説明

偏向板固定具及び偏向板の角度制御装置

【課題】偏向板の角度調整作業が容易である偏向板固定具及び偏向板の角度制御装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】偏向板と、上記偏向板を固定する枠を具備する枠体と、上記枠体から突出している突起部と、上記突起部に設けられている穴とを具備する偏向板固定具を支持する支持体と、上記支持体に設けられ、上記穴を挿通するピンと、上記支持体に設けられ、上記偏向板固定具に設けられている突起を押圧することによって、上記偏向板を回転させる第1のねじと、上記支持体に設けられ、上記偏向板固定具に設けられている突起を押圧することによって、上記偏向板を回転させる第2のねじとを有し、上記偏光板の中心と上記穴の中心とを結ぶ直線に関して、上記第1のねじと上記第2のねじとが、同一の側に設けられている偏向板の角度制御装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏向板固定具および偏向板の角度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶プロジェクタとして、その光路中に、偏向板が設けられているものがあり、プロジェクタ製造時に、上記偏向板の傾きを調整する必要があり、このために、偏向板の角度制御装置が、プロジェクト内に設けられている。
【0003】
図4は、従来の偏向板の角度制御装置200を示す斜視図である。
【0004】
従来の偏向板の角度制御装置200は、偏光板固定具60と、プロジェクタの筐体70とを有する。
【0005】
偏向板固定具60は、偏向板61と、偏向板61を固定する円板状の枠体62と、枠体62から突出している突起63とを有する。
【0006】
筐体70には、突部72、73が設けられ、これら突部72、73にそれぞれ、ねじ穴が設けられている。このねじ穴と、これらねじ穴に螺合するねじとによって、マイクロメータM1、M2が構成されている。マイクロメータM1、M2の先端が、偏向板固定具60の突起63を、図4中、左右から押し合っている(たとえば、参考文献1参照)。
【0007】
従来の偏向板の角度制御装置200において、偏向板固定具60を数度、左右に傾けることによって、偏光板61を最適な傾きに制御する。たとえば、偏向板固定具60を時計方向に傾けるには、マイクロメータM2を少し引き抜き、マイクロメータM1を少し押し出す。偏向板61の傾きがまだ最適でなければ、マイクロメータM2を再び少し引き抜き、マイクロメータM1を再び少し押し出す。この動作を繰り返し、偏向板61の傾きが最適になれば、その位置で、マイクロメータM2の回転を停止し、マイクロメータM1を押し込み、偏向板固定具60の傾斜角度を固定する。
【0008】
偏向板固定具60を反時計方向に傾けるには、上記とは逆に、マイクロメータM1を少し引き抜き、マイクロメータM2を少し押し出し、この動作を、偏向板61の傾きが最適になるまで繰り返し、偏向板61の傾きが最適になれば、その位置で、マイクロメータM1の回転を停止し、マイクロメータM2を押し込み、偏向板固定具60の傾斜角度を固定する。
【特許文献1】特開2002−122839公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、プロジェクタにおいて、偏向板61を組み込むために、偏向板固定具60を、プロジェクタに挿入する場合、プロジェクタ全体の形状を小さくするように設計すると、偏向板固定具60を挿入するスペースが極めて狭くなることが一般的である。
【0010】
また、従来の偏向板の方向制御装置200は、偏向板の角度制御する場合、角度制御装置200の左側から作業者が手を伸ばし、マイクロメータM1を回し、また、角度制御装置200の右側から作業者が手を伸ばし、マイクロメータM2を回す必要がある。上記のように、偏向板固定具60を挿入するスペースが極めて狭いので、マイクロメータM1、M2まで手を伸ばし、マイクロメータM1、M2を回す作業が容易ではないという問題がある。さらに、マイクロメータM1と、M2とが、偏向板固定具60の突起63の、互いに逆方向に設けられているので、2箇所で、マイクロメータを調整する必要があり、その調整作業が煩雑であるという問題がある。
【0011】
本発明は、偏向板の角度調整作業が容易である偏向板固定具及び偏向板の角度制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、偏向板と、上記偏向板を固定する枠を具備する枠体と、上記枠体から突出している突起部と、上記突起部に設けられている穴とを有する偏向板固定具である。
【0013】
また、本発明は、偏向板と、上記偏向板を固定する枠を具備する枠体と、上記枠体から突出している突起部と、上記突起部に設けられている穴とを具備する偏向板固定具を支持する支持体と、上記支持体に設けられ、上記穴を挿通するピンと、上記支持体に設けられ、上記偏向板固定具に設けられている突起を押圧することによって、上記偏向板を回転させる第1のねじと、上記支持体に設けられ、上記偏向板固定具に設けられている突起を押圧することによって、上記偏向板を回転させる第2のねじとを有し、上記偏光板の中心と上記穴の中心とを結ぶ直線に関して、上記第1のねじと上記第2のねじとが、同一の側に設けられている偏向板の角度制御装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、偏向板の角度を調整するためのねじが、同一方向に設けられているので、偏向板の角度調整作業が容易であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1である偏向板固定具10を示す図である。
【0017】
偏向板固定具10は、偏向板11と、枠体12と、突起部13と、穴14とを有する。
【0018】
偏向板11は、通常の偏向板である。枠体12は、偏向板11を固定する枠を具備する枠体である。突起部13は、枠体12から突出している突起である。穴14は、突起部13に設けられている穴である。なお、ピン23は、後述の支持体20に設けられているピンであり、偏光板固定具10を回転させる場合における回転中心である。
【実施例2】
【0019】
図2は、本発明の実施例2である偏向板の角度制御装置100を示す斜視図である。
【0020】
角度制御装置100は、支持体20と、ピン23と、第1のねじN1と、第2のねじN2とを有する。
【0021】
支持体20は、偏向板固定具10を支持する柱状の支持体であり、凹部21と、凸部22と、ピン23と、ねじ穴H1、H2とを有し、台30に載置されている。
【0022】
凹部21は、支持体20の上部に設けられ、凸部22の下部に設けられている。
【0023】
ピン23は、支持体20の凸部22に設けられ、偏向板固定具10の突起13に設けられている穴14を挿通するピンである。
【0024】
第1のねじN1は、支持体20の凸部22に設けられ、偏向板固定具10に設けられている突起13を押圧することによって、偏向板11を回転させるねじである。
【0025】
第2のねじN2は、支持体20の凸部22に設けられ、偏向板固定具10に設けられている突起13を押圧することによって、偏向板11を、第1のねじN1による回転とは逆方向に回転させるねじである。
【0026】
そして、偏光板11の中心と穴14の中心とを結ぶ直線に関して、第1のねじN1と第2のねじN2とが、同一の側に設けられている。
【0027】
また、第1のねじN1は、偏向板固定具10に設けられている突起13を押圧することによって、偏向板11を反時計方向に回転させるねじである。第2のねじN2は、偏向板固定具10に設けられている突起13を押圧することによって、偏向板11を時計方向に回転させるねじである。
【0028】
さらに、第1のねじN1と、第2のねじN2とが、互いに平行に設けられている。
【0029】
次に、上記実施例の動作について説明する。
【0030】
図3は、上記実施例において、偏向板11の角度を調整する動作の説明図である。
【0031】
図3(1)は、偏向板11がほぼ、水平に設定されている状態を示す図である。つまり、図3(1)に示す状態は、偏光反11の中心と穴14の中心とを結ぶ直線が、ほぼ水平である状態である。図3(2)は、図3(1)に示す状態から、偏向板11を反時計方向に回転させた状態を示す図である。図3(2)は、図3(1)に示す状態から、偏向板11を時計方向に回転させた状態を示す図である。
【0032】
図3(1)に示す状態から、図3(2)に示すように、偏向板11を反時計方向に回転させるには、ねじN2を緩め、その先端を図3中、上方に引き上げ、その後に、ねじN1を締め、その先端を図3中、下方に進める。偏向板11の角度を調整する場合、ねじN2を緩める程度とねじN1を締める程度とを調整すればよい。偏向板11の角度が所望の角度に達すれば、ねじN1を締めつけ、上記所望の角度を固定する。
【0033】
図3(1)に示す状態から、逆に、図3(3)に示すように、偏向板11を時計方向に回転させるには、ねじN1を緩め、その先端を図3中、上方に引き上げ、その後に、ねじN2を締め、その先端を図3中、下方に進める。偏向板11の角度が所望の角度に達すれば、ねじN2を締めつけ、上記所望の角度を固定する。
【0034】
上記実施例によれば、偏光板11の角度を調整する場合、ねじN1、N2を同一方向から調整すれば足りるので、ねじN1、N2を回す作業が容易であり、結局、偏光板11の角度を調整する作業が容易である。
【0035】
また、上記実施例によれば、マイクロメータ等を使用する場合には、マイクロメータを収容するためのスペース、特に、偏光板固定具10に対応する偏光板固定具が厚くなるが、上記実施例は、マイクロメータに代えて、ねじN1、N2を使用するので、偏光板固定具10の厚みを薄くすることができ、したがって、偏向板の角度制御装置100を収納するプロジェクタ等の装置の形状を小型にすることができる。
【0036】
つまり、上記実施例は、偏向板と、上記偏向板を固定する枠を具備する枠体と、上記枠体から突出している突起部と、上記突起部に設けられている穴とを有する偏向板固定具の例である。
【0037】
また、上記実施例は、偏向板と、上記偏向板を固定する枠を具備する枠体と、上記枠体から突出している突起部と、上記突起部に設けられている穴とを具備する偏向板固定具を支持する支持体と、上記支持体に設けられ、上記穴を挿通するピンと、上記支持体に設けられ、上記偏向板固定具に設けられている突起を押圧することによって、上記偏向板を回転させる第1のねじと、上記支持体に設けられ、上記偏向板固定具に設けられている突起を押圧することによって、上記偏向板を回転させる第2のねじとを有し、上記偏光板の中心と上記穴の中心とを結ぶ直線に関して、上記第1のねじと上記第2のねじとが、同一の側に設けられている偏向板の角度制御装置。
【0038】
この場合、上記第1のねじは、上記偏向板固定具に設けられている突起を押圧することによって、上記偏向板を時計方向に回転させるねじであり、上記第2のねじは、上記偏向板固定具に設けられている突起を押圧することによって、上記偏向板を反時計方向に回転させるねじである。また、上記第1のねじと上記第2のねじとが、互いに平行に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来の偏向板の角度制御装置200を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1である偏向板固定具10を示す図である。
【図3】本発明の実施例2である偏向板の角度制御装置100を示す斜視図である。
【図4】上記実施例において、偏向板11の角度を調整する動作の説明図である。
【符号の説明】
【0040】
100…偏向板の角度制御装置、
10…偏向板固定具、
11…偏向板、
12…枠体、
13…突起、
14…穴、
20…支持体、
21…凹部、
22…凸部、
23…ピン、
H1、H2…ねじ穴、
N1、N2…ねじ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏向板と;
上記偏向板を固定する枠を具備する枠体と;
上記枠体から突出している突起部と;
上記突起部に設けられている穴と;
を有することを特徴とする偏向板固定具。
【請求項2】
偏向板と、上記偏向板を固定する枠を具備する枠体と、上記枠体から突出している突起部と、上記突起部に設けられている穴とを具備する偏向板固定具を支持する支持体と;
上記支持体に設けられ、上記穴を挿通するピンと;
上記支持体に設けられ、上記偏向板固定具に設けられている突起を押圧することによって、上記偏向板を回転させる第1のねじと;
上記支持体に設けられ、上記偏向板固定具に設けられている突起を押圧することによって、上記偏向板を回転させる第2のねじと;
を有し、上記偏光板の中心と上記穴の中心とを結ぶ直線に関して、上記第1のねじと上記第2のねじとが、同一の側に設けられていることを特徴とする偏向板の角度制御装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記第1のねじは、上記偏向板固定具に設けられている突起を押圧することによって、上記偏向板を時計方向に回転させるねじであり、
上記第2のねじは、上記偏向板固定具に設けられている突起を押圧することによって、上記偏向板を反時計方向に回転させるねじであることを特徴とする偏向板の角度制御装置。
【請求項4】
請求項2において、
上記第1のねじと上記第2のねじとが、互いに平行に設けられていることを特徴とする偏向板の角度制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−128561(P2009−128561A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302543(P2007−302543)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(501193218)株式会社 清原光学 (16)
【Fターム(参考)】