説明

優先制御装置、SIPシステム、優先制御プログラム及び優先制御方法

【課題】 SIP要求の再送判断に使用する情報の増加を抑制することを可能とする、優先制御装置を提供する。
【解決手段】 低優先と判定されたSIP要求に格納された識別子と、既に優先制御装置で受信済みであり、処理中または処理待ちのSIP要求の識別子である処理中識別子を基に、該当SIP要求がSIP再送要求かを判断する機能と、SIP応答受信時に該当SIP応答に格納された識別子を、処理中識別子から削除する機能と、低優先、かつ、SIP再送要求ではないSIP要求の識別子を処理中識別子に追加する機能を導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIP(session initiation protocol)を使用してシグナリングを行う通信網に好適に利用され、SIP要求の優先度に従い、SIPサーバへSIP要求を転送する装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VoIP(voice over IP)に見られるように、IP網を使用したリアルタイム・コミュニケーションが普及している。例えば、電話端末やパソコンなどの、リアルタイム・コミュニケーションを行う両端の端末間接続を確立する国際標準プロトコルとしてSIP(session initiation protocol)を採用する状況が多くなっている。なお、本明細書では、SIPを使用してシグナリングを行う通信網をSIPネットワークと呼ぶこととする。
【0003】
SIPネットワークの一般的な構成は、非特許文献1に記載されている。SIPネットワークは、ロケーション・サーバと、SIPサーバと、ユーザ・エージェント(UA:User agent)とから構成されている。UAについては、非特許文献1のP.76に、「SIPは、エンド・システム間のクライアント−サーバ・モデルに基づいています。このエンド・システムに相当するのが、ユーザ・エージェント(UA:User Agent)です。ユーザ・エージェントとは、具体的には電話機やパソコンなどのエンド・システムのことですが、これらのエンド・システム間でリクエスト(要求)とレスポンス(応答)をやり取りすることによって、サービスを実現します」と説明されている。本明細書では、上記説明文記載のリクエストをSIP要求、レスポンスをSIP応答と呼ぶこととする。
【0004】
SIPサーバは、非特許文献1のP.77に記載されているように、(1)SIP要求やSIP応答を中継するプロキシー・サーバ機能と、(2)SIP要求の宛先の問合せに利用するリダイレクト・サーバ機能と、(3)SIPネットワーク上のUA情報の登録を受け付ける登録サーバ機能とを有する。ここで、UA情報とは、例えば、UAにアクセスするための識別子であるURI(uniform resource identifier)やUAが使用するIPアドレスである。
【0005】
一般的なSIPネットワークにおいて、UA間で通信する場合の動作シーケンスを図23に示す。
【0006】
まず、UAがSIPサーバに対してINVITEリクエストを送信する。本明細書では、このUAが最初にSIPサーバに送信するINVITEリクエストをinitial INVITEリクエストと呼ぶ。UAからのinitial INVITEリクエストを受信したSIPサーバは、ダイジェスト認証で使用するnonceを算出し、そのnonce値をSIP応答(407 proxy authentication required)に付加してUAに返信する。
【0007】
UAでは、受信したnonceを鍵にシークレット(ユーザ識別子とパスワード)をハッシュする。この結果をINVITEリクエストのAuthorizationヘッダに格納し、SIPサーバに転送する。本明細書では、このAuthorizationヘッダを付加したINVITEリクエストを認証INVITEリクエストと呼ぶ。
【0008】
認証INVITEリクエストを受信したSIPサーバは、UA(発呼側)の認証処理を行う。具体的には、(1) UA(発呼側)と同様、自身が生成したnonce値を使用して、UAのユーザ識別子とパスワードをハッシュする、(2) UAからの認証INVITEリクエストに格納されたAuthorizationヘッダ値と比較し、同一の場合には、正当なUAからの認証INVITEリクエストであると判断する。この認証処理の結果、正当なUAからの認証INVITEリクエストと判断した場合は、認証INVITEリクエストをToフィールドで指定された着呼側のUA(図23でのUA(着呼側))へ転送する。
【0009】
その後、UA(着呼側)では、認証INVITEリクエスト受信後、その認証INVITEリクエストの処理を継続中であることを示す暫定応答(図23での100 tryingと180 Ringing)をSIPサーバに返し、通話者を呼び出す。通話者が応答した場合に、UA(着呼側)はSIPサーバに、認証INVITEリクエストの処理が完了した旨を示すSIP応答(200 OK)を返す。UA(発呼側)は、認証INVITEリクエストの最終応答であるSIP応答(200 OK)を受信した旨をUA(着呼側)に伝達するためにACKリクエストを発信する。
【0010】
これにより、UA(発呼側)とUA(着呼側)での通話のためのセッションが確立される。通話終了時には、通話終了を希望するUA(図23ではUA(発呼側))から、セッションを終了するBYEリクエストが発行される。SIPサーバ経由でBYEリクエストを受信したUA(着呼側)では、BYEリクエスト処理後、SIP応答(200 OK)を返答することで、セッションの終了処理が完了したことを伝達する。この結果、UA(発呼側)とUA(着呼側)の通話が終了する。
【0011】
上記UAからの発呼時の動作に加えて、UA情報の更新も一般的なSIPネットワークにおいて頻繁に発生する。このUA情報の更新処理を図24に示す。
【0012】
まず、UAがSIPサーバに対してREGISTERリクエストを送信する。本明細書では、このUAが最初にSIPサーバに送信するREGISTERリクエストをinitial REGISTERリクエストと呼ぶ。UAからのinitial REGISTERリクエストを受信したSIPサーバは、図23と同様に、ダイジェスト認証で使用するnonceを算出し、そのnonce値をSIP応答(401 Unauthorized)に付加してUAに返信する。UAでは、受信したnonceを鍵にシークレット(ユーザ識別子とパスワード)をハッシュする。この結果をREGISTERリクエストのAuthorizationヘッダに格納し、SIPサーバに転送する。本明細書では、このAuthorizationヘッダを付加したREGISTERリクエストを認証REGISTERリクエストと呼ぶ。
【0013】
認証REGISTERリクエストを受信したSIPサーバは、図23と同様の認証処理を行い、正当なUAからの認証REGISTERリクエストと判断した場合は、UA情報を更新し、更新結果をSIP応答(図24では200 OK)としてUAに転送する。なお、このUA情報の更新は、一般的に、UAの生存確認を兼ねているため、定期的に実行される。
【0014】
この図23及び図24に示した、initial INVITEリクエストやinitial REGISTERリクエストなどのSIP要求からSIP応答(200 OK)までのやり取りを行う通信は、一般的に「SIPトランザクション」と呼ばれる。
【0015】
このような処理を行うSIPサーバが、膨大なSIP要求の一斉到着により輻輳状態に陥った場合、1)該当SIPサーバがUA情報を管理するUAへの着信が不可能となる、2)該当SIPサーバが管理するUAに電話が繋がりにくい状態が発生する、という問題が発生する。問題(1)は、UAからのUA情報の更新処理が実行されないことで、UA情報の有効期限切れが発生し、このUA情報の有効期限切れが発生したUAを、SIPサーバが、着信準備が出来ていないと認識するためである。また、問題(2)は、UA情報の有効期限切れが発生していない状況でも、他SIPサーバから転送されるINVITEリクエストが、該当SIPサーバでの高負荷により処理できないためである。
【0016】
このようなSIPサーバの輻輳を防止するために、SIPサーバとUAとの間に優先制御装置を配置した上で、例えば、UA情報の更新処理のSIP要求(initial/認証REGISTERリクエスト)や既設セッションを制御するSIP要求(ACKリクエストやBYEリクエスト)を高優先、UAからのinitial INVITEリクエストを低優先などと、UAから送信されるSIP要求に優先度を設定し、SIPサーバの単位時間当たりに処理可能なSIP要求数を超えないように、優先制御装置が、高優先のSIP要求から順番にSIPサーバへ転送する方式が考えられる。
【0017】
このような特徴を有する一般的な優先制御方式は、特許文献1に開示されている。なお、特許文献1記載の従来技術は、パケットに対する優先制御方式を開示しているが、パケットをSIP要求と読み替えることで、本発明で問題としているSIPサーバの輻輳防止にも適用可能と考えられる。
【0018】
図25に、特許文献1記載の従来技術のブロック図を示す。この図に示すように、特許文献1記載の従来技術では、パケット中継処理機構とパケット送信機構にパケットを渡す際に、優先度制御機構が、パケットの優先度を考慮し、挿入するキューを変更している。このように2箇所に優先度制御機構を導入することで、パケットの中継処理時及び送信時に高優先のパケットを率先して処理することが可能となる。更に、特許文献1記載の従来技術では、高優先度のパケットが占有的に処理されることにより、低優先度のパケットがいつまでも処理されないという課題も解決している。具体的には、チェックカウンタを管理し、チェックカウンタが、ある閾値(特許文献1では100)を越えた場合には、処理していた優先度以下のキューに存在するパケットを、一つずつ(最低優先度まで)処理し、最低優先度のキューへの処理が終了した後初めてチェックカウンタの値をクリアしている。
【0019】
特許文献1記載の優先制御方式の他に、SIPサーバの輻輳を防止する手段としては、SIPサーバの処理遅延により引き起こされる、UAから再発行されたSIP要求をSIPサーバの手前で破棄する方式も考えられる。本発明では、このUAから再発行されるSIP要求をSIP再送要求と呼ぶ。
このように、UAとSIPサーバとの間に配置し、UAから再発行されるSIP再送要求を遮断する、一般的な中継装置は特許文献2にて開示されている。なお、特許文献2記載の従来技術では、TCP(transmission control protocol)/IP(internet protocol)通信でのパケットを対象としているが、このパケットをSIP要求と読み替えることで、本発明で問題としているSIPサーバの輻輳防止にも適用可能と考えられる。
【0020】
図26に、特許文献2記載の従来技術の概略を示す。この図に示すように、特許文献2記載の従来技術では、受信側から送信されてくるACK・SACKパケットを検出し、そのパケットに記載されている受信完了パケットの識別番号を輻輳制御ネットワーク中継装置内に一時保存しておく。この状態で、送信側から送信されたパケットに記載されている識別番号を調査し、一時保存してある識別番号と比較する。この結果、既に受信側で受信済みと判定できる場合には、再送パケットとして破棄する。この方式により、送信側から受信側へ余分な再送パケットを転送し、受信側の輻輳が増長されることを防止している。
【0021】
更に、UAとSIPサーバとの間に配置し、UAから再発行されるSIP再送要求を遮断する、一般的な中継装置は特許文献3にも開示されている。なお、特許文献3記載の従来技術は、一般的なネットワーク階層モデルのレイヤー2で取り扱われるフレームを中継するフレーム中継装置において、特に、ループ状伝送路で発生するフレームの無限ループ転送を回避する方式を対象としているが、フレームをSIP要求とし、ループ転送されたフレームをSIP再送要求と読み替えることで、本発明で問題としているSIPサーバの輻輳防止にも適用可能と考えられる。
【0022】
図27に、特許文献3記載の従来技術における原理説明図を示す。この図に示すように、特許文献3記載の従来技術では、ループを検出するために、受信したフレームを示す情報(ループ検出テーブル 図27(C))を保持し、ループ検出テーブルに格納された情報を保持するフレームを再度受信した場合には、ループが発生していると判断し、破棄される。また、ループ検出テーブル格納情報と完全に一致しない場合(送信元IPアドレスが同一でも、受信したフレームIDと登録されているフレームIDが異なる場合)にも、所定の条件式を満足するかを検査することで、ループ発生を判断している。なお、このループ検出テーブルは、フレーム受信時に検索された時点でエントリが存在しない場合には、新規エントリが追加され、エントリが存在する場合でもフレーム送信前にフレームIDとフラグメントオフセットが更新される。
【特許文献1】特許第3296001号
【特許文献2】特開2006−287331号公報
【特許文献3】特開2001−197114号公報
【非特許文献1】「改訂版 SIP教科書」P.78の図3−2「ユーザ・エージェントとSIPサーバの関係」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
特許文献1記載の従来技術における課題(第1の課題)は、SIPサーバが単位時間あたりに処理可能なSIPトランザクション数を抑制してしまうことである。これは、低優先のキューに、SIP要求とSIP再送要求の区別を行わないで、全て挿入するためである。SIPプロトコルでは、一般的に、initial INVITEリクエストの場合、0.5秒、1秒、2秒、4秒、8秒、16秒の合計6回SIP再送要求がUAから発行される。そのため、SIPサーバの単位時間当たりに処理可能なSIP要求数を超えないように、優先制御装置からSIPサーバへSIP要求を転送した結果、例えば、低優先キューにinitial INVITEリクエストが2秒間滞留してしまうと、UAから3個のinitial INVITEリクエストが再発行される。
【0024】
特許文献1記載の従来技術では、これら全ての再送initial INVITEリクエストが低優先キューに追加される。これは、既にinitial INVITEリクエストをSIPサーバに送信し、initial INVITEリクエストを処理するSIPトランザクションを開始させたにも係らず、再送initial INVITEリクエストを再度SIPサーバに転送してしまうことを意味しており、SIPサーバで再送initial INVITEリクエストの処理という余計な処理を誘発する。その結果、SIPサーバでの単位時間当たりに処理可能なSIPトランザクション数が減少してしまうのである。
【0025】
特許文献2記載の従来技術における課題(第2の課題)は、SIPサーバの輻輳状態では、SIP再送要求を輻輳制御ネットワーク中継装置で遮断できないことである。これは、特許文献2記載の従来技術において、パケットの再送を受信側から転送されるACKパケットに記載された識別番号に基づいて判断しているためである。SIPサーバの処理性能を考慮し、輻輳制御ネットワーク中継装置でSIP要求を一時蓄積している状態では、前述したように、輻輳制御ネットワーク中継装置での滞留時間に依存してUAから数個のSIP再送要求が発行される。この時、輻輳制御ネットワーク中継装置は、SIP要求を自身に格納しており、SIPサーバに転送していないため、SIPサーバからACKパケットに相当するSIP応答を受信できない。つまり、SIPサーバで処理を完了したSIP要求の識別番号を取得することが出来ないのである。
【0026】
これは、SIP応答を受信するまでは、UAから受信したSIP要求が再送かの判断を、輻輳制御ネットワーク中継装置で確実に行うことが出来ないことを意味しており、SIP再送要求を新規SIP要求と誤認識してキューに挿入してしまうことになる。この結果、前述した、第1の課題と同様の状況が引き起こされるのである。
【0027】
特許文献2及び特許文献3記載の従来技術における課題(第3の課題)は、受信したSIP要求が再送かを判断する情報が時間と共に増加してしまうことである。これは、特許文献2及び特許文献3記載の従来技術では、再送かを判断するために使用する情報のエントリを削除するタイミングが言及されていないためである。
【0028】
まず、特許文献2記載の従来技術では、該当情報として、TCP/IPにおけるACKパケットに記載された連続値となる識別子を前提としており、ACKパケット受信時に識別子を上書きすれば、該当識別子より小さい値を持つパケットは受信済みと見なせるためである。
【0029】
また、特許文献3記載の従来技術では、ループ検出テーブルのエントリはパソコン単位となっており、パソコンの増減は、それほど頻繁には発生しないことを前提としているためと考えられる。しかし、本発明を適用するSIPネットワークでは、一般的に、Call−IDヘッダの値などの、SIP要求の識別子として扱える情報は、UAが任意に設定可能であるため、連続値とは限らない。更に、例えば、通話の場合、呼の生存期間は、一般的に平均数分程度である。これは、SIP要求の識別子として使用可能な情報は有効期間が短く、一過性のものになりやすいことを意味している。
【0030】
このようにSIPネットワークでは、再送判断に使用する情報に存在しない識別子を受信した場合には追加していくしかなく、更に、SIPトランザクション処理が既に終了し、SIPネットワーク上に存在しない場合でも、該当SIPトランザクションを示す識別子が削除されないまま保存されることになるのである。
【0031】
本発明の目的は、SIP要求に優先度を付与することで、UA情報等のSIPネットワークの設定情報の喪失を防止し、かつ、低優先のSIP要求に対するSIP再送要求をSIPサーバ到達前に確実に破棄することで、SIPサーバで単位時間に処理可能なSIPトランザクション数を増加し、かつ、SIP要求受信時に識別子を追加し、SIP応答受信時に該当識別子を削除することで、SIP要求の再送判断に使用する情報の増加を抑制することを可能とする、優先制御装置、SIPシステム、優先制御プログラム及び優先制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
第1及び第2の課題を解決するために、低優先と判定されたSIP要求に格納された識別子と、既に優先制御装置で受信済みであり、処理中または処理待ちのSIP要求の識別子(以降では、処理中識別子と呼ぶ)を基に、該当SIP要求がSIP再送要求かを判断する機能と、SIP応答受信時に該当SIP応答に格納された識別子を、処理中識別子から削除する機能と、低優先、かつ、SIP再送要求ではないSIP要求の識別子を処理中識別子に追加する機能を導入する。
【0033】
これらの機能により、処理中識別子には、「低優先キューに格納中」または「SIPサーバと優先制御装置間でSIP要求を転送中」または「SIPサーバで処理中」または「SIPサーバと優先制御装置間で処理結果(SIP応答)を転送中」という状況にあるSIP要求の識別子のみが格納されることになる。つまり、この処理中識別子に格納された識別子で示されるSIP要求は、既に、優先制御装置またはSIPサーバに存在し、処理中(または処理予定)のSIP要求であることを示している。このため、処理中識別子に存在する識別子を保持するSIP要求をUAから受信した場合、そのSIP要求をSIPサーバに転送する必要はないと判断できる。この判断を、SIP要求を低優先キューに挿入する前に実行することで、低優先キューに余分なSIP再送要求を挿入することを防止できるのである。
【0034】
更に、第3の課題は、上記、低優先、かつ、SIP再送要求ではないSIP要求の識別子を処理中識別子に追加する機能と、SIP応答受信時に該当SIP応答に格納された識別子を、処理中識別子から削除する機能と、で解決可能である。
【0035】
これらの機能により、優先制御装置が格納する識別子を、既に、優先制御装置またはSIPサーバに存在し、処理中(または処理予定)であるSIP要求を識別するもののみに限定でき、既に処理が完了したSIP要求の識別子の格納を防止できるためである。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、以下に説明する効果を達成することができる。
【0037】
第1の効果は、SIPサーバが単位時間あたりに処理可能なSIPトランザクション数を増加することが可能となることである。
【0038】
これは、処理中識別子に、優先制御装置またはSIPサーバに既に存在し、処理中(または処理予定)のSIP要求の識別子のみを常時格納させ、UAから受信したSIP要求が保持する識別子が、この処理中識別子に存在するかを確認することで、SIPサーバに転送する必要があるかを判断し、この判断を、SIP要求を低優先キューに挿入する前に実行することで、低優先キューに余分なSIP再送要求を挿入することを防止できるためである。
【0039】
第2の効果は、受信したSIP要求が再送かを判断する情報の増加を抑制できることである。
【0040】
これは、低優先、かつ、SIP再送要求ではないSIP要求の識別子を処理中識別子に追加する機能と、SIP応答受信時に該当SIP応答に格納された識別子を、処理中識別子から削除する機能とにより、優先制御装置が格納する識別子を、既に、優先制御装置またはSIPサーバに存在し、処理中(または処理予定)であるSIP要求を示すもののみに限定できるためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
(第1の実施の形態)
次に、本発明の第1の実施の形態について、図表を参照して詳細に説明する。
【0042】
(第1の実施の形態の構成)
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101の構成図を示す。この図に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101は、一般的なSIPプロキシー・サーバ機能111と、SIPプロキシー・サーバ機能111が受信したメッセージがSIP要求かSIP応答かを判別するメッセージ種別判定機能102と、SIPプロキシー・サーバ機能111が受信したSIP要求の種類に応じて、SIP要求の優先度を決定するSIP要求優先度判定機能105と、SIP要求優先度判定機能105が低優先と判定したSIP要求に格納された識別子が、処理中識別子に存在するかを確認する識別子存在確認機能106と、当該SIP要求の識別子が処理中識別子に存在する場合には当該SIP要求を破棄するSIP要求破棄機能107と、SIP要求優先度判定機能105で低優先と判定され、かつ、処理中識別子に識別子が存在しないSIP要求の識別子を処理中識別子に追加する識別子追加機能108と、処理中識別子を格納する処理中識別子格納機能104と、SIP応答受信時にSIP応答に格納された識別子を処理中識別子から削除する識別子削除機能103と、SIP要求の優先度ごとにキューを保持し、SIP要求優先度判定機能105または識別子追加機能108から受信したSIP要求を優先度に応じてキューに挿入するSIP要求一時格納機能109と、SIP要求一時格納機能109のキューに格納されているSIP要求を、SIPサーバの単位時間当たりのSIP要求処理可能量を超えないように、優先度に応じて抽出し、SIPプロキシー・サーバ機能111を介してSIPサーバに転送する転送SIP要求抽出機能110とから構成される。ここで、処理中識別子は、例えば、図2に示すような、SIP要求に格納されたCall−IDヘッダの値を表形式で格納したものとなる。
【0043】
(第1の実施の形態の動作)
次に、本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101の動作を図表を参照して詳細に説明する。
【0044】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101において、外部からメッセージを受信した際の動作を示すフローチャートである。なお、この動作において、受信したSIP要求の優先度は「高優先」と「低優先」の2段階を想定しているが多段階の優先度を導入している場合でも同様の動作となる。
【0045】
いま、SIPプロキシー・サーバ機能111が、外部からメッセージを受信したとする(ステップS301)。すると、メッセージ種別判定機能102が、受信したメッセージの種別を調査する(ステップS302)。
【0046】
ステップ302の結果、ステップS301で受信したメッセージがSIP応答の場合は、識別子削除機能103が、処理中識別子格納機能104が保持する処理中識別子から、ステップS301で受信したSIP応答に格納された識別子を削除する(ステップS303)。この処理は、例えば、下記のように実現できる。処理中識別子が、図2に示すような表形式である場合、ステップS301で受信したSIP応答に含まれるCall−IDヘッダの値を抽出し、この値をキーとして処理中識別子を検索する。処理中識別子にエントリが発見された場合、該当エントリを削除する。
【0047】
ステップS303での識別子削除後、SIPプロキシー・サーバ機能111が、SIP応答記載の宛先にSIP応答を送信する(ステップS304)。その後、再度ステップS301から繰り返す。
【0048】
ステップS302の結果、SIPプロキシー・サーバ機能111が受信したメッセージがSIP要求の場合、SIP要求優先度判定機能105が、SIP要求の優先度を判定する(ステップS305)。この処理は、例えば、initial INVITEリクエストは「低優先」、それ以外のSIP要求は「高優先」などと、SIP要求の種別に応じて優先度を予め決定しておくことで実現可能である。
【0049】
ステップS305の結果、SIP要求の優先度が低優先と判定された場合には、識別子存在確認機能106が、SIPプロキシー・サーバ機能111が受信したSIP要求に格納された識別子が処理中識別子に存在するかを確認する(ステップS306)。この処理は、例えば、以下のように実現できる。処理中識別子が、図2に示すような表形式である場合、ステップS301で受信したSIP要求に含まれるCall−IDヘッダの値を抽出し、この値をキーとして処理中識別子を検索する。この検索の結果、該当Call−IDヘッダの値を保持するエントリが存在する場合には「存在」と判定し、存在しない場合には「存在しない」と判定する。
【0050】
ステップS306の結果、ステップS301で受信したSIP要求の識別子が処理中識別子に存在する場合には、SIP再送要求として、SIP要求破棄機能107が該当SIP要求を破棄する(ステップ307)。その後、ステップS301から繰り返す。
【0051】
ステップS306の結果、ステップS301で受信したSIP要求の識別子が処理中識別子に存在しない場合には、識別子追加機能108が該当SIP要求の識別子を処理中識別子に追加する(ステップS308)。この処理は、例えば、以下のように実現できる。処理中識別子が、図2に示すような表形式である場合、ステップS301で受信したSIP要求に含まれるCall−IDヘッダの値を抽出し、この値を格納したエントリを処理中識別子に追加する。
【0052】
ステップS305の結果、ステップS301で受信したSIP要求が高優先と判断された場合、または、ステップS308の結果、処理中識別子への追加処理が完了した場合には、SIP要求一時格納機能109がSIP要求を、優先度に応じたキューに格納する(ステップS309)。その後、ステップS301から繰り返す。
【0053】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101が、SIPサーバにSIP要求を転送する場合の動作について説明する。
【0054】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る優先度制御装置101が、SIP要求一時格納機能109に格納されたSIP要求をSIPプロキシー・サーバ機能111経由でSIPサーバに転送する場合の動作を示すフローチャートである。
【0055】
まず、転送SIP要求抽出機能110が、SIP要求一時格納機能109からSIP要求を抽出することで、SIPサーバが単位時間当たりに処理可能なSIP要求量に達するかを判定する(ステップ401)。この処理は、例えば、以下のようにして実現できる。転送SIP要求抽出機能110が、SIPサーバが単位時間当たりに処理可能なSIP要求数を予め保持しておき、この単位時間ごとにタイマーを設定する。更に、変数として転送済SIP要求数を転送SIP要求抽出機能110が管理する。
【0056】
転送SIP要求抽出機能110は、転送済SIP要求数が、SIPサーバが単位時間当たりに処理可能なSIP要求数と等しいかを確認し、等しくない場合には、SIPサーバが単位時間当たりに処理可能なSIP要求数に達していないと判定し、転送済SIP要求数を1増加する。一方、等しい場合には、SIPサーバが単位時間当たりに処理可能なSIP要求数に達したと判定する。なお、この転送済SIP要求数は、タイマーが切れるごとに0に再設定される。
【0057】
ステップS401の結果、SIPサーバが単位時間当たりに処理可能なSIP要求数に達していないと判定された場合には、転送SIP要求抽出機能110が、更に、転送するSIP要求をSIP要求一時格納機能109から抽出する(ステップS402)。この処理は、例えば、特許文献1記載の従来技術のように、低優先キューに格納されたSIP要求の沈み込みを防止しながら、高優先のキューから順番にSIP要求の存在を確認し、存在する場合には該当SIP要求を抽出することで実現できる。
【0058】
ステップS402の結果、転送するSIP要求の抽出が完了した場合には、該当SIP要求をSIPプロキシー・サーバ機能111がSIPサーバに転送する(ステップS403)。
【0059】
ステップS401の結果、SIPサーバが単位時間当たりに処理可能なSIP要求数に達したと判定された場合、または、ステップS403の結果、SIPプロキシー・サーバ機能111が、SIPサーバにSIP要求を転送した場合には、ステップS401から繰り返す。
【0060】
(第1の実施の形態の効果)
このように、本実施の形態によれば、SIPサーバが単位時間あたりに処理可能なSIPトランザクション数を増加させることが可能となる。
【0061】
これは、処理中識別子に、優先制御装置またはSIPサーバに既に存在し、処理中(または処理予定)のSIP要求の識別子を常時格納することで、UAから受信したSIP要求をSIPサーバに転送する必要があるかを判断し、この判断を、SIP要求を低優先キューに挿入する前に実行することで、低優先キューに余分なSIP再送要求を挿入することを防止できるためである。
【0062】
更に、本実施の形態によれば、受信したSIP要求が再送かを判断する処理中識別子の増加を抑制することが可能となる。
【0063】
これは、識別子追加機能108が、SIP要求優先度判定機能105に低優先と判定され、かつ、処理中識別子に識別子が存在しないSIP要求の識別子を、該当SIP要求を低優先キューに挿入する前に処理中識別子に追加し、かつ、識別子削除機能103が、SIP応答受信時にSIP応答に格納された識別子を処理中識別子から削除することで、処理中識別子に格納する識別子を、優先制御装置またはSIPサーバに存在し、処理中(または処理予定)であるSIP要求を示すもののみに限定できるためである。
【0064】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について、図表を参照して詳細に説明する。
【0065】
(第2の実施の形態の構成)
図5に、本発明の第2の実施の形態に係る優先制御装置101の構成図を示す。この図に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る優先制御装置101は、本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101の構成における識別子削除機能103と他機能との接続関係が変更された形態となっている。具体的には、メッセージ種別判定機能102ではなく、転送SIP要求抽出機能110が識別子削除機能103を起動している。この結果、処理中識別子格納機能104が格納する処理中識別子には、「低優先キューに格納中」という状態にあるSIP要求の識別子のみが格納されることになる。なお、本発明の第2の実施の形態における優先制御装置101を構成する各機能は、本発明の第1の実施の形態における優先制御装置101を構成する各機能と同様の機能を有する。
【0066】
(第2の実施の形態の動作)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る優先制御装置101の動作を図表を参照して詳細に説明する。
【0067】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る優先制御装置101において、外部からメッセージを受信した際の動作を示すフローチャートである。この図6におけるフローチャートと、図3に示した、本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101におけるフローチャートとの差分は、メッセージ種別判定機能102が、SIPプロキシー・サーバ機能111が受信したメッセージをSIP応答と判定した場合(ステップS602の処理結果)に、SIP応答をSIPプロキシー・サーバ機能111が転送する処理(ステップS603)が実行される点である。
【0068】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る優先制御装置101が、SIPサーバにSIP要求を転送する場合の動作について説明する。
【0069】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る優先制御装置101が、SIP要求一時格納機能109に格納されたSIP要求をSIPプロキシー・サーバ機能111経由でSIPサーバに転送する場合の動作を示すフローチャートである。この図7におけるフローチャートと、図4に示した、本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101におけるフローチャートとの差分は、転送SIP要求抽出機能110が、転送するSIP要求を抽出した後(ステップS702)に、識別子削除機能103が、該当SIP要求に格納された識別子を、処理中識別子から削除する処理(ステップS703)が追加された点である。なお、このステップS703の処理は、図3で示した、本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101におけるステップS303の処理と同様である。
【0070】
(第2の実施の形態の効果)
このように、本実施の形態によれば、SIPサーバが単位時間あたりに処理可能なSIPトランザクション数を増加させることが可能となる。
【0071】
これは、処理中識別子に、優先制御装置101に既に存在するSIP要求の識別子を常時格納することで、UAから受信したSIP要求をSIPサーバに転送する必要があるかを判断し、この判断を、SIP要求を低優先キューに挿入する前に実行することで、低優先キューに余分なSIP再送要求を挿入することを防止できるためである。
【0072】
更に、本実施の形態によれば、受信したSIP要求が再送かを判断する処理中識別子の増加を抑制することが可能となる。
【0073】
これは、識別子追加機能108が、SIP要求優先度判定機能105に低優先と判定され、かつ、処理中識別子に識別子が存在しないSIP要求の識別子を、該当SIP要求を低優先キューに挿入する前に処理中識別子に追加し、かつ、識別子削除機能103が、SIPプロキシー・サーバ機能111を介して、SIP要求をSIPサーバに転送する前に、該当SIP要求の識別子を処理中識別子から削除することで、処理中識別子に格納する識別子を、優先制御装置に存在しているSIP要求を示すもののみに限定できるためである。
【0074】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について、図表を参照して詳細に説明する。
【0075】
(第3の実施の形態の構成)
図8に、本発明の第3の実施の形態に係る優先制御装置101の構成図を示す。この図に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る優先制御装置101は、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る優先制御装置101における、SIPプロキシー・サーバ機能111及びメッセージ種別判定機能102及びSIP要求優先度判定機能105及びSIP要求破棄機能107及びSIP要求一時格納機能109及び転送SIP要求抽出機能110に加えて、SIP要求優先度判定機能105で低優先と判定されたSIP要求の識別子を抽出する識別子抽出機能803と、識別子抽出機能803が抽出した識別子と同一の識別子を保持するSIP要求が、SIP要求一時格納機能109が保持する低優先キューに既に挿入されているかを検索するキュー検索機能804とから構成される。なお、識別子抽出機能803が抽出する識別子は、例えば、SIP要求に格納されているCall−IDヘッダの値である。
【0076】
(第3の実施の形態の動作)
次に、本発明の第3の実施の形態に係る優先制御装置101の動作を図表を参照して詳細に説明する。
【0077】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る優先制御装置101において、外部からメッセージを受信した際の動作を示すフローチャートである。
【0078】
いま、SIPプロキシー・サーバ機能111が、外部からメッセージを受信したとする(ステップS901)。すると、メッセージ種別判定機能102が、受信したメッセージの種別を調査する(ステップS902)。
【0079】
ステップ902の結果、ステップS901で受信したメッセージがSIP応答の場合は、SIPプロキシー・サーバ機能111が、SIP応答記載の宛先にSIP応答を送信する(ステップS903)。その後、再度ステップS901から繰り返す。
【0080】
ステップS902の結果、SIPプロキシー・サーバ機能111が受信したメッセージがSIP要求の場合、SIP要求優先度判定機能105が、SIP要求の優先度を判定する(ステップS904)。なお、この処理は、本発明の第1及び第2の実施の形態におけるSIP要求優先度判定機能105の動作(ステップS305及びステップS604)と同様である。
【0081】
ステップS904の結果、SIP要求の優先度が低優先と判定された場合には、識別子抽出機能803が、SIP要求に格納された識別子を抽出する(ステップS905)。この処理は、例えば、SIP要求に含まれるCall−IDヘッダの値を抽出することで実現できる。その後、キュー検索機能804が、ステップS905で抽出された識別子を保持するSIP要求が低優先キューに既に挿入されているかを検索する(ステップS906)。
【0082】
この処理は、例えば、以下のようにして実現できる。まず、低優先キューの先頭のSIP要求に格納されているCall−IDヘッダの値を抽出し、識別子抽出機能803から受け取ったCall−IDヘッダの値と比較する。この結果、一致すれば「存在」として終了し、一致しなければ、先頭から2番目のSIP要求について同様の処理を再度実行する。この処理を低優先キューの先頭から順番に実行していき、全てのSIP要求のCall−IDヘッダの値が一致しない場合には、「存在しない」として終了する。
【0083】
ステップS906の結果、キュー内に同一識別子を保持するSIP要求が存在する場合には、SIP再送要求と認識し、SIP要求破棄機能107が該当SIP要求を破棄する(ステップ907)。その後、ステップS901から繰り返す。
【0084】
ステップS904の結果、ステップS901で受信したSIP要求が高優先と判断された場合、または、ステップS906の結果、キュー内に同一識別子を保持するSIP要求が存在しないと判断された場合には、SIP要求一時格納機能109がSIP要求を、優先度に応じたキューに格納する(ステップS908)。その後、ステップS901から繰り返す。
【0085】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る優先制御装置101が、SIPサーバにSIP要求を転送する場合の動作について説明する。本発明の第3の実施の形態に係る優先制御装置101が、SIPサーバにSIP要求を転送する場合の動作は、図4で示した、本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101での動作と同様である。
【0086】
(第3の実施の形態の効果)
このように、本実施の形態によれば、SIPサーバが単位時間あたりに処理可能なSIPトランザクション数を増加させることが可能となる。
【0087】
これは、受信したSIP要求の識別子を、既に低優先キューに挿入されたSIP要求の識別子と比較することで、UAから受信したSIP要求をSIPサーバに転送する必要があるかを判断し、この判断を、SIP要求を低優先キューに挿入する前に実行することで、低優先キューに余分なSIP再送要求を挿入することを防止できるためである。
【0088】
更に、本実施の形態によれば、受信したSIP要求が再送かを判断する情報を使用しなくともSIP要求の再送判断が可能となる。
【0089】
これは、SIP要求が再送かの判断を、受信したSIP要求の識別子と、SIP要求一時格納機能109が保持する低優先キューに挿入されたSIP要求の識別子とを順次比較することで実現しているためである。
【0090】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について、図表を参照して詳細に説明する。
【0091】
(第4の実施の形態の構成)
図10に、本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101の構成図を示す。この図に示すように、本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101は、本発明の第1及び第2及び第3の実施の形態に係る優先制御装置101における、SIPプロキシー・サーバ機能111及びメッセージ種別判定機能102及びSIP要求優先度判定機能105及びSIP要求破棄機能107及びSIP要求一時格納機能109及び転送SIP要求抽出機能110に加えて、SIP要求優先度判定機能105が低優先と判定したSIP要求を、SIP要求一時格納機能109が保持する低優先キューに挿入する時刻を追加する挿入時刻追加機能1002と、SIP要求が低優先キューに挿入された時刻を格納する挿入時刻格納機能1001と、転送SIP要求抽出機能110が抽出したSIP要求が有効期限を越えていないか確認する有効期限確認機能1004と、挿入時刻格納機能1001が保持する挿入時刻から該当SIP要求の挿入時刻を削除する挿入時刻削除機能1003とから構成される。
【0092】
ここで、挿入時刻格納機能1001が格納する挿入時刻は、例えば、図11に示す形態となる。図11では、SIP要求の識別子であるCall−IDヘッダの値と、現在時刻をミリ秒として表現した挿入時刻とが組になり格納されている。SIPプロトコルでは、SIP要求が有効である時間が規定されており、該当時間を越えてもSIP応答が返信されない場合には、タイムアウトとなりSIPトランザクションが終了する。このタイムアウトの時間は、例えば、INVITEリクエストの場合には、一般的に32秒である。つまり、優先制御装置101で32秒以上滞留したINVITEリクエストは、SIPサーバで処理を完了したとしても、送信元であるUAではタイムアウトしているため、無意味な処理となる。本発明の第4の実施の形態では、キュー挿入時に挿入時刻を一時保存し、有効期限確認機能1004がタイムアウトかを確認し、タイムアウトの場合には破棄することで、SIPサーバに無意味な処理を誘発するSIP要求の転送を抑制している。
【0093】
(第4の実施の形態の動作)
次に、本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101の動作を図表を参照して詳細に説明する。
【0094】
図12は、本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101において、外部からメッセージを受信した際の動作を示すフローチャートである。
【0095】
いま、SIPプロキシー・サーバ機能111が、メッセージを受信したとする(ステップS1201)。次に、メッセージ種別判定機能102が該当メッセージの種類を調査する(ステップS1202)。
【0096】
ステップS1202の結果、受信したメッセージがSIP応答の場合には、SIPプロキシー・サーバ機能111が、SIP応答記載の宛先にSIP応答を送信する(ステップS1206)。その後、ステップS1201から繰り返す。
【0097】
ステップS1202の結果、受信したメッセージがSIP要求の場合には、SIP要求優先度判定機能105が、該当SIP要求の優先度を判定する(ステップS1203)。この処理は、本発明の第1及び第2及び第3の実施の形態に係る優先制御装置101での処理(ステップS305、ステップS604、ステップS904)と同様である。
【0098】
ステップS1203の結果、SIP要求の優先度が低優先と判定された場合には、挿入時刻追加機能1002が、該当SIP要求の挿入時刻を、挿入時刻格納機能1001が保持する挿入時刻に追加する(ステップS1204)。この処理は、例えば、挿入時刻が図11で示す形態の場合には、以下のようになる。挿入時刻追加機能1002は、SIP要求優先度判定機能105から受信したSIP要求のCall−IDヘッダの値を抽出し、更に、ミリ秒として表現された現在の時刻を取得する。その後、このCall−IDヘッダの値と現在時刻を組として挿入時刻に追加する。
【0099】
ステップS1203の結果、SIP要求の優先度が高優先と判定された場合、または、ステップS1204の結果、挿入時刻の追加処理が完了した場合には、SIP要求一時格納機能が、優先度に応じたキューに、該当SIP要求を挿入する(ステップS1205)。その後、ステップS1201から繰り返す。
【0100】
次に、本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101が、SIPサーバにSIP要求を転送する場合の動作について説明する。
【0101】
図13は、本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101が、SIP要求一時格納機能109に格納されたSIP要求をSIPプロキシー・サーバ機能111経由でSIPサーバに転送する場合の動作を示すフローチャートである。
【0102】
いま、転送SIP要求抽出機能110が、次にSIP要求を抽出することで、SIPサーバの処理可能量に到達するかを調査する(ステップS1301)。なお、この処理は、本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101における処理(ステップS401)と同様の処理である。
【0103】
ステップS1301の結果、SIPサーバの処理可能量に到達したと判断された場合には、再度、ステップS1301から繰り返す。
【0104】
ステップS1301の結果、SIPサーバの処理可能量に到達していないと判断された場合には、更に、転送SIP要求抽出機能110が、転送するSIP要求を抽出する(ステップS1302)。なお、この処理は、本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101における処理(ステップS402)と同様の処理である。次に、ステップS1302の結果抽出したSIP要求の挿入時刻が存在するかを、有効期限確認機能110が調査する(ステップS1303)。
【0105】
この処理は、例えば、挿入時刻格納機能1001が格納する挿入時刻が、図11に示す形態で実現されている場合には、以下のように実現できる。まず、挿入時刻格納機能1004が、転送SIP要求抽出機能110から受信したSIP要求に格納されるCall−IDヘッダの値を抽出する。次に、このCall−IDヘッダの値をキーとして、挿入時刻格納機能1001が保持する挿入時刻を検索する。この結果、該当Call−IDヘッダの値を保持するエントリが検索された場合には「存在」とし、検索されない場合には「存在しない」と判断する。
【0106】
ステップS1303の結果、挿入時刻が存在する場合には、有効期限確認機能1004が、更に、ステップS1302で抽出したSIP要求の有効期限が無効となっていないかを確認する(ステップS1304)。この処理は、例えば、挿入時刻格納機能1001が格納する挿入時刻が、図11に示す形態で実現されている場合には、以下のように実現できる。まず、有効期限確認機能1004が、ステップS1302の結果抽出したSIP要求のCall−IDヘッダの値を抽出し、該当Call−IDヘッダの値をキーに、挿入時刻格納機能1001が格納する挿入時刻を検索する。この結果、該当Call−IDヘッダの値を持つSIP要求がキューに挿入された時刻(ミリ秒表示)が得られる。
【0107】
次に、有効期限確認機能1004は、現在の時刻をミリ秒単位で取得し、先ほど取得したキューへの挿入時刻と比較する。一般的には、SIPプロトコルにおいて、INVITEリクエストの有効期限は32秒(32000ミリ秒)であるため、挿入時刻と現時刻との差分が32000ミリ秒以上の場合には、ステップS1302で抽出したSIP要求は「有効期限切れ」と判定し、一方、挿入時刻と現時刻との差分が32000ミリ秒未満の場合には、「有効期限切れではない」と判定する。
【0108】
ステップS1304の結果、ステップS1302の結果抽出したSIP要求が有効期限切れと判定された場合には、SIP要求破棄機能107が該当SIP要求を破棄する(ステップS1306)。その後、挿入時刻削除機能1003が、該当SIP要求の挿入時刻を削除する(ステップS1305)。
【0109】
この処理は、例えば、挿入時刻格納機能1001が格納する挿入時刻が、図11に示す形態で実現されている場合には、以下のように実現できる。まず、挿入時刻削除機能1003が、ステップS1302で抽出したSIP要求のCall−IDヘッダの値を抽出する。次に、挿入時刻削除機能1003が、挿入時刻格納機能1001が保持している挿入時刻において、該当Call−IDヘッダの値を保持するエントリを検索し、削除するのである。その後、ステップS1302から繰り返す。
【0110】
ステップS1304の結果、ステップS1302の結果抽出したSIP要求が有効期限切れではないと判定された場合には、挿入時刻削除機能1003が、該当SIP要求の挿入時刻を削除する(ステップS1305)。この処理内容は前述した通りである。
【0111】
ステップS1303の結果、挿入時刻が存在しない場合、または、ステップS1305の結果、挿入時刻削除機能1003が、ステップS1302の結果抽出したSIP要求に関する挿入時刻を削除した場合には、SIPプロキシー・サーバ機能111が、ステップS1302で抽出したSIP要求を、SIPサーバに転送する(ステップS1307)。その後、ステップS1307から繰り返す。
【0112】
(第4の実施の形態の効果)
このように、本実施の形態によれば、SIPサーバが単位時間あたりに処理可能なSIPトランザクション数を増加させることが可能となることである。
【0113】
これは、SIPプロトコルでは、UAから送信されたSIP要求に有効期限が存在することを考慮し、キュー挿入時に挿入時刻を一時保存し、SIPサーバへSIP要求を転送する時点で、有効期限確認機能1004が転送するSIP要求の有効期限が切れていないかを確認し、有効期限切れの場合には破棄することで、SIPサーバに無意味な処理を誘発する、優先制御装置101で有効期限以上滞留したSIP要求の転送を抑制しているためである。
【0114】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態について、図表を参照して詳細に説明する。
【0115】
(第5の実施の形態の構成)
図14に、本発明の第5の実施の形態に係る優先制御装置101の構成図を示す。この図に示すように、本発明の第5の実施の形態に係る優先制御装置101は、図1に示した本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101の構成と、図10に示した本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101の構成とを組み合わせたものとなっている。なお、本発明の第5の実施の形態に係る優先制御装置101を構成する機能群は、本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101を構成する機能群、及び、本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101を構成する機能群と同様の機能を有する。
【0116】
(第5の実施の形態の動作)
次に、本発明の第5の実施の形態に係る優先制御装置101の動作を図表を参照して詳細に説明する。
【0117】
図15は、本発明の第5の実施の形態に係る優先制御装置101において、外部からメッセージを受信した際の動作を示すフローチャートである。
【0118】
この図に示すように、このフローチャートは、図3で示した本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置101の動作における処理中識別子への識別子の追加処理(ステップS1508)の後に、挿入時刻追加機能1002の処理(ステップS1509)を挿入した形態になっている。
【0119】
次に、本発明の第5の実施の形態に係る優先制御装置101が、SIPサーバにSIP要求を転送する場合の動作について説明する。この動作は、図13で示した、本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101における動作と同様である。
【0120】
(第5の実施の形態の効果)
このように、本実施の形態によれば、SIPサーバが単位時間あたりに処理可能なSIPトランザクション数を増加させることが可能となることである。
【0121】
これは、まず、処理中識別子に、優先制御装置またはSIPサーバに既に存在し、処理中(または処理予定)のSIP要求の識別子を常時格納することで、UAから受信したSIP要求をSIPサーバに転送する必要があるかを判断し、この判断を、SIP要求を低優先キューに挿入する前に実行することで、低優先キューに余分なSIP再送要求を挿入することを防止し、更に、SIPプロトコルでは、UAから送信されたSIP要求に有効期限が存在することを考慮し、キュー挿入時に挿入時刻を一時保存し、SIPサーバへSIP要求を転送する時点で、有効期限確認機能1004が転送するSIP要求の有効期限が切れていないかを確認し、有効期限切れの場合には破棄することで、SIPサーバに無意味な処理を誘発する、優先制御装置101で有効期限以上滞留したSIP要求の転送を抑制しているためである。
【0122】
更に、本実施の形態によれば、受信したSIP要求が再送かを判断する処理中識別子の増加を抑制することが可能となる。
【0123】
これは、識別子追加機能108が、SIP要求優先度判定機能105に低優先と判定され、かつ、処理中識別子に識別子が存在しないSIP要求の識別子を、該当SIP要求を低優先キューに挿入する前に処理中識別子に追加し、かつ、識別子削除機能103が、SIP応答受信時にSIP応答に格納された識別子を処理中識別子から削除することで、処理中識別子に格納する識別子を、優先制御装置またはSIPサーバに存在し、処理中(または処理予定)であるSIP要求を示すもののみに限定できるためである。
【0124】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態について、図表を参照して詳細に説明する。
【0125】
(第6の実施の形態の構成)
図16に、本発明の第6の実施の形態に係る優先制御装置101の構成図を示す。この図に示すように、本発明の第6の実施の形態に係る優先制御装置101は、図5に示した本発明の第2の実施の形態に係る優先制御装置101の構成と、図10に示した本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101の構成とを組み合わせたものとなっている。なお、本発明の第6の実施の形態に係る優先制御装置101を構成する機能群は、本発明の第2の実施の形態に係る優先制御装置101を構成する機能群、及び、本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101を構成する機能群と同様の機能を有する。
【0126】
(第6の実施の形態の動作)
次に、本発明の第6の実施の形態に係る優先制御装置101の動作を図表を参照して詳細に説明する。
【0127】
図17は、本発明の第5の実施の形態に係る優先制御装置101において、外部からメッセージを受信した際の動作を示すフローチャートである。
【0128】
この図に示すように、このフローチャートは、図6で示した本発明の第2の実施の形態に係る優先制御装置101の動作における処理中識別子への識別子の追加処理(ステップS1707)の後に、挿入時刻追加機能1002の処理(ステップS1708)を挿入した形態になっている。
【0129】
次に、本発明の第6の実施の形態に係る優先制御装置101が、SIPサーバにSIP要求を転送する場合の動作について説明する。
【0130】
図18は、本発明の第6の実施の形態に係る優先制御装置101が、SIPサーバにSIP要求を転送する場合の動作を示したフローチャートである。この図に示すように、このフローチャートは、図13で示した本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101の動作におけるSIP要求の挿入時刻を削除する処理(ステップS1806)の後に、識別子削除機能103での処理中識別子からSIP要求記載の識別子を削除する処理(ステップS1807)を挿入した形態になっている。
【0131】
(第6の実施の形態の効果)
このように、本実施の形態によれば、SIPサーバが単位時間あたりに処理可能なSIPトランザクション数を増加させることが可能となることである。
【0132】
これは、まず、処理中識別子に、優先制御装置に既に存在するSIP要求の識別子を常時格納することで、UAから受信したSIP要求をSIPサーバに転送する必要があるかを判断し、この判断を、SIP要求を低優先キューに挿入する前に実行することで、低優先キューに余分なSIP再送要求を挿入することを防止し、更に、SIPプロトコルでは、UAから送信されたSIP要求に有効期限が存在することを考慮し、キュー挿入時に挿入時刻を一時保存し、SIPサーバへSIP要求を転送する時点で、有効期限確認機能1004が転送するSIP要求の有効期限が切れていないかを確認し、有効期限切れの場合には破棄することで、SIPサーバに無意味な処理を誘発する、優先制御装置101で有効期限以上滞留したSIP要求の転送を抑制しているためである。
【0133】
更に、本実施の形態によれば、受信したSIP要求が再送かを判断する処理中識別子の増加を抑制することが可能となる。
【0134】
これは、識別子追加機能108が、SIP要求優先度判定機能105に低優先と判定され、かつ、処理中識別子に識別子が存在しないSIP要求の識別子を、該当SIP要求を低優先キューに挿入する前に処理中識別子に追加し、かつ、識別子削除機能103が、SIPプロキシー・サーバ機能111を介して、SIP要求をSIPサーバに転送する前に、該当SIP要求の識別子を処理中識別子から削除することで、処理中識別子に格納する識別子を、優先制御装置に存在しているSIP要求を示すもののみに限定できるためである。
【0135】
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施の形態について、図表を参照して詳細に説明する。
【0136】
(第7の実施の形態の構成)
図19に、本発明の第7の実施の形態に係る優先制御装置101の構成図を示す。この図に示すように、本発明の第7の実施の形態に係る優先制御装置101は、図8に示した本発明の第3の実施の形態に係る優先制御装置101の構成と、図10に示した本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101の構成とを組み合わせたものとなっている。なお、本発明の第7の実施の形態に係る優先制御装置101を構成する機能群は、本発明の第3の実施の形態に係る優先制御装置101を構成する機能群、及び、本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101を構成する機能群と同様の機能を有する。
【0137】
(第7の実施の形態の動作)
次に、本発明の第7の実施の形態に係る優先制御装置101の動作を図表を参照して詳細に説明する。
【0138】
図20は、本発明の第7の実施の形態に係る優先制御装置101において、外部からメッセージを受信した際の動作を示すフローチャートである。
【0139】
この図に示すように、このフローチャートは、図9で示した本発明の第3の実施の形態に係る優先制御装置101の動作における、キュー検索機能804のキュー内に同一識別子が存在するかの調査(ステップS2006)の結果存在しない場合に、挿入時刻追加機能1002の処理(ステップS2008)を挿入した形態になっている。
【0140】
次に、本発明の第6の実施の形態に係る優先制御装置101が、SIPサーバにSIP要求を転送する場合の動作について説明する。この動作は、図13で示した、本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置101における動作と同様である。
【0141】
(第7の実施の形態の効果)
このように、本実施の形態によれば、SIPサーバが単位時間あたりに処理可能なSIPトランザクション数を増加させることが可能となることである。
【0142】
これは、まず、受信したSIP要求の識別子を、既に低優先キューに挿入されたSIP要求の識別子と比較することで、UAから受信したSIP要求をSIPサーバに転送する必要があるかを判断し、この判断を、SIP要求を低優先キューに挿入する前に実行することで、低優先キューに余分なSIP再送要求を挿入することを防止し、更に、SIPプロトコルでは、UAから送信されたSIP要求に有効期限が存在することを考慮し、キュー挿入時に挿入時刻を一時保存し、SIPサーバへSIP要求を転送する時点で、有効期限確認機能1004が転送するSIP要求の有効期限が切れていないかを確認し、有効期限切れの場合には破棄することで、SIPサーバに無意味な処理を誘発する、優先制御装置101で有効期限以上滞留したSIP要求の転送を抑制しているためである。
【0143】
更に、本実施の形態によれば、受信したSIP要求が再送かを判断する情報を使用しなくともSIP要求の再送判断が可能となる。
【0144】
これは、SIP要求が再送かの判断を、受信したSIP要求の識別子と、SIP要求一時格納機能109が保持する低優先キューに挿入されたSIP要求の識別子とを順次比較することで実現しているためである。
【0145】
(優先制御装置を含むSIPネットワークの形態)
次に、本発明の第1ないし第7の実施の形態に係る優先制御装置101を含むSIPネットワークについて図表を参照して詳細に説明する。
【0146】
(優先制御装置を含むSIPネットワークの構成)
図21は、本発明の第1ないし第7の実施の形態に係る優先制御装置101を含むSIPネットワークを示すブロック図である。この図に示すように、SIPネットワークは、従来までのSIPサーバSS1と本発明の第1ないし第7の実施の形態に係る優先制御装置101とから構成されるSIPシステム2101と、ユーザ・エージェントUA1、UA2と、SIPシステム2101とユーザ・エージェントUA1、UA2を接続するネットワーク2102とから構成される。
【0147】
(優先制御装置を含むSIPネットワークの動作)
次に、本発明の第1ないし第7の実施の形態に係る優先制御装置101を含むSIPネットワークの動作を説明する。
【0148】
図22は、本発明の第1ないし第7の実施の形態に係る優先制御装置101を含むSIPネットワークの動作を示すシーケンス図である。
この図に示すように、UAから転送されるinitial REGISTERリクエストや認証REGISTERリクエストは優先制御装置101にて高優先と判断され、SIPサーバの処理可能量を超えないように、迅速にSIPサーバに転送される。この結果、SIPサーバでのUA情報の更新が滞りなく実行される。
【0149】
一方、initial INVITEリクエストは、低優先と判断され、低優先キューに挿入される。このように低優先と判断された結果、優先制御装置101にinitial INVITEリクエストが滞留してしまうと、UAからは、一般的なSIPプロトコルの再送メカニズムに従ってinitial INVITEリクエストが再度送信される(図22の再送initial INVITE)。優先制御装置101では、既にinitial INVITEリクエストが優先制御装置101に格納されているため、受信した再送initial INVITEリクエストは再送と判断され、破棄される。その後、低優先キューの転送順になった際に、initial INVITEリクエストがSIPサーバへ転送される。
【0150】
このように、UAとSIPサーバとの間に、本発明の第1ないし第7の実施の形態に係る優先制御装置101を挿入することで、UA情報の有効期限切れと、余分なSIP要求の転送、及び、SIPサーバの処理可能量以上のSIP要求転送による、SIPサーバの高負荷状態誘発を防止できるのである。
【0151】
以上好ましい実施の形態と実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも、上記実施の形態及び実施例に限定されるものでなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明の優先制御装置は、複数のユーザ端末及びSIPサーバを有するSIPネットワークに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る優先制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る優先制御装置におけるSIP再送要求判断情報の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置での、外部からメッセージを受信した場合の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る優先制御装置での、SIPサーバへSIP要求を転送する場合の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る優先制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る優先制御装置での、外部からメッセージを受信した場合の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る優先制御装置での、SIPサーバへSIP要求を転送する場合の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る優先制御装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る優先制御装置での、外部からメッセージを受信した場合の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る優先制御装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る優先制御装置における挿入時刻の一例を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置での、外部からメッセージを受信した場合の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係る優先制御装置での、SIPサーバへSIP要求を転送する場合の動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る優先制御装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態に係る優先制御装置での、外部からメッセージを受信した場合の動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第6の実施形態に係る優先制御装置の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の第6の実施の形態に係る優先制御装置での、外部からメッセージを受信した場合の動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第6の実施の形態に係る優先制御装置での、SIPサーバへSIP要求を転送する場合の動作を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第7の実施形態に係る優先制御装置の構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の第7の実施の形態に係る優先制御装置での、外部からメッセージを受信した場合の動作を示すフローチャートである。
【図21】本発明の第1ないし第7の実施の形態に係る優先制御装置を含む、SIPネットワークの構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第1ないし第7の実施の形態に係る優先制御装置を含む、SIPネットワークの動作を示すシーケンス図である。
【図23】一般的なSIPネットワークにおいて、UA間で通信する場合の動作シーケンス図である。
【図24】一般的なSIPネットワークにおいて、UA情報を更新する場合の動作シーケンス図である。
【図25】従来技術1の構成を示すブロック図である。
【図26】従来技術2の構成を示すブロック図である。
【図27】従来技術3の基本原理を説明する図である。
【符号の説明】
【0154】
101:優先制御装置
102:メッセージ種別判定機能
103:識別子削除機能
104:処理中識別子格納機能
105:SIP要求優先度判定機能
106:識別子存在確認機能
107:SIP要求破棄機能
108:識別子追加機能
109:SIP要求一時格納機能
110:転送SIP要求抽出機能
111:SIPプロキシー・サーバ機能
803:識別子抽出機能
804:キュー検索機能
1001:挿入時刻格納機能
1002:挿入時刻追加機能
1003:挿入時刻削除機能
1004:有効期限確認機能
2101:SIPシステム
2102:ネットワーク
SS1:SIPサーバ
UA1、 UA2:ユーザ・エージェント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SIPプロキシー・サーバ機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したメッセージがSIP要求かSIP応答かを判別するメッセージ種別判定機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したSIP要求の種類に応じて、SIP要求の優先度を決定するSIP要求優先度判定機能と、
前記SIP要求優先度判定機能が低優先と判定したSIP要求に格納された識別子が、現在処理中または処理予定のSIP要求の識別子である処理中識別子に存在するかを確認する識別子存在確認機能と、
当該SIP要求の識別子が処理中識別子に存在する場合に、当該SIP要求を破棄するSIP要求破棄機能と、
前記SIP要求優先度判定機能に低優先と判定され、かつ、処理中識別子に識別子が存在しないSIP要求の識別子を処理中識別子に追加する識別子追加機能と、
処理中識別子を格納する処理中識別子格納機能と、
SIP応答受信時にSIP応答に格納された識別子を処理中識別子から削除する識別子削除機能と、
SIP要求の優先度ごとにキューを保持し、前記SIP要求優先度判定機能または前記識別子追加機能から受信したSIP要求を優先度に応じてキューに挿入するSIP要求一時格納機能と、
前記SIP要求一時格納機能のキューに格納されているSIP要求を、SIPサーバの単位時間当たりのSIP要求処理可能量を超えないように、優先度に応じて抽出し、前記SIPプロキシー・サーバ機能を介してSIPサーバに転送する転送SIP要求抽出機能と、
から構成されることを特徴とする優先制御装置。
【請求項2】
SIPプロキシー・サーバ機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したメッセージがSIP要求かSIP応答かを判別するメッセージ種別判定機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したSIP要求の種類に応じて、SIP要求の優先度を決定するSIP要求優先度判定機能と、
前記SIP要求優先度判定機能が低優先と判定したSIP要求に格納された識別子が、現在処理中または処理予定のSIP要求の識別子である処理中識別子に存在するかを確認する識別子存在確認機能と、
当該SIP要求の識別子が処理中識別子に存在する場合には当該SIP要求を破棄するSIP要求破棄機能と、
前記SIP要求優先度判定機能に低優先と判定され、かつ、処理中識別子に識別子が存在しないSIP要求の識別子を処理中識別子に追加する識別子追加機能と、
処理中識別子を格納する処理中識別子格納機能と、
SIP要求の優先度ごとにキューを保持し、前記SIP要求優先度判定機能または前記識別子追加機能から受信したSIP要求を優先度に応じてキューに挿入するSIP要求一時格納機能と、
前記SIP要求一時格納機能のキューに格納されているSIP要求を、SIPサーバの単位時間当たりのSIP要求処理可能量を超えないように、優先度に応じて抽出し、SIPプロキシー・サーバ機能を介してSIPサーバに転送する転送SIP要求抽出機能と、
前記転送SIP要求抽出機能により抽出されたSIP要求に格納された識別子を処理中識別子から削除する識別子削除機能と、
から構成されることを特徴とする優先制御装置。
【請求項3】
SIPプロキシー・サーバ機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したメッセージがSIP要求かSIP応答かを判別するメッセージ種別判定機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したSIP要求の種類に応じて、SIP要求の優先度を決定するSIP要求優先度判定機能と、
前記SIP要求優先度判定機能で低優先と判定されたSIP要求の識別子を抽出する識別子抽出機能と、
前記識別子抽出機能が抽出した識別子と同一の識別子を保持するSIP要求が、前記SIP要求一時格納機能が保持するキューに既に挿入されているかを検索するキュー検索機能と、
前記キュー検索機能により、前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したSIP要求が、既にキューに存在する場合には当該SIP要求を破棄するSIP要求破棄機能と、
SIP要求の優先度ごとにキューを保持し、前記SIP要求優先度判定機能または前記キュー検索機能から受信したSIP要求を優先度に応じてキューに挿入するSIP要求一時格納機能と、
前記SIP要求一時格納機能のキューに格納されているSIP要求を、SIPサーバの単位時間当たりのSIP要求処理可能量を超えないように、優先度に応じて抽出し、前記SIPプロキシー・サーバ機能を介してSIPサーバに転送する転送SIP要求抽出機能と、
から構成されることを特徴とする優先制御装置。
【請求項4】
SIPプロキシー・サーバ機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したメッセージがSIP要求かSIP応答かを判別するメッセージ種別判定機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したSIP要求の種類に応じて、SIP要求の優先度を決定するSIP要求優先度判定機能と、
前記SIP要求優先度判定機能が低優先と判定したSIP要求を、前記SIP要求一時格納機能が保持する低優先キューに挿入する時刻を追加する挿入時刻追加機能と、
SIP要求が低優先キューに挿入された時刻を格納する挿入時刻格納機能と、
SIP要求の優先度ごとにキューを保持し、前記SIP要求優先度判定機能または前記識別子追加機能から受信したSIP要求を優先度に応じてキューに挿入するSIP要求一時格納機能と、
前記SIP要求一時格納機能のキューに格納されているSIP要求を、SIPサーバの単位時間当たりのSIP要求処理可能量を超えないように、優先度に応じて抽出し、前記SIPプロキシー・サーバ機能を介してSIPサーバに転送する転送SIP要求抽出機能と、
前記転送SIP要求抽出機能が抽出したSIP要求が有効期限を越えていないか確認する有効期限確認機能と、
前記有効期限確認機能の結果、前記転送SIP要求抽出機能が抽出したSIP要求が有効期限を越えていた場合には該当SIP要求を破棄するSIP要求破棄機能と、
前記挿入時刻格納機能が保持する挿入時刻から該当SIP要求の挿入時刻を削除する挿入時刻削除機能と、
から構成されることを特徴とする優先制御装置。
【請求項5】
請求項1記載の優先制御装置の機能と請求項4記載の優先制御装置の機能とから構成されることを特徴とする優先制御装置。
【請求項6】
請求項2記載の優先制御装置の機能と請求項4記載の優先制御装置の機能とから構成されることを特徴とする、優先制御装置。
【請求項7】
請求項3記載の優先制御装置の機能と請求項4記載の優先制御装置の機能とから構成されることを特徴とする優先制御装置。
【請求項8】
請求項1及び請求項5記載の優先制御装置において、
SIP要求に格納されたCall−IDヘッダの値を表形式で格納した処理中識別子を格納する処理中識別子格納機能とから構成されることを特徴とする優先制御装置。
【請求項9】
SIPサーバが単位時間当たりに処理可能なSIP要求数を予め保持しておき、この単位時間ごとにタイマーを設定し、更に、変数として転送済SIP要求数を前記転送SIP要求抽出機能が管理している状況で、転送済SIP要求数が、SIPサーバが単位時間当たりに処理可能なSIP要求数と等しいかを確認し、等しくない場合には、SIPサーバが単位時間当たりに処理可能なSIP要求数に達していないと判定し、転送済SIP要求数を1増加する一方、等しい場合には、SIPサーバが単位時間当たりに処理可能なSIP要求数に達したと判定する、転送SIP要求抽出機能とから構成されることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の優先制御装置。
【請求項10】
低優先キューの先頭のSIP要求に格納されているCall−IDヘッダの値を抽出し、前記識別子抽出機能から受け取ったCall−IDヘッダの値と比較した結果、一致すれば「存在」として終了し、一致しなければ、先頭から2番目のSIP要求について同様の処理を再度実行するという処理を低優先キューの先頭から順番に実行していき、全てのSIP要求のCall−IDヘッダの値が一致しない場合には、「存在しない」として終了する、キュー検索機能とから構成されることを特徴とする請求項3から請求項7の何れか1項に記載の優先制御装置。
【請求項11】
SIP要求の識別子であるCall−IDヘッダの値と、前記SIP要求一時格納機能が格納するキューに挿入する時刻との組から構成される挿入時刻を格納する挿入時刻格納機能とから構成されることを特徴とする請求項4から請求項7の何れか1項に記載の優先制御装置。
【請求項12】
前記転送SIP要求抽出機能がSIP要求のCall−IDヘッダの値を抽出し、該当Call−IDヘッダの値をキーに、挿入時刻格納機能が格納する挿入時刻を検索することで、該当Call−IDヘッダの値を持つSIP要求がキューに挿入された時刻を取得し、現在の時刻と比較した結果、挿入時刻と現時刻との差分がSIPプロトコルで規定されている有効期限以上の場合には有効期限切れと判定する一方、挿入時刻と現時刻との差分が有効期限未満の場合には有効期限切れではないと判定する、有効期限確認機能とから構成されることを特徴とする請求項4から請求項7の何れか1項に記載の優先制御装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12に記載の優先制御装置と、一般的なSIPサーバとから構成されることを特徴とするSIPシステム。
【請求項14】
SIPサーバと優先制御装置とから構成されるSIPシステムにおいて、
前記優先制御装置に、
SIPプロキシー・サーバ機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したメッセージがSIP要求かSIP応答かを判別するメッセージ種別判定機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したSIP要求の種類に応じて、SIP要求の優先度を決定するSIP要求優先度判定機能と、
前記SIP要求優先度判定機能が低優先と判定したSIP要求に格納された識別子が、現在処理中または処理予定のSIP要求の識別子である処理中識別子に存在するかを確認する識別子存在確認機能と、
当該SIP要求の識別子が処理中識別子に存在する場合に、当該SIP要求を破棄するSIP要求破棄機能と、
前記SIP要求優先度判定機能に低優先と判定され、かつ、処理中識別子に識別子が存在しないSIP要求の識別子を処理中識別子に追加する識別子追加機能と、
処理中識別子を格納する処理中識別子格納機能と、
SIP応答受信時にSIP応答に格納された識別子を処理中識別子から削除する識別子削除機能と、
SIP要求の優先度ごとにキューを保持し、前記SIP要求優先度判定機能または前記識別子追加機能から受信したSIP要求を優先度に応じてキューに挿入するSIP要求一時格納機能と、
前記SIP要求一時格納機能のキューに格納されているSIP要求を、SIPサーバの単位時間当たりのSIP要求処理可能量を超えないように、優先度に応じて抽出し、前記SIPプロキシー・サーバ機能を介してSIPサーバに転送する転送SIP要求抽出機能と
を実行させることを特徴とする優先制御プログラム。
【請求項15】
SIPサーバと優先制御装置とから構成されるSIPシステムにおいて、
前記優先制御装置に、
SIPプロキシー・サーバ機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したメッセージがSIP要求かSIP応答かを判別するメッセージ種別判定機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したSIP要求の種類に応じて、SIP要求の優先度を決定するSIP要求優先度判定機能と、
前記SIP要求優先度判定機能が低優先と判定したSIP要求に格納された識別子が、現在処理中または処理予定のSIP要求の識別子である処理中識別子に存在するかを確認する識別子存在確認機能と、
当該SIP要求の識別子が処理中識別子に存在する場合には当該SIP要求を破棄するSIP要求破棄機能と、
前記SIP要求優先度判定機能に低優先と判定され、かつ、処理中識別子に識別子が存在しないSIP要求の識別子を処理中識別子に追加する識別子追加機能と、
処理中識別子を格納する処理中識別子格納機能と、
SIP要求の優先度ごとにキューを保持し、前記SIP要求優先度判定機能または前記識別子追加機能から受信したSIP要求を優先度に応じてキューに挿入するSIP要求一時格納機能と、
前記SIP要求一時格納機能のキューに格納されているSIP要求を、SIPサーバの単位時間当たりのSIP要求処理可能量を超えないように、優先度に応じて抽出し、SIPプロキシー・サーバ機能を介してSIPサーバに転送する転送SIP要求抽出機能と、
前記転送SIP要求抽出機能により抽出されたSIP要求に格納された識別子を処理中識別子から削除する識別子削除機能と
を実行させることを特徴とする優先制御プログラム。
【請求項16】
SIPサーバと優先制御装置とから構成されるSIPシステムにおいて、
前記優先制御装置に、
SIPプロキシー・サーバ機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したメッセージがSIP要求かSIP応答かを判別するメッセージ種別判定機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したSIP要求の種類に応じて、SIP要求の優先度を決定するSIP要求優先度判定機能と、
前記SIP要求優先度判定機能で低優先と判定されたSIP要求の識別子を抽出する識別子抽出機能と、
前記識別子抽出機能が抽出した識別子と同一の識別子を保持するSIP要求が、前記SIP要求一時格納機能が保持するキューに既に挿入されているかを検索するキュー検索機能と、
前記キュー検索機能により、前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したSIP要求が、既にキューに存在する場合には当該SIP要求を破棄するSIP要求破棄機能と、
SIP要求の優先度ごとにキューを保持し、前記SIP要求優先度判定機能または前記キュー検索機能から受信したSIP要求を優先度に応じてキューに挿入するSIP要求一時格納機能と、
前記SIP要求一時格納機能のキューに格納されているSIP要求を、SIPサーバの単位時間当たりのSIP要求処理可能量を超えないように、優先度に応じて抽出し、前記SIPプロキシー・サーバ機能を介してSIPサーバに転送する転送SIP要求抽出機能と
を実行させることを特徴とする優先制御プログラム。
【請求項17】
SIPサーバと優先制御装置とから構成されるSIPシステムにおいて、
前記優先制御装置に、
SIPプロキシー・サーバ機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したメッセージがSIP要求かSIP応答かを判別するメッセージ種別判定機能と、
前記SIPプロキシー・サーバ機能が受信したSIP要求の種類に応じて、SIP要求の優先度を決定するSIP要求優先度判定機能と、
前記SIP要求優先度判定機能が低優先と判定したSIP要求を、前記SIP要求一時格納機能が保持する低優先キューに挿入する時刻を追加する挿入時刻追加機能と、
SIP要求が低優先キューに挿入された時刻を格納する挿入時刻格納機能と、
SIP要求の優先度ごとにキューを保持し、前記SIP要求優先度判定機能または前記識別子追加機能から受信したSIP要求を優先度に応じてキューに挿入するSIP要求一時格納機能と、
前記SIP要求一時格納機能のキューに格納されているSIP要求を、SIPサーバの単位時間当たりのSIP要求処理可能量を超えないように、優先度に応じて抽出し、前記SIPプロキシー・サーバ機能を介してSIPサーバに転送する転送SIP要求抽出機能と、
前記転送SIP要求抽出機能が抽出したSIP要求が有効期限を越えていないか確認する有効期限確認機能と、
前記有効期限確認機能の結果、前記転送SIP要求抽出機能が抽出したSIP要求が有効期限を越えていた場合には該当SIP要求を破棄するSIP要求破棄機能と、
前記挿入時刻格納機能が保持する挿入時刻から該当SIP要求の挿入時刻を削除する挿入時刻削除機能と
を実行させることを特徴とする優先制御プログラム。
【請求項18】
SIPサーバと優先制御装置とから構成されるSIPシステムの前記優先制御装置による優先制御方法であって、
前記SIPプロキシー・サーバが受信したメッセージがSIP要求かSIP応答かを判別するメッセージ種別判定ステップと、
前記SIPプロキシー・サーバが受信したSIP要求の種類に応じて、SIP要求の優先度を決定するSIP要求優先度判定ステップと、
前記SIP要求優先度判定ステップが低優先と判定したSIP要求に格納された識別子が、現在処理中または処理予定のSIP要求の識別子である処理中識別子に存在するかを確認する識別子存在確認ステップと、
当該SIP要求の識別子が処理中識別子に存在する場合に、当該SIP要求を破棄するSIP要求破棄ステップと、
前記SIP要求優先度判定ステップに低優先と判定され、かつ、処理中識別子に識別子が存在しないSIP要求の識別子を処理中識別子に追加する識別子追加ステップと、
処理中識別子を格納する処理中識別子格納ステップと、
SIP応答受信時にSIP応答に格納された識別子を処理中識別子から削除する識別子削除ステップと、
SIP要求の優先度ごとにキューを保持し、前記SIP要求優先度判定ステップまたは前記識別子追加ステップから受信したSIP要求を優先度に応じてキューに挿入するSIP要求一時格納ステップと、
前記SIP要求一時格納ステップのキューに格納されているSIP要求を、SIPサーバの単位時間当たりのSIP要求処理可能量を超えないように、優先度に応じて抽出し、前記SIPプロキシー・サーバを介してSIPサーバに転送する転送SIP要求抽出ステップと
を有することを特徴とする優先制御方法。
【請求項19】
SIPサーバと優先制御装置とから構成されるSIPシステムの前記優先制御装置による優先制御方法であって、
前記SIPプロキシー・サーバが受信したメッセージがSIP要求かSIP応答かを判別するメッセージ種別判定ステップと、
前記SIPプロキシー・サーバが受信したSIP要求の種類に応じて、SIP要求の優先度を決定するSIP要求優先度判定ステップと、
前記SIP要求優先度判定ステップが低優先と判定したSIP要求に格納された識別子が、現在処理中または処理予定のSIP要求の識別子である処理中識別子に存在するかを確認する識別子存在確認ステップと、
当該SIP要求の識別子が処理中識別子に存在する場合には当該SIP要求を破棄するSIP要求破棄ステップと、
前記SIP要求優先度判定ステップで低優先と判定され、かつ、処理中識別子に識別子が存在しないSIP要求の識別子を処理中識別子に追加する識別子追加ステップと、
処理中識別子を格納する処理中識別子格納ステップと、
SIP要求の優先度ごとにキューを保持し、前記SIP要求優先度判定ステップまたは前記識別子追加ステップから受信したSIP要求を優先度に応じてキューに挿入するSIP要求一時格納ステップと、
前記SIP要求一時格納ステップでキューに格納されているSIP要求を、SIPサーバの単位時間当たりのSIP要求処理可能量を超えないように、優先度に応じて抽出し、SIPプロキシー・サーバを介してSIPサーバに転送する転送SIP要求抽出ステップと、
前記転送SIP要求抽出ステップにより抽出されたSIP要求に格納された識別子を処理中識別子から削除する識別子削除ステップと
を有することを特徴とする優先制御方法。
【請求項20】
SIPサーバと優先制御装置とから構成されるSIPシステムの前記優先制御装置による優先制御方法であって、
前記SIPプロキシー・サーバが受信したメッセージがSIP要求かSIP応答かを判別するメッセージ種別判定ステップと、
前記SIPプロキシー・サーバが受信したSIP要求の種類に応じて、SIP要求の優先度を決定するSIP要求優先度判定ステップと、
前記SIP要求優先度判定ステップで低優先と判定されたSIP要求の識別子を抽出する識別子抽出ステップと、
前記識別子抽出ステップが抽出した識別子と同一の識別子を保持するSIP要求が、前記SIP要求一時格納ステップが保持するキューに既に挿入されているかを検索するキュー検索ステップと、
前記キュー検索ステップにより、前記SIPプロキシー・サーバが受信したSIP要求が、既にキューに存在する場合には当該SIP要求を破棄するSIP要求破棄ステップと、
SIP要求の優先度ごとにキューを保持し、前記SIP要求優先度判定ステップまたは前記キュー検索ステップから受信したSIP要求を優先度に応じてキューに挿入するSIP要求一時格納ステップと、
前記SIP要求一時格納ステップのキューに格納されているSIP要求を、SIPサーバの単位時間当たりのSIP要求処理可能量を超えないように、優先度に応じて抽出し、前記SIPプロキシー・サーバを介してSIPサーバに転送する転送SIP要求抽出ステップと
を有することを特徴とする優先制御方法。
【請求項21】
SIPサーバと優先制御装置とから構成されるSIPシステムの前記優先制御装置による優先制御方法であって、
前記SIPプロキシー・サーバが受信したメッセージがSIP要求かSIP応答かを判別するメッセージ種別判定ステップと、
前記SIPプロキシー・サーバが受信したSIP要求の種類に応じて、SIP要求の優先度を決定するSIP要求優先度判定ステップと、
前記SIP要求優先度判定ステップが低優先と判定したSIP要求を、前記SIP要求一時格納ステップが保持する低優先キューに挿入する時刻を追加する挿入時刻追加ステップと、
SIP要求が低優先キューに挿入された時刻を格納する挿入時刻格納ステップと、
SIP要求の優先度ごとにキューを保持し、前記SIP要求優先度判定ステップまたは前記識別子追加ステップから受信したSIP要求を優先度に応じてキューに挿入するSIP要求一時格納ステップと、
前記SIP要求一時格納ステップのキューに格納されているSIP要求を、SIPサーバの単位時間当たりのSIP要求処理可能量を超えないように、優先度に応じて抽出し、前記SIPプロキシー・サーバを介してSIPサーバに転送する転送SIP要求抽出ステップと、
前記転送SIP要求抽出ステップが抽出したSIP要求が有効期限を越えていないか確認する有効期限確認ステップと、
前記有効期限確認ステップの結果、前記転送SIP要求抽出ステップが抽出したSIP要求が有効期限を越えていた場合には該当SIP要求を破棄するSIP要求破棄ステップと、
前記挿入時刻格納ステップが保持する挿入時刻から該当SIP要求の挿入時刻を削除する挿入時刻削除ステップと
を有することを特徴とする優先制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−244970(P2008−244970A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83774(P2007−83774)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】