説明

光コネクタアダプタ

【課題】漏れ光の確認が難しい光ファイバ、例えば光ドロップケーブルを使用する場合であっても、この光ファイバの先端の光コネクタを接続することで、非破壊で、活線状態のまま、導通確認や対照検査を実現できる光コネクタアダプタの提供。
【解決手段】光コネクタ21が両端側から接続されるアダプタハウジング2に、光コネクタ21が突き合わせ接続される一対のフェルール9、9が互いに離隔させて収納された光コネクタアダプタ1。フェルール9、9は、アダプタハウジング2内のファイバ収納空間12に引き通された中継光ファイバ11によって互いに接続されている。フェルール9は、光コネクタ21をファイバ収納空間12側へ押し込むことで移動可能とされ、この移動によって、中継光ファイバ11を湾曲させて漏れ光を放出可能な状態とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタアダプタに係り、光ファイバ同士のコネクタ接続作業等において、導通確認や対照検査を要する場合に好適な光コネクタアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
光線路における各配線の導通確認、光ファイバ対照検査の手法として、導通状態を維持したまま光ファイバに曲げを与えて漏れ光を発生させ、この漏れ光を、心線対照機(いわゆるIDテスタ)等の光ファイバ対照装置で受光し、光ファイバ対照装置の識別機能を利用した光ファイバの識別(対照)等を行う手法が普及している。
このような手法において、漏れ光を発生させる光ファイバは、一般的には、光ファイバ心線、光ファイバ素線である。
光ファイバ対照装置に関する技術として、例えば特許文献1〜4が知られている。
【特許文献1】特開昭60−88328号公報
【特許文献2】特開2005−265524号公報
【特許文献3】特開2006−119358号公報
【特許文献4】特開2006−153495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
架空光通信網から家屋(加入者宅)への配線は、架空クロージャから引き落とした光ドロップケーブルと、宅内配線とをコネクタ接続した接続箇所を、家屋の外壁に取り付けたキャビネット内に設置することが通常である。
光ドロップケーブルと宅内配線とのコネクタ接続にあっては、光ドロップケーブルの先端に取り付けた光コネクタ(光コネクタプラグ)を光コネクタアダプタに挿入して、この光コネクタアダプタ内にて宅内配線とコネクタ接続する。
近年では、光ケーブルの外被を把持し固定する、いわゆる外被把持型の光コネクタが多く用いられてきている。
この構造の光コネクタは、光ファイバ素線が露出されないため、クロージャからキャビネットまでの区間では光ファイバ素線の露出部分が無くなる。さらに、一般的な光ドロップケーブルは、光ファイバ素線を外被中に埋設した構造であるため、光ファイバ素線からの漏れ光が外部に放出されにくい。
このため、コネクタ接続した状態(活線状態)のままでは、光ファイバの導通確認や対照検査が難しいという問題があった。
【0004】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、漏れ光の確認が難しい光ファイバ、例えば光ドロップケーブルを使用する場合であっても、この光ファイバの先端の光コネクタを接続することで、非破壊で、活線状態のまま、導通確認や対照検査を実現できる光コネクタアダプタの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
本発明の請求項1にかかる光コネクタアダプタは、光コネクタが両端側から接続されるアダプタハウジングに、前記光コネクタが突き合わせ接続される一対のフェルールが互いに離隔させて収納され、前記一対のフェルールが、前記アダプタハウジング内のファイバ収納空間に引き通された中継光ファイバによって互いに接続され、前記フェルールの一方または両方は、前記光コネクタを接続位置から前記ファイバ収納空間側へ押し込むことで、前記ファイバ収納空間側へ移動可能とされ、この移動によって、前記中継光ファイバをたわませ湾曲させて漏れ光を放出可能な状態とすることができることを特徴とする。
本発明の請求項2にかかる光コネクタアダプタは、請求項1において、前記アダプタハウジングに、前記光コネクタが接続される一対のコネクタ嵌合部が設けられ、前記一対のフェルールが、それぞれ前記一対のコネクタ嵌合部に組み込まれ、前記アダプタハウジングが、前記コネクタ嵌合部間の距離が可変であり、これらコネクタ嵌合部間の距離を変えることで、前記中継光ファイバが漏れ光を放出させない通常状態と、湾曲により漏れ光を放出可能な漏光発生状態との切り換えが可能であることを特徴とする。
本発明の請求項3にかかる光コネクタアダプタは、請求項1または2において、前記アダプタハウジングには、前記フェルールを互いに離間する方向に付勢し、前記中継光ファイバを漏れ光放出可能な状態から放出されない状態にするスプリングが組み込まれていることを特徴とする。
本発明の請求項4にかかる光コネクタアダプタは、請求項1〜3のいずれか1項において、前記アダプタハウジングに、前記ファイバ収納空間内の中継光ファイバから放出された漏れ光を前記アダプタハウジングの外側に放射させる光放射部としての開口窓が設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項5にかかる光コネクタアダプタは、請求項4において、前記アダプタハウジングに、前記光放射部を開閉する開閉部材が設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項6にかかる光コネクタアダプタは、請求項4において、前記光放射部に、透明材料からなり、前記漏れ光が透過する透光部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る光コネクタアダプタよれば、一対のフェルールの一方または両方がファイバ収納空間側に移動可能であるので、フェルール間の距離を変えることで、中継用光ファイバに曲げを付与し、漏れ光を放出させ、この漏れ光を検出することによって導通確認や対照検査が可能となる。
従って、光ドロップケーブルのように、漏れ光を放出させるのが難しい光ファイバを使用する場合であっても、導通確認や対照検査を非破壊で実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施した光コネクタアダプタについて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の光コネクタアダプタの一例である光コネクタアダプタ1の概略構成を示す断面図である。
光コネクタアダプタ1は、アダプタハウジング2内に、一対のコネクタ嵌合部3、3と、これらの間に設けられたスプリング4と、コネクタ嵌合部3、3に組み込まれた接続用フェルール9、9と、接続用フェルール9、9を互いに接続する中継用光ファイバ11とを備えて構成されている。
以下の説明において、一方のコネクタ嵌合部3が、他方のコネクタ嵌合部3に近づく方向を前方といい、その逆方向を後方ということがある。
【0008】
アダプタハウジング2は、スリーブ状に形成され、両端の開口は、光コネクタ21が接続されるコネクタ接続部5となっている。
コネクタ嵌合部3は、嵌合部本体7と、筒状のフェルール保持部8とを備えている。
嵌合部本体7の一端側(コネクタ接続部5側)の開口は、光コネクタ21が挿入されるコネクタ挿入部10となっている。嵌合部本体7は、光コネクタ21が挿入される方向がアダプタハウジング2の軸方向に沿うように設けられている。
【0009】
フェルール保持部8は、スリーブ状に形成され、アダプタハウジング2の軸方向に沿って形成されている。
フェルール保持部8の前端には、内方に突出したストッパ突起8aが形成されており、これによって、接続用フェルール9の前方移動が規制されている。フェルール保持部8には割りスリーブ8bが設けられ、割りスリーブ8bに接続用フェルール9が挿通している。
【0010】
接続用フェルール9は、中心軸に沿って光ファイバ導入孔(図示略)が形成され、この光ファイバ導入孔内に、光ファイバ裸線などからなる内蔵光ファイバ(図示略)が挿入され固定されている。この内蔵光ファイバは接続用フェルール9の後端面(接続端面9b)に露出されている。接続用フェルール9は、例えば、ガラス、セラミック(ジルコニア等)で形成されたものが採用可能である。
接続用フェルール9の前端部には、ストッパ突起8aが当接するフランジ部9aが設けられている。
【0011】
中継用光ファイバ11は、後述の曲げを付与することによって漏れ光が放出可能なものが用いられ、例えば光ファイバ心線、光ファイバ素線が使用できる。中継用光ファイバ11は、接続用フェルール9の前端に接続され、接続用フェルール9内の内蔵光ファイバ(図示略)に光接続されている。
中継用光ファイバ11は、アダプタハウジング2内において、コネクタ嵌合部3、3間のファイバ収納空間12に引き通されている。
【0012】
コネクタ嵌合部3、3の一方または両方は、アダプタハウジング2内で、前後方向に移動可能とされる。このため、接続用フェルール9、9間の距離は可変である。
このコネクタ嵌合部3の移動幅は、後述するように、中継用光ファイバ11を湾曲させて漏れ光を放出させることができるように設定される。
コネクタ嵌合部3には、光コネクタ21が係止する係止爪などの係止手段(図示略)を設けるのが好ましい。
【0013】
アダプタハウジング2の長さ方向中間部には、光放射部6が形成されている。光放射部6は、漏れ光をアダプタハウジング2の外側に放出させる開口窓である。
光放射部6は、接続用フェルール9、9を結ぶ直線に対して中継光ファイバ11の湾曲部分の頂部が位置する側に形成されていることが好ましい(図3を参照)。
アダプタハウジング2内には、接続用フェルール9の移動に伴って移動する中継用光ファイバ11を案内するガイド部(図示略)を設けてもよい。ガイド部を形成することによって、中継用光ファイバ11の湾曲部分を確実に光放射部6に向け、精度の高い漏れ光の検出が可能となる。
【0014】
スプリング4は、コネクタ嵌合部3、3を互いに離間する方向に付勢するように設置された付勢部材である。スプリング4としては、コイルスプリングが好ましいが、コネクタ嵌合部3を付勢できるものであればよく、板バネ等の弾性体であってもよい。
スプリング4は、中継用光ファイバ11からの漏れ光が光放射部6から放出されるのを妨げないように設置される。スプリング4の数は、1または2以上としてよい。
【0015】
アダプタハウジング2に接続される光コネクタ21の具体例としては、例えば、JIS C 5973に規定されるSC形光コネクタ(Single fiber Coupling optical fiber connector)や、JIS C 5983に規定されるMU形光コネクタ(Miniature-Unit coupling optical fiber connector)等、各種の光コネクタが挙げられる。
光コネクタ21に組み込まれたフェルール23に内挿固定された内蔵光ファイバ(図示略)は、光ファイバ22の光線路の一部を構成する。
光コネクタ21としては、外被把持型のもの、例えばフェルール23を有するコネクタ本体と、光ファイバ22の外被を把持してコネクタ本体に固定する把持機構(図示略)とを備えたものが好適である。コネクタ本体は、例えばフェルール23と、フェルール23の内蔵光ファイバを光ファイバ22から引き出された光ファイバに接続する接続機構と、これらを収容するハウジングとを備えたものである。
【0016】
光コネクタ21が組み立てられる光ファイバ22としては、光ドロップケーブル、光インドアケーブルなどの光ファイバケーブルを例示できる。また、光ファイバ心線、光ファイバコードなどにも適用できる。
図4は、光ドロップケーブルの一例を示す断面図である。光ドロップケーブル51は、光ファイバエレメント部51dと、光ファイバエレメント部51dの側部に添えられた金属線51eを外被51cによって被覆した支持線部51fとを備えている。光ファイバエレメント部51dは、光ファイバ51aとその両側に配置した抗張力体51bとを外被51cで一括被覆したものである。
光ファイバエレメント部51dと支持線部51fとの間は、外被51cの薄肉部51gを介して繋がっており、薄肉部51gを切断することで、支持線部51fを光ファイバエレメント部51dから分離できる。
光ファイバ51aは、光ファイバエレメント部51dの断面中央部に埋設されており、光ファイバエレメント部51dを、ノッチ51hから2つに分割することで、光ファイバ51aを露出させることができる。抗張力体51bは、光ファイバ51aに沿って縦添えされた線条体であり、その材質は、例えばFRPである。支持線部51fの金属線51eとしては、例えば鋼線等が用いられる。
いわゆる光インドアケーブルは、例えば光ファイバエレメント部51dと同様の構成である。
【0017】
光ファイバ22の配線および光コネクタアダプタ1の設置箇所は、例えば次のようにすることができる。
架空クロージャ(図示略)から引き落とされた光ファイバ22(例えば光ドロップケーブル)と、宅内配線である光ファイバ22(例えば光インドアケーブル)とをコネクタ成端して光コネクタアダプタ1で接続し、この光コネクタアダプタ1を、利用者宅に設置されたキャビネット(図示略)の内部に設置することができる。
光コネクタアダプタ1は、利用者宅の外壁に設置することができる。
また、架空クロージャと利用者宅のキャビネットとの中間位置において、光ファイバ22に光コネクタアダプタ1を介在させ、この光コネクタアダプタ1を、光ファイバ22の中間位置に設置した中継クロージャ(図示略)内に収容してもよい。
【0018】
次に、光ファイバ22、22を光コネクタアダプタ1に接続し、その導通を確認する方法について説明する。
図2に示すように、アダプタハウジング2の両端側から、コネクタ嵌合部3、3のコネクタ挿入部10、10に、それぞれ光コネクタ21、21を接続する。
光コネクタ21のフェルール23は、フェルール保持部8に挿入され、フェルール保持部8内で、接続用フェルール9の後端面(接続端面9b)と突き合わせられる。これによって、光ファイバ22と接続用フェルール9とが光接続される。
【0019】
アダプタハウジング2内の一対の接続用フェルール9、9は、中継用光ファイバ11を介して光接続されているため、光コネクタアダプタ1の両端の光ファイバ22、22は、互いに光接続される。
図2に示すコネクタ嵌合部3の位置を接続位置と呼ぶ。この接続位置では、中継用光ファイバ11は真っ直ぐな状態である。中継用光ファイバ11は、コネクタ嵌合部3が接続位置にあるときに、曲げ損失が発生しない曲率で曲がっていてもよい。
このように、中継用光ファイバ11が真っ直ぐまたは曲げ損失を発生しない曲率で曲がっている状態を通常状態という。
【0020】
図3に示すように、光ファイバ22に光を入射させた状態で、光コネクタ21の一方または両方を、ファイバ収納空間12に向けて押し込むことによって、スプリング4の付勢力に抗してコネクタ嵌合部3を前方移動させる。
2つのコネクタ嵌合部3、3の離間距離が小さくなることによって、接続用フェルール9、9が互いに接近し、中継用光ファイバ11にはたわみが生じ、曲げ損失が発生する曲率で湾曲する。この湾曲部分を符号11aで示す。図示例では、湾曲部分11aは中継用光ファイバ11のほぼ中央部分である。
この湾曲によって、中継用光ファイバ11から漏れ光が放出される。このように、中継用光ファイバ11が漏れ光を放出可能な曲げを付与された状態を漏光発生状態という。
【0021】
中継用光ファイバ11から発生した漏れ光は、光放射部6を通してアダプタハウジング2の外部に放出される。漏れ光は、汎用の光検出器(図示略)により検出することができる。この漏れ光の放出の有無に基づいて、光ファイバ22、22の導通を確認できる。
また、光ファイバ22に試験光を入射し、光コネクタアダプタ1で検出された漏れ光の特性(例えば波長特性)を調べることによって、光ファイバ22が、目的の光ファイバであるか否かを判定する対照検査を行うことができる。
【0022】
中継用光ファイバ11の曲げ状態は、現用回線に影響を与えない程度の伝送損失を維持するものとするのが好ましい。これによって、光ファイバ22を現用回線として使用している状況であっても、この現用回線の通信に影響を与えることなく、導通確認、対照検査を行うことができる。
【0023】
光コネクタ21の押し込み方向への押圧を停止すると、スプリング4の付勢力によってコネクタ嵌合部3は後退し、2つのコネクタ嵌合部3、3の距離が大きくなり、中継用光ファイバ11は通常状態に戻る。
【0024】
光コネクタアダプタ1では、接続用フェルール9が移動可能であるため、接続用フェルール9、9間の距離を変えることで、中継用光ファイバ11に曲げを付与し、漏れ光を放出させ、この漏れ光を検出することによって導通確認や対照検査が可能となる。
従って、光ドロップケーブルのように、漏れ光を放出させるのが難しい光ファイバ22を使用する場合であっても、導通確認や対照検査を非破壊で実現できる。
【0025】
図5は、本発明の光コネクタアダプタの具体的な構成例を示す断面図である。以下の説明において、図1に示す光コネクタアダプタ1との共通点については同一符号を付してその説明を省略する。
ここに示す光コネクタアダプタ31は、スリーブ状のアダプタハウジング2内に、一対のコネクタ嵌合部33、33と、これらの間に設けられたスプリング4と、コネクタ嵌合部33、33に組み込まれた接続用フェルール9、9と、中継用光ファイバ11を備えている。
【0026】
コネクタ嵌合部33は、嵌合部本体37と、嵌合部本体37から後方に延出するフェルール保持部38とを備えている。
嵌合部本体37は、アダプタハウジング2の内面形状に沿う外面形状を有するブロック状の主部35と、主部35の後端面の周縁部から後方に延出する筒状延出部36とを有する。筒状延出部36の内側は、光コネクタ21が挿入されるコネクタ挿入凹所36aとなっている。
主部35には、接続用フェルール9が挿通する挿通孔35aが前後方向に沿って形成されている。主部35の前端部には、挿通孔35a内面から内方に突出したストッパ突起35bが形成されている。
【0027】
フェルール保持部38は、主部35の後端面中央から後方に延出する筒状に形成され、その内部には、接続用フェルール9が挿入される割りスリーブ32が設けられている。
割りスリーブ32の前部は、主部35の挿通孔35aに挿入されている。
接続用フェルール9の外周には、割りスリーブ32の内径より大きい外径を有するフランジ部9aが形成されており、フランジ部9aが割りスリーブ32の前端部に当接することによって接続用フェルール9の後方移動が規制されている。
【0028】
挿通孔35a内には、接続用フェルール9が挿通するスプリング34が設けられている。スプリング34は、後端がフランジ部9aに当接し、前端がストッパ突起35bに当接している。スプリング34は接続用フェルール9を後方に付勢しており、光コネクタ21のフェルール23に対する突き合わせ力を与えるようになっている。
接続用フェルール9の前端部に接続された中継用光ファイバ11は、コネクタ嵌合部33、33間のファイバ収納空間12に引き通されている。
コネクタ嵌合部33、33の一方または両方は、アダプタハウジング2内で、前後方向に移動可能とされる。
【0029】
光コネクタアダプタ31にコネクタ接続される光ファイバ22の導通を確認するには、光コネクタ21をコネクタ挿入凹所36aに挿入することによってコネクタ嵌合部33に接続した後、コネクタ嵌合部33、33の少なくとも一方を前方移動させて中継用光ファイバ11に曲げを付与し、漏れ光を発生させ、この漏れ光を検出する。
図5における符号11aは中継用光ファイバ11の湾曲部分であり、符号11bは湾曲部分11aの頂部である。
【0030】
図6〜図8は、本発明の光コネクタアダプタの変形例を示すものである。
図6に示す例では、アダプタハウジング2の外面に、光放射部6を開閉する開閉部材41が設けられている。
開閉部材41は、アダプタハウジング2の外面に沿ってスライド移動可能であり、実線で示すように光放射部6を覆う閉止位置と、2点鎖線で示すように光放射部6を開放する開放位置との間を移動できる。
図7に示す例では、開閉部材41が、端部に設けられたヒンジ部41aでアダプタハウジング2に接続されている。開閉部材41は、実線で示す閉止位置と2点鎖線で示す開放位置との間でヒンジ部41aを支点として回動することによって光放射部6を開閉する。
【0031】
この構成によれば、通常時には光放射部6を閉止しておき、導通確認や対照検査を行なうときにのみ光放射部6を開放することができる。
光放射部6を閉止できるため、通常時において塵埃等がアダプタハウジング2内に入るのを防止し、光コネクタアダプタ1内を清浄に保ち、精度の高い漏れ光検出が可能となる。
【0032】
図8に示す例では、光放射部6が透光部42によって閉止されている。透光部42は、透明材料(例えばガラス、合成樹脂)からなり、漏れ光が透過可能である。
この構成によれば、塵埃等がアダプタハウジング2内に入るのを防止し、光コネクタアダプタ1内を清浄に保ち、精度の高い漏れ光検出が可能となる。
また、透光部42の表面に、漏れ光によって蛍光を発する蛍光材料を塗布し、この表面に蛍光部を形成してもよい。これによって、漏れ光の検出が容易になる。
【0033】
なお、図示例では、漏れ光が、直接光放射部6を通して放出されるが、これに限らず、アダプタハウジング2内に、漏れ光を反射して光放射部6に導く反射部を設けてもよい。この反射部としては、汎用のミラーを使用できる。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
図5に示す光コネクタアダプタ31を使用し、光コネクタ21をコネクタ嵌合部33に接続した後、光ファイバ22に試験光(波長:1.55μm、強度:−20dBm)を入射し、コネクタ嵌合部33、33を互いに接近する方向に押し込んで中継用光ファイバ11に曲げを付与した。コネクタ嵌合部33の押し込み量(コネクタ嵌合部33、33の接近距離)は1.6mmとした。中継用光ファイバ11は光ファイバ素線である。
中継用光ファイバ11からの漏れ光を光検出器により測定した。光検出器としては、光ファイバ心線対照機(フジクラ製、FID12R)の受光部を使用した。この光検出器の測定限界(下限)は−60dBmである。
【0035】
【表1】

【0036】
表1に示すように、中継用光ファイバ11の長さを適切に設定すれば(例えば22〜28mm)、接続損失の増加を低く抑えつつ、漏れ光の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の光コネクタアダプタの一例である光コネクタアダプタ1の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す光コネクタアダプタに光コネクタを接続した状態を示す断面図である。
【図3】図1に示す光コネクタアダプタにおいて、中継用光ファイバに曲げを付与した状態を示す断面図である。
【図4】本発明を適用可能な光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。
【図5】本発明の光コネクタアダプタの具体的な構成例を示す断面図である。
【図6】本発明の光コネクタアダプタの変形例を示す断面図である。
【図7】本発明の光コネクタアダプタの変形例を示す断面図である。
【図8】本発明の光コネクタアダプタの変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1・・・光コネクタアダプタ、2・・・アダプタハウジング、3、33・・・コネクタ嵌合部、4・・・スプリング、6・・・光放射部、9・・・接続用フェルール、11・・・中継用光ファイバ、12・・・ファイバ収納空間、41・・・開閉部材、42・・・透光部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタ(21)が両端側から接続されるアダプタハウジング(2)に、前記光コネクタが突き合わせ接続される一対のフェルール(9)が互いに離隔させて収納され、
前記一対のフェルールが、前記アダプタハウジング内のファイバ収納空間(12)に引き通された中継光ファイバ(11)によって互いに接続され、
前記フェルールの一方または両方は、前記光コネクタを接続位置から前記ファイバ収納空間側へ押し込むことで、前記ファイバ収納空間側へ移動可能とされ、この移動によって、前記中継光ファイバをたわませ湾曲させて漏れ光を放出可能な状態とすることができることを特徴とする光コネクタアダプタ(1)。
【請求項2】
前記アダプタハウジングに、前記光コネクタが接続される一対のコネクタ嵌合部(3、33)が設けられ、
前記一対のフェルールが、それぞれ前記一対のコネクタ嵌合部に組み込まれ、
前記アダプタハウジングは、前記コネクタ嵌合部間の距離が可変であり、これらコネクタ嵌合部間の距離を変えることで、前記中継光ファイバが漏れ光を放出させない通常状態と、湾曲により漏れ光を放出可能な漏光発生状態との切り換えが可能であることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタアダプタ。
【請求項3】
前記アダプタハウジングには、前記フェルールを互いに離間する方向に付勢し、前記中継光ファイバを漏れ光放出可能な状態から放出されない状態にするスプリング(4)が組み込まれていることを特徴とする請求項1または2記載の光コネクタアダプタ。
【請求項4】
前記アダプタハウジングに、前記ファイバ収納空間内の中継光ファイバから放出された漏れ光を前記アダプタハウジングの外側に放射させる光放射部(6)としての開口窓が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光コネクタアダプタ。
【請求項5】
前記アダプタハウジングに、前記光放射部を開閉する開閉部材(41)が設けられていることを特徴とする請求項4記載の光コネクタアダプタ。
【請求項6】
前記光放射部に、透明材料からなり、前記漏れ光が透過する透光部(42)が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の光コネクタアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−103837(P2009−103837A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274378(P2007−274378)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】