説明

像加熱装置

【課題】 定着ベルトを安価な構成でレシプロすることによって、定着ベルトのコバ傷を軽減し、画質、耐久性を向上させる。
【解決手段】 定着装置の圧解除に連動してレシプロ動作をするカムを設け、カムの一動作の回転角度の整数倍が360でない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機、複写機、プリンタ、ファックス等の記録材上に画像形成可能な電子写真方式により記録材上に形成されたトナー像を加熱する像加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式等を利用した画像形成装置において、トナーによって記録材上に形成された画像を像加熱部材と加圧部材とにより形成されるニップ部にて加熱する像加熱装置が用いられる。記録材がニップ部に狭持されている時、記録材端部のエッジ部分が像加熱部材に当接している状態にある。また、記録材の端部は記録材が狭持される際、加圧部材のたわみの起点となるため、記録材の端部に相当する像加熱部材表面には大きな圧力が生じやすい。
【0003】
さらに、上述のような像加熱装置の場合、通紙領域では熱が紙に奪われるのに対し、非通紙領域では通紙領域に比して非常に高温になる端部昇温の問題がある。端部昇温によって、像加熱部材の長手方向に温度差が生じ、この温度差による搬送速度差によって、記録材のエッジ部(紙コバ部)で像加熱部材或いは加圧部材の表面のPTFE、PFAといったフッ素樹脂のコート層を磨耗させ、像加熱部材或いは加圧部材の表面に傷が生じやすいという問題がある(この傷を以下、紙コバ傷と呼ぶ)。
【0004】
この傷が発生した状態で傷の位置が印字領域内であるような幅の広い記録材を通紙すると、像加熱時に像加熱部材或いは加圧部材の表面に形成された微少な傷による凹凸が記録材上のトナーに転写され、画像品位を落としてしまう。さらにコバ傷が進行すると、オフセットした微量のトナーや紙粉が傷の部分に蓄積され、ある一定量以上蓄積すると記録材表面に付着し画像を汚す原因となりうる。また、この傷が像加熱部材或いは加圧部材のゴム層の破壊起点ともなり得る。像加熱装置の高寿命化を図る上で、この紙コバ傷は解決すべき問題である。
【0005】
これら像加熱装置における諸問題を解決するため、特許文献1によれば、カムを回転させて、定着ローラおよび加圧ローラを回転自在に支持している前後側板がローラの長手方向に往復運動(レシプロ)するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−194216
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カムが一周すると同じ位置に戻るようなレシプロ機構を採用する場合には、以下の問題が生ずる。即ち、所定タイミング毎にカムの予め設定された角度の回転によりレシプロ動作を行う構成において、一回分のカムの回転角度が一周分の360°の約数の場合には、レシプロ動作後の停止位置が同じになる場合が多くなり、像加熱装置の高寿命化の妨げとなる。
【0008】
そのため、本発明は、予め設定された角度でカムを回転し続けてレシプロ動作を行う構成であっても、レシプロ動作後の停止位置が同じになる頻度を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、記録材に形成されたトナー像を加熱する回転可能な像加熱部材と、前記像加熱部材を圧し、記録材を挟持搬送するニップ部を形成する加圧部材と、カムを有し、カムを予め設定した設定角度で回転することで前記ニップ部を形成している前記像加熱部材と前記加圧部材とを前記像加熱部材の回転軸線方向にレシプロするレシプロ機構と、予め設定したレシプロ動作毎に前記カムの回転角度が予め設定した設定角度になるように前記カムを回転する回転機構と、有する像加熱装置において、前記設定角度の値は360よりも小さい値あって、設定角度の整数倍が360にならない値であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、予め設定された角度でカムを回転し続けてレシプロ動作を行う構成であっても、レシプロ動作後の停止位置が同じになる頻度を低減することで、像加熱装置の高寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施例に係る画像形成装置の概略図
【図2】本実施例に係る定着装置の概略図
【図3】本実施例に係る加圧解除機構の概略図
【図4】本実施例に係る加圧解除機構の概略図
【図5】定着装置に記録材が通紙されている図
【図6】本実施例に係る加圧解除機構の概略図
【図7】本発明に係るレシプロ動作の概略図
【図8】レシプロカムのプロファイルを示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
以下に、実施の形態に基づいて、本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、トナーを用いて記録材に画像を形成する画像形成装置の装置本体100の構成を示し、記録材S上に転写されたトナー像に熱と圧を加えて定着処理する定着装置(像加熱装置)が備わっている。但し、画像形成装置の具体例として中間転写ベルトを用いたフルカラーの画像形成装置が図示されているが、その構成の画像形成装置に限定されるものではない。
【0013】
本実施例では、図1に示すように、装置本体100では上記4色のトナー像形成に対応する画像形成部200Y,200M,200C,200Kが直列に配置されている。そして、可視画像化するまでのプロセスを各色ごとに並列処理するタンデム方式が採用されている。本実施例では、トナーの色を除き、画像形成部が像担持体である感光体20にトナー像を形成するための画像形成構成は共通であるため、イエローの画像形成部200Yを代表して感光体上にトナー像を形成するための構成を説明する。
【0014】
像担持体である感光体20Yの表面は帯電装置21Yによって所定の電位になるように一様に帯電される。その後、露光装置22Yによって感光体20Yの表面を露光することによって、感光体20Y上に静電潜像が形成される。そして、感光体20Y上の静電潜像は、現像装置23Yによって現像剤を用いて現像され、トナー像が形成される。現像装置23Yによって現像された感光体20Y上のトナー像は、一次転写装置24Yによって無端状ベルトによる中間転写ベルト25に転写される。
【0015】
そして、各画像形成部で上記と同様の工程によりそれぞれの感光体に形成されたトナー像は、同様に中間転写ベルト25に順次重畳させて転写されることで、中間転写ベルト25上にカラートナー像が形成される。そして、全色一次転写された中間転写体25上のカラートナー像は、二次転写装置26によって記録材S上に一括転写される。記録材Sは、給紙装置によって二次転写装置26まで搬送される。未定着のトナー像を担持した記録材Sはベルト方式の本実施形態による定着装置27へと搬送される。定着装置27では、記録材S上のトナー像は定着ニップ部にて加熱と加圧により記録材S上に定着される。そして、定着後の記録材Sは排紙トレイ28へと排紙される。裏面側に画像を形成する際には、記録材は記録材反転路29によって反転され、その後、両面搬送路30を介して再度上記と同様の画像形成プロセスにより2次転写部で裏面側に画像が形成される。
【0016】
次に、図2から図5を用いて、定着装置27の構成について説明をする。
300は加熱手段としてのとしてのセラミックヒータ(以下、ヒータと記す)である。このヒータ300は、面状のセラミック基板に通電により発熱する抵抗体層が設けられ、その抵抗体層の上に保護層が設けられている。
【0017】
301は上記のヒータ300を固定支持するための支持部材としてのヒータホルダである。このヒータホルダ301は横断面略半円弧状樋型で耐熱性樹脂等の断熱性部材である。ヒータ300はこのヒータホルダ301の下面に長手方向(記録材の搬送方向と直交する記録材の幅方向)に沿って形成具備させた溝部にヒータ表面側を下向きに露呈させて嵌め入れて耐熱性接着剤等により固定して配設してある。
【0018】
302は、記録材上のトナー像を加熱する回転可能な像加熱部材としての耐熱性の定着ベルトであり、上記のヒータ300を含むヒータホルダ301にルーズに外嵌させてある。定着ベルト302は熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、ベルトの基層となる膜厚は100μm以下、好ましくは20〜50μm程度のSUSやNiからなる金属層となっている。そして、この金属層の外周面にシリコンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴム、あるいはシリコンゴムの発泡体からなる弾性層が重ねられている。更に、表層には、5〜50μm程度のPTFE、PFA等の離型層をコーティングした複合層のベルトである。また、基層の内面には数μm程度のポリイミドからなる保護層を設けてあり、ヒータ300と定着ベルト302の金属層との慴擦を低減させている。303は支持部材301の内側に配設したステーであり、ヒータホルダ301を支持している。
【0019】
304は、定着ベルト302と記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成するための加圧部材としての加圧ロールである。加圧ロールは芯金304bと、シリコンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴム等からなる弾性層304a、PTFE,PFA等の離型層から構成される。加圧ロール304は、芯金304bの両端部を両側板400に回転自由に軸受け支持させて配設してある。
【0020】
この加圧ロール304の上側に上記のヒータ300・ヒータホルダ301・定着ベルト302・ステー303のアセンブリを、ヒータ300側を下向きにして加圧ロール304に並行に配置する。そして、ステー303を後述する加圧力可変機構500で下方に押圧させることで、ヒータ300の下面を定着ベルト302を介して加圧ロール304を圧することで定着ニップ部を形成する。
【0021】
305a・305bは円筒状のヒータホルダ301の手前側と奥側の端部に嵌着して配設したフランジ部材であり、定着ベルト302内周面の端部を受けて、定着ベルト302のヒータホルダ301の長手に沿う寄り移動を規制する役目をする。
【0022】
フランジ305は、定着装置の前後側板400にそれぞれが係合し、上下方向への移動が可能になっている。
【0023】
306は分離ガイドで、排紙搬送された用紙が定着ベルト302に巻き付かないように、かつ定着ベルト302に接触して定着ベルト302に傷をつけないように、定着ベルト302とある間隔(隙間)を持って搬送方向下流側に配置されている。分離ガイド306はフランジ305の一部に係合し、バネ等の付勢部材により固定されている。
【0024】
ヒータ300への通電は、図示しない温度検知部材であるサーミスタの検知温度が予め設定した設定温度になるように、通電制御部であるCPUにより制御される。
【0025】
図3を用いて加圧力可変機構500について説明する。本実施例では加圧カム501を用いた構成になっている。加圧力可変機構500は、加圧カム501、加圧板回動軸502、加圧カム回動軸504、加圧板505、加圧調整ネジ506、加圧支持板507、加圧バネ508から構成されている。
【0026】
加圧板505と加圧支持板507は、加圧板回動軸502により軸支されており、加圧板505は加圧支持板507に対して回転自在に動くことが出来る。また、加圧支持板507は側板400に加圧支持板回動軸503で支持されており、加圧支持板507の先端に設けられた先端507a部で、側板400に対してビス等の手段で固定されている。
【0027】
加圧支持板507には加圧調整ネジ506が締結されており、加圧調整ネジ506を締めることによって加圧調整ネジ506の座面が加圧バネ508のバネ長を縮め、加圧板505に負荷されるバネ荷重を大きくすることができる。加圧板505は上述のとおり加圧支持板507に対して回転自在に支持されているので、加圧バネ508による圧縮力によって加圧板回動軸502まわりにモーメントが発生する。
【0028】
加圧板505はフランジ305に当接するように配置されているので、加圧板505に生じるモーメントによってフランジ305は加圧ローラ304方向へ押され、加圧ローラ304と定着ベルト302の間に定着ニップが形成されることとなる。
【0029】
加圧力を解除する際には、所定の偏心量を持った加圧カム501が回転して加圧板505を押し上げ、加圧板505とフランジ305の接触を解除するまで加圧板505を回転させることによって加圧力を解除している。加圧カム501の外側に駆動源Mが備えられており、制御部であるCPUが駆動源(モータ)を動作させることによって加圧カム回動軸504を回転させ、圧解除が可能となる。通常、加圧力は例えば300Nに設定されている。図3では、定着装置を画像形成装置にセットした際の奥側方向から見た図で説明している。図4に示すように前側にも同じ機構があり、駆動源Mから駆動が加圧カム回動軸504に伝達し、回転する事によって、前奥の加圧カムが同時に回転し、前奥ともに圧解除することができる。
【0030】
以上示した動作によって、プリント動作がスタートすると、記録材Pに転写されたトナーTが、所定の温度に保たれた定着ベルト302と加圧ロール304の間に形成されたニップ部を通過することによって、記録材PにトナーTが定着される。そして、記録材は、分離ガイド306の下面を通過し、排紙される。プリント動作が終了すると、加圧力可変手段500によって圧解除状態が保たれる。
【0031】
図5にプリント動作中の定着装置の様子を示す。プリント時は加圧力可変機構500によって定着ベルト302と加圧ロール304の間に定着ニップが形成され、定着ニップ部を記録材が通過することによって定着工程が完了する。ここで、記録材の端部には記録材の裁断の際に生じる微小なバリがあり、このバリによって、定着工程時に記録材の端部に相当する定着ベルト302の表面に微小な傷が生ずる。また、同じサイズの記録材を連続的に定着する場合、定着ベルト302の記録材が通過する部分(通紙部)と記録材が通過しない部分(非通紙部)では、定着ベルト302表面の温度差が生じてきてしまう。通紙部では定着ベルト302の熱がトナーの定着によって使用され、非通紙部では定着ベルト302の熱が使用されないためである。この温度差によって、定着ベルトの非通紙部領域では表面速度が通紙部領域に対して相対的に速くなる。その結果、記録材の端部領域で微小なスリップが発生し、定着ベルト302の表面に微小な凹凸(これら記録材端部による定着ベルト表面傷を、以下コバ傷と呼ぶ)を生じさせてしまう原因になりうる。
【0032】
上記コバ傷を低減させる手段として、先行技術に挙げたように定着装置全体を記録材に対して往復運動させ、定着ベルトや定着ローラに対する記録材端部通過位置をずらし、コバ傷を低減させる方法がある。
【0033】
そこで、本発明は、簡単な構成でコバ傷を効果的に低減する装置を提供するものである。本発明を適用した定着装置を図6、図7を用いて説明する。
【0034】
図6に示すように、本発明では、加圧板回動軸502の加圧バネ508とは反対側に、レシプロ機構600を設けている。本実施例のレシプロ機構600は、像加熱部材の回転軸線方向に相当する定着ベルトの幅方向に定着ベルトを移動させるものである。レシプロ機構600は、揺動部材601と、ギア602と、レシプロカム部材603から構成されている。揺動部材601は、その円周上の一部に突起601aが設けられており、一方で加圧板505の端部からもその一部が突出した形状になっている。
【0035】
圧解除時、加圧カム501が回転することによって加圧板505が加圧板回動軸502周りに、図示の半時計回りに回転する。すると、加圧板505の端部に設けられた突出形状が、揺動部材601の突起601aと当接し、揺動部材601が図の矢印方向に回転する。
【0036】
揺動部材601には、内部にワンウェイクラッチを配しており、揺動部材601の右回りの回転により、軸604に回転力が伝わる。
【0037】
同軸にはギア602が軸601と連れまわるように嵌合しており、揺動部材601の回転により、結果としてギア602が回転する。
【0038】
このギア602による駆動力は、ギア等で連結されて最終的にレシプロカム603を回転させることとなる。図7に示すように、レシプロカム603にはその円筒面に溝形状603aを有している。また、溝603aは円周方向に回転するに伴い、カムの軸方向に変位するような形状、すなわちV字形状に溝が切ってある。V字の溝はレシプロカム603一周で、同じ位置に戻ってくるような形状をしている。例えば、一周で3mmの範囲を往復するように設計されている。即ち、回転角が360°になると、初めて同じ位置に戻る構成である。
【0039】
溝603aには、突起605が嵌合している。レシプロカム603が回転すると、溝603aに嵌合している突起605は、溝603aに沿ってレシプロカム603の軸方向に移動することとなる。突起605はフランジ嵌合部材606の一部から形成されている。また、フランジ嵌合部材606には、フランジ305が、上下方向に移動可能に、かつ定着装置の前奥方向には固定されるように嵌合している。これは、側板400とレシプロ軸410が一体となっており、レシプロ軸410によってフランジ嵌合部材606が前奥方向に移動可能に固定されているためである。このため、レシプロカム603が回転する事によって、フランジ嵌合部材606が定着装置の前奥方向に移動し、結果としてフランジ305が定着装置の前奥方向に移動する事が可能となる。定着ベルト302の長手方向の位置はフランジ305に当接することによって決定されているので、フランジ305が移動する事によって定着ベルト302の長手方向の位置を変化させることが可能となる。
【0040】
再び定着装置に加圧力を負荷する場合、加圧カム501が回転し、加圧板505が加圧状態の位置に戻る。このとき、揺動部材601も加圧状態の位置に戻る。これは、揺動部材601にバネ607の一端が掛かっているためである。また、揺動部材601の内部のワンウェイクラッチは、一方向のみの回転を伝達するため、揺動部材601が加圧状態に戻る際に、軸604を回転させてしまう事はない。
【0041】
以上説明した動作により、定着装置の圧解除に連動したレシプロ動作で、特別な駆動源も必要なく、定着ベルト302を長手方向に往復運動させることが可能となる。
【0042】
本実施例では、レシプロカム603の回転角度は、設定角度の整数倍が360にならないように設定されている。一回毎のレシプロカムの回転角度は10.5°に設定されている。即ち、一度の圧解除時に動作するレシプロカムの回転角度は10.5°である。この設定により、圧解除時のレシプロカム604が同じ位相になるまでの間隔を長くすることができる。その結果、位相を変更するために、異なる設定角度のレシプロ動作を行うといった動作の頻度を極めて低い頻度にしても、レシプロカム604が同じ位相となるまでの間隔を長くすることができる。その結果、定着ベルト302の長手方向の位置も同じになるまでの間隔を長くすることができ、定着ベルト302の特定の位置が記録材の端部に重なりやすくなるような現象を妨げることができる。一方で、例えば、図8に示すように、レシプロカム604の回転角度が90°である場合、圧解除を2回行うともとの位相に戻ってしまうため、結果としてコバ傷が同じ位置に生じてしまうことになる。これを避けるために異なる設定角度のレシプロ動作を行う頻度は高くなり、レシプロ動作の制御が複雑化してしまう問題が生じてしまう。
【0043】
本実施例では、小数点以下第二位以下の端数を切り捨てた数の整数倍が360にならないような設定角度である。本実施例における設定角度は、10.5°であるが、10.52°の場合には、小数点以下第二位以下を切り捨て、10.5の整数倍が360になるかどうかを判断するものとする。
【0044】
なお、回転角度に移動誤差を持つ場合には、少なくとも設定角度は中心値である。なお、本実施例では、設定角度は10.5°に該当すると共に、この動作角度になるようにモータのパルス幅が決定されているため、移動誤差は±0.1°である。その結果、移動角度は10.5°±0.1°である。本実施例では、移動誤差を含めた小数点以下第二位以下を切り捨てた何れの角度の整数倍が360にならないように、移動誤差を考慮して設定角度が設定されている。
【0045】
本実施例では、加圧解除時にレシプロカムを動作させる構成に対して設定角度を設定したものであるが、本発明はこのレシプロ機構に限定されるものではない。例えば、所定の間隔毎にレシプロ用のモータによりレシプロ用のカムを回転させてレシプロ動作を行う回転機構に採用しても、本発明の一回のレシプロ動作毎に移動する設定角度の設定を行うことにより同様の効果を得られる。その際には、モータは制御部(CPU)により、カムがこの設定角度で回転するように回転量が制御される。
【0046】
以上説明したように、本発明により、予め設定された角度でカムを回転し続けてレシプロ動作を行う構成であっても、レシプロ動作後の停止位置が同じになる頻度を低減することで、像加熱装置の高寿命化を図ることができる。
【符号の説明】
【0047】
27 定着装置
302 定着ベルト
400 側板
410 レシプロ軸
500 加圧力可変手段
501 加圧カム
502 加圧板回動軸
504 加圧カム回動軸
505 加圧板
506 加圧調整ねじ
507 加圧支持板
508 加圧バネ
600 レシプロ機構
601 揺動部材
602 ギア
603 レシプロカム
604 軸
605 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に形成されたトナー像を加熱する回転可能な像加熱部材と、前記像加熱部材を圧し、記録材を挟持搬送するニップ部を形成する加圧部材と、カムを有し、カムを予め設定した設定角度で回転することで前記ニップ部を形成している前記像加熱部材と前記加圧部材とを前記像加熱部材の回転軸線方向にレシプロするレシプロ機構と、予め設定したレシプロ動作毎に前記カムの回転角度が予め設定した設定角度になるように前記カムを回転する回転機構と、有する像加熱装置において、
前記設定角度の値は360よりも小さい値あって、設定角度の整数倍が360にならない値であることを特徴とする像加熱装置。
【請求項2】
前記設定角度の値は、前記設定角度の値を小数点以下第二位以下の端数を切り捨てた数の整数倍が360にならないことを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−88517(P2013−88517A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227036(P2011−227036)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】