃度まで4〜5時間誘導した4×250ml培養物から、タンパク質を精製した。細胞を遠心分離で集め、そしてリゾチームおよびデオキシコール酸ナトリウムで処理し続いて超音波処理により溶解させた。
【0075】
溶解した細胞を遠心分離して細胞片を除去し、そして上清を、最初にインビトロゲンProBond Resin(Ni−カラム)を使用して精製した。タンパク質は、5mlの0.5Mイミダゾールで溶出した。
【0076】
Ni−カラムからの溶出物を適切な緩衝液で10倍に希釈し、次いでMonoQイオン交換カラムに通すことにより、タンパク質試料をさらに精製した。タンパク質は、0.5ml/分の速度で、20mlにわたり0〜1MのNaCIの塩勾配で溶出した;0.5mlずつフラクションを回収した。次いで、フラクションを構築物の存在について分析し、そして構築物を含むフラクションをプールした。
【0077】
精製したタンパク質を、SDS PAGE(クーマシー染色およびウェスタンブロット)で分析し(図10)、そしてその濃度を測定するためにアッセイした。次いで、タンパク質をバイオアッセイにかけた。
【0078】
χ1A7およびχ1B2の場合、ウェスタンブロットにより開裂した生成物が示されたが、構築物をin vitroでの転写のため迅速翻訳システム(RTS)にかけた。以前の、χ1A1およびχ1B1での研究は、プロテアーゼインヒビターおよび発現用シャペロンと合わせてRTSシステムを使用して、開裂が大いに減少したことを示している。
【0079】
[バイオアッセイ]
精製した構築物を、Asterion標準GHバイオアッセイにかけた。調製した293Hi(これは成長ホルモン受容体を安定して発現する)を、ある用量範囲で構築物で刺激した。第二複製板も調製したが、ただし25ng/ml GHを、構築物の添加30分後に添加して、構築物のアンタゴニスト能力を観測した。
【0080】
全てのGH.G120R構築物は、アンタゴニスト活性を有した(図11)。
【0081】
[アンタゴニスト活性のスクリーニング]
アンタゴニスト活性をスクリーニングするために、確立されたバイオアッセイを使用する(9)。全長GHRを発現する永久細胞株を、活性化Stat5に結合するルシフェラーゼレポーターで一過的に形質移入する(9)。24時間後、アンタゴニストとともに、またはアンタゴニストなしで、細胞をGHで6時間刺激する。次いで、細胞を溶解させてルシフェラーゼ活性を測定する(9)。
【0082】
[in vivoでの代謝クリアランス速度の検査]
スプロージ・ドーリー(Sprague-Dawley)種のラット(SDラット)に麻酔をかけ、そして大腿および頚静脈にカニューレを埋め込む。2日後、GHキメラまたは直列を静脈内または皮下注射で投与する。大腿カニューレを介して血液試料を回収し、そしてキメラおよび直列またはオリゴマータンパク質のレベルを放射免疫アッセイで測定する。利用可能なコンピュータープログラムを使用して、時間に対してホルモン濃度をフィッティングすることで薬物動態パラメーターを見積もる。
【0083】
表1は、GHの部位1になされたアミノ酸置換の要約を示す。部位2に対する修飾は、G120の、アルギニン、アラニン、リシン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、またはグルタミン酸のいずれかでの置換を含む。
【0084】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キメラポリペプチドであって、
i)成長ホルモンの成長ホルモン受容体結合ドメインの修飾されたアミノ酸配列を有する第一の修飾ドメインであって、該修飾は少なくとも1個のアミノ酸残基の付加、欠失、または置換である第一の修飾ドメイン、および
ii)成長ホルモンの成長ホルモン受容体結合ドメインの修飾されたアミノ酸配列を有する第二の修飾ドメインであって、該修飾は少なくとも1個のアミノ酸残基の付加、欠失、または置換である第二の修飾ドメイン、
を含み、前記第一及び第二の修飾ドメインは直列に融合され、前記第一及び第二の修飾ドメインの少なくとも一方における修飾が部位2における修飾であり、当該ポリペプチドはアンタゴニストであることを特徴とするキメラポリペプチド。
【請求項2】
前記第一及び第二の修飾ドメインが、成長ホルモンの部位1においても修飾されている、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記第一及び第二の修飾ドメインの両方が、成長ホルモンの部位2において修飾されている、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記修飾が、成長ホルモンの部位1および部位2両方に対するものである、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記修飾が、配列番号:5の成長ホルモンアミノ酸配列に示される、18位のヒスチジンのアラニンまたはアスパラギン酸での置換、および/または21位のヒスチジンのアスパラギンでの置換、および/または22位のグルタミンのアラニンでの置換、および/または25位のフェニルアラニンのアラニンでの置換、および/または26位のアスパラギン酸のアラニンでの置換、および/または29位のグルタミンのアラニンでの置換、および/または167位のグルタミン酸のアラニンでの置換、および/または171位のアスパラギン酸のセリンでの置換、および/または172位のリシンのセリンまたはアラニンでの置換、および/または179位のイソロイシンのをチロシンでの置換、からなる群より選択される、請求項2または3に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記修飾が、配列番号:5の成長ホルモンアミノ酸配列に示される、18位のヒスチジンのアスパラギン酸での置換、21位のヒスチジンのアスパラギンでの置換、167位のアルギニンのアスパラギンでの置換、171位アスパラギン酸のアルギニンでの置換、174位のグルタミン酸のセリンでの置換、および179位のイソロイシンのスレオニンでの置換からなる、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記修飾が、配列番号:5の成長ホルモンアミノ酸配列に示される、18位のヒスチジンのアラニンでの置換、22位グルタミンのアラニンでの置換、25位のフェニルアラニンのアラニンでの置換、26位のアスパラギン酸のアラニンでの置換、29位のグルタミンのアラニンでの置換、65位のグルタミン酸のアラニンでの置換、168位のリシンのアラニンでの置換、および174位のグルタミン酸のアラニンでの置換からなる、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項8】
前記部位2における修飾が、図12に示されるアミノ酸配列における120位のグリシンに対する修飾である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記部位2における修飾が、グリシンの、アルギニン、アラニン、リシン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、およびグルタミン酸からなる群より選択されるアミノ酸での置換である、請求項8に記載のポリペプチド。
【請求項10】
前記部位2における修飾が、120位のグリシンの、アルギニンまたはリシンまたはアラニンでの置換である、請求項9に記載のポリペプチド。
【請求項11】
前記第一の修飾ドメインが、リンカーにより前記第二の修飾ドメインに結合する、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項12】
前記リンカーが、5個〜30個のアミノ酸残基を含むポリペプチドである、請求項11に記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記リンカーが、10個〜20個のアミノ酸残基を含む、請求項12に記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記リンカーが、ペプチドGlyGlyGlyGlySerのコピーを少なくとも1つ含む、請求項12または13に記載のポリペプチド。
【請求項15】
請求項1に記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
【請求項16】
請求項15に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項17】
医薬品としての、請求項1に記載のポリペプチドの使用。
【請求項18】
巨人症、末端肥大症、癌(例えば、ウィルムス腫瘍、骨原性肉腫、乳癌、大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌)、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎障害、糖尿病性合併症からなる群より選択される状態を治療するための薬物の製造のための、請求項1に記載のポリペプチドの使用。
【請求項19】
前記状態が末端肥大症の治療である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
請求項1に記載のポリペプチドを含む、医薬組成物。
【請求項21】
請求項15に記載の核酸分子又は請求項16に記載のベクターで形質転換された単離細菌細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−43100(P2010−43100A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223065(P2009−223065)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【分割の表示】特願2003−569672(P2003−569672)の分割
【原出願日】平成14年12月6日(2002.12.6)
【出願人】(502452978)アステリオン・リミテッド (13)
【Fターム(参考)】