説明

光ジャイロセンサ

【課題】検出精度が高く、且つ小型の光ジャイロセンサを提供する。
【解決手段】基板1と、リング状の光路を構成するように基板1上に配置され、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2が互いに異なる周回方向に伝搬する光導波路20と、光導波路20を囲むように基板1上に配置され、光導波路20から第1レーザ光L1と第2レーザ光L2のそれぞれ一部が移行する光取り出し距離dAで光取り出し長LAにわたって光導波路20の一部に隣接して配置された光取り出し部301を有する検出路30と、光導波路20から光取り出し部301に移行した第1レーザ光L1と第2レーザ光L2のそれぞれ一部が合波して検出路30に生じるビート信号を検出する信号検出器40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ジャイロセンサに係り、特に光増幅器と光導波路が同一基板上に配置された光ジャイロセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
回転する物体の角速度を検出する角速度検出装置(ジャイロセンサ)には、動作原理や構造、駆動方式等によって様々な種類がある。例えば光ジャイロセンサは、リング状に配置された光導波路を互いに逆方向に進む2つのレーザ光の周波数差を用いて角速度を検出する。
【0003】
光ジャイロセンサの低消費電力化の要求に伴い、基板上にリング状に配置された光導波路と、光導波路を伝搬するレーザ光を引き出してビート信号を観測する光結合器を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−2954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された光ジャイロセンサは光導波路に囲まれる領域と光結合器に囲まれる領域をそれぞれ有するため、基板の面積が増大するという問題があった。また、光ジャイロセンサの検出精度を向上させるためには、レーザ光が伝搬する光導波路を長くすることが効果的である。しかし、特許文献1に記載された光ジャイロセンサの光導波路を長くするためには、リング状の光導波路のリング径を大きくする必要があり、基板の面積が増大する。このため、光ジャイロセンサの小型化が阻害される。
【0006】
上記問題点を鑑み、本発明は、検出精度が高く、且つ小型の光ジャイロセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、(イ)基板と、(ロ)リング状の光路を構成するように基板上に配置され、第1及び第2レーザ光が互いに異なる周回方向に伝搬する光導波路と、(ハ)光導波路を囲むように基板上に配置され、光導波路から第1及び第2レーザ光のそれぞれ一部が移行する光取り出し距離で光取り出し長にわたって光導波路に隣接して配置された光取り出し部を有する検出路と、(ニ)光導波路から光取り出し部に移行した第1及び第2レーザ光のそれぞれ一部が合波して検出路に生じるビート信号を検出する信号検出器とを備える光ジャイロセンサが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検出精度が高く、且つ小型の光ジャイロセンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光ジャイロセンサの構成を示す模式図である。
【図2】図1のII−II方向に沿った断面図である。
【図3】図1のIII−III方向に沿った断面図である。
【図4】光路間を移行するレーザ光のパワーの比率を算出する例を説明するための光路の模式図である。
【図5】図4に示した光路における光強度の算出例を示すグラフであり、図5(a)はスルーポートにおける光強度を示し、図5(b)はクロスポートにおける光強度を示す。
【図6】{X−Z}面内の屈折率{N}分布の例を示すグラフである。
【図7】{X−Z}面内の光強度分布{Optical Field}の例を示すグラフである。
【図8】XYZ軸の設定を示す模式図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る光ジャイロセンサの製造方法を説明するための工程断面図である(その1)。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る光ジャイロセンサの製造方法を説明するための工程断面図である(その2)。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る光ジャイロセンサの製造方法を説明するための工程断面図である(その3)。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る光ジャイロセンサの製造方法を説明するための工程断面図である(その4)。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る光ジャイロセンサの製造方法を説明するための工程断面図である(その5)。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る光ジャイロセンサの光増幅器の配置例を示す上面図である。
【図15】図15(a)は本発明の第1の実施の形態に係る光ジャイロセンサの光取り出し領域のレイアウト例を示し、図15(b)は他のレイアウト例を示す。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る光ジャイロセンサの構成を示す模式図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る光ジャイロセンサの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0011】
又、以下に示す第1及び第2の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る光ジャイロセンサは、図1(a)に示すように、基板1と、リング状の光路を構成するように基板1上に配置され、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2が互いに異なる周回方向に伝搬する光導波路20と、光導波路20を囲むように基板1上に配置され、光導波路20から第1レーザ光L1と第2レーザ光L2のそれぞれ一部が移行する光取り出し距離dAで光取り出し長LAにわたって光導波路20の一部に隣接して配置された光取り出し部301を有する検出路30と、光導波路20から光取り出し部301に移行した第1レーザ光L1と第2レーザ光L2のそれぞれ一部が合波して検出路30に生じるビート信号を検出する信号検出器40とを備える。
【0013】
後述するように、光取り出し部301が、光取り出し長LAにわたって光導波路20との間隔が光取り出し距離dAであるように光導波路20と隣接して配置された場合に、光導波路20から光取り出し部301に第1レーザ光L1と第2レーザ光L2のそれぞれ一部が移行する。つまり、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の一部が光導波路20から光取り出し部301に移行する条件を満足する間隔(光取り出し距離dA)及び長さ(光取り出し長LA)で、光導波路20と光取り出し部301が配置されている。例えば、光導波路20から光取り出し部301に第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の1〜10%程度が移行するように、光導波路20と光取り出し部301が配置される。
【0014】
更に検出路30は、光導波路20から光取り出し部301に移行した第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2のそれぞれ一部である第1検出レーザ光L1a及び第2検出レーザ光L2aが合波してビート信号を生じる検出部302を有する。つまり信号検出器40は、検出部302に生じるビート信号を検出する。
【0015】
図1(a)に示した光ジャイロセンサでは、リング状に配置された光導波路20の一部を削除した領域に光増幅器10が配置され、光増幅器10と光導波路20とがリング状の光路を構成する。そして、光増幅器10の出力面11から出力される第1レーザ光L1が、光導波路20を伝搬した後、光増幅器10の出力面12に入力する。また、光増幅器10の出力面12から出力される第2レーザ光L2が、光導波路20を伝搬した後、光増幅器10の出力面11に入力する。以下では、第1レーザ光L1が光導波路20を時計方向に伝搬し、第2レーザ光L2が光導波路20を反時計方向に伝搬する場合を例示的に説明する。
【0016】
光導波路20を伝搬する第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の一部は、光取り出し領域Aにおいて、光導波路20から検出路30に移行する。つまり、光取り出し領域Aにおける光導波路20及び検出路30は光結合器として機能する。第1レーザ光L1の一部が光導波路20から検出路30に移行した第1検出レーザ光L1aは、光取り出し領域Aから時計方向に検出路30を伝搬する。一方、第2レーザ光L2の一部が光導波路20から検出路30に移行した第2検出レーザ光L2aは、光取り出し領域Aから反時計方向に検出路30を伝搬する。
【0017】
図1(a)に示したように、検出路30の第1検出レーザ光L1aが伝搬する領域と第2検出レーザ光L2aが伝搬する領域とは、信号検出領域Bにおいて距離wの間隔で隣接して平行に配置される。信号検出領域Bにおいて、第1検出レーザ光L1aと第2検出レーザ光L2aは同じ方向に伝搬する。
【0018】
信号検出領域Bにおける検出路30間の距離wは、第1検出レーザ光L1aと第2検出レーザ光L2aそれぞれの一部(例えば約50%)が、隣接する検出路30に移行する距離に設定される。つまり、信号検出領域Bにおける検出路30は光結合器として機能する。距離wは、第1検出レーザ光L1aや第2検出レーザ光L2aの波長の数倍程度(例えば5倍)か、或いはそれ以下に設定される。
【0019】
その結果、信号検出領域Bにおいて第1検出レーザ光L1aと第2検出レーザ光L2aが合波する。そして、第1検出レーザ光L1aの周波数と第2検出レーザ光L2aの周波数との間に周波数差が存在する場合には、検出部302で第1検出レーザ光L1aと第2検出レーザ光L2aとが重ね合わさったビート信号が生じる。検出部302に生じたビート信号は、検出部302から第2検出レーザ光L2aの進行方向、即ち検出路30の端部に近い位置に配置された信号検出器40により検出される。信号検出器40には、例えばフォトダイオードやフォトトランジスタ等の受光素子等が採用可能である。
【0020】
光導波路20の周回方向に時計回り或いは反時計周り等に基板1が回転している場合には、サニャック効果によって、光導波路20の光路長が第1レーザ光L1と第2レーザ光L2とで異なってみえ、このみかけ上の光路長の違いが第1レーザ光L1と第2レーザ光L2との周波数差を生じさせる。この周波数差が第1検出レーザ光L1aと第2検出レーザ光L2aとのビート信号の光強度として観測される。したがって、検出部302で生じるビート信号の光強度の変化を用いて、基板1の角速度を算出できる。
【0021】
具体的には、信号検出器40により検出されたビート信号が、電気信号として信号検出器40から角速度検出回路50に出力される。角速度検出回路50はビート信号の光強度を用いて基板1の角速度を算出する。
【0022】
なお、角速度検出回路50を基板1上に形成してもよい。つまり、図1(a)に示す光ジャイロセンサを1チップ化することにより、光ジャイロセンサがより小型化される。
【0023】
また、図1(a)に示す光ジャイロセンサでは、光増幅器10と信号検出器40を基板1の同一辺側に配置できる。このため、光増幅器10と信号検出器40を駆動するための電極端子を基板1の一つの辺に集中して配置できる。なお、図1(a)では、基板1に配置される電極端子、及び電極端子と光増幅器10及び信号検出器40とを接続する配線は図示を省略している。
【0024】
光増幅器10には、光導波路20を周回するレーザ光を増幅する機能を有し、且つ出力面11、12でのレーザ光の反射が少ない素子であれば、種々の素子を使用できる。例えば、光増幅器10に半導体光増幅器(SOA)等が採用可能である。SOAは、例えば図2に示すように、下部電極101と上部電極105間に、下部クラッド層102、活性層103及び上部クラッド層104が積層された構造である。図2は、図1(a)のII−II方向に沿った断面図である。
【0025】
下部電極101と上部電極105間に電流を流すことにより、SOAは反転分布状態になる。光増幅器10の出力面11及び出力面12から光導波路20にそれぞれ出力された第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2は、光導波路20を周回した後、それぞれ出力面12及び出力面11から光増幅器10に入力する。反転分布状態のSOAに第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2が入力すると、活性層103内で電子と正孔が再結合して誘電放出が起こる。この結果、入力した第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2は増幅され、それぞれ出力面11及び出力面12から出力される。なお、下部電極101と上部電極105に外部から電圧を印加するための引き出し電極が基板1に配置されるが、この引き出し電極は図1(a)において図示を省略している。
【0026】
光増幅器10には、例えば、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)等のIII族元素と窒素(N)、リン(P)、砒素(As)等のV族元素であるIII−V族化合物半導体からなる活性層103を有するSOA等が採用可能である。下部クラッド層102及び上部クラッド層104は、活性層103で発生した第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を活性層103内に閉じ込めるための層である。このため、下部クラッド層102及び上部クラッド層104には、活性層103よりバンドギャップが大きい材料が選択される。
【0027】
光導波路20には、光導波路を形成する物質であれば構造や材料に制限は無く、ポリマー、樹脂、ガラス、半導体等が採用可能である。例えば図2及び図3に示すように、コア層201と、コア層201の周囲に配置されたクラッド層202からなる積層構造を光導波路20に採用できる。第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の波長、コア層201とクラッド層202の屈折率等に応じて、コア層201のレーザ光の伝搬方向に垂直な断面積、クラッド層202の厚さ等が設定される。図3は、図1(a)のIII−III方向に沿った光導波路20の断面構造図の例である。図3に示した例では、コア層201のレーザ光の伝搬方向に垂直な断面の高さh1及び幅h2は、例えばh1=1μm程度、h2=3μm程度に設定される。また、コア層201を囲むクラッド層202の厚さtは、例えばt=5〜8μm程度に設定される。
【0028】
光導波路20のコア層201に第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を閉じ込めるために、クラッド層202にはコア層201より屈折率が小さい材料が選択される。例えば、クラッド層202とコア層201との比屈折率の差は1.5%程度に設定される。具体的には、例えばコア層201にゲルマニウム(Ge)ドープの酸化シリコン(SiO2)膜を採用し、クラッド層202にSiO2膜を採用可能である。なお、光導波路20を第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の吸収が少ない材料で形成することが好ましい。このように光導波路20を形成することにより、レーザ光が伝搬する光導波路をSOAの活性層と同じ材料で形成した光ジャイロセンサに比べて、図1(a)に示した光ジャイロセンサを低い電力で駆動できる。
【0029】
光増幅器10にSOAを採用した場合、SOAのモードフィールドの中心と光導波路20のコア層201の中心とが一致するように、光増幅器10が基板1上に配置される。このように配置することにより、活性層103で発生した第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2は、効率よくコア層201に伝搬する。
【0030】
検出路30は、光導波路20と同様に、コア層201と、コア層201の周囲に配置されたクラッド層202からなる積層構造が採用可能である。このため、検出路30と光導波路20は同一の製造工程で基板1上に同時に形成可能である。例えば、光導波路20と検出路30のコア層201を同一層に形成できる。
【0031】
以下に、光取り出し距離dA及び光取り出し長LAについて説明する。光取り出し領域Aにおいて光導波路20から検出路30に第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の一部を移行させるために、検出路30の光取り出し部301が、光取り出し長LAにわたって光導波路20に隣接して配置される。光取り出し距離dAは、光導波路20と光取り出し部301との間隔が光取り出し距離dAである場合に、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2のそれぞれ一部が、光導波路20から検出路30に移行する距離である。図1(a)に示した例では、光取り出し部301が、光導波路20から光取り出し距離dAで、光取り出し長LAにわたって光導波路20と平行に配置されている。
【0032】
光導波路20から検出路30に移行する第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2のパワーの比率は、シミュレーション等により算出可能である。以下に、ビーム・プロパゲイション・メソッド(BPM)によって、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の移行するパワーの比率を算出する例を説明する。
【0033】
ここでは、光導波路20及び検出路30のコア層201の屈折率NCOが1.5286、クラッド層202の屈折率NCLが1.5214であり、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の波長λが1550nmである場合を例示的に説明する。このとき、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2がシングルモードで光導波路20及び検出路30を伝搬するためのコア層201のシングルモード伝搬コア径は、7μm以下程度であればよいと考えられる。このため、以下の説明では、コア層201のコア径Wを6μmに設定する。また、光導波路20の円弧部分の中心から光導波路20の円弧部分までの距離は、導波路最小曲げ半径R以上であるとする。「導波路最小曲げ半径」は、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の光導波路20での伝搬損失が発生しない半径である。上記の条件においては、導波路最小曲げ半径Rを15mmにすることにより、伝搬損失の発生をほぼ無視できる。光導波路20及び検出路30の各曲線部における曲率半径は、導波路最小曲げ半径R以上に設定される。例えば、図1(b)に示した検出路30の光取り出し領域A近傍での曲線部の曲率半径R1、R2は、導波路最小曲げ半径R以上である。
【0034】
図4を参照して、光路間を移行するレーザ光のパワーの比率をBPMによって算出する例を説明する。図4は、図1(a)の光取り出し領域Aをシミュレーションモデル化した図であり、図4のスルーポート401が図1(a)に示した光導波路20に相当し、クロスポート402が検出路30に相当する。つまり、スルーポート401及びクロスポート402のコア層の屈折率は1.5286、クラッド層の屈折率は1.5214である。比屈折率差Δは、0.47%である。
【0035】
図4に示したスルーポート401の入力端401aにレーザ光LINが入力されると、スルーポート401をレーザ光LINが伝搬し、レーザ光LINの一部がスルーポート401に隣接して配置されたクロスポート402に移行する。ここで、スルーポート401とクロスポート402との間隔dwが4μmであるとする。この場合の、スルーポート401における光強度LI1と、クロスポート402における光強度LI2の算出結果例を、図5(a)と図5(b)にそれぞれ示す。図5(a)と図5(b)の横軸は、入力端401aからの直線部分の距離tである。
【0036】
図5(a)に示すように、距離t=1.783mmにおいて、光強度LI1が0である。一方、図5(b)に示すように、距離t=1.783mmにおいて、光強度LI2が1である。つまり、スルーポート401とクロスポート402との間隔dwが4μmである場合に、距離tが1.783mm付近において、スルーポート401からクロスポート402にレーザ光LINが100%移行する。また、距離t=3080μm付近において、移行するレーザ光LINのパワーが約10%である。つまり、10/90の結合率が得られる。距離t=3367μm付近において、レーザ光LINの移行するパワーが約1%である。つまり、1/99の結合率が得られる。
【0037】
図6〜図7に、結合長が530μmの場合のBPM計算結果を示す。図6は、{X−Z}面内の屈折率{N}分布の計算結果である。図6に示した数値(1.521〜1.529)は屈折率である。また、図7は、{X−Z}面内の光強度分布{Optical Field}の計算結果である。図7に示した数値(0〜1.002)は、1を最大とした場合の光強度分布である。なお、図6及び図7のXYZ軸は図8に示すように設定されている。
【0038】
以上に示したBPMの結果から、例えば光取り出し距離dAが4μmの場合に、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2のそれぞれ1%〜10%程度を光導波路20から検出路30に移行させるには、光取り出し長LAを、3080μm〜3367μm程度にする。ただし、コア層201の屈折率NCOが1.5286、クラッド層202の屈折率NCLが1.5214、コア層201のコア径が6μmであり、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の波長λが1550nmの場合である。
【0039】
以上に説明したように、光取り出し距離dA及び光取り出し長LAは、コア層201の屈折率NCO、クラッド層202の屈折率NCL、コア層201のコア径、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の波長λ等に応じて、設定される。
【0040】
なお、光取り出し領域A以外の領域において光導波路20から検出路30に第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2が移行することを防止するために、光取り出し部301以外の検出路30と光導波路20との距離は、光取り出し距離dAより大きくする必要があり、0%伝搬導波路間隔r以上に設定されることが好ましい。「0%伝搬導波路間隔」は隣接する光導波路間で光移行が生じない間隔として規定される。0%伝搬導波路間隔rは、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の波長λの数倍程度に設定される。例えば、波長λが1550nmの場合、0%伝搬導波路間隔rは5μm以上に設定される。
【0041】
基板1は、シリコン(Si)基板、ガリウム砒素(GaAs)基板、インジウムリン(InP)基板等が採用可能である。基板1に形成される光導波路20や検出路30の材料に応じて、基板1は選択される。また、光増幅器10を基板1上に形成するエッチドミラータイプの場合は、所望の周波数の光が出力されるように、基板1が選択される。
【0042】
図9〜図13を参照して、図1(a)及び図2に示した基板1の製造方法を説明する。なお、以下に述べる製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。図9〜図13のそれぞれにおいて、図(a)は図1(a)のII−II方向に沿った工程断面図、図(b)は図1(a)のIIV−IV方向に沿った工程断面図である。
【0043】
(イ)図9に示すように、基板1上にクラッド層202の下側領域となる下側クラッド層202A、及びコア層201を積層する。このとき、光増幅器10や信号検出器40を形成する領域にも下側クラッド層202A及びコア層201を形成する。
【0044】
(ロ)図10に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて形成したレジスト膜をマスクとしてエッチングする等して、光導波路20及び検出路30の所望の形状に応じてコア層201をパターニングする。その後、図11に示すように、クラッド層202の上側領域となる上側クラッド層202Bを形成して、光導波路20及び検出路30が完成する。
【0045】
(ハ)図12に示すように、光増幅器10を配置する領域の光導波路20のクラッド層202及びコア層201をエッチング除去して、空洞10Aを形成する。同時に、図示を省略するが、信号検出器40を配置する検出路30の端部のクラッド層202及びコア層201をエッチング除去して空洞を形成する。このとき、基板1の上部の一部をエッチング除去してもよい。
【0046】
(ニ)図13に示すように、基板1の外部から光増幅器10に電圧を印加するための引き出し電極110を、空洞10Aに形成する。その後、引き出し電極110と下部電極101とを半田付けする等して、基板1に光増幅器10をマウントする。信号検出器40も同様にして基板1にマウントする。以上により、図1(a)及び図2に示した基板1が完成する。
【0047】
上記の各プロセスにおけるパターニングには、半導体プロセスで一般的に使用されるフォトリソグラフィ技術やエッチング法等を適用可能である。
【0048】
なお、例えばSOAを光増幅器10に採用する場合には、SOAのキャビティと光導波路20のコア層201とが光学的に結合するようにSOAが基板1にマウントされる。また、例えばフォトダイオードを信号検出器40に採用する場合には、フォトダイオードの受光領域が検出路30のコア層201と光学的に結合するように、フォトダイオードが基板1にマウントされる。
【0049】
更に、活性層103とコア層201との界面における第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の反射によって光ジャイロセンサの性能が受ける影響を低減するように、光増幅器10を基板1に実装する方法を工夫することが好ましい。例えば、レーザ光が伝搬する方向の活性層103の中心軸方向と光導波路20の中心軸方向とが一致しないように、互いの中心軸方向が数度の角度をなすように光増幅器10を基板1に実装する。図14に示す例は、レーザ光が伝搬する光増幅器10のストライプが光増幅器10の出力面11、12と垂直ではなく、出力面11、12の面法線方向と一定の角度θ(例えばθ=7〜8°程度)をなすように、光増幅器10を形成した例である。このとき、ストライプの中心軸と光導波路20の中心軸は出力面11、12において一致させる。また、活性層103とコア層201との界面に反射防止(AR)コーティングを行ってもよい。
【0050】
以上に説明した製造方法では、光導波路20及び検出路30を形成した基板1上に光増幅器10と信号検出器40をマウントすることにより、図1(a)に示した光ジャイロセンサを容易に製造できる。このため、歩留まりが向上し、製造コストを低減できる。
【0051】
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る光ジャイロセンサでは、光導波路20の周囲を囲むように検出路30が配置されるため、基板1の面積の増大が抑制される。そのため、図1(a)に示す光ジャイロセンサによれば、検出精度が高く、且つ小型の光ジャイロセンサを実現することができる。
【0052】
以上の説明では、光取り出し領域Aにおいて、検出路30の光取り出し部301が、光導波路20と光取り出し長LAにわたって平行に配置された例を示した。しかし、光取り出し部301と光導波路20が平行でなくてもよい。例えば、図15(a)に示すように、光取り出し領域Aにおける光取り出し部301が直線であり、光導波路20が曲線であってもよい。或いは、光取り出し領域Aにおける光取り出し部301が曲線であり、光導波路20が直線であってもよい。または、図15(b)に示すように、光取り出し部301と光導波路20が共に曲線であってもよい。
【0053】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る光ジャイロセンサは、図16に示すように、光導波路20が、入れ子状に互いに離間してリング状に配置された複数の結合周回路21〜23を備える。結合周回路21〜23のそれぞれは、隣接する他の結合周回路21〜23との間隔が、光結合長LCにわたって光結合距離dCである結合部210を有する。結合周回路21〜23の結合部210が配置された光結合領域C1、C2において、結合周回路21〜23間を第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2が100%移行する。つまり、隣接する結合周回路21〜23間を第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2が100%移行する条件を満足する間隔(光結合距離dC)及び長さ(光結合長LC)で、結合周回路21〜23が配置されている。
【0054】
図16に示した光ジャイロセンサでは、複数の結合周回路21〜23のうちの最内側に配置された結合周回路21が光増幅器10と接合して、光増幅器10とともにリング状の光路を構成する。また、結合周回路21〜23のうちの最外側に配置された結合周回路23の一部は、光取り出し領域Aにおいて、光取り出し長LAにわたって光取り出し距離dAで検出路30の光取り出し部301に隣接する。
【0055】
つまり、図16に示すジャイロセンサは、光導波路20が互いに離間して配置された複数の周回路を有することが図1(a)に示した光ジャイロセンサと異なる点である。その他の構成については、図1に示す第1の実施の形態と同様である。
【0056】
結合周回路21〜23には、第1の実施の形態で説明した光導波路20や検出路30と同様に、コア層201と、コア層201の周囲に配置されたクラッド層202からなる積層構造が採用可能である。このため、結合周回路21〜23は、第1の実施の形態で説明した製造方法と同様に形成可能である。
【0057】
図16に示した光ジャイロセンサでは、光増幅器10が出力する第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2が結合周回路21を伝搬する。以下では、光増幅器10の出力面11から出力された第1レーザ光L1が結合周回路21を時計方向に伝搬し、出力面12から出力された第2レーザ光L2が結合周回路21を反時計方向に伝搬する例を説明する。図16に示した例では、出力面11から光結合領域C1までの光路長と出力面12から光結合領域C1までの光路長は同じである。
【0058】
結合周回路21を伝搬する第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2は、光結合領域C1において、結合周回路21から結合周回路22に100%移行する。つまり、光結合領域C1における結合周回路21及び結合周回路22は光結合器として機能する。
【0059】
光結合領域C1において第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を結合周回路21から結合周回路22に100%移行させるために、結合周回路21の結合部210と結合周回路22の結合部210は、光結合長LCにわたって光結合距離dCで配置される。図16に示した例では、結合周回路21の結合部210と結合周回路22の結合部210は、平行に配置されている。
【0060】
既に説明したように、光導波路20から検出路30に移行する第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2のパワーの比率は、BPM等のシミュレーション等により算出可能である。第1の実施の形態で説明したBPMの結果から、例えば光結合距離dCが4μmの場合に、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2のそれぞれ100%を結合周回路21から結合周回路22に移行させるには、光結合長LCを、1783μm程度にする。ただし、コア層201の屈折率NCOが1.5286、クラッド層202の屈折率NCLが1.5214、コア層201のコア径が6μmであり、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の波長λが1550nmの場合である。
【0061】
以上に説明したように、光結合距離dA及び光結合長LCは、コア層201の屈折率NCO、クラッド層202の屈折率NCL、コア層201のコア径、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の波長λ、等に応じて設定される。
【0062】
結合周回路21から結合周回路22に移行した第1レーザ光L1は、光結合領域C1から光結合領域C2に向かって結合周回路22を時計方向に伝搬する。一方、結合周回路21から結合周回路22に移行した第2レーザ光L2は、光結合領域C1から光結合領域C2に向かって結合周回路22を反時計方向に伝搬する。図16に示した結合周回路22では、光結合領域C1から光結合領域C2までの光路長は左右の経路で同一である。
【0063】
光結合領域C2において、結合周回路22と結合周回路23のそれぞれの結合部210は、光結合長LCにわたって光結合距離dCの間隔で配置される。このため、結合周回路22を伝搬する第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2は、光結合領域C2において結合周回路22から結合周回路23に100%移行する。つまり、光結合領域C2における結合周回路22及び結合周回路23は光結合器として機能する。
【0064】
結合周回路22から結合周回路23に移行した第1レーザ光L1は、光結合領域C2から光取り出し領域Aに向かって時計方向に結合周回路23を伝搬する。一方、結合周回路22から結合周回路23に移行した第2レーザ光L2は、光結合領域C2から光取り出し領域Aに向かって反時計方向に結合周回路23を伝搬する。図16に示した結合周回路23では、光結合領域C2から光取り出し領域Aまでの光路長は左右の経路で同一である。
【0065】
なお、光結合領域C1、C2以外の領域において第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の移行が生じないように、結合部210以外の結合周回路21〜23間の間隔は、光結合距離dCより大きくする必要があり、0%伝搬導波路間隔r以上に設定されることが好ましい。更に、光導波路20における第1レーザ光L1及び第2レーザ光の損失を抑制するために、結合周回路21〜23の各曲線部の曲率半径は、導波路最小曲げ半径R以上に設定される。
【0066】
上記のように、図16に示した光ジャイロセンサでは、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2が、隣接する結合周回路21〜23間を100%移行する。このため、移行時におけるレーザ光の反射がなく、光導波路20内での雑音の発生を抑制できる。
【0067】
第1の実施の形態と同様に、結合周回路23を伝搬する第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の一部は、光取り出し領域Aにおいて、結合周回路23から検出路30に移行する。第1レーザ光L1の一部が結合周回路23から検出路30に移行した第1検出レーザ光L1aは、光取り出し領域Aから信号検出領域Bに時計方向に検出路30を伝搬する。一方、第2レーザ光L2の一部が結合周回路23から検出路30に移行した第2検出レーザ光L2aは、光取り出し領域Aから信号検出領域Bに反時計方向に検出路30を伝搬する。
【0068】
検出路30を伝搬する第1検出レーザ光L1a及び第2検出レーザ光L2aは、信号検出領域Bにおいて合波する。そして、第1検出レーザ光L1aの周波数と第2検出レーザ光L2aの周波数との間に周波数差が存在する場合には、第1検出レーザ光L1aと第2検出レーザ光L2aとが重ね合わさったビート信号が検出部302で生じる。検出部302に生じたビート信号は、信号検出器40により検出される。
【0069】
検出されたビート信号の光強度の変化を用いて、基板1の角速度を算出できる。他は、第1の実施の形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。
【0070】
以上に説明したように、本発明の第2の実施の形態に係る光ジャイロセンサでは、入れ子状に配置された複数の結合周回路21〜23を光結合させることによって、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2が伝搬する光導波路20の全周回路長を長くでき、且つ光導波路20の周回路が囲む面積を実質的に大きくできる。そのため、基板1の面積の増大を抑制しつつ、角速度の検出精度を向上できる。
【0071】
なお、図16では、光導波路20の有する結合周回路数が3である例を示したが、結合周回路が4つ以上であってもよい。つまり、互いに光結合長LCにわたって光結合距離dCの間隔で平行に配置された結合部210をそれぞれ有するn個の結合周回路21〜2nで光導波路20を構成できる(n:2以上の整数)。そして、最外周に配置された結合周回路2nの一部と検出路30との距離が、光取り出し長LAにわたって光取り出し距離dAになるよう光導波路20を配置すればよい。
【0072】
以上の説明では、光結合領域C1、C2において、結合周回路21〜23が互いに平行に配置された例を示した。しかし、結合周回路21〜23の間隔が光結合距離dCである長さが光結合長LCであれば、光結合領域C1、C2において結合周回路21〜23が平行でなくてもよい。
【0073】
<変形例>
図16では、結合周回路21〜23のうちの最内側の結合周回路21と光増幅器10とがリング状の光路を構成する光ジャイロセンサの例を示した。しかし、光増幅器10を周回路の一部に含めずに、光導波路20の外部に光源を配置した光ジャイロセンサでも、リング状に配置された複数の周回路を光結合させることにより、光導波路20の全周回路長及び光導波路20の周回路が囲む面積を増大させて検出精度を向上する効果は得られる。
【0074】
例えば、図17に示すような光拡散型光ファイバジャイロ(R−FOG)タイプの光ジャイロセンサにおいても、周回路長を長くすることにより検出精度を向上することができる。光導波路20の内側に配置された光源60から出力されたレーザ光L60が光導入器65で50%ずつに分岐されて、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2として光導波路20に導入される。光源60には、スーパールミネッセントダイオード(SLD)等が採用可能である。光源60を光導波路20の外側に配置してもよい。
【0075】
第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2は、光結合領域C1で100%移行しながら光導波路20を周回する。つまり、光導波路20はセンシングコイルと同様の機能を果たす。そして、光取り出し領域Aにおいて第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2のそれぞれ一部が光導波路20から検出路30に移行し、第1検出レーザ光L1a及び第2検出レーザ光L2aが検出路30を伝搬する。第1検出レーザ光L1a及び第2検出レーザ光L2aにより生じるビート信号が検出器70で検出され、角速度が検出される。
【0076】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0077】
既に述べた第1及び第2の実施の形態の説明においては、検出路30の備える光取り出し部301が1箇所であったが、光取り出し部301を2箇所備え、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の取り出しを異なる光取り出し部301で行ってもよい。
【0078】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の光ジャイロセンサは、ジャイロセンサを製造する製造業を含む電子機器産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1…基板
10…光増幅器
11、12…出力面
20…光導波路
21〜23…結合周回路
30…検出路
40…信号検出器
50…角速度検出回路
60…光源
65…光導入器
70…検出器
101…下部電極
102…下部クラッド層
103…活性層
104…上部クラッド層
105…上部電極
201…コア層
202…クラッド層
210…結合部
301…光取り出し部
302…検出部
A…光取り出し領域
B…信号検出領域
C1、C2…光結合領域
L1…第1レーザ光
L1a…第1検出レーザ光
L2…第2レーザ光
L2a…第2検出レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
リング状の光路を構成するように前記基板上に配置され、第1及び第2レーザ光が互いに異なる周回方向に伝搬する光導波路と、
前記光導波路を囲むように前記基板上に配置され、前記光導波路から前記第1及び第2レーザ光のそれぞれ一部が移行する光取り出し距離で光取り出し長にわたって前記光導波路に隣接して配置された光取り出し部を有する検出路と、
前記光導波路から前記光取り出し部に移行した前記第1及び第2レーザ光のそれぞれ一部が合波して前記検出路に生じるビート信号を検出する信号検出器と
を備えることを特徴とする光ジャイロセンサ。
【請求項2】
前記光取り出し部が、前記光取り出し距離で前記光取り出し長にわたって前記光導波路と平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光ジャイロセンサ。
【請求項3】
前記リング状の光路の一部をなすように前記基板上に配置された光増幅器を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ジャイロセンサ。
【請求項4】
前記光増幅器が半導体光増幅器であることを特徴とする請求項3に記載の光ジャイロセンサ。
【請求項5】
前記光導波路が、入れ子状に互いに離間してリング状に配置された複数の結合周回路を備え、前記複数の結合周回路のそれぞれが、隣接する前記結合周回路間を前記第1及び第2レーザ光が100%移行する光結合距離で光結合長にわたって隣接する他の前記結合周回路と平行に配置された結合部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光ジャイロセンサ。
【請求項6】
前記複数の結合周回路のうちの最内側の結合周回路と前記光増幅器とがリング状の光路を構成することを特徴とする請求項5に記載の光ジャイロセンサ。
【請求項7】
前記光導波路がコア層と該コア層の周囲を囲むクラッド層からなる積層構造を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の光ジャイロセンサ。
【請求項8】
前記信号検出器がフォトダイオードであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光ジャイロセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−164504(P2010−164504A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8561(P2009−8561)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】