説明

光コヒーレンストモグラフィー装置

【課題】光CT信号に対して校正のための信号処理を行うことなく、狭帯域のスペクトルを持つ光源の波長を広い帯域で高速、且つ連続的に走査できるようにした光コヒーレンストモグラフィー装置を提供する。
【解決手段】2台のファブリペロー共振器13A,13Bの内の少なくとも一方のファブリペロー共振器の共振器長を一定範囲で周期的に変化させることにより、ファブリペロー共振器13A,13Bをバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長可変フィルタとして機能させて、時間的に波長を走査したレーザ光を出力する波長走査型レーザ光源10と、出力されたレーザ光を参照光と被観測体60に照射する観測光とに分岐し、被観測体60からの反射光と参照光との干渉光を発生する干渉光学系20と、干渉光学系20により得られる干渉光を受光して電気信号に変換し、被観測体60の光断層画像情報を算出する信号処理部50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間的に波長を走査する波長走査型光源を有する光コヒーレンストモグラフィー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年内視鏡治療などの医療技術の進歩に伴って、病理組織の診断を非深襲かつリアルタイムに行う診断方法が望まれている。従来例えばCCDを用いた電子内視鏡や、CT、MRI、超音波による画像化が診断方法として用いられている。電子内視鏡は生体の表面の観察に限定され、また後者の画像診断システムはミクロンオーダーの分解能で観察するには技術的な限界があった。
【0003】
また、医療分野等で用いられる非破壊断層計測技術の1つとして、時間的に低コヒーレンスな光をプローブ(探針)として用いる光断層画像化法「光コヒーレンストモグラフィー」(OCT:Optical Coherence Tomography)が知られている。OCTは、光を計測プローブとして用いるため、被計測物体の屈折率分布、分光情報、偏光情報(複屈折率分布)等が計測できるという利点がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
OCT800は、マイケルソン干渉計を基本としており、その原理を図39に示す。
【0005】
光源801から射出された光は、コリメートレンズ802で平行化された後に、ビームスプリッター803により参照光と物体光に分割される。物体光は、物体アーム内の対物レンズ804によって被計測物体805に集光され、そこで散乱・反射された後に再び対物レンズ804、ビームスプリッター803に戻る。
【0006】
一方、参照光は参照アーム内の対物レンズ806を通過した後に参照鏡807によって反射され、再び対物レンズ806を通してビームスプリッター803に戻る。このようにビームスプリッター803に戻った物体光と参照光は、物体光とともに集光レンズ808に入射し光検出器809(フォトダイオード等)に集光される。
【0007】
OCT800の光源801は、時間的に低コヒーレンスな光(異なった時刻に光源から出た光同士は極めて干渉しにくい光)の光源を利用する。時間的低コヒーレンス光を光源としたマイケルソン型の干渉計では、参照アームと物体アームの距離がほぼ等しいときにのみ干渉信号が現れる。この結果、参照アームと物体アームの光路長差(τ)を変化させながら、光検出器809で干渉信号の強度を計測すると、光路長差に対する干渉信号(インターフェログラム)が得られる。
【0008】
そのインターフェログラムの形状が、被計測物体805の奥行き方向の反射率分布を示しており、1次元の軸方向走査により被計測物体805の奥行き方向の構造を得ることができる。このように、OCT800では、光路長走査により、被計測物体805の奥行き方向の構造を計測できる。
【0009】
このような軸方向の走査のほかに、横方向の機械的走査を加え、2次元の走査を行うことで被計測物体の2次元断面画像が得られる。この横方向の走査を行う走査装置としては、被計測物体を直接移動させる構成、物体は固定したままで対物レンズをシフトさせる構成、被計測物体も対物レンズも固定したままで、対物レンズの瞳面付近においたガルバノミラーの角度を回転させる構成等が用いられている。
【0010】
以上の基本的なOCTが発展したものとして、光源の波長を走査してスペクトル干渉信号を得る波長走査型OCTと、分光器を用いてスペクトル信号を得るスペクトルドメインOCTがあり、後者としてフーリエドメインOCTがある。
【0011】
波長走査型OCTは、非特許文献1に記されているように、生体に光を照射し、照射光の波長を連続的に変化させ、参照光と生体内の異なる深さから戻ってくる反射光とを干渉計で干渉させ、その干渉信号の周波数成分を分析することによって、断層画像を得るシステムである。この技術は物体内部からの信号の周波数分析から極めて高分解能の断層画像を構築することができるため、高度なシステムとして期待されている。波長走査型OCTは測定感度も高く、動的ノイズに強いという点で内視鏡などの実使用に好適である。ここで照射する光の波長走査の帯域が広いほど周波数分析の帯域が上がるので、深さ方向の分解能が上がる。
【0012】
フーリエドメインOCTは、被計測物体からの反射光の波長スペクトルを、スペクトロメーター(スペクトル分光器)で取得し、このスペクトル強度分布に対してフーリエ変換することで、実空間(OCT信号空間)上での信号を取り出すことを特徴とするものであり、このフーリエドメインOCTは、奥行き方向の走査を行う必要がなく、x軸方向の走査を行うことで被計測物体の断面構造を計測可能である。
【0013】
偏光感受型OCTは、フーリエドメインOCTと同様に、被計測物体からの反射光の波長スペクトルをスペクトル分光器で取得するものであるが、入射光及び参照光をそれぞれ1/2波長板、1/4波長板等を通して水平直線偏光、垂直直線偏光、45°直線偏光、円偏光として、被計測物体からの反射光と参照光を重ねて1/2波長板、1/4波長板等を通して、例えば水平偏光成分だけをスペクトル分光器に入射させて干渉させ、物体光の特定偏光状態をもつ成分だけを取り出してフーリエ変換するものである。この偏光感受型OCTも、奥行き方向の走査を行う必要がない。
【0014】
従来、狭帯域のスペクトルを持つ光源の波長を広い帯域で高速、且つ連続的に走査できるようにした波長走査型のファイバレーザ光源として、光ファイバーループに発振波長にゲインを有するゲイン媒体と光サーキュレータを設け、光サーキュレータで取り出された光をコリメートレンズで拡大し、その光軸上に設けたポリゴンミラーを回転させ、ポリゴンミラーで反射された光の受光位置に入射光と同一方向に光を反射するリトロー構成とした回折格子を設けた構成の波長走査型ファイバレーザ光源が提案されている。この波長走査型ファイバレーザ光源では、回折格子への入射角度によって選択波長が変化し、2回の入射により選択度が増すので、高速でポリゴンミラーを回転させて選択波長を変化させても、狭帯域のままで発振波長を変化させることができる(例えば、特許文献2参照)。
【0015】
また、エルビウムドープドファイバを用いたリングレーザによる波長可変光源も提案されている。この波長可変光源2000は、例えば図40に示すように、エルビウムドープドファイバ(EDF)をゲイン媒体とするファイバアンプ2012を用い、その光ファイバーループ2011内に波長可変型のバンドパスフィルタ2014を設けて、このバンドパスフィルタ2014の波長を変化させることによって、光ファイバーループ2011に接続した光カップラ2015を介して取り出されるレーザ光の波長を可変するようにしたものである。この場合には光ファイバーループ2011の共振器長を例えば30mと長くできるため、縦モード間隔を狭くすることができる。そのため共振器長を変化させることなく、モードホップの影響をなくすることができる。従って厳密には単一モード発振ではないが、バンドパスフィルタ2014の選択波長を変化させるだけで、擬似的に連続して波長可変を行うことができる(例えば、非特許文献2参照)。
【0016】
さらに、レーザ素子内に波長可変機構を設けたタイプでは、利得を生み出す活性領域と、回折格子による反射を生み出すDBR領域とが、同一レーザ素子内に形成されたDBR−LD(Distributed Bragg reflector laser diode)が提案されている。このDBR−LDの波長可変範囲は、最高でも10nm程度である。また、利得を生み出す活性領域とこれを前方と後方で挟むDBR領域とが同一レーザ素子内に形成された、不均一回折格子を用いたDBR−LDが提案されている。前方と後方のDBR領域は、不均一回折格子によって多数の反射ピークが発生し、かつ反射ピークの間隔が前方と後方で僅かにずれている。この構造によっていわゆる「バーニア効果」が得られるので、極めて広い波長可変が可能となる。この不均一回折格子を用いたDBR−LDでは、100nmを越える波長可変動作が実現されている。この不均一回折格子を用いたDBR−LDでは、100nmを越える波長可変動作及び40nmの準連続波長可変動作が実現されている(例えば、特許文献3参照)。
【0017】
【特許文献1】特開2007−101365号公報
【特許文献2】特開2006−237359号公報
【特許文献3】特開2006−278770号公報
【非特許文献1】Handbook of Optical Coherence Tomography,p41-43, Mercel Dekker, Inc. 2002
【非特許文献2】YAMASHITA ET AL., IEEE JOURAL ON SELECTED TOPICS IN QUANTUM ELECTRONICS, VOL.7, NO.1 JANUARY/FEBRUARY 2001, PP41〜43
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところで、波長走査型OCTにおける時間信号のフーリエ変換が被計測物体の深さ方向の散乱分布、すなわち光断層像となる。正確な光断層像を得るためにはもとの信号は光の波数(2π/波長)について等間隔である必要がある。
【0019】
一般に波長走査光源や分光器は波長に対して線型に設計することが多い。また、その線型性は完全ではなく、校正は困難であった。この校正や波数への変換を行わないと、得られる光断層画像の解像力は著しく低下し、また、深さ方向の線型性も失われてしまう。従って光源の走査特性の出力を波数に校正する事が必要不可欠であった。
【0020】
これら波長走査型光源の校正は、あらかじめ波長走査型光源の時間特性を測定し(オシロスコープや干渉フィルタ等の機材を用いたり、特許文献1の手法などにより行われ、それを基準に、得られた干渉信号を、光の波数(2π/波長)について等間隔になるように再配列し、信号処理を加えることで行われていた。信号処理の時間だけ画像出力に時間がかかる。
【0021】
また、一般に波長走査光源は機械的な波長選択素子による波長走査であり、高速性に限界があり、せいぜい20kHzが実現しているに過ぎない。そのため3DのOCT信号を得ようとした場合、数秒の時間を要していた。
【0022】
また、波長可変光源を分析装置の光源として用いる場合には、高速で波長を変化させること、及び発振スペクトルの幅を狭くすることが必要であり、これに応じた特性がバンドパスフィルタにも要求される。例えば光コヒーレンストモグラフィ(OCT)において、高速の波長走査が利用可能になると、高速の画像処理、血流観測、酸素飽和濃度の変化等の動的な解析が可能となるので、このような装置が要求されている。
【0023】
上記特許文献2の開示技術を採用した製品として、例えば、santec株式会社より、最高20kHzのスキャンレートで波長を繰り返し走査することのできる波長スキャニングレーザー光源HSL−2000が提供されている。しかし現状では、波長走査の周期として20kHzが実用化になっているに過ぎない。
【0024】
これでは光コヒーレンストモグラフィ(OCT)により立体画像を得るのに数秒の時間を必要としてしまう。
【0025】
また、上記特許文献3に記載されているように、DBR−LDでは、DBR領域にキャリア注入を行うことにより、この部分での屈折率を変化させて、波長可変動作を実現している。このため、電流注入により結晶欠陥が増殖すると、電流注入に対する屈折率変化の割合が著しく変動するので、長期に渡り安定な波長でのレーザ発振を維持することが難しい。更に、現状の化合物半導体のプロセス技術では、2インチ以上のインチアップは不可能である。そのため、複雑化してサイズの大きくなったレーザ素子では、現状以上の価格低減が難しい。だからといって1mm以下の小型な素子だと縦モード間隔が大きく、例えば100GHzであり、高速で波長を変化させるような単に波長可変フィルタの波長を変えただけだと縦モード間隔ごとのとびとびの波長可変動作となる。このような大きなとびとびの波長可変動作は光コヒーレンストモグラフィーへの応用としては大きすぎる。さらに単に波長可変フィルタの波長を変えただけでは、縦モードの間で不安定になる。例えばモード間では不連続なモードホップが生じたり、マルチモードで発振することもある。
【0026】
さらに、上記特許文献2の開示技術では、リング型の光共振器で複数の光共振器を波長フィルタに採用した構成であり、バーニア効果によって波長可変が可能であるが、ヒータによる波長可変であり、高速走査に適していない。また同じ基板上にある複数のリング型の光共振器の共振器長をそれぞれ調整することが難しい。またリング型の光共振器を含むレーザ全体の長さが短いので単に波長可変フィルタの波長を変えただけでは、縦モードの間で不安定になる。例えばモード間では不連続なモードホップが生じたり、マルチモードで発振することもある。
【0027】
そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の問題点に鑑み、光CT信号に対して校正のための信号処理を行うことなく、狭帯域のスペクトルを持つ光源の波長を広い帯域で高速、且つ連続的に走査できるようにした光コヒーレンストモグラフィー装置を提供することにある。
【0028】
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置は、レーザ発振光路中に設けられた互いに近接したFSR(Free spectral range)を有する2台のファブリペロー共振器の内の少なくとも一方のファブリペロー共振器の共振器長を一定範囲で周期的に変化させることにより、上記2台のファブリペロー共振器をバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長可変フィルタとして機能させて、時間的に波長を走査したレーザ光を出力する波長走査型光源と、上記波長走査型光源から出力されたレーザ光を参照光と被観測体に照射する観測光とに分岐し、上記被観測体に照射した観測光の反射光と上記参照光との干渉光を発生する干渉光学系と、上記干渉光学系により得られる干渉光を受光して電気信号に変換し、上記被観測体の光断層画像情報を算出する信号処理手段とを備えることを特徴とする。
【0030】
本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記波長走査型光源は、例えば、走査されているレーザ光の波数が時間に対して線形になるよう校正されている。
【0031】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記波長走査型光源は、例えば、上記レーザ発振光路となる光ファイバーループと、上記光ファイバーループ内に設けられ、発振波長に利得を有する光増幅器と、上記光ファイバーループ内に設けられ、近接したFSR(Free spectral range)を有する2台のファブリペロー共振器と、上記光ファイバーループに接続され、当該光ファイバーループを通過する光の一部を取り出す光学素子と、上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器の内の少なくとも一方のファブリペロー共振器の共振器長を一定範囲で周期的に変化させる共振器長制御部とを備える。
【0032】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記共振器長制御部により共振器長が一定範囲で周期的に変化される上記ファブリペロー共振器は、例えば、電極を付けた構造のファブリペロー電気光学変調器からなり、上記共振器長制御部により与えられる周期的な走査信号により通過する光を光変調する。
【0033】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器は、例えば、それぞれファブリペロー電気光学変調器からなり、温度制御により上記近接したFSRに調整されている。
【0034】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記共振器長制御部は、例えば、上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器に互いに反転した走査信号を与えて、上記各ファブリペロー共振器の共振器長を相反的に変化させる。
【0035】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記共振器長制御部は、例えば、走査信号に制御電圧を重畳することで上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器を通過する光の中心波長を制御する。
【0036】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置は、例えば、上記2台のファブリペロー共振器の各後段に上記光増幅器がそれぞれ設けられる。
【0037】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置では、例えば、上記光ファイバーループを通過する光の方向又は偏光によって上記光を分離して、1台の上記光増幅器により上記2台のファブリペロー共振器の各後段で光増幅を行う。
【0038】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記波長走査型光源は、上記共振器長制御部が上記ファブリペロー共振器に与える上記周期的な走査信号の波形を調整することにより、上記光学素子を介して取り出されるレーザ光の波数が時間に対して線形になるように校正されている。
【0039】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記レーザ発振光路は、例えば、互いに近接したFSR(Free spectral range)を有する空間のファブリペロー共振器に電気光学結晶を内在させてなる2台のファブリペロー電気光学変調器と発振波長に利得を有する光増幅器と出力光を取り出すための光学素子とを光ファイバー接続してなる。
【0040】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記2台のファブリペロー電気光学変調器は、例えば、それぞれ、電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器でリング型共振を得るようにしたリング型共振ファブリペロー電気光学変調器からなる。
【0041】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記2台のファブリペロー共振器は、例えば、それぞれ、電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器でV型共振を得るようにしたV型共振ファブリペロー電気光学変調器からなる。
【0042】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記2台のファブリペロー電気光学変調器は、例えば、それぞれ、電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器を共焦点となるように各凹面鏡の曲率を設定した共焦点のファブリペロー電気光学変調器からなる。
【0043】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記ファブリペロー電気光学変調器は、例えば、ファブリペロー共振器を構成する凹面鏡間にC軸が直交するように2つの電気光学結晶を配置してなる。
【0044】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記波長走査型光源は、例えば、上記共振器長制御部が上記ファブリペロー共振器に与える上記周期的な走査信号の波形を調整することにより、上記光学素子を介して取り出されるレーザ光の波数が時間に対して線形になるように校正されている。
【0045】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記レーザ発振光路は、例えば、空間のファブリペロー共振器に電気光学結晶を内在させてなるファブリペロー電気光学変調器と発振波長に利得を有する光増幅器と上記ファブリペロー電気光学変調器から出射させた光の偏光方向を90°回転させる偏光変換素子と出力光を取り出すための光学素子とを光ファイバー接続してなり、上記ファブリペロー電気光学変調器は、例えば、互いに直交する偏光成分の光それぞれに対して近接したFSR(Free spectral range)を有する2台のファブリペロー共振器として機能し、上記共振器長制御部により与えられる周期的な走査信号により、互いに直交する偏光成分の光それぞれを変調する。
【0046】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記ファブリペロー電気光学変調器は、例えば、上記電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器でリング型共振を得るようにしたリング型共振ファブリペロー電気光学変調器からなる。
【0047】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記ファブリペロー共振器は、例えば、上記電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器でV型共振を得るようにしたV型共振ファブリペロー電気光学変調器からなる。
【0048】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記ファブリペロー電気光学変調器は、例えば、電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器を共焦点となるように各凹面鏡の曲率を設定した共焦点のファブリペロー電気光学変調器からなる。
【0049】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記ファブリペロー電気光学変調器は、例えば、ファブリペロー共振器を構成する凹面鏡間にC軸が直交するように2つの電気光学結晶を配置してなる。
【0050】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記波長走査型光源は、例えば、上記共振器長制御部が上記ファブリペロー共振器に与える上記周期的な走査信号の波形を調整することにより、上記光学素子を介して取り出されるレーザ光の波数が時間に対して線形になるように校正されている。
【0051】
また、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記2台のファブリペロー電気光学変調器は、それぞれ、電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器でリング型共振を得るようにしたリング型共振ファブリペロー電気光学変調器からなる。
【0052】
さらに、本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置において、上記2台のファブリペロー電気光学変調器は、それぞれ、偏波無依存のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器からなり、上記波長走査型光源は、発振波長に利得を有する偏波無依存型光増幅器をレーザ発振光路中に備える。
【0053】
本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置は、広帯域光源と上記広帯域光源から出射される光の出射光光路中に設けられた互いに近接したFSR(Free spectral range)を有する2台のファブリペロー共振器の内の少なくとも一方のファブリペロー共振器の共振器長を一定範囲で周期的に変化させることにより、上記2台のファブリペロー共振器をバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長可変フィルタとして機能させて、時間的に波長を走査した光を出力する波長可変フィルタ手段とを備える波長走査型光源と、上記波長走査型光源から出力されたレーザ光を参照光と被観測体に照射する観測光とに分岐し、上記被観測体に照射した観測光の反射光と上記参照光との干渉光を発生する干渉光学系と、上記干渉光学系により得られる干渉光を受光して電気信号に変換し、上記被観測体の光断層画像情報を算出する信号処理手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、2台のファブリペロー共振器をバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長可変フィルタとして機能させて、時間的に波長を走査した光を出力する高速に波長走査が可能な波長走査型光源を用いることにより、高速なOCT信号取得が可能であり、共振器長制御部が上記ファブリペロー共振器に与える上記周期的な走査信号の波形を調整することにより、上記光学素子を介して取り出される光の波数(2π/波長)が時間に対して線形になるように校正されていることにより、得られた干渉信号を、光の波数(2π/波長)について等間隔になるように再配列し、信号処理を加える必要がないので、OCT信号に対して校正のための信号処理を行うことなく、狭帯域のスペクトルを持つ光源の波長を広い帯域で高速、且つ連続的に走査できるようにした光コヒーレンストモグラフィー装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0056】
本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置100は、その基本的な構成を図1に示すように、波長走査型レーザ光源10と、この波長走査型レーザ光源10に光ファイバー1を介して接続された干渉光学系20と、この干渉光学系20に光ファイバー2を介して接続された走査光学系30と、上記干渉光学系20に光ファイバー3を介して接続された参照光学系40と、上記干渉光学系20に光ファイバー4を介して接続された信号処理部50からなる。
【0057】
この光コヒーレンストモグラフィー装置100における波長走査型レーザ光源10は、本件出願人が例えば特願2007−018168号として先に提案している2台のファブリペロー共振器をバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長可変フィルタとして機能させて、時間的に波長を走査したレーザ光を出力するものであって、その詳細については後述する。
【0058】
上記干渉光学系20は、上記波長走査型レーザ光源10から出力されたレーザ光を参照光と被観測体60に照射する観測光とに分岐し、被観測体60に照射した観測光の反射光と上記参照光との干渉光を発生するものであって、例えば、上記波長走査型レーザ光源10から出力されたレーザ光が光ファイバー1を介して入射されるファイバカップラー21からなる。
【0059】
この干渉光学系20では、上記ファイバカップラー21において、上記波長走査型レーザ光源10から光ファイバー1を介して入射されたレーザ光を、光ファイバー2を介して走査光学系30に送る観測光と、光ファイバー3を介して参照光学系40に送る参照光とに分割し、光ファイバー2を介して観測光を走査光学系30に送るとともに、光ファイバー3を介して参照光を参照光学系40に送り、上記走査光学系30から光ファイバー2を介して戻ってくる被観測体60に照射した観測光の反射光と、上記参照光学系30から光ファイバー3を介して戻ってくる参照光との干渉光を当該ファイバカップラー21において発生し、発生した干渉光を光ファイバー4を介して信号処理部50に送る。
【0060】
上記走査光学系30は、上記干渉光学系20において分岐された観測光を空間的に走査して被観測体60に照射し、上記被観測体60による反射光を上記干渉光学系20に戻すもので、レンズ31、角度が可変可能な走査鏡32及びレンズ33からなる。
【0061】
上記干渉光学系20においてファイバカップラー21により分岐され光ファイバー2を介して上記走査光学系30に送られてきた観測光は、レンズ31、角度が可変可能な走査鏡32及びレンズ33を介して被観測体60に照射され、上記被観測体60で反射された反射光が逆ルートで上記ファイバカップラー21に戻される。
【0062】
上記参照光学系40は、上記干渉光学系20において分岐された参照光を固定参照鏡43により反射して上記干渉光学系20に戻すもので、レンズ41、レンズ42及び固定参照鏡43からなる。
【0063】
上記干渉光学系20においてファイバカップラー21により分岐され光ファイバー3を介して上記参照光学系40に送られてきた参照光は、レンズ41及びレンズ42を介して固定参照鏡43に照射され、この固定参照鏡43で反射されて逆ルートで上記ファイバカップラー21に戻される。
【0064】
そして、上記干渉光学系20のファイバカップラー21において上記被観測体60に照射した観測光の反射光と上記参照光との干渉光を発生し、発生した干渉光が光ファイバー4を介して信号処理部50に伝送される。
【0065】
上記信号処理部50は、上記干渉光学系20により得られる干渉光を受光して電気信号に変換し、上記被観測体60の光断層画像情報を算出するものであって、光検知器51、演算処理部52及び表示部53からなる。
【0066】
この信号処理部50では、上記干渉光学系20のファイバカップラー21から光ファイバー4を介して送られてくる干渉光を光検知器51による受光して電気信号に変換し、スペクトル干渉信号として検出する。そして、演算処理部52は、この光検知器51により検出されたスペクトル干渉信号を取り込み、スペクトル干渉信号を等周波数間隔でフーリエ変換することにより、上記被観測体60の奥行き方向と走査鏡32の走査方向の光断面画像情報を算出して、表示部53に光断層画像を表示する。
【0067】
ここで、この光コヒーレンストモグラフィー装置100において、上記波長走査型レーザ光源10は、時間的に波長を変化させて走査する光源、すなわち、波長が時間依存性を有する光源であり、参照鏡43を走査することなく、被観測体60の奥行き方向の反射率分布を得て奥行き方向の構造を取得することができ、1次方向の走査をするだけで、二次元の断層画像を形成することができる。
【0068】
この光コヒーレンストモグラフィー装置100において、時間的に波長を変化させて走査する波長走査型レーザ光源10は、レーザ発振光路中に設けられた互いに近接したFSR(Free spectral range)を有する2台のファブリペロー共振器の内の少なくとも一方のファブリペロー共振器の共振器長を一定範囲で周期的に変化させることにより、上記2台のファブリペロー共振器をバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長可変フィルタとして機能させて、時間的に波長を走査したレーザ光を出力するものであって、その基本的な構成を図2に示すように、レーザ発振の光路となる光ファイバーループ11と、上記光ファイバーループ11内に設けられ、発振する波長に利得を有する光増幅器12と、上記光ファイバーループ11内に設けられ、近接したFSR(Free spectral range)を有する2台のファブリペロー共振器13A,13Bと、上記光ファイバーループ11に接続され、当該光ファイバーループ11を通過する光の一部を取り出す光学素子例えば光学カップラ14と、上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器13A,13Bの内の一方、ここではファブリペロー共振器13Aの共振器長を一定範囲で周期的に変化させる共振器長制御部15とを備えてなる。
【0069】
この波長走査型レーザ光源10において、近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器13A,13Bは、それぞれ波長選択フィルタとして機能する。そして、上記2台のファブリペロー共振器13A,13Bの内の少なくとも一方、ここではファブリペロー共振器13Aは、共振器長を可変することにより選択波長を可変することのできるようになっている。
【0070】
そして、上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器13A,13Bは、一方のファブリペロー共振器13Aの共振器長を可変することにより、そのバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長選択特性を有するバンドパスフィルタとして機能する。
【0071】
この波長走査型レーザ光源10では、光ファイバーループ11内に設けられた上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器13A,13Bによるバンドパスフィルタを通過した光が光増幅器12で増幅され、上記光ファイバーループ11を介して帰還されることによって発振する。そして、この波長走査型レーザ光源10では、上記ファブリペロー共振器13Aの共振器長を共振器長制御部15により一定範囲で周期的に変化させることによって、発振波長が周期的に変化し、光学カップラ14を介して取り出されるレーザ光の波長が周期的に変化するようになっている。
【0072】
なお、上記光ファイバーループ11からレーザ光を取り出す光学カップラ14は、光増幅器12の後に設けられているが、光増幅器12の前、あるいは、2台のファブリペロー共振器13A,13Bの間に設けられていてもよい。
【0073】
このような構成の波長走査型レーザ光源10では、光ファイバーループ11の共振器長を長くすることができ、光ファイバーループ11の共振器長を例えば1000mとすることにより、レーザ全体の縦モード間隔を例えば200kHz程度に狭くすることができる。これにより、上記レーザ全体の縦モード間隔は各ファブリペロー共振器13A,13Bの一つ一つのモードの帯域幅(FSR/フィネス、例えば2.5GHz/50=50MHz)よりも十分狭くできるので、そのため共振器長を変化させることなく、モードホップの影響をなくすることができる。従って厳密には単一モード発振ではないが、バンドパスフィルタの選択波長を変化させるだけで、擬似的に連続して波長可変を行うことができる。
【0074】
ここで、通常の光共振器の透過スペクトルを図3の(A),(B)に示す。横軸は光の周波数であり、FSR=1として規格化して、100×FSRの範囲を示している。FSR毎の100本のモードが見て取れる。なお、図3の(B)は、図3の(A)の拡大図である。
【0075】
図4の(A)〜(G)は、FSRが1%異なる光共振器を2台縦列接続した場合の透過スペクトルを示している。それぞれの横軸は図3の(A)と同じであるが、2台の光共振器のそれぞれのモード間隔が異なるためにバーニア効果を起こして、FSRが小さなモードで構成させるスペクトルの包絡線はFSRが大きな光共振器と同等になる。1%のFSRの違いはモアレ縞の包絡線のFSRを100倍にする。また、共振器長を波長程度変えると、ピークがモアレ縞の包絡線のFSRだけ変化することがわかる。なお、図4の一部の拡大図を図5に示す。
【0076】
したがって、FSRの小さい光共振器を用いたとしても2台の光共振器のスペクトルのバーニア効果を利用すれば、モアレ縞の包絡線のFSRは、2台の光共振器のFSRの違いに反比例して、大きくなる。
【0077】
すなわち、FSRの小さい光共振器を用いたとしても2台の光共振器のスペクトルのバーニア効果を利用することにより、波長可変レーザ光源を構成することができる。
【0078】
この場合、2台の光共振器のFSRに相当する間隔でレーザの波長はFSR(例えば2.5GHz)ごとのとびとびになるが、光CT等の応用の場合、深さ方向の測定範囲がc/FSR(約10cm)よりも十分狭い範囲であれば擬似的に連続して波長可変と見なすことができる。
【0079】
また、光共振器にLN(LiNbO)等の電気的に屈折率可変な材料で構築したファブリペロー共振器に電極を付けた構造のファブリペロー電気光学変調器(または 光コム発生器)と呼ばれる変調器を用いることで電気光学効果により波長可変が行える。電気的な変調であるのでリニアリティーや再現性も優れている。
【0080】
そこで、上記波長走査型レーザ光源10における共振器長が可変されるファブリペロー共振器13Aには、ファブリペロー電気光学変調器が用いられる。そして、ファブリペロー電気光学変調器に上記共振器長制御部15により鋸歯状波等の周期的な信号を与えて光変調することで、上記波長走査型レーザ光源10の発振波長を高精度に且つ高速に走査することができる。
【0081】
また、ファブリペロー電気光学変調器は、研磨によって長さ調整が行なえ、それぞれ温度制御を行なうことで正確に共振器長を制御できるので、共振器長の絶対値を温度制御を行うことで希望する範囲に1ppmで制御が可能である。したがって、例えばFSR=2.5GHzのファブリペロー電気光学変調器と、1/4000だけFSRの異なるファブリペロー電気光学変調器を2台揃えることは容易である。これによりバーニア効果によって4000倍の10THzのFSRの波長選択素子が容易に実現できる。
【0082】
そこで、上記波長走査型レーザ光源10における近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器13A,13Bには、研磨によって長さが揃えられたファブリペロー電気光学変調器が用いられ、各共振器長の絶対値が温度制御により調整される。
なお、例えば正確に必要量だけ長さを変えて光共振器を製作できれば、2台の光共振器を熱的に同じ温度になるように熱的に接触させられることで、FSRの差は一定になるので、温度制御を行なわなくてもよい。例えば導波路プロセスの調整でFSRに差をつけることができ、LNのTi拡散による導波路の場合であれば、例えば1/4000だけ屈折率が変わるように、Tiのドープ量を調整することによって、1/4000だけFSRの異なる導波路ファブリペロー電気光学変調器を作製することができる。
【0083】
上記2台のファブリペロー共振器13A,13Bにファブリペロー電気光学変調器13A’,13B’を用いた波長走査型レーザ光源10の実際の構成例を図6に示す。
【0084】
現在市販されているファブリペロー電気光学変調器は反射があるので、図6に示す波長走査型レーザ光源10では、光アイソレータ17A,17B,17C,17Dを挿入している。また、遅延線18を挿入している。例えば遅延線は1kmのファイバーである。これにより光ファイバーループ11を光が一周する時間は5μsとなるので、200kHzの周期でのモード間隔になる。この波長走査型レーザ光源10全体の系は偏波保存で構築され、レーザ発振の光路となる光ファイバーループ11を通過する光の偏光の状態を決定するために偏光子19が光増幅器12と光アイソレータ17Cと間に挿入されている。なお、遅延にはファラデーミラーとSMファイバーとPBSカップラを用いても可能である。走査周波数はこの200kHzの整数倍で可能になる。
【0085】
なお、偏光子19は、レーザ発振の光路となる光ファイバーループ11を通過する光の偏光の状態を決定するためのものであって、基本的にループ内のどの位置に挿入してもよい。
【0086】
ここで、上記波長走査型レーザ光源10における光増幅器12、ファブリペロー共振器13A,13B、光カップラ14として、波長1.5μm帯用の、光ファイバアンプEFDA、2台のコム発生器モジュールOFCG1,OFCG2、光カップラPCを使用して、図7に示すファイバーリングレーザーを構成し、コム発生器モジュールOFCG1へのバイアス電圧による波長可変特性を測定したところ、高速波長走査可能な走査型レーザ光源として機能しており、図8に示すような結果が得られた。
【0087】
温度差が大きいとFSRの差が大きいため、電圧に対する波長変化は緩やかで波長可変帯域は狭くなる。温度差が小さくなると波長の変化はバイアス電圧に敏感になり、波長可変帯域も拡大する。波長可変帯域は、温度差15℃の場合33nm程度、温度差25度の場合約15nmであった。
【0088】
なお、光増幅器12には、IPG Photonics社製の光ファイバアンプ(PM EDFA)をPout=+22.6dBmで使用した。また、ファブリペロー共振器13A,13Bとして、室温でFSRが2.5GHzの導波路型ファブリペロー電気光学変調器(株式会社光コム製の導波路型FP-EO変調器 WR-250-03)を2台使用し、温度制御により第1の導波路型ファブリペロー電気光学変調器13A’と第2の導波路型ファブリペロー電気光学変調器13B’の温度をずらしてFSRをずらし、波長可変フィルタを構成した。各導波路型ファブリペロー電気光学変調器13A’,13B’はFSRが1℃当たり約0.08MHz変化するものを使用し、ペルチェ素子などを用いた温度制御により、第1の導波路型ファブリペロー電気光学変調器13A’の温度は20℃(固定)とし、第2の導波路型ファブリペロー電気光学変調器13B’の温度は33℃〜45℃(可変)とした。
【0089】
光カップラ14には、10:90すなわち10%が出力のものを使用した。
【0090】
光アイソレータ17A,17B,17Cは、導波路型ファブリペロー電気光学変調器13A’,13B’の入出力に各1箇所使用した。
【0091】
ここで、導波路型ファブリペロー電気光学変調器13A’,13B’はロスがおよそ7dBあり、2台の導波路型ファブリペロー電気光学変調器13A’,13B’を併せて14dBのロスとなり、このロスはレーザ光の自然放出光(ASE)を増加させるので、図9のように2台の光増幅器12A,12Bをそれぞれ導波路型ファブリペロー電気光学変調器13A’,13B’の後段に配置し、それぞれの導波路型ファブリペロー電気光学変調器13A’,13B’の後段で光増幅を行うことにより、導波路型ファブリペロー電気光学変調器13A’,13B’におけるロスによる自然放出光(ASE)の増加を少なくすることができる。
【0092】
また、例えば図10や図11に示すように、光ファイバーループ11を通過する光の偏光方向を90°回転させる偏光変換素子19A,19BとPBSカップラ20A,20Bにより偏光成分を分離することで光の経路を決定し、1台の光増幅器12を2台の光増幅器12A,12Bとして用い、それぞれ導波路型ファブリペロー電気光学変調器13A’,13B’の後段で光増幅するようにしても、導波路型ファブリペロー電気光学変調器13A’,13B’におけるロスによる自然放出光(ASE)の増加を少なくすることができる。
【0093】
例えばSOA等の光増幅器はどちらの偏光に対しても、どちらの方向に対しても増幅できるので、これを用いると光が一周する間に2度光増幅を行うことができ、図10に示す波長走査型レーザ光源10では、方向と偏光で光を分離し、SOAを用いた1台の光増幅器12で光増幅を行うようにしている。なお、PBSカップラ20A,20Bの代わりにサーキュレータを用いるようにしても良い。また、図11に示す波長走査型レーザ光源10では、光増幅器12を通過する方向は同じであるが、偏光で分離するようにしている。
【0094】
ここで、図12に示すような測定系200を構築して、バーニア効果による波長走査型レーザ光源10から出力されるレーザ光の波長を干渉計210にて測定して、上記バンドパスフィルタを構成する2台のファブリペロー共振器13A,13Bの内の一方のファブリペロー共振器13Aの共振器長を変化させる共振器長制御部15により与える走査信号電圧とレーザ周波数との関係を求めた結果を図13の(A)に示し、また、その測定値の直線近似値からのずれ量をプロットした結果を図13の(B)に示す。図13の(A)、(B)の各横軸は走査信号電圧であり、図13の(A)の縦軸は測定結果として得られた波長に対応するレーザ周波数であり、図13の(B)の縦軸はそのレーザ周波数測定値の直線近似値からのずれ量である。
【0095】
また、上記共振器長制御部15がファブリペロー共振器13Aに与える走査信号の波形と干渉計210にて得られる干渉信号の波形を観測したところ、図14の(A)、(B),(C)ように、走査信号の波形(三角波、正弦波、鋸歯状波)に追従した干渉信号の波形が得られた。
【0096】
ここで、上記図12に示した測定系200では、波長走査型ファイバレーザ光源10の光増幅器12にはSOA(半導体光アンプ)を用い、また、遅延線18として1kmのSMファイバーとファラデーミラーとPBSカップラを用いた遅延線を挿入した。さらに、同期したファンクションジェネレーター2チャンネルを共振器長制御部15として用いて、それぞれのファブリペロー共振器13A,13Bに対して任意の波形で変調ができるようにした。
【0097】
この測定系200では、光増幅器12にSOAを用いたことで波長可変範囲が大きくなっている。すなわち、図13の(A)は一方のファブリペロー共振器13Aのバイアスに電圧を加えてレーザの周波数(波長)変化を測定した結果を示しているが、データをみると波長可変が10THzに達したことがわかる。10THzはおよそ80nmであり、これは図7の系で得た図8の実験データ33nmよりも大きい。ここでは、温度の条件として2台のファブリペロー共振器13A,13Bの温度差が8度に設定されている。
【0098】
また、この測定系200では、波長走査型レーザ光源10に遅延線18を入れることにより100kHzの整数倍で変調が可能になっている。1kmのSMファイバーとファラデーミラーとPBSカップラを用いた遅延線の場合、光がファイバーを往復するので、2kmの遅延線と等価になる。図14のデータは走査周波数200kHzでのデータであり、温度の条件も同じ8度とした。走査範囲は10THzである。
【0099】
さらにこのとき、同期した2チャンネルのファンクションジェネレーターを共振器長制御部15として用いて、それぞれのファブリペロー共振器13A,13Bに対して反転した走査信号を加えることにより、波長の変化の方向にかかわらず図14のように良好な変調が得られた。一方のファブリペロー共振器13Aだけに100kHzを超える走査信号を加えた場合、波長の変化の方向によって光強度が異なったり、レーザ発振しなくなるなど不具合が生じたりしましたが、それぞれのファブリペロー共振器13A,13Bに対して反転した走査信号を加えることで、それらの不具合の程度は格段に減少した。これにより走査周波数は少なくとも1MHzまでは確認できた。
【0100】
なお、それぞれのファブリペロー共振器13A,13Bに対して反転した走査信号を加える場合、特に高速走査周波数(1MHzぐらい)では、2台のファブリペロー共振器13A,13Bの間の距離を無視できないので、それぞれのファブリペロー共振器13A,13Bに対して加える反転した走査信号の間の位相差を調整する必要がある。
【0101】
上記測定結果から明らかなように、バーニア効果による波長走査型レーザ光源10におけるレーザ周波数は、共振器長制御部15による走査信号電圧にほぼ比例する。
【0102】
すなわち、バーニア効果による波長走査型レーザ光源10は、その光の波長が入力電圧信号に比例する。したがって、例えば入力電気信号として直線的な鋸歯状波などで変調すれば、鋸歯状の波長の変調が可能である。特に電気的なEO効果によって波長を操作することができるので、機械的な変調で起こるヒステリシスなどもない。
【0103】
ここで、光コヒーレンストモグラフィー装置に波長走査型レーザ光源10を用いる場合、必要なコヒーレント長をδLとし、光の速度をcとすると、ファブリペロー電気光学変調器の最大FSR(FSRmax)は、サンプリング定理から、
FSRmax=c/δL (1)式
なる(1)式にて与えられる。
【0104】
そして、2つのファブリペロー電気光学変調器がそれぞれ7dBの損失を持っているために、総合損失は14dB以上あり、出力パワーは、飽和限界に届いておらず、各ファブリペロー電気光学変調器の光学的応答特性に敏感な状態にある。
【0105】
したがって、周波数走査速度(Srate)、すなわち、単位時間当たりにレーザ光が走査する周波数のカットオフ(Srate-cut)は、最大走査レンジ(FSRv)の関数として、
Srate-cut=FSRv/Fδt (2)式
なる(2)式にて与えられるものと推定される。ここで、δt(=F/FSR)は、ファブリペロー電気光学変調器における光子の寿命である。
【0106】
実験の結果として得られた周波数走査速度(Srate)のカットオフ(Srate-cut)は、12THz/μsであった。
【0107】
また、コヒーレント長(δL)の限界(δLlimit)は、
δLlimit=c/Srateδt (3)式
なる(3)式にて与えられるものと推定された。
【0108】
この結果から、コヒーレント長(δL)と周波数走査速度(Srate)はトレードオフの関係にあると予測することができ、周波数走査速度(Srate)のカットオフ(Srate-cut)におけるコヒーレント長(δL)の限界(δLlimit-cutoff)は、
δLlimit-cutoff=cF/FSRv (4)式
なる(4)式にて与えられる。
【0109】
したがって、コヒーレント長(δL)、周波数走査速度(Srate)、最大走査レンジ(FSRv)がシステムの要求で与えられたとすると、共振器の条件、すなわち、フィネス(F)及び自由スペクトル領域(FSR)の条件を次のようにして決定することができる。
【0110】
すなわち、フィネス(F)の取り得る範囲は、上記(3)式から一般的に求めると
cFSR/SrateδL>F
となり、自由スペクトル領域(FSR)の取り得る範囲は、
c/δL>FSR
となる。
【0111】
ここで、実際の装置では、上記フィネス(F)の取り得る範囲が、
c/δL>FSR>SrateF/FSRv/2
すなわち、周波数走査速度(Srate)がカットオフ(Srate-cut)の1/2から2倍の範囲で良好な動作を確認することができた。
【0112】
なお、この波長走査型光源10では、走査速度が遅い場合、特に周波数走査速度(Srate)がカットオフ(Srate-cut)/2よりも遅い場合に、強度雑音が発生した。この現象は、モード競合雑音(mode competition noise)と考えられ、SOAに高周波重畳(high frequency superposition)を行うことにより、モード競合雑音(mode competition noise)を減らすことができ、走査速度が遅い場合の特性を改善することができる。周波数走査速度(Srate)がカットオフ(Srate-cut)/2よりも速い場合には、上述の図8、図9、図10等に示した方法によりループ利得を大きくすることで改善できる。
【0113】
また、このバーニア効果による波長走査型光源10では、原理的に、レーザ波長が走査信号電圧に比例するので、レーザ周波数が走査信号電圧に完全には比例していない。したがって、直線的な走査信号では波数(レーザ周波数×2π÷光速)について時間的に等間隔な走査はできないが、走査信号の波形を調整することにより、波数について時間的に等間隔な走査を行うことができる。
【0114】
すなわち、バーニア効果による波長走査型レーザ光源10は、電気的信号を調整し非線形な鋸歯状波にすることで、波数について時間的に等間隔であるような、鋸歯状の変調が可能である。
【0115】
すなわち、αを定数とすると、電圧Vに対する波長は、
λ=α・V+λ0
である。一方、光の波数Kは、
K=2π/λ=2π/(α・V+λ0)
であるので、任意の時間に対する関数K(t)である波数を実現するには電圧の時間に対する関数V(t)を
V(t)=(2π/K(t)−λ0)/α
とすればよい。
【0116】
そこで、上記波長走査型レーザ光源10では、上記バンドパスフィルタを構成する2台のファブリペロー共振器13A,13Bの内の少なくとも一方のファブリペロー共振器13Aの共振器長を共振器長制御部15により一定範囲で周期的に変化させることによって、光学カップラ14を介して取り出されるレーザ光の波長を周期的に走査するにあたり、予め、上記共振器長制御部が上記ファブリペロー共振器に与える走査信号の波形を調整し、光カップラ14を介して取り出されるレーザ光の波数が時間に対して線形になるように校正することによって、波数が時間に対して線形なレーザ光を光カップラ14を介して得ることができる。
【0117】
そして、例えば、図15に示す波長走査型レーザ光源10のように、波数が時間に対して線形なレーザ光を得るための校正データを共振器長制御部15がROM15Aから読み出して走査信号の波形を生成する構成とすることにより、波数が時間に対して線形なレーザ光を光カップラ14を介して得ることができる。
【0118】
ここで、上記波長走査型レーザ光源10を改良した波長走査型レーザ光源210を図16に示す。
【0119】
この波長走査型レーザ光源210は、近接したFSR(Free spectral range)を有する2台のファブリペロー共振器130A,130Bと、発振波長に利得を有する光増幅器12と、この光増幅器12に偏光子19と光アイソレータ17を介して光ファイバー接続された光学カップラ14と、上記2台のファブリペロー共振器130A,130Bの内の少なくとも一方、ここではファブリペロー共振器130Aの共振器長を一定範囲で周期的に変化させる共振器長制御部15とを備え、上記光学カップラ14が光共振器の共振モードにマッチングするように設計されたコリメータと凸レンズからなる入射側光学系18Aを介して一方のファブリペロー共振器130Aにファイバー接続され、一方のファブリペロー共振器130Aが光共振器の共振モードにマッチングするように設計された凸レンズとコリメータからなる出射側光学系18Bと光共振器の共振モードにマッチングするように設計されたコリメータと凸レンズからなる入射側光学系18Cを介して他方のファブリペロー共振器130Bにファイバー接続され、さらに、他方のファブリペロー共振器130Bがコリメータの機能を有する出射側光学系18Dを介して上記光増幅器12にファイバー接続されたレーザ発振の光路となる光ファイバーループを有するファイバーリングレーザーを構成したものである。
【0120】
ここで、偏光子19は、レーザ発振の光路となる光ファイバーループを通過する光の偏光の状態を決定するためのものであって、基本的にループ内のどの位置に挿入してもよい。
【0121】
そして、この波長走査型レーザ光源210では、上記2台のファブリペロー共振器130A,130Bには、例えば、図17に示すように、電気光学結晶110を内在するファブリペロー共振器を共焦点となるように各凹面鏡111,112の曲率を設定することでリング型の共振を得るようにしたリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130がそれぞれ用いられている。
【0122】
このように各凹面鏡111,112の曲率を共焦点となるように設定したリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130では、入射光Linに対する直接の反射光Lrは入射側に戻らないので、光アイソレータを必要としない。
【0123】
そこで、この波長走査型レーザ光源210では、入射光Linに対する直接の反射光Lrが入射側に戻らない共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130を上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器130A,130Bを用いることにより、各ファブリペロー共振器130A,130Bの入出力部分の光アイソレータを省略することができ、光増幅器12の入力側のみに光アイソレータ17が設けられている。
【0124】
すなわち、この波長走査型レーザ光源210では、上述の如く近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器130A,130Bとして入射光Linに対する直接の反射光Lrが入射側に戻らない共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130を用いているので、反射の影響は低いのであるが、リング型レーザの右回りか左回りかの発振方向を決めるために上記光増幅器12の入力側のみに光アイソレータ17を挿入している。この光アイソレータ17は、従来反射のあるファブリペロー電気光学変調器からの反射の影響を低減するためのものと目的が異なり、右回りか左回りかの利得の差を与えられればいいだけの性能しか要求されない。また、この光アイソレータ17は、基本的にはループ内のどの位置に挿入してもよい。
【0125】
この波長走査型レーザ光源210において、近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器130A,130Bは、それぞれ波長選択フィルタとして機能する。そして、上記2台のファブリペロー共振器130A,130Bの内の少なくとも一方、ここではファブリペロー共振器130Aは、共振器長制御部15により共振器長を可変することで選択波長を可変することのできるようになっている。
【0126】
そして、上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器130A,130Bは、一方のファブリペロー共振器130Aの共振器長を可変することにより、そのバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長選択特性を有するバンドパスフィルタとして機能する。
【0127】
この波長走査型レーザ光源210では、光ファイバーループ11内に設けられた上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器130A,130Bによるバンドパスフィルタを通過した光が光増幅器12で増幅され、上記光ファイバーループ11を介して帰還されることによって発振する。そして、この波長走査型レーザ光源210では、上記ファブリペロー共振器130Aの共振器長を共振器長制御部15により一定範囲で周期的に変化させることによって、発振波長が周期的に変化し、光学カップラ14を介して取り出されるレーザ光の波長が周期的に変化するようになっている。
【0128】
なお、上記光ファイバーループ11からレーザ光を取り出す光学カップラ14は、光増幅器12の後に設けられているが、光増幅器12の前、あるいは、2台のファブリペロー共振器130A,130Bの間に設けられていてもよい。
【0129】
このような構成の波長走査型レーザ光源210では、光ファイバーループ11の共振器長を長くすることができ、光ファイバーループ11の共振器長を例えば1000mとすることにより、レーザ全体の縦モード間隔を例えば200kHz程度に狭くすることができる。これにより、上記レーザ全体の縦モード間隔は各ファブリペロー共振器130A,130Bの一つ一つのモードの帯域幅(FSR/フィネス、例えば2.5GHz/50=50MHz)よりも十分狭くできるので、そのため共振器長を変化させることなく、モードホップの影響をなくすることができる。従って厳密には単一モード発振ではないが、バンドパスフィルタの選択波長を変化させるだけで、擬似的に連続して波長可変を行うことができる。
【0130】
この波長走査型レーザ光源210では、狭帯域のスペクトルを持つ光源の波長を広い帯域で高速、且つ連続的に走査でき、しかも、入射光Linに対する直接の反射光Lrが入射側に戻らない共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130を上記2台のファブリペロー共振器130A,130Bを用いているので、各ファブリペロー共振器130A,130Bの入出力部分の光アイソレータを省略することができ、光アイソレータにおける光損失によるノイズの上昇を小さくすることができる。
【0131】
ここで、導波路型のファブリペロー電気光学変調器は、研磨によって長さ調整が行なえ、それぞれ温度制御を行なうことで正確に共振器長を制御できるので、共振器長の絶対値を温度制御を行うことで希望する範囲に1ppmで制御が可能である。したがって、例えばFSR=2.5GHzのファブリペロー電気光学変調器と、1/4000だけFSRの異なるファブリペロー電気光学変調器を用いて、バーニア効果によって4000倍の10THzのFSRの波長選択素子が容易に実現できる。しかし、凹面鏡を用いる空間型のファブリペロー電気光学変調器では、研磨によって長さ調整を高精度に行なうことは難しいので、凹面鏡の位置を数ミクロンの精度で調整して、2台の光共振器を高精度に温度調整する必要がある。
【0132】
また、共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130のFSR(Free spectral range)は、通常媒質の群屈折率をngとすると、
FSR=c/(4ng・L)
となる。ここで、cは真空中の光速、Lは共振器長である。
【0133】
そして、電気光学変調によく用いられるニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)では常光の群屈折率をnogと異常光の群屈折率をnegは両方とも2程度の値であるが、差が4%ある。
【0134】
したがって、電気光学結晶(LN)110により常光を変調するようにした共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130のFSRは、
FSR1=c/(4nog・L)
となり、また、電気光学結晶(LN)110により異常光を変調するようにした共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130のFSRは、
FSR2=c/(4neg・L)
となる。
【0135】
また、図18に示すように、共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130中に、長さL1の電気光学結晶(LN)110Aと長さL2の電気光学結晶(LN)110Bを挿入して、C軸が直交するように配置することにより、長さL1の電気光学結晶(LN)110Aにより常光を変調し、長さL2の電気光学結晶(LN)110Bにより異常光を変調するようにした共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130のFSRは、
FSR1=c/(4nog・L1+4neg・L2)
となり、長さL1の電気光学結晶(LN)110Aにより異常光を変調し、長さL2の電気光学結晶(LN)110Bにより常光を変調するようにした共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130のFSRは、
FSR2=c/(4neg・L1+4nog・L2)
となる。
【0136】
この場合、L1=L2であれば、FSR1=FSR2であり、電気光学結晶(LN)110A,110Bの長さL1,L2の差でFSR1,FSR2の差を細かく設定することができる。
【0137】
なお、ここでは、リング型共振ファブリペロー電気光学変調器130のFSRについて、原理説明のために空間部分を無視して、結晶長と共振器長さが同じものとして計算式を示した。
【0138】
このように1台のファブリペロー共振器に2個の結晶を挿入すると、全体の共振器長さを共有している。本来、バーニア効果で重要なのは2つのFSRの差とFSRとの比が重要になるので、長さの絶対値は本質的には重要ではなく、2個の結晶の長さの差が重要になる。2個の結晶の長さの差は、研磨により調整できる。外付けのミラーの位置の多少のズレは無視することができる。
【0139】
ここで、上記波長走査型レーザ光源210では、上記バンドパスフィルタを構成する2台のファブリペロー共振器130A,130Bの内の一方のファブリペロー共振器130Aの共振器長を共振器長制御部15により一定範囲で周期的に変化させることによって、光学カップラ14を介して取り出されるレーザ光の波長を周期的に走査するようにしたが、例えば図19に示す波長走査型レーザ光源210における共振器長制御部15のように、周期的な走査信号として鋸歯状波信号発生器150により発生された鋸歯状波信号をファブリペロー共振器130Bには直接供給し、ファブリペロー共振器11Aには反転増幅器151を介して直接供給する構成とし、2台のファブリペロー共振器130A,130B内の電気光学変調器の両方に対して、反転した走査信号を与えて、上記各ファブリペロー共振器の共振器長を相反的に変化させることで変調電圧を半分にでき、反転した走査信号を加えることで変調電圧を半分にでき、また、ファブリペロー共振器内の電気光学変調器に電圧を加えたときに生じる位相の変化は相殺されるので、波長の走査をより高精度且つ安定に行うことができる。
【0140】
また、波長走査型レーザ光源210において、中心波長はそれぞれのファブリペロー電気光学変調器の温度差に極めて敏感であるので、図19に示す波長走査型レーザ光源210における共振器長制御部15では、光学カップラ14を介して取り出されるレーザ光、すなわち、中心波長を透過するバンドフィルタを通過した光の一部を光学カップラ14’からバンドパスフィルタ16を介して光検出器152に導いて該光検出器152により検出し、そのタイミングと周期的な走査信号の位相差をロックインアンプ153で検出して、その位相差が一定値になるように制御信号を周期的な信号に重畳させてフィードバックすることによって、中心波長を制御するようになっている。これにより、常に一定な波長で変調が可能になる。
【0141】
また、図18に示すように、共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器120中に、長さL1の電気光学結晶(LN)110Aと長さL2の電気光学結晶(LN)110Bを挿入して、C軸が直交するように配置する場合、図20に示すように、2つの電気光学結晶(LN)110A,110Bの電極125A,125Bを並列に接続して変調信号を与えて変調するようにすると、それぞれ電圧が結晶のC軸に対して反対になるようにすることで偏光方向に対し相対的に光学距離が変化する。
【0142】
したがって、結晶を一回透過する間に生じる光学距離の変化は、電気光学定数γ33、γ31、結晶長さL1、L2、結晶厚さdとすると、FSR1側の偏光に対しては(γ31・L1−γ33・L2)・V/dとなり、また、FSR2側の偏光に対しては(γ33・L1−γ31・L2)・V/dとなり、両者の差として(γ31−γ33)・(L1+L2)・V/dだけの、光学距離の変調が行われる。
【0143】
すなわち、2台のファブリペロー電気光学変調器を用いる場合であっても、電極を入れ替えられるのであれば、反転増幅器151は必要なくなる。
【0144】
結晶の選択方法はγ33とγ31の差の大きな結晶を選ぶことで、例えばLNやLTなどの場合、一致溶融組成結晶よりも定比組成結晶のほうが有利である。
【0145】
ここで、1台のファブリペロー共振器に2個の電気光学結晶を挿入した共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器11は、例えば、次のようにして図21に示すような構造のモノリシック型のファブリペロー電気光学変調器として作製する。
【0146】
まず、図22の(A)に示すように、C軸が光線方向と直交し互いに直交するようにした長尺な結晶1101,1102とC軸が光線方向になるようにした薄目の結晶1201,1202を作製し、光線方向と直交する各端面を研磨し、電気光学結晶(LN)1101の長さをL1、電気光学結晶(LN)1102の長さをL2に調整する。
【0147】
次に、図22の(B)に示すように、長さL1の電気光学結晶(LN)1101と長さL2の電気光学結晶(LN)1102を各C軸が直交する状態で屈折率のマッチした接着剤、あるいはオプティカルコンタクトで接着して、さらに、その両端に薄目のC軸が光線方向になるようにした結晶1201,1201を接着し、全体がLの長さの接合体1000を作製する。なお、両端の薄目のC軸が光線方向になるようにした結晶1201,1202は光線に対して等方的な媒質である。
【0148】
そして、図22の(C)に示すように、上記接合体1000をダイシングしてモノリシック型のファブリペロー電気光学変調器130の基体1001とする。
【0149】
次に、図22の(D)に示すように、このようにして作製した電気光学結晶(LN)110A,110B及び両端の結晶120A,120Bからなる基体1001の上記両端の結晶120A,120Bを共焦点になるような曲率Rで凸面研磨する。
【0150】
次に、図22の(E)に示すように、上記曲率Rで凸面研磨した上記基体1001の両端面に蒸着によりコーティングしてファブリペロー共振器を構成する相対向する共焦点の凹面鏡111,112を形成する。ここで、片側の結晶120Aの端面には100%未満、反対側の結晶120Bの端面には100%でコーティングして各凹面鏡111,112を形成する。全体の長さをLとするとき曲率Rは、
R=(no/ne−1)・(L1+L2)/2+L
である。
【0151】
そして、図22の(F)に示すように、上記凹面鏡111,112が両端面に形成された基体1001の各電気光学結晶(LN)110A,110Bの各C軸と直交する側面に蒸着により電極125A,125Bを形成することにより、図21に示すような構造のモノリシック型のファブリペロー電気光学変調器130を作製する。
【0152】
なお、モノリシック型のファブリペロー電気光学変調器130の場合コリメータに比べ結晶サイズが小さくなるので、入出射光学系18A,18Bとして2個のコリメータを並べるのは難しいため、例えば、図23に示すように、プリズム型ミラー18Cを入力面においた構造の入出射光学系16A,16Bとしたり、あるいは、図24に示すように、2芯のフェルールにファイバーを搭載して、プリズム18Dで2芯のフェルールに搭載したファイバーとリング型共振器を結合させる構造の入出射光学系18とする。
【0153】
ここで、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130は、双方向の電気光学変調器として使用することができるので、例えば図25に示す波長走査型レーザ光源210’のように、図16に示した波長走査型レーザ光源210における光増幅器12として、どちらの偏光に対しても、どちらの方向に対しても増幅できるSOA等の方向光増幅器12’を用い、上記光学カップラ14に替えて全反射ミラー14Aとハーフミラー14Bを設け、上述の近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器130A,130Bをそれぞれ双方向の電気光学変調器として機能する上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130にて構成とすることによって、光ファイバーループを1周する間に2度光増幅を行うようにすることができる。
【0154】
この波長走査型レーザ光源210’では、一方のファブリペロー共振器130Aから入出射光学系18A’を介して出射される光が全反射ミラー14Aで全反射されて上記入出射光学系18A’を介して当該ファブリペロー共振器130Aに入射され、このファブリペロー共振器130Aから入出射光学系18B’を介して出射された光が入出射光学系18C’を介して他方のファブリペロー共振器130Bに入射され、このファブリペロー共振器130Bから入出射光学系18D’を介して出射された光が双方向光増幅器12’により増幅される。そして、この双方向光増幅器12’により増幅された光から偏光子19を介して取り出される所定の偏光成分の光がハーフミラー14Bで反射されて上記偏光子19を介して当該双方向光増幅器12’に入射され、上記偏光子19を通過する所定の偏光成分の光が上記双方向光増幅器12’により増幅されて、上記入出射光学系17B’を介して当該ファブリペロー共振器130Bに入射され、このファブリペロー共振器130Bから入出射光学系を介して出射された光が入出射光学系を介して上記ファブリペロー共振器130Aに入射され、上記ハーフミラー14Bを介してレーザ光が取り出される。
【0155】
このような構成の波長走査型レーザ光源210’では、光がファイバーループを一周する間に、それぞれ共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130からなるFSR1のファブリペロー共振器130AとFSR2のファブリペロー共振器130Bを2回ずつ通過するので、バーニア効果としての光フィルタの分解能を向上させることができ、波長の選択がより強まり、線幅の狭い、コヒーレントレングスの長くすることができる。なお、双方向光増幅器12はループ中のどの位置に挿入してもよい。
【0156】
また、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130は、偏光方向によってFSRが異なり、また、c軸方向の偏光に対して電気光学変調が強くかかるので、図26に示す波長走査型レーザ光源220のように、偏光成分を分離して合成する光学系180を設けることにより、1台の共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130を上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器130A,130Bとして機能させることができる。
【0157】
すなわち、図26に示す波長走査型レーザ光源220は、図16に示した波長走査型レーザ光源210を改良したものであって、光ファイバーループ内に設けられた1台の共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130、発振波長に利得を有する光増幅器12、この光増幅器12に光アイソレータ17を介して光ファイバー接続された光学カップラ14、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130のP偏光及びS偏光の相対的共振器長を一定範囲で周期的に変化させる共振器長制御部15、上記光増幅器12及び光学カップラ14と入射側光学系18A及び出射側光学系18Bの間に設けられた偏光成分を分離して合成する光学系180などからなる。
【0158】
上記光学系180は、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130からの出射光が出射側光学系18Bを介して入射される第1のPBSカップラ181、このPBSカップラ181により上記出射光から分離されたP偏光成分の光が入射される第1の偏光変換器182、上記PBSカップラ181により上記出射光から分離されたS偏光成分の光が入射される第2の偏光変換器183、上記光学カップラ14を介してS偏光成分の光が入射される第2のPBSカップラ184からなる。
【0159】
この光学系180において、第1のPBSカップラ181は、上記出射側光学系16Bを介して入射される上記リング型共振ファブリペロー電気光学変調器130からのP偏光成分の光とS偏光成分の光に分離する。この第1のPBSカップラ181により上記出射光から分離されたP偏光成分の光は第1の偏光変換器182に入射され、また、S偏光成分の光は第2の偏光変換器183に入射される。
【0160】
第1の偏光変換器182は、上記第1のPBSカップラ181により上記出射光から分離されたP偏光成分の光の偏光方向を90°回転させてS偏光成分の光に変換する。この第1の偏光変換器182により変換されたS偏光成分の光は、上記光増幅器12に入射される。
【0161】
そして、この波長走査型レーザ光源220では、第1の偏光変換器182を介して入射されるS偏光成分の光が発振波長に利得を有する上記光増幅器12により増幅され、光アイソレータ17及び光学カップラ14を介して第2のPBSカップラ184に入射される。
【0162】
また、第2の偏光変換器183は、上記第1のPBSカップラ181により上記出射光から分離されたS偏光成分の光の偏光方向を90°回転させてP偏光成分の光に変換する。この第2の偏光変換器183により変換されたP偏光成分の光は、上記第2のPBSカップラ184に入射される。
【0163】
ここで、上記第1及び第2の偏光変換器182,183は、ファラデー素子、波長板などが使えるほか、PMファイバーを光学素子につなげるところで、PMの軸を適時選択することで偏光方向を90度回転させる構造とすることもできる。
【0164】
第2のPBSカップラ184は、上記光学カップラ14を介して入射されるS偏光成分の光と上記第2の偏光変換器183を介して入射されるP偏光成分の光を合成する。
【0165】
そして、この第2のPBSカップラ184による合成光は、入射側光学系18Aを介して入射光として上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130に入射される。
【0166】
なお、上記第1及び第2のPBSカップラ181,184の代わりにサーキュレータを用いるようにしても良い。
【0167】
この波長走査型レーザ光源220において、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130は、偏光方向によってFSRが異なり、また、c軸方向の偏光に対して電気光学変調が強くかかるので、入射光すなわち上記合成光を構成しているP偏光成分の光とS偏光成分の光に対して、近接したFSRp、FSRsで変調度の異なる2台のファブリペロー共振器として機能する。
【0168】
この波長走査型レーザ光源220において、近接したFSRp、FSRsで変調度の異なる2台のファブリペロー共振器として機能する1台の共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130は、波長選択フィルタとして機能し、P偏光及びS偏光の相対的共振器長を可変することにより、そのバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長選択特性を有するバンドパスフィルタとして機能する。
【0169】
そして、この波長走査型レーザ光源220では、光ファイバーループ内に設けられた上記近接したFSRp,FSRsを有する1台の共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器11によるバンドパスフィルタを通過した光、すなわち、上記リング型共振ファブリペロー電気光学変調器130の出射光が上記第1のPBSカップラ181によりP偏光成分の光とS偏光成分の光に分離され、上記第1のPBSカップラ181により上記出射光から分離されたP偏光成分の光が第1の偏光変換器182によりS偏光成分の光に変換されて光増幅器12で増幅され、上記光ファイバーループを介して帰還されるとともに、上記第1のPBSカップラ181により上記出射光から分離されたS偏光成分の光が第2の偏光変換器183によりP偏光成分の光に変換されて帰還されることによって発振する。そして、この波長走査型レーザ光源220では、上記1台の共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130のP偏光及びS偏光の相対的共振器長を共振器長制御部15により一定範囲で周期的に変化させることによって、発振波長が周期的に変化し、光学カップラ14を介して取り出されるレーザ光の波長が周期的に変化する。
【0170】
この波長走査型レーザ光源220では、入射光Linに対する直接の反射光Lrが入射側に戻らない1台の共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器11を用いて、極めてノイズの小さい単光性の光を発生する狭帯域のスペクトルを持つ光源の波長を広い帯域で高速、且つ連続的に走査できる。
【0171】
ここで、上述の如く、2台のファブリペロー共振器の場合
FSR1=c/(4ng・L1)
FSR2=c/(4ng・L2)
であるので近似的に
(FSR1−FSR2)/FSR = (L2−L1)/L
であり、例えば1/1000の差をつけようとすると、L1とL2の差は1000分の1の差にするために、研磨で長さをLの1/1000以下の精度でそろえ、温度差でFSRの差を維持することを行なう必要があるが、1台のファブリペロー共振器の場合
FSR1=c/(4nog・L1+4neg・L2)
FSR2=c/(4neg・L1+4nog・L2)
であるので近似的に
(FSR1−FSR2)/FSR =(L2−L1)/L (nog−neg)/ng
であり、(nog−neg)/ngは約0.04であるので同じ研磨精度であったとしても、長さの差をLの1/40にすれば良いことになる。研磨精度が1/1000程度なので、研磨だけでFSRの差を1/1000±1/40000以下の精度で実現できる。この際、2台の結晶を熱的に結合しておくことは近接しているから可能であり、研磨で得られたFSRの差の精度は温度制御していなくても保つことができ、導波路型で用いたようなFSRの差を一定にするための温度制御が必要が無くなる。したがって、温度コントローラー2台分不要になり、コストメリットがある。
【0172】
また、上述の如く共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130は、双方向の電気光学変調器として使用することができるので、例えば図27に示す波長走査型レーザ光源220’のように、図26に示した波長走査型レーザ光源220における光増幅器12として、どちらの偏光に対しても、どちらの方向に対しても増幅できるSOA等の双方向光増幅器12’を用い、上記光学カップラ14に替えて全反射ミラー14Aとハーフミラー14Bを設け、上述の近接したFSRp、FSRsで変調度の異なる2台のファブリペロー共振器として機能する1台の共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器11を双方向で使用する構成とすることもできる。
【0173】
この波長走査型レーザ光源220’では、共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130から入出射側光学系18A’を介して取り出される光が第2のPBSカップラ184を通過して全反射ミラー14Aに入射され、この全反射ミラー14Aにより反射された光が上記第2のPBSカップラ184を通過して上記入出射側光学系18A’を介して上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器11に入射され、また、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器11から入出射側光学系18B’を介して取り出される光が第1のPBSカップラ181及び第1及び偏光変換器182を通過して双方向光増幅器12’に入射され、この双方向光増幅器12’により増幅された光がハーフミラー14Bに入射され、このハーフミラー14Bで反射された光が上記双方向光増幅器12’に入射され、この双方向光増幅器12’により増幅された光が上記第1及び偏光変換器182及び第1のPBSカップラ181を介して上記入出射側光学系16B’から上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130に入射されることにより発振し、上記ハーフミラー14Bを介してレーザ光が取り出される。
【0174】
このような構成の波長走査型レーザ光源220’では、上述の近接したFSRp、FSRsで変調度の異なる2台のファブリペロー共振器として機能する1台の共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130を双方向で使用することにより、光がファイバーループを一周する間に、共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130からなるFSR1のファブリペロー共振器とFSR2のファブリペロー共振器を2回ずつ通過することになり、バーニア効果としての光フィルタの分解能を向上させることができ、波長の選択がより強まり、線幅の狭い、コヒーレントレングスの長くすることができる。なお、双方向光増幅器12はループ中のどの位置に挿入してもよく、例えば、第2の偏光変換器183の前段又は後段に挿入すれば、光がファイバーループを一周する間、すなわち、共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130からなるFSR1のファブリペロー共振器とFSR2のファブリペロー共振器を2回ずつ通過する間に2回光増幅できるので、SN的に有利になる。
【0175】
また、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130は、双方向の電気光学変調器として使用することができるので、例えば図28に示す波長走査型レーザ光源230のように、近接したFSRp,FSRsを有する1台の共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130に対して入出射側光学系18A’及び入出射側光学系36Bを介して光を入出射するようにして、入出射側光学系18A’を介して出射された光は第1の光ファイバーループ331を介して上記入出射側光学系18A’に入射し、入出射側光学系18B’を介して出射された光は第2の光ファイバーループ332を介して上記入出射側光学系18B’に入射する構成とすることもできる。
【0176】
この波長走査型レーザ光源230では、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器11から入出射側光学系18A’を介して出射された光が、第1のPBSカップラ311によりP偏光成分の光とS偏光成分の光に分離され、分離されたP偏光成分の光が第1の偏光変換器312により偏光方向を90°回転されS偏光成分の光に変換されて光増幅器12に入射され、この光増幅器12により増幅されたS偏光成分の光が光アイソレータ17及び光学カップラ14を介して上記第1のPBSカップラ311に戻されるように上記第1の光ファイバーループ331が構成されており、上記第1のPBSカップラ311から上記入出射側光学系18A’を介して上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130に入射される。また、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130から入出射側光学系18B’を介して出射された光が、第2のPBSカップラ321によりP偏光成分の光とS偏光成分の光に分離され、分離されたP偏光成分の光とS偏光成分の光を第2の偏光変換器322により偏光方向を90°回転させて、上記第2のPBSカップラ321により合成するように第2の光ファイバーループ332が構成されており、上記第2のPBSカップラ321による合成光が上記入出射側光学系18B’を介して上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130に入射される。
【0177】
すなわち、この波長走査型レーザ光源230では、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130の入出射側光学系18A’を介して出射された光が、上記第1の光ファイバーループ331において光増幅器12により増幅されて上記入出射側光学系18A’を介して上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130に入射され、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130から入出射側光学系18B’を介して出射された光が上記第2の光ファイバーループ332において偏光方向が90°回転されて上記入出射側光学系18B’を介して上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130に入射されるように光ファイバーループが構成されている。
【0178】
この波長走査型レーザ光源230では、入射光Linに対する直接の反射光Lrが入射側に戻らない1台の共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130を双方向の電気光学変調器として用いて、極めてノイズの小さい単光性の光を発生する狭帯域のスペクトルを持つ光源の波長を広い帯域で高速、且つ連続的に走査できる。
【0179】
なお、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130から入出射側光学系18B’を介して出射された光の偏光方向を90°回転させて上記入出射側光学系18B’を介して上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130に戻す上記第1の光ファイバーループに替えて、図29に示す波長走査型レーザ光源230’のように、ファラデーローテータ323と全反射ミラー324を用いることもできる。
【0180】
この波長走査型レーザ光源230’は、図28に示した波長走査型レーザ光源230を改良したものであって、第2の光ファイバーループ332をファラデーローテータ323と全反射ミラー324に置き換えた以外は、上記波長走査型レーザ光源230と同様であるので、同一の構成要素に同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0181】
この波長走査型レーザ光源230’では、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130から入出射側光学系18B’を介して出射された光がファラデーローテータ323により偏光方向が45°回転されて全反射ミラー324に入射され、この全反射ミラー324で全反射された光が上記ファラデーローテータ323によりさらに偏光方向が45°回転されて上記入出射側光学系18B’から上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130に入射される。
【0182】
この波長走査型レーザ光源230’においても、入射光Linに対する直接の反射光Lrが入射側に戻らない1台の共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130を双方向の電気光学変調器として用いて、極めてノイズの小さい単光性の光を発生する狭帯域のスペクトルを持つ光源の波長を広い帯域で高速、且つ連続的に走査できる。
【0183】
さらに、例えばSOA等の光増幅器はどちらの偏光に対しても、どちらの方向に対しても増幅できるので、例えば、図30に示す波長走査型レーザ光源240のように、SOA等の双方向光増幅器41を備えることにより、光ファイバーループを1周する間に2度光増幅を行うことができる。
【0184】
この図30に示す波長走査型レーザ光源240は、図29に示した波長走査型レーザ光源230’を改良したものであって、第1の光ファイバーループ331を双方向光増幅器41とファラデーローテータ42とハーフミラー43に置き換えた以外は、上記波長走査型レーザ光源230’と同様であるので、同一の構成要素に同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0185】
この波長走査型レーザ光源240では、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130から入出射側光学系18A’を介して出射された光が双方向光増幅器41により増幅され、ファラデーローテータ42により偏光方向が45°回転されてハーフミラー43に入射され、このハーフミラー43により反射された光がファラデーローテータ42により偏光方向がさらに45°回転されて双方向光増幅器41に入射され、この双方向光増幅器41により増幅された光が上記入出射側光学系18A’から上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130に入射されることより発振し、上記ハーフミラー43を介してレーザ光が取り出される。
【0186】
また、共焦点の共振ファブリペロー電気光学変調器では、入射光の入射方向を調整することにより、V字共振を得ることができ、例えば図31に示す共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251のように、電気光学結晶510を内在するファブリペロー共振器を共焦点となるように各凹面鏡511,512の曲率を設定するとともに、入射光Linの入射方向を調整することで、入射光Linの直接反射光Lrが入射方向に戻ることなく、出射光Loutが入射方向に戻るようにしたV字共振を得ることができる。
【0187】
そこで、入射光の直接反射光が入射方向に戻ることなく、出射光が入射方向に戻るようにしたV字共振を得ることができる共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251を用いることにより、例えば図32に示すようなリニヤ共振型の波長走査型レーザ光源250を構成することができる。
【0188】
この波長走査型レーザ光源250は、2台の共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251A,251Bと、一方のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251Aに入出射側光学系252Aを介して光ファイバー接続された双方向光増幅器253と、他方のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251Bに入出射側光学系252Bを介して光ファイバー接続された光カップラ254と、上記2台のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251A,251Bの内の一方、ここではV型共振ファブリペロー電気光学変調器251Aの共振器長を一定範囲で周期的に変化させる共振器長制御部255とを備え、上記双方向光増幅器253と光カップラ254とが光ファイバー接続されている。
【0189】
上記2台の共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251A,251Bは、近接したFSR(Free spectral range)を有するもので、それぞれ波長選択フィルタとして機能する。そして、上記2台の共焦点のV型ファブリペロー共振器251A,251Bの内の少なくとも一方、ここではファブリペロー共振器251Aは、共振器長を可変することにより選択波長を可変することのできるようになっている。
【0190】
そして、上記近接したFSRを有する2台のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251A,251Bは、一方のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251Aの共振器長を可変することにより、そのバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長選択特性を有するバンドパスフィルタとして機能する。
【0191】
この波長走査型レーザ光源250では、上記近接したFSRを有する2台のV型ファブリペロー共振器251A,251Bによるバンドパスフィルタを通過した光が、上記V型ファブリペロー共振器251A,251Bの間を往復する際に発振波長に利得を有する双方向光増幅器253で増幅されることによって発振する。そして、この波長走査型レーザ光源250では、上記V型ファブリペロー共振器251Aの共振器長を共振器長制御部255により一定範囲で周期的に変化させることによって、発振波長が周期的に変化し、光学カップラ254を介して取り出されるレーザ光の波長が周期的に変化するようになっている。
【0192】
このような構成の波長走査型レーザ光源250では、光ファイバー接続された光路を長くすることで共振長を長くすることができ、これによりレーザ全体の縦モード間隔を狭くして、共振長を変化させることなく、モードホップの影響をなくすることができ、厳密には単一モード発振ではないが、バンドパスフィルタの選択波長を変化させるだけで、擬似的に連続して波長可変を行うことができる。
【0193】
この波長走査型レーザ光源250では、狭帯域のスペクトルを持つ光源の波長を広い帯域で高速、且つ連続的に走査でき、しかも、入射光Linに対する直接の反射光Lrが入射側に戻らない共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器ファブリペロー共振器251A,251Bを用いているので、光アイソレータを省略することができ、光アイソレータにおける光損失によるノイズの上昇を小さくすることができる。
【0194】
上記共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251においても、上記共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器251と同様に、凹面鏡間にC軸が直交するように2つの電気光学結晶を配置することによって、長さの差でFSRの差を細かく設定することができる。
【0195】
また、上記共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251は、偏光方向によってFSRが異なり、また、c軸方向の偏光に対して電気光学変調が強くかかるので、例えば、図33に示すように、1台の共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251でリニヤ共振型の波長走査型レーザ光源260を構成することができる。
【0196】
この波長走査型レーザ光源260は、図32に示した波長走査型レーザ光源250を改良したもので、1台の共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251と、このV型共振ファブリペロー電気光学変調器251に入出射側光学系252を介して光ファイバー接続された双方向光増幅器253と、この双方向光増幅器253に光ファイバー接続されたファラデーローテータ264と、このファラデーローテータ264に光ファイバー接続されたハーフミラー265を備える。
【0197】
この波長走査型レーザ光源260では、上記共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251から入出射側光学系252を介して出射された光が双方向光増幅器253により増幅され、ファラデーローテータ264により偏光方向が45°回転されてとハーフミラー265に入射され、このハーフミラー265により反射された光がファラデーローテータ265により偏光方向がさらに45°回転されて双方向光増幅器253に入射され、この双方向光増幅器253により増幅された光が上記入出射側光学系252から上記共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251に入射される。
【0198】
この波長走査型レーザ光源250において、上記共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251は、偏光方向によってFSRが異なり、また、c軸方向の偏光に対して電気光学変調が強くかかるので、入射光すなわち上記合成光を構成しているP偏光成分の光とS偏光成分の光に対して、近接したFSRp、FSRsで変調度の異なる2台のファブリペロー共振器として機能する。
【0199】
上記近接したFSRp、FSRsで変調度の異なる2台のファブリペロー共振器として機能する1台の共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251は、波長選択フィルタとして機能し、P偏光及びS偏光の相対的共振器長を可変することにより、そのバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長選択特性を有するバンドパスフィルタとして機能する。
【0200】
この波長走査型レーザ光源260では、上記共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251の出射光が、上記ハーフミラー265により反射されて当該共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251に戻され、発振波長に利得を有する双方向光増幅器253で増幅されることによって発振する。そして、この波長走査型レーザ光源260では、上記V型共振ファブリペロー電気光学変調器251のP偏光及びS偏光の相対的共振器長を共振器長制御部55により一定範囲で周期的に変化させることによって、発振波長が周期的に変化し、上記ハーフミラーを介して取り出されるレーザ光の波長が周期的に変化するようになっている。
【0201】
このような構成の波長走査型レーザ光源260では、光ファイバー接続された光路を長くすることで共振長を長くすることができ、これによりレーザ全体の縦モード間隔を狭くして、共振長を変化させることなく、モードホップの影響をなくすることができ、厳密には単一モード発振ではないが、バンドパスフィルタの選択波長を変化させるだけで、擬似的に連続して波長可変を行うことができる。
【0202】
したがって、この波長走査型レーザ光源260では、入射光Linに対する直接の反射光Lrが入射側に戻らない1台の共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器51を用いて、極めてノイズの小さい単光性の光を発生する狭帯域のスペクトルを持つ光源の波長を広い帯域で高速、且つ連続的に走査できる。
【0203】
ここで、以上説明した発明の実施の形態では、共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130(130A,130B)、あるいは、共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器251(251A,251B)を用いて構成した波長走査型レーザ光源について説明したが、リング型共振ファブリペロー電気光学変調器130(130A,130B)やV型共振ファブリペロー電気光学変調器251(251A,251B)では、単一横モードに光をカップルさせることができれば原理的には共焦点でなくてもよい。
【0204】
すなわち、上記リング型共振ファブリペロー電気光学変調器130(130A,130B)やV型共振ファブリペロー電気光学変調器251(251A,251B)として、空間のファブリペロー電気光学変調器を用いることもできる。
【0205】
空間のファブリペロー電気光学変調器を用いるとロスが減り、フィネスが大きくなる利点がある。光導路ではロスは1台あたり7dB程度あり、フィネスは50程度が最大であるが、空間型でロスは1dB程度、フィネスは400程度が可能となる。この場合、ロスの低減によるSN比の向上がはかられ、フィネスの向上は波長フィルタとしての分解能を高めるので、波長可変レーザのコヒーレントレングスを大きくすることができる。
【0206】
そして、上記空間のファブリペロー電気光学変調器を「リング型」あるいは「V字型」とすることで直接反射を防ぐことができ、これにより光アイソレータの数を減らすことができる。
【0207】
「リング型」あるいは「V字型」のファブリペロー電気光学変調器は、単一横モードに光をカップルさせることができれば原理的には共焦点でなくても可能であるが、共焦点でない場合、わずかな調整の不備で単一横モードに光をカップルさせることができないと、不要な横モードが現れ、それが希望するモードの周波数と異なるので、バーニア効果を乱すことになる。共焦点の「リング型」あるいは「V字型」のファブリペロー電気光学変調器では、横モードの共振周波数が縮退するので、調整の不備があったとしても不要なモードが現れることなく使用することができる。
【0208】
また、共焦点の「リング型」あるいは「V字型」のファブリペロー電気光学変調器を用いた波長走査型レーザ光源においても、上述の図15に示した波長走査型レーザ光源10と同様に、波数が時間に対して線形なレーザ光を得るための校正データを共振器長制御部がROMから読み出して走査信号の波形を生成する構成とすることにより、波数が時間に対して線形なレーザ光を得ることができる。
【0209】
したがって、上述の如く、2台のファブリペロー共振器をバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長可変フィルタとして機能させて、時間的に波長を走査したレーザ光を出力する波長走査型レーザ光源を用いた光コヒーレンストモグラフィー装置100では、高速なOCT信号取得が可能で、また、上記ファブリペロー共振器に与える上記周期的な走査信号の波形を調整して、上記光学素子を介して取り出されるレーザ光の波数(2π/波長)が時間に対して線形になるように校正することにより、得られた干渉信号を、光の波数(2π/波長)について等間隔になるように再配列し、信号処理を加える必要がないので、OCT信号に対して校正のための信号処理を行うことなく、狭帯域のスペクトルを持つ光源の波長を広い帯域で高速、且つ連続的に走査できる。
【0210】
以上、光アイソレータの数を減らすことができる実施の形態として、空間のファブリペロー電気光学変調器を「リング型」あるいは「V字型」とすることで直接反射を防ぐことができようにした空間のファブリペロー共振器に電気光学結晶を内在させてなるファブリペロー電気光学変調器を用いる場合について説明したが、導波路型のファブリペロー電気光学変調器すなわち空間のファブリペロー共振器以外の例えばバルク型のファブリペロー共振器に電気光学結晶を内在させてなるファブリペロー電気光学変調器を用いて波長走査型レーザ光源を構成するようにしてもよい。
【0211】
また、リング型のファブリペロー電気光学変調器では、共振器の特性が共振器内をレーザ光が回る方向に依存しないので、例えば図34や図35に示す波長走査型レーザ光源270、280ように、2台のリング型のファブリペロー電気光学変調器を偏波無依存とし、発振波長に利得を有する偏波無依存型光増幅器をレーザ発振光路中に備える構成とすることもできる。
【0212】
偏波依存型の光増幅器は高価で消光比などの特性があまり良くないが、偏波無依存の光増幅器を用いることにより、この問題を解消することができる。
【0213】
図34に示す波長走査型レーザ光源270は、上述の図25に示した波長走査型レーザ光源210’を改良して偏波無依存の構成としたもので、近接したFSRp,FSRsを有する2台のリング型のファブリペロー電気光学変調器130A、130B、偏光変換素子271、PBSカップラ272、SMファイバー273、偏波無依存型双方向光増幅器274、ハーフミラー275が設けられた発振光路を備える。
【0214】
偏波無依存型双方向光増幅器274は、どちらの偏光に対しても、どちらの方向に対しても増幅できるSOA等の偏波無依存の双方向光増幅器であって、PBSカップラ272からSMファイバー273を介して入射される光を増幅して、その出射光の一部をハーフミラー275を介して外部に出力するとともに、上記ハーフミラー275により反射されて戻ってくる光を増幅して、上記SMファイバー273を介してPBSカップラ272に入射する。
【0215】
PBSカップラ272は、入射光のP偏光成分を透過し、S偏光成分を反射することにより、入射光をその偏光成分により分離させ、また、入射されるP偏光成分の光とS偏光成分の光を合成するものである。
【0216】
ここでは、上記PBSカップラ272は、上記SMファイバー273を介して入射される入射光をP偏光成分とS偏光成分に分離する。
【0217】
上記SMファイバー273を介して上記PBSカップラ272に入射された入射光は、当該PBSカップラ272を透過したP偏光成分が、入出射光学系を介してリング型のファブリペロー電気光学変調器130Bに入射される。
【0218】
上記リング型のファブリペロー電気光学変調器130Bに入射された入射光のP偏光成分は、当該リング型のファブリペロー電気光学変調器130Bから入出射光学系を介して取り出され、入出射光学系を介してリング型のファブリペロー電気光学変調器130Aに入射され、上記リング型のファブリペロー電気光学変調器130Aに入射された入射光のP偏光成分は、このリング型のファブリペロー電気光学変調器130Aから入出射光学系を介して取り出される。
【0219】
上記リング型のファブリペロー電気光学変調器130Aから入出射光学系を介して取り出された入射光のP偏光成分は、偏光変換素子271により偏光方向が90°回転され、S偏光成分に変換されて上記PBSカップラ272に入射される。
【0220】
そして、上記PBSカップラ272は、上記偏光変換素子271により偏光方向が90°回転されてS偏光成分に変換された光を反射して、上記SMファイバー273を介して偏波無依存型双方向光増幅器274に入射する。
【0221】
また、上記SMファイバー273を介して上記PBSカップラ272に入射された入射光のうち、上記PBSカップラ272により反射されたS偏光成分は、偏光変換素子271により偏光方向が90°回転され、P偏光成分に変換されて入出射光学系を介してリング型のファブリペロー電気光学変調器130Aに入射される。
【0222】
上記入出射光学系を介してリング型のファブリペロー電気光学変調器130Aに入射されたP偏光成分、すなわち、上記偏光換素子271により入射光のS偏光成分を変換したP偏光成分は、当該リング型のファブリペロー電気光学変調器130Aから入出射光学系を介して取り出され、入出射光学系を介してリング型のファブリペロー電気光学変調器130Bに入射され、上記リング型のファブリペロー電気光学変調器130Bに入射された入射光のP偏光成分は、このリング型のファブリペロー電気光学変調器130Aから入出射光学系を介して取り出されて、上記PBSカップラ272に入射される。
【0223】
そして、上記PBSカップラ272は、上記リング型のファブリペロー電気光学変調器130Aから入出射光学系を介して取り出されたP偏光成分の光を透過して、上記SMファイバー273を介して偏波無依存型双方向光増幅器274に入射する。
【0224】
この波長走査型レーザ光源270では、ハーフミラーにより反射された光が偏波無依存型双方向光増幅器274により増幅され、SMファイバー273を介してPBSカップラ272に入射されてP偏光成分とS偏光成分に分離され、P偏光成分とS偏光成分に分離された光が近接したFSRp,FSRsを有する2つのリング型のファブリペロー電気光学変調器130A,130Bを介して上記PBSカップラ272に戻されて合成され、上記SMファイバー273を介して偏波無依存型双方向光増幅器274に入射されて増幅され、この偏波無依存型双方向光増幅器274により増幅された光がハーフミラー14Bに入射され、このハーフミラー14Bで反射された光が上記偏波無依存型双方向光増幅器274に入射されることにより発振し、上記ハーフミラー14Bを介してレーザ光が取り出される。
【0225】
図35に示す波長走査型レーザ光源280は、上述の図34に示した波長走査型レーザ光源270を改良して、1台のリング型のファブリペロー電気光学変調器130を双方向の電気光学変調器として使用することにより、近接したFSRp,FSRsを有する2つのリング型のファブリペロー電気光学変調器130A,130Bとして機能させるようにしたものである。
【0226】
この波長走査型レーザ光源270は、1台のリング型のファブリペロー電気光学変調器130、偏光変換素子271A,271B、PBSカップラ272A,271B,272C、SMファイバー273、偏波無依存型双方向光増幅器274、ハーフミラー275が設けられた発振光路を備える。
【0227】
偏波無依存型双方向光増幅器274は、どちらの偏光に対しても、どちらの方向に対しても増幅できるSOA等の偏波無依存の双方向光増幅器であって、PBSカップラ272からSMファイバー273を介して入射される光を増幅して、その出射光の一部をハーフミラー275を介して外部に出力するとともに、上記ハーフミラー275により反射されて戻ってくる光を増幅して、上記SMファイバー273を介してPBSカップラ272Aに入射する。
【0228】
上記PBSカップラ272Aは、上記SMファイバー273を介して入射される入射光をP偏光成分とS偏光成分に分離する。
【0229】
上記SMファイバー273を介して上記PBSカップラ272Aに入射された入射光は、当該PBSカップラ272Aを透過したP偏光成分が、PBSカップラ272Bに入射され、当該PBSカップラ272Bを透過したP偏光成分が、入出射光学系を介してリング型のファブリペロー電気光学変調器130に入射される。
【0230】
また、上記SMファイバー273を介して上記PBSカップラ272Aに入射された入射光のうち、当該PBSカップラ272Aにより反射されたS偏光成分は、偏光変換素子271Aにより偏光方向が90°回転され、P偏光成分に変換されてPBSカップラ272Cに入射され、当該PBSカップラ272Cを透過するP偏光成分が偏光変換素子271Bにより偏光方向が90°回転され、S偏光成分に変換されて入出射光学系を介してリング型のファブリペロー電気光学変調器130に入射される。
【0231】
上記入出射光学系を介してリング型のファブリペロー電気光学変調器130に入射された入射光のP偏光成分は、当該リング型のファブリペロー電気光学変調器130から入出射光学系を介して取り出され、偏光変換素子271Bにより偏光方向が90°回転され、S偏光成分に変換されて上記PBSカップラ272Cに入射され、当該PBSカップラ272Cで反射されて上記PBSカップラ272Bに入射され、当該PBSカップラ272Cで反射されて入出射光学系を介してリング型のファブリペロー電気光学変調器130に入射される。
【0232】
そして、このリング型のファブリペロー電気光学変調器130から入出射光学系を介して取り出されるS偏光成分の光は、偏光変換素子271Bにより偏光方向が90°回転され、P偏光成分に変換されて上記PBSカップラ272Cに入射され、当該PBSカップラ272Cを透過するP偏光成分の光が偏光変換素子271Aにより偏光方向が90°回転され、S偏光成分に変換されて上記PBSカップラ272Aに入射される。
【0233】
そして、上記PBSカップラ272は、上記偏光変換素子271により偏光方向が90°回転されてS偏光成分に変換された光を反射して、上記SMファイバー273を介して偏波無依存型双方向光増幅器274に入射する。
【0234】
また、上記入出射光学系を介してリング型のファブリペロー電気光学変調器130に入射された入射光のS偏光成分は、当該リング型のファブリペロー電気光学変調器130から入出射光学系を介して取り出され、上記PBSカップラ272Bに入射され、当該PBSカップラ272Bで反射されて上記PBSカップラ272Cに入射され、当該PBSカップラ272Cで反射されて、偏光変換素子271Bにより偏光方向が90°回転され、P偏光成分に変換されて、入出射光学系を介してリング型のファブリペロー電気光学変調器130に入射される。
【0235】
そして、このリング型のファブリペロー電気光学変調器130から入出射光学系を介して取り出されるP偏光成分の光は、上記PBSカップラ272Bに入射され、当該PBSカップラ272Cを透過して上記PBSカップラ272Aに入射される。
【0236】
そして、上記PBSカップラ272Aは、P偏光成分の光を透過して、上記SMファイバー273を介して偏波無依存型双方向光増幅器274に入射する。
【0237】
この波長走査型レーザ光源270では、ハーフミラーにより反射された光が偏波無依存型双方向光増幅器274により増幅され、SMファイバー273を介してPBSカップラ272Aに入射されてP偏光成分とS偏光成分に分離され、P偏光成分とS偏光成分に分離された光がリング型のファブリペロー電気光学変調器130を介して上記PBSカップラ272Aに戻されて合成され、上記SMファイバー273を介して偏波無依存型双方向光増幅器274に入射されて増幅され、この偏波無依存型双方向光増幅器274により増幅された光がハーフミラー14Bに入射され、このハーフミラー14Bで反射された光が上記偏波無依存型双方向光増幅器274に入射されることにより発振し、上記ハーフミラー14Bを介してレーザ光が取り出される。
【0238】
ここで、以上説明した実施の形態では、2台のファブリペロー共振器をバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長可変フィルタとして機能させて、時間的に波長を走査した光を出力する波長可変フィルタ手段とを備える波長走査型レーザ光源を用いる光コヒーレンストモグラフィー装置について説明したが、光コヒーレンストモグラフィー装置ようの光源は必ずしもレーザ光源である必要はなく、図36に示すような構成の非レーザ波長走査型光源300を用いるようにしても良い。
【0239】
この図36に示す非レーザ波長走査型光源300は、光コヒーレンストモグラフィー装置で必要とする波長走査範囲をカバーする広帯域の光を出射する広帯域光源310と、上記広帯域光源310から出射される広帯域光から所望の波長帯域の光を取り出す波長可変フィルタ部320からなる。
【0240】
上記非レーザ波長走査型光源300は、光コヒーレンストモグラフィー装置で必要とする波長走査範囲をカバーする広帯域の光を出射する広帯域光源310と、上記広帯域光源310から出射される広帯域光から所望の波長帯域の光を取り出す波長可変フィルタ部320からなる。
【0241】
波長可変フィルタ部320は、上記広帯域光源310から出射される広帯域光の出射光路中に設けられた互いに近接したFSR(Free spectral range)を有する2台のファブリペロー共振器321A,321Bと、各ファブリペロー共振器322A,322Bの出力光を増幅する光増幅器323A,323Bと、上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器323A,323Bの内の一方、ここではファブリペロー共振器323Aの共振器長を一定範囲で周期的に変化させる共振器長制御部324とを備えてなる。
【0242】
この非レーザ波長走査型光源300において、近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器321A,321Bは、それぞれ波長選択フィルタとして機能する。そして、上記2台のファブリペロー共振器321A,321Bの内の少なくとも一方、ここではファブリペロー共振器321Aは、共振器長を可変することにより選択波長を可変することのできるようになっている。
【0243】
そして、上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器321A,321Bは、一方のファブリペロー共振器321Aの共振器長を可変することにより、そのバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長選択特性を有するバンドパスフィルタとして機能する。
【0244】
この非レーザ波長走査型光源300では、上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器321A,321Bによるバンドパスフィルタを通過した光がSOAやファイバアンプ等の光増幅器323A,323Bで増幅されて出力される。
【0245】
光共振器にLN(LiNbO)等の電気的に屈折率可変な材料で構築したファブリペロー光共振器に電極を付けた構造のファブリペロー電気光学変調器(または、光コム発生器)と呼ばれる変調器を用いることで電気光学効果により波長可変が行える。しかも、電気的な変調であるのでリニアリティーや再現性も優れている。
【0246】
そこで、この非レーザ波長走査型光源300における共振器長が可変されるファブリペロー共振器321Aには、ファブリペロー電気光学変調器が用いられる。そして、ファブリペロー電気光学変調器に上記共振器長制御部324により鋸歯状波等の周期的な信号を与えて光変調することで、上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器321A,321Bをバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長選択特性を有するバンドパスフィルタとして機能させ、その中心周波数を所定の範囲で高精度に且つ高速に走査することができる。したがって、上記ファブリペロー共振器321Aの共振器長を共振器長制御部324により一定範囲で周期的に変化させることによって、取り出される光の波長を周期的に変化させ、高速に走査することができる。
【0247】
すなわち、この非レーザ波長走査型光源300では、図37の(A)に示すように、上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器321A,321Bをバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長選択特性を有するバンドパスフィルタとして機能させ、上記広帯域光源310から出射された広帯域光から上記バンドパスフィルタの波長選択特性に応じた狭帯域光を抽出し、上記バンドパスフィルタの中心周波数を所定の範囲で走査することにより、図37の(B)に示すように、所定の走査範囲で波長を連続的に走査した狭帯域光を得ることができる。
【0248】
ここで、2台のファブリペロー共振器321A,321Bとしてリニア型(導波路型)のファブリペロー電気光学変調器を用いる場合、ファブリペロー電気光学変調器からの反射光によりレーザ発振してしまうのを防止するために、光増幅器323A,323Bには光アイソレータを内臓しておく必要がある。
【0249】
また、上記2台のファブリペロー共振器321A,321Bとして、例えば、上述の図17に示した電気光学結晶110を内在するファブリペロー共振器を共焦点となるように各凹面鏡111,112の曲率を設定することでリング型の共振を得るようにしたリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130を用いる場合、このように各凹面鏡111,112の曲率を共焦点となるように設定したリング型共振ファブリペロー電気光学変調器130では、入射光Linに対する直接の反射光Lrは入射側に戻らないので、光アイソレータを必要としないので、各ファブリペロー共振器321A,321Bの入出力部分の光アイソレータを省略することができ、光増幅器323Bの出力側に光アイソレータを設けるだけでよい。
【0250】
さらに、ファブリペロー電気光学変調器がリング型の場合には、光増幅器323A,323Bから発生する自然放出光(ASE)を広帯域光源とみなすことができ、例えば、図38に示す波長走査型レーザ光源350のように、上記広帯域光源310の代わりに上記光増幅器323A323Bから出射される自然放出光(ASE)を反射して上記波長可変フィルタ部320に入射する反射鏡351を備えることにより、上記自然放出光(ASE)を出射する上記光増幅器323A,323Bを上記広帯域光源310として用いることができる。
【0251】
この図38に示す波長走査型レーザ光源350では、光増幅器323Aが発生した自然放出光(ASE)がファブリペロー共振器321B,光増幅器323A,ファブリペロー共振器321A,反射鏡351に向って逆方向に通過し、反射鏡351で反射され、ファブリペロー共振器321A,光増幅器323A,ファブリペロー共振器321Bを戻って出力される。この場合、光アイソレータ、広帯域光源310等の数を減らすことができるので、コストメリットがある。また、フィルタを2度通過することになるので光のSN比を向上させることができる。
【0252】
ここで、光コヒーレンストモグラフィー装置に波長走査型レーザ光源10を用いる場合、必要なコヒーレント長をδLとし、光の速度をcとすると、ファブリペロー電気光学変調器の最大FSR(FSRmax)は、サンプリング定理から、
FSRmax=c/δL (1)式
なる(1)式にて与えられる。
【0253】
そして、2つのファブリペロー電気光学変調器がそれぞれ7dBの損失持っているために、総合損失は14dB以上あり、出力パワーは、飽和限界に届いておらず、各ファブリペロー電気光学変調器の光学的応答特性に敏感な状態にある。
【0254】
したがって、周波数走査速度(Srate)、すなわち、単位時間当たりにレーザ光が走査する周波数のカットオフ(Srate-cut)は、最大走査レンジ(FSRv)の関数として、
Srate-cut=FSRv/Fδt (2)式
なる(2)式にて与えられるものと推定される。ここで、δt(=F/FSR)は、ファブリペロー電気光学変調器における光子の寿命である。
【0255】
実験の結果として得られた周波数走査速度(Srate)のカットオフ(Srate-cut)は、12THz/μsであった。
【0256】
また、コヒーレント長(δL)の限界(δLlimit)は、
δLlimit=c/Srateδt (3)式
なる(3)式にて与えられるものと推定された。
【0257】
この結果から、コヒーレント長(δL)と周波数走査速度(Srate)はトレードオフの関係にあると予測することができ、周波数走査速度(Srate)のカットオフ(Srate-cut)におけるコヒーレント長(δL)の限界(δLlimit-cutoff)は、
δLlimit-cutoff=cF/FSRv (4)式
なる(4)式にて与えられる。
【0258】
したがって、コヒーレント長(δL)、周波数走査速度(Srate)、最大走査レンジ(FSRv)がシステムの要求で与えられたとすると、共振器の条件、すなわち、フィネス(F)及び自由スペクトル領域(FSR)の条件を次のようにして決定することができる。
【0259】
すなわち、フィネス(F)の取り得る範囲は、上記(3)式から一般的に求めると
cFSR/SrateδL>F
となり、自由スペクトル領域(FSR)の取り得る範囲は、
c/δL>FSR
となる。
【0260】
ここで、実際の装置では、上記フィネス(F)の取り得る範囲が、
c/δL>FSR>SrateF/FSRv/2
すなわち、周波数走査速度(Srate)がカットオフ(Srate-cut)の1/2から2倍の範囲で良好な動作を確認することができた。
【0261】
なお、この波長走査型レーザ光源10では、走査速度が遅い場合、特に周波数走査速度(Srate)がカットオフ(Srate-cut)/2よりも遅い場合に、強度雑音が発生した。この現象は、モード競合雑音(mode competition noise)と考えられ、SOAに高周波重畳(high frequency superposition)を行うことにより、モード競合雑音(mode competition noise)を減らすことができ、走査速度が遅い場合の特性を改善することができる。周波数走査速度(Srate)がカットオフ(Srate-cut)/2よりも速い場合には、上述の図9、図10、図11等に示した方法によりループ利得を大きくすることで改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0262】
【図1】本発明に係る光コヒーレンストモグラフィー装置の基本的な構成を示すブロック図である。
【図2】上記光コヒーレンストモグラフィー装置に用いられる波長走査型レーザ光源の基本的な構成を示すブロック図である。
【図3】通常の光共振器の透過スペクトルを示す図である。
【図4】FSRが1%異なる光共振器を2台縦列接続した場合の透過スペクトルを示す図である。
【図5】図4に示した透過スペクトルの一部を拡大して示した図である。
【図6】上記2台のファブリペロー共振器にファブリペロー電気光学変調器を用いた波長走査型レーザ光源の実際の構成例を示すブロック図である。
【図7】波長1.5μm帯用の、光ファイバアンプ、2台のコム発生器モジュール、光カップラを使用したファイバーリングレーザーの構成を示すブロック図である。
【図8】上記ファイバーリングレーザーの測定結果を示す図である。
【図9】2台の光増幅器をそれぞれファブリペロー電気光学変調器の後段に配置してなる波長走査型レーザ光源の構成例を示すブロック図である。
【図10】1台の光増幅器により2台のファブリペロー電気光学変調器の後段で光増幅するようにしてなる波長走査型レーザ光源の構成例を示すブロック図である。
【図11】1台の光増幅器により2台のファブリペロー電気光学変調器の後段で光増幅するようにしてなる波長走査型レーザ光源の他の構成例を示すブロック図である。
【図12】波長走査型レーザ光源における走査信号電圧とレーザ周波数との関係を測定するための測定系の構成を示すブロック図である。
【図13】上記走査信号電圧とレーザ周波数との関係を測定した結果を示す図である。
【図14】上記共振器長制御部がファブリペロー共振器に与える走査信号の波形と干渉計にて得られる干渉信号の波形の観測結果を示す図である。
【図15】波数が時間に対して線形なレーザ光を光カップラを介して得ることができる波長走査型レーザ光源の構成例を示すブロック図である。
【図16】共焦点のファブリペロー電気光学変調器を2台備える波長走査型レーザ光源の基本的な構成を示すブロック図である。
【図17】上記波長走査型レーザ光源に使用される共焦点のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器の構造を模式的に示す断面図である。
【図18】凹面鏡間にC軸が直交するように2つの電気光学結晶を配置してなる共焦点のファブリペロー電気光学変調器の構造を模式的に示す断面図である。
【図19】2つのファブリペロー共振器で構成されるバンドパスフィルタの中心波長を制御するようにした共振器長制御部の構成例を示すブロック図である。
【図20】凹面鏡間にC軸が直交するように2つの電気光学結晶を配置してなる共焦点のファブリペロー電気光学変調器の変調信号の供給するための接続構造を模式的に示す図である。
【図21】モノリシック型のファブリペロー電気光学変調器の作製例を模式的に示す図である。
【図22】上記モノリシック型のファブリペロー電気光学変調器の作製過程を模式的に示す図である。
【図23】モノリシック型のファブリペロー電気光学変調器の作製例を模式的に示す図である。プリズム型ミラーを入力面においた構造の入出射光学系を備えるモノリシック型のファブリペロー電気光学変調器を模式的に示す図である。
【図24】プリズムで2芯のフェルールに搭載したファイバーとリング型共振器を結合させる構造の入出射光学系を備えるモノリシック型のファブリペロー電気光学変調器を模式的に示す図である。
【図25】共焦点のファブリペロー電気光学変調器を2台備える波長走査型レーザ光源の他の構成例を示すブロック図である。
【図26】共焦点のファブリペロー電気光学変調器を1台備える波長走査型レーザ光源の基本的な構成を示すブロック図である。
【図27】共焦点のファブリペロー電気光学変調器を1台備える波長走査型レーザ光源の他の構成例を示すブロック図である。
【図28】共焦点のファブリペロー電気光学変調器を1台備える波長走査型レーザ光源の他の構成例を示すブロック図である。
【図29】共焦点のファブリペロー電気光学変調器を1台備える波長走査型レーザ光源の他の構成例を示すブロック図である。
【図30】共焦点のファブリペロー電気光学変調器を1台備える波長走査型レーザ光源の他の構成例を示すブロック図である。
【図31】波長走査型レーザ光源に使用される共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器の構造を模式的に示す断面図である。
【図32】共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器を2台用いて構成したリニヤ共振型の波長走査型レーザ光源の構成を示すブロック図である。
【図33】共焦点のV型共振ファブリペロー電気光学変調器を1台用いて構成したリニヤ共振型の波長走査型レーザ光源の構成を示すブロック図である。
【図34】偏波無依存のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器と偏波無依存型光増幅器をレーザ発振光路中に備える波長走査型レーザ光源の構成を示すブロック図である。
【図35】図34に示した波長走査型レーザ光源を改良した1台のリング型のファブリペロー電気光学変調器を備える波長走査型レーザ光源の構成を示すブロック図である。
【図36】上記光コヒーレンストモグラフィー装置に備えられる非レーザ波長走査型光源の構成を示すブロック図である。
【図37】上記非レーザ波長走査型光源において得られる狭帯域光の特性を模式的に示す図である。
【図38】上記光コヒーレンストモグラフィー装置に備えられる非レーザ波長走査型光源の他の構成例を示すブロック図である。
【図39】マイケルソン干渉計を基本とする光コヒーレンストモグラフィー装置の原理を示すブロック図である。
【図40】エルビウムドープドファイバを用いたリングレーザによる波長可変光源の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0263】
1,2,3,4 光ファイバー、10,10’,210,210’,220,220’,230,230’,240,250,260 波長走査型レーザ光源、11 光ファイバーループ、12,12A,12B, 光増幅器、12’,41,253 双方向光増幅器、13A,13B ファブリペロー共振器、13A’,13B’ ファブリペロー電気光学変調器、14,254 光カップラ、15、255 共振器長制御部、15A ROM、16 バンドパスフィルタ、17,17A,17B,17C,17D,17E 光アイソレータ、20 干渉光学系、21 ファイバカップラー、30 走査光学系、31,33 レンズ、32 走査鏡、40 参照光学系、41,42 レンズ、43 固定参照鏡、50 信号処理部、51 光検知器、52 演算処理部、60 被観測体、100 光コヒーレンストモグラフィー装置、130,130A,130B リング型共振ファブリペロー電気光学変調器、150 鋸歯状波信号発生器、151 反転増幅器、152 光検出器、153 ロックインアンプ、180 偏光成分を分離して合成する光学系、110,110A,110B,510 電気光学結晶、111,112,511,512, 凹面鏡、181,184,311,321 PBSカップラ、182,183,312,322 偏光変換素子、251,251A,251B V型共振ファブリペロー電気光学変調器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発振光路中に設けられた互いに近接したFSR(Free spectral range)を有する2台のファブリペロー共振器の内の少なくとも一方のファブリペロー共振器の共振器長を一定範囲で周期的に変化させることにより、上記2台のファブリペロー共振器をバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長可変フィルタとして機能させて、時間的に波長を走査したレーザ光を出力する波長走査型光源と、
上記波長走査型光源から出力されたレーザ光を参照光と被観測体に照射する観測光とに分岐し、上記被観測体に照射した観測光の反射光と上記参照光との干渉光を発生する干渉光学系と、
上記干渉光学系により得られる干渉光を受光して電気信号に変換し、上記被観測体の光断層画像情報を算出する信号処理手段と
を備えることを特徴とする光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項2】
上記波長走査型光源は、走査されているレーザ光の波数が時間に対して線形になるよう校正されていることを特徴とする請求項1記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項3】
上記波長走査型光源は、
上記レーザ発振光路となる光ファイバーループと、
上記光ファイバーループ内に設けられ、発振波長に利得を有する光増幅器と、
上記光ファイバーループ内に設けられ、近接したFSR(Free spectral range)を有する2台のファブリペロー共振器と、
上記光ファイバーループに接続され、当該光ファイバーループを通過する光の一部を取り出す光学素子と、
上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器の内の少なくとも一方のファブリペロー共振器の共振器長を一定範囲で周期的に変化させる共振器長制御部と
を備えることを特徴とする請求項1記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項4】
上記共振器長制御部により共振器長が一定範囲で周期的に変化される上記ファブリペロー共振器は、電極を付けた構造のファブリペロー電気光学変調器からなり、上記共振器長制御部により与えられる周期的な走査信号により通過する光を光変調することを特徴とする請求項3記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項5】
上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器は、それぞれファブリペロー電気光学変調器からなり、温度制御により上記近接したFSRに調整されていることを特徴とする請求項4記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項6】
上記共振器長制御部は、上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器に互いに反転した走査信号を与えて、上記各ファブリペロー共振器の共振器長を相反的に変化させることを特徴とする請求項5記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項7】
上記共振器長制御部は、走査信号に制御電圧を重畳することで上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器を通過する光の中心波長を制御することを特徴とする請求項6記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項8】
上記2台のファブリペロー共振器の各後段に上記光増幅器をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項3記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項9】
上記光ファイバーループを通過する光の方向又は偏光によって上記光を分離して、1台の上記光増幅器により上記2台のファブリペロー共振器の各後段で光増幅を行うことを特徴とする請求項3記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項10】
上記波長走査型光源は、上記共振器長制御部が上記ファブリペロー共振器に与える上記周期的な走査信号の波形を調整することにより、上記光学素子を介して取り出されるレーザ光の波数が時間に対して線形になるように校正されていることを特徴とする請求項3記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項11】
上記レーザ発振光路は、互いに近接したFSR(Free spectral range)を有する空間のファブリペロー共振器に電気光学結晶を内在させてなる2台のファブリペロー電気光学変調器と発振波長に利得を有する光増幅器と出力光を取り出すための光学素子とを光ファイバー接続してなることを特徴とする請求項1記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項12】
上記2台のファブリペロー電気光学変調器は、それぞれ、電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器でリング型共振を得るようにしたリング型共振ファブリペロー電気光学変調器からなることを特徴とする請求項11記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項13】
上記2台のファブリペロー共振器は、それぞれ、電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器でV型共振を得るようにしたV型共振ファブリペロー電気光学変調器からなることを特徴とする請求項11記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項14】
上記2台のファブリペロー電気光学変調器は、それぞれ、電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器を共焦点となるように各凹面鏡の曲率を設定した共焦点のファブリペロー電気光学変調器からなることを特徴とする請求項12又は請求項13記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項15】
上記ファブリペロー電気光学変調器は、ファブリペロー共振器を構成する凹面鏡間にC軸が直交するように2つの電気光学結晶を配置してなることを特徴とする請求項11記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項16】
上記波長走査型光源は、上記近接したFSRを有する2台のファブリペロー共振器の内の少なくとも一方のファブリペロー共振器の共振器長を一定範囲で周期的に変化させる共振器長制御部を備え、上記共振器長制御部が上記ファブリペロー共振器に与える上記周期的な走査信号の波形を調整することにより、上記光学素子を介して取り出されるレーザ光の波数が時間に対して線形になるように校正されていることを特徴とする請求項11記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項17】
上記レーザ発振光路は、空間のファブリペロー共振器に電気光学結晶を内在させてなるファブリペロー電気光学変調器と発振波長に利得を有する光増幅器と上記ファブリペロー電気光学変調器から出射させた光の偏光方向を90°回転させる偏光変換素子と出力光を取り出すための光学素子とを光ファイバー接続してなり、
上記ファブリペロー電気光学変調器は、互いに直交する偏光成分の光それぞれに対して近接したFSR(Free spectral range)を有する2台のファブリペロー共振器として機能し、上記共振器長制御部により与えられる周期的な走査信号により、互いに直交する偏光成分の光それぞれを変調することを特徴とする請求項1記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項18】
上記ファブリペロー電気光学変調器は、上記電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器でリング型共振を得るようにしたリング型共振ファブリペロー電気光学変調器からなることを特徴とする請求項17記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項19】
上記ファブリペロー共振器は、上記電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器でV型共振を得るようにしたV型共振ファブリペロー電気光学変調器からなることを特徴とする請求項17記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項20】
上記ファブリペロー電気光学変調器は、電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器を共焦点となるように各凹面鏡の曲率を設定した共焦点のファブリペロー電気光学変調器からなることを特徴とする請求項18又は請求項19記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項21】
上記ファブリペロー電気光学変調器は、ファブリペロー共振器を構成する凹面鏡間にC軸が直交するように2つの電気光学結晶を配置してなることを特徴とする請求項17記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項22】
上記波長走査型光源は、上記共振器長制御部が上記ファブリペロー共振器に与える上記周期的な走査信号の波形を調整することにより、上記光学素子を介して取り出されるレーザ光の波数が時間に対して線形になるように校正されていることを特徴とする請求項17記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項23】
上記2台のファブリペロー共振器は、それぞれ、電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器でリング型共振を得るようにしたリング型共振ファブリペロー電気光学変調器からなることを特徴とする請求項1記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項24】
上記2台のファブリペロー共振器は、それぞれ、偏波無依存のリング型共振ファブリペロー電気光学変調器からなり、
上記波長走査型光源は、発振波長に利得を有する偏波無依存型光増幅器をレーザ発振光路中に備えることを特徴とする請求項23記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項25】
上記ファブリペロー共振器は、必要とされるコヒーレント長をδL、周波数走査速度をSrateとして、
cFSR/SrateδL>F
にて示される範囲フィネス(F)を有し、
c/δL>FSR
にて示されるFSRを有することを特徴とする請求項1記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項26】
広帯域光源と上記広帯域光源から出射される光の出射光光路中に設けられた互いに近接したFSR(Free spectral range)を有する2台のファブリペロー共振器の内の少なくとも一方のファブリペロー共振器の共振器長を一定範囲で周期的に変化させることにより、上記2台のファブリペロー共振器をバーニア効果により選択波長を可変することのできる狭帯域の波長可変フィルタとして機能させて、時間的に波長を走査した光を出力する波長可変フィルタ手段とを備える波長走査型光源と、
上記波長走査型光源から出力されたレーザ光を参照光と被観測体に照射する観測光とに分岐し、上記被観測体に照射した観測光の反射光と上記参照光との干渉光を発生する干渉光学系と、
上記干渉光学系により得られる干渉光を受光して電気信号に変換し、上記被観測体の光断層画像情報を算出する信号処理手段と
を備えることを特徴とする光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項27】
上記波長走査型光源の上記2台のファブリペロー電気光学変調器は、それぞれ、電気光学結晶を内在するファブリペロー共振器でリング型共振を得るようにしたリング型共振ファブリペロー電気光学変調器からなることを特徴とする請求項26記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項28】
上記波長走査型光源は、上記波長可変フィルタ部の上記出射光光路中に設けられた光増幅器と、上記光増幅器から出射される自然放出光(ASE)を反射して上記波長可変フィルタ部に入射する反射鏡を備え、上記自然放出光(ASE)を出射する上記光増幅器を上記広帯域光源として用いたことを特徴とする請求項27記載の光コヒーレンストモグラフィー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2009−31238(P2009−31238A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227826(P2007−227826)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(503249810)株式会社 光コム (28)
【Fターム(参考)】