説明

充填樹脂及び充填樹脂の製造方法

充填樹脂の製造方法は、機能化粒子を提供すること、並びに、減圧混練機中で機能化粒子を有機マトリックスと組み合わせ、均質に混合して、充填樹脂を提供することを含み、その結果、機能化粒子は充填樹脂の少なくとも約20重量%を構成する。機能化樹脂を提供する工程は、(i)未処理粒子、(ii)粒子と反応する表面処理剤及び(iii)溶媒、の原料ストックを提供すること、並びに、粒子を表面処理剤と反応させるのに十分な温度に維持した連続反応器の中を原料ストックを移動させて、約4時間未満機能化粒子を提供すること、並びに、連続反応器から直接減圧混練機の中に機能化粒子を移動させることも含むことができる。別の態様では、仕上がった樹脂は、有機マトリックス中に少なくとも約20重量%の機能化粒子を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填樹脂及び充填樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不溶性粒子で強化されている未硬化ポリマー材料は通常、「化合樹脂」又は「充填樹脂」と称される。充填樹脂の1つのタイプはナノ粒子充填樹脂であり、これは定義によればナノメートルスケールで測定される1つ以上の寸法を有する粒子を含む。硬化されたときに、生じる、ナノ粒子を組み込んでいる材料、又は「ナノ複合体」は、電気若しくは熱伝導率、又は強化された光学特性、又は例えば、硬さ及び強度などの機械的特性といった強化された特性を呈し得る。
【0003】
ナノ複合体及び他の充填樹脂に関する製品適用は、典型的には、最低限の凝集でポリマーマトリックス内における粒子の徹底的な混合を必要とする。場合によっては、粒子がポリマーマトリックスにより大きな適合性を有するように、粒子の表面は改質されて官能基を付加される。しかしながら、粒子の低凝集で徹底的に混合された充填樹脂を得るのは、高度に粘稠なポリマーにおいて及び/又は多くの粒子配合が所望される場合において、より困難である。更に、このような充填樹脂のためのバッチ製造プロセスの使用は、労働集約的で費用がかかり得る。結果的に、ナノ複合体を含む充填樹脂の経済的な応用は制限されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、有機マトリックス内に粒子を含む充填樹脂の製造に対する改善を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本発明は、機能化粒子を提供すること、並びに、減圧混練機中で機能化粒子を有機マトリックスと組み合わせ、均質に混合して、充填樹脂を提供することを含む充填樹脂の製造方法を提供し、機能化粒子は充填樹脂の少なくとも約20重量%を構成する。
【0006】
別の態様では、本発明は上記方法を提供し、機能化樹脂を提供することは、原料ストックを提供することであって、原料ストックが(i)未処理粒子、(ii)粒子と反応する表面処理剤及び(iii)溶媒を含む、原料ストックを提供すること、粒子を表面処理剤と反応させるのに十分な温度に維持した連続反応器の中を原料ストックを移動させて、約4時間未満機能化粒子を提供すること、並びに、連続反応器から直接減圧混練機の中に機能化粒子を移動させることを更に含む。
【0007】
更に他の態様では、本発明は、有機マトリックス中に少なくとも約20重量%の機能化粒子を含む仕上がった樹脂を提供する。
【0008】
本発明の態様を説明するために本明細書で使用される種々の用語は、当業者に既知の同一の意味を有すると理解される。明確にするために、特定の用語は本明細書に記載される意味を有すると理解される。
【0009】
「有機マトリックス」は、ポリマー材料又はポリマー材料の前駆体(例えば、モノマー又はオリゴマー)を指す。
【0010】
「実質的に対称な粒子」は、長さ、幅及び高さの測定値が実質的に同一である点で比較的対称である粒子を指し、このような粒子の平均縦横比はおよそ1である。
【0011】
他に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される形状、量、物理特性を表わす数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それゆえに、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメーターは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0012】
本明細書で使用するとき、数値の範囲を端点によって列挙したものは、その範囲に包含される全ての数値を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4及び5を含む)。
【0013】
本明細書に含まれるように、不定冠詞「a」又は「an」に続く名詞の単数形は、文脈が明らかに別様に規定しない限り、名詞の複数形も包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施形態を述べるにあたり、図が参照され、図では、実施形態の構成要素が参照番号で同定され、同様の参照番号が同様の構成要素を示す。
【図1】本発明の実施形態による連続製造プロセスの概略図。
【図2】本明細書の比較例Aと実施例1に従って作製された材料についての剪断速度の関数としての粘度のプロット。
【0015】
当業者であれば、発明を実施するための形態及び実施例を含む本開示の残部に記載される実施形態を考慮すると、本発明の特徴を更に理解するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、充填樹脂及び充填樹脂の製造方法を提供する。本発明の特定の実施形態は本明細書に記載されるが、本発明の充填樹脂は有機マトリックス中の機能化粒子を含む。このような充填樹脂の製造方法は、混練機中で機能化粒子を有機樹脂と組み合わせ、均質に混合して、充填樹脂を提供することを含む。本発明の実施形態では、本発明の方法は、まず未処理粒子を機能化又は表面改質すること、及び直ちに機能化(表面改質された)粒子を有機マトリックスの中に組み込んで充填樹脂を提供することを含むことができる。このプロセスは、バッチモードでも連続モードでも行うことができる。いくつかの実施形態では、表面改質された粒子は、有機マトリックスと反応(例えば、共有結合を形成)して、最終マトリックス構造の一部となる。このような実施形態では、表面改質された粒子は、粒子の表面に付着した第一の官能基とマトリックス(例えば、ポリマー)系の他の成分と反応可能な第二の官能基とを有する表面処理剤を含む。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、粒子は実質的に対称である。例えば、実質的に対称な粒子には、実質的に球体であるもの、実質的に立方体であるもの又はこれらに類するものが挙げられる。他の実施形態では、本発明に有用な粒子は、3つの空間測定値全てで対称ではない。
【0018】
本発明の実施形態では、粒子はサイズにおいて比較的均一であり、ゾル中に含まれるとき、非凝結性である。しかしながら、有用な粒子は、最終機能化製品の所望される使用に依存して任意の様々なサイズであってもよい。有用な粒子には、マイクロ粒子並びにナノ粒子が挙げられる。いくつかの実施形態では、粒子は、これらが1マイクロメートル以上の平均厚さ(例えば、長さ、幅及び/又は高さ)を有するという点で、マイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、粒子は最大約30マイクロメートルの平均厚さを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、これらが約1マイクロメートル未満の平均厚さを有するという点で、ナノ粒子であり、いくつかの実施形態では約500nm未満、いくつかの実施形態では約100nm未満、並びにいくつかの実施形態では約50nm未満である。いくつかの実施形態では、粒子は実質的に対称である。
【0019】
機能化粒子は、1つ以上の表面処理剤を未処理粒子と反応させることにより、調製される。いくつかの実施形態では未処理粒子は有機材料を含み、他の実施形態では未処理粒子は無機材料を含む。本発明の実施形態では、未処理粒子は、例えば、金属、無機酸化物、無機硫化物、無機アンチモン化物、無機塩、無機窒化物、金属粒子、金属コーティングされた粒子が挙げられるがこれらに限定されない、広範囲の無機材料から選択され得る。好適な有機材料には、例えば、カーボンブラック及び有機顔料が挙げられる。
【0020】
機能化又は表面改質された粒子は、有機マトリックスと組み合わされて、充填樹脂を形成する。本発明の実施形態では、充填樹脂は、高濃度の機能化粒子を含む。いくつかの実施形態では、充填樹脂は、1つ以上のタイプの機能化粒子(例えば、1つ以上の材料及び/又は1つ以上の平均粒子サイズ)を含む。いくつかの実施形態では、機能化粒子は、機能化ナノ粒子を含む。このような実施形態では、機能化ナノ粒子は、少なくとも約20重量%の濃度で、仕上がった樹脂中に存在し得る。いくつかの実施形態では、機能化ナノ粒子は、少なくとも約30重量%、いくつかの実施形態では少なくとも約40重量%、いくつかの実施形態では少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%又は少なくとも75重量%、の濃度で、仕上がった樹脂中に存在し得る。いくつかの実施形態では、機能化ナノ粒子は、約80重量%以下、約70重量%以下、約65重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、の濃度で、仕上がった樹脂中に存在し得る。いくつかの実施形態では、充填樹脂の有機マトリックスは、少なくとも1つのポリマー、いくつかの実施形態では1つを超えるポリマー、を含む。いくつかの実施形態では、有機マトリックスは、オリゴマー及び/又はモノマーを含み得る。更に他の実施形態では、有機マトリックスは、モノマー、オリゴマー及び/又はポリマーを含み得る。
【0021】
機能化粒子は、混練機中で有機マトリックスと組み合わされて、液体(例えば、溶媒)除去も行いながら、有機マトリックス中で粒子を徹底的に混合する。混練機は、分散プロセスにつながる環境を提供する。
【0022】
記載したように、本発明のプロセスは、バッチモードで行うことができ、未処理粒子は別個の異なるプロセス工程でまず機能化され、多量の機能化粒子は測定された量の有機マトリックスと共に混練機に加えられる。いったん混練機に加えられたら、マトリックスと機能化粒子は、本明細書に記載のように徹底的に混合される。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは連続モードで行われる。いくつかの連続プロセス実施形態では、未処理粒子は表面処理剤で処理され、表面処理反応からの反応生成物又は流出物は混練機の中に移動させられ、ここで機能化粒子は有機マトリックスと混合され、過剰な溶媒は除去され、マトリックスは十分に混合されて、樹脂中に高配合の機能化粒子を提供する。
【0024】
本発明での使用に好適な混練機は、例えば、商品名「LIST」で入手可能であるもののように、市販されている。1つのこのような混練機は、List AG(Acton,Mass)からLIST DISCOTHERM B6混練機として市販されている高粘度プロセッサー(HVP)である。このHVPは、同心の攪拌翼シャフトを持つ水平で円筒形の本体を有する。角度のある周囲混合混練バーを有するディスク要素はシャフト上に搭載され(並びにシャフトに垂直に伸び)、定置のフック形状バーは、シャフト及びディスク要素とこれらが回転しているときに相互作用して洗浄するハウジングの内側に搭載される。HVPは、材料除去のために二軸ディスチャージ(twin-screw discharge)を有する。HVPの総容積は17.5リットルであり、実行容積は12リットルである。ハウジング、シャフト及びディスク要素は全て熱油加熱システムを介して加熱される。反応器内の熱伝達面積は、0.67mである。温度は、HVP内の3つの位置で制御及び監視される:(1)反応器入口区画(区画1)、(2)反応器中間区画(区画2)及び(3)反応器出口区画(区画3)。可変速度モーターは、最大トルク1200Nmで攪拌翼シャフトを駆動する。減圧ポンプは、蒸気除去のために区画2の頂部で反応器に取り付けられる。高粘度プロセッサーは、大きな熱伝達表面及び長い滞留時間との組み合わせで、集中的な混合及び混練を提供する。熱伝達表面は混練要素により連続的に掃過され、これは熱効率を増加し、高い熱伝達率を確保する。内部空洞も比較的大きな実行容積(すなわち、反応混合物により占有される容積)及び充填レベルを有し、それゆえに高い処理能力及び長い保持時間を可能にする。それでも、実行容積は反応器の総容積の約60パーセントのみを占有し、これは、集中的混合によりバルク表面に排ガス及び蒸気が引き寄せられたときに、この排ガス及び蒸気を解放及び放出できるようにするための広い空間を提供する。
【0025】
減圧系に適合バッチシステムでの使用に好適な混練機の例は、入手可能な商品名「MKD 0,6−H 60 IKAVISC」の高性能測定混練機でIKA Labortechnik,Janke & Kunkel Gmbh & Co.KG(Germany)から入手可能なものである。
【0026】
好適な高性能混練機の別の例は、商品名「SRUGO SIGMA KNEADER」で(Srugo Machines Engineering(Netivot,Israel)から市販されている。この混練機は、減圧装置への連結のための減圧引込口を備えている。
【0027】
高粘度減圧混練機技術の使用は、最低限の凝集で最終充填樹脂を生じるやり方で、有機マトリックス中に高配合の機能化粒子を分散する手段を提供する。いくつかの実施形態では、最終樹脂における粒子凝集のレベルは、少なくとも約20重量%の粒子配合において約10%未満の凝集である。当業者に既知であるように、凝集のレベルは、最終樹脂のSEM像により、粒子サイズ分布を決定するための顕微鏡写真におけるプロット面積の統計分析を介して、決定され得る。
【0028】
混練機は、連続モードで操作するシステムの構成要素であり得る。例えば、粒子の機能化は、下記の連続熱水反応器において達成することができ、熱水反応器からの流出物中の機能化粒子は、混練機の中に移動させられ、有機マトリックスと混合されるが、機能化粒子をマトリックスに加えるのに先立って流出物内の粒子をまず分離する又は乾燥する必要はない。溶媒除去は、熱及び不完全減圧の印加、水並びにマトリックス(例えば、ポリマー)及び機能化粒子からの有機溶媒の除去により、混練機において達成されてもよい。更に、混練機は、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、エラストマー及びこれらに類するものを含む粘稠な(例えば、約30,000センチポアズを超える)ポリマー系に機能化粒子を混合することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、混練機は、有機マトリックス、粒子及び溶媒を含む原料ストックを取り扱い、溶媒濃度は、原料ストックが混練機に入るときに約30重量%〜約50重量%の範囲であり、溶媒濃度が、生じた充填樹脂が混練機を出るときに0.5%以下の範囲であるように、原料ストックは液化する。
【0030】
本発明による連続モードで実行するシステム100の実施形態が、図1に概略的に示される。原料ストック110は、ゾル中に表面処理剤及び未処理粒子(例えば、コロイドシリカナノ粒子)を含む。原料ストック110は、混合され、供給タンク115内に配置される。供給タンク115は、管又はパイプ117によりポンプ120に連結されている。管又はパイプ117は、例えば、ポリマー材料又はセラミック材料などの任意の好適な(例えば、非反応性の)材料で構成することができる。いくつかの実施形態では、管又はパイプ117は、連続熱水反応器システム100の加熱されずかつ高圧のかからない部分において、ポリエチレン管又はポリプロピレン管であってもよい。ポンプ120は、供給タンク115から管又はパイプ117を通って管状反応器130の入口132の中に原料ストック110を圧送するために提供される。ポンプ120は、典型的には管状反応器130内で維持される高圧に対して圧送することができる任意のタイプのものであり得る。原料ストック110の管状反応器130への流れは、一定流量又は非一定又はパルス流量を提供し得るポンプ120により制御される。
【0031】
本明細書で使用するとき、「管状反応器」は、典型的には高圧で維持されている連続熱水反応器システムの部分(すなわち、加熱区画)を指す。管状反応器130は管のコイルとして図1に示されているが、管状反応器が任意の好適な形状を有することができることは理解されよう。管状反応器の形状は、多くの場合、管状反応器の所望の長さ及び管状反応器を加熱するために用いられる方法に基づいて選択されることが多い。例えば、管状反応器は、直線、U字形、又はコイル状であることができる。管状反応器の内部は、平滑/平坦であることができ、あるいは、バッフル、ボール、又は、そこを通過する成分を混合するための他の既知の手段を含有することができる。
【0032】
図1に示すように、管状反応器130は、加熱容器150内の加熱媒質140の中に配置される。加熱媒質140は、例えば、実質的な高温に加熱できる油、砂又はこれらに類するものであり得る。表面処理剤が加水分解性オルガノシラン(例えば、トリアルコキシシラン)である実施形態では、加熱媒質は、表面処理剤の加水分解及び縮合温度よりも高い温度に加熱される。加熱媒質140に好適な油には、例えば、ピーナッツ油及びキャノーラ油などの植物油が挙げられる。一部の植物油は、油の酸化を防ぐ又は最低限に抑えるため、好ましくは、加熱されたとき窒素下で保持される。他の好適な油には、商品名「DURATHERM S」でDuratherm Extended Fluids(Lewiston,NY)から市販されているものなどのポリジメチルシロキサンが挙げられる。加熱容器150は、加熱媒質を保持し、管状反応器130に使用される加熱温度に耐えることができる任意の好適な容器であることができる。加熱容器150は、任意の好適な手段を用いて加熱することができる。多くの実施形態では、加熱容器150は、電気的に加熱されたコイルの内部に配置される(図示せず)。代替的に、例えば、誘導加熱器、燃料燃焼加熱器、加熱テープ及び蒸気コイルなどの他のタイプの加熱器を加熱容器150、加熱媒質140、又はその両方の適切な場所において使用することもできる。
【0033】
管状反応器130は、機能化粒子の調製に使用される温度及び圧力に耐えることができる任意の材料で形成することができる。管状反応器130は好ましくは、表面処理反応の反応条件に曝露されたときに損傷に対して耐性を有する材料で構成される。例えば、有機酸は、本発明のいくつかの実施形態で表面処理剤として使用され得る。このような実施形態では、カルボン酸は、原料ストック中に存在することができ、あるいは、連続熱水反応器システム内で反応副生成物として生成させることができ、管状反応器は、このような酸の存在下での腐食又は他の損傷に対して耐性を有するべきである。いくつかの実施形態では、管形反応器は、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、カーボン系鋼等で作製することができる。いくつかの実施形態では、管状反応器130は、米国特許仮出願第09/824,330号、同出願公開第2003/0035756(A1)号、2003年2月20日公開、表題「A Continuous Process for the Production of Combinatorial Libraries of Materials」に記載のプラグ流攪拌管状反応器として提供することができる。
【0034】
本発明の実施形態では、加熱媒質140は、媒質の沸騰を防止するために必要とされる圧力以上である圧力下で、原料ストック中に使用される溶媒の標準沸点よりも高い温度で、管状反応器130内において原料ストックを保持する。原料ストックは、管状反応器130の加熱区域の中に連続的に投入され、流出物は管状反応器の加熱区域から連続的に除去される。原料ストックの投入及び流出物の除去は、一定又は断続的(例えば、パルス)であり得る。
【0035】
実施形態では、管状反応器130の内面は、例えば、フッ素化ポリオレフィンなどのフッ素化ポリマー材料でコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、DuPont(Wilmington,Delaware)から「TEFLON(登録商標)」の商品名で入手可能であるものなどのポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)である。いくつかの管状反応器は、編組ステンレス鋼ハウジングなどの金属ハウジング内に含有された、PTFEを含むホースなどのフッ素化ポリマー材料の可撓性ホースを含んでもよい。驚くべきことに、フッ素化ポリマー材料を介する熱伝達は、連続熱水条件下で原料ストック中の粒子及び表面処理剤を機能化粒子に変換するのに十分であることができる。フッ素化ポリマー表面は、原料ストック溶液及び/又はカルボン酸を含有する反応生成物と共に使用される場合に特に有利である。これらのカルボン酸は、ステンレス鋼で構築されたものなどの、いくつかの周知の熱水反応器から金属を浸出させることができる。
【0036】
管状反応器130の第二端部134は、好適な冷却装置160に連結する。いくつかの実施形態では、冷却装置160は冷水などの冷媒で満たされた外部ジャケットを有する、管又はパイプの区域を含む熱交換器である。他の実施形態では、冷却装置160は、冷水を収容する容器内に配置された管又はパイプのコイル状区域を含む。これらの実施形態のいずれかでは、反応器流出物は管の区域を通過し、環状反応器130の温度から、100℃以下、いくつかの実施形態では80℃以下、60℃以下、40℃以下又は25℃以下、の温度に冷却される。いくつかの実施形態では、管の区域は、10℃以下の温度に冷却される。ドライアイス又は冷蔵コイルを収容する他の冷却装置を用いることもできる。冷却後、反応器流出物は、混練機180の中に放出される。代替的な実施形態では、二軸押出成形機(図示せず)が混練機180の前にシステム100内に配置されてもよい。
【0037】
管状反応器130内部の圧力は少なくとも部分的に背圧バルブ170により制御され、これは通常、冷却装置160と混練機180との間に配置される。背圧バルブ170は連続的熱水反応システム100の出口の圧力を制御し、及び管状反応器130内部の圧力の制御を助ける。多くの場合、背圧は少なくとも0.7MPa(100ポンド/平方インチ)、少なくとも1.4MPa(200ポンド/平方インチ)、少なくとも2.1MPa(300ポンド/平方インチ)、少なくとも2.8MPa(400ポンド/平方インチ)、少なくとも3.5MPa(500ポンド/平方インチ)、少なくとも4.2MPa(600ポンド/平方インチ)、又は少なくとも4.9MPa(700ポンド/平方インチ)である。いくつかの実施形態では、背圧は、約4.9MPa(700ポンド/平方インチ)を超える。背圧は、反応器130内の沸騰を防止するのに十分に高い圧力で維持されるべきである。
【0038】
管状反応器130の寸法は様々であることができ、原料ストックの流量と共に、管状反応器内で反応剤に好適な滞留時間を提供するように選択することができる。本明細書で使用するとき、用語「滞留時間」は、原料ストックが連続熱水反応器システムの加熱区画内にある時間の平均長さを指す。すなわち、滞留時間は、原料ストックが管状反応器130内にある平均時間であり、管状反応器の容積を原料ストックの流量で除算したものに等しい。滞留時間が原料ストックを機能化粒子に変換するのに十分であるならば、任意の好適な長さの管状反応器を使用できる。管状反応器は、少なくとも0.5メートル、少なくとも1メートル、少なくとも2メートル、少なくとも5メートル、少なくとも10メートル、少なくとも15メートル、少なくとも20メートル、少なくとも30メートル、少なくとも40メートル、又は少なくとも50メートルの長さを有することが多い。いくつかの実施形態では管状反応器の長さは、1000メートル未満、500メートル未満、400メートル未満、300メートル未満、200メートル未満、100メートル未満、80メートル未満、60メートル未満、40メートル未満又は20メートル未満である。
【0039】
いくつかの実施形態では、比較的小さな内径を有する管状反応器が使用される。例えば、約3センチメートル以下の内径を有する管状反応器は、比較的速い原料ストックの加熱速度を提供することができる。また、より大きな内径を有するものに比べて、より小さな内径を有する反応器の場合、管状反応器130全域の温度勾配がより小さい。しかしながら、管状反応器130の内径が小さ過ぎると、反応器の壁に堆積する材料に起因して稼働中に反応器が詰まる、又は部分的に詰まる可能性が増加する。管状反応器130の内径は、少なくとも0.1センチメートル、少なくとも0.15センチメートル、少なくとも0.2センチメートル、少なくとも0.3センチメートル、少なくとも0.4センチメートル、少なくとも0.5センチメートル、又は少なくとも0.6センチメートルであることが多い。いくつかの実施形態では、管状反応器130の直径は、3センチメートル以下、2.5センチメートル以下、2センチメートル以下、1.5センチメートル以下、又は1.0センチメートル以下である。いくつかの管状反応器は、0.1〜3.0センチメートルの範囲、0.2〜2.5センチメートルの範囲、0.3〜2センチメートルの範囲、0.3〜1.5センチメートルの範囲、又は0.3〜1センチメートルの範囲、の内径を有する。
【0040】
管状反応器130の内径を増加するのに代えて、複数の管状反応器を使用してもよく、各反応器はより小さな内径を有し、2つ以上のこのような反応器が平行に配列される。管状反応器130は、異なる内径を有し、異なる材料でできている管の区域2つ以上に入り込むことができる。例えば、第二の区域の中で所望のプロセス温度で保持されるのに先立って、より小さな内径の管の中で原料ストック溶液のより速い加熱を促進するために、管の第一の区域は、第二の区域に比較して、より小さな内径を有し得る。一実施形態では、管状反応器130の第一の区域は、内径1センチメートルを有するステンレス鋼管でできており、第二の区域は、ステンレス鋼ハウジング内に含有され、内径2センチメートルを有するPTFE管でできている。
【0041】
滞留時間が原料ストックを機能化粒子に変換するのに十分長い限り、管状反応器を通る原料ストックの流量は様々であることができる。処理能力を増大させ、管状反応器の壁への材料の堆積を最小化するためには、より大きな流量が望ましい。流量は、原料ストックを機能化粒子に変換するのに必要とされる滞留時間に基づいて選択されてもよい。管状反応器の長さが増加したとき、又は、管状反応器の長さ及び直径の両方が増加したとき、より多い流量を用いることができることが多い。管状反応器を通る流れは、層流、乱流又はプラグ流であることができる。
【0042】
本発明の実施形態では、管状反応器130は、表面処理剤の加水分解及び縮合反応温度を超える温度で保持される。この温度は、多くの場合、少なくとも130℃、少なくとも140℃又は少なくとも150℃である。この温度が高過ぎる場合には、管状反応器の圧力は許容できないほど高くなり得る。この温度は、典型的には、230℃以下、225℃以下又は220℃以下である。多くの実施形態では、反応温度は、130℃〜230℃の範囲、140℃〜220℃の範囲、140℃〜200℃の範囲、150℃〜200℃の範囲、又は150℃〜180℃の範囲、であるように選択される。
【0043】
管状反応器130内における原料ストックの滞留時間は、管状反応器の長さを変更することと、原料ストック溶液の流量を変更することによって、多様にすることができる。多くの実施形態において、滞留時間は少なくとも2分間、少なくとも4分間、少なくとも6分間、少なくとも8分間又は少なくとも10分間である。滞留時間は、典型的には、4時間以下、2時間以下、90分間以下、60分間以下又は50分間以下である。多くの実施形態では、滞留時間は、2〜90分間の範囲、2〜60分間の範囲、5〜60分間の範囲、又は5〜50分間の範囲である。
【0044】
機能化粒子を有機マトリックスと混合するのに先立って、流出物中の少なくとも一部の溶媒(例えば、水)が除去され得るように、混練機180内への配置に先立って、熱水反応器管130からの流出物は別個の容器(図示せず)に回収されてもよい。いくつかの実施形態では、溶媒除去を促進するために、流出物を高温で乾燥させ得る。
【0045】
しかしながら、連続モードの作業では、流出物は、流出物中の溶媒濃度をまず低減する必要なく、反応器管130から冷却装置160及び背圧バルブ170を通って混練機180の中に直接移動させられる。有機マトリックス190は、第二供給タンク195から管又はパイプ197を通って混練機180の中に供給され、有機マトリックス190は、反応器130からの流出物中に含有される機能化粒子と混合される。混練機180は、典型的には、減圧ポンプ(図示せず)を装備して又は減圧ポンプに連結されて、混練機の内部空洞内の空気が少なくとも部分的に排出されるのを可能にする。好ましくは、有機マトリックスと機能化粒子との混合物の温度を上昇させて、この混合物から溶媒の除去を促進し、マトリックスを重合するのに及びその中の機能化粒子を組み込んで硬化樹脂を提供するのに必要とされる化学反応をもたらす条件を提供するために、混練機180は、(例えば、内部熱源により)加熱することができる。
【0046】
機能化粒子がナノ粒子を含む実施形態では、生じるナノ複合体は、強化された光学特性、誘電特性、熱特性、又は、硬さ及び強度などの機械的特性といった、強化された特性を呈することが期待され得る。上記連続製造プロセスが採用されるとき、本発明は、機能化ナノ粒子の初期粒子単離の必要及びこのような粒子のそれに続く再分散の必要をなくすことにより、費用節約を提供する。連続システムは、閉鎖系に製造プロセスを維持し、それゆえに乾燥ナノ粒子の取り扱いを回避する。大きな熱伝達表面及び長い滞留時間での集中的混合と混練の組み合わせは、比較的容易な溶媒及び水の除去を可能にし、混練機の熱伝達表面は連続的に掃過されて、熱効率を増加させ、高い熱伝達率を確保する。本発明は、溶媒を有する又は有さない、非常に様々なモノマー(エポキシ、ビニルエステル、アクリレート)及びポリマー試料(熱溶融物、溶液、小袋入り粘着剤)の使用を可能にする。連続反応器システムのプラグ流の性質は、組み合わせ式に様々であり得る粒子配合物でのナノ複合体形成を可能にする。
【0047】
ナノ複合体の形成に続いて、仕上げ工程が、粒子を含有しないポリマーを直列する混練機の中に供給することにより、行うことができ、ナノ複合体樹脂が全体のナノ粒子濃度を「引き下げる」。LIST混練機などの混練機の使用は、高度に充填された熱硬化性樹脂濃縮物を開発するための高粘度ポリマーを取り扱う能力を提供し、例えば、それゆえに、単位時間当たりの処理能力を増大し、将来の製剤のために高度に濃縮された「ストック」樹脂を提供することにより高度に調製可能な樹脂の流れを可能にする。例えば、70%ナノシリカ充填樹脂は、エポキシ樹脂を含むマトリックスを使用して生成され得、生じた充填樹脂は、特注製剤を開発するために様々な希釈剤、顔料及び他の添加剤と更に混合され得る。
【0048】
本発明に従って作製される充填樹脂材料は、以下に記載される様々な成分を含む。
【0049】
充填樹脂は、有機マトリックス中に分散した粒子を含む。好適な粒子は、任意の様々な材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、粒子は、有機材料を含む。他の実施形態では、粒子は、無機材料を含む。有機材料と無機材料との組み合わせもまた想到される。本発明の実施形態では、粒子は、例えば、金属、無機酸化物、無機硫化物、無機アンチモン化物、無機塩、無機窒化物、金属粒子、金属コーティングされた粒子が挙げられるがこれらに限定されない、広範囲の無機材料から選択され得る。好適な有機材料には、例えば、カーボンブラック及び有機顔料が挙げられる。無機顔料も使用され得る。
【0050】
無機粒子を利用する本発明の実施形態では、粒子には、例えば、金、白金、銀、ニッケルの粒子及びこれらの2つ以上の組み合わせといった、金属粒子が挙げられ得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、カーボンブラック及び有機顔料などの有機粒子は、本発明のプロセスで有用である。ベンガラ、黄色763ED(クロム酸Pb)、緑色Co(Al,Cr)、スルホケイ酸アルミノナトリウム(ウルトラマリンブルー)、炭酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、炭酸水酸化マグネシウム及びこれらの2つ以上の組み合わせなどの無機顔料も使用され得る。
【0052】
無機酸化物は、本発明のプロセスでの使用に好適であり得る。好適な酸化物には、ジルコニア、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、二酸化ケイ素(シリカ)、三酸化アンチモン、酸化ホウ素、亜酸化ホウ素、酸化ビスマス(III)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化クロム(III)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化マグネシウム、酸化マンガン(IV)が挙げられる。
【0053】
いくつかの実施形態では、好適な粒子には、硫化銅(I)(CuS)、硫化銅(II)(CuS)及び硫化亜鉛(ZnS)を挙げることができるがこれらに限定されない無機硫化物の粒子が挙げられる。いくつかの実施形態では、好適な粒子には、リン化インジウム、リン化アルミニウム、黄銅、金属コーティングされたガラス、炭化ホウ素(BC)窒化ホウ素(BN)、炭化カルシウム(CaC)、水酸化カルシウム、水酸化銅(II)、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸コバルト(II)、炭酸銅(II)、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)、炭酸リチウム、硝酸リチウム(LiNO)、硫酸リチウム(LiSO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、リン酸マグネシウム(Mg(PO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硫酸マンガン(II)一水和物(MnSO・HO)、リン酸マンガン(II)(Mn(PO)、炭酸ニッケル(II)(NiCO)、水酸化ニッケル(II)(Ni(OH))、硝酸ニッケル(II)(Ni(NO)、二酸化ケイ素(SiO)、二酸化チタン(酸化チタン(IV))(TiO)、炭酸亜鉛(ZnCO)、酸化亜鉛(ZnO)、硫酸亜鉛(ZnSO)の粒子が挙げられる。
【0054】
上記粒子材料の任意の2つ以上の組み合わせも本発明の範囲内で想到される。
【0055】
本発明の特定の実施形態では、未反応粒子は、二酸化ケイ素(SiO又は「シリカ」)を含む。好適な二酸化ケイ素粒子は、ナノ粒子として又はマイクロ粒子として提供することができる。いくつかの実施形態では、二酸化ケイ素粒子は、中実粒子(例えば、中空ではない)である。いくつかの実施形態では、二酸化ケイ素粒子は、中空ガラス微小球として提供することができる。他の実施形態では、二酸化ケイ素粒子は、中実(例えば、中空ではない)ガラスビーズとして提供することができる。いくつかの実施形態では、コロイドシリカが好ましい。コロイドチタニア、コロイドアルミナ、コロイドジルコニア、コロイドバナジア、コロイドクロミア、コロイド酸化鉄、コロイド酸化アンチモン、コロイド酸化スズ及びこれらの2つ以上の混合物などの他のコロイド金属酸化物を利用することもできる。好適なコロイド粒子は、シリカなどの本質的には単一の酸化物を含むことができ、又は、1つのタイプの酸化物のコアを含むことができ、そのコア全体に別のタイプの酸化物が付着する。いくつかの実施形態では、好適なコロイド粒子は、金属酸化物以外の材料のコアを含み、金属酸化物がそのコア全体に付着する。
【0056】
コロイドマイクロ粒子又はナノ粒子は好ましくは、凝集、沈殿、ゲル化又はゾル粘度の劇的増加を回避するために、サイズが比較的均一であり、実質的に凝結しない。いくつかの実施形態では、本発明での使用に特に望ましい部類の粒子には、無機粒子のゾル(例えば、液媒中での無機粒子のコロイド分散体)、特に非晶質シリカのゾルが挙げられる。このようなゾルは、様々な技術により調製することができ、ヒドロゾル(水が液媒として機能する場合)、有機ゾル(有機液体が使用される場合)、及び混合ゾル(液媒が水及び有機液体の両方を含む場合)などの様々な形態であることができる。例えば、米国特許第2,801,185号(Iler)及び同第4,522,958号(Das et al.)を参照されたい。R.K.Iler in The Chemistry of Silica,John Wiley & Sons,New York(1979)も参照されたい。
【0057】
好適なシリカヒドロゾルは、商品名「Nalco 2329」及び「Nalco 2327」でOndeo Nalco Chemical Company(Naperville,Illinois)から入手可能なもののように様々な粒子サイズ及び濃度で市販されている。好適なシリカゾルの別の供給源は、Nissan Chemical America Corporation(Houston,Texas)から商品名「Nissan MP2040」で市販されている。シリカヒドロゾルは、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を酸で約8又は9のpHまで部分的に中和する(その結果、生じた溶液のナトリウム含量は、酸化ナトリウムに基づいて約1重量パーセント未満である)により、調製することができる。シリカヒドロゾルを調製する他の方法も既知であり、例えば、電解、ケイ酸ナトリウムのイオン交換、ケイ素化合物の加水分解及び元素ケイ素の溶解が挙げられる。
【0058】
本発明では、原料ストックは、粒子を表面処理剤に典型的にはゾル中で組み合わせることにより、調製される。本発明のプロセスは、有機ポリマーなどの有機マトリックス材料に適合する機能化粒子を提供する。好適な表面処理剤には、オルガノシラン、有機チタン酸塩、有機ジルコニウム酸塩、有機酸、有機アミン、有機チオール、ホスフィン酸及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、粒子、表面処理剤及び溶媒、並びに表面機能化反応が、混練機の混合チャンバにおいて生じ得る。
【0059】
粒子がコロイド二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、二酸化チタンを含む実施例では、ゾル中の粒子の濃度は、典型的には約60重量%〜約20重量%、いくつかの実施形態では55重量%〜30重量%、いくつかの実施形態では約35重量%〜45重量%である。
【0060】
更に、粒子サイズが異なる粒子の混合物は、機能化されて、本発明による単一の樹脂に組み込まれ得る。いくつかの好適な粒子サイズの組み合わせの例には、約20nmの厚さを有する粒子と、約142nmの厚さを有するもののような他のより大きな粒子との混合物が挙げられる。更に、20nmの粒子は200nmの粒子と組み合わせてもよく、20nmの粒子は500nmの粒子と組み合わせてもよい。上記の組み合わせの粒子サイズの好適な重量比は、広範囲であることができ、いくつかの実施形態では1/20〜20/1である。
【0061】
本発明の実施形態では、粒子の表面上の反応性基(例えば、ヒドロキシル基)は、機能化粒子を形成するために表面処理剤と相互作用するのに利用される。特定の実施形態では、粒子の表面上の反応性基(例えば、ヒドロキシル基)は、表面処理剤と共有結合する。いくつかの実施形態では、粒子の表面上の反応性基は、表面処理剤とイオン結合する。
【0062】
酸化物粒子(例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウムなど)を利用する本発明の実施形態では、好適な表面処理剤には、粒子の表面に沿うヒドロキシル基と反応性であるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、好適な表面処理剤には、オルガノシランが挙げられる。いくつかの実施形態では、好適なオルガノシランは、1つの有機置換基と3つの加水分解性置換基とを含む。代表的なオルガノシランには、[2−(3−シクロヘキセニル)エチル]トリメトキシシラン、トリメトキシ(7−オクテン−1−イル)シラン、イソオクチルトリメトキシ−シラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)−プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、−9−3−(メタクリロイルオキシ)プロピル−ジメチルエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシランオクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−tブトキシシラン、ビニルトリスイソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘプタメチル(2−[トリス(2−メトキシエトキシ)−シリル]エチル)トリシロキサン(例えば、米国特許出願公開第2003/0220204(A1)号に記載)、ポリジメチルシロキサン、アリールシラン(例えば、置換又は非置換アリールシランなど)、アルキルシラン(例えば、置換又は非置換アルキルシラン(例えば、メトキシ及びヒドロキシ置換アルキルシラン)など)、及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0063】
ポリウレタン環境内シリカ粒子包含物に好適な表面処理は、3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネートとの好適な二官能性又は三官能性ポリオールの反応により行うことができ、ウレタン連鎖を生じる。好適なポリオールには、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール(Tone 2221、Dow Chemical(Midland,MI)から入手可能)、ヒドロキシル末端ポリブタジエン及びポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールが挙げられる。
【0064】
酸化物粒子との使用に好適な他の表面処理剤には、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−[2−(2−エトキシエトキシ)−エトキシ]酢酸(MEEAA)、β−カルボキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸、及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、商品名「Silquest A1230」(Momentive Specialties(Wilton,Connecticut)から市販)により同定される商標付きのシラン表面改質剤が使用され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、好適な表面処理剤は、アルキルアミン及び/又はアリールアミンを含む。特定の実施形態では、C〜C30アルキル及びアリールアミン、特にポリエチレングリコール機能性アミン(例えば、ジェファミン材料)、ステアリルアミン、ベヘニルアミン及びこれらの組み合わせ、を含む表面処理剤が使用され得る。他の実施形態では、好適な表面処理剤には、チオール、特にC〜C30アルキル及びアリールチオール、を含むものが挙げられる。他の実施形態では、カルボン酸を含む表面処理剤、特にC〜C30アルキル及びアリールカルボン酸を含むもの、が所望され得る。更に他の実施形態では、ホスフィン酸を含む表面処理剤、特にC〜C30アルキル及びアリールホスフィン酸を含むもの、が所望され得る。
【0066】
水が主溶媒として使用される実施形態では、表面処理剤並びに機能化粒子の溶解度を高めるために、有機共溶媒が所望によりゾルに添加されてもよい。好適な共溶媒は、任意の様々な水混和性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、共溶媒は、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、及び/又は、1−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルホルムアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、メタノール、メトキシ(エトキシ(エトキシ))エタノール並びにこれらの2つ以上の混合物を含む群から選択され得る。
【0067】
カーボンブラックなどの炭素質粒子は、トルエン、ベンゼン又はエチルベンゼンなどの溶媒中で表面処理されてもよい。いくつかの実施形態では、このような炭素質粒子の粒子濃度は約5重量%〜約25重量%の範囲内であり、表面処理配合物は約0.05重量%〜約0.1重量%である。いくつかの実施形態では、表面処理剤は、ジルコン酸塩、チタン酸塩及び有機アリル/アルキルアミン、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0068】
いったん調製されると、原料ストック溶液は、図1に示され、本明細書に記載されているものなどの連続熱水反応器を通過させられ得る。しかしながら、連続熱水反応器設計の他の設計も使用することができる。例えば、いくつかの好適な連続熱水反応器は、Adschiri et al.,J.Am.Ceram.Soc.,75(4),1019−1022(1992)による論文及び米国特許第5,453,262号(Dawson et al)に記載されている。これらの設計では、加熱される連続熱水反応器システムの部分は、直線状であると共に周囲電気抵抗加熱器を有する管を含む。
【0069】
上記粒子は、有機マトリックスと組み合わされて、充填樹脂を提供する。いくつかの実施形態では、有機マトリックスは、粘稠な液体又は半固体の材料であり、これは硬化可能であり、少なくとも1つのポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーを含む。いくつかの実施形態では、有機マトリックスの硬化は重合工程を含み、ポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーが重合反応を経て、硬化有機マトリックスを提供する。好適なポリマーには、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、エラストマー及びこれらに類するものが挙げられる。
【0070】
いくつかの実施形態では、有機マトリックスは、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル及びアクリレート(例えば、ウレタンアクリレート)などのエチレン性不飽和架橋可能樹脂である。本明細書で使用するとき、「ビニルエステル」は、エチレン性不飽和モノカルボン酸とのエポキシ樹脂の反応性生物を指す。このような反応性生物はアクリル性又はメタクリル性エステルであるが、用語「ビニルエステル」は、ゲルコート産業で一貫して使用されている。(例えば、Handbook of Thermoset Plastics(Second Edition),William Andrew Publishingの122頁(1998)を参照されたい)。
【0071】
この樹脂は、有機マトリックス中にモノマー及び/又はプレポリマー(例えば、オリゴマー)として存在してもよい。まず、この樹脂の分子量は、反応希釈剤に可溶であるように、十分に低い。いくつかの実施形態では、不飽和ポリエステル樹脂が使用され得る。いくつかの実施形態では、不飽和ポリエステル樹脂は、1つ以上のアルコールとの、1つ以上のカルボン酸又はこれらの誘導体(例えば、無水物及びエステル)の縮合生成物である。
【0072】
いくつかの実施形態では、有用なカルボン酸は、不飽和であり得る。いくつかの実施形態では、カルボン酸の1つ以上は、飽和であり得る。いくつかの実施形態では、カルボン酸の1つ以上は、芳香族カルボン酸であり得る。いくつかの実施形態では、飽和、不飽和及び/又は芳香族カルボン酸の組み合わせが使用され得る。好適な不飽和カルボン酸には、アクリル酸、クロロマレイン酸、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、メサコン酸、メタクリル酸、メチレングルタル酸、及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。代表的な飽和又は芳香族カルボン酸には、アジピン酸、安息香酸、クロレンド酸、ジヒドロフタル酸、ジメチル−2,6−ナフテンジカルボン酸、d−メチルグルタル酸、ドデカンジカルボン酸、エチルヘキサン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、ナド酸無水o−フタル酸、フタル酸、ピメリン酸、プロピオン酸、セバシン酸、コハク酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、1,2,4,5−ベンゼン−テトラカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3シクロヘキサンジカルボン酸、1,4シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロペンタジエン酸マレアート、無水マレイン酸とシクロペンタジエンとから作製されるDiels−Alder付加体、オルトフタル酸、及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0073】
いくつかの実施形態では、アルコールは、多価アルコール、例えば、二価アルコール、である。代表的な多価アルコールには、アルカンジオール、ブタン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジペンタエリトリトール、ジ−トリメチロールプロパン、エチレングリコール、ヘキサン−1,6−ジオール、ネオペンチルグリコール、オキサ−アルカンジオール、ポリエチレングリコール、プロパン−3−ジオール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリペンタエリトリロール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1−3,−ペンタンジオール、2,2−ビス(p−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,2−ジメチルヘプタンジオール、2,2−ジメチルオクタンジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2,3−ノルボルネンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、5−ノルボルネン−2,2−ジメチロール及び2,3ジメチル1,4ブタンジオールが挙げられる。
【0074】
一官能性アルコールも使用され得る。代表的な一官能性アルコールには、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキシルアルコール、2−シクロヘキシルアルコール、2,2−ジメチル−1−プロパノール及びラウリルアルコールが挙げられる。これらの2つ以上の組み合わせも想到される。
【0075】
いくつかの実施形態では、カルボン酸は、イソフタル酸、オルトフタル酸、マレイン酸、フマル酸、これらのエステル及び無水物、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、アルコールは、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0076】
他の好適な樹脂には、エポキシ樹脂、硬化性イミド樹脂(マレイミド樹脂などだが、例えば、市販のK−3ポリイミド(DuPontから入手可能)、並びに、アセチレン、ジアセチレン、フェニルエチニル、ノルボルネン、ナジイミド又はベンゾシクロブタンなどの末端反応性基を有するポリイミドも挙げられる)が挙げられる。ほかの好適な樹脂には、ビニルエステル樹脂及びアクリル樹脂(例えば、ポリオール、エポキシ及びアミンの、(メタ)アクリル酸エステル又はアミド)、ビスベンゾシクロブタン樹脂、ポリシアネートエステル樹脂及びこれらの混合物が挙げられる。これらの樹脂は、モノマー又はプレポリオールの形態で利用することができる。
【0077】
エポキシ樹脂は、これらの加工特性、高温特性及び環境耐性により、有用であり得る。エポキシ化合物は、飽和又は不飽和であってもよく、脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式であってもよく、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、有用な化合物には、1つ以上のエポキシ基を含有するもの(すなわち、ポリエポキシド)が挙げられ、並びに、少なくとも1つの芳香環構造(例えば、ベンゼン環)と1つ以上のエポキシ基とを含有する脂肪族及び及び芳香族ポリエポキシドの両方が挙げられる。好適な芳香族ポリエポキシドには、多価フェノールのポリグリシジルエーテル(例えば、ビスフェノールA誘導体樹脂、エポキシクレゾール−ノボラック樹脂、ビスフェノールF誘導体樹脂、エポキシフェノール−ノボラック樹脂)、芳香族カルボン酸のグリシジルエステル、及び芳香族アミンのグリシジルアミンが挙げられる。多価フェノールのポリグリシジルエーテルは、Miller−Stephenson Products(Danbury,Connecticut)から市販されている商品名「EPON 828」で入手可能なビスフェノールAジグリシジルエーテルのように市販されている。
【0078】
有用な脂肪族ポリエポキシドには、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)−5,1”−スピロ−3”,4”−エポキシシクロヘキサン−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジパート、リノール酸二量体のジグリシジルエステル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ブタン、4−(1,2−エポキシエチル)−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、脂肪族ポリオール(グリセロールなど)のポリグリシジルエーテル、又は水素添加4,4’−ジヒドロキシジフェニル−ジメチルメタン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0079】
有用な芳香族ポリエポキシドには、芳香族カルボン酸のグリシジルエステル(例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル及びピロメリト酸テトラグリシジルエステル及びこれらの混合物)、N−グリシジルアミノベンゼン(例えば、N,N−ジグリシジルベンゼンアミン、ビス(N,N−ジグリシジル−4−アミノフェニル)メタン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼン及びN,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシベンゼンアミン及びこれらの混合物)、並びに、多価フェノールのポリグリシジル誘導体(例えば、2,2−ビス−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、多価フェノール(テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン及びトリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタンなど)のポリグリシジルエーテル、ノボラックのポリグリシジルエーテル(酸触媒の存在下でのアルデヒドとの、一価又は多価フェノールの反応生成物)、及び米国特許第3,018,262号(Schoeder)及び同第3,298,998号(Coover et al.)に記載の誘導体、並びに、Handbook of Epoxy Resins by Lee and Neville,McGraw−Hill Book Co.,New York(1967)及びEpoxy Resins,Chemistry and Technology,Second Edition,edited by C.May,Marcel Dekker,Inc.,New York(1988)に記載の誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。好適な部類の多価フェノールのポリグリシジルエーテルは、ペンダント炭素環式基を有するビスフェノールのジグリシジルエーテル、例えば、米国特許第3,298,998号(Coover et al.)に記載のもの、である。このような化合物の例には、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]ノルカンファン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]デカヒドロ−1,4,5,8−ジメタノナフタレン及び9,9−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]フルオレンが挙げられる。
【0080】
好適なエポキシ樹脂は、例えば、ポリオールとのエピクロロヒドリンの反応(例えば、米国特許第4,522,958号(Das et al.)に記載)によって、並びに、上記のLeeとNevilleにより及びMayにより記載されている他の方法によって、調製することができる。
【0081】
好適なマレイミド樹脂には、ビスマレイミド、ポリマレイミド及びポリアミノビスマレイミドが挙げられる。このようなマレイミドは、無水マレイン酸又は置換無水マレイン酸をジアミン又はポリアミンと組み合わせることにより都合良く合成することができる。N,N’−ビスマレイミドが好ましく、これは、例えば、米国特許第3,562,223号(Bargain et al.)、同第3,627,780号(Bonnard et al.)、同第3,839,358号(Bargain)及び同第4,468,497号(Beckley et al.)に記載の方法により調製することができる。好適なN,N’−ビスマレイミドの代表例には、1,2−エタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,4−ベンゼンジアミン、4,4’−メチレンビスベンゼンアミン、2−メチル−1,4−ベンゼンジアミン、3,3’−メチレンビスベンゼンアミン、3,3’−スルホニルビスベンゼンアミン、4,4’−スルホニルビスベンゼンアミン、3,3’−オキシビスベンゼンアミン、4,4’−オキシビスベンゼンアミン、4,4’−メチレンビスシクロヘキサンアミン、1,3−ベンゼンジメタンアミン、1,4−ベンゼンジメタンアミン、4,4’−シクロヘキサンビスベンゼンアミン及びこれらの混合物のN,N’−ビスマレイミドが挙げられる。
【0082】
これらのビスマレイミドと共に使用するための共反応体には、任意の様々な不飽和有機化合物、特に、エチレン性、アセチレン性のいずれか又は両方の不飽和を複数有するもの、を挙げることができる。例には、アクリル酸及びアミド及びこれらのエステル誘導体が挙げられ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド及びメチルメタクリレート、ジシアノエチレン、テトラシアノエチレン、アリルアルコール、2,2’−ジアリルアルコールA、2,2’−ジプロペニルビスフェノールA、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、N−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニルカプロラクタム、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、4−アリル−2−メトキシフェノール、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルアクリレート、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、スチレン、a−メチルスチレン、クロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、及びフェニルビニルエーテルである。ビス(アルケニルフェノール)と組み合わせてビスマレイミドを採用する樹脂系は有用であり、このタイプの樹脂系の説明は米国特許第4,100,140号(Zahir et al.)に見出される。好適な成分には、例えば、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン及びo,o’−ジアリルビスフェノールAが挙げられる。
【0083】
好適なポリシアネートエステル樹脂は、塩化シアン又は臭化シアンをアルコール又はフェノールと組み合わせることにより、調製することができる。このような樹脂の調製及びポリシアヌレートを生成させるためのポリ環状三量化におけるこれらの使用は、米国特許第4,157,360号(Chung et al.)に記載されている。ポリシアネートエステル樹脂の代表例には、1,2−ジシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、2,2’−ジシアナトジフェニルメタン、3,3’−ジシアナトジフェニルメタン、4,4’−ジシアナトジフェニルメタン、並びに、ビフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールSから調製されるジシアネートが挙げられる。三官能性及びより高い官能性のシアネート樹脂も好適である。
【0084】
通常、この樹脂は、反応希釈剤に可溶であるだけでなく、共重合化網状組織を形成するために反応希釈物と反応する。通常、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、メチルメタクリレート、フタル酸ジアリル、エチレングリコールジメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート及びトリアリルシアヌレートが挙げられるがこれらに限定されない任意の既知の反応剤が使用され得る。
【0085】
例えば、ルイス酸及び塩基、第三級アミン、イミダゾール、錯化ルイス酸、並びに有機金属化合物及び塩といった熱活性化触媒剤が、硬化エポキシ樹脂中で利用することができる。熱活性化触媒は、硬化性樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の量に基づいて、約0.05〜約5重量%の範囲で通常使用することができる。
【0086】
N,N’−ビスマレイミド樹脂は、米国特許第3,562,223号(Bargain et al.)に記載のものなどのジアミン硬化剤を使用して、硬化することができる。通常、N,N’−ビスマレイミド1モル当たり約0.2〜約0.8モルのジアミンを使用することができる。N,N’−ビスマレイミドはまた、他の機序により硬化することができ、例えば、芳香族オレフィン(ビス−アリルフェニルエーテル、4,4’−ビス(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン又はo,o’−ジアリルビスフェノールA)と共硬化し、又は、自己重合機序を介して熱硬化する。
【0087】
ポリシアネート樹脂は、熱の印加により、及び/又は、触媒(オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸スズ、アセチルアセトン銅、並びに、カテコールなどの二座配位子を有する鉄、コバルト、亜鉛、銅、マンガン及びチタンのキレートなど)の使用により、環状三量化することができる。このような触媒は、ポリシアネートエステル樹脂100重量部当たり約0.001〜約10重量部の量で通常使用することができる。
【0088】
本発明の充填樹脂は、例えば、樹脂トランスファー成形、フィラメントワインディング、トウ位置決め、樹脂注入又は伝統的プリプレグプロセスといった様々な従来プロセスにより物品を製造するために、使用することができる。プリプレグは、繊維の配列(又は布地)に充填樹脂(又は揮発性有機液体含有樹脂ゾル)を含浸させ、次に含浸させたテープ又は布地を層化することにより、調製することができる。次に、生じたプリプレグは、閉じ込められた空気を除去するために圧力又は減圧(又は両方)を印加しながら、熱を印加することにより、固める又は硬化することができる。他の実施形態では、充填樹脂は、放射線、すなわち、紫外線、e−ビーム又はこれらに類するもの、に曝露することにより、固まる又は硬化する。
【実施例】
【0089】
本発明の実施形態は、以下の非限定的な実施例で更に説明される。
【0090】
分析方法
レオロジーの分析:
ナノ複合体試料のレオメトリー分析をAres Rheometric Scientific(TA instruments(New Castle,Delaware))レオメーター上でCouvetteモードにおいて行った。
【0091】
透過電子顕微鏡(TEM)による検査:
Hitachi H−9000透過電子顕微鏡を使用して、調製試料を検査した。TEM観察のために試料を室温で極薄切片にした。異なる%の粒子配合物間でも直接比較ができるように、全試料を87nmの厚さで切り出した。
【0092】
ガスクロマトグラフィー(GC)による溶媒残留物の分析:
各試料について二組の希釈物を使用して、GCにより溶媒残留物を測定した。120〜180mgの試料の範囲の、既知の量の各試料をクロロホルムで10mLの容積とした。0.1〜1000μg/mLの濃度範囲で参照標準をクロロホルム中に作製した。試料及び参照標準を0.2μmPVDFシリンジフィルターを介してバイアル瓶の中に分注し、以下の条件に従って分析した。
【0093】
【表1】

【0094】
Karl Fischer分析:
Aquastar(登録商標)A及びAquastar(登録商標)C試薬でMetrohm 756 Coulomat(登録商標)を使用して、水分を測定した。各試料について2回ずつ行った。およそ300mgのエポキシ材料を重量測定して、乾燥したガラスバイアル瓶に±0.0001gの精度で入れた。次に、試料を1mLの無水クロロホルムで希釈し、再び重量測定した。バイアル瓶に栓をし、試料を15分間にわたって振盪して、材料を溶解させた。次に、試料を3mLの無水メタノールで希釈し、再び重量測定した。次にバイアル瓶を60分間にわたって振盪して、乳液状の懸濁液を得た。次に、アリコートを注射器を介してバイアル瓶から採取し、±0.0001gの精度で重量測定した。次に、アリコートをKarl Fischer滴定にかけた。各バイアル瓶から3つのアリコートを採取して、2つの試料の各々に対して合計6回の滴定を行った。クロロホルム/メタノールブランクにも行って、溶媒中における水のバックグラウンド濃度を測定した。
【0095】
破壊靭性を測定するための通常手順
修正した負荷速度0.13cm/分(0.050インチ/分)を使用したことを除き、ASTM D 5045−99に従って、破壊靭性(K1C)を測定した。コンパクトな引っ張り形状を使用し、被検査物は3.18cm×3.05cm×0.64cmの名目寸法を有した。以下のパラメーターを採用した:W=2.54cm、a=1.27cm、B=0.64cm。試験される各樹脂について6〜10個の試料で測定を行った。K1Cの平均値をMPa(m1/2)単位で報告した。ASTM D 5045−99の資格要件を満たす試料のみを計算に使用した。
【0096】
揮発分除去のための装置及び手順
揮発分除去手順1:
粒子及び有機マトリックスの混練にLIST CRP2.5バッチ混練機(LIST USA Inc.(Charlotte,NC)により製造された揮発性)を使用した。混練機は、3リットルの総容積容量を有し、316チタンから構成された。CRP2.5は、長さ24.6cm及び直径10.6cmを有し、水平、二条ネジ、二軸混合設計を備えている。凹部螺旋設計は、外径3.4cm、コア直径1.6cmの寸法を有し、入口区域のピッチは3.0cmであり、移送区域のピッチは2.3cmである。移送区域の長さは31.5cmである。18 kW Sterlco Oil Heater、モデル#G9816−J0(Sterling(New Berlin,WI)から入手)の使用を介して、熱を混練機に印加した。単段回転翼減圧ポンプ、モデル#RA−0040E506−1001(Busch LLC(Virginia Beach,VA)から入手)の使用を介して、減圧を供給する。
【0097】
揮発分除去手順2:
LIST Discotherm B6 High Viscosity Processor(List AG(Acton,Mass.)から市販)で連続合成反応を行う。反応器は、全長約13.8cm及び内径2.8cmを有し、水平の円筒形ハウジングから構成され、3つの区画を含む。同心円主軸攪拌翼シャフトがハウジングの中央に位置し、直径約6.35cmを有する。角度のある周囲混合混練バーを有するディスク要素はシャフト上に搭載される(シャフトにほぼ平行に伸びる)。定置のフック形状バーは、シャフト及びディスク要素とこれらが回転しているときに相互作用して洗浄するハウジングの内側に搭載される。定置のフック形状バーに調和するディスク要素及び混合混練バーの配置は、材料に実質的に前方のプラグ流の動きを最低限の軸の混合で付与する。(反応器のプラグ流の性質は、トレーサーに射出される練粉状の生成物を使用することにより定量化されて、滞留時間分布曲線を得る。曲線は、直列の14個の理想的な連続攪拌槽型反応器についての理論曲線に対してプロットされる。データは理論曲線によく適合し、プラグ流の挙動を示す。)材料はLISTから二軸放出スクリューにより放出される。反応器の総容積は17.5Lであり、実行容積は12Lである。ハウジング、シャフト及びディスク要素は、熱油加熱システムを介して加熱される。反応器内の熱伝達領域は、0.67mである。温度は、反応器内の3つの位置で制御及び監視される:(1)反応器入口区画(温度T)、(2)反応器中間区画(温度T)及び(3)反応器出口区画(温度T)。可変速度モーターは、速度5〜70rpm及び最大トルク1200Nm(885フィート重量ポンド)で攪拌翼シャフトを駆動する。減圧ポンプは、蒸気除去のために反応器に取り付けられる。凝縮物は、好適な冷却剤(典型的には、Exxon Company USA(Houston,Tex.)から入手可能なISOPARイソパラフィン(C18〜25)炭化水素及びドライアイス(CO))を含むスラリー浴に浸された、2つの排出された高減圧ガラス溶媒トラップにおいて回収される。
【0098】
材料
試料調製に使用される材料は表1に同定される。
【0099】
【表2】

【0100】
比較例A
シリカゾル、シラン及びメトキシプロパノールの混合物を標準的な実験装置において95℃で22時間にわたって混合した。生じた表面処理シリカゾルを、米国特許第5,648,407号(Goetz et al.)に記載の方法に従って溶媒交換及び減圧ストリッピングすることにより、適切な樹脂系に化合した。粒子を適切なエポキシ樹脂の中に分散し、比較的低粘度の液体を得ることにより、高度な表面機能化を裏付けた。ストリッピングをロータリーエバポレーター上で行った。これらのナノ複合体の配合の詳細を表2に示す。
【0101】
【表3】

【0102】
(実施例1〜10)
実施例1〜10についての配合物、プロセス条件及び分析結果を表3に示す。50/50重量%の水/メトキシプロパノール中の表面改質されたシリカナノ粒子と、実施例1〜10用の樹脂との混合物を予備混合し、揮発分除去手順1に従って、加熱して133.3Pa(1mm Hg)減圧下で維持したLIST CRP2.5混練機に減圧供給した。生じた分散体を各々減圧下において40rpmで15〜30分間にわたって混練し、濃縮した。混練機の内容物を空にし、レオロジーの分析の手順に従ってレオロジー分析した。ガスクロマトグラフィー(GC)による溶媒残留物の分析のための方法に従って、及び、Karl Fischer分析により、残留溶媒及び水の濃度を測定した。熱重量分析(TGA)を使用して、ナノシリカ樹脂の濃度を測定した。
【0103】
実施例8については、未硬化樹脂粉末の試料に基づいて、TEMを行った。実施例9及び10をUPRを用いて配合し、これらの溶液の揮発分除去に必要とされる時間量を短縮するために、及び、高温環境でのUPRの熱分解を制限するために、混練機への送達に先立ってロータリーエバポレーターの使用を介して表面改質されたシリカゾルを50〜65重量%のシリカに予め濃縮した。
【0104】
TEM分析により分散を精査するために、適切なコモノマー及び硬化剤(表3を参照されたい)の添加により、実施例1〜10の各試料を硬化した。エポキシ系については、Jeffco 4101−21硬化剤をエポキシ樹脂ゾルに添加することにより、硬化した試料を作製し、蓋付きの広口プラスチック容器に入れた。容器を密封し、SpeedMixer二重非対称遠心分離器(Model DAC600FVZ−sp)(Flack Tek,Incorporated(Landrum,South Carolina)から入手可能)を使用して、内容物を2000rpmで30秒間にわたって混合した。混合後、Frekote 44NC剥離材料(Henkel Corporation(Rocky Hill,CT))で処理したフロートガラス鋳型に、ナノ粒子含有混合物を移した。120℃で1.5時間にわたって試料を硬化させ、次に、150℃で2時間にわたって後硬化させた。
【0105】
UPR、スチレン、1.25(重量)%のコバルトナフテネートのナノ粒子含有混合物を蓋付き広口プラスチック容器内に定置することにより、UPR含有系を調製した。容器を密封し、SpeedMixer二重非対称遠心分離器(Model DAC 600 FVZ−sp)(Flack Tek,Incorporated(Landrum,South Carolina)から入手可能)を使用して、内容物を2000rpmで30秒間にわたって混合した。1.0重量%のメチルエチルケトンペルオキシド(MEKP)溶液(約35重量%溶液)を添加した。容器を再密封し、SpeedMixer遠心分離器を使用して内容物を2000rpmで30秒間にわたって混合した。生じたナノ粒子含有ゲルコートを、VALSPAR MR225剥離材料で処理したフロートガラス鋳型に移した。次に、試料を室温で24時間にわたって硬化させ、次に70℃で4時間にわたって後硬化させた。
【0106】
エポキシナノ複合体の試料を硬化させ、TEMにより検査した。UPRナノ複合体の試料を追加的なスチレン及びメチルメタクリレートと配合して、40重量%シリカ配合物を作製し、硬化させて、TEMにより検査した。これらのUPR実験の配合物の詳細は、表3に見出すことができる。
【0107】
【表4】

【0108】
a)Organosol 1
b)Organosol 2
c)Organosol 3
d)Organosol 4
充填材料のTEM検査は、大きなスケールの凝集が%固形分の増加として観察されなかった点で、これらが良好に分散されていることを明らかにした。実施例8の場合、EPON 825樹脂中のナノ粒子配合レベルは80重量%であり、結果的に粉末状生成物を形成した。
【0109】
実施例9は、スチレンの添加後、硬化し、分散分析にかけた。TEMは、実施例9から生成した硬化した材料が高度に分散したことを裏付けた。
【0110】
実施例1及び比較例A
上記手順レオロジーの分析に従って、実施例1及び比較例Aを検査し、周波数の関数としての粘度の各変化を分析して、比較例Aの従来のバッチストリッピングした材料を実施例1の混練機駆動材料と比較した。比較は図2に示される。
【0111】
(実施例11)
米国特許仮出願第61/139145号(代理人整理番号64990US002)表題「Nanocalcite Composites」に概略が示された手順に従って、600mlのLabstar媒体ミル(Netzsch(Exton PA))内で、0.5mmジルコニアビーズを3000rpmで90分間にわたって、Solcal 31炭酸カルシウム(3664g)、Epon 825ビスフェノールA/エピクロロヒドリンエポキシ樹脂(1566g)、JAS(185g)及びMEKP(2327g)の混合物を練磨した。Masterflex LSチューブポンプ(parastaltic pump)(Cole−Parmer(Vernon Hills,NJ))の使用を介して、混合物をミルに250ml/分で送達する複数の経路を得た。炭酸カルシウム/Epon 825樹脂の予め練磨した混合物を、揮発分除去手順1に従って、100℃に加熱されたLIST CRP2.5混練機に減圧供給し、133.3Pa(1mmHg)減圧下において40rpmで60分間にわたって混練しながら維持した。混練機の内容物を空にし、ガスクロマトグラフィー(GC)により分析して、残留溶媒の重量%を測定し、熱重量分析(TGA)を使用して、樹脂中のナノカルサイトの濃度を測定した。更に、EPON 828の添加により、試料11の試料を30%のシリカに希釈し、Ethacure 100(1.5当量)と混合し、破壊靭性測定のための通常手順に従って分析した。ナノカルサイト充填Epon系エポキシナノ樹脂に特徴的な初期K1C値1.96をこの硬化した試料は有した。
【0112】
(実施例12)
トルエン中の、583グラムのプロピレンエラストマー(「Engage 8401」、Dow Chemical(Midland,MI))と、550gのイソオクチルトリメトキシシランで改質されたNalco 2326ゾル(45重量%のSi)との混合物を、揮発分除去手順1に従って153℃に加熱したLIST CRP2.5混練機に減圧供給し、133.3Pa(1mmHg)減圧下において40rpmで60分間にわたって混練しながら維持した。混練機の内容物を空にし、ガスクロマトグラフィー(GC)により分析して、残留溶媒の重量%を測定し、熱重量分析(TGA)を使用して、樹脂中のナノシリカの濃度を測定した。150℃で試料を透明な薄いフィルムに圧延し、これは高度に分散したナノ充填プラスチックを示した。
【0113】
(実施例13)
樹脂中のシリカの配合が60重量%であるように、Organosol 4(56重量%のシリカ)とEPON 828樹脂の混合物とを混合する。生じた溶液を(隔壁ポンプを介して)圧送して、LIST Discotherm B6混練機に、Discotherm B6混練機の第一区画に、一定速度で45分の滞留時間で注入する。減圧反応器の主軸攪拌翼シャフトの速度はおよそ34rpmで一定に維持する一方、反応器の放出スクリューは47rpmで維持する。減圧の喪失なしに圧送を可能にするギアポンプを有する混練機の出口バルブを装備することにより、材料の放出を促進した。あるいは、混練機の出口に、減圧下で生成物を回収可能な減圧容器を装備することもできる。周期的に、減圧を容器上で解放し、容器を取り外し、別の容器と取り代える。反応器を、約0.6kPa(5torr)の減圧下、以下の温度特性で維持する:T1=110℃、T2=134℃、及びT3=143℃。60重量%のシリカ配合、並びに、0.3重量%未満の残留した水及びメトキシプロパノールの濃度を有する良好に分散したエポキシナノ複合体を生成させる。
【0114】
EPON 828の添加により、試料13の試料を30%のシリカに希釈し、Ethacure 100(1.5当量)と混合し、破壊靭性測定のための通常手順に従って分析した。ナノシリカ充填Epon系エポキシナノ樹脂に特徴的な初期K1C値1.30をこの硬化した試料は有する。
【0115】
本発明の実施形態は十分に詳細に説明されてきたが、当業者であれば、記載した実施形態に本発明の趣旨又は範囲から離れることなく、予測可能及び予見外の両方の変形又は修正を施し得ることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填樹脂を製造する方法であって、
機能化粒子を提供すること、並びに、
減圧混練機中で前記機能化粒子を有機マトリックスと組み合わせ、均質に混合して、前記充填樹脂を提供することを含み、前記機能化粒子は前記充填樹脂の少なくとも約20重量%を構成する、方法。
【請求項2】
機能化粒子を提供することが、
原料ストックを提供することであって、前記原料ストックが、
(i)未処理粒子、
(ii)前記粒子と反応する表面処理剤、及び
(iii)溶媒、
を含む、原料ストックを提供すること、
前記粒子を前記表面処理剤と反応させるのに十分な温度に維持した連続反応器の中を前記原料ストックを移動させて、約4時間未満前記機能化粒子を提供すること、並びに、
前記連続反応器から直接前記減圧混練機の中に前記機能化粒子を移動させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記減圧混練機内の空気を低減すること、及び、所望により前記減圧混練機内の前記原料ストックを加熱して前記溶媒を蒸発させることを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記減圧混練機内の原料ストックを加熱すること、及び、所望により前記減圧混練機内の空気を低減して前記溶媒を蒸発させることを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子がナノ粒子を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ナノ粒子が、金属、無機酸化物、無機硫化物、無機アンチモン化物、無機塩、無機窒化物、無機顔料、金属コーティングされた粒子及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される無機材料を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記無機酸化物が、ジルコニア、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、二酸化ケイ素(シリカ)、三酸化アンチモン、酸化ホウ素、亜酸化ホウ素、酸化ビスマス(III)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化クロム(III)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化マグネシウム、酸化マンガン(IV)及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記無機硫化物が、硫化銅(I)、硫化銅(II)、硫化亜鉛及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ナノ粒子が、リン化インジウム、リン化アルミニウム、黄銅、金属コーティングされたガラス、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化銅(II)、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸コバルト(II)、炭酸銅(II)、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)、炭酸リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン(II)一水和物、リン酸マンガン(II)、炭酸ニッケル(II)、水酸化ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、二酸化ケイ素、二酸化チタン(酸化チタン(IV))、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記ナノ粒子が、カーボンブラック、有機顔料及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有機材料を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記ナノ粒子が、約500nm未満の平均厚さを有する実質的に対称なナノ粒子を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記ナノ粒子が、約100nm未満の平均厚さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノ粒子が、約50nm未満の平均厚さを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記表面処理剤が、オルガノシラン、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルチオール、アリールチオール、カルボン酸及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記ナノ粒子が無機酸化物粒子を含み、前記表面処理剤が[2−(3−シクロヘキセニル)エチル]トリメトキシシラン、トリメトキシ(7−オクテン−1−イル)シラン、イソオクチルトリメトキシ−シラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)−プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、−9−3−(メタクリロイルオキシ)プロピル−ジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシランオクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−tブトキシシラン、ビニルトリス−イソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘプタメチル(2−[トリス(2−メトキシエトキシ)−シリル]エチル)トリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、アリールシラン、アルキルシラン及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるオルガノシランを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記有機樹脂が、エチレン性不飽和架橋可能樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記樹脂を架橋することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記機能化粒子が約2時間未満で提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記有機マトリックス中に少なくとも約20重量%の前記機能化粒子を含む、請求項2に記載の方法に従って製造される充填樹脂。
【請求項20】
前記機能化粒子が、オルガノシランを含む表面処理剤で機能化されたシリカのナノ粒子を含み、前記機能化粒子が約10%未満で凝集させられる、請求項19に記載の仕上がった樹脂。
【請求項21】
有機マトリックス中に少なくとも約20重量%の機能化粒子を含む、仕上がった樹脂。
【請求項22】
前記機能化粒子が実質的に対称なナノ粒子を含み、前記ナノ粒子が前記仕上がった樹脂中に少なくとも約70重量%の濃度で存在する、請求項21に記載の仕上がった樹脂。
【請求項23】
前記機能化された実質的に対称なナノ粒子が無機材料を含み、前記無機材料が金属、無機酸化物、無機硫化物、無機アンチモン化物、無機塩、無機窒化物、金属コーティングされた粒子及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項22に記載の仕上がった樹脂。
【請求項24】
前記機能化された実質的に対称なナノ粒子が、オルガノシラン、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルチオール、アリールチオール、カルボン酸及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される表面処理剤で機能化される、請求項23に記載の仕上がった樹脂。
【請求項25】
前記機能化された実質的に対称なナノ粒子が、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニア、二酸化チタン、酸化アンチモンスズ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化亜鉛及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される無機酸化物を含む、請求項23に記載の仕上がった樹脂。
【請求項26】
前記機能化された実質的に対称なナノ粒子が、オルガノシランで機能化された二酸化ケイ素を含む、請求項25に記載の仕上がった樹脂。
【請求項27】
前記有機マトリックスが、エチレン性不飽和架橋可能樹脂を含む、請求項21に記載の仕上がった樹脂。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−516638(P2011−516638A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502060(P2011−502060)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/038408
【国際公開番号】WO2009/120868
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】