説明

充填時間を使用してバイオセンサーの精度を改善するためのシステム、装置及び方法

【課題】サンプルへのヘマトクリット値の影響を計上すること。
【解決手段】サンプル中の分析物の濃度を定量するための方法、これと共に使用される装置及びシステムが本明細書で提供される。サンプル中の分析物の濃度を定量するための方法の一例示的実施形態では、この方法は、2つの電極を含む電気化学センサーにおいてサンプルの存在を検出することを含む。サンプルの充填時間は2つの電極を用いて定量され、補正因子は少なくとも充填時間を考慮して計算される。この方法はまた、分析物を反応させて2つの電極間で分析物の物理的変形を生じさせることも含む。次に、分析物の濃度は、同じ2つの電極を用いて補正因子を考慮して定量されてもよい。分析物濃度定量を行うために充填時間を利用するシステム及び装置もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その全体が参照により本願に組み込まれる2009年12月30日に出願された米国特許出願第12/649,594号、表題「Systems,Devices and Methods for Improving Accuracy of Biosensors Using Fill Time」の一部係属出願として米国特許法第120条下の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、サンプル中の分析物の濃度を定量することに関し、より特定的にはサンプルの充填時間に基づいて濃度のより正確な定量を行うことに関する。
【背景技術】
【0003】
生理液、例えば血液又は血液由来の生成物中の分析物検出が、今日の社会で今まで以上に重要性を増している。分析物検出の定量法は、臨床検査、家庭検査などを含めて、多様な用途に利用法が見出されるものであり、そのような検査の結果は、多様な病状の診断及び処置において主要な役割を果たしている。対象とする分析物には、糖尿病の処置のためのグルコース、コレステロールなどが挙げられる。こうした分析物検出の重要性の高まりに応じて、臨床での使用と家庭での使用の両方に対応する多様な分析物検出の手順及び装置が開発されてきた。これらの装置のいくつかには、電気化学セル、電気化学センサー、ヘモグロビンセンサー、酸化防止剤センサー、バイオセンサー及び免疫センサーが挙げられる。
【0004】
分析物検出に作用し得る血液の1つの特性は、ヘマトクリット値である。ヘマトクリット値のレベルは、様々な人々の間で大きく異なり得る。非限定的な例として、貧血症に苦しむ人は、およそ20%のヘマトクリット値レベルを有し得、一方、新生児は、およそ65%のヘマトクリット値レベルを有し得る。同一の個人から一定期間にわたって採取されたサンプルでさえ、異なるヘマトクリット値レベルを有し得る。更に、高いヘマトクリット値はまた、血液の粘性を高める可能性があり、粘性は今度は、分析物検出に関係する他のパラメータに影響する可能性があり、サンプルへのヘマトクリット値の影響を計上することは、正確な分析物濃度定量を行うのに重要であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
血液サンプル中のヘマトクリット値のレベルの変動を計上している1つの方法は、血液から血漿を分離し、次に調整した血漿体積に関して抗原の濃度を再計算することによる。分離は、例えば、遠心分離を行うことによって達成されている。血液サンプルにおけるヘマトクリット値のレベルの変動を計上している他の方法には、計算に平均ヘマトクリット値を使用すること、又は、分離工程でヘマトクリット値を計測し、次に血漿値に関して抗原の濃度を計算することが挙げられる。しかしながら、これらの方法は、少なくともこれらが不必要なサンプル操作を伴い、余分に時間がかかり、及び/又は最終定量において実質的に誤差を導くので、信用できないと考えられる。更に、サンプルが分析される環境における温度もまた、分析物濃度定量の精度に負の影響を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願人は、上記の付随問題をほとんど又は全く有さずに、広いスペクトルのヘマトクリット値レベル及び温度を計上する、より正確な分析物濃度計測を得る方法を開発することが望ましいことを認識している。したがって、システム、装置及び方法は一般にサンプル中の分析物の濃度を定量するために提供される。サンプル中の分析物の濃度を定量するための方法の例示的実施形態では、この方法は、電気化学センサーにおいてサンプルの存在を検出することを含む。電気化学センサーは、例えば、少なくとも2つの電極を含むことができる。2つの電極は、例えば、対向して面した配向を含むことができる。他の実施形態では、2つの電極は、面する配向を含むことができる。
【0007】
この方法は、2つの電極でサンプルの充填時間を定量することと、少なくとも充填時間を考慮して、補正因子を計算することと、を更に含む。この方法はまた、分析物を反応させて2つの電極の間で分析物の物理的変化を生じさせることと、補正因子を考慮して、同じ2つの電極を用いて分析物の濃度を定量することと、を含む。例えば、分析物を反応させることは、2つの電極により電流として測定され得る電気活性種を生じさせることができる。いくつかの実施形態では、充填時間定量及び分析物濃度定量は、どちらも同じ2つの電極を使用して定量することができる。
【0008】
補正された分析物の濃度を計測するための方法の例示的実施形態では、この方法は、電気化学センサーにおいてサンプルの存在を検出することを含む。電気化学センサーは、例えば、少なくとも2つの電極を含むことができる。2つの電極は、例えば、対向して面した配向を含むことができる。他の実施形態では、2つの電極は、面する配向を含むことができる。
【0009】
この方法は、2つの電極を用いてサンプルの充填時間を定量することを更に含む。この方法はまた、分析物を反応させて分析物の物理的変化を生じさせることを含む。この方法は、同じ2つの電極を用いてサンプル中の第一分析物濃度を定量することと、第一分析物濃度及び充填時間に基づいて補正された分析物濃度を計算することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、充填時間定量及び分析物濃度定量は、どちらも同じ2つの電極を使用して定量することができる。
【0010】
一実施形態では、補正された分析物濃度を計算する工程は、充填時間に基づいて補正因子を計算することを含むことができる。このような実施形態では、補正された分析物濃度は、第一分析物濃度及び補正因子に基づいて計算することができる。例示的実施形態では、補正因子は、一連の閾値に基づいて決定することができる。例えば、補正因子は、充填時間が第一充填時間閾値よりも小さい場合には、約ゼロであることができる。別の例では、補正因子は、充填時間が第一充填時間閾値よりも大きく、第二充填時間閾値よりも小さい場合には、充填時間を考慮して計算することができる。更に別の例では、補正因子は、充填時間が第二充填時間閾値よりも大きい場合には、一定値であることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、補正された分析物濃度を計算する工程の詳細は、サンプル中の第一分析物濃度が閾値よりも小さいか又は大きいかのいずれかに依存し得る。例えば、補正された分析物濃度を計算する工程は、補正因子と、サンプル中の第一分析物濃度が閾値よりも小さい場合のサンプル中の第一分析物濃度と、の和を含むことができる。別の例では、サンプル中の第一分析物濃度が閾値よりも大きい場合、補正された分析物濃度を計算する工程は、補正因子を100で除算し、1を加算して中間項を与え、中間項に第一分析物濃度を乗算して、充填時間で補正された分析物濃度を与えることを含むことができる。
【0012】
上記方法のいくつかの実施形態では、サンプルの充填時間は、サンプルが導入されている間に2つの電極の間に電位を印加することと、セル電流を時間の関数として計測することと、時間の関数としてのセル電流に基づいて電流降下時間を定量することと、により、定量され得る。このような実施形態では、電流降下時間は、サンプルの充填時間に相当し得る。いくつかの実施形態では、電流降下時間を定量する工程は、経時的に計測されるセル電流における変化の最大の負の値を計算することを含むことができる。いくつかの実施形態では、電流降下時間を定量する工程は、少なくとも2つの電流値の間の差を計算することを含むことができ、その差は第一の所定の閾値よりも大きい。いくつかの実施形態では、電流降下時間を定量する工程は、少なくとも2つの電流値の間の差を計算することを含むことができ、その差は、第二の所定の閾値よりも小さい。いくつかの実施形態では、電流降下時間を定量する工程は、時間の関数として計測された電流の勾配を計算することを含み、その勾配は第三の所定の閾値よりも大きい。いくつかの実施形態では、電流降下時間を定量する工程は、時間の関数として計測された電流の勾配を計算することを含み、その勾配は第四の所定の閾値よりも小さい。いくつかの実施形態では、電流降下時間を定量する工程は、時間の関数として計測された電流の変曲点を計算することを含むことができる。時間の関数としてのセル電流の計測は、例えば、およそ2ミリ秒毎に電流計測を行うことと、およそ10ミリ秒毎の電流計測値に基づいて平均電流を計算し、保存することと、を含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、サンプルの充填時間を考慮して、サンプル中のヘマトクリット値のレベルを定量することを更に含むことができる。結果として、抗原の濃度は、ヘマトクリット値の定量されたレベルを考慮して定量することができる。
【0013】
上記方法のいくつかの実施形態では、サンプルの存在を検出することは、2つの電極の間に電位を印加することと、第五の所定の閾値よりも大きい電流値の変化を計測することと、を含むことができる。いくつかの実施形態では、サンプルの存在を検出することは、2つの電極の間に電位を印加することと、第六の所定の閾値よりも小さい電流値の変化を計測することと、を含むことができる。いくつかの実施形態では、サンプルの存在を検出することは、2つの電極の間にほぼ一定の電流を印加することと、第七の所定の閾値よりも大きい電位の変化を計測することと、を含むことができる。いくつかの実施形態では、サンプルの存在を検出することは、2つの電極の間にほぼ一定の電流を印加することと、第八の所定の閾値よりも小さい電位の変化を計測することと、を含むことができる。いくつかの実施形態では、サンプルの存在を検出することは、分析物計測機のマイクロプロセッサにより行うことができる。
【0014】
電気化学セルは、グルコースセンサーを含むことができる。別の実施形態では、電気化学セルは、免疫センサーを含むことができる。このような実施形態では、濃度が分析されることになる分析物は、C反応性タンパク質を含むことができる。分析されるサンプルは、血液を含むことができる。一実施形態では、血液は全血を含むことができる。濃度が分析されることになる分析物は、グルコースを含むことができる。
【0015】
補正された分析物の濃度を計測するための方法の例示的実施形態では、この方法は、電気化学センサーにおいてサンプルの存在を検出することを含む。電気化学センサーは、例えば、少なくとも2つの電極を含むことができる。この方法は、2つの電極を用いてサンプルの充填時間を定量することを更に含む。この方法はまた、分析物を反応させて分析物の物理的変化を生じさせることを含む。この方法は、同じ2つの電極を用いてサンプル中の第一分析物濃度を定量することと、第一分析物濃度及び充填時間に基づいて補正された分析物濃度を計算することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、充填時間定量及び分析物濃度定量は、どちらも同じ2つの電極を使用して定量することができる。
【0016】
一実施形態では、補正された分析物濃度を計算する工程は、充填時間に基づいて補正因子を計算することを含むことができる。このような実施形態では、補正された分析物濃度は、第一分析物濃度及び補正因子に基づいて計算することができる。例示的実施形態では、補正因子は、一連の閾値に基づいて決定することができる。例えば、補正因子は、充填時間が第一充填時間閾値よりも小さい場合には、約ゼロであることができる。別の例では、補正因子は、充填時間が第一充填時間閾値よりも大きく、第二充填時間閾値よりも小さい場合には、充填時間を考慮して計算することができる。更に別の例では、補正因子は、充填時間が第二充填時間閾値よりも大きい場合には、一定値であることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、補正された分析物濃度を計算する工程の詳細は、サンプル中の第一分析物濃度が閾値よりも小さいか又は大きいかのいずれかに依存し得る。例えば、補正された分析物濃度を計算する工程は、補正因子と、サンプル中の第一分析物濃度が閾値よりも小さい場合のサンプル中の第一分析物濃度と、の和を含むことができる。別の例では、サンプル中の第一分析物濃度が閾値よりも大きい場合、補正された分析物濃度を計算する工程は、補正因子を100で除算し、1を加算して中間項を与え、中間項に第一分析物濃度を乗算して、充填時間で補正された分析物濃度を与えることを含むことができる。
【0018】
電気化学システムの一例示的実施形態では、このシステムは、試験計器に嵌合するように構成された電気的接触を含む電気化学センサーを含む。電気化学センサーは、第一電極と、離間した関係にある第二電極と、試薬と、を含む。第一及び第二電極は、例えば、対向して面した配向を含むことができる。他の実施形態では、第一及び第二電極は、面する配向を含むことができる。このシステムはまた、試験ストリップに電圧を印加した際に試験ストリップから電流データを受信するように構成され、計算された分析物濃度及び同じ2つの電極を用いて計測された充填時間に基づいて補正された分析物濃度を定量するように更に構成されたプロセッサを含む試験計器を含む。このシステムはまた、電気化学センサーの少なくとも一部分を加熱するように構成された加熱要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、試験計器は、分析物濃度閾値と、第一充填時間閾値と、第二充填時間閾値と、を含有するデータストレージを含むデータ(data includes data storage)を含むことができる。いくつかの実施形態では、電気化学センサー、試験計器及びプロセッサのうちの少なくとも1つは、サンプルの温度を計測するように構成される。
【0019】
一実施形態では、電気化学セルは、グルコースセンサーであることができる。別の実施形態では、電気化学セルは、免疫センサーであってもよい。免疫センサーは、第一液体試薬と、第二液体試薬と、抗原に接合した磁気ビーズと、を含むことができる。一実施形態では、第一液体試薬は、緩衝液中に酵素に接合した抗体を含むことができる。第一液体試薬は下方電極上に縞模様で付けることができ、乾燥させることができる。第二液体試薬は、希酸溶液中にフェリシアニドと酵素に対する基質と第二媒体とを含むことができる。第二液体試薬は、下方電極上に縞模様で付けることができ、乾燥させることができる。一方で、磁気ビーズは、上方電極上に縞模様で付けられ、乾燥させることができる。
【0020】
免疫センサーはまた、複数のチャンバ、セパレータ、通気孔、及び1つ以上のシーリング構成要素を含むことができる。セパレータは、下方電極と上方電極との間に配置することができる。複数のチャンバは、反応チャンバ、検出チャンバ及び充填チャンバを含むことができる。反応チャンバは、セパレータ内に形成することができ、その中に配置された第一試薬及び抗原に接合した磁気ビーズを有することができる。検出チャンバもまた、セパレータ内に形成することができ、その中に配置された第二試薬を有することができる。充填チャンバは、セパレータ及び下方電極と上方電極との一方に少なくとも部分的に形成することができ、検出チャンバからある距離だけ離間させることでき、反応チャンバの少なくとも一部分に重なり合うことができる。通気孔は、セパレータ、下方電極及び上方電極の各々に少なくとも部分的に形成することができ、反応チャンバからある距離だけ離間させることでき、検出チャンバの少なくとも一部分に重なり合うことができる。一実施形態では、1つ以上のシーリング構成要素は、第一シーリング構成要素と、第二シーリング構成要素と、であることができる。第一シーリング構成要素は、組み込まれた抗凝固剤を下方電極及び上方電極の一方に連結させることができ、通気孔の上に配置され、充填チャンバの壁を形成し、通気孔を封止する両方のために構成することができる。第二シーリング構成要素は、下方電極及び上方電極の一方に連結することができ、通気孔を上に配置することができ、通気孔を封止するように構成され得る。一実施形態では、第一シーリング構成要素は親水性接着テープである。制御ユニット、免疫センサー及び計器のうちの少なくとも1つは、サンプルの温度を計測するための構成を含むことができる。本システムが濃度を計算する分析物は、C反応性タンパク質を含むことができる。電気化学セルに導入されたサンプルは血液を含むことができる。一実施形態では、血液は全血を含むことができる。
【0021】
電気化学センサーはまた、非限定的な例として、電気化学セル、グルコースセンサー、グルコース計器、ヘモグロビンセンサー、酸化防止剤センサー、バイオセンサー及び免疫センサーが挙げられる多数の他の分析装置であることができる。一実施形態では、電気化学センサーは、グルコースセンサーである。グルコースセンサーは、作用電極と、対電極又は対/基準電極と、を有する電気化学セルを含むことができる。作用電極と、対電極又は対/基準電極とは、およそ500マイクロメートル以下で離間させることができる。一実施形態では、電極間の間隙は、約80マイクロメートル〜約200マイクロメートルの範囲である。間隙は、例えば、所望の時間で定常状態電流を実質的に達成するといった所望の結果を達成するために定量することができる。一実施形態では、電極間の間隙は、対電極からの反応生成物が作用電極に到達するように選択される。
【0022】
作用電極と、対電極又は対/基準電極とは、様々な構成を有することができる。例えば、電極は互いに面する、電極は互いに実質的に対向することができ、又は電極は、電極が同一平面で近接して位置決めされる並んだ構成を有することができる。電極は、同一の対応領域を実質的に有することができる。電極はまた、平面であってもよい。一実施形態では、電気化学セルは、作用電極と、対電極と、別個の基準電極と、を含む。別の実施形態では、電気化学セルは、2つの電極対を有することができる。電極対は、作用電極と、対電極と、対/基準電極と、別個の基準電極との任意の組み合わせを含むことができるが、一例示的実施形態では、各対は、作用電極と、対電極又は対/基準電極と、を含む。更に別の実施形態では、電気化学セルは、約1.5マイクロリットル以下の有効セル容量を有することができる。電気化学セルは、中空であることができる。
【0023】
電位は、非限定的な例として計器が挙げられる多数の異なる機構により、セルの電極に印加することができる。電位の規模は、非限定的な例としてセル内のサンプルの所望の反応が挙げられる多数の異なる要因に依存し得る。一実施形態では、電位の規模は、サンプルの還元形態の電解酸化又は酸化形態の電解還元が実質的に制御拡散されるように、選択することができる。
【0024】
サンプルは、毛細管現象により、セル内に入ることができる。制御ユニットは、セルに入るサンプルの充填時間を定量するために使用することができる。一実施形態では、制御ユニットは、サンプルの充填時間に相当する電流降下を定量するために、時間の関数としてセル電流を計測するように構成された電流検出器を含むことができる。制御ユニット、電気化学セル、計器のうちの少なくとも1つは、サンプルの温度、又は別の方法として、計器の内側の若しくは計器に取り付けられた電気化学センサーに近接する周囲空気の温度を計測するように構成することができる。
【0025】
血液サンプル中の抗原を計測するための方法の一例示的実施形態は、計器が免疫センサーの2つの電極の間に電位を印加するように2つの電極と電気化学セルに接続された計器とを有する免疫センサーを提供することを含むことができる。本方法は、抗原を含む血液サンプルを免疫センサーの中に導入することと、2つの電極の間に電位を印加すること、血液サンプルの充填時間を計算することと、この充填時間を考慮して抗原の濃度を定量することと、を更に含むことができる。免疫センサーは、2つの電極の間に配置されたセパレータ内に形成された反応チャンバ及び検出チャンバと、セパレータと2つの電極のうちの1つに少なくとも部分的に形成された充填チャンバと、セパレータと2つの電極に少なくとも部分的に形成された通気孔と、を更に含むことができる。充填チャンバは、検出チャンバからある距離だけ離間されることができ、反応チャンバの少なくとも一部分に重なり合うことができる。通気孔は、反応チャンバからある距離だけ離間されることができ、検出チャンバの少なくとも一部分に重なり合うことができる。血液サンプルの抗原は、C反応性タンパク質を含むことができる。この方法は、血液サンプルの温度を計測することを更に含むことができる。結果として、抗原の濃度は、充填時間を考慮して計算することができる。
【0026】
血液サンプルを計測するための方法は、第一緩衝液中の抗体酵素複合体及び第二緩衝液中の抗原と結びついた磁気ビーズを反応チャンバに提供することを更に含むことができる。希酸中のフェリシアニド、グルコース及び媒体は、検出チャンバに提供することができる。第一封止は、充填チャンバの壁を形成する通気口の第一面を覆って提供することができ、第二封止は、通気孔の第二面を覆って提供することができる。免疫センサーの中に導入される血液サンプルの少なくとも一部分は、それが免疫センサーの中に導入されると、充填チャンバから反応チャンバに移動する。
【0027】
本方法は、少なくとも1つの封止を穿孔することによって、所定の時間の後に通気孔を開口することを更に含むことができる。封止のうちの少なくとも1つを穿孔することにより、磁気ビーズに拘束されていない抗体酵素複合体を含有する血液サンプルの一部分を検出チャンバに移動させることが可能になる。更にまた、本方法は、検出チャンバ内のグルコースの酸化を触媒することを含むことができ、結果として、フェロシアニドが形成され得る。電流はフェロシアニドから電気化学的に検出することができ、血液サンプル中の抗原の濃度は、検出される信号を考慮して検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明は、以下の詳細な説明を付属の図面と併せ読むことでより詳細に理解されるであろう。
【図1】本発明によるサンプル中の分析物の濃度を定量する方法についての例示的な方法のフローチャート。
【図2A】本発明による電気化学セルの例示的実施形態の側面概略図(縮尺なし)。
【図2B】図2Aの電気化学セルの上からの平面図。
【図3】本発明による中空電気化学セルの例示的実施形態の断面概略図(縮尺なし)。
【図4A】本発明による組み立てられた試験の斜視図。
【図4B】本発明による組み立てられていない試験ストリップの分解斜視図。
【図4C】本発明による試験ストリップの近位部分の拡大斜視図。
【図5A】本明細書に開示される試験ストリップの一実施形態の底面図。
【図5B】図5Aの試験ストリップの側面平面図。
【図5C】図5Bの試験ストリップの上面平面図。
【図5D】図5Cの試験ストリップの近位部分の部分側面図。
【図6】本発明による免疫センサーの一例示的実施形態の分解図。ここで、免疫センサーは充填時間を計算するための電気化学検出システムを有する制御ユニットでの使用のために構成されている。
【図7】本明細書に提供される様々な血液サンプルを試験するための例示的実施形態と共に、電気化学セルの例示的実施形態を使用して行われた電流対時間遷移のプロット。
【図8】本明細書に提供される様々な血液サンプルを試験するための例示的実施形態と共に、電気化学セルの別の例示的実施形態を使用して行われた電流対時間遷移のプロット。
【図9】例示的実施形態による可変プレパルス時間方法及び固定時間方法を使用する様々な血液サンプルの試験結果のプロット。
【図10】本明細書に提供される様々な血液サンプルについての充填時間対ヘマトクリット値レベルのプロット。
【図11】試験計器が指定された時間間隔で複数の試験電圧を印加した際の試験電圧波形。
【図12】充填時間について補正していない様々な血液サンプルの試験の結果のプロット。
【図13A】サンプルのヘマトクリット値に対してプロットした図12と同一のデータ。
【図13B】充填時間について補正され、サンプルのヘマトクリット値に対してプロットされた、図12に示されたデータのプロット。
【図14】臨床的設定での様々な血液サンプルの試験の結果のプロット。
【図15】15%〜72%の範囲のヘマトクリット値を有する血液が、本明細書に提供される様々な血液サンプルを試験するための例示的実施形態と共に電気化学センサーの別の例示的実施形態にかけられた際の、様々な電流対時間遷移のプロット。
【図16】図15に示したデータの別のプロット。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の詳細な説明は、図面を参照しつつ読まれるべきものであって、異なる図面中、同様の要素は同様の参照符号にて示してある。図面は必ずしも一定の縮尺を有さず、特定の実施形態を示したものであって、本発明の範囲を限定するものではない。「発明を実施するための形態」は本発明の原理を限定するものではなく、あくまでも例として記載するものである。
【0030】
本明細書で任意の数値や数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」なる語は、構成要素部分又は構成要素集合が、本明細書で述べるその所望の目的に見合って機能することを可能とするような適当な寸法交差を指していうものである。更に、本明細書で用いられる「患者」、「ホスト」、「ユーザー」、及び「被験者」なる語は、いずれかのヒト又は動物被験対象を指し、ヒト患者における本発明の使用は好ましい実施形態であるが、システム又は方法をヒトへの使用に制限することは意図されない。
【0031】
本明細書で開示される装置及び方法の構造、機能、製造及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的実施形態について、これから説明することにする。これらの実施形態の1つ以上の実施例を添付の図面に示す。本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示す装置及び方法は、非限定的な例示的実施形態であること、並びに、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることは、当業者には理解されよう。一例示的実施形態に関連して例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされ得る。そのような修正及び変形は、本発明の範囲に含まれることを意図したものである。
【0032】
本明細書に開示されているシステム及び方法は、多種多様なサンプル中の多種多様な分析物の測定において使用するのに好適であり、全血、血漿、血清、間質液、又はそれらの類縁体中の分析物の測定において使用するのに特に好適である。例示的実施形態では、対向する電極を有する薄層セル設計と速い(例えば、約5秒以下の分析時間)3つのパルス電気化学設計に基づくグルコース試験システムは、小さな(例えば、約0.4μL以下)サンプルを必要とし、血液グルコース測定の信頼性及び精度の改善を提供することができる。分析物を検査するための反応セルでは、サンプル中のグルコースは、グルコースデヒドロゲナーゼを使用してグルコノラクトンに酸化することができ、電気化学的に活性である媒体は、酵素からパラジウム作用電極に電子をシャトル輸送するために使用することができる。より詳細には、反応セル中で電極の少なくとも1つをコーティングする試薬層は、ピロロキノリンキノン(PQQ)補酵素依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)とフェリシアニドとを含むことができる。別の実施形態では、PQQ補酵素依存性GDHなる酵素は、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)補酵素依存性GDHなる酵素と置き換えてもよい。血液又は対照溶液が反応チャンバ中に投与されると、グルコースは、下の化学変化T.1に示されているように、GDH(ox)により酸化され、このプロセスにおいてGDH(ox)をGDH(red)に変化させる。但し、GDH(ox)はGDHの酸化状態を指し、GDH(red)はGDHの還元状態を指すことに留意されたい。
T.1 D−グルコース+GDH(ox)→グルコン酸+GDH(red)
【0033】
3つのパルスの電位波形を作用及び対電極に印加するために定電位を利用することができ、結果として、グルコース濃度を計算するために使用される試験電流遷移を生じる。更に、試験電流遷移から得られる追加的な情報は、サンプルマトリックス間の区別、及びヘマトクリット値、温度変化、電気化学的活性成分による血液サンプルの変動性の補正、並びに起こり得るシステムエラーの同定のために使用され得る。
【0034】
標記方法は、原理的には、離間した第一及び第二電極と試薬層とを有する任意のタイプの電気化学セルと共に使用することができる。例えば、電気化学セルは、試験ストリップの形状であることができる。一態様では、試験ストリップは、サンプル受容チャンバ又は試薬層が配置される領域を画定するために薄いスペーサーにより分離された2つの対向する電極を含んでもよい。出願者は、例えば、同一平面上に複数の電極を有する試験ストリップなどの他のタイプの試験ストリップもまた本明細書に記載されている方法で使用され得ることを注記しておく。
【0035】
本明細書に開示されるサンプル中の分析物の濃度を計測するための方法は、任意の分析装置及び/又はシステムで使用することができる。この装置は、典型的には、少なくとも1つの作用電極と、1つの対電極とを含み、それらの間には電位が印加することができる。サンプル分析装置は、通常、計器などの電極間に電位を印加するための構成要素と組み合わせることができる。出願者は、様々な試験計器が本明細書に記載されているシステム及び方法で使用され得ることを注記しておく。しかしながら、一実施形態では、試験計器は、少なくともプロセッサを含み、これは、少なくとも1つの測定された又は計算されたパラメータを考慮して補正因子を計算できる計算を行うように構成され、並びに、データ分類及び/又は保存のために構成された1つ以上の制御ユニットを含んでもよい。マイクロプロセッサは、例えば、Texas Instruments MSP 430などのミックスドシグナルマイクロプロセッサ(MSP)の形態であることができる。TI−MSP 430は、定電位機能及び電流計測機能の一部を行うように構成され得る。更に、MSP 430は、揮発性及び不揮発性メモリを含むこともできる。別の実施形態では、電子的構成要素の多くは、特定用途向け集積回路の形態でマイクロコントローラーと共に集積することができる。
【0036】
サンプル分析装置もまた、装置に導入された場合にサンプルの充填時間を計測することができる、1つ以上の構成要素と組み合わせることができる。このような構成要素もまた、充填時間を考慮してサンプル中の分析物の濃度を計算することができる。このような構成要素は、通常、制御ユニットとして本明細書に示されている。更に、用語「分析物」、「抗原」及び「抗体」は、本明細書内で互換的に使用され、それゆえに、特に指示がない限り又は特に当業者により合理的に既知でない限り、一用語の使用は、三用語全てに等しく適用可能である。
【0037】
サンプル中の分析物の濃度を定量するための方法の一例示的実施形態では、サンプルは、作用電極及び対電極を有するサンプル分析装置の電気化学セルの中に導入される。電位は、電気化学セルの作用電極と対電極との間に印加することができ、例えば、電気化学セルの毛細管間隙の中へのサンプルの充填時間が定量され得る。少なくともサンプルの充填時間を考慮してプレパルス時間は計算することができ、電位は、プレパルス時間に等しい長さの時間にわったって作用電極と対電極との間に印加され得る。次に、サンプル中の分析物の濃度を定量することができる。充填時間を考慮してプレパルス時間を計算することにより、分析物濃度についてより正確な結果を得ることができる。例えば、サンプルに対してヘマトクリット値レベルを変えることから生じ得るものなどの誤差を計上することができ、それによってサンプル中の分析物の濃度のより正確な定量を導く。方法はまた、下記により詳細に説明するように、温度の効果を計上することができる。サンプル中の分析物の濃度を検出するための代替的実施形態では、誤差は、定量された充填時間よりも定量された初期充填速度に基づいて補正される。このような方法の一例は、米国特許出願第12/649,509号(Ronald C.Chatelier、Dennis Rylatt、Linda Raineri及びAlastair M.Hodges、表題「Systems,Devices and Methods for Measuring Whole Blood Haematocrit Based on Initial Fill Velocity」、2009年12月30日出願)に開示されており、その内容は本願にその全体が参照により組み込まれる。
【0038】
代替的実施形態では、ヘマトクリット値のレベルの推定値も定量することができる。いくつかの実施形態では、ヘマトクリット値のレベルの推定値は、関連する分析物濃度を参照することなく、定量することができる。結果として、貧血などの症状に関する評価を行うことができる。このようなシステムでは、ヘマトクリット値のレベルのみが、他の濃度定量を行うことなく、計測される。開示された教示に基づいてヘマトクリット値のレベルを定量することにより、多くの場合1秒足らずで、迅速かつ正確に定量を行うことができる。例えば、一滴の血液のヘマトクリット値のレベルは、サンプル分析装置のセンサーストリップ状に血液を滴下することによりほんの1秒未満で定量することができる。いったん血液がストリップ上に配置されると、ヘマトクリット値のレベルのデジタル読み取りをほとんど瞬時に提供することができる。
【0039】
充填時間は、分析物の濃度の定量を改善するための様々な方法で使用することができる。例えば、サンプルの充填時間は、プレパルス時間を計算するために使用することができる。充填時間を考慮してプレパルス時間を調整することにより、より長い反応時間が、センサーを充填するためにより長い時間を要するサンプルに対して提供することができる。例えば、サンプルが全血を含む場合には、ヘマトクリット値のレベルは、サンプルの充填時間における因子であることができる。それゆえに、充填時間を考慮してプレパルス時間を調整することは、より正確な濃度をヘマトクリット値の範囲にわたって定量可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ヘマトクリット値のレベルは、充填時間と関連付けることができ、すなわち、ヘマトクリット値のレベルの推定は、充填時間を考慮して定量することができる。このような場合、ヘマトクリット値のレベルは、より正確な分析物濃度定量を提供するために、分析物濃度の定量で計上することができる。
【0040】
一例示的実施形態では、図1に示されている工程は、サンプル中の分析物の濃度を定量するために使用することができる。示されているように、サンプルはまず、装置に導入される。任意のタイプのサンプル分析装置が、本明細書に開示されている方法及びシステムの少なくともいくつかと共に使用することができる。これらの装置には、非限定的な例として、電気化学セル、電気化学センサー、グルコースセンサー、グルコース計器、ヘモグロビンセンサー、酸化防止剤センサー、バイオセンサー及び免疫センサーを挙げることができる。サンプル分析装置の一例示的実施形態は、電気化学センサーである。電気化学センサーは、少なくとも2つの電極を含むことができる。これらの少なくとも2つの電極はいずれかの方法で構成することができ、例えば、これらの電極は同一平面上又は異なる平面上にあり得る。サンプルは、電気化学セルの中に導入することができる。
【0041】
一実施形態では、サンプルの導入は、計器が電圧、電流又は電気容量における変化をモニターする自動技術により検出することができ、変化はサンプルがサンプル反応チャンバに投与されていることを示す。あるいは、生理学的サンプルは、ユーザーがサンプル反応チャンバの充填を視覚的に観察し、ボタンを押すことにより試験を開始する手動技術により検出され得る。別の実施形態では、計器内の光学的検出器は、サンプルの投与を検知することができる。サンプルが反応チャンバを充填することによってかかる時間は、同様に、任意の数の同様な技術により計測することができる。一実施形態では、電極は、サンプルがセンサー内に導入されると、サンプルがセンサーを充填するにつれて、第二電極が第一電極に先立って又は第一電極と同時に接触されるように構成することができる。しかしながら、サンプルがセンサーを充填するにつれて、第一電極は、第二電極に印加される電圧と比較して、第一電極が維持する電流は制限される。それゆえに、第一電極は、電気化学センサー内を流れる電流を制限することができる。サンプルが第一電極に接触するのに先立って、接触するのと同時に、又は接触した直後に、第一電極と第二電極がサンプル液により橋渡しされるときにこれらの間を電流が流れるように電位を電極間に印加することができる。本明細書に開示されている方法の一実施形態では、センサー充填中の電流対時間反応を使用して、センサーが適切に充填される点を定量することができる。例えば、適切な充填は、十分な液体が充填されて、少なくとも第一電極の全体を覆うことを意味することができる。いくつかの実施形態では、電流対時間反応は、電流における降下の増大又は増大率の減少といったように、経時的な電流の変化率において不連続であってもよい。上記方法の一例は、米国特許出願第12/885,830号(Kranendonk et al.、表題「Apparatus and Method for Improved Measurements of a Monitoriing Device」、2010年9月20日出願)に開示されており、その内容は本願にその全体が参照により組み込まれる。
【0042】
本明細書に開示されている方法の一実施形態では、装置内に導入されたサンプルがセルを充填する際に、約+10mV〜約+30mVの電位を、ある範囲の時間、例えば、約1000ms、にわたって、電気化学セルの第一電極と第二電極との間に印加することができる。一例示的実施形態では、装置内に導入されたサンプルがセルを充填する際に、約+20mVの電位を、第一電極と第二電極との間に印加することができる。電極間を流れる電流は、この時間中に所定の間隔で測定することができる。例えば、電流は2ミリ秒毎(「ms」)に計測することができ、平均電流は10ms毎に保存することができる。次に電流データは、例えば、制御ユニットにより分析することができる。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、マイクロプロセッサを含むことができる。その間にサンプルが装置を充填するおよそ1000msを超えて定量される電流データの分析は、電流が所定の量で減少する最遅時間の定量を含む。この時間は、サンプルの充填時間(FT)として使用することができる。例えば、一実施形態では、電流が40ms間隔で0.4マイクロアンペア(「μA」)超で減少する最遅時間を使用して、サンプルがセルを充填した時間を定量することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、電流降下時間を定量する工程は、少なくとも2つの電流値の間の差を計算することを含むことができ、その差は、所定の閾値よりも大きいか、又は小さい。様々な所定の閾値を採用することができる。例えば、作用電極の面積が約4.2平方ミリメートルであり、最大で約75%のヘマトクリット値が検査される際には、所定の閾値は、約40msの時間にわたって約0.4マイクロアンペア(micramperes)の範囲であり得る。他の例示的実施形態では、作用電極の面積が約4.2平方ミリメートルであり、最大で約60%のヘマトクリット値が検査される際には、所定の閾値は、約50msの時間にわたって約0.7〜0.9マイクロアンペア(micramperes)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、電流降下時間を定量する工程は、時間の関数として計測された電流の変曲点を計算することを含むことができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、サンプルの存在を検出することは、2つの電極の間に電位を印加することと、所定の閾値よりも大きい又は小さい電流値の変化を計測することと、を含むことができる。様々な所定の閾値を採用することができる。例えば、作用電極の面積が約4.2平方ミリメートルであるときに、所定の閾値は、約3マイクロアンペアの範囲であり得る。他の実施形態では、サンプルの存在を検出することは、2つの電極の間にほぼ一定の電流を印加することと、所定の閾値よりも大きい又は小さい電位の変化を計測することと、を含むことができる。例えば、所定の閾値は、約200mVの範囲であり得る。他の例示的実施形態では、閾値は、約400mVであり得る。
【0045】
サンプルがセルを充填した後に、第一電極と第二電極との間に第一極性を有する第一電位を印加することができ、生じる電流は時間の関数として測定される。この第一電位は、例えば、プレパルスとして示すことができる。いくつかの実施形態では、プレパルスを印加できる時間の長さは、約5秒であり得る。他の実施形態では、上記の技術のいずれかを使用して定量できるサンプルの充填時間(FT)を使用して、プレパルスが印加できる時間の長さを計算することができる。この時間は、例えば、プレパルス時間(PPT)として示すことができる。例えば、プレパルス時間の計算により、センサーを充填するのにより長くかかるサンプルのために、より長いプレパルス時間を可能にすることができる。一実施形態では、プレパルス時間は、以下の例示的なパラメーターに従って設定することができる。例えば、プレパルス時間は、以下のように計算することができる。
PPT(ms)=3000+(FT−300)×9.3
【0046】
この計算の目的のために、300ms未満の充填時間の場合、充填時間は、300msに設定することができる。この計算により、センサーを充填するのに所定量の時間、例えば約300msよりも長くかかるサンプルのためにより長い反応時間を可能にするように、プレパルス時間(PPT)を調整することができる。計算を単純化し、総試験時間に限界を設ける目的で、充填時間が所定の時間の長さよりも長い場合には、最大プレパルス時間を設定することができる。例えば、一実施形態では、充填時間は約500msを超え、例えば約515msであり、プレパルス時間(PPT)は5000msに等しく設定することができる。それゆえに、この例示的実施形態では、最小PPT(約300ms未満の充填時間に対して)は3000msであり、最大PPT(約500msを超える充填時間、例えば、約515ms、に対して)は約5000msである。他の実施形態では、プレパルス時間の計算は、特定のサンプル又は分析物の他の特性又は必要条件を考慮に入れるために調整することができる。例えば、プレパルス時間の計算のために上で示した等式の変数及び定数は調整されて、代替の最大及び最小プレパルス時間又はこれらの組み合わせを提供することができる。
【0047】
いったんプレパルス時間が定量されると、電位は、プレパルス時間(PPT)に等しい時間にわたってセルの電極間に印加することができ、生じた電流は時間の関数として定量される。データ(時間の関数としての電流)の少なくとも一部は、第一時間電流遷移を提供する。第二電極が限界酸化電流が定量される作用電極として機能するように、第一電位は、第二電極に対して十分に負であることができる。第一時間間隔が経過した後、第二電位は、第二時間間隔にわたって第一電極と第二電極の間に印加することができる。第二電位は、時間の関数として定量されて第二時間電流遷移を提供する電流を生じる。一実施形態では、第二電位は第二極性を有し、これは第一極性とは反対である。例えば、第一電極が限界酸化電流が定量される作用電極として機能するように、第二電位は、第二電極に対して十分に正であることができる。一例示的実施形態では、第一電位及び第二電位は、約−0.6V〜約+0.6Vの範囲であり得る。時間電流遷移の時間間隔は、一実施形態では、約1秒〜10秒の範囲、好ましくは約1〜5秒の範囲であり得る。別の実施形態では、第一時間間隔と第二時間間隔の和は、約5秒未満である。第一時間間隔が第二時間間隔と同一であるべきではないことにも留意すべきである。一実施形態では、第二電位は、第一電位の印加直後に印加される。代替的実施形態では、遅延又は開路電位は、第一電位と第二電位との間に導入される。別の代替的実施形態では、遅延は、生理学的サンプルがサンプル反応チャンバで検出された後であるが第一電位の印加の前に、導入される。遅延は、約0.01〜約3秒、好ましくは約0.05〜約1秒、最も好ましくは約0.5〜約0.9秒の範囲であり得る。
【0048】
一例示的実施形態では、第一試験電位Eは、第一試験電位時間T、例えば、PPTミリ秒、にわたって電極間に印加することができる。例えば、+300mVの電位を印加することができる。第一試験電位時間T、例えば、PPTミリ秒、が経過した後、第二試験電位Eは、第二試験電位時間間隔Tにわたって電極間に、例えば、1000msにわたって−300mVで、印加することができる。T及びT中、時間の関数としてのセル電流は定量することができ、本明細書で時間電流遷移又は電流遷移と呼ばれ、第一試験電位時間間隔T中はi(t)と示され、第二試験電位時間間隔T中はi(t)と示される。例えば、時間の関数としての電流は、10ms毎に定量することができ、平均電流は50ms毎に保存される。第一及び第二電位(時間の関数としての電流)からのデータの少なくとも一部は、第一及び第二時間電流遷移を提供することができる。次に、サンプル中の分析物の濃度は、任意の数のアルゴリズムを使用して電流データから定量することができる。
【0049】
分析物濃度を定量するためのアルゴリズムの例は、米国特許出願第11/278,341号(Chatelier et al.、表題「Methods And Apparatus For Analyzing A Sample In The Presence Of Interferents」、2006年3月31日出願)に少なくとも見出すことができ、その内容はその全体が参照により本願に組み込まれる。一例示的実施形態では、電流データは、上記特許出願に開示されているものと同様の「較正なしの周辺部補正アルゴリズム(calibration−free,corner−corrected algorithm)」を使用して分析することができる。一実施形態では、分析物濃度は、等式1に示されているアルゴリズムを使用して、計算することができる。
【数1】

等式1において、Gは分析物濃度であり、記号i、i及びiは電流値であり、記号p、zgr及びaは経験的に得られた較正定数である。
【0050】
本発明の一実施形態では、pは約0.2〜約4、好ましくは約0.1〜約1の範囲であり得る。較正因子aは、電気化学セルの寸法で可能な変動を計上するために使用され得る。電気化学セルの寸法における変動は、測定された電流の強度において比例的な偏差を生じ得る。特定の環境下では、製造プロセスは、電極域に試験ストリップの区画による変動を生じさせることがある。試験ストリップの各区画について較正因子aを計算することは、電極域及びセルの高さにおける偏差を補正するのを助ける。記号aは、試験ストリップ区域の較正プロセス中に計算することができる。
【0051】
較正因子zgrは、バックグラウンドの変動を計上するために使用される。サンプル添加前のセルの試薬層内における酸化可能種の存在は、バックグラウンド信号に寄与し得る。例えば、サンプルが試験ストリップに添加される前に、試薬層が少量のフェロシアニド(例えば、還元された媒体)を含有する場合、分析物濃度に起因しない測定試験電流における増加が存在する。このことは、試験ストリップの特定の区画について計測された試験電流全体で一定バイアスを生じるので、このバイアスは、較正因子Zを使用して補正することができる。用語p及びaと同様に、Zもまた、較正プロセス中に計算することができる。ストリップ区画を較正するための例示的方法は、米国特許第6,780,645号に記載されており、これはその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0052】
一例示的実施形態では、pは0.51であり得、aは0.2であり得、zgrは5であり得る。本明細書に開示されている方法は較正因子p、a及びzgrの使用について記載されているが、当業者であれば、これらの使用が必要とされないことを理解するであろう。例えば、一実施形態では、グルコース濃度は、p、a及び/又はZなしで計算され得る(等式1において、p及び/又はaは、1に等しく設定され得、zgrはゼロに等しく設定され得る)。等式1の変形は、係属中の米国特許出願第11/240,797号(表題「Method and Apparatus for Rapid Electrochemical Analysis」、2005年9月30日出願)に見出すことができ、これはその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0053】
電流値iは第二電流遷移から計算することができ、電流値iは第一電流遷移から計算することができる。等式1及び続く等式に示された全電流値(例えば、i、i及びi)は、電流の絶対値を使用することができる。電流値i、iは、いくつかの実施形態では、電流遷移の時間間隔にわたっての電流値の整数、電流遷移の時間間隔にわたっての電流値の和、又は電流遷移の時間間隔により乗じられた電流遷移の平均又は単一電流値であり得る。電流値の和の場合、ある範囲の連続的電流測定値は、2つの電流値のみから全ての電流値まで一緒に加算することができる。電流値iは、下記のように計算することができる。
【0054】
以下の等式2a及び3aに示されているように、例えば、第一の時間間隔が5秒の長さである場合、iは、5秒の長さの期間のうちの1.4〜4秒の平均電流であり得、iは5秒の長さの期間のうちの4.4〜5秒の平均電流であり得る。
【数2】

【0055】
以下の等式2b及び3bに示されているように、例えば、第一時間間隔が5秒の長さである場合、iは、5秒の長さの期間のうちの3.9〜4秒の電流の和であり得、iは5秒の長さの期間のうちの4.25〜5秒の電流の和であり得る。
【数3】

【0056】
第一電流遷移についての電流の強度は、等式4により時間の関数として表すことができる。
【数4】

【0057】
記号issは、第一試験電位Eの印加後の定常状態電流であり、Dは媒体の拡散係数であり、Lはスペーサーの厚さである。等式4においてtは、第一電位Eが印加された後に経過した時間を示すことに留意されたい。第二電流遷移についての電流の強度は、等式5により時間の関数として表すことができる。
【数5】

【0058】
等式4における指数記号と比較して等式5の指数記号について2の差を有する因子が存在するが、これは第二電流遷移が第二試験電位Eから生じるからであり、これは第一電位Eと反対の極性であり、第一試験電位Eの直後に印加された。等式5においてtは、第二電位Eが印加された後に経過した時間を示すことに留意されたい。
【0059】
第一試験電位時間間隔Tに関するピーク電流はipaと表記することができ、第二試験電位時間間隔Tに関するピーク電流はipbと表記することができる。第一ピーク電流ipaと第二ピーク電流ipbは、第一試験電位E及び第二試験電位Eを各々印加した同一の短時間(例えば、0.1秒)後に測定され、等式4は等式5から減算されて、等式6を生じることができる。
【数6】

【0060】
paは主に干渉物により制御されることが判明しているので、ipbは、相関因子を定量するためにipaと共に使用することができる。例えば、下記に示されるように、グルコースに対して比例し、干渉物に対して、より感受性の低い補正された電流を定量するために、ipbは、数学的関数でipaと共に使用することができる。
【0061】
等式7は、グルコースに比例し、干渉物に起因する電流の相対的割合が除去されている電流iを計算するために誘導された。
【数7】

【0062】
記号issは、グルコースが存在しないときに分子がゼロに近付くように分子と分母の両方に加えられた。記号issは、等式8Aを使用して、最小時間を超える時間における電流について推計され得、ここで、好適な最小時間は等式8Bから推計することができる。
【数8】

式中、issは、第二電位の印加後の定常状態の電流であり、iは、時間の関数である測定された電流であり、Dはレドックス活性分子の拡散係数であり、ここで、この係数はフィックの第一法則、すなわち、J(x,t)=−D dC(x,t)/dxから定量され得、Lはスペーサーの厚さであり、tは第二電位の印加のための時間であり、ここで、第二時間間隔の開始についてはt=0である。
【0063】
一例示的実施形態では、電流値iは、等式9に従って計算することができる。
【数9】

【0064】
それゆえに、等式1は、干渉物の存在下で分析物濃度の正確な定量を可能にすることができる。
【0065】
上記のように、ヘマトクリット値のレベルの推定値は、関連する分析物濃度を参照することなく、定量することができる。例えば、一滴の血液のヘマトクリット値レベルは、電流値及び分析物濃度から定量することができる。一例示的実施形態では、ヘマトクリット値(H)の推定値は、等式10から得ることができる。
等式10 H=−162.5log(i)+119.1log(G)+235.4
【0066】
いくつかの実施形態では、分析物濃度の値(G)は、例えば、等式11A及び11Bを使用して、ヘマトクリット値レベルを考慮して、補正することができる。
等式11A G’=G+Corr G<100mg/dLの場合
等式11B G’=G(1+Corr/100) G≧100mg/dLの場合
【0067】
等式11A及び11Bでは、補正因子Corrは、振幅がHで変動する正弦関数を使用して計算することができる。例えば、H<30%の値では、以下の等式を使用してCorrを計算することができる。
等式12A Corr=−0.4(30−H)sin(πG/400) G<400mg/dLの場合
等式12B Corr=0 G≧400mg/dLの場合
ここで、Corrの範囲は、0〜−5に制限される。
【0068】
H>50%のとき、正と負の極大部分の振幅が異なる「非対称正弦関数」を使用することができる。しかしながら、関数は連続であり、その結果、補正において突然の工程は存在しない。例えば、等式13A〜13Cは、H>50%の場合のCorrを計算するために使用することができる。
等式13A Corr=−0.2(H−50)sin(πG/180) G<180mg/dLの場合
等式13B Corr=−0.5(H−50)sin(πG/180) 180≦G≦270mg/dLの場合
等式13C Corr=+0.5(H−50) G>270mg/dLの場合
ここで、Corrの範囲は、G<180の場合0〜−5に制限され、G≦180の場合0〜5に制限される。
【0069】
別の実施形態では、分析物濃度の値(G)は、ヘマトクリット値(H)の推定値を引き出すことなく、例えば、式14A(G<100mg/dLのとき)及び式14B(G≧100mg/dLのとき)を式15A、15B及び15Cと共に使用して、補正することができる。
等式14A G’=G+Corr G<100mg/dLの場合
等式14B G’=G(1+Corr/100) G≧100mg/dLの場合
【0070】
式14A及び14Bの補正因子Corrは、充填時間(FT)の一連の閾値に基づいてFTを考慮して計算することができる。例えば、以下の等式は、FTの2つの閾値、Th及びThを使用して、Corrを計算するために使用することができる。
等式15A Th<FT<Thの場合、Corr=50(FT−Th
等式15B FT<Thの場合、Corr=0
等式15C FT>Thの場合、Corr=10
【0071】
例示的実施形態では、閾値Thは約0.2秒であり得、閾値Thは約0.4秒であり得る。例えば、血液がセンサーを約0.2秒未満で充填する場合、その充填の様態は、理想に近いものであると説明できる。約0.2秒未満の充填時間は、ヘマトクリット値が十分に低くて、サンプルの粘度がサンプルの充填の様態に最小限の影響しか有さない場合に通常生じる。低いヘマトクリット値の結果として、グルコースのほとんどは、それが急速に酸化され得る血漿相の中に分配されると考えられる。これらの条件下では、充填時間の影響に対するグルコースの結果を補正する必要がほとんどなく、その結果、補正因子をゼロに設定することができる。これに代わって、サンプル中のヘマトクリット値が高い場合、サンプルの粘度は、サンプルの充填時間に影響を及ぼし得る。結果として、サンプルは、センサーを充填するのに約0.4秒超かかり得る。高いヘマトクリット値の結果として、グルコースのほとんどは、赤血球の中に分配されると考えられ、その結果、より少ない割合のグルコースが酸化される。これらの条件下では、グルコースの結果は、充填時間を考慮して補正され得る。しかしながら、グルコース値を補正し過ぎないことが重要であり得、そのため、例示的実施形態では、補正因子は、最大で約10mg/dL血漿グルコースに又は信号の約10%に制限され得る。経験的に得られた一次式は、充填時間が約0.2〜0.4秒の範囲で増加するにつれて、補正項を約0〜約10の範囲で段階的に増加させるのに使用することができる。
【0072】
本明細書に開示されているシステム及び方法の少なくともいくつかと共に使用できる装置の一例示的実施形態は、グルコースセンサーである。グルコースセンサーは、図2A及び2Bに示されているセルなどの電気化学セルを含むことができる。セルは、上方表面202及び下方表面203を有する薄いストリップ膜201を含むことができ、下方表面203上に配置された作用電極206と、上方表面202上に配置された対/基準電極205との間に画定されたセル領域204も含むことができる。膜厚は、対電極からの反応生成物を作用電極に到達させるなどの所望の結果を達成するために選択することができる。例えば、膜厚は、十分に近くにあり得る電極が距離tにより分離されるように選択することができ、その結果、対電極における電気化学反応の生成物は試験の時間中に作用電極に移動することができ、定常状態拡散特性は実質的に達成することができる。典型的にはtは、およそ500マイクロメートル未満、あるいは約10マイクロメートル〜約400マイクロメートルの範囲、特に約80マイクロメートル〜約200マイクロメートルの範囲であり得る。一実施形態では、電極間の間隔は、対電極からの反応生成物がアッセイが終わる前に作用電極に到達するように、選択することができる。
【0073】
電極はまた、様々な構成を有することができる。例えば、電極は平面であり得る。更に、例示された実施形態では、電極205、206は互いに面し、実質的に対向し、他の実施形態では、電極は互いにただ面することができ、これらは実質的に互いに対向することができ、又は、これらは電極がほぼ同一平面に配置される隣り合う構成を有することができる。異なる電極構成の例は、米国特許第7,431,820号(Hodges、表題「Electrochemical Cell」、2003年10月14日出願)に見出すことができ、この内容はその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0074】
サンプル付着又は「標的」域207は、膜201の上方表面202上に画定することができ、セル領域204から膜厚を超える距離で離間することができる。膜201は、標的域207とセル区域204との間に伸びることができる拡散領域208を有することができる。好適な試薬は、レドックス媒体Mと、酵素Eと、pH緩衝剤Bとを含むことができ、これらの各々は、膜のセル区域204内に、及び/又は、セル区域204と標的域207との間に、含有することができる。試薬はまた、安定剤及びこれに類するものも含むことができる。センサーの使用時に、一滴の血液を標的区域207に配置することができ、血液構成成分はセル区域204に向かって吸上できる。
【0075】
電極205、206の各々は、既定域を有することができる。図2A及び2Bの実施形態では、セル区域204は、電極の端縁205、206に相当し得る膜の端縁209、210、211により、並びに、電極の先端(標的域207に関して)端縁212、213により、画定することができる。本例では、電極は、約600オングストロームの厚さであることができ、約1〜約5mmの幅であることができるが、本発明の範囲から離れることなく様々な他の寸法及びパラメータを使用することができる。
【0076】
あるいは、膜の両側は、標的域207を除外して、層214(平面図では省略)を積層することにより覆うことができ、これはサンプルからの水の蒸発を防止し、装置に対して機械的堅牢性を提供する働きをする。水の蒸発は、サンプルを濃縮させ、電極を乾燥させ、溶液を冷却させ、拡散係数は上記のように推計され得るにも関わらず拡散係数に影響し、酵素動力学を遅くするので、望ましくないと考えられる。
【0077】
代替的実施形態では、図3に示されているように、本明細書に開示されているシステム及び方法での使用のための中空電気化学セルが提供される。電極305、306は、中空セルを画定するために離れたポリマー壁330により支持することができる。開口部331は、セルの一方側で提供され、これによりサンプルは空洞332の中に収容することができる。この実施形態では膜は使用されないが、いくつかの実施形態では膜を含むことができる。電極は、少なくとも上記のような様々な構成を有することができる。非限定的な例として、電極は、少なくとも500マイクロメートル未満で、好ましくは約10又は約20マイクロメートル〜約400マイクロメートルの範囲で、より好ましくは約80マイクロメートル〜約200マイクロメートルの範囲で離すことができる。有効セル容量は、約1.5マイクロリットル以下であり得る。
【0078】
図2A、図2B及び図3の電気化学セルは、本明細書に開示されている装置、システム及び方法の計器と制御ユニットと他の構成要素と工程と共に使用することができる。図2A、図2B及び図3の電気化学セルに関する更なる開示は、米国特許第6,284,125号(Hodges et al.、表題「Electrochemical cell」、1998年4月17日出願)に見出され、この内容はその全体が参照により本願に組み込まれる。例えば、本開示と共に使用される電気化学セルは、2つの電極対を有することができる。電極対は、作業電極、対電極、対/基準電極及び別個の基準電極の任意の組み合わせを含むことができる。
【0079】
本明細書に開示されているシステム及び方法の少なくともいくつかと共に使用できる装置の別の例示的な実施形態は、下記のセンサーであり、図4A〜図5Dに示されている。このセンサーは、近位端80から遠位端82に長手方向軸Lに沿って伸び、横方向端縁56、58を有する細長い本体59を含む一形状の試験ストリップ62の形態であることができる。本体59は、電極164、166と試薬72とを含有する近位サンプル反応チャンバ61を含むことができる。試験ストリップ本体59は、試験計器との電気接続のために遠位に配置された電気的接触63、67を更に含むことができる(図示せず)。
【0080】
一態様では、試験ストリップ62は、第一導電性層66と、スペーサー60と、第二導電性層64と、を含む複数の層から形成される。第一導電性層66及び/又は第二導電性層64は、一実施形態では絶縁シート(図示せず)上に配置される種々の導電性材料から形成することができる。スペーサー層60は、様々な電気的絶縁材料から形成することができ、接着剤を含むことができ、又は接着剤から形成することができる。当業者は、三層試験ストリップが示されているが、更なる導電性又は絶縁層は、試験ストリップ本体59を形成するために使用され得る。
【0081】
図4A〜図4Cに示されているように、近位サンプル反応チャンバ61は、第一導電性層66、第二導電性層64とスペーサー層60とにより画定することができる。以下でより詳細に説明されるように、反応チャンバ61は、試薬72と第一電極166と第二電極164とを含むことができる。例えば、スペーサー60中の切り取り域68は、第二導電性層64及び第一導電性層66の一部を曝露することができ、それにより各々第一電極166と第二電極164を画定する。試薬72は、第一電極166上に配置された層の形状であることができる。
【0082】
一実施形態では、反応チャンバ61は、小容量サンプルを分析するために適合している。例えば、サンプル反応チャンバ61は、約0.1マイクロリットル〜約5マイクロリットル、好ましくは約0.2〜約3マイクロリットル、より好ましくは約0.3マイクロリットル〜約1マイクロリットル、の容量範囲を有することができる。小サンプル容量に対応するために、電極は好ましくは小間隔配置される。例えば、スペーサー60が第一電極166と第二電極164との間の距離を画定する場合、スペーサー60の高さは、約1マイクロメートル〜約500マイクロメートルの範囲、好ましくは約10マイクロメートル〜約400マイクロメートルの範囲、より好ましくは約40マイクロメートル〜約200マイクロメートルの範囲であり得る。
【0083】
反応チャンバ61の容積の低減を更に補助するために、切り取り域68及び/又は本体59の、長手方向及び/又は横方向寸法を調整することができる。例えば、試験ストリップ本体59は、反応チャンバ61の横方向幅が試験ストリップ本体59の全幅(最大幅)よりも小さくなるように、切欠部分51、52を含むことができる。切欠部分51、52はまた、反応チャンバ61へのサンプル送達を促進することもできる。例えば、切欠部分51、52は、ユーザーの指の一部に対応する形状を有することができる。ユーザーが一滴の血液を指スティックで圧出するとき、切欠部分51、52は、本体59の横方向端縁56、58内のサンプル受容ポート(例えば、開口部70)で、ユーザーがその人の指の上に配置されたサンプルを揃えるのを助けることができる。2つの切欠部分が示されているが、試験ストリップ本体59は、単一の切欠部分をのみを含んでもよく、又は切欠部分を全く含まなくてもよいということが当業者であれば理解するであろう。
【0084】
上記のように、試験ストリップ本体59の近位部分は、反応チャンバ61にサンプルを送達するための少なくとも1つのサンプル送達ポートを含むことができる。例えば、切り取り域68は、サンプル反応チャンバ61に生理流体を送達するための2つの開口部70を提供するために、試験ストリップ本体59の横方向端縁56、58に向かって横断方向に伸びることができる。2つの開口部70が存在する場合、一方は流体サンプルの送達のためのサンプル受容ポートとして機能することができ、もう一方は通気孔として機能することができる。当業者であれば、例えば、第一導電性層66及び/又は第二導電性層64に配置された、サンプル受容ポート及び/又は通気孔といった、試験ストリップ本体59において異なる位置に配置されたサンプル受容ポート及び/又は通気孔を含む代替的な構造を使用して、サンプルがサンプル反応チャンバ61に送達できることを理解するであろう。
【0085】
一実施形態では、試験ストリップ62は、毛細管現象を介してサンプルを反応チャンバ61の中に吸引するために適合されている。例えば、反応チャンバ61と開口部70の寸法及び表面特性は、液体サンプル(例えば、全血)が開口部70の1つに接触するようにされるときに、毛細管力を作り出すように適合させることができる。当業者であれば、反応チャンバ61が、例えば、ビーズ、多孔質膜及び/又は他の充填剤などの毛細管現象を補助/作り出すための追加的構造を含むことができることを理解するであろう。
【0086】
上記のように、試薬72などの試薬は、反応チャンバ61内に配置することができる。試薬72の組成は、目的の分析物及びサンプルの期待される形態に応じて変えることができる。一態様では、試薬72は、少なくとも媒体及び酵素を含み、第一電極166上に配置される。様々な媒体及び/又は酵素が、本開示の趣旨及び範囲内にある。好適な媒体の例には、例えば、フェリシアニド、フェロセン、フェロセン誘導体、オスミウムビピリジル錯体、ルテニウム(III)ヘキサミン及びキノン誘導体が挙げられる。好適な酵素の例には、グルコースオキシダーゼ、ピロロキノリンキノン(PQQ)補酵素依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド補酵素依存性GDH及びフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)依存性GDH(FAD−GDH)が挙げられる。試薬層72を製造するのに好適である一例示的試薬処方は、係属中の米国特許出願第10/242,951号(表題「Method of Manufacturing a Sterilized and Calibrated Biosensor−Based Medical Device」、米国特許出願公開第2004/0120848号として公開)に記載されており、これはその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0087】
近位サンプルチャンバ61の遠位に、本体59は、第一電極166及び第二電極164を遠位電気接触63、67に接続する接続トラックを含むことができる。一態様では、第一導電性層66は、第一電極166を第一電気接触67に接続する第一接続トラック76を含む。同様に、第二導電性層64は、第二電極164を第二電気接触63と接続する第二接続トラック78を含むことができる(図5A)。
【0088】
第一及び第二導電性層はまた、試験計器への試験ストリップ62の電気接触を促進する第一電気接触67及び第二電気接触63を画定することができる。一実施形態では、第一導電性層66の一部は、スペーサー層60及び第二導電性層64の遠位端から遠位に伸びて、第一電気接触67を画定する。第二電気接触は、第二導電性層64の一部を曝露する第一導電性層66内のU字型ノッチ65により画定することができる。出願者は、試験ストリップ62が、試験計器に電気接続するための様々な代替的電気接触構成を含むことができることを注記しておく。例えば、米国特許第6,379,513号は電気化学セル接続構造を開示しており、その全体を参照により本願に組み込む。
【0089】
図4A〜図5Dのセンサーは、本明細書に開示されている装置、システム及び方法の計器と制御ユニットと他の構成要素と工程と共に使用することができる。図4A〜図5Dの電気化学セルに関する更なる開示は、米国特許出願第11/278,341号(Chatelier et al.、表題「Methods And Apparatus For Analyzing A Sample In The Presence Of Interferents」、3月31日出願)に見出すことができ、その内容はその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0090】
本明細書に開示されている方法の少なくともいくつかと共に使用するためのサンプル分析装置の別の例示的実施形態、免疫センサー110は、図6に示されており、米国特許出願第12/570,268号(Chatelier et al.、表題「Adhesive Compositions for Use in an Immunosensor」、2009年9月30日出願)に記載されており、その内容はその全体が参照により本願に組み込まれる。複数のチャンバが免疫センサー内に形成することができ、サンプルを免疫センサーの中に導入することができる充填チャンバ、サンプルを1つ以上の所望の物質と反応させることができる反応チャンバ、並びに、サンプルの特定の構成成分の濃度を測定することができる検出チャンバが挙げられる。これらのチャンバは、免疫センサーの下方電極、上方電極及びセパレータの少なくとも一部分に形成することができる。免疫センサーはまた、所望されるように空気が免疫センサーを出入りするのを可能にする通気孔と、通気孔の第一及び第二面を選択的に封止する第一及び第二シーリング構成要素と、を含むことができる。第一シーリング構成要素はまた、充填チャンバの壁を形成することができる。
【0091】
図示されるように、免疫センサー110は、下方電極112を有しており、下方電極112は、その上に2つの液体試薬130、132を縞模様で付けられている。下方電極112は、電極を形成するために用いられる多数の技術を用いて形成することができるが、一実施形態において、硫酸バリウムを充填されたポリエチレンテトラフタレート(PET)のシートが、金でスパッタコーティングされる。電極を形成する他の非限定的な例が、米国特許第6,521,110号(Hodges et al.、表題「Electrochemical Cell」、2000年11月10日出願)に開示されており、この内容はその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0092】
同様に、液体試薬130、132は、多くの異なる組成物を有することができる。一実施形態では、第一液体試薬130は、スクロース並びにPluronics(登録商標)ブロックコポリマーなどのポロキサマー、シトラコネートなどの抗凝固剤、及びカルシウムイオンを含有する緩衝液中にGDH−PQQなどの酵素に接合した抗体を含む。一実施形態では、第二液体試薬132は、希釈シトラコン酸溶液などの酸性緩衝液中に、フェリシアニドと、グルコースと、フェナジンエトサルフェートなどの第二媒体と、の混合物を含む。第一液体試薬130及び第二液体試薬132は、下方電極112の上で乾燥させることができる。試薬130、132を乾燥させるために多くの技法を使用することができるが、一実施形態において、下方電極112の上に試薬130、132が縞模様で付けられた後に、1つ以上の赤外線乾燥器を試薬130、132に適用することができる。また、赤外線乾燥器に続いて、例えば、1つ以上の空気乾燥器を使用することもできる。本明細書における、第一試薬と第一液体試薬及び第二試薬と第二液体試薬についての言及は、同じ意味で用いられており、特定の実施形態に対して試薬が所与の時点で液体の又は乾燥した形態にあることを必ずしも示唆するものではない。更に、第一及び第二の液体試薬に付随する構成成分のいくつかは、交換可能に、及び/又は、所望に応じて第一液体試薬と第二液体試薬の両方において使用されることができる。非限定的な例として、抗凝固剤は、第一液体試薬130と第二液体試薬132の一方又は両方に組み合わせることができる。
【0093】
1本の線が、試薬132の端縁がその線に近接するか又は接触するように、試薬130と132との間のスパッタコーティングされた金として形成されることができる。この線は、レーザーアブレーションを利用して、あるいは鋭利な金属の縁部を用いて施すことができる。例示的な一実施形態において、この線は、試薬130、132が電極上に縞模様で付けられた後に施すことができる。この線は、下方電極112の検出チャンバの下にある部分を、反応チャンバの下に位置する部分から電気的に絶縁するように設計されることができる。これにより、電気化学的分析の間、作用電極の範囲がより良好に規定されることができる。
【0094】
また、免疫センサー110は、1つ以上の磁気ビーズ134を有する上方電極114を含むことができ、磁気ビーズ134は、表面結合型抗原をその上に含有している。これらの抗原は、以下で更に詳細に説明するように、下方電極112に配置された抗体及び反応チャンバ118内のサンプルと反応するように構成されることができる。出願者は、下方電極112の上及び上方電極114の上に配置された構成要素が互換可能であり得ることを注記しておく。したがって、下方電極112は1つ以上の磁気ビーズ134を含むことができ、上方電極114は、上方電極114上に縞模様で付けられた2つの液体試薬130、132を含むことができる。更に、図示の実施形態において、電極112の長さは、免疫センサー110の全体の長さを形成しているが、他の実施形態において、電極は、免疫センサーの層のうちの下部又は上方電極として機能する部分のみとすることができ、あるいは、複数の電極が、免疫センサーの単一の層に配置することができる。更に、免疫センサーに印加される電圧は、反転及び/又は交換することがあるため、下方及び上方電極の各々は、異なる段階において作用電極及び対電極又は対/基準電極としての働きをすることができる。説明を容易にする目的で、本願では、下方電極は作用電極と見なし、上方電極は対電極又は対/基準電極と見なすことにする。
【0095】
下方電極112と上方電極114との間に配置されるセパレータ116は、多様な形状及び寸法を有することができるが、一般的には、望ましくは下部及び上方電極112、114と係合して免疫センサー110を形成するように構成される。一例示的実施形態では、セパレータ116は、両側に接着剤を含む。セパレータ116は、セパレータ116の二面の各側に剥離ライナーを更に含むことができる。セパレータ116は、少なくとも2つの空洞を形成する方式で切断されることができる。第一の空洞は、反応チャンバ118としての働きをするように形成することができ、第二の空洞は、検出チャンバ120としての働きをするように形成することができる。一実施形態では、反応チャンバ118が電極112、114と整列して反応チャンバ内での抗原抗体反応を可能にし、一方で検出チャンバ120が電極112、114と整列して検出チャンバ内でのフェロシアニドの電気化学的定量を可能にするように、セパレータ116はキスカット(kiss−cut)することができる。
【0096】
一実施形態では、セパレータ116は、上方電極114の磁気ビーズ134及び下方電極112の第一試薬130を少なくとも部分的に反応チャンバ118内に配置することが可能となり、かつ下方電極112の第二試薬132のフェリシアニドとグルコースの組み合わせを少なくとも部分的に検出チャンバ120内に配置することが可能となるような方式で、下方電極112上に配置することができる。抗凝固剤が反応チャンバ118及び検出チャンバ120の各々に付随するように、第一液体試薬130及び第二液体試薬132の各々に抗凝固剤を含ませることが有利となり得る。いくつかの実施形態において、上方電極114と下方電極112との一方とセパレータ116との組み合わせが、共に積層されて二層積層体を形成することができ、一方で、他の実施形態において、下方電極112と上部電極114とセパレータ116との各々の組み合わせが、共に積層されて三層積層体を形成することができる。あるいは、追加の層も加えられてもよい。
【0097】
充填チャンバ122は、下方電極112と上方電極114との一方及びセパレータ116の中に孔を打抜きすることによって形成することができる。図示の実施形態において、充填チャンバは、下方電極112の孔が反応チャンバ118と重なり合うように、下方電極112及びセパレータ116に孔を打抜きすることによって形成されている。図示のように、充填チャンバ122は、一定の距離だけ、検出チャンバ120から離されることができる。そのような構成により、サンプルは、検出チャンバ120に進入することなく、充填チャンバ122を通じて免疫センサー110に進入し、反応チャンバ118の中に流入して、例えば、第一電極112上の、酵素に接合した抗体を緩衝液中に含む第一液体試薬130、及び、上方電極114上に縞模様で付けられた磁気ビーズ134と反応することが可能となる。サンプルが反応すると、そのサンプルは次いで、第二液体試薬132、例えば、フェリシアニドと、グルコースと、酸性の緩衝液中の第二媒体との混合物と相互作用するために、検出チャンバ120の中に流入することができる。
【0098】
通気孔124は、免疫センサー110の全体を通じて孔124が延びるように、2つの電極112、114の各々及びセパレータ116を貫いて孔を打抜きすることによって形成することができる。穴は、例えば、多くの異なる位置でのドリル又は打抜きなどの好適な方法で形成することができるが、一例示的実施形態では、穴は、反応チャンバ118から離間した検出チャンバ120の領域に重なり合うことができる。
【0099】
通気孔124は、多くの異なる方法で封止することができる。図示された実施形態では、第一シーリング構成要素140は下方電極112上に配置されて通気孔124の第一面を封止し、第二シーリング構成要素142は上方電極114上に配置されて通気孔124の第二面を封止する。シーリング構成要素は、任意の数の材料から作製することができ、及び/又は、任意の数の材料を含むことができる。非限定的な例としては、シーリング構成要素のいずれか又は両方は、親水性接着テープ又はScotch(登録商標)テープであり得る。シーリング構成要素の接着剤側は、免疫センサー110に面することができる。図示されるように、第一シーリング構成要素140は、通気孔124に対する封止を形成するだけでなく、サンプルが中に収容され得るように、充填チャンバ122の壁を形成することもできる。第一シーリング構成要素140の接着剤側上に組み込まれている特性は、充填チャンバ122と関連付けることができる。例えば、第一シーリング構成要素140が、それを親水性及び/又は水溶性にする特性を含む場合、充填チャンバは、サンプルがそこに配置されているとき、十分に湿ったままであることができる。更に、シーリング構成要素140、142は、免疫センサー110及びその中に配置された構成要素に対して所望に応じて通気及び/又は封止を提供するように、免疫センサー110に選択的に取り付けられ、また取り外しすることができる。
【0100】
接着剤は、通常、免疫センサーの組み立てに使用することができる。接着剤を本開示の免疫センサー及び他のサンプル分析装置の中に組み込むことができる方法の非限定的例は、米国特許出願第12/570,268号(Chatelier et al.、表題「Adhesive Compositions for Use in an Immunosensor」、2009年9月30日出願)に見出すことができ、この内容はその全体が参照により既に組み込まれている。
【0101】
本開示は免疫センサーに関する様々な異なる実施形態を論じているが、免疫センサーの他の実施形態もまた本開示の方法で使用することができる。そのような実施形態の非限定的な例には、米国特許出願公開第2003/0180814号(Hodges et al.、表題「Direct Immunosensor Assay」、2002年3月21日出願)、同第2004/0203137号(Hodges et al.、表題「Immunosensor」、2004年4月22日出願)、同第2006/0134713号(Rylatt et al.、表題「Biosensor Apparatus and Methods of Use」、2005年11月21日出願)及び米国特許出願第12/563,091号(米国特許出願公開第2003/0180814号及び同第2004/0203137号の各々に対して優先権を主張する)に記載されているものが挙げられ、これらの各々はその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0102】
一実施形態では、免疫センサー110は、ある電位を電極112、114に印加し、その電位を印加した結果として生じる電流を測定するように構成された計器の中に配置されるように構成することができる。一実施形態では、免疫センサーは、計器を係合するために1つ以上のタブ117を含む。他の特性もまた、免疫センサー110を計器と係合するために使用することができる。その計器は、多数の種々の特徴を有することができる。例えば、計器は、免疫センサー110の特定の構成成分をあるチャンバ内に維持し、その一方で他の構成成分は他のチャンバに流れるように構成された磁石を有することができる。例示的な一実施形態では、計器の磁石は、免疫センサー110を計器内に配置すると磁石が反応チャンバ118の下方に配置されるように、設置される。これにより、磁石は、任意の磁気ビーズ134、より具体的には、ビーズ134に拘束されている任意の抗体酵素複合体が、検出チャンバ120の中に流入するのを防ぐことができる。
【0103】
計器の別の特性には、加熱要素が挙げられる。加熱要素は、反応速度を上昇させるのを助け、また、粘度を減じることによってサンプルが所望の方式で免疫センサー110を通じて流動するのを助けることができる。加熱要素はまた、1つ以上のチャンバ及び/又はそこに配置されたサンプルが所定の温度に加熱されるのを可能にすることができる。所定の温度への加熱は、例えば、反応が発生するにつれての温度変化の影響を軽減又は除去することにより、正確さを提供するのを助けることができる。
【0104】
更に、穿孔器具もまた、計器に組み合わせることができる。穿孔器具は、空気が通気孔の外に流出することができ、液体が反応チャンバから検出チャンバの中に流れることができるようにするために、所望の時間に第一及び第二シーリング構成要素の少なくとも1つを穿孔するように構成することができる。
【0105】
免疫センサー110はまた、制御ユニットに関連するように構成することができる。制御ユニットは、様々な機能を作動するように構成することができる。一例示的実施形態では、制御ユニットは、サンプルが装置に導入されるときに、サンプルの充填時間を計測することができる。別の実施形態では、制御ユニットは、血液サンプルのヘマトクリット値を定量するように構成することができる。更に別の実施形態では、制御ユニットは、充填時間を考慮して、サンプル中の分析物の濃度を計算するように構成される。実際、制御ユニットは、所望される機能性及び充填時間を計測するためにシステムが設計されている方法に少なくとも一部依存して、多くの異なる特性を含むことができる。
【0106】
制御ユニットはまた、システムの他の態様を計測することができる。非限定的な例として、制御ユニットは、免疫センサーの1つ以上のチャンバの温度を計測するように構成することができる。制御ユニットはまた、サンプルの温度、サンプルの色、あるいはサンプル及び/若しくはシステムの様々な他の特徴並びに/又は特性を計測するように構成される。更に非限定的例として、制御ユニットは、充填時間定量の結果、分析濃度定量の結果及び/又はヘマトクリット値定量を外部設備に伝達するように構成することができる。これは任意の数の方法によって実現することが可能である。一実施形態では、制御ユニットは、マイクロプロセッサ及び/又はディスプレイ装置に配線することができる。別の実施形態では、制御ユニットは、制御ユニットからマイクロプロセッサ及び/又はディスプレイ装置にデータをワイヤレス伝送するように構成することができる。
【0107】
システムの他の構成要素もまた、このような測定を行うように構成することができる。例えば、免疫センサー又は計器は、免疫センサーの1つ以上のチャンバの温度を計測するように、サンプルの温度を計測又は推測するように、あるいは、サンプル及び/若しくはシステムの様々な他の特徴及び/又は特性を計測、定量又は推測するように構成することができる。更に、出願者は、制御ユニットのこれらの特性が単一制御ユニット内で互換すること及び選択的に組み合わせることができることを注記しておく。例えば、制御ユニットは、充填時間の定量及びチャンバの温度の計測の両方を行うことができる。他の実施形態では、種々の制御ユニットと作動されるのが所望される機能との構成に少なくとも部分的に基づいて、複数の制御ユニットを一緒に使用して、種々の機能を作動することができる。
【実施例】
【0108】
(実施例1)
充填時間を計測するための電気化学システムの使用が以下の実施例で実証される。以下の実施例では、システムは、サンプルと反応するように設計された試薬が一方の電極上で乾燥している、2つの対向した電極を有するセンサーを含んだ。複数のサンプルが、本明細書に開示されているシステム、装置及び方法の性能を試験するための分析のために提供された。サンプルは、試験結果の比較がシステム、装置及び方法の精度を定量するために実際の結果と比較できるように既知である3つの異なるレベルのヘマトクリット値を含有した血液サンプルであった。4つのレベルのヘマトクリット値は、およそ20%、60%及び75%であった。3つのレベルのヘマトクリット値により、開示されたシステム、装置及び方法の精度が濃度レベルの広域スペクトルにわたって確認されるのが可能になった。
【0109】
この実施例では、乾燥した試薬で覆われた電極が第二電極である。第一及び第二電極は、液体サンプルで充填されるようにチャンバの全面積を覆う。サンプルをセンサーに導入した。センサー内へのサンプルの導入は、様々な方法で達成され得るが、この実施例では各サンプルはそれぞれ毛細管現象により充填チャンバの中に収容された。血液が検出チャンバに入り始めるとすぐに、計器によりおよそ4秒にわたって300mV電位を電極に印加した。あるいは、血液が検出チャンバ内に到達するのに先立って又は到達している間に、電圧を印加することもできた。この実施例から得られる電流対時間遷移のプロットは、図7に示されている。図7に示すように、75%ヘマトクリット値の血液で得られる時間電流遷移を示す線は、充填プロセスが第一電極の面積を増大させ(これは電流を増大させる傾向を有する)、同時に第一電極において電気活性種の電気化学的欠乏が存在する(これは電流の減少させる傾向を有する)ので、約0.1〜約0.5秒で比較的平坦である。これらの2つのプロセスは、センサーが血液で充填されている間は、ほぼ釣り合っている。(およそ0.5sにて)充填が完了した後、第一プロセスは終わり、第二プロセスが支配し、その結果、電流は急激に降下する。電流が鋭く減少する最遅時間は、充填時間と考えられる。20%及び60%のヘマトクリット値の血液についての結果は同様の結果を示し、電流は、60%のヘマトクリット値の血液についてはおよそ0.3sで、20%のヘマトクリット値の血液についてはおよそ0.1sで降下する。この実験の結果は、血液のヘマトクリット百分率を定量するために、電流の計測を使用することの実行可能性を実証した。
【0110】
(実施例2)
サンプルと反応するように設計された試薬が一方の電極上で乾燥している、2つの対向した電極を含む第二タイプのセンサーを組み立てた。しかしながら、この実施例では、乾燥した試薬を有する電極は第一電極であり、第一電極が液体充填チャンバの全面積を覆わないように構成され、一方、第二電極は、液体充填チャンバのより広い面積を覆い、第一電極が液体に接触するのに先立って液体に接触するように構成された。このセンサーを使用して様々なヘマトクリット値に調整された複数の血液サンプルを試験するとき、図8に示すような得られた電流のパターンが得られた。この実施例では、4つのレベルのヘマトクリット値はおよそ30%、44%及び62%であった。図8に示すように、各トレースの初期部分は、充填プロセスが作用電極の面積を増大させ、それにより電流を増大させる期間に相当する。充填プロセスが完了すると、電気活性種の電気化学欠乏が図中で矢印により示された時間で電流を減少させる傾向を有する。再び、電流が鋭く減少する時間は、充填時間と考えられる。センサーの異なる構成は、ヘマトクリット値に対する充填時間の異なる依存を導く。
【0111】
(実施例3)
電気化学システムにおける可変プレパルス時間の使用が、以下の実施例で実証される。上記の方法を使用してプレパルス時間を変えるために充填時間情報を使用することができる定電位計器を組み立てた。ヘパリン化した毛細管血を使用して、新しい計器の初期試験を行った。天然ヘマトクリット値及びグルコースを試験し、次に、血漿及び77%血液を天然又は急上昇させたグルコースレベルで試験した。元々の(固定時間)計器及び上記可変プレパルス時間アルゴリズムを組み込んだ計器でストリップを試験した。上記アルゴリズムを使用して、データを分析した。
【0112】
図9は、元々の(固定時間)計器で試験したときには77%ヘマトクリット値の血液は負のバイアス(−19〜−28%)を与えたが、可変プレパルス時間計器で試験したときには全ての点が基準グルコース測定値の15%以内であったことを示す。基準グルコース測定を行うように構成された市販の機器の例は、Yellow Springs Instrument(YSI)グルコース分析器である。2つのタイプの計器についての統計全体は、以下の表1に要約される。
【0113】
【表1】

【0114】
表1に示されるように、可変時間計器は、精度及び正確さの点で固定時間計器を上回った。
【0115】
(実施例4)
充填時間に基づいてヘマトクリット値を定量するために電気化学システムを使用することは、以下の実施例により実証される。この実施例では、システムは、サンプル分析装置、特に図6の免疫センサー110、電位を印加するように構成された計器、初期充填速度を定量するように構成された制御ユニットを含んだ。特に、電位を免疫センサー110の電極に印加し、ヘマトクリット値のレベルを定量し、次に電位を逆転した。続いて、定量されたヘマトクリット値のレベルを考慮しながら、分析物の濃度を定量した。サンプルの充填時間を考慮しながら、ヘマトクリット値のレベルを定量した。
【0116】
複数のサンプルが、本明細書に開示されているシステム、装置及び方法の性能を試験するための分析のために提供された。サンプルはC反応性タンパク質を含有した血液であり、それゆえに、定量されている分析物の濃度はC反応性タンパク質の濃度であった。サンプルは、試験結果の比較がシステム、装置及び方法の精度を定量するために実際の結果と比較できるように既知である4つの異なるレベルのヘマトクリット値を含有した。4つのレベルのヘマトクリット値は、およそ15%、49%、60%及び72%であった。4つのレベルのヘマトクリット値により、開示されたシステム、装置及び方法の精度が濃度レベルの広域スペクトルにわたって確認されるのが可能になった。
【0117】
この実施例では、サンプルを導入する前に、免疫センサーをおよそ37℃に予備加熱した。免疫センサーと組み合わせた計器は、予備加熱を行うように構成されたが、他の代替形態も使用され得た。次に、サンプルを免疫センサーの中に導入した。免疫センサー内へのサンプルの導入は、様々な方法で達成され得るが、この実施例では各サンプルはそれぞれ毛細管現象により充填チャンバの中に収容された。
【0118】
およそ2分が経過した後、第一シーリング構成要素を穿孔することによって、免疫センサーの通気孔を通した。計器の穿孔器具を使用して、穿孔作業を実行し、今度は、血液が免疫センサーの反応チャンバから免疫センサーの検出チャンバの中に流れるようにした。血液が検出チャンバに入ると、300mV電位を計器を通じて電極に印加した。上記実施例でのように、電流対時間遷移を使用して、上記方法によりサンプルの充填時間を定量した。この実施例からの充填時間対ヘマトクリット百分率のプロットを図10に示す。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されている方法によるヘマトクリット値の推定は、病理学的により受容されやすいことから、全血よりもむしろ血漿に関して抗原濃度を表現するために使用することができる。
【0119】
上記のように、いくつかの実施形態では、ヘマトクリット値のレベルを計測だけすることが望ましいものであり得る。それゆえに、初期電流に基づく最初の計算は、この計算を行うのに必要とされる唯一の工程であり得る。ヘマトクリット値レベルの実際の定量は、初期電流が計算できるのと同じくらい迅速に定量することができる。それゆえに、非限定的な例として、初期電流が最初の50ミリ秒にわたる平均に基づいて計算される場合、ヘマトクリット値のレベルは、最初の50ミリ秒に続いて定量することができる。それゆえに、血液サンプルのヘマトクリット値レベルの計測は、1秒未満で行うことができる。
【0120】
(実施例5)
ヘマトクリット値に対する更なる変形及び補正なしにサンプルの充填時間に基づいて分析物計測を補正するための例示的アルゴリズムが、以下の実施例により実証される。この実施例では、GDH−PQQの代わりに酵素FAD−GDHを含有するセンサーを試験した。グルコースを含有する血液サンプルをセンサーに適用し、図11に示されている電位波形を印加した。約1秒にわたるセンサーへの第一電位の印加(E1、この実施例では約+20mVであった)の間に、サンプルの充填時間を定量した。この実施例では、充填時間は、センサーにおけるサンプルの第一検出から、第一電位の印加中に電流遷移の変化率の最大値、すなわち、i(t)−i(t+dt)の最大値が計測されたときまでの時間であると決定された。i(t)−i(t+dt)の最大値、すなわち、電流における最も鋭い降下は、十分な容量のサンプルが実施されている分析物計測のためにセンサーを充填した時点に対応する。充填時間は、サンプル検出に続く最初のおよそ0.15秒間は評価されないが、これは、初期信号が、アノード付近の酸化防止剤種の消費に起因する急速な電流の減少と、センサーの充填に伴うより緩慢な電流増加と、の組み合わせであるからである。これらの2つの速度が一致すると、見かけの定常状態電流が達成され、センサーの残りを血液が充填している間は、電流に変化はほとんど生じない。この理由のために、図11に示されている最短充填時間は、約0.15秒である。
【0121】
第一電位の印加(E1、約1秒にわたる)に続いて、+300mVの第二試験電位E2を約3秒にわたって印加し、その後、−300mVの第三試験電位E3を印加した。等式2b及び3bを使用して、様々なi及びiを計算した。iの値は5秒の長さの期間のうちの3.9〜4秒の電流の和として計算され、iの値は5秒の長さの期間のうちの4.25〜5秒の電流の和として計算された。次に、上記等式1を使用して、サンプル中の第一グルコース濃度を計算した。この実施例では、p、a及びzgrの値は、各々、0.5796、0.02722及び1.8であった。
【0122】
次に、上記等式14A、14B、15A、15B及び15Cに従って、サンプルの充填時間を考慮して第一グルコース濃度を補正し、これについて、FTの2つの閾値、Th及びThは各々、0.2秒及び0.4秒であった。以下の実施例で述べられるように、出願者は、等式14A、14B、15A、15B及び15Cに従ってサンプルの充填時間を考慮して補正されたグルコース計測の結果は精度を改善し、基準データよりも低いバイアスを生じたことを見出した。
【0123】
(実施例6)
サンプルの充填時間における濃度の基準値からのバイアスの依存が、この実施例において実証される。上記アルゴリズムに従ってFAD−GDHセンサーを使用して、約0〜約70%のヘマトクリット値の範囲を有するサンプルを試験したが、充填時間について補正を行わなかった。図12は、分析物濃度の基準値からのサンプルのバイアスがサンプルの充填時間に依存したことを示す。例えば、図12に示されるように、サンプルのバイアスは、充填時間が増加するにつれてますます負になる。換言すれば、分析物濃度の未補正値の精度は、より長い充填時間のサンプルについて低下した。それゆえに、サンプルの充填時間にバイアスの明確な依存が存在する。
【0124】
(実施例7)
充填時間を考慮して分析物濃度を補正することから生じる改善が、この実施例において実証される。図13Aは、サンプルのヘマトクリット値範囲に対してプロットした図12に示されたものと同一のデータセットを示す。図13Bは、上記等式14A、14B、15A、15B及び15Cに従って充填時間を考慮してデータが補正されたときに得られる改善を示す。図13A及び13Bに示されているように、全体的なSDバイアスは、データを充填時間について補正した後、6.2から5.7に低下した。それゆえに、上記アルゴリズムに従っての充填時間についての補正は、精度の改善を提供する。
【0125】
(実施例8)
臨床設定における充填時間補正を使用する精度の増加が、この実施例により実証される。図14は、実施例5で上述したアルゴリズムに従って臨床設定でFAD−GDHセンサーを使用して試験された311人の提供者から入手したサンプルについてのバイアス対充填時間のデータのプロットを示す。このデータセットについて、充填時間補正は、全体のSDバイアスにおいて5.75から5.58への低下を提供した。この臨床データにおける改善は、ほとんどのサンプルが約0.2秒以下でセンサーを充填し、これが充填時間アルゴリズムにより未補正であったことから、ほんのわずかであった。
【0126】
(実施例9)
これまでの実施例におけるデータは、50msデータ密度で得られた(すなわち、1つの電流値は、50ms毎に保存された)。充填時間のより良好な解析が、図15に示されるように、例えば、10msデータ密度といった、より高速のデータ保存を用いて得ることができる。図15は、約15%〜約72%の範囲でヘマトクリット値を有する血液がセンサーにかけられた際に得られた電流遷移を示す。図16は、図15のデータから計算された充填時間データを示す。図16は、中空のダイヤモンドとして未加工の充填時間値を、塗り潰された正方形として5つの反復データの平均値を、並びに、縦棒として±1SDを示す。図16に示されているように、充填時間は、約0.06秒〜約0.32秒の範囲であり、高いヘマトクリット値のサンプルほど充填に時間がかかる。この実施例に示されたデータがグルコース濃度について試験された際には、全体SDバイアスは、グルコース値が実施例5で上述されたアルゴリズムを使用して充填時間について補正された後、5.08から4.71に低下した。
【0127】
出願者は、これらの9個の実施例が、本明細書に含有される教示がどのように行うことができ、どのように使用することができるかの多くの例のうちの9つに過ぎないことを注記しておく。更に、本明細書に開示されている方法、システム及び装置は、主に、血液サンプルの分析物の濃度の定量と共に使用され、様々な充填時間及び血液サンプル中のヘマトクリット値のレベルから生じ得る誤差を計上することを主に焦点とする。出願者は、本明細書に含有される開示はまた、分析物を含有する様々な他のサンプルに対しても使用でき、サンプル内に含有される様々な抗原及び/又は抗体について試験できることを注記しておく。
【0128】
出願者は、様々な方法、システム及び装置が特定の等式に頼る範囲にわたって、提供される等式がその等式が適用される例に対して通常基づいていることを注記しておく。当業者であれば、本開示を考慮して、本発明の範囲から逸脱することなく他の状況に対して開示された等式に調整を行うことができるであろう。
【0129】
更にまた、濃度の計測並びにシステム及び装置の使用に関するものなどの本明細書で説明された方法は、特に示されている個所を除き、特定の工程及び工程順序によっても限定されない。当業者であれば、それらの方法を実施し得る種々の順序を理解し、また、それらの工程が本発明の範囲から逸脱することなく修正又は追加され得ることが理解されよう。
【0130】
本明細書に開示されている方法を使用できる他のタイプの装置のいくつかの非限定的例は、米国特許第5,942,102号(Hodges et al.、表題「Electrochemical Method」、1997年5月7日出願)、同第6,174,420号(Hodges et al.、表題「Electrochemical Cell」、1999年5月18日出願)、同第6,379,513号(Chambers et al.、表題「Sensor Connection Means」1999年9月20日出願)、同第6,475,360号(Hodges et al.、表題「Heated Electrochemical Cell」、2000年9月11日出願)、同第6,632,349号(Hodges et al.、表題「Hemoglobin Sensor」、2000年7月14日出願)、同第6,638,415号(Hodges et al.、表題「Antioxidant Sensor」、2000年7月14日出願)、同第6,946,067号(Hodges et al.、表題「Method of Forming an Electrical Connection Between an Electrochemical Cell and a Meter」、2002年12月9日出願)、同第7,043,821号(Hodges、表題「Method of Preventing Short Sampling of a Capillary or Wicking Fill Device」、2003年4月3日出願)及び同第7,431,820号(Hodges et al.、表題「Electrochemical Cell」、2002年10月1日出願)により詳細に説明されており、これらの各々はその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0131】
更に、特定の構成を有する装置と共に使用するために本開示について論じる限りにおいて、多数の構成を使用することができる。例えば、本開示と共に使用され得るいくつかの構成は、互いに面する2つの電極を有するセンサーと、同じ平面上に2つの電極を有するセンサーと、3つの電極を有し、それらの電極のうちの2つが対向し、それらの電極のうちの2つが同じ平面上にあるセンサーと、を含む。これらの異なる構成は、免疫センサー及び他の上記装置などの多数の装置で得ることができる。
【0132】
本発明の範囲を逸脱することなく、種々の定量にとって所望されるように、装置、システム及び方法の種々の態様を適合及び変更することができる。更に、上述の実施形態に基づいた本発明の更なる特徴及び利点が、当業者には理解されよう。したがって本発明は、添付の請求項に示された内容を除き、本明細書に特に示され記述されたものに限定されることはない。本明細書に記載の全ての参考文献は、その全体が参考として本願に明示的に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の分析物の濃度を定量するための方法であって、前記方法は、
分析物を含むサンプルをサンプル分析装置の電気化学セル内に導入することであって、前記電気化学セルは作用電極及び対電極を有する、導入することと、
前記サンプルの充填時間を定量することと、
少なくとも前記充填時間を考慮してプレパルス時間を計算することと、
前記プレパルス時間に等しい長さの時間にわたって前記作用電極と前記対電極との間に電位を印加することと、
前記分析物の濃度を定量することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記サンプルの充填時間を定量することが、
前記サンプルが導入されるときに前記作用電極と前記対電極との間に電位を印加することと、
時間の関数としてセル電流を計測することと、
前記時間の関数としてのセル電流に基づいて電流降下時間を定量することと、を含み、前記電流降下時間が前記サンプルの前記充填時間に相当する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電流降下時間を定量することが、経時的に計測される前記セル電流における変化の最大の負の値を計算することにより達成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記時間の関数としてセル電流を計測することが、
およそ2ミリ秒毎に電流計測を行うことと、
およそ10ミリ秒毎の電流計測値に基づいて平均電流を計算し、保存することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルの前記充填時間を考慮して、前記サンプル中のヘマトクリット値のレベルを定量することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記分析物の濃度を定量することが、前記定量されたヘマトクリット値のレベルを考慮して、前記分析物の濃度を計算することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記サンプル分析装置がグルコースセンサーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記サンプル分析装置が免疫センサーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプルが血液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記血液が全血を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
電気化学システムであって、
下方電極及び上方電極を有する電気化学セルと、
計器であって、前記計器が前記電気化学セルの前記下方電極と前記上方電極との間に電位を印加するように前記電気化学セルと接続された、計器と、
制御ユニットであって、前記制御ユニットが前記電気化学セル内に導入されたサンプルの充填時間を定量して、前記サンプル中の分析物の濃度を計算するために前記充填時間を使用するように前記計器と接続された、制御ユニットと、を含む、電気化学システム。
【請求項12】
前記電気化学セルの少なくとも一部分を加熱するように構成された加熱要素を更に含む、請求項11に記載の電気化学システム。
【請求項13】
前記電気化学セルが免疫センサーを含む、請求項11に記載の電気化学システム。
【請求項14】
前記免疫センサーが、
緩衝液中に酵素に接合した抗体を含む第一液体試薬であって、前記第一液体試薬が前記下方電極上に縞模様で付けられて乾燥している、第一液体試薬と、
希酸溶液中にフェリシアニドと前記酵素に対する基質と電気化学的媒体とを含む第二液体試薬であって、前記第二液体試薬が前記下方電極上に縞模様で付けられて乾燥している、第二液体試薬と、
抗原に接合した磁気ビーズであって、前記磁気ビーズが前記上方電極上に縞模様で付けられて乾燥している、磁気ビーズと、
前記下方電極と前記上方電極との間に配置されたセパレータと、
前記セパレータ内に形成された反応チャンバであって、前記第一試薬及び前記抗原に接合した前記磁気ビーズがその中に配置された、反応チャンバと、
前記セパレータ内に形成された検出チャンバであって、その中に前記第二試薬が配置された、検出チャンバと、
前記セパレータ及び前記下方電極と前記上方電極との一方に少なくとも部分的に形成され、前記検出チャンバからある距離だけ離間され、前記反応チャンバの少なくとも一部分に重なり合う、充填チャンバと、
前記セパレータ、前記下方電極及び前記上方電極の各々に少なくとも部分的に形成され、前記反応チャンバからある距離だけ離間され、前記検出チャンバの少なくとも一部分に重なり合う、通気孔と、
抗凝固剤を組み込まれた第一シーリング構成要素であって、前記下方電極及び前記上方電極の一方に連結され、前記通気孔の上に配置され、前記充填チャンバの壁を形成すると共に前記通気孔を封止するように構成された、第一シーリング構成要素と、
前記下方電極及び前記上方電極のもう一方に連結され、前記通気孔の上に配置され、前記通気孔を封止するように構成された、第二シーリング構成要素と、を更に含む、請求項13に記載の電気化学システム。
【請求項15】
前記第一シーリング構成要素が親水性接着テープを含む、請求項14に記載の電気化学システム。
【請求項16】
前記免疫センサー、前記計器及び前記制御ユニットのうちの少なくとも1つが、前記サンプルの温度を計測するための構成を含む、請求項14に記載の電気化学システム。
【請求項17】
前記分析物がC反応性タンパク質を含む、請求項14に記載の電気化学システム。
【請求項18】
前記サンプルが血液を含む、請求項11に記載の電気化学システム。
【請求項19】
前記血液が全血を含む、請求項18に記載の電気化学システム。
【請求項20】
血液サンプルを計測するための方法であって、
2つの電極を有する免疫センサーと、
計器であって、前記計器が前記免疫センサーの前記2つの電極の間に電位を印加するように、前記免疫センサーに接続された、計器と、を提供することと、
抗原を含む血液サンプルを前記免疫センサーの中に導入することと、
前記2つの電極の間に電位を印加することと、
前記血液サンプルの充填時間を計算することと、
前記充填時間を考慮して前記抗原の濃度を定量することと、を含む、方法。
【請求項21】
前記免疫センサーが、
前記2つの電極の間に配置されたセパレータ内に形成された反応チャンバ及び検出チャンバと、
前記セパレータ及び前記2つの電極の一方に少なくとも部分的に形成され、前記検出チャンバからある距離だけ離間され、前記反応チャンバの少なくとも一部分に重なり合う、充填チャンバと、
前記セパレータ及び前記2つの電極に少なくとも部分的に形成され、前記反応チャンバからある距離だけ離間され、前記検出チャンバの少なくとも一部分に重なり合う、通気孔と、を更に含み、
前記方法が、
第一緩衝液中の抗体酵素複合体及び第二緩衝液中の抗原と結びついた磁気ビーズを前記反応チャンバに提供することと、
希酸中のフェリシアニド、グルコース及び媒体を前記検出チャンバに提供することと、
前記充填チャンバの壁を形成する前記通気孔の第一面を覆って第一封止を提供することと、
前記通気孔の第二面を覆って第二封止を提供することであって、
前記血液サンプルを前記免疫センサーの中に導入するときに前記血液サンプルの少なくとも一部分が前記充填チャンバから前記反応チャンバに移動する、提供することと、
前記第一封止及び前記第二封止の少なくとも一方に穿孔することによって、所定時間の後に前記通気孔を開口し、それによって、前記磁気ビーズに拘束されていない前記抗体酵素複合体を含有する前記血液サンプルの一部分を前記検出チャンバに移動させることと、
前記検出チャンバ内の前記グルコースの酸化を触媒することであって、結果として、フェロシアニドが形成されることと、
前記フェロシアニドからの電流を電気化学的に検出することと、
検出された信号を考慮して、前記血液サンプル中の前記抗原の濃度を定量することと、を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記充填時間を計算することが、
電気化学センサーにおいて前記サンプルの存在を検出することであって、前記電気化学センサーが2つの電極を含む、検出することと、
前記2つの電極で前記サンプルの充填時間を定量することと、
少なくとも前記充填時間を考慮して、補正因子を計算することと、
分析物を反応させて前記2つの電極間で前記分析物の物理的変化を生じさせることと、
前記補正因子を考慮して、同じ前記2つの電極を用いて前記分析物の濃度を定量することと、をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記サンプルの前記充填時間を定量することが、
前記サンプルが導入されるときに2つの電極の間に電位を印加することと、
時間の関数としてセル電流を計測することと、
前記時間の関数としての電流に基づいて、電流降下時間を定量することと、含み、
前記電流降下時間が前記サンプルの前記充填時間に相当する、請求項26に記載の方法。
【請求項24】
前記電流降下時間を定量することが、経時的に計測された電流における変化の最大の負の値を計算することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項25】
前記電流降下時間を定量することが、少なくとも2つの電流値の間の差を計算することを含み、前記差が第一の所定の閾値よりも大きい、請求項27に記載の方法。
【請求項26】
前記電流降下時間を定量することが、少なくとも2つの電流値の間の差を計算することを含み、前記差が第二の所定の閾値よりも小さい、請求項27に記載の方法。
【請求項27】
前記電流降下時間を定量することが前記時間の関数として計測された電流の勾配を計算することを含み、前記勾配が第三の所定の閾値よりも大きい、請求項27に記載の方法。
【請求項28】
前記電流降下時間を定量することが、前記時間の関数として計測された電流の勾配を計算することを含み、前記勾配が第四の所定の閾値よりも小さい、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記電流降下時間を定量することが、前記時間の関数として計測された電流の変曲点を計算することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記サンプルの存在を検出することが、
前記2つの電極の間に電位を印加することと、
第五の所定の閾値よりも大きい電流値の変化を計測することと、を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記サンプルの存在を検出することが、
前記2つの電極の間に電位を印加することと、
第六の所定の閾値よりも小さい電流値の変化を計測することと、を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記サンプルの存在を検出することが、
前記2つの電極の間にほぼ一定の電流を印加することと、
第七の所定の閾値よりも大きい電位の変化を計測することと、を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記サンプルの存在を検出することが、
前記2つの電極の間にほぼ一定の電流を印加することと、
第八の所定の閾値よりも小さい電位の変化を計測することと、を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記サンプルの存在を検出することが、分析物計測機のマイクロプロセッサにより行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記分析物を反応させることが、前記2つの電極により電流として測定される電気活性種を生じさせる、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記2つの電極が対向して面した配向を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
前記2つの電極が面する配向を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記電気化学センサーがグルコースセンサーを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
前記電気化学センサーが免疫センサーを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
前記サンプルが血液を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項41】
前記サンプルが全血を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項42】
補正された分析物濃度を計測するための方法であって、前記方法は、
電気化学センサーにおいてサンプルの存在を検出することであって、前記電気化学センサーが2つの電極を含む、検出することと、
前記2つの電極で前記サンプルの充填時間を定量することと、
分析物を反応させて前記分析物の物理的変化を生じさせることと、
同じ前記2つの電極を用いて前記サンプル中の第一分析物濃度を定量することと、
前記第一分析物濃度及び前記充填時間に基づいて補正された分析物濃度を計算することと、を含む、方法。
【請求項43】
前記補正された分析物濃度を計算する工程が、
前記充填時間に基づいて補正因子を計算することを含み、前記補正された分析物濃度が前記第一分析物濃度及び前記補正因子に基づいて計算される、請求項46に記載の方法。
【請求項44】
前記補正因子は、前記充填時間が第一充填時間閾値よりも小さい場合には、約ゼロを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項45】
前記補正因子は、前記充填時間が第一充填時間閾値よりも大きく、第二充填時間閾値よりも小さい場合には、前記充填時間を考慮して計算される、請求項47に記載の方法。
【請求項46】
前記補正因子は、前記充填時間が第二充填時間閾値よりも大きい場合には、一定値を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項47】
前記補正された分析物濃度を計算する工程が、前記補正因子と、前記サンプル中の前記第一分析物濃度が閾値よりも小さい場合の前記サンプル中の前記第一分析物濃度と、の和を計算することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項48】
前記サンプル中の前記第一分析物濃度が閾値よりも大きい場合に前記補正された分析物濃度を計算する工程が、
前記補正因子を100で除算し、1を加算して中間項を与え、
前記中間項に前記第一分析物濃度を乗算して、充填時間で補正された分析物濃度を与えることを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記サンプルの充填時間を定量することが、
前記サンプルが導入されている間に前記2つの電極の間に電位を印加することと、
時間の関数として電流を計測することと、
前記時間の関数としての電流に基づいて電流降下時間を定量することと、を含み、前記電流降下時間が前記サンプルの前記充填時間に相当する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記電流降下時間を定量することが、経時的に計測される電流における変化の最大の負の値を計算することを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項51】
前記電流降下時間を定量することが、少なくとも2つの電流値の間の差を計算することを含み、前記差が第一の所定の閾値よりも大きい、請求項53に記載の方法。
【請求項52】
前記電流降下時間を定量することが、少なくとも2つの電流値の間の差を計算することを含み、前記差が第二の所定の閾値よりも小さい、請求項53に記載の方法。
【請求項53】
前記電流降下時間を定量することが、前記時間の関数として計測された電流の勾配を計算することを含み、前記勾配が第三の所定の閾値よりも大きい、請求項53に記載の方法。
【請求項54】
前記電流降下時間を定量することが、前記時間の関数として計測された電流の勾配を計算することを含み、前記勾配が第四の所定の閾値よりも小さい、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記電流降下時間を定量することが、前記時間の関数として計測された電流の変曲点を計算することを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記サンプルの存在を検出することが、
前記2つの電極の間に電位を印加することと、
第五の所定の閾値よりも大きい電流値の変化を計測することと、を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
前記サンプルの存在を検出することが、
前記2つの電極の間に電位を印加することと、
第六の所定の閾値よりも小さい電流値の変化を計測することと、を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項58】
前記サンプルの存在を検出することが、
前記2つの電極の間にほぼ一定の電流を印加することと、
第七の所定の閾値よりも大きい電位の変化を計測することと、を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項59】
前記サンプルの存在を検出することが、
前記2つの電極の間にほぼ一定の電流を印加することと、
第八の所定の閾値よりも小さい電位の変化を計測することと、を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項60】
前記サンプルの存在を検出することが、分析物計測機のマイクロプロセッサにより行われる、請求項46に記載の方法。
【請求項61】
前記分析物を反応させることが、前記2つの電極により電流として測定される電気活性種を生じさせる、請求項46に記載の方法。
【請求項62】
前記2つの電極が対向して面した配向を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項63】
前記2つの電極が面する配向を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項64】
電気化学システムであって、
(a)試験計器に嵌合するように構成された電気的接触を含む電気化学センサーであって、前記電気化学センサーは、
(i)第一電極と、離間した関係にある第二電極と、
(ii)試薬と、を含む、電気化学センサーと、
(b)試験ストリップに電圧を印加した際に前記試験ストリップから電流データを受信するように構成され、計算された分析物濃度及び同じ2つの前記電極を用いて計測された充填時間に基づいて補正された分析物濃度を定量するように更に構成されたプロセッサを含む試験計器と、を含む、電気化学システム。
【請求項65】
前記試験計器が、分析物濃度閾値と、第一充填時間閾値と、第二充填時間閾値と、を含有するデータストレージを含む、請求項68に記載の電気化学システム。
【請求項66】
前記電気化学センサーの少なくとも一部分を加熱するように構成された加熱要素を更に含む、請求項68に記載の電気化学システム。
【請求項67】
前記電気化学センサーがグルコースセンサーを含む、請求項68に記載の電気化学システム。
【請求項68】
前記電気化学センサーが免疫センサーを含む、請求項68に記載の電気化学システム。
【請求項69】
前記電気化学センサー、前記試験計器及び前記プロセッサのうちの少なくとも1つが、前記サンプルの温度を計測するように構成されている、請求項68に記載の電気化学システム。
【請求項70】
前記分析物がC反応性タンパク質を含む、請求項68に記載の電気化学システム。
【請求項71】
前記分析物がグルコースを含む、請求項68に記載の電気化学システム。
【請求項72】
前記サンプルが血液を含む、請求項68に記載の電気化学システム。
【請求項73】
前記サンプルが全血を含む、請求項68に記載の電気化学システム。
【請求項74】
前記第一及び第二電極が対向して面した配向を含む、請求項68に記載の電気化学システム。
【請求項75】
前記第一及び第二電極が面する配向を含む、請求項68に記載の電気化学システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−145291(P2011−145291A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−284923(P2010−284923)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】