説明

傾動式秤量装置

【課題】容器を傾斜させ、又は水平な姿勢にして支持し容器に投入される内容物を秤量することのできる傾動式秤量装置を提供する。
【解決手段】傾動式秤量装置17は、水平姿勢をとる容器1の一端5から下面9の長手方向の途中までを受け止める固定受材19と、水平姿勢をとる容器1の他端7から下面9の長手方向の途中までを固定受材19と同じ高さで受け止める可動受材21と、可動受材21を傾斜させる傾斜手段23と、固定受材19の下方に延出する保持部材25と、容器に投入される内容物27の重さを計量する秤量手段29とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に投入される内容物を計量する傾動式秤量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開口部を上向きに開放した容器にコンベヤから供給される青果物等の内容物を投入し、この容器に投入された内容物の重量を秤量機により計測することが、特許文献1に開示されている。秤量機は、内容物が容器に投入されるに従い容器に加算される内容物の重さを計測する。また、コンベヤから容器に投下された内容物が容器の開口部から跳ね出すのを防止するには、コンベヤの終端から容器の開口部、又は底面までの落差を小さく設定することが好ましい。例えば、特許文献1,2に開示されているように容器を傾けても良い。
【0003】
しかしながら、図10(a),(b)に示すように、容器201,203の開口部205から底面207までの深さ[d]と開口部205の長手方向の寸法である全長[w]との比率は、容器の仕様によって相違する。d≧wである容器201に比較してd<wである扁平な容器203を水平面に対して傾けると、容器203に収納することのできる内容物209の数量が極端に少なくなる。また、内容物209が開口部205から転がり出やすくなる。このため、あらゆる仕様の容器を一様に傾けることは、却って内容物を容器に収める観点から好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−1226号公報
【特許文献2】特開2000−85716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、容器を傾斜させ、又は水平な姿勢にして支持し容器に投入される内容物を秤量することのできる傾動式秤量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、長手方向の一端と他端との間に下面を画定され開口部を上向きに開放した容器がその開口部を鉛直上方に向けた水平姿勢をとるとき、前記容器の一端から前記下面の長手方向の途中までを受け止める固定受材と、前記水平姿勢をとる容器の他端から前記下面の長手方向の途中までを、前記固定受材と同じ高さで受け止める可動受材と、前記容器がその他端を下向きにした傾斜姿勢をとるとき、前記容器の他端を前記可動受材が受け止めるように、前記可動受材を傾斜させる傾斜手段と、前記固定受材の下方に延出し、前記傾斜姿勢の容器の下面を受け止め前記傾斜姿勢の容器を前記可動受材に位置決めする保持部材と、前記容器に投入される内容物の重さを計量する秤量手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記固定受材、及び前記可動受材を昇降させる昇降手段を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記容器を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される容器が前記水平姿勢、又は傾斜姿勢になるよう前記搬送手段を傾動させる傾動手段とを備え、前記固定受材と同じ高さで前記可動受材が前記容器の下面を受け止めるとき、前記搬送手段により搬送される水平姿勢の容器が、前記固定受材、及び前記可動受材に供給され、前記可動受材が前記容器の一端を受け止めるとき、前記搬送手段により搬送される傾斜姿勢の容器が、前記可動受材に供給されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記容器の上方に内容物を供給する供給手段から前記容器の開口部へ内容物を案内するガイド部材と、前記ガイド部材を前記供給手段から前記容器の開口部へ向けて進退させる進退手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る傾動式秤量装置は、水平姿勢をとる容器の一端から下面の長手方向の途中までを固定受材に受け止めさせ、同容器の他端から下面の長手方向の途中までを可動受材に固定受材と同じ高さで受け止めさせることができる。この状態で、秤量手段が水平姿勢の容器に投入される内容物の重さを計量する。或いは、傾斜手段が可動受材を傾斜させることにより、傾斜姿勢をとる容器の他端を可動受材に受け止めさせ、同容器の下面を保持部材に受け止めさせることができる。この状態で、秤量手段が傾斜姿勢の容器に投入される内容物の重さを計量する。
【0011】
以上に述べた傾動式秤量装置によれば、開口部から底面までの深さが開口部の全長に比べ浅い容器に内容物が投入されるとき、この容器を水平姿勢にして固定受材、及び可動受材に受け止めさせ、容器に投入された内容物が開口部から転がり出るのを抑止することができる。また、開口部から底面までの深さが開口部の全長に比べ深い容器に内容物が投入されるとき、この容器を傾斜姿勢にして可動受材、及び保持部材に受け止めさせ、内容物が開口部から跳ね出すことのないように、コンベヤ等から容器の開口部、又は底面までの落差を小さく設定することができる。
【0012】
更に、本発明に係る傾動式秤量装置によれば、例えば比較的浅い容器の上方に設置されたコンベヤ等から同容器の開口部へ内容物が投下される場合、昇降手段が固定受材、及び可動受材を上昇させることができる。これにより容器をコンベヤ等に接近させ、コンベヤ等から容器の開口部、又は底面までの内容物の落差を小さくすることができる。或いは、コンベヤ等から比較的深い容器の開口部へ内容物が投下される場合、昇降手段が固定受材、及び可動受材を下降させることにより、容器の開口部とコンベヤ等との間に適切な間隔を設けることができる。
【0013】
更に、本発明に係る傾動式秤量装置によれば、固定受材と同じ高さで可動受材が容器の下面を受け止めるとき、搬送手段により搬送される水平姿勢の容器が、固定受材、及び可動受材に供給される。或いは、可動受材が容器の一端を受け止めるとき、搬送手段により搬送される傾斜姿勢の容器が可動受材に供給される。このため、本発明に係る傾動式秤量装置は、容器に内容物が投入される前に容器の姿勢を確定し、種々の容器を簡素な構造により適切に支持できるという利点がある。
【0014】
更に、本発明に係る傾動式秤量装置によれば、進退手段がガイド部材を伸長させることにより、容器の上方に内容物を供給するコンベヤ等の供給手段から容器の開口部へ内容物をガイド部材により案内することができる。或いは、コンベヤ等から容器の開口部、又は底面までの落差が小さく、ガイド部材が不要であるとき、進退手段がガイド部材を容器から後退させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明の実施例1に係る傾動式秤量装置の要部の動作の一例を説明する断面図、(b)はその他例を説明する断面図。
【図2】本発明の実施例1に係る傾動式秤量装置の動作の一例を示す側面図。
【図3】本発明の実施例1に係る傾動式秤量装置の動作の他例を示す側面図。
【図4】本発明の実施例1に係る傾動式秤量装置の設置例を示す平面図。
【図5】(a)は本発明の実施例1に係る傾動式秤量装置に適用した搬送手段、及び傾動手段の動作の一例を説明する側面図、(b)はその他例を説明する側面図。
【図6】(a)は本発明の実施例1に係る傾動式秤量装置に適用した副秤量手段の動作の一例を説明する側面図、(b)はその他例を説明する側面図。
【図7】本発明の実施例2に係る傾動式秤量装置の動作の一例を示す側面図。
【図8】(a),(b)は本発明の実施例2に係る傾動式秤量装置に適用したガイド部材、及び進退手段の動作をそれぞれ説明する断面図。
【図9】(a),(b)は本発明の実施例2に係る傾動式秤量装置に適用した他の形態のガイド部材、及び進退手段の動作をそれぞれ説明する断面図。
【図10】(a)は容器の形態を示す断面図、(b)はその他の形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面は特に断らない限り図1(a)〜図4を参照する。容器1,3は、長手方向の一端5と他端7との間に下面9を画定され開口部11を上向きに開放したものであれば良い。容器1は、その四方の側壁部を底面13に重なるように折り畳みできる合成樹脂製のコンテナであるとする。容器3は、その上部を折り目線15に沿って内側へ折り込むことにより蓋を形成できる段ボール箱であるとする。また、以下で開口部11を鉛直上方に向け下面9を水平面に沿わせた容器1,3の姿勢を水平姿勢と記し、他端7が下向きになるよう傾いた容器3の姿勢を傾斜姿勢と記す。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1に係る傾動式秤量装置17は、水平姿勢の容器1の一端5から下面9の長手方向の途中までを受け止める固定受材19と、水平姿勢の容器1の他端7から下面9の長手方向の途中までを固定受材19と同じ高さで受け止める可動受材21と、傾斜姿勢の容器3の他端7が可動受材21によって受け止められるように可動受材21を傾斜させる傾斜手段23と、固定受材19に固定され固定受材19の下方に延出した保持部材25と、容器1,3に投入される内容物27の重さを計量する秤量手段29と、移動手段33と、昇降手段34とを備える。
【0018】
固定受材19は、可動フレーム31に固定された板材である。可動受材21は、水平軸35に接合された板材である。水平軸35は、可動フレーム31に回転自在に軸受されている。傾斜手段23は、エアシリンダーであり、そのピストンロッド37の進退に従わせ水平軸35を支点に可動受材21を図1(b)に示すように傾斜させ、又は図1(a)に示すように可動受材21を水平に延びる姿勢に復帰させさせることができる。保持部材25は、傾斜姿勢の容器3の下面9を受け止め傾斜姿勢の容器3を可動受材21に位置決めできるものであれば良い。
【0019】
符号39,41は、傾斜手段23として適用したエアシリンダーの後端、及びピストンロッド37の先端をそれぞれ可動フレーム31、及び可動受材21に接合するピンを指している。ここに述べたエアシリンダーは必須ではなく、可動受材21を傾斜、又は水平に延びる姿勢に復帰させるために水平軸35を回転機により回動させても良く、或いは可動受材21を手動で動作させても良い。
【0020】
図に表れていない筐体に、傾動式秤量装置17のベース板43が固定されている。秤量手段29は、移動手段33を介してベース板43に支持され、固定受材19、及び可動受材21が容器1,3から受ける荷重をスライド板44の底部に設けたロードセルにより計測するものである。
【0021】
移動手段33は、ベース板43の上面に固定されたブラケット47と、ブラケット47に架設されたガイドレール49と、秤量手段29を支持するスライド板54と、スライド板54の脚部51に設けられガイドレール49に係合するスライダー53とを備える。スライド板54は、エアシリンダー等の駆動源、又は手動により、スライダー53と共にベース板43に対して矢印Xの向き、又はその反対向きに移動する。この動作は、秤量手段29、可動フレーム31、及び昇降手段34と共に容器1,3を矢印Xの向き、又はその反対向きに移動させるために行われる。
【0022】
昇降手段34は、一対の電動機46,48の動作ロッド50の昇降に従わせ可動フレーム31と共に固定受材19、及び可動受材21を昇降させるものである。電動機46,48は、そのシリンダー状のハウジングを図2に示す容器1の長手方向に互いに隔たる位置で起立させ、スライド板44に固定されている。電動機46,48のそれぞれの動作ロッド50は、可動フレーム31の下部にピン52を介して接合されており、モーター等を原動機として可動フレーム31をスライド板44に対して昇降させるものである。電動機46,48をスライド板44に固定されるエアシリンダーに置き換え、そのピストンロッドを可動フレーム31の下部にピン52を介して接合しても良い。
【0023】
図4は、容器1,3を矢印Yの向きに搬送する搬送手段55と、容器1を矢印Xの向きから搬送手段55に供給するコンベヤ57と、容器3を矢印Yの向きから搬送手段55に供給するコンベヤ59と、内容物27を大出し口61から投下する供給手段63と、内容物27を小出し口62から投下する副供給手段65と、副秤量手段67と、搬出コンベヤ69とを示している。
【0024】
図5(a),(b)に示すように、搬送手段55は、コンベヤフレーム71に軸受されたローラー73により容器3を支持するローラーコンベヤである。コンベヤフレーム71は、ヒンジピン75を介して筐体77に接合されている。エアシリンダーから成る傾動手段79は、そのピストンロッド81の進退に従わせコンベヤフレーム71を矢印θの向き、又はその反対向きにヒンジピン75を支点に旋回させる。図中に1つのローラー73が表れているが、複数のローラー73が図4の矢印Yの向きに並列している。
【0025】
ローラー73を回転させる駆動源として、矢印Yの向きに走行するエンドレスベルト85を適用しても良い。この場合、図5(a)に示すように、エンドレスベルト85にローラー73が接触した状態で、エンドレスベルト85からローラー73に回転力が伝達され、ローラー73に支持される水平姿勢の容器3が矢印Yの向きに搬送される。ローラー73が水平姿勢の容器1を支持する場合は容器1が同様に搬送される。
【0026】
図5(b)に示すように、コンベヤフレーム71が矢印θの向きに傾動した状態で、ローラー73の回転力は断たれるが、駆動源87がプッシャー89を矢印Yの向きに直線運動させることにより、ローラー73に支持される傾斜姿勢の容器3が同じ向きに搬送される。符号90は、傾斜姿勢の容器3を滑動自在に受け止めるガイドレールを指している。
【0027】
供給手段63は、内容物27を矢印Yの向きに搬送するベルトコンベヤ91の前方に、内容物27を矢印Xの向きに搬送するベルトコンベヤ93を配置し、ベルトコンベヤ93の終端を大出し口61としたものである。副供給手段65は、ベルトコンベヤ91に隣接するベルトコンベヤ95の前方に、内容物27を矢印Xの向きに一列に並べて搬送できるローラーコンベヤ97を配置し、ローラーコンベヤ97の終端を小出し口62としたものである。
【0028】
副供給手段65のベルトコンベヤ95は、供給手段63のベルトコンベヤ91よりもベルトの幅が狭く、所定の時間当たりに副供給手段65の小出し口62から投下される内容物27の個数は、供給手段63の大出し口61から投下される内容物27の個数よりも少ない。副供給手段65のローラーコンベヤ97は、内容物27を小出し口62から一つずつ投下できるものであることが好ましい。
【0029】
図6(a),(b)に示すように、副秤量手段67は、ローラー99をコンベヤフレーム101に軸受させ、ヒンジピン103を介して筐体105にコンベヤフレーム101を接合し、コンベヤフレーム101の受ける荷重をロードセルにより計測するものである。このロードセルは、筐体105に固定されたベース板43の底部に設けられている。エアシリンダーから成る傾動手段107は、そのピストンロッド109の進退に従わせコンベヤフレーム101を矢印θの向き、又はその反対向きにヒンジピン103を支点に旋回させる。図中に1つのローラー99が表れているが、複数のローラー99が矢印Yの向きに並列している。
【0030】
ローラー99を回転させる駆動源として、矢印Yの向きに走行するエンドレスベルト111を適用しても良い。この場合、図6(a)に示すように、エンドレスベルト111にローラー99が接触した状態で、エンドレスベルト111からローラー99に回転力が伝達され、ローラー99に支持される水平姿勢の容器3が矢印Yの向きに搬送される。ローラー99が水平姿勢の容器1を支持する場合は容器1が同様に搬送される。
【0031】
次に傾動式秤量装置17が容器1,3に投入される内容物27を秤量する動作について説明する。以下の動作は、駆動源がオペレータの指令、センサ類からの電気信号、又は個々の駆動源の制御を担うCPUがアクセスできる記憶媒体に書き込まれたプログラムに基づいて成されるものとする。また、文頭に付した英文字は動作の工程を区分する指標である。
【0032】
A:図2に示す傾斜手段23が、可動受材21を水平に延びる姿勢にする。一方、図4に示すコンベヤ57が水平姿勢の容器1を矢印Xの向きに搬送し、容器1を図5(a)に示す搬送手段55のローラー73に乗り上げさせる。搬送手段55がローラー73を駆動させ、容器1を矢印Yの向きに搬送する。これにより、図1(a)に示すように、水平姿勢の容器1が固定受材19、及び可動受材21によって受け止められる。
【0033】
B:図4に示す供給手段63のベルトコンベヤ91,93が起動する。これにより、図2に示す水平姿勢の容器1の開口部11へ向けて内容物27が大出し口61から投下され、その荷重が容器1の荷重に加算される。この加算された荷重に基づき、秤量手段29は容器1に投入された内容物27を秤量する。一つの容器1に収納されるべき内容物27の荷重は予め上限を定められている。これを以下で総重量と記す。
【0034】
C:大出し口61から投下された内容物27の荷重が総重量に達する直前に、ベルトコンベヤ91,93が停止し、内容物27の投下が断たれる。
【0035】
D:上記Cの工程が行われている間に、以上に述べた容器1に後続する新たな空の容器1をコンベヤ57が搬送手段55に供給する。この後続の容器1を対象として上記B,Cの工程が繰り返され、後続の容器1を搬送手段55が矢印Yの向きに搬送する。この過程で、後続の容器1は、総重量に達する直前の量の内容物27を既に投入された先行の容器1に突き当たるので、この先行の容器1は、固定受材19、及び可動受材21から矢印Yの向きに押し出され、図6(a)に示す副秤量手段67のローラー99に乗り移る。
【0036】
E:副供給手段65のベルトコンベヤ95、及びローラーコンベヤ97が起動する。これにより、小出し口62から内容物27がローラー99に水平姿勢で支持された容器1の開口部11に投下され、容器1の荷重に内容物27の荷重が加算される。この加算された荷重に基づき、副秤量手段67は小出し口62から容器1に投下された内容物27を秤量する。上記Bの工程で供給手段63の大出し口61から投下された内容物27の荷重、及び本工程で小出し口62から投下された内容物27の荷重の総計が総重量に達した時点で、ベルトコンベヤ95、及びローラーコンベヤ97が停止し、内容物27の投下が断たれる。
【0037】
F:副秤量手段67がローラー99を回転させることにより水平姿勢の容器1を矢印Yの向きに搬送し、容器1を図4に示す搬出コンベヤ69に乗り上げさせる。これと同時に搬出コンベヤ69を起動させ、容器1の全体を他所へ搬出する。この後、傾動式秤量装置17はA〜Fの工程を再度行っても良いが、以下の工程を行うことができる。
【0038】
G:図2に示す傾斜手段23が、可動受材21を図1(b)に示すように傾斜させる。図4に示すコンベヤ59が水平姿勢の容器3を矢印Yの向きに搬送し、容器3を図5(a)に示す搬送手段55のローラー73に乗り上げさせる。傾動手段79が、コンベヤフレーム71を矢印θの向きに傾動させることにより、ローラー73に支持される容器3を傾斜姿勢にする。一方、図6(b)に示すように、副秤量手段67の傾動手段107がコンベヤフレーム101を矢印θの向きに旋回させる。
【0039】
H:搬送手段55がローラー73を駆動させ、容器3を矢印Yの向きに搬送する。これにより、図1(b)に示すように、傾斜姿勢の容器3の他端7が可動受材21によって受け止められ、容器3の下面9が保持部材25によって受け止められる。
【0040】
I:供給手段63のベルトコンベヤ91,93が起動する。これにより、傾斜姿勢の容器3の開口部11へ向けて内容物27が大出し口61から投下され、その荷重が容器3の荷重に加算される。この加算された荷重に基づき、秤量手段29は容器3に投入された内容物27を秤量する。
【0041】
J:大出し口61から投下された内容物27の荷重が総重量に達する直前に、ベルトコンベヤ91,93が停止し、内容物27の投下が断たれる。
【0042】
K:上記Jの工程が行われている間に、以上に述べた容器3に後続する新たな空の容器3をコンベヤ59が搬送手段55に供給する。この後続の容器3を対象として上記H,Iの工程が繰り返され、後続の容器3を搬送手段55が矢印Yの向きに搬送する。この過程で、後続の容器3は、総重量に達する直前の量の内容物27を既に投入された先行の容器3に突き当たるので、この先行の容器3は、可動受材21、及び保持部材25から矢印Yの向きに押し出され、図6(b)に示す副秤量手段67のローラー99に乗り移る。
【0043】
L:副供給手段65のベルトコンベヤ95、及びローラーコンベヤ97が起動する。これにより、小出し口62から内容物27がローラー99に傾斜姿勢で支持された容器3の開口部11に投下され、容器3の荷重に内容物27の荷重が加算される。この加算された荷重に基づき、副秤量手段67は小出し口62から容器3に投下された内容物27を秤量する。上記Iの工程で供給手段63の大出し口61から投下された内容物27の荷重、及び本工程で小出し口62から投下された内容物27の荷重の総計が総重量に達した時点で、ベルトコンベヤ95、及びローラーコンベヤ97が停止し、内容物27の投下が断たれる。
【0044】
M:傾動手段107がコンベヤフレーム101を矢印θの反対向きに旋回させ、図6(a)に示すように、エンドレスベルト111にローラー99を接触させる。この状態で、容器3が水平姿勢に復帰し、副秤量手段67がローラー99を回転させることにより、水平姿勢の容器3を矢印Yの向きに搬送し、容器3を搬出コンベヤ69に乗り上げさせる。これと同時に搬出コンベヤ69を起動させ、容器3の全体を他所へ搬出する。この後、傾動式秤量装置17はG〜Mの工程を再度行っても良いがA〜Fの工程を行うことができる。
【0045】
以上に述べた傾動式秤量装置17によれば、容器1に内容物27が投入されるとき、容器1を水平姿勢にして固定受材19、及び可動受材21に受け止めさせ、容器1に投入された内容物27が開口部11から転がり出るのを抑止することができる。また、容器3に内容物27が投入されるとき、傾斜姿勢の容器3の他端7、及び下面9をそれぞれ可動受材21、及び保持部材25に受け止めさせ、内容物27が開口部11から跳ね出すことのないように、コンベヤ等から容器3の開口部11、又は底面13までの落差を小さく設定することができる。
【0046】
更に、傾動式秤量装置17によれば、容器1,3に内容物27が投入される前に容器1,3の姿勢を上記A,Gの工程で確定できるので、互いに形態の異なる複数の容器1,3から選択される容器を簡素な構造により適切に支持できるという利点がある。
【0047】
また、容器1の全高が容器3よりも低い分、上記Bの工程で内容物27を投下される容器1は、上記Iの工程で内容物27を投下される容器3よりも高い位置で、固定受材19、及び可動受材21によって受け止められることが好ましい。このため、昇降手段34は、上記Bの工程で電動機46,48の動作ロッド50を図2に示すように上昇させ、大出し口61から容器1の開口部11、又は底面13までの内容物27の落差を小さくすることができる。
【0048】
ここに述べた昇降手段34の動作は上記B〜Eの工程で継続される。上記Aの工程で、昇降手段34の電動機46,48がそれぞれの動作ロッド50を下降させている。これにより、固定受材19、及び可動受材21が水平姿勢の容器1の下面9を受け止める高さと、搬送手段55のローラー73が容器1の下面9を受け止める高さが合致する。上記Fの工程で、電動機46,48がそれぞれの動作ロッド50を下降させる。これにより、固定受材19、及び可動受材21が水平姿勢の容器1の下面9を受け止める高さと、搬出コンベヤ69が容器1の下面9を受け止める高さが合致する。
【0049】
更に、上記G〜Mの工程で、電動機46,48がそれぞれの動作ロッド50を下限まで下降させた状態を保つが、図3に示すように、上記Iの工程で電動機46,48の何れか片方の動作ロッド50を上昇させるようにしても良い。これにより、可動フレーム31を傾斜させ、固定受材19、及び可動受材21に受け止められる容器3が水平面に対して傾斜する角度を増減させることができる。
【0050】
図2,3に示すように、容器1,3の姿勢によって容器1,3の開口部11の位置が、供給手段63の大出し口61に対して矢印Xの向き、又はその反対向きに変位する。これを打ち消す向きに、移動手段33が可動フレーム31と共に固定受材19、及び可動受材21を大出し口61に対して進退させることにより、容器1,3の開口部11と大出し口61との間隔を適切に保つことができる。
【0051】
尚、搬送手段55は、上記Aの工程で容器1を矢印Yの向きに搬送する前に、ローラー73で支持した容器1の水平姿勢を保ちながらコンベヤフレーム71を筐体77に対して昇降できるようにしても良い。これは、上記Bの工程で昇降手段34が固定受材19、及び可動受材21を上昇させるので、予め搬送手段55がコンベヤフレーム71を上昇させることにより、ローラー73に支持される水平姿勢の容器1の高さを、上記Bの工程で固定受材19、及び可動受材21によって支持される容器1の高さに等しくするためである。
【実施例2】
【0052】
実施例1との相違点を以下に述べる。図7に示すように、本発明の実施例2に係る傾動式秤量装置18は、可動フレーム31の下部に秤量手段29を直に接合したものであり、既に述べた昇降手段を省略している。
【0053】
図8(a),(b)に示すように、傾動式秤量装置18は、容器1,3の上方に内容物27を供給する供給手段63から容器1,3の開口部11へ内容物27を案内するガイド部材113と、ガイド部材113を供給手段63から容器1,3の開口部11へ向けて進退させる進退手段115とをベルトコンベヤ93に取り付けている。
【0054】
ガイド部材113は、ベルトコンベヤ93の下方に位置し、例えば油圧シリンダー等の駆動源である進退手段115により進退する舌片状のシュートである。ガイド部材113は、進退手段115により伸長されたとき、その先端部が下方に向けて円弧状に変形するものであることが好ましい。また、進退手段115がガイド部材113を大出し口61から延出させる長さは自在に調整できることが好ましい。この場合、大出し口61から容器1,3の開口部11、又は底面13までの内容物27の落差が大きい程、進退手段115がガイド部材113を大出し口61から大きく前進させ、内容物27の落下する衝撃を小さく抑えることができる。
【0055】
或いは、図9(a),(b)に示すように、容器1,3の上方に内容物27を供給する供給手段63から容器1,3の開口部11へ内容物27を案内する伸縮自在なガイド部材113と、ガイド部材113を供給手段63から容器1,3の開口部11へ向けて進退させる進退手段115とをベルトコンベヤ93に取り付けても良い。ガイド部材113は円筒形である必要はなく、溝形、又は平坦なシート状であっても良い。
【0056】
供給手段63が容器1の上方に内容物27を供給するときに、進退手段115がガイド部材113を図9(a)に示すように伸長させる。これにより、ガイド部材113が、供給手段63の大出し口61から投下される内容物27を容器1の開口部11へ向けて案内する。或いは、供給手段63の大出し口61から容器3の開口部11、又は底面13までの落差が小さいときは、ガイド部材113が不要である。この場合、進退手段115がガイド部材113を同図(b)に示すように短縮させることができる。
【0057】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できるものである。実施例1,2で示した2種類の容器1,3は、本発明に適用できる容器の形態を限定するものでなく、互いに形態の異なる3つ以上の容器の中から選択される容器が搬送手段55に供給されても良い。上記Gの工程で、可動受材21の傾斜する角度と、コンベヤフレーム71の傾動する角度とは、互いに水平面に対して約45°で一致するが、この角度は設計事項である。
【0058】
固定受材19、可動受材21、及び保持部材25の何れかに、容器1,3を受け止めるゴムシート等を貼り合わせても良い。傾動式秤量装置17,18の何れにガイド部材113、及び進退手段115を適用しても良い。また、移動手段33を省略しても本発明の実施が妨げられることはない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、あらゆる容器に物品を投入しながら物品を秤量するのに有益な技術である。
【符号の説明】
【0060】
1,3,201,203...容器、5...一端、7...他端、9...下面、11,205...開口部、13,207...底面、15...目線、17,18...傾動式秤量装置、19...固定受材、21...可動受材、23...傾斜手段、25...保持部材、27,209...内容物、29...秤量手段、31...可動フレーム、33...移動手段、34...昇降手段、35...水平軸、37,48,81,109...ピストンロッド、39,41...ピン、43...ベース板、47...ブラケット、46,48...電動機、49...ガイドレール、50...動作ロッド、51...脚部、53...スライダー、44,54...スライド板、55...搬送手段、57,59...コンベヤ、61...大出し口、62...小出し口、63...供給手段、65...副供給手段、67...副秤量手段、69...搬出コンベヤ、71,101...コンベヤフレーム、73,99...ローラー、75,103...ヒンジピン、77,105...筐体、79,107...傾動手段、85,111...エンドレスベルト、87...駆動源、89...プッシャー、90...ガイドレール、91,93,95...ベルトコンベヤ、97...ローラーコンベヤ、113...ガイド部材、115...進退手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の一端と他端との間に下面を画定され開口部を上向きに開放した容器がその開口部を鉛直上方に向けた水平姿勢をとるとき、前記容器の一端から前記下面の長手方向の途中までを受け止める固定受材と、
前記水平姿勢をとる容器の他端から前記下面の長手方向の途中までを、前記固定受材と同じ高さで受け止める可動受材と、
前記容器がその他端を下向きにした傾斜姿勢をとるとき、前記容器の他端を前記可動受材が受け止めるように、前記可動受材を傾斜させる傾斜手段と、
前記固定受材の下方に延出し、前記傾斜姿勢の容器の下面を受け止め前記傾斜姿勢の容器を前記可動受材に位置決めする保持部材と、
前記容器に投入される内容物の重さを計量する秤量手段とを備えることを特徴とする傾動式秤量装置。
【請求項2】
前記固定受材、及び前記可動受材を昇降させる昇降手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の傾動式秤量装置。
【請求項3】
前記容器を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される容器が前記水平姿勢、又は傾斜姿勢になるよう前記搬送手段を傾動させる傾動手段とを備え、
前記固定受材と同じ高さで前記可動受材が前記容器の下面を受け止めるとき、前記搬送手段により搬送される水平姿勢の容器が、前記固定受材、及び前記可動受材に供給され、
前記可動受材が前記容器の一端を受け止めるとき、前記搬送手段により搬送される傾斜姿勢の容器が、前記可動受材に供給されることを特徴とする請求項1又は2に記載の傾動式秤量装置。
【請求項4】
前記容器の上方に内容物を供給する供給手段から前記容器の開口部へ内容物を案内するガイド部材と、
前記ガイド部材を前記供給手段から前記容器の開口部へ向けて進退させる進退手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の傾動式秤量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−36954(P2013−36954A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175584(P2011−175584)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】