説明

偏光モジュール及び画像表示装置

【課題】より高品質でかつ簡易に立体画像を表示できる偏光モジュール及び画像表示装置を提供すること。
【解決手段】偏光板1と、偏光板1上に配置され、偏光板1の偏光軸に対して、遅相軸が45度傾くように配置された第1の1/4波長板2と、偏光板1の偏光軸に対して、第1の1/4波長板2の遅相軸とは反対方向に遅相軸を45度傾けて、第1の1/4波長板2と交互に配置された第2の1/4波長板3と、を含んで偏光モジュール100を構成する。また、偏光モジュール100は、第1の1/4波長板2及び第2の1/4波長板3の配列方向に対して交差する方向に、第1の1/4波長板2及び第2の1/4波長板3上に所定の間隔で配列された1/2波長板4と、を含む。また、右目用の画像を表示する第1の画素領域と、左目用の画像を表示する第2の画素領域と、を有する表示パネル10上に、偏光モジュール100を配置することで画像表示装置300を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、立体画像を表示するための偏光モジュール、及び、これを用いた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体画像を提供する画像表示装置の開発が進められている。こうした画像表示装置では、右目と左目との間の視差に対応した画像がそれぞれ表示される。観察者は、例えばこの右目用の画像からの光を選択透過するフィルタと、左目用の画像からの光を選択透過するフィルタとが、右目用レンズ及び左目用レンズにそれぞれ設けられたメガネをかけることで、立体画像を視認することができる。
【0003】
例えば、右目用の画像及び左目用の画像は、上述のフィルタ等によってどちらか一方を選択可能にするために、偏光方向が互いに異なる光によってそれぞれ表示される。(例えば下記特許文献1参照)。
例えば、下記特許文献1では、回転方向が互いに異なる二つの円偏光を用いることにより、右目用の画像と左目用の画像を分けることが開示されている。
【0004】
すなわち、平面パネル表示器を出た光は、まず直線偏光に変換される。そして、この直線偏光は、1/4波長板と3/4波長板とが所定の一方向に交互に配列された波長板を透過する。この直線偏光は、1/4波長板と3/4波長板とのどちらか一方の波長板を透過することにより、互いに回転方向が異なる2種類の円偏光が観察者に提供される。
また、観察者は、右目用の円偏光のみを透過する偏光フィルタ、及び、左目用の円偏光のみを透過する偏光フィルタが、それぞれ右目用レンズ及び左目用レンズに配置されたメガネをかけることで、立体画像を視認する。
上述のこの手法はいわゆるラインバイライン方式と呼ばれるものであり、偏光板上において、1/4波長板と3/4波長板とが例えば一行毎に交互に配置される。
【0005】
このような波長板の配置方法以外に、偏光方向が互いに直交する偏光特性を有する2つの領域を、市松模様状に形成した偏光板を用いる方法もある(例えば、下記特許文献2参照)。
この方法では、右目用の画像を表示する領域と、左目用の画像を表示する領域とが、市松模様状に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−263596号公報
【特許文献2】特開昭61−156021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、立体画像を表示するために様々な方法が提案されている。しかし、この分野においては、依然として高い品質での画像表示は容易ではなく、そのためには高いコストが必要とされている。
【0008】
上述のような点を鑑みて、本技術は、より高品質でかつ簡易に立体画像を表示することができる偏光モジュール及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本技術の偏光モジュールは、偏光板と、偏光板上において所定間隔離してそれぞれ配置され、偏光板の偏光軸に対して、遅相軸が45度傾くように配置された複数の第1の1/4波長板と、を含む。
また、本技術の偏光モジュールは、偏光板上に第1の1/4波長板と交互に配置され、偏光板の偏光軸に対して、第1の1/4波長板の遅相軸とは反対方向に遅相軸を45度傾くように配置された複数の第2の1/4波長板も含む。
さらに、本技術の偏光モジュールは、複数の第1の1/4波長板及び複数の第2の1/4波長板の配列方向に対して交差する方向に、複数の第1の1/4波長板及び複数の第2の1/4波長板上に所定の間隔離してそれぞれ配置された複数の1/2波長板を含む。
【0010】
また、本技術の画像表示装置は、右目用の画像を表示する第1の画素領域と、左目用の画像を表示する第2の画素領域と、を有する表示パネルと、この表示パネル上に配置された上述の偏光モジュールとを含む。
【0011】
本技術の偏光モジュール及び画像表示装置によれば、複数の第1の1/4波長板及び複数の第2の1/4波長板上において、複数の第1の1/4波長板及び複数の第2の1/4波長板の配列方向に対して交差する方向に、複数の1/2波長板が配置される。このため、右目用の画像表示領域と左目用の画像表示領域とが、互い交差する二方向に交互に配置される。
【発明の効果】
【0012】
本技術の偏光モジュール及び画像表示装置によれば、右目用の画像表示領域と左目用の画像表示領域とを、互い交差する二方向に交互に簡易に配置することができる。このため、垂直方向及び水平方向の画像解像度を同程度にしてバランスをとることができ、画像の品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1A、図1B、図1Cは、本技術の第1の実施形態に係る偏光モジュールの構成を示す概略構成図である。
【図2】本技術の第1の実施形態に係る偏光モジュールにおいて、右目用、及び、左目用の画像表示領域を示す図である。
【図3】本技術の第1の実施形態に係る偏光モジュールを表示パネルに取り付ける状態を示す図である。
【図4】図4A、図4B、図4Cは、比較例に係る偏光モジュールの構成を示す図である。
【図5】図5A、図5B、図5Cは、第2の実施形態に係る偏光モジュールの構成を示す図である。
【図6】第3の実施形態に係る画像表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術を実施するための形態の例を説明するが、本技術は以下の例に限定されるものではない。
説明は以下の順で行う。
1.第1の実施形態(1/4波長板と樹脂板とを固着させる例)
2.第2の実施形態(1/2波長板と樹脂板とを固着させる例)
3.第3の実施形態(画像表示装置の例)
【0015】
1.第1の実施形態(1/4波長板と樹脂板とを固着させる例)
図1A〜図1Cは、第1の実施形態に係る偏光モジュール100の構成を示す概略構成図である。図1Aは、偏光モジュール100を、一方の主面に垂直な方向(Z軸方向)から見た図であり、図1Bは、偏光モジュール100をY軸方向から見た図である。また、図1Cは、偏光モジュール100をX軸方向から見た図である。
【0016】
本実施形態の偏光モジュール100は、偏光板1と、偏光板1の一方の主面上に配置された複数の第1の波長板2及び複数の第2の波長板3と、を備える。
また、さらに本実施形態の偏光モジュール100は、複数の第1の波長板2及び複数の第2の波長板3上に配置された複数の第3の波長板4と、複数の透明な両面粘着テープ5と、を備える。
なお、この複数の第3の波長板4上には樹脂板6が配置されるが、図1Aでは、説明を簡略化するために、樹脂板6の図示を省略している。
【0017】
偏光板1は、所定の偏光方向の光のみを透過させるものであれば、任意のものを用いることができる。例えば、画像表示装置に用いられる代表的な偏光板は、ヨウ素または二色性色素等の二色性物質を含有し、ポリビニールアルコール(PVA)を主成分とする樹脂を一軸延伸したフィルムと、このフィルムの両面に張り合わせた保護膜とによって構成される。本実施形態の偏光板1は、これと同様の構成であってよい。
【0018】
偏光板1の一方の主面上には、複数の第1の波長板2と複数の第2の波長板3とが配置される。第1の波長板2及び第2の波長板3は、偏光板1に対して、例えば光学接着剤、紫外線硬化樹脂、光学弾性樹脂、光学粘着テープ等によって固着される。
【0019】
第1の波長板2及び第2の波長板3には、同一の1/4波長板を用いることができる。
ただし、第1の波長板2は、その遅相軸が、偏光板1の偏光軸に対して例えば+45°傾けて配置されるのに対し、第2の波長板3は、その遅相軸が、偏光板1の偏光軸に対して−45°傾けて配置される。すなわち、第2の波長板3の遅相軸は、偏光板1の偏光軸に対し、第1の波長板2の遅相軸とは逆方向に45°傾けて配置される。
したがって、第1の波長板2の表裏をひっくり返して偏光板1上に配置したものが第2の波長板3である。
【0020】
また、図1Aに示すように、第1の波長板2及び第2の波長板3は、例えば長方形の主面を有しており、その短辺方向(図1AのY軸方向)に第1の波長板2と第2の波長板3とが交互に配列される。
なお、隣り合う第1の波長板2と第2の波長板3との間に隙間が開いていると、偏光板1と第3の波長板4(もしくは両面粘着テープ5)との間には空気層が存在することになる。すると、偏光板1と空気層との界面において光の反射が生じやすくなり、反射された光が別の像を形成する(映りこみ)恐れがある。
したがって、隣り合う第1の波長板2と第2の波長板3との間の隙間は、極力設けないようにすることが好ましい。
【0021】
第1の波長板2及び第2の波長板3上には、複数の第3の波長板4及び複数の透明な両面粘着テープ5が配置される。第3の波長板4は1/2波長板であり、その遅相軸は、第1の波長板2または第2の波長板3のどちらか一方の遅相軸と同一方向を向く。
また、第3の波長板4は、例えば長方形の主面を有しており、第3の波長板4の短辺方向に、第3の波長板4と透明な両面粘着テープ5とが交互に配列される。また、この第3の波長板4及び両面粘着テープ5の配列方向は、第1の波長板2及び第2の波長板3の配列方向と交差(直交)する。
【0022】
また、複数の第1の波長板2及び第2の波長板3上には、光透過性を有する透明な樹脂板6が配設される。この樹脂板6は、光学的等方性を有していることが好ましい。これにより、第1の波長板2及び第2の波長板3をそれぞれ透過した偏光に影響を与えることなく、第1の波長板2及び第2の波長板3を保護することができる。
光学的等方性を有する樹脂板6の材料としては、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)等が挙げられる。こうした樹脂板6は、例えばガラス板等に比べて軽く、かつ割れにくいので、大画面の表示パネルに偏光モジュール100を取り付ける場合において特に有効である。
【0023】
この樹脂板6は、第1の波長板2及び第2の波長板3に対して両面粘着テープ5により固着される。樹脂板6を両面粘着テープ5に確実に密着させるために、両面粘着テープ5の厚さは、第3の波長板4よりも厚くすることが好ましい。
複数の第3の波長板4上に樹脂板6を配設することにより、偏光モジュール100の表面を平坦化することができる。
【0024】
また、樹脂板6の表面には、例えば反射防止膜、紫外線カット膜、ハードコート膜等の機能性膜を形成してもよい。
また、樹脂板6の成型時において、予め微細な凹凸形状を樹脂板6の表面に形成することにより防眩処理を施してもよい。
樹脂板6を偏光モジュール100の表面に設けることによって、上述のような各種表面加工を容易に施すことが可能となる。特に、紫外線カット機能を樹脂板6に付与することで、比較的紫外線に対する耐性が低い第1の波長板2及び第2の波長板3(1/4波長板)を保護することができるので好ましい。また、樹脂板6内に紫外線カット剤を含有させることも可能である。
【0025】
なお、両面粘着テープ5は樹脂板6に密着しているので、両面粘着テープ5と樹脂板6との間には空気層が介在しないが、第3の波長板4と樹脂板6との間には、薄い空気層が存在し得る。第3の波長板4と樹脂板6との間に空気層が存在すると、空気層と第3の波長板4との界面、あるいは、空気層と樹脂板6との界面において光の反射が生じやすくなる。したがって、第3の波長板4の樹脂板6側の主面には、反射防止膜を形成することが好ましい。また、樹脂板6の波長板4側の主面にも反射防止膜を形成することができる。
【0026】
図2は、本実施形態の偏光モジュール100の樹脂板6上において、例えば右目用の画像の光が出射する領域T1及びT3と、左目用の画像の光が出射する領域T2及びT4とを示す模式図である。
例えば、樹脂板6の主面に垂直な方向(Z軸方向)から見て、第2の波長板3と第3の波長板4とが重なる領域が領域T1であり、第1の波長板2と両面粘着テープ5とが重なる領域が領域T3である。
また、第1の波長板2と第3の波長板4とが重なる領域が領域T2であり、第2の波長板3と両面粘着テープ5とが重なる領域が領域T4である。
すなわち、樹脂板6上において、右目用の画像の光が出射される領域と左目用の画像の光が出射される領域とは互いに直交する二軸方向(図2中X軸方向及びY軸方向)のそれぞれにおいて交互に位置する。
【0027】
図3に示すように、この偏光モジュール100は、表示パネル10の画像表示面側に重ねて取り付けられる。このとき、偏光モジュール100は、表示パネル10に対して偏光板1側を重ねて配置される。表示パネル10から発せられた光は、矢印A1に示すように、偏光モジュール100を透過して、観察者の目に届く。
表示パネル10の画像表示面には、例えばR(red),G(green),B(blue)の3原色の画素がマトリクス状に配設されている。この画素は、例えば液晶表示画素であってもよいし、大面積の表示画面を構成する場合には、LED(Light Emitting Diode)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)等の自発光素子であってもよい。
【0028】
また、これらの画素のうち、表示パネル10の領域R1に位置する画素は、右目用の画像を表示し、領域L1に位置する画素は、左目用の画像を表示する。この領域R1及び領域L1は、表示パネル10の画像表示面内において、互いに交差(直交)する二方向のそれぞれにおいてに交互に配置される。
表示パネル10上に偏光モジュール100を重ねることにより、領域R1の画素上には、偏光モジュール100の領域T1、T3が配置され、領域L1の画素上には、偏光モジュール100の領域T2、T4が配置される。
なお、図1A〜図1C、図2及び図3では、偏光モジュール100と表示パネル10とを模式的に表してあり、第1の波長板2、第2の波長板3、画素等の各種構成部材のサイズ、配置数等は適宜変更される。また、表示パネル10の領域R1及びL1に配置する画素数も適宜変更してよい。
【0029】
例えば、表示パネル10の領域R1に位置する画素から発せられた光のうち、偏光モジュール100の領域T1に入射した光は、偏光板1を透過することにより、直線偏光となる。直線偏光となった領域T1における光は、第2の波長板3を透過することにより、円偏光(例えば、説明のため、ここでは右回りとする)となる。そして、第2の波長板3を透過した光は、第3の波長板4を透過することにより、逆回りの円偏光(左回り)となって偏光モジュール100から出射する。
【0030】
また、表示パネル10の領域R1に位置する画素から発せられた光のうち、偏光モジュール100の領域T3に入射した光は、偏光板1を透過することにより、直線偏光となる。直線偏光となったこの光は、第1の波長板2を透過することにより、円偏光(左回り)となる。そして、この円偏光は、両面粘着テープ5及び樹脂板6を透過して偏光モジュール100から出射する。
すなわち、偏光モジュール100の領域T1、T3を透過した光は、回転方向が互いに同じ円偏光となる。
【0031】
一方、表示パネル10の領域L1に位置する画素から発せられた光のうち、偏光モジュール100の領域T2に入射した光は、偏光板1を透過することにより、直線偏光となる。直線偏光となったこの光は、第1の波長板2を透過することにより、円偏光(左回り)となる。そして、この円偏光は、第3の波長板4を透過することにより、回転方向が逆回り(右回り)の円偏光となって、偏光モジュール100から出射する。
【0032】
また、表示パネル10の領域L1に位置する画素から発せられた光のうち、偏光モジュール100の領域T4に入射した光は、偏光板1を透過することにより、直線偏光となる。直線偏光となったこの光は、第2の波長板3を透過することにより、円偏光(右回り)となる。そして、この円偏光は、両面粘着テープ5及び樹脂板6を透過して偏光モジュール100から出射する。
すなわち、偏光モジュール100の領域T2、T4を透過した光は、領域T1、T3を透過した光とは回転方向が逆向きの円偏光となる。
【0033】
観察者は、領域L1の画素領域(領域T2、T4)からの円偏光を透過する円偏光フィルタが左目用レンズに対して配置され、領域R1の画素領域(領域T1、T3)からの円偏光を透過する円偏光フィルタが右目用レンズに対して配置されたメガネをかける。これにより、観察者は立体画像を視認することができる。
【0034】
このように、本実施形態の偏光モジュール100では、表示パネル10に配置された、右目用の画像を表示する領域R1から出射した光と、左目用の画像を表示する領域L1から出射した光とを、互いに回転方向が異なる円偏光に変換することができる。
特に、本実施形態の偏光モジュール100では、例えば右目用の円偏光が出射する領域(領域T1、T3)と、左目用の円偏光が出射する領域(領域T2、T4)とが、互いに直交する二方向に交互に配置される。このため、垂直解像度と水平解像度とを同程度の値にすることができ、従来に比べて、垂直方向(Y軸方向)の画像解像度を高めることが可能である。また、これにより、垂直解像度と水平解像度のバランスをとることができる。
【0035】
例えば、従来のラインバイライン方式により、右目用の画像を表示する領域を画素の奇数行に割り当て、左目用の画像を表示する領域を画素の偶数行に割り当てる場合を考える。この場合、垂直方向(列方向、Y軸方向)には、右目用の画像表示領域と左目用の画像表示領域とが交互に並ぶことになる。したがって、通常の2D画像に比べると、垂直解像度は1/2に低下することになる。
【0036】
一方で、本実施形態の偏光モジュール100を用いる場合には、水平方向(行方向、X軸方向)及び垂直方向(列方向、Y軸方向)の両方において、右目用の画像を表示する領域と左目用の画像を表示する領域が交互に配置される。
例えば、図2に示す領域T1、T3のように、奇数行では領域T3において右目用の画像が表示され、偶数行では、領域T1において右目用の画像が表示される。また、奇数行では領域T2において左目用の画像が表示され、偶数行では、領域T4において左目用の画像が表示される。
すなわち、全ての行において、右目用及び左目用の両方の画像が表示される。したがって、垂直解像度が水平解像度にくらべて半減するといった、ラインバイライン方式における画像解像度の偏りを解消し、両者のバランスをとることが可能である。また、斜め方向における画像を滑らかに表現することができる。
【0037】
ところで、右目用の画像と左目用の画像とを、互いに直交する二方向のそれぞれにおいて、交互に表示させる場合には、遅相軸が互いに直交する2種類の1/4波長板を、互いに直交する二方向に、交互に配置する手法を用いることも可能である。
例えば、図4A〜図4Cに、この場合における偏光モジュール110を比較例として示す。図4Aは、偏光モジュール110を、一方の主面に垂直な方向(Z軸方向)から見た図であり、図4Bは、偏光モジュール110をY軸方向から見た図である。また、図4Cは、偏光モジュール110をX軸方向から見た図である。
【0038】
この比較例に係る偏光モジュール110は、偏光板1aと、偏光板1aの一方の主面上に配置された複数の第1の波長板2a及び複数の第2の波長板3aと、複数の第1の波長板2a及び複数の第2の波長板3a上に配置された透明な樹脂板6aと、を備える。
【0039】
第1の波長板2a及び第2の波長板3aは、例えば正方形に近い主面を有している。この第1の波長板2a及び第2の波長板3aは1/4波長板であり、第1の波長板2aの遅相軸は、偏光板1aの偏光軸に対して所定方向に45°傾けて配置される。また、第2の波長板3aの遅相軸は、偏光板1aの偏光軸に対して、第1の波長板2aの遅相軸とは逆方向に45°傾けて配置される。
また、第1の波長板2a及び第2の波長板3aは、X軸方向及びY軸方向に対して、交互に配置される。
【0040】
このように第1の波長板2a及び第2の波長板3aを配置することで、偏光板1a及び第1の波長板2aを透過した光と、偏光板1a及び第2の波長板3aを透過した光とは、互いに回転方向が異なる円偏光となる。したがって、例えば偏光板1a及び第1の波長板2aを透過した光を右目用の画像の光とし、偏光板1a及び第2の波長板3aを透過した光を左目用の画像の光とすることで、立体画像を表示することが可能である。
【0041】
しかし、この比較例の場合、第1の波長板2a及び第2の波長板3aを、例えば右目用の画像の表示領域及び左目用の画像表示領域にそれぞれ対応させて、図4Aに示すように、小片状に成形する必要がある。
第1の波長板2a及び第2の波長板3aが、このような小片であると、これらの波長板を例えば偏光板1a上に貼り付ける時に扱いにくく、工程が複雑になりやすい。また、一般的に、1/4波長板の納入時には、1/4波長板の表面に保護フィルムが貼られていることがある。このような場合には、保護フィルムを剥がした後に1/4波長板を実装することになるが、1/4波長板のサイズが小さいと、保護フィルムを剥がす作業が難しくなり、コストが高くなる。
また、このように1/4波長板のサイズが小さいと、その遅相軸の方向を取り違えやすくなるという問題も生じる。
【0042】
これに対し、本実施形態に係る偏光モジュール100では、一枚の第1の波長板2及び一枚の第2の波長板3が、複数の画像表示領域R1、L1上を覆う(図1、図3参照)ように構成される。すなわち、比較例に比べて、第1の波長板2及び第2の波長板3のサイズが大きくなるので、第1の波長板2及び第2の波長板3のハンドリングが容易になる。
【0043】
特に、例えばLEDを光源とするような、大画面の表示装置においては、1ドットの画素サイズが数mmの大きさとなる。この場合に、本実施形態の偏光モジュール100を適用すると、第1の波長板2及び第2の波長板3のサイズが非常に大きくなるためハンドリングが容易となり、特に有効である。
また、本実施形態では、第1の波長板2及び第2の波長板3の主面が、長辺及び短辺を有する長方形となっており、第1の波長板2及び第2の波長板3の向きを外観で区別することが可能である。したがって、その遅相軸方向の区別を容易に行うことができる。
【0044】
2.第2の実施の形態(1/2波長板と樹脂板とを固着させる例)
図5A〜図5Cは、第2の実施形態に係る偏光モジュール200の構成を示す概略構成図である。図5Aは、偏光モジュール200を、一方の主面に垂直な方向(Z軸方向)から見た図であり、図5Bは、偏光モジュール200をY軸方向から見た図である。また、図5Cは、偏光モジュール200をX軸方向から見た図である。
なお、第1の実施形態(図1参照)と対応する部位には同一符号を付し、重複した説明を避ける。
【0045】
本実施形態の偏光モジュール200は、偏光板1と、偏光板1の一方の主面上に配置された複数の第1の波長板2及び第2の波長板3と、複数の第1の波長板2及び第2の波長板3上に配置された複数の第3の波長板4を備える。
また、さらに本実施形態の偏光モジュール200は、複数の第3の波長板4上に配置された複数の透明な両面粘着テープ7と、両面粘着テープ7上に配置された透明な樹脂板6を備える。
なお、図5Aでは、説明を簡略化するために、樹脂板6の図示を省略している。
【0046】
偏光板1の一方の主面上には、複数の第1の波長板2及び複数の第2の波長板3が配置される。第1の波長板2及び第2の波長板3は、偏光板1に対して、例えば光学接着剤、紫外線硬化樹脂、光学弾性樹脂、光学粘着テープ等によって固着される。
この第1の波長板2及び第2の波長板3は、その短辺方向(図5A中のY軸方向)に、交互に配置される。また、このとき、第1の波長板2の遅相軸及び第2の波長板3の遅相軸は、第1の実施の形態と同様に、偏光板1の偏光軸に対して、互いに逆方向に45°傾いて配置される。
【0047】
また、複数の第3の波長板4は、その短辺方向(図5A中のX軸方向)に所定の間隔で配列される。ただし、複数の第3の波長板4の短辺方向が、第1の波長板2及び第2の波長板3の配列方向(短辺方向)と交差する方向に、複数の第3の波長板4は配列される。
このとき、第3の波長板4の遅相軸の方向は、第1の実施の形態と同様に、第1の波長板2または第2の波長板3の遅相軸の方向のどちらか一方と一致する。
【0048】
本実施形態では、この第3の波長板4上に透明な両面粘着テープ7が配置され、この両面粘着テープ7により、第3の波長板4に対して透明な樹脂板6が固着されるところが第1の実施の形態と異なる。
この場合、第3の波長板4と樹脂板6との間には両面粘着テープ7が介在するので、第3の波長板4と樹脂板6との間に空気層ができるのを抑制できる。
しかし、例えば図5Aの領域T5に示すように、第1の波長板2及び第2の波長板3上において、第3の波長板4が配置されない箇所には、第1の波長板2及び第2の波長板3と樹脂板6との間に空気層8(図5B参照)が存在することになる。
【0049】
この空気層8が存在すると、第1の波長板2及び第2の波長板3と空気層8との界面、あるいは、樹脂板6と空気層の界面において、光の反射が生じやすくなる。このため、本実施形態では、第1の波長板2及び第2の波長板3上において、第3の波長板4が配置されない領域T5には、反射防止膜を形成することが好ましい。
この反射防止膜は、例えば上述の領域T5に対応した開口が設けられたマスク等を介して、第1の波長板2及び第2の波長板3に対してスパッタリングを行うことで形成することができる。
また同様に、樹脂板6の第1の波長板2及び第2の波長板3側の表面に反射防止膜を形成することができる。
【0050】
このように、本実施形態においても、交互に配列された第1の波長板2及び第2の波長板3(1/4波長板)上において、第1の波長板2及び第2の波長板3の配列方向と交差する方向に、第3の波長板4(1/2波長板)が配列される。
このため、第1の実施形態と同様に、互いに回転方向が異なる円偏光がそれぞれ出射する二つの領域が、互いに直交する二方向(X軸方向及びY軸方向)に交互に配置されることになる。したがって、垂直方向(Y軸方向)の解像度の低下を抑制することが可能である。
また、その他の構成による作用、効果もまた、第1の実施の形態と同様である。
【0051】
3.第3の実施形態(画像表示装置の例)
図6は、第3の実施形態に係る画像表示装置300を示す斜視図である。本実施形態の画像表示装置300には、その画像表示部21上に、偏光モジュール22が配設されている。
なお、この画像表示装置300は、例えば発光素子としてLEDを用いた大画面の画像表示装置であり、例えばビルの屋上や壁面等に設置されるものである。図6では、一例として、ビル23の屋上に設置された状態を示している。
また、本実施形態の画像表示装置300は、例えばイベント会場やショールームに設置する等、屋内用途として用いることも可能である。
【0052】
画像表示部21は、例えば第1の実施形態において示した表示パネル10(図2参照)よって構成される。例えば、画像表示部21では、複数の走査線と、走査線に直交する方向に配設される複数の信号線の交差毎に一つの画素エリアが割り当てられる。また、一つの画素毎に、画素を駆動する例えば半導体装置が配設される。
【0053】
例えば走査線は、図示しない走査線駆動回路に接続され、走査線駆動回路からのパルス電圧によって半導体装置をオン状態にする。
半導体装置がオン状態になると、輝度情報に応じた映像信号が、信号駆動回路から発光素子に供給される。発光素子が、この映像信号の電流値に応じた輝度で発光することにより、画像が表示される。
また、表示パネル10の右目用の画像を表示する画素領域及び左目用の画像を表示する画素領域における発光素子には、それぞれ右目用の画像及び左目用の画像に対応した映像信号が信号駆動回路より供給される。
【0054】
偏光モジュール22には、例えば第1〜第2の実施形態(図1,図5参照)において示した偏光モジュール100,200のいずれかが用いられる。
【0055】
偏光モジュール100,200は、既述のように、第1の波長板2及び第2の波長板3上において、第1の波長板2及び第2の波長板3の配列方向と交差(直交)する方向に、第3の波長板4を配列している。このため、画像表示部21には、右目用の画像表示領域と左目用の画像表示領域とを直交する二方向において、それぞれ交互に配置することができるので、垂直解像度と水平解像度のバランスをとることができる。したがって、高品質な立体画像を提供することが可能である。
【0056】
以上、偏光モジュール及び画像表示装置の実施形態について説明した。本技術は上記実施形態にとらわれることなく、特許請求の範囲に記載した本技術の要旨を逸脱しない限りにおいて、考えられる種々の形態を含むものである。
【0057】
また、本技術は、以下のような構成を取ることもできる。
(1)
偏光板と、
前記偏光板上に配置され、前記偏光板の偏光軸に対して、遅相軸が45度傾くように配置された複数の第1の1/4波長板と、
前記偏光板上に配置され、前記偏光板の偏光軸に対して、前記第1の1/4波長板の前記遅相軸とは反対方向に遅相軸を45度傾けて、前記第1の1/4波長板と交互に配置された複数の第2の1/4波長板と、
前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板の配列方向に対して交差する方向に、前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板上に所定の間隔でそれぞれ配列された複数の1/2波長板と、
を含む
偏光モジュール。
(2)
前記複数の1/2波長板上に配置され、光学的等方性を有する透明な樹脂板を備える
(1)に記載の偏光モジュール。
(3)
前記樹脂板は、前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板上において、前記複数の1/2波長板のそれぞれの間に配置された透明両面粘着テープによって、前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板に固着された
(1)または(2)に記載の偏光モジュール。
(4)
前記1/2波長板の前記樹脂板側の主面に反射防止膜が設けられた
(1)〜(3)に記載の偏光モジュール。
(5)
前記樹脂板は、透明両面粘着テープによって、前記複数の1/2波長板に固着された
(1)〜(4)に記載の偏光モジュール。
(6)
前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板上において、前記1/2波長板が配置されない箇所には、反射防止膜が設けられた
(5)に記載の偏光モジュール。
(7)
右目用の画像を表示する第1の画素領域と、左目用の画像を表示する第2の画素領域とが、交差する二方向に交互に配置された表示パネルと、
前記表示パネル上に配置され、偏光板と、前記偏光板上に配置され、前記偏光板上に配置され、前記偏光板の偏光軸に対して、遅相軸が45度傾くように配置された複数の第1の1/4波長板と、前記偏光板上に配置され、前記偏光板の偏光軸に対して、前記第1の1/4波長板の前記遅相軸とは反対方向に遅相軸を45度傾けて、前記第1の1/4波長板と交互に配置された複数の第2の1/4波長板と、前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板の配列方向に対して交差する方向に、前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板上に所定の間隔でそれぞれ配列された複数の1/2波長板と、を含み、前記偏光板の前記1/2波長板側とは反対側の表面に前記表示パネルが取り付けられた偏光モジュールと、
を含む
画像表示装置。
(8)
前記画素は、LEDまたは有機EL等の自発光素子により構成される
(7)に記載の画像表示装置。
(9)
前記偏光モジュールの前記第2の1/4波長板と前記1/2波長板とが重なる領域と、前記第1の1/4波長板上において、前記1/2波長板が配置されない領域と、に対向して、前記表示パネルの前記第1の画素領域が配置され、前記偏光モジュールの前記第1の1/4波長板と前記1/2波長板とが重なる領域と、前記第2の1/4波長板上において、前記1/2波長板が配置されない領域と、に対向して、前記表示パネルの前記第2の画素領域が配置される
(7)または(8)に記載の画像表示装置。
【符号の説明】
【0058】
1・・・偏光板、1a・・・偏光板、2・・・第1の波長板、2a・・・第1の波長板、3・・・第2の波長板、3a・・・第2の波長板、4・・・第3の波長板、5・・・両面粘着テープ、6・・・樹脂板、6a・・・樹脂板、7・・・両面粘着テープ、8・・・空気層、10・・・表示パネル、11・・・画素、21・・・画像表示部、22・・・偏光モジュール、23・・・ビル、100,110,200・・・偏光モジュール、300・・・画像表示装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光板と、
前記偏光板上において所定間隔離してそれぞれ配置され、前記偏光板の偏光軸に対して、遅相軸が45度傾くように配置された複数の第1の1/4波長板と、
前記偏光板上に前記第1の1/4波長板と交互に配置され、前記偏光板の偏光軸に対して、前記第1の1/4波長板の前記遅相軸とは反対方向に遅相軸を45度傾くように配置された複数の第2の1/4波長板と、
前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板の配列方向に対して交差する方向に、前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板上に所定の間隔離してそれぞれ配置された複数の1/2波長板と、
を含む
偏光モジュール。
【請求項2】
前記複数の1/2波長板上に配置され、光学的等方性を有する透明な樹脂板を備える請求項1に記載の偏光モジュール。
【請求項3】
前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板上において、前記複数の1/2波長板のそれぞれの間に配置され、前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板と、前記樹脂板とを固着する複数の透明両面粘着テープを備える請求項2に記載の偏光モジュール。
【請求項4】
前記1/2波長板の前記樹脂板側の主面に設けられた反射防止膜を備える請求項3に記載の偏光モジュール。
【請求項5】
前記樹脂板は、透明両面粘着テープによって、前記複数の1/2波長板に固着された請求項2に記載の偏光モジュール。
【請求項6】
前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板上において、前記1/2波長板が配置されない箇所に設けられた反射防止膜を備える請求項5に記載の偏光モジュール。
【請求項7】
右目用の画像を表示する第1の画素領域と、左目用の画像を表示する第2の画素領域とが、交差する二方向に交互に配置された表示パネルと、
前記表示パネル上に配置され、偏光板と、前記偏光板上において所定間隔離してそれぞれ配置され、前記偏光板の偏光軸に対して、遅相軸が45度傾くように配置された複数の第1の1/4波長板と、前記偏光板上に前記第1の1/4波長板と交互に配置され、前記偏光板の偏光軸に対して、前記第1の1/4波長板の前記遅相軸とは反対方向に遅相軸を45度傾くように配置された複数の第2の1/4波長板と、前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板の配列方向に対して交差する方向に、前記複数の第1の1/4波長板及び前記複数の第2の1/4波長板上に所定の間隔離してそれぞれ配置された複数の1/2波長板と、を含み、前記偏光板の前記1/2波長板側とは反対側の表面に前記表示パネルが取り付けられた偏光モジュールと、
を含む
画像表示装置。
【請求項8】
前記画素は、LEDまたは有機EL等の自発光素子により構成される請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記偏光モジュールの前記第2の1/4波長板と前記1/2波長板とが重なる領域と、前記第1の1/4波長板上において、前記1/2波長板が配置されない領域と、に対向して、前記表示パネルの前記第1の画素領域が配置され、前記偏光モジュールの前記第1の1/4波長板と前記1/2波長板とが重なる領域と、前記第2の1/4波長板上において、前記1/2波長板が配置されない領域と、に対向して、前記表示パネルの前記第2の画素領域が配置される請求項8に記載の画像表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−19924(P2013−19924A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136346(P2011−136346)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】