説明

優れたトライボロジ特性を有するポリフェニレンエーテル及び/又はポリスチレン含有組成物及びポリフェニレンエーテル及び/又はポリスチレン組成物のトライボロジ特性を改良する方法

スチレン及び/又はポリフェニレンエーテル含有ポリマー、オレフィン含有ポリマー及び相溶化剤を含有する内部潤滑ポリマー組成物が提供される。オレフィン含有ポリマーは組成物中に約3〜30重量%存在し、内部潤滑作用をなし、スチレン又はポリフェニレンエーテル含有ポリマー単独と比べて、摩耗測定により求めた組成物のトライボロジ特性を改良する。好適な組成物は摩耗係数が約130×10−11mm/Pa−m未満である。好適な組成物は、ポリスチレン/ポリフェニレンエーテル、線状低密度ポリエチレン及びスチレン−エチレン−ブタジエンースチレンのブレンドを含有する。スチレン及び/又はポリフェニレンエーテル含有ベースポリマーに少なくとも1種のオレフィン含有ポリマー及び少なくとも1種の相溶化剤を添加するか、少なくとも1種の実質的にハロゲンを含まない内部潤滑剤を添加することにより、ベースポリマーのトライボロジ特性を改良する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、優れたトライボロジ特性を有するポリフェニレンエーテル及び/又はポリスチレン含有組成物及びポリフェニレンエーテル及び/又はポリスチレン組成物のトライボロジ特性を改良する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、摩耗システムはオイルやグリースのような外部潤滑剤(表面滑剤)を用いて、耐摩耗性を増加するとともに、トライボロジシステムにおける複数部品の移動接触表面間の摩擦損失を軽減する。しかし、このような外部潤滑剤は多くの場合、定期的な交換が必要であり、摩耗表面への分布が不均一になり、そのため摩耗システムのコストが高く、効率が悪くなるおそれがある。さらに、食品加工や複写など、製品の汚染が問題となる分野では、伝統的な外部潤滑剤は望ましくないことがある。
【0003】
したがって、多くの摩耗システムにおいて、内部潤滑剤をポリマー成分に使用してトライボロジ特性(耐摩耗性、耐摩擦性など)を改良することにより、外部潤滑剤を他に置き換えるかなくすのが望ましい。内部潤滑剤を用いて、ポリマー表面と金属表面間の摩擦係数を減らし、耐摩耗性を増加し、流れ特性を改良し、ポリマーの編成や濡れなどの特性を向上することができる。内部潤滑剤の使用により、外部潤滑剤を用いる必要をなくしたり、外部潤滑剤を許容しない用途で部品の寿命を長くしたりすることができる。よく用いられている内部潤滑剤には、ワックス、脂肪酸、ステアリン酸金属塩、アラミド、シリコーン、グラファイト、二硫化モリブデンなどがある。さらに、ある種のフッ素ポリマーがある種のポリマーの摩擦係数の低下に貢献することが知られている。たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は極めて低い摩擦係数を有し、良好な潤滑特性を示すので、多くの化合物及びベースポリマー用の内部潤滑剤としてよく用いられている。
【0004】
しかし、PTFEを含まない組成物を利用するのが望ましいシステムもある。たとえば、ハロゲンを含有しない材料を必要とする用途があり、この場合PTFEを避ける必要がある。PTFEはある種のポリマー複合材の衝撃性に悪影響することも知られており、したがって衝撃強度が非常に重要である用途にはこのようなコンパウンドを用いることができない。最後に、PTFEは一般に、PTFEを配合するベースポリマーより高価であり、このような場合PTFEにより付与される効果のレベルが添加費用を相殺できないことがある。しかし、ある程度の内部潤滑は依然として望ましいので、PTFEの代替品が必要とされている。
【0005】
ポリオレフィンを内部潤滑剤として用いて種々のタイプのポリマー複合材のトライボロジ特性を改良する方法が知られている。このような複合材には、ポリアミド/ポリプロピレンブレンド並びにポリカーボネート/ポリオレフィンブレンドなどのポリカーボネート組成物がある。しかし、当業界では、ポリフェニレンエーテル及び/又はスチレン含有組成物用の内部潤滑剤として機能し、このような組成物のトライボロジ特性を改良することが確認され、しかも上述したPTFEの欠点を一つも持たない、PTFE代替品が必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマー、(b)内部潤滑作用をなすオレフィン含有ポリマー及び(c)相溶化剤を含有する組成物を提供し、この組成物は、ベースポリマー単独と比べて優れたトライボロジ特性を呈する。
【0007】
本発明はまた、(a)スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマー、(b)内部潤滑作用をなすオレフィン含有ポリマー及び(c)相溶化剤を含有し、ベースポリマー単独と比べて優れたトライボロジ特性を有する組成物から形成した成形物品を提供する。
【0008】
本発明はまた難燃性物品を提供する。難燃性物品は、(a)スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマー、(b)内部潤滑作用をなすオレフィン含有ポリマー、(c)相溶化剤及び(d)難燃剤を含有し、ベースポリマー単独と比べて優れたトライボロジ特性を有する組成物から形成される。
【0009】
スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマーのトライボロジ特性を改良する方法も本発明に包含される。本方法は、ベースポリマーに、少なくとも1種のオレフィン含有ポリマーと少なくとも1種の相溶化剤を添加して組成物を形成する工程を含む。
【0010】
さらに、スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマーのトライボロジ特性を改良する方法も本発明に包含される。本方法は、ベースポリマーに、少なくとも1種の実質的にハロゲンを含有しない内部潤滑剤を添加して組成物を形成する工程を含む。
【0011】
本発明はまた、ベースポリマーの表面が摩擦を生じる別の表面に当接している場合に、乾燥した滑らかな接触摺動トライボロジ摩耗系におけるベースポリマーの耐摩耗性を改良する方法を提供する。本方法は、(a)スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマーを用意し、(b)ベースポリマーにオレフィン含有ポリマーを添加し、(c)ベースポリマーに相溶化剤を添加し、(d)ベースポリマー、オレフィン含有ポリマー及び相溶化剤を溶融混合して組成物を形成する工程を含む。得られた組成物は、ベースポリマーと比べて優れた耐摩耗性を有し、トライボロジ系において約130×10−11mm/Pa−m未満の摩耗係数を有する。
【0012】
最後に本発明は、スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマーに内部潤滑剤を付与する方法を提供する。本方法は、ベースポリマーに少なくとも1種のオレフィン含有ポリマー及び少なくとも1種の相溶化剤を添加して組成物を形成する工程を含む。
【0013】
上述した発明の開示及び以下の本発明の好適な実施態様の詳細な説明は、添付の図面を参照することで、一層良く理解できるであろう。本発明を具体的に説明する目的で、現在のところ好適である実施態様を図面に示す。しかし、本発明は図示した配置や手段そのものに限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明によれば、内部潤滑ポリマー組成物が提供され、この組成物はトライボロジ摩耗システムに、特にスチレンを含有するかスチレン単量体に基づく成分及び/又はポリフェニレンエーテル(PPE)を含有する成分を含有するトライボロジシステムに使用することができる。このような組成物の使用により、外部潤滑剤の必要を減らすかなくす一方、PTFE潤滑剤含有スチレン組成物へのハロゲンを含まない、比較的安価な代替品を得るとともに、摩擦損失を減らすことができる。内部潤滑剤含有組成物は、ポリマー/金属トライボロジシステムにおいて低い摩擦係数及び低い摩耗係数(良好な耐摩耗性)を呈する。
【0015】
本組成物を用いて、トライボロジシステム用の接触部品、たとえば代表的には機械や家庭用品に見られる接触部品を作製することができる。用語「トライボロジ」は摩耗及び摩擦に関係すると理解され、摩耗や摩擦は以下に詳細に説明するような方法で測定できる。
【0016】
代表的なトライボロジ摩耗システムでは、ポリマー複合材の表面が、鋼などの金属表面を含む乾燥した、つまり無潤滑表面に当接する。本発明の摩擦及び摩耗を調べる試験では、1141冷間圧延鋼を金属表面として使用した。本発明のポリマー組成物から形成した部品を乾燥条件下で使用するのが好ましいが、これらの部品を湿潤条件下で使用しても、他のポリマーなど種々多様な材料と接触状態で使用してもよい。
【0017】
乾燥した滑らかな接触のトライボロジ摩耗システムにおける適度な荷重条件下でのポリマー部品の主たる摩耗機構は凝着摩耗である。ポリマー部品と金属部品を荷重下移動(即ちすべり)接触関係に置くと、ポリマー複合材の表面は剪断、拡開されてポリマーフィルムを形成し、このポリマーフィルムが金属部品の表面に化学結合される。即ち、金属部品の表面にトランスファフィルムが形成される。凝着摩耗は2つの因子、即ち、ポリマー表面で行われる仕事の量とすべり界面の固有耐久性との影響を受ける。摩耗係数(wear factor)K、即ちポリマー材料面の崩壊速度は、ポリマー材料の表面の新しい層が金属部品とのすべり接触により摩耗されるにつれての、磨砕(アトリッション)速度及びその後のトランスファフィルムの交換によって決められる。しかし、トライボロジシステムにおける材料の摩耗特性は一般に、ポリマーの他の機械的特性に基づいて予測することができない。
【0018】
本発明のポリマー組成物を用いて、様々な摺動部品に用いるのに適当な、高い耐摩耗性(低い摩耗係数)及び低い摩擦係数を有するトライボロジ摩耗部品を形成することができる。
【0019】
好適な実施態様では、本発明は、少なくとも3つの主成分、スチレン及び/又はポリフェニレンエーテルを含有するベースポリマー、内部潤滑作用をなすオレフィン含有ポリマー、及び相溶化剤を含有するのが好ましい。得られた内部潤滑組成物は、ベースポリマー単独と比べて優れたトライボロジ特性を呈する。
【0020】
本組成物はポリフェニレンエーテルを含有するベーズポリマーを含有するのが好ましく、別の実施態様では、ポリフェニレンエーテルに加えて或いはその代わりにスチレン含有ポリマーを含有してもよい。スチレン含有ポリマーは、スチレン単量体及びその誘導体に基づくホモポリマーでもコポリマーでもよく、たとえばポリスチレン、ポリアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリスチレン−アクリロニトリル(SAN)、もしくはこれらの材料と他のポリマー、好ましくはポリフェニレンエーテルとのブレンドなどがある。ベースポリマーとしては、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレンブレンド、たとえばゼネラル・エレクトリック社から登録商標名Norylにて市販されているブレンドがもっとも好ましい。このようなブレンドは、高温性能、耐薬品性、強度などの面から好適である。しかし、特定の用途に応じて、別のベースポリマー又はポリマーブレンドがより望ましいこともある。
【0021】
ポリフェニレンエーテル及び/又はスチレン含有ベースポリマーに内部潤滑作用をなすオレフィン系成分は、当業者によりポリオレフィンと認められるものであればいかなるポリマーでもよい。好適なオレフィン系ポリマーには、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合体があるが、これらに限定されない。本発明の範囲に包含される他のオレフィン系ポリマーには、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−ビニルアルコール、エチレン−アクリル酸、エチレン−シクロオレフィン共重合体、及びポリブチレン類、たとえばポリイソブチレン及びポリ−1−ブテンがある。LLDPEは、特に低い摩耗係数を有する組成物をもたらすことが認められたので、もっとも好ましいオレフィン含有ポリマーである。しかし、特定の用途に応じて、別のオレフィン系ポリマーがより望ましいこともある。
【0022】
最後に、本組成物に用いる1種以上の相溶化剤は、好ましくは、スチレン単量体及びオレフィン単量体両方から形成された共重合体、たとえばポリスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、スチレン−エチレンインターポリマー、ポリスチレン−エチレン−プロピレン(SEP)及びスチレン−ブタジエンゴムである。しかし、当業界で知られた或いは今後開発される他の相溶化剤も本発明の範囲内の機能を果たす。相溶化剤は組成物を成形しやすくする機能をなし、また組成物がスチレンもしくはポリフェニレンエーテル含有ベースポリマーの特性、たとえば衝撃強さの大部分を保持することを可能にする。好適な相溶化剤はSEBSであるが、特定の用途に応じて、別の相溶化剤がより望ましいこともある。
【0023】
オレフィン含有ポリマーは、組成物中に、組成物の全重量に基づいて約3〜約30重量%の量存在するのが好ましく、より好ましい実施態様では、約5〜約15重量%の量存在する。オレフィン含有ポリマーの量が少なすぎると、組成物の摩耗係数が高くなりすぎ、したがって組成物がある種の摩耗用途に用いるのに適当でなくなり、望ましくない。或いはまた、オレフィン含有ポリマーの割合が多いと、組成物が、ポリフェニレンエーテル又はスチレン含有ベースポリマーよりオレフィン含有ポリマーに似た特性を呈することになり、このことは摩耗用途には好適な組成物に比べ望ましくなく、また望ましくない機械特性となるおそれがある。
【0024】
相溶化剤は、組成物中のオレフィン含有ポリマーの量や組成物に使用する特定のベースポリマーに依存するが、組成物中に、組成物の全重量に基づいて約1〜約20重量%の量存在するのが好ましく、約3〜約10重量%の量存在するのがより好ましい。これより多量の相溶化剤を導入すると、組成物の粘度を挙げる傾向があり、このことは特定の用途に応じて望ましいことも、望ましくないこともある。オレフィン含有ポリマー対相溶化剤の比は、約0.5:1〜約10:1であるのが好ましく、約1:1〜2:1であるのがより好ましい。
【0025】
上記3成分に加えて、本組成物はさらに標準的な添加剤を含有してもよい。これらの添加剤により達成される代表的な性能向上としては、強化、難燃性、熱及び/又は電気伝導性、寸法安定性、流れ、衝撃改良などが挙げられるが、これらに限らない。このような添加剤が組成物のトライボロジ特性に重大な影響を与えないのが好ましい。代表的な添加剤には、充填剤、強化剤、追加の滑剤、色味剤などの着色剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、可塑剤、スリップ剤、紫外線吸収剤又は安定剤、難燃剤、離型剤、流れ調整剤及び/又は熱安定剤などがある。このような添加剤の具体例には、炭素繊維、炭素粉末、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ステンレス鋼繊維、セラミック繊維、セラミック粉末、ウォラストナイト、タルククレイ、マイカ、顔料、ステアリン酸塩、ワックス、二硫化モリブデン及びシリコーンオイルなどの各種オイルがある。添加剤、特に組成物の摩耗及び/又は摩擦特性に有意な悪影響をなすおそれのある添加剤を最小限に抑えるのが好ましい。
【0026】
本発明の好適な組成物は難燃剤を含有し、そのような組成物を用いて難燃性物品を製造することができる。本組成物に導入する難燃剤は、ハロゲン含有難燃剤、たとえばデカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAもしくは臭素化オリゴマーもしくはポリマー;リン含有難燃剤、たとえば赤リン、リン酸塩、ホスホン酸塩、又はレゾルシノールジホスフェートなどのリン酸エステル;窒素含有難燃剤、たとえばシアヌール酸メラミン;或いはメラミンポリホスフェートのようなこの種の難燃剤1つ以上の組合せとすることができる。これらの具体的な難燃剤は例示に過ぎず、当業界で知られた、もしくは今後開発される他の難燃剤も本発明の組成物に用いるのに適当である。難燃剤としては、ハロゲンを含有しない難燃剤、たとえばレゾルシノールジホスフェート及びビスフェノールAジホスフェートが好適である。難燃剤を組成物に、組成物の全重量に基づいて好ましくは約3〜30重量%の量、より好ましくは約5〜15重量%の量存在させる。
【0027】
優れたトライボロジ特性を有する組成物を形成するには、当業界で周知の適当な方法、たとえば適当な熱可塑性樹脂加工装置、ブレンダ、ミキサなどを用いる溶融混合又は溶融加工により、諸成分をブレンドしたり溶融混合したりすればよい。或いは、たとえば静的混合又はスクリュウ/オーガー型混合を用いて配合を達成してもよい。好ましくは、二軸スクリュウ配合押出機、たとえばWerner Pfleidererから市販の押出機又はBuss社(米国イリノイ州エルクグルーブビレッジ所在)から市販のBuss混練機で諸成分を混合する。
【0028】
本発明の組成物は、そのままもしくはペレット形態で、たとえば押出成形、圧縮成形、射出成形、共押出、押出/圧縮など当業界で周知の適当な方法により、成形品に形成することができる。諸成分を他の熱可塑性樹脂の成形用ペレット又は粉末をブレンドしてもよい。
【0029】
本発明のポリマー組成物のトライボロジ特性は、下記のように動的摩擦及び摩耗値を測定することにより評価することができる。代表的には、摩擦及び摩耗試験は、ASTM D3702に記載の方法に準じた標準的スラストワッシャー乾燥すべり摩耗試験方法によって行う。簡単に説明すると、ポリマーサンプルをLRI−1a自動トライボメータ(Lewis Research, Inc.)の鋼スラストワッシャーに当てる。自動トライボメータは、データを連続的にとり、トライボロジシステムの摩耗、摩擦及び温度を監視する。摩擦係数について得られた値は、荷重(圧力又は垂直な力)及び速度両方に依存し、荷重及び速度はある圧力−速度(PV)値に対応する。この値は、Kファクターとも言う摩耗係数に寄与する。試験は様々な長さとすることができるが、代表的には24時間を超えて行い、数日以上行うこともできる。
【0030】
本発明の組成物のトライボロジ特性を分析するために、摩耗試験を、1141冷間圧延鋼の金属表面に対して当接させて、室温(約23℃)で275.8kPaの接触圧及び0.254m/sの試験速度で行った。各サンプルを75時間試験し、測定値を記録した。各組成物についての摩耗係数(Kで表示、単位mm/Pa−m)は、総合摩耗速度に基づくもので、個別の成分の摩耗ではなくシステムの摩耗を表す。
【0031】
上述した試験により測定した、本発明の組成物についての摩耗値は約130×10−11mm/Pa−m未満であり、より好ましくは約65×10−11mm/Pa−m未満である。組成物の動摩擦係数は、代表的には約0.5未満である。これに対して、潤滑剤を含まない100%ポリスチレン及び1:1ポリスチレン/ポリフェニレンエーテルブレンドは、上と同一条件での摩耗値が両方とも約3000×10−11mm/Pa−mであり、動摩擦係数がそれぞれ0.73及び0.88である。しかし、伝統的な内部潤滑剤であるPTFEを含有する同じPPE/PSブレンドは、本発明の組成物の摩耗係数と同等の、約130×10−11mm/Pa−mの摩耗係数を示す。したがって、本発明の組成物は、スチレン及び/又はポリフェニレンエーテル含有システム用の内部潤滑剤として、ハロゲンを含有しない優れたPTFE代替品として機能することが確認できる。
【0032】
組成物のほかに、本発明は、ポリフェニレンエーテル及び/又はスチレンを含有するベースポリマーのトライボロジ特性を改良する方法も提供する。本方法は、ベースポリマーに少なくとも1種のオレフィン含有ポリマー及び少なくとも1種の相溶化剤を添加して組成物を形成する工程を含む。ポリフェニレンエーテル及び/又はスチレン含有ポリマー、オレフィン含有ポリマー及び相溶化剤の性質及び相対量は、前述した通りのいずれでもよい。オレフィン含有ポリマー及び相溶化剤を導入することにより、得られる組成物は約130×10−11mm/Pa−m未満、より好ましくは約65×10−11mm/Pa−m未満の摩耗係数を示す。摩耗用途に好ましければ、またトライボロジ特性に悪影響しない限りで、組成物には追加の成分、たとえば前述した添加剤を導入してもよい。組成物は、前述した方法など任意の既知の方法で製造すればよい。
【0033】
本発明によりスチレン及び/又はポリフェニレンエーテルを含有するベースポリマーのトライボロジ特性を改良する第2の方法は、ベースポリマーに少なくとも1種の実質的にハロゲンを含まない内部潤滑剤を添加して組成物を形成する工程を含む。実質的にハロゲンを含まない内部潤滑剤は、前述したオレフィン含有ポリマーであるのが好ましいが、これに限定されない、そしてこれを組成物に、組成物の全重量に基づいて好ましくは約3〜30重量%の量、より好ましくは約5〜15重量%の量存在させる。好適な実施態様では、本方法はさらに、前述した化合物などの相溶化剤を組成物中に導入する工程を含む。相溶化剤の量は、組成物の全重量に基づいて好ましくは約1〜20重量%、より好ましくは約3〜10重量%であり、またオレフィン含有ポリマー対相溶化剤の比は約0.5:1〜約10:1であるのが好ましい。得られる組成物が前述したような摩耗係数を示すのが好ましい。
【0034】
本発明はまた、ベースポリマーの表面が摩擦及び摩耗を生じる別の表面に当接している場合に、乾燥した滑らかな接触摺動トライボロジ摩耗システムにおけるベースポリマーの耐摩耗性を改良する方法を提供する。本方法は、(a)ポリフェニレンエーテル及び/又はスチレンを含有するベースポリマーを用意し、(b)ベースポリマーにオレフィン含有ポリマーを添加し、(c)ベースポリマーに相溶化剤を添加し、(d)ポリフェニレンエーテル及び/又はスチレンを含有するベースポリマー、オレフィン含有ポリマー及び相溶化剤を溶融混合して組成物を形成する工程を含む。得られた組成物は、優れた耐摩耗性を有し、トライボロジ系において約130×10−11mm/Pa−m未満の摩耗係数を有する。本組成物の成分及び組成物中のそれらの好適な重量割合は前述した通りである。ここで意図しているトライボロジシステムも前述した。本方法により耐摩耗性が改良され、組成物のトライボロジ特性はベースポリマー単独より改良される(より低いKファクター及びより低い摩擦係数)。
【0035】
最後に本発明は、スチレン及び/又はポリフェニレンエーテル含有ベースポリマーに内部潤滑剤を付与する方法を提供する。本方法は、ベースポリマーに少なくとも1種のオレフィン含有ポリマー及び少なくとも1種の相溶化剤を添加する工程を含む。スチレン及び/又はポリフェニレンエーテル含有ベースポリマー、オレフィン含有ポリマー及び相溶化剤並びにその好適な量及び割合は前述した通りである。得られる組成物の摩耗係数は好ましくは約130×10−11mm/Pa−m未満で、より好ましくは約65×10−11mm/Pa−m未満である。
【実施例】
【0036】
以下に、本発明をその実施例に関して詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0037】
実施例A〜H
1:1ポリフェニレンエーテル/スチレンのブレンドを含有するベースポリマー、ポリオレフィン及び相溶化剤をブレンドすることにより、8種の組成物を製造した。ベースポリマーは、Noryl731又はNoryl EN185(登録商標、ゼネラル・エレクトリック社から市販)であった。なおEN185ブレンドは難燃剤を含有する。相溶化剤として、ポリスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)グレードのKraton G2705又はG1651(Kraton Polymer社から市販)を導入した。最後に、ポリオレフィンは線状低密度ポリエチレン(LLDPE)Petrothene GA818−07(Equistar社から市販)又はポリエチレン/ポリプロピレン(PE/PP)共重合体C105−02(Dow Chemical社から市販)であった。各組成物はポリオレフィンと相溶化剤を合計で7.5重量%又は15重量%含有し、ポリオレフィン対相溶化剤の比は2:1であった。各組成物(組成物A〜Hと表示)の成分の相対量を表1に示す。
【0038】
組成物は手動ブレンドで製造し、Werner Pfleiderer ZSK−40(登録商標)二軸スクリュウ押出機で押出し、その後ペレット化した。押出組成物を厚さ3.175mmの平板に射出成形し、これから試験片を切り出した。切削片は外径約28.6mmで、内径約22.9mmの外側環状領域を有し、これが試験用の接触面であった。各試験片の摩擦及び摩耗試験は、前述したパラメータを用いてスラストワッシャー乾燥すべり摩耗試験法によって行った。摩擦及び摩耗損失試験の結果並びに組成物の他の物性を表1に示す。
【0039】
データから、各組成物についての総合摩耗係数は41〜157×10−11mm/Pa−mの範囲にあり、動摩擦係数は0.309〜0.443の範囲にあることが分かる。ポリオレフィンとしてポリエチレン/ポリプロピレン(PE/PP)共重合体よりLLDPEを用いることでより低い摩耗係数(41〜56×10−11mm/Pa−m)が得られた。比較として、純粋なNoryl731の摩耗係数は3900×10−11mm/Pa−mであり、本発明によるポリオレフィン内部潤滑剤の効果が実証される。
【0040】
LRI−1a自動トライボメータはほかに、組成物の摩耗性能を実時間でプロットすることもできる。線の傾斜を用いて摩耗係数、たとえば前述した摩耗係数を計算する。得られた摩耗データを図1のグラフに示す。
【0041】
実施例I
ベースポリマーとして100%のポリスチレン、相溶化剤として15%のSEBS(Kraton G1651)及びポリオレフィンとして10%のLLDPEを用いて、上記方法により組成物を製造した。得られた組成物についての摩耗データを表1及び図1に示す。純粋なポリスチレンの摩耗係数3900×10−11mm/Pa−mに対して、組成物Iについての摩耗係数は、59×10−11mm/Pa−mであった。これは、適切なポリオレフィン及び相溶化剤を練り込むことで純粋なポリスチレンのトライボロジ特性を改良できることを実証している。
【0042】
実施例J〜Q
さらに、ベースポリマーとして1:1ポリフェニレンエーテル/スチレンブレンド(Noryl731)、相溶化剤としてSEBS(Kraton G1651)及びポリオレフィンとしてLLDPE(Petrothene GA818−07)を用いて、上記方法により8種の組成物を製造した。各組成物は2〜30重量%のポリオレフィン及び0〜6重量%の相溶化剤を含有し、ポリオレフィン対相溶化剤の比が30:0〜2:1の範囲にあった。各組成物の成分の相対量を表2に示す。特性を前述した通りに測定し、表2に列記し、図2のグラフに示す。
【0043】
サンプルJ、L、M及びNは、すべて10%のポリオレフィン及び0から5重量%まで増加する濃度の相溶化剤を含有し、すべて16〜105×10−11mm/Pa−mの範囲の良好な摩耗係数を呈する。これらのサンプルは、相溶化剤の濃度を上げると、ノッチ付きIzod衝撃値の増加から明らかなように、衝撃強さが向上することを実証している。具体的には、Noryl731のノッチ付きIzod衝撃値は215J/mである。比較として、相溶化剤を含有しないサンプルJのノッチ付きIzod衝撃値は106.8J/mである。しかし、相溶化剤の濃度が増加するにつれて、ノッチ付きIzod衝撃値も増加し、5%の相溶化剤を含有するサンプルNの衝撃値は184.2J/mであり、ベースポリマーのそれに近づく。したがって、組成物中の相溶化剤の存在はベースポリマーの特性維持に役立つ。
【0044】
実施例R
ベースポリマーとして登録商標Noryl PPE(スチレンを含有しない)、相溶化剤としてSEBS(Kraton G1651)及びポリオレフィンとしてLLDPE(登録商標Petrothene GA818−07)を用いて、上記方法により難燃性組成物Rを製造した。このNoryl材料は難燃剤としてレゾルシノールジホスフェート(RDP)(Akzo Nobel社からFyrolflexとして市販されている)を含有する。各成分の重量%を表2に示す。特性を前述した通りに測定し、表2に示す。29×10−11mm/Pa−mの良好な摩耗係数が得られたことが明らかで、ポリオレフィンがポリフェニレンエーテルのみに基づくポリマー組成物に内部潤滑作用を与えるのに有効であることを実証している。さらに、本実施例は、状況によっては、組成物中に相溶化剤をオレフィン含有ポリマーより多量に導入するのが望ましいことがあることを実証している。本実施例はさらに、難燃剤などの添加剤の導入により、オレフィン潤滑剤の効果を損なうことなく、追加の特性を実現できることを実証している。
【0045】
比較例1
比較として、ポリプロピレンが主成分である、ポリプロピレン/ポリフェニレンエーテルブレンド(ゼネラル・エレクトリック社から登録商標Noryl PPX7110として市販されている)のサンプルを評価したところ、同一条件下で摩耗係数234×10−11mm/Pa−m、動摩擦係数0.599を示すことが分かった。図2のグラフから分かるように、ポリプロピレン/ポリフェニレンエーテルブレンドの傾斜が本発明の実施例より大きく、摩耗係数がより高いことを示唆している。
【0046】
実施例S及びT
スチレンポリマーとして登録商標Noryl731、LLDPE(Petrothene GA818−07)及びSEBS(登録商標Kraton G1651)を含有する2つのサンプルを上記と同様に製造した。これらの比較例では、ポリオレフィンを2%しか添加しなかった。得られた組成物は1239及び1386×10−11mm/Pa−mの高い摩耗係数を呈し、比較的低い濃度のポリオレフィンでは、もっと多量な場合のように効果的には、トライボロジ特性を改良できないことを実証している。しかし、その特性は純粋なポリスチレンの値3900×10−11mm/Pa−mと比較すれば良好である。
【0047】
すべての実施例から、オレフィン含有ポリマーの選択が組成物の摩耗特性に有意な影響をもつことが明らかである。これらのサンプルの摩耗特性は様々であるが、PE/PP共重合体を含有する組成物とLLDPEを含有する組成物との間には性能差があることが明らかである。興味深いことに、他のブレンドでは、特にナイロン複合材では、PE/PP共重合体が優れた性能を与えることが認められており、摩耗係数が本発明によるサンプルで観察される摩耗係数より低い。しかし、これらの実施例で示したように、LLDPEは、ポリフェニレンエーテル及び/又はスチレンを含有するシステム用の優れた内部潤滑剤である。
【0048】
添加剤レベルの増加が必ずしも性能の改良につながらないことも認められる。たとえば、サンプルA及びCにおいて、添加剤の総添加量7.5%が、15%の添加剤を含有するサンプルと同じ摩耗係数を実現し、またそれより低い動摩擦係数を与える。図1を考察すると、一見したところ、サンプルAが優れていると思われるかもしれないが、摩耗係数を求めるのに使用するのは曲線の位置ではなく傾斜であり、サンプルCは初期の慣らし期間後には等しく良好な性能を示し、このことは多くの材料に共通している。さらに、添加剤を7.5%しか含有しないサンプルRは、難燃剤が存在するのに、それより添加剤量の多い実施例と同等の性能を示す。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
本発明の要旨から逸脱することなく上述した実施態様に種々の変更を加えうることが、当業者には明らかである。したがって、本発明は開示した特定の実施態様に限定されることなく、様々な改変も本発明の要旨の範囲内に入るものとして包含する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の組成物の摩耗速度を実時間で測定した結果を示すグラフである。
【図2】本発明の追加の組成物の摩耗速度を実時間で測定した結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマー、
(b)内部潤滑作用をなすオレフィン含有ポリマー及び
(c)相溶化剤を含有し、
ベースポリマー単独と比べて優れたトライボロジ特性を有する組成物。
【請求項2】
前記オレフィン含有ポリマーが組成物の全重量に基づいて組成物の約5〜約30重量%を占める、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記オレフィン含有ポリマーが組成物の全重量に基づいて組成物の約5〜約25重量%を占める、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ベースポリマーがスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン及びスチレン−アクリロニトリルのホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ベースポリマーがスチレンポリマーとポリフェニレンエーテルのブレンドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記オレフィン含有ポリマーが高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合体からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記相溶化剤がスチレン/オレフィン共重合体を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記スチレン/オレフィン共重合体がポリスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレンインターポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、及びポリスチレン−エチレン−プロピレンからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
組成物の摩耗係数が約130×10−11mm/Pa−m未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
組成物の摩耗係数が約65×10−11mm/Pa−m未満である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記相溶化剤が組成物の全重量に基づいて組成物の約1〜約20重量%を占める、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記相溶化剤が組成物の全重量に基づいて組成物の約3〜約10重量%を占める、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記オレフィン含有ポリマー対相溶化剤の比が約0.5:1〜約10:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記ベースポリマーがポリフェニレンエーテルとポリスチレンのブレンドを含有し、前記オレフィン含有ポリマーが線状低密度ポリエチレンを含有し、前記相溶化剤がポリスチレン−エチレン−ブタジエンースチレン又はポリスチレンとプロピレンの共重合体を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
さらに、(d)充填剤、強化剤、追加の潤滑剤、着色剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、可塑剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、難燃剤、離型剤、流れ調整剤及び熱安定剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の添加剤が、炭素繊維、炭素粉末、ガラス繊維、ガラスビーズ、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ステンレス鋼繊維、セラミック繊維、セラミック粉末、ウォラストナイト、タルククレイ、マイカ、顔料、ステアリン酸塩、ワックス、二硫化モリブデン及びオイルからなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1種の添加剤が難燃剤を含有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
(a)スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマー、
(b)内部潤滑作用をなすオレフィン含有ポリマー及び
(c)相溶化剤を含有し、
ベースポリマー単独と比べて優れたトライボロジ特性を有する組成物から形成した成形物品。
【請求項19】
(a)スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマー、
(b)内部潤滑作用をなすオレフィン含有ポリマー、
(c)相溶化剤及び
(d)難燃剤を含有し、
ベースポリマー単独と比べて優れたトライボロジ特性を有する組成物から形成した難燃性物品。
【請求項20】
前記組成物がさらに、(e)充填剤、強化剤、追加の潤滑剤、着色剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、可塑剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、離型剤、流れ調整剤及び熱安定剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含有する、請求項19に記載の難燃性物品。
【請求項21】
スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマーに、少なくとも1種のオレフィン含有ポリマーと少なくとも1種の相溶化剤を添加して組成物を形成する工程を含む、ベースポリマーのトライボロジ特性を改良する方法。
【請求項22】
前記オレフィン含有ポリマーが高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合体からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記相溶化剤がスチレン/オレフィン共重合体を含有する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記オレフィン含有ポリマーが組成物の全重量に基づいて組成物の約3〜約30重量%を占める、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記相溶化剤が組成物の全重量に基づいて組成物の約1〜約20重量%を占める、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
組成物の摩耗係数が約130×10−11mm/Pa−m未満である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマーに、少なくとも1種の実質的にハロゲンを含有しない内部潤滑剤を添加して組成物を形成する工程を含む、ベースポリマーのトライボロジ特性を改良する方法。
【請求項28】
前記実質的にハロゲンを含有しない内部潤滑剤がオレフィン含有ポリマーを含有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記実質的にハロゲンを含有しない内部潤滑剤が組成物の全重量に基づいて組成物の約3〜約30重量%を占める、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
さらに少なくとも1種の相溶化剤を組成物に添加する工程を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記相溶化剤がスチレン/オレフィン共重合体を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記相溶化剤が組成物の全重量に基づいて組成物の約1〜約20重量%を占める、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
組成物の摩耗係数が約130×10−11mm/Pa−m未満である、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
ベースポリマーの表面が摩耗と摩擦を生じる別の表面に当接している場合に、乾燥した滑らかな接触摺動トライボロジ摩耗系におけるベースポリマーの耐摩耗性を改良するにあたり、
(a)スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマーを用意し、
(b)ベースポリマーにオレフィン含有ポリマーを添加し、
(c)ベースポリマーに相溶化剤を添加し、
(d)ベースポリマー、オレフィン含有ポリマー及び相溶化剤を溶融混合して組成物を形成する工程を含み、
得られた組成物がベースポリマーと比べて優れた耐摩耗性を有し、トライボロジ系において約130×10−11mm/Pa−m未満の摩耗係数を有するようにする、
ベースポリマーの耐摩耗性を改良する方法。
【請求項35】
前記ベースポリマーがスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン及びスチレン−アクリロニトリルのホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ベースポリマーがスチレンポリマーとポリフェニレンエーテルのブレンドである、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記オレフィン含有ポリマーが高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合体からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記相溶化剤がスチレン/オレフィン共重合体を含有する、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記スチレン/オレフィン共重合体がポリスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレンインターポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、及びポリスチレン−エチレン−プロピレンからなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
組成物の摩耗係数が約65×10−11mm/Pa−m未満である、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記相溶化剤が組成物の全重量に基づいて組成物の約1〜約20重量%を占める、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記相溶化剤が組成物の全重量に基づいて組成物の約3〜約10重量%を占める、請求項34に記載の組成物。
【請求項43】
前記オレフィン含有ポリマー対相溶化剤の比が約0.5:1〜約10:1である、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
スチレン含有ポリマー及びポリフェニレンエーテル含有ポリマーからなる群から選択されるベースポリマーに、少なくとも1種のオレフィン含有ポリマー及び少なくとも1種の相溶化剤を添加して組成物を形成する工程を含む、ベースポリマーに内部潤滑剤を付与する方法。
【請求項45】
前記オレフィン含有ポリマーが高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合体からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記相溶化剤がスチレン/オレフィン共重合体を含有する、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記オレフィン含有ポリマーが組成物の全重量に基づいて組成物の約3〜約30重量%を占める、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記相溶化剤が組成物の全重量に基づいて組成物の約1〜約20重量%を占める、請求項44に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−500283(P2007−500283A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536519(P2006−536519)
【出願日】平成16年1月9日(2004.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/000513
【国際公開番号】WO2004/072178
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】