充血除去剤およびコルチコステロイドを含む鼻腔内粗製物
本発明の種々の実施形態は、アレルギー性および/または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療、軽減、または予防的に治療するのに有用な組成物、剤形、および方法を提供する。本発明の種々の実施形態は、アレルギー性鼻炎および/または状態の症状を1日1回の投薬で治療または軽減するのに目ざましく効果的であり、かつ望ましくは、最小の副作用で急速な作用開始を示し、かつ長期間にわたって使用できる効果的な薬剤、組成物、剤形、および方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルギー性および/または炎症性状態に伴う1つまたは複数の症状を治療、軽減、または予防的に治療するのに有用な組成物、剤形、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症性状態またはアレルギー性鼻炎などの上気道の状態は、多くの集団に影響を及ぼす。季節性および通年性アレルギー性鼻炎の双方の苦しみは注目すべきである。アレルギー性鼻炎は、生活の質を実質的に低下させ、その症状によって直接的に、あるいは症状軽減のために採用される現行薬物よって、または薬物の有害反応によって与えられることの多い不十分な軽減のため間接的に、社会生活および労働上の機能遂行を損なうことがある。アレルギー性鼻炎を有する患者は、鼻充血を患うことが多く、これらの患者にとって、鼻充血は、支配的で悩み多い症状であることがある。鼻充血は、睡眠妨害、労働生産性の低下、ならびに不快感および欲求不満を含む情緒障害に結び付けられる。実際、鼻充血は、医院来診の主要理由の1つである。
【0003】
鼻充血の現行治療薬には、抗ヒスタミン剤、充血除去剤、ステロイド、生理食塩水、および薬草剤が含まれる。抗ヒスタミン剤は、鼻粘膜のヒスタミン受容体へのヒスタミンメディエーター細胞の結合を妨害し、ヒスタミン放出に伴う鼻粘膜の腫脹、くしゃみ、および鼻分泌物の増加を阻止する(preempt)。抗ヒスタミン剤は、鼻充血を治療または軽減するために必要とされることはない。充血除去剤は、鼻粘膜中の血管を収縮させるように作用し、それによって組織腫脹および鼻充血を減少させる。ステロイドは、同様に、腫脹した鼻粘膜の炎症を低減する。生理食塩水および薬草剤などの治療薬は、水分を付加し、快適さを増加するが、充血を実際に軽減することはない。
【0004】
経鼻充血除去剤は、典型的には、極めて急速な作用開始を示し、有効であることがあるが、副作用およびその他の問題のため使用が制約される。プソイドエフェドリンなどの経口充血除去剤製品は、副作用および非合法物質へ転用される可能性を有する。オキシメタゾリンなどの鼻腔内充血除去剤は、1日2回の投与で処方され、典型的には、鼻充血を軽減するための極めて急速な作用開始を示す。しかし、充血除去剤の使用は、タキフィラキシーおよびその他の副作用のため、3日間以内に限定される可能性がある。鼻腔内充血除去剤の長期使用によりタキフィラキシーを引き起こす可能性があり、その場合、同じ充血除去効果を得るために、患者はより頻繁なまたはより多くの投与量の充血除去剤を必要とするであろう。しばしば、患者は、より多くの投与量はより大きな軽減を提供するという憶測の下に、指示されたよりも多くの投与量を服用し始める可能性がある(「過剰投薬」または「過量投与」)。過剰投薬は、充血を一時的に改善する可能性があるが、過剰投薬または長期使用の副作用には、鼻腔内充血除去剤の使用を停止した後の重大な「リバウンド性」充血が含まれる。加えて、充血除去剤の経鼻スプレー剤の使用は、鼻粘膜の炎症性肥大である薬物性鼻炎につながる可能性があり、そこでは、副鼻腔の組織が傷害され、腫脹し、充血するようになる。
【0005】
鼻腔内コルチコステロイドは、(1)炎症細胞の浸潤を低減すること、(2)鼻道およびそれらの分泌物中の好塩基球、好酸球、好中球およびマスト細胞の数を減らすこと、(3)細胞からの炎症シグナルの放出を低減すること、(4)粘液産生を減らすこと、(5)血管収縮、および(6)浮腫を低減することを含む、粘膜の炎症を抑制するある範囲の効果を発揮する。多くの鼻腔内コルチコステロイドは、1日1回投与で処方され、充血除去剤に比べてより長期にわたる作用開始を示す可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、急速な作用開始を示し、かつ最小の副作用で長期にわたって使用できる、上気道の状態を軽減または治療するのに効果的な薬剤を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の種々の実施形態は、アレルギー性鼻炎および/または状態の症状を1日1回の投薬で治療または軽減するのに目ざましく効果的であり、かつ望ましくは、最小の副作用で急速な作用開始を示し、かつ長期間にわたって使用できる効果的な薬剤、組成物、剤形、および方法を提供する。例えば、これらの方法は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療、軽減または予防的治療を提供できる。1つまたは複数の症状には、鼻漏(鼻汁/鼻水/後鼻漏など)、鼻充血/鼻づまり、くしゃみなどの鼻の症状、ならびに鼻の痒み、催涙/流涙、眼の赤み、眼の痒み、眼の灼熱感、口蓋/耳の痒みを含む非鼻症状が含まれる。種々の実施形態は、また、季節性アレルギー性鼻炎および/または通年性アレルギー性鼻炎または鼻ポリープなどのアレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の予防的治療を提供する。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを1日1回投与することを含む方法を提供する。例えば、これらの方法は、鼻漏(鼻汁/鼻水/後鼻漏など)、鼻充血/鼻づまり、くしゃみなどの鼻の全症状、ならびに鼻の痒み、催涙/流涙、眼の赤み、眼の痒み、眼の灼熱感、口蓋/耳の痒みを含む全非鼻症状などの症状の治療または軽減を提供することができる。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のアレルギー性または炎症性状態を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを1日1回投与することを含む方法を提供する。
【0010】
本発明のさらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを単一剤形で1日1回投与することを含む方法を提供する。
【0011】
さらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回投与することを含む方法を提供する。
【0012】
他の実施形態は、アレルギー性鼻炎、季節性アレルギー性鼻炎および/または通年性アレルギー性鼻炎のどちらかに伴う鼻の症状を治療するための薬剤を製造するための、フランカルボン酸モメタゾンの水性懸濁剤およびオキシメタゾリンの溶液の使用を提供する。
【0013】
さらに他の実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の治療または軽減を必要とする患者におけるアレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減するのに有用な剤形であって、治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを単一剤形中に含む剤形を提供する。該剤形は、望ましくは、鼻腔内投与に適している。
【0014】
他の実施形態は、1日1回で治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を鼻腔内投与に適した単一剤形中に含む、鼻腔内用医薬組成物を提供する。オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体は、約12.5μg〜約600μgの範囲で存在することができ、フランカルボン酸モメタゾンは、約100μg〜約800μgの範囲で存在することができる。別法として、オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体は、約50μg〜約300μgの範囲で存在することができ、フランカルボン酸モメタゾンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体は、約100μg〜約400μgの範囲で存在する。オキシメタゾリンの量は、現在処方されているよりも実質的に少ない投与量である。
【0015】
さらなる実施形態は、治療有効量のフランカルボン酸モメタゾンおよびオキシメタゾリン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回で送達する能力のある経鼻スプレー剤容器を含む医薬品を提供する。
【0016】
他の実施形態は、投与期間中に充血除去剤のタキフィラキシーを経験しないで、少なくとも5日間の投与期間にわたって有用な、1日1回の治療有効投与量で充血除去剤およびコルチコステロイドを含む医薬組成物を提供する。他の実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、少なくとも5日間の投与期間にわたって充血除去剤およびコルチコステロイドを、投与期間中に充血除去剤に伴うタキフィラキシーを経験しないで、1日1回の治療有効投与量で鼻腔内に投与することを含む方法を対象とする。充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後に、充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止の約5日後でさえも、リバウンドは観察されない。
【0017】
さらなる実施形態は、1日1回の治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を単一剤形中に含む鼻腔内用医薬組成物を提供し、ここで、オキシメタゾリンは、約50μg〜約300μgの範囲で存在し、フランカルボン酸モメタゾンまたはフランカルボン酸モメタゾン一水和物は、約100μg〜約400μgの範囲で存在する。
【0018】
よりさらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療または軽減を必要とする患者における、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療または軽減をする方法であって、患者に充血除去剤およびコルチコステロイドを1日1回の治療有効投与量で少なくとも5日間の投与期間にわたって鼻腔内に投与することを含み、充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後に、リバウンドは観察されない方法を提供する。加えて、タキフィラキシーは、投与期間中に発生せず、かつ充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後の少なくとも約5日後にリバウンドは観察されない。アレルギー性または炎症性状態には、鼻の症状、および目の症状などの非鼻症状が含まれる。充血除去剤は、オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体でよく、コルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体でよい。
【0019】
さらなる実施形態は、季節性アルルギー性鼻炎に伴う1つまたは複数の鼻の症状または非鼻症状などのアレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回の投与量で鼻腔内投与するステップを含む方法を提供する。オキシメタゾリンは、約50μg〜約300μgの範囲で存在することができ、フランカルボン酸モメタゾンは、約100μg〜約400μgの範囲で存在することができる。オキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体は、単一剤形中に存在することができる。
【0020】
本発明のさらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態に伴う1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを単一剤形で1日1回鼻腔内投与することを含む方法を提供する。典型的な症状には、鼻充血などのアレルギー性鼻炎に伴う1つまたは複数の症状が含まれる。よりさらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状に伴う症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回鼻腔内投与することを含む方法を提供する。典型的な1つまたは複数の症状には、季節性アレルギー性鼻炎または通年性アレルギー性鼻炎に伴う症状などの1つまたは複数の鼻の症状または非鼻症状が含まれる。非鼻症状には、催涙、眼の赤み、眼の痒み、または眼の灼熱感、およびこれらの組合せを含む1つまたは複数の症状などの1つまたは複数の目の症状が含まれる。鼻の症状には、鼻づまり、鼻漏、痒み、およびくしゃみ、ならびにアレルギー性鼻炎に伴う場合のような鼻充血を含む1つまたは複数の症状が含まれる。
【0021】
より多くの実施形態は、アレルギー性または炎症性状態に敏感な患者に、鼻腔内投与に適した単一剤形中に存在していてもよい、治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回鼻腔内投与することを含む、アレルギー性または炎症性状態に伴う1つまたは複数の症状の予防的治療方法を包含する。
【0022】
本発明の他の実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量のキシロメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体、およびモメタゾンもしくはフルチカゾンなどのコルチコステロイド、またはその薬学的に許容される塩または多形体、例えば、フランカルボン酸モメタゾン無水物、フランカルボン酸モメタゾン一水和物(MFM)、プロピオン酸フルチカゾンもしくはフランカルボン酸フルチカゾンを、1日1回の投与量で投与することを含む方法を提供する。さらに他の実施形態は、1日1回の治療有効量のキシロメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を鼻腔内投与に適した単一剤形中に含む、鼻腔内用医薬組成物を提供する。さらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療有効量のキシロメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回の投与量で鼻腔内投与することを含む方法を提供し、キシロメタゾリンは、約100μg〜約600μgの範囲で存在し、フランカルボン酸モメタゾンは、約100μg〜約400μgの範囲で存在する。よりさらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態に伴う1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量のキシロメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回口鼻腔内に投与することを含む方法を提供する。該投与は、単一剤形で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、1〜15日目におけるAM/PM NOWでのTNSSのベースラインからの変化を示す。
【図2】図2は、1日目における標準化されたAUC(0〜4時間)充血のベースラインからの変化を示す。
【図3】図3は、1日目および15日目における標準化されたAUC(0〜4時間)充血のベースラインからの変化を示す。
【図4】図4は、2〜15日目におけるTNSSのベースラインからのAM NOWでの変化を示す。
【図5】図5は、2〜15日目における充血のベースラインからのAM NOWでの変化を示す。
【図6】図6は、来診による全般状態の被験体評価を示す。
【図7】図7は、もしあれば、1〜15日目に表れるようなタキフィラキシーを示すチャートである。
【図8】図8は、リバウンド効果を評価するために、1〜15日目および16〜22日目におけるAM/PM NOW充血のベースラインからの変化を示す。
【図9】図9は、1〜15日目におけるAM/PM PRIORでのTOSSのベースラインからの変化を示す。
【図10】図10は、1〜15日目におけるAM/PM PRIORでの眼の赤みのベースラインからの変化を示す。
【図11】図11は、1〜15日目におけるAM/PM PRIORでの流涙のベースラインからの変化を示す。
【図12】図12は、1〜15日におけるAM/PM PRIORでの眼の痒み/灼熱感のベースラインからの変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の種々の実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療するのに目ざましいほど効果的であり、かつ最小のまたは少ない量の副作用で長期間にわたって使用できる、組成物、剤形、および方法を提供する。
【0025】
鼻腔内充血除去剤オキシメタゾリンは、1日2回の投薬として指示される。本発明は、目ざましいことに、鼻腔内充血除去剤を鼻腔内コルチコステロイドと組み合わせると、該組合せは、1日1回で投与することができ、かつ、それでもなお効果的であることを見出した。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、充血除去剤およびコルチコステロイドを含み、1日1回で投与されるような方法、組成物、および剤形を提供する。
【0026】
さらに、鼻腔内コルチコステロイドと組み合わせると、鼻腔内充血除去剤は、現在処方されている投与量レベルに比べてより少ないレベルで投与することができ、かつ、それでもなお効果的であることが見出された。例えば、オキシメタゾリンは、約600マイクログラム(μg)の推奨最大総投与量で1日2回、0.05%経鼻スプレー剤溶液を2〜3回スプレーすることからなる典型的な投薬レジメンを有する。本発明は、目ざましいことに、実質的により少ない1日投与量の充血除去剤が、コルチコステロイドと組み合わせられると、効果的であることを見出した。加えて、該組合せは、単剤療法として与えられる場合のその成分のそれぞれに比べてより効果的であった。
【0027】
よりさらに、目ざましいことに、鼻腔内充血除去剤は、鼻腔内コルチコステロイドと組み合わせると、タキフィラキシー、充血リバウンド、および/または薬物性鼻炎を経験しない鼻腔内充血除去剤での単剤療法のために現在推奨される投薬に比べて、より長期にわたって処方することができる。
【0028】
本発明は、有利には、急速な作用開始を有し、かつ副作用が最小であるかまたは少しもなく1日中効果が維持される、方法、組成物、および剤形を提供する。
【0029】
鼻腔内充血除去剤を使用している患者は、タキフィラキシーを経験し、十分な充血除去を得るためにより頻繁なまたはより多くの投与量を必要とする可能性のあることが公知である。オキシメタゾリンなどの鼻腔内充血除去剤は、一部はタキフィラキシーならびにその他の公知の副作用を最小にするため、3日間を超える治療を指示されることはない。したがって、単剤療法として与えられた場合の充血除去剤に優る、コルチコステロイドと組み合わせた場合の充血除去剤の長期、例えば、少なくとも5日間にわたる効力の増強および維持は、鼻腔内充血除去剤が、同一投薬レベルでこのような長期間にわたって利益を有するとは予想されないので、目ざましいことである。
【0030】
コルチコステロイドと充血除去剤との組合せを患者に投与すると、副作用は、目ざましいことに最小である。充血除去剤によるリバウンド性充血の発生は、15日間の治療サイクルを中止して数日後に観察されなかった。加えて、薬物性鼻炎は、15日間の治療サイクルにわたって観察されなかった。
【0031】
充血除去剤およびコルチコステロイドは、2つの別個の剤形で同時的または逐次的に、あるいは1つの単一剤形で一緒に投与できる。該剤形の投与は、朝または晩に行うことができる。
【0032】
いくつかのタイプのアレルギー性および炎症性状態に対する投与は、連続して少なくとも5日間の、連続して少なくとも7日間の、連続して少なくとも10日間の、連続して少なくとも15日間の1日に1または2回の投薬を含む投薬レジメンを包含することができる。別法として、投与期間は、1日1回で約1週間または約2週間でよい。この投薬レジメンは、季節性アレルギー性鼻炎または間欠性アレルギー性鼻炎などの状態に対して有用である。その他の状態に対する投与は、6週間〜約3カ月間などのより長期の投薬療法、年中続く投薬レジメンまでを要求する。このような療法は、通年性アレルギー性鼻炎または持続性鼻炎などのより長期性の状態に適している。望ましくは、オキシメタゾリンの効力は、治療の5日後でも低下しない。
【0033】
主治医の判断に基づいて、使用される活性医薬剤の有効量は、もちろん、治療されている患者の年齢、性別および医療歴、ならびに局所毒性(例えば、鼻の刺激および/または出血)および全身性副作用(例えば、コルチゾールレベル)によって明らかにされるような治療計画に対する患者の耐容性に依存する。コルチゾールは、副腎皮質によってつくり出される主要な天然グルココルチコステロイドである。
【0034】
適合する患者には、12歳以上の患者ならびに2〜12歳の患者が含まれる。
【0035】
本発明の種々の実施形態により治療または軽減できる、上気道のアレルギー性または炎症性状態の典型的な1つまたは複数の症状には、季節性アレルギー性鼻炎、間欠性アレルギー性鼻炎、持続性アレルギー性鼻炎および/または通年性アレルギー性鼻炎などのアレルギー性鼻炎に伴う1つまたは複数の鼻の症状、ならびに中等度〜重度の季節性アレルギー性鼻炎患者における充血が含まれる。治療または予防できる状態には、コルチコステロイド応答性疾患、鼻ポリープ、喘息、ライノウイルス、急性鼻副鼻腔炎および慢性鼻副鼻腔炎を含む鼻副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、季節性アレルギー性鼻炎(SAR)、通年性アレルギー性鼻炎(PAR)が含まれる。これらの状態に伴う症状には、充血、鼻の全症状(鼻づまり/充血、鼻漏、鼻の痒み、くしゃみ)および非鼻症状(眼の痒み/灼熱感、流涙/催涙、眼の赤み、耳/口蓋の痒み)、ならびに副鼻腔炎、真菌誘発性副鼻腔炎、細菌に基づく副鼻腔炎に伴う鼻閉が含まれる。
【0036】
適切な充血除去剤の例には、レブメタンフェタミン(1−デソキシエフェドリンとして公知でもある)、エフェドリン、塩酸エフェドリン、硫酸エフェドリン、ナファゾリン、塩酸ナファゾリン、オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体、塩酸オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、メナゾリン(menazoline)、塩酸フェニレフリン、プロピルヘキセドリン、キシロメタゾリンおよび塩酸キシロメタゾリン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体が含まれる。オキシメタゾリンは、好ましい充血除去剤である。
【0037】
被験体に対するオキシメタゾリンの有用な投薬レジメンは、約0.01%(w/v)〜約0.25%、または約0.025%〜約0.1%、または約0.025%〜約0.075%、または約0.025%〜約0.05%の、あるいは0.01%、または0.025%、または0.05%、または0.075%、または0.1%のオキシメタゾリン溶液を1日1回、1または2スプレーすることを包含することができる。溶液の百分率は、すべて重量/容積である。
【0038】
オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体の実用的に有効な1日当たり総量としては、単回または分割投与での、約5〜約5000マイクログラム(μg)/日、約5〜約2000μg/日、約12.5〜約1000μg/日、約25〜約1000μg/日、約12.5〜約800μg/日、約12.5〜約600μg/日、約25〜約500μg/日、25〜約400μg、約50〜約500、約50〜約300μg/日、約50〜約200μg、約100〜約300μg/日、約100μg/日、約200μg/日、または約300μg/日が挙げられる。1日当たり総投与量は、双方の鼻孔に送達される薬物の総量を含む。各鼻孔は、1または2スプレーを受けることができる。
【0039】
被験体に対するキシロメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体の有用な投薬レジメンは、約0.01%(w/v)〜約0.5%、または約0.025%〜約0.25%、または約0.025%〜0.15%、または約0.05%〜約0.1%、あるいは0.025%、または0.05%、または0.075%、または0.1%、または0.125%のキシロメタゾリン溶液を1日1回1または2回のスプレーすることを含むことができる。溶液のパーセントは、すべて重量/容積である。
【0040】
適切なコルチコステロイドには、モメタゾン、デキサメタゾン、ブトキシコルト(butoxicort)、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコルト、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、ロテプレドノール、およびトリアムシノロン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体が含まれる。より詳細には、有用なコルチコステロイドには、フランカルボン酸モメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン一水和物、プロピオン酸フルチカゾン、およびフランカルボン酸フルチカゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体が含まれる。
【0041】
フランカルボン酸モメタゾンは、コルチコステロイド応答性皮膚疾患の炎症性および/または掻痒性発現を治療するための局所的な皮膚科的使用に関して承認されたコルチコステロイドである。該化合物は、すべてが参照によりその全体で本明細書に組み込まれる、米国特許第4472393号、4731447号、4873335号、5837699号、および6127353号中に開示されている方法に従って調製できる。気道通路および肺の疾患を治療するためのモメタゾンの使用は、そのすべてが参照によりその全体で本明細書に組み込まれる、米国特許第6677323号、6677322号、6365581号、6187765号、6068832号、6057307号、5889015号、5837699号、および5474759号中に開示されている。
【0042】
フランカルボン酸モメタゾンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体、例えばフランカルボン酸モメタゾン一水和物の懸濁剤中での実用的に有効な1日当たり総有効量としては、単一または分割投与での、約10〜約5000マイクログラム(「μg」)/日、約10〜約4000μg/日、約10〜約2000μg/日、約10〜約800μg/日、約25〜約1000μg/日、約25〜約400μg/日、約25〜約200μg/日、約25〜約100μg/日、または約25〜約50μg/日、約50〜約800μg/日、約50〜約200μg/日、約100〜約200μg/日、約100、または約200、または約300、または約400または約800μg/日が挙げられる。
【0043】
溶液剤中でのフランカルボン酸モメタゾンの適切な濃度としては、約0.1マイクログラム(μg)/mL〜約500μg/mL、1μg/mL〜約500μg/mL、約5μg/mL〜約500μg/mL、5μg/mL〜約250μg/mL、約5μg/mL〜約100μg/mL、約10μg/mL〜約100μg/mL、約50μg/mL〜約100μg/mL、約25μg/mL〜約75μg/mL、約50μg/mL〜約75μg/mL、約5μg/mL〜約50μg/mL、約60μg/mL〜約65μg/mL;約5μg/mL、約10μg/mL、約15μg/mL、約20μg/mL、約25μg/mL、約30μg/mL、約35μg/mL、約40μg/mL、約45μg/mL、約50μg/mL、約60μg/mL、約65μg/mL、または約70μg/mLが挙げられる。
【0044】
溶液剤中でのモメタゾンの有用な1日当たり総用量としては、限定はされないが、約0.04〜約100マイクログラム(「μg」)/日、約1〜約100μg/日、約5〜約100μg/日、約5〜約75μg/日、約5μg〜約50μg/日、約10μg〜約50μg/日、約10μg〜約45μg/日、約10〜約30μg/日、約40〜約50μg/日、約15μg〜約25μg/日、約20〜約25μg/日、約10μg/日、約15μg/日、20μg/日、約22.5μg/日、約25μg/日、約27.5μg/日、約30μg/日、約40μg/日、または約45μg/日が挙げられる。
【0045】
さらなる例において、コルチコステロイドが、フルチカゾンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である場合、それは、各鼻孔のそれぞれに50μgのプロピオン酸フルチカゾンを2回スプレーする投与量で1日1回投与できる。別法として、それは、各鼻孔のそれぞれに50μgのプロピオン酸フルチカゾンを1日1回1スプレーする投与量で投与できる。コルチコステロイドが、トリアムシノロンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である場合、それは、1日1回の各鼻孔への2スプレーとして1日につき220μgであるトリアムシノロンの投与量で投与できる。別法として、それは、1日1回の各鼻孔への1スプレーとして1日につき110μgの投与量で投与できる。コルチコステロイドが、ブデソニドまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である場合、ブデソニドの投与量は、1日1回の鼻孔毎に32μgの1スプレーとして投与される1日につき64μgでよい。コルチコステロイドが、シクレソニドまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である場合、それは、1日1回の各鼻孔への2スプレーとして、1日につき200μgの投与量で投与できる。
【0046】
モメタゾンの有用な量は、水性組成物1gにつき約0.01〜10.0mg、好ましくは0.1〜10.0mgのフランカルボン酸モメタゾン一水和物を含む。オキシメタゾリンの有用な量は、水性組成物1gにつき0.025〜10.0mgを含む。
【0047】
用語「アレルギー性鼻炎」は、本明細書中で使用する場合、鼻粘膜の任意のアレルギー反応を意味し、季節性または通年性のくしゃみ、鼻漏、鼻充血、かゆみ、ならびに眼の痒み、充血および流涙によって特徴付けられる枯草熱(季節性アレルギー性鼻炎)および通年性鼻炎(非季節性アレルギー性鼻炎)を包含する。
【0048】
用語「非アレルギー性鼻炎」は、本明細書中で使用する場合、皮膚試験で陰性を有する患者および彼らの鼻分泌物中に多数の好酸球を有する患者において見出される好酸球性非アレルギー性鼻炎を意味する。
【0049】
用語「非悪性増殖性および/または炎症性疾患」は、本明細書中で肺システムに関して使用する場合、(1)外因性アレルギー性肺胞炎などの肺胞炎、ならびに、例えば細胞傷害性薬剤および/またはアルキル化剤によって引き起こされるような薬物毒性、(2)ウェゲナー肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫症、肺血管腫症および特発性肺線維症などの血管炎、慢性好酸球性肺炎、好酸球性肉芽腫、ならびにサルコイドーシスの中の1つまたは複数を意味する。
【0050】
用語「薬学的に許容される塩」は、無機酸、無機塩基、有機酸、および有機塩基を含む薬学的に許容される酸または塩基から調製される非毒性塩を指す。適切な無機酸の例が、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、およびリン酸である。適切な有機酸は、例えば、脂肪族、芳香族のカルボン酸およびスルホン酸の部類の有機酸から選択することができ、その例が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フランカルボン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸、ステアリン酸、スルファニル酸、アルゲン(algenic)酸、およびガラクツロン酸から選択できる。適切な無機塩基の例には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛から形成される金属塩が含まれる。適切な有機塩基は、例えば、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルマイン(meglumaine)(N−メチルグルカイン(N−methylglucaine))、リシン、およびプロカインから選択できる。
【0051】
句「治療有効量」は、投与されると、その中に含まれるある量の1種または複数の薬学的に活性な薬物を供給して疾患または疾患状態の治療または管理において治療上の利益を提供する薬剤の量を意味する。
【0052】
剤形は、正確に計った量または単位量で提供される薬剤組成物の投与可能な形態を指し、少なくとも1種の治療薬を、送達システム、例えば、担体、希釈剤、および着色剤を含む1種または複数の他の賦形剤と合わせて含む。剤形の例には、限定はされないが、ゲル剤、経鼻スプレー剤、点鼻剤、クリーム剤、散剤、吸入のために提供される正確に計った量のエアゾール剤、および吸い込むために提供される定量液剤が含まれる。
【0053】
投与は、ネブライザー、定量ポンプ式スプレーデバイス、乾燥粉末吸入器および加圧式定量吸入器から選択されるデバイスを利用して完遂できる。単一の加圧式定量吸入器を、経鼻送達用に設計されたアクチュエーターと経口送達用に設計されたアクチュエーターとの間を切り替えることによって、簡単に経鼻吸入経路用に構成することができる。
【0054】
Schering−Ploughによって販売されているようなNASONEX(登録商標)、またはSchering−Ploughによって販売されているようなAFRIN(登録商標)のために使用されるポンプ式スプレー器などの任意の適切なポンプ式スプレー器を使用できる。
【0055】
加圧式定量吸入器(「MDI」)は、デバイス中に含まれる薬剤の正確な量のエアゾールを作り出すために、噴射剤、例えば、クロロフルオロカーボン噴射剤(例えば、CFC−11、CFC−12)、ヒドロフルオロカーボン噴射剤(例えば、HFC−134A、HFC−227)を含み、該エアゾールは、エアゾールを経鼻で吸入することによって投与され、鼻粘膜および/または副鼻腔洞を治療する。
【0056】
本発明の薬剤製剤は、また、ネブライザーデバイスを利用して投与できる。典型的な市販のネブライザーデバイスは、2つの方法の1つによって小滴のガス流中分散物を作り出す。ジェットネブライザーは、圧縮空気サプライを使用して液体をチューブに引き上げ、ベンチュリー作用によりオリフィスを通し、流体を1つまたは複数の固定されたじゃま板(baffle)に衝突するようにして、大きすぎる小滴を除去した後、液体を流動ガス流中にその中に懸濁された小滴として導入する。超音波ネブライザーは、電気で駆動されるトランスデューサーを使用して、流体を高周波振動にさらし、移動しているガス流中にのる(entrain)ことのできる小滴雲を作り出す。これらのデバイスは、懸濁剤を送達するのに選択されることは少ない。
【0057】
液体を圧搾球状空気(squeeze bulb air)サプライで霧化するハンドヘルド式ネブライザーも利用可能であるが、より広範に使用される装置は、電動式圧縮機を組み込むか、あるいは圧縮ガスのシリンダーに連結する。市販されている種々のデバイスは、呼吸可能な小滴のそれらのそれぞれの発生量が同じでないので、所定の薬剤に関するそれらの送達効率は著しく異なるが、処方者が、各個々のデバイスに充填すべき薬剤製剤の正確な量を指定するなら、任意のデバイスを使用して本発明の薬剤を送達できる。ネブライザー容器を使用して、例えば、フランカルボン酸モメタゾンの水性懸濁剤を1日に200μg送達する場合、各鼻孔中へ50μgを2回押し込むことを利用して薬物を送達するのが通常である。
【0058】
経鼻スプレー剤で有用な組成物などの有用な水性組成物は、フランカルボン酸モメタゾンまたはフランカルボン酸モメタゾン一水和物(好ましくはフランカルボン酸モメタゾン一水和物)を充血除去剤およびその他の薬学的に許容される賦形剤と一緒に水と混合することによって調製できる。国際出願第PCT/US91/06249号(WO9204365)を参照されたい。フランカルボン酸モメタゾン一水和物およびそれを含む水性懸濁剤の調製についてはUS6127353の実施例1〜5を参照されたい。加えて、有用な組成物は、その全体で本明細書に組み込まれる、US6,841,146号に記載の組成物に従って調製できる。
【0059】
加圧式定量吸入器用の有用な組成物は、すべて本明細書に組み込まれる、US20040042973、US6068832、US6503482、またはUS5474759に開示されている方法および処方に従って調製できる。
【0060】
水性組成物は、とりわけ、水、補助薬および/または1種または複数の賦形剤、例えば、懸濁化剤(例えば、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース);湿潤化剤(例えば、グリセリンおよびプロピレングリコール);pHを調整するための酸、塩基もしくは緩衝物質(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸ナトリウム、およびクエン酸塩緩衝剤とリン酸塩緩衝剤との混合物);界面活性剤(例えば、ポリソルベート80);ならびに抗微生物保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、フェニルエチルアルコールおよびソルビン酸カリウム)を含むことができる。
【0061】
意図した適用に応じて、約10重量%までの、より典型的には約0.5〜約5重量%の付加的レオロジー修飾剤(ポリマーもしくはその他の材料など)を組み込むことが望ましいこともある。有用な材料には、限定はされないが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン、カラゲナン、カルボマー、ガラクトマンナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルキチンナトリウム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、およびキサンタンガムが含まれる。前記材料の任意の2種以上の組合せも有用である。
【0062】
微結晶セルロースとカルボキシアルキルセルロースアルカリ金属との混合物が市販されており、本発明で使用するのに目下好ましい混合物は、米国ペンシルヴェニア州フィラデルフィアのFMC CorporationによってAVICEL(登録商標)RC−591として販売されている。この材料は、ほぼ89重量%の微結晶セルロース、およびほぼ11重量%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、各種の医薬懸濁剤および乳剤を調製する際の懸濁化剤として使用されることが公知である。本発明の組成物は、少なくとも約2.5〜約10重量%の、セルロース/カルボキシアルキルセルロース配合混合物の混合物を含むことができる。
【0063】
密接に関連した混合物が、同一供給源から、RC−591と同様のバルク化学組成を有するAVICEL(登録商標)RC−581として入手可能であり、この材料も本発明で有用である。微結晶セルロースおよびカルボキシアルキルセルロースアルカリ金属は、別個に市販され、本発明で使用するために所望の比率で混合することができ、微結晶セルロースの量は、別個に混合され、共に処理される混合物の双方に関して該混合物の約85〜約95重量%でよい。
【0064】
本発明の組成物が敏感な粘膜への適用を意図している場合、そのままのpHが適切でなければ、酸または塩基を使用して、pHを相対的に中性値に調整することが、通常的には望ましい。一般に、約4〜約8のpH値が組織適合性のために好ましく;選択される正確な値は、また、組成物の化学的および物理的安定性を増進するものであるべきである。一部の例では、選択されたpH値の維持を助けるために、緩衝化剤を含める。典型的な緩衝剤は、当技術分野で周知であり、限定はされないが、リン酸塩、クエン酸塩およびホウ酸塩系が挙げられる。
【0065】
組成物は、湿潤化剤、保存剤、抗酸化剤、キレート化剤、および芳香性物質などの、いくつかの任意選択の成分のいずれかを含むことができる。グリセリン、ポリエチレンもしくはその他のグリコール、多糖などの吸湿性材料である湿潤化剤は、組成物からの水分喪失を抑制するように作用し、保湿特性を付加することができる。有用な芳香性物質には、樟脳、メントール、オイカリプトールなど、および香料が含まれる。保存剤は、典型的には、病原性生物の不含を確立および維持するために組み込まれ、代表的な成分としては、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、クロロブタノール、フェネチルアルコール(これは芳香性添加物でもある)、フェニル酢酸水銀、および塩化ベンザルコニウムが挙げられる。
【0066】
充血除去剤およびコルチコステロイドに付加できる適切な薬剤としては、限定はされないが、抗ウイルス薬、抗ヒスタミン剤(ヒスタミンH1、H2、H3受容体拮抗薬など)、去痰薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗コリン作用薬、薬学的に許容される亜鉛塩、抗生物質、ロイコトリエンD4拮抗薬、ロイコトリエン阻害薬、P2Yアゴニスト、sykキナーゼ類似体、echinaceia、ビタミンC、およびビタミンEが挙げられる。
【0067】
本発明の組成物と組み合わせるのに有用な抗生物質の例には、マクロライド、セファロスポリン、および抗菌物質が含まれる。適切な抗生物質の具体例には、限定はされないが、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、フロルフェニコール、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、ツラスロマイシン、セフロキシム、セフチブテン、セフチオフル、セファドロキシル、アモキシシリン、ペニシリン(Peniccilin)、クラブラン酸またはその他の適切なβ−ラクタマーゼ阻害薬と合わせたアモキシシリン、スルホンアミド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、およびプロピオン酸ナトリウムが含まれる。投与できる組成物の治療量は、当業者にとって公知である。
【0068】
本発明で使用するのに適した非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の例には、限定はされないが、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、ピロキシカム、テノキシカム、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ナブメトン、ケトロラク、アザプロパゾン、メフェナム酸、トルフェナム酸、スリンダク、ジフルニサル、チアプロフェン酸、ポドフィロトキシン誘導体、アセメタシン、アセクロフェナク、ドロキシカム、オキサプロジン、フロクタフェニン、フェニルブタゾン、プログルメタシン、フルルビプロフェン、トルメチン、およびフェンブフェンが含まれる。これらの組成物は、以下に示すように経口または経鼻で、当業者にとって公知である量で投与できる。
【0069】
本発明での使用に関し意図している薬学的に許容される亜鉛塩には、感冒に対して有益な効果を有することが報告されているそれらの水溶性塩が包含される。典型的には、このような調製物には、粘膜に刺激をもたらす濃度未満のイオン性亜鉛の濃度を有する水溶液または生理食塩水溶液が包含される。一般に、このような溶液中のイオン性亜鉛は、実質的にキレート化されていない亜鉛として存在し、遊離のイオン性溶液の形態で存在する。本発明で使用するためのイオン性亜鉛溶液は、典型的には、実質的にキレート化されていない亜鉛イオンを約0.004〜約0.12%(w/vol)の濃度で含む。好ましくは、実質的にキレート化されていないイオン性亜鉛化合物には、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、および酢酸亜鉛からなる群から選択される亜鉛の無機酸塩が包含され得る。これらの組成物は、以下に示すように経口または経鼻で、当業者にとって公知である量で投与できる。
【0070】
本発明を、以下の実施例によりさらに説明するが、該実施例は、いかなる意味でも、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲を制約するものとは解釈されない。
【0071】
文脈が明確にそうでないことを指摘しない限り、百分率は重量基準で表現される。本明細書中または特許請求の範囲中での任意の特定薬物に関する言及は、基本的薬物だけでなく、該薬物の薬学的に許容される塩、エステル、水和物、およびその他の形態も包含すると解釈される。薬物の特定の塩またはその他の形態について言及する場合、その他の塩または形態で代用できることを意図している。
【実施例】
【0072】
季節性アレルギー性鼻炎(SAR)などの上気道のアレルギー性または炎症性状態を治療することに属する対症治療における充血除去剤およびコルチコステロイドを含む経鼻スプレー剤の寄与を立証し、かつ組合せ剤での安全性、タキフィラキシーの程度、およびリバウンド性充血を判定する試験を完結した。
【0073】
試験は、12歳以上のSAR被験体における無作為化、プラセボ対照、多施設、単盲検、単一ダミー、パイロット試験とした。被験体を、ベースライン来院(baseline visit)時に、毎日(QD)同時に投与されるSchering−PloughからのNASONEX(登録商標)などの50μg/スプレーのフランカルボン酸モメタゾン経鼻スプレー剤(以後、MFNSと略記)+Schering−PloughからのAFRIN(登録商標)などのオキシメタゾリン経鼻スプレー剤(0.05%)(以後、OXYと略記)(1スプレーまたは3スプレーのOXYと組合せ)、毎日(QD)投与のMFNS、1日2回(BID)投与のOXY、またはMFNSにマッチさせたプラセボ経鼻スプレー剤のいずれかでの15日間の治療に無作為化した。
【0074】
この試験には、2週間まで(3〜14日間)のスクリーニング期間、2週間(15日間)の治療期間、および1週間(7日間)の治療後フォローアップ期間を含めた。
【0075】
組入/除外基準を満たしたすべての被験体を、ベースライン来院時に、同時に毎日(QD)投与される50μg/スプレーのMFNS+OXY(0.05%)(1スプレーまたは3スプレーのOXYと組合せ)、毎日(QD)投与のMFNS、1日2回(BID)投与のOXY、またはMFNSにマッチさせたプラセボ経鼻スプレー剤のいずれかでの15日間の治療に無作為に割り付けた。ベースライン後の来院は、8および15日目を予定した。治療後フォローアップ来院は、22日目を予定した。
【0076】
被験体は、1日2回(午前に、朝の投与量を服用する直前に、およびほぼ12時間後の午後に晩の投与量を服用する直前に)、8つの症状:鼻漏(鼻汁/鼻水/後鼻漏)、鼻充血/鼻づまり、くしゃみ、鼻の痒み、催涙/流涙、眼の赤み、眼の痒み、口蓋/耳の痒みの重症度を、尺度(0=なし、1=軽度、2=中等度、3=重度)で評価した。評価は、前の12時間にわたる反映(PRIOR)として、および被験体が評価時点で瞬間的にどう感じたか(NOW)の双方で行った。TNSSは、鼻漏(鼻汁/鼻水/後鼻漏)、鼻充血/鼻づまり、くしゃみ、および鼻の痒みの重症度を評価する鼻の症状の総スコアを指す。TNNSは、催涙/流涙、眼の赤み、眼の痒み、および口蓋/耳の痒みの重症度を評価する総合的な非鼻症状の総スコアを指す。
【0077】
ベースラインおよび15日目の来院時に、投薬前の1時間の間および投薬後、被験体は、5時間にわたり、鼻充血の一連の評価(NOW)を、次のように:投薬前の1時間の間は15分毎に、投薬後の最初の1時間の間は15分毎に、次いで次の3時間の間は30分毎に実施した。被験体は、最初の2時間の間は診療所内に留まり評価を実施したが、診療所から去った次の3時間の間残りの評価を実施した。
【0078】
安全性の評価には、治療前および治療後のバイタルサイン、ECG、検査室パラメーター、および被験体によって報告されたAEのモニタリングを含めた。
【0079】
この試験の主要目的は、SARを有する被験体における鼻充血を含む症状の軽減に関して、同時に毎日(QD)与えられるMFNS経鼻スプレー剤とOXY経鼻スプレー剤との組合せの効力を、1日2回(BID)のOXY、毎日(QD)のMFNS、およびプラセボと比較して評価することであった。
【0080】
5アームの試験デザインを採用した。次の薬剤を、下記に示すスケジュールにより同時に投与した。
【0081】
【表1】
結果
図1〜8を参照すると、コルチコステロイドと充血除去剤との組合せは、1〜15日目にわたるAM/PM NOW TNSSにおける充血除去剤の単独よりも優れており、該組合せの目ざましいほどに増強された効果を立証した。以前には、オキサメタゾリンなどの鼻腔内充血除去剤を使用する患者は、タキフィラキシーを経験すると考えられていたが、このような作用は、充血除去剤とコルチコステロイドとの組合せでは認められなかった。1日目および15日目における標準化されたAUC(0〜4時間)充血のベースラインからの変化は、単剤療法として与えられた場合の各々の成分単独よりも組合せの方が良好であった。これは、とりわけ、通常的に処方されるよりも相当に少ない投与量および1日1回の投薬レジメンで充血除去剤を与えた場合の、成分の組合せによる効力の増強を例証する目ざましい効果であった。よりさらに、2日目〜15日目にわたって平均されたTNSSのベースラインからのAM NOWでの変化は、単剤療法として与えられた場合の個々の成分を超える、組合せの目ざましい増強効果を示した。2〜15日目における充血スコアのベースラインからのAM NOWでの変化は、単剤療法として与えられた場合の個々の成分単独よりも組合せの方が良好であった。図8に示すように、治療中止に続く数日間の間に観察されるリバウンド作用は存在しないようにみえる。
【0082】
図9〜12に示すように、本発明の組成物は、目ざましいほどかなりの眼への効果を有する。詳細には、コルチコステロイドと充血除去剤との組合せは、1〜15日目にわたるAM/PM PRIOR TOSSにおいて、充血除去剤単独より優れており、組合せの目ざましい効果を立証した。さらに、図10〜12に示すように、1〜15日目においてAM/PM PRIORの眼の赤み、流涙、および眼の痒み/灼熱感のかなりの変化が存在した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルギー性および/または炎症性状態に伴う1つまたは複数の症状を治療、軽減、または予防的に治療するのに有用な組成物、剤形、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症性状態またはアレルギー性鼻炎などの上気道の状態は、多くの集団に影響を及ぼす。季節性および通年性アレルギー性鼻炎の双方の苦しみは注目すべきである。アレルギー性鼻炎は、生活の質を実質的に低下させ、その症状によって直接的に、あるいは症状軽減のために採用される現行薬物よって、または薬物の有害反応によって与えられることの多い不十分な軽減のため間接的に、社会生活および労働上の機能遂行を損なうことがある。アレルギー性鼻炎を有する患者は、鼻充血を患うことが多く、これらの患者にとって、鼻充血は、支配的で悩み多い症状であることがある。鼻充血は、睡眠妨害、労働生産性の低下、ならびに不快感および欲求不満を含む情緒障害に結び付けられる。実際、鼻充血は、医院来診の主要理由の1つである。
【0003】
鼻充血の現行治療薬には、抗ヒスタミン剤、充血除去剤、ステロイド、生理食塩水、および薬草剤が含まれる。抗ヒスタミン剤は、鼻粘膜のヒスタミン受容体へのヒスタミンメディエーター細胞の結合を妨害し、ヒスタミン放出に伴う鼻粘膜の腫脹、くしゃみ、および鼻分泌物の増加を阻止する(preempt)。抗ヒスタミン剤は、鼻充血を治療または軽減するために必要とされることはない。充血除去剤は、鼻粘膜中の血管を収縮させるように作用し、それによって組織腫脹および鼻充血を減少させる。ステロイドは、同様に、腫脹した鼻粘膜の炎症を低減する。生理食塩水および薬草剤などの治療薬は、水分を付加し、快適さを増加するが、充血を実際に軽減することはない。
【0004】
経鼻充血除去剤は、典型的には、極めて急速な作用開始を示し、有効であることがあるが、副作用およびその他の問題のため使用が制約される。プソイドエフェドリンなどの経口充血除去剤製品は、副作用および非合法物質へ転用される可能性を有する。オキシメタゾリンなどの鼻腔内充血除去剤は、1日2回の投与で処方され、典型的には、鼻充血を軽減するための極めて急速な作用開始を示す。しかし、充血除去剤の使用は、タキフィラキシーおよびその他の副作用のため、3日間以内に限定される可能性がある。鼻腔内充血除去剤の長期使用によりタキフィラキシーを引き起こす可能性があり、その場合、同じ充血除去効果を得るために、患者はより頻繁なまたはより多くの投与量の充血除去剤を必要とするであろう。しばしば、患者は、より多くの投与量はより大きな軽減を提供するという憶測の下に、指示されたよりも多くの投与量を服用し始める可能性がある(「過剰投薬」または「過量投与」)。過剰投薬は、充血を一時的に改善する可能性があるが、過剰投薬または長期使用の副作用には、鼻腔内充血除去剤の使用を停止した後の重大な「リバウンド性」充血が含まれる。加えて、充血除去剤の経鼻スプレー剤の使用は、鼻粘膜の炎症性肥大である薬物性鼻炎につながる可能性があり、そこでは、副鼻腔の組織が傷害され、腫脹し、充血するようになる。
【0005】
鼻腔内コルチコステロイドは、(1)炎症細胞の浸潤を低減すること、(2)鼻道およびそれらの分泌物中の好塩基球、好酸球、好中球およびマスト細胞の数を減らすこと、(3)細胞からの炎症シグナルの放出を低減すること、(4)粘液産生を減らすこと、(5)血管収縮、および(6)浮腫を低減することを含む、粘膜の炎症を抑制するある範囲の効果を発揮する。多くの鼻腔内コルチコステロイドは、1日1回投与で処方され、充血除去剤に比べてより長期にわたる作用開始を示す可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、急速な作用開始を示し、かつ最小の副作用で長期にわたって使用できる、上気道の状態を軽減または治療するのに効果的な薬剤を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の種々の実施形態は、アレルギー性鼻炎および/または状態の症状を1日1回の投薬で治療または軽減するのに目ざましく効果的であり、かつ望ましくは、最小の副作用で急速な作用開始を示し、かつ長期間にわたって使用できる効果的な薬剤、組成物、剤形、および方法を提供する。例えば、これらの方法は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療、軽減または予防的治療を提供できる。1つまたは複数の症状には、鼻漏(鼻汁/鼻水/後鼻漏など)、鼻充血/鼻づまり、くしゃみなどの鼻の症状、ならびに鼻の痒み、催涙/流涙、眼の赤み、眼の痒み、眼の灼熱感、口蓋/耳の痒みを含む非鼻症状が含まれる。種々の実施形態は、また、季節性アレルギー性鼻炎および/または通年性アレルギー性鼻炎または鼻ポリープなどのアレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の予防的治療を提供する。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを1日1回投与することを含む方法を提供する。例えば、これらの方法は、鼻漏(鼻汁/鼻水/後鼻漏など)、鼻充血/鼻づまり、くしゃみなどの鼻の全症状、ならびに鼻の痒み、催涙/流涙、眼の赤み、眼の痒み、眼の灼熱感、口蓋/耳の痒みを含む全非鼻症状などの症状の治療または軽減を提供することができる。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のアレルギー性または炎症性状態を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを1日1回投与することを含む方法を提供する。
【0010】
本発明のさらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを単一剤形で1日1回投与することを含む方法を提供する。
【0011】
さらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回投与することを含む方法を提供する。
【0012】
他の実施形態は、アレルギー性鼻炎、季節性アレルギー性鼻炎および/または通年性アレルギー性鼻炎のどちらかに伴う鼻の症状を治療するための薬剤を製造するための、フランカルボン酸モメタゾンの水性懸濁剤およびオキシメタゾリンの溶液の使用を提供する。
【0013】
さらに他の実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の治療または軽減を必要とする患者におけるアレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減するのに有用な剤形であって、治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを単一剤形中に含む剤形を提供する。該剤形は、望ましくは、鼻腔内投与に適している。
【0014】
他の実施形態は、1日1回で治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を鼻腔内投与に適した単一剤形中に含む、鼻腔内用医薬組成物を提供する。オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体は、約12.5μg〜約600μgの範囲で存在することができ、フランカルボン酸モメタゾンは、約100μg〜約800μgの範囲で存在することができる。別法として、オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体は、約50μg〜約300μgの範囲で存在することができ、フランカルボン酸モメタゾンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体は、約100μg〜約400μgの範囲で存在する。オキシメタゾリンの量は、現在処方されているよりも実質的に少ない投与量である。
【0015】
さらなる実施形態は、治療有効量のフランカルボン酸モメタゾンおよびオキシメタゾリン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回で送達する能力のある経鼻スプレー剤容器を含む医薬品を提供する。
【0016】
他の実施形態は、投与期間中に充血除去剤のタキフィラキシーを経験しないで、少なくとも5日間の投与期間にわたって有用な、1日1回の治療有効投与量で充血除去剤およびコルチコステロイドを含む医薬組成物を提供する。他の実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、少なくとも5日間の投与期間にわたって充血除去剤およびコルチコステロイドを、投与期間中に充血除去剤に伴うタキフィラキシーを経験しないで、1日1回の治療有効投与量で鼻腔内に投与することを含む方法を対象とする。充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後に、充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止の約5日後でさえも、リバウンドは観察されない。
【0017】
さらなる実施形態は、1日1回の治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を単一剤形中に含む鼻腔内用医薬組成物を提供し、ここで、オキシメタゾリンは、約50μg〜約300μgの範囲で存在し、フランカルボン酸モメタゾンまたはフランカルボン酸モメタゾン一水和物は、約100μg〜約400μgの範囲で存在する。
【0018】
よりさらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療または軽減を必要とする患者における、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療または軽減をする方法であって、患者に充血除去剤およびコルチコステロイドを1日1回の治療有効投与量で少なくとも5日間の投与期間にわたって鼻腔内に投与することを含み、充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後に、リバウンドは観察されない方法を提供する。加えて、タキフィラキシーは、投与期間中に発生せず、かつ充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後の少なくとも約5日後にリバウンドは観察されない。アレルギー性または炎症性状態には、鼻の症状、および目の症状などの非鼻症状が含まれる。充血除去剤は、オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体でよく、コルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体でよい。
【0019】
さらなる実施形態は、季節性アルルギー性鼻炎に伴う1つまたは複数の鼻の症状または非鼻症状などのアレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回の投与量で鼻腔内投与するステップを含む方法を提供する。オキシメタゾリンは、約50μg〜約300μgの範囲で存在することができ、フランカルボン酸モメタゾンは、約100μg〜約400μgの範囲で存在することができる。オキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体は、単一剤形中に存在することができる。
【0020】
本発明のさらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態に伴う1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを単一剤形で1日1回鼻腔内投与することを含む方法を提供する。典型的な症状には、鼻充血などのアレルギー性鼻炎に伴う1つまたは複数の症状が含まれる。よりさらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状に伴う症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回鼻腔内投与することを含む方法を提供する。典型的な1つまたは複数の症状には、季節性アレルギー性鼻炎または通年性アレルギー性鼻炎に伴う症状などの1つまたは複数の鼻の症状または非鼻症状が含まれる。非鼻症状には、催涙、眼の赤み、眼の痒み、または眼の灼熱感、およびこれらの組合せを含む1つまたは複数の症状などの1つまたは複数の目の症状が含まれる。鼻の症状には、鼻づまり、鼻漏、痒み、およびくしゃみ、ならびにアレルギー性鼻炎に伴う場合のような鼻充血を含む1つまたは複数の症状が含まれる。
【0021】
より多くの実施形態は、アレルギー性または炎症性状態に敏感な患者に、鼻腔内投与に適した単一剤形中に存在していてもよい、治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回鼻腔内投与することを含む、アレルギー性または炎症性状態に伴う1つまたは複数の症状の予防的治療方法を包含する。
【0022】
本発明の他の実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量のキシロメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体、およびモメタゾンもしくはフルチカゾンなどのコルチコステロイド、またはその薬学的に許容される塩または多形体、例えば、フランカルボン酸モメタゾン無水物、フランカルボン酸モメタゾン一水和物(MFM)、プロピオン酸フルチカゾンもしくはフランカルボン酸フルチカゾンを、1日1回の投与量で投与することを含む方法を提供する。さらに他の実施形態は、1日1回の治療有効量のキシロメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を鼻腔内投与に適した単一剤形中に含む、鼻腔内用医薬組成物を提供する。さらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療有効量のキシロメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回の投与量で鼻腔内投与することを含む方法を提供し、キシロメタゾリンは、約100μg〜約600μgの範囲で存在し、フランカルボン酸モメタゾンは、約100μg〜約400μgの範囲で存在する。よりさらなる実施形態は、アレルギー性または炎症性状態に伴う1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量のキシロメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回口鼻腔内に投与することを含む方法を提供する。該投与は、単一剤形で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、1〜15日目におけるAM/PM NOWでのTNSSのベースラインからの変化を示す。
【図2】図2は、1日目における標準化されたAUC(0〜4時間)充血のベースラインからの変化を示す。
【図3】図3は、1日目および15日目における標準化されたAUC(0〜4時間)充血のベースラインからの変化を示す。
【図4】図4は、2〜15日目におけるTNSSのベースラインからのAM NOWでの変化を示す。
【図5】図5は、2〜15日目における充血のベースラインからのAM NOWでの変化を示す。
【図6】図6は、来診による全般状態の被験体評価を示す。
【図7】図7は、もしあれば、1〜15日目に表れるようなタキフィラキシーを示すチャートである。
【図8】図8は、リバウンド効果を評価するために、1〜15日目および16〜22日目におけるAM/PM NOW充血のベースラインからの変化を示す。
【図9】図9は、1〜15日目におけるAM/PM PRIORでのTOSSのベースラインからの変化を示す。
【図10】図10は、1〜15日目におけるAM/PM PRIORでの眼の赤みのベースラインからの変化を示す。
【図11】図11は、1〜15日目におけるAM/PM PRIORでの流涙のベースラインからの変化を示す。
【図12】図12は、1〜15日におけるAM/PM PRIORでの眼の痒み/灼熱感のベースラインからの変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の種々の実施形態は、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療するのに目ざましいほど効果的であり、かつ最小のまたは少ない量の副作用で長期間にわたって使用できる、組成物、剤形、および方法を提供する。
【0025】
鼻腔内充血除去剤オキシメタゾリンは、1日2回の投薬として指示される。本発明は、目ざましいことに、鼻腔内充血除去剤を鼻腔内コルチコステロイドと組み合わせると、該組合せは、1日1回で投与することができ、かつ、それでもなお効果的であることを見出した。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、充血除去剤およびコルチコステロイドを含み、1日1回で投与されるような方法、組成物、および剤形を提供する。
【0026】
さらに、鼻腔内コルチコステロイドと組み合わせると、鼻腔内充血除去剤は、現在処方されている投与量レベルに比べてより少ないレベルで投与することができ、かつ、それでもなお効果的であることが見出された。例えば、オキシメタゾリンは、約600マイクログラム(μg)の推奨最大総投与量で1日2回、0.05%経鼻スプレー剤溶液を2〜3回スプレーすることからなる典型的な投薬レジメンを有する。本発明は、目ざましいことに、実質的により少ない1日投与量の充血除去剤が、コルチコステロイドと組み合わせられると、効果的であることを見出した。加えて、該組合せは、単剤療法として与えられる場合のその成分のそれぞれに比べてより効果的であった。
【0027】
よりさらに、目ざましいことに、鼻腔内充血除去剤は、鼻腔内コルチコステロイドと組み合わせると、タキフィラキシー、充血リバウンド、および/または薬物性鼻炎を経験しない鼻腔内充血除去剤での単剤療法のために現在推奨される投薬に比べて、より長期にわたって処方することができる。
【0028】
本発明は、有利には、急速な作用開始を有し、かつ副作用が最小であるかまたは少しもなく1日中効果が維持される、方法、組成物、および剤形を提供する。
【0029】
鼻腔内充血除去剤を使用している患者は、タキフィラキシーを経験し、十分な充血除去を得るためにより頻繁なまたはより多くの投与量を必要とする可能性のあることが公知である。オキシメタゾリンなどの鼻腔内充血除去剤は、一部はタキフィラキシーならびにその他の公知の副作用を最小にするため、3日間を超える治療を指示されることはない。したがって、単剤療法として与えられた場合の充血除去剤に優る、コルチコステロイドと組み合わせた場合の充血除去剤の長期、例えば、少なくとも5日間にわたる効力の増強および維持は、鼻腔内充血除去剤が、同一投薬レベルでこのような長期間にわたって利益を有するとは予想されないので、目ざましいことである。
【0030】
コルチコステロイドと充血除去剤との組合せを患者に投与すると、副作用は、目ざましいことに最小である。充血除去剤によるリバウンド性充血の発生は、15日間の治療サイクルを中止して数日後に観察されなかった。加えて、薬物性鼻炎は、15日間の治療サイクルにわたって観察されなかった。
【0031】
充血除去剤およびコルチコステロイドは、2つの別個の剤形で同時的または逐次的に、あるいは1つの単一剤形で一緒に投与できる。該剤形の投与は、朝または晩に行うことができる。
【0032】
いくつかのタイプのアレルギー性および炎症性状態に対する投与は、連続して少なくとも5日間の、連続して少なくとも7日間の、連続して少なくとも10日間の、連続して少なくとも15日間の1日に1または2回の投薬を含む投薬レジメンを包含することができる。別法として、投与期間は、1日1回で約1週間または約2週間でよい。この投薬レジメンは、季節性アレルギー性鼻炎または間欠性アレルギー性鼻炎などの状態に対して有用である。その他の状態に対する投与は、6週間〜約3カ月間などのより長期の投薬療法、年中続く投薬レジメンまでを要求する。このような療法は、通年性アレルギー性鼻炎または持続性鼻炎などのより長期性の状態に適している。望ましくは、オキシメタゾリンの効力は、治療の5日後でも低下しない。
【0033】
主治医の判断に基づいて、使用される活性医薬剤の有効量は、もちろん、治療されている患者の年齢、性別および医療歴、ならびに局所毒性(例えば、鼻の刺激および/または出血)および全身性副作用(例えば、コルチゾールレベル)によって明らかにされるような治療計画に対する患者の耐容性に依存する。コルチゾールは、副腎皮質によってつくり出される主要な天然グルココルチコステロイドである。
【0034】
適合する患者には、12歳以上の患者ならびに2〜12歳の患者が含まれる。
【0035】
本発明の種々の実施形態により治療または軽減できる、上気道のアレルギー性または炎症性状態の典型的な1つまたは複数の症状には、季節性アレルギー性鼻炎、間欠性アレルギー性鼻炎、持続性アレルギー性鼻炎および/または通年性アレルギー性鼻炎などのアレルギー性鼻炎に伴う1つまたは複数の鼻の症状、ならびに中等度〜重度の季節性アレルギー性鼻炎患者における充血が含まれる。治療または予防できる状態には、コルチコステロイド応答性疾患、鼻ポリープ、喘息、ライノウイルス、急性鼻副鼻腔炎および慢性鼻副鼻腔炎を含む鼻副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、季節性アレルギー性鼻炎(SAR)、通年性アレルギー性鼻炎(PAR)が含まれる。これらの状態に伴う症状には、充血、鼻の全症状(鼻づまり/充血、鼻漏、鼻の痒み、くしゃみ)および非鼻症状(眼の痒み/灼熱感、流涙/催涙、眼の赤み、耳/口蓋の痒み)、ならびに副鼻腔炎、真菌誘発性副鼻腔炎、細菌に基づく副鼻腔炎に伴う鼻閉が含まれる。
【0036】
適切な充血除去剤の例には、レブメタンフェタミン(1−デソキシエフェドリンとして公知でもある)、エフェドリン、塩酸エフェドリン、硫酸エフェドリン、ナファゾリン、塩酸ナファゾリン、オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体、塩酸オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、メナゾリン(menazoline)、塩酸フェニレフリン、プロピルヘキセドリン、キシロメタゾリンおよび塩酸キシロメタゾリン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体が含まれる。オキシメタゾリンは、好ましい充血除去剤である。
【0037】
被験体に対するオキシメタゾリンの有用な投薬レジメンは、約0.01%(w/v)〜約0.25%、または約0.025%〜約0.1%、または約0.025%〜約0.075%、または約0.025%〜約0.05%の、あるいは0.01%、または0.025%、または0.05%、または0.075%、または0.1%のオキシメタゾリン溶液を1日1回、1または2スプレーすることを包含することができる。溶液の百分率は、すべて重量/容積である。
【0038】
オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体の実用的に有効な1日当たり総量としては、単回または分割投与での、約5〜約5000マイクログラム(μg)/日、約5〜約2000μg/日、約12.5〜約1000μg/日、約25〜約1000μg/日、約12.5〜約800μg/日、約12.5〜約600μg/日、約25〜約500μg/日、25〜約400μg、約50〜約500、約50〜約300μg/日、約50〜約200μg、約100〜約300μg/日、約100μg/日、約200μg/日、または約300μg/日が挙げられる。1日当たり総投与量は、双方の鼻孔に送達される薬物の総量を含む。各鼻孔は、1または2スプレーを受けることができる。
【0039】
被験体に対するキシロメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体の有用な投薬レジメンは、約0.01%(w/v)〜約0.5%、または約0.025%〜約0.25%、または約0.025%〜0.15%、または約0.05%〜約0.1%、あるいは0.025%、または0.05%、または0.075%、または0.1%、または0.125%のキシロメタゾリン溶液を1日1回1または2回のスプレーすることを含むことができる。溶液のパーセントは、すべて重量/容積である。
【0040】
適切なコルチコステロイドには、モメタゾン、デキサメタゾン、ブトキシコルト(butoxicort)、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコルト、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、ロテプレドノール、およびトリアムシノロン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体が含まれる。より詳細には、有用なコルチコステロイドには、フランカルボン酸モメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン一水和物、プロピオン酸フルチカゾン、およびフランカルボン酸フルチカゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体が含まれる。
【0041】
フランカルボン酸モメタゾンは、コルチコステロイド応答性皮膚疾患の炎症性および/または掻痒性発現を治療するための局所的な皮膚科的使用に関して承認されたコルチコステロイドである。該化合物は、すべてが参照によりその全体で本明細書に組み込まれる、米国特許第4472393号、4731447号、4873335号、5837699号、および6127353号中に開示されている方法に従って調製できる。気道通路および肺の疾患を治療するためのモメタゾンの使用は、そのすべてが参照によりその全体で本明細書に組み込まれる、米国特許第6677323号、6677322号、6365581号、6187765号、6068832号、6057307号、5889015号、5837699号、および5474759号中に開示されている。
【0042】
フランカルボン酸モメタゾンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体、例えばフランカルボン酸モメタゾン一水和物の懸濁剤中での実用的に有効な1日当たり総有効量としては、単一または分割投与での、約10〜約5000マイクログラム(「μg」)/日、約10〜約4000μg/日、約10〜約2000μg/日、約10〜約800μg/日、約25〜約1000μg/日、約25〜約400μg/日、約25〜約200μg/日、約25〜約100μg/日、または約25〜約50μg/日、約50〜約800μg/日、約50〜約200μg/日、約100〜約200μg/日、約100、または約200、または約300、または約400または約800μg/日が挙げられる。
【0043】
溶液剤中でのフランカルボン酸モメタゾンの適切な濃度としては、約0.1マイクログラム(μg)/mL〜約500μg/mL、1μg/mL〜約500μg/mL、約5μg/mL〜約500μg/mL、5μg/mL〜約250μg/mL、約5μg/mL〜約100μg/mL、約10μg/mL〜約100μg/mL、約50μg/mL〜約100μg/mL、約25μg/mL〜約75μg/mL、約50μg/mL〜約75μg/mL、約5μg/mL〜約50μg/mL、約60μg/mL〜約65μg/mL;約5μg/mL、約10μg/mL、約15μg/mL、約20μg/mL、約25μg/mL、約30μg/mL、約35μg/mL、約40μg/mL、約45μg/mL、約50μg/mL、約60μg/mL、約65μg/mL、または約70μg/mLが挙げられる。
【0044】
溶液剤中でのモメタゾンの有用な1日当たり総用量としては、限定はされないが、約0.04〜約100マイクログラム(「μg」)/日、約1〜約100μg/日、約5〜約100μg/日、約5〜約75μg/日、約5μg〜約50μg/日、約10μg〜約50μg/日、約10μg〜約45μg/日、約10〜約30μg/日、約40〜約50μg/日、約15μg〜約25μg/日、約20〜約25μg/日、約10μg/日、約15μg/日、20μg/日、約22.5μg/日、約25μg/日、約27.5μg/日、約30μg/日、約40μg/日、または約45μg/日が挙げられる。
【0045】
さらなる例において、コルチコステロイドが、フルチカゾンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である場合、それは、各鼻孔のそれぞれに50μgのプロピオン酸フルチカゾンを2回スプレーする投与量で1日1回投与できる。別法として、それは、各鼻孔のそれぞれに50μgのプロピオン酸フルチカゾンを1日1回1スプレーする投与量で投与できる。コルチコステロイドが、トリアムシノロンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である場合、それは、1日1回の各鼻孔への2スプレーとして1日につき220μgであるトリアムシノロンの投与量で投与できる。別法として、それは、1日1回の各鼻孔への1スプレーとして1日につき110μgの投与量で投与できる。コルチコステロイドが、ブデソニドまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である場合、ブデソニドの投与量は、1日1回の鼻孔毎に32μgの1スプレーとして投与される1日につき64μgでよい。コルチコステロイドが、シクレソニドまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である場合、それは、1日1回の各鼻孔への2スプレーとして、1日につき200μgの投与量で投与できる。
【0046】
モメタゾンの有用な量は、水性組成物1gにつき約0.01〜10.0mg、好ましくは0.1〜10.0mgのフランカルボン酸モメタゾン一水和物を含む。オキシメタゾリンの有用な量は、水性組成物1gにつき0.025〜10.0mgを含む。
【0047】
用語「アレルギー性鼻炎」は、本明細書中で使用する場合、鼻粘膜の任意のアレルギー反応を意味し、季節性または通年性のくしゃみ、鼻漏、鼻充血、かゆみ、ならびに眼の痒み、充血および流涙によって特徴付けられる枯草熱(季節性アレルギー性鼻炎)および通年性鼻炎(非季節性アレルギー性鼻炎)を包含する。
【0048】
用語「非アレルギー性鼻炎」は、本明細書中で使用する場合、皮膚試験で陰性を有する患者および彼らの鼻分泌物中に多数の好酸球を有する患者において見出される好酸球性非アレルギー性鼻炎を意味する。
【0049】
用語「非悪性増殖性および/または炎症性疾患」は、本明細書中で肺システムに関して使用する場合、(1)外因性アレルギー性肺胞炎などの肺胞炎、ならびに、例えば細胞傷害性薬剤および/またはアルキル化剤によって引き起こされるような薬物毒性、(2)ウェゲナー肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫症、肺血管腫症および特発性肺線維症などの血管炎、慢性好酸球性肺炎、好酸球性肉芽腫、ならびにサルコイドーシスの中の1つまたは複数を意味する。
【0050】
用語「薬学的に許容される塩」は、無機酸、無機塩基、有機酸、および有機塩基を含む薬学的に許容される酸または塩基から調製される非毒性塩を指す。適切な無機酸の例が、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、およびリン酸である。適切な有機酸は、例えば、脂肪族、芳香族のカルボン酸およびスルホン酸の部類の有機酸から選択することができ、その例が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フランカルボン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸、ステアリン酸、スルファニル酸、アルゲン(algenic)酸、およびガラクツロン酸から選択できる。適切な無機塩基の例には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛から形成される金属塩が含まれる。適切な有機塩基は、例えば、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルマイン(meglumaine)(N−メチルグルカイン(N−methylglucaine))、リシン、およびプロカインから選択できる。
【0051】
句「治療有効量」は、投与されると、その中に含まれるある量の1種または複数の薬学的に活性な薬物を供給して疾患または疾患状態の治療または管理において治療上の利益を提供する薬剤の量を意味する。
【0052】
剤形は、正確に計った量または単位量で提供される薬剤組成物の投与可能な形態を指し、少なくとも1種の治療薬を、送達システム、例えば、担体、希釈剤、および着色剤を含む1種または複数の他の賦形剤と合わせて含む。剤形の例には、限定はされないが、ゲル剤、経鼻スプレー剤、点鼻剤、クリーム剤、散剤、吸入のために提供される正確に計った量のエアゾール剤、および吸い込むために提供される定量液剤が含まれる。
【0053】
投与は、ネブライザー、定量ポンプ式スプレーデバイス、乾燥粉末吸入器および加圧式定量吸入器から選択されるデバイスを利用して完遂できる。単一の加圧式定量吸入器を、経鼻送達用に設計されたアクチュエーターと経口送達用に設計されたアクチュエーターとの間を切り替えることによって、簡単に経鼻吸入経路用に構成することができる。
【0054】
Schering−Ploughによって販売されているようなNASONEX(登録商標)、またはSchering−Ploughによって販売されているようなAFRIN(登録商標)のために使用されるポンプ式スプレー器などの任意の適切なポンプ式スプレー器を使用できる。
【0055】
加圧式定量吸入器(「MDI」)は、デバイス中に含まれる薬剤の正確な量のエアゾールを作り出すために、噴射剤、例えば、クロロフルオロカーボン噴射剤(例えば、CFC−11、CFC−12)、ヒドロフルオロカーボン噴射剤(例えば、HFC−134A、HFC−227)を含み、該エアゾールは、エアゾールを経鼻で吸入することによって投与され、鼻粘膜および/または副鼻腔洞を治療する。
【0056】
本発明の薬剤製剤は、また、ネブライザーデバイスを利用して投与できる。典型的な市販のネブライザーデバイスは、2つの方法の1つによって小滴のガス流中分散物を作り出す。ジェットネブライザーは、圧縮空気サプライを使用して液体をチューブに引き上げ、ベンチュリー作用によりオリフィスを通し、流体を1つまたは複数の固定されたじゃま板(baffle)に衝突するようにして、大きすぎる小滴を除去した後、液体を流動ガス流中にその中に懸濁された小滴として導入する。超音波ネブライザーは、電気で駆動されるトランスデューサーを使用して、流体を高周波振動にさらし、移動しているガス流中にのる(entrain)ことのできる小滴雲を作り出す。これらのデバイスは、懸濁剤を送達するのに選択されることは少ない。
【0057】
液体を圧搾球状空気(squeeze bulb air)サプライで霧化するハンドヘルド式ネブライザーも利用可能であるが、より広範に使用される装置は、電動式圧縮機を組み込むか、あるいは圧縮ガスのシリンダーに連結する。市販されている種々のデバイスは、呼吸可能な小滴のそれらのそれぞれの発生量が同じでないので、所定の薬剤に関するそれらの送達効率は著しく異なるが、処方者が、各個々のデバイスに充填すべき薬剤製剤の正確な量を指定するなら、任意のデバイスを使用して本発明の薬剤を送達できる。ネブライザー容器を使用して、例えば、フランカルボン酸モメタゾンの水性懸濁剤を1日に200μg送達する場合、各鼻孔中へ50μgを2回押し込むことを利用して薬物を送達するのが通常である。
【0058】
経鼻スプレー剤で有用な組成物などの有用な水性組成物は、フランカルボン酸モメタゾンまたはフランカルボン酸モメタゾン一水和物(好ましくはフランカルボン酸モメタゾン一水和物)を充血除去剤およびその他の薬学的に許容される賦形剤と一緒に水と混合することによって調製できる。国際出願第PCT/US91/06249号(WO9204365)を参照されたい。フランカルボン酸モメタゾン一水和物およびそれを含む水性懸濁剤の調製についてはUS6127353の実施例1〜5を参照されたい。加えて、有用な組成物は、その全体で本明細書に組み込まれる、US6,841,146号に記載の組成物に従って調製できる。
【0059】
加圧式定量吸入器用の有用な組成物は、すべて本明細書に組み込まれる、US20040042973、US6068832、US6503482、またはUS5474759に開示されている方法および処方に従って調製できる。
【0060】
水性組成物は、とりわけ、水、補助薬および/または1種または複数の賦形剤、例えば、懸濁化剤(例えば、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース);湿潤化剤(例えば、グリセリンおよびプロピレングリコール);pHを調整するための酸、塩基もしくは緩衝物質(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸ナトリウム、およびクエン酸塩緩衝剤とリン酸塩緩衝剤との混合物);界面活性剤(例えば、ポリソルベート80);ならびに抗微生物保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、フェニルエチルアルコールおよびソルビン酸カリウム)を含むことができる。
【0061】
意図した適用に応じて、約10重量%までの、より典型的には約0.5〜約5重量%の付加的レオロジー修飾剤(ポリマーもしくはその他の材料など)を組み込むことが望ましいこともある。有用な材料には、限定はされないが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン、カラゲナン、カルボマー、ガラクトマンナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルキチンナトリウム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、およびキサンタンガムが含まれる。前記材料の任意の2種以上の組合せも有用である。
【0062】
微結晶セルロースとカルボキシアルキルセルロースアルカリ金属との混合物が市販されており、本発明で使用するのに目下好ましい混合物は、米国ペンシルヴェニア州フィラデルフィアのFMC CorporationによってAVICEL(登録商標)RC−591として販売されている。この材料は、ほぼ89重量%の微結晶セルロース、およびほぼ11重量%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、各種の医薬懸濁剤および乳剤を調製する際の懸濁化剤として使用されることが公知である。本発明の組成物は、少なくとも約2.5〜約10重量%の、セルロース/カルボキシアルキルセルロース配合混合物の混合物を含むことができる。
【0063】
密接に関連した混合物が、同一供給源から、RC−591と同様のバルク化学組成を有するAVICEL(登録商標)RC−581として入手可能であり、この材料も本発明で有用である。微結晶セルロースおよびカルボキシアルキルセルロースアルカリ金属は、別個に市販され、本発明で使用するために所望の比率で混合することができ、微結晶セルロースの量は、別個に混合され、共に処理される混合物の双方に関して該混合物の約85〜約95重量%でよい。
【0064】
本発明の組成物が敏感な粘膜への適用を意図している場合、そのままのpHが適切でなければ、酸または塩基を使用して、pHを相対的に中性値に調整することが、通常的には望ましい。一般に、約4〜約8のpH値が組織適合性のために好ましく;選択される正確な値は、また、組成物の化学的および物理的安定性を増進するものであるべきである。一部の例では、選択されたpH値の維持を助けるために、緩衝化剤を含める。典型的な緩衝剤は、当技術分野で周知であり、限定はされないが、リン酸塩、クエン酸塩およびホウ酸塩系が挙げられる。
【0065】
組成物は、湿潤化剤、保存剤、抗酸化剤、キレート化剤、および芳香性物質などの、いくつかの任意選択の成分のいずれかを含むことができる。グリセリン、ポリエチレンもしくはその他のグリコール、多糖などの吸湿性材料である湿潤化剤は、組成物からの水分喪失を抑制するように作用し、保湿特性を付加することができる。有用な芳香性物質には、樟脳、メントール、オイカリプトールなど、および香料が含まれる。保存剤は、典型的には、病原性生物の不含を確立および維持するために組み込まれ、代表的な成分としては、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、クロロブタノール、フェネチルアルコール(これは芳香性添加物でもある)、フェニル酢酸水銀、および塩化ベンザルコニウムが挙げられる。
【0066】
充血除去剤およびコルチコステロイドに付加できる適切な薬剤としては、限定はされないが、抗ウイルス薬、抗ヒスタミン剤(ヒスタミンH1、H2、H3受容体拮抗薬など)、去痰薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗コリン作用薬、薬学的に許容される亜鉛塩、抗生物質、ロイコトリエンD4拮抗薬、ロイコトリエン阻害薬、P2Yアゴニスト、sykキナーゼ類似体、echinaceia、ビタミンC、およびビタミンEが挙げられる。
【0067】
本発明の組成物と組み合わせるのに有用な抗生物質の例には、マクロライド、セファロスポリン、および抗菌物質が含まれる。適切な抗生物質の具体例には、限定はされないが、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、フロルフェニコール、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、ツラスロマイシン、セフロキシム、セフチブテン、セフチオフル、セファドロキシル、アモキシシリン、ペニシリン(Peniccilin)、クラブラン酸またはその他の適切なβ−ラクタマーゼ阻害薬と合わせたアモキシシリン、スルホンアミド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、およびプロピオン酸ナトリウムが含まれる。投与できる組成物の治療量は、当業者にとって公知である。
【0068】
本発明で使用するのに適した非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の例には、限定はされないが、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、ピロキシカム、テノキシカム、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ナブメトン、ケトロラク、アザプロパゾン、メフェナム酸、トルフェナム酸、スリンダク、ジフルニサル、チアプロフェン酸、ポドフィロトキシン誘導体、アセメタシン、アセクロフェナク、ドロキシカム、オキサプロジン、フロクタフェニン、フェニルブタゾン、プログルメタシン、フルルビプロフェン、トルメチン、およびフェンブフェンが含まれる。これらの組成物は、以下に示すように経口または経鼻で、当業者にとって公知である量で投与できる。
【0069】
本発明での使用に関し意図している薬学的に許容される亜鉛塩には、感冒に対して有益な効果を有することが報告されているそれらの水溶性塩が包含される。典型的には、このような調製物には、粘膜に刺激をもたらす濃度未満のイオン性亜鉛の濃度を有する水溶液または生理食塩水溶液が包含される。一般に、このような溶液中のイオン性亜鉛は、実質的にキレート化されていない亜鉛として存在し、遊離のイオン性溶液の形態で存在する。本発明で使用するためのイオン性亜鉛溶液は、典型的には、実質的にキレート化されていない亜鉛イオンを約0.004〜約0.12%(w/vol)の濃度で含む。好ましくは、実質的にキレート化されていないイオン性亜鉛化合物には、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、および酢酸亜鉛からなる群から選択される亜鉛の無機酸塩が包含され得る。これらの組成物は、以下に示すように経口または経鼻で、当業者にとって公知である量で投与できる。
【0070】
本発明を、以下の実施例によりさらに説明するが、該実施例は、いかなる意味でも、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲を制約するものとは解釈されない。
【0071】
文脈が明確にそうでないことを指摘しない限り、百分率は重量基準で表現される。本明細書中または特許請求の範囲中での任意の特定薬物に関する言及は、基本的薬物だけでなく、該薬物の薬学的に許容される塩、エステル、水和物、およびその他の形態も包含すると解釈される。薬物の特定の塩またはその他の形態について言及する場合、その他の塩または形態で代用できることを意図している。
【実施例】
【0072】
季節性アレルギー性鼻炎(SAR)などの上気道のアレルギー性または炎症性状態を治療することに属する対症治療における充血除去剤およびコルチコステロイドを含む経鼻スプレー剤の寄与を立証し、かつ組合せ剤での安全性、タキフィラキシーの程度、およびリバウンド性充血を判定する試験を完結した。
【0073】
試験は、12歳以上のSAR被験体における無作為化、プラセボ対照、多施設、単盲検、単一ダミー、パイロット試験とした。被験体を、ベースライン来院(baseline visit)時に、毎日(QD)同時に投与されるSchering−PloughからのNASONEX(登録商標)などの50μg/スプレーのフランカルボン酸モメタゾン経鼻スプレー剤(以後、MFNSと略記)+Schering−PloughからのAFRIN(登録商標)などのオキシメタゾリン経鼻スプレー剤(0.05%)(以後、OXYと略記)(1スプレーまたは3スプレーのOXYと組合せ)、毎日(QD)投与のMFNS、1日2回(BID)投与のOXY、またはMFNSにマッチさせたプラセボ経鼻スプレー剤のいずれかでの15日間の治療に無作為化した。
【0074】
この試験には、2週間まで(3〜14日間)のスクリーニング期間、2週間(15日間)の治療期間、および1週間(7日間)の治療後フォローアップ期間を含めた。
【0075】
組入/除外基準を満たしたすべての被験体を、ベースライン来院時に、同時に毎日(QD)投与される50μg/スプレーのMFNS+OXY(0.05%)(1スプレーまたは3スプレーのOXYと組合せ)、毎日(QD)投与のMFNS、1日2回(BID)投与のOXY、またはMFNSにマッチさせたプラセボ経鼻スプレー剤のいずれかでの15日間の治療に無作為に割り付けた。ベースライン後の来院は、8および15日目を予定した。治療後フォローアップ来院は、22日目を予定した。
【0076】
被験体は、1日2回(午前に、朝の投与量を服用する直前に、およびほぼ12時間後の午後に晩の投与量を服用する直前に)、8つの症状:鼻漏(鼻汁/鼻水/後鼻漏)、鼻充血/鼻づまり、くしゃみ、鼻の痒み、催涙/流涙、眼の赤み、眼の痒み、口蓋/耳の痒みの重症度を、尺度(0=なし、1=軽度、2=中等度、3=重度)で評価した。評価は、前の12時間にわたる反映(PRIOR)として、および被験体が評価時点で瞬間的にどう感じたか(NOW)の双方で行った。TNSSは、鼻漏(鼻汁/鼻水/後鼻漏)、鼻充血/鼻づまり、くしゃみ、および鼻の痒みの重症度を評価する鼻の症状の総スコアを指す。TNNSは、催涙/流涙、眼の赤み、眼の痒み、および口蓋/耳の痒みの重症度を評価する総合的な非鼻症状の総スコアを指す。
【0077】
ベースラインおよび15日目の来院時に、投薬前の1時間の間および投薬後、被験体は、5時間にわたり、鼻充血の一連の評価(NOW)を、次のように:投薬前の1時間の間は15分毎に、投薬後の最初の1時間の間は15分毎に、次いで次の3時間の間は30分毎に実施した。被験体は、最初の2時間の間は診療所内に留まり評価を実施したが、診療所から去った次の3時間の間残りの評価を実施した。
【0078】
安全性の評価には、治療前および治療後のバイタルサイン、ECG、検査室パラメーター、および被験体によって報告されたAEのモニタリングを含めた。
【0079】
この試験の主要目的は、SARを有する被験体における鼻充血を含む症状の軽減に関して、同時に毎日(QD)与えられるMFNS経鼻スプレー剤とOXY経鼻スプレー剤との組合せの効力を、1日2回(BID)のOXY、毎日(QD)のMFNS、およびプラセボと比較して評価することであった。
【0080】
5アームの試験デザインを採用した。次の薬剤を、下記に示すスケジュールにより同時に投与した。
【0081】
【表1】
結果
図1〜8を参照すると、コルチコステロイドと充血除去剤との組合せは、1〜15日目にわたるAM/PM NOW TNSSにおける充血除去剤の単独よりも優れており、該組合せの目ざましいほどに増強された効果を立証した。以前には、オキサメタゾリンなどの鼻腔内充血除去剤を使用する患者は、タキフィラキシーを経験すると考えられていたが、このような作用は、充血除去剤とコルチコステロイドとの組合せでは認められなかった。1日目および15日目における標準化されたAUC(0〜4時間)充血のベースラインからの変化は、単剤療法として与えられた場合の各々の成分単独よりも組合せの方が良好であった。これは、とりわけ、通常的に処方されるよりも相当に少ない投与量および1日1回の投薬レジメンで充血除去剤を与えた場合の、成分の組合せによる効力の増強を例証する目ざましい効果であった。よりさらに、2日目〜15日目にわたって平均されたTNSSのベースラインからのAM NOWでの変化は、単剤療法として与えられた場合の個々の成分を超える、組合せの目ざましい増強効果を示した。2〜15日目における充血スコアのベースラインからのAM NOWでの変化は、単剤療法として与えられた場合の個々の成分単独よりも組合せの方が良好であった。図8に示すように、治療中止に続く数日間の間に観察されるリバウンド作用は存在しないようにみえる。
【0082】
図9〜12に示すように、本発明の組成物は、目ざましいほどかなりの眼への効果を有する。詳細には、コルチコステロイドと充血除去剤との組合せは、1〜15日目にわたるAM/PM PRIOR TOSSにおいて、充血除去剤単独より優れており、組合せの目ざましい効果を立証した。さらに、図10〜12に示すように、1〜15日目においてAM/PM PRIORの眼の赤み、流涙、および眼の痒み/灼熱感のかなりの変化が存在した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを1日1回投与することを含む方法。
【請求項2】
前記治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドが、単一剤形中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記剤形が経鼻スプレー剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記剤形が加圧式定量吸入器である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記投与が鼻腔内投与である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記充血除去剤が、レブメタンフェタミン(1−デソキシエフェドリンとして公知でもある)、エフェドリン、塩酸エフェドリン、硫酸エフェドリン、ナファゾリン、塩酸ナファゾリン、オキシメタゾリンおよびその薬学的に許容される塩、塩酸オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、メナゾリン、塩酸フェニレフリン、プロピルヘキセドリン、キシロメタゾリンおよび塩酸キシロメタゾリン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記充血除去剤が、フェニレフリン、オキシメタゾリン、およびキシロメタゾリン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記充血除去剤が、オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記オキシメタゾリンの治療有効量が、約12.5〜約600μg/日の範囲にある、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コルチコステロイドが、モメタゾン、デキサメタゾン、ブトキシコルト(butoxicort)、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコルト、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、ロテプレドノール、およびトリアムシノロン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コルチコステロイドが、ブデソニド、フランカルボン酸モメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン一水和物、トリアムシノロン、シクレソニド、プロピオン酸フルチカゾン、およびフランカルボン酸フルチカゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コルチコステロイドが、フランカルボン酸モメタゾンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記コルチコステロイドが、フランカルボン酸モメタゾン一水和物である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記フランカルボン酸モメタゾンの治療有効量が、約100〜約400μg/日の範囲にある、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
上気道の状態が、アレルギー性鼻炎である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
上気道の状態が、鼻充血である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
上気道の状態が、アレルギー性鼻炎に伴う鼻充血である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
上気道の状態が、季節性アレルギー性鼻炎に伴う鼻の症状である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
上気道の状態が、通年性アレルギー性鼻炎に伴う鼻の症状である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記1つまたは複数の症状が、1つまたは複数の眼の症状を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記1つまたは複数の症状が、1つまたは複数の鼻の症状または非鼻の症状を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記1つまたは複数の症状が、催涙、眼の赤み、眼の痒み、または眼の灼熱感、およびこれらの組合せからなる群から選択される1つまたは複数の症状を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日に1回の投与量で投与することを含む方法。
【請求項24】
前記有効量のオキシメタゾリンおよびモメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体が、単一剤形中に存在する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記投与が鼻腔内投与である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記剤形が経鼻スプレー剤である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記投与が、少なくとも連続5日間にわたる、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記投与が少なくとも連続7日間にわたる、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記投与が少なくとも連続10日間にわたる、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記投与が少なくとも連続15日間にわたる、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記患者が、オキシメタゾリンに起因するタキフィラキシーを経験しない、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記オキシメタゾリンの効力が、少なくとも5日間の治療で低下しない、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記患者が、前記オキシメタゾリンの投与を中止した後にリバウンド作用を経験しない、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
前記フランカルボン酸モメタゾンの有効量が、約25〜約400μg/日の範囲にある、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記オキシメタゾリンの有効量が、約50〜約300μg/日の範囲にある、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
アレルギー性または炎症性状態の治療または軽減を必要とする患者における前記アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減するのに有用な剤形であって、鼻腔内投与に適した単一剤形中に治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを含む剤形。
【請求項37】
前記充血除去剤が、レブメタンフェタミン(1−デソキシエフェドリンとしても公知)、エフェドリン、塩酸エフェドリン、硫酸エフェドリン、ナファゾリン、塩酸ナファゾリン、オキシメタゾリンおよびその薬学的に許容される塩、塩酸オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、メナゾリン、塩酸フェニレフリン、プロピルヘキセドリン、キシロメタゾリン、および塩酸キシロメタゾリン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体からなる群から選択される、請求項36に記載の剤形。
【請求項38】
前記充血除去剤が、フェニレフリン、オキシメタゾリン、およびキシロメタゾリン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体からなる群から選択される、請求項36に記載の剤形。
【請求項39】
前記充血除去剤が、オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である、請求項36に記載の剤形。
【請求項40】
前記充血除去剤が、キシロメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である、請求項36に記載の剤形。
【請求項41】
前記コルチコステロイドが、モメタゾン、デキサメタゾン、ブトキシコルト(butoxicort)、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコルト、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、ロテプレドノール、およびトリアムシノロン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体から選択される、請求項36に記載の剤形。
【請求項42】
前記コルチコステロイドが、ブデソニド、フランカルボン酸モメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン一水和物、トリアムシノロン、シクレソニド、プロピオン酸フルチカゾン、およびフランカルボン酸フルチカゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体から選択される、請求項36記載の剤形。
【請求項43】
前記コルチコステロイドが、フランカルボン酸モメタゾン一水和物またはフランカルボン酸モメタゾンである、請求項36に記載の剤形。
【請求項44】
前記フランカルボン酸モメタゾンの有効量が、約25〜約400μg/日の範囲にある、請求項43に記載の剤形。
【請求項45】
前記フランカルボン酸モメタゾンの1日投与量が、約25〜約800μgの範囲にある、請求項43に記載の剤形。
【請求項46】
前記フランカルボン酸モメタゾンの1日投与量が、約50〜約400μgの範囲にある、請求項43に記載の剤形。
【請求項47】
前記フランカルボン酸モメタゾンの1日投与量が、約100〜約400μgの範囲にある、請求項43に記載の剤形。
【請求項48】
前記オキシメタゾリンの有効量が、約12.5〜約800μg/日の範囲にある、請求項39に記載の剤形。
【請求項49】
前記オキシメタゾリンの1日投与量が、オキシメタゾリンの約12.5〜約600μgの範囲にある、請求項39に記載の剤形。
【請求項50】
前記オキシメタゾリンの1日投与量が、約25〜約400μgの範囲にある、請求項39に記載の剤形。
【請求項51】
前記オキシメタゾリンの1日投与量が、約50〜約300μgの範囲にある、請求項39に記載の剤形。
【請求項52】
前記オキシメタゾリンの1日投与量が、約50〜約200μgの範囲にある、請求項39に記載の剤形。
【請求項53】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、少なくとも5日間の投与期間にわたって充血除去剤およびコルチコステロイドを、前記投与期間中に前記充血除去剤に伴うタキフィラキシーを経験しないで、1日1回の治療有効投与量で鼻腔内に投与することを含む方法。
【請求項54】
前記充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後に、リバウンドが観察されない、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後の少なくとも約5日後に、リバウンドが観察されない、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療または軽減を必要とする患者におけるアレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療または軽減をする方法であって、前記患者に充血除去剤およびコルチコステロイドを少なくとも5日間の投与期間にわたって1日1回の治療有効投与量で鼻腔内に投与することを含み、前記充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後にリバウンドが観察されない方法。
【請求項57】
タキフィラキシーが、前記投与期間中に発生しない、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後の少なくとも5日後にリバウンドが観察されない、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療を必要とする患者に治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回の投与量で鼻腔内に投与することを含み、前記オキシメタゾリンが、約50μg〜約300μgの範囲で存在し、かつ前記フランカルボン酸モメタゾンが約100μg〜約400μgの範囲で存在する方法。
【請求項60】
前記オキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体が、単一剤形中に存在する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記1つまたは複数の症状が、季節性アレルギー性鼻炎に伴う1つまたは複数の鼻の症状または非鼻の症状を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
アレルギー性または炎症性状態に伴う1つまたは複数の症状の予防的治療方法であって、アレルギー性または炎症性状態に敏感な患者に治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回鼻腔内に投与することを含む方法。
【請求項63】
前記オキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体が、鼻腔内投与に適した単一剤形中に存在する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療または軽減を必要とする患者に治療有効量のキシロメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回の投与量で投与することを含む方法。
【請求項65】
前記投与が、鼻腔内投与である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記投与が、単一剤形で行われる、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療を必要とする患者に治療有効量のキシロメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回の投与量で鼻腔内に投与することを含み、前記キシロメタゾリンが、約100μg〜約600μgの範囲で存在し、かつ前記フランカルボン酸モメタゾンが、約100μg〜約400μgの範囲で存在する方法。
【請求項1】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを1日1回投与することを含む方法。
【請求項2】
前記治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドが、単一剤形中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記剤形が経鼻スプレー剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記剤形が加圧式定量吸入器である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記投与が鼻腔内投与である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記充血除去剤が、レブメタンフェタミン(1−デソキシエフェドリンとして公知でもある)、エフェドリン、塩酸エフェドリン、硫酸エフェドリン、ナファゾリン、塩酸ナファゾリン、オキシメタゾリンおよびその薬学的に許容される塩、塩酸オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、メナゾリン、塩酸フェニレフリン、プロピルヘキセドリン、キシロメタゾリンおよび塩酸キシロメタゾリン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記充血除去剤が、フェニレフリン、オキシメタゾリン、およびキシロメタゾリン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記充血除去剤が、オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記オキシメタゾリンの治療有効量が、約12.5〜約600μg/日の範囲にある、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コルチコステロイドが、モメタゾン、デキサメタゾン、ブトキシコルト(butoxicort)、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコルト、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、ロテプレドノール、およびトリアムシノロン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コルチコステロイドが、ブデソニド、フランカルボン酸モメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン一水和物、トリアムシノロン、シクレソニド、プロピオン酸フルチカゾン、およびフランカルボン酸フルチカゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コルチコステロイドが、フランカルボン酸モメタゾンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記コルチコステロイドが、フランカルボン酸モメタゾン一水和物である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記フランカルボン酸モメタゾンの治療有効量が、約100〜約400μg/日の範囲にある、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
上気道の状態が、アレルギー性鼻炎である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
上気道の状態が、鼻充血である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
上気道の状態が、アレルギー性鼻炎に伴う鼻充血である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
上気道の状態が、季節性アレルギー性鼻炎に伴う鼻の症状である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
上気道の状態が、通年性アレルギー性鼻炎に伴う鼻の症状である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記1つまたは複数の症状が、1つまたは複数の眼の症状を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記1つまたは複数の症状が、1つまたは複数の鼻の症状または非鼻の症状を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記1つまたは複数の症状が、催涙、眼の赤み、眼の痒み、または眼の灼熱感、およびこれらの組合せからなる群から選択される1つまたは複数の症状を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、そのような治療または軽減を必要とする患者に治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日に1回の投与量で投与することを含む方法。
【請求項24】
前記有効量のオキシメタゾリンおよびモメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体が、単一剤形中に存在する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記投与が鼻腔内投与である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記剤形が経鼻スプレー剤である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記投与が、少なくとも連続5日間にわたる、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記投与が少なくとも連続7日間にわたる、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記投与が少なくとも連続10日間にわたる、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記投与が少なくとも連続15日間にわたる、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記患者が、オキシメタゾリンに起因するタキフィラキシーを経験しない、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記オキシメタゾリンの効力が、少なくとも5日間の治療で低下しない、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記患者が、前記オキシメタゾリンの投与を中止した後にリバウンド作用を経験しない、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
前記フランカルボン酸モメタゾンの有効量が、約25〜約400μg/日の範囲にある、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記オキシメタゾリンの有効量が、約50〜約300μg/日の範囲にある、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
アレルギー性または炎症性状態の治療または軽減を必要とする患者における前記アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減するのに有用な剤形であって、鼻腔内投与に適した単一剤形中に治療有効量の充血除去剤およびコルチコステロイドを含む剤形。
【請求項37】
前記充血除去剤が、レブメタンフェタミン(1−デソキシエフェドリンとしても公知)、エフェドリン、塩酸エフェドリン、硫酸エフェドリン、ナファゾリン、塩酸ナファゾリン、オキシメタゾリンおよびその薬学的に許容される塩、塩酸オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、メナゾリン、塩酸フェニレフリン、プロピルヘキセドリン、キシロメタゾリン、および塩酸キシロメタゾリン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体からなる群から選択される、請求項36に記載の剤形。
【請求項38】
前記充血除去剤が、フェニレフリン、オキシメタゾリン、およびキシロメタゾリン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体からなる群から選択される、請求項36に記載の剤形。
【請求項39】
前記充血除去剤が、オキシメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である、請求項36に記載の剤形。
【請求項40】
前記充血除去剤が、キシロメタゾリンまたはその薬学的に許容される塩もしくは多形体である、請求項36に記載の剤形。
【請求項41】
前記コルチコステロイドが、モメタゾン、デキサメタゾン、ブトキシコルト(butoxicort)、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコルト、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、ロテプレドノール、およびトリアムシノロン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体から選択される、請求項36に記載の剤形。
【請求項42】
前記コルチコステロイドが、ブデソニド、フランカルボン酸モメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン一水和物、トリアムシノロン、シクレソニド、プロピオン酸フルチカゾン、およびフランカルボン酸フルチカゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体から選択される、請求項36記載の剤形。
【請求項43】
前記コルチコステロイドが、フランカルボン酸モメタゾン一水和物またはフランカルボン酸モメタゾンである、請求項36に記載の剤形。
【請求項44】
前記フランカルボン酸モメタゾンの有効量が、約25〜約400μg/日の範囲にある、請求項43に記載の剤形。
【請求項45】
前記フランカルボン酸モメタゾンの1日投与量が、約25〜約800μgの範囲にある、請求項43に記載の剤形。
【請求項46】
前記フランカルボン酸モメタゾンの1日投与量が、約50〜約400μgの範囲にある、請求項43に記載の剤形。
【請求項47】
前記フランカルボン酸モメタゾンの1日投与量が、約100〜約400μgの範囲にある、請求項43に記載の剤形。
【請求項48】
前記オキシメタゾリンの有効量が、約12.5〜約800μg/日の範囲にある、請求項39に記載の剤形。
【請求項49】
前記オキシメタゾリンの1日投与量が、オキシメタゾリンの約12.5〜約600μgの範囲にある、請求項39に記載の剤形。
【請求項50】
前記オキシメタゾリンの1日投与量が、約25〜約400μgの範囲にある、請求項39に記載の剤形。
【請求項51】
前記オキシメタゾリンの1日投与量が、約50〜約300μgの範囲にある、請求項39に記載の剤形。
【請求項52】
前記オキシメタゾリンの1日投与量が、約50〜約200μgの範囲にある、請求項39に記載の剤形。
【請求項53】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、少なくとも5日間の投与期間にわたって充血除去剤およびコルチコステロイドを、前記投与期間中に前記充血除去剤に伴うタキフィラキシーを経験しないで、1日1回の治療有効投与量で鼻腔内に投与することを含む方法。
【請求項54】
前記充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後に、リバウンドが観察されない、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後の少なくとも約5日後に、リバウンドが観察されない、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療または軽減を必要とする患者におけるアレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療または軽減をする方法であって、前記患者に充血除去剤およびコルチコステロイドを少なくとも5日間の投与期間にわたって1日1回の治療有効投与量で鼻腔内に投与することを含み、前記充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後にリバウンドが観察されない方法。
【請求項57】
タキフィラキシーが、前記投与期間中に発生しない、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記充血除去剤およびコルチコステロイドの投与中止後の少なくとも5日後にリバウンドが観察されない、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療を必要とする患者に治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回の投与量で鼻腔内に投与することを含み、前記オキシメタゾリンが、約50μg〜約300μgの範囲で存在し、かつ前記フランカルボン酸モメタゾンが約100μg〜約400μgの範囲で存在する方法。
【請求項60】
前記オキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体が、単一剤形中に存在する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記1つまたは複数の症状が、季節性アレルギー性鼻炎に伴う1つまたは複数の鼻の症状または非鼻の症状を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
アレルギー性または炎症性状態に伴う1つまたは複数の症状の予防的治療方法であって、アレルギー性または炎症性状態に敏感な患者に治療有効量のオキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回鼻腔内に投与することを含む方法。
【請求項63】
前記オキシメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体が、鼻腔内投与に適した単一剤形中に存在する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療または軽減を必要とする患者に治療有効量のキシロメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回の投与量で投与することを含む方法。
【請求項65】
前記投与が、鼻腔内投与である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記投与が、単一剤形で行われる、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状を治療または軽減する方法であって、アレルギー性または炎症性状態の1つまたは複数の症状の治療を必要とする患者に治療有効量のキシロメタゾリンおよびフランカルボン酸モメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくは多形体を1日1回の投与量で鼻腔内に投与することを含み、前記キシロメタゾリンが、約100μg〜約600μgの範囲で存在し、かつ前記フランカルボン酸モメタゾンが、約100μg〜約400μgの範囲で存在する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−528355(P2011−528355A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518814(P2011−518814)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/050361
【国際公開番号】WO2010/009028
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/050361
【国際公開番号】WO2010/009028
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】
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