説明

充填シューと粉末を充填および固める方法

その後粉末を固めるために粉末固め装置の空洞中へ粉末を通し、かつ分配する充填シュー装置が開示されており、前記充填シュー装置が充填シューを含み、前記充填シューが粉末を前記充填シュー中へ受け入れる入口部分と、前記粉末固め装置の空洞中へ前記充填シューから粉末を分配する出口部分を有する粉末流出路を形成する出口部分と、出口開口部を横切って前記粉末流路に配置されている網状体を含み、前記網状体が前記出口部分において運動不可能に配置されており、前記出口部分が前記充填シュー装置に対して運動不可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉末固め装置に使用する充填シュー装置に関する。充填シューは該充填シュー中へ粉末を受け入れるための入口部分と、出口部分であって、前記粉末固め装置の空洞中へ前記充填シューから粉末を分配するための出口開口部を有する粉末出口流路を形成している出口部分とを含む。
【0002】
本発明は更に、粉末固め装置の空洞に粉末を充填し、かつ固める方法にも関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来の粉末固め装置においては。粉末は粉末供給源から充填シューまで送られ、該充填シューから固めダイの固め空洞中へ送られる。固めが完了することになると、充填シューは該充填シューを動かすことによって前記固め空洞の開口部から取り出され、次いでパンチが前記固め空洞内で粉末に対して強力に押圧される。
【0004】
多くの場合において、最終製品の密度と性能は不満足な形で変動することが判明した。密度と性能とは同一種類の製品の諸々の塊の間で、および(または)単一の塊内においても変動しうる。不均一な充填による別の影響は空洞に充填された粉末の量が変動して製造された製品間で重量の不満足なばらつきをもたらすことである。
【0005】
この問題に対して提案された一つの方法は粉末の見掛け密度と比較して空洞中へ充填される粉末の密度を増大させることによって前記の問題が対処されるような粉末固め装置の設計である。
【0006】
例えば前記米国特許第5,672,313号は当該材料を高度かつ均一な密度で詰めるために粉末成形装置および粉末送り装置を製造する方法を開示している。本方法は空洞中の粉末の密度が見掛け密度の少なくとも1.1倍まで増大するまで粉末材料が充填シューボックス中にある間粉末材料を振動させることを含む。シューボックス内で粉末を効果的に振動させるために、直立した仕切り板から形成され、複数の上方および下方が開放している個室がシューボックス内に設けられる。各個室において、粉末は振動されて僅かに予備固めした粉末の個別の充填分とされ、各充填分が固め用空洞の諸々の部分の中へ提供される。このような設計はその結果相対的に高度の充填密度をもたらす。しかしながら、各個室からの粉末充填分の間に差異があるとか、空洞中へ充填されるとき各個室からの充填分の間の境界面において前記充填分が相互に混ざり合わない危険性がある。
【0007】
米国特許第3,893,791号は押圧ダイに充填するための類似の装置を開示している。この装置においては、充填シューには該充填シュー内でグレーチング(格子)が設けられている。前記グレーチングは駆動手段に接続されており、それによって粉末の充填分を振動させることができるようにしている。この設計においては、グレーチングは交差した薄板金属帯片から形成されている。結果的にこの設計は米国特許第5,672,313号における設計と同じ利点および欠点を基本的に持ち合わせている。
【0008】
粉末を構成する粒体は相互に繋がるとか、あるいは詰まる傾向があるという事実および粉末床に空気が捕捉されるという事実によって密度の変動が屡発生する。
【0009】
固め空洞における粉末の均一な分配を達成し、それによって粉末の固まりに均一な密度を提供するためにこの問題に対する数種の解決方法が提案されてきた。
その一つの解決方法が米国特許第3,972,449号に開示されている。この特許文書は粉末を空洞中へ分配する間異なる速度でグリッドを往復運動させる手段に結合されたグリッドを含む粉末送給装置を記載している。前記グリッドは充填シューの下方内側部分に配置され、水平面を往復運動可能である。前記グリッドは近接離隔したロッドからつくられることが好ましいが、また例えば金網あるいはスクリーンのようなワイヤ網状体から形成してもよい。米国特許第3,972,449号は前記グリッドが前後に振動すべきであるのみならず、毎分当りのサイクル数が可変であるべきことを強調し、かつ特許請求している。前記グリッドは毎分数百回のサイクルを前後に運動できる必要がある。この種の方法は多数の運動部分を備えた複雑な設計を伴う。また、この設計は合成粉末の分離を発生させ、そのことが不満足な密度分布をもたらし、かつ、例えばグラファイトのような微細粒子の粉塵を発生させる。また、振動によって充填シューにおいて粉末を不都合に詰め込み、そのことが不均一な充填をもたらしうる危険性もある。
【0010】
米国特許第5,881,357号に開示されている別の従来技術による粉末充填方法においては、ガスを排出する孔を有するパイプが粉末ボックスに配置されている。粉末の粒子が相互に対して動きうるように粉末が空洞中へ入るにつれてガスが粉末ボックス内の粉末中へ排出される。ガスの排出によって、粉末は空洞内で渦巻き上がることなく、かつ不均等に沈着することなく空洞へ円滑に入ることができ、そのために充填時間が短縮され、粒子サイズ分布が均一になる。しかしながら、この設計は複雑であり、かつ充填シューへ加圧された空気を提供することを要する。
【0011】
米国特許第6,475,430号に開示されている別の類似の粉末充填方法においては、低圧状態から高圧状態に交互に数回空気圧が切り替えられるエアタッピング方法によって材料は容器中へ詰められる。前記の低圧状態を前記空間の外部に存在する大気圧と等しいか、あるいはそれより高く保つことによって、材料は前記容器の外側の大気が流入することによって上方へ吹き上げられないようにされる。その後、材料は前記の容器中へ均等に詰められる。しかしながら、この設計は複雑であり、かつ二種類の空気圧で加圧空気を提供する必要がある。
【0012】
このように、粉末を固め空洞中へ充填するための改良された装置と方法に対する要求が依然として存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は充填された空洞における粉末密度の望ましくないばらつきに係る問題を解決する安定し、頑丈で、かつ簡単な構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は本発明によれば、継続する粉末を固めるために、粉末固め装置の空洞中へ粉末を通し、かつ分配する充填シュー装置であって、
前記充填シュー装置が充填シューを含み、該充填シューが、
― 粉末を前記充填シュー中へ受け入れる入口部分と、
― 前記充填シューから前記粉末固め装置の空洞中へ粉末を分配する出口開口部を有する粉末出口流路を形成する出口部分と、
― 前記出口開口部を横切って前記粉末流路に配置された網状体を含み、
前記網状体が前記出口部分に運動不可能に配置されており、かつ前記出口部分が前記充填シュー装置に対して運動不可能であることを特徴とする充填シュー装置によって達成される。
【0015】
本発明は、充填された空洞における粉末の均等な密度を確保する、安定し、頑丈で、簡単な構造であるという利点を提供する。本発明はまた、費用のかかる改造を行うことなく色々な種類の既存の押圧装置を応用することも可能である。網状体は粉末が繋がるのを阻止し、捕捉された空気は排出することができる。それによって、空洞の容積において該空洞の充填は均一に行われ、かつ空洞内の粉末の均等な密度が得られる。更に、押圧された粉末部分間での重量の変動、すなわち重量のばらつきが低減する。
【0016】
別の利点は充填装置が何ら運動部分を含んでいないことであり、従って、運動を起こす手段が必要とされないことである。網状体は出口部分において、運動不可能に、すなわち固定配置されており、出口部分は充填シュー装置全体に対して運動不可能であり、それによって充填シューを通して粉末を運ぶために充填シュー装置に何ら機械的な力が加えられない、すなわち移転されない。出口部分に網状体を運動不可能に配置させることによって、かつ出口部分を充填シュー装置に対して運動不可能とすることによって、何ら運動部分や、運動を起こす手段は存在せず、従って充填シュー装置は最小の作動や保守を要するのみの簡単な装置となる。更に、本装置の技術的な利点は既存装置に容易に適用可能であり、かつ転用されるので、既存装置を引続き使用することが可能で、新規、かつ特殊な装置と取り替える必要がないという利点を有している。
【0017】
前記網状体は出口部分において、前記出口開口部から10ミリメートル以下、好ましくは0−7ミリメートルの間、最も好ましくは0−5ミリメートルの間の距離に配置させればよい。それによって、粉末は前記網状体から空洞中への途中において繋がりの顕著な再形成がないようにされる。別の利点は、このことによって最適な充填を達成させるために前記網状体を各種の粉末成分に適合させることができることである。出口開口部からの距離を決定する際、空洞との境界面を形成する出口開口部が関連の出発点となることに注目すべきである。もしも出口開口部を形成する出口部分にロッキング手段などが設けられているとすれば、前記の距離決定に際してはこれらは無視してよい。一実施例において、網状体を形成するワイヤは、充填シューが空洞の開口部へ、あるいはそこから動かされるときダイの表面と接触している。換言すれば、空洞と対面する網状体の面は空洞の境界平面すなわち開口平面と接触している。
【0018】
網状体には、繋がりを最適な方法で阻止するために、1−200、好ましくは1−100mmのサイズの開口が設けられる。別の利点は、開口のサイズを適正に選択することによって当該網状体を実際の粉末成分に適合させることができることである。
【0019】
ある状況下においては、網状体が充填シューの断面積の一部のみを覆うようにさせることが好ましい。この特徴による別の利点は使用される粉末に適合できることである。
【0020】
充填シューは更に、出口開口部を完全に覆う網状体を含みうる。この特徴の結果網状体を最適に貫流するという利点が得られる。別の利点は、それによって充填時間の短縮が可能であることである。
【0021】
一実施例において、充填シュー装置の入口部分の延長部分が充填シュー装置における粉末の量を調整するように調整可能となるように配置されている。このことが本発明の利点であるのは、充填シュー装置内の粉末が多すぎるのは望ましくないこと、入口部分および充填シュー装置における空気は網状体を通過できるようにすることが好ましいこと、かつ充填シュー装置に粉末が多すぎると空気が網状体を通過するのを阻害しうるからである。入口部分が充填シュー装置内でどの程度深く下方へ延在するかを配備および(または)調整することによって、充填シュー装置における粉末の量を所望の、かつ有利な量に従って調整することができる。
【0022】
一実施例において、入口部分は、遠位端から網状体近傍の近位端まで延在し、網状体からある距離をおいて配置された、例えばパイプ部材の形態の流路であり、前記流路の近位端と網状体との間の距離は調整可能とされており、前記流路の近位端は前記網状体に対して鋭角に配置され、前記入口部分の出口は前記網状体に対して概ねへ平行である縁部によって画成されている。
【0023】
本実施例の利点は、出口縁部が網状体に対して概ね平行であるので、前記粉末流路を通しての粉末の分配によって前記網状体を横切って粉末を均一に配分しうることである。
【0024】
更に、粉末の分配は制御された仕方で行われ、平行配置であるため粉末が網状体を通過するとき粉塵の立ち上がりが低減されうる。
【0025】
本発明は、前述し、かつ下記説明にある充填シュー装置と、粉末充填および固めのための対応する方法、および(または)最初に述べた局面に関連して説明した利益および利点の一つ以上をもたらし、かつ各々が最初に述べて局面に関連して説明し、かつ(または)特許請求の範囲において開示された実施例に対応する一つ以上の実施例を有している更に別の方法および製造手段を含む種々の局面に関するものである。
【0026】
本発明は更に、粉末固め装置の空洞に粉末を充填する方法にも関する。本方法は、粉末供給源から充填シューによって粉末を受け取り、充填シューの出口部分に運動不可能に、すなわち固定されて配置の網状体に粉末を通し、前記出口部分から粉末を前記空洞中へ分配することを含み、粉末の通過および分配が何ら運動を起こす作動無しに実行される方法である。
【0027】
利点は本方法が空洞に粉末を充填する簡単で、信頼性があり、しっかりした方法を提供することである。
【0028】
本方法は空洞中へ粉末を分配する間固定状態に配置されている充填シュー装置を使用するステップを含みうる。
【0029】
この特徴の利点はより少ないステップよりなる簡素化された方法と、より少ない機構を備えた装置であることである。
【0030】
粉末の通しと分配とが充填シュー装置において何ら運動を伴う作動無しに実行されるので、充填シュー装置と粉末固め装置とは最小の作動と労力で済む簡単な装置としうる。従って、充填シュー装置を通しての粉末の通しと分配、あるいは搬送は充填シュー装置に力を加えたり、あるいは充填シュー装置を運動させることなく行われ、換言すれば、粉末の通しあるいは分配に充填シュー装置に関連して機械的な搬送手段は何ら使用されない。更に、本充填シュー装置は例えば粉末固め装置のような既存の装置に容易に適用可能であり、既存装置を引続き使用可能とし、新規および特殊な装置に取り替える必要が無いという利点を有している。
【0031】
ある実施例においては、本方法は更に、空洞内で粉末を固め、それによって固められた塊を形成するというステップを含む。
【0032】
この結果均一な密度で、固められた塊の間の重量のばらつきがより少ない固められた塊が得られる。別の利点は、本方法は粉末を固めるための簡単で、信頼性があり、かつしっかりした方法を提供することである。
【0033】
本方法は更に固められた塊を焼結するステップを含みうる。
【0034】
粉末固め装置の空洞に粉末を充填し、かつ固めるという前記の方法の前述の説明に従った好適実施例のいずれか一つによって充填シュー装置を使用することが好ましい。
【0035】
ある実施例においては、充填シュー装置を使用する方法が開示されている。
【0036】
本発明の前述および(または)その他の目的、特徴並びに利点は、添付図面を参照した本発明の実施例の例示的であり、非限定的な詳細説明によって更に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明を本発明の現在好適である実施例を示す添付概略図面を参照して例示として以下詳細に説明する。
【図1】粉末固め装置の空洞の上方における充填シューの側面図である。
【図2】充填シューの側面図である。
【図3a】本発明による充填シューの網状体の第一の実施例を示す。
【図3b】本発明による充填シューの網状体の第二の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の説明において、本発明を実施しうる態様を例示する添付図面を参照する。
【0039】
図1および図2は粉末固め装置に使用する充填シューの好適実施例を示す。充填シュー1は基本的に入口部分2と、出口部分3と網状体6とからなる。出口部分3は出口開口部5を有する粉末流出路を形成する。粉末固め装置は更に、ダイにおける空洞7を含む。図1において、前記空洞7はダイの空洞内で芯8を使用して環状の形状とされている。
【0040】
図1によれば、充填シュー1は粉末固め装置の一部である。充填シュー1は粉末分配の間、粉末固め装置の空洞7の上方に配置される。充填シュー1の入口部分2は粉末供給源に接続可能なように配置されている。充填シュー1の出口部分3は空洞7に解除可能に接続されるように配置されている。
【0041】
図2は充填シュー1の側面図を示し、出口開口部5を有する粉末流出路を形成する充填シュー1の出口部分3と網状体6を開示している。網状体6は充填シュー1の出口部分3に固定配置されている。網状体6は出口開口部5を横切って粉末流路内に配置されている。充填シュー1の網状体6は出口開口部から10ミリメートル以下、好ましくは0−7ミリメートルの間、最も好ましくは0−5ミリメートルの距離をおいて配置されている。本実施例においては、網状体は出口開口5を完全に被覆している。出口開口部5は好適実施例においては、空洞7の入口開口部との境界平面を形成しうる。網状体6は出口開口部から前記距離をおいて前記平面に沿って延在する。
【0042】
充填シュー1における入口部分2の延長部は充填シュー1における粉末の量を調整するように調整可能になるように配置しうる。
【0043】
図1および図2は、前記入口部分2は遠位端から網状体6の近傍の近位端に向かって延在し、網状体6からある距離をおいて配置されたパイプ部材でよいことを示している。前記パイプの近位端と網状体6との間の距離は該網状体6に対して鋭角をつけて調整可能に配置すればよく、入口部分2の開口部は網状体6に対して概ね平行である縁部10によって画成しうる。
【0044】
図3aおよび図3bは格子(グリッド)すなわち網(ネット)を形成する網状体6を示す。前記格子は第一の方向に延在する第一の一連の複数の平行で等間隔の金網と前記第一の方向に対して直交する第二の方向に延在する第二の一連の複数の平行で等間隔の金網とから形成されている。このようにして形成された開口は四角形である。図3aにおいては、前記開口は8ミリメートルX8ミリメートルであり、図3bにおいて前記開口は4ミリメートルX4ミリメートルである。別の実施例において、前記網状体6の形状は円形の開口の形態としうる。例えば、楕円形、長方形、菱形のようなその他の形状も考えられる。各開口は1−100mmのサイズであることが好ましい。一実施例によれば、所定の網状体6における全ての開口は同じサイズおよび同じ形状である。
【0045】
この実施例において、前記網状体6は金属ワイヤから形成されているが、別の実施例においては、出口開口部の平面に沿って基本的に延在する穿孔プレートなどから形成してもよい。
【0046】
粉末固め装置の空洞中へ粉末を分配するために、粉末は粉末供給源から充填シュー1の入口部分2に受け入れられる。粉末は充填シュー1の内側を通して搬送される。充填シュー1の出口部分3において、粉末は粉末流出路および出口開口部5を通過し、それによって粉末流路において出口開口部5を横切って固定配置されている網状体6を通過する。それによって、粉末は空洞7中へ分配される。
【0047】
その後、粉末は前記空洞内で粉末を押圧し、かつ固めるパンチを使用して、前記空洞内で固められ、それによって固め塊を形成する。次いで、この塊は更に処理するために焼結しうる。
【0048】
空洞7を充填すべき場合、充填シュー1と空洞7の開口部との間の運動は前記空洞7の開口部と充填シュー1の出口開口部とが整合するまで充填シュー1を移動させることによって実行される。空洞7内の粉末を固めるべき場合、充填シュー1と空洞7との間の相対運動は空洞7の開口部がパンチに対して露出されるまで実行される。パンチを空洞7中へ降下させることによって粉末が固められる。代替的に、前記空洞7の露出された開口部がダイ部分によって被覆され、パンチが反対方向から粉末に対して導入される。そのような設計においては、充填の間、パンチを同時に降下させ(すなわち、空洞を広げ)僅かな負圧を発生させ、それによって空洞への充填を促進することができる。このように、例えば重力充填および所謂吸引充填のようは諸々の充填形態を利用して種々の粉末固め装置で使用するように本発明を適合させることが考えられる。
【0049】
空洞7中への粉末の分配の間、充填シュー1は固定配置としうる。網状体6の開口部のサイズおよび形状並びに開口の合計面積は提供された特定の粉末を粉末固め装置に合うように適合させることができるパラメータである。更に、出口部分3から網状体6の位置および網状体6の延長部分までの距離も空洞7において均等な密度を得るように諸々の粉末成分を合わせるよう適合しうるパラメータである。このように、ある粉末成分に適合する網状体6の特定の設計を見出すことが可能である。
【0050】
試験結果は、充填シュー1において網状体6を固定配置にすれば製造された塊の重量のばらつきを低減させることが可能であることを示した。充填速度(ストローク/分)がより高い場合であったとしても、標準的なばらつきが低減される。従って、空洞7の最適な充填をもたらす網状体6の設計と充填および固め速度との間で適当な関係を見つけることが可能である。
【0051】
以下、典型的な二組の実験結果を詳細に説明する。
【0052】
例 1
スエーデンのハガナス会社(Hoeganaes AB)から市販されており、更に2.0%のCu粉末100メッシュ、0.8%のグラファイトUF4,0.8%の金属アミド(amide)ワックス、エチレンビス−ステアラミド(ethylenebis−stearamide)を含有する純鉄粉末ASC100.29に基づいて鉄ベースの粉末成分を調製した。
【0053】
前記粉末成分は固め装置の上方に位置した容器まで搬送された。前記容器から、チューブが充填シューまで延在している。充填シューの幅は8.5センチメートルで、長さは8.5センチメートルで、高さは前端では2.5センチメートル、後端では5センチメートルである。充填シューの底部は開放している。充填シューが空洞の上方の位置まで動かされると、粉末で充填される。前記空洞が充填された後、充填シューは後退し、固めが開始しうる。
【0054】
高さが13ミリメートルで、内径が19ミリメートルで、外径が25ミリメートルである200個のリングが600MPaの圧力で押圧された。呼称重量は約19グラムであって、押圧速度は14ストローク/分であった。押圧の後、各リングの重量が検出され、重量の標準的なばらつきが計算された。
【0055】
その後、メッシュサイズが4ミリメートルの網の形態の網状体が充填シューの底部に装着された。14ストローク/分の押圧速度で200個のリングが押圧され、16ストローク/分の押圧速度で200個のリングが押圧された。各リングの重量が検出され、各押圧速度に対して重量の標準的なばらつきが検出された。その後メッシュサイズが8ミリメートルの網が代わりに装着され、実験が繰り返された。
【0056】
表 1、例1による実験
【表1】

【0057】
網状体が何ら使用されなかった場合と比較して、充填シューに網状体が位置された場合、同じ押圧速度(14ストローク/分)においては重量のばらつきが顕著に小さいことが注目されうる。また、もしも網状体が使用されるとすれば、押圧速度が16ストローク/分まで増大したとしても網状体の無い基準試験(14ストローク/分)と比較して重量のばらつきは依然として顕著に小さい状態に留まっていることも注目されうる。
【0058】
例 2
例1と同じ実験体制(セットアップ)が使用された。ハガナス社(Hoeganaes AB)社から市販されている純鉄粉末ASC100.29に基づき、更に2.0%のCu粉末100メッシュと、0.8%のグラファイトUF4、と0.8%の金属アミドワックスと、エチレンビス−ステアラミドと、0.005%のトール油−エステルベースの結合剤を含有する結合された粉末成分が調製された。
【0059】
表 2、 例2による実験
【表2】

【0060】
表2から、網状体が何ら使用されなかった場合と比較して網状体を充填シューに位置させた場合、同じ押圧速度(11.5ストローク/分)において重量のばらつきが顕著により小さくなっていることが注目しうる。また、もしも網状体が使用されるとすれば、たとえ押圧速度が14あるいは16ストローク/分まで増大したとしても網状体の無い基準試験(11.5ストローク/分)と比較して依然として顕著により小さく留まっていることも注目しうる。
【0061】
特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に依然としてある中で、本明細書で説明した実施例に多数の修正がなされることが考えられる。
【0062】
所定の網状体の開口は、例えば種々の形状および(または)種々のサイズとしうる。形状および(または)サイズにおける変更は交互にするか、あるいは出口開口部の延在部分に対する開口の位置に応じて変えればよい。
【0063】
ある実施例を詳細に説明し、かつ図示してきたが、本発明はそれらに限定されるのではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される主体の範囲内で他の方法で実施することも可能である。特に、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施例を利用するとか、構造的および機能的な修正を行ってもよいことを理解すべきである。
【0064】
数種の手段を列挙している装置特許請求において、これら手段の中の数個はハードウエアの1個の、同じ品目によって実施することができる。ある方策が相互に異なる従属項に引用されているとか、あるいは異なる実施例において説明されているという単なる事実があるとしてもこれらの手段を組み合わせても有利に使用することはできないということを指示するものでない。
【0065】
本明細書において使用されている場合の“comprises/comprising”という用語は述べられた特徴、完全体、ステップあるいは構成要素の存在を特定するものであって、一つ以上のその他の特徴、完全体、ステップ、構成要素あるいはそれらの組み合わせの存在あるいは追加を排除するものでないことを強調しておくべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
継続する粉末を固めるために粉末を粉末固め装置の空洞中へ通し、かつ分配する充填シュー装置であって、充填シューを含む充填シュー装置において、前記充填シューが、
粉末を前記充填シュー中へ受け入れるための入口部分と、
前記充填シューから前記粉末固め装置の空洞中へ粉末を分配する出口開口を有する粉末流出路を形成する出口部分と、
前記出口開口部を横切って前記粉末流出路に配置されている網状体とを含み、前記網状体が前記出口部分に運動不可能に配置されており、前記出口部分が前記充填シュー装置に対して運動不可能であることを特徴とする充填シュー装置。
【請求項2】
前記充填シューに粉末を通すための運動部分を何ら含んでいないことを特徴とする請求項1に記載の充填シュー装置。
【請求項3】
前記網状体が、前記出口開口部から10ミリメートル以下、好ましくは0−7ミリメートルの間、最も好ましくは0−5ミリメートルの間の距離に前記出口部分に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の充填シュー装置。
【請求項4】
前記網状体が1−200mmの間、好ましくは1−100mmの間のサイズの開口を有していることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の充填シュー装置。
【請求項5】
前記網状体が前記出口開口部の一部を被覆することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の充填シュー装置。
【請求項6】
前記充填シューの入口部分の延長部が前記充填シューにおける粉末の量を調整するために調整可能となるように配置されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の充填シュー装置。
【請求項7】
前記入口部分が遠位端から前記網状体の近傍の近位端まで延在し、前記網状体からある距離をおいて配置されている流路であり、前記流路の近位端と前記網状体との間の距離が調整可能に配置されており、前記流路の近位端が前記網状体に対して鋭角に配置されており、前記入口部分の出口が前記網状体に対して概ね平行の縁部によって画成されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の充填シュー装置。
【請求項8】
粉末固め装置の空洞に粉末を充填する方法において、
粉末の供給源から粉末を充填シュー装置によって受け取り、
前記充填シュー装置の出口部分に運動不可能に配置された網状体に粉末を通過させ、
前記出口部分から粉末を前記空洞中へ分配するステップを含み、
粉末を通過させ、分配するステップが運動を伴う作動無しに実行されることを特徴とする粉末を粉末固め装置の空洞に充填する方法。
【請求項9】
前記充填シュー装置が粉末を前記空洞中へ分配する間固定状態に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記空洞において粉末を固め、それによって固められた塊を形成するステップを更に含むことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記固められた塊を焼結するステップを更に含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の充填シュー装置を使用するステップを含むことを特徴とする請求項8から11までのいずれか1項に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2010−510069(P2010−510069A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537118(P2009−537118)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国際出願番号】PCT/SE2007/001016
【国際公開番号】WO2008/060229
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(595054486)ホガナス アクチボラゲット (66)
【Fターム(参考)】