説明

光コネクター

【課題】光導波路部材同士を、光学的に連続するように相互に接続する場合に、相互の光導波路の光軸の位置合わせが不要で、光導波路部材同士を相互に接続するだけで、相互の光導波路の光軸を合致させることができ、光軸がずれることがなく、信号のロスが発生せず、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる光コネクターを提供する。
【解決手段】複数の光導波路部材を、その光導波路が光学的に連続するように相互に接続するための光コネクターであって、光導波路部材の表面から厚さ方向に突設するように形成した接点部を備え、複数の光導波路部材を、対向する接点部を相互に嵌合することによって、その光導波路が光学的に連続するように相互に接続するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高速光通信、光ネットワーク、光情報処理、光画像処理など、各種光システムにおいて、光集積回路などに用いられる光導波路を、光学的に連続するように相互に接続するための光コネクターに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチメディア時代を迎え、光通信システムやコンピュータにおける情報処理の大容量化と高速化の要求から、FTTHなどの超高速通信、次世代の情報処理技術として、光の伝播媒体である光導波路が注目されている。
【0003】
この光導波路は、光導波路を形成するコアと、このコアを取り囲むように形成され、コアと屈折率が異なるクラッドとから構成されている。そして、コアとクラッドの屈折率が異なることによって、コア内に入射した光が、境界面で全反射されて、光りがほとんど損失なく伝搬されるようになっている。
【0004】
ところで、このような光の伝播媒体分野においては、例えば、光ファイバーと光導波路を光学的に連続するように相互に接続する光コネクターとして、特許文献1(特開2006−285291号公報)において、光軸調芯用スリーブを用いて、光ファイバーと光導波路部材の一方に、突起またはピン状部材を設け、他方に取り付け固定用の凹部または貫通孔が設けて、調心された状態で光学的に結合されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−285291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような光導波路同士を、光学的に連続するように相互に接続する場合には、相互の光導波路の光軸を合致させてアライメントすることが重要であり、例えば、コア径が、30μm〜50μmであれば、±1μmの誤差範囲に抑える必要がる。
【0007】
従って、光軸がずれてしまった場合には、信号のロスが発生したり、信号が伝送されず、各種光システムが駆動しないことになってしまう。このような問題は、光集積回路などの多数の光導波路を同時に、相互に光学的に連結する場合には、上記のような問題が重要となる。
【0008】
しかしながら、特許文献1のような、光コネクターでは、光軸調芯用スリーブの配置(位置合わせ)の際の精度によっては、上記のように光軸がずれてしまった場合には、上記のように、信号のロスが発生したり、信号が届かず、各種光システムが駆動しないことになってしまうおそれがある。
【0009】
また、特許文献1のような、光コネクターでは、部品点数も多く、複雑な組み立てが必要であり、コストも高くなり、大型化してしまうことになり、小型化・薄型化、大容量化に反することになる。さらに、光集積回路などの多数の光導波路を同時に、相互に光学的に連結する場合には、上記の問題が顕著に生じることにもなる。
【0010】
本発明はこのような現状を鑑み、光導波路部材同士を、光学的に連続するように相互に
接続する場合に、相互の光導波路の光軸の位置合わせが不要で、光導波路部材同士を相互に接続するだけで、相互の光導波路の光軸を合致させることができ、光軸がずれることがなく、信号のロスが発生せず、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる光コネクターを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、光導波路部材の着脱を繰り返した場合であっても、光導波路部材同士の接続保持力や光の伝播の低下を防止することができ、しかも、全体としてスペースを小さくすることができ、光導波路部材、光集積回路などの小型化・薄型化を図ることができる光コネクターを提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、光導波路部材に、電気回路を付設した場合にも、電気回路の相互の電気的接続が容易で、しかも、光導波路部材の着脱を繰り返した場合であっても、電気回路同士の接続保持力や電気特性の低下を防止することができ、しかも、全体としてスペースを小さくすることができ、小型化・薄型化を図ることができる、いわゆる光電気混載コネクターとして機能する光コネクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の光コネクターは、
複数の光導波路部材を、その光導波路が光学的に連続するように相互に接続するための光コネクターであって、
前記光導波路部材の表面から厚さ方向に突設するように形成した接点部を備え、
複数の光導波路部材を、対向する接点部を相互に嵌合することによって、その光導波路が光学的に連続するように相互に接続するように構成したことを特徴とする。
【0014】
このように構成することによって、複数の光導波路部材を、光導波路部材の表面から厚さ方向に突設するように形成した対向する接点部同士を、相互に嵌合するだけで、その光導波路が光学的に連続するように相互に接続することができる。
【0015】
従って、相互の光導波路の光軸の位置合わせが不要で、光導波路部材同士を相互に接続するだけで、相互の光導波路の光軸を合致させることができ、光軸がずれることがなく、信号のロスが発生せず、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0016】
また、一方の光導波路部材の接点部と、他方の光導波路部材の接点部とが嵌合しているため、光導波路部材の表面と平行な方向の力だけでなく、光導波路部材の平面方向に垂直な方向の力に対しても対処することができ、十分な接続保持力を確保することができるので、光導波路部材同士が容易にはずれることはない。
【0017】
従って、光導波路部材の着脱を繰り返した場合であっても、光導波路部材同士の接続保持力や光の伝播効率の低下を防止することができ、しかも、クランプやカバーなどを用いて、光導波路部材同士が容易に外れるのを防ぐ必要がないため、全体としてスペースを小さくすることができ、光導波路部材の小型化・薄型化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の光コネクターは、前記光導波路部材のうち、一方の光導波路部材の接点部の先端部分に、大径部が形成されていることを特徴とする。
【0019】
このように構成することによって、一方の光導波路部材の接点部の先端部分に、大径部が形成されているので、光導波路部材の表面と平行な方向の力だけでなく、光導波路部材の平面方向に垂直な方向の力に対して、この一方の光導波路部材の接点部の先端部分の大
径部に、他方の光導波路部材の接点部がくさび状に係合することになり、くさび効果によって、お互いの接点部の嵌合状態が外れることがなく、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0020】
また、本発明の光コネクターは、前記光導波路部材のうち、一方の光導波路部材の接点部の基端部分が、テーパー状に広がっていることを特徴とする。
【0021】
このように構成することによって、一方の光導波路部材の接点部の基端部分がテーパー状に広がっているので、一方の光導波路部材を、他方の光導波路部材に挿入した場合に、一方の光導波路部材の接点部の先端部分が、このテーパー傾斜面に沿って、案内されることになるので、他方の光導波路部材の接点部の先端部が、一方の光導波路部材の表面と、強く触れ合うことがないので、一方の光導波路部材の表面と、他方の光導波路部材の接点部の先端部とが摩耗、損傷することがない。
【0022】
従って、光導波路部材の着脱を繰り返した場合であっても、光導波路部材同士の光学的な接続不良が生じず、信号のロスが発生せず、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0023】
また、一方の光導波路部材の接点部の先端部分が、このテーパー傾斜面に沿って案内されて、2つのテーパー面から構成される窪んだ底部に着座することになるので、安定して接続状態を維持できるとともに、光導波路部材の表面と平行な方向の力に対して、お互いの接点部の嵌合状態が外れることがなく、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0024】
また、本発明の光コネクターは、前記光導波路部材のうち、一方の光導波路部材の接点部の基端部分の最大径が、接点部の先端部分の大径部の最大径よりも大きいことを特徴とする。
【0025】
このように、一方の光導波路部材の接点部の基端部分の最大径が、接点部の先端部分の大径部の最大径よりも大きければ、接点部が、一方の光導波路部材の表面に安定して位置することになる。
【0026】
従って、一方の光導波路部材を、他方の光導波路部材に挿入した場合に、一方の光導波路部材の接点部が折れ曲がったり、屈曲することがなく、一方の光導波路部材の接点部と、他方の光導波路部材の接点部とが当接することがないので、接点部の先端の表面同士が摩擦、損傷することがない。
【0027】
また、本発明の光コネクターは、前記光導波路部材のうち、前記一方の光導波路部材と対向する、他方の光導波路部材の接点部の先端部分に、大径部が形成されていることを特徴とする。
【0028】
このように構成することによって、他方の光導波路部材の接点部の先端部分に、大径部が形成されているので、光導波路部材の表面と平行な方向の力だけでなく、光導波路部材の平面方向に垂直な方向の力に対して、この他方の光導波路部材の接点部の先端部分の大径部に、一方の光導波路部材の接点部がくさび状に係合することになり、くさび効果によって、お互いの接点部の嵌合状態が外れることがなく、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0029】
また、本発明の光コネクターは、前記光導波路部材のうち、前記一方の光導波路部材と対向する、他方の光導波路部材の接点部の基端部分が、テーパー状に広がっていることを
特徴とする。
【0030】
このように構成することによって、他方の光導波路部材の接点部の基端部分がテーパー状に広がっているので、他方の光導波路部材を、一方の光導波路部材に挿入した場合に、他方の光導波路部材の接点部の先端部分が、このテーパー傾斜面に沿って、案内されることになるので、一方の光導波路部材の接点部の先端部が、他方の光導波路部材の表面と、強く触れ合うことがないので、他方の光導波路部材の表面と、一方の光導波路部材の接点部の先端部とが摩耗、損傷することがない。
【0031】
従って、光導波路部材の着脱を繰り返した場合であっても、光導波路部材同士の光学的な接続不良が生じず、信号のロスが発生せず、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0032】
また、他方の光導波路部材の接点部の先端部分が、このテーパー傾斜面に沿って案内されて、2つのテーパー面から構成される窪んだ底部に着座することになるので、安定して接続状態を維持できるとともに、光導波路部材の表面と平行な方向の力に対して、お互いの接点部の嵌合状態が外れることがなく、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0033】
また、本発明の光コネクターは、前記光導波路部材のうち、前記一方の光導波路部材と対向する、他方の光導波路部材の接点部の基端部分の最大径が、接点部の先端部分の大径部の最大径よりも大きいことを特徴とする。
【0034】
このように、他方の光導波路部材の接点部の基端部分の最大径が、接点部の先端部分の大径部の最大径よりも大きければ、接点部が、他方の光導波路部材の表面に安定して位置することになる。
【0035】
従って、他方の光導波路部材を、一方の光導波路部材に挿入した場合に、他方の光導波路部材の接点部が折れ曲がったり、屈曲することがなく、他方の光導波路部材の接点部と、一方の光導波路部材の接点部とが当接することがないので、接点部の先端の表面同士が摩擦、損傷することがない。
【0036】
また、本発明の光コネクターは、前記一方の光導波路部材の接点部が、光導波路部材の表面から略垂直に突設されていることを特徴とする。
【0037】
このように一方の光導波路部材の接点部が、光導波路部材の表面から略垂直に突設されている場合であっても、上記のくさび効果、および、接点部の先端の表面同士の摩擦防止効果を得ることができる。
【0038】
また、本発明の光コネクターは、前記光導波路部材の光導波路に、光を光導波路部材の平面方向に対して、略垂直方向に導く反射面が形成されていることを特徴とする。
【0039】
このように構成することによって、例えば、一方の光導波路部材の光導波路を伝播された光は、一方の光導波路に形成された反射面によって、略垂直方向に導かれ、他方の光導波路部材に入射して、他方の光導波路に形成された反射面によって、光導波路部材の平面方向に導かれて伝播される。また、この逆の経路ももちろん可能であり、双方向の光の伝播が可能である。
【0040】
これにより、信号のロスが発生せず、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0041】
また、本発明の光コネクターは、前記光導波路部材の少なくとも一方の表面に電気回路が形成されていることを特徴とする。
【0042】
このように構成することによって、いわゆる光電気混載コネクターとして機能する光コネクターを提供することができ、小型化・薄型化を図ることができる。
【0043】
また、本発明の光コネクターは、前記接点部が、導電部材から構成されていることを特徴とする。
【0044】
このように構成することによって、接点部が、導電部材から構成されているので、光電気混載コネクターとして使用する場合に、例えば、一方の光導波路部材側の電気回路から、その接点部を介して、他方の光導波路部材の接点部を介して、他方の光導波路部材側の電気回路に電気が伝達される。また、この逆の経路ももちろん可能であり、双方向の電気の伝達が可能であり、電気的な接続不良が生じず、電気特性の低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明の光コネクターによれば、複数の光導波路部材を、光導波路部材の表面から厚さ方向に突設するように形成した対向する接点部同士を、相互に嵌合するだけで、その光導波路が光学的に連続するように相互に接続することができる。
【0046】
従って、相互の光導波路の光軸の位置合わせが不要で、光導波路部材同士を相互に接続するだけで、相互の光導波路の光軸を合致させることができ、光軸がずれることがなく、信号のロスが発生せず、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0047】
また、一方の光導波路部材の接点部と、他方の光導波路部材の接点部とが嵌合しているため、光導波路部材の表面と平行な方向の力だけでなく、光導波路部材の平面方向に垂直な方向の力に対しても対処することができ、十分な接続保持力を確保することができるので、光導波路部材同士が容易にはずれることはない。
【0048】
従って、光導波路部材の着脱を繰り返した場合であっても、光導波路部材同士の接続保持力や光の伝播効率の低下を防止することができ、しかも、クランプやカバーなどを用いて、光導波路部材同士が容易に外れるのを防ぐ必要がないため、全体としてスペースを小さくすることができ、光導波路部材の小型化・薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、本発明の光コネクターを構成する両方の光導波路部材を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、図1の一方の光導波路部材の部分拡大断面図である。
【図3】図3は、図2の一方の光導波路部材の平面図である。
【図4】図4は、図1の両方の光導波路部材を相互に接続した状態を示す断面図である。
【図5−A】図5Aは、図4の部分拡大断面図である。
【図5−B】図5Bは、本発明の光コネクターの別の実施例を示す図5Aと同様な部分拡大断面図である。
【図6】図6は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す光導波路部材を模式的に示す断面図、である。
【図7】図7は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す光導波路部材を模式的に示す平面図である。
【図8】図8は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す一方の光導波路部材を模式的に示す拡大断面図である。
【図9】図9は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す他方の光導波路部材を模式的に示す拡大断面図である。
【図10】図10は、図8の一方の光導波路部材と、図9の他方の光導波路部材を、光学的に接続する方法を模式的に説明する拡大断面図である。
【図11】図11は、図8の一方の光導波路部材と、図9の他方の光導波路部材を、光学的に接続した状態を模式的に示す説明する拡大断面図である。
【図12】図12は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す一方の光導波路部材を模式的に示す拡大断面図である。
【図13】図13は、図8の他方の光導波路部材と、図12の一方の光導波路部材を、光学的に接続した状態を模式的に示す説明する拡大断面図である。
【図14】図14は、図13の光導波路部材の接点部同士の嵌合状態を模式的に示す部分拡大断面図である。
【図15】図15は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す一方の光導波路部材を模式的に示す拡大断面図である。
【図16】図16、図8の他方の光導波路部材と、図15の一方の光導波路部材を、光学的に接続した状態を模式的に示す説明する拡大断面図である。
【図17】図17、図16の光導波路部材の接点部同士の嵌合状態を模式的に示す部分拡大断面図である。
【図18】図18は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す図4と同様な断面図である。
【図19】図19は、光積層造形法を示す概略断面図である。
【図20】図20は、本発明の光導波路部材の製造方法の概略を示す断面図である。
【図21】図21は、本発明の光導波路部材の製造方法の概略を示す断面図である。
【図22】図22は、本発明の光導波路部材の製造方法の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
【0051】
図1は、本発明の光コネクターを構成する両方の光導波路部材を模式的に示す断面図、図2は、図1の一方の光導波路部材の部分拡大断面図、図3は、図2の一方の光導波路部材の平面図、図4は、図1の両方の光導波路部材を相互に接続した状態を示す断面図、図5Aは、図4の部分拡大断面図である。
【0052】
図1〜図5Aにおいて、符号10は、全体で本発明の光コネクターを示している。
【0053】
なお、図1〜図4において、2つの光導波路部材の接続状態について模式的に示しているが、本願発明においては、3つ以上の光導波路部材の接続でも適用可能であり、2つの光導波路部材の接合に限定されるものではない。
【0054】
図4に示したように、本発明の光コネクター10は、相互に対向する2つの光導波路部材を相互に嵌合することによって、光導波路を、光学的に連続するように相互に接続するための光コネクターであって、一方の光導波路部材12と、他方の光導波路部材14とから構成されている。
【0055】
これらの一方の光導波路部材12と、他方の光導波路部材14とは、略同一の構成となっている。以下、一方の光導波路部材12についてのみ説明し、同じ構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0056】
すなわち、図1に示したように、一方の光導波路部材12は、コアから構成される光導波路16と、この光導波路16の周囲を取り囲むように形成されたクラッド18とから構成されている。
【0057】
そして、図2の矢印Aで示したように、光導波路16とクラッド18の屈折率が異なることによって、光導波路16内に入射した光が、境界面で全反射されて、光りがほとんど損失なく伝搬されるようになっている。
【0058】
また、図2に示したように、光導波路16の端部は、傾斜した反射面20が形成されており、この反射面20によって反射された光が、矢印Bで示したように、光導波路部材12の平面方向に対して、略垂直方向に導かれて、一方の光導波路部材12の光入出口22から出射されるようになっている。
なお、光入出口22は、図3に示したように、断面矩形状であるが、この断面形状は、例えば、円形、三角形など適宜変更可能である。
【0059】
なお、この反射面20を形成する方法としては、特段表面を加工しなくても反射するが、より、反射させるためには、図2の点線Eで示した部分で、切断した状態として、反射面20に、例えば、スパッタリングによって金属を蒸着するようにして反射面を形成した後、残りのクラッド18a部分を形成するようにすればよい。
【0060】
この光入出口22の周囲には、図3に示したように、一方の光導波路部材12の表面から厚さ方向に突設するように形成された複数の接点部24が形成されている。この接点部24は、基端部26と、この基端部26よりも径が大きな大径部28とを備えている。
【0061】
同様に、図1、図4、図5Aに示したように、他方の光導波路部材14にも、光導波路を構成する光導波路16と、この光導波路16の周囲を取り囲むように形成されたクラッド18とから構成されている。
【0062】
また、図5Aに示したように、他方の光導波路部材14にも、光導波路16の端部は、傾斜した反射面20、光入出口22が形成されている。
【0063】
そして、これらの一方の光導波路部材12の接点部24と、他方の光導波路部材14の接点部24とは、平面的に相補的な位置となるように形成されている。
【0064】
これらの一方の光導波路部材12と、他方の光導波路部材14とは、使用に際して、図4、図5Aに示したように、対向する一方の光導波路部材12の接点部24と、他方の光導波路部材14の接点部24とを相互に嵌合することによって、その光導波路(光導波路16)が光学的に連続するように相互に接続するようになっている。
【0065】
なお、これらの複数の接点部24は、それぞれ略同一形状であり、かつ、光導波路部材12、14の表面から略同一の高さで突設されている。また、接点部24は、光導波路部材12、14の表面上に略一様に等間隔に形成されている。
【0066】
また、接点部24の間隔としては、互いに対向する光導波路部材12、14の複数の接点部24の隙間に、相互に接点部24が挿入できれば、特に限定されるものではないが、後述する、先端部分24aの極大径rよりもわずかに大きい間隔とすることが好ましい。
【0067】
これにより、図5Aの矢印Aで示したように、一方の光導波路部材12の光導波路16内に入射した光が、光導波路16内を平面方向に伝播され、光導波路16の端部に形成さ
れた傾斜した反射面20によって反射され、この反射された光が、矢印Bで示したように、光導波路部材12の平面方向に対して、略垂直方向に導かれて、一方の光導波路部材12の光入出口22から出射される。
【0068】
そして、この出射された光が、図5Aの矢印Cで示したように、他方の光導波路部材14の光入出口22から、光導波路16内を、他方の光導波路部材14の平面方向に対して、略垂直方向に導かれて、光導波路16の端部に形成された傾斜した反射面20によって反射されて、図5Aの矢印Dで示したように、他方の光導波路部材14の光導波路16内を、平面方向に伝播されるようになっている。なお、この逆の経路ももちろん可能であり、双方向の光の伝播が可能である。
【0069】
このように構成することによって、複数の光導波路部材12、14を、光導波路部材12、14の表面から厚さ方向に突設するように形成した対向する接点部24同士を、相互に嵌合するだけで、その光導波路16が光学的に連続するように相互に接続することができる。
【0070】
従って、相互の光導波路16の光軸の位置合わせが不要で、光導波路部材12、14同士を相互に接続するだけで、相互の光導波路16の光軸を合致させることができ、光軸がずれることがなく、信号のロスが発生せず、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0071】
また、一方の光導波路部材12の接点部24と、他方の光導波路部材14の接点部24とが嵌合しているため、光導波路部材12、14の表面と平行な方向の力だけでなく、光導波路部材12、14の平面方向に垂直な方向の力に対しても対処することができ、十分な接続保持力を確保することができるので、光導波路部材12、14同士が容易にはずれることはない。
【0072】
従って、光導波路部材12、14の着脱を繰り返した場合であっても、光導波路部材12、14同士の接続保持力や光の伝播効率の低下を防止することができ、しかも、クランプやカバーなどを用いて、光導波路部材12、14同士が容易に外れるのを防ぐ必要がないため、全体としてスペースを小さくすることができ、光導波路部材の小型化・薄型化を図ることができる。
【0073】
また、光導波路部材12、14の先端部分に、大径部28が形成されているので、光導波路部材12、14の表面と平行な方向の力だけでなく、光導波路部材12、14の平面方向に垂直な方向の力に対して、これらの光導波路部材12、14の先端部分の大径部28同士がくさび状に係合することになり、くさび効果によって、お互いの接点部の24嵌合状態が外れることがなく、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0074】
この場合、光導波路部材12、14の形成方法としては、公知の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。
【0075】
例えば、「光配線技術のすべて」、塩田剛史著、株式会社工業調査会、第76頁〜第82頁に開示されているように、
(1)反応性イオンエッチンク方法
(2)転写方法
(3)露光・現像方法
(4)フオトブリーチ方法
などが採用可能である。
【0076】
また、光導波路16を構成するコアと、その周囲のクラッド18の材質としては、公知のものが使用可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、特開2007−122023号公報に開示されるような、コア材、クラッド材が使用できる。
【0077】
すなわち、(A)下記一般式(1):
【化1】

(式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R3は(メタ)アクリロイル基であり、Xは2価の有機基である。)で表される繰り返し単位を含む重合体、
(B)ポリエステルポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)アクリレート化合物、
(C)分子内に1個以上のエチレン性不飽和基を有し、0.1MPaにおける沸点が130℃以上である、(A)、(B)以外の化合物、並びに、
(D)光ラジカル重合開始剤
を含有する光導波路用感光性樹脂組成物が使用可能である。
【0078】
また、前記一般式(1)が、下記一般式(3)で表される構造である感光性樹脂組成物、すなわち、
【化2】

(式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R3は(メタ)アクリロイル基であり、W及びZは各々独立して単結合または2価の有機基である。)
が使用できる。
【0079】
さらに、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の上記(B)成分の数平均分子量が1,000〜100,000である感光性樹脂組成物が使用できる。
【0080】
また、この場合、コア部分の屈折率が、クラッドの屈折率よりも0.1%以上大きいのが望ましい。
【0081】
この場合、上記(A)成分としては、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸、等の重合体および共重合体などが使用できる。
また、上記(B)成分としては、ポリプロピレングリコール、イソホロンジイソシアネ
ート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどが使用できる。
さらに、上記(C)成分としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリブロモフェノールエトキシアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレートなどが使用できる。
また、上記(D)成分としては、
「Irgacure184(商品名)」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
「Irgacure369(商品名)」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
「Irgacure651(商品名)」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
などが使用できる。
【0082】
図5Bは、本発明の光コネクターの別の実施例を示す図5Aと同様な部分拡大断面図である。
この実施例の光コネクター10は、図1〜図5Aに示した光コネクター10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0083】
上記の実施例では、図5Aに示したように、光導波路部材12、14に、直接、接点部24が形成されているが、図5Bに示したように、この実施例の光コネクター10のように、光導波路部材12、14の表面に、加工しやすいような加工用や、保護層として機能する保護用の材料からなる被覆材料層19を形成した後、その被覆材料層19の表面に、接点部24を形成することも可能である。
【0084】
図6は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す光導波路部材を模式的に示す断面図、図7は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す光導波路部材を模式的に示す平面図である。
【0085】
この実施例の光コネクター10は、図1〜図5Aに示した光コネクター10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0086】
この光コネクター10では、光導波路部材12、14に、複数の光導波路16が形成されており、これらの光導波路16の光入出口22の周囲には、光導波路部材12、14の表面から厚さ方向に突設するように形成された複数の接点部24が形成されている。
【0087】
このように構成することによって、いわゆるマルチ方式の光集積回路などの多数の光導波路16を同時に、相互に光学的に連結する場合に適用することができる。
【0088】
図8は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す一方の光導波路部材を模式的に示す拡大断面図、図9は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す他方の光導波路部材を模式的に示す拡大断面図、図10は、図8の一方の光導波路部材と、図9の他方の光導波路部材を、光学的に接続する方法を模式的に説明する拡大断面図、図11は、図8の一方の光導波路部材と、図9の他方の光導波路部材を、光学的に接続した状態を模式的に示す説明する拡大断面図である。
【0089】
この実施例の光コネクター10は、図1〜図5Aに示した光コネクター10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0090】
また、図8〜図11の実施例においては、説明の便宜上、光導波路部材12、14の光導波路16を省略して示している(以下の実施例においても同様である)。
【0091】
この実施例において、図8に示したように、一方の光導波路部材12の接点部24は、図1に示したように、基端部26がテーパー状に広がっているとともに、先端部分24aに大径部28が形成されている。なお、基端部26の最大径Rは、先端部分24aの極大径rよりも大きくなるように形成されている。
【0092】
なお、この場合、最大径R、極大径rとは、接点部24の光導波路部材12、14の表面に平行な断面の断面積の大きさと言い換えることもでき、接点部24の光導波路部材12、14の表面に平行な断面の形状が、四角形状や三角形状の場合には、基端部26の最大断面積Sが、先端部分24aの極大断面積sよりも、大きくなるように形成されていればよい。
【0093】
また、接点部24の先端部分24aは、大径部を有していれば、特に限定されるものではないが、図10に示したように、略球形状とすることができる。このような形状とすることによって、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14を容易に着脱することができる。
【0094】
一方、この実施例において、他方の光導波路部材14は、図9に示したように、一方の光導波路部材12と同様な形状を採用しており、光導波路部材12の表面に突設するように形成された複数の接点部24を有している。
【0095】
このような形状を有する一方の光導波路部材12と、他方の光導波路部材14は、図10に示したように、一方の光導波路部材12の複数の接点部24の隙間に、他方の光導波路部材14の複数の接点部24が挿入されるように、また、一方の光導波路部材14の複数の接点部24の隙間に、他方の光導波路部材12の複数の接点部24が挿入されるようにして、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14とが、光導波路16が光学的に連続するように相互に接続される。
【0096】
この実施例の光導波路部材12、14では、接点部24の基端部26がテーパー状に広がっているため、光導波路部材12、14の底部26aが、なだらかな凹部を形成することになる。
【0097】
このため、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14を相互に嵌合させ、装着させる場合にも、光導波路部材12、14の接点部24の先端部分24aが、このテーパー傾斜面に沿って、案内されることになるので、相互に対向する光導波路部材12、14の接点部24の先端は、対向する光導波路部材12、14の底部26aと、相互に強く触れ合うことがないため、光導波路部材12、14の底部26aが摩耗することが防止される。
【0098】
従って、光導波路部材12、14の着脱を繰り返した場合であっても、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14の着脱の繰り返しによる、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14との位置がずれて、これらの光導波路16の光軸のずれによる光伝搬性の低下を防ぐことができ、光導波路部材12、14同士の光学的な接続不良が生じず、信号のロスが発生せず、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0099】
また、光導波路部材12、14の接点部24の先端部分24aが、このテーパー傾斜面に沿って案内されて、2つのテーパー面から構成される窪んだ底部に着座することになるので、安定して接続状態を維持できるとともに、光導波路部材12、14の表面と平行な方向の力に対して、お互いの接点部24の嵌合状態が外れることがなく、信号を確実に伝
送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0100】
一方、図11に示したように、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14とが、接続された状態においては、一方の底部26aの接点部24と、他方の光導波路部材14の接点部24とが、互いに嵌合しているため、光導波路部材12、14の表面と平行な方向の力だけでなく、垂直な方向の力にも対処することができ、十分な接続保持力を確保することができるので、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14とが容易にはずれることはない。
【0101】
このため、クランプやカバーなどを用いて、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14が容易にはずれることを防ぐ必要がないため、全体としてスペースを小さくすることができ、光コネクター10の小型化・薄型化を図ることができる。
【0102】
図12は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す一方の光導波路部材を模式的に示す拡大断面図、図13は、図8の他方の光導波路部材と、図12の一方の光導波路部材を、光学的に接続した状態を模式的に示す説明する拡大断面図、図14は、図13の光導波路部材の接点部同士の嵌合状態を模式的に示す部分拡大断面図である。
【0103】
この実施例の光コネクター10は、図1〜図5Aに示した光コネクター10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0104】
この実施例の一方の光導波路部材12は、図12に示したように光導波路部材12の表面上に略一様に等間隔に形成された複数の接点部24が、光導波路部材12の表面から略垂直に突設されている。
【0105】
このような形状を有する一方の光導波路部材12は、図13に示したように、一方の光導波路部材12の複数の接点部24の隙間に、他方の光導波路部材14の複数の接点部24が挿入されるように、また、他方の光導波路部材14の複数の接点部24の隙間に、一方の光導波路部材12の複数の接点部24が挿入されるようにして、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14とが、光導波路16が光学的に連続するように相互に接続される。
【0106】
この実施例においても、他方の光導波路部材14の底部26aが、なだらかな凹部を形成しているため、一方の光導波路部材12の接点部24の先端が、他方の光導波路部材14の底部26aと強く触れ合うことがないため、他方の光導波路部材14の底部26aが摩耗することを摩耗することができる。
【0107】
従って、光導波路部材12、14の着脱を繰り返した場合であっても、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14の着脱の繰り返しによる、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14との位置がずれて、これらの光導波路16の光軸のずれによる光伝搬性の低下を防ぐことができ、光導波路部材12、14同士の光学的な接続不良が生じず、信号のロスが発生せず、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0108】
このように一方の光導波路部材12の接点部24が、光導波路部材12の表面から略垂直に突設されている場合であっても、上記のくさび効果、および、接点部24の先端の表面同士の摩擦防止効果を得ることができる。
【0109】
一方、図14に示したように、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14が接
続された状態においては、他方の光導波路部材14の接点部24の先端部分24aが、一方の光導波路部材12の表面と接点部24と接触することで摩擦力が生じるため、光導波路部材12、14の表面と平行な方向の力だけでなく、垂直な方向に力にも対処することができ、十分な接続保持力を確保することができるので、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14とが容易にはずれることはない。
【0110】
このため、クランプやカバーなどを用いて、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14が容易にはずれることを防ぐ必要がないため、全体としてスペースを小さくすることができ、光コネクター10の小型化・薄型化を図ることができる。
【0111】
図15は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す一方の光導波路部材を模式的に示す拡大断面図、図16、図8の他方の光導波路部材と、図15の一方の光導波路部材を、光学的に接続した状態を模式的に示す説明する拡大断面図、図17、図16の光導波路部材の接点部同士の嵌合状態を模式的に示す部分拡大断面図である。
【0112】
この実施例の光コネクター10は、図1〜図5Aに示した光コネクター10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0113】
この実施例の一方の光導波路部材12は、図15に示したように一方の光導波路部材12の表面上に略一様に等間隔に形成された複数の接点部24には、先端部分24aに大径
部28を有している。なお、接点部24の先端部分24aは、大径部28を有していれば
、特に限定されるものではないが、図15に示したように、略球形状とすることができる。このような形状とすることによって、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14を容易に着脱することができる。
【0114】
このような形状を有する一方の光導波路部材12は、図16に示したように、一方の光導波路部材12の複数の接点部24の隙間に、他方の光導波路部材14の複数の接点部24が挿入されるように、また、他方の光導波路部材14の複数の接点部24の隙間に、一方の光導波路部材12の複数の接点部24が挿入されるようにして、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14とが、光導波路16が光学的に連続するように相互に接続される。
【0115】
この実施例においても、他方の光導波路部材14の底部26aが、なだらかな凹部を形成しているため、一方の光導波路部材12の接点部24の先端が、他方の光導波路部材14の底部26aと強く触れ合うことがないため、他方の光導波路部材14の底部26aが摩耗することを摩耗することができる。
【0116】
従って、光導波路部材12、14の着脱を繰り返した場合であっても、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14の着脱の繰り返しによる、一方の光導波路部材12と他方の光導波路部材14との位置がずれて、これらの光導波路16の光軸のずれによる光伝搬性の低下を防ぐことができ、光導波路部材12、14同士の光学的な接続不良が生じず、信号のロスが発生せず、信号を確実に伝送することができ、各種光システムを確実に駆動することができる。
【0117】
このように一方の光導波路部材12の接点部24が、光導波路部材12の表面から略垂直に突設されている場合であっても、上記のくさび効果、および、接点部24の先端の表面同士の摩擦防止効果を得ることができる。
【0118】
図18は、本発明の光コネクターの別の実施例を示す図4と同様な断面図である。
【0119】
この実施例の光コネクター10は、図1〜図5Aに示した光コネクター10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0120】
この実施例の光コネクター10は、一方の光導波路部材12の下面に、電気回路11が形成され、他方の光導波路部材14の上面に、電気回路13が形成されている。また、接点部24が、金属などの導電性を有する導電部材から構成されている。
【0121】
このように構成することによって、いわゆる光電気混載コネクターとして機能する光コネクター10を提供することができ、小型化・薄型化を図ることができる。
【0122】
また、接点部24が、導電部材から構成されているので、光電気混載コネクターとして使用する場合に、図18の点線で示したように、例えば、一方の光導波路部材12側の電気回路11の発光素子15から、その接点部24を介して、他方の光導波路部材14の接点部24を介して、他方の光導波路部材14側の電気回路13の受光素子17に電気が伝達される。また、この逆の経路ももちろん可能であり、双方向の電気の伝達が可能であり、電気的な接続不良が生じず、電気特性の低下を防止することができる。
【0123】
この場合、電気回路は、光導波路部材12、14の少なくとも一方の表面に電気回路が形成されていればよく、一方の光導波路部材12の上面、他方の光導波路部材14の上面に電気回路を形成することもできる。
【0124】
なお、これらの電気回路は、剛性を有するプリント回路基板、フレキシブル配線基板とすることも可能である。
【0125】
また、光導波路部材12、14も、同様に、剛性を有するもの、フレキシブルなものとすることもできる。
【0126】
以下に、上記のような構成を有する本発明の光導波路部材12、14の製造方法について説明する。
(1)レプリカ作製工程
【0127】
先ず、基板上に光硬化性組成物を硬化させて積層することによって、各光導波路部材の形状に対応するレプリカを作製する。
【0128】
すなわち、いわゆる「光積層造形法」を用いて、光硬化性組成物を硬化させて積層することによって、各光導波路部材の形状に対応するレプリカを作製する。そして、光硬化性組成物として、光硬化性液状樹脂組成物を採用するものである。なお、光積層造形法としては、特に限定されるものではない。
【0129】
このような光積層造形法としては、例えば、図19のような方法を用いることができる。
【0130】
すなわち、図19(a)に示したように、光硬化性液状樹脂組成物31を収容した液槽33内に、支持ステージ30を昇降自在に設けておく。
【0131】
そして、図19(a)に示したように、この支持ステージ30を、光硬化性液状樹脂組成物31の液面32から微小量降下(沈降)させることにより、支持ステージ30上に、光硬化性液状樹脂組成物31を供給して、光硬化性液状樹脂組成物31の薄層34を形成
する。
【0132】
次いで、この薄層34に対して、図19(a)の矢印に示したように、薄層34の所定パターン部分に、選択的に光を照射し、光硬化性液状樹脂組成物31の硬化物(硬化樹脂層)36を形成する。
【0133】
次に、図19(b)に示したように、支持ステージ30を、さらに微小量降下(沈降)させて、この硬化物36の上に、新たな光硬化性液状樹脂組成物31を供給して、光硬化性液状樹脂組成物の薄層38を再度形成する。
【0134】
次いで、この薄層38に対して、図19(b)の矢印に示したように、薄層38の所定パターン部分に、選択的に光照射し、硬化物36の上に、これと連続して一体的に積層するように新しい硬化物40をさらに形成する。
【0135】
そして、光照射されるパターンを変化させながら、または、変化させずに、この工程を所定回数繰り返すことにより、連続する複数層の硬化物が一体的に積層されてなる立体形状物が造形される。
【0136】
この場合、光硬化性液状樹脂組成物に光を選択的に照射する手段としては、特に制限されるものではなく、種々の手段を採用することができる。例えば、
・レーザー光、または、レンズ、ミラー等を用いて得られた収束光等を走査させながら組成物に照射する手段、
・所定のパターンの光透過部を有するマスクを用い、このマスクを介して、非収束光を組成物に照射する手段、
・多数の光ファイバーを束ねて構成した導光部材を用い、この導光部材において、所定のパターンに対応する光ファイバーを介して、光を組成物に照射する手段、
・デジタルミラーデバイスを用いて、各ミラーを画素として、光照射のON/OFFを制御する手段、
等を採用することができる。
【0137】
また、マスクを用いる手段においては、マスクとして、液晶表示装置と同様の原理により、所定のパターンに従って、光透過領域と光不透過領域とよりなるマスク像を電気光学的に形成するものを用いることもできる。
【0138】
さらに、この場合、目的とする立体形状物が微細な部分を有するもの、または、高い寸法精度が要求されるものである場合には、組成物に選択的に光を照射する手段として、スポット径の小さいレーザー光を走査する手段を採用することが好ましい。
【0139】
なお、液槽33内に光硬化性液状樹脂組成物31が収容されている場合、光の照射面(例えば、収束光の走査平面)は、光硬化性液状樹脂組成物31の液面、透光性液槽33の器壁42との接触面の何れであってもよい。
【0140】
光硬化性液状樹脂組成物31の液面32、または、器壁42との接触面を光の照射面とする場合には、液槽33の外部から直接、または、器壁42を介して光を照射することができる。
【0141】
光積層造形法においては、通常、光硬化性液状樹脂組成物31の特定部分を硬化させた後、光の照射位置(照射面)を、既硬化部分から未硬化部分に連続的に、または、段階的に移動させることにより、硬化部分を積層させて所望の立体形状とする。
【0142】
ここで、照射位置の移動は、種々の方法によって行うことができ、例えば、光源、光硬化性液状樹脂組成物31の収容液槽33、光硬化性液状樹脂組成物31の既硬化部分の何れかを移動させたり、収容液槽33に光硬化性液状樹脂組成物31を追加供給したりする等の方法が挙げられる。
【0143】
なお、光硬化性液状樹脂組成物31としては、特に限定されるものではなく、例えば、特開平10−168106号公報、特開2008−251436号公報および特開2001−123035号公報などに記載の光硬化性液状樹脂組成物を用いることができる。
【0144】
このような光積層造形法を用いて、図20に示したように、各光導波路部材の形状に対応するレプリカを作製すればよい。
【0145】
すなわち、図20(a)に示したように、基板44を、図示しない昇降自在な支持ステージ30上に固定しておき、基板44の表面46が、光硬化性液状樹脂組成物31の液面32と一致するように、光硬化性液状樹脂組成物31を収容した液槽33内に浸漬する。
【0146】
次に、支持ステージ30を、微小量降下させることにより、基板44の表面46を、光硬化性液状樹脂組成物31の液面32から微小量降下(沈降)させて、図20(b)に示したように、基板44の表面46上に、光硬化性液状樹脂組成物31を供給して、光硬化性液状樹脂組成物31の薄層34を形成する。
【0147】
次いで、この薄層34に対して、図20(b)の矢印に示したように、薄層34の所定パターン部分に、選択的に光を照射し、光硬化性液状樹脂組成物31の硬化物(硬化樹脂層)36を形成する。
【0148】
次に、図20(c)に示したように、支持ステージ30を、さらに微小量降下させて、基板44の表面46を、さらに微小量降下(沈降)させて、この硬化物36の上に、新たな光硬化性液状樹脂組成物31を供給して、光硬化性液状樹脂組成物の薄層38を再度形成する。
【0149】
そして、図20(c)の矢印に示したように、光の照射位置(照射面)を、既硬化部分から未硬化部分に移動させて、薄層38の所定パターン部分に、選択的に光照射し、硬化物36の上に、これと連続して一体的に積層するように新しい硬化物40をさらに形成する。
【0150】
そして、同様にして、図20(d)に示したように、光照射されるパターンを変化させながら、この工程を所定回数繰り返すことにより、連続する複数層の硬化物が一体的に積層されて、図21(a)示したように、接点部の基端部分がテーパー状に広がっているとともに、接点部の先端部分に大径部が形成されている光導波路部材に対応する立体形状のレプリカ48が作製される、
【0151】
なお、図12に示したような、接点部24が、一方の光導波路部材12の表面から略垂直に突設されている光導波路部材12に対応する立体形状のレプリカを作製する場合には、光の照射位置(照射面)、光照射されるパターンを変化させないで、上記の工程を繰り返せばよい。
【0152】
なお、レプリカの作製方法は上述の記載の方法に限定されるものでなく、例えば、光硬化性液状樹脂組成物31を、グラビア法やスクリーン印刷法により塗布し、その後光硬化する工程を繰り返すことにより形成することが可能である。
(2)成形用型作製工程
【0153】
次に、レプリカ作製工程によって作製されたレプリカ48上に、硬化樹脂を硬化させた後、レプリカ48を取り除いて、成形用型を作製する。
【0154】
すなわち、図21(b)に示したように、例えば、液状のシリコーンゴムからなる液状の硬化樹脂50を塗布して、例えば、熱、光などによって、硬化させることによって、図21(d)に示したように、レプリカ48上に成形用型52を形成する。
【0155】
次に、レプリカ48を取り除いて、成形用型52を作製すればよい。
【0156】
この場合、硬化樹脂50としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、SBR,NBRなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレンブタジエンジエンブロック共重合体、スチレンイソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体およびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレン共重合体、エチレンプロピレンジエン共重合体などが挙げられる。
【0157】
この場合、シリコーンゴムとしては、液状シリコーンゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコーンゴムはその粘度が歪速度10-1secで105ポアズ以下のも
のが好ましく、縮合型、付加型、ビニル基やヒドロキシル基含有型などのいずれであってもよい。具体的にはジメチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。これらのうちビニル基含有シリコーンゴムとしては、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチルジアルコキシシランを、ジメチルビニルクロロシランまたはジメチルビニルアルコキシシランの存在下において、加水分解および縮合反応させ、例えば引き続き溶解−沈澱の繰り返しによる分別を行うことにより得ることができる。
(3)導電材料層形成工程
【0158】
次いで、成形用型作製工程によって作製された成形用型52を用いて、成形用型52の表面に導電材料層を形成して、光導波路部材を作製する。
【0159】
すなわち、図22(a)に示したように、例えば、CVD、化学メッキ(ニッケルメッキ等)によって、電気メッキ用電極54を、成形用型52の表面に形成する。
【0160】
次に、電気メッキ用電極54が表面に形成された成形用型52を、メッキ浴に浸漬して、電気メッキ用電極54に通電することによって、電気メッキ(ニッケルメッキ等)を行い、ニッケルメッキ層からなる導電材料層56を形成して、光導波路部材58を作製する。
【0161】
なお、この場合、電気メッキによって、導電材料層56を形成したが、これ以外にも、例えば、スパッタリング、蒸着などによっても、導電材料層56を形成することも可能である。
(3)光導波路部材作製工程
【0162】
最後に、図22(b)に示したように、導電材料層形成工程によって作製された光導波路部材58を成形用型52から取り外すことによって、光導波路部材58を得ることができる。
【0163】
この場合、成形用型52が、上記のように、シリコーンゴムなどの弾性を有する材料から作製されている場合には、変形することができるので、接点部24が、光導波路部材1
2、14の表面から一定方向に傾斜するように突設されている光導波路部材であっても、また、図15に示したように、大径部28を有する接点部24からなる光導波路部材であっても、光導波路部材58を成形用型52から取り外すことが容易である。
【0164】
このような光導波路部材の製造方法によれば、基板44上に光硬化性組成物1を硬化させて積層することによって、各光導波路部材の形状に対応するレプリカ48を作製し、レプリカ48上に、硬化樹脂50を硬化させた後、レプリカ48を取り除いて、成形用型52を作製し、成形用型52の表面に導電材料層56を形成して、光導波路部材58を作製して、光導波路部材58を成形用型52から取り外すだけで、光導波路部材を得ることができ、複雑な工程を経ることなく、製造コストを低減することができ、しかも、例えば、集積回路や回路基板などを相互に電気的に接続するための微細な光導波路部材を得ることができる。
【0165】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、光導波路部材12と光導波路部材14とを電気的に接続するように用いたが、その他の光伝達部材を光学的に接続する場合にも用いることも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明は、例えば、高速光通信、光ネットワーク、光情報処理、光画像処理など、各種光システムにおいて、光集積回路などに用いられる光導波路を、光学的に連続するように相互に接続するための光コネクターに適用することができる。
【符号の説明】
【0167】
10 光コネクター
11 電気回路
12 光導波路部材
13 電気回路
14 光導波路部材
15 発光素子
16 光導波路
17 受光素子
18 クラッド
18a クラッド
19 被覆材料層
20 反射面
22 光入出口
24 接点部
24a 先端部分
26 基端部
26a 底部
28 大径部
30 支持ステージ
31 光硬化性液状樹脂組成物
32 液面
33 液槽
34 薄層
36 硬化物
38 薄層
40 硬化物
42 器壁
44 基板
46 表面
48 レプリカ
50 硬化樹脂
52 成形用型
54 電気メッキ用電極
56 導電材料層
58 光導波路部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光導波路部材を、その光導波路が光学的に連続するように相互に接続するための光コネクターであって、
前記光導波路部材の表面から厚さ方向に突設するように形成した接点部を備え、
複数の光導波路部材を、対向する接点部を相互に嵌合することによって、その光導波路が光学的に連続するように相互に接続するように構成したことを特徴とする光コネクター。
【請求項2】
前記光導波路部材のうち、一方の光導波路部材の接点部の先端部分に、大径部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光コネクター。
【請求項3】
前記光導波路部材のうち、一方の光導波路部材の接点部の基端部分が、テーパー状に広がっていることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の光コネクター。
【請求項4】
前記光導波路部材のうち、一方の光導波路部材の接点部の基端部分の最大径が、接点部の先端部分の大径部の最大径よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の光コネクター。
【請求項5】
前記光導波路部材のうち、前記一方の光導波路部材と対向する、他方の光導波路部材の接点部の先端部分に、大径部が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光コネクター。
【請求項6】
前記光導波路部材のうち、前記一方の光導波路部材と対向する、他方の光導波路部材の接点部の基端部分が、テーパー状に広がっていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光コネクター。
【請求項7】
前記光導波路部材のうち、前記一方の光導波路部材と対向する、他方の光導波路部材の接点部の基端部分の最大径が、接点部の先端部分の大径部の最大径よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載の光コネクター。
【請求項8】
前記一方の光導波路部材の接点部が、光導波路部材の表面から略垂直に突設されていることを特徴とする請求項1に記載の光コネクター。
【請求項9】
前記光導波路部材の光導波路に、光を光導波路部材の平面方向に対して、略垂直方向に導く反射面が形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の光コネクター。
【請求項10】
前記光導波路部材の少なくとも一方の表面に電気回路が形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の光コネクター。
【請求項11】
前記接点部が、導電部材から構成されていることを特徴とする請求項10に記載の光コネクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−A】
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【図5−B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−95676(P2011−95676A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252195(P2009−252195)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】