説明

光スイッチ及び波長選択スイッチ

【課題】多光束干渉によって生じるサイドローブを抑圧し、消光比の高い光スイッチ及び波長選択スイッチを提供する。
【解決手段】入力ポート(1102)に入力された光波(光信号)を分岐する入力分岐部(1104,0006)と、入力分岐部で分岐された光波の位相を変調する位相シフタ部(1110)と、位相シフタ部で変調された光波を合波してM個の出力ポート(1202)に出力する出力合波部(1206,1204)を備える。Mは2以上の整数、NはM以上かつ3以上の整数である。入力分岐部は、入力ポートから入力された光波を、N個に分岐する入力分岐手段と、入力分岐手段によりN個に分岐された光波がそれぞれ通過するN個の入力部出力導波路とを有し、iをN以下の整数とし、N個の入力部出力導波路のうちi番目の入力部出力導波路を通過して出力ポートに結合する光波の電界振幅の相対比が(N−1)!/[(N−i)!(i−1)!]となるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ通信におけるルーティングデバイスなどとして使用される光スイッチ及び波長選択スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを伝送媒体とする光通信技術は、信号の伝送距離の拡大をもたらし、大規模な光通信網が構築されてきた。近年では、インターネット通信が広範に普及するのに伴って、通信トラフィックが急速に増大しており、通信網に対する大容量化、高速化、高機能化の要求が高まっている。これまでに、波長の異なる複数の光信号を1本の伝送路で同時に伝送する波長分割多重通信技術の導入によって、二地点間の伝送容量を増大することが可能となった。しかし、通信網においては、複数の伝送路が集まるノードにおいて、信号の経路を設定(ルーティング)をしたり、切替(スイッチング)をしたりする必要があり、伝送容量の増大に伴って、これらの信号処理がボトルネックになってきている。これまでは、伝送されてきた光信号を一旦電気信号に変換した後に経路設定や経路切替を行ない、再び電気信号を光信号に変換して伝送路に送出する方式が用いられてきたが、今後は光信号を電気信号に変換することなく、信号経路の設定や切替処理を行なう方式を用いることによって、ノードのスループットを飛躍的に拡大することができるものと期待されている。
【0003】
このような方式の一つとして、複数のノードをリング状またはバス状に接続した再構成可能光アドドロップ多重(ROADM:Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexing)システムが知られている。ROADMシステムの各ノードには、波長毎に接続を切り替える光スイッチが装備されており、波長多重光信号のうち任意の波長の光信号について、一方の光ファイバ伝送路から入力された光信号を、他方の光ファイバ伝送路へ出力するスルーモードと、光ファイバ伝送路側から入力された光信号をノードに接続された端局装置に出力する(ドロップ動作)とともに、端局装置から入力された光信号を光ファイバ伝送路に出力する(アド動作)アド/ドロップモードとの切り替えが可能である。
【0004】
このようなROADMシステムの光信号切替部には、これまで主として、波長合分波器と多連の光スイッチの組合せが用いられてきた。しかし、最近では、アド/ドロップポートも含め全ての入出力ポートを波長多重化した波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)が、広い通過帯域特性や、多ポート化への拡張性などの特徴から、注目されてきている。
【0005】
従来、波長選択スイッチの構成として、種々の形式が知られているが、その一つとして、平面光波回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)上に作製された、多光束干渉のためのスラブ導波路と、それに接続された複数のアレイ導波路回折格子(AWG:Arrayed Waveguide Grating)と、集光レンズ系、及び位相変調器とで構成されたものが知られている(特許文献1参照)。
【0006】
図1は特許文献1に記載の従来の1入力5出力の波長選択スイッチの概略図である。
図1に示す従来の光スイッチは、石英系光導波路100と、14個のシリンドリカルレンズ200−1〜200−14と、14個の集光レンズ300−1〜300−14、および14個の位相変調器400−1〜400−14とを備える。図1において、石英系光導波路100の基板における信号光の出射端面と水平な方向をx、垂直な方向をyとし、光波の進行方向すなわち光軸をzとする。
【0007】
石英系光導波路100は、石英系基板上に各々作製された、5個の入出力導波路102−1〜102−5に接続された第1スラブ導波路104と、14個のアレイ導波路回折格子110−1〜110−14と、第1スラブ導波路104とアレイ導波路回折格子110−1〜110−14とを接続する14個の接続導波路106−1〜106−14とを備える。
【0008】
アレイ導波路回折格子110は各々、接続導波路106と接続された第2スラブ導波路112と、第2スラブ導波路112に接続されたアレイ導波路114とを備える。
【0009】
シリンドリカルレンズ200−1〜200−14は各々、アレイ導波路114−1〜114−14の第2スラブ導波路112−1〜112−14と異なる端に配置され、アレイ導波路114−1〜114−14から波長分離されて出射される各光信号を、石英基板面に垂直な方向(y方向)に拡がることなく、集光レンズ300へ入射するように作用する。
【0010】
集光レンズ300−1〜300−14は各々、波長分離された各光信号を位相変調器400−1〜400−14に集光する。
【0011】
位相変調器400−1〜400−14の各々は、波長分離された各光信号に対して任意の位相シフトを与え、集光レンズ300−1〜300−14、シリンドリカルレンズ200−1〜200−14を介してアレイ導波路114−1〜114−14へ結合するように反射する位相制御素子を備える。
【0012】
入出力導波路102、第1スラブ導波路104および接続導波路106は、スイッチング部を構成する。アレイ導波路格子110、シリンドリカルレンズ200および集光レンズ300は分光部を構成する。位相変調器400は位相変調部を構成する。
【0013】
次に、図1に示す従来の波長選択スイッチの動作を説明する。
複数の波長が多重された信号光は、入出力兼用の入出力導波路102−3を導波して第1スラブ導波路104の第1スラブ入出力面へ入射する。第1スラブ入出力面へ入射した信号光は、第1スラブ導波路104において、14個の信号光に分岐され各々接続導波路106−1〜106−14へ結合される。
【0014】
各信号光は、接続導波路106−1〜106−14を導波してアレイ導波路格子110−1〜110−14へ入射する。接続導波路106−1を導波してアレイ導波路格子110−1へ入射した信号光は、アレイ導波路格子110−1の第2スラブ導波路112−1およびアレイ導波路114−1を導波することで、波長分離されて石英系光導波路100から出射する。接続導波路106−2〜106−14を導波した信号光も同様に、波長分離されて石英系光導波路100から出射する。
【0015】
アレイ導波路格子110−1において波長分離された複数の波長の光信号の各々は、シリンドリカルレンズ200−1および集光レンズ300−1を透過して、位相変調器400−1に入射して、位相変調器400−1において位相シフトを与えられて、反射により光路が反転する。アレイ導波路格子110−2〜110−14において波長分離された複数の波長の光信号の各々も同様に、位相変調器400−2〜400−14へ入射して、独立に位相シフトを与えられて、反射により光路が反転する。
【0016】
位相変調器400−1において位相シフトを与えられて、光路が反転した各波長の光信号は、集光レンズ300−1およびシリンドリカルレンズ200−1を透過して、アレイ導波路格子110−1に結合される。さらに、光路が反転した各波長の光信号は、アレイ導波路格子110−1において波長合成された後に、接続導波路106−1に結合されて、再び第1スラブ導波路104へ入射する。位相変調器400−2〜400−14において位相シフトを与えられ、光路が反転した各波長の光信号も同様に、再び第1スラブ導波路104へ入射する。
【0017】
再び第1スラブ導波路104へ入射した光信号のある波長成分は、多光束干渉により第1スラブ導波路入出力面Pに干渉縞を形成する。このとき、位相変調器400−1〜400−14において付与する位相変調量を制御することで、干渉縞が形成される位置および干渉縞の光強度を制御することができる。したがって、波長選択スイッチに入射した光信号の所望の波長成分を、所望の光強度で所望の入出力導波路102−1〜102−5へ結合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2009−198826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、図1に示したような波長選択スイッチでは、従来、多光束干渉によって生じるサイドローブによって消光比が制限されるという問題があった。
【0020】
表1に、特許文献1に記載されている光回路のパラメータを示す。このとき、各接続導波路を通過して、出力導波路に結合する電界振幅の相対比を計算すると、表2のようになる。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
図2に、上記のパラメータを用いた場合に、第1スラブ入出力面Pに形成される干渉縞の計算結果を示す。中央(x=0)の近傍でおよそ−30dB程度のサイドローブが生じており、中央の干渉縞から離れるにしたがって回折の効果により強度が減少はしていくが、隣の干渉縞の位置(x=65.4μm)との中間点近傍においても−40dB程度のサイドローブが生じている。このようなサイドローブは、導波路の製造誤差や位相設定の誤差によってクロストークを発生し、遮断ポートの消光比を劣化させる要因となる。
【0024】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、多光束干渉によって生じるサイドローブを抑圧し、消光比の高い光スイッチ及び波長選択スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光スイッチであって、入力ポートと、Nを3以上の整数とし、前記入力ポートに入力された光波をN個に分岐する入力分岐部と、前記分岐した光波の各々の位相を変調する位相シフタ部と、Mを2以上N以下の整数とし、前記位相が変調された光波を合波してM個の出力ポートに出力する出力合波部とを備え、前記入力分岐部は、平面光波回路上に形成された、前記入力ポートから入力された光波をN個に分岐する入力分岐手段および分岐したN個の光波がそれぞれ導波するN個の入力部出力導波路を備え、前記入力分岐手段および前記入力部出力導波路は、前記N個の入力部出力導波路のうちi番目の入力部出力導波路を導波して前記出力ポートに結合する前記光波の電界振幅の相対比が
【0026】
【数1】

【0027】
となるように構成されていることを特徴とする。
【0028】
請求項3に記載の発明は、波長選択スイッチであって、入力ポートと、Nを3以上の整数とし、前記入力ポートに入力された光波をN個に分岐する入力分岐部と、前記分岐した光波の各々の位相を変調する位相シフタ部と、Mを2以上N以下の整数とし、前記変調された光波を合波してM個の出力ポートに出力する出力合波部とを備え、前記入力分岐部は、平面光波回路上に形成された、前記入力ポートから入力された光波をN個に分岐する入力分岐手段と、分岐したN個の光波がそれぞれ導波するN個の入力部出力導波路と、N個の前記入力部出力導波路のうちの1つに各々が接続された、入力された光波をL個の波長の光波に分離する少なくとも(N−1)個の波長分離手段とを備え、前記出力合波部は、平面光波回路上に形成された、前記L個の波長に分離され、位相が変調された光波を波長合波する少なくとも(N−1)個の波長合波手段と、位相が変調されたN個の光波が結合されるN個の出力部入力導波路と、前記出力部入力導波路に接続され、入力された光波を前記M個の出力ポートに出力する出力合分岐手段とを備え、前記入力分岐手段および前記入力部出力導波路ならびに前記出力合分岐手段および前記出力部入力導波路は、前記N個の入力部出力導波路および前記出力部入力導波路のうちi番目の前記入力部出力導波路および前記出力部入力導波路を通過して前記出力ポートに結合する前記光波の電界振幅の相対比が
【0029】
【数2】

【0030】
となるように構成されたことを特徴とする。
【0031】
一実施形態では、前記位相シフタ部を反射型の位相変調器で構成し、前記入力分岐部と前記出力合波部とを同一の光回路で構成することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明によれば、多光束干渉により動作する光スイッチ及び波長選択スイッチにおいて、多光束干渉を生じる各光信号の電界振幅の相対比を
【0033】
【数3】

【0034】
となるように設定することで、多光束干渉により生じる干渉縞のサイドローブを抑圧し、高い消光比を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来の波長選択スイッチの概略図である。
【図2】従来の波長選択スイッチにおいて、第1スラブ入出力面に形成される干渉縞の計算結果を示す図である。
【図3】本発明に係る光スイッチの概略図である。
【図4】本発明に係る光スイッチにおいて、第2スラブ出力面に形成される干渉縞の計算結果を示す図である。
【図5】本発明に係る波長選択スイッチの概略図である。
【図6】本発明に係る波長選択スイッチにおいて、第1スラブ入出力面に形成される干渉縞の計算結果を示す図である。
【図7】図3に示した光スイッチの変形例である、反射型の光スイッチの概略図である。
【図8】図5に示した波長選択スイッチの変形である、透過型の波長選択スイッチの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明に係る光スイッチ及び波長選択スイッチは、入力ポートに入力された光波(光信号)を分岐する入力分岐部と、入力分岐部で分岐された光波の位相を変調する位相シフタ部と、位相シフタ部で変調された光波を合波してM個の出力ポートに出力する出力合波部を備える。Mは2以上の整数であり、NはM以上かつ3以上の整数である。
【0037】
入力分岐部は、入力ポートから入力された光波を、N個に分岐する入力分岐手段と、入力分岐手段によりN個に分岐された光波がそれぞれ通過するN個の入力部出力導波路とを有する。入力分岐部は、iをN以下の整数とし、N個の入力部出力導波路のうちi番目の入力部出力導波路を通過して出力ポートに結合する光波の電界振幅の相対比が
【0038】
【数4】

【0039】
となるように構成または設定されている。
【0040】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0041】
(第1の実施形態)
図3は、本実施形態の1入力5出力(入力ポートが1つと、出力ポートが5つ)の光スイッチの概略図である。すなわち、図3は、M=5、N=14とした場合の光スイッチの概略図である。図3において、石英系光導波路1100の基板における信号光の出射端面と水平な方向をx、垂直な方向をyとし、光波の進行方向すなわち光軸をzとする。
【0042】
図3に示す光スイッチは、図1に示す従来の波長選択スイッチにおいて、分光部を削除し、かつ位相変調部を熱光学位相シフタにより構成するとともに、さらに光回路を透過型の構成として、スイッチング部および位相変調部をすべてPLC上に作製したものである。
【0043】
図3に示す光スイッチは、石英系光導波路1100上に各々作製された、1個の入力導波路1102に接続された第1スラブ導波路1104と、14個の熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14と、第1スラブ導波路1104と熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14とを接続する14個の接続導波路1106−1〜1106−14と、5個の出力導波路1202−1〜1202−5に接続された第2スラブ導波路1204と、第2スラブ導波路1204と熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14とを接続する14個の接続導波路1206−1〜1206−14とを備える。
【0044】
入力導波路1102は、光スイッチの入力ポートである。第1スラブ導波路1104は、入力分岐手段を構成する。接続導波路1106−1〜1106−14は、入力部出力導波路を構成する。第1スラブ導波路1104および接続導波路1106−1〜1106−14は共に、入力分岐部を構成する。
【0045】
入力分岐部は、14個の接続導波路1106−1〜1106−14及び1206−1〜1206−14のうちi番目の導波路を通過して出力導波路1202−1〜1202−5に結合する光電界振幅の相対比が
【0046】
【数5】

【0047】
となるように設定あるいは構成されている。具体的には、端の接続導波路1106−1及び1206−1、もしくは、1106−14及び1206−14を通過する光強度を1とした場合の強度比が表3−1になるように構成されている。表3−1の値を、中央の接続導波路1106−7及び1206−7、もしくは、1106−8及び1206−8を通過する光強度を1とした場合に換算すると表3−2に示すようになる。
【0048】
【表3−1】

【0049】
【表3−2】

【0050】
表3−1および3−2に示すような光強度比は、表4−1に示すように、第1スラブ導波路1104の長さを375μm、接続導波路1106−1〜1106−14の隣接間隔をd2=10μmとし、かつ、スラブ境界面における各接続導波路1106−1〜1106−14の導波路幅の相対値を表4−2に示す値に設定することで実現できる。
【0051】
【表4−1】

【0052】
【表4−2】

【0053】
熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14は、位相シフタ部の一構成例である。熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14は、導波路と薄膜ヒータとを積層した位相シフタ導波路とすることができる。別の位相シフタ部の構成例は、導波路と薄膜電極とを積層した位相シフタ導波路とすることができる。
【0054】
出力導波路1202−1〜1205−5は、光スイッチの出力ポートである。第2スラブ導波路1204および接続導波路1206−1〜1206−14はそれぞれ、第1スラブ導波路1104および接続導波路1106−1〜1106−14と同様に構成される。第2スラブ導波路1204及び接続導波路1206−1〜1206−14は共に、出力合波部を構成する。
【0055】
次に、図3に示す光スイッチの動作を説明する。
入力導波路1102に入力された信号光は、第1スラブ導波路1104の第1スラブ入力面(入力導波路1102が接続された面)へ入射し、第1スラブ導波路1104において、14個の信号光に分岐され各々接続導波路1106−1〜1106−14へ結合される。接続導波路1106−1〜1106−14を導波する光信号の光強度の相対比は
【0056】
【数6】

【0057】
である。
【0058】
各信号光は、接続導波路1106−1〜1106−14を導波して熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14へ入射する。熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14により、独立に位相シフトを与えられた各信号光は、接続導波路1206−1〜1206−14を導波して、第2スラブ導波路1204へ入射する。
【0059】
第2スラブ導波路1204へ入射した各光信号は、多光束干渉により第2スラブ導波路出力面(出力導波路1202が接続された面)に干渉縞を形成する。このとき、熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14において付与する位相変調量を制御することで、干渉縞が形成される位置および干渉縞の光強度を制御することができる。したがって、光スイッチに入射した光信号を、所望の光強度で所望の出力導波路1202−1〜1202−5へ結合することができる。
【0060】
例えば、14個に分岐した光信号はそれぞれ熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14において独立に位相変調を受ける(位相がシフトされる)が、このとき、熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14による位相設定(位相分布)を0、α×2π/N、α×2×2π/N、α×3×2π/N、・・・α×(N−1)×2π/Nのように線形に設定する。このように位相分布を線形に設定することで、干渉縞の強度がピークとなる位置は、第2スラブ導波路の出力面上をほぼ線形に移動する。αは定数であり、光信号を出力したい出力ポートに対応する。
【0061】
図4に、上記のパラメータを用いた場合に、第2スラブ出力面に形成される干渉縞の計算結果を示す。隣の干渉縞の位置(X=65.4μm)との間のサイドローブが効果的に抑圧されていることがわかる。
【0062】
(実施例1)
コアとクラッドの比屈折率差Δ=1.5%のシリカガラス系PLCを用いて、第1の実施形態に基づく1入力5出力の光スイッチを作製した。5個の出力ポートのうちの1個に光が出力されるように熱光学位相シフタの印加電力を調整したとき、残る4つの遮断出力ポートにおける消光比を測定した結果、いずれも40dB以上であった。
【0063】
以上、第1の実施形態では、入力ポート数を1、出力ポート数Mを5、N=14とした場合の光スイッチの構成例を説明した。しかしながら、本発明に係る光スイッチは、これに限定されるものではない。光スイッチの出力ポート数Mを2以上の任意の数とすることができる。また、入力ポート数を2以上とし、NをM以上かつ3以上として本発明を実施することができる。さらに、本発明は、図3に示す透過型の光スイッチの変形形態として以下に説明する反射型の光スイッチとしても実施することができる。
【0064】
(変形形態)
図7に示す光スイッチは、図3に示す光スイッチと同様に、1入力5出力(入力ポートが1つと、出力ポートが5つ)の光スイッチの概略図である。すなわち、図7は、M=5、N=14とした場合の反射型の光スイッチの概略図である。
【0065】
図7に示す光スイッチは、石英系光導波路1100上に各々作製された、5個の入出力導波路1302−1〜5に接続された第1スラブ導波路1104と、14個の熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14と、第1スラブ導波路1104と熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14とを接続する14個の接続導波路1106−1〜1106−14とを備える。石英系光導波路1100の端(熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14の接続導波路1106−1〜1106−14が接続された端と異なる端側)に、ミラー1304が備えられている。
【0066】
入出力導波路1302−1〜1302−5のうち、入出力導波路1302−3は、サーキュレータ(図示しない)が接続された入出力兼用の導波路であり、入力ポートおよび出力ポートを構成する。入出力導波路1302−1、1302−2、1302−4および1302−5は、出力ポートを構成する。
【0067】
第1スラブ導波路1104および接続導波路1106−1〜1106−14は、図3に示す光スイッチと同様に、入力分岐部を構成する。また、第1スラブ導波路1104および接続導波路1106−1〜1106−14は、出力合波部を構成する。
【0068】
図7の光スイッチにおいて、入出力導波路1302−3に入力された信号光は、図3に示す光スイッチと同様に、第1スラブ導波路1104の第1スラブ入力面(入出力導波路1302が接続された)へ入射し、第1スラブ導波路1104において14個の信号光に分岐され、熱光学位相シフタ1110−1〜1110−14により独立に位相シフトを与えられ、ミラー1304により反射され光路を反転し、熱光学位相シフタ1110、接続導波路1106を導波して再び第1スラブ導波路へ入射する。
【0069】
第1スラブ導波路1204へ入射した各光信号は、多光束干渉により第1スラブ導波路出力面(すなわち、第1スラブ入力面と同じ面)に干渉縞を形成する。図3に示す光スイッチと同様に、位相変調量を制御することで、干渉縞が形成される位置および干渉縞の光強度を制御することができる。したがって、光スイッチに入射した光信号を、所望の光強度で所望の入出力導波路1302−1〜1202−5へ結合することができる。
【0070】
(第2の実施形態)
図5は、本実施形態の1入力2出力(入力ポートが1つと、出力ポートが2つ(すなわちM=2))の波長選択スイッチであり、N=6とした場合の波長選択スイッチの概略図である。図5において、石英系光導波路2100の基板における信号光の出射端面と水平な方向をx、垂直な方向をyとし、光波(信号光)の進行方向すなわち光軸をzとする。
【0071】
図5に示す波長選択スイッチは、石英系光導波路2100と、シリンドリカルレンズ2200−1〜2200−6と、集光レンズ2300−1〜2300−6と、位相変調器2400−1〜2400−6とを備える。
【0072】
石英系光導波路2100は、石英系基板上に各々作製された、2個の入出力導波路2102−1〜2102−2に接続された第1スラブ導波路2104と、6個のアレイ導波路回折格子2110−1〜2110−6と、第1スラブ導波路2104とアレイ導波路回折格子2110−1〜2110−6とを接続する6個の接続導波路2106−1〜2106−6とを備える。各アレイ導波路回折格子2110は、1個の接続導波路2106と接続された第2スラブ導波路2112と、第2スラブ導波路2112に接続されたアレイ導波路2114とを備える。
【0073】
入出力導波路2102−1〜2102−2のうち、入出力導波路2102−1は、サーキュレータ(図示しない)が接続された入出力兼用の導波路であり、入力ポートおよび出力ポートを構成する。入出力導波路2102−2は、出力ポートを構成する。
【0074】
第1スラブ導波路2104は、入力分岐手段を構成する。接続導波路2106−1〜2106−6は、入力部出力導波路を構成する。第1スラブ導波路2104および接続導波路2106−1〜2106−6は共に、入力分岐部を構成する。また、第1スラブ導波路2104は、出力合分岐手段を構成する。接続導波路2106−1〜2106−6は、出力部入力導波路を構成する。第1スラブ導波路2104および接続導波路2106−1〜2106−6は、出力合波部を構成する。
【0075】
入力分岐部は、6個の接続導波路2106−1〜2106−6のうちi番目の導波路を通過して入出力導波路2102−1および出力導波路2102−2に結合する光電界振幅の相対比が
【0076】
【数7】

【0077】
となるように設定あるいは構成されている。具体的には、端の接続導波路2106−1、もしくは、2106−6を通過する光強度を1とした場合の強度比が表5−1になるようにする。表5−1の値を、中央の接続導波路2106−3、もしくは、2106−4を通過する光強度を1とした場合に換算すると表5−2に示すようになる。
【0078】
【表5−1】

【0079】
【表5−2】

【0080】
表5−1および5−2に示すような光強度比は、表6−1に示すように、第1スラブ導波路2104の長さを362μm、接続導波路2106−1〜2106−6の隣接間隔をd2=15μmとし、かつ、スラブ境界面における各接続導波路2106−1〜2106−6の導波路幅の相対値を表6−2に示す値に設定することで実現できる。
【0081】
【表6−1】

【0082】
【表6−2】

【0083】
アレイ導波路回折格子2110−1〜2110−6は、入力された光波をL個の波長の光波に分離する波長分離手段を構成する。Lは、波長選択スイッチへ入力される波長多重光信号に多重された光信号(光波)の波長の数である。
【0084】
シリンドリカルレンズ2200−1〜2200−6は、アレイ導波路2114−1〜2114−6の第2スラブ導波路2112と異なる端に配置され、アレイ導波路2114−1〜2114−6から波長分離されて出射される各光信号を、石英基板面に垂直な方向(y方向)に拡がることなく、集光レンズ2300へ入射するように作用する。
【0085】
集光レンズ2300−1〜2300−6は、波長分離された各光信号を位相変調器2400−1〜2400−6に集光する。
【0086】
位相変調器2400−1〜2400−6は、波長分離された各光信号に対して任意の位相シフトを与え、集光レンズ2300−1〜2300−6、シリンドリカルレンズ2200−1〜2200−6を介してアレイ導波路2114−1〜2114−6へ結合するように反射する位相制御素子を備える。例えば、位相変調器2400を、x方向に配列された液晶などに代表される屈折率変調素子を用いたデバイス、例えばLCOS(Liquid Crystal on Silicon)と呼ばれるデバイスを用いて構成することができる。LCOSは、シリコン基板の表面に少なくとも波長分離された光信号の数の液晶素子(セル)を配列した反射型のデバイスである。各液晶素子(セル)は位相制御素子として入射した光信号に位相差を与えるとともに、光路を反転するように作用する。例えば、波長多重された信号からN個に分岐されたある波長を有する光信号は、位相変調器2400を構成する異なる位相制御素子(液晶素子(セル))に集光し位相変調を受けるが、このとき、位相変調器2400を構成する位相制御素子による位相設定(位相分布)を0、α×2π/N、α×2×2π/N、α×3×2π/N、・・・α×(N−1)×2π/Nのように線形に設定する。このように位相分布を線形に設定することで、干渉縞の強度がピークとなる位置は、第1スラブ導波路の入出力面(入出力導波路2102側の面)上をほぼ線形に移動する。ここで、αは定数であり、当該ある波長の光信号を出力したい出力ポートに対応する。さらに、波長毎に別々の位相制御素子(液晶素子(セル))を対応させることで、波長毎のルーティング(波長選択)が可能となる。
【0087】
入出力導波路2102、第1スラブ導波路2104および接続導波路2106は、スイッチング部を構成する。アレイ導波路格子2110、シリンドリカルレンズ2200および集光レンズ2300は分光部を構成する。位相変調器2400は位相変調部を構成する。
【0088】
図6に、上記のパラメータを用いた場合に、第1スラブ入出力面に形成される干渉縞の計算結果を示す。隣の干渉縞の位置(x=26.3μm)との間のサイドローブが効果的に抑圧されていることがわかる。
【0089】
次に、図5に示す本発明に係る波長選択スイッチの動作を説明する。
複数の波長が多重された信号光は、入出力兼用の入出力導波路2102−1を導波して第1スラブ導波路2104の第1スラブ入出力面(入出力導波路2102−1が接続された面)へ入射し、第1スラブ導波路2104において6個の信号光に分岐され各々接続導波路2106−1〜2106−6へ結合される。接続導波路2106−1〜2106−6を導波する光信号の光強度の相対比は
【0090】
【数8】

【0091】
である。
【0092】
各信号光は、接続導波路2106−1〜2106−6を導波してアレイ導波路格子2110−1〜2110−6へ入射する。接続導波路2106−1を導波してアレイ導波路格子2110−1へ入射した信号光は、第2スラブ導波路2112−1およびアレイ導波路2114−1を導波することで、波長分離されて石英系光導波路2100から所定の角度で出射する。接続導波路2106−2を導波した信号光も同様に波長分離されて、接続導波路2106−1を導波した信号光とは異なる角度で、石英系光導波路2100から出射する。接続導波路2106−3〜2106−6を導波した信号光も同様に、波長分離されて、互いに異なる角度で石英系光導波路2100から出射する。
【0093】
アレイ導波路格子2110−1〜2110−6において波長分離された複数の波長の光信号の各々は、シリンドリカルレンズ2200−1〜2200−6および集光レンズ2300−1〜2300−6を透過して、位相変調器2400−1〜2400−6へ入射して、位相変調器2400−1において位相シフトを与えられて、反射により光路が反転する。
【0094】
位相変調器2400において位相シフトを与えられて、光路が反転した各波長の光信号は、集光レンズ2300およびシリンドリカルレンズ2200を透過して、アレイ導波路格子2110に結合される。例えば、光路が反転する前に接続導波路2106−1を導波した各波長の光信号は、光路が反転した後、アレイ導波路格子2110−1において波長合成された後に、再び接続導波路2106−1に結合されて、第1スラブ導波路2104へ入射する。接続導波路2106−2〜6を導波した後、位相変調器2400−2〜2400−6において位相シフトを与えられ、光路が反転した各波長の光信号も同様に、再び接続導波路2106−2〜6に結合されて、第1スラブ導波路2104へ入射する。
【0095】
再び第1スラブ導波路2104へ入射した光信号のある波長成分は、多光束干渉により第1スラブ導波路の入出力面に干渉縞を形成する。このとき、位相変調器2400−1〜2400−6において付与する位相変調量を制御することで、干渉縞が形成される位置および干渉縞の光強度を制御することができる。したがって、波長選択スイッチに入射した光信号の所望の波長成分を、所望の光強度で所望の入出力導波路2102−1〜2102−2へ結合することができる。
【0096】
なお、本実施形態では、接続導波路2106−1〜2106−6のすべてをアレイ導波路格子2110と接続したが、そのうちのいずれか1個をアレイ導波路格子2110に接続しなくても良い。つまり、アレイ導波路格子2110に接続しない接続導波路2106の長さをアレイ導波路格子2110の導波路長と等しくし、さらに、アレイ導波路格子2110に接続しない接続導波路2106を導波する光信号を基準として、他のアレイ導波路格子2110を導波する光信号に対する位相変調量を決定するように構成しても良い。
【0097】
(実施例2)
コアとクラッドの比屈折率差Δ=1.5%のシリカガラス系PLCと、反射型の液晶位相変調器アレイを用いて、第2の実施形態に基づく1入力2出力の波長選択スイッチ(波長数L=40)を作製した。作製した波長選択スイッチの消光比を各波長について測定した結果、いずれも40dB以上であった。
【0098】
以上、第2の実施形態では、入力ポート数を1、出力ポート数Mを2、N=6とした場合を説明した。しかしながら、本発明に係る波長選択スイッチは、これに限定されるものではない。波長選択スイッチの出力ポート数Mを2以上の任意の数とすることができる。また、入力ポート数を2以上とし、NをM以上かつ3以上として本発明を実施することができる。さらに、本発明は、図5に示す反射型の波長選択スイッチの変形形態として以下に説明する透過型の波長選択スイッチとしても実施することができる。
【0099】
(変形形態)
図8に示す波長選択スイッチは、図5に示す光スイッチと同様に、1入力2出力(入力ポートが1つと、出力ポートが2つ)の光スイッチの概略図である。すなわち、図8は、M=2、N=6とした場合の反射型の波長選択スイッチの概略図である。
【0100】
図8に示す波長選択スイッチは、石英系光導波路2100と、シリンドリカルレンズ2200−1〜2200−6と、集光レンズ2300−1〜2300−6と、位相変調器2400−1〜2400−6と、集光レンズ3300−1〜3300−6と、シリンドリカルレンズ3200−1〜3200−6と、石英系光導波路3100とを備える。
【0101】
石英系光導波路2100は、入力ポートを構成する1個の入力導波路2102を備える点を除き、図5に示す石英系光導波路2100と同様である。
【0102】
第1スラブ導波路2104および接続導波路2106−1〜2106−6は、入力分岐部を構成する。入力分岐部は、6個の接続導波路2106−1〜2106−6のうちi番目の導波路を通過して出力導波路3102−1と出力導波路3102−2に結合する光電界振幅の相対比が
【0103】
【数9】

【0104】
となるように設定あるいは構成されている。
【0105】
シリンドリカルレンズ2200−1〜2200−6および集光レンズ2300−1〜2300−6もまた、図5に示すシリンドリカルレンズ2200および集光レンズ2300と同様に作用する。
【0106】
位相変調器2400は、波長分離された各光信号に対して任意の位相シフトを与え透過させる位相制御素子を備える。
【0107】
集光レンズ3300−1〜3300−6およびシリンドリカルレンズ3200−1〜3200−6は、位相変調器2400−1〜2400−6により位相シフトが与えられた各光信号を石英系光導波路3100の第2アレイ導波路3114−1〜3114−6へ結合するように作用する。
【0108】
石英系光導波路3100は、出力ポートを構成する2個の出力導波路3102−1および3102−2を備える点を除き、図5に示す石英系光導波路2100と同様である。第3スラブ導波路3112−1〜3112−6は第2スラブ導波路2112−1〜2112−6にそれぞれ対応し、第4スラブ導波路3104は第1スラブ導波路2104に対応し、第2アレイ導波路3114−1〜3114−6はアレイ導波路2114−1〜2114−6にそれぞれ対応し、第2接続導波路3106−1〜3106−6は接続導波路2106−1〜2106−6にそれぞれ対応する。
【0109】
第2アレイ導波路3114−1〜3114−6および第3スラブ導波路3112−1〜3112−6は、第2アレイ導波路格子3110−1〜3110−6を構成し、入射した各波長の光信号を合波して、第2接続導波路3106−1〜3106−6へ結合する。
【0110】
第2接続導波路3106−1〜3106−6および第4スラブ導波路3104は、出力合波部を構成する。出力合波部は、6個の第2接続導波路3106−1〜3106−6のうちi番目の導波路を通過して出力導波路3102−1と出力導波路3102−2に結合する光電界振幅の相対比が
【0111】
【数10】

【0112】
となるように設定あるいは構成されている。
【0113】
第4スラブ導波路3104へ入射した光信号のある波長成分は、多光束干渉により第4スラブ導波路3104の出力面(出力導波路3102−1および3102−2が接続された面)に干渉縞を形成する。このとき、位相変調器2400−1〜2400−6において付与する位相変調量を制御することで、干渉縞が形成される位置および干渉縞の光強度を制御することができる。したがって、波長選択スイッチに入射した光信号の所望の波長成分を、所望の光強度で所望の出力導波路3102−1〜3102−2へ結合することができる。
【0114】
出力導波路3102−1および3102−2は、出力ポートを構成し、第4スラブ導波路3104からの光信号を出力する。
【0115】
なお、以上で説明した各実施形態および変形形態において、入力ポートと出力ポートを逆にして、M入力1出力の光スイッチもしくは波長選択スイッチとして使用することも可能である。
【符号の説明】
【0116】
100 石英系光導波路
200−1〜200−14 シリンドリカルレンズ
300−1〜300−14 集光レンズ
400−1〜400−14 位相変調器
102−1〜102−5 入出力導波路
104 第1スラブ導波路
110−1〜110−14 アレイ導波路回折格子
106−1〜106−14 接続導波路
112 第2スラブ導波路
114−1〜114−14 アレイ導波路
1100、2100、3100 石英系光導波路
1102 入力導波路
1202−1〜1202−5 出力導波路
1104 第1スラブ導波路
1204 第2スラブ導波路
1106−1〜1106−14、1206−1〜1206−14 接続導波路
1110−1〜1110−14 熱光学位相シフタ
2102−1〜2102−2 入出力導波路
2104 第1スラブ導波路
2112−1〜2112−6 第2スラブ導波路
2200−1〜2200−6、3200−1〜3200−6 シリンドリカルレンズ
2300−1〜2300−6、3300−1〜3300−6 集光レンズ
2400−1〜2400−6 位相変調器
1302−1〜1302−5 入出力導波路
1304 ミラー
3102−1〜3102−2 出力導波路
2110−1〜2110−6、3110−1〜3110−6 アレイ導波路回折格子
2106−1〜2106−6、3106−1〜3106−6 接続導波路
3112−1〜3112−6 第3スラブ導波路
3104 第4スラブ導波路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ポートと、
Nを3以上の整数とし、前記入力ポートに入力された光波をN個に分岐する入力分岐部と、
前記分岐した光波の各々の位相を変調する位相シフタ部と、
Mを2以上N以下の整数とし、前記位相が変調された光波を合波してM個の出力ポートに出力する出力合波部と
を備えた光スイッチであって、
前記入力分岐部は、平面光波回路上に形成された、前記入力ポートから入力された光波をN個に分岐する入力分岐手段および分岐したN個の光波がそれぞれ導波するN個の入力部出力導波路を備え、
前記入力分岐手段および前記入力部出力導波路は、前記N個の入力部出力導波路のうちi番目の入力部出力導波路を導波して前記出力ポートに結合する前記光波の電界振幅の相対比が
【数1】

となるように構成されていることを特徴とする光スイッチ。
【請求項2】
前記位相シフタ部が反射型の位相変調器で構成され、前記入力分岐部と前記出力合波部とが同一の光回路であることを特徴とする請求項1記載の光スイッチ。
【請求項3】
入力ポートと、
Nを3以上の整数とし、前記入力ポートに入力された光波をN個に分岐する入力分岐部と、
前記分岐した光波の各々の位相を変調する位相シフタ部と、
Mを2以上N以下の整数とし、前記変調された光波を合波してM個の出力ポートに出力する出力合波部と
を備えた波長選択スイッチであって、
前記入力分岐部は、平面光波回路上に形成された、
前記入力ポートから入力された光波をN個に分岐する入力分岐手段と、
分岐したN個の光波がそれぞれ導波するN個の入力部出力導波路と、
N個の前記入力部出力導波路のうちの1つに各々が接続された、入力された光波をL個の波長の光波に分離する少なくとも(N−1)個の波長分離手段と
を備え、
前記出力合波部は、平面光波回路上に形成された、
前記L個の波長に分離され、位相が変調された光波を波長合波する少なくとも(N−1)個の波長合波手段と、
位相が変調されたN個の光波が結合されるN個の出力部入力導波路と、
前記出力部入力導波路に接続され、入力された光波を前記M個の出力ポートに出力する出力合分岐手段と
を備え、
前記入力分岐手段および前記入力部出力導波路ならびに前記出力合分岐手段および前記出力部入力導波路は、前記N個の入力部出力導波路および前記出力部入力導波路のうちi番目の前記入力部出力導波路および前記出力部入力導波路を通過して前記出力ポートに結合する前記光波の電界振幅の相対比が
【数2】

となるように構成された
ことを特徴とする波長選択スイッチ。
【請求項4】
前記位相シフタ部が反射型の位相変調器で構成され、前記入力分岐部と前記出力合波部とが同一の光回路であることを特徴とする請求項3記載の波長選択スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−227149(P2011−227149A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94409(P2010−94409)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】