説明

優れた洗浄力を有する食器洗浄器用洗剤

本発明は、少なくとも1つのアルコールアルコキシレート0.01〜20質量%と、少なくとも1つのアルコールエトキシレート0.01〜10質量%と、少なくとも1つのスルホン酸基含有ポリマー0〜15質量%と、少なくとも1つの親水性改質ポリカルボン酸塩0〜15質量%と、少なくとも1つのポリカルボン酸塩0〜8質量%と、少なくとも1つのリン酸塩1〜50質量%と、少なくとも1つのさらなる添加剤0.1〜60質量%とを含有し、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、および(G)の合計が100%になる、リン酸塩含有食器洗浄器用洗剤に関する。また本発明は、物品の表面を当該剤で前記表面を処理することによって洗浄するための方法と、物品を食器洗浄器内で清浄する際の洗浄力を向上させるための当該剤の使用とにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコールアルコキシレートと、アルコールエトキシレートと、少なくとも1つのポリマーと、さらなる添加剤とを含むリン酸塩含有食器洗浄機用洗剤と、表面を洗浄するための方法と、物品、特に食器、グラス、カトラリー、および台所用品の機械洗浄における洗浄性能を向上させるためのリン酸塩含有食器洗浄機用洗剤の使用とに関する。
【0002】
現在、スリーインワン型食器洗浄器用洗剤は、機械用食器類清浄剤の中でヨーロッパ市場シェアのおよそ60%を有する。これらは、1つの食器洗浄器用洗剤中に、清浄、リンス、および軟化の3つの機能を兼ね備える。食器洗浄機用洗剤は、従来技術から既知である。
【0003】
EP 0 877 002(B1)号は、モノマーとして、少なくとも1つの弱酸と、少なくとも1つの不飽和スルホン酸と、場合によっては少なくとも1つのモノエチレン性不飽和C4〜C8−ジカルボン酸と、場合によっては前記化合物と重合可能な少なくとも1つの不飽和モノマーとを含む少なくとも1つのコポリマーで水系を処理することによって、(ポリ)リン酸塩の量を調節するための方法を開示している。
【0004】
WO 00/50551号は、ビルダーと、非イオン性界面活性物質と、漂白化合物と、酵素、界面活性剤、またはゲル化化合物から選択されるさらなる添加剤とを含む、食器洗浄用配合物を開示している。
【0005】
DE 102 33 834(A1)は、ビルダーと、ポリマーと、界面活性剤とを含む、食器の機械清浄のための食器洗浄器用洗剤を開示している。使用する非イオン性界面活性剤は、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドでアルコキシル化された、第一級アルコール、例えばトリメチロールプロパンでよい。
【0006】
既知のスリーインワン型食器洗浄器用洗剤の清浄性能は適正であるが、洗浄性能は、特に14°dHを上回る硬度の場合に、解決されていない問題である。
【0007】
驚くべきことに、少なくとも1つのアルコールアルコキシレートと、少なくとも1つの短鎖アルコールエトキシレートと、少なくとも1つのスルホネート含有ポリマーと、および/または少なくとも1つの親水性改質ポリカルボン酸塩と、場合によってはポリカルボン酸塩とを含む様々な成分と、一般的に常用のその他の構成要素とを組み合わせて使用すると、著しく高い水硬度の場合でさえ、洗浄性能を著しく向上させることができる。
【0008】
食器洗浄において、スリーインワン型食器洗浄器用洗剤の洗浄性能を向上させることは、本発明の目的である。
【0009】
14°dHを上回る水硬度で、スリーインワン型食器洗浄器用洗剤の洗浄性能を向上させることは、本発明のさらなる目的である。
【0010】
本目的は、
(A)一般式(I)
1−(OCH2CHR2x(OCH2CHR3y−OR4 (I)
[式中、
1は、線状もしくは分岐C6〜C24−アルキル基であり、
2、R3は、異なりかつそれぞれ独立して、水素、線状もしくは分岐C1〜C6−アルキル基であり、
4は、水素、線状もしくは分岐C1〜C8−アルキル基であり、
x、yは、それぞれ独立して、0.5〜80の範囲の平均値であり、
個々のアルキレンオキシド単位は、ブロックとして、またはランダム分布で存在してよい]
の少なくとも1つのアルコールアルコキシレート0.01〜20質量%と、
(B)一般式(II)
5−(OCH2CH2zOH (II)
[式中、
5は、線状もしくは分岐C4〜C8−アルキル基であり、
zは、平均値2〜10であり、残留アルコールR5−OHの含有量は1質量%未満である]
の少なくとも1つのアルコールエトキシレート0.01〜10質量%と、
(C)少なくとも1つのスルホネート含有ポリマー0〜15質量%と、
(D)少なくとも1つの親水性改質ポリカルボン酸塩0〜15質量%と、
(E)少なくとも1つのポリカルボン酸塩0〜8質量%と、
(F)少なくとも1つのリン酸塩1〜70質量%と、
(G)少なくとも1つのさらなる添加剤0.1〜60質量%と、
を含み、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、および(G)の和が100質量%である、リン酸塩含有食器洗浄機用洗剤によって達成される。
【0011】
少なくとも1つのアルコールアルコキシレート(A)、少なくとも1つの短鎖アルコールエトキシレート(B)、リン酸カルシウム沈殿物の形成を抑制する、少なくとも1つのスルホネート含有ポリマー(C)および/または親水性改質ポリカルボン酸塩(D)、ならびに場合によっては炭酸カルシウム沈殿物の形成を抑制するポリカルボン酸塩からなる成分を、少なくとも1つのリン酸塩および少なくとも1つのさらなる添加剤と併せて使用すると、著しく高い水硬度の場合でさえ、本発明の食器洗浄器用洗剤の洗浄性能を著しく向上させることができる。
【0012】
リン酸塩含有食器洗浄機用洗剤の原料(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、および(G)は、以下に詳細に説明する。
【0013】
成分(A)
リン酸塩含有食器洗浄機用洗剤は、成分(A)として、一般式(I)
1−(OCH2CHR2x(OCH2CHR3y−OR4 (I)
[式中、
1は、線状もしくは分岐C6〜C24−アルキル基であり、
2、R3は、異なりかつそれぞれ独立して、水素、線状もしくは分岐C1〜C6−アルキル基であり、
4は、水素、線状もしくは分岐C1〜C8−アルキル基であり、
x、yは、それぞれ独立して、0.5〜80の範囲の平均値であり、
個々のアルキレンオキシド単位は、ブロックとして、またはランダム分布で存在してよい]
の少なくとも1つのアルコールアルコキシレート0.01〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%を含む。
【0014】
一般式(I)のアルコールアルコキシレート中のR1基は、一般に線状もしくは分岐C6〜C24−アルキル基、好ましくは線状もしくは分岐C8〜C18−アルキル基、より好ましくは線状もしくは分岐C9〜C15−アルキル基である。
【0015】
アルキレンオキシドブロックの(OCH2CHR2)および(OCH2CHR3)は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンテンオキシド、ヘキシレンオキシド、ヘプチレンオキシド、オクチレンオキシド、ノニレンオキシド、デシレンオキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンテンオキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を用いたアルコールR1−OHのアルコキシル化によって得られる構造単位を表わす。様々なアルキレンオキシドとの反応は、ブロックで実施しても(順次または交互に)、あるいは同時に実施してもよい(ランダム法または混合法)。したがって、一般式(I)中のR2およびR3基は、それぞれ独立して、水素またはC1〜C6−アルキル基、好ましくは水素またはC1〜C3−アルキル基、すなわちそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、またはプロピルである。
【0016】
一般式(I)中のR3は、水素、線状もしくは分岐C1〜C8−アルキル基、好ましくは水素または線状もしくは分岐C1〜C4−アルキル基、より好ましくは水素、メチル、またはエチルである。
【0017】
一般式(I)において、xは、(OCH2CHR2)単位の数を表わし、yは、(OCH2CHR3)単位の数を表わす。一般式(I)の化合物において、xおよびyは、それぞれ独立して、平均値0.5〜80、好ましくは0.5〜40、より好ましくは0.5〜20を有する。xが一般式(I)のアルコールアルコキシレート中に存在するエチレンオキシド単位を表わす場合、xは、平均値2〜20、好ましくは2〜15を有する。一般式(I)のアルコールアルコキシレート中のyが、プロピレンオキシド単位、ブチレンオキシド単位、またはペンテンオキシド単位の数を表わす場合、yは、平均値0.5〜20、好ましくは0.5〜10、より好ましくは0.5〜6を有する。
【0018】
一般式(I)中の値xおよびyは平均値であるが、これはアルコールのアルコキシル化が、一般にアルコキシル化度の分布をもたらすためである。したがってxおよびyは、整数値から外れることがある。アルコキシル化度の分布は、様々なアルコキシル化触媒を用いることによって、ある程度まで調整することができる。少なくとも1つの長鎖アルキレンオキシドもエチレンオキシドと同様に使用されることから、これらの異なるアルキレンオキシド構造単位は、ランダム分布にも、交互にも、またはあらゆる順序の2つ以上のブロックの形にもなりうる。同族体分布の平均は、指定された数xおよびyによって表わされる。
【0019】
好適な実施形態では、成分(A)において、R1は、線状もしくは分岐C8〜C18−アルキル基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、またはプロピルであり、xおよびyは、それぞれ独立して、平均値0.5〜20を有する。
【0020】
最も好ましくは、使用する一般式(I)の化合物は以下のものである。
−C13〜C15オキソアルコール+エチレンオキシド10単位+ブチレンオキシド2単位、
−イソ−C10−アルコール+エチレンオキシド10単位+ペンテンオキシド1.5単位、
−C10〜C12脂肪アルコール+エチレンオキシド9単位+プロピレンオキシド5単位、
−C13〜C15オキソアルコール+エチレンオキシド4.46単位+ブチレンオキシド0.86単位、メチル基でエンドキャップ
−2−プロピルヘプタノール+エチレンオキシド6単位+プロピレンオキシドまたはそれらの混合物4.5単位。
【0021】
一般式(I)の本発明の化合物は、例えば、一般式(I)の(OCH2CHR2)単位および(OCH2CHR3)単位を生じさせる、アルキレンオキシドを用いた一般式R1−OHのアルコールのアルコキシル化によって得られる。R4基が水素でない場合、アルコキシル化のあと、例えば硫酸ジメチルを用いたエーテル化を行なうことができる。
【0022】
アルコキシル化は、例えば、アルカリ性触媒、例えばアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを用いて実施することができる。これらの触媒の使用により、特異的な特性、特にアルキレンオキシドの同族体分布が生じる。
【0023】
アルコキシル化は、さらに、特異的な特性を生じるルイス酸触媒作用を用いて、特にBF3×H3PO4、BF3×ジエチレート、BF3、SbCl5、SnCl4×2H2O、ハイドロタルサイトの存在下で実施することもできる。適切な触媒には、二重金属シアニド(DMC)化合物もある。
【0024】
過剰なアルコールは蒸留除去してもよく、あるいは2段階方法でアルコキシレートを得ることもできる。また例えばエチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)からの混合アルコキシレートの製造も可能であり、この場合、アルコール基に、まずプロピレンオキシドブロックを、次にエチレンオキシドブロックを付加してもよく、あるいはまずエチレンオキシドブロックを、次にプロピレンオキシドブロックを付加してもよい。また、ランダム分布も可能である。好適な反応条件は、以下に明記する。
【0025】
アルコキシル化は、好ましくは強塩基に触媒されるが、これはアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物の形で、一般にアルコールR1−OHの量に対して0.1〜1質量%の量で適宜に加える(G. Gee et al., J. Chem. Soc. (1961), p.1345;B. Wojtech, Makromol. Chem. 66 (1966), p.180参照)。
【0026】
また、付加反応の酸触媒作用も可能である。ブレンステッド酸と同様に、ルイス酸、例えば三塩化アルミニウムまたはBF3も適している(P. H. Plesch, The Chemistry of Cationic Polymerization, Pergamon Press, New York (1963)参照)。
【0027】
また、アルコキシル化は、二重金属シアニド触媒を用いて、当業者に既知の方法によって実施することもできる。使用する二重金属シアニド化合物は、原則として、当業者に既知の全ての適切な化合物でよい。触媒として適切なDMC化合物は、例えば、WO 99/16775号およびDE−A−10117273号に記載されている。
【0028】
付加反応は、温度約90〜約240℃、好ましくは120〜180℃で、密閉容器内で実施する。アルキレンオキシドまたは様々なアルキレンオキシドの混合物を、選択される反応温度で存在するアルキレンオキシド混合物の蒸気圧下、本発明のアルコールまたはアルコール混合物とアルカリとの混合物に供給する。所望であれば、アルキレンオキシドを最大約30〜60%の不活性ガスで希釈してもよい。これは、アルキレンオキシドの爆発性の重付加または分解を妨げることによって、さらなる安全性をもたらす。アルキレンオキシド混合物を使用する場合、異なるアルキレンオキシド単位が事実上はランダム分布にあるポリエーテル鎖が形成される。ポリエーテル鎖に沿った単位の分布のばらつきは、成分の異なる反応速度によって生じ、これはプログラム制御された組成のアルキレンオキシド混合物を連続供給することによって任意に導入することもできる。異なるアルキレンオキシドを連続して反応させると、アルキレンオキシド単位のブロック分布を有するポリエーテル鎖が得られる。
【0029】
成分(B)
リン酸塩含有食器洗浄機用洗剤は、成分(B)として、一般式(II)
5−(OCH2CH2zOH (II)
[式中、
5は、線状もしくは分岐C2〜C10−アルキル基であり、
zは、平均値2〜10であり、
残留アルコールR5−OHの含有量は、1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.2質量%未満である]
のアルコールエトキシレート0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量を含む。
【0030】
一般式(II)のアルコールエトキシレートにおいて、R5は、線状もしくは分岐C2〜C10−アルキル基、好ましくはC4〜C8−アルキル基である。
【0031】
一般式(II)において、zは、平均値2〜10、好ましくは3〜8、より好ましくは4〜6である。zの平均値に関して、成分(A)中のxおよびyについてすでに述べたものと同じ説明が当てはまる。
【0032】
成分(B)は、エチレンオキシド2〜10単位でアルコキシル化された線状もしくは分岐C4〜C8−アルコールである。一般式(II)のアルコールエトキシレートは、一般式(I)のアルコールアルコキシレートの製造と同様に製造することができるが、使用するアルキレンオキシドはエチレンオキシドのみであることに留意すべきである。触媒作用に関しても、一般式(I)のアルコールアルコキシレートについてと同様の説明が当てはまる。
【0033】
一般式(II)のアルコールエトキシレートを製造するためには、アルキルグリコールアルコキシレートもしくはアルキルジグリコールアルコキシレートを使用することも可能であるが、これらは相当するC4〜C8−アルキルグリコールもしくはアルキルジグリコールをエチレンオキシドで、好ましくは前記一般式(II)の化合物に相当する平均アルコキシル化度までアルコキシル化することによって得ることができる。
【0034】
ここでの製造は、相当するアルコールを含まない好ましくは純粋なアルキルグリコールおよびアルキルジグリコールから開始し(上述のようにアルコールからではない)、アルコキシル化によって行なう。生成物混合物は、したがって、いかなる残留アルコールも含まず、せいぜいアルキルグリコールしか含まない。これは、アルキルグリコールに特異的なアルコキシル化度の分布をもたらす。この製造方法によって、一般式(II)のアルコールエトキシレートは、残留アルコールR5−OHの含有量1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.2質量%未満を有することが可能である。
【0035】
一般式(II)のアルコールエトキシレートを相当するアルコールR5−OHのエトキシル化によって製造する場合、エトキシル化後に混合物中に存在する残留アルコールR5−OHは、当業者に既知の方法、例えば蒸留によって除去することができる。
【0036】
とりわけ、本発明の食器洗浄機用洗剤中の成分(B)の存在は、14°dHを上回る高い水硬度において、著しく洗浄性能を向上させる。
【0037】
成分(C)
リン酸塩含有食器洗浄機用洗剤は、成分(C)として、少なくとも1つのスルホネート含有ポリマー/コポリマー0〜15質量%、好ましくは0.5〜12質量%、より好ましくは1〜10質量%を含む。この少なくとも1つのスルホネート含有ポリマー/コポリマーは、リン酸カルシウムからなる沈殿物の形成を防止する。
【0038】
好適な実施形態において、本発明の食器洗浄器用洗剤は、以下のモノマー:
(I)1つ以上の弱酸50〜98質量%と、
(II)2−アクリルアミドメチル−1−プロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリル酸3−スルホプロピル、メタクリル酸3−スルホプロピル、スルホメチルアクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド、およびそれらの水溶性塩からなる群から選択される、1つ以上の不飽和スルホン酸モノマー2〜50質量%と、
(III)1つ以上のモノエチレン性不飽和C4〜C8−ジカルボン酸0〜30質量%と、
(IV)(I)、(II)、および(III)と重合可能な、1つ以上のモノエチレン性不飽和モノマー0〜30質量%と、
を含み、モノマー(I)、(II)、(III)、および(IV)の全体は、コポリマーの100質量%に相当する、
少なくとも1つのコポリマーCを含む。
【0039】
特に好適な実施形態において、コポリマーCは、重合した形で以下のモノマー:
(I)1つ以上のエチレン性不飽和C3〜C6−モノカルボン酸50〜98質量%と、
(II)1つ以上の不飽和スルホン酸2〜50質量%と、
(III)1つ以上のモノエチレン性不飽和C4〜C8−ジカルボン酸0〜30質量%と、
(IV)(I)、(II)、および(III)と重合可能な1つ以上のモノエチレン性不飽和モノマー0〜30質量%と、
を含み、モノマー(I)、(II)、(III)、および(IV)の全体は、コポリマーの100質量%に相当する。
【0040】
特に好適な実施形態において、コポリマーCは、以下の単位:
(I)1つ以上のエチレン性不飽和C3〜C6−モノカルボン酸50〜90質量%と、
(II)不飽和スルホン酸10〜50質量%と、
(III)1つ以上のモノエチレン性不飽和C4〜C8−ジカルボン酸0〜30質量%と、
(IV)(I)、(II)、および(III)と重合可能な1つ以上のモノエチレン性不飽和モノマー0〜30質量%と、
の重合単位を含み、モノマー(I)、(II)、(III)、および(IV)の全体は、コポリマーの100質量%に相当する。
【0041】
極めて好適な実施形態において、コポリマー(C)は、以下のモノマー:
(I)1つ以上のエチレン性不飽和C3〜C6−モノカルボン酸60〜90質量%と、
(II)不飽和スルホン酸10〜40質量%と、
(III)1つ以上のモノエチレン性不飽和C4〜C8−ジカルボン酸0〜30質量%と、
(IV)(I)、(II)、および(III)と重合可能な1つ以上のモノエチレン性不飽和モノマー0〜30質量%と、
の重合単位を含み、モノマー(I)、(II)、(III)、および(IV)の全体は、コポリマーの100質量%に相当する。
【0042】
食器洗浄器用洗剤での使用のための特に良好な特性を有するコポリマーCは、以下のモノマー:
(I)1つ以上のエチレン性不飽和C3〜C6−モノカルボン酸77質量%と、
(II)不飽和スルホン酸23質量%と、
の重合単位を含み、不飽和C3〜C6−モノカルボン酸は、好ましくは(メタ)アクリル酸である。
【0043】
モノエチレン性不飽和C4〜C8−ジカルボン酸は、好ましくはマレイン酸であり、(I)、(II)、および(III)と重合可能なモノエチレン性不飽和モノマーは、好ましくは(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステル、(メタ)アクリル酸のC1〜C4−ヒドロキシアルキルエステル、アクリルアミド、アルキル置換アクリルアミド、N,N−ジアルキル置換アクリルアミド、スルホン酸化アルキルアクリルアミド、ビニルホスホン酸、酢酸ビニル、アリルアルコール、スルホン酸化アリルアルコール、スチレンおよび類似モノマー、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルイミダゾール、およびN−ビニルピリジンのうちの1つ以上から選択される。
【0044】
成分Cとして適切なさらなるスルホン含有コポリマーは、
i)不飽和カルボン酸と、
ii)スルホン酸基を含有するモノマーと、
iii)場合によっては、さらなるイオン性もしくは非イオン性モノマーと、
から形成されるコポリマーである。
【0045】
本発明に関連して、好適なモノマーは、式(III)
6(R7)C=C(R8)COOH (III)
[式中、
6〜R8は、それぞれ独立して、水素、メチル、2〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐の飽和アルキル基、2〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のモノもしくはポリ不飽和アルケニル基、上記に定義されているとおりの−NH2−、−OH−、もしくは−COOH−置換アルキルもしくはアルケニル基、または−COOHもしくは−COOR9(R9は、1〜12個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐炭化水素基)]
の不飽和カルボン酸i)である。
【0046】
式(III)で表わすことができる不飽和カルボン酸の中で、アクリル酸(R6=R7=R8=H)、メタクリル酸(R6=R7=H、R8=CH3)、および/またはマレイン酸(R6=COOH、R7=R8=Hが特に好ましい。
【0047】
スルホン酸基を含有するモノマーの場合、
式(IV),
10(R11)C=C(R12)−X−SO3H (IV)
[式中、R10〜R12は、それぞれ独立して、水素、メチル、2〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐の飽和アルキル基、2〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のモノもしくはポリ不飽和アルケニル基、上記に定義されているとおりの−NH2−、−OH−、もしくは−COOH−置換アルキルもしくはアルケニル基、または−COOHもしくは−COOR9(R9は、1〜12個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐炭化水素基)であり、Xは、−(CH2n−(n=0〜4)、−COO−(CH2k−(k=1〜6)、−C(O)−NH−C(CH32−、および−C(O)−NH−CN(CH2CH3)−から選択される、場合によっては存在するスペーサー基である]
のものが好ましい。
【0048】
これらのモノマーの中で、式IVa、IVb、および/またはIVc
2C=CH−X−SO3H (IVa)
2C=C(CH3)−X−SO3H (IVb)
HO3S−X−(R11)C=C(R12)−X−SO3H (IVc)
[式中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルから選択され、Xは、−(CH2n−(n=0〜4)、−COO−(CH2k−(k=1〜6)、−C(O)−NH−C(CH32−、および−C(O)−NH−CH(CH2CH3)−から選択される、場合によっては存在するスペーサー基である]
のモノマーが好ましい。
【0049】
特に好適なスルホン酸基を含有するモノマーは、1−アクリルアミド−1−プロパンスルホン酸(式IVa中のX=−C(O)NH−CH(CH2CH3))、2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸(IVa中のX=−C(O)NH−C(CH32)、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(IVa中のX=−C(O)NH−CH(CH3)CH2−)、2−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(式IVb中のX=−C(O)NH−CH(CH3)CH2−)、3−メタクリルアミド−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸(式IVb中のX=−C(O)NH−CH2CH(OH)CH2−)、アリルスルホン酸(式IVa中のX=CH2)、メタリルスルホン酸(式IIIb中のX=CH2)、アリルオキシベンゼンスルホン酸(式IVa中のX=−CH2O−C64−)、メタアリルオキシベンゼンスルホン酸(式IVb中のX=−CH2−O−C64−)、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸(式IVb中のX=CH2)、スチレンスルホン酸(式lVa中のX=C64)、ビニルスルホン酸(式IVa中にXが不在)、アクリル酸3−スルホプロピル(式IVa中のX=−C(O)NH−CH2CH2CH2−)、メタクリル酸3−スルホプロピル(式IVb中のX=−C(O)NH−CH2CH2CH2−)、スルホメタクリルアミド(式IVb中のX=−C(O)NH−)、スルホメチルメタクリルアミド(式IVb中のX=−C(O)NH−CH2−)、および上述の酸の水溶性塩である。
【0050】
さらなるイオン性もしくは非イオン性モノマーには、特にエチレン性不飽和化合物が含まれる。ランダム共重合またはブロック共重合によって組み込まれた、式V
2C=C(R13)C(=O)−O−R14−[R15−O]o−R15 (V)
[式中、R13は、水素またはメチルであり、R14は、化学結合、または直鎖もしくは分岐のC1〜C6−アルキル基であり、各R15は、同一のもしくは異なる直鎖もしくは分岐C1〜C6−アルキル基を表わし、oは、3〜50の自然数である]
の非イオン性モノマーの使用が好ましい。
【0051】
前記スルホン酸基を含有するポリマー中のiii)群のモノマーの含有量は、好ましくはポリマーに対して20質量%未満である。特に好適なスルホン酸基を含有するポリマーは、i)群およびii)群のモノマーのみからなる。
【0052】
本発明の食器洗浄器用洗剤中に存在する上述のいかなるコポリマーも、i)群およびii)群、また場合によってはiii)群からのモノマーを各種量で含んでよく、i)群からの全てのモノマーをii)群からの全てのモノマーおよびiii)群からの全てのモノマーと組み合わせることが可能である。
【0053】
コポリマーCにおいて、スルホン酸基の一部または全ては、中和された形で存在してもよい。これは、一部または全てのスルホン酸基中のスルホン酸基の酸性水素原子を金属イオン、好ましくはアルカリ金属イオン、特にナトリウムイオンと交換してよいことを意味する。スルホン酸基が部分的または完全に中和されてコポリマー中に存在する相当する本発明の組成物は、本発明によると好適である。
【0054】
コポリマー中のモノマー分布は、i)群およびii)群からのモノマーのみを含むコポリマーの場合、好ましくは、i)およびii)それぞれ5〜95質量%、より好ましくは、i)群からのモノマー50〜90質量%と、ii)群からのモノマー5〜95質量%、より好ましくは10〜50質量%である(いずれの場合もポリマーに対する)。
【0055】
ターポリマーの場合、i)群からのモノマー20〜85質量%、ii)群からのモノマー10〜60質量%、iii)群からのモノマー5〜30質量%を含むものが特に好ましい。
【0056】
本発明の食器洗浄器用洗剤中に存在する上記コポリマーのモル質量を変更して、ポリマーの特性を所望の最終用途に適合することができる。好適な使用において、コポリマーは、モル質量2,000〜200,000g/mol、好ましくは4,000〜25,000g/mol、特に5,000〜15,000g/molを有する。
【0057】
好適な実施形態では、本発明の食器洗浄器用洗剤において、成分Cとして、
a)アクリル酸および/またはメタクリル酸、および/またはアクリル酸の水溶性塩および/またはメタクリル酸の水溶性塩30〜95モル%と、
b)スルホン酸基を含有する式IIIの少なくとも1つのモノマー3〜35モル%と、
c)ランダム共重合またはブロック共重合によって組み込まれた、式V
2C=C(R13)C(=O)−O−R14−[R15−O]o−R15 (V)
[式中、R13は、水素またはメチルであり、R14は、化学結合、または直鎖もしくは分岐C1〜C6−アルキル基であり、各R15は、同一のもしくは異なる直鎖もしくは分岐C1〜C6−アルキル基を表わし、oは、3〜50の自然数である]
の少なくとも1つの非イオン性モノマー2〜35モル%と、
を含むコポリマーを使用することが可能である。
【0058】
共重合されたアクリル酸および/またはメタクリル酸、および/またはこれらの酸の水溶性塩の比率a)は、好ましくは50〜90モル%、好ましくは55〜85モル%、より好ましくは60〜90モル%である。スルホン酸基を含有する式(IV)の共重合されたモノマーの比率b)は、好ましくは4〜30モル%、好ましくは5〜25モル%、より好ましくは5〜20モル%である。式(V)のモノマー単位の比率c)は、好ましくは3〜30モル%、より好ましくは4〜25モル%、また特に5〜20モル%である。前記全てのモル割合は、本発明の組成物中に存在するポリマーに基づく。
【0059】
コポリマーのK値は、好ましくは15〜35、特に20〜32、とりわけ27〜30である(1質量%水溶液中、25℃で測定)。
【0060】
成分(D)
リン酸塩含有食器洗浄機用洗剤は、成分Dとして、リン酸カルシウムからなる沈殿物の形成を抑制する、少なくとも1つの親水性改質ポリカルボン酸塩0〜15質量%、好ましくは0.5〜12質量%、より好ましくは1〜10質量%を含む。
【0061】
好適な実施形態において、使用する親水性改質ポリカルボン酸塩は、アルキレンオキシド単位を含み、
(1)アクリル酸および/またはアクリル酸の水溶性塩50〜93モル%と、
(2)メタクリル酸および/またはメタクリル酸の水溶性塩5〜30モル%と、
(3)式VI
2C=C(R16)−C(=O)−O−R17−[−R18−O−]s−R19 (VI)
[式中、可変部はそれぞれ以下のように定義される:
16は、水素またはメチルであり、
17は、化学結合、または非分岐もしくは分岐C1〜C6−アルキレンであり、
18は、同一のまたは異なる非分岐もしくは分岐C2〜C4−アルキレン基であり、
19は、非分岐もしくは分岐C1〜C6−アルキルであり、
sは、3〜50である]
の少なくとも1つの非イオン性モノマー2〜20モル%と、
から形成され、成分(1)、(2)、および(3)はランダム共重合またはブロック共重合によって組み込まれる、コポリマーである。
【0062】
アルキレンオキシド単位を含むこれらのコポリマーは、共重合された成分(1)および(2)として、アクリル酸またはメタクリル酸、および/またはこれらの酸の水溶性塩、特にアルカリ金属塩、例えばカリウムおよびとりわけナトリウム塩、ならびにアンモニウム塩を含む。
【0063】
本発明による使用のためのコポリマー中のアクリル酸(1)の比率は、50〜93モル%、好ましくは65〜85モル%、より好ましくは65〜75モル%である。
【0064】
メタクリル酸(2)は、本発明による使用のためのコポリマー中に、5〜30モル%の程度で、好ましくは10〜25モル%の程度で、とりわけ15〜25モル%の程度で存在する。
【0065】
コポリマーは、成分(3)として、式VI
2C=C(R16)−C(=O)−O−R17−[−R18−O−]s−R19 (VI)
[式中、
16は、水素、または好ましくはメチルであり、
17は、非分岐もしくは分岐C1〜C6−アルキレン、または好ましくは化学結合であり、
18は、同一のまたは異なる非分岐もしくは分岐C2〜C4−アルキレン基、とりわけC2〜C3−アルキレン基、特にエチレンであり、
19は、非分岐もしくは分岐C1〜C6−アルキル、好ましくはC1〜C2−アルキルであり、
sは、3〜50、好ましくは5〜40、より好ましくは10〜30である]
の非イオン性モノマーを含む。
【0066】
式(VI)のモノマーの特に適切な例には、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリブチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリ(プロピレンオキシド−コ−エチレンオキシド)、(メタ)アクリル酸エトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸エトキシポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸エトキシポリブチレングリコール、および(メタ)アクリル酸エトキシポリ(プロピレンオキシド−コ−エチレンオキシド)があり、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールおよび(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールが好ましく、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールが特に好ましい。
【0067】
ポリアルキレングリコールは、アルキレンオキシド単位3〜50個、特に5〜40個、とりわけ10〜30個を含む。
【0068】
本発明による使用のためのコポリマーD中の非イオン性モノマー(3)の比率は、2〜20モル%、好ましくは5〜15モル%、とりわけ5〜10モル%である。
【0069】
本発明による使用のためのコポリマーDは、一般に平均分子量Mw3,000〜50,000g/mol、好ましくは10,000〜30,000g/mol、より好ましくは15,000〜25,000g/molを有する。
【0070】
コポリマーDのK値は、典型的には15〜40、特に20〜35、とりわけ27〜30である(H. Fikentscher, Cellulose−Chemie, Vol. 13, pp.58−64および71−74 (1932)に従い、1質量%水溶液中、25℃で測定)。
【0071】
本発明による使用のためのコポリマーCおよびDは、モノマーのフリーラジカル重合によって製造することができる。これは、当業者に既知のいかなるフリーラジカル重合方法によって行なってもよい。バルク重合に加え、特に溶液重合の方法およびエマルジョン重合の方法にも言及すべきであり、溶液重合が好ましい。
【0072】
重合は、好ましくは、溶媒としての水中で実施する。しかしながら、これは、アルコール溶媒、特にC1〜C4アルコール、例えばメタノール、エタノール、およびイソプロパノール、またはこれらの溶媒と水との混合物中で行なうこともできる。
【0073】
適切な重合開始剤には、熱的にあるいは光化学的に(光開始剤)分解し、その際にフリーラジカルを形成する化合物が含まれる。
【0074】
熱活性化可能な重合開始剤の中で、20〜180℃、特に50〜90℃の範囲の分解温度を有する開始剤が好ましい。適切な熱開始剤の例には、無機ペルオキソ化合物、例えば、ペルオキソ二硫酸塩(ペルオキソ二硫酸アンモニウム、および好ましくはペルオキソ二硫酸ナトリウム)、ペルオキソ硫酸塩、過炭酸塩、および過酸化水素;有機ペルオキソ化合物、例えば、過酸化ジアセチル、過酸化ジ−tert−ブチル、過酸化ジアミル、過酸化ジオクタノイル、過酸化ジデカノイル、過酸化ジラウロイル、過酸化ジベンゾイル、過酸化ビス(o−トロイル)、過酸化スクシニル、過酢酸tert‐ブチル、過マレイン酸tert‐ブチル、過イソ酪酸tert‐ブチル、過ピバル酸tert‐ブチル、過オクチル酸tert−ブチル、過ネオデカン酸tert‐ブチル、過安息香酸塩tert‐ブチル、tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ペルオキシ−2−エチルヘキサン酸tert−ブチル、およびペルオキシジカルバミン酸ジイソプロピル;アゾ化合物、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、およびアゾビス(2−アミドプロパン)二塩酸塩がある。
【0075】
これらの開始剤は、還元性化合物と組み合わせて、開始剤/調節剤系として使用することができる。かかる還元性化合物の例には、リン化合物、例えば亜リン酸、次亜リン酸塩、およびホスフィン酸塩、硫黄化合物、例えば亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、ならびにヒドラジンがある。
【0076】
適切な光開始剤の例には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾインエーテル、ベンジルジアルキルケトン、およびそれらの誘導体がある。熱開始剤の使用が好ましく、好適な熱開始剤は、無機ペルオキソ化合物、特にペルオキソ二硫酸ナトリウム(過硫酸ナトリウム)である。とりわけ有利には、ペルオキソ化合物を硫黄含有還元剤、特に亜硫酸水素ナトリウムと組み合わせて、レドックス開始剤系として使用する。この開始剤/調節剤系を使用する場合、末端基として−SO3-Na+および/または−SO4-Na+を含むコポリマーが得られるが、これらは特有の清浄力および沈殿抑制作用で注目に値する。
【0077】
あるいは、リン含有開始剤/調節剤系、例えば次亜リン酸塩/ホスフィン酸塩を使用することも可能である。光開始剤または開始剤/調節剤系の量は、それぞれの例で使用する物質に適合させるべきである。例えば、好適なペルオキソ二硫酸塩/亜硫酸水素塩系を用いる場合、典型的には2〜6質量%、好ましくは3〜5質量%のペルオキソ二硫酸塩、および一般に5〜30質量%、好ましくは5〜10質量%の亜硫酸水素塩を使用する(いずれの場合も重合すべきモノマーの総量に対する)。
【0078】
所望であれば、重合調節剤を用いることも可能である。適切な化合物は、当業者に既知のもの、例えば、硫黄化合物、例えばメルカプトエタノール、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸、およびドデシルメルカプタンである。重合調節剤を用いる場合、その使用量は、重合すべきモノマーの総量に対して、一般に0.1〜15質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.1〜2.5質量%である。
【0079】
本発明によって使用できるポリマーの製造時の温度は、一般に30〜200℃、好ましくは50〜150℃、より好ましくは80〜120℃である。重合は、常圧で実施することができるが、好ましくは閉鎖系内で発生する自己圧下で行なう。
【0080】
本発明による使用のためのコポリマーDの製造において、モノマー(1)、(2)、および(3)はそれ自体で使用することができるが、モノマー(3)の製造の際に得られる反応混合物を使用することも可能である。例えば、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールの代わりに、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの過剰メタクリル酸とのエステル化の際に得られるモノマー混合物を使用することも可能である。エステル化は、アクリル酸と、メタクリル酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとの混合物と、フリーラジカル開始剤と同時に配合することによって、重合混合物中でその場で有利に実施することもできる。適切な場合には、エステル化に必要な触媒、例えばメタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸を付加的に使用してもよい。
【0081】
本発明による使用のためのコポリマーDは、ポリマー類似反応によって、例えばアクリル酸/メタクリル酸コポリマーとポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの反応によって製造することもできる。しかしながら、モノマーのフリーラジカル共重合が好ましい。
【0082】
応用例に望ましい場合は、本発明による使用のためのカルボキシル含有コポリマーの製造時に得られる水溶液は、中和されていても、あるいは部分的に中和されていてもよい。すなわち、塩基、特に水酸化ナトリウム溶液を加えることによって、pHを4〜8の範囲、好ましくは4.5〜7.5の範囲に調整してもよい。
【0083】
本発明によって使用するコポリマーCおよびDは、食器洗浄機用洗剤の添加剤として極めて適している。これらはとりわけ、無機沈殿物および有機沈殿物双方に対するその沈殿抑制作用で注目に値する。特に、残留している洗剤配合物の構成要素によって生じる沈殿物、例えばリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムおよびケイ酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウムおよびホスホン酸マグネシウム、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムの沈殿物、ならびに洗浄液の汚れ要素に由来する沈殿物、例えば油脂、タンパク質、およびデンプンの沈殿物に言及しなければならない。
【0084】
また、本発明によって使用するコポリマーは、結果として、食器洗浄器用洗剤の清浄力も向上させる。さらに、これらは低濃度であっても、食器からの水の流出を促進し、それにより食器洗浄器用洗剤中の洗浄用界面活性剤の比率を減少させうる。
【0085】
本発明によって使用するコポリマーCおよびDは、製造の過程で得られる水溶液の形態で直接使用してもよく、あるいは例えば噴霧乾燥、流動層噴霧乾燥、ローラー乾燥、または凍結乾燥によって得られる乾燥形態で使用してもよい。
【0086】
成分(E)
成分Eとして、少なくとも1つのポリカルボン酸塩0〜8質量%、好ましくは0〜7質量%、より好ましくは0〜6質量%が、本発明の食器洗浄器用洗剤中に存在する。適切なポリカルボン酸塩は、アクリル酸またはメタクリル酸のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、およびシトラコン酸とのホモポリマーおよびコポリマーである。適切なポリマーは、特にポリアクリル酸であり、これは好ましくは分子量2,000〜20,000g/molを有する。この群の中で、その優れた溶解性により、モル質量2,000〜10,000g/mol、特に3,000〜5,000g/molを有する短鎖ポリアクリル酸が好適であろう。また、コポリマーのポリカルボン酸塩、特にアクリル酸とメタクリル酸とのもの、およびアクリル酸またはメタクリル酸とマレイン酸および/またはフマル酸とのものも適切である。とりわけ適切なコポリマーは、アクリル酸30〜90質量%とマレイン酸70〜10質量%とを含むアクリル酸とマレイン酸とのものであることがわかっている。遊離酸に対するその相対分子量は、一般に1,000〜150,000g/mol、好ましくは1,500〜100,000g/mol、特に2,500〜80,000g/molである。本発明の混合物中に存在するポリカルボン酸塩は、炭酸カルシウム沈殿物の形成を防止する。
【0087】
成分(F)
本発明の食器洗浄機用洗剤は、成分(F)として、少なくとも1つのリン酸塩1〜70質量%、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは20〜55質量%を含む。
【0088】
数多くの市販のリン酸塩の中で、アルカリ金属リン酸塩、特に好ましくは三リン酸五ナトリウムまたは三リン酸五カリウム(トリポリリン酸ナトリウムまたはトリポリリン酸カリウム)は、洗浄および清浄製品産業において最も重要である。
【0089】
アルカリ金属リン酸塩は、種々のリン酸のアルカリ金属(特にナトリウムおよびカリウム)塩の総称であり、これに対して、より高い分子量のもの以外に、メタリン酸(HPO3nとオルトリン酸H3PO4とが区別される。リン酸塩はいくつかの利点を兼ね備える。これらはアルカリ担体として作用し、機械部品上の石灰かす沈殿物および繊維への石灰付着物を防止し、さらに清浄性能にも寄与する。
【0090】
リン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)は、二水和物として(密度1.91gccm-3、融点60℃)、また一水和物として(密度2.04gccm-3)存在する。両塩とも白色粉末であり、非常に容易に水に溶解し、加熱時にの結晶水を失い、200℃で弱酸性二リン酸塩(二リン酸水素二ナトリウム、Na2227)に変換され、さらに高温では三メタリン酸ナトリウム(Na339)およびマドレル塩(下記参照)に変換される。NaH2PO4は、酸性反応を示す。これは、リン酸を水酸化ナトリウム溶液でpH4.5に調整し、そのスラリーを噴霧したときに形成される。リン酸二水素カリウム(第一または一塩基性のリン酸カリウム、二リン酸カリウム、KDP)(KH2PO4)は、密度2.33g/ccm-3の白色塩であり、融点253℃を有し(ポリリン酸カリウム(KPO3xの形成を伴って分解)、水に容易に溶解する。
【0091】
リン酸水素二ナトリウム(第二リン酸ナトリウム、Na2HPO4)は、非常に容易に水に溶解する無色の結晶性塩である。これは無水の形態で、また2molの水(密度2.066gccm-3、95℃で水を損失)、7molの水(密度1.68gccm-3、融点48℃、5H2Oの損失を伴う)、および12molの水(密度1.52gccm-3、融点35℃、5H2Oの損失を伴う)とともに存在し、100℃で無水になり、より強く加熱したときに二リン酸塩Na427に変換される。リン酸水素二ナトリウムは、指示薬としフェノールフタレインを用い、炭酸ナトリウム溶液でリン酸を中和することによって製造される。リン酸水素二カリウム(第二または二塩基性のリン酸カリウム、K2HPO4)は、容易に水に溶解する非晶質の白色塩である。
【0092】
リン酸三ナトリウム(第三リン酸ナトリウム、Na3PO4)は、無色の結晶であり、これは十二水和物の形態では密度1.62gccm-3および融点73〜76℃(分解)を有し、十水和物(P2519〜20%に相当する)の形態では融点100℃を有し、無水の形態(P2539〜40%に相当する)では密度2.536gccm-3を有する。リン酸三ナトリウムは、アルカリ反応を伴って容易に水に溶解でき、正確に1molのリン酸二ナトリウムと1molのNaOHとの溶液を蒸発により濃縮することによって製造される。リン酸三カリウム(第三または三塩基性リン酸カリウム、K3PO4)は、白色の潮解性顆粒粉末であり、密度2.56gccm-3および融点1340℃を有し、アルカリ反応を伴って容易に水に溶解する。これは例えば、トーマススラグを炭および硫酸カリウムとともに加熱したときに生成される。比較的高コストではあるが、より容易に溶解し、そのため高活性のリン酸カリウムは、清浄製品産業において、相当するナトリウム化合物よりも好適であることが多い。
【0093】
二リン酸四ナトリウム(ピロリン酸ナトリウム、Na427)は、無水の形態で(密度2.534gccm-3、融点988℃、また880℃も報告されている)、また十水和物の形態で(密度1.815〜1.836gccm-3、融点94℃、水の損失を伴う)存在する。両物質は、無色の結晶であり、これはアルカリ反応を伴って水に溶解する。Na427は、リン酸二ナトリウムを>200℃に加熱したときに形成されるか、あるいはリン酸を炭酸ナトリウムと化学量論比で反応させて、噴霧によってこの溶液から水を除去することによって形成される。十水和物は、重金属塩と硬度形成物とを錯化し、それにより水の硬度を低下させる。二リン酸カリウム(ピロリン酸カリウム、K427)は、三水和物の形態で存在し、密度2.33gccm-3,の無色の吸湿性粉末であるが、これは水に溶解し、1%溶液の25℃でのpHは10.4である。
【0094】
NaH2PO4またはKH2PO4の縮合により、より高い分子量のリン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムが生成される。これに対して、環式のもの、メタリン酸ナトリウムおよびメタリン酸カリウムと、直鎖状のポリリン酸ナトリウムおよびポリリン酸カリウムを区別することができる。後者には、溶成または焼成リン酸塩、グラハム塩、クロール塩およびマドレル塩など、特に多くの名称が用いられている。全ての高級リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムは、まとめて縮合リン酸塩と称される。
【0095】
工業的に重要な三リン酸五ナトリウム(Na5310、トリポリリン酸ナトリウム)は、非吸湿性の白色水溶性塩であり、これは無水であるか、あるいは6H2Oとともに結晶化し、一般式NaO−[P(O)(ONa)−O]n−Na(式中、n=3)を有する。結晶水を含まない塩約17gは、水100g中に、室温で100g、60℃でおよそ20g、100℃で約32g溶解し、この溶液を100℃で2時間加熱したあと、加水分解により約8%のオルトリン酸塩と15%の二リン酸塩が形成される。三リン酸五ナトリウムの製造では、リン酸を炭酸ナトリウム溶液または水酸化ナトリウム溶液と化学量論比で反応させ、噴霧によりその溶液から水を除去する。グラハム塩および二リン酸ナトリウムと同様に、三リン酸五ナトリウムは、多くの不溶性金属化合物(石灰石けんなどを含む)を溶解する。三リン酸五カリウム(K5310、トリポリリン酸カリウム)は、例えば50質量%溶液(>23%P25、25%K2O)の形態で市販されている。ポリリン酸カリウムは、洗濯洗剤および清浄製品産業において広く使用される。また、トリポリリン酸ナトリウムカリウムも存在し、これも本発明に関連して同様に使用できる。これらは、例えば、三メタリン酸ナトリウムをKOHで加水分解したときに形成される。
(NaPO33+2KOH−>Na32310+H2
これらは本発明により、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、またはこれら二種の混合物と全く同様に使用できる。トリポリリン酸ナトリウムとトリポリリン酸ナトリウムカリウムとの混合物、またはトリポリリン酸カリウムとトリポリリン酸ナトリウムカリウムとの混合物、またはトリポリリン酸ナトリウムとトリポリリン酸カリウムとトリポリリン酸ナトリウムカリウムとの混合物も本発明により使用できる。
【0096】
特に好適な実施形態において、本発明の食器洗浄機用洗剤に使用するリン酸塩は、トリポリリン酸ナトリウムである。
【0097】
成分(G)
リン酸塩含有食器洗浄機用洗剤は、成分(G)として、少なくとも1つのさらなる添加剤0.01〜60質量%、好ましくは0.05〜50質量%、より好ましくは0.1〜40質量%を含む。適切な添加剤は、ビルダー、錯化剤、酵素、漂白剤、漂白活性剤、色素および芳香剤、腐食抑制剤、安定剤、例えば酸化防止剤または紫外線吸収剤、充填剤、さらなる界面活性剤およびポリマー、増量剤、ならびにタブレット結合剤からなる群から選択される。
【0098】
ビルダー
本発明の機械食器洗浄用洗剤は、ビルダーを含む。これらは、洗浄および清浄用組成物中に常用されている全てのビルダー、特にケイ酸塩、炭酸塩、ゼオライト、ならびに有機ビルダーおよびコビルダー、例えばクエン酸塩またはポリカルボン酸塩を含んでもよい。
【0099】
適切な結晶性の層状ケイ酸ナトリウムは、一般式NaMSix2x+1・yH2O(式中、Mはナトリウムまたは水素であり、xは1.9〜4であり、yは0〜20である)を有し、xの好適な値は2、3、もしくは4である。前記式の結晶性の層状ケイ酸ナトリウムは、式中、Mがナトリウムであり、Xが2または3であるものが好ましい。とりわけ、β−およびδ−二ケイ酸ナトリウムNa2Si25・H2Oが好ましい。
【0100】
また、Na2O:SiO2の構成単位1:2〜1:3.3、好ましくは1:2〜1:2.8、特に1:2〜1:2.6を有する非晶質ケイ酸ナトリウムを使用することも可能であるが、これは溶解遅延および二次洗浄の特性を有する。従来の非晶質ケイ酸ナトリウムに関する溶解の遅延は、様々な方法で、例えば表面処理、コンパウンド化、圧縮、または過乾燥によってもたらされてきた。本発明に関連して、「非晶質」という用語は、「X線非晶質」も含む。これは、X線回折実験において、ケイ酸塩が、結晶性物質に典型的な鋭いX線反射を示さず、むしろ散乱X線照射の1つ以上の極大を生じる程度であり、これが数度単位の回折角の幅を有することを意味する。しかしながら、ケイ酸塩粒子が、電子回折実験において不明確なあるいは鋭い回折極大を生じる場合には、特に良好なビルダー特性をもたらす可能性もある。これは、生成物が、10〜数100nm、好ましくは最大50nm、とりわけ最大20nmの大きさの微晶質範囲を有する結果と解釈されるべきである。圧縮非晶質ケイ酸塩、コンパウンド化非晶質ケイ酸塩、および過乾燥X線非晶質ケイ酸塩が特に好ましい。
【0101】
場合によっては使用可能な微細結晶性であり合成の結合水含有ゼオライトは、好ましくはゼオライトAおよび/またはPである。ゼオライトPは、より好ましくは、Zeolite MAP(登録商標)(Crosfieldの市販品)である。しかしながら、ゼオライトX、およびA、X、および/またはPの混合物も適している。また、市販されており、かつ本発明によって好ましく使用できるものには、例えばゼオライトXとゼオライトAとの共結晶(ゼオライトXおよそ80質量%)があるが、これはCONDEA Augusta S.p.A.により商標名VEGOBOND AX(登録商標)として市販されており、またこれは式(VII)
nNa2O・(1−n)K2O・Al23・(2−2.5)SiO2・(3.5−5.5)H2O (VII)
で表すことができる。
【0102】
適切なゼオライトは、平均粒径10μm未満を有し(体積分布、測定方法はCoulter Counter)、好ましくは18〜22質量%、特に20〜22質量%の結合水を含む。
【0103】
本発明の組成物は、ビルダーとして炭酸塩および/または炭酸水素塩をさらに含んでもよい。これらの中で、アルカリ金属塩、特に炭酸ナトリウムがとりわけ好適である。
【0104】
本発明の食器洗浄機用洗剤に使用できる有機コビルダーには、特に、ポリカルボン酸塩/ポリカルボン酸、ポリマーポリカルボン酸塩、アスパラギン酸、ポリアセタール、デキストリン、さらなる有機コビルダー(下記参照)、およびホスホン酸が含まれる。これらの物質群は、以下に説明する。
【0105】
使用できる有機ビルダー物質は、例えば、ナトリウム塩の形態で使用可能なポリカルボン酸であり、ポリカルボン酸とは、1つを上回る酸官能基を担持するカルボン酸を指す。これらの例は、かかる使用が生態学的理由で好ましくないものでない限り、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、糖酸、アミノカルボン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、およびそれらの混合物である。好適な塩は、ポリカルボン酸、例えばクエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、糖酸、およびそれらの混合物の塩である。
【0106】
また、酸自体を使用することもできる。酸は、そのビルダー作用に加え、典型的には、酸性化成分としての特性も備え、したがって洗浄および清浄用組成物のより低くかつより緩やかなpHの設定にも役立つ。これに関連して、クエン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸、およびそれらのあらゆる混合物に特に言及しなければならない。
【0107】
同様に言及すべきさらなる好適なビルダー物質は、ポリマーのアミノジカルボン酸、その塩、またはその前駆物質である。コビルダー特性に加え漂白安定化作用を有する、ポリアスパラギン酸、またはその塩および誘導体が特に好ましい。
【0108】
さらなる適切なビルダー物質は、ジアルデヒドを5〜7個の炭素原子と少なくとも3個のヒドロキシル基とを有するポリオールカルボン酸と反応させることによって得ることができるポリアセタールである。好適なポリアセタールは、ジアルデヒド、例えばグリオキサル、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、およびそれらの混合物と、またポリオールカルボン酸、例えばグルコン酸および/またはグルコヘプトン酸とから得られる。
【0109】
さらなる適切な有機ビルダー物質は、デキストリン、例えば炭水化物のオリゴマーまたはポリマーであるが、これらはデンプンの部分加水分解によって得ることができる。加水分解は、常用の、例えば酸触媒または酵素触媒方法によって実施することができる。加水分解生成物は、好ましくは400〜500,000g/molの範囲の平均モル質量を有する。デキストロース当量(DE)が0.5〜40、特に2〜30の範囲の多糖が好ましい。ここでDEとは、DE100を有するデキストロースと比較したときの、多糖の還元作用の一般的尺度である。また、DEが3〜20のマルトデキストリン、およびDEが20〜37の乾燥グルコースシロップ、ならびに2,000〜30,000g/molの範囲のモル質量を有する黄色デキストリンおよび白色デキストリンとして既知のものも使用できる。
【0110】
かかるデキストリンの酸化誘導体は、糖環の少なくとも1つのアルコール官能基をカルボン酸官能基に酸化することができる酸化剤との反応生成物である。糖環のC6で酸化された生成物は、特に有利であろう。
【0111】
オキシジスクシネートおよびジスクシネートのその他の誘導体、好ましくはエチレンジアミンジスクシネートも、さらなる適切なコビルダーである。この場合、エチレンジアミン−N.N’−ジスクシネート(EDDS)は、好ましくは、ナトリウム塩またはマグネシウム塩の形態で使用する。さらに、これに関連して、グリセリルジスクシネートおよびグリセリルトリスクシネートも好ましい。
【0112】
使用できるさらなる有機コビルダーは、例えばアセチル化ヒドロキシカルボン酸またはその塩であるが、これらはラクトン形態で存在していてもよく、またこれらは少なくとも4個の炭素原子と、少なくとも1個のヒドロキシル基と、最大2個の酸基を含む。
【0113】
コビルダー特性を有するさらなる物質群は、ホスホン酸塩の群である。これらは特に、ヒドロキシアルカンホスホネートおよびアミノアルカンホスホネートである。ヒドロキシアルカンホスホネートの中で、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸塩(HEDP)は特にコビルダーとして重要である。これは好ましくは、ナトリウム塩の形態で使用するが、ジナトリウム塩は中性反応を示し、四ナトリウム塩はアルカリ反応(pH9)を示す。有用なアミノアルカンホスホネートは、好ましくはエチレンジアミンテトラメチレンホスホネート(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)、およびこれらの高級同族体である。これらは好ましくは中性反応を示すナトリウム塩の形態で、例えばEDTMPの六ナトリウム塩として、またはDTPMPの七ナトリウム塩および八ナトリウム塩として使用する。ホスホン酸塩群の中で、HEDPをビルダーとして使用するのが好ましい。さらに、アミノアルカンホスホネートは、顕著な重金属結合能を有する。したがって、特に組成物が漂白剤も含む場合には、アミノアルカンホスホネート、特にDTPMP、または上記ホスホン酸塩の混合物の使用が好ましいであろう。
【0114】
さらに、アルカリ土類金属イオンと錯体を形成しうる全ての化合物をコビルダーとして使用することが可能である。
【0115】
錯化剤
さらなる可能な原料の群は、キレート錯化剤の群である。
【0116】
キレート錯化剤は、金属イオンと環式化合物を形成する物質であり、個々の配位子は、中心原子上の1つを上回る配位部位を占める(すなわち、少なくとも「二座」である)。この場合、したがって、通常は伸長した化合物が、イオンによる錯体形成によって閉鎖して環を生じる。結合配位子の数は、中心イオンの配位数に依存する。
【0117】
広く使用され、また本発明に関連して好適であるキレート錯化剤は、例えば、ポリオキシカルボン酸、ポリアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチレングリシン二酢酸(MGDA)、およびグルタミニン二酢酸(GLDA)である。また、本発明によって使用可能であるものには、錯体形成性ポリマー、すなわち主鎖自体にあるいはその側鎖に官能基を担持するポリマーもあるが、これは配位子の役割をし、適切な金属原子と反応して、一般にキレート錯体を形成することができる。結果として得られる金属錯体のポリマー結合配位子は、1つのみの高分子に由来しても、あるいは異なるポリマー鎖に属してもよい。後者は、錯体形成性ポリマーが共有結合によって事前に架橋していない場合には、物質の架橋をもたらす。
【0118】
常用の錯体形成性ポリマーの錯化基(配位子)は、イミノ二酢酸、ヒドロキシキノリン、チオ尿素、グアニジン、ジチオカルバメート、ヒドロキサム酸、アミドキシム、アミノリン酸、(環状)ポリアミノ、メルカプト、1,3−ジカルボニル、およびクラウンエーテル基であり、これらの一部は、様々な金属のイオンに対して非常に特異的な活性を示す。商業的にも重要な、多くの錯体形成性ポリマーの基本ポリマーは、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピリジン、およびポリエチレンイミンである。天然ポリマー、例えばセルロース、デンプン、またはキチンも錯体形成性ポリマーである。さらにこれらは、ポリマー類似改質の結果として、さらなる配位子官能性を備えてもよい。
【0119】
本発明に関連して、全ての従来技術の錯化剤を使用することが可能である。これらは、様々な化学群に属しうる。以下のものを個別にまたは互いとの混合物として使用することが好ましい。
i)カルボキシル基とあらゆるヒドロキシル基との和が少なくとも5であるポリカルボン酸、例えばグルコン酸、
ii)窒素含有モノカルボン酸もしくはポリカルボン酸、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリド二酢酸−3−プロピオン酸、イソセリン二酢酸、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)グリシン、N−(1,2−ジカルボキシ−2−ヒドロキシエチル)グリシン、N−(1,2−ジカルボキシ−2−ヒドロキシエチル)アスパラギン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチレングリシン二酢酸(MGDA)、およびグルタミニン二酢酸(GLDA)、
iii)ジェミナルジホスホン酸、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸塩(HEDP)、最大8個の炭素原子を有するその高級同族体、およびそのヒドロキシルもしくはアミノ含有誘導体、ならびに1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、最大8個の炭素原子を有するその高級同族体、およびそのヒドロキシルもしくはアミノ含有誘導体、
iv)アミノホスホン酸、例えば、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、またはニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、
v)ホスホノポリカルボン酸、例えば、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、および
vi)シクロデキストリン。
【0120】
本発明によって処理溶液に要求されるアルカリ性pH値で、錯化剤は、少なくとも部分的に陰イオンの形態で存在する。それらを酸の形態で導入するか、塩の形態で導入するかは重要ではない。塩として使用する場合、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、またはアルキルアンモニウム塩、特にナトリウム塩が好ましい。
【0121】
酵素
洗浄もしくは清浄性能を向上させるために、本発明の組成物は酵素を含んでもよく、従来技術においてこれらの目的で確立された全ての酵素の使用が原則として可能である。これらには、特にプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、またはオキシドレダクターゼ、および好ましくはそれらの混合物からなる群から選択される酵素が含まれる。これらの酵素は、原則として天然由来である。天然分子から出発し、改善された変異体が洗浄および清浄用組成物に利用可能であり、したがって好ましく使用される。本発明の組成物は、好ましくは、活性タンパク質に対して、総量1×10-6〜5質量%の酵素を含む。タンパク質濃度は、既知の方法、例えばBCA法またはビウレット法を利用して測定することができる。
【0122】
プロテアーゼの中で、スブチリシン型のものが好ましい。この例には、スブチリシンBPN’およびCarlsberg、プロテアーゼPB92、スブチリシン147および309、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)アルカリプロテアーゼ、スブチリシンDY、およびスブチラーゼには分類できるがより狭義ではスブチリシンに分類できない酵素、サーミターゼおよびプロテイナーゼK、ならびにプロテアーゼTW3およびTW7がある。スブチリシンCarlsbergは、開発された形態で、商標名Alcalase(登録商標)としてNovozymes A/S(デンマーク国ベアスヴェド)から入手可能である。スブチリシン147および309は、それぞれ商標名Esperase(登録商標)およびSavinase(登録商標)として、Novozymesにより販売されている。BLAP(登録商標)の名称の変異体は、バチルス・レンタスDSM 5483のプロテアーゼに由来する。
【0123】
使用可能なプロテアーゼのさらなる例には、商標名Durazym(登録商標)、Relase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Nafizym、Natalase(登録商標)、Kannase(登録商標)、およびOvozymes(登録商標)としてNovozymesから入手可能な酵素、商標名Purafect(登録商標)、Purafect(登録商標)OxP、およびProperase(登録商標)としてGenencorから入手可能なもの、商標名Protosol(登録商標)としてAdvanced Biochemicals Ltd.(インド国ターネー)から入手可能なもの、商標名Wuxi(登録商標)としてWuxi Snyder Bioproducts Ltd.(中国)から入手可能なもの、商標名Proleather(登録商標)およびプロテアーゼ P(登録商標)として天野製薬株式会社(日本国名古屋)から入手可能なもの、Proteinase K−16の名称で花王株式会社(日本国東京)から入手可能なものがある。
【0124】
本発明によって使用可能なアミラーゼの例には、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・アミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)、またはバチルス・ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)由来のアミラーゼ、および洗浄および清浄用組成物における使用のために改善されたそれらの開発型がある。バチルス・リケニフォルミス酵素は、Termamyl(登録商標)の名称でNovozymesから、Purastar(登録商標)STの名称でGenencorから入手可能である。このアミラーゼの開発製品は、商標名Duramyl(登録商標)およびTermamyl(登録商標)ultraとしてNovozymesから、Purastar(登録商標)OxAmの名称でGenencorから、Keistase(登録商標)としてダイワ精工株式会社(日本国東京)から入手できる。バチルス・アミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)α−アミラーゼは、NovozymesによりBAN(登録商標)の名称で市販され、バチルス・ステアロサーモフィルスアミラーゼ由来の変異体は、BSG(登録商標)およびNovamyl(登録商標)の名称で、同様にNovozymesから市販されている。
【0125】
この目的でさらに重視すべき酵素は、Bacillus sp. A 7−7(DSM 12368)由来のα−アミラーゼ、およびバチルス・アガラドヘレンス(B. agaradherens)(DSM 9948)由来のシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase)である。また、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)およびアスペルギルス・オリザ(A.oryzae)由来のアミラーゼの開発型も適しているが、これらは商標名Fungamyl(登録商標)としてNovozymesから入手可能である。別の市販品は、例えばAmylase−LT(登録商標)である。
【0126】
本発明の組成物は、リパーゼまたはクチナーゼを含んでもよく、その理由は特にそれらのトリグリセリド切断活性であるが、適切な前駆体からその場で過酸を発生させるためでもある。これらの例には、本来フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)(サーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus))から得られるリパーゼ、または開発されたもの、特にD96Lアミノ酸置換のリパーゼが含まれる。これらは、例えば、商標名Lipolase(登録商標)、Lipolase(登録商標)Ultra、LipoPrime(登録商標)、Lipozyme(登録商標)、およびLipex(登録商標)として、Novozymesにより市販されている。さらに、例えば、本来フザリウム・ソラニ・ピシ(Fusarium solani pisi)およびフミコラ・インソレンス(Humicola insolens)から単離されたクチナーゼを使用することも可能である。同様に有用なリパーゼは、Lipase CE(登録商標)、Lipase P(登録商標)、Lipase B(登録商標)、Lipase CES(登録商標)、Lipase AKG(登録商標)、Bacillis sp. Lipase(登録商標)、Lipase AP(登録商標)、Lipase M−AP(登録商標)、およびLipase AML(登録商標)の称号で天野社から入手可能である。Genencorの使用できるリパーゼおよびクチナーゼの例は、その出発酵素が本来シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)およびフザリウム・ソラニイ(Fusarium solanii)から単離されたものである。その他の重要な市販品には、本来はGist−Brocadesにより販売されている、M1 Lipase(登録商標)およびLipomax(登録商標)製剤、およびLipase MY−30(登録商標)、Lipase OF(登録商標)、およびLipase PL(登録商標)の名称で名糖産業株式会社(日本)により販売されている酵素、ならびにGenencor社の製品Lumafast(登録商標)が含まれる。
【0127】
本発明の組成物は、「ヘミセルラーゼ」という用語に包含されるさらなる酵素を含んでもよい。これには、例えば、マンナナーゼ、キサンタンリアーゼ、ペクチンリアーゼ(=ペクチナーゼ)、ペクチンエステラーゼ、ペクチン酸リアーゼ、キシログルカナーゼ(=キシラナーゼ)、プルラナーゼ、およびβ−グルカナーゼが含まれる。適切なマンナナーゼは、例えば、Gamanase(登録商標)およびPektinex AR(登録商標)の名称でNovozymesから、Rohapec(登録商標)B1Lの名称でAB Enzymesから、またPyrolase(登録商標)の名称でDiversa Corp.(米国カリフォルニア州サンディエゴ)から入手可能である。バチルス・スブチリス(B.subtilis)から得たβ−グルカナーゼは、Cereflo(登録商標)の名称でNovozymesから入手可能である。
【0128】
漂白作用を向上させるために、本発明の食器洗浄器用洗剤は、オキシドレダクターゼ、例えばオキシダーゼ、オキシゲナーゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、例えばハロペルオキシダーゼ、クロロペルオキシダーゼ、ブロモペルオキシダーゼ、リグニンペルオキシダーゼ、グルコースペルオキシダーゼ、またはマンガンペルオキシダーゼ、ジオキシゲナーゼ、あるいはラッカーゼ(フェノールオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ)を含むことができる。適切な市販品には、NovozymesのDenilite(登録商標)1および2が含まれる。有利には、酵素と相互作用する好ましくは有機の、より好ましくは芳香族の化合物をさらに加えて、関連するオキシドレダクターゼの活性を向上させるか(エンハンサー)、あるいは酸化性酵素と汚れとの酸化還元電位が大きく異なる場合に電子束を確保する(メディエーター)。
【0129】
本発明の組成物に使用する酵素は、微生物、例えばバチルス(Bacillus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、フミコラ(Humicola)属、またはシュードモナス(Pseudomonas)属の微生物に本来由来し、および/または自体公知のバイオテクノロジー方法で、適切な微生物、例えばバチルス属または糸状菌のトランスジェニック発現宿主によって生成される。
【0130】
該酵素は、好ましくは、それ自体確立されている方法によって、例えば、沈殿、沈降、濃縮、液相の濾過、精密濾過、限外濾過、化学物質の作用、脱臭、またはこれらのステップの適切な組み合わせによって精製する。
【0131】
酵素は、従来技術において確立されたいかなる形態で本発明の組成物に加えてもよい。これには、例えば、造粒、押し出し、または凍結乾燥によって得られる固体製造物、あるいは特に液体またはゲル形態の組成物の場合には、有利には高度に濃縮され、低含水であり、および/または安定剤と混合された酵素の溶液が含まれる。あるいは、酵素は、例えば酵素溶液を好ましくは天然ポリマーとともに噴霧乾燥または押し出しによって、固体または液体のいずれかの適用形態用に封入してよい、またはカプセル形態、例えば酵素が固化したゲル中に包まれたもの、または酵素含有コアが水、空気、および/または化学物質不透過性の保護層で覆われたコアシェル型のものでよい。そこに適用された層に、さらなる活性成分、例えば安定剤、乳化剤、顔料、漂白剤、または色素を付加的に適用することも可能である。かかるカプセルは、自体公知の方法によって、例えば攪拌造粒またはロール造粒によって、あるいは流動層方法で適用される。有利には、かかる顆粒は、例えばポリマー膜形成剤の適用の結果として、コーティングのため低発塵であり、保存安定性を有する。
【0132】
また、2種以上の酵素を一緒に配合して、単一の顆粒が複数の酵素活性を有するようにすることも可能である。本発明の組成物中に存在するタンパク質および/または酵素は、特に保存時に、例えば物理的影響、酸化、またはタンパク質切断による損傷、例えば不活化、変性、または崩壊から保護することができる。タンパク質および/または酵素が微生物から得られた場合、特に組成物がプロテアーゼも含む場合に、タンパク質分解を阻害することが特に好ましい。この目的で、本発明の組成物は安定剤も含んでよく、かかる組成物の提供は、本発明の好適な実施形態を構成する。
【0133】
漂白剤
漂白剤として機能し、水中にH22を供給する化合物の中で、過ホウ酸ナトリウム四水和物および過ホウ酸ナトリウム一水和物は特に重要である。使用できるさらなる漂白剤は、例えば、過炭酸ナトリウム、ペルオキシピロリン酸塩、クエン酸過水和物、およびH22供給性過酸塩もしくは過酸、例えば過安息香酸塩、ペルオキソフタル酸塩、二過アゼライン酸、フタロイミノ過酸、または二過ドデカン二酸である。また本発明の洗剤は、有機漂白剤群からの漂白剤を含んでもよい。典型的な有機漂白剤は、過酸化ジアシル、例えば過酸化ジベンゾイルである。さらなる典型的な有機漂白剤はペルオキシ酸であり、とりわけ例えばアルキルペルオキシ酸およびアリールペルオキシ酸である。好適な代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸およびその環置換誘導体(例えばアルキルペルオキシ安息香酸であるが、ペルオキシ−α−ナフトエ酸および一過フタル酸マグネシウムを使用することも可能)、(b)脂肪族もしくは置換脂肪族ペルオキシ酸、例えば、ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε−フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタルイミドペルオキシヘキサン酸(PAP)]、o−カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N−ノネニルアミドペルアジピン酸、およびN−ノネニルアミドペルコハク酸塩、ならびに(c)脂肪族および芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば1,12−ジペルオキシカルボン酸、1,9−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2−デシルジペルオキシブタン−1,4−二酸、およびN,N−テレフタロイルジ(6−アミノペルカプロン酸)である。
【0134】
本発明の機械食器洗浄用洗剤に使用する漂白剤は、塩素または臭素を放出する物質でもよい。適切な塩素もしくは臭素放出性物質の中で、有用な例には、複素環式のN−ブロモアミドおよびN−クロロアミド、例えばトリクロロイソシアヌル酸、トリブロモイソシアヌル酸、ジブロモイソシアヌル酸、および/またはジクロロイソシアヌル酸(DICA)、および/またはカリウムおよびナトリウムなどの陽イオンを有するそれらの塩がある。ヒダントイン化合物、例えば1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイも同様に適している。
【0135】
漂白活性剤
漂白剤の作用を促進する漂白活性剤も同様に本発明の組成物中に存在してもよい。既知の漂白活性剤は、1つ以上のN−もしくはO−アシル基を含む化合物、例えば無水物、エステル、イミド、およびアシル化イミダゾールもしくはオキシムの群からの物質である。例には、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、テトラアセチルメチレンジアミン(TAMD)、およびテトラアセチルヘキシレンジアミン(TAHD)、ならびにペンタアセチルグルコース(PAG)、1,5−ジアセチル−2,2−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DADHT)、およびイサト酸無水物(ISA)がある。
【0136】
使用する漂白活性剤は、過加水分解条件下で、好ましくは1〜10個の炭素原子、とりわけ2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキソカルボン酸、および/または場合によっては置換された過安息香酸を生じる化合物でもよい。適切な物質は、特定した数の炭素原子を有するO−アシル基および/またはN−アシル基、および/または場合によっては置換されたベンゾイル基を担持している。好ましいものは、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5−ジアセチル−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N−アシルイミド、特にN−ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホン酸塩、特にn−ノナノイル−もしくはイソノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩(n−もしくはイソ−NOBS)、カルボン酸無水物、特にフタル酸無水物、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、エチレングリコールジアセテート、2,5−ジアセトキシ−2,5−ジヒドロフラン、n−メチルモルホリニウムアセトニトリルメチル硫酸塩(MMA)、およびエノールエステル、またアセチル化ソルビトールおよびマンニトールまたはそれらの混合物(SORMAN)、アシル化糖誘導体、特にペンタアセチルグルコース(PAG)、ペンタアセチルフルクトース、テトラアセチルキシロース、およびオクタアセチルラクトース、ならびにアセチル化場合によってはN−アルキル化グルカミンおよびグルコノラクトン、および/またはN−アシル化ラクタム、例えばN−ベンゾイルカプロラクタムである。また、親水性置換アシルアセタールおよびアシルラクタムも同様に好ましく使用される。従来の漂白活性剤の組み合わせも使用できる。
【0137】
従来の漂白活性剤に加え、またはそれらの代わりに、いわゆる漂白触媒を洗浄助剤粒子に組み込むことも可能である。このような物質は、漂白促進性遷移金属塩もしくは遷移金属錯体、例えばマンガン、鉄、コバルト、ルテニウム、またはモリブデンのサレン錯体またはカルボニル錯体である。また、マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム、モリブデン、チタニウム、バナジウム、および銅の窒素含有三脚型配位子との錯体、ならびにコバルト−、鉄−、銅−、およびルテニウム−アンミン錯体を漂白触媒として使用することも可能である。
【0138】
ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、N−アシルイミド、特にN−ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホン酸塩、特にn−ノナノイル−もしくはイソノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩(n−もしくはイソ−NOBS)、n−メチルモルホリニウムアセトニトリルメチル硫酸塩(MMA)の群からの漂白活性剤の使用が好ましい。
【0139】
色素および芳香剤
色素および芳香剤は、得られる製品の美的印象を向上させ、また消費者に性能に加え、視覚的および感覚的に「典型的かつ明白」な製品を提供する目的で、本発明の食器洗浄機用洗剤に加えることができる。使用する香油および/または芳香剤は、個々の着臭化合物、例えばエステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、および炭化水素系の合成生成物でよい。エステル系の着臭化合物は、例えば、酢酸ベンジル、フェノキシエチルイソブチレート、酢酸p−tert−ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシネート、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸スチラリル、およびサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えば、ベンジルエチルエーテルが含まれ;アルデヒドには、例えば、8〜18個の炭素原子を有する線状アルカナール、シトラール、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアール、およびブルゲオナールが含まれ;ケトンには、例えば、イオノン、イソメチルイオノン、およびメチルセドリルケトンが含まれ;アルコールには、例えば、アネトール、シトロネロール、ユージノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、およびテルピネオールが含まれ;炭化水素には、主にテルペン、例えばリモネンおよびピネンが含まれる。しかしながら、一緒になって心地よい芳香性を生じる様々な着臭剤の混合物を使用することが好ましい。かかる香油は、植物源から得ることができるような天然着臭混合物、例えば松根油、かんきつ油、ジャスミン油、パチョリ油、バラ油、またはイランイラン油も含みうる。同様に、マスカテル、セージ油、カモミール油、丁子油、バーム油、ハッカ油、桂皮油、ライム花油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム油、およびラブダナム油、ならびにオレンジ花油、橙花油、橙皮油、および白檀油も適している。
【0140】
芳香剤は本発明の洗剤中に直接組み込んでもよいが、芳香の放出を遅くすることによって芳香を長持ちさせる担体に芳香剤を付与することも有利であろう。有用なかかる担体材料は、例えば、シクロデキストリンであることがわかっており、またシクロデキストリン−香料複合体をさらなる補助剤でさらに覆ってもよい。
【0141】
本発明の組成物の美的印象を向上させる目的で、組成物(またはその一部)を適切な色素で着色することができる。好適な色素は、高い保存安定性を有し、組成物のほかの原料および光に対して反応せず、また組成物で処理すべき基板、例えばガラス、セラミック、またはプラスチック食器類に対して顕著な持続性を有ないためそれらを染色しない。
【0142】
腐食抑制剤
食器類または機械を保護するために、本発明の洗剤は腐食抑制剤を含んでもよく、特に銀防食剤は機械食器洗浄の分野において特に重要である。従来技術から既知の物質を使用することが可能である。一般的に、特に、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ビスベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アルキルアミノトリアゾール、および遷移金属塩もしくは遷移金属錯体の群から選択される銀防食剤を使用することができる。ベンゾトリアゾールおよび/またはアルキルアミノトリアゾールの使用が特に好ましい。洗剤配合物中にしばしば認められるものには、銀表面の腐食を著しく低減しうる活性塩素含有剤もある。塩素を含まない清浄剤には、特に酸素含有および窒素含有の有機酸化還元活性化合物、例えば二価および三価フェノール、例えばヒドロキノン、ピロカテコール、ヒドロキシヒドロキノン、没食子酸、フロログルシノール、ピロガロール、およびこれらの化合物群の誘導体が使用される。塩および錯体型無機化合物、例えば、金属マンガン、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、コバルト、およびセリウムの塩もしばしば有用である。これに関連して、マンガンおよび/またはコバルトの塩および/または錯体、より好ましくはコバルト(−アンミン)錯体、コバルト(−酢酸塩)錯体、コバルト(−カルボニル)錯体、コバルトもしくはマンガンの塩化物、および硫酸マンガンの群から選択される遷移金属塩が好ましい。同様に、亜鉛化合物も食器類の腐食を防止するために使用できる。
【0143】
食器洗浄機の清浄および/または洗浄作業の過程においてガラス器の腐食防止を提供しうる好適な剤は、亜鉛、アルミニウム、シリコン、スズ、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、チタニウム、ジルコニウム、マンガン、および/またはランタンの化合物の群に由来する。上記化合物の中で、特に酸化物はとりわけ好適である。
【0144】
食器洗浄機の清浄および/または洗浄作業においてガラス器の腐食防止を提供する好適な剤は、酸化形態の亜鉛、すなわち亜鉛が陽イオンの形態で存在する亜鉛化合物である。同じように、マグネシウム塩も好ましい。ここで可溶性、難溶性、あるいは不溶性のいずれの亜鉛もしくはマグネシウム化合物を本発明の組成物に組むこともできる。好適な本発明の組成物は、少なくとも1つのモノマーおよび/またはポリマーの有機酸の1つ以上のマグネシウム塩および/または亜鉛塩を含む。該酸は、好ましくは、非分岐の飽和もしくは不飽和モノカルボン酸、分岐の飽和もしくは不飽和モノカルボン酸、飽和および不飽和ジカルボン酸、芳香族のモノカルボン酸、ジカルボン酸、およびトリカルボン酸、糖酸、ヒドロキシ酸、オキソ酸、アミノ酸、および/またはポリマーカルボン酸、少なくとも8個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐の不飽和もしくは飽和モノもしくはポリポリヒドロキシル化脂肪酸、および/または樹脂酸の群のものである。
【0145】
モノマーおよび/またはポリマー有機酸の全てのマグネシウムおよび/または亜鉛塩は、本発明によるポリマーマトリックス中に存在してもよいが、上述のように、非分岐の飽和もしくは不飽和モノカルボン酸、分岐の飽和もしくは不飽和モノカルボン酸、飽和および不飽和ジカルボン酸、芳香族のモノカルボン酸、ジカルボン酸、およびトリカルボン酸、糖酸、ヒドロキシ酸、オキソ酸、アミノ酸、および/またはポリマーカルボン酸の群からのモノマーおよび/またはポリマー有機酸のマグネシウム塩および/または亜鉛塩が好ましい。本発明に関連して、これらの群の中ではさらに以下に明記する酸が好ましい。
【0146】
非分岐の飽和もしくは不飽和モノカルボン酸の群からは、メタン酸(ギ酸)、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸(アラキン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、トリアコンタン酸(メリシン酸)、9c−ヘキサデセン酸(パルミトレイン酸)、6c−オクタデセン酸(ペトロセリン酸)、6t−オクタデセン酸(ペトロセライジン酸)、9c−オクタデセン酸(オレイン酸)、9t−オクタデセン酸(エライジン酸)、9c,12c−オクタデカジエン酸(リノール酸)、9t,12t−オクタデカジエン酸(リノライジン酸)、および9c,12c,15c−オクタデカトリエン酸(リノレン酸)が好ましい。
【0147】
分岐の飽和もしくは不飽和モノカルボン酸の群からは、2−メチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、2−プロピルヘプタン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ペンチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、2−オクチルドデカン酸、2−ノニルトリデカン酸、2−デシルテトラデカン酸、2−ウンデシルペンタデカン酸、2−ドデシルヘキサデカン酸、2−トリデシルヘプタデカン酸、2−テトラデシルオクタデカン酸、2−ペンタデシルノナデカン酸、2−ヘキサデシルエイコサン酸、2−ヘプタデシルヘンエイコサン酸が好ましい。
【0148】
非分岐の飽和もしくは不飽和ジカルボン酸またはトリカルボン酸の群からは、プロパン二酸(マロン酸)、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、2c−ブテン二酸(マレイン酸)、2t−ブテン二酸(フマル酸)、2−ブチンジカルボン酸(アセチレンジカルボン酸)が好ましい。
【0149】
芳香族のモノカルボン酸、ジカルボン酸、およびトリカルボン酸の群からは、安息香酸、2−カルボキシ安息香酸(フタル酸)、3−カルボキシ安息香酸(イソフタル酸)、4−カルボキシ安息香酸(テレフタル酸)、3,4−ジカルボキシ安息香酸(トリメリット酸)、3,5−ジカルボキシ安息香酸(トリメシン酸)が好ましい。
【0150】
糖酸の群からは、ガラクトン酸、マンノン酸、フルクトン酸、アラビノン酸、キシロン酸、リボン酸、2−デオキシリボン酸、アルギン酸が好ましい。
【0151】
ヒドロキシ酸の群からは、ヒドロキシフェニル酢酸(マンデル酸)、2−ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)、ヒドロキシコハク酸(リンゴ酸)、2,3−ジヒドロキシブタニン二酸(酒石酸)、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸(クエン酸)、アスコルビン酸、2−ヒドロキシ安息香酸(サリチル酸)、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸(没食子酸)が好ましい。
【0152】
オキソ酸の群からは、2−オキソプロピオン酸(ピルビン酸)、4−オキソペンタン酸(レブリン酸)が好ましい。
【0153】
アミノ酸の群からは、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン、グリシン、セリン、チロシン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジンが好ましい。
【0154】
ポリマーカルボン酸の群からは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アルキルアクリルアミド/アクリル酸コポリマー、アルキルアクリルアミド/メタクリル酸コポリマー、アルキルアクリルアミド/メチルメタクリル酸コポリマー、不飽和カルボン酸のコポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニルコポリマーが好ましい。
【0155】
本発明により好適な、有機酸、好ましくは有機カルボン酸の亜鉛塩の範囲は、水難溶性または不溶性、すなわち溶解性が100mg/lを下回る、好ましくは10mg/lを下回る、とりわけ溶解性がゼロである塩から、水への溶解性が100mg/lを上回る、好ましくは500mg/lを上回る、より好ましくは1g/lを上回る、とりわけ5g/lを上回る塩までである(全ての溶解性は、温度20℃の水におけるものである)。最初の群の亜鉛塩には、例えば、クエン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、およびステアリン酸亜鉛が含まれ、可溶性亜鉛塩群には、例えば、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、およびグルコン酸亜鉛が含まれる。
【0156】
本発明のさらなる好適な実施形態において、本発明による組成物は有機酸の少なくとも1つの亜鉛塩を含むがマグネシウム塩は含まず、好ましくは有機カルボン酸の少なくとも1つの亜鉛塩、より好ましくはステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、および/またはクエン酸亜鉛の群からの亜鉛塩を含む。また、リシノール酸亜鉛、アビエチン酸亜鉛、およびシュウ酸亜鉛の使用も好ましい。要約すると、好適な食器洗浄機用洗剤は、追加的に、少なくとも1つのモノマーおよび/またはポリマー有機酸の1つ以上のマグネシウム塩および/または亜鉛塩、および/またはマグネシウム錯体および/または亜鉛錯体、好ましくは1つ以上のマグネシウム塩および/または亜鉛塩を含む。
【0157】
本発明の機械食器洗浄用洗剤は、従来技術から既知の全ての供給形態で、例えば粉末もしくは顆粒の洗剤として、押し出し加工品、ペレット、フレーク、または錠剤として、好ましくは錠剤として提供することができる。
【0158】
あらかじめ配分した組成物を提供するさらなる手段は、水溶性の容器内に詰めることである。本発明の組成物は、水溶性の包装材、例えばフィルムパウチ、熱成形品、射出成形品、ボトルブロー成形品などに包装することができる。好適な本発明の食器洗浄機用洗剤は、水溶性の外皮に配分して包装される。外皮は、好ましくは、アクリル酸含有ポリマー、ポリアクリルアミド、オキサゾリンポリマー、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリウレタン、ポリエステル、およびポリエーテル、ならびにそれらの混合物の群からの1つ以上の材料を含み、また好ましくは、壁強度10〜5000μm、好ましくは20〜3000μm、より好ましくは25〜2000μm、特に100〜1500μmを有する。
【0159】
特に好適な食器洗浄機用洗剤において、水溶性の外皮は、水溶性フィルムのパウチ、および/または射出成形品、および/またはボトルブロー成形品、および/または熱成形品を含む。外皮は、好ましくは1つ以上の水溶性ポリマー、好ましくは(場合によってはアセタール化された)ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ゼラチン、セルロース、ならびにそれらの誘導体およびそれらの混合物の群からの材料、より好ましくは(場合によってはアセタール化された)ポリビニルアルコール(PVAL)を含む。
【0160】
前記ポリビニルアルコールは、広く市販されているが、例えばMowiolの商標名(Clariant社)で販売されている。
【0161】
また、本発明に関連して、その包装材が少なくとも部分的に、デンプンおよびデンプン誘導体、セルロースおよびセルロース誘導体、特にメチルセルロース、ならびにそれらの混合物の群からの少なくとも1つのポリマーから構成される水溶性のフィルムからなる本発明の組成物も好ましい。
【0162】
本発明の配分された洗剤、好ましくは透明パウチに包装されたものは、さらなる構成要素として安定剤を含んでもよい。本発明に関連して、安定剤は、水溶性の透明パウチ内の洗剤構成要素を入射光による分解または失活から保護する材料である。特に適切な安定剤は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、および蛍光色素であることがわかっている。
【0163】
本発明に関連して特に適切な安定剤は、酸化防止剤である。入射光に起因する配合物の望ましくない変化、つまりはフリーラジカル分解を防止するために、配合物は酸化防止剤を含んでもよい。
【0164】
使用する酸化防止剤は、例えば、立体障害基で置換された、フェノール、ビスフェノール、およびチオビスフェノールであってよい。さらなる例には、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、t−ブチルヒドロキノン(TBHQ)、トコフェロール、および没食子酸の長鎖(C8〜C22)エステル、例えば没食子酸ドデシルがある。その他の物質群は、芳香族アミン、好ましくは二級芳香族アミンおよび置換p−フェニレンジアミン、三価リンを有するリン化合物、例えばホスフィン、亜リン酸塩、およびホスホナイト、クエン酸およびクエン酸誘導体、例えばクエン酸イソプロピル、レダクトンとして知られるエンジオール基を含む化合物、例えばアスコルビン酸およびその誘導体、例えばパルミチン酸アスコルビル、有機硫黄化合物、例えば3,3’’−チオジプロピオン酸のC1〜8−アルカノール、特にC10〜18−アルカノールとのエステル、自動酸化触媒性金属イオン、例えば銅を錯化させうる金属イオン不活性化剤、例えばニトリロ三酢酸、およびそれらの誘導体および混合物である。
【0165】
好ましく使用できるさらなる安定剤群は、紫外線吸収剤群である。紫外線吸収剤は、配合物構成要素の光安定性を向上させうる。これには、紫外線を吸収し、吸収したエネルギーをより長い波長の放射線、例えば熱の形で再び放出することができる有機物質(光保護フィルター)が含まれる。このような所望の特性を有する化合物は、例えば、2位および/または4位に置換基を有するベンゾフェノンの化合物および誘導体であるが、これらは無放射失活により有効である。また、置換ベンゾトリアゾール、例えば、水溶性の3−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−(メチルプロピル)ベンゼンスルホン酸モノナトリウム(Cibafast(登録商標)H)、場合によっては2位にシアノ基を有する3−フェニル置換アクリル酸塩(桂皮酸誘導体)、サリチル酸塩、有機ニッケル錯体、および天然物質、例えばウンベリフェロンおよび内因性ウロカニン酸も適している。特に重要なものはビフェニルおよび特にスチルベン誘導体であり、Tinosorb(登録商標)FDまたはTinosorb(登録商標)FRとしてCiba社から市販されている。UV−B吸収剤には、3−ベンジリデンカンファーまたは3−ベンジリデンノルカンファーおよびそれらの誘導体、例えば3−(4−メチルベンジリデン)カンファー;4−アミノ安息香酸誘導体、好ましくは4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−オクチル、および4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミル;桂皮酸のエステル、好ましくは4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、4−メトキシ桂皮酸プロピル、4−メトキシ桂皮酸イソアミル、2−シアノ−3,3−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン);サリチル酸のエステル、好ましくはサリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸4−イソプロピルベンジル、サリチル酸ホモメンチル;ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;ベンザルマロン酸のエステル、好ましくは4−メトキシベンズマロン酸ジ−2−エチルヘキシル;トリアジン誘導体、例えば2,4,6−トリアニリノ(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジンおよびオクチルトリアゾンまたはジオクチルブタアミドトリアゾン(Uvasorb(登録商標)HEB);プロパン−1,3−ジオン、例えば1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン;ケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体が含まれる。また、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、およびそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩、およびグルカンモニウム塩;ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびその塩;3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸、および2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデン)スルホン酸、およびこれらの塩も適している。
【0166】
有用な典型的なUV−Aフィルターは、特にベンゾイルメタンの誘導体、例えば1−(4’−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789)、1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオン、およびエナミン化合物である。UV−AフィルターおよびUV−Bフィルターは、当然混合物として使用してもよい。上述の可溶性の物質に加え、不溶性の光保護顔料、具体的には微細分散し、好ましくはナノ化した金属酸化物または塩もこの目的で適している。適切な金属酸化物の例は、特に酸化亜鉛および二酸化チタンであり、さらに鉄、ジルコニウム、シリコン、マンガン、アルミニウム、およびセリウム、ならびにそれらの混合物の酸化物である。使用する塩は、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウム、またはステアリン酸亜鉛でよい。粒子は、平均直径100nm未満、好ましくは5〜50nm、特に15〜30nmを有するべきである。粒子は、球形であってもよいが、楕円形または球形状から別の形に逸れた形状の粒子を使用することもできる。顔料は、表面処理、すなわち親水性化または疎水性化してもよい。典型的な例は、コーティングされた二酸化チタン、例えば二酸化チタンT 805(Degussa社)またはEusolex(登録商標)T2000(Merck社)である。適切な疎水性コーティング組成物は、とりわけシリコンであり、特にトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコンである。微粉化した酸化亜鉛の使用が好ましい。
【0167】
好ましく使用されるさらなる安定剤群は、蛍光色素群である。これには、4,4’’−ジアミノ−2,2’’−スチルベンジスルホン酸(フラボン酸)、4,4’−ジスチリルビフェニル、メチルウンベリフェロン、クマリン、ジヒドロキノリノン、1,3−ジアリールピラゾリン、ナフタルイミド、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、およびベンズイミダゾールの系、ならびに複素環で置換したピレン誘導体が含まれる。これに関連して特に重要なものは、ジアミノスチルベン誘導体のスルホン酸塩、およびポリマー蛍光物質である。
【0168】
好適な実施形態において、前記安定剤は、任意の所望の混合物で使用する。
【0169】
充填剤
本発明の組成物の保管密度は、充填剤を加えることによって、特定の使用に適合させることができる。適切な充填剤は、ショ糖、ショ糖エステル、硫酸ナトリウム、および硫酸カリウムからなる群から選択される。好適な充填剤は、硫酸ナトリウムである。
【0170】
好適な実施形態において、本発明の食器洗浄器用洗剤は、成分(A)2〜10質量%、成分(B)0.1〜5質量%、存在するのであれば成分(C)2〜10質量%、存在するのであれば成分(D)2〜10質量%、存在するのであればポリカルボン酸塩(E)2〜10質量%、成分(F)20〜55質量%、および成分(G)1〜40質量%を含み、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、および(G)の和は100質量%になる。
【0171】
また、本発明は、表面、好ましくは硬質表面、特にカトラリー、グラス、食器類、および台所用品を、本発明の食器洗浄器用洗剤でこれらの表面を処理することによって洗浄する方法にも関する。
【0172】
処理の対象となる表面は、セラミック、せっ器、磁器、木材、プラスチック、ガラス、および金属または金属合金、例えば銀、金属、銅、青銅、および/または黄銅からなる群から選択される少なくとも1つの材料からなる。
【0173】
また、本発明は、物品の機械洗浄における洗浄性能を向上させるための本発明の食器洗浄器用洗剤の使用にも関する。
【0174】
実施例
全ての実施例は、以下の組成物の基本配合物を用いて実施する:
トリポリリン酸ナトリウム 51質量%
炭酸ナトリウム 24質量%
二ケイ酸ナトリウム 6質量%
過炭酸ナトリウム 15質量%
テトラアセチルエチレンジアミン 4質量%
【0175】
本発明の界面活性剤
実施例1:ヘキサノール+5EO
n−ヘキサノール408gをNaOH1.5gとともに、乾燥オートクレーブ(2L)に導入する。オートクレーブの内容物を150℃まで加熱し、エチレンオキシド880gを加圧下でオートクレーブに注入する。エチレンオキシドの全量がオートクレーブ内に入ってから、オートクレーブを150℃で30分間維持する。冷却後、触媒を酢酸で中和する。未変換のn−ヘキサノールを蒸留除去する。
【0176】
得られた界面活性剤は、曇り点72℃を有する(EN(欧州規格) 1890の方法Bに従って、5%塩化ナトリウム溶液中の1%溶液として測定)。濃度1g/l、温度23℃での表面張力は52.3mN/mである(DIN(ドイツ工業規格) 53914に従って測定)。残留n−ヘキサノール含有量は、0.1質量%である。
【0177】
実施例2:C13〜C15オキソアルコール+10EO+2BO
13〜C15オキソアルコール418gをNaOH1.5gとともに、乾燥オートクレーブ(2L)に導入する。オートクレーブの内容物を150℃まで加熱し、エチレンオキシド880gを加圧下でオートクレーブに注入する。エチレンオキシドの全量がオートクレーブ内に入ってから、オートクレーブを150℃で30分間維持する。続いて、ブチレンオキシド288gを加圧下でオートクレーブに注入する。ブチレンオキシドの全量がオートクレーブ内に入ってから、オートクレーブを150℃で180分間維持する。冷却後、触媒を酢酸で中和する。
【0178】
得られた界面活性剤は、曇り点33℃を有する(EN(欧州規格) 1890の方法Aに従って、1%水溶液として測定)。濃度1g/l、温度23℃での表面張力は30.3mN/mである(DIN(ドイツ工業規格) 53914に従って測定)
【0179】
実施例3:i−C10オキソアルコール+10EO+1.5PeO
i−C10オキソアルコール395gをNaOH1.8gとともに、乾燥オートクレーブ(2L)に導入する。オートクレーブの内容物を150℃まで加熱し、エチレンオキシド1100gを加圧下でオートクレーブに注入する。エチレンオキシドの全量がオートクレーブ内に入ってから、オートクレーブを150℃で30分間維持する。続いて、ペンテンオキシド322gを加圧下でオートクレーブに注入する。ペンテンオキシドの全量がオートクレーブ内に入ってから、オートクレーブを150℃で180分間維持する。冷却後、触媒を酢酸で中和する。
【0180】
得られた界面活性剤は、曇り点38℃を有する(EN(欧州規格) 1890の方法Eに従って、10%ブチルジグリコール溶液中の1%溶液として測定)。濃度1g/l、温度23℃での表面張力は30.7mN/mである(DIN(ドイツ工業規格) 53914に従って測定)。
【0181】
実施例4:C10〜C12脂肪アルコール+9EO+5PO
C10〜C12脂肪アルコール344gをNaOH1.5gとともに、乾燥オートクレーブ(2L)に導入する。オートクレーブの内容物を150℃まで加熱し、プロピレンオキシド580gを加圧下でオートクレーブに注入する。プロピレンオキシドの全量がオートクレーブ内に入ってから、オートクレーブを150℃で30分間維持する。続いて、エチレンオキシド792gを加圧下でオートクレーブに注入する。エチレンオキシドの全量がオートクレーブ内に入ってから、オートクレーブを150℃で180分間維持する。冷却後、触媒を酢酸で中和する。
【0182】
得られた界面活性剤は、曇り点70℃を有する(EN(欧州規格) 1890の方法Eに従って、10%ブチルジグリコール溶液中の1%溶液として測定)。濃度1g/l、温度23℃での表面張力は29.5mN/mである(DIN(ドイツ工業規格) 53914に従って測定)。
【0183】
実施例5:C13〜C15脂肪アルコール+4.46EO+0.86BO+メチル
13〜C15脂肪アルコール627gをNaOH2.1gとともに、乾燥オートクレーブ(2L)に導入する。オートクレーブの内容物を150℃まで加熱し、エチレンオキシド572gを加圧下でオートクレーブに注入する。エチレンオキシドの全量がオートクレーブ内に入ってから、オートクレーブを150℃で30分間維持する。続いて、ブチレンオキシド180gを加圧下でオートクレーブに注入する。ブチレンオキシドの全量がオートクレーブ内に入ってから、オートクレーブを150℃で180分間維持する。
【0184】
生成物をオートクレーブ(5L)に移し、5倍のモル量の50%NaOH水溶液と混合し、35℃まで加熱し、この温度で硫酸ジメチル490gを滴下して30分間かけて加え、混合物をこの温度で60分間攪拌する。続いて、これを40℃まで加熱することにより、未変換の硫酸ジメチルを排除する(Preussmann試験により確認)。続いて、水800mlを加え、混合物を95℃まで30分間加熱する。冷却後、有機相を水相から分離し、乾燥させて濾過する。
【0185】
得られた界面活性剤は、曇り点30℃を有する(EN(欧州規格) 1890の方法Eに従って、10%ブチルジグリコール溶液中の1%溶液として測定)。濃度1g/l、温度23℃での表面張力は30.2mN/mである(DIN(ドイツ工業規格) 53914に従って測定)。
【0186】
実施例6:2−プロピルヘプタノール+6EO+4.5PO
2−プロピルヘプタノール316gをNaOH1.5gとともに、乾燥オートクレーブ(2L)に導入する。オートクレーブの内容物を150℃まで加熱し、エチレンオキシド528gを加圧下でオートクレーブに注入する。エチレンオキシドの全量がオートクレーブ内に入ってから、オートクレーブを150℃で30分間維持する。続いて、プロピレンオキシド522gを加圧下でオートクレーブに注入する。プロピレンオキシドの全量がオートクレーブ内に入ってから、オートクレーブを150℃で180分間維持する。冷却後、触媒を酢酸で中和する。得られた界面活性剤は、曇り点44℃を有する(EN(欧州規格) 1890の方法Eに従って、10%ブチルジグリコール溶液中の1%溶液として測定)。濃度1g/l、温度23℃での表面張力は29.8mN/mである(DIN(ドイツ工業規格) 53914に従って測定)。
【0187】
実施例7
窒素供給口、還流冷却器、および計量装置を備えた反応器内で、窒素供給および攪拌を行いながら、蒸留水612gと亜リン酸2.2gとの混合物を内部温度100℃まで加熱する。次に、並行して、(1)アクリル酸123.3gと蒸留水368.5gとの混合物と、(2)ペルオキソ二硫酸ナトリウム18.4gと蒸留水164.6gとの混合物と、(3)水72.0と、メタクリル酸49.1gと、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール166.9gとの混合物(Mw=1100)と、(4)40質量%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液46gとを連続して5時間以内に加える。100℃で2時間攪拌を継続したあと、反応混合物を室温まで冷却し、50質量%の水酸化ナトリウム溶液190gを加えて、pH7.2に調整する。
【0188】
固形分25.7質量%およびK値27.2(1質量%の水溶液、25℃)を有するコポリマーの淡黄色の澄明液が得られる。
【0189】
全ての洗浄試験は、Miele G 670 食器洗浄機(55℃、エコノミープログラム)で、21°dHの合成カルシウム硬質化水を用いて実施する。別個の洗浄助剤は加えず、取り付けられた水軟化剤(イオン交換体)は、再生性の塩で再生しない。それぞれの清浄サイクルで使用する試験用食器類は、クロマーガン(Cromargan)のナイフ、黒色のプラスチック皿(材料:ASA)、グラス、およびポリエチレン製フリーザーボックスの蓋(EMSA社)とした。
【0190】
洗浄サイクル終了後、これらの食器類を検査し、点、すじ、および膜状沈殿物について1(=重度の残留物)〜5(=残留物なし)の尺度で評価する。
【0191】
実施例8:スルホ含有ポリカルボン酸塩
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(I)
1−(OCH2CHR2x(OCH2CHR3y−OR4 (I)
[式中、
1は、線状もしくは分岐C6〜C24−アルキル基であり、
2、R3は、異なりかつそれぞれ独立して、水素、線状もしくは分岐C1〜C6−アルキル基であり、
4は、水素、線状もしくは分岐C1〜C8−アルキル基であり、
x、yは、それぞれ独立して、0.5〜80の範囲の平均値であり、
前記個々のアルキレンオキシド単位は、ブロックとして、またはランダム分布で存在してよい]の少なくとも1つのアルコールアルコキシレート0.01〜20質量%と、
(B)一般式(II)
5−(OCH2CH2zOH (II)
[式中、
5は、線状もしくは分岐C4〜C8−アルキル基であり、
zは、平均値2〜10であり、残留アルコールR5−OHの含有量は、1質量%未満である]の少なくとも1つのアルコールエトキシレート0.01〜10質量%と、
(C)少なくとも1つのスルホネート含有ポリマー0〜15質量%と、
(D)少なくとも1つの親水性改質ポリカルボン酸塩0〜15質量%と、
(E)少なくとも1つのポリカルボン酸塩0〜8質量%と、
(F)少なくとも1つのリン酸塩1〜70質量%と、
(G)少なくとも1つのさらなる添加剤0.01〜60質量%と、
を含み、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、および(G)の和が100質量%である、リン酸塩含有の食器洗浄機用洗剤。
【請求項2】
成分(A)において、R1は、線状もしくは分岐C8〜C18−アルキル基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、またはプロピルであり、xおよびyは、それぞれ独立して、平均値0.5〜20を有することを特徴とする、請求項1に記載の食器洗浄機用洗剤。
【請求項3】
成分(C)が、以下のモノマー:
(I)1つ以上の弱酸50〜98質量%と、
(II)2−アクリルアミドメチル−1−プロパン−スルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリル酸3−スルホプロピル、メタクリル酸3−スルホプロピル、スルホメチルアクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド、およびそれらの水溶性塩からなる群から選択される1つ以上の不飽和スルホン酸モノマー2〜50質量%と、
(III)1つ以上のモノエチレン性不飽和C4〜C8−ジカルボン酸0〜30質量%と、
(IV)(I)、(II)、および(III)と重合可能な1つ以上のモノエチレン性不飽和モノマー0〜30質量%と、
を含み、モノマー(I)、(II)、(III)、および(IV)の全体はコポリマーの100質量%に相当するコポリマーであることを特徴とする、請求項1または2に記載の食器洗浄機用洗剤。
【請求項4】
使用する前記成分(D)が、アルキレンオキシド単位を含み、(1)アクリル酸および/またはアクリル酸の水溶性塩50〜93モル%と、(2)メタクリル酸および/またはメタクリル酸の水溶性塩5〜30モル%と、(3)式VI
2C=C(R16)−C(=O)−O−R17−[−R18−O−]s−R19 (VI)
[式中の可変部は、それぞれ以下のように定義される:
16は、水素またはメチルであり、
17は、化学結合、または非分岐もしくは分岐C1〜C6−アルキレンであり、
18は、同一または異なる非分岐もしくは分岐C2〜C4−アルキレン基であり、
19は、非分岐もしくは分岐C1〜C6−アルキルであり、
sは、3〜50である]の少なくとも1つの非イオン性モノマー2〜20モル%とから形成され、
成分(1)、(2)、および(3)は、ランダム共重合またはブロック共重合によって組み込まれていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の食器洗浄機用洗剤。
【請求項5】
前記添加剤は、ビルダー、錯化剤、酵素、漂白剤、漂白活性剤、色素および芳香剤、防錆剤、安定剤、例えば酸化防止剤または紫外線吸収剤、充填剤、さらなる界面活性剤およびポリマー、増量剤、ならびにタブレット結合剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の食器洗浄機用洗剤。
【請求項6】
成分(A)2〜10質量%と、成分(B)0.1〜5質量%と、存在するのであれば成分(C)2〜10質量%と、存在するのであれば成分(D)2〜10質量%と、存在するのであればポリカルボン酸塩(E)2〜10質量%と、成分(F)20〜55質量%と、成分(G)1〜40質量%とを含み、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、および(G)の和は100質量%になることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の食器洗浄機用洗剤。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の食器洗浄機用洗剤で表面を処理することによって、物品の硬質表面を洗浄するための方法。
【請求項8】
前記表面が、セラミック、せっ器、磁器、木材、プラスチック、ガラス、金属、および金属合金からなる群から選択される少なくとも1つの材料からなることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
物品の機械洗浄における洗浄性能を向上させるための、請求項1から6までのいずれか1項に記載の食器洗浄機用洗剤の使用。

【公表番号】特表2010−525127(P2010−525127A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504687(P2010−504687)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055002
【国際公開番号】WO2008/132131
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】