説明

俯瞰画像表示装置

【課題】車両から離れるに従って対象物が伸びて太くなる変形画像が俯瞰画像に表示されてしまうことを防止すること。
【解決手段】俯瞰画像表示装置1の画像変換手段23は、撮影手段2〜5により撮影された画像を、変換データ記録手段24に記録される変換データ24a〜24dに基づいて、左側円柱投影面と、右側円柱投影面と、前側円柱投影面と、後側円柱投影面と、左前球体投影面と、右前球体投影面と、左後球体投影面と、右後球体投影面と、地面投影面とにより構成される俯瞰画像に変換し、表示手段7に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、俯瞰画像表示装置に関し、より詳細には、車両の上方の一点から車両を含む周囲の状況を見下ろすような俯瞰画像を表示する俯瞰画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、図6(a)(b)に示すように、車両100に複数のカメラ101〜104を設置することにより、車両周囲の状況を撮影し、撮影された画像(映像)に基づいて、図6(c)に示すような、車両を仮想的に上方から見下ろす投影面107の画像(以下、俯瞰画像という)を生成して、ユーザに車両の周囲の状況を画像により(連続的に生成された俯瞰画像により)提供する俯瞰画像表示システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように、車両周囲の状況を俯瞰画像で示すことにより、ユーザは、車両100とその周囲状況を、車両100の周囲の様子を上方から撮影したような画像に基づいて直感的に把握することができる。また、ユーザは、周囲の対象物との位置関係を直感的に把握することが可能となる。
【0004】
しかしながら、上述した俯瞰画像表示システムでは、図6(c)に示すように、車両100から離れるに従って、撮影された対象物が長く太く伸びてしまい(例えば、図6における人物110)、著しく変形された状態で表示されてしまうという問題があった。
【0005】
さらに、上述した俯瞰画像表示システムでは、車両100から離れるに従って、俯瞰画像の画質劣化が顕著になる傾向があり、車両100から遠方位置では、生成された俯瞰画像をそのまま利用することが困難であるという問題があった。
【0006】
また、俯瞰画像において一のカメラと他のカメラとの撮影領域の境界部分に存在する対象物は、俯瞰画像の合成処理において俯瞰画像に表示されにくくなる傾向があった。特に、この境界部分(俯瞰画像における画像のつなぎ目部分108)における対象物(例えば、図6における人物111)は、車両100に近い位置であっても離れた位置であっても、俯瞰画像に表示されにくい状態になる。このため、ユーザがこの境界部分(つなぎ目部分108)に位置する対象物を認識しにくいという問題があった。
【0007】
上述したような問題に鑑みて、図7(a)(b)に示すように、俯瞰画像を、車両100に近い地面投影面121と、車両100から一定距離離れた箇所から傾斜させた投影面(傾斜投影面122)との2つの平面により俯瞰画像を形成する第2の俯瞰画像表示システムが提案されている。
【0008】
しかしながら、第2の俯瞰画像表示システムでは、図7(c)に示すように、俯瞰画像の四隅部分124を傾斜投影面122で適切に表示することが困難であり、俯瞰画像の四隅部分124が欠落画像となって表示されないおそれがあった。また、第2の俯瞰画像表示システムにおいても、境界部分(つなぎ目部分108)における対象物(例えば、図7(c)における人物111)が、車両に近い位置であっても離れた位置であっても、俯瞰画像に表示されにくい状態になる。このため、ユーザが境界部分(つなぎ目部分108)に位置する対象物を認識しにくいという問題があった。
【0009】
このような問題に鑑みて、第3の俯瞰画像表示システムが提案されている。第3の俯瞰画像表示システムは、図8(a)〜(c)に示すように、車両100の真上に中心O1を設定して、中心O1を中心とする球体の内面を投影面とする球体投影面131と、車両100の周囲部分の地面投影面132とにより、俯瞰画像を形成する俯瞰画像表示システムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−339716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した第3の俯瞰画像表示システムでは、図8(a)〜(c)に示すように、車両100の前後の長さが車両の幅の長さよりも明らかに長いと、俯瞰画像の投影面からカメラ101〜104までの距離がカメラ毎に異なってしまう。具体的には、車両100の左右側方には、球体投影面131だけでなく地面投影面132も存在し、カメラ102,103から投影面131、132までの距離が比較的長いのに対して、車両100の前後には、球体投影面131だけが存在して地面投影面132が存在せず、カメラ101,104から投影面131までの距離が比較的短いという特徴がある。このため、前後の投影像(例えば、図8(c)における人物112)は左右側面の投影像(例えば、図8(c)における人物110)より小さな像となってしまう傾向があり、画面のつなぎ目部分を介して前後と左右の投影面が不連続になってしまうおそれがあるという問題があった。
【0012】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、第1の課題として、車両から離れるに従って対象物が伸びて太くなる変形画像が俯瞰画像に表示されてしまうことを防止することができ、第2の課題として、ある程度車両寸法基準で車両の周囲状況を確認できるようにしつつ、車両から遠い部分については比較的広範囲の周囲画像を表示することができ、第3の課題として、車両の四隅部分においても俯瞰画像を連続的に表示することができ、第4の課題として、車両の縦横比が異なる場合であっても同じような投影画像により俯瞰画像を形成することができ、第5の課題として投影画像のつなぎ目部分において対象物が表示されなくなってしまうことをできるだけ少なくすることが可能な、俯瞰画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る俯瞰画像表示装置は、車両に設置されて車両の周囲の状況を撮影する撮影手段と、該撮影手段により撮影された画像を、前記車両の上方位置を基準として車両および前記周囲の状況を見下ろすような俯瞰画像へ画像変換するための変換データが記録される変換データ記録手段と、該変換データ記録手段に記録される前記変換データに基づいて、前記撮影手段により撮影された画像を前記俯瞰画像へと変換する画像変換手段と、該画像変換手段により変換された俯瞰画像を表示する表示手段とを有し、前記変換データ記録手段には、前記撮影手段により撮影された画像を、前記車両の前後左右の一定範囲の様子について地面を基準として投影した地面投影面と、前記地面投影面の左側境界部の上方に中心軸を車両の前後方向に延設させた所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記左側境界部から90度未満の角度位置までの車両左側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の左側の一定範囲の様子を投影した左側円柱投影面と、前記地面投影面の右側境界部の上方に中心軸を車両の前後方向に延設させた前記所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記右側境界部から90度未満の角度位置までの車両右側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の右側の一定範囲の様子を投影した右側円柱投影面と、前記地面投影面の前側境界部の上方に中心軸を車両の左右方向に延設させた前記所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記前側境界部から90度未満の角度位置までの車両前側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の前側の一定範囲の様子を投影した前側円柱投影面と、前記地面投影面の後側境界部の上方に中心軸を車両の左右方向に延設させた前記所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記後側境界部から90度未満の角度位置までの車両後側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の後側の一定範囲の様子を投影した後側円柱投影面と、前記前側円柱投影面の円柱と前記左側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の左前方向部分に形成される球体投影面であって、前記前側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記左側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって前側地面投影面の左前側端部から前記前側円柱投影面および前記左側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の左前方向部分の一定範囲の様子を投影した左前球体投影面と、前記前側円柱投影面の円柱と前記右側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の右前方向部分に形成される球体投影面であって、前記前側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記右側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって前側地面投影面の右前側端部から前記前側円柱投影面および前記右側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の右前方向部分の一定範囲の様子を投影した右前球体投影面と、前記後側円柱投影面の円柱と前記左側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の左後方向部分に形成される球体投影面であって、前記後側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記左側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって後側地面投影面の左後側端部から前記後側円柱投影面および前記左側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の左後方向部分の一定範囲の様子を投影した左後球体投影面と、前記後側円柱投影面の円柱と前記右側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の右後方向部分に形成される球体投影面であって、前記後側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記右側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって後側地面投影面の右後側端部から前記後側円柱投影面および前記右側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の右後方向部分の一定範囲の様子を投影した右後球体投影面とからなる俯瞰画像に変換可能な変換データが記録されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る俯瞰画像表示装置は、車両に設置されて車両の周囲の状況を撮影する撮影手段と、該撮影手段により撮影された画像を、前記車両の上方位置を基準として車両および前記周囲の状況を見下ろすような俯瞰画像へ画像変換するための変換データが記録される変換データ記録手段と、該変換データ記録手段に記録される前記変換データに基づいて、前記撮影手段により撮影された画像を前記俯瞰画像へと変換する画像変換手段と、該画像変換手段により変換された俯瞰画像を表示する表示手段とを有し、前記変換データ記録手段には、前記撮影手段により撮影された画像を、前記車両の左側側面の上方に中心軸を車両の前後方向に延設させた所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記左側側面の真下位置から90度未満の角度位置までの車両左側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の左側の一定範囲の様子を投影した左側円柱投影面と、前記車両の右側側面の上方に中心軸を車両の前後方向に延設させた前記所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記右側側面の真下位置から90度未満の角度位置までの車両右側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の右側の一定範囲の様子を投影した右側円柱投影面と、前記車両の前側側面の上方に中心軸を車両の左右方向に延設させた前記所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記前側側面の真下位置から90度未満の角度位置までの車両前側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の前側の一定範囲の様子を投影した前側円柱投影面と、前記車両の後側側面の上方に中心軸を車両の左右方向に延設させた前記所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記後側側面の真下位置から90度未満の角度位置までの車両後側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の後側の一定範囲の様子を投影した後側円柱投影面と、前記前側円柱投影面の円柱と前記左側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の左前方向部分に形成される球体投影面であって、前記前側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記左側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって前記前側円柱投影面および前記左側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の左前方向部分の一定範囲の様子を投影した左前球体投影面と、前記前側円柱投影面の円柱と前記右側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の右前方向部分に形成される球体投影面であって、前記前側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記右側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって前記前側円柱投影面および前記右側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の右前方向部分の一定範囲の様子を投影した右前球体投影面と、前記後側円柱投影面の円柱と前記左側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の左後方向部分に形成される球体投影面であって、前記後側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記左側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって前記後側円柱投影面および前記左側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の左後方向部分の一定範囲の様子を投影した左後球体投影面と、前記後側円柱投影面の円柱と前記右側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の右後方向部分に形成される球体投影面であって、前記後側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記右側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって前記後側円柱投影面および前記右側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の右後方向部分の一定範囲の様子を投影した右後球体投影面とからなる俯瞰画像に変換可能な変換データが記録されることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る俯瞰画像表示装置では、前後左右方向に延設された円柱投影面と斜め方向の球体投影面とにより俯瞰画像を形成する。このため、地面を基準として周囲の状況を投影する地面投影面だけで俯瞰画像を形成する場合に比べて、車両の遠方となる範囲(広範囲)を俯瞰画像で表示することが可能となり、より広い範囲における対象物(障害物)などの状態を把握することが可能となる。さらに、俯瞰画像を、円柱投影面と球体投影面により構成することによって、遠方部分における画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0016】
また、円柱投影面と球体投影面とにより俯瞰画像を形成することにより、車両から離れた位置の対象物が異常に大きく表示されてしまうことを防止することができる。さらに、複数の撮影手段を用いて車両の周囲の状況を撮影した場合に、異なる撮影手段により撮影された映像に基づいて形成される俯瞰画像のつなぎ目部分(境界部分)の対象物が、地面投影面からなる俯瞰画像では表示されなくなってしまう場合であっても、円柱投影面と球体投影面からなる俯瞰画像では、表示される可能性が高くなる。このため、つなぎ目部分(境界部分)における対象物の見落としを防止することができ、ユーザに境界部分における対象物に対する注意を促すことが可能となる。
【0017】
さらに、車両の斜め方向部分を球体投影面からなる俯瞰画像によって形成することにより、車両の斜め方向部分における対象物の存在を表示することが可能になる。また、円柱投影面を構成する円柱の半径(所定の半径)と球体投影面を構成する球体の半径とが等しいので、車両の斜め方向部分における俯瞰画像を、車両の側方部分における円柱投影面から車両の前後方向における円柱投影面へと連続する違和感のない曲面からなる投影面によって表示することができ、俯瞰画像における円柱投影面と球体投影面との投影面に違和感を生じさせることなく周囲の状況を表示させることが可能となる。
【0018】
また、円柱投影面と球体投影面とだけでなく、さらに地面投影面とに基づいて俯瞰画像が形成される俯瞰画像表示装置においては、車両近傍の俯瞰画像が地面投影面により形成されるため、車両近傍位置における対象物までの距離を、俯瞰画像に示される車両の前後寸法および左右幅寸法に基づいて把握することが可能となり、違和感のない距離感に基づいて周囲の状況を把握することが可能となる。
【0019】
さらに、車両近傍位置は地面投影面により俯瞰画像が形成されるので、例えば、駐車場において示される駐車位置の境界線(枠体状の白線など)を真っすぐに歪むことなく表示させることができる。このため、車両の駐停車操作において停車位置の基準となる境界線が表示手段に示される状態と目視による実際の境界線の状態とを一致させることができ、違和感なく円滑に駐車操作を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る俯瞰画像表示装置では、前後左右方向に延設された円柱投影面と斜め方向の球体投影面とにより俯瞰画像を形成する。このため、地面を基準として周囲の状況を投影する地面投影面だけで俯瞰画像を形成する場合に比べて、車両の遠方となる範囲(広範囲)を俯瞰画像で表示することが可能となり、より広い範囲における対象物(障害物)などの状態を把握することが可能となる。さらに、俯瞰画像を、円柱投影面と球体投影面により構成することによって、遠方部分における画質の劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態に係る俯瞰画像表示システムの概略構成を示したブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る第1カメラ〜第4カメラの設置位置および撮影可能範囲を示した図である。
【図3】本実施の形態に係る画像変換処理部において生成される俯瞰画像の投影面を説明するための図であって、(a)は俯瞰画像を構成する投影面を示した斜視図、(b)は(a)における背面図、(c)は生成された俯瞰画像を示した図である。
【図4】本実施の形態に係る画像変換処理部の処理内容を示したフローチャートである。
【図5】本実施の形態に係る画像変換処理部において生成される他の俯瞰画像の投影面を説明するための図であって、(a)は俯瞰画像を構成する投影面を示した斜視図、(b)は(a)における背面図、(c)は生成された俯瞰画像を示した図である。
【図6】従来より知られた技術により生成され得る第1の俯瞰画像の投影面を説明するための図であって、(a)は俯瞰画像を構成する投影面を示した斜視図、(b)は(a)における背面図、(c)は生成された俯瞰画像を示した図である。
【図7】従来より知られた技術により生成され得る第2の俯瞰画像の投影面を説明するための図であって、(a)は俯瞰画像を構成する投影面を示した斜視図、(b)は(a)における背面図、(c)は生成された俯瞰画像を示した図である。
【図8】従来より知られた技術により生成され得る第3の俯瞰画像の投影面を説明するための図であって、(a)は俯瞰画像を構成する投影面を示した斜視図、(b)は(a)における背面図、(c)は生成された俯瞰画像を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る俯瞰画像表示装置の一例について、添付図面を参照して説明を行う。なお、既に[背景技術]などにおいて図6〜図8を用いて説明を行った箇所と同じ構成・役割を示す箇所については、同一符合を附すものとし、その説明を省略する。
【0023】
図1は、本発明に係る俯瞰画像表示装置の一例である俯瞰画像表示システムの概略構成を示したブロック図である。俯瞰画像表示システム(俯瞰画像表示装置)1は、図1に示すように、第1カメラ(撮影手段)2と、第2カメラ(撮影手段)3と、第3カメラ(撮影手段)4と、第4カメラ(撮影手段)5と、本体部6と、液晶表示モニタ(表示手段)7と、シフト位置センサ8とを備えている。
【0024】
第1カメラ2〜第4カメラ5は、撮影領域の光学像を電気信号に変換する役割を有している。第1カメラ2〜第4カメラ5は、車両の周囲を撮影するために車両の前後左右に設置されており、少なくとも、それぞれのカメラの撮影可能領域(撮影視野領域)が、隣接する他のカメラの撮影可能領域に一部(具体的には端部)が互いに重なるようにして(オーバーラップ領域を確保するようにして)設置されている。第1カメラ2〜第4カメラ5の撮影可能領域は、カメラの画角により左右されることになるが、例えば、水平角度160度〜180度程度の画角を備えるものを一例として用いることが可能である。
【0025】
図2は、車両100を上方向から示した図であり、第1カメラ2〜第4カメラ5が車両100の前側上部、右側上部、左側上部、後側上部の各位置に設置された状況およびそれぞれのカメラにより撮影可能な範囲(F,RS,LS,R)を示している。図2を用いて具体的に説明すると、第1カメラ2は、前方斜め下方向にレンズを向けた状態で車両100の前側上部に設けられており、車両100の前方範囲Fを撮影することが可能となっている。第2カメラ3は、右側斜め下方向にレンズを向けた状態で車両100の右側上部に設けられており、車両100の右側方範囲RSを撮影することが可能となっている。第3カメラ4は、左側斜め下方向にレンズを向けた状態で車両100の左側上部に設けられており、車両100の左側方範囲LSを撮影することが可能となっている。そして、第4カメラ5は、後方斜め下方向にレンズを向けた状態での車両100の後側上部に設けられており、車両100の後方範囲Rを撮影することが可能となっている。
【0026】
液晶表示モニタ7は、車室内のインストルメントパネルのように、運転席から視認しやすい位置に設置されている。液晶表示モニタ7には、本体部6において生成される俯瞰画像を表示することが可能となっている。
【0027】
シフト位置センサ8は、トランスミッションのシフト状態を検出する役割を有している。トランスミッションがリバース位置に操作された場合に、本体部6において生成された俯瞰画像が、液晶表示モニタ7に表示される。
【0028】
本体部6は、図1に示すように、A/D変換部20a〜20d、デコード部21a〜21d、フレームメモリ部22a〜22d、画像変換処理部(画像変換手段)23、変換テーブル記録部(変換データ記録手段)24、出力用フレームメモリ部25、エンコード部26、D/A変換部27を有している。
【0029】
A/D変換部20a〜20dは、第1カメラ2〜第4カメラ5より入力された画像信号をデジタル信号化する機能を有し、デコード部21a〜21dは、A/D変換部20a〜20dによりデジタル信号化された画像信号をRGB信号にデコードする役割を有している。フレームメモリ部22a〜22dは、デコード部21a〜21dにおいてデコードされた画像信号を、第1カメラ2〜第4カメラ5の撮影画像のフレームを構成するデータとして第1カメラ2〜第4カメラ5毎に記録する役割を有している。
【0030】
変換テーブル記録部24には、フレームメモリ部22a〜22dに記録された第1カメラ2〜第4カメラ5の撮影画像を、図3(c)に示すような俯瞰画像(車両周囲および車両を上方から見降ろすような画像)に変換するために必要な変換テーブル24a〜変換テーブル24dが記録されている。変換テーブル24a〜変換テーブル24dは、それぞれ第1カメラ2〜第4カメラ5の撮影画像の各画素と画像変換処理部23により生成される俯瞰画像における各画素とに対応付けられた画像変換情報(変換データ)が記録されている。
【0031】
より詳細に説明すると、俯瞰画像は、図3(c)に示すように車両100の前方部分を示すA領域と、車両100の右側方部分を示すB領域と、車両100の左側方部分を示すC領域と、車両100の後方部分を示すD領域とにより構成されている。この俯瞰画像の各領域A〜Dに関して、A領域の俯瞰画像は、第1カメラ2によって撮影された撮影画像に基づいて作成され、B領域の俯瞰画像は、第2カメラ3によって撮影された撮影画像に基づいて作成され、C領域の俯瞰画像は、第3カメラ4によって撮影された撮影画像に基づいて作成され、D領域の俯瞰画像は、第4カメラ5によって撮影された撮影画像に基づいて作成される。
【0032】
俯瞰画像の生成処理において用いられる変換テーブル24aには、第1カメラ2の撮影画像の各画素と俯瞰画像のA領域の各画素とが対応付けられた画像変換情報(変換データ)が記録されており、第1カメラ2で撮影された車両100の前方側の撮影画像の各画素を、変換テーブル24aに記録される画像変換情報(変換データ)を用いて画像変換することにより、俯瞰画像のA領域を構成する画像を生成することが可能となる。同様に、変換テーブル24bには、第2カメラ3の撮影画像の各画素と俯瞰画像のB領域の各画素とが対応付けられた画像変換情報(変換データ)が記録されており、第2カメラ3で撮影された車両100の右側の撮影画像の各画素を、変換テーブル24bに記録される画像変換情報(変換データ)を用いて画像変換することにより、俯瞰画像のB領域を構成する画像を生成することが可能となる。
【0033】
さらに、変換テーブル24cには、第3カメラ4の撮影画像の各画素と俯瞰画像のC領域の各画素とが対応付けられた画像変換情報(変換データ)が記録されており、第3カメラ4で撮影された車両100の左側の撮影画像の各画素を、変換テーブル24cに記録される画像変換情報(変換データ)を用いて画像変換することにより、俯瞰画像のC領域を構成する画像を生成することが可能となる。そして、変換テーブル24dには、第4カメラ5の撮影画像の各画素と俯瞰画像のD領域の各画素とが対応付けられた画像変換情報(変換データ)が記録されており、第4カメラ5で撮影された車両100の後方側の撮影画像の各画素を、変換テーブル24dに記録される画像変換情報(変換データ)を用いて画像変換することにより、俯瞰画像のD領域を構成する画像を生成することが可能となる。
【0034】
画像変換処理部23は、上述した変換テーブル24a〜24dの画像変換情報(変換データ)を用いて、フレームメモリ部22a〜22dに記録される第1カメラ2〜第4カメラ5の撮影画像を、A領域〜D領域の俯瞰画像の各画素へと変換させる処理を行う。
【0035】
画像変換処理部23において俯瞰画像を生成する場合に、図3(a)〜(c)に示すように、車両100の周囲一定範囲内に地面投影面151を有し、地面投影面151の外側(地面投影面151に対して車両100から遠ざかる側)に円柱投影面152〜155をそれぞれ、前後左右方向に対して形成し、さらに、前後方向に延設される円柱投影面152、153と左右方向に延設される円柱投影面154、155とが交わる部分(地面投影面151に対して車両100の斜め方向の位置)に、球体投影面156〜159を形成することにより、俯瞰画像を生成する。
【0036】
図3(b)は、図3(a)に示した俯瞰画像の立体的な投影イメージにおいて、車両100の後側からの様子を示した背面図である。車両100の左側に形成される円柱投影面(左側円柱投影面)152は、円柱投影面152と地面投影面151との境界部160の上方に中心軸(円柱軸)OAを車両100の前後方向に延設させた円柱の内側面である。円柱投影面152は、地面投影面151との境界部160から約60度程度(図3(b)ではα度と表示。但し、60度には限定されず90度未満であれば何度でもよい。)の角度位置までの車両左側の内側面によって構成されている。
【0037】
また、同様に、車両の右側に形成される円柱投影面(右側円柱投影面)153は、円柱投影面153と地面投影面151との境界部161の上方に中心軸(円柱軸)OBを車両100の前後方向に延設させた円柱の内側面である。円柱投影面153は、地面投影面151との境界部161から約60度程度(図3(b)ではα度と表示。但し、60度には限定されず90度未満であれば何度でもよい。)の角度位置までの車両右側の内側面によって構成されている。
【0038】
さらに、車両の前側に形成される円柱投影面(前側円柱投影面)154は、図3(a)(c)に示すように、円柱投影面154と地面投影面151との境界部の上方に中心軸(円柱軸)を車両100の左右方向に延設させた円柱の内側面である。円柱投影面154は、地面投影面151との境界部から約60度程度(但し、60度には限定されず90度未満であれば何度でもよい。)の角度位置までの車両前側方向の範囲の内側面によって構成されている。
【0039】
また、車両の後側に形成される円柱投影面(後側円柱投影面)155は、図3(a)(c)に示すように、円柱投影面155と地面投影面151との境界部の上方に中心軸(円柱軸)を車両100の左右方向に延設させた円柱の内側面である。円柱投影面155は、地面投影面151との境界部から約60度程度(但し、60度には限定されず90度未満であれば何度でもよい。)の角度位置までの車両後側方向の範囲の内側面によって構成されている。なお、上述した円柱投影面152〜155を構成する円柱の半径は全て等しい寸法に規定されている。
【0040】
さらに、前後方向に延設される円柱投影面152の円柱と左右方向に延設される円柱投影面154の円柱とが交わる部分であって、車両100の左前方向の部分においては、車両100の左側に車両前後方向に延設される円柱の中心軸(円柱軸)OAと、車両100の前側に車両左右方向に延設される円柱の中心軸(円柱軸)との交点を中心として、円柱の半径に等しい半径からなる球体を形成し、形成された球体の球体投影面(左前球体投影面)156により、車両の左前方向部分の俯瞰画像を形成する。このようにして、車両の左前方向部分の球体投影面156を形成することにより、車両100の左側の円柱投影面152と、車両100の前側の円柱投影面154とを球体投影面156により連続的に接続させることが可能となる。
【0041】
同様にして、前後方向に延設される円柱投影面152、153の円柱と左右方向に延設される円柱投影面154、155の円柱とが交わる部分であって、車両100の右前方向の部分、車両100の左後方向の部分、車両100の右後方向の部分においても、それぞれの円柱の中心軸(円柱軸)の交点であって同一半径からなる球体の球体投影面(右前球体投影面、左後球体投影面、右後球体投影面)157〜159を形成する。
【0042】
このように、画像変換処理部23において、地面投影面151に基づいて車両100の近傍位置の俯瞰画像を形成することにより、車両100の近傍位置における対象物までの距離を、車両100の前後寸法および左右幅寸法に基づく距離感覚と同じ感覚で判断することが可能となる。このため、ユーザは、車両近傍位置における対象物までの距離を、俯瞰画像に示される車両の前後寸法などに基づいて直感的に把握することが可能となり、俯瞰画像によって距離的な違和感を感じることなく周囲の状況を把握することが可能となる。
【0043】
さらに、車両100の近傍位置は地面投影面151により俯瞰画像が形成されるので、例えば、駐車場において示される駐車位置の境界線(枠体状の白線など)を真っすぐに歪むことなく表示させることができる。このため、車両100の駐停車操作において、停車位置の基準となる境界線が液晶表示モニタ7に示される状態と目視による実際の境界線の状態とを一致させることができ、俯瞰画像表示システム1を用いて違和感なく円滑に駐車操作を行うことが可能となる。
【0044】
さらに、画像変換処理部23において、地面投影面151の外側部分の俯瞰画像を、前後左右方向に延設される円柱投影面152〜155と斜め方向の球体投影面156〜159とにより形成することにより、俯瞰画像の全てを地面投影面151で形成する場合に比べて、車両100から遠方となる範囲(広範囲)を俯瞰画像により表示することが可能となり、より広い範囲における対象物などの状態を把握することが可能となる。さらに、俯瞰画像を、円柱投影面152〜155と球体投影面156〜159で形成することにより、遠方部分における画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0045】
また、俯瞰画像を、円柱投影面152〜155と球体投影面156〜159によって形成することにより、車両100から離れた位置の対象物が異常に大きく表示されてしまうことを防止することができる。さらに、一のカメラで撮影された画像と他のカメラにより撮影された画像とにより形成される俯瞰画像のつなぎ目部分108の人や物(対象物)が、地面投影面151からなる俯瞰画像では表示されなくなってしまう場合であっても、円柱投影面152〜155と球体投影面156〜159からなる俯瞰画像では、表示される可能性が高くなる。このため、つなぎ目部分108における人や物(対象物)の見落としを防止することができ、ユーザに境界部分における人や物(対象物)に対する注意を促すことが可能となる。
【0046】
さらに、車両100の斜め方向部分を、球体投影面156〜159からなる俯瞰画像によって形成することにより、車両100の斜め方向部分における人や物(対象物)の存在を表示することが可能になる。また、円柱投影面152〜155を構成する円柱の半径と球体投影面156〜159を構成する球体の半径とが等しいので、車両100の斜め方向部分における俯瞰画像を、車両100の左右側方部分における円柱投影面152、153から車両100の前後方向部分における円柱投影面154,155へと連続する違和感のない曲面(球体投影面156〜159)によって表示することができる。このため、俯瞰画像における円柱投影面152〜155と球体投影面156〜159との投影面に違和感を生じさせることなく周囲の状況を表示させることが可能となる。
【0047】
このようにして、画像変換処理部23による変換処理によって生成された俯瞰画像の画像データは、出力用フレームメモリ部25に出力される。そして、出力用フレームメモリ部25に記録された俯瞰画像の画像データは、エンコード部26においてRGB信号からコンポジット信号にエンコードされ、さらに、エンコードされた画像信号がD/A変換部27においてアナログ信号化されて液晶表示モニタ7へと出力されることになる。液晶表示モニタ7へ画像信号を出力することにより、ユーザは、車両100の周囲の情報を、液晶表示モニタ7を通して容易に確認することが可能となる。
【0048】
また、画像変換処理部23には、車両100に設けられたオートマチックトランスミッションのシフト位置状態を検出するシフト位置センサ8が電気的につながれている。画像変換処理部23では、オートマチックトランスミッションのシフト位置状態がリバース状態(オートマチックトランスミッションの操作部が後退用のシフト位置(リバース位置)に設定されている状態)に設定されているか否か、あるいはドライブ状態(オートマチックトランスミッションの操作部が前進用のシフト位置(ドライブ位置)に設定されている状態)であるか否かを、シフト位置センサ8より受信するシフト位置信号によって判断することが可能となっている。
【0049】
図4は、画像変換処理部23が、俯瞰画像を生成する処理を示したフローチャートである。まず、画像変換処理部23は、シフト位置センサ8よりシフト位置信号を受信して(ステップS.1)、シフト位置がリバース状態であるか否か(車両100が後退状態であるか否か)の判断を行う(ステップS.2)。シフト位置がリバース状態でない場合(ステップS.2においてNoの場合)、画像変換処理部23は、俯瞰画像の生成を終了する。
【0050】
シフト位置がリバース位置にない場合には、車両の駐車操作状態ではないと判断される。このため、画像変換処理部23は、液晶表示モニタ7に車両100の周囲の状況を俯瞰画像で示す必要性が低いと判断し、俯瞰画像の生成処理を終了する。なお、画像変換処理部23は、定期的にシフト位置信号を受信してステップS.1に示す処理を繰り返し実行することにより、シフト位置がリバース位置に移動された場合に、素早く俯瞰画像を生成して液晶表示モニタ7に俯瞰画像を表示させる処理を実行することが可能となる。
【0051】
一方で、シフト位置がリバース状態である場合(ステップS.2においてYesの場合)、画像変換処理部23は、第1カメラ2〜第4カメラ5に撮影された画像をフレームメモリ部22a〜22dから取得し、変換テーブル記録部24に記録される変換テーブル24a〜24dに基づいて、上述した図3(c)に示すような俯瞰画像を生成し、生成された俯瞰画像を出力用フレームメモリ部25に記録する(ステップS.3)。
【0052】
そして、画像変換処理部23は、出力用フレームメモリ部25に記録される俯瞰画像を読み出して、液晶表示モニタ7へ出力する(ステップS.4)。その後、画像変換処理部23は、処理を再度ステップS.1に戻して、シフト位置がリバース状態にない(ステップS.2においてNoの場合)と判断されるまで、上述したステップS.1〜ステップS.4の処理を繰り返し実行する。このようにして、画像変換処理部23がステップS.1〜ステップS.4の処理を繰り返し実行することにより、第1カメラ2〜第4カメラ5により撮影された映像に基づいてリアルタイムに俯瞰画像を生成して、車両100の周囲の状況を液晶表示モニタ7に表示させることが可能となる。
【0053】
以上、本発明に係る俯瞰画像表示装置の一例である俯瞰画像表示システム1について、添付図面を用いて説明を行ったが、本発明は上述した実施の形態に係る俯瞰画像表示システム1には限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0054】
例えば、実施の形態において説明した俯瞰画像表示システム1において、円柱投影面および球体投影面を用いて俯瞰画像を形成する場合について説明を行ったが、俯瞰画像を形成する投影面は円柱投影面や球体投影面のように半径が同じ値からなる曲面の投影面だけには限定されない。例えば、図3(b)に示した円柱投影面の断面曲線が、双曲線や放物線などからなる投影面によって俯瞰画像が形成されるものであってもよい。
【0055】
また、図5(a)〜(c)に示すように、車両100の近傍位置に地面投影面151を形成することなく、円柱投影面172〜175と球体投影面176〜179とにより俯瞰画像を形成するように、変換テーブル24a〜24dの設定を行うものであってもよい。
【0056】
例えば、図5(b)に示す場合には、車両100の左側に形成される円柱投影面172が、車両100の左側側面の上方に中心軸(円柱軸)OCを車両100の前後方向に延設させた円柱の内側面であって、車両100の左側側面と地面との交点位置から約60度程度(図5(b)ではα度として表示。但し、60度には限定されず90度未満であれば何度でもよい。)の角度位置までの車両左側の内側面によって構成されている。
【0057】
また、同様に、車両の右側に形成される円柱投影面173は、車両の右側側面の上方に中心軸(円柱軸)ODを車両の前後方向に延設させた円柱の内側面であって、車両100の右側側面と地面との交点位置から約60度程度(図5(b)ではα度として表示。但し、60度には限定されず90度未満であれば何度でもよい。)の角度位置までの車両右側の内側面によって構成されている。
【0058】
さらに、車両の前側に形成される円柱投影面174は、図5(a)(c)に示すように、車両100の前側側面の上方に中心軸(円柱軸)を車両100の左右方向に延設させた円柱の内側面であって、車両の前側側面と地面との交点位置から約60度程度(但し、60度には限定されず90度未満であれば何度でもよい。)の角度位置までの車両前側の範囲の内側面によって構成されている。
【0059】
また、車両の後側に形成される円柱投影面175は、図5(a)(c)に示すように、車両の後側側面の上方に中心軸(円柱軸)を車両の左右方向に延設させた円柱の内側面であって、車両の後側側面と地面との交点位置から約60度程度(但し、60度には限定されず90度未満であれば何度でもよい。)の角度位置までの車両後側の範囲の内側面によって構成されている。
【0060】
さらに、前後方向に延設される円柱投影面172の円柱と左右方向に延設される円柱投影面174の円柱とが交わる部分であって、車両100の左前方向の部分においては、図5(a)(c)に示すように、車両100の左側において車両前後方向に延設される円柱の中心軸(円柱軸)OCと車両100の前側において車両左右方向に延設される円柱の中心軸(円柱軸)との交点を中心として、円柱の半径に等しい半径からなる球体を形成し、形成された球体の球体投影面176によって、車両の左前方向部分を形成することにより、車両100の左側における円柱投影面172と車両100の前側における円柱投影面174とを球体投影面176により連続的に接続させることが可能となる。
【0061】
同様にして、前後方向に延設される円柱投影面172、173の円柱と左右方向に延設される円柱投影面174、175の円柱とが交わる部分であって、車両100の右前方向の部分、車両100の左後方向の部分、車両100の右後方向の部分においても、図5(a)(c)に示すように、それぞれの円柱の中心軸(円柱軸)の交点であって同一半径からなる球体の球体投影面177〜179を形成する。
【0062】
このようにして、地面投影面を用いることなく、円柱投影面172〜175と球体投影面176〜179とにより俯瞰画像を形成することにより、地面投影面では表示されないカメラのつなぎ目部分の人や物(対象物)を、確実に球体投影面176〜179において表示させることが可能となる。このため、地面投影面では見落としてしまいがちな車両近傍位置の人や物(対象物)を俯瞰画像により認識することが可能となり、駐車操作などにおける安全性を高めることが可能となる。
【0063】
また、上述した実施の形態においては、車両100の前後左右にそれぞれ4つのカメラ(第1カメラ2〜第4カメラ5)を設置することにより俯瞰画像を生成する場合について説明を行ったが、俯瞰画像を生成するためのカメラの数は4台には限定されない。俯瞰画像を生成するためのカメラは、3台以下であっても5台以上であってもよい。
【0064】
例えば、例えば車両の前側部分、後側部分に加えて、右側面の前から3分の1の箇所と3分の2の箇所とにカメラをそれぞれ設置し、さらに、左側面の前から3分の1の箇所と3分の2の箇所とにカメラをそれぞれ設置することにより、車両の周囲を6台のカメラで撮影して、円柱投影面と球体投影面とを備えた俯瞰画像を生成する構成であってもよい。
【0065】
また、実施の形態に示した俯瞰画像表示システム1のように、車両100の全周囲の俯瞰画像を生成・表示するのではなく、車両の前側半分だけや後側半分だけなど、車両の周囲の一部分だけを示す俯瞰画像を、円柱投影面や球体投影面などを用いて形成し、表示する構成とするものであってよい。このように、車両の周囲の一部分だけを示す俯瞰画像を生成する場合には、車両の全周囲をカメラで撮影する必要がないため、設置すべきカメラの台数を少なくすることが可能となる。
【0066】
さらに、実施の形態に示した俯瞰画像表示システム1においては、シフト位置センサ8がトランスミッションのシフト状態を検出する構成について説明を行い、シフト位置がリバース状態であることを条件として、画像変換処理部23が俯瞰画像を生成して液晶表示モニタ7に表示させる処理を一例として説明した(図4参照)。しかしながら、本願発明に係る俯瞰画像表示装置における俯瞰画像の生成処理および表示処理においては、必ずしもシフト位置がリバース状態にあることを要件とするものではない。
【0067】
例えば、シフト位置に関係なく、車両の走行速度が一定速度以下となった場合(例えば、停止を含む15km/h以下の場合など)や、左右いずれかの方向指示器(いわゆるウインカー)が点灯した(点灯信号を検出した)場合、左右両方の方向指示器(いわゆるハザードランプ)が点灯した(点灯信号を検出した)場合、車両において予め決められた所定の信号入力を検出した場合、俯瞰画像表示ボタン等が別途設けられ、そのボタンが押下された場合などに、画像変換処理部23が俯瞰画像を生成して液晶表示モニタ7に表示させる構成とすることも可能である。また、シフト位置検出を含む上述した様々な条件が組み合わされて満たされた場合に、画像変換処理部23が俯瞰画像を生成して液晶表示モニタ7に表示させる構成とするものであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 …俯瞰画像表示システム(俯瞰画像表示装置)
2 …第1カメラ(撮影手段)
3 …第2カメラ(撮影手段)
4 …第3カメラ(撮影手段)
5 …第4カメラ(撮影手段)
6 …本体部
7 …液晶表示モニタ(表示手段)
8 …シフト位置センサ
20a〜20d …A/D変換部
21a〜21d …デコード部
22a〜22d …フレームメモリ部
23 …画像変換処理部(画像変換手段)
24 …変換テーブル記録部(変換データ記録手段)
24a〜24d…変換テーブル(変換データ)
25 …出力用フレームメモリ部
26 …エンコード部
27 …D/A変換部
100 …車両
101〜104 …カメラ
107 …投影面
108 …つなぎ目部分
110、111、112 …人物
121、132、151 …地面投影面
122 …傾斜投影面
124 …四隅部分
131 …球体投影面
156〜159、176〜179 …球体投影面(左前球体投影面、右前球体投影面、左後球体投影面、右後球体投影面)
152〜155、172〜175 …円柱投影面(左側円柱投影面、右側円柱投影面、前側円柱投影面、後側円柱投影面)
160、161 …境界部
OA,OB,OC,OD,O1 …中心軸(円柱軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置されて車両の周囲の状況を撮影する撮影手段と、
該撮影手段により撮影された画像を、前記車両の上方位置を基準として車両および前記周囲の状況を見下ろすような俯瞰画像へ画像変換するための変換データが記録される変換データ記録手段と、
該変換データ記録手段に記録される前記変換データに基づいて、前記撮影手段により撮影された画像を前記俯瞰画像へと変換する画像変換手段と、
該画像変換手段により変換された俯瞰画像を表示する表示手段と
を有し、
前記変換データ記録手段には、前記撮影手段により撮影された画像を、
前記車両の前後左右の一定範囲の様子について地面を基準として投影した地面投影面と、
前記地面投影面の左側境界部の上方に中心軸を車両の前後方向に延設させた所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記左側境界部から90度未満の角度位置までの車両左側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の左側の一定範囲の様子を投影した左側円柱投影面と、
前記地面投影面の右側境界部の上方に中心軸を車両の前後方向に延設させた前記所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記右側境界部から90度未満の角度位置までの車両右側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の右側の一定範囲の様子を投影した右側円柱投影面と、
前記地面投影面の前側境界部の上方に中心軸を車両の左右方向に延設させた前記所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記前側境界部から90度未満の角度位置までの車両前側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の前側の一定範囲の様子を投影した前側円柱投影面と、
前記地面投影面の後側境界部の上方に中心軸を車両の左右方向に延設させた前記所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記後側境界部から90度未満の角度位置までの車両後側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の後側の一定範囲の様子を投影した後側円柱投影面と、
前記前側円柱投影面の円柱と前記左側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の左前方向部分に形成される球体投影面であって、前記前側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記左側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって前側地面投影面の左前側端部から前記前側円柱投影面および前記左側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の左前方向部分の一定範囲の様子を投影した左前球体投影面と、
前記前側円柱投影面の円柱と前記右側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の右前方向部分に形成される球体投影面であって、前記前側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記右側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって前側地面投影面の右前側端部から前記前側円柱投影面および前記右側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の右前方向部分の一定範囲の様子を投影した右前球体投影面と、
前記後側円柱投影面の円柱と前記左側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の左後方向部分に形成される球体投影面であって、前記後側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記左側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって後側地面投影面の左後側端部から前記後側円柱投影面および前記左側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の左後方向部分の一定範囲の様子を投影した左後球体投影面と、
前記後側円柱投影面の円柱と前記右側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の右後方向部分に形成される球体投影面であって、前記後側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記右側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって後側地面投影面の右後側端部から前記後側円柱投影面および前記右側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の右後方向部分の一定範囲の様子を投影した右後球体投影面と
からなる俯瞰画像に変換可能な変換データが記録されること
を特徴とする俯瞰画像表示装置。
【請求項2】
車両に設置されて車両の周囲の状況を撮影する撮影手段と、
該撮影手段により撮影された画像を、前記車両の上方位置を基準として車両および前記周囲の状況を見下ろすような俯瞰画像へ画像変換するための変換データが記録される変換データ記録手段と、
該変換データ記録手段に記録される前記変換データに基づいて、前記撮影手段により撮影された画像を前記俯瞰画像へと変換する画像変換手段と、
該画像変換手段により変換された俯瞰画像を表示する表示手段と
を有し、
前記変換データ記録手段には、前記撮影手段により撮影された画像を、
前記車両の左側側面の上方に中心軸を車両の前後方向に延設させた所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記左側側面の真下位置から90度未満の角度位置までの車両左側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の左側の一定範囲の様子を投影した左側円柱投影面と、
前記車両の右側側面の上方に中心軸を車両の前後方向に延設させた前記所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記右側側面の真下位置から90度未満の角度位置までの車両右側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の右側の一定範囲の様子を投影した右側円柱投影面と、
前記車両の前側側面の上方に中心軸を車両の左右方向に延設させた前記所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記前側側面の真下位置から90度未満の角度位置までの車両前側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の前側の一定範囲の様子を投影した前側円柱投影面と、
前記車両の後側側面の上方に中心軸を車両の左右方向に延設させた前記所定の半径からなる円柱の内側面であって、前記後側側面の真下位置から90度未満の角度位置までの車両後側方向の範囲の当該内側面に、前記車両の後側の一定範囲の様子を投影した後側円柱投影面と、
前記前側円柱投影面の円柱と前記左側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の左前方向部分に形成される球体投影面であって、前記前側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記左側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって前記前側円柱投影面および前記左側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の左前方向部分の一定範囲の様子を投影した左前球体投影面と、
前記前側円柱投影面の円柱と前記右側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の右前方向部分に形成される球体投影面であって、前記前側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記右側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって前記前側円柱投影面および前記右側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の右前方向部分の一定範囲の様子を投影した右前球体投影面と、
前記後側円柱投影面の円柱と前記左側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の左後方向部分に形成される球体投影面であって、前記後側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記左側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって前記後側円柱投影面および前記左側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の左後方向部分の一定範囲の様子を投影した左後球体投影面と、
前記後側円柱投影面の円柱と前記右側円柱投影面の円柱とが交わる前記車両の右後方向部分に形成される球体投影面であって、前記後側円柱投影面を構成する円柱の中心軸と前記右側円柱投影面を構成する円柱の中心軸とを互いに延長させた場合に交差する交点を中心として、前記所定の半径からなる球体を形成し、当該球体の内面であって前記後側円柱投影面および前記右側円柱投影面と同じ角度位置までの範囲の当該内面に前記車両の右後方向部分の一定範囲の様子を投影した右後球体投影面と
からなる俯瞰画像に変換可能な変換データが記録されること
を特徴とする俯瞰画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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