説明

偏光素子、液晶表示パネルおよび液晶表示装置

【課題】製造容易かつ安価であると共に、空間分離能力に優れた偏光素子を提供する。
【解決手段】複数のプリズム11が偏光成分を有する光線が底面側から入射されるように基材フィルム10上に並設された構成を有する。複数のプリズム11は、光学異方性材料により構成されており、かつ、入射光のうちp偏光とs偏光との各成分を分離すると共に、p偏光を透過し、s偏光を反射する。プリズム11は、入射面に垂直な方向に配向方向(光学軸)を有するアラミド材で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光を所定の偏光光に変換する偏光素子、ならびにそれを利用した液晶表示パネルおよび液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、偏光光を利用した画像表示装置が知られている。例えば、液晶表示パネルを用いた液晶表示装置では、表示パネルに対する照明光として直線偏光光を用いている。このような装置では、所定の偏光光を得るために、偏光素子が用いられている。
【0003】
図7は、液晶表示装置などに用いられる偏光素子100の一例を示している(特許文献1)。この偏光素子100は、ガラス基板110の構造化表面に蒸着された偏光分離膜130と、ガラス基板120の構造化表面に塗布された接着剤140とを接合して構成されている。ガラス基板110,120は、所定のピッチごとに二等辺三角柱のプリズムが形成された構造化表面を一方の面に有しており、このプリズムの斜面は、ガラス基板110,120の他方の平坦な面に対してほぼ45°の角度を有している。偏光分離膜130は、1つの低屈折率材料130Aと1つの高屈折率材料130Bとを交互に繰り返し積層して形成された多層膜からなる。接着剤140は、ガラス基板110,120とほぼ同じ屈折率の材料で構成されている。
【0004】
この偏光素子100では、ガラス基板110の平坦な面にほぼ垂直に入射した入射光は、偏光分離膜130で選択的に透過,反射されて、s偏光とp偏光とに空間分離される。偏光分離膜130を透過したp偏光は、ガラス基板120から射出される。一方、偏光分離膜130で反射されたs偏光は、隣接するプリズム上に形成されている偏光分離膜130で反射され、ガラス基板110から射出される。この結果、偏光素子100を透過して射出される光束はすべてp偏光となる。このp偏光が、例えば液晶表示パネルへの照明光として利用される。なお、偏光素子100を透過して射出された光束を例えば1/2波長板へ入射することにより、最終的な偏光成分をs偏光にすることも可能である。
【0005】
【特許文献1】特開2004−78234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の偏光素子100では、s偏光とp偏光とに空間分離する能力を高めるために何十層もの膜を積層させて偏光分離膜130を形成する必要がある。また、それぞれの膜は、全て一定の膜厚というわけではなく、所望の光学特性が得られるように各膜ごとに膜厚を調整する必要がある。さらに、偏光分離膜130を形成するには、スパッタや蒸着等のドライ工程または塗布等のウエット工程を用いる必要がある。これらのことから、偏光分離膜130は製造が困難であると共に、偏光素子100を安価に供給することが困難である。また、偏光素子100を安価に供給するために偏光分離膜130の積層数を少なくした場合には、s偏光とp偏光とに空間分離する能力が著しく低下する。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、製造が容易、かつ安価であると共に、空間分離能力に優れた偏光素子を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、上記偏光素子を利用した液晶表示パネルおよび液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の偏光素子は、複数のプリズムを備えたものである。この第1プリズムは、以下の(a)〜(d)の構成要素を備えたものである。
(a)偏光成分を有する光線が底面側から入射されるように配置されていること
(b)光学異方性材料により構成されていること
(c)入射光のうち第1偏光と第1偏光に対して直交する偏光方向を有する第2偏光との各成分を分離すること
(d)第1偏光を透過し、第2偏光を反射すること
【0010】
本発明の第2の偏光素子は、複数の第1プリズムおよび複数の第2プリズムを備えたものである。
上記第1プリズムは、以下の(a)〜(e)の構成要素を備えたものである。
(a)第1プリズムのそれぞれの面は、上記第2プリズムのそれぞれの面と所定の間隔で対向するように配置されていること
(b)偏光成分を有する光線が底面側から入射されるように配置されていること
(c)光学異方性材料により構成されていること
(d)入射光のうち第1偏光と第1偏光に対して直交する偏光方向を有する第2偏光との各成分を分離すること
(e)第1偏光を透過し、第2偏光を反射すること
上記第2プリズムは、以下の(a)〜(b)の構成要素を備えたものである。
(a)第1プリズムを透過した偏光光を底面側から出射するように配置されていること
(b)第1プリズムを透過した第1偏光を透過すること
【0011】
本発明の第3の偏光素子は、複数の第1プリズムおよび複数の第2プリズムを備えたものである。
上記第1プリズムは、以下の(a)〜(e)の構成要素を備えたものである。
(a)偏光成分を有する光線が底面側から入射されるように配置されていること
(b)第2プリズムと接合されていること
(c)光学異方性材料により構成されていること
(d)入射光のうち第1偏光と第1偏光に対して直交する偏光方向を有する第2偏光との各成分を分離すること
(e)第1偏光と第2偏光とを底面以外の少なくとも一つの面から透過すること
上記第2プリズムは、以下の(a)〜(b)の構成要素を備えたものである。
(a)それぞれの底面が複数の第1プリズムのそれぞれの面に接するように配置されていること
(b)第1プリズムを透過した第1偏光を透過すると共に、第1プリズムを透過した第2偏光を反射すること
【0012】
本発明の液晶表示パネルおよび液晶表示装置は、上記第1ないし第3の偏光素子のいずれかを備えたものである。
【0013】
本発明の第1ないし第3の偏光素子では、入射光は、光学異方性を有する複数のプリズムにおいて互いに垂直な直線偏光性を有する第1偏光および第2偏光に空間分離されたのち、各プリズムから第1偏光成分が透過され、一方、第2偏光成分は入射光側に反射される。透過した第1偏光が、例えば液晶表示パネルおよび液晶表示装置の照明光として利用される。
【0014】
特に、本発明の第2の偏光素子では、第1プリズムを透過した第1偏光は、第2プリズムから入射光とほぼ同一の方向に出射される。
【0015】
ここで、プリズムの「底面」とは、プリズムの表面における四角形の形状からなる複数の面のいずれか一つの面を意味する。また、プリズムの「母線方向」とは、プリズムの表面における四角形の形状からなる複数の面のいずれの面に対しても平行な方向を意味する。また、本発明の第2の偏光素子における「所定の間隔」は、好ましくは、底面と対向する面または頂角から底面に下ろした垂線の長さの半分以下の間隔である。
【0016】
本発明の液晶表示パネルまたは液晶表示装置では、入射光は、上記偏光素子において所定の偏光光に変換され、その偏光光が液晶セルに入射される。そして、この偏光光が表示内容に応じて液晶セルを選択的に透過し、透過した光がカラーフィルタを経て出射される。入射光は、白色光であってもよいし、カラーフィルタに応じた色の波長を有する光であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1ないし第3の偏光素子によれば、入射光に対して光学異方性を有する複数のプリズムを並設した構造を備えるようにしたので、形成母体自体によって自立的に偏光光を分離することができ、従来の偏光素子のように何十層もの多層膜を形成する必要がなくなる。よって、製造が容易となり、かつ安価であると共に、空間分離能力に優れたものとなる。
【0018】
また、本発明の液晶表示パネルまたは液晶表示装置によれば、上記第1ないし第3の偏光素子のいずれかを備えるようにしたので、安価であると共に、表示品質に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の一実施の形態に係る偏光素子1の断面を表したものである。この偏光素子1は、基材フィルム10上に複数のプリズム11を備えた構成を有している。
【0021】
プリズム11は、光学異方性(複屈折性)を有する材料で構成されている。具体的には、入射面に垂直な方向に配向方向(光学軸)を有するアラミド材で構成されており、s偏光に対して1.57(=Ns)、p偏光に対して1.86(=Np)の屈折率を有している。このプリズム11は、例えば底角αが37.50°の二等辺三角柱で構成されており、基材フィルム10の一方の側に、所定のピッチごとに、底角に挟まれた底面が基材フィルム10に接するように設けられている。なお、二等辺三角柱の母線方向が光学軸に平行な方向に対応している。なお、基材フィルム10は、プリズム11と同一の材料で構成されており、プリズム11と同一の光学軸および複屈折性を有している。
【0022】
ここで、プリズム11の「底面」とは、二等辺三角柱の表面における四角形の形状からなる3つの面のうち、二等辺三角形の等辺以外の辺を一辺とする面であり、二等辺三角形の等辺以外の辺の両端にある互いに等しい角度の底角によって挟み込まれた面を意味する。
【0023】
基材フィルム10は、プリズム11の配列を保持するためのものである。また、プリズム11は、底面側から入射する無偏光の入射光をp偏光とs偏光とに空間分離するようになっている。具体的には、底面側から入射する無偏光の入射光のうちp偏光成分を選択的に透過してプリズム11の斜面側から射出すると共に、s偏光成分を選択的に反射してプリズム11の底面側に射出するようになっている。
【0024】
ここで、プリズム11の「斜面」とは、二等辺三角柱の表面における四角形の形状からなる3つの面のうち、二等辺三角形の等辺を一辺とする面を意味する。
【0025】
本実施の形態の偏光素子1は、基材フィルム10の裏面に、混合された偏光成分を有する光が入射され、その入射光を光学異方性を有するプリズム11内においてp偏光成分とs偏光成分とに分離する。そして、その分離されたp偏光成分をプリズム11の斜面から透過すると共に、分離されたs偏光成分をプリズム11の斜面で反射して底面から入射光側に戻す。
【0026】
次に、プリズム11によってp偏光とs偏光とを空間分離する方法について説明する。
【0027】
p偏光が上述のようにプリズム11の斜面を透過するには、入射光がプリズム11の斜面に入射する角度γが少なくともp偏光に対する臨界角βpより小さいことが必要である。一方、s偏光が上述のようにプリズム11の斜面で全反射されるには、入射光がプリズム11の斜面に入射する角度γが少なくともs偏光に対する臨界角βs以上であることが必要である。従って、入射光がプリズム11の斜面に入射する角度γは、s偏光に対する臨界角βs以上、p偏光に対する臨界角βp未満であることが必要となる。その結果、プリズム11の底角αは、入射光をプリズム11の底面に垂直に入射させる場合において、s偏光に対する臨界角βs以上、p偏光に対する臨界角βp未満であることが必要となる。
【0028】
そこで、入射光がプリズム11の底面に垂直に入射するとして具体的に計算する。偏光素子1を取り巻く媒質を空気(屈折率Na=1.0)とすると、p偏光に対する臨界角βpは、sin-1( Na/Np) =39.56°となり、s偏光に対する臨界角βsは、sin-1( Na/Ns) =32.52°となる。従って、入射光がプリズム11の斜面に入射する角度γは、32.52°以上、39.56°未満であることが必要となる。その結果、プリズム11の底角αは、32.52°以上、39.56°未満であることが必要となる。なお、本実施の形態におけるプリズム11の底角αは、37.50°なので、上記の条件を満たしている。
【0029】
以上より、本実施の形態の偏光素子1によれば、光学異方性を有すると共に、上記の条件を満たす底角αを有するプリズム11を用いるようにしたので、入射光をp偏光とs偏光とに空間分離することができる。また、プリズム11を透過する光をp偏光のみとすることができ、偏光分離性能が顕著に優れたものとなる。
【0030】
また、本実施の形態の偏光素子1では、光学異方性を有すると共に、上記の条件を満たす底角αを有するプリズム11を用いているので、従来のように、何十層もの多層膜を形成したプリズムを用いる必要がなく、製造が容易、かつ安価なものとなる。

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【0031】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る偏光素子2は、上記第1の実施の形態の偏光素子1を所定の間隔で対向させたものである。そこで、上記第1の実施の形態における構成・作用・効果と共通する部分については適宜省略する。
【0032】
図2は、本発明の一実施の形態に係る偏光素子2の断面を表したものである。この偏光素子2は、2つの偏光素子1およびスペーサ40を備えている。2つの偏光素子1におけるそれぞれのプリズム11は、スペーサ40を介して所定の間隔で対向配置されている。さらに、2つの偏光素子1は、一方の偏光素子1の基材フィルム10側から入射する入射光の光軸と、他方の偏光素子1の基材フィルム10側から射出されるp偏光の光軸とが互いに平行となるように配置されている。スペーサ40は、例えば底面と対向する頂角から底面に下ろした垂線の長さの半分以下の直径の球形で構成されており、2つの偏光素子1におけるそれぞれのプリズム11の間には、空気(屈折率1.0)または空気以外の何らかの媒質が満たされている。
【0033】
本実施の形態の偏光素子3では、入射側のプリズム11において、入射光をp偏光成分とs偏光成分に分離する。その分離されたp偏光を斜面から透過し、分離されたs偏光を斜面で反射して底面から入射光側に戻す。出射側のプリズム11において、入射側のプリズム11を透過したp偏光を斜面から透過すると共に、入射光とほぼ同一の方向に出射する。
【0034】
以上より、本実施の形態の偏光素子2によれば、光学異方性を有すると共に、上記の条件を満たす底角αを有するプリズム11を用いているので、入射光をp偏光とs偏光とに空間分離することができる。また、2つの偏光素子1を対向配置しているので、偏光素子1の基材フィルム10の面に対して垂直な光軸を有するp偏光を射出することができる。さらに、プリズム11を透過する光をp偏光のみとすることができるので、偏光分離性能が顕著に優れている。
【0035】
また、本実施の形態の偏光素子2においても、光学異方性を有すると共に、上記の条件を満たす底角αを有するプリズム11を用いているので、何十層もの膜を形成したプリズムを用いる必要がなく、製造が容易、かつ安価であると共に、空間分離能力に優れている。
【0036】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る偏光素子3は、上記第1の実施の形態の偏光素子1にプリズム12および接着層13を更に構成要素に追加したものである。従って、上記第1の実施の形態における構成・作用・効果と共通する部分については適宜省略する。
【0037】
図3は、本発明の一実施の形態に係る偏光素子3の断面を表したものである。この偏光素子3は、基材フィルム10、複数のプリズム11,12および接着層13を備えた構成を有するものである。
【0038】
基材フィルム10およびプリズム11は、上記第1の実施の形態と同様の構成である。プリズム12は、例えば一方の底角α2が37.5°、他方の底角α3が20°、これらの底角α2,α3に挟まれた底面の形状がプリズム11の一の斜面の形状(四角形)とほぼ同一の三角柱で構成されている。また、プリズム12は、底面がプリズムの一の斜面に接着層13を介して接するように設けられている。さらに、プリズム12は、底角α2が接着層13を介してプリズム11の底角α1に接すると共に、底角α3が接着層13を介してプリズム11の2つの底角α1以外の頂角に接するように設けられている。ここで、プリズム12は、基材フィルム10およびプリズム11と同一の材料で構成されており、基材フィルム10およびプリズム11と同一の光学軸および複屈折性を有する。
【0039】
接着層13は、光学的な等方性を有する材料で構成されており、具体的には、屈折率Nc1.35のフッ素含有アクリル樹脂又はフッ素系ポリマー樹脂で構成されている。
【0040】
本実施の形態の偏光素子3では、プリズム11において、入射光をp偏光成分とs偏光成分に分離すると共に、p偏光を一の斜面から透過し、s偏光を他の斜面から透過する。一方、プリズム12側においては、プリズム11の一の斜面を透過したp偏光を斜面から透過し、プリズム11の他の斜面を透過したs偏光を斜面で反射して底面から入射光側に戻す。
【0041】
次に、プリズム11,12によって入射光をp偏光とs偏光とに空間分離する方法について説明する。
【0042】
まず、p偏光が上述のようにプリズム11の斜面を透過するには、入射光がプリズム11の斜面に入射する角度γが少なくともp偏光に対する臨界角βp1より小さいことが必要である。一方、s偏光が上述のようにプリズム11の斜面で全反射されるには、入射光がプリズム11の斜面に入射する角度γ1が少なくともs偏光に対する臨界角βs1以上であることが必要である。従って、入射光がプリズム11の斜面に入射する角度γ1は、s偏光に対する臨界角βs1以上、p偏光に対する臨界角βp1未満であることが必要となる。その結果、入射光をプリズム11の底面に垂直に入射させる場合において、プリズム11の底角α1は、s偏光に対する臨界角βs1以上、p偏光に対する臨界角βp1未満であることが必要となる。
【0043】
そこで、入射光がプリズム11の底面に垂直に入射するとして具体的に計算する。プリズム11の斜面に接する接着層13の屈折率Ncは1.35であるから、p偏光に対する臨界角βp1は、sin-1( Nc/Np) =59.30°となり、s偏光に対する臨界角βs1は、sin-1( Nc/Ns) =46.54°となる。従って、入射光がプリズム11の斜面に入射する角度γ1は、46.54°以上、59.30°未満であることが必要となる。その結果、プリズム11の底角α1は、46.54°以上、59.30°未満であることが必要となる。
【0044】
なお、上述のようにプリズム11の一方の斜面で全反射されたs偏光がプリズム11の他方の斜面へ入射する角度γ2(=180°−3α1)は、2.1°より大きく、40.38°以下である。従って、角度γ2はs偏光に対する臨界角βs1(=46.54)より小さいので、プリズム11の一方の斜面で全反射されたs偏光は、プリズム11の他方の斜面を透過する。
【0045】
次に、プリズム11の他方の斜面を透過したs偏光が上述のようにプリズム12の斜面で全反射されるには、s偏光がプリズム12の斜面に入射する角度γ2が少なくともs偏光に対する臨界角βs2以上であることが必要である。以下、図4に示したように、プリズム12における底角α2,α3以外の頂角を鈍角とした場合について説明する。
【0046】
この場合には、角度γ3は、180°−3α1+α3であるから、プリズム12の底角α3が、βs2≦180°−3α1+α3を満たすことが必要である。従って、プリズム12の底角α3は、3α1+βs2−180°以上となる。
【0047】
具体的には、偏光素子2を取り巻く媒質を空気(屈折率Na=1.0)とすると、s偏光に対する臨界角βs2は、sin-1( Na/Ns) =32.52°となる。従って、プリズム12の底角α3は、プリズム11の底角α1を52.50°(このときの入射角は52.50°)とすると、10.02°以上であることが必要となる。
【0048】
続いて、プリズム12の斜面Aで全反射されたs偏光が上述のようにプリズム11の底面を透過するには、s偏光がプリズム12の底面に入射する角度γ4が少なくともs偏光に対する臨界角βs2より小さいことが必要である。ここで、角度γ4は、180°−4α1+2α3であるから、プリズム12の底角α3が、βs2>180°−4α1+2α3を満たすことが必要である。従って、プリズム12の底角α3は、(βs2+4α1−180°)/2より小さいことが必要となる。
【0049】
具体的に、プリズム12の底角α3は、プリズム11の底角α1を52.50°とすると、31.26°より小さいことが必要となる。なお、プリズム12の底角α2を90°−α1=37.5として、隣り合う2つのプリズム12の斜面同士が隙間なく接する(境界C)ようにしている。ただし、実際には、隣り合う2つのプリズム12は上述のように一体成形されるので、図4に示した境界Cは本実施の形態における偏光素子3には存在しない。すなわち、図4に示した境界Cは単に説明上便宜的に用いられたものであり、この境界Cは本実施の形態の効果に何らの影響を及ぼさない。以下に示した変形例においても同様である。
【0050】
これらのことから、プリズム11の底角α1を52.50°とした場合には、プリズム12の底角α3を、10.02°以上、31.26°より小さくすることが必要となる。
【0051】
さらに、p偏光が上述のようにプリズム12の斜面Bを透過するには、入射光がプリズム12の斜面に入射する角度γ5が少なくともp偏光に対する臨界角βp2より小さいことが必要である。ここで、角度γ5はα1−α3であるから、プリズム12の底角α3が、βp2>α1−α3を満たすことが必要である。従って、プリズム12の底角α3は、α1−βp2より大きいことが必要となる。
【0052】
具体的には、p偏光に対する臨界角βp2は、sin-1( Na/Np) =39.56°となる。従って、プリズム12の底角α3は、プリズム11の底角α1を52.50°とすると、12.96°より大きいことが必要となる。
【0053】
まとめると、プリズム11の底角α1を52.50°とした場合には、プリズム12の底角α3を、12.96°より大きく、31.26°より小さくすることが必要となる。なお、本実施の形態におけるプリズム12の底角α3は、20°となっているので、上記の条件を満たしている。
【0054】
以上より、本実施の形態の偏光素子3によれば、光学異方性を有すると共に、上記の条件を満たす底角α1を有するプリズム11および上記の条件を満たす底角α2,α3を有するプリズム12を用いているので、入射光をp偏光とs偏光とに空間分離することができる。また、プリズム11,12を透過する光をp偏光のみとすることができるので、偏光分離性能が顕著に優れている。
【0055】
また、本実施の形態の偏光素子3では、光学異方性を有すると共に、上記の条件を満たす底角α1を有するプリズム11および上記の条件を満たす底角α2,α3を有するプリズム12を用いているので、何十層もの膜を形成したプリズムを用いる必要がない。この結果、製造が容易、かつ安価であると共に、空間分離能力に優れている。
【0056】
[変形例]
本実施の形態では、プリズム12における底角以外の頂角が鈍角となるようにしていたが、図5に示したように、プリズム12における底角以外の頂角が鋭角となるようにしてもよい。そこで、この場合について説明する。なお、本変形例におけるプリズム12は、本実施の形態の場合と同様に、例えば一方の底角α2が37.5°(=90°−α1)、他方の底角α3が80°となっている。
【0057】
この場合には、角度γ3は、180°−α1−α3であるから、プリズム12の底角α3が、βs2≦180°−α1−α3を満たすことが必要である。従って、プリズム12の底角α3は、180°−α1−βs2以下であることが必要となる。
【0058】
具体的には、偏光素子3を取り巻く媒質を空気(屈折率Na=1.0)とすると、s偏光に対する臨界角βs2は、sin-1( Na/Ns) =32.52°となる。従って、プリズム12の底角α3は、プリズム11の底角α1を52.50°(このときの入射角は52.50°)とすると、94.98°以下であることが必要となる。
【0059】
続いて、プリズム12の斜面Bで全反射されたs偏光が上述のようにプリズム11の底面を透過するには、s偏光がプリズム12の底面に入射する角度γ4が少なくともs偏光に対する臨界角βs2より小さいことが必要である。ここで、角度γ4は、180°−2α3であるから、プリズム12の底角α3が、βs2>180°−2α3を満たすことが必要である。従って、プリズム12の底角α3は、(180°−βs2)/2より大きいことが必要となる。具体的には、プリズム12の底角α3は、73.74°より大きいことが必要となる。
【0060】
これらのことから、プリズム11の底角α1を52.50°とした場合には、プリズム12の底角α3を、73.74°より大きく、94.98°以下にすることが必要となる。
【0061】
さらに、p偏光が上述のようにプリズム12の斜面を透過するには、入射光がプリズム12の斜面に入射する角度γ5が少なくともp偏光に対する臨界角βp2より小さいことが必要である。ここで、角度γ5はα3−α1であるから、プリズム12の底角α3が、βp2>α3−α1を満たすことが必要である。従って、プリズム12の底角α3は、βp2+α1より小さいことが必要となる。
【0062】
そこで、具体的に計算すると、p偏光に対する臨界角βp2は、sin-1( Na/Np) =39.56°となる。従って、プリズム12の底角α3は、プリズム11の底角α1を52.50°とすると、92.06°より小さいことが必要となる。
【0063】
まとめると、プリズム11の底角α1を52.50°とした場合には、プリズム12の底角α3を、73.74°より大きく、92.06°より小さくすることが必要となる。なお、本変形例におけるプリズム12の底角α3は、80°となっているので、上記の条件を満たしている。
【0064】
以上より、本変形例の偏光素子3によれば、光学異方性を有すると共に、上記の条件を満たす底角α1を有するプリズム11および上記の条件を満たす底角α2,α3を有するプリズム12を用いているので、入射光をp偏光とs偏光とに空間分離することができる。また、プリズム11,12を透過する光をp偏光のみとすることができるので、偏光分離性能が顕著に優れている。
【0065】
また、本実施の形態の偏光素子3では、光学異方性を有すると共に、上記の条件を満たす底角α1を有するプリズム11および上記の条件を満たす底角α2,α3を有するプリズム12を用いているので、何十層もの多層膜を形成したプリズムを用いる必要がない。この結果、製造が容易、かつ安価であると共に、空間分離能力に優れている。
【0066】
(液晶表示装置、液晶表示パネル)
次に、上記実施の形態およびその変形例により得られた偏光素子1〜3の具体的な適用例について説明する。ただし、ここでは、その適用例の1つである偏光素子2を含んで構成した実施の形態について説明する。
【0067】
本実施の形態に係る液晶表示装置は、例えばRGB各色用の液晶表示パネルを用いて照明光を基に3色の画像光を形成すると共に、これらの画像光を合成してカラー画像を生成し投影表示する液晶プロジェクタに用いられる。なお、本実施の形態にかかる液晶表示パネルについては、液晶表示装置によって具現化されるので、以下、併せて説明する。
【0068】
図6は、本実施の形態に係る液晶表示装置5の概略構成を表したものである。この液晶表示装置5は、液晶表示パネル50および光源60を備えている。液晶表示パネル50は、液晶セル51の入射側の面に偏光デバイス4、出射側の面にカラーフィルタ52をそれぞれ配設した構成を有している。ここで、偏光デバイス4は、2つの赤用偏光デバイス4R、2つの緑用偏光デバイス4G、2つの青用偏光デバイス4Bを含んで構成されている。カラーフィルタ52は、2つの赤用フィルタ52R、2つの緑用フィルタ52G、2つの青用フィルタ52Bを含んで構成されている。赤、緑、青用偏光デバイス4R, 4G,4Bは、液晶セル51を間にして上記赤、緑、青用フィルタ52R,52G,52Bに対向する部位にそれぞれ配置されている。光源60は、例えば白色光源のランプおよび反射鏡を含んで構成されており、被照射面である液晶表示パネル50を照射するための光束を供給するようになっている。
【0069】
この液晶表示パネル50に入射した光は、偏光デバイス4においてp偏光に変換された後、液晶セル51において、そのp偏光の透過率が映像信号に応じて変更される。そして、この液晶セル51を透過した光は、カラーフィルタ52においてRGB各色からなるカラー画像光に変換される。
【0070】
このように、本実施の形態の液晶表示装置5(液晶表示パネル50)では、偏光分離性能が優れた偏光素子4を用いるようにしたので、p偏光のみの光を照明光として利用することができる。この結果、表示品質に優れた液晶表示装置(液晶表示パネル)を提供することができる。
【0071】
また、本実施の形態の液晶表示装置5(液晶表示パネル50)では、光学異方性を有するプリズム11を含んで構成した偏光デバイス4を用いるようにしたので、何十層もの膜を形成した偏光素子を用いる必要がない。この結果、安価な液晶表示装置(液晶表示パネル)を提供することができる。
【0072】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。
【0073】
例えば、本実施の形態の偏光素子1〜4では、基材フィルム10、プリズム11,12、光学薄膜33の光学軸を入射面に垂直な方向としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、入射光に対して複屈折性を有するように光学軸が設定されていればよい。このように光学軸を設定することにより、プリズム11の斜面または光学薄膜33において入射光のs偏光成分のみを全反射させ、p偏光成分のみを透過させることができるからである。
【0074】
また、本実施の形態およびその変形例の偏光素子1〜3では、基材フィルム10の材料として、光学異方性(複屈折性)を有する材料を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、光学的に等方性を有する材料を用いても構わない。
【0075】
また、本実施の形態およびその変形例の偏光素子1〜3では、基材フィルム10およびプリズム11を別個に備えるようにしていたが、基材フィルム10とプリズム11とが一体成形された部材を備えるようにしても構わない。その場合には、その部材は、五角柱で構成されたプリズムを複数並設して構成されたものと等価である。
【0076】
また、本実施の形態およびその変形例の偏光素子1〜3では、プリズム11は二等辺三角柱で構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、プリズム11,12を用いて入射光をs偏光成分およびp偏光成分に空間分離することができるようにプリズム11,12の底面以外の少なくとも一つの面と底面とのなす角度が個々に設定されていればよい。さらに、プリズム11が多角形で構成されるように設定しても構わない。
【0077】
また、本実施の形態およびその変形例の偏光素子3では、プリズム12は光学的に等方性を有する材料から構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、光学異方性材料から構成されていても構わない。
【0078】
また、本実施の形態の偏光素子1〜3では、これらを取り巻く媒質を屈折率1.0の空気としていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、空気以外の何らかの媒質としても構わない。
【0079】
また、本実施の形態の液晶表示装置5および液晶表示パネル50では、R,G,B各色の光を入射するようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、単に白色光を入射するようにしてもよい。このように白色光を入射光として利用する場合には、液晶表示装置5および液晶表示パネル50は、例えばテレビやパーソナルコンピュータの表示画面としての液晶表示装置に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る偏光素子の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る偏光素子の断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る偏光素子の断面図である。
【図4】図3の偏光素子の拡大図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の変形例に係る偏光素子の断面図である。
【図6】液晶表示装置の断面図である。
【図7】従来の偏光素子の断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1,2,3…偏光素子、1R…赤用偏光素子、1G…緑用偏光素子、1B…青用偏光素子、10…基材フィルム、11,12…プリズム、13…接着層、40…スペーサ、50…液晶表示パネル、51…液晶セル、52…カラーフィルタ、52R…赤用カラーフィルタ、52G…緑用カラーフィルタ、52B…青用カラーフィルタ、60…光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプリズムが偏光成分を有する光線が底面側から入射されるように配置された構成を有する偏光素子であって、
前記複数のプリズムは、光学異方性材料により構成されており、かつ、入射光のうち第1偏光と前記第1偏光に対して直交する偏光方向を有する第2偏光との各成分を分離すると共に、前記第1偏光を透過し、前記第2偏光を反射する
ことを特徴とする偏光素子。
【請求項2】
前記複数のプリズムは、底面以外の少なくとも一つの面と底面とのなす角度が前記第2偏光に対する臨界角以上であると共に、前記第1偏光に対する臨界角より小さく設定されている
ことを特徴とする請求項1記載の偏光素子。
【請求項3】
前記複数のプリズムは、柱状である
ことを特徴とする請求項2記載の偏光素子。
【請求項4】
前記複数のプリズムは、基材フィルム上に直線状に並設されている
ことを特徴とする請求項3記載の偏光素子。
【請求項5】
前記複数のプリズムの母線方向は、前記光学異方性材料の光学軸に平行または垂直方向に一致している
ことを特徴とする請求項4記載の偏光素子。
【請求項6】
前記複数のプリズムは、多角柱である
ことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の偏光素子。
【請求項7】
複数の第1プリズムおよび複数の第2プリズムを備え、前記複数の第1プリズムは偏光成分を有する光線が底面側から入射されるように配置された構成を有すると共に、前記複数の第2プリズムは前記第1プリズムを透過した偏光光を底面側から出射するように配置された構成を有する偏光素子であって、
前記第1および第2プリズムのそれぞれの面は、所定の間隔で対向するように配置されており、
前記第1プリズムは、光学異方性材料により構成されており、かつ、入射光のうち第1偏光と前記第1偏光に対して直交する偏光方向を有する第2偏光との各成分を分離すると共に、前記第1偏光を透過し、前記第2偏光を反射し、
前記第2プリズムは、前記第1プリズムを透過した第1偏光を透過する
ことを特徴とする偏光素子。
【請求項8】
前記複数の第1および第2プリズムは、底面以外の少なくとも一つの面と底面のなす角度が前記第2偏光に対する臨界角以上であると共に、前記第1偏光に対する臨界角より小さく設定されている
ことを特徴とする請求項7記載の偏光素子。
【請求項9】
前記複数のプリズムは、柱状である
ことを特徴とする請求項8記載の偏光素子。
【請求項10】
前記複数のプリズムは、基材フィルム上に直線状に並設されている
ことを特徴とする請求項9記載の偏光素子。
【請求項11】
前記複数のプリズムの母線方向は、前記光学異方性材料の光学軸に平行または垂直方向に一致している
ことを特徴とする請求項10記載の偏光素子。
【請求項12】
前記複数のプリズムは、多角柱である
ことを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1項に記載の偏光素子。
【請求項13】
複数の第1プリズムおよび複数の第2プリズムを備え、前記複数の第1プリズムは偏光成分を有する光線が底面側から入射されるように配置された構成を有すると共に、前記複数の第2プリズムはそれぞれの底面が前記複数の第1プリズムのそれぞれの面に接するように配置された構成を有する偏光素子であって、
前記第1プリズムは、前記第2プリズムと接合されると共に、光学異方性材料により構成されており、かつ、入射光のうち第1偏光と前記第1偏光に対して直交する偏光方向を有する第2偏光との各成分を分離すると共に、前記第1偏光と前記第2偏光とを底面以外の少なくとも一つの面から透過し、
前記第2プリズムは、前記第1プリズムを透過した第1偏光を透過し、前記第1プリズムを透過した第2偏光を反射する
ことを特徴とする偏光素子。
【請求項14】
前記入射光が前記第1プリズムと前記第2プリズムとの接合面に入射する角度をγ1、前記第1プリズムを透過した第2偏光が前記接合面以外の面に入射する角度をγ3、前記第1プリズムの前記接合面での前記第1偏光に対する臨界角をβp1、前記第1プリズムの前記接合面での前記第2偏光に対する臨界角をβs1、前記第2プリズムの前記接合面以外の面での前記第2偏光に対する臨界角をβs2とするとき、以下の式を満たすことを特徴とする請求項13記載の偏光素子。
βs1≦γ1<βp1 (式1)
γ3>βs 2 (式2)
【請求項15】
液晶セルの入射側の面に偏光素子、出射側の面にカラーフィルタをそれぞれ配設した構成を
有する液晶表示パネルであって、
前記偏光素子は、複数のプリズムを備え、
前記複数のプリズムは、偏光成分を有する光線が底面側から入射されるように配置されると共に、光学異方性材料により構成されており、かつ、入射光のうち第1偏光と前記第1偏光に対して直交する偏光方向を有する第2偏光との各成分を分離すると共に、前記第1偏光を透過し、前記第2偏光を反射する
ことを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項16】
液晶セルの入射側の面に偏光素子、出射側の面にカラーフィルタをそれぞれ配設した構成を有する液晶
表示パネルであって、
前記偏光素子は、複数の第1プリズムおよび複数の第2プリズムを備え、
前記複数の第1プリズムは、偏光成分を有する光線が底面側から入射されるように配置された構成を有し、
前記複数の第2プリズムは、前記第1プリズムを透過した偏光光を底面側から出射するように配置された構成を有し、
前記第1および第2プリズムのそれぞれの面が、所定の間隔で対向するように配置され、
前記第1プリズムは、光学異方性材料により構成されており、かつ、入射光のうち第1偏光と前記第1偏光に対して直交する偏光方向を有する第2偏光との各成分を分離すると共に、前記第1偏光を透過し、前記第2偏光を反射し、
前記第2プリズムは、前記第1プリズムを透過した第1偏光を透過する
ことを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項17】
液晶セルの入射側の面に偏光素子、出射側の面にカラーフィルタをそれぞれ配設した構成を
有する液晶表示パネルであって、
前記偏光素子は、複数の第1プリズムおよび複数の第2プリズムを備え、
前記複数の第1プリズムは、偏光成分を有する光線が底面側から入射されるように配置された構成を有し、
前記複数の第2プリズムは、それぞれの底面が前記複数の第1プリズムのそれぞれの面に接するように配置された構成を有し、
前記第1プリズムは、前記第2プリズムと接合されると共に、光学異方性材料により構成されており、かつ、入射光のうち第1偏光と前記第1偏光に対して直交する偏光方向を有する第2偏光との各成分を分離すると共に、前記第1偏光および前記第2偏光を底面以外の少なくとも一つの面から透過し、
前記第2プリズムは、前記第1プリズムを透過した第1偏光を透過し、前記第1プリズムを透過した第2偏光を反射する
ことを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項18】
液晶表示パネルおよび前記液晶表示パネルの入射側の面に所定の角度で光を入射させる光源を有する液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルは、液晶セルと、前記液晶セルの入射側の面に配置された偏光素子と、前記液晶セルの出射側の面に配置されたカラーフィルタとを備え、
前記偏光素子は、複数のプリズムを備え、
前記複数のプリズムは、偏光成分を有する光線が底面側から入射されるように配置されると共に、光学異方性材料により構成されており、かつ、入射光のうち第1偏光と前記第1偏光に対して直交する偏光方向を有する第2偏光との各成分を分離すると共に、前記第1偏光を透過し、前記第2偏光を反射する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項19】
液晶表示パネルおよび前記液晶表示パネルの入射側の面に所定の角度で光を入射する光源を有する液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルは、液晶セルと、前記液晶セルの入射側の面に配置された偏光素子と、前記液晶セルの出射側の面に配置されたカラーフィルタとを備え、
前記偏光素子は、複数の第1プリズムおよび複数の第2プリズムを備え、
前記複数の第1プリズムは、偏光成分を有する光線が底面側から入射されるように配置された構成を有し、
前記複数の第2プリズムは、前記第1プリズムを透過した偏光光を底面側から出射するように配置された構成を有し、
前記第1および第2プリズムのそれぞれの面が、所定の間隔で対向するように配置され、
前記第1プリズムは、光学異方性材料により構成されており、かつ、入射光のうち第1偏光と前記第1偏光に対して直交する偏光方向を有する第2偏光との各成分を分離すると共に、前記第1偏光を透過し、前記第2偏光を反射し、
前記第2プリズムは、前記第1プリズムを透過した第1偏光を透過する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項20】
液晶表示パネルおよび前記液晶表示パネルの入射側の面に所定の角度で光を入射する光源を有する液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルは、液晶セルと、前記液晶セルの入射側の面に配置された偏光素子と、前記液晶セルの出射側の面に配置されたカラーフィルタとを備え、
前記偏光素子は、複数の第1プリズムおよび複数の第2プリズムを備え、
前記複数の第1プリズムは、偏光成分を有する光線が底面側から入射されるように配置された構成を有し、
前記複数の第2プリズムは、それぞれの底面が前記複数の第1プリズムのそれぞれの面に接するように配置された構成を有し、
前記第1プリズムは、前記第2プリズムと接合されると共に、光学異方性材料により構成されており、かつ、入射光のうち第1偏光と前記第1偏光に対して直交する偏光方向を有する第2偏光との各成分を分離すると共に、前記第1偏光および前記第2偏光を底面以外の少なくとも一つの面から透過し、
前記第2プリズムは、前記第1プリズムを透過した第1偏光を透過し、前記第1プリズムを透過した第2偏光を反射する
ことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−78917(P2006−78917A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264761(P2004−264761)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】