説明

充電装置

【課題】構成の複雑化、装置の大型化、信頼性の低下を来すことなく、単相電源により一台の充電器の実に充電する場合に、他の充電器に不必要に電圧がかかってしまうことを防止することが可能な充電装置を提供する。
【解決手段】CPU及び電源回路及び充電回路を備えたマスター充電器と、CPU及び電源回路及び充電回路を備えた複数台のスレーブ充電器と、を具備し、三相電源を投入した場合には上記マスター充電器とスレーブ充電器の両方を動作させ、単相電源を投入した場合には上記マスター充電器のみを動作させるように構成された充電装置において、上記スレーブ充電器の起動電圧条件を上記マスター充電器の起動電圧条件よりも高く設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車に搭載される充電装置に係り、特に、三相電源投入時にはマスター充電器とスレーブ充電器の両方を同時に動作させるとともに、単相電源投入時にはマスター充電器のみを動作させるものにおいて、単相電源投入時にスレーブ充電器が不必要に動作してしまうことを防止できるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車に搭載される従来の充電装置及び電源設備は、例えば、図5に示すような構成になっている。まず、電源設備101があり、この電源設備101は、三相電源103と、単相電源105とから構成されている。上記三相電源103には、三相電源充電用プラグ107が、R相電源線109、S相電源線111、T相電源線113、アース線115を介して接続されている。
【0003】
又、上記単相電源105には、単相電源充電用プラグ117が、L相電源線119、N相電源線121、アース線123を介して接続されている。
【0004】
一方、ハイブリッド車や電気自動車に搭載されている充電装置側の構成であるが、三台の充電器、すなわち、マスター充電器125、スレーブ充電器127、129が設置されている。上記マスター充電器125には、CPU131、電源回路133、充電回路135が設置されている。又、上記スレーブ充電器127、129にも、同様に、CPU131、電源回路133、充電回路135が設置されている。
【0005】
上記マスター充電器125、スレーブ充電器127、129側には、三相電源用インレット137、単相電源用インレット139が設置されている。上記三相電源用インレット137とマスター充電器125は、L1相電源線141、L2相電源線143、アース線145を介して接続されている。又、上記三相電源用インレット137とスレーブ充電器127は、L2相電源線143、L3相電源線147、アース線145を介して接続されている。又、上記三相電源用インレット137とスレーブ充電器129は、L1相電源線141、L3相電源線147、アース線145を介して接続されている。
【0006】
又、上記単相電源用インレット139から繰り出されているL1相電源線148、L2相電源線149、アース線151は、それぞれ上記L1相電源線141、L2相143、アース線145に分岐・接続されている。
尚、図中符号153はバッテリである。
【0007】
上記構成において、三相電源103投入時、すなわち、三相電源用インレット137を三相電源充電用プラグ107に差し込んだ場合には、三台の充電器、すなわち、マスター充電器125、スレーブ充電器127、129を動作させるとともに、単相電源105投入時には、一台の充電器、すなわち、マスター充電器125のみを動作させるものである。
【0008】
上記構成において、図6に示すように、単相電源105投入時、すなわち、単相電源用インレット139を三相電源充電用プラグ117に差し込んだ場合には、マスター充電器125のみに充電を施そうとすると、二台のスレーブ充電器127、129に対して、ポイントa〜ポイントdの間で電圧が印加されてしまうことになる。すなわち、スレーブ充電器127、129の電源回路133、133の回路インピーダンスによって、ポイントa〜スレーブ充電器127の電源回路133の回路インピーダンス〜ポイントb〜ポイントc〜スレーブ充電器129の電源回路133の回路インピーダンス〜ポイントdの経路で電圧が印加されてしまう。例えば、200V印加した場合には、それぞれのスレーブ充電器127、129に、約半分の100Vの電圧が印加されることになる。
【0009】
上記スレーブ充電器127、129は、100Vの入力で動作するように設計されているので、スレーブ充電器127、129は、本来動作する必要がないのに、不必要に動作してしまうことになる。又、上記スレーブ充電器127、129が不必要に動作してしまった場合には、その動作状態により、スレーブ充電器127、129の電源回路133、133の回路インピーダンスが変化してしまう。回路インピーダンスが変化した場合には、約100Vの電圧が印加されていた入力電圧が、上記インピーダンス変化により上下してしまい、それが原因して、不安定な動作状態となり、上記スレーブ充電器127、129が破損してしまう恐れがあった。
【0010】
従来、この種の問題を解決するために、図7に示すように、上記スレーブ充電器127、129の電源供給ルートに、AC200Vで駆動するリレー151を挿入・配置することが考えられている。この場合には、三相電源103を投入するか或いは単相電源105を投入するかによって、上記リレー151の接点を切り替え、それによって、単相電源105の投入時に、上記スレーブ充電器127、129が不用意に動作しないようにしている。
【0011】
又、それとは別に、図8に示すような構成も考えられている。この場合には別途、単相電源105用のスレーブ電源161を設置し、単相電源105を投入した場合には、この単相電源用のスレーブ充電器161を動作させるようにしているものである。
【0012】
尚、この種の電源装置の構成を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平07−046713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、リレー161を使用する図7に示す構成の場合であるが、そもそも車載可能であって交流で駆動するリレーはその種類が少なく高価であるという問題があった。又、信頼性の点でも問題があった。具体的には、振動による劣化、接点不良による通電不良や異常発熱、コイルの劣化による動作不良等の問題である。又、図7にも示すように、電源ライン153を増やす必要があり、それによる重量の増加、コストの増大が懸念されるものである。
又、単相電源105専用のスレーブ充電器161を設ける図8に示す構成の場合には、当然のことながら、構成の複雑化、装置の大型化等を誘発し、コストも上昇してしまうという問題があった。
【0015】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、構成の複雑化、装置の大型化、信頼性の低下を来すことなく、単相電源により一台の充電器の実に充電する場合に、他の充電器は起動する必要のない場合には動作しない充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による充電装置は、CPU及び電源回路及び充電回路を備えたマスター充電器と、CPU及び電源回路及び充電回路を備えた複数台のスレーブ充電器と、を具備し、三相電源を投入した場合には上記マスター充電器とスレーブ充電器の両方を動作させ、単相電源を投入した場合には上記マスター充電器のみを動作させるように構成された充電装置において、上記スレーブ充電器の起動電圧条件を上記マスター充電器の起動電圧条件よりも高く設定したことを特徴とするものである。
又、請求項2による充電装置は、CPU及び電源回路及び充電回路を備えたマスター充電器と、CPU及び電源回路及び充電回路を備えた複数台のスレーブ充電器と、を具備し、三相電源を投入した場合には上記マスター充電器とスレーブ充電器の両方を動作させ、単相電源を投入した場合には上記マスター充電器のみを動作させるように構成された充電装置において、上記マスター充電器に入力されている電源が三相電源か或いは単相電源かを判別し、三相電源からの入力であると判別された場合にのみ上記スレーブ充電器を動作させるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように本発明の請求項1による充電装置によると、CPU及び電源回路及び充電回路を備えたマスター充電器と、CPU及び電源回路及び充電回路を備えた複数台のスレーブ充電器と、を具備し、三相電源を投入した場合には上記マスター充電器とスレーブ充電器の両方を動作させ、単相電源を投入した場合には上記マスター充電器のみを動作させるように構成された充電装置において、上記スレーブ充電器の起動電圧条件を上記マスター充電器の起動電圧条件よりも高く設定した構成になっているので、単相電源投入時におけるスレーブ充電器の不必要な動作を確実に防止することができる。
又、請求項2による充電装置によると、CPU及び電源回路及び充電回路を備えたマスター充電器と、CPU及び電源回路及び充電回路を備えた複数台のスレーブ充電器と、を具備し、三相電源を投入した場合には上記マスター充電器とスレーブ充電器の両方を動作させ、単相電源を投入した場合には上記マスター充電器のみを動作させるように構成された充電装置において、上記マスター充電器に入力されている電源が三相電源か或いは単相電源かを判別し、三相電源からの入力であると判別された場合にのみ上記スレーブ充電器を動作させるようにした構成になっているので、単相電源投入時におけるスレーブ充電器の不必要な動作を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、充電装置及び電源設備の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、充電装置の電源回路の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す図で、充電装置及び電源設備の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す図で、電源回路の構成を示す回路図である。
【図5】従来例を示す図で、充電装置及び電源設備の構成を示すブロック図である。
【図6】従来例を示す図で、充電装置及び電源設備の構成を示すブロック図である。
【図7】従来例を示す図で、充電装置及び電源設備の構成を示すブロック図である。
【図8】従来例を示す図で、充電装置及び電源設備の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1及び図2を参照して本願発明の第1の実施の形態を説明する。本実施の形態による充電装置と電源設備は、図1に示すような構成になっている。まず、電源設備1があり、この電源設備1は、三相電源3と、単相電源5とから構成されている。上記三相電源3には、三相電源充電用プラグ7が、R相電源線9、S相電源線11、T相電源線13、アース線15を介して接続されている。
【0020】
又、上記単相電源5には、単相電源充電用プラグ17が、L相電源線19、N相電源線21、アース線23を介して接続されている。
【0021】
一方、ハイブリッド車や電気自動車に搭載されている充電装置側の構成であるが、三台の充電器、すなわち、マスター充電器25、スレーブ充電器27、29が設置されている。上記マスター充電器25には、CPU31、電源回路33、充電回路35が設置されている。又、上記スレーブ充電器27、29にも、同様に、CPU31、電源回路33、充電回路35がそれぞれ設置されている。
【0022】
上記マスター充電器25、スレーブ充電器27、29側には、三相電源用インレット37、単相電源用インレット39が設置されている。上記三相電源用インレット37とマスター充電器25は、L1相電源線41、L2相電源線43、アース線45を介して接続されている。又、上記三相電源用インレット37とスレーブ充電器27は、L2相電源線43、L3相電源線47、アース線45を介して接続されている。又、上記三相電源用インレット37とスレーブ充電器29は、L1相電源線41、L3相電源線47、アース線45を介して接続されている。
【0023】
又、上記単相電源用インレット39から繰り出されているL1相電源線47、L2相電源線49、アース線51は、それぞれ上記L1相電源線41、L2相電源線43、アース線45に分岐・接続されている。
尚、図中符号53はバッテリである。
【0024】
上記構成において、三相電源3の投入時、すなわち、三相電源用インレット37を三相電源充電用プラグ7に差し込んだ場合には、三台の充電器、すなわち、マスター充電器25、スレーブ充電器27、29を動作させるとともに、単相電源5の投入時、すなわち、単相電源用インレット39を三相電源充電用プラグ17に差し込んだ場合には、一台の充電器、すなわち、マスター充電器25のみを動作させるものである。
【0025】
上記マスター充電器25、スレーブ充電器27、29の各電源回路33には、起動電圧設定端子61がそれぞれ設置されている。以下、この起動電圧設定端子61を含めた上記電源回路33の構成を、図2を参照して説明する。まず、交流電源入力端子63、65があり、これら交流電源端子63、65に、例えば、上記マスター充電器25の場合であれば、L1相電源線41、L2相電源線43を介して、交流電源が投入されるように構成されている。
【0026】
上記交流電源端子63、65間にはダイオードブリッジ67が設置されていて、又、平滑コンデンサ69、制限抵抗71、複数個(この実施の形態の場合には6個)のツェナーダイオード73、電源IC75、スイッチング素子77、トランス79、整流ダイオード81、平滑コンデンサ83、コンデンサ85がそれぞれ設置されている。
【0027】
上記構成において、上記交流電源端子63、65間に交流電源が投入されると、ダイオードブリッジ67により整流され、平滑コンデンサ69によってリップル電圧が吸収されて直流電圧が生成される。その直流電圧は、制限抵抗71、複数個(この実施の形態の場合には6個)のツェナーダイオード73を介して、電源IC75に供給される。そして、電源IC75が予め設定されている電圧・電流によって起動し、スイッチング素子77にPWM波形を出力する。それによって、スイッチング素子77が駆動される。
【0028】
その際、上記ツェナーダイオード73の順方向電圧の影響で、起動電圧設定端子61が閉じているときよりも開いている時の方が、電源IC75に供給される電圧は低くなり、且つ、電流も少なくなる。すなわち、起動電圧設定端子61が閉じている場合には、4個のツェナーダイオード73がバイパスされることになり、これに対して、起動電圧設定端子61が開いている場合には、合計6個の全てのツェナーダイオード73が機能することになる。その結果、起動電圧設定端子61が閉じているときよりも開いている時の方が、電源IC75に供給される電圧は低くなり、且つ、電流も少なくなるものである。
【0029】
そのため、起動電圧設定端子61が開いている場合には、上記電源IC75に同じ電圧を供給しようとすると、より高い電圧が必要となってしまう。つまり、上記交流電源端子63、65に投入される電圧が、起動電圧設定端子61が閉じているときよりも開いている時の方が高くならないと、上記電源IC75が起動しないことになる。本実施の形態の場合にはそれを利用して、単相電源5の投入時における上記スレーブ充電器27、29の不必要な動作を防止しようとするものである。
【0030】
以上の構成を基にその作用を説明する。
まず、上記マスター充電器25、スレーブ充電器27、29の各電源回路33の起動電圧設定端子61の状態であるが、図1に示すように、マスター充電器25の電源回路33の起動電圧設定端子61は閉じた状態にあり、これに対して、スレーブ充電器27、29の各電源回路33の起動電圧設定端子61は開放された状態にある。
【0031】
上記状態で、三相電源3が投入されると、上記マスター充電器25、スレーブ充電器27、29の電源回路33には、等しく、200Vの電圧が印加され、それによって、上記マスター充電器25、スレーブ充電器27、29の全てが動作することになる。上記スレーブ充電器27、29の各電源回路33の起動電圧設定端子61は開放された状態にあるので、高電圧(例えば、170V以上)が掛からないと起動しない状態にあるが、上記ように、この場合には、等しく200Vの電圧が印加されるので、上記スレーブ充電器27、29も同時に動作することになる。
【0032】
これに対して、単相電源5が投入された場合には、上記マスター充電器25は動作するものの、上記スレーブ充電器27、29が動作することはない。
例えば、単相電源5が単相100Vにて投入された場合には、上記マスター充電器25には100Vが印加され、上記スレーブ充電器27、29に対しては、それぞれ50Vが印加されることになる。その際、上記マスター充電器25の電源回路33の起動電圧設定端子61は閉じられているので、低電圧(例えば、AC80V以上)でも起動可能な状態にあり、よって、上記100Vによって上記マスター充電器25は起動することになる。
【0033】
これに対して、上記スレーブ充電器27、29の電源回路33の起動電圧設定端子61は開放されているので、高電圧(例えば、AC170V以上)でなければ起動することはできず、よって、上記50Vによって起動することない。
【0034】
次に、例えば、単相電源5が単相200Vにて投入された場合には、上記マスター充電器25には200Vが印加され、上記スレーブ充電器27、29に対しては、それぞれ100Vが印加されることになる。そして、上記マスター充電器25は上記200Vによって起動することになる。
【0035】
これに対して、上記スレーブ充電器27、29の電源回路33の起動電圧設定端子61は開放されているので、高電圧(例えば、AC170V以上)でなければ起動することはできず、よって、上記100Vによって起動することない。
【0036】
以上、本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、単相電源5が投入された時に、上記スレーブ充電器27、29が不必要に動作してしまうことを防止することができる。これは、上記スレーブ充電器27、29の電源回路33の起動電圧設定端子61が開放されていて、高電圧(例えば、170V以上)が印加されないと起動しないように構成されており、単相電源5が投入された時に、そのような高電圧(例えば、170V以上)が掛かることはないので、結局、上記スレーブ充電器27、29が不必要に動作してしまうことはないものである。
又、上記スレーブ充電器27、29の不必要に動作を防止するための構成として、新たに、起動電圧設定端子61を設けるだけであるので、簡単な構成で所望の効果を得ることができるものである。
【0037】
次に、図3及び図4を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。この場合には、前記第1の実施の形態の場合とは電源回路33の構成の一部が異なっているものである。すなわち、図3に示すように、マスター充電器25側に電圧検出回路91が設置されているとともに電源起動信号線93が設置されている。又、図4に示すように、スレーブ充電器27、29の電源回路33において、前記第1の実施の形態の場合における複数個(前記第1の実施の形態の場合には6個)のツェナーダイオード73の代わりに、フォトカプラ95が設置されているとともに、上記電源起動信号線93に接続される電源起動信号線97、99が設置されている。
その他の構成は前記第1の実施の形態の場合と同様であり、よって、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明は省略する。
【0038】
以上の構成を基にその作用を説明する。まず、上記マスター充電器25、スレーブ充電器27、29の各電源回路33の起動電圧設定端子61の状態であるが、図3に示すように、マスター充電器25の電源回路33の起動電圧設定端子61は閉じた状態にあり、これに対して、スレーブ充電器27、29の各電源回路33の起動電圧設定端子61は開放された状態にある。
【0039】
上記状態で、三相電源3が投入されると、上記マスター充電器25には200Vの電圧が印加され、それによって、上記マスター充電器25が動作することになる。一方、上記スレーブ充電器27、29の各電源回路33においては、起動電圧設定端子61が開放された状態にあるので、電源IC75が起動しない。
【0040】
この場合には、マスター充電器25の電源回路33のCPU31が、電圧検出回路91によって検出された電圧が、所定電圧(例えば、180V)であるか否かを判別する。この場合には、200Vの電圧が印加されているので、所定電圧(例えば、180V)より高いと判別し、電源起動信号線93を介して、電源起動信号を出力する。この電源起動信号によって、図4に示すフォトカプラ95のLEDが「ON」し、それによって、上記スレーブ充電器27、29の各電源回路33の電源IC75に電圧が供給される。その結果、上記スレーブ充電器27、29も動作することになる。
【0041】
これに対して、単相電源5が投入された場合には、上記マスター充電器25は動作するものの、上記スレーブ充電器27、29が動作することはない。
例えば、単相電源5が単相100Vにて投入された場合には、上記マスター充電器25には100Vが印加され、上記スレーブ充電器27、29に対しては、それぞれ50Vが印加されることになる。その際、上記マスター充電器25の電源回路33の起動電圧設定端子61は閉じられているので、低電圧(例えば、AC80V以上)でも起動可能な状態にあり、よって、上記100Vによって起動することになる。
【0042】
これに対して、上記スレーブ充電器27、29の電源回路33の起動電圧設定端子61は開放されているので、そのままでは電源回路33の電源IC75に電圧が供給されることはなく、よって、動作することはない。又、マスター充電器25の検出回路91には50Vの電圧が検出されることになり、これは、予め設定された所定電圧(例えば、180V)より低い電圧であるので、単相電源5の投入であると判断され、よって、電源投入信号線93を介して電源起動信号が出力されることもない。結局、上記スレーブ充電器27、29が動作することはない。
【0043】
又、例えば、単相電源5が単相200Vにて投入された場合には、上記マスター充電器25には200Vが印加され、上記スレーブ充電器27、29に対しては、それぞれ100Vが印加されることになる。そして、上記マスター充電器25は上記200Vによって起動することになる。
【0044】
これに対して、上記スレーブ充電器27、29の電源回路33の起動電圧設定端子61は開放されているので、そのままでは電源回路33の電源IC75に電圧が供給されることはなく、よって、動作することはない。又、マスター充電器25の検出回路91には100Vの電圧が検出されることになり、これは、予め設定された所定電圧(例えば、180V)より低い電圧であるので、単相電源5の投入であると判断され、よって、電源起動信号線93を介して電源起動信号が出力されることもない。結局、この場合にも、上記スレーブ充電器27、29が動作することはない。
【0045】
よって、単相電源5が投入された時に、上記スレーブ充電器27、29が不必要に動作してしまうことを防止することができる、等、前記第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができる。
【0046】
尚、本発明は前記第1、第2の実施の形態に限定されるものではない。
前記第1、第2の実施の形態では、スレーブ充電器を2台設置した場合を例に挙げて説明したが、三台以上であってもよい。
又、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車に搭載される充電装置に係り、特に、三相電源投入時にはマスター充電器とスレーブ充電器の両方を同時に動作させるとともに、単相電源投入時にはマスター充電器のみを動作させるものにおいて、単相電源投入時にスレーブ充電器が不必要に動作してしまうことを防止できるように工夫したものに関し、例えば、各種電動車両に充電する充電装置に好適である。
【符号の説明】
【0048】
1 電源設備
3 三相電源
5 単相電源
25 マスター充電器
27 スレーブ充電器
29 スレーブ充電器
31 CPU
33 電源回路
35 充電回路
61 起動電圧設定端子
91 検出回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPU及び電源回路及び充電回路を備えたマスター充電器と、CPU及び電源回路及び充電回路を備えた複数台のスレーブ充電器と、を具備し、三相電源を投入した場合には上記マスター充電器とスレーブ充電器の両方を動作させ、単相電源を投入した場合には上記マスター充電器のみを動作させるように構成された充電装置において、
上記スレーブ充電器の起動電圧条件を上記マスター充電器の起動電圧条件よりも高く設定したことを特徴とする充電装置。
【請求項2】
CPU及び電源回路及び充電回路を備えたマスター充電器と、CPU及び電源回路及び充電回路を備えた複数台のスレーブ充電器と、を具備し、三相電源を投入した場合には上記マスター充電器とスレーブ充電器の両方を動作させ、単相電源を投入した場合には上記マスター充電器のみを動作させるように構成された充電装置において、
上記マスター充電器に入力されている電源が三相電源か或いは単相電源かを判別し、三相電源からの入力であると判別された場合にのみ上記スレーブ充電器を動作させるようにしたことを特徴とする充電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−115006(P2012−115006A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260771(P2010−260771)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(391008537)ASTI株式会社 (73)
【Fターム(参考)】