説明

偏光板とその製造方法、並びに積層光学部材および液晶表示装置

【課題】偏光子と保護フィルムとの間における剥離、凝集破壊等の問題が少ない偏光板、積層光学部材、および液晶表示装置を提供する。
【解決手段】偏光子13と、光学用軟質樹脂からなる面12を有する保護フィルム11とを備えており、偏光子13が面12に接している偏光板10を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光子を備えた偏光板、該偏光板の製造方法、該偏光板を備えた積層光学部材、および、該偏光板または該光学部材を備えた液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、消費電力が低く、低電圧で動作可能であり、軽量、薄型である等の特徴を有しているため、各種の表示用デバイスとして広く用いられている。
【0003】
液晶表示装置の基本的な構成は、導光手段と、2枚の偏光板と、両偏光板によって挟まれた液晶セルとからなる。上記導光手段からの光は、上記2枚の偏光板によって偏光されるため、上記液晶セルにおける旋光を制御することによって、該光が人の目に届くか否かを制御することができる。
【0004】
偏光板は一般的に、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子の両面または片面に透明な保護フィルム(偏光子保護フィルム)が積層された構造を有する。偏光子に保護フィルムが積層されているのは、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子は強度が低く、偏光子単体では割れる、または裂けるおそれがあるためである。
【0005】
偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに縦一軸延伸と二色性色素による染色を行った後、ホウ酸処理して架橋反応を起こさせ、次いで水洗、乾燥する方法により製造される。二色性色素としては、ヨウ素または二色性有機染料が用いられる。かくして得られる偏光子の両面または片面に保護フィルムを積層して偏光板とされ、液晶表示装置に組み込まれて使用される。保護フィルムには、トリアセチルセルロースに代表されるセルロースアセテート系樹脂フィルムが多く使用されており、その厚さは通例30〜120μm程度である。また、保護フィルムの積層には、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を用いることが多い。
【0006】
また、少なくとも一方の保護フィルムを、セルロースアセテート系以外の樹脂で構成する試みがある。例えば、特許文献1には、偏光子の両面に保護フィルムを積層した偏光板において、その保護フィルムの少なくとも一方を、位相差フィルムの機能を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂で構成することが記載されている。また、特許文献2には、ヨウ素または二色性有機染料が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子の一方の面に非晶質ポリオレフィン系樹脂からなる保護フィルムが積層され、他方の面には、セルロースアセテート系樹脂など、非晶質ポリオレフィン系樹脂とは異なる樹脂からなる保護フィルムが積層された偏光板が記載されている。さらに、特許文献3には、ポリビニルアルコール系偏光子に、ウレタン系接着剤とポリビニルアルコール系樹脂とを含有する接着剤を介して、シクロオレフィン系樹脂からなる保護フィルムを積層することが記載されている。またさらに、特許文献4には、ノルボルネン系樹脂などの非晶質ポリオレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)からなる保護フィルムを積層した偏光板が記載されている。なお、これらの樹脂は、保護フィルムの保護という目的のために、ガラス転移温度が高いものが選ばれている。
【特許文献1】特開平8−43812号公報(平成8年2月16日公開)
【特許文献2】特開2002−174729号公報(平成14年6月21日公開)
【特許文献3】特開2004−334168号公報(平成16年11月25日公開)
【特許文献4】特開2007−65452号公報(平成19年3月15日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の偏光板では、偏光子と保護フィルムとの間で、剥離、凝集破壊等の問題が生じる場合があった。
【0008】
たとえば、二色性色素が吸着配向している偏光子の両面または片面に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介してトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを積層した偏光板は、湿熱条件下で長時間使用した場合に、保護フィルムと偏光子とが剥離し易いという問題があった。
【0009】
また、特許文献4には、偏光子にノルボルネン系樹脂などの非晶質ポリオレフィン樹脂(シクロオレフィン系樹脂)からなる保護フィルムを積層した場合に、該偏光子と該保護フィルムとの界面の樹脂側で凝集破壊を起こし易いことが記載されている。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、偏光子と保護フィルムとの間における剥離、凝集破壊等の問題が少ない偏光板、積層光学部材、および液晶表示装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、偏光子の保護という目的のために、従来はガラス転移温度が高い樹脂が用いられていた保護フィルムにおいて、ガラス転移温度が低い光学用軟質樹脂を用いることにより、上記問題を抑制し得ることを見出し、発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明に係る偏光板は、偏光子と、光学用軟質樹脂からなる面を有する保護フィルムとを備えており、該偏光子が、該光学用軟質樹脂からなる面に接していることを特徴としている。上記偏光板は、偏光子の少なくとも片面に保護フィルムが積層されている偏光板であって、保護フィルムの偏光子への接着面が光学用軟質樹脂からなる偏光板である。
【0013】
本発明に係る偏光板では、上記偏光子は、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子であってもよい。
【0014】
本発明に係る偏光板では、上記保護フィルムが、位相差フィルムであってもよい。
【0015】
本発明に係る偏光板では、上記保護フィルムが、反射防止機能、防眩機能、傷付防止機能、防汚機能、紫外線防止機能、および帯電防止機能からなる群より選ばれる一以上の機能を有していてもよい。
【0016】
本発明に係る偏光板では、上記保護フィルムが、多層フィルムであってもよく、該保護フィルムが、粘着層を備えていてもよい。
【0017】
本発明に係る偏光板では、上記光学用軟質樹脂のガラス転移温度が、90℃以下であることが好ましい。
【0018】
本発明に係る偏光板では、上記光学用軟質樹脂が、非晶質ポリエステル系樹脂、ポリア
ミド系樹脂、非結晶性オレフィン系樹脂からなる群より選ばれる一以上の樹脂からなるものであってもよい。
【0019】
本発明に係る偏光板では、上記光学用軟質樹脂が添加剤を含んでいる場合、該添加剤の量は、光学用軟質樹脂100重量部に対して0.5重量部以下であることが好ましい。
【0020】
本発明に係る偏光板では、上記光学用軟質樹脂に触媒残渣が含まれている場合、該触媒残渣の量は、光学用軟質樹脂100重量部に対して0.02重量部以下であることが好ましい。
【0021】
本発明に係る偏光板では、上記偏光子と上記保護フィルムとが水系の接着剤を介して積層されていてもよく、該水系の接着剤が、架橋性のエポキシ樹脂を含有していてもよい。
【0022】
本発明に係る偏光板では、上記偏光子と上記保護フィルムとが無溶剤型のエポキシ系接着剤を介して積層されていてもよく、該無溶剤型のエポキシ系接着剤が、熱硬化性または光硬化性であってもよい。
【0023】
本発明に係る偏光板の製造方法は、偏光子と光学用軟質樹脂からなる面を有する保護フィルムとを備えた偏光板の製造方法であって、該偏光子および該光学用軟質樹脂からなる面の少なくとも何れか一方に表面処理を施す表面処理工程と、該表面処理工程の後に、該偏光子と、該光学用軟質樹脂からなる面とを接着剤を介して貼り合わせる貼り合わせ工程とを包含していることを特徴としている。
【0024】
本発明に係る偏光板の製造方法では、上記表面処理は、コロナ放電処理、オゾン処理、電子線処理、UV処理、およびアンカーコート処理からなる群より選ばれる一以上の表面処理であってもよい。
【0025】
本発明に係る積層光学部材は、本発明に係る偏光板を備えていることを特徴としている。
【0026】
本発明に係る積層光学部材は、位相差フィルムをさらに備えていてもよい。
【0027】
本発明に係る液晶表示装置は、本発明に係る偏光板、または本発明に係る積層光学部材が、粘着剤を介して液晶セルに貼り合わされていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る偏光板は、偏光子が、保護フィルムの光学用軟質樹脂からなる面に接しているので、該偏光子と該保護フィルムとの間の応力歪が低減され、剥離、凝集破壊等が抑制される。
【0029】
本発明に係る偏光板の製造方法は、偏光子と光学用軟質樹脂からなる面を有する保護フィルムとを備えた偏光板を製造する際に、該偏光子と、該光学用軟質樹脂からなる面とを接着剤を介して貼り合わせる貼り合わせ工程の前に、該偏光子および該光学用軟質樹脂からなる面の何れか一方に表面処理を施す表面処理工程を実施するため、該偏光子と該保護フィルムとを強固に接着することができる。したがって、本発明に係る偏光板の製造方法によれば、本発明に係る偏光板を好適に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0031】
尚、本明細書では、「重量」は「質量」と同義語として扱い、「重量%」は「質量%」と同義語として扱う。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。
【0032】
また、本明細書では、「主成分」とは、50質量%以上含有していることを意味する。
【0033】
本発明は、偏光板を提供する。「偏光板」とは、光を偏光する機能を有する部材を指している。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る偏光板の概略構成を示す正面図である。図1に示すように、本実施形態に係る偏光板10は、保護フィルム11と、偏光子13と、位相差フィルム14とを備えている。なお、保護フィルム11の偏光子13との接着面12は、光学用軟質樹脂からなる。
【0035】
なお、本発明に係る偏光板は、上記構成に限られるものではなく、偏光子の少なくとも片面に保護フィルムが積層されたものであり、少なくとも一つの保護フィルムの偏光子への接着面が光学用軟質樹脂で構成されているものであればよい。言い換えれば、本発明に係る偏光板は、偏光子と、光学用軟質樹脂からなる面を有する保護フィルムとを備えており、該偏光子が、該光学用軟質樹脂からなる面に接している。したがって、図1に示す構成において、例えば、位相差フィルム14の代わりに保護フィルムを設けてもよいし、保護フィルム11の上部、または位相差フィルム14の下部に位相差フィルム、反射層、半透過型反射層、光拡散層、位相差フィルム、集光シート、輝度向上フィルム、粘着層等の新たな層を設けてもよい。
【0036】
(保護フィルム)
保護フィルム11としては、偏光子13を補強することができ、偏光子13との接着面12が光学用軟質樹脂からなるものであれば特に限られず、結晶性樹脂、および非晶質樹脂を好適に用いることができる。また、保護フィルム11は、光学用軟質樹脂からなる単層フィルムでも、光学用軟質樹脂を片面の最外層に有する多層フィルムであってもよい。保護フィルム11は、偏光子13の全面を覆っていることが好ましい。
【0037】
一実施形態において、保護フィルム11は、光学用軟質樹脂からなる。保護フィルム11を光学用軟質樹脂を用いて構成することにより、保護フィルム11の偏光子13との接着面12を、容易に光学用軟質樹脂とすることができる。
【0038】
保護フィルム11の厚さは、特に限られず、用途に応じて適宜選択し得るが、5〜1000μm程度であるのが好ましく、10μm以上、500μm以下、さらには15μm以上、150μm以下などが好ましい。
【0039】
また、保護フィルム11は、フィルム中の直径0.1mm以上の異物の個数が、0.1個/m以下であることが好ましく、0.01個/m以下であることがさらに好ましい。上記異物の量を上記のように低減させるためには、後述するようにポリマーフィルター等を用いればよい。
【0040】
また、保護フィルム11は、公知の技術により、位相差フィルムとなっていてもよいし、反射防止機能、防眩機能、傷付防止機能、防汚機能、紫外線防止機能などの機能を持っていてもよく、粘着層を有していてもよい。
【0041】
上記反射防止機能とは、偏光板、積層光学部材や液晶表示装置において、外光による反射を抑制する機能を指す。具体的には、可視光線の波長領域の反射率を、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.2%以下とする機能を意味する。こ
のような外光の反射は画面表示のコントラストを低下させ、画面が見え難くなる。このような反射防止機能は、例えば、フィルム表面に反射防止層を形成することにより付与することができる。
【0042】
上記防眩機能とは、偏光板、積層光学部材や液晶表示装置において、外光の反射により像が写り込むことを抑制する機能を指す。具体的には、防眩機能の指標として、例えば光沢度(グロス)の値が用いられ、入射角60°でのグロスを100以下、好ましくは60以下とする機能を意味する。このような外光の反射による像の写り込みは、画像表示を見難くする。写り込みは正反射により形成される像によるため、反射光を散乱させることで写り込みを抑制することができる。例えば、フィルム表面へ防眩層を形成することによりこのような防眩機能を付与することができる。
【0043】
上記傷付き防止機能とは、偏光板、積層光学部材や液晶表示装置において、画面上に傷が付くことを抑制する機能を指す。具体的には、鉛筆引っかき試験(JIS K5400)における鉛筆の硬度記号で2H以上、好ましくは4H以上、更に好ましくは5H以上とする機能を意味する。最表面にハードコート層を形成したり、摩擦係数を低下させたりすることで本機能を付与することができる。
【0044】
上記防汚機能とは、偏光板、積層光学部材や液晶表示装置において、画面上に指紋等の汚れが付くことを抑制する機能を指す。具体的には、水との接触角が80°以上、より好ましくは100°以上となるようにする機能を意味する。最表面にシリコン化合物やフッ素化合物を用いて撥水層を形成したりすることにより本機能を付与することができる。
【0045】
上記紫外線防止機能とは、偏光板、積層光学部材や液晶表示装置において、偏光子や液晶に紫外線を入り難くして、偏光子、液晶が光劣化することを抑制する機能を指す。具体的には、紫外線防止機能の指標として、波長380nm以下における光透過率が10%以下かつ波長400nmでの光透過率が80%以下(好ましくは70%以下)とする機能を意味する。紫外線吸収剤や紫外線反射剤等を用いることで本機能を付与することができる。
【0046】
上記帯電防止機能とは、偏光板、積層光学部材や液晶表示装置において、帯電により、ほこり等が付くことを抑制したり、放電して回路が損傷したりすることを防ぐ機能を指す。具体的には、表面抵抗値を1012Ω/□以下、好ましくは1011Ω/□以下、より好ましくは1010Ω/□以下とする機能を意味する。帯電防止層を表面や内部に形成することにより本機能を付与することができる。
【0047】
さらに、本発明で用いられる保護フィルムは、光学用途に単独で用いることもできる。図3は、上記フィルムの構成例を示す正面図である。図3に示すように、上記フィルムは、光学用軟質樹脂を含む層15からなる単層フィルム(図3(a))であってもよく、その他の層16を備え、かつ、光学用軟質樹脂を含む層15を少なくとも一層有する多層フィルムであってもよい(図3(b)および図3(c))。なお、もちろん上記のようなフィルムは、保護フィルムとして偏光子に接着させて用いることができる。
【0048】
(光学用軟質樹脂)
「光学用軟質樹脂」とは、ガラス転移温度が90℃以下の樹脂を指している。このような樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリアミノウンデカン酸(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンジアミノアジビン酸(ナイロン−66)、ポリヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ナイロン−610)、ポリヘキサメチレンジアミノドデカン二酸(ナイロン−612)などのポリアミ
ド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−スチレン共重合体、エチレン−ビニルシクロへキサンなどのオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などのハロゲン含有樹脂などから調製することができるが、これに限られるものではない。
【0049】
本発明に用いる光学用軟質樹脂のガラス転移温度は90℃以下であり、好ましくは80℃以下であり、より好ましくは60℃以下である。本発明に用いる光学用軟質樹脂は、結晶性であっても非結晶性であってもよいが、好ましくは結晶化度が1%以上、より好ましくは結晶化度が5%以上の結晶性樹脂である。結晶化度が5%未満の場合は、ガラス転移温度は、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。なお、本明細書において、ガラス転移温度および結晶化度は、DSC法(昇温速度毎分10℃で測定)により測定した値を指している。本発明における「ガラス転移温度」は、示差走査熱量計によって、JIS K7121に記載の方法で測定される値を意味する。
【0050】
一実施形態において、光学用軟質樹脂は、非晶質ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、非結晶性オレフィン樹脂、またはそれらの2種以上の組み合わせからなる。また、上記光学用軟質樹脂には、添加剤が添加されていてもよい。
【0051】
これらの樹脂のガラス転移温度が90℃よりも高い場合には、公知の可塑剤等を配合して、ガラス転移温度が90℃以下となるように調製すればよい。使用する可塑剤は、配合する光学用軟質樹脂の種類に応じて、当業者において周知慣用されている可塑剤を適宜用いればよく、例えば、光学用軟質樹脂としてポリ塩化ビニルを用いる場合、可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート等のエステル類を用いることができる。
【0052】
(非晶質ポリエステル系樹脂)
非晶質ポリエステル系樹脂であって、ガラス転移温度が90℃以下の樹脂が、本発明に係る光学用軟質樹脂として好適に用いることができる。上記非晶質ポリエステル系樹脂は、実質的に非晶質なポリエステルである。上記「実質的に非晶質な」とは、DSC法(10℃/分の昇温スピードで測定)により測定した結晶化度の値が10%以下のものであり、好ましくは5%以下、より好ましくは、上記DSC法による融点がほとんど見うけられないもの(すなわち、結晶化度0%)である。上記「結晶化度」は、DSC測定より得られる融解熱の値から、X線法等により固定した結晶化度の明確なサンプルを標準として、算出することができる。なお、結晶融解熱の測定は、DSC(示差走査熱量測定)装置を用い、試料量10mg、昇温速度10℃/分で窒素シールを行い、一度融点以上まで昇温し、常温まで降温した後、再度昇温したときの融解ピークの面積から求めることができる。結晶化度は、単一の樹脂から測定されることが好ましいが、混合状態で測定される場合には、混合される樹脂の融解ピークを差し引いて、融解ピークを求めればよい。
【0053】
非晶質ポリエステル系樹脂としては、実質的に非晶質であれば特に限定されず、ジカルボン酸成分とジオール成分とで構成される種々のポリエステルが挙げられる。
【0054】
ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トランス−3,3’−スチルベンジカルボン酸、トランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸、4,4’−ジベンジルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、および
これらの置換体等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、イコサン二酸、ドコサン二酸、1,12−ドデカンジオン酸、およびこれらの置換体等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、およびこれらの置換体等の脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
【0055】
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2,4−ジメチル−1,3−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール;1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環式ジオール;2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキシド付加物、キシリレングリコール等の芳香族ジオールなどが挙げられる。これらのジオール成分は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0056】
上記非晶質ポリエステル系樹脂は、上記以外にも、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸;安息香酸、ベンゾイル安息香酸等のモノカルボン酸;トリメリット酸等の多価カルボン酸;ポリアルキレングリコールモノメチルエーテル等の1価アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールなどの構成単位を含んでいてもよい。
【0057】
非晶質ポリエステル系樹脂は、非晶質のものであれば特に限定されないが、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を共重合成分として用いた共重合ポリエステル(以後、CHDM共重合PETという)が、コスト、生産性、などの観点で、好ましい。また、この場合、CHDMの共重合の割合はエチレングリコールに対して10〜40(モル%)が好ましく、さらに好ましくは20〜30(モル%)である。
【0058】
(ポリアミド系樹脂)
ポリアミド系樹脂であって、ガラス転移温度が90℃以下の樹脂が、本発明に係る光学用軟質樹脂として好適に用いることができる。上記ポリアミド系樹脂は、酸アミド結合を有する重合体であり、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリアミノウンデカン酸(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンジアミノアジピン酸(ナイロン−66)、ポリヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ナイロン−610)、ポリヘキサメチレンジアミノドデカン二酸(ナイロン−612)の如き重合体、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ナイロン−6/11)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(ナイロン−6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ナイロン−6/6
6/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカン二酸(ナイロン−6/66/612)の如き共重合体などが挙げられる。これらのポリアミド樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、また2種以上を混合して用いることもできる。
【0059】
これらのうち、ナイロン−6、ナイロン−6/12、ナイロン−6/11、ナイロン−6/66、ナイロン−6/66/610、ナイロン−6/66/612など、カプロアミドが主たる構成成分となっているものが、好ましく用いられる。なかでも、カプロアミド成分が60重量%以上のものは、耐衝撃性などの改善にも優れた効果を発揮するので、より好ましく用いられる。
【0060】
(非結晶性オレフィン系樹脂)
本発明の光学用軟質樹脂として、オレフィン単量体からなる重合体であって、ガラス転移温度が90℃以下の非結晶性オレフィン系樹脂を好適に用いることができ、特に、ガラス転移温度が40℃より大きいのものをさらに好適に用いることができる。
【0061】
重合体の成分となるオレフィンとしては、例えば、炭素原子数が3〜20のα−オレフィンがあり、具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン等の直鎖状のα−オレフィン;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0062】
さらには、ポリエン化合物、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物等も好ましい単量体である。
【0063】
上記ポリエン化合物としては、共役ポリエン化合物、非共役ポリエン化合物などを挙げることができる。共役ポリエン化合物としては、脂肪族共役ポリエン化合物および脂環族共役ポリエン化合物などが挙げられ、非共役ポリエン化合物としては、脂肪族非共役ポリエン化合物、脂環族非共役ポリエン化合物、芳香族非共役ポリエン化合物等が挙げられる。これらは、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基などを有していてもよい。
【0064】
上記環状オレフィンとしては、たとえば、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,
4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロロメチルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネン、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、シクロへプテン等が挙げられる。
【0065】
上記ビニル芳香族化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0066】
上記単量体は、1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0067】
これらの重合方法に限定は無いが、メタロセン系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等で製造することができる。該触媒としては、たとえば特開昭58−19309号公報、特開昭60−35005号公報、特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平10−508055号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報などに記載のメタロセン系触媒を例示することが出来る。また、メタロセン触媒を用いた製造方法の特に好ましい例として、欧州特許出願公開第1211287号明細書の方法を例示することができる。
【0068】
(添加剤)
本発明の光学用軟質樹脂に含まれる添加剤は、必要に応じて用いられ、特に限定はない。但し、光学用軟質樹脂中の添加剤の量は、光学用軟質樹脂100重量部に対して1重量部以下が好ましく、0.5重量部以下、0.3重量部以下、さらに0.1重量部以下がより好ましく、特に0.05重量部以下が、接着力の低下を抑制する観点から最も好ましい。また、結晶性ポリオレフィン系樹脂中の添加剤量は、結晶性ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.005質量部以上であることが好ましい。
【0069】
光学用軟質樹脂100重量部に対して添加剤の量が1重量部を超えると、経時でのブリードアウト現象などにより、接着力の低下を生じやすい。添加剤の量は少ないほどよいが、保護フィルム製造時に劣化を起こさない程度に加える必要がある。これら添加剤は1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0070】
上記添加剤として、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、過酸化物スカベンジャー、ヒドロキシルアミン、滑剤、可塑剤、難燃剤、造核剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、界面活性剤(防曇剤を含む)、顔料、充填剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、発泡剤、発泡助剤、乳化剤、光沢剤、中和剤、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスホフェナンスレン−10−オキシド等の着色改良剤、ベンゾフラノン類(米国特許第4325853号公報、同433
8244号公報、同5175312号公報、同5216053号公報、同5252643号公報、同4316611号公報、ドイツ特許公開公報4316622号公報、同4316876号公報、欧州特許出願公開第589839号公報、同591102号公報等)、インドリン類等の補助安定剤、架橋剤等を挙げることができる。
【0071】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクダデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、2,6−ジノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデシル−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデシル−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデシル−1’−イル)フェノールおよびそれらの混合物等のアルキル化モノフェノール;2,4−ジオクチルチオメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノールおよびそれらの混合物等のアルキルチオメチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペートおよびそれらの混合物等のヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールおよびそれらの混合物等のトコフェロール;2,2’−チオビス(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−t−アミルフェノール)、4,4’−(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド等のヒドロキシル化チオジフェニルエーテル;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−イソブチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス−3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−t−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−ペンチル−6−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]フェニルアクリレートおよびそれらの混合物等のアルキリデンビスフェノールおよびその誘導体;3,5,3’,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテートおよびそれらの混合物等のO−、N−およびS−ベンジル誘導体;ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル−2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネートおよびそれらの混合物等のヒドロキシベンジル化マロネート誘導体;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノールおよびそれらの混合物等の芳香族ヒドロキシベンジル誘導体;2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−n−オクチルチオ−4,6−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−n−オクチルチオ−4,6−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−フェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレートおよびそれらの混合物等のトリアジン誘導体;ジメチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩およびそれらの混合物等のベンジルホスホネート誘導体;4−ヒドロキシラウリル酸アニリド、4−ヒドロキシステアリン酸アニリド、オクチル−N−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバネートおよびそれらの混合物等のアシルアミノフェノール誘導体;β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸とメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物等の一価または多価アルコールとのエステル;β−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸とメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物等の一価または多価アルコールとのエステル;β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸とメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物等の一価または多価アルコールとのエステル;3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸とメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物等の一価または多価アルコールとのエステル;N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]トリメチレンジアミンおよびそれらの混合物等のβ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド等が挙げられる。
【0072】
また、1分子中に例えば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型のフェノール系酸化防止剤を用いてもよい。
【0073】
特に好ましい上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,2’−チオビス(6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シク
ロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、エチレングリコール=ビス[3,3−ビス−3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル]ブチレート]、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−ペンチル−6−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]フェニルアクリレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−フェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジ−n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、ネオペンタンテトライルテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、チオジエチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,6−ジオキサオクタメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、トリエチレングリコール=ビス(5−t−チル−4−ヒドロキシ−3−メチルシンナメート)、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン等が挙げられ、これらはそれぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。
【0074】
上記イオウ系酸化防止剤としては、例えばジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、トリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。
【0075】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4
,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイトおよびそれらの混合物等が挙げられる。また、特開2002−69260号公報記載のリン系酸化防止剤も好ましい。
【0076】
また、特に好ましい上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト等が挙げられ、これらはそれぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。
【0077】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−オクチルフェニルサリシレート、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、ヘシサデシル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートおよびそれらの混合物等のサリシレート誘導体;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンおよびそれらの混合物等の2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベン
ゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールの混合物、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[4−t−ブチル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)と2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールとの縮合物、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)とメチル−3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとの縮合物、2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、オクチル−3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸およびそれらの混合物等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0078】
また、特に好ましい上記紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−オクチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられ、これらはそれぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。
【0079】
上記光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイ
ル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルデカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル化物;1,2,3,4−ブタンテトラボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3、9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの重縮合物、N,N’,4,7−テトラキス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’,4−トリス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’,4,7−テトラキス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’,4−トリス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンおよびそれらの混合物等のヒンダードアミン系光安定剤、エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−α−カルボメトキシシンナメート、メチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチル−α−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメートおよびN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリンおよびそれらの混合物等のアクリレート系光安定剤、2,2’−チオビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカルバメート、モノアルキルエステルのニッケル塩、ケトキシムのニッケル錯体およびそれらの混合物等のニッケル系光安定剤、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルアニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルアニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチ
ルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エトキシアニリド、2−エトキシ−5,4’−ジ−t−ブチル−2’−エチルオキサニリドおよびそれらの混合物等のオキサミド系光安定剤、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2,4−ジヒドロキシフェニル−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンおよびそれらの混合物等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン系光安定剤等が挙げられる。
【0080】
また、特に好ましい上記光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン
((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]等が挙げられ、これらはそれぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。
【0081】
上記金属不活性化剤としては、例えば、N,N’−ジフェニルオキサミド、N−サリチラル−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)オキサリルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジドおよびそれらの混合物等が挙げられる。
【0082】
上記ヒドロキシルアミンとしては、例えば、N,N−ジベンジルヒドロキシアミン、N,N−ジエチルヒドロキシアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシルヒドロキシアミン、N−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシアミンおよびそれらの混合物等が挙げられる。
【0083】
上記中和剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト(塩基性マグネシウム・アルミニウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレード)、メラミン、アミン、ポリアミド、ポリウレタンおよびそれらの混合物等が挙げられる。
【0084】
上記滑剤としては、例えば、パラフィン、ワックス等の脂肪族炭化水素、ステアリン酸等の炭素数8〜22の高級脂肪族酸、炭素数8〜22の高級脂肪族酸金属(Al、Ca、Mg、Zn)塩、炭素数8〜22の脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4〜22の高級脂肪酸と炭素数4〜18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8〜22の高級脂肪族アミド、シリコーン油、ロジン誘導体等が挙げられる。例えば、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エルシルアミド、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0085】
上記帯電防止剤としては、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型の何れであってもよい。例えば、グリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン混合組成物、非イオン系界面活性剤等が例示される。また、例えば、アルキルジエタノールアミド類、アルキルジエタノールのモノエステル類、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、ステアリルジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミドのモノラウリン酸エステル、アルキルジエタノールアミドのモノミリスチン酸エステル、アルキルジエタノールアミドのモノパルミチン酸エステル、アルキルジエタノールアミドのモノステアリン酸エステル等が挙げられる。
【0086】
上記界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられ、特に限定はないが、樹脂との相溶性および熱安定性の観点から、非イオン界面活性剤が好ましく用いられる。具体的には、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノモンタネート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンジオレエート等のソルビタン脂肪酸エステルおよびそのアルキレンオキサイド付加物等のソルビタン系界面活性剤;グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンジステアレート、トリグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンジモンタネート、グリセ
リンモノオレエート、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンセスキオレエート、テトラグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリントリオレエート、テトラグリセリントリオレエート、テトラグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレンオキサイド付加物等のグリセリン系界面活性剤;ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールモノステアレート等のポリエチレングリコール系界面活性剤;アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物、ソルビタン/グリセリン縮合物と有機酸とのエステル、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4モル)ラウリルアミンモノステアレート等のポリオキシエチレンアルキルアミンおよびその脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0087】
上記界面活性剤としては、更にパーフルオロアルキル基、ω−ヒドロフルオロアルキル基等を有するフッ素化合物(特にフッ素系界面活性剤)、アルキルシロキサン基を有するシリコーン系化合物(特にシリコーン系界面活性剤)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤の具体例としては、ダイキン工業(株)製の「ユニダインDS−403」、「DS−406」、「DS−401」(商品名)、セイミケミカル(株)製の「サーフロンKC−40」(商品名)等が挙げられ、シリコーン系界面活性剤としては、東レダウコーニングシリコン(株)社製の「SH−3746」(商品名)が挙げられる。
【0088】
上記アンチブロッキング剤としては、球状あるいはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。具体的には、炭酸カルシウム、二酸化珪素、ポリメチルシルセスキオキサン、ケイ酸アルミニウム塩、ポリメチルメタクリレート架橋体が例示される。
【0089】
上記造核剤としては、例えば、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカン等の高分子系造核剤等が挙げられ、具体的には、ナトリウム=2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、[リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)]=ジヒドロオキシアルミニウム、ビス[リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)]ヒドロオキシアルミニウム、トリス[リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)]アルミニウム、ナトリウム=ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、安息香酸ナトリウム等の安息香酸金属塩、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、1,3:2,4−ビス(o−ベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−o−3,4−ジメチルベンジリデン−2,4−o−ベンジリデンソルビトール、1,3−o−ベンジリデン−2,4−o−3,4−ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−o−p−クロロベンジリデン−2,4−o−3,4−ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3−o−3,4−ジメチルベンジリデン−2,4−o−p−クロロベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−p−クロロベンジリデン)ソルビトールおよびそれらの混合物、ロジン系のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、具体的にはロジンのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等の化合物が挙げられる。また、ポリビニルシクロアルカン等の高分子系造核剤も用いられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0090】
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、珪酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、カーボンブラック、カーボンファイバー、ゼオライトおよびそれらの混合物等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0091】
上記発泡剤および発泡助剤としては、例えば、アゾジカルボン酸アミド等のアゾカルボン酸誘導体、N.N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物等が挙げられる。
【0092】
上記架橋剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、3,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチル−パーオキシ)ヘキサン−3、4,4’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらの添加剤のうち好ましく用いられるものは、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、過酸化物スカベンジャーおよび中和剤である。
【0093】
上記添加剤の添加方法は、均一に分散できるのであれば特に限定されるものではなく、通常の方法で添加することができる。例えば、光学用軟質樹脂を製造する重合工程において、重合反応途中または重合反応終了直後の重合反応混合物に添加剤を添加すればよい。添加剤は、溶剤に溶解した溶液として添加してもよいし、容易に分散し得るように粉末状に粉砕した分散剤として添加してもよいし、加熱して溶融状態で添加してもよい。
【0094】
また、光学用軟質樹脂を溶融混練しながら添加剤を添加した後、更に溶融混練してもよい。これら溶融混練には、例えば、リボンブレンダー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ロール、各種ニーダー、一軸押出機、二軸押出機等の混練機を用いて行われる。溶融混練後、得られた組成物は、冷却されることなく溶融状態のまま成形加工に供してもよいし、冷却してペレット等にした後、再度加熱して成形加工に供してもよい。また、冷却した後、冷却状態のままプレス成形等の方法で成形加工に供してもよい。複数の添加剤を用いる場合、添加方法に限定は無く、各添加剤を同時的に添加してもよいし、添加する各タイミングを前後して添加してもよい。
【0095】
また、特開2005―161696号公報に記載されているように、樹脂と複数の添加剤とを溶融混練して樹脂組成物を製造するに際して、下記第1工程〜第4工程、
第1工程:常温において粉体である添加剤を少なくとも2種以上と必要に応じ粉体の樹脂と混合し、予め添加剤マスターバッチを製造する工程;
第2工程:上記添加剤マスターバッチを添加剤貯蔵ホッパーに貯蔵する工程;
第3工程:上記添加剤貯蔵ホッパーの添加剤マスターバッチを添加剤供給用ホッパーに移送する工程;
第4工程:上記添加剤マスターバッチを計量し、溶融混練機に供給して樹脂と共に溶融混練し脂組成物(ペレット)を製造する工程;
を含むことを特徴とする製造方法等も用いることができる。
【0096】
これらの過程は窒素ガス等不活性ガス雰囲気で行うことがより好ましい。また、重合パウダーからペレット化までの一連の工程をクリーンルーム環境で実施することもより好ましい。更には、該工程での溶融混練機(造粒機)のダイスの上流にポリマーフィルター等の異物除去システムを組み込むことがより好ましい。
【0097】
当然のことながら、フィルム化の工程に関しても、上記と同様に一連の工程をクリーンルーム環境で実施すること、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うこと、該工程での溶融押出機のダイスの上流にポリマーフィルター等の異物除去システムを組み込むこと等は好ましい方法である。また異物として混入し易いセルロース繊維や化学合成繊維等を、全工程内で扱わない等の工夫により、一連の工程の作業環境から完全に除去することが好ま
しい。
【0098】
(触媒残渣)
本実施の形態に係る光学用軟質樹脂中には、通常、重合時の触媒の残渣が残留している。この触媒残渣が少ないほど、フィルムに成形した際におけるフィッシュアイ等の外観欠点が少なくなるため好ましい。
【0099】
触媒残渣の量としては、光学用軟質樹脂100質量部に対して0.02質量部以下、更には0.01質量部以下、特に0.005質量部以下とすることが好ましい。また、触媒残渣中のケイ素量は、光学用軟質樹脂100質量部に対して0.01質量部以下、更には0.005質量部以下とすることが好ましい。尚、上記触媒残渣の量並びに触媒残渣中のケイ素量は以下に記載の方法で定量することができる。
【0100】
<触媒残渣測定>
光学用軟質樹脂サンプル100gを精秤し、800℃の電気炉で灰化させる。灰化したサンプルを精秤して下式により触媒残渣の量を求めることができる。
触媒残渣(質量ppm)=(灰化後の光学用軟質樹脂(g)/灰化前の光学用軟質樹脂(g))×10
<ケイ素量測定>
光学用軟質樹脂サンプル1gを白金皿に取り、硫酸1ml添加後、ホットプレートで炭化させ、その後電気炉にて550℃で灰化させる。灰化後の残渣に、炭酸ナトリウム0.5gを加え、バーナーで溶融し、超純水にて50mlに定容後、パーキンエルマー社製IICP−AES(誘導結合プラズマ発光分析計 型式:Optima 3000)にてケイ素量を定量することができる。
【0101】
また、保護フィルムとしても、上記<触媒残渣測定>に準拠した方法で灰化させたときの残渣が保護フィルム100質量部に対して0.05質量部以下、更には0.02質量部以下、特に0.001質量部以下であることが好ましい。
【0102】
(保護フィルムの製造方法)
本発明に係る保護フィルの製造方法は、特に限られず、溶融樹脂からの押出成形法、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延し、溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法などの公知の方法を用いればよい。コスト的には溶融樹脂からの押出成形法が優れ、Tダイ成形法、インフレーション成形法などが好ましく用いられる。多層の場合には、多層Tダイ成形法、多層インフレーション成形法、押出ラミネート成形法、サンドラミネート成形法、ドライラミネート成形法、ウェットラミネート成形法、ホットメルトラミネート成形法などが好ましく用いられる。Tダイ成形法、多層Tダイ成形法では、エアーチャンバー、エアーナイフ、静電ピニングなどの方法で成形時にフィルムにかかる応力をできるだけ小さくすることで、面内位相差の小さいフィルムを得ることができる。さらにフレックスロールなどのソフトニップ方式やスチールベルト方式などを用いた冷却方法の場合には透明性をよりよくできる利点もある。
【0103】
溶融樹脂からの押出成形法を例にとれば、押出機とダイの間に配されたポリマーフィルターで小さい異物を濾過し、ダイから溶融膜を押出すことが好ましく、押出機とポリマーフィルターの間に、ブレーカープレートあるいはスクリーンチェンジャー、およびギアポンプをこの順序で配置し、ブレーカープレートあるいはスクリーンチェンジャーに配されたスクリーンで大きめの異物を濾過し、ギアポンプを経て、ポリマーフィルターで小さい異物を濾過するのがより好ましい。
【0104】
フィルム中の直径0.1mm以上の異物の個数を、0.1個/m以下、より好まし
くは0.01個/m以下にするためには、上記ポリマーフィルターとして、濾過精度が3〜80μmのものを用いればよい。
【0105】
ポリマーフィルターの一態様を図2に示す。ポリマーフィルターは、リーフディスクフィルター2を、異物が最も効率よく濾過されるように、ハウジング1内に配置されたセンターポスト3に複数枚取り付けることによって濾過面積を調整してなる。リーフディスクフィルター2は、上流側から下流側に向けて順次濾過精度が高くなるように、金属微細繊維の不織布を積層し、焼結して作られている。ポリマーフィルターは、最も高い濾過精度が3〜80μmである。これより濾過精度が低いと異物低減効果が低く、また濾過精度が高いと背圧が高くなりすぎ、非常に大きな濾過面積が必要となる。したがって、リーフディスクの枚数が極端に多くなったり、リーフディスクの径が大きくなったりするなど、ポリマーフィルター内での滞留時間が長くなり、熱劣化が生じやすいうえ、異物による目詰まりも激しく、好ましくない。
【0106】
(偏光子)
偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させて、所定の偏光特性が得られるようにしたものである。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。そこで偏光子として、具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素を吸着配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性有機染料を吸着配向させた染料系偏光フィルムなどを挙げることができる。
【0107】
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルおよびこれに共重合可能な他の単量体の共重合体などが用いられる。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用することができる。
【0108】
(偏光板の製造方法)
偏光板は通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの水分を調整する調湿工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液を洗い落とす洗浄工程、およびこれらの工程が施されて二色性色素が吸着配向された一軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに保護フィルムを貼り合わせる工程を経て製造される。一軸延伸は、染色の前に行うこともあるし、染色中に行うこともあるし、染色後のホウ酸処理中に行うこともある。また、これら複数の段階で一軸延伸されることもある。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は通常、4〜8倍程度である。ポリビニルアルコール系偏光子の厚さは、例えば、約5〜50μm程度である。
【0109】
本発明の偏光板において該保護フィルムが積層される面とは異なる面に樹脂フィルムを積層するのも有効である。樹脂フィルムの樹脂としては、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなセルロースアセテート系樹脂、非晶質ポリオレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)、光学用軟質樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。偏光子との接着の容易さや表面処理層の形成しやすさなどを考慮すると、セルロースアセテート系樹脂フィルム、とりわけトリアセチルセルロースフィルムが好適に用いられる。保護フィルムとしてセルロースアセテート系樹脂フィルムを用いる場
合、偏光子との貼り合わせに先立ってその表面をアルカリ水溶液でケン化しておくのが望ましい。樹脂フィルムの厚さは、通常30〜200μm程度であり、好ましくは30〜120μm、さらに好ましくは30〜85μmである。液晶セルに貼り合わされる面とは異なる側の偏光板表面には、反射防止層、防眩層など、各種の表面処理層を有してもよい。
【0110】
偏光子と保護フィルムとの接着には、例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを成分とする接着剤を用いることができる。接着剤層を薄くする観点から好ましい接着剤として、水系の接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解したものまたは水に分散させたものを挙げることができる。また、別の好ましい接着剤として、無溶剤型の接着剤、具体的には、加熱や活性エネルギー線の照射によりモノマーまたはオリゴマーを反応硬化させて接着剤層を形成する接着剤等が挙げられる。
【0111】
(水系の接着剤)
以下、水系の接着剤について説明する。水系の接着剤となり得る接着剤成分としては、例えば、水溶性の架橋性エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0112】
水溶性の架橋性エポキシ樹脂としては、例えば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンとアジピン酸等のジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂が挙げられる。このようなポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、住化ケムテックス(株)から販売されている「スミレーズレジン 650」や「スミレーズレジン 675」(何れも商品名)等がある。
【0113】
接着剤成分として水溶性のエポキシ樹脂を用いる場合は、更に塗工性と接着性とを向上させるために、ポリビニルアルコール系樹脂等の他の水溶性樹脂を混合することが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールの他、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコール等の変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。これらの中でも、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸またはその塩との共重合体のケン化物、即ち、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。尚、ここでいう「カルボキシル基」とは、カルボキシル基(−COOH)のみならずその塩も含まれる。
【0114】
市販されている好適なカルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、それぞれ(株)クラレから販売されている「クラレポバール KL−506」、「クラレポバール KL−318」および「クラレポバール KL−118」(何れも商品名)、それぞれ日本合成化学工業(株)から販売されている「ゴーセナール T−330」および「ゴーセナール T−350」(商品名)、電気化学工業(株)から販売されている「DR−0415」(商品名)、それぞれ日本酢ビ・ポバール(株)から販売されている「AF−17」、「AT−17」および「AP−17」(何れも商品名)等が挙げられる。
【0115】
上記接着剤として、水溶性のエポキシ樹脂を含む接着剤を用いる場合、そのエポキシ樹脂および必要に応じて加えられるポリビニルアルコール系樹脂等の他の水溶性樹脂を水に溶解して、接着剤溶液を作成する。この場合、水溶性のエポキシ樹脂は、水100質量部あたり0.2〜2質量部程度の範囲の濃度とすることが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その量は、水100質量部あたり1〜10質量部程度の範囲内とすることが好ましく、1〜5質量部程度の範囲内とすることが更に好ましい。
【0116】
一方、ウレタン系樹脂を含む水系の接着剤を用いる場合、適当なウレタン系樹脂の例と
して、アイオノマー型のウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂が挙げられる。
【0117】
ここで、アイオノマー型とは、骨格を構成するウレタン樹脂中に、少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。また、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている「ハイドラン AP−20」、「ハイドラン APX−101H」(何れも商品名)等があり、何れもエマルジョンの形で入手できる。
【0118】
アイオノマー型のウレタン樹脂を接着剤成分とする場合、通常は更にイソシアネート系架橋剤等の架橋剤を配合することが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、分子内にイソシアネート基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物であり、その例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネート単量体の他、それらの複数分子がトリメチロールプロパン等の多価アルコールに付加したアダクト体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアネート基の部分でイソシアヌレート環を形成した3官能のイソシアヌレート体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアネート基の部分で水和・脱炭酸して形成されるビュレット体等のポリイソシアネート変性体等がある。好適に使用しうる市販のイソシアネート系架橋剤として、例えば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている「ハイドランアシスター C−1」(商品名)等が挙げられる。
【0119】
アイオノマー型のウレタン樹脂を含む水系接着剤を用いる場合は、その粘度および接着性の観点から、そのウレタン樹脂の濃度が10〜70質量%程度の範囲内、更には20質量%以上、また50質量%以下となるように、水中に分散させたものが好ましい。イソシアネート系架橋剤を配合する場合は、ウレタン樹脂100質量部に対してイソシアネート系架橋剤が5〜100質量部程度の範囲内となるように、その配合量を適宜選択すればよい。
【0120】
以上のような水系の接着剤を、保護フィルムおよび/または偏光子の接着面に塗布し、両者を貼り合わせて、偏光板とすることができる。
【0121】
上記偏光子と上記保護フィルムとを貼り合わせる方法は特に限定されるものではなく、例えば、ポリビニルアルコール系偏光子または保護フィルムの表面に接着剤を均一に塗布し、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼り合わせ、乾燥する方法等が挙げられる。乾燥は、例えば、60〜100℃程度の範囲内の温度で行われる。乾燥後は、室温よりやや高い温度、例えば30〜50℃程度の範囲内の温度で1〜10日間程度養生して行うことが、接着力を一層高める観点からで好ましい。
【0122】
(無溶剤型の接着剤)
次に、無溶剤型の接着剤について説明する。無溶剤型の接着剤とは、有意量の溶剤を含まず、一般には、加熱や活性エネルギー線の照射により重合する硬化性の化合物と、重合開始剤とを含んで構成される接着剤である。反応性の観点からは、カチオン重合で硬化するものが好ましく、特にエポキシ系の接着剤が好ましく用いられる。
【0123】
本実施の形態に係る偏光板において、一つの好ましい形態では、偏光子と保護フィルムとが、無溶剤型のエポキシ系接着剤を介して積層されている。この接着剤は、加熱または
活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化するものであることがより好ましい。特に、耐候性や屈折率等の観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物が、硬化性化合物として好適に用いられる。
【0124】
分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いた接着剤は、例えば、特開2004−245925号公報に記載されている。このような芳香環を含まないエポキシ化合物としては、例えば、芳香族エポキシ化合物の水素化物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。接着剤に用いる硬化性のエポキシ化合物は、通常、分子中にエポキシ基を2個以上有している。
【0125】
上記芳香族エポキシ化合物の水素化物は、芳香族エポキシ化合物を触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行うことにより得られる。
【0126】
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテル等のビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、エポキシ化ポリビニルフェノール等の多官能型のエポキシ化合物等が挙げられる。これら芳香族エポキシ化合物の水素化物の中でも好ましいものとして、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0127】
次に脂環式エポキシ化合物について説明する。脂環式エポキシ化合物とは、次式に示すように、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する化合物である。
【0128】
【化1】

【0129】
(式中、mは2〜5の整数を表す)
上記式における(CH中の水素原子を1個または複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合した化合物が、脂環式エポキシ化合物である。また、脂環式環を形成する水素がメチル基やエチル基等の直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。中でも、エポキシシクロペンタン環(上式においてm=3のもの)や、エポキシシクロヘキサン環(上式においてm=4のもの)を有する化合物を用いることがより好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例として、以下のような化合物が挙げられる。
【0130】
即ち、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(または、3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2',6'−ジオキサンスピロ−3'',5''−ジオキサンスピロ−3''',4'''−エポキシシクロヘキサンとも
命名できる化合物)、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2,6−ジオキサ−8,9−エポキシスピロ[5.5]ウンデカン、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。
【0131】
上記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルが挙げられる。具体的には、例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコールやプロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0132】
ここに例示したエポキシ化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、また複数のエポキシ化合物を混合して使用してもよい。
【0133】
無溶剤型の接着剤に使用するエポキシ化合物のエポキシ当量は、通常30〜3,000g/当量の範囲内であり、好ましくは50〜1,500g/当量の範囲内である。エポキシ当量が30g/当量を下回ると、硬化後の保護フィルムの可撓性が低下したり、接着強度が低下したりするおそれがある。一方、3,000g/当量を超えると、他の成分との相溶性が低下するおそれがある。
【0134】
エポキシ化合物をカチオン重合で硬化させるためには、カチオン重合開始剤が配合される。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射、または加熱により、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させる。何れのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが、作業性の観点から好ましい。
【0135】
以下、光カチオン重合開始剤について説明する。光カチオン重合開始剤を使用すると、常温での硬化が可能となり、偏光子の耐熱性あるいは膨張による歪を考慮する必要が減少し、保護フィルムを良好に接着させることができる。また、光カチオン重合開始剤は光により触媒的に作用するため、エポキシ化合物と混合しても保存安定性や作業性に優れる。
【0136】
活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、鉄−アレン錯体等が挙げられる。これらの中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
【0137】
これらの光カチオン重合開始剤は市販品として容易に入手することができ、例えば、それぞれ商品名で、「カヤラッド PCI−220」、「カヤラッド PCI−620」(以上、日本化薬(株)製)、「UVI−6990」(ユニオンカーバイド社製)、「アデカオプトマー SP−150」、「アデカオプトマー SP−170」(以上、(株)ADEKA製)、「CI−5102」、「CIT−1370」、「CIT−1682」、「CIP−1866S」、「CIP−2048S」、「CIP−2064S」(以上、日本曹達(株)製)、「DPI−101」、「DPI−102」、「DPI−103」、「DPI−105」、「MPI−103」、「MPI−105」、「BBI−101」、「BBI−102」、「BBI−103」、「BBI−105」、「TPS−101」、「TPS
−102」、「TPS−103」、「TPS−105」、「MDS−103」、「MDS−105」、「DTS−102」、「DTS−103」(以上、みどり化学(株)製)、「PI−2074」(ローディア社製)等が挙げられる。特に、日本曹達(株)製の「CI−5102」は、好ましい開始剤の一つである。
【0138】
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物100質量部に対して、通常0.5〜20質量部の範囲内であり、好ましくは1質量部以上、また好ましくは15質量部以下である。
【0139】
更に、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤を使用することで、反応性が向上し、硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素等が挙げられる。光増感剤を配合する場合、その量は、例えば、光カチオン重合性エポキシ樹脂組成物を100質量部として、0.1〜20質量部程度の範囲内である。
【0140】
次に、熱カチオン重合開始剤について説明する。加熱によりカチオン種またはルイス酸を発生する化合物としては、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミド等が挙げられる。これらの熱カチオン重合開始剤も、市販品として容易に入手することができ、例えば、何れも商品名で、「アデカオプトン CP77」および「アデカオプトン CP66」(以上、(株)ADEKA製)、「CI−2639」および「CI−2624」(以上、日本曹達(株)製)、「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」および「サンエイド SI−100L」(以上、三新化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0141】
尚、以上説明した光カチオン重合と熱カチオン重合とを併用することも、有用な技術である。
【0142】
エポキシ系接着剤は、更にオキセタン類やポリオール類等、カチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
【0143】
無溶剤型の接着剤を用いる場合も、その接着剤を、保護フィルムおよび/または偏光子の接着面に塗布し、両者を貼り合わせて、偏光板とすることができる。偏光子または保護フィルムに無溶剤型の接着剤を塗工する方法に特別な限定はなく、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の塗工方式を利用することができる。また、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、少量の溶剤を用いて粘度調整を行ってもよい。このために用いる溶剤は、偏光子の光学性能を低下させることなく、エポキシ系接着剤を良好に溶解するものあればよく、例えば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類等の有機溶剤を使用することができる。エポキシ系接着剤を用いる場合、接着剤層の厚さは、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下であり、また、通常は1μm以上である。
【0144】
以上のように、未硬化の接着剤層を介して偏光子に保護フィルムを貼り合わせた後は、活性エネルギー線を照射するか、加熱することにより、エポキシ系接着剤層を硬化させ、保護フィルムを偏光子上に固着させる。活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、好ましくは紫外線が用いられる。具体的な紫外線光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。活性エネルギー線若しくは紫外線の照射強度や照射量は、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬
化後の接着剤層や偏光子、保護フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。
【0145】
また加熱により硬化させる場合は、一般的に知られた方法で加熱することができ、そのときの温度や時間も、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光子、保護フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。
【0146】
偏光子の片面に上記保護フィルムを積層し、他面には上記樹脂フィルムを積層する場合も、上記と同様の接着剤を用いてもよいし、それとは異なる接着剤を用いてもよい。但し、偏光子の両面に、同じ接着剤を用いる方が、工程および材料を少なくできることからより好ましい。
【0147】
本実施の形態に係る偏光板の製造では、偏光子および/または保護フィルムの接着面には、各種表面処理、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、電子線処理、UV処理、アンカーコート処理等がされていることが好ましい。これにより、上記したような接着剤を介して偏光子を貼り合わせた後の保護フィルムの光学用軟質樹脂からなる面と偏光子との接着力を高めることができる。上記各種表面処理の中でもコロナ放電処理がより好ましい。
【0148】
上記コロナ放電処理とは、電極間に高電圧をかけて放電し、電極間に配置されたフィルムを活性化する処理である。コロナ放電処理の効果は、電極の種類、電極間隔、電圧、湿度、使用するフィルムの種類等によっても異なり、コロナ放電処理の条件は、例えば、電極間隔を1〜5mmの範囲内、移動速度を3〜20m/分程度の範囲内に設定することが好ましい。コロナ放電処理後は、その処理面に、上記したような接着剤を介して偏光子が貼り合わされる。偏光子の片面に該保護フィルムを積層し、他面には樹脂フィルムを積層する場合も、上記と同様の表面処理を用いてもよい。
【0149】
かくして、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子の少なくとも片面に保護フィルムが積層されており、保護フィルムの偏光子への接着面が光学用軟質樹脂からなる偏光板が提供される。
【0150】
こうして得られる偏光板は、一方の保護フィルムの外側に粘着剤層を形成して、粘着剤付き偏光板とすることができる。この場合、粘着剤層の表面は剥離フィルムで覆うのが通例である。
【0151】
(積層光学部材)
上記偏光板の使用に際して、少なくとも一方の表面に、偏光機能以外の光学機能を示す光学層を設けた積層光学部材とすることもできる。積層光学部材の形成を目的として偏光板に積層することができる光学層としては、例えば、反射層、半透過型反射層、光拡散層、位相差フィルム、集光シート、輝度向上フィルム等、液晶表示装置の形成に用いられる各種の光学層が挙げられる。これらの中でも、反射層、半透過型反射層および光拡散層は、反射型ないし半透過型や拡散型、それらの両用型の偏光板からなる積層光学部材を形成する場合に用いられるものである。
【0152】
反射型偏光板としての積層光学部材は、視認側からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置に用いられ、バックライト等の光源を省略できるため、液晶表示装置を薄型化し易い。また半透過型の偏光板としての積層光学部材は、明所では反射型として、暗所ではバックライト等の光源を介して表示するタイプの液晶表示装置に用いられる。
【0153】
反射型偏光板としての積層光学部材は、例えば、偏光子上の保護フィルムにアルミニウム等の金属からなる箔や蒸着膜を付設して、反射層を形成することにより作製することが
できる。半透過型の偏光板としての積層光学部材は、例えば、上記の反射層をハーフミラーとしたり、パール顔料等を含有させて光透過性を示す反射板を偏光板に接着したりすることにより形成することができる。一方、拡散型偏光板としての積層光学部材は、例えば、偏光板上の保護フィルムにマット処理を施す方法、微粒子含有の樹脂を塗布する方法、微粒子含有のフィルムを接着する方法等、種々の方法を用いて、表面に微細凹凸構造を形成させることにより作製することができる。
【0154】
更に、反射拡散両用の偏光板としての積層光学部材の形成は、例えば、拡散型偏光板の表面微細凹凸構造面にその微細凹凸構造が反映した反射層を設ける等の方法により、行うことができる。微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラツキを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点等を有する。また、微粒子を含有した樹脂層やフィルムは、入射光およびその反射光が微粒子含有層を透過する際に拡散されて、明暗ムラをより抑制しうる等の利点も有している。
【0155】
表面微細凹凸構造を反映させた反射層は、例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の蒸着やメッキ等の方法で、金属を微細凹凸構造の表面に直接付設することにより形成することができる。表面微細凹凸構造を形成するために配合する微粒子としては、例えば、平均粒径が0.1〜30μmの範囲内のシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、並びに酸化アンチモン等からなる無機系微粒子、架橋または未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子等を利用することができる。
【0156】
他方、上記した光学層としての位相差フィルムは、液晶セルによる位相差の補償等を目的として使用される。その例としては、各種プラスチックの延伸フィルム等からなる複屈折性フィルム、ディスコティック液晶やネマチック液晶が配向固定されたフィルム、フィルム基材上に上記の液晶層が形成されたフィルム等が挙げられる。この場合、配向液晶層を支持するフィルム基材として、トリアセチルセルロース等セルロース系樹脂フィルムが好ましく用いられる。
【0157】
複屈折性フィルムを形成するプラスチックとしては、例えば、非晶質ポリオレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)、セルロースアセテート系樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド等が挙げられる。
【0158】
延伸フィルムは、一軸延伸や二軸延伸等の適宜な延伸方式で処理したものであってよい。また、熱収縮性フィルムとの接着下で収縮力および/または延伸力をかけることでフィルムの厚さ方向の屈折率を制御した複屈折性フィルムでもよい。尚、位相差フィルムは、広帯域化等光学特性の制御を目的として、2枚以上を組み合わせて使用してもよい。
【0159】
集光シートは、光路制御等を目的に用いられるもので、プリズムアレイシートやレンズアレイシート、あるいはドット付設シート等として、形成することができる。
【0160】
輝度向上フィルムは、液晶表示装置等における輝度の向上を目的に用いられるもので、その例としては、屈折率の異方性が互いに異なる薄膜フィルムを複数枚積層して反射率に異方性が生じるように設計された反射型偏光分離シート、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持した円偏光分離シート等が挙げられる。
【0161】
積層光学部材は、偏光板と、上述した反射層、半透過型反射層、光拡散層、位相差フィルム、集光シート、および輝度向上フィルム等から使用目的に応じて選択される1層また
は2層以上の光学層とを組み合わせ、2層または3層以上の積層体とすることができる。その場合、光拡散層、位相差フィルム、集光シート、輝度向上フィルム等の光学層は、それぞれ2層以上を配置してもよい。尚、各光学層の配置に特に限定はない。
【0162】
積層光学部材を形成する各種光学層は、接着剤を用いて一体化されるが、そのために用いる接着剤は、接着層が良好に形成されるものであれば特に限定はなく、例えば、「(C)偏光板」の項にて上述した接着剤が挙げられる。また、接着作業の簡便性や光学歪の発生防止等の観点から、後述する粘着剤を使用することも好ましい。
【0163】
このような積層光学部材も、偏光板と同様に、所望の面で粘着剤を介して液晶セルに貼り合わされる。粘着剤としては、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、ブチルゴム系、シリコーン系等のベースポリマーを用いたものを使用することができる。より具体的には、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステルをベースとするポリマーや、これらの(メタ)アクリル酸エステルを2種類以上用いた共重合体をベースとするポリマーが好適に用いられる。
【0164】
粘着剤は通常、これらのベースポリマー中に極性モノマーが共重合されており、かかる極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーが挙げられる。
【0165】
架橋剤については、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成する2価または多価金属塩、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するポリイソシアネート化合物等が挙げられ、これらの化合物が、架橋剤として1種または2種以上、ベースポリマーに混合して用いられる。一般的な粘着剤層の厚さは5〜50μm程度の範囲内である。粘着剤層を偏光板に付与する場合、状況によってはコロナ処理等の表面処理を偏光板の保護フィルム表面に施してもよい。
【0166】
(液晶表示装置)
本実施の形態に係る偏光板若しくは積層光学部材は、必要に応じて上記したような他の光学層と積層した状態で、粘着剤を介して液晶セルに貼り合わせ、液晶表示装置とすることができる。液晶表示装置とするにあたっては、上述したように一方の保護フィルムの外側に粘着剤層を形成して粘着剤付き偏光板とし、その粘着剤層側が液晶セルに面するように貼り合わされる。積層光学部材の場合は、偏光板の保護フィルム以外の表面で液晶セルに貼り合わされることもある。液晶表示装置を構成する液晶セルは、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertical Alignment)、IPS(In-Plane Switching)等、この分野で知られている各種のモードの液晶セルを採用することができる。
【0167】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0168】
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、各種液晶表示装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】本発明の一実施形態に係る偏光板の概略構成を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る偏光板の製造方法に用いられるポリマーフィルターの概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るフィルムの概略構成を示す正面図である。
【符号の説明】
【0171】
1 ハウジング
2 リーフディスク
3 センターポスト
4 入口
5 出口
10 偏光板
11 保護フィルム
12 面
13 偏光子
14 位相差フィルム
15 光学用軟質樹脂を含む層
16 層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子と、
光学用軟質樹脂からなる面を有する保護フィルムとを備えており、
該偏光子が、該光学用軟質樹脂からなる面に接していることを特徴とする偏光板。
【請求項2】
上記保護フィルムが、位相差フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
上記保護フィルムが、反射防止機能、防眩機能、傷付防止機能、防汚機能、紫外線防止機能、および帯電防止機能からなる群より選ばれる一以上の機能を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板。
【請求項4】
上記保護フィルムが、多層フィルムであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の偏光板。
【請求項5】
上記保護フィルムが、粘着層を備えていることを特徴とする請求項4に記載の偏光板。
【請求項6】
上記光学用軟質樹脂のガラス転移温度が、90℃以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の偏光板。
【請求項7】
上記光学用軟質樹脂が、非晶質ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、非結晶性オレフィン系樹脂からなる群より選ばれる一以上の樹脂からなることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の偏光板。
【請求項8】
上記光学用軟質樹脂が添加剤を含んでおり、
該添加剤の量は、光学用軟質樹脂100重量部に対して0.5重量部以下であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の偏光板。
【請求項9】
上記光学用軟質樹脂には触媒残渣が含まれており、
該触媒残渣の量は、光学用軟質樹脂100重量部に対して0.02重量部以下であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の偏光板。
【請求項10】
上記偏光子と上記保護フィルムとが水系の接着剤を介して積層されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の偏光板。
【請求項11】
上記水系の接着剤が、架橋性のエポキシ樹脂を含有していることを特徴とする請求項10に記載の偏光板。
【請求項12】
上記偏光子と上記保護フィルムとが無溶剤型のエポキシ系接着剤を介して積層されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の偏光板。
【請求項13】
上記無溶剤型のエポキシ系接着剤が、熱硬化性または光硬化性であることを特徴とする請求項12に記載の偏光板。
【請求項14】
偏光子と光学用軟質樹脂からなる面を有する保護フィルムとを備えた偏光板の製造方法であって、
該偏光子および該光学用軟質樹脂からなる面の少なくとも何れか一方に表面処理を施す表面処理工程と、
該表面処理工程の後に、該偏光子と、該光学用軟質樹脂からなる面とを接着剤を介して
貼り合わせる貼り合わせ工程とを包含していることを特徴とする偏光板の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜13の何れか一項に記載の偏光板を備えていることを特徴とする積層光学部材。
【請求項16】
位相差フィルムをさらに備えていることを特徴とする請求項15に記載の積層光学部材。
【請求項17】
請求項1〜13の何れか一項に記載の偏光板、または請求項15もしくは16に記載の積層光学部材が、粘着剤を介して液晶セルに貼り合わされていることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−75473(P2009−75473A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246057(P2007−246057)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】