説明

修飾抗体フラグメント

本発明は、抗体のFab及びFab’フラグメントを含む新規なクラスの抗体フラグメントに関する。このフラグメントにおいて、重鎖は軽鎖に共有結合せず、且つ2つ以上のエフェクター分子がそのフラグメントに結合している。これらの分子の少なくとも1つが重鎖又は軽鎖の定常領域中のシステインに結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された抗体フラグメント、より詳細には、2つ以上のエフェクター分子が結合する改良された抗体フラグメント、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体可変領域は特異性及び親和性が高いので、該領域は、特にタンパク質間相互作用を調節するための理想的な診断剤及び治療剤になる。抗体フラグメントは、ReoPro(登録商標)などの製品の最近の成功に見られるように、多用途の治療剤となることが判明しつつある。Fv、Fab、Fab’、F(ab)、及び他の抗体フラグメントにコードされている標的対応官能基は、直接使用できるか、或いは効力を増加させるために、細胞毒性薬剤、毒素、又はポリマー分子などの1種又は複数のエフェクター分子に複合できる。例えば、これらのフラグメントはFc領域を欠くために、動物中で短い循環半減期を有するが、これは、ポリエチレングリコール(PEG)などの特定の型のポリマーへの複合によって改良できる。複合したPEGのサイズを増加させると、数分間から何時間までも循環半減期が増加することが判明しており、5kDaから100kDaまでの範囲のPEGを用いるFab’の修飾が実証された(Chapman et al.,1999,Nature Biotechnology,17,780−783;Leong et al.,2001,Cytokine,16,106−119;Chapman,2002,Advanced Drug Delivery Reviews,54,531−545)。PEG化された抗体フラグメント(例えば、CDP870)は現在臨床試験を受けており、ここでは、複合PEGの効果は、循環半減期を、治療のために許容可能なレベルにまで導くことである。
【0003】
エフェクター分子は、多数の異なる方法によって抗体フラグメントに結合していることが可能であり、これには、アルデヒド糖を経由するもの、又はより一般的には、抗体フラグメント中に位置する任意の利用可能なアミノ酸側鎖、又は末端アミノ酸官能基、例えば、任意の遊離のアミノ基、イミノ基、チオール基、ヒドロキシル基、又はカルボキシル基を経由するものが含まれる。エフェクター分子の結合の部位は、ランダムであるか、又は部位特異的のいずれかであってもよい。
【0004】
ランダム結合は、しばしば、リジンのようなアミノ酸を経由して達成され、そしてこれは、リジンの位置に依存して、抗体フラグメント全体を通して多数の部位において結合しているエフェクター分子を生じる。これは、いくつかの場合において成功したが、結合するエフェクター分子の正確な位置及び数は制御不可能であり、且つこれは活性の損失(例えば、結合するエフェクター分子が少なすぎる場合)及び/又は親和性の損失(例えば、エフェクター分子が結合部位を妨害する)をもたらす可能性がある(Chapman,2002,Advanced Drug Delivery Reviews,54,531−545)。その結果、エフェクター分子の制御された部位特異的結合は、通常、選択方法である。
【0005】
エフェクター分子の部位特異的結合は、最も一般的には、システイン残基に対する結合によって達成される。なぜなら、このような残基は、抗体フラグメントにおいて比較的一般的ではないからである。抗体のヒンジは、部位特異的結合のためのよく知られた領域である。なぜなら、これらはシステイン残基を含み、且つ抗原結合に関与するらしい抗体の他の領域から離れているからである。適切なヒンジはフラグメント中に天然に存在するか、又は組換えDNA技術を使用して作製できるかのいずれかである(例えば、米国特許第5,677,425号;国際公開第98/25971号;Leong et al.,2001,Cytokine,16,106−119;Chapman et al.,1999,Nature Biotechnology,17,780−783を参照のこと)。或いは、部位特異的システインは、例えば、表面に露出したシステインを作製するために抗体フラグメントに操作できる(米国特許第5,219,996号)。
【0006】
エフェクター分子をシステインを介して部位特異的に結合しようとする場合、抗体フラグメント中の標的チオールは、しばしば、グルタチオンなどの小さな発酵関連ペプチド産物によってキャップするか、又は抗体フラグメントの抽出及び精製の間に使用する5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)などの化学的添加物によって意図的にキャップする。これらのキャッピング剤は、標的(ヒンジ又は表面)チオールを活性化するために除去する必要がある。抗体フラグメントは、重鎖の定常領域と軽鎖の定常領域(C1及びC)の間の未変性の鎖間ジスルフィド結合を有し、これは一般的には、抗体の安定性及び結合特性を維持する上で必須であると見なされてきた。その結果、C:C1間のジスルフィドが損なわれないように、標的ヒンジ又は表面チオールの活性化は、ある程度の注意を払って実行しなければならない。それゆえに「穏和な」還元条件を、エフェクター分子との反応の前に、チオールキャッピング剤を除去するために使用するのが都合が良い。これは通常、β−メルカプトエタノール(β−ME)、β−メルカプトエチルアミン(β−MA)、及びジチオスレイトール(DTT)などのチオール系還元剤を使用することによって達成される。しかし、これらの還元剤の各々は、還元するつもりのシステインと反応し、且つそれに結合したままとなり得るため、(Begg及びSpeicher,1999 Journal of Biomolecular techniques、10,17−20)エフェクター分子の結合効率を低下させることが知られている。したがって、還元及びエフェクター分子との反応の後、高い比率の抗体フラグメントが、エフェクター分子を全く結合せず、これらは、適数のエフェクター分子を結合した抗体フラグメントから除去しなければならない。この乏しい修飾効率は、最大限の生産効率を実現することが重要である、修飾された治療用抗体フラグメントの大規模生産中には明確に欠点となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
重鎖及び軽鎖が共有結合していない抗体フラグメントは、Humphreys et al.,1997,Journal of Immunological Methods,209,193−202;Rodrigues et al.,1993,The Journal of Immunology,151,6954−6961;欧州特許EP968291によって記載されてきた。本発明は、重鎖及び軽鎖が共有結合していない新規なクラスの修飾抗体フラグメントを提供する。重鎖と軽鎖の間に全く共有結合がなく、しかも2つ以上のエフェクター分子が結合しているにも関わらず、本発明のフラグメントは、多数のインビトロ及びインビボの試験において野生型フラグメントと比較し得る性能を示す。驚くべきことに、これらの新規なフラグメントは、野生型フラグメントと抗原に対する同じ親和性、及び野生型フラグメントと同様のインビボ及びインビトロ安定性を有する。本発明のフラグメントの特定の利点は、それらの製造の容易さ、及び特に、それらの製造の効率にある。したがって、本発明のフラグメントは、鎖間共有結合を有する現在利用可能なフラグメントに対する低コストの代替物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明によれば、2つ以上のエフェクター分子がフラグメントに結合しており、且つこれらの分子の少なくとも1つが軽鎖又は重鎖の定常領域中のシステインに結合していることを特徴とする、フラグメント中の重鎖が軽鎖に共有結合していない抗体Fab又はFab’フラグメントが提供される。
【0009】
本発明の抗体フラグメントは、可変領域(V/V)及び定常領域(C/C)を有する任意の重鎖及び軽鎖の対であってもよい。この重鎖及び/又は軽鎖の定常領域は、そのC末端において1つ以上のアミノ酸が延長されてもよい。特定の例には、Fab及びFab’フラグメントが含まれる。
【0010】
本発明に使用するための抗体フラグメントの出発物質は、任意の適切な酵素的な切断及び/又は消化の技術を使用して、例えば、ペプシンを用いる処理によって、任意の全体の抗体、とりわけ、全体のモノクローナル抗体から入手できる。代替的に、又は更に、抗体の出発物質は、抗体の可変領域及び/又は定常領域をコードするDNAの操作及び再発現を含む組換えDNA技術の使用によって調製できる。標準的な分子生物学的技術が、所望されるようなアミノ酸又はドメインを修飾し、付加し、又は欠失させるために使用できる。可変領域又は定常領域に対する任意の変更が、本明細書で使用される用語「可変」領域及び「定常」領域によってなお包含される。
【0011】
抗体フラグメントの出発物質は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ハムスター、ラクダ、ラマ、ヤギ、又はヒトを含む任意の種から入手できる。抗体フラグメントの部分は1種又は複数の種から入手でき、例えば、抗体フラグメントはキメラであってもよい。一例では、定常領域は1つの種由来であり、且つ可変領域は別の種由来である。抗体フラグメントの出発物質はまた、修飾されてもよい。一例では、抗体フラグメントの可変領域は組換えDNA操作技術を使用して作製される。このような操作して得た改変体には、例えば、天然の抗体のアミノ酸配列における又はそれに対する挿入、欠失、又は置換によって天然の抗体の可変領域から作製されたものが含まれる。この型の特定の例には、少なくとも1つのCDR、並びに場合により、1つの抗体からの1つ以上のフレームワークアミノ酸、及び第2の抗体からの可変領域ドメインの残りの部分を含む、可変領域ドメインが操作して得たものが含まれる。これらの抗体フラグメントを作製及び製造するための方法は当該技術分野において周知である(例えば、以下を参照のこと:Boss et al.,米国特許第4,816,397号;Cabilly et al.,米国特許第6,331,415号;Shrader et al.,国際公開第92/02551号;Ward et al.,1989,Nature,341,544;Orlandi et al.,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,3833;Riechmann et al.,1988,Nature,322,323;Bird et al.,1988,Science,242,423;Queen et al.,米国特許第5,585,089号;Adair、国際公開第91/09967号;Mountain及びAdair、1992,Biotechnol.Genet.Eng.Rev,10,1−142;Verma et al.,1998,Journal of Immunological Methods,216,165−181)。
【0012】
本発明に使用するためのFab’フラグメントは、重鎖のC末端が1アミノ酸以上延長される。代表的には、本発明に使用するためのFab’フラグメントは、未変性の又は修飾されたヒンジ領域を有する。未変性のヒンジ領域は、抗体分子のC1ドメインに通常結合しているヒンジ領域である。修飾ヒンジ領域は、未変性のヒンジ領域とは長さ及び/又は組成が異なる任意のヒンジである。このようなヒンジは、他の種、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ハムスター、ラクダ、ラマ、又はヤギのヒンジ領域からのヒンジ領域を含み得る。他の修飾ヒンジ領域は、C1ドメインのそれとは異なるクラス又はサブクラスの抗体に由来する完全なヒンジ領域を含んでもよい。したがって、例えば、クラスγ1のC1ドメインはクラスγ4のヒンジ領域に結合できる。或いは、修飾ヒンジ領域は、天然のヒンジ又は反復単位の部分を含むことが可能であり、この反復中の各単位は、天然のヒンジ領域に由来する。さらなる代替において、この天然のヒンジ領域は、1つ以上のシステイン若しくは他の残基をアラニンなどの中性塩基に変換することによって、又は適切に配置された残基をシステイン残基に変換することによって変化できる。このような手段によって、ヒンジ領域中のシステイン残基の数は、増加又は減少できる。更に、ヒンジの他の特性、例えば、軽鎖の鎖間システインからのヒンジシステインの距離、ヒンジのシステイン間の距離、及び可動性などのヒンジの特性に影響を与える可能性があるヒンジ中の他のアミノ酸の組成(例えば、グリシンは回転可動性を増加させるためにヒンジに取り込まれることが可能であり、又はプロリンは可動性を減少させるために取り込まれることが可能である)が制御できる。或いは、荷電した残基又は疎水性残基の組み合わせがヒンジに取り込まれてマルチマー化特性を付与できる。他の修飾ヒンジ領域は全体的に合成性であってもよく、且つ長さ、組成、及び可動性などの所望の特性を有するように設計されてもよい。
【0013】
多数の修飾ヒンジ領域が、例えば、米国特許第5,677,425号、国際公開第9915549号、及び国際公開第9825971号においてすでに記載されており、これらは参照として本明細書に援用される。代表的には、本発明に使用するためのヒンジ領域は、1から11個の間のシステインを含む。好ましくは、1から4個の間のシステイン、より好ましくは1個又は2個のシステインである。特に有用なヒンジには、1つのみのシステインが存在し、配列DKTHTCPP(配列番号1)又はDKTHTCAA(配列番号2)を含む修飾ヒトγ1ヒンジ、及び2つのシステインを含み、配列DKTHTCPPCPA(配列番号3)又はDKTHTCAACPA(配列番号4)を含むものが含まれる。本発明に使用するための他の適切なヒンジには、配列番号5〜11に示すものが含まれる。適切なマウスヒンジ領域は配列番号12〜14に示す。すべての配列及びそれらの配列番号は図7に示す。
【0014】
本発明の抗体フラグメントは、一般的に、抗原に選択的に結合可能であろう。該抗原は、任意の細胞関連抗原、例えば、細菌細胞、酵母細胞、T細胞、内皮細胞、若しくは腫瘍細胞などの細胞上の細胞表面抗原であってもよく、又は可溶性抗原であってもよい。抗原はまた、疾患又は感染の間にアップレギュレートされた抗原などの任意の医学関連抗原、例えば、レセプター及び/又はそれらの対応するリガンドであってもよい。細胞表面抗原の特定の例には、接着分子、例えば、β1インテグリンなどのインテグリン(例えば、VLA−4)、E−セレクチン、Pセレクチン若しくはL−セレクチン、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11a、CD11b、CD18、CD19、CD20、CD23、CD25、CD33、CD38、CD40、CD45、CDW52、CD69、癌胎児性抗原(CEA)、ヒト乳脂肪グロブリン(HMFG1及び2)、MHCクラスI及びMHCクラスII抗原、並びにVEGF、並びに適切な場合、これらのレセプターが含まれる。可溶性抗原には、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、IL−12、IL−16、又はIL−17などのインターロイキン、ウイルス抗原、例えば、呼吸器合胞体ウイルス又はサイトメガロウイルス抗原、IgEなどの免疫グロブリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、又はインターフェロンγなどのインターフェロン、腫瘍壊死因子α、腫瘍壊死因子β、G−CSF又はGM−CSFなどのコロニー刺激因子、並びにPDGFα及びPDGFβなどの血小板由来成長因子、並びに適切な場合、これらのレセプターが含まれる。
【0015】
用語エフェクター分子は、本明細書で使用される場合には、例えば、抗新生物剤、薬物、毒素(例えば、細菌又は植物起源の酵素的に活性な毒素及びそのフラグメント、例えば、リシン及びそのフラグメント)、生物活性タンパク質、例えば、酵素、他の抗体又は抗体フラグメント、合成又は天然ポリマー、核酸及びそのフラグメント、例えば、DNA、RNA、及びそのフラグメント、放射性核種、特に放射性ヨウ素、放射性同位元素、キレートされた金属、ナノ粒子、並びにレポーター基、例えば、蛍光化合物又はNMR若しくはESRスペクトル測定によって検出できる化合物を含む。
【0016】
特定の抗新生物剤には、細胞毒性剤及び細胞増殖抑制剤、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、クロランブシル、メルファラン、メクロレタミン、シクロホスファミド、又はウラシルマスタード)及びその誘導体、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、ブスルファン、又はシスプラチンなどのアルキル化剤;メトトレキサート、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、フルオロ酢酸又はフルオロクエン酸などの代謝拮抗剤、ブレオマイシン(例えば、硫酸ブレオマイシン)、ドキソルビシン、ダウノルビシン、マイトマイシン(例えば、マイトマイシンC)、アクチノマイシン(例えば、ダクチノマイシン)、プリカマイシン、カリキマイシン及びその誘導体、又はエスペラマイシン及びその誘導体などの抗生物質、エトポシド、ビンクリスチン又はビンブラスチン、及びその誘導体などの分裂抑制剤;エリプシチンなどのアルカロイド;タキシン−I又はタキシン−IIなどのポリオール;アンドロゲンなどのホルモン(例えば、ドロモスタノロン若しくはテストステロン)、プロゲスチン(例えば、酢酸メゲストロール若しくは酢酸メドロキシプロゲステロン)、エストロゲン(例えば、ジメチルスチルベストロール二リン酸、リン酸ポリエストラジオール、若しくはリン酸エストラムスチン)又は抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン);ミトキサントロンなどのアントラキノン、ヒドロキシウレアなどのウレア;プロカルバジンなどのヒドラジン;又はデカルバジンなどのイミダゾールが含まれる。
【0017】
キレートされた金属には、2から8まで(両端を含む)配位数を有する、2価又は3価の正電荷を有する金属のキレートが含まれる。このような金属の特定の例には、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、コバルト(Co)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、テルビウム(Tb)、ガドリニウム(Gd)、及びスカンジウム(Sc)が含まれる。一般的に、この金属は好ましくは放射性核種である。特定の放射性核種には、99mTc、186Re、188Re、58Co、60Co、67Cu、195Au、199Au、110Ag、203Pb、206Bi、207Bi、111In、67Ga、68Ga、88Y、90Y、160Tb、153Gd、及び47Scが含まれる。
【0018】
キレートされた金属は、例えば、任意の適切な多座(polyadentate)キレート剤、例えば、非環状又は環状ポリアミン、ポリエーテル(例えば、クラウンエーテル及びその誘導体);ポリアミド;ポルフィリン;及び炭素環誘導体でキレートされた上記の型の金属の1つであってもよい。
【0019】
一般的に、キレート剤の型は、使用する金属に依存する。しかし、本発明による結合体における、1つの特に有用なキレート剤の群は、非環状及び環状ポリアミン、とりわけポリアミノカルボン酸、例えば、ジエチレントリアミンペンタ酢酸及びその誘導体、並びに大環状アミン、例えば、環状トリアザ及びテトラアザ誘導体(例えば、国際特許明細書の国際特許公開第92/22583号に記載されているようなもの);並びにポリアミド、とりわけデスフェリオックス−アミン及びその誘導体である。
【0020】
他のエフェクター分子には、タンパク質、ペプチド、及び酵素が含まれる。対象とする酵素には、タンパク質分解性酵素、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼが含まれるがこれらに限定されない。対象とするタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドには、免疫グロブリン、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、若しくはジフテリア毒素などの毒素、インスリン、腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、若しくは組織プラスミノーゲン活性化因子などのタンパク質、血栓剤若しくは血管形成剤(例えば、アンギオスタチン若しくはエンドスタチン)、又はリンホカイン、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−6(IL−6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、神経成長因子(NGF)、若しくは他の成長因子及び免疫グロブリンなどの生物学的応答調節剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
他のエフェクター分子は、例えば、診断において有用である検出可能な物質を含んでもよい。検出可能な物質の例には、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射活性核種、陽電子放出金属(陽電子放出断層撮影に使用するため)、及び非放射活性常磁性金属イオンが含まれる。一般的には、診断剤としての使用のために抗体に複合され得る金属イオンについては、米国特許第4,741,900号を参照のこと。適切な酵素には、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが含まれ;適切な補欠分子族には、ストレプトアビジン、アビジン、及びビオチンが含まれ;適切な蛍光物質には、アンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロライド、及びフィコエリトリンが含まれ;適切な発光物質にはルミノールが含まれ;適切な生物発光物質には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びエオクリンが含まれ;並びに適切な放射活性核種には125I、131I、111In、及び99Tcが含まれる。
【0022】
エフェクター分子としての使用のための合成又は天然ポリマーには、例えば、任意選択で置換された直鎖若しくは分枝鎖のポリアルキレン、ポリアルケニレン、若しくはポリオキシアルキレンポリマー、又は直鎖若しくは分枝鎖の多糖類(例えば、ラクトース、アミロース、デキストラン、又はグリコーゲンなどのホモ若しくはヘテロ多糖類)が含まれる。
【0023】
上述の合成ポリマー上に存在する可能性のある特定の任意選択の置換基には、1つ以上のヒドロキシ基、メチル基、又はメトキシ基が含まれる。合成ポリマーの特定の例には、任意選択で置換された直鎖若しくは分枝鎖のポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、又はその誘導体、とりわけ、メトキシポリ(エチレングリコール)又はその誘導体などの任意選択で置換されたポリ(エチレングリコール)が含まれる。
【0024】
「誘導体」は、本明細書で使用される場合には、反応性誘導体、例えば、α−ハロカルボン酸又はエステル、例えば、ヨードアセトアミドなどのチオール選択性反応基、イミド、例えば、マレイミド、ビニルスルホン、又はジスルフィドマレイミドなどを含むことを意図する。反応基は、直接的に、又はポリマーへのリンカーセグメントを通して結合できる。このような基の残基は、いくつかの例においては、抗体フラグメントとポリマーとの間の連結基としての生成物の一部を形成することが理解されよう。
【0025】
ポリマーのサイズは、所望通りに変化させてもよいが、一般的には、500Daから50,000Daまで、好ましくは5,000から40,000Daまで、並びにより好ましくは10,000から40,000Daまで、及び20,000から40,000Daまでの範囲の平均分子量である。ポリマーのサイズは、特に、生成物の意図する用途、例えば、腫瘍などの特定の組織に局在するか、又は循環半減期を延長する能力に基づいて選択してもよい(概説としては、Chapman,2002,Advanced Drug Delivery Reviews,54,531−545を参照のこと)。したがって、例えば、生成物が循環系を出て、組織に浸透することを意図する場合、例えば、腫瘍の治療に使用するために、低分子量ポリマー、例えば、約5,000Daの分子量を有するポリマーを使用することが有利となり得る。生成物が循環中に留まる用途に対しては、より高分子量ポリマー、例えば、25,000Daから40,000Daまでの範囲の分子量を有するポリマーを使用することが有利となり得る。
【0026】
特定の好ましいポリマーには、ポリ(エチレングリコール)などのポリアルキレンポリマー、又は、とりわけ、メトキシポリ(エチレングリコール)又はその誘導体、及びとりわけ、約10,000Daから約40,000Daの範囲の分子量を有するポリマーが含まれる。
【0027】
本発明のポリマーは、市販品を入手してもよいし(例えば、Nippon Oil and Fats;Nektar Therapeuticsより)、又は市販の出発物質から、便利な化学的手順を使用して調製してもよい。
【0028】
本発明のエフェクター分子は、該タンパク質を直接、又はカップリング剤を介してエフェクター分子へ連結する、標準的な化学的手順又は組換えDNA手順を使用して結合してもよい。このようなエフェクター分子を抗体に複合するための技術は当該分野において周知である(例えば、Hellstrom et al.,制御薬物送達(Controlled Drug Delivery),第2版、Robinsonら編、1987,623〜53頁;Thorpe et al.,1982,Immunol.Rev.,62:119−58、及びDubowchik et al.,1999,Pharmacology and Therapeutics,83,67−123)。特定の化学的手順には、例えば、国際特許明細書の国際公開第93/06231号、国際公開第92/22583号、国際公開第90/09195号、国際公開第89/01476号、国際公開第9915549号、及び国際公開第03031581号に記載されるものが含まれる。或いは、エフェクター分子がタンパク質又はポリペプチドである場合、結合は、例えば、欧州特許明細書第392745号に記載のような組換えDNA手順を使用して達成できる。
【0029】
一例では、本発明のエフェクター分子は、抗体フラグメント中にある任意の利用可能なアミノ酸側鎖又は末端アミノ酸官能基、例えば、任意の遊離のアミノ基、イミノ基、チオール基、ヒドロキシル基、又はカルボキシル基を通してタンパク質に結合できる。このようなアミノ酸は抗体フラグメント中に天然に存在してもよく、又は組換えDNA法を使用してフラグメントに操作して得られてもよい。例えば、米国特許第5,219,996号を参照されたい。本発明の好ましい態様では、エフェクター分子は、フラグメント中にあるシステイン残基のチオール基を通して共有結合している。この共有結合は、一般的にはジスルフィド結合であり、又は特に、硫黄−炭素結合である。一例では、チオール基が適切に活性化されたエフェクター分子の結合点として使用される場合、例えば、マレイミド及びシステイン誘導体などのチオール選択的誘導体が使用できる。
【0030】
本発明の好ましい態様において、抗体フラグメントに結合した少なくとも1個のエフェクター分子は、ポリマー分子、好ましくはPEG又はその誘導体である。結合するポリ(エチレングリコール)(PEG)部分に関しては、一般的に、「ポリエチレングリコールの化学、生物技術的及び生物医学的応用(Poly(ethyleneglycol)Chemistry,Biotechnical and Biomedical Applications)」、1992、J.Milton Harris(編)、Plenum Press、New York;「ポリエチレングリコールの化学及び生物学的応用(Poly(ethyleneglycol)Chemistry and Biological Applications)」、1997、J.Milton Harris及びS.Zalipsky(編)、American Chemical Society、Washington DC、並びに「生物医科学のための生物複合タンパク質カップリング技術(Bioconjugation Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences)」、1998、M.Aslam及びA.Dent,Grove Publishers、New Yorkを参照されたい。
【0031】
本発明の一例では、すべてのエフェクター分子はPEGであり、且つ各分子が、マレイミド基を介して、抗体フラグメント中の1個又は複数のチオール基に共有結合している。このPEGは任意の直鎖又は分枝状分子であってもよい。分枝状PEG分子を結合するために、リジン残基が、好ましくはマレイミド基に共有結合している。リジン残基上のアミン基の各々に、好ましくはメトキシ(ポリ(エチレングリコール)ポリマーが結合している。一例では、各ポリマーの分子量は約20,000Daであり、それゆえに全ポリマー分子の全分子量は約40,000Daである。
【0032】
本発明において、2つ以上のエフェクター分子が抗体フラグメントに結合しており、且つこれらの分子の少なくとも1つが軽鎖又は重鎖の定常領域に結合している。結合のための適切なシステインには、軽鎖及び/又は重鎖の定常領域に存在する天然のシステイン、並びに組換えDNA技術を使用して定常領域に操作して得たシステインが含まれる。一例では、2つのシステインが、抗体フラグメント中に(重鎖及び軽鎖の定常領域の各々に1つずつ)操作して得られる。特定の一例では、これらのシステインは複数の位置に操作して得られ、それによって、これらのシステインは抗体出発物質中で互いにジスルフィド結合を形成できる。
【0033】
本発明の一例では、少なくとも1個のエフェクター分子が鎖間システインに結合している。用語鎖間システインとは、本明細書で使用されるときには、天然の抗体分子における対応する重鎖又は軽鎖の定常領域中のシステインにジスルフィド結合すると思われる、重鎖又は軽鎖中の定常領域中のシステインをいう。特に、本明細書の鎖間システインは、天然の抗体において互いにジスルフィド結合している、軽鎖(C)定常領域中のシステイン、及び重鎖の第1の定常領域(C1)中のシステインである。このようなシステインの例は、代表的には、Kabat et al.,1987、免疫学的に興味が持たれるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、US Department of Health and Human Services,NIH,USAによって規定されるように、ヒトIgG1の軽鎖の214位及び重鎖の233位において、ヒトIgM、IgE、IgG2、IgG3、IgG4の重鎖の127位、並びにヒトIgD及びIgA2Bの重鎖の128位において見い出すことができる。マウスIgG1において、鎖間システインは軽鎖の214位及び重鎖の235位において見い出し得る。これらのシステインの正確な位置は、任意の修飾、例えば、欠失、挿入、及び/又は置換が抗体出発物質になされた場合には、天然の抗体の位置から変化し得ることが理解されよう。したがって、本発明の一例では、2つ以上のエフェクター分子は抗体フラグメントに結合しており、且つこれらの分子の少なくとも1つがCの鎖間システイン又はC1の鎖間システインに結合している。
【0034】
2つ以上のエフェクター分子を結合する本発明の抗体フラグメントにおいて、重鎖は軽鎖に共有結合していない。これらのフラグメントにおいて、重鎖と軽鎖との間にジスルフィド結合は存在せず、特に、天然の抗体において見い出されるCの鎖間システインとC1の鎖間システインとの間のジスルフィド結合は存在しない。
【0035】
本発明の一例では、2つの鎖間システインの間の共有結合は、別のアミノ酸、好ましくはチオール基を含まないアミノ酸で鎖間システインの一方が置換された結果、存在していない。置換するとは、鎖間システインが通常なら抗体フラグメントに見い出される場合に、別のアミノ酸がその場所にあることを意味する。適切なアミノ酸の例は、セリン、スレオニン、アラニン、グリシン、又は任意の極性アミノ酸を含む。特に好ましいアミノ酸はセリンである。アミノ酸を置換するための方法は分子生物学の分野において周知である。このような方法には、例えば、PCRなどの方法を使用した、アミノ酸を欠失及び/又は置換するための部位特異的変異誘発、或いは合成配列の新規な設計が含まれる。鎖間システインの両方がセリンによって置換されているFab’及びF(ab’)は、すでに記載されている(Humphreys et al.,1997,Journal of Immunological Methods,209,193−202;Rodrigues et al.,1993,The Journal of Immunology,151,6954−6961)。したがって、本発明の一態様によれば、鎖間システインの一方が別のアミノ酸、好ましくはチオール基を含まないアミノ酸、更により好ましくはセリンによって置換された抗体Fab及びFab’フラグメントが提供される。本発明のこの態様に従う特定のフラグメントは以下の通りである。
(i)C1の鎖間システインが別のアミノ酸によって置換されていることによって特徴付けられる抗体Fab’フラグメント。
(ii)Cの鎖間システインが別のアミノ酸によって置換されていることによって特徴付けられる抗体Fab’フラグメント。
(iii)C1の鎖間システインが別のアミノ酸によって置換されていることによって特徴付けられる抗体Fabフラグメント。
(iv)Cの鎖間システインが別のアミノ酸によって置換されていることによって特徴付けられる抗体Fabフラグメント。
【0036】
2つ以上のエフェクター分子がこれらのフラグメントに結合してもよく、本発明の一態様によれば、1つのエフェクター分子はC又はC1の鎖間システインの一方に結合しており、追加のエフェクター分子は抗体フラグメント中の他の箇所、特に定常領域及び/又はヒンジ領域に結合している。好ましくは、追加のエフェクター分子はヒンジに結合している。
【0037】
本発明のこの態様に従う特定のフラグメントは以下の場合のフラグメントである:
(i)エフェクター分子がCの鎖間システインに結合しており、且つC1の鎖間システインが別のアミノ酸によって置換されている、又は
(ii)エフェクター分子がC1の鎖間システインに結合しており、且つCの鎖間システインが別のアミノ酸によって置換されている。
【0038】
本発明の別の例において、エフェクター分子は、軽鎖定常領域中の少なくとも1つのシステイン、及び重鎖定常領域中の少なくとも1つのシステインに結合している。上記のように、適切なシステインには、軽鎖及び/又は重鎖の定常領域中に存在する天然に存在するシステイン、例えば、C1及びCの鎖間システイン、並びに組換えDNA技術を使用して定常領域に操作して得たシステインが含まれる。特定の一例では、エフェクター分子が結合している各システインは、エフェクター分子が結合していない場合、ジスルフィド結合を介して、対応する重鎖又は軽鎖中のシステインに連結されている。この例において、2つのシステイン間の共有結合は、本明細書に記載されるように、還元剤を使用して、エフェクター分子の結合の間に除去される。追加のエフェクター分子は抗体フラグメント中の他の箇所、特に、定常領域及び/又はヒンジ領域に、本明細書に記載される方法のいずれかを使用して結合できる。好ましい追加のエフェクター分子はヒンジに結合している。
【0039】
本発明のこの態様に従う特定のフラグメントは以下の場合のフラグメントを含む:
(i)エフェクター分子に結合した重鎖及び軽鎖定常領域中のシステイン残基は、エフェクター分子が結合していない場合には、ジスルフィド結合を介して互いに連結されている、又は
(ii)エフェクター分子が結合する軽鎖システインはCの鎖間システインであり、且つエフェクター分子が結合する重鎖システインはC1の鎖間システインである。
【0040】
本発明の抗体フラグメントのいくつかを産生する際に有用である抗体Fab’フラグメント中間体もまた、本発明によって提供される。驚くべきことに、C1の鎖間システインがチオールを含まないアミノ酸で置換されたときに、Cの鎖間システインがヒンジ領域中のシステインとジスルフィド結合を形成できることが判明した。ヒンジシステインとC鎖間システインとの間のジスルフィド結合の存在により、60℃以上での熱抽出方法を使用してFab’フラグメントの抽出を可能にすることによって、修飾抗体Fab’フラグメントが、未変性鎖間ジスルフィドを含むFab’フラグメントと同程度に効率的に精製することが可能である(米国特許第5,665,866号を参照されたい)。したがって、本発明のこの態様によれば、C1の鎖間システインがチオールを含有しないアミノ酸によって置換されており、且つC鎖間システインがヒンジ領域中のシステインに共有結合していることを特徴とする、抗体Fab’フラグメントが提供される。前記の任意のヒンジをこの中間体において使用してもよいが、特に、前記中間体のヒンジ領域は、このヒンジ領域中のシステインがCの鎖間システインとジスルフィド結合を形成することを可能にするのに十分な長さ及び可動性を有している。特に好ましいヒンジには、配列DKTHTCPP(配列番号1)又はDKTHTCAA(配列番号2)を含む、1つのみのシステインが存在する修飾ヒトγ1ヒンジが含まれる。或いは、ヒンジは、例えば、DKTHTCPPCPA(配列番号3)又はDKTHTCAACPA(配列番号4)についての2つのシステインを含んでもよい。これらの抗体フラグメントに使用するためのさらなるヒンジには、配列番号5から11に示すもの、及びマウス定常領域、即ち配列番号12〜14に示す配列が含まれる。一例では、ヒンジシステインが共有結合する鎖間システインを含む、抗体Fab’フラグメント中の軽鎖定常領域は、ヒトIgG1からのcカッパ(配列番号15)である。
【0041】
ヒンジと軽鎖との間のジスルフィド結合をまた含む他の有用な中間体は、フラグメント中の重鎖が軽鎖に共有結合しておらず、C1とCの両方の鎖間システインが別のアミノ酸によって置換され、且つ軽鎖定常領域中の操作して得たシステインがヒンジ領域中のシステインに共有結合していることを特徴とする抗体Fab’フラグメントである。用語「操作して得たシステイン」とは、鎖間システインのもの以外の軽鎖定常領域中の位置におけるシステインをいう。アミノ酸を置換及び挿入するための方法は分子生物学の分野において周知である。このような方法には、例えば、PCRなどの方法を使用した、アミノ酸を欠失及び/若しくは置換するための部位特異的変異誘発又は合成配列の新規な設計が含まれる。本発明のこの態様に使用するための特定の軽鎖定常配列は、配列番号16〜20に示す。配列番号16〜20に示す軽鎖定常領域配列のいずれかを用いて使用できる特定のヒンジ配列は、配列番号1〜11に示す。
【0042】
2つ以上のエフェクター分子が、本発明のこの態様の抗体Fab’フラグメントに結合できる。したがって、本発明の一態様によれば、1つのエフェクター分子が、Cの鎖間システイン又は軽鎖定常領域中の操作して得たシステインの、いずれか存在するものに結合しており、追加のエフェクター分子が、抗体フラグメント中の他の箇所、特にヒンジ領域に結合している。好ましい追加のエフェクター分子はヒンジに結合している。
【0043】
したがって、一態様において、エフェクター分子は、エフェクター分子が結合する前には、Cの鎖間システインに共有結合したヒンジ中のシステインに結合している。別の態様において、エフェクター分子は、エフェクター分子が結合する前には、軽鎖定常領域中の操作して得たシステインに共有結合したヒンジ中のシステインに結合している。
【0044】
上記の抗体Fab’フラグメント中間体を発現する宿主細胞もまた、本発明によって提供される。任意の適切な宿主細胞/ベクター系が、本発明の抗体Fab’中間体をコードするDNA配列の発現のために使用できる。細菌(例えば、大腸菌(E.coli))及び他の微生物系が使用されてもよく、又は真核生物、例えば、哺乳動物宿主細胞発現系もまた、使用してもよい。本発明に使用するための適切なE.coli株は、天然株又は組換えタンパク質を産生できる変異株であってもよい。特定の宿主E.coli株の例には、MC4100、TG1、TG2、DHB4、DH5α、DH1、BL21、XL1Blue、及びW3110(ATCC 27,325)が含まれる。適切な哺乳動物宿主細胞には、CHO細胞、ミエローマ細胞、又はハイブリドーマ細胞が含まれる。
【0045】
本発明の抗体Fab又はFab’フラグメントにエフェクター分子を結合させるための方法もまた、本発明によって提供される。一般的に、この方法は以下の工程を含む:
a)抗体Fab又はFab’フラグメントを還元剤で処理する工程であって、この還元剤は、重鎖定常領域及び/又は軽鎖定常領域のシステイン中の遊離チオール基を生成できる工程
b)処理したフラグメントをエフェクター分子と反応させる工程。
【0046】
エフェクター分子の結合の前に、鎖間ジスルフィド結合が抗体フラグメント中に存在する本発明の一態様において、この方法は以下の工程を含む:
a)抗体Fab又はFab’フラグメントを還元剤で処理する工程であって、この還元剤は、少なくともC1の鎖間システイン及びCの鎖間システイン中の遊離チオール基を生成できる工程
b)処理したフラグメントをエフェクター分子と反応させる工程。
【0047】
上記の抗体Fab’中間体の1つが使用される本発明の一態様において、抗体Fab’中間体に2つ以上のエフェクター分子を結合させる方法が提供され、この方法は以下の工程を含む:
a)抗体Fab’フラグメントを還元剤で処理する工程であって、この還元剤は、Cの鎖間システインとヒンジ領域中のシステインとの間の共有結合を還元できる工程
b)処理したフラグメントをエフェクター分子と反応させる工程。
【0048】
上記の抗体Fab’中間体の1つが使用される一態様において、抗体Fab’中間体に2つ以上のエフェクター分子を結合させる方法が提供され、この方法は以下の工程を含む:
a)抗体Fab’フラグメントを還元剤で処理する工程であって、この還元剤は、軽鎖定常領域中の操作して得たシステインとヒンジ領域中のシステインとの間の共有結合を還元できる、工程
b)処理したフラグメントをエフェクター分子と反応させる工程。
【0049】
本発明によって提供される方法は、1個又は複数のエフェクター分子が抗体フラグメント中のシステイン、特に定常領域及びヒンジ中のシステインに結合していることを可能にする。2つ以上のエフェクター分子は、本明細書に記載される方法を使用して、この方法を同時又は連続的にのいずれかで反復することによって、抗体フラグメントに結合できる。
【0050】
本発明の方法はまた、上記の還元方法の前及び/又は後で1つ又は複数の工程に拡張され、ここでは、追加のエフェクター分子が、以前に記載された任意の適切な方法を使用して、例えば、アミノ基及びイミノ基などの他の利用可能なアミノ酸側鎖を介して抗体フラグメントに結合している。
【0051】
本発明の方法に使用するための還元剤は、抗体フラグメント出発物質中のシステインを還元して、遊離チオールを産生できる任意の還元剤である。好ましくは、この還元剤はすべての利用可能なチオールを効率的に還元する。本発明の一態様において、還元剤は、システインへのエフェクター分子の結合を可能にするために、重鎖定常領域のシステインと軽鎖定常領域のシステインとの間の、例えば、Cの鎖間システインとC1の鎖間システインとの間の鎖間ジスルフィド結合を還元するために十分に強力である必要がある。鎖間ジスルフィド結合が鎖間システインの一方の非存在に起因して存在しない場合、還元剤は、抗体フラグメント中に残存しているシステイン、例えば、残存している鎖間システイン及び/又はヒンジ領域中のシステインから遊離チオールを効率的に遊離させることが可能でなくてはならない。本発明の抗体分子は、鎖間ジスルフィド結合についての要求性を有していないので、野生型抗体フラグメントで従来使用されるものよりも強力な還元剤が使用できる。その結果、より多くの数の遊離チオールが産生され、且つより高い割合の抗体フラグメントが正確に修飾され、即ち、正確な数のエフェクター分子が結合している。したがって、本発明の抗体フラグメントは、通常の抗体フラグメントよりも効率的且つ高いコスト効果で製造できる。適切な還元剤が、抗体フラグメントが還元剤で処理される後で産生される遊離チオールの数を決定することによって同定できることは当業者には明らかである。遊離チオールの数を決定するための方法は当該分野において周知であり、例えば、Lyons et al.,1990,Protein Engeering,3,703を参照のこと。本発明に使用するための還元剤は当該分野において広範に公知である(例えば、Singh et al.,1995,Methods in Enzymology、251,167−73に記載されるもの)。特定の例には、還元グルタチオン(GSH)、β−メルカプトエタノール(β−ME)、β−メルカプトエチルアミン(β−MA)、及びジチオスレイトール(DTT)などのチオール系還元剤が含まれる。本発明の抗体フラグメントを還元するための他の方法には、電気分解的方法を使用すること(例えば、Leach et al.,1965,Div.Protein.Chem,4,23−27において記載される方法)、及び光還元的方法を使用すること(例えば、Ellison et al.,2000,Biotechniques,28(2),324−326に記載される方法)が含まれる。しかし、好ましくは、本発明に使用するための還元剤は、抗体フラグメント中の1つ以上のチオールを遊離させることが可能である非チオール系還元剤である。好ましくは、非チオール系還元剤は、抗体フラグメント中のすべての利用可能なチオールを遊離させることが可能である。本発明に使用するための好ましい還元剤は、トリアルキルホスフィン還元剤である(Ruegg UT及びRudinger,J.,1977,Methods in Enzymology,47,111−126;Burns J et al.,1991,J.Org.Chem,56,2648−2650;Getz et al.,1999,Analytical Biochemistry,273,73−80;Han及びHan、1994,Analytical Biochemistry,220,5−10;Seitz et al.,1999,Euro.J.Nuclear Medicine,26,1265−1273)。これらの特定の例には、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、トリスブチルホスフィン(TBP)、トリス−(2−シアノエチル)ホスフィン、トリス−(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン(THP)、及びトリス−(2−ヒドロキシエチル)ホスフィンが含まれる。最も好ましくは、本発明に使用するため還元剤は、TCEP又はTHPのいずれかである。本発明に使用するための還元剤の濃度は、例えば、還元剤の濃度を変化させること、及び産生した遊離チオールの数を測定することによって経験的に決定できることは当業者には明らかである。代表的には、本発明に使用するための還元剤は、抗体フラグメントよりも過剰で、例えば、2倍から1000倍モル濃度過剰で使用される。好ましくは、この還元剤は、2、3、4、5、10、100、又は1000倍過剰である。1つの好ましい例において、還元剤は4倍モル濃度過剰である。
【0052】
本発明による修飾抗体フラグメントは、エフェクター分子、好ましくは、チオール選択性活性化エフェクター分子と、少なくとも1つの反応性システイン残基を含む抗体フラグメント(本明細書に記載されるようなもの)を反応細胞させることによって調製できる。上記の工程(a)及び(b)における反応は、一般的に、溶媒、例えば、酢酸又はリン酸などの水性緩衝溶液中で、中性pH、例えば、約pH4.5から約pH8.0において実行できる。反応は、一般的に、任意の適切な温度、例えば、約5℃から約70℃の間、例えば、室温で実行できる。溶媒は、場合により、EDTA、EGTA、CDTA、又はDTPAなどのキレート剤を含んでもよい。好ましくは、溶媒は、EDTAを、1から5mMの間、好ましくは2mMで含む。或いは、又は更に、溶媒は、クエン酸、シュウ酸、葉酸、ビシン、トリシン、トリス、又はADAなどのキレート剤緩衝液であってもよい。エフェクター分子は、一般的に、抗体フラグメントの濃度に比較して過剰の濃度で利用される。代表的には、エフェクター分子は、2から100倍モル濃度過剰、好ましくは5、10、又は50倍過剰である。
【0053】
必要である場合、所望の数のエフェクター分子を含む所望の生成物は、いずれかの開始物質、又は製造工程の間に生成され且つ望ましくない数のエフェクター分子を含む他の生成物から、通常の手段によって、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、又は疎水性相互作用クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー技術によって分離できる。
【0054】
本発明によって、2種以上のFab又はFab’フラグメントを含む混合物もまた提供され、この混合物はFab又はFab’フラグメントで富化されており、ここでフラグメント中の重鎖が軽鎖に共有結合しておらず、フラグメントが2つ以上のエフェクター分子を結合し、且つこれらの分子の少なくとも1つが軽鎖又は重鎖の定常領域中のシステインに結合していることを特徴とする。この混合物は、本発明によって提供される方法を使用して産生できる。「富化される」によって、本発明者らは、結合したエフェクター分子の所望の数を有する抗体フラグメントが、この混合物の50%以上を占めることを意味する。好ましくは、結合したエフェクター分子の所望の数を有する抗体フラグメントは、この混合物の50%から99%の間を占める。好ましくは、この混合物は、50%超、好ましくは60%超、より好ましくは70%超を占める。所望の数のエフェクター分子を有する抗体フラグメントを含むこのような混合物の割合は、本明細書に記載されるようなサイズ排除HPLC法を使用することによって決定できる。一例では、この混合物はFab’フラグメントで富化されており、ここで重鎖が軽鎖に共有結合しておらず、且つ2種以上の結合したエフェクター分子がフラグメントに結合しており、ここで少なくとも1個のエフェクター分子が鎖間システインに結合しており、且つ少なくとも1個のエフェクター分子がヒンジ領域に結合している。
【0055】
本発明による抗体フラグメントは、多数の疾患又は障害の検出又は治療において有用であってもよい。このような疾患又は障害には、感染性疾患、例えば、細菌感染;真菌感染;炎症性疾患/自己免疫、例えば、関節リウマチ、骨関節炎、炎症性腸疾患;癌;アレルギー性/アトピー性疾患、例えば、喘息、湿疹;先天性疾患、例えば、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血;皮膚科学的疾患、例えば、乾癬;神経学的疾患、例えば、多発性硬化症;移植、例えば、移植臓器拒絶、移植片対宿主疾患;及び代謝性/特発性疾患、例えば、糖尿病の一般的な標題の下で記載されるものが含まれる可能性がある。
【0056】
本発明による抗体フラグメントは、治療及び/又は診断に使用するために製剤化でき、本発明のさらなる態様によれば、本発明者らは、2つ以上のエフェクター分子がフラグメントに結合しており、且つ少なくとも1つのこれらの分子が軽鎖又は重鎖の定常領域中のシステインに結合していることを特徴とする、フラグメント中の重鎖が軽鎖に共有結合していない抗体Fab又はFab’フラグメントを、1種又は複数の医薬として許容可能な賦形剤、希釈剤、又は担体とともに含む、医薬組成物を提供する。
【実施例】
【0057】
以下の図を参照して、本発明を例示のみのために以下に説明する。
【0058】
Fab’命名法及び一般的方法
以下の実施例において使用されるFab分子及びFab’分子は、ヒト細胞表面レセプターに結合するg165及びヒトサイトカインIL−1βに結合するg8516である。各フラグメントについての命名法は、一文字コード、システインについてのC及びセリンについてのSを使用して、軽鎖(LC)におけるCの鎖間システインの部位、及び重鎖(HC)におけるC1の鎖間システインの部位におけるアミノ酸を示す。例えば、通常のFab’は「g165 Fab’ LC−C、HC−C、ヒンジ−CAA」であるのに対して、CH1の鎖間システインがセリンで置換されており、したがって鎖間ジスルフィドが存在しない改変体は、例えば、「g165 Fab’LC−C HC−S、ヒンジ−CAA」である。完全なγ1中間ヒンジは「ヒンジ−CPPCPA」と記述される。以下の実施例において使用されたプラスミドのリストを表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
Fab’の産生
本発明のFab’分子は、E.coli株W3110中で産生され、標準的な方法を使用して精製した(Humphreys et al.,2002,Protein Expression and Purification、26,309−320)。PCR変異誘発を使用して、C及びC1の鎖間システインをセリンに変化させた。
【0061】
Fab’の還元及びPEG化
すべての還元及びPEG化を、0.1Mリン酸pH6.0;2mM EDTA中で実行した。Fab’及び還元剤の濃度は各実施例に記載される通りであった。すべての場合において、還元を室温(約24℃)で30分間行い、タンパク質をPD−10カラム(Pharmacia)上で脱塩し、次いでFab’に対して5倍モル濃度過剰のPEG−マレイミドと混合した。40kDa PEGはNektarからであり、20kDa及び30kDa PEGはNippon Oils and Fats(NOF)からであった。PEG化したFab’を、PEG化されていないFab’から、サイズ排除HPLCによって、分析用Zorbax GF−450カラム及びGF−250カラム上で、順次に分離した。これらを、0.2Mリン酸pH7.0+10%エタノールの30分間の定組成グラジエントで、1ml/分にて展開し、Fab’を214nm及び280nmにおける吸収を使用して検出した。
【0062】
実施例1:新規なPEG化Fab’フラグメントの作製
トリPEG化抗体Fab’フラグメントを、抗体フラグメントg165 Fab’LC−C HC−C、ヒンジ−CAAの鎖間ジスルフィドを還元すること、並びにCの鎖間システイン及びC1の鎖間システイン及びヒンジシステインの利用可能なチオールにPEG分子を結合させることによって産生した。多数の異なる還元剤が試験された。チオール系還元剤は還元グルタチオン(GSH)、β−メルカプトエタノール(β−ME)、β−メルカプトエチルアミン(β−MA)、及びジチオスレイトール(DTT)であり、非チオール系還元剤はトリスカルボキシエチルホスフィン(TCEP)であった。
【0063】
g165 Fab’LC−C HC−C、ヒンジ−CAAは10mg/mlであり、還元剤の濃度は5mMであり、そしてフラグメントに結合したPEG分子の数はサイズ排除HPLCによって決定された(図1)。PEG化は、鎖間ジスルフィドが還元された場合に3つすべての利用可能なシステイン上で起こることが予測された。TCEPは約65%の複数−PEG化を生じたのに対して、DTTは約15%のみのPEG化物質を生じ、β−MA、β−ME、及びGSHは痕跡量(1%未満)のみの複数−PEG化を生じた。チオール系還元剤は、代表的には、モノPEG化されたFab’を生じた。なぜなら、これらの還元剤は、鎖間ジスルフィド結合を還元するために十分ではなかったからである。これらは、鎖間ジスルフィドが保持されるPEG化抗体フラグメントの産生において代表的に使用される還元剤である。これらの還元剤を使用して達成されるモノPEG化の低い効率がここで観察され、DTTについては55%、βMAは52%、βMEは20%、及びGSHは22%であった。
【0064】
別の例において、重鎖と軽鎖との間の鎖間ジスルフィド結合は、Cの鎖間システイン又はC1の鎖間システインのいずれかをセリンで置換することによって除去された。10mg/mlの各抗体フラグメントを、5mM TCEPで還元し、脱塩し、次いで40kDa PEG−マレイミドと反応させた。図2及び3における結果は、すべてのシステインが、PEGマレイミドに対して高度にアクセス可能であったことを示す。すべての場合において、予測されたチオールの数(2又は3)は、TCEPを用いる還元後にアクセス可能であり、これは、効率的な部位特異的PEG化が起こることを可能にした。図3bは、PEG化されていない精製Fab’フラグメントを示す。図3aは、2つ以上のPEG分子の結合に関連する分子量の増加を図示する。レーン1はLC−C HC−C、ヒンジCAAに対応し、ここでは2つのPEG分子が重鎖に結合し、1つが軽鎖に結合している。レーン1における最大の分子量バンドは、結合した2つのPEG分子を有する重鎖であり、その次のバンドは、結合した1つのみのPEG分子を有する少量の重鎖であり、そしてその次のバンドは、結合した1つのみのPEG分子を有する軽鎖である。レーン3はFab’LC−S HC−C、ヒンジCAAに対応し、ここでは、重鎖に結合した2つのPEG分子が存在する。レーン3における最高の分子量のバンドは、結合した2つのPEG分子を有する重鎖であるのに対して、より低い分子量のバンドは、結合したPEG分子を有さない遊離の軽鎖である。レーン4はFab’LC−C HC−S、ヒンジCAAに対応し、ここでは、重鎖及び軽鎖上に1つのPEGが存在する。ともに非常に密接している2つの高分子量バンドは、結合した1つのPEG分子を有する重鎖及び軽鎖である。より低いバンドは、結合したPEGを有さない、少量の推定の共有結合性軽鎖ダイマーである。レーン5は、単一のPEGがFab’LC−C HC−C、ヒンジSAAの各鎖に結合しているという点でレーン4と同じである。レーン6は、鎖間ジスルフィドが存在しない、結合したPEG分子が存在しない、Fab’LC−S HC−S、ヒンジSAAの対照である。観察された1つの主要なバンドは、重鎖及び軽鎖に非共有結合的に結合したものである。
【0065】
すべての場合において、65%超のFab’分子が、2つ又は3つのPEG分子で複数PEG化された。したがって、本発明の修飾抗体フラグメントは、鎖間ジスルフィドが保持されている従来の抗体フラグメントよりも効率的に製造できる。
【0066】
非チオール系還元剤、トリスカルボキシエチルホスフィン(TCEP)は、チオール系還元剤、還元グルタチオン(GSH)、β−メルカプトエタノール(β−ME)、β−メルカプトエチルアミン(β−MA)、及びジチオスレイトール(DTT)よりも効率的な還元剤であることが示された。したがって、TCEPは、本発明の修飾抗体フラグメントを産生するための有用な還元剤である。
【0067】
実施例2:CL:C1間ジスルフィドを欠くFab’の安定性試験
Fab’及びFab−PEGの物理的性能に対する、CL:C1間ジスルフィド結合の欠如の効果
i)Fab’の精製
E.coli中で産生される抗体フラグメントは、通常、30℃又は60℃においてTris/EDTA中で一晩振盪させることによってペリプラズムから抽出される。高温熱抽出は、E.coliタンパク質からの抗体フラグメントの抽出及び部分精製を容易にする(米国特許第5,665,866号を参照のこと)。本発明者らは、システインをセリンに置換した軽鎖システインが、60℃のインキュベーションが30℃のインキュベーションに比較して行われた場合に、80%のオーダーで減少した、Fab’の収率を観察した(表1)。驚くべきことに、重鎖システインがセリンで置換された場合に、安定性は60℃において95%より高く、このことは、Fab’LC−C HC−S、ヒンジ−CAAが、Cとヒンジとの間のジスルフィドを効率的に形成するために十分に長く且つ可動性のあるヒンジを有し、このFab’を、ジPEG化Fab’分子の製造において、これが上記の熱抽出を使用して精製できるような有用な中間体にすることを示した。このようなFab’の非還元SDS−PAGE(レーン4、図3b)もまた、LCとHCとの間の共有結合を実証する。図3bは、レーン3において、LC−S HC−C、ヒンジCAAが遊離の重鎖及び軽鎖として存在するのに対して、レーン4においては、LC−C HC−S、ヒンジCAAの重鎖及び軽鎖は共有結合しており、このFab’は、未変性の鎖間ジスルフィドが存在するFab’、例えば、レーン1、Fab’LC−C HC−C、ヒンジCAAと同じ移動度を与えることを示す。
【0068】
:C1間のジスルフィド結合を欠くように操作して得たFab’は、C:C1間のジスルフィド結合を含むFab’と正確に同じ様式で、プロテインG又はイオン交換を使用して精製された。これには、pH2.7での溶出(プロテインG)、又はpH4.5での平衡化(イオン交換)を伴ったので、C:C1間のFab’相互作用は明確に物理化学的に安定であった。
【0069】
ii)インビトロにおける抗原結合親和性
重鎖と軽鎖の間の共有結合の存在下又は非存在下における結合したPEG分子を有するg165 Fab’を、BIAcore(商標)を使用して抗原親和性について分析した。抗原はBIAcore(商標)チップ上に捕捉され、抗体が溶液相中を通過し、親和性を決定した。
【0070】
【表2】


表2は、C:C1間のジスルフィドの欠如、又はモノ、ジ−若しくはトリ−PEG化はいずれも実質的に結合親和性に影響を与えないことを示す。
【0071】
実施例3:ラットにおけるFab−PEGの薬物動態
両方のペプチド上のPEG化Fabの動物における循環半減期
125I標識されたPEG化Fab’分子を、ラットに静脈内注射し、潜在的な治療的Fab’の血清中での永続性を決定した。PEG化されていないFab’の循環半減期は非常に短く(t1/2は約30分間)、遊離のLC又はHCのそれはなおより短いようである。
【0072】
動物群あたり300μgのFab’−PEGを、Bolton and Hunter試薬(Amersham)を使用して、0.22〜0.33μCi/μgの比活性まで、125I標識した。
【0073】
220〜250gの雄性Sprague Dawleyラット(Harlan)を、ハロタン麻酔下に配置しながら、20μgの125I−標識Fab’−PEG変異体を静脈内又は皮下に注射した(群あたりn=6)。投与後、0.5、2、4、6、24、48、72、及び144時間後に尾からの連続的動脈出血を採取した。試料を、COBRA(商標)Autogammaカウンター(Canberra Packard)を使用して計数した。データをプロットし、曲線の下の面積を、GraphPad Prism(GraphPad Software Incorporated)を使用して計算し、%注射用量.時間(%i.d/時間)として表現する。t1/2αを、0.5、2、4、及び6の時点で規定するのに対し、t1/2βは、24、48、72、及び144の時点で規定する。
【0074】
とC1との間の非共有結合的な結合が、マレイミドリンカー及びPEGに関して立体的な問題によって妨害されるか否かを試験するために、g165Fab’LC−C HC−S、ヒンジ−CAAを、TCEPを強力な還元剤として使用して、20kDaと30kDaの両方のPEGでジ−PEG化した。更に、通常のg165Fab’LC−C HC−C、ヒンジ−CAAを、TCEPを用いる非常に強力な還元によって、20kDa PEGでトリPEG化した。表2及び図4におけるデータは、これらのFab’の最終的なPEG化型は非共有結合的に結合したLC及びHCを有するが、循環半減期はモノPEG化対照のそれと比較し得るものであることを示す。
【0075】
【表3】

【0076】
実施例4:マウス抗原結合効力モデル:動物モデルにおけるインビボ効力
静脈内投与されたg8516 Fab’−PEG及び腹腔内投与されたhIL−1β
雄性Balb/cマウス(21g)に、単回用量(100μl PBS中3mg/kg)のg8516 Fab’LC−C HC−Cヒンジ−CAA−40kDa PEG、g8516Fab’LC−C HC−Sヒンジ−CAA−2×20kDa PEG、又はghA33 Fab’LC−C HC−Cヒンジ−CAA−40kDa PEG(関連性のない対照)を、hIL−1β(100μl PBSビヒクル中3ng/kg)の腹腔内注射の7日及び14日前に、静脈内注射(i.v.)した。120分後、頸部脱臼によりマウスを屠殺し、腹腔洗浄を実行した(3ml PBS+0.25% BSA、12mM HEPES)。全体の白血球計数を、Coulter Counterを使用して実行した。好中球の同定のために、50μlの腹腔洗浄液を、抗CD45−CyChrome mAbの1:300希釈、及び抗GR−1−PE mAb(抗Ly6G/Ly6C)の1:300希釈で20分間(4℃、暗所で)染色した。白血球を1回PBS(0.25% BSA、12mM HEPES)中で洗浄し、300μL PBS(0.25% BSA、12mM HEPES)中に再懸濁し、そしてフローサイトメトリーによって分析した。好中球をCD45GR−1HIGHとして同定した。
【0077】
図5は、いずれかの時点において、C:C1間のジスルフィド結合を有するか、又はそれを欠くg8516 Fab−PEGの間で違いが存在しなかったことを示す。これは、効力が、1週間の間マウス循環中に保持されることを示し、LC及びHCがこの時間の間に結合したままであることの暗示を伴う。
【0078】
実施例5:ヒンジ配列及び修飾軽鎖配列の設計及び試験
実施例2においてなされた観察の後で、C1の鎖間システインがセリンで置換された抗体Fab’フラグメントの、cカッパの軽鎖システインとヒンジシステインの間の鎖間ジスルフィドを形成するための可動性の限界を調べるための構築物が作製され、且つ試験された。7つの異なるヒンジ配列(配列番号5〜11)を含む種々の構築物が作製され、E.coli発現、60℃におけるペリプラズム抽出、並びに非還元SDS−PAGE及び免疫ブロットの間に、LCとヒンジとの間の鎖間ジスルフィド結合を形成するそれらの能力について試験された。すべてのヒンジ変異体は、IgG1(配列番号15)からの標準的なcカッパと合わせられた。本発明者らは、作製されたすべての変異体が(両方がより堅く、より可動性があり、且つより長い)、cκに対してジスルフィド結合を形成できることを見い出した(図6a及び6b、レーン2〜8(それぞれ配列番号5〜11))。陽性対照は、鎖間ジスルフィド結合を含むFab’であった。陰性対照は、鎖間ジスルフィド結合を欠くFab’であった(両方の鎖間システインがセリンで置換されている)。
【0079】
とC1の両方の鎖間システインがセリンによって置換された、抗体Fab’フラグメント中のcカッパ中の代替的なシステイン位置もまた調べられた。通常鎖間ジスルフィドを形成する末端CysはSerに変異され、同時にCysはN末端に向かって1度に1アミノ酸移動した。5つの異なるcカッパ配列が試験された(配列番号16〜20)。これらは、cカッパのシステインが異なる位置にあるときに結合がなお形成されるか否かを試験するために、214位の軽鎖の鎖間システインとジスルフィド結合を形成可能であることが知られているヒンジ(配列番号2)と対合された。本発明者らは、非還元SDS−PAGE及び免疫ブロットによって決定されるように、作製されたすべての変異体が、ヒンジとのジスルフィド結合を形成可能であることを見い出した(図6a及び6b、レーン9〜13cカッパ型6−2(それぞれ、配列番号20、19、18、17、及び16))。陽性対照は、鎖間ジスルフィドを含むFab’であった。陰性対照は、鎖間ジスルフィド結合を含まないFab’であった(両方の鎖間システインがセリンに置換されている)。
【0080】
上記の実施例より、本発明の新規なPEG化分子は、C:C1ジスルフィド結合を含むPEG化抗体よりも、より効率的に製造可能であることが明白に理解できる。この実施例はまた、鎖間ジスルフィド結合を欠くFab’のPEG化が、抗体Fab’の生物活性又は安定性に有害作用を有さず、これらを、通常のFab’よりもより効率的に製造できる有用な治療用分子にすることを実証する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】サイズ排除HPLCによって決定された、種々の還元剤を使用して製造された複数−PEG化、モノ−PEG化、及びPEG化されていないg165Fab’LC−C HC−C、ヒンジ−CAAの割合を示す図である。
【図2】サイズ排除HPLCによって決定された、還元剤としてTCEPを使用して製造された複数−PEG化、モノ−PEG化、及びPEG化されていないg165Fab’変異体の割合を示す図である。
【図3a】PEG化されたg165 Fab’変異体の非還元SDS−PAGEの図である。レーン1 Fab’LC−C HC−C、ヒンジ−CAA;レーン3 Fab’LC−S HC−C、ヒンジ−CAA;レーン4 Fab’LC−C HC−S、ヒンジ−CAA;レーン5 Fab’LC−C HC−C、ヒンジ−SAA;レーン6 Fab’LC−S HC−S、ヒンジ−SAA。
【図3b】精製g165 Fab’変異体の非還元SDS−PAGEの図である。レーン1 Fab’LC−C HC−C、ヒンジ−CAA;レーン3 Fab’LC−S HC−C、ヒンジ−CAA;レーン4 Fab’LC−C HC−S、ヒンジ−CAA;レーン5 Fab’LC−C HC−C、ヒンジ−SAA;レーン6 Fab’LC−S HC−S、ヒンジ−SAA。
【図4】ラットにおいて静脈内投薬された125I標識PEG化Fab’の薬物動態の図である。
【図5】マウスにおける腹腔内投与された抗原によって誘導された好中球の蓄積の、Fab’−PEGの静脈内の事前の投薬による中和反応の図である。***対照抗体と比較してp<0.001。
【図6a】軽鎖とヒンジ領域との間のジスルフィド結合を図示するための、ヒンジ及び軽鎖の非還元SDS−PAGEイムノブロットの図である。
【図6b】軽鎖とヒンジ領域との間のジスルフィド結合を図示するための、ヒンジ及び軽鎖の非還元SDS−PAGEイムノブロットの図である。
【図7】ヒンジ及び軽鎖の配列の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1の鎖間システインが別のアミノ酸によって置換されていることを特徴とする、抗体Fab’フラグメント。
【請求項2】
修飾ヒンジ領域を含む、請求項1記載の抗体Fab’フラグメント。
【請求項3】
ヒンジが配列番号1〜14に示す配列のいずれか1つを含むか、又はそれからなる、請求項2記載の抗体Fab’フラグメント。
【請求項4】
の鎖間システインがヒンジ領域中のシステインに共有結合している、請求項2又は3記載の抗体Fab’フラグメント。
【請求項5】
1の鎖間システインとCの鎖間システインの両方が別のアミノ酸によって置換されており、軽鎖定常領域中の操作して得たシステインがヒンジ領域中のシステインに共有結合していることを特徴とする、抗体Fab’フラグメント。
【請求項6】
軽鎖定常領域が配列番号16〜20に示す配列のいずれか1つを含むか、又はそれからなる、請求項5記載の抗体Fab’フラグメント。
【請求項7】
ヒンジが配列番号1〜11に示す配列のいずれか1つを含むか、又はそれからなる、請求項6記載の抗体Fab’フラグメント。
【請求項8】
の鎖間システインが別のアミノ酸によって置換されていることを特徴とする、抗体Fab’フラグメント。
【請求項9】
修飾ヒンジ領域を含む、請求項8記載の抗体Fab’フラグメント。
【請求項10】
1の鎖間システインが別のアミノ酸によって置換されていることを特徴とする、抗体Fabフラグメント。
【請求項11】
の鎖間システインが別のアミノ酸によって置換されていることを特徴とする、抗体Fabフラグメント。
【請求項12】
置換された鎖間システインがチオールを含有しないアミノ酸によって置換されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗体Fab又はFab’フラグメント。
【請求項13】
チオールを含有しないアミノ酸がセリンである、請求項12記載の抗体Fab又はFab’フラグメント。
【請求項14】
少なくとも2つのエフェクター分子が結合している、請求項1〜13のいずれか一項に記載の抗体Fab又はFab’フラグメント。
【請求項15】
エフェクター分子が軽鎖定常領域中のシステイン及び/又は重鎖定常領域中のシステインに結合している、請求項14記載の抗体Fab又はFab’フラグメント。
【請求項16】
エフェクター分子が、軽鎖定常領域中のシステイン及び重鎖定常領域中のシステインに結合しており、前記の両システインは、エフェクター分子が結合していない場合、ジスルフィド結合を介して互いに連結されると見込まれる、請求項15記載の抗体フラグメント。
【請求項17】
エフェクター分子が、Cの鎖間システイン又はC1の鎖間システイン又は軽鎖定常領域中の操作して得たシステインの、いずれかフラグメント中に存在するものに結合している、請求項14〜16のいずれか一項に記載の抗体フラグメント。
【請求項18】
エフェクター分子がヒンジ領域中の各システインに結合している、請求項14〜17のいずれか一項に記載の抗体Fab’フラグメント。
【請求項19】
エフェクター分子がヒンジ中のシステインに結合しており、前記システインはエフェクター分子が結合する前にはCの鎖間システインに共有結合していたものである、請求項18記載の抗体Fab’フラグメント。
【請求項20】
エフェクター分子がヒンジ中のシステインに結合しており、前記システインはエフェクター分子が結合する前には軽鎖定常領域中の操作して得たシステインに共有結合していたものである、請求項18記載の抗体Fab’フラグメント。
【請求項21】
請求項14〜20のいずれか一項に記載の抗体Fab又はFab’フラグメントを産生する方法であって、
a.請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12及び13のいずれか一項記載の抗体Fab又はFab’フラグメントを還元剤で処理し、前記還元剤が、重鎖定常領域及び/又は軽鎖定常領域及び/又は、存在する場合はヒンジ領域の、少なくとも1つのシステイン中に遊離チオール基を生成できる、
b.処理したフラグメントをエフェクター分子と反応させる、
ことを含む方法。
【請求項22】
工程(a)が、存在する場合、C鎖間システインとヒンジ領域中のシステインとの間の共有結合を還元することを更に含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
工程(a)が、存在する場合、軽鎖定常領域中の操作して得たシステインとヒンジ領域中のシステインとの間の共有結合を還元することを更に含む、請求項21記載の方法。
【請求項24】
フラグメントにおける重鎖が軽鎖に共有結合しておらず、且つエフェクター分子がC及びC1の鎖間システインの各々に結合していることを特徴とする、2つ以上のエフェクター分子が結合している抗体Fab又はFab’フラグメント。
【請求項25】
少なくとも1つの追加のエフェクター分子が、軽鎖定常領域中のシステイン及び/又は重鎖定常領域中のシステインに結合している、請求項24記載の抗体Fab又はFab’フラグメント。
【請求項26】
エフェクター分子が、軽鎖定常領域中のシステイン及び重鎖定常領域中のシステインに結合しており、前記の両システインは、エフェクター分子が結合していない場合、ジスルフィド結合を介して互いに連結されると見込まれる、請求項25記載の抗体フラグメント。
【請求項27】
修飾ヒンジ領域を含む、請求項26記載の抗体Fab’フラグメント。
【請求項28】
ヒンジが配列番号1〜14に示す配列のいずれか1つを含むか、又はそれからなる、請求項27記載の抗体Fab’フラグメント。
【請求項29】
エフェクター分子がヒンジ領域中の少なくとも1つのシステインに結合している、請求項24〜28のいずれか一項に記載の抗体Fab’フラグメント。
【請求項30】
請求項24〜29のいずれか一項に記載の抗体Fab又はFab’フラグメントを産生する方法であって、
a.抗体Fab又はFab’フラグメントを還元剤で処理し、前記還元剤が、少なくともC1の鎖間システイン及びCの鎖間システインにおける遊離チオール基を生成できる、
b.処理したフラグメントをエフェクター分子と反応させる、
ことを含む方法。
【請求項31】
の鎖間システインが軽鎖の214位であり、C1の鎖間システインが重鎖の233位である、請求項1〜30のいずれか一項に記載の抗体フラグメント。
【請求項32】
還元剤が非チオール系還元剤である、請求項21又は30に記載の方法。
【請求項33】
還元剤がトリアルキルホスフィンである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
トリアルキルホスフィン還元剤がトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
トリアルキルホスフィン還元剤がトリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン(THP)である、請求項33記載の方法。
【請求項36】
工程(a)及び(b)のいずれか又はその両方をキレート剤の存在下で実行する、請求項21又は30記載の方法。
【請求項37】
キレート剤がEDTAである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
工程(a)及び(b)の両方をEDTAの存在下で実行する、請求項37記載の方法。
【請求項39】
2種以上の抗体Fab又はFab’フラグメントを含む混合物であって、混合物がFab又はFab’フラグメントで富化されており、フラグメント中の重鎖が軽鎖に共有結合しておらず、フラグメントが2種以上のエフェクター分子を結合し、且つ前記分子の少なくとも1つが軽鎖又は重鎖の定常領域中のシステインに結合していることを特徴とする混合物。
【請求項40】
混合物の50%超がFab’又はFabフラグメントを含み、フラグメント中の重鎖が軽鎖に共有結合しておらず、フラグメントが2種以上のエフェクター分子を結合し、且つ前記分子の少なくとも1つが軽鎖又は重鎖の定常領域中のシステインに結合している、請求項39記載の混合物。
【請求項41】
エフェクター分子がPEGである、請求項14〜31及び39〜40のいずれか一項に記載の抗体フラグメント。
【請求項42】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の抗体フラグメントを発現する宿主細胞。
【請求項43】
請求項1〜42のいずれかに記載の抗体フラグメントを、1種又は複数の医薬として許容可能な賦形剤、希釈剤又は担体とともに含む、医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−500945(P2008−500945A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516490(P2006−516490)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002871
【国際公開番号】WO2005/003171
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(501460693)セルテック アール アンド ディ リミテッド (29)
【Fターム(参考)】