先受材設置方法
【課題】高価な穿孔ビットを使用せずに、複数の先受材を効率的に切羽の前方の地山に設置できる方法を提供する。
【解決手段】トンネル空洞部の切羽におけるトンネル空洞部の内壁面との境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に先受材を挿入して設置する場合に、境界部におけるトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて複数の先受材を並べて設置する先受材設置方法において、先受材としての管(外管2)と、当該管の先端部に設けられた刃と切羽とを接触させて上記管を地山に押し込む押込装置6とを備えた先受材設置装置1を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置した。
【解決手段】トンネル空洞部の切羽におけるトンネル空洞部の内壁面との境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に先受材を挿入して設置する場合に、境界部におけるトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて複数の先受材を並べて設置する先受材設置方法において、先受材としての管(外管2)と、当該管の先端部に設けられた刃と切羽とを接触させて上記管を地山に押し込む押込装置6とを備えた先受材設置装置1を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削において、穿孔ビットを使用せずに、切羽の前方の地山に複数の先受材を効率的に設置可能な先受材設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル掘削において、管の内面と外面とに貫通する貫通孔を備えた先受材としての有孔管を切羽前方の地山に設置した後に有孔管の内側及び貫通孔を通して有孔管の周囲の地山に地盤改良剤を注入することによって地山の先行沈下や緩みを防止する先受工法が知られている。
有孔管の設置は、削孔装置を用いて行う。削孔装置は、削孔ロッドと、削孔ロッドの先端に設けられた削孔ビットと、削孔ロッドに回転と打撃を与える削岩機とを備える。削孔ロッドが有孔管の内側に通され、削岩機が削孔ロッドに回転と打撃を与えることで削孔ビットが地山を掘削する。この場合、有孔管の先端と削孔ビットの後端部とを連結して削孔ビットで地山を削孔するとともに有孔管を牽引することにより有孔管を地山中に設置した後に削孔ロッドを回収する方法と、削孔ビットにより地山を掘削するとともに有孔管の後端を押圧して有孔管を地山中に設置した後に削孔ロッド及び削孔ビットを回収する方法とが知られている。
【特許文献1】特開2003−155888号公報
【特許文献2】特開2004−339837号公報
【特許文献3】特開2004−19359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術における有孔管の設置作業に必要な削孔ビットは高価であり、施工コストが高くなるといった問題点があった。また、有孔管を地山中に設置するための削孔を1つずつ形成していたので、作業効率も悪いという問題点があった。
本発明は、高価な穿孔ビットを使用せずに、複数の先受材を効率的に切羽の前方の地山に設置できる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る先受材設置方法は、トンネル空洞部の切羽におけるトンネル空洞部の内壁面との境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に先受材を挿入して設置する場合に、境界部におけるトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて複数の先受材を並べて設置する先受材設置方法において、内面と外面とに貫通する複数の貫通孔を備えた先受材としての管と、当該管の先端部に設けられた刃と切羽とを接触させて上記管を地山に押し込む押込装置とを備えた先受材設置装置を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置したことを特徴とする。
本発明に係る先受材設置方法は、トンネル空洞部の切羽におけるトンネル空洞部の内壁面との境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に先受材を挿入して設置する場合に、境界部におけるトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて複数の先受材を並べて設置する先受材設置方法において、内面と外面とに貫通する複数の貫通孔を備えた先受材としての管と、当該管の内側に設けられた内管と、上記管の先端部に設けられた刃と切羽とを接触させて内管と上記管とを一緒に地山に押し込む押込装置と、上記管の後端側から内管と上記管との間を経由させて上記管の先端部の内側に水を噴射させる噴射装置と、地山から上記管の先端部の内側に取り込まれた土砂と先端部の内側に噴射された水とが混じり合った泥水を内管の内部空間経由で吸引して内管の外に排出する排出装置とを備えた先受材設置装置を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置したことを特徴とする。
複数の先受材の設置作業を同時に行ったことも特徴とする。
複数の先受材を挿入して設置する作業を行う複数先受材設置装置を用い、複数先受材設置装置は、先受材毎に当該先受材を挿入して設置する作業を行う先受材設置装置と、当該複数の先受材設置装置をまとめてトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に移動させて所定の位置に位置決めする周方向位置決め機構とを備え、周方向位置決め機構により当該複数の先受材設置装置を第1の位置に位置決めして複数の先受材設置装置で複数の先受材を挿入して設置する作業を行った後に、周方向位置決め機構により当該複数の先受材設置装置を第1の位置よりもトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に移動させた第2の位置に位置決めして複数の先受材設置装置で複数の先受材を挿入して設置する作業を行ったことも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る先受材設置方法によれば、先受材としての管と、当該管の先端部に設けられた刃と切羽とを接触させて上記管を地山に押し込む押込装置とを備えた先受材設置装置を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置したので、高価な穿孔ビットを使用せずに、先受材設置作業のコストを削減でき、しかも、複数の先受材を切羽の前方の地山に効率的に設置でき、作業効率が向上する。
本発明に係る先受材設置方法によれば、管と内管と押込装置と噴射装置と排出装置とを備えた先受材設置装置を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置したので、高価な穿孔ビットを使用せずに、先受材設置作業のコストを削減でき、しかも、複数の先受材を切羽の前方の地山に効率的に設置でき、作業効率が向上する。
複数の先受材の設置作業を同時に行ったので、複数の先受材を設置する作業の効率が向上する。
複数の先受材設置装置を第1の位置と第2の位置とに位置決めする周方向位置決め機構を備えた複数先受材設置装置を用いたので、境界部への上記管の設置本数の半分の数の先受材設置装置を用いればよく、境界部への上記管の設置本数に合わせた数の先受材設置装置を用いる場合に比べて、装置コストを低減できて、しかも、先受材設置装置の数の2倍の数の上記管を地山に容易に設置できるので、作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
最良の形態1.
図1乃至図9は最良の形態1を示し、図1は先受材設置装置を分解斜視図で示し、図2(a)は先受材設置装置を断面図で示し、図2(b)は図2(a)のA−A断面を示し、図3(a)は架台を示し、図3(b)は複数先受材設置装置を示し、図4(a)は押込装置及び周方向位置決め機構を示し、図4(b)は押込装置の背面側から押込装置及び周方向位置決め機構を見て示し、図5(a)は角度設定前の複数先受材設置装置を横から見て示し、図5(b)は先受材の先端部を挿入孔に位置決めした状態を示し、図6(a)は二重管体の先端部を挿入孔に位置決めした状態を拡大して示し、図6(b)は管を地山へ押し込むとともに、排出作業を行っている状態を示し、図7(a);(b)は周方向位置決め機構による周方向位置決め動作を示し、図8は管の差し角を示し、図9はトンネル空洞部の内壁面と切羽との境界部より地山に設置された管を坑口側から見て示す。
【0007】
図3(b)に示すように、トンネル空洞部116の切羽115におけるトンネル空洞部の内壁面117との境界部118から切羽115よりも前方の地山10に向けて内壁面117と交差する方向に複数の長尺な先受材を挿入して設置する複数先受材設置装置150は、境界部118におけるトンネル空洞部116の内壁面117の周方向に沿った方向に間隔を隔てて設けられる複数の先受材を挿入して設置する作業を行うための複数の先受材設置装置1と、複数の先受材設置装置1を連結する連結部材152と、周方向位置決め機構153とを備える。
【0008】
まず、図1乃至図3を参照し、先受材設置1の構成を説明する。図1に示すように、先受材設置装置1は、管としての外管2と、内管3と、噴射装置4と、排出装置5と、押込装置6とを備える。外管2は先受材として機能する。
【0009】
外管2は、例えば6m〜15m程度の長さの長尺な断面円形の鋼管7(以下、外側長尺管という)と、外側長尺管7の先端に設けられた外管2の先端部としての先導ガイド部材8とを備える。外側長尺管7は、管の内面と外面とに貫通する複数の貫通孔9を備える。この貫通孔9は地山10中に設置された外管2の周囲の地盤に地盤改良液を供給する際の孔として使用される。尚、図示しないが、貫通孔9には、外管2の内部から外管2の周囲の地山に地盤改良液を供給する際にのみ地盤改良液の圧力によって開く周知の逆止弁が設けられる。
【0010】
先導ガイド部材8は、断面円形の鋼製の筒状体により形成され、筒の先端に刃11を備え、筒の後端部に取付部12を備える。先導ガイド部材8は、刃先14となる筒の先端の外周縁から筒の後端の方向に傾斜する筒の傾斜内面13を備え、刃先14が、筒の傾斜内面13の先端となる環線状の先鋭縁(筒の先端の外周縁)により形成される。即ち、先導ガイド部材8の先端の刃11が、筒の一端に設けられた環線状の先鋭縁により形成される。
【0011】
以上の構成によれば、外管2の先端部が筒状の先導ガイド部材8により形成され、先導ガイド部材8の先端が筒の一端に設けられた環線状の先鋭縁による先鋭な刃11に形成され、かつ、先導ガイド部材8の筒の外面が径の等しい円周面により形成されたので、外管2が挿入方向に沿って地山10を進行する際に、外管2の刃11が地山10に突き刺さった後に、外管2が挿入方向に沿って地山10中を進行する際の抵抗が少なくなり、外管2を地山10にスムーズに挿入できる。つまり、先導ガイド部材8の先端の刃11が、筒の一端に設けられた環線状の先鋭縁により形成されたことにより、外管2が挿入方向に沿って地山10を進行する際に土砂に衝突して抵抗となる挿入方向と直交する面が少なくなるので、外管2が挿入方向に沿って地山10を進行する際の抵抗が少なくなり、外管2を地山にスムーズに挿入できる。
【0012】
図2(a);(b)に示すように、先導ガイド部材8の筒の外径15は、外側長尺管7の外径16よりも大きく形成される。先導ガイド部材8の取付部12は、外側長尺管7の先端部を嵌め込むための嵌合用孔17を備える。嵌合用孔17は、先導ガイド部材8を形成する筒の後端面20より筒の先端の方向に延長するように設けられた断面円形の孔により形成される。嵌合用孔17の径18は、先導ガイド部材8の筒の外径15よりも小さくて先導ガイド部材8の筒の内径19よりも大きい。外側長尺管7の先端部の管の外面と嵌合用孔17の孔の内壁面とが接触するように外側長尺管7の先端部が嵌合用孔17内に嵌め込まれ、かつ、外側長尺管7の先端部と先導ガイド部材8の取付部12とが溶接などで互いに連結される。これにより、外側長尺管7と先導ガイド部材8とが同軸に設けられて外管2が形成される。
【0013】
以上の構成によれば、外側長尺管7の先端部が嵌合用孔17に嵌め込まれて外側長尺管7と先導ガイド部材8とが連結された状態において、先導ガイド部材8の外面と外側長尺管7の外面との境界部21で外側長尺管7の管の外面が先導ガイド部材8の筒の外面より外方に突出しないので、外管2が挿入方向に沿って地山10を進行する際に、上記境界部21において地山10に衝突する挿入方向と直交する面がなくなり、外管2が挿入方向に沿って地山10を進行する際の抵抗が少なくなるので、外管2を地山10にスムーズに挿入できる。
【0014】
内管3は、断面円形の長尺な鋼管25(以下、内側長尺管という)と、内側長尺管25の先端部の外周面に取り付けられた鋼製の外管押圧部材26とを備える。外管押圧部材26は、取付用孔27と、噴射ノズル28とを備える。即ち、外管押圧部材26は、円形板の中央において円形板の先端面35と後端面49とに貫通する断面円形の貫通孔により形成された取付用孔27を備え、かつ、取付用孔27と円形板の周縁部との間にも円形板の先端面35と後端面49とに貫通する断面円形の貫通孔により形成された噴射ノズル28を備えた中央孔付き円形板により形成される。外管押圧部材26を形成する円形板の外径29は、外管2の外側長尺管7の内径23よりも小さく、かつ、先導ガイド部材8の嵌合用孔17の孔底面30に繋がる筒孔開口部の径(即ち、先導ガイド部材8の筒の内径19)よりも大きい。外管押圧部材26の取付用孔27の径29は、内側長尺管25の先端部の外面が取付用孔27の内側に挿入可能な寸法に形成される。そして、外管押圧部材26の取付用孔27の内面と内管3の内側長尺管25の先端部の外面とを接触させるか、あるいは、外管押圧部材26の取付用孔27の内面と内管3の内側長尺管25の先端部の外面との間を泥水が通過しないようにした状態において、外管押圧部材26と内側長尺管25の先端部とが溶接などで結合される。外管押圧部材26の先端面35と内側長尺管25の先端面36とが同一面上に位置されるように結合される。
【0015】
以上の構成によれば、内管3が内管3の先端側から外管2の後端開口37を経由して外管2の内側に挿入されて設置された場合、外管押圧部材26の先端面35の外周側の面により環状の押圧面40が形成され、この押圧面40と先導ガイド部材8の嵌合用孔17の孔底面30とが互いに接触することによって、外管押圧部材26が後述の押込装置6により押圧されて外管2を挿入方向に押圧するとともに、押圧面40が外管2の先端側の管の内面と内側長尺管25の先端側の管の外面との間の間隙を塞いで泥水が当該間隙を経由して外管2の管の内面と内管3の管の外面との間(以下、内外管間41という)に浸入することを防ぐ。すなわち、外管2の先端部としての先導ガイド部材8の内側には、内管3の先端に設けられた押圧部としての押圧面40により押圧される被押圧部としての孔底面30を備え、押圧面40と孔底面30とが接触するように外管2の内側に内管3を設置し、外管の後端よりも後方に位置させた内管3の後端を押圧することにより内管3と外管2とを一緒に地山10に押し込む押込作業を行う。
【0016】
つまり、外管2を地山10への挿入方向に押圧可能なように外管2の内側に内管3を設置するとともに、先導ガイド部材8の内側から泥水が内外管間41を経由せずに内管3の内部空間42経由で確実に排出されるように構成した。また、内外管間41に泥水を経由させないことにより、内外管間41に設置される後述の水供給ホース51が泥水によって損傷を受けるようなことを防止できる。
【0017】
噴射装置4は、加圧した水を外管2の後端開口37から内外管間41を経由させて外管2の先導ガイド部材8の内側に噴射する装置であって、上記噴射ノズル28と、水供給装置46とを備える。水供給装置46は、貯水タンク47と、加圧ポンプ48と、噴射ノズル28と加圧ポンプ48とを繋ぐ水供給ホース51と、ホースガイド52と、加圧ポンプ48と貯水タンク47とを繋ぐ水供給管39とを備える。
【0018】
外管押圧部材26に形成された噴射ノズル28は、内管3の先端部における外面と外側長尺管7の先端部における内面との間に設けられて、外管2の後端開口37から内外管間41を経由して供給される加圧された水(例えば200Kg/cm2〜400Kg/cm2程度の高圧水)を内管3の外面の先端側から先導ガイド部材8の筒の内面53に沿って噴射させる。噴射ノズル28は、一定の断面径に形成された貫通孔により形成してもよいし、外管押圧部材26を形成する円形板の後端面49から先端面35に向けて断面径が漸減するような貫通孔により形成してもよい。噴射ノズル28が、断面径の漸減するような貫通孔により形成された場合には、噴射ノズル28の出口より噴射される水の流速をより速くでき、しかも、水圧をより高くできて好ましい。
【0019】
以上の構成によれば、噴射ノズル28が、外管押圧部材26の先端面35より前方の先導ガイド部材8の内側に先導ガイド部材8の筒の内面53に沿って水を噴射可能なように設けられたので、押込装置6により刃先14が地山10に押し込められることで地山10より崩れて先導ガイド部材8の内側に移動して取り込まれた土砂に確実に水を噴射できて、先導ガイド部材8の内側の土砂を土砂と水とが混じり合った泥水とすることができるので、排土をスムーズにできる。即ち、後述する排出装置5によって排出作業をスムーズに行える。
【0020】
ホースガイド52は、例えば、内管3を形成する長尺な鋼管25が複数の鋼管25aを継ぎ足して形成される場合には、継がれる一対の鋼管25aの端部のそれぞれに形成される。ホースガイド52は、継がれる鋼管25aの端部周面において互いに90°づつ隔てた位置にそれぞれ形成された4つの突起52aにより形成される。一対の鋼管25a;25aの端部に設けられたホースガイド52の4つの突起52aの一端面同士が互いに対応するように突き合わされた状態で、当該突き合わされた突起52a同士が、これら突起52aに形成された図外のボルト貫通孔とこれらボルト貫通孔に貫通するボルト52bとこのボルト52bと締結される図外のナットとによるボルトナット結合により結合されることによって一対の鋼管25aが継がれる。つまり、ホースガイド52は、内管3の周面において十字状に突出した4つの突起52aを備えた構成である。よって、内管3の周面方向に沿って互いに隣り合う突起52aと突起52aとの間に水供給ホース51を通すことにより、水供給ホース51を外管2と内管3との間に安定に設置できる。また、ホースガイド52は、断面十字状であるため、外管2を地山10に設置した後に、外管2内から内管3を引き抜く場合に、外管2との干渉を少なくでき、引き抜き作業を容易とできる。
【0021】
水供給ホース51の先端に固定された取付具60の先端側の外周面に形成された図外のねじ部と外管押圧部材26に形成された噴射ノズル28の後端側の内周面に形成された図外のねじ部とがねじ結合されることによって、噴射ノズル28の後端部に水供給ホース51の先端部が結合される。水供給ホース51の後端と加圧ポンプ48の吐出口とが連結され、加圧ポンプ48の吸込口と貯水タンク47の水出口とが水供給管39で繋がれる。
【0022】
噴射ノズル28と水供給ホース51とにより構成される噴射構造セットは、内管3の外面の周方向において図2(b)に示すように例えば90°隔てて4セット設けられる。尚、噴射構造セットは、1セット以上設ければよい。例えば、内管3の外面の周方向において180°隔てて2セット設けるようにしたり、内管3の外面の周方向において例えば120°隔てて3セット設けるようにしたり、あるいは4セット以上設けてもよい。
【0023】
以上の構成によれば、貯水タンク47からの水が加圧ポンプ48によって加圧された後に水供給ホース51及び噴射ノズル28を介して先導ガイド部材8の内側に噴射される。
【0024】
排出装置5は、先導ガイド部材8の筒の内側から泥水を内管3の内部空間42経由で吸引する装置であって、排出路64と、吸引ポンプ65と、貯留タンク63と、排出路64の終端に位置する排出口67と吸引ポンプ65とを繋ぐ吸引管68と、吸引ポンプ65と貯留タンク63とを繋ぐ連結管69とを備える。排出路64は、先導ガイド部材8の筒の内部空間59及び内管の内部空間42により形成される。排出口67は、内管3の内側長尺管25の後端部に設けられる。排出口67は、図1に示すように、内管3の管の内面と外面とに貫通する吸引管接続部により形成されたり、又は、図2に示すように、内管3の後端開口に接続される吸引接続部材200の管側接続口202により形成される。排出口67と吸引ポンプ65の吸込口とが吸引管68で連結される。吸引ポンプ65の吐出口と貯留タンク63の取込口とが連結管69により連結される。上記吸引接続部材200は、後端部が閉塞され、内管3の後端開口に接続される管側接続口202と吸引管接続口201とがL字流路により連通された接続管により形成される。内管3の後端開口端面と吸引接続部材200の管側接続口端面との間に当該間を密接に塞ぐパッキン203を介在させて内管3の後端部の外周面とパッキン203の外周面と吸引接続部材200の管側接続部の外周面とを覆う連結具204により内管3と吸引接続部材200とが接続される。図示しないが、連結具204は筒体を半割りした2つの半割部材により形成され、この半割部材の両端部にはボルト貫通孔の形成された接合フランジが設けられ、2つの半割部材で内管3及び吸引接続部材200の外周面を挟みつけるようにした場合に互いに付き合わされる接合フランジをボルト及びナットで締結することで、内管3と吸引接続部材200とが接続される。
【0025】
以上の構成によれば、吸引ポンプ65による吸引力によって、泥水が、先導ガイド部材8の筒の内側から排出路64、排出口67、吸引管68を経由して吸引ポンプ65内に吸引され、貯留タンク63に送られる。
【0026】
噴射ノズル28、ホースガイド52、水供給ホース51を装備した内管3が外管2の内側に設置されて二重管体70が形成される。二重管体70は、内管3の外管押圧部材26の先端面と先導ガイド部材8の嵌合用孔17の孔底面30とが接触した状態において、内管3の後端部が外管2の後端よりも後方に位置するように形成される。排出口67は、外管2の後端よりも後方に位置する内管3の後端部に設けられる。そして、外管2の後端よりも後方に位置させた内管3の後端や内管3の後端開口に接続した吸引接続部材の後端を押込装置6によって押圧することにより内管3と外管2とを一緒に地山10に押し込む後述の押込作業を行う。内管3の後端開口に接続した吸引接続部材200の後端を押込装置6によって押圧すれば、押込装置6によって内管3を直接押し込む場合に比べて内管3の後端の潰れを防止できる。
【0027】
尚、外管押圧部材26の先端面と先導ガイド部材8の嵌合用孔17の孔底面30とが接触した状態において、内管3の後端部が外管2の後端よりも前方の外管2の内側に位置する場合、内外管間41に吸引管68を入り込ませたり、排出口67と吸引管68とを連結するために外管2に開口を設ける必要があり、また、外管2の内側に位置する内管3の後端面71を後述する押込装置6の押圧面99で押圧するため、押圧面99と水供給ホース51や吸引管68とが互いに干渉しあって噴射や排出に支障が出る可能性もある。一方、外管押圧部材26の先端面と先導ガイド部材8の嵌合用孔17の孔底面30とが接触した状態において、内管3の後端部が外管2の後端よりも後方に位置するように形成し、外管2の後端よりも後方に位置させた内管3の後端を押圧することにより内管3と外管2とを一緒に地山10に押し込む押込作業を行う構成とした場合、内外管間41に吸引管68を入り込ませたり、排出口67と吸引管68とを連結するために外管2に開口を設ける必要がなくなり、また、押圧面99と水供給ホース51や吸引管68との干渉を無くすことが可能となり、スムーズな押込、噴射、排土を行える。
【0028】
押込装置6は、外管2を地山10に押し込む装置であって、角度設定装置80と、押圧装置90とを備える。角度設定装置80は、ステッピングモータ82と、ラック83と、ステッピングモータ82を制御する制御装置81(図4参照)とを備える。ラック83は外管2の地山10への挿入方向に延長するように設けられる。ラック83の延長方向における後端部には軸連結部84を備える。軸連結部84には軸連結孔85が設けられる。軸連結孔85(図16参照)は、孔の中心線がラック83の上面(歯面)86と平行でかつラック83の延長方向と直交する。回転軸87(モータ軸あるいはモータ軸と連結された軸)が軸連結孔85に通され、この回転軸87の軸心を回転中心として回転軸87とラック83とが一緒に回転可能となるように、軸連結孔85と回転軸87とがキー89により結合される。ラック83上には外管2及び内管3を備えた二重管体70が載置される。
【0029】
押圧装置90は、図4;図12に示すように、上記ラック83と、上記ラック83の歯33に噛み合ってラック83の延長方向に往復移動可能に設けられたピニオン91と、ピニオン91を回転駆動するモータ92と、モータ92を制御する制御装置93と、ピニオン91の往復移動に伴ってラック83の延長方向に往復移動可能に設けられた押圧体94とを備える。ピニオン91の中心に形成された軸連結孔95と回転軸96(モータ軸あるいはモータ軸と連結された軸)とがキー34により結合される。モータ92のケーシング97がモータ取付板98に取り付けられる。モータ取付板98と押圧体94とが連結結合される。押圧体94は、押圧面99と、保持体100とを備える。押圧面99は、ラック83上に載置された二重管体70の内管3の後端面71と接触して当該後端面71を押圧する。保持体100は、押圧面99より突出してラック83上に載置された二重管体70の内管3の後端開口31から内管3の内面に嵌合状態に接触する外面を備えた円筒体(あるいは円柱体)により形成される。押圧面99は、ラック83の延長方向と直交する面により形成され、保持体100は円筒体の中心軸が押圧面99と直交するように設けられる。保持体100を備えるので、内管3の中心軸と保持体100の中心軸とが一致する状態に保持されて押圧面99で内管3の後端面71全体を押圧する構成となるため、押圧面99と後端面71とが位置ずれすることなく、押圧力を後端面71に確実に伝達できる。
【0030】
尚、図4;図16に示すように、ステッピングモータ82のケーシング105、回転軸87を回転可能に支持する軸受106、ステッピングモータ82の制御装置81、モータ92の制御装置93は、基台110に固定される。ラック83は、回転軸87の軸心を回転中心として回転可能となるように、下面111を基台面112より浮かして設けられる。そして、基台110の先端側にはラック83の先端側の下面111を支持する支持面113を備える。支持面113は、二重管体70を載置するラック83の上面86が水平面に位置されるように、あるいは、ラック83の先端側の上面がラック83の後端側の上面よりも上方に位置されるように、ラック83の先端側の下面を支持する。基台110は、ラック83が外管2の地山10への挿入方向に延長するように後述する架台154の上面160に設置される。
【0031】
以上の構成によれば、二重管体70をラック83上に載置して二重管体70の内管3の後端部を保持体100で保持して、かつ、押圧面99と内管3の後端面71とを接触させた状態として、ステッピングモータ82を駆動することによって、二重管体70の地山10への挿入角度を調整でき、かつ、モータ92を駆動することによって、二重管体70を前方へと移動させることができる。つまり、ステッピングモータを用いた角度設定装置80により、外管2を地山10への挿入角度に保持する角度保持作業を行うことができ、挿入角度の微調整が可能となるため、作業性が向上する。また、モータ92とラック83とピニオン91とによる簡単な構成の押圧装置90によって、外管2を容易に地山10に設置することが可能となる。
【0032】
図3(b)に示すように、周方向位置決め機構153は、架台154と、周方向移動ガイドレール155と、周方向移動機構156とを備える。
【0033】
図3(a);図8に示すように、架台154は、装置載置部162と、支持部157と、掘削方向移動機構158とを備える。装置載置部162は、円筒を半割りにしたような略半筒形に形成され、半筒の軸に沿った方向と掘削方向とが同じになるように、かつ、外周面を上に向けて設置される。つまり、半筒の外周面により上面160(図10参照)が形成され、半筒の内周面により下面161が形成される。支持部157は、装置載置部162の下面161と連結されて装置載置部162を支持する鉄骨フレーム構造により形成される。掘削方向移動機構158は、坑口186(図5参照)側から切羽115側に延長するようにトンネル空洞部116の底面187に設置されたレール165と、支持部157の下端に設けられてレール165上を走行する車輪166とにより形成される。
【0034】
図3(b);図5;図7に示すように、複数の先受材設置装置1は、装置載置部162の上面160と平行な面上において装置載置部162の上面160の周方向に沿って所定間隔を隔てて配置され、これら複数の先受材設置装置1の基台110の下面163が、装置載置部162の上面160の周方向に沿って平行に延長するように形成された連結部材152によって連結されたことによって、装置連結体167が形成される。
【0035】
図3(a);図4(a)に示すように、周方向移動ガイドレール155は、装置載置部162の上面160の周方向に沿って延長するように装置載置部162の上面160に取り付けられる。周方向移動ガイドレール155は、断面凹形状に形成され、凹部155a内を滑走するように位置される後述の車輪159の脱輪を防止するための脱輪規制部155bを備える。
【0036】
図3(b);図4に示すように、周方向移動機構156は、各先受材設置装置1の基台110の下面163に取り付けられて周方向移動ガイドレール155内を走行可能な車輪159と、歯車駆動機構168とを備える。歯車駆動機構168は、装置載置部162の上面160の周方向に沿って延長するように連結部材152の下面169に取り付けられた内歯車170と、この内歯車170と噛み合う駆動歯車171と、駆動歯車171を駆動するステッピングモータ172と、ステッピングモータ172を制御する周方向移動制御装置173とを備える。
【0037】
次に、設置方法を説明する。複数の基台110が連結部材152によって連結されて装置載置部162の上面160の周方向に沿って所定間隔を隔てて配置され、各基台110に対して角度設定装置80により角度設定される複数のラック83の上面86に二重管体70が設置され、内管3に噴射装置4及び土砂搬出装置5を繋げることによって、複数先受材設置装置が構築される。また、図3(a)に示すように、切羽115に外管2の先端部180を挿入するための目印となる挿入穴119を形成する。つまり、押込作業を行う前に、切羽115にコンクリートを吹き付けて切羽115に図外の吹き付けコンクリート層を形成し、この吹き付けコンクリート層に複数先受材設置装置150の各外管2の先端部180を挿入するための目印となる複数の挿入穴119を形成しておく。このように、切羽115に外管2の先端部180を挿入するための挿入穴119を形成しておくことによって、外管2の先端部180の位置決め作業を容易にできる。図9に示すように、挿入穴119は、トンネル空洞部116の切羽115におけるトンネル空洞部116の内壁面117との境界部118において、内壁面117の周方向に沿って所定の間隔(例えば45cm〜50cm)を隔てて先受材設置装置1の数の2倍の数だけ形成される。この切羽115と内壁面117との境界部118において形成された複数の挿入穴119の中心を繋いだ円弧174の中心175と境界部118における周方向右端に形成された挿入穴119の中心とを結ぶ右端線と、複数の挿入穴119の中心を繋いだ円弧174の中心175と境界部118における周方向左端に形成された挿入穴119の中心とを結ぶ左端線とのなす角度αは120°程度に形成される。この場合、円弧174の中心175と挿入穴119の中心とを繋ぐ直線であって、互いに隣り合う直線と直線とのなす角度β1が8°程度である。
【0038】
そして、図5;図3(b)に示すように、架台154を切羽115側に移動する作業、及び、各先受材設置装置1の押圧装置90による内管押圧作業とを行って複数の外管2の先端部180をそれぞれ対応する挿入穴119に挿入する。この場合、架台154の周方向左右端のいずれかに位置する1つの先受材設置装置1によって設置される外管2の先端部180が境界部118における周方向左右端のいずれかに位置する1つの挿入孔119に挿入されるようにする。つまり、各先受材設置装置1に設置された各外管2の先端部180を位置決めするための位置決め作業を行う。この際、各先受材設置装置1の外管2の先端部180は、境界部118の周方向に沿って並ぶように形成された挿入穴119列に対して1個飛ばしで隣り合う複数の挿入穴119に挿入される。
【0039】
例えば、図9において、切羽115において形成された複数の挿入穴119の中心を円弧174の中心175と各挿入穴119の中心とを線で結んだ場合に、互いに隣り合う線と線とのなす角度β1が例えば8°であり、挿入孔119を1つ挟んで互いに隣り合う2つの挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ2つの直線がなす角度β2が16°であるとすると、例えば、切羽115の右端(坑口186側から切羽115を見た場合の右端)の挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が16°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が32°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が48°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が64°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が80°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が96°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が112°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、のそれぞれの挿入穴119にそれぞれ1本の二重管体70の先端部180を挿入できる複数先受材設置装置150を用いればよい。
【0040】
つまり、一度に8本の二重管体70を一緒に地山10に設置できる複数先受材設置装置150を用いればよい。そして、複数の挿入穴119に複数の二重管体70の先端部180を挿入した後に、押込作業と排出作業とを行うことにより、複数の二重管体70を地山10中に押し込んでいって、複数の二重管体70を地山10に設置する(図7(a)参照)。つまり、押込装置6の押圧装置90を駆動して押込作業を行うとともに、排出装置5による排出作業を行う。この排出作業において、吸引ポンプ65で土砂が吸引されていることを確認した後、又は、確認しながら、噴射装置4により噴射作業を行い、以後、押込作業、排出作業、噴射作業を継続させることで、押圧装置90により二重管体70が押されながら、排出装置5により先導ガイド部材8の内側の泥水が吸引されて排出されることで排土が行われるので、二重管体70が地山10にスムーズに押し込まれて地山10に挿入され、地山10に設置される。
尚、噴射作業は、水が先導ガイド部材8の内側だけで流動して、先導ガイド部材8の刃先14よりも前方の地山10に到達しないように、水量や水圧などの条件を設定して行う。二重管体70が地山10に設置された後、ピニオン91をラック83の後端側に移動させて内管3を外管2の内側からトンネル空洞部116に引き抜く。以上により、複数の外管2が地山10に設置される。
【0041】
各内管3に新たな外管2を装着して、複数の先受材設置装置1を再度構築した後に、ステッピングモータ172を起動させて駆動歯車171を駆動することによって、装置連結体167を架台154の上面160の周方向に沿って移動させる。例えば、上述したように8本の外管2を設置した場合においては、ステッピングモータ172を制御して装置連結体167を、例えば、図7(a)の状態から図7(b)の状態となるように左回転方向に8°移動させる。そして、架台154を切羽115側に移動する作業、及び、各先受材設置装置1の押圧装置90による内管押圧作業とを行って複数の外管2の先端部180をそれぞれ対応する残りの挿入穴119に挿入することが可能となる。複数の外管2の先端部180を挿入穴119に挿入した後に、押込作業と排出作業とを行うことにより、二重管体70を地山10中に押し込んでいって、二重管体70を地山10に設置する(図7(b)参照)。その後、ピニオン91をラック83の後端側に移動させて内管3を外管2の内側からトンネル空洞部116に引き抜く。以上により、例えば、図9に白;黒で区別したように8本づつ2回に分けて合計16本の外管2を設置できることになる。
尚、角度α;β1;β2は、トンネル断面の大きさや、地山性状などに応じて適正な値に設定される。例えば、境界部118に沿って地山10に外管2を30本程度設置する場合、角度β1は4°程度である。また、外管2は境界部118に沿って等間隔に設置される。
そして、地山10に設置された外管2の後端開口37から外管2内に直接又はパッカーを用いて地盤改良液を注入することによって、地盤改良液が外管2の貫通孔9を経由して外管2の周囲の地盤に浸透し、これにより、外管2の周囲の地盤が地盤改良される。その後、切羽115を図外の掘削機で掘削する。
【0042】
即ち、周方向位置決め機構153を用いて、複数(例えば8個)の先受材設置装置1をトンネル空洞部116の内壁面117の周方向に沿った方向に一緒に移動させることによって複数の先受材設置装置1を第1の位置181(図7(a)参照)と、第1の位置181よりもトンネル空洞部116の内壁面117の周方向に沿った方向に移動させた第2の位置182と(図7(b)参照)に位置決めする。
【0043】
最良の形態1によれば、高価の穿孔ビットを用いることなく、トンネル空洞部116の切羽115におけるトンネル空洞部116の内壁面117との境界部118から切羽115よりも前方の地山10に向けて内壁面117と交差する方向に長尺先受材としての複数の外管2を挿入して当該外管2を地山10中に設置できるので、先受材設置作業のコストを削減できる。特に、押込作業と排出作業とを行うことにより、同時に複数本の外管2を設置できるので、作業効率が向上する。また、周方向位置決め機構153を備えるので、先受材設置装置1の数の2倍の数の外管2を地山10に容易に設置できるので、作業効率が向上する。言い換えれば、境界部118への外管2の設置本数の半分の数の先受材設置装置1を用いればよいので、境界部118への外管2の設置本数に合わせた数の先受材設置装置1を備えた複数先受材設置装置150を構成する場合(図15参照)に比べて、装置コストを低減できて、しかも、先受材設置装置1の数の2倍の数の外管2を地山10に容易に設置できる。
また、最良の形態1によれば、水が先導ガイド部材8の内側だけで流動して、先導ガイド部材8の刃先14よりも前方の地山10に到達しないように、水量や水圧などの条件を設定して噴射作業を行うので、これにより、排出作業においての吸引水量を少なくできるとともに、先導ガイド部材8の内側に取り込まれた土砂を泥水にできるので、排土をスムーズにできる。また、水が先導ガイド部材8の刃先14よりも前方の地山10に達した場合、先導ガイド部材8の刃先14の前方の地山に外管2の無い状態で孔が掘削されたり、先導ガイド部材8の周囲に先導ガイド部材8の管径以上の径の孔が余掘されてしまって、当該孔部分が崩れて当該孔部分の上方の地山が地盤沈下を起こすという問題が生じてしまう。さらに、水が先導ガイド部材8の刃先14よりも前方の地山10への浸透が進行して時間が経過すると、地山10が固くなり、二重管体70が地山10にスムーズに押し込まれないといった問題も生じてしまう。一方、最良の形態1によれば、水が先導ガイド部材8の刃先14よりも前方の地山10に到達しないようにしたので、上述した問題を解消できる。
【0044】
最良の形態2.
架台154の装置載置部162として図10に示すような装置載置部162を備えた架台154を用いてもよい。装置載置部162の上面160は、坑口186側が頂点側で切羽115側が底面側となる円錐形の周面の一部により形成される。周面の一部とは、例えば、円錐形の周面の頂点に近い側を除いた周方向180°程度の範囲にある面を言う。装置載置部162の下面161は、装置載置部162の上面160と平行な周面により形成される。即ち、装置載置部162は、円錐外周面の内側に円錐中空部を有した中空円錐の頂点側が除去された筒を半割りにしたような半筒形状に形成され、半筒の軸に沿った方向と掘削方向とが同じになるように、かつ、外周面を上に向けて設置される。この半筒の外周面により上面160が形成され、半筒の内周面により下面161が形成される。この装置載置部162の上面160は、坑口186側から切羽115側に向けて拡径する筒の外周面により形成され、その坑口186側から切羽115側に向けてその筒の中心軸に対して傾斜する上面160の傾斜角度は外管2の地山10への挿入角度と同じ角度に形成される。
【0045】
図14に示すように、複数の先受材設置装置1は、装置載置部162の上面160と平行な面上において装置載置部162の上面160の周方向に沿って所定間隔を隔てて配置され、これら複数の先受材設置装置1のラック83の下面111が、装置載置部162の上面160の周方向に沿って平行に延長するように形成された連結部材152によって連結されたことによって、装置連結体167が形成される。図12に示すように、周方向移動機構156は、各先受材設置装置1のラック83の下面111に取り付けられて周方向移動ガイドレール155内を走行可能な車輪159を備える。その他の構成、即ち、架台154の支持部157、掘削方向移動機構158、周方向移動ガイドレール155、歯車駆動機構168は最良の形態1と同じである(図10;図12参照)。
【0046】
次に、設置方法を説明する。連結部材152によって連結されて装置載置部162の上面160の周方向に沿って所定間隔を隔てて配置された複数のラック83の上面86に二重管体70を設置し、内管3に噴射装置4及び排出装置5を繋げることによって、複数先受材設置装置150が構築される。また、最良の形態1と同じように、複数の挿入穴119を形成しておき(図10参照)、図13に示すように、架台154を切羽115側に移動する作業、及び、各先受材設置装置1の押圧装置90による内管押圧作業とを行って複数の外管2の先端部180をそれぞれ対応する挿入穴119に挿入した後に、上述した押込作業と排出作業とを行うことにより、複数の二重管体70を地山10中に押し込んでいって、二重管体70を地山10に設置する(図14(a)参照)。その後、ピニオン91をラック83の後端側に移動させて内管3を外管2の内側からトンネル空洞部116に引き抜く。以上により、複数の外管2が地山10に設置される。そして、各内管3に新たな外管2を装着して、複数の先受材設置装置1を再度構築した後に、ステッピングモータ172を起動させて駆動歯車171を駆動することによって、装置連結体167を架台154の上面160の周方向に沿って移動させる。そして、架台154を切羽115側に移動する作業、及び、各先受材設置装置1の押圧装置90による内管押圧作業とを行って複数の外管2の先端部180をそれぞれ対応する残りの挿入穴119に挿入した後に、上述した押込作業と排出作業とを行うことにより、複数の二重管体70を地山10中に押し込んでいって、二重管体70を地山10に設置する(図14(b)参照)。その後、ピニオン91をラック83の後端側に移動させて内管3を外管2の内側からトンネル空洞部116に引き抜く。以上により、最良の形態1と同じように、例えば、8本づつ2回に分けて合計16本の外管を設置できることになる。
【0047】
最良の形態2によれば、最良の形態1と同じ効果が得られるとともに、最良の形態1の角度設定装置80が不要となり、装置全体を安価にできる。
【0048】
最良の形態3.
図15(a);(b)に示すように、境界部118におけるトンネル空洞部116の内壁面117の周方向に沿った方向に間隔を隔てて所定の数だけ設置される先受材の数に対応した数の複数の先受材設置装置1を搭載した架台154を備えた複数受材設置装置150としてもよい。
【0049】
最良の形態4.
図16に示すような押込装置6aを用いてもよい。押込装置6aは、角度設定装置80と、押圧装置102とを備える。本形態の場合、角度設定装置80は、ステッピングモータ82と、載台125と、ステッピングモータ82を制御する制御装置81とを備える。載台125は外管2の地山10への挿入方向に延長するように設けられる。載台125の延長方向における後端部には軸連結部84を備える。軸連結部84には軸連結孔85が設けられる。軸連結孔85は孔の中心線が載台125の上面123と平行でかつ載台125の延長方向と直交する。回転軸87(モータ軸あるいはモータ軸と連結された軸)が軸連結孔85内に通され、この回転軸87の軸心を回転中心として回転軸87と載台125とが一緒に回転可能となるように、軸連結孔85と回転軸87とがキー89により結合される。載台125上には外管2及び内管3を備えた二重管体70が載置される。
【0050】
押圧装置102は、内管3を挿入方向に押圧する油圧機構103と、油圧機構103を制御する制御装置104と、押圧体94とを備える。油圧機構103は載台125の上面123に設置された搭載台104aに固定されたシリンダ109と、油圧によって外管2の地山10への挿入方向に往復移動可能に設けられたピストン107と、制御装置104とを備える。ピストン107の先端に設けられた取付板108に押圧体94が連結結合される。尚、ステッピングモータ82のケーシング105、回転軸87を回転可能に支持する軸受106、ステッピングモータ82の制御装置81、油圧機構103の制御装置104は基台110に固定される。押圧体94の構成は、最良の形態1の押圧体94の構成と同じである。
【0051】
以上の構成によれば、二重管体70を載台に載置して二重管体70の内管3の後端部を保持体100で保持して、かつ、押圧面99と内管3の後端面71とを接触させた状態として、ステッピングモータ82を駆動することによって、二重管体70の地山10への挿入角度を調整できる。そして、制御装置104が油圧機構103を制御して外管2の地山10への挿入方向にピストン107を伸ばすことで二重管体70を地山10に設置する。制御装置104が油圧機構103を制御して挿入方向と逆方向にピストン107を戻すことで内管3を外管2の内側からトンネル空洞部116に引き抜く。油圧機構103を用いた場合、押圧力を制御装置104で制御でき、外管2を容易に地山10に設置することができる。
【0052】
尚、6m以上のピストンストロークを持つ油圧機構103は特殊装置であるため、例えば、50cm〜1m程度のピストンストロークを持つ油圧機構103を用いて、ピストン107を伸ばして二重管体70を50cm〜1m程度押圧する毎にピストン107を縮退させた後に押圧面99と内管3の後端面71との間にピストン107の力を押圧面99に伝達する伝達材(例えば、後端面71が押圧面99と接触し、先端面が内管3の後端面71と接触する鋼管)を設置すればよい。
【0053】
最良の形態5.
図17に示すように、回転軸87の軸心を回転中心としてラック83や載台125の先端側を上下動させる油圧ジャッキのような昇降装置300を用いた角度設定装置を使用してもよい。
【0054】
最良の形態6.
最良の形態1乃至5において、外管2は長いので外管2を地山10に押し込む際に外管2が上下左右に振れ動きやすい。外管2を地山10に押し込む際に外管2が上下左右に振れ動いてしまうと、内管3の後端側に加えられた力が外管2の先端側に伝達されにくくなって、外管2の先端側に力をスムーズに伝達できず、外管2を地山10に押し込みにくくなる。
そこで、図18に示すように、外管2を地山10に押し込む際に、外管2の上下左右への動きを規制する規制手段301を用いる。規制手段301は、ラック83や載台125の上に載置された外管2をラック83や載台125の方向に押え込むように外管2の上面を抑えて外管の上方への移動を規制する上規制板302と、外管2の右側に設けられて外管の右側への移動を規制する右規制板303と、外管2の左側に設けられて外管の左側への移動を規制する左規制板304と、外管2の下側への移動を規制する下規制板305として機能するラック83や載台125とにより構成される。この規制手段301を用いることによって、外管2を地山10に押し込む際の外管2の上下左右の振れ動きを防止できるので、地山10中に既に入り込んだ外管2を地山10中で真っ直ぐに進行させることができるとともに、まだ地山10中に入っていない外管2を地山10に真っ直ぐに挿入できる。特に、外管2の長さが長い場合に、地山10に近い位置に規制手段301を設ければ効果的である。
【0055】
最良の形態7.
空気を混入させた水を噴射するようにすれば、空気を混入させない場合と比べて噴射力が同じで水量を少なくできるので、排出作業においての吸引水量を少なくできるとともに、先導ガイド部材8の内側に取り込まれた土砂を泥水にできるので、排土をスムーズにできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
外側長尺管7と別体の先導ガイド部材8を用いずに、外側長尺管7の先端そのものを先鋭な環線状の刃11に形成した構成の外管2としてもよい。この場合、外管2の先端よりも中央寄り側の外管2の内側に、内管3の外管押圧部材26の押圧面40と接触して外管2の先端側の管の内面と内管3の先端側の管の外面との間の間隙を塞ぐ被押圧面を設ければよい。刃11は、必ずしも先鋭な環線状の刃でなくともよい。例えば、外管2の先端が細く形成されたような環線状の刃でもよいし、外管2の先端が鋸刃状に形成された刃でもよい。尚、外管2と内管3と刃11は、断面円形状のものに限らず、断面矩形状、その他の形状のものを用いてもよい。
【0057】
内管3の先端に設けられた外管押圧部材26として、外周にねじ部が形成された中央孔付き円形板を用いるとともに、先導ガイド部材8の筒の内面や外管2の内面にねじ部を形成し、これらねじ部をねじ結合してもよい。この場合、外管2を地山10に設置した後に、内管3を回してねじ結合を解除して内管3をトンネル空洞部116に引き抜くことができる。この構成によれば、外管2の先端側の管の内面と内管3の先端側の管の外面との間の間隙を確実に塞ぐことができる。また、内管3と外管2とが一体化された二重管体70を形成できるので、二重管体70の取扱いが容易となる。尚、この構成とした場合、押込作業の際に外管2を押圧することも可能となる。外管2を押す場合は、外管2に水供給ホース51や吸引管68を引き出すための穴や切り欠きを設ければよい。
【0058】
水供給ホース51の先端部を外管押圧部材26の先端面35よりも前方に突出させ、この水供給ホース51の先端開口を噴射ノズル28としてもよい。
【0059】
モータによる回転駆動トルクが不足する場合には歯車減速装置を用いればよい。
【0060】
尚、二重管体70は内壁面117と交差する方向に挿入されるが、この二重管体70と内壁面117との交差角度、即ち、差し角α0は4°とした(図8;図11参照)。
【0061】
切羽115における境界部118に先端部180を挿入するための挿入穴119を形成すれば、先端部180の位置決め作業を容易と出来るが、必ずしも、挿入穴119を形成しなくてもよい。
【0062】
複数の先受材設置1を用いて、複数の先受材の先端部180を境界部118に沿って所定の間隔を隔てて位置決めした後の、当該複数の先受材を境界部118から切羽115よりも前方の地山に向けて内壁面117と交差する方向に挿入して設置する作業は、上述したように複数の先受材設置1で同時に行うようにしてもよいし、複数の先受材設置1毎に個々に時間をずらして行うようにしてもよい。
【0063】
先受材としての外管2として、例えば6m〜15m程度の長さの鋼管7を使用する場合を説明したが、本発明においては、6m以下の外管や15m以上の外管も使用可能である。
【0064】
内管、噴射装置、排出装置を用いないで、外管として機能する管の内側に、内管及び排出装置として機能するオーガのように回転する螺旋羽根を備えた機械を設置し、押込装置でオーガと管とを一緒に地山に押し込みながら、管の内側に取り込まれた土砂をオーガの螺旋羽根を回転させて回転する螺旋路経由でオーガの後方に搬送排出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】先受材設置装置の分解斜視図(最良の形態1)。
【図2】(a)は先受材設置装置の断面図、(b)は図2(a)のA−A断面図(最良の形態1)。
【図3】(a)は架台を示す斜視図、(b)は複数先受材設置装置を示す斜視図(最良の形態1)。
【図4】(a)は押込装置及び周方向位置決め機構を示す図、(b)は押込装置の背面側から押込装置及び周方向位置決め機構を見た図(最良の形態1)。
【図5】(a)は角度設定前の複数先受材設置装置を横から見た図、(b)は先受材の先端部を挿入孔に位置決めした状態を示す図(最良の形態1)。
【図6】(a)は二重管体の先端部を挿入孔に位置決めした状態を拡大した図、(b)は噴射装置から噴射した水により崩れた地山の土砂を吸引しつつ二重管体を地山へ押し込む状態を示す図(最良の形態1)。
【図7】(a);(b)は周方向位置決め機構による周方向位置決め動作を示す斜視図(最良の形態1)。
【図8】外管の差し角を示す図(最良の形態1)。
【図9】トンネル空洞部の内壁面と切羽との境界部より地山に設置された外管を坑口側から見た図(最良の形態1)。
【図10】架台を示す図(最良の形態2)。
【図11】外管の差し角を示す図(最良の形態2)。
【図12】(a)は押込装置及び周方向位置決め機構を示す図、(b)は押込装置の背面側から押込装置及び周方向位置決め機構を見た図(最良の形態2)。
【図13】(a)は角度設定前の複数先受材設置装置を横から見た図、(b)は先受材の先端部を挿入孔に位置決めした状態を示す図(最良の形態2)。
【図14】(a);(b)は周方向位置決め機構による周方向位置決め動作を示す図(最良の形態2)。
【図15】(a)は地山に設置する外管の数に対応した複数の二重管体の先端部を挿入穴に位置決めした状態を示す図、(b)は地山に設置する外管の数に対応した複数の二重管体を地山に設置した状態を示す図(最良の形態3)。
【図16】(a)は押込装置を後方から見た図、(b)は押込装置の側面図(最良の形態4)。
【図17】上下動ジャッキを用いた角度設定方法を示す図(最良の形態5)。
【図18】(a)は規制手段を示す斜視図、(b)は規制手段と外管との関係を示す正面図(最良の形態6)。
【符号の説明】
【0066】
1 先受材設置装置、2 外管、3 内管、4 噴射装置、5 排出装置、
6 押込装置、9 貫通孔、10 地山、115 切羽、
116 トンネル空洞部、117 内壁面、118 境界部、119 挿入穴、
150 複数先受材設置装置、153 周方向位置決め機構、
181 第1の位置、182 第2の位置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削において、穿孔ビットを使用せずに、切羽の前方の地山に複数の先受材を効率的に設置可能な先受材設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル掘削において、管の内面と外面とに貫通する貫通孔を備えた先受材としての有孔管を切羽前方の地山に設置した後に有孔管の内側及び貫通孔を通して有孔管の周囲の地山に地盤改良剤を注入することによって地山の先行沈下や緩みを防止する先受工法が知られている。
有孔管の設置は、削孔装置を用いて行う。削孔装置は、削孔ロッドと、削孔ロッドの先端に設けられた削孔ビットと、削孔ロッドに回転と打撃を与える削岩機とを備える。削孔ロッドが有孔管の内側に通され、削岩機が削孔ロッドに回転と打撃を与えることで削孔ビットが地山を掘削する。この場合、有孔管の先端と削孔ビットの後端部とを連結して削孔ビットで地山を削孔するとともに有孔管を牽引することにより有孔管を地山中に設置した後に削孔ロッドを回収する方法と、削孔ビットにより地山を掘削するとともに有孔管の後端を押圧して有孔管を地山中に設置した後に削孔ロッド及び削孔ビットを回収する方法とが知られている。
【特許文献1】特開2003−155888号公報
【特許文献2】特開2004−339837号公報
【特許文献3】特開2004−19359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術における有孔管の設置作業に必要な削孔ビットは高価であり、施工コストが高くなるといった問題点があった。また、有孔管を地山中に設置するための削孔を1つずつ形成していたので、作業効率も悪いという問題点があった。
本発明は、高価な穿孔ビットを使用せずに、複数の先受材を効率的に切羽の前方の地山に設置できる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る先受材設置方法は、トンネル空洞部の切羽におけるトンネル空洞部の内壁面との境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に先受材を挿入して設置する場合に、境界部におけるトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて複数の先受材を並べて設置する先受材設置方法において、内面と外面とに貫通する複数の貫通孔を備えた先受材としての管と、当該管の先端部に設けられた刃と切羽とを接触させて上記管を地山に押し込む押込装置とを備えた先受材設置装置を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置したことを特徴とする。
本発明に係る先受材設置方法は、トンネル空洞部の切羽におけるトンネル空洞部の内壁面との境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に先受材を挿入して設置する場合に、境界部におけるトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて複数の先受材を並べて設置する先受材設置方法において、内面と外面とに貫通する複数の貫通孔を備えた先受材としての管と、当該管の内側に設けられた内管と、上記管の先端部に設けられた刃と切羽とを接触させて内管と上記管とを一緒に地山に押し込む押込装置と、上記管の後端側から内管と上記管との間を経由させて上記管の先端部の内側に水を噴射させる噴射装置と、地山から上記管の先端部の内側に取り込まれた土砂と先端部の内側に噴射された水とが混じり合った泥水を内管の内部空間経由で吸引して内管の外に排出する排出装置とを備えた先受材設置装置を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置したことを特徴とする。
複数の先受材の設置作業を同時に行ったことも特徴とする。
複数の先受材を挿入して設置する作業を行う複数先受材設置装置を用い、複数先受材設置装置は、先受材毎に当該先受材を挿入して設置する作業を行う先受材設置装置と、当該複数の先受材設置装置をまとめてトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に移動させて所定の位置に位置決めする周方向位置決め機構とを備え、周方向位置決め機構により当該複数の先受材設置装置を第1の位置に位置決めして複数の先受材設置装置で複数の先受材を挿入して設置する作業を行った後に、周方向位置決め機構により当該複数の先受材設置装置を第1の位置よりもトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に移動させた第2の位置に位置決めして複数の先受材設置装置で複数の先受材を挿入して設置する作業を行ったことも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る先受材設置方法によれば、先受材としての管と、当該管の先端部に設けられた刃と切羽とを接触させて上記管を地山に押し込む押込装置とを備えた先受材設置装置を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置したので、高価な穿孔ビットを使用せずに、先受材設置作業のコストを削減でき、しかも、複数の先受材を切羽の前方の地山に効率的に設置でき、作業効率が向上する。
本発明に係る先受材設置方法によれば、管と内管と押込装置と噴射装置と排出装置とを備えた先受材設置装置を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置したので、高価な穿孔ビットを使用せずに、先受材設置作業のコストを削減でき、しかも、複数の先受材を切羽の前方の地山に効率的に設置でき、作業効率が向上する。
複数の先受材の設置作業を同時に行ったので、複数の先受材を設置する作業の効率が向上する。
複数の先受材設置装置を第1の位置と第2の位置とに位置決めする周方向位置決め機構を備えた複数先受材設置装置を用いたので、境界部への上記管の設置本数の半分の数の先受材設置装置を用いればよく、境界部への上記管の設置本数に合わせた数の先受材設置装置を用いる場合に比べて、装置コストを低減できて、しかも、先受材設置装置の数の2倍の数の上記管を地山に容易に設置できるので、作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
最良の形態1.
図1乃至図9は最良の形態1を示し、図1は先受材設置装置を分解斜視図で示し、図2(a)は先受材設置装置を断面図で示し、図2(b)は図2(a)のA−A断面を示し、図3(a)は架台を示し、図3(b)は複数先受材設置装置を示し、図4(a)は押込装置及び周方向位置決め機構を示し、図4(b)は押込装置の背面側から押込装置及び周方向位置決め機構を見て示し、図5(a)は角度設定前の複数先受材設置装置を横から見て示し、図5(b)は先受材の先端部を挿入孔に位置決めした状態を示し、図6(a)は二重管体の先端部を挿入孔に位置決めした状態を拡大して示し、図6(b)は管を地山へ押し込むとともに、排出作業を行っている状態を示し、図7(a);(b)は周方向位置決め機構による周方向位置決め動作を示し、図8は管の差し角を示し、図9はトンネル空洞部の内壁面と切羽との境界部より地山に設置された管を坑口側から見て示す。
【0007】
図3(b)に示すように、トンネル空洞部116の切羽115におけるトンネル空洞部の内壁面117との境界部118から切羽115よりも前方の地山10に向けて内壁面117と交差する方向に複数の長尺な先受材を挿入して設置する複数先受材設置装置150は、境界部118におけるトンネル空洞部116の内壁面117の周方向に沿った方向に間隔を隔てて設けられる複数の先受材を挿入して設置する作業を行うための複数の先受材設置装置1と、複数の先受材設置装置1を連結する連結部材152と、周方向位置決め機構153とを備える。
【0008】
まず、図1乃至図3を参照し、先受材設置1の構成を説明する。図1に示すように、先受材設置装置1は、管としての外管2と、内管3と、噴射装置4と、排出装置5と、押込装置6とを備える。外管2は先受材として機能する。
【0009】
外管2は、例えば6m〜15m程度の長さの長尺な断面円形の鋼管7(以下、外側長尺管という)と、外側長尺管7の先端に設けられた外管2の先端部としての先導ガイド部材8とを備える。外側長尺管7は、管の内面と外面とに貫通する複数の貫通孔9を備える。この貫通孔9は地山10中に設置された外管2の周囲の地盤に地盤改良液を供給する際の孔として使用される。尚、図示しないが、貫通孔9には、外管2の内部から外管2の周囲の地山に地盤改良液を供給する際にのみ地盤改良液の圧力によって開く周知の逆止弁が設けられる。
【0010】
先導ガイド部材8は、断面円形の鋼製の筒状体により形成され、筒の先端に刃11を備え、筒の後端部に取付部12を備える。先導ガイド部材8は、刃先14となる筒の先端の外周縁から筒の後端の方向に傾斜する筒の傾斜内面13を備え、刃先14が、筒の傾斜内面13の先端となる環線状の先鋭縁(筒の先端の外周縁)により形成される。即ち、先導ガイド部材8の先端の刃11が、筒の一端に設けられた環線状の先鋭縁により形成される。
【0011】
以上の構成によれば、外管2の先端部が筒状の先導ガイド部材8により形成され、先導ガイド部材8の先端が筒の一端に設けられた環線状の先鋭縁による先鋭な刃11に形成され、かつ、先導ガイド部材8の筒の外面が径の等しい円周面により形成されたので、外管2が挿入方向に沿って地山10を進行する際に、外管2の刃11が地山10に突き刺さった後に、外管2が挿入方向に沿って地山10中を進行する際の抵抗が少なくなり、外管2を地山10にスムーズに挿入できる。つまり、先導ガイド部材8の先端の刃11が、筒の一端に設けられた環線状の先鋭縁により形成されたことにより、外管2が挿入方向に沿って地山10を進行する際に土砂に衝突して抵抗となる挿入方向と直交する面が少なくなるので、外管2が挿入方向に沿って地山10を進行する際の抵抗が少なくなり、外管2を地山にスムーズに挿入できる。
【0012】
図2(a);(b)に示すように、先導ガイド部材8の筒の外径15は、外側長尺管7の外径16よりも大きく形成される。先導ガイド部材8の取付部12は、外側長尺管7の先端部を嵌め込むための嵌合用孔17を備える。嵌合用孔17は、先導ガイド部材8を形成する筒の後端面20より筒の先端の方向に延長するように設けられた断面円形の孔により形成される。嵌合用孔17の径18は、先導ガイド部材8の筒の外径15よりも小さくて先導ガイド部材8の筒の内径19よりも大きい。外側長尺管7の先端部の管の外面と嵌合用孔17の孔の内壁面とが接触するように外側長尺管7の先端部が嵌合用孔17内に嵌め込まれ、かつ、外側長尺管7の先端部と先導ガイド部材8の取付部12とが溶接などで互いに連結される。これにより、外側長尺管7と先導ガイド部材8とが同軸に設けられて外管2が形成される。
【0013】
以上の構成によれば、外側長尺管7の先端部が嵌合用孔17に嵌め込まれて外側長尺管7と先導ガイド部材8とが連結された状態において、先導ガイド部材8の外面と外側長尺管7の外面との境界部21で外側長尺管7の管の外面が先導ガイド部材8の筒の外面より外方に突出しないので、外管2が挿入方向に沿って地山10を進行する際に、上記境界部21において地山10に衝突する挿入方向と直交する面がなくなり、外管2が挿入方向に沿って地山10を進行する際の抵抗が少なくなるので、外管2を地山10にスムーズに挿入できる。
【0014】
内管3は、断面円形の長尺な鋼管25(以下、内側長尺管という)と、内側長尺管25の先端部の外周面に取り付けられた鋼製の外管押圧部材26とを備える。外管押圧部材26は、取付用孔27と、噴射ノズル28とを備える。即ち、外管押圧部材26は、円形板の中央において円形板の先端面35と後端面49とに貫通する断面円形の貫通孔により形成された取付用孔27を備え、かつ、取付用孔27と円形板の周縁部との間にも円形板の先端面35と後端面49とに貫通する断面円形の貫通孔により形成された噴射ノズル28を備えた中央孔付き円形板により形成される。外管押圧部材26を形成する円形板の外径29は、外管2の外側長尺管7の内径23よりも小さく、かつ、先導ガイド部材8の嵌合用孔17の孔底面30に繋がる筒孔開口部の径(即ち、先導ガイド部材8の筒の内径19)よりも大きい。外管押圧部材26の取付用孔27の径29は、内側長尺管25の先端部の外面が取付用孔27の内側に挿入可能な寸法に形成される。そして、外管押圧部材26の取付用孔27の内面と内管3の内側長尺管25の先端部の外面とを接触させるか、あるいは、外管押圧部材26の取付用孔27の内面と内管3の内側長尺管25の先端部の外面との間を泥水が通過しないようにした状態において、外管押圧部材26と内側長尺管25の先端部とが溶接などで結合される。外管押圧部材26の先端面35と内側長尺管25の先端面36とが同一面上に位置されるように結合される。
【0015】
以上の構成によれば、内管3が内管3の先端側から外管2の後端開口37を経由して外管2の内側に挿入されて設置された場合、外管押圧部材26の先端面35の外周側の面により環状の押圧面40が形成され、この押圧面40と先導ガイド部材8の嵌合用孔17の孔底面30とが互いに接触することによって、外管押圧部材26が後述の押込装置6により押圧されて外管2を挿入方向に押圧するとともに、押圧面40が外管2の先端側の管の内面と内側長尺管25の先端側の管の外面との間の間隙を塞いで泥水が当該間隙を経由して外管2の管の内面と内管3の管の外面との間(以下、内外管間41という)に浸入することを防ぐ。すなわち、外管2の先端部としての先導ガイド部材8の内側には、内管3の先端に設けられた押圧部としての押圧面40により押圧される被押圧部としての孔底面30を備え、押圧面40と孔底面30とが接触するように外管2の内側に内管3を設置し、外管の後端よりも後方に位置させた内管3の後端を押圧することにより内管3と外管2とを一緒に地山10に押し込む押込作業を行う。
【0016】
つまり、外管2を地山10への挿入方向に押圧可能なように外管2の内側に内管3を設置するとともに、先導ガイド部材8の内側から泥水が内外管間41を経由せずに内管3の内部空間42経由で確実に排出されるように構成した。また、内外管間41に泥水を経由させないことにより、内外管間41に設置される後述の水供給ホース51が泥水によって損傷を受けるようなことを防止できる。
【0017】
噴射装置4は、加圧した水を外管2の後端開口37から内外管間41を経由させて外管2の先導ガイド部材8の内側に噴射する装置であって、上記噴射ノズル28と、水供給装置46とを備える。水供給装置46は、貯水タンク47と、加圧ポンプ48と、噴射ノズル28と加圧ポンプ48とを繋ぐ水供給ホース51と、ホースガイド52と、加圧ポンプ48と貯水タンク47とを繋ぐ水供給管39とを備える。
【0018】
外管押圧部材26に形成された噴射ノズル28は、内管3の先端部における外面と外側長尺管7の先端部における内面との間に設けられて、外管2の後端開口37から内外管間41を経由して供給される加圧された水(例えば200Kg/cm2〜400Kg/cm2程度の高圧水)を内管3の外面の先端側から先導ガイド部材8の筒の内面53に沿って噴射させる。噴射ノズル28は、一定の断面径に形成された貫通孔により形成してもよいし、外管押圧部材26を形成する円形板の後端面49から先端面35に向けて断面径が漸減するような貫通孔により形成してもよい。噴射ノズル28が、断面径の漸減するような貫通孔により形成された場合には、噴射ノズル28の出口より噴射される水の流速をより速くでき、しかも、水圧をより高くできて好ましい。
【0019】
以上の構成によれば、噴射ノズル28が、外管押圧部材26の先端面35より前方の先導ガイド部材8の内側に先導ガイド部材8の筒の内面53に沿って水を噴射可能なように設けられたので、押込装置6により刃先14が地山10に押し込められることで地山10より崩れて先導ガイド部材8の内側に移動して取り込まれた土砂に確実に水を噴射できて、先導ガイド部材8の内側の土砂を土砂と水とが混じり合った泥水とすることができるので、排土をスムーズにできる。即ち、後述する排出装置5によって排出作業をスムーズに行える。
【0020】
ホースガイド52は、例えば、内管3を形成する長尺な鋼管25が複数の鋼管25aを継ぎ足して形成される場合には、継がれる一対の鋼管25aの端部のそれぞれに形成される。ホースガイド52は、継がれる鋼管25aの端部周面において互いに90°づつ隔てた位置にそれぞれ形成された4つの突起52aにより形成される。一対の鋼管25a;25aの端部に設けられたホースガイド52の4つの突起52aの一端面同士が互いに対応するように突き合わされた状態で、当該突き合わされた突起52a同士が、これら突起52aに形成された図外のボルト貫通孔とこれらボルト貫通孔に貫通するボルト52bとこのボルト52bと締結される図外のナットとによるボルトナット結合により結合されることによって一対の鋼管25aが継がれる。つまり、ホースガイド52は、内管3の周面において十字状に突出した4つの突起52aを備えた構成である。よって、内管3の周面方向に沿って互いに隣り合う突起52aと突起52aとの間に水供給ホース51を通すことにより、水供給ホース51を外管2と内管3との間に安定に設置できる。また、ホースガイド52は、断面十字状であるため、外管2を地山10に設置した後に、外管2内から内管3を引き抜く場合に、外管2との干渉を少なくでき、引き抜き作業を容易とできる。
【0021】
水供給ホース51の先端に固定された取付具60の先端側の外周面に形成された図外のねじ部と外管押圧部材26に形成された噴射ノズル28の後端側の内周面に形成された図外のねじ部とがねじ結合されることによって、噴射ノズル28の後端部に水供給ホース51の先端部が結合される。水供給ホース51の後端と加圧ポンプ48の吐出口とが連結され、加圧ポンプ48の吸込口と貯水タンク47の水出口とが水供給管39で繋がれる。
【0022】
噴射ノズル28と水供給ホース51とにより構成される噴射構造セットは、内管3の外面の周方向において図2(b)に示すように例えば90°隔てて4セット設けられる。尚、噴射構造セットは、1セット以上設ければよい。例えば、内管3の外面の周方向において180°隔てて2セット設けるようにしたり、内管3の外面の周方向において例えば120°隔てて3セット設けるようにしたり、あるいは4セット以上設けてもよい。
【0023】
以上の構成によれば、貯水タンク47からの水が加圧ポンプ48によって加圧された後に水供給ホース51及び噴射ノズル28を介して先導ガイド部材8の内側に噴射される。
【0024】
排出装置5は、先導ガイド部材8の筒の内側から泥水を内管3の内部空間42経由で吸引する装置であって、排出路64と、吸引ポンプ65と、貯留タンク63と、排出路64の終端に位置する排出口67と吸引ポンプ65とを繋ぐ吸引管68と、吸引ポンプ65と貯留タンク63とを繋ぐ連結管69とを備える。排出路64は、先導ガイド部材8の筒の内部空間59及び内管の内部空間42により形成される。排出口67は、内管3の内側長尺管25の後端部に設けられる。排出口67は、図1に示すように、内管3の管の内面と外面とに貫通する吸引管接続部により形成されたり、又は、図2に示すように、内管3の後端開口に接続される吸引接続部材200の管側接続口202により形成される。排出口67と吸引ポンプ65の吸込口とが吸引管68で連結される。吸引ポンプ65の吐出口と貯留タンク63の取込口とが連結管69により連結される。上記吸引接続部材200は、後端部が閉塞され、内管3の後端開口に接続される管側接続口202と吸引管接続口201とがL字流路により連通された接続管により形成される。内管3の後端開口端面と吸引接続部材200の管側接続口端面との間に当該間を密接に塞ぐパッキン203を介在させて内管3の後端部の外周面とパッキン203の外周面と吸引接続部材200の管側接続部の外周面とを覆う連結具204により内管3と吸引接続部材200とが接続される。図示しないが、連結具204は筒体を半割りした2つの半割部材により形成され、この半割部材の両端部にはボルト貫通孔の形成された接合フランジが設けられ、2つの半割部材で内管3及び吸引接続部材200の外周面を挟みつけるようにした場合に互いに付き合わされる接合フランジをボルト及びナットで締結することで、内管3と吸引接続部材200とが接続される。
【0025】
以上の構成によれば、吸引ポンプ65による吸引力によって、泥水が、先導ガイド部材8の筒の内側から排出路64、排出口67、吸引管68を経由して吸引ポンプ65内に吸引され、貯留タンク63に送られる。
【0026】
噴射ノズル28、ホースガイド52、水供給ホース51を装備した内管3が外管2の内側に設置されて二重管体70が形成される。二重管体70は、内管3の外管押圧部材26の先端面と先導ガイド部材8の嵌合用孔17の孔底面30とが接触した状態において、内管3の後端部が外管2の後端よりも後方に位置するように形成される。排出口67は、外管2の後端よりも後方に位置する内管3の後端部に設けられる。そして、外管2の後端よりも後方に位置させた内管3の後端や内管3の後端開口に接続した吸引接続部材の後端を押込装置6によって押圧することにより内管3と外管2とを一緒に地山10に押し込む後述の押込作業を行う。内管3の後端開口に接続した吸引接続部材200の後端を押込装置6によって押圧すれば、押込装置6によって内管3を直接押し込む場合に比べて内管3の後端の潰れを防止できる。
【0027】
尚、外管押圧部材26の先端面と先導ガイド部材8の嵌合用孔17の孔底面30とが接触した状態において、内管3の後端部が外管2の後端よりも前方の外管2の内側に位置する場合、内外管間41に吸引管68を入り込ませたり、排出口67と吸引管68とを連結するために外管2に開口を設ける必要があり、また、外管2の内側に位置する内管3の後端面71を後述する押込装置6の押圧面99で押圧するため、押圧面99と水供給ホース51や吸引管68とが互いに干渉しあって噴射や排出に支障が出る可能性もある。一方、外管押圧部材26の先端面と先導ガイド部材8の嵌合用孔17の孔底面30とが接触した状態において、内管3の後端部が外管2の後端よりも後方に位置するように形成し、外管2の後端よりも後方に位置させた内管3の後端を押圧することにより内管3と外管2とを一緒に地山10に押し込む押込作業を行う構成とした場合、内外管間41に吸引管68を入り込ませたり、排出口67と吸引管68とを連結するために外管2に開口を設ける必要がなくなり、また、押圧面99と水供給ホース51や吸引管68との干渉を無くすことが可能となり、スムーズな押込、噴射、排土を行える。
【0028】
押込装置6は、外管2を地山10に押し込む装置であって、角度設定装置80と、押圧装置90とを備える。角度設定装置80は、ステッピングモータ82と、ラック83と、ステッピングモータ82を制御する制御装置81(図4参照)とを備える。ラック83は外管2の地山10への挿入方向に延長するように設けられる。ラック83の延長方向における後端部には軸連結部84を備える。軸連結部84には軸連結孔85が設けられる。軸連結孔85(図16参照)は、孔の中心線がラック83の上面(歯面)86と平行でかつラック83の延長方向と直交する。回転軸87(モータ軸あるいはモータ軸と連結された軸)が軸連結孔85に通され、この回転軸87の軸心を回転中心として回転軸87とラック83とが一緒に回転可能となるように、軸連結孔85と回転軸87とがキー89により結合される。ラック83上には外管2及び内管3を備えた二重管体70が載置される。
【0029】
押圧装置90は、図4;図12に示すように、上記ラック83と、上記ラック83の歯33に噛み合ってラック83の延長方向に往復移動可能に設けられたピニオン91と、ピニオン91を回転駆動するモータ92と、モータ92を制御する制御装置93と、ピニオン91の往復移動に伴ってラック83の延長方向に往復移動可能に設けられた押圧体94とを備える。ピニオン91の中心に形成された軸連結孔95と回転軸96(モータ軸あるいはモータ軸と連結された軸)とがキー34により結合される。モータ92のケーシング97がモータ取付板98に取り付けられる。モータ取付板98と押圧体94とが連結結合される。押圧体94は、押圧面99と、保持体100とを備える。押圧面99は、ラック83上に載置された二重管体70の内管3の後端面71と接触して当該後端面71を押圧する。保持体100は、押圧面99より突出してラック83上に載置された二重管体70の内管3の後端開口31から内管3の内面に嵌合状態に接触する外面を備えた円筒体(あるいは円柱体)により形成される。押圧面99は、ラック83の延長方向と直交する面により形成され、保持体100は円筒体の中心軸が押圧面99と直交するように設けられる。保持体100を備えるので、内管3の中心軸と保持体100の中心軸とが一致する状態に保持されて押圧面99で内管3の後端面71全体を押圧する構成となるため、押圧面99と後端面71とが位置ずれすることなく、押圧力を後端面71に確実に伝達できる。
【0030】
尚、図4;図16に示すように、ステッピングモータ82のケーシング105、回転軸87を回転可能に支持する軸受106、ステッピングモータ82の制御装置81、モータ92の制御装置93は、基台110に固定される。ラック83は、回転軸87の軸心を回転中心として回転可能となるように、下面111を基台面112より浮かして設けられる。そして、基台110の先端側にはラック83の先端側の下面111を支持する支持面113を備える。支持面113は、二重管体70を載置するラック83の上面86が水平面に位置されるように、あるいは、ラック83の先端側の上面がラック83の後端側の上面よりも上方に位置されるように、ラック83の先端側の下面を支持する。基台110は、ラック83が外管2の地山10への挿入方向に延長するように後述する架台154の上面160に設置される。
【0031】
以上の構成によれば、二重管体70をラック83上に載置して二重管体70の内管3の後端部を保持体100で保持して、かつ、押圧面99と内管3の後端面71とを接触させた状態として、ステッピングモータ82を駆動することによって、二重管体70の地山10への挿入角度を調整でき、かつ、モータ92を駆動することによって、二重管体70を前方へと移動させることができる。つまり、ステッピングモータを用いた角度設定装置80により、外管2を地山10への挿入角度に保持する角度保持作業を行うことができ、挿入角度の微調整が可能となるため、作業性が向上する。また、モータ92とラック83とピニオン91とによる簡単な構成の押圧装置90によって、外管2を容易に地山10に設置することが可能となる。
【0032】
図3(b)に示すように、周方向位置決め機構153は、架台154と、周方向移動ガイドレール155と、周方向移動機構156とを備える。
【0033】
図3(a);図8に示すように、架台154は、装置載置部162と、支持部157と、掘削方向移動機構158とを備える。装置載置部162は、円筒を半割りにしたような略半筒形に形成され、半筒の軸に沿った方向と掘削方向とが同じになるように、かつ、外周面を上に向けて設置される。つまり、半筒の外周面により上面160(図10参照)が形成され、半筒の内周面により下面161が形成される。支持部157は、装置載置部162の下面161と連結されて装置載置部162を支持する鉄骨フレーム構造により形成される。掘削方向移動機構158は、坑口186(図5参照)側から切羽115側に延長するようにトンネル空洞部116の底面187に設置されたレール165と、支持部157の下端に設けられてレール165上を走行する車輪166とにより形成される。
【0034】
図3(b);図5;図7に示すように、複数の先受材設置装置1は、装置載置部162の上面160と平行な面上において装置載置部162の上面160の周方向に沿って所定間隔を隔てて配置され、これら複数の先受材設置装置1の基台110の下面163が、装置載置部162の上面160の周方向に沿って平行に延長するように形成された連結部材152によって連結されたことによって、装置連結体167が形成される。
【0035】
図3(a);図4(a)に示すように、周方向移動ガイドレール155は、装置載置部162の上面160の周方向に沿って延長するように装置載置部162の上面160に取り付けられる。周方向移動ガイドレール155は、断面凹形状に形成され、凹部155a内を滑走するように位置される後述の車輪159の脱輪を防止するための脱輪規制部155bを備える。
【0036】
図3(b);図4に示すように、周方向移動機構156は、各先受材設置装置1の基台110の下面163に取り付けられて周方向移動ガイドレール155内を走行可能な車輪159と、歯車駆動機構168とを備える。歯車駆動機構168は、装置載置部162の上面160の周方向に沿って延長するように連結部材152の下面169に取り付けられた内歯車170と、この内歯車170と噛み合う駆動歯車171と、駆動歯車171を駆動するステッピングモータ172と、ステッピングモータ172を制御する周方向移動制御装置173とを備える。
【0037】
次に、設置方法を説明する。複数の基台110が連結部材152によって連結されて装置載置部162の上面160の周方向に沿って所定間隔を隔てて配置され、各基台110に対して角度設定装置80により角度設定される複数のラック83の上面86に二重管体70が設置され、内管3に噴射装置4及び土砂搬出装置5を繋げることによって、複数先受材設置装置が構築される。また、図3(a)に示すように、切羽115に外管2の先端部180を挿入するための目印となる挿入穴119を形成する。つまり、押込作業を行う前に、切羽115にコンクリートを吹き付けて切羽115に図外の吹き付けコンクリート層を形成し、この吹き付けコンクリート層に複数先受材設置装置150の各外管2の先端部180を挿入するための目印となる複数の挿入穴119を形成しておく。このように、切羽115に外管2の先端部180を挿入するための挿入穴119を形成しておくことによって、外管2の先端部180の位置決め作業を容易にできる。図9に示すように、挿入穴119は、トンネル空洞部116の切羽115におけるトンネル空洞部116の内壁面117との境界部118において、内壁面117の周方向に沿って所定の間隔(例えば45cm〜50cm)を隔てて先受材設置装置1の数の2倍の数だけ形成される。この切羽115と内壁面117との境界部118において形成された複数の挿入穴119の中心を繋いだ円弧174の中心175と境界部118における周方向右端に形成された挿入穴119の中心とを結ぶ右端線と、複数の挿入穴119の中心を繋いだ円弧174の中心175と境界部118における周方向左端に形成された挿入穴119の中心とを結ぶ左端線とのなす角度αは120°程度に形成される。この場合、円弧174の中心175と挿入穴119の中心とを繋ぐ直線であって、互いに隣り合う直線と直線とのなす角度β1が8°程度である。
【0038】
そして、図5;図3(b)に示すように、架台154を切羽115側に移動する作業、及び、各先受材設置装置1の押圧装置90による内管押圧作業とを行って複数の外管2の先端部180をそれぞれ対応する挿入穴119に挿入する。この場合、架台154の周方向左右端のいずれかに位置する1つの先受材設置装置1によって設置される外管2の先端部180が境界部118における周方向左右端のいずれかに位置する1つの挿入孔119に挿入されるようにする。つまり、各先受材設置装置1に設置された各外管2の先端部180を位置決めするための位置決め作業を行う。この際、各先受材設置装置1の外管2の先端部180は、境界部118の周方向に沿って並ぶように形成された挿入穴119列に対して1個飛ばしで隣り合う複数の挿入穴119に挿入される。
【0039】
例えば、図9において、切羽115において形成された複数の挿入穴119の中心を円弧174の中心175と各挿入穴119の中心とを線で結んだ場合に、互いに隣り合う線と線とのなす角度β1が例えば8°であり、挿入孔119を1つ挟んで互いに隣り合う2つの挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ2つの直線がなす角度β2が16°であるとすると、例えば、切羽115の右端(坑口186側から切羽115を見た場合の右端)の挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が16°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が32°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が48°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が64°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が80°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が96°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、当該右端の挿入穴119の中心と円弧174の中心175とを結ぶ直線とのなす角度が112°の直線上に中心が位置する挿入穴119と、のそれぞれの挿入穴119にそれぞれ1本の二重管体70の先端部180を挿入できる複数先受材設置装置150を用いればよい。
【0040】
つまり、一度に8本の二重管体70を一緒に地山10に設置できる複数先受材設置装置150を用いればよい。そして、複数の挿入穴119に複数の二重管体70の先端部180を挿入した後に、押込作業と排出作業とを行うことにより、複数の二重管体70を地山10中に押し込んでいって、複数の二重管体70を地山10に設置する(図7(a)参照)。つまり、押込装置6の押圧装置90を駆動して押込作業を行うとともに、排出装置5による排出作業を行う。この排出作業において、吸引ポンプ65で土砂が吸引されていることを確認した後、又は、確認しながら、噴射装置4により噴射作業を行い、以後、押込作業、排出作業、噴射作業を継続させることで、押圧装置90により二重管体70が押されながら、排出装置5により先導ガイド部材8の内側の泥水が吸引されて排出されることで排土が行われるので、二重管体70が地山10にスムーズに押し込まれて地山10に挿入され、地山10に設置される。
尚、噴射作業は、水が先導ガイド部材8の内側だけで流動して、先導ガイド部材8の刃先14よりも前方の地山10に到達しないように、水量や水圧などの条件を設定して行う。二重管体70が地山10に設置された後、ピニオン91をラック83の後端側に移動させて内管3を外管2の内側からトンネル空洞部116に引き抜く。以上により、複数の外管2が地山10に設置される。
【0041】
各内管3に新たな外管2を装着して、複数の先受材設置装置1を再度構築した後に、ステッピングモータ172を起動させて駆動歯車171を駆動することによって、装置連結体167を架台154の上面160の周方向に沿って移動させる。例えば、上述したように8本の外管2を設置した場合においては、ステッピングモータ172を制御して装置連結体167を、例えば、図7(a)の状態から図7(b)の状態となるように左回転方向に8°移動させる。そして、架台154を切羽115側に移動する作業、及び、各先受材設置装置1の押圧装置90による内管押圧作業とを行って複数の外管2の先端部180をそれぞれ対応する残りの挿入穴119に挿入することが可能となる。複数の外管2の先端部180を挿入穴119に挿入した後に、押込作業と排出作業とを行うことにより、二重管体70を地山10中に押し込んでいって、二重管体70を地山10に設置する(図7(b)参照)。その後、ピニオン91をラック83の後端側に移動させて内管3を外管2の内側からトンネル空洞部116に引き抜く。以上により、例えば、図9に白;黒で区別したように8本づつ2回に分けて合計16本の外管2を設置できることになる。
尚、角度α;β1;β2は、トンネル断面の大きさや、地山性状などに応じて適正な値に設定される。例えば、境界部118に沿って地山10に外管2を30本程度設置する場合、角度β1は4°程度である。また、外管2は境界部118に沿って等間隔に設置される。
そして、地山10に設置された外管2の後端開口37から外管2内に直接又はパッカーを用いて地盤改良液を注入することによって、地盤改良液が外管2の貫通孔9を経由して外管2の周囲の地盤に浸透し、これにより、外管2の周囲の地盤が地盤改良される。その後、切羽115を図外の掘削機で掘削する。
【0042】
即ち、周方向位置決め機構153を用いて、複数(例えば8個)の先受材設置装置1をトンネル空洞部116の内壁面117の周方向に沿った方向に一緒に移動させることによって複数の先受材設置装置1を第1の位置181(図7(a)参照)と、第1の位置181よりもトンネル空洞部116の内壁面117の周方向に沿った方向に移動させた第2の位置182と(図7(b)参照)に位置決めする。
【0043】
最良の形態1によれば、高価の穿孔ビットを用いることなく、トンネル空洞部116の切羽115におけるトンネル空洞部116の内壁面117との境界部118から切羽115よりも前方の地山10に向けて内壁面117と交差する方向に長尺先受材としての複数の外管2を挿入して当該外管2を地山10中に設置できるので、先受材設置作業のコストを削減できる。特に、押込作業と排出作業とを行うことにより、同時に複数本の外管2を設置できるので、作業効率が向上する。また、周方向位置決め機構153を備えるので、先受材設置装置1の数の2倍の数の外管2を地山10に容易に設置できるので、作業効率が向上する。言い換えれば、境界部118への外管2の設置本数の半分の数の先受材設置装置1を用いればよいので、境界部118への外管2の設置本数に合わせた数の先受材設置装置1を備えた複数先受材設置装置150を構成する場合(図15参照)に比べて、装置コストを低減できて、しかも、先受材設置装置1の数の2倍の数の外管2を地山10に容易に設置できる。
また、最良の形態1によれば、水が先導ガイド部材8の内側だけで流動して、先導ガイド部材8の刃先14よりも前方の地山10に到達しないように、水量や水圧などの条件を設定して噴射作業を行うので、これにより、排出作業においての吸引水量を少なくできるとともに、先導ガイド部材8の内側に取り込まれた土砂を泥水にできるので、排土をスムーズにできる。また、水が先導ガイド部材8の刃先14よりも前方の地山10に達した場合、先導ガイド部材8の刃先14の前方の地山に外管2の無い状態で孔が掘削されたり、先導ガイド部材8の周囲に先導ガイド部材8の管径以上の径の孔が余掘されてしまって、当該孔部分が崩れて当該孔部分の上方の地山が地盤沈下を起こすという問題が生じてしまう。さらに、水が先導ガイド部材8の刃先14よりも前方の地山10への浸透が進行して時間が経過すると、地山10が固くなり、二重管体70が地山10にスムーズに押し込まれないといった問題も生じてしまう。一方、最良の形態1によれば、水が先導ガイド部材8の刃先14よりも前方の地山10に到達しないようにしたので、上述した問題を解消できる。
【0044】
最良の形態2.
架台154の装置載置部162として図10に示すような装置載置部162を備えた架台154を用いてもよい。装置載置部162の上面160は、坑口186側が頂点側で切羽115側が底面側となる円錐形の周面の一部により形成される。周面の一部とは、例えば、円錐形の周面の頂点に近い側を除いた周方向180°程度の範囲にある面を言う。装置載置部162の下面161は、装置載置部162の上面160と平行な周面により形成される。即ち、装置載置部162は、円錐外周面の内側に円錐中空部を有した中空円錐の頂点側が除去された筒を半割りにしたような半筒形状に形成され、半筒の軸に沿った方向と掘削方向とが同じになるように、かつ、外周面を上に向けて設置される。この半筒の外周面により上面160が形成され、半筒の内周面により下面161が形成される。この装置載置部162の上面160は、坑口186側から切羽115側に向けて拡径する筒の外周面により形成され、その坑口186側から切羽115側に向けてその筒の中心軸に対して傾斜する上面160の傾斜角度は外管2の地山10への挿入角度と同じ角度に形成される。
【0045】
図14に示すように、複数の先受材設置装置1は、装置載置部162の上面160と平行な面上において装置載置部162の上面160の周方向に沿って所定間隔を隔てて配置され、これら複数の先受材設置装置1のラック83の下面111が、装置載置部162の上面160の周方向に沿って平行に延長するように形成された連結部材152によって連結されたことによって、装置連結体167が形成される。図12に示すように、周方向移動機構156は、各先受材設置装置1のラック83の下面111に取り付けられて周方向移動ガイドレール155内を走行可能な車輪159を備える。その他の構成、即ち、架台154の支持部157、掘削方向移動機構158、周方向移動ガイドレール155、歯車駆動機構168は最良の形態1と同じである(図10;図12参照)。
【0046】
次に、設置方法を説明する。連結部材152によって連結されて装置載置部162の上面160の周方向に沿って所定間隔を隔てて配置された複数のラック83の上面86に二重管体70を設置し、内管3に噴射装置4及び排出装置5を繋げることによって、複数先受材設置装置150が構築される。また、最良の形態1と同じように、複数の挿入穴119を形成しておき(図10参照)、図13に示すように、架台154を切羽115側に移動する作業、及び、各先受材設置装置1の押圧装置90による内管押圧作業とを行って複数の外管2の先端部180をそれぞれ対応する挿入穴119に挿入した後に、上述した押込作業と排出作業とを行うことにより、複数の二重管体70を地山10中に押し込んでいって、二重管体70を地山10に設置する(図14(a)参照)。その後、ピニオン91をラック83の後端側に移動させて内管3を外管2の内側からトンネル空洞部116に引き抜く。以上により、複数の外管2が地山10に設置される。そして、各内管3に新たな外管2を装着して、複数の先受材設置装置1を再度構築した後に、ステッピングモータ172を起動させて駆動歯車171を駆動することによって、装置連結体167を架台154の上面160の周方向に沿って移動させる。そして、架台154を切羽115側に移動する作業、及び、各先受材設置装置1の押圧装置90による内管押圧作業とを行って複数の外管2の先端部180をそれぞれ対応する残りの挿入穴119に挿入した後に、上述した押込作業と排出作業とを行うことにより、複数の二重管体70を地山10中に押し込んでいって、二重管体70を地山10に設置する(図14(b)参照)。その後、ピニオン91をラック83の後端側に移動させて内管3を外管2の内側からトンネル空洞部116に引き抜く。以上により、最良の形態1と同じように、例えば、8本づつ2回に分けて合計16本の外管を設置できることになる。
【0047】
最良の形態2によれば、最良の形態1と同じ効果が得られるとともに、最良の形態1の角度設定装置80が不要となり、装置全体を安価にできる。
【0048】
最良の形態3.
図15(a);(b)に示すように、境界部118におけるトンネル空洞部116の内壁面117の周方向に沿った方向に間隔を隔てて所定の数だけ設置される先受材の数に対応した数の複数の先受材設置装置1を搭載した架台154を備えた複数受材設置装置150としてもよい。
【0049】
最良の形態4.
図16に示すような押込装置6aを用いてもよい。押込装置6aは、角度設定装置80と、押圧装置102とを備える。本形態の場合、角度設定装置80は、ステッピングモータ82と、載台125と、ステッピングモータ82を制御する制御装置81とを備える。載台125は外管2の地山10への挿入方向に延長するように設けられる。載台125の延長方向における後端部には軸連結部84を備える。軸連結部84には軸連結孔85が設けられる。軸連結孔85は孔の中心線が載台125の上面123と平行でかつ載台125の延長方向と直交する。回転軸87(モータ軸あるいはモータ軸と連結された軸)が軸連結孔85内に通され、この回転軸87の軸心を回転中心として回転軸87と載台125とが一緒に回転可能となるように、軸連結孔85と回転軸87とがキー89により結合される。載台125上には外管2及び内管3を備えた二重管体70が載置される。
【0050】
押圧装置102は、内管3を挿入方向に押圧する油圧機構103と、油圧機構103を制御する制御装置104と、押圧体94とを備える。油圧機構103は載台125の上面123に設置された搭載台104aに固定されたシリンダ109と、油圧によって外管2の地山10への挿入方向に往復移動可能に設けられたピストン107と、制御装置104とを備える。ピストン107の先端に設けられた取付板108に押圧体94が連結結合される。尚、ステッピングモータ82のケーシング105、回転軸87を回転可能に支持する軸受106、ステッピングモータ82の制御装置81、油圧機構103の制御装置104は基台110に固定される。押圧体94の構成は、最良の形態1の押圧体94の構成と同じである。
【0051】
以上の構成によれば、二重管体70を載台に載置して二重管体70の内管3の後端部を保持体100で保持して、かつ、押圧面99と内管3の後端面71とを接触させた状態として、ステッピングモータ82を駆動することによって、二重管体70の地山10への挿入角度を調整できる。そして、制御装置104が油圧機構103を制御して外管2の地山10への挿入方向にピストン107を伸ばすことで二重管体70を地山10に設置する。制御装置104が油圧機構103を制御して挿入方向と逆方向にピストン107を戻すことで内管3を外管2の内側からトンネル空洞部116に引き抜く。油圧機構103を用いた場合、押圧力を制御装置104で制御でき、外管2を容易に地山10に設置することができる。
【0052】
尚、6m以上のピストンストロークを持つ油圧機構103は特殊装置であるため、例えば、50cm〜1m程度のピストンストロークを持つ油圧機構103を用いて、ピストン107を伸ばして二重管体70を50cm〜1m程度押圧する毎にピストン107を縮退させた後に押圧面99と内管3の後端面71との間にピストン107の力を押圧面99に伝達する伝達材(例えば、後端面71が押圧面99と接触し、先端面が内管3の後端面71と接触する鋼管)を設置すればよい。
【0053】
最良の形態5.
図17に示すように、回転軸87の軸心を回転中心としてラック83や載台125の先端側を上下動させる油圧ジャッキのような昇降装置300を用いた角度設定装置を使用してもよい。
【0054】
最良の形態6.
最良の形態1乃至5において、外管2は長いので外管2を地山10に押し込む際に外管2が上下左右に振れ動きやすい。外管2を地山10に押し込む際に外管2が上下左右に振れ動いてしまうと、内管3の後端側に加えられた力が外管2の先端側に伝達されにくくなって、外管2の先端側に力をスムーズに伝達できず、外管2を地山10に押し込みにくくなる。
そこで、図18に示すように、外管2を地山10に押し込む際に、外管2の上下左右への動きを規制する規制手段301を用いる。規制手段301は、ラック83や載台125の上に載置された外管2をラック83や載台125の方向に押え込むように外管2の上面を抑えて外管の上方への移動を規制する上規制板302と、外管2の右側に設けられて外管の右側への移動を規制する右規制板303と、外管2の左側に設けられて外管の左側への移動を規制する左規制板304と、外管2の下側への移動を規制する下規制板305として機能するラック83や載台125とにより構成される。この規制手段301を用いることによって、外管2を地山10に押し込む際の外管2の上下左右の振れ動きを防止できるので、地山10中に既に入り込んだ外管2を地山10中で真っ直ぐに進行させることができるとともに、まだ地山10中に入っていない外管2を地山10に真っ直ぐに挿入できる。特に、外管2の長さが長い場合に、地山10に近い位置に規制手段301を設ければ効果的である。
【0055】
最良の形態7.
空気を混入させた水を噴射するようにすれば、空気を混入させない場合と比べて噴射力が同じで水量を少なくできるので、排出作業においての吸引水量を少なくできるとともに、先導ガイド部材8の内側に取り込まれた土砂を泥水にできるので、排土をスムーズにできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
外側長尺管7と別体の先導ガイド部材8を用いずに、外側長尺管7の先端そのものを先鋭な環線状の刃11に形成した構成の外管2としてもよい。この場合、外管2の先端よりも中央寄り側の外管2の内側に、内管3の外管押圧部材26の押圧面40と接触して外管2の先端側の管の内面と内管3の先端側の管の外面との間の間隙を塞ぐ被押圧面を設ければよい。刃11は、必ずしも先鋭な環線状の刃でなくともよい。例えば、外管2の先端が細く形成されたような環線状の刃でもよいし、外管2の先端が鋸刃状に形成された刃でもよい。尚、外管2と内管3と刃11は、断面円形状のものに限らず、断面矩形状、その他の形状のものを用いてもよい。
【0057】
内管3の先端に設けられた外管押圧部材26として、外周にねじ部が形成された中央孔付き円形板を用いるとともに、先導ガイド部材8の筒の内面や外管2の内面にねじ部を形成し、これらねじ部をねじ結合してもよい。この場合、外管2を地山10に設置した後に、内管3を回してねじ結合を解除して内管3をトンネル空洞部116に引き抜くことができる。この構成によれば、外管2の先端側の管の内面と内管3の先端側の管の外面との間の間隙を確実に塞ぐことができる。また、内管3と外管2とが一体化された二重管体70を形成できるので、二重管体70の取扱いが容易となる。尚、この構成とした場合、押込作業の際に外管2を押圧することも可能となる。外管2を押す場合は、外管2に水供給ホース51や吸引管68を引き出すための穴や切り欠きを設ければよい。
【0058】
水供給ホース51の先端部を外管押圧部材26の先端面35よりも前方に突出させ、この水供給ホース51の先端開口を噴射ノズル28としてもよい。
【0059】
モータによる回転駆動トルクが不足する場合には歯車減速装置を用いればよい。
【0060】
尚、二重管体70は内壁面117と交差する方向に挿入されるが、この二重管体70と内壁面117との交差角度、即ち、差し角α0は4°とした(図8;図11参照)。
【0061】
切羽115における境界部118に先端部180を挿入するための挿入穴119を形成すれば、先端部180の位置決め作業を容易と出来るが、必ずしも、挿入穴119を形成しなくてもよい。
【0062】
複数の先受材設置1を用いて、複数の先受材の先端部180を境界部118に沿って所定の間隔を隔てて位置決めした後の、当該複数の先受材を境界部118から切羽115よりも前方の地山に向けて内壁面117と交差する方向に挿入して設置する作業は、上述したように複数の先受材設置1で同時に行うようにしてもよいし、複数の先受材設置1毎に個々に時間をずらして行うようにしてもよい。
【0063】
先受材としての外管2として、例えば6m〜15m程度の長さの鋼管7を使用する場合を説明したが、本発明においては、6m以下の外管や15m以上の外管も使用可能である。
【0064】
内管、噴射装置、排出装置を用いないで、外管として機能する管の内側に、内管及び排出装置として機能するオーガのように回転する螺旋羽根を備えた機械を設置し、押込装置でオーガと管とを一緒に地山に押し込みながら、管の内側に取り込まれた土砂をオーガの螺旋羽根を回転させて回転する螺旋路経由でオーガの後方に搬送排出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】先受材設置装置の分解斜視図(最良の形態1)。
【図2】(a)は先受材設置装置の断面図、(b)は図2(a)のA−A断面図(最良の形態1)。
【図3】(a)は架台を示す斜視図、(b)は複数先受材設置装置を示す斜視図(最良の形態1)。
【図4】(a)は押込装置及び周方向位置決め機構を示す図、(b)は押込装置の背面側から押込装置及び周方向位置決め機構を見た図(最良の形態1)。
【図5】(a)は角度設定前の複数先受材設置装置を横から見た図、(b)は先受材の先端部を挿入孔に位置決めした状態を示す図(最良の形態1)。
【図6】(a)は二重管体の先端部を挿入孔に位置決めした状態を拡大した図、(b)は噴射装置から噴射した水により崩れた地山の土砂を吸引しつつ二重管体を地山へ押し込む状態を示す図(最良の形態1)。
【図7】(a);(b)は周方向位置決め機構による周方向位置決め動作を示す斜視図(最良の形態1)。
【図8】外管の差し角を示す図(最良の形態1)。
【図9】トンネル空洞部の内壁面と切羽との境界部より地山に設置された外管を坑口側から見た図(最良の形態1)。
【図10】架台を示す図(最良の形態2)。
【図11】外管の差し角を示す図(最良の形態2)。
【図12】(a)は押込装置及び周方向位置決め機構を示す図、(b)は押込装置の背面側から押込装置及び周方向位置決め機構を見た図(最良の形態2)。
【図13】(a)は角度設定前の複数先受材設置装置を横から見た図、(b)は先受材の先端部を挿入孔に位置決めした状態を示す図(最良の形態2)。
【図14】(a);(b)は周方向位置決め機構による周方向位置決め動作を示す図(最良の形態2)。
【図15】(a)は地山に設置する外管の数に対応した複数の二重管体の先端部を挿入穴に位置決めした状態を示す図、(b)は地山に設置する外管の数に対応した複数の二重管体を地山に設置した状態を示す図(最良の形態3)。
【図16】(a)は押込装置を後方から見た図、(b)は押込装置の側面図(最良の形態4)。
【図17】上下動ジャッキを用いた角度設定方法を示す図(最良の形態5)。
【図18】(a)は規制手段を示す斜視図、(b)は規制手段と外管との関係を示す正面図(最良の形態6)。
【符号の説明】
【0066】
1 先受材設置装置、2 外管、3 内管、4 噴射装置、5 排出装置、
6 押込装置、9 貫通孔、10 地山、115 切羽、
116 トンネル空洞部、117 内壁面、118 境界部、119 挿入穴、
150 複数先受材設置装置、153 周方向位置決め機構、
181 第1の位置、182 第2の位置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル空洞部の切羽におけるトンネル空洞部の内壁面との境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に先受材を挿入して設置する場合に、境界部におけるトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて複数の先受材を並べて設置する先受材設置方法において、内面と外面とに貫通する複数の貫通孔を備えた先受材としての管と、当該管の先端部に設けられた刃と切羽とを接触させて上記管を地山に押し込む押込装置とを備えた先受材設置装置を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置したことを特徴とする先受材設置方法。
【請求項2】
トンネル空洞部の切羽におけるトンネル空洞部の内壁面との境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に先受材を挿入して設置する場合に、境界部におけるトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて複数の先受材を並べて設置する先受材設置方法において、内面と外面とに貫通する複数の貫通孔を備えた先受材としての管と、当該管の内側に設けられた内管と、上記管の先端部に設けられた刃と切羽とを接触させて内管と上記管とを一緒に地山に押し込む押込装置と、上記管の後端側から内管と上記管との間を経由させて上記管の先端部の内側に水を噴射させる噴射装置と、地山から上記管の先端部の内側に取り込まれた土砂と先端部の内側に噴射された水とが混じり合った泥水を内管の内部空間経由で吸引して内管の外に排出する排出装置とを備えた先受材設置装置を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置したことを特徴とする先受材設置方法。
【請求項3】
複数の先受材の設置作業を同時に行ったことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の先受材設置方法。
【請求項4】
複数の先受材を挿入して設置する作業を行う複数先受材設置装置を用い、複数先受材設置装置は、先受材毎に当該先受材を挿入して設置する作業を行う先受材設置装置と、当該複数の先受材設置装置をまとめてトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に移動させて所定の位置に位置決めする周方向位置決め機構とを備え、周方向位置決め機構により当該複数の先受材設置装置を第1の位置に位置決めして複数の先受材設置装置で複数の先受材を挿入して設置する作業を行った後に、周方向位置決め機構により当該複数の先受材設置装置を第1の位置よりもトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に移動させた第2の位置に位置決めして複数の先受材設置装置で複数の先受材を挿入して設置する作業を行ったことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の先受材設置方法。
【請求項1】
トンネル空洞部の切羽におけるトンネル空洞部の内壁面との境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に先受材を挿入して設置する場合に、境界部におけるトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて複数の先受材を並べて設置する先受材設置方法において、内面と外面とに貫通する複数の貫通孔を備えた先受材としての管と、当該管の先端部に設けられた刃と切羽とを接触させて上記管を地山に押し込む押込装置とを備えた先受材設置装置を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置したことを特徴とする先受材設置方法。
【請求項2】
トンネル空洞部の切羽におけるトンネル空洞部の内壁面との境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に先受材を挿入して設置する場合に、境界部におけるトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて複数の先受材を並べて設置する先受材設置方法において、内面と外面とに貫通する複数の貫通孔を備えた先受材としての管と、当該管の内側に設けられた内管と、上記管の先端部に設けられた刃と切羽とを接触させて内管と上記管とを一緒に地山に押し込む押込装置と、上記管の後端側から内管と上記管との間を経由させて上記管の先端部の内側に水を噴射させる噴射装置と、地山から上記管の先端部の内側に取り込まれた土砂と先端部の内側に噴射された水とが混じり合った泥水を内管の内部空間経由で吸引して内管の外に排出する排出装置とを備えた先受材設置装置を複数用いて、複数の先受材の先端部を境界部に沿った方向に間隔を隔てて位置決めした後に、当該複数の先受材を境界部から切羽よりも前方の地山に向けて内壁面と交差する方向に挿入したことによって複数の先受材をトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に間隔を隔てて並ぶように設置したことを特徴とする先受材設置方法。
【請求項3】
複数の先受材の設置作業を同時に行ったことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の先受材設置方法。
【請求項4】
複数の先受材を挿入して設置する作業を行う複数先受材設置装置を用い、複数先受材設置装置は、先受材毎に当該先受材を挿入して設置する作業を行う先受材設置装置と、当該複数の先受材設置装置をまとめてトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に移動させて所定の位置に位置決めする周方向位置決め機構とを備え、周方向位置決め機構により当該複数の先受材設置装置を第1の位置に位置決めして複数の先受材設置装置で複数の先受材を挿入して設置する作業を行った後に、周方向位置決め機構により当該複数の先受材設置装置を第1の位置よりもトンネル空洞部の内壁面の周方向に沿った方向に移動させた第2の位置に位置決めして複数の先受材設置装置で複数の先受材を挿入して設置する作業を行ったことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の先受材設置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図18】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
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【図15】
【図18】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−53674(P2010−53674A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222926(P2008−222926)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(502281127)株式会社ファテック (83)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(502281127)株式会社ファテック (83)
【Fターム(参考)】
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