説明

充電コネクタの取り付け構造

【課題】コネクタリッドが車体リッドオープナに干渉されて開き角が制限されることを防止して、充電ガンの挿抜作業性を良好にする充電コネクタの取り付け構造を提供すること。
【解決手段】フューエルボックス7Aと、フューエルリッド9と、充電コネクタ本体2と、フューエルリッド9と反対側へ開くように、コネクタ側ヒンジ部4を介して被結合部を開閉可能に設けられたコネクタリッド3と、を備え、コネクタリッド3に、このコネクタリッドを開けたときに、フューエルボックス内へ突出した状態のフューエルリッドオープナ11の先端部が収納される収納用凹部31が形成されている。したがって、コネクタリッド3がフューエルリッドオープナ11の干渉を受けることを防止でき、充電コネクタの挿抜性を良好にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリユニットを搭載する電気自動車などの充電コネクタの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の製造においては、電気自動車としての専用の車体を用いる場合以外に、ガソリン車などと車体を共用する場合が考えられる。いずれの場合でも、電気自動車は、その車体の適所に充電コネクタが設けられている(例えば、特許文献1参照)。この充電コネクタは、給電スタンドや家庭用電源などの電力供給側の充電ガンが結合されることにより、バッテリユニットへの充電を可能とするための接続手段である。
【0003】
ガソリン車などの車体に充電コネクタを取り付ける場合、充電コネクタを、車体における給油口が設けられるフューエルボックスを加工して取り付けることになる。このフューエルボックスは、車体の外側面より内側へ向けて凹んだ凹部空間が板金で形成された構造である。このフューエルボックスの凹部空間の入り口(開口部)は、板状のフューエルリッドで開閉されるようになっている。なお、フューエルリッドは、凹部空間の入り口の開口縁近傍で一端が回転可能にヒンジ部材で軸支され、他端がフューエルボックスの内側面に出没可能に設けられたフューエルリッドオープナに係脱可能に支持されるようになっている。
【0004】
フューエルボックスの内奥には、充電コネクタが貫通した状態で取り付けられている。充電コネクタは、先端部に接続用端子が配置された略円筒形状の充電コネクタ本体と、この充電コネクタ本体の先端面を覆うことができるコネクタリッドと、を備えている。閉めた状態のコネクタリッドは、閉めた状態のフューエルリッドと互いに平行をなすように対向して配置されている。すなわち、フューエルリッドを開けたときに、コネクタリッドの開閉操作が行えるようになっている。コネクタリッドは、充電コネクタ本体の端面を開閉できるように、充電コネクタ本体の先端部の周縁近傍にヒンジ部材で回転可能に軸支されている。
【0005】
フューエルボックス内でコネクタリッドを開ける場合、フューエルリッドと同じ方向に開く構造とすると、コネクタリッドがフューエルリッドの干渉を受けると共に、コネクタリッドとフューエルリッドとが擦れることで互いに擦り傷などの損傷が発生することが懸念される。そこで、コネクタリッドは、フューエルリッドの軸支位置と離れた略反対方向の位置で、充電コネクタ本体の端面周縁部に軸支されるようになっている。すなわち、フューエルリッドとコネクタリッドとは、充電コネクタ本体に対して互いにほぼ反対側の位置に配置され、互いに反対方向に向けて開くようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−146711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、コネクタリッドが充電コネクタ本体の端面周縁における、フューエルリッドの軸支位置とほぼ反対方向の位置で軸支される場合、コネクタリッドを開けたときに、このコネクタリッドの外側面に、フューエルボックスの内側面より内側空間へ向けて突出するフューエルリッドオープナの先端が突き当たって干渉を受けるという問題がある。このため、フューエルボックス内においてコネクタリッドの開き角が十分とれず、充電ガンの挿抜作業性が悪くなることが懸念される。また、コネクタリッドをフューエルリッドオープナの先端に当てて止めるようにすると、これらコネクタリッドとフューエルリッドオープナとの打音が発生するという問題が生じる。このため、コネクタリッドがフューエルリッドオープナと当たらないように、フューエルボックスの板金パネルにフューエルリッドを受け止める緩衝部材を追加しようとすると、部品点数が増加することや、さらに充電ガンの挿抜作業性を悪化させることなどが考えられる。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、充電コネクタを狭い空間内に収めることで車体パネル側の剛性の低下を抑制でき、充電ガンの挿抜作業性も良好な充電コネクタの取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の態様は、車体パネルに形成された開口部より車内側へ凹むように空間を形成する充電ボックスと、前記開口部を開閉可能にするように前記開口部に対して一方側の開口周縁近傍に位置する車体側ヒンジ部を介して前記車体パネル側に回動可能に設けられた車体リッドと、前記開口部に対して他方側の開口周縁近傍に位置し、前記充電ボックスの内壁より前記充電ボックス内に向けて出没するように設けられ、前記車体リッドの閉じた位置での保持、解放が可能な車体リッドオープナと、前記充電ボックスの内奥で当該充電ボックスを貫通するように配置され、充電ガンに結合される被結合部を備えた充電コネクタ本体と、前記充電コネクタ本体に、前記車体リッドと反対側へ開くように、コネクタ側ヒンジ部を介して設けられたコネクタリッドと、を備えてなる充電コネクタの取り付け構造であって、前記コネクタリッドに、前記被結合部に前記充電ガンを結合可能となるように前記コネクタリッドを開けた状態で、前記充電ボックス内に突出した前記車体リッドオープナが収納される収納用凹部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記態様としては、前記収納用凹部内に、クッション材が配置されている構成としてもよい。
【0011】
上記態様としては、前記クッション材は前記収納用凹部の内面に沿って配置され、前記車体リッドオープナが前記収納用凹部内に収納されたときに、前記車体リッドオープナに前記クッション材が圧接した状態で車体リッドオープナを嵌合するようにしてもよい。このような態様では、コネクタリッドを車体リッドオープナに一時的に保持させることができる。
【0012】
上記態様としては、前記充電ボックスがフューエルボックスであり、前記車体リッドがフューエルリッドであってもよく、ガソリン車など車体に本発明を適用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コネクタリッドが車体リッドオープナに干渉されて開き角が制限されることを防止したことにより、充電ガンの挿抜作業性も良好な、充電コネクタの取り付け構造を実現することができる。
【0014】
また、本発明によれば、コンパクトな充電ボックスに対しても充電コネクタを取り付けることが可能となり、車体パネルの開口部のコンパクト化も図れるため、車体パネルの剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造に用いられる充電コネクタの斜視図である。
【図2】図2は、図1のII−II断面図ある。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造において車体リッドを開けた状態であり、コネクタリッドを閉めた状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造において車体リッドとコネクタリッドとを閉めた状態を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造において車体リッドとコネクタリッドとを開けた状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5のVI−VI断面図である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造の変形例を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造に用いられる充電コネクタの斜視図である。
【図9】図9は、本発明の第2の実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造を示す断面図である。
【図10】図10は、充電コネクタの取り付け構造の比較例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造の詳細について図面を参照して説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造に用いられる充電コネクタ1を示している。図3〜図6は、第1の実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造を示している。
【0018】
(充電コネクタ)
充電コネクタ1は、略円筒状の充電コネクタ本体2と、略円板状のコネクタリッド3と、このコネクタリッド3を充電コネクタ本体2の端面に開閉可能に支持するコネクタ側ヒンジ部4と、コネクタリッド3が充電コネクタ本体2の端面を閉じた状態でコネクタリッド3を係止する係止機構5と、を備えている。
【0019】
図2に示すように、充電コネクタ本体2における端部側部分(先端部)21には、後述する充電ガンが挿入される充電ガン挿入空間22が形成されている。この充電ガン挿入空間22内には、被結合部としての一対の結合端子部23と、充電ガンの結合を検出するための一対の結合スイッチ24とが、内奥部から端部側部分21の開口部側へ向けて突設されている。図5に示すように、結合端子部23と結合スイッチ24は、充電ガン挿入空間22の内奥底部の中心の周りに周方向に沿って交互に配置されている。結合端子部23は、図6に示すように、充電ガン17の図示しない結合端子に結合されるようになっている。
【0020】
端部側部分21の外周面には、フランジ部25が周回するように一体に形成されている。なお、本実施の形態では、フランジ部25は、矩形板状であり、角部にボルト挿通用孔25Aが開設されている。
【0021】
図2に示すように、結合端子部23には、端子26が収納された状態で固定されている。端子26は、図示しない充電ユニットに接続された配線27に接続されている。
【0022】
図1および図2に示すように、コネクタリッド3は、略円板状の蓋体であり、充電ガン挿入空間22を開閉するようになっている。コネクタリッド3の中央には、収納用凹部31が形成されている。この収納用凹部31は、充電コネクタ本体2の端部側部分21の充電ガン挿入空間22を閉じたときに、コネクタリッド3が充電ガン挿入空間22内に膨出するように内側へ凹むように形成されている。なお、収納用凹部31の深さは、このコネクタリッド3を開けたときに後述する車体リッドオープナ11を嵌合してコネクタリッド3の開き角を確保できるようになっている。また、コネクタリッド3の内側面には、充電コネクタ本体2の端部側部分21の開口部の端面に当接するリング状のシール材36が設けられている。
【0023】
コネクタ側ヒンジ部4は、コネクタリッド3の周縁における一箇所に延在されたリッド側延在部32が、端部側部分21の外側面より突設されたヒンジ支持部33に、ヒンジ軸34で回転自在に支持されてなる。コネクタリッド3におけるリッド側延在部32と反対側の箇所には、係止機構5によって係止される被係止部35が形成されている。なお、コネクタ側ヒンジ部4は、コネクタリッド3が係止機構5での係止状態が解除されたときに、コネクタリッド3を開ける方向へ付勢するバネ部材を備える構成であってもよい。
【0024】
係止機構5は、端部側部分21におけるコネクタ側ヒンジ部4と反対側の側壁に外側へ向けて突設された回転支持部51に、係止部材52の基端部を回転支持軸53で回転可能に支持されてなる。係止部材52の自由端側は、コネクタリッド3を開ける際に、ロック解除のために手で操作を行う解除用把持部52Aが形成され、解除用把持部52Aの反対側(コネクタリッド3と当接する側)には、コネクタリッド3の被係止部35に係止される係止用突部52Bが形成されている。なお、本実施の形態では、係止部材52は、充電コネクタ本体2の端部側部分21の外側面に圧接するように、バネ部材54で付勢されている。
【0025】
(充電コネクタの取り付け構造)
図3は、本実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造において、フューエルリッド9が開き、コネクタリッド3が閉じた状態を示し、図4は、フューエルリッド9とコネクタリッド3とが閉じた状態を示している。図5および図6は、充電コネクタの取り付け構造においてフューエルリッド9およびコネクタリッド3を開けた状態を示す。
【0026】
本実施の形態は、上記構成の充電コネクタ1を、ガソリン車などの内燃機関を搭載するために設計された車体に取り付けたものである。このように、内燃機関を搭載するための車体を利用して、充電ユニットを搭載する電気自動車などの車両を製造する場合、充電コネクタ1を、外側車体パネル6における給油口が設けられる充電ボックスとしてのフューエルボックス7Aを加工して取り付ける。図4に示すように、このフューエルボックス7Aは、外側車体パネル6の開口部6Aより内側へ向けて凹んだ空間8が内側車体パネル(板金)7で形成された構造である。外側車体パネル6と内側車体パネル7とは、溶接などにより一体に設けられている。
【0027】
フューエルボックス7Aの空間8の入り口である開口部6Aは、板状の車体リッドとしてのフューエルリッド(車体リッド)9で開閉されるようになっている。なお、フューエルリッド9は、開口部6Aを閉塞したときに外側車体パネル6の外側面とフューエルリッド9の外側面とが面一となるように設定されている。フューエルリッド9は、外側車体パネル6の開口部6Aの一端部近傍(開口部6Aに対する一方側)に位置するフューエルボックス7Aに、回転可能に車体側ヒンジ部10で軸支されている。車体側ヒンジ部10は、フューエルボックス7Aの内側面にボルト固定される支持板10Aに対して、フューエルリッド9の内側面に突設された軸支部10Bが支持軸10Cで軸支されてなる。
【0028】
フューエルリッド9における車体側ヒンジ部10で軸支された部分とほぼ反対側に位置する内側面には、係合片12が起立するように設けられている。この係合片12には、係合孔12Aが形成されている。そして、この係合孔12Aには、フューエルボックス7Aの内側面に出没可能に設けられた車体リッドオープナとしてのフューエルリッドオープナ11が係脱可能に係合(嵌合)するようになっている。フューエルリッドオープナ11はロッド状であり、フューエルボックス7Aを構成する内側車体パネル7を貫通して配置されている。図3に示すように、フューエルボックス7Aの外側には、フューエルリッドオープナ11に没動作を伝達するオープナ駆動機構13が設けられている。このオープナ駆動機構13には、運転席側の、図示しないリッドオープナレバーに連結されるリッドオープナケーブル14が連結されている。なお、フューエルリッドオープナ11は、フューエルボックス7A内へ向けて突出するように常時付勢されている。
【0029】
このような構造のフューエルボックス7Aの内奥部に、充電コネクタ1を配置するためのコネクタ貫通孔(本来、給油口を設置するための開口部)7Bが形成されている。本実施の形態では、充電コネクタ1は、フューエルボックス7Aの裏側(車体内側)から、コネクタ貫通孔7Bに、充電コネクタ本体2の端部側部分21およびコネクタリッド3が空間8内に挿入された状態で固定されている。具体的には、図4に示すように、端部側部分21の周面に形成されたフランジ部25に、ブラケット15がボルト16A、ナット16Bを用いて固定されている。ブラケット15は、図示しないボルト・ナットでフューエルボックス7Aに固定されている。なお、フューエルボックス7Aに形成されたコネクタ貫通孔7Bは、取り付ける充電コネクタ1の大きさに応じて適宜加工して用いることができる。
【0030】
図4に示すように、このような取り付け構造において、充電コネクタ1におけるコネクタ側ヒンジ部4は、車体側ヒンジ部10とほぼ反対側に位置するように設定されている。具体的には、車体側ヒンジ部10は、フューエルボックス7Aにおける車体前方向F(図4に矢印で示す。)の端部近傍に配置され、コネクタ側ヒンジ部4は充電コネクタ本体2の端部側部分21における車体後方向R(図4に矢印で示す。)側に位置するように配置されている。したがって、図6に示すように、フューエルリッド9とコネクタリッド3とは、充電コネクタ本体2に対して互いにほぼ反対側の位置に配置され、互いに反対方向に向けて開くようになっている。
【0031】
このように、コネクタ側ヒンジ部4と車体側ヒンジ部10とを充電コネクタ本体2に対してほぼ反対側に配置する理由は、フューエルボックス7A内でコネクタリッド3を開ける場合、フューエルリッド9と同じ方向に開く構造とすると、コネクタリッド3がフューエルリッド9の大幅な干渉を受けると共に、コネクタリッド3とフューエルリッド9との接触により互いに擦り傷などの損傷が発生することが懸念されるからである。
【0032】
本実施の形態では、上述の充電コネクタの取り付け構造としたことにより、以下のような作用・効果を奏することができる。すなわち、図5および図6に示すように、フューエルリッド9とコネクタリッド3を開けた状態では、コネクタリッド3に形成した収納用凹部31内にフューエルリッドオープナ11が収納されるため、コネクタリッド3全体としては、開き角度を稼ぐことができる。したがって、図6に示すように、充電ガン17を充電コネクタ本体2の充電ガン挿入空間22に挿入する際に、充電ガン17がコネクタリッド3に当たって干渉されることを防止できる。
【0033】
これに対して、図10は、コネクタリッド3に収納用凹部31が形成されていない比較例を示す断面図であるが、比較的狭いフューエルボックス7A内にフューエルリッドオープナ11が突出する場合、フューエルリッドオープナ11がコネクタリッド3の開き動作に対して大きく干渉をすることがわかる。
【0034】
本実施の形態では、コネクタリッド3がフューエルリッドオープナ11の先端に突き当たらないように収納用凹部31の深さを設定することも可能であり、フューエルリッドオープナ11の先端との突き当たり音(打音)の発生を抑制することも可能である。
【0035】
また、本実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造によれば、フューエルボックス7Aをコンパクトにしてもコネクタリッド3の開き角を稼ぐことができる。このため、フューエルボックス7Aおよび外側車体パネル6の開口部6Aの大きさのコンパクト化を図ることにより、外側車体パネル6における充電コネクタ1が取り付けられる箇所の剛性を向上することも可能になる。
【0036】
さらに、本実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造によれば、ガソリン車などにも利用される車体に対して、容易かつ確実に充電コネクタを取り付けることができる。特に、本実施の形態によれば、車体リッドオープナとしてのフューエルリッドオープナ11の配置、大きさなどを設計し直すことなく、充電コネクタ1を取り付けられるため、車体の汎用性を高めることができる。
【0037】
[第1の実施の形態の変形例]
図7は、第1の実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造の変形例を示す断面図である。この変形例では、コネクタリッド3の収納用凹部31内に、例えば樹脂製のクッション材16を設けている。この変形例におけるその他の構成は、上記第1の実施の形態の取り付け構造と全く同様である。
【0038】
この変形例のように、コネクタリッド3の収納用凹部31内にクッション材16を設けることにより、コネクタリッド3の開き角がさらに大きくなった場合でも、フューエルリッドオープナ11の先端とコネクタリッド3との打音の発生を抑制することが可能となる。したがって、コネクタリッド3を、図示しない例えばバネ材により、大きく開くように付勢しても打音の発生の問題を解消することができる。
【0039】
[第2の実施の形態]
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造に用いられる充電コネクタ1Aを示す斜視図である。図9は、本実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造を示す断面図である。
【0040】
本実施の形態では、充電コネクタ1Aにおけるコネクタリッド3Aの構造が、上記第1の実施の形態に係る充電コネクタ1のコネクタリッド3と異なる構成を有してい。第2の実施の形態におけるその他の構成は、上記第1の実施の形態の構造と同様である。
【0041】
図8および図9に示すように、本実施の形態の充電コネクタ1Aのコネクタリッド3Aは、収納用凹部31Aの径寸法がフューエルリッドオープナ11の径寸法よりやや大きく設定され、収納用凹部31Aの内壁に沿ってクッション材16が設けられている。また、収納用凹部31の深さは、フューエルリッドオープナ11を収納することにより、確実にコネクタリッド3を開ける程度の深さであればよい。そして、コネクタリッド3を開けたときに、収納用凹部31A内に嵌合されたフューエルリッドオープナ11に対して、クッション材16が圧接するように設定されている。
【0042】
このように、クッション材16がフューエルリッドオープナ11の周面に対して所定の接触圧力をもって接するようにすることにより、コネクタリッド3をフューエルリッドオープナ11に対して、収納用凹部31が結合した状態とすることができる。したがって、充電ガン17を挿入する際に、コネクタリッド3がフューエルリッドオープナ11側に保持された状態とすることができる。なお、コネクタリッド3を閉める場合は、コネクタリッド3を閉じる方向へ押圧すれば、フューエルリッドオープナ11から簡単に外れるようになっている。
[その他の実施の形態]
以上、第1および第2の実施の形態について説明したが、これらの実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0043】
例えば、上記各実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造に用いた充電コネクタ1、1Aでは、係止機構5として、回転支持部51で回動可能に支持された係止部材52でコネクタリッド3を掛け止めするようにしたが、このような機構に限定されるものではない。また上記各実施の形態では、コネクタリッド3を係止する係止部材52をバネ部材54で付勢する構成としたが、バネ部材54を備えない構成としてもよい。
【0044】
また、上記各実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造では、ガソリン車など車体に充電コネクタ1,1Aを設ける場合について説明したが、このような取り付け構造を有する電気自動車専用の車体に対して用いても勿論よい。
【0045】
さらに、上記各実施の形態に係る充電コネクタの取り付け構造では、充電コネクタ1をフューエルボックス7Aに対して車内側から取り付けているが、車外側から充電コネクタ1を挿入して取り付けたものであっても勿論よい。
【符号の説明】
【0046】
1,1A 充電コネクタ
2 充電コネクタ本体
3,3A コネクタリッド
4 コネクタ側ヒンジ部
5 係止機構
6 外側車体パネル
7 内側車体パネル
7A フューエルボックス(充電ボックス)
7B コネクタ貫通孔
8 空間
9 フューエルリッド(車体リッド)
10 車体側ヒンジ部
11 フューエルリッドオープナ
12 係合片
12A 係合孔
15 ブラケット
17 充電ガン
18 クッション材
22 充電ガン挿入空間
23 結合端子部
25 フランジ部
26 端子
31,31A 収納用凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体パネルに形成された開口部より車内側へ凹むように空間を形成する充電ボックスと、
前記開口部を開閉可能にするように前記開口部に対して一方側の開口周縁近傍に位置する車体側ヒンジ部を介して前記車体パネル側に回動可能に設けられた車体リッドと、
前記開口部に対して他方側の開口周縁近傍に位置し、前記充電ボックスの内壁より前記充電ボックス内に向けて出没するように設けられ、前記車体リッドの閉じた位置での保持、解放が可能な車体リッドオープナと、
前記充電ボックスの内奥で当該充電ボックスを貫通するように配置され、充電ガンに結合される被結合部を備えた充電コネクタ本体と、
前記充電コネクタ本体に、前記車体リッドと反対側へ開くように、コネクタ側ヒンジ部を介して設けられたコネクタリッドと、
を備えてなる充電コネクタの取り付け構造であって、
前記コネクタリッドに、前記被結合部に前記充電ガンを結合可能となるように前記コネクタリッドを開けた状態で、前記充電ボックス内に突出した前記車体リッドオープナが収納される収納用凹部が形成されていることを特徴とする充電コネクタの取り付け構造。
【請求項2】
前記収納用凹部内に、クッション材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の充電コネクタの取り付け構造。
【請求項3】
前記クッション材は前記収納用凹部の内面に沿って配置され、前記車体リッドオープナが前記収納用凹部内に収納されたときに、前記車体リッドオープナに前記クッション材が圧接した状態で該車体リッドオープナを嵌合することを特徴とする請求項2に記載の充電コネクタの取り付け構造。
【請求項4】
前記充電ボックスはフューエルボックスであり、前記車体リッドはフューエルリッドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の充電コネクタの取り付け構造。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−236457(P2012−236457A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105460(P2011−105460)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】