説明

光スイッチ

【課題】り簡単な構成で、マトリクス光スイッチが大規模化できるようにする。
【解決手段】電源106の電気出力端子の他方に接続されている給電線106bも、光スイッチ素子101〜104のヒータに対して共有されている。光スイッチ素子101に接続する選択給電線101a,101bは、周波数fの電気信号が通過するフィルター機能を有している。また、光スイッチ素子102に接続する選択給電線102a,102bは、周波数2fの電気信号が通過するフィルター機能を有している。また、光スイッチ素子103に接続する選択給電線103a,103bは、周波数3fの電気信号が通過するフィルター機能を有している。また、光スイッチ素子104に接続する選択給電線104a,104bは、周波数4fの電気信号が通過するフィルター機能を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ伝送を利用する光通信システムや装置間接続システムに用いられる導波路型の光スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信システムにおいては、通常、伝送路では光信号が用いられ、信号処理には電気信号が用いられる。しかし、近年の高速化に伴い、伝送路の途中で光電変換を伴う信号処理を削減していくことが期待されている。
【0003】
光ファイバ通信システムにおいて、ネットワークとしての柔軟性や拡張性を維持しながら光電変換を削減していくためには、光電変換をすることなく、光信号を用いた制御を導入していくことが望まれる。このような光制御を行う上で必須となるデバイスの一つが、光信号の経路切り替えを行う光スイッチである。光スイッチの代表的な形態としては、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)型、および導波路型をあげることができる。
【0004】
MEMS型では、光ファイバ中を伝送されてきた光信号を空間伝搬ビームとして取り出し、機械的に駆動する微小なミラーを用いて取り出したビームの経路切り替えを行っている。
【0005】
一方、導波路型では、光ファイバ中を伝送されてきた光信号を、導波路で構成される光スイッチ素子に入力し、この光スイッチ素子を制御することにより経路切り替えを行う。この導波路型光スイッチに対しては、小型、低駆動電力、機能集積、安定性、量産性などが期待される。導波路型光スイッチは、通常、2入力ポート2出力ポートを有する導波路光スイッチ素子をマトリクス状に組み合わせて構成される。導波路光スイッチ素子やこれを用いて構成されるマトリクス光スイッチは、例えば、非特許文献1に記載されている。
【0006】
図5に、マトリクス光スイッチの構成を示す。この光スイッチは、16個の2入力ポート2出力ポート光スイッチ素子501〜516で構成され、4つの入力ポート521〜524、および4つの出力ポート525〜528を備える。
【0007】
光スイッチ素子は、図6の斜視図に示すように、シリコン基板603の上に形成した2つのコア602と、この上に形成されたクラッド603とによる光導波路で構成されている。コア602は、ゲルマニウムをドーピングした石英から構成され、クラッド603は、コア602よりも約1%低い屈折率を有する石英で構成されている。
【0008】
この2つの光導波路により、2つの入力ポート607,608本、2つの出力ポート609,610、および2つのコアを近設させて構成した2つの方向性結合器611,612を備えるマッハ・ツェンダ型光スイッチ素子が形成される。また、2つの2つの方向性結合器611,612の間の一方の光導波路には、ヒータ606を備えて屈折率を変化させることを可能としている。ヒータ606には、電極端子604,605より電流(電力)が供給可能とされている。
【0009】
方向性結合器611、612では、光分岐・光合波がなされる。入力ポート607または入力ポート608から入力される光信号は、方向性結合器611で分岐され、方向性結合器612で合波・干渉する。干渉する際の光の位相差に応じて出力ポート609または出力ポート610のいずれかに光信号を出射させるかを選択することができる。方向性結合器612で光が干渉する際の位相差は、ヒータ606に電流を印加してこの直下の光導波路を局部的に加熱して屈折率を変化させることによって制御する。
【0010】
例えば、入力ポート607から入力される光信号は、ヒータ606による熱印加を行わない場合、ポート610へ出力される。一方、ヒータ606で熱印加を行う場合、入力ポート607から入力される光信号は、ポート609へ出力される。なお、非特許文献1では、シリコン基板上においてクラッドもコアも石英を用いて形成した光導波路が記載されているが、非特許文献2に記載されているように、シリコン基板上においてクラッドに石英を用いコアにシリコンを用いて形成した光導波路、等を用いても同様のマトリクス光スイッチの構成が可能である。
【0011】
マトリクス光スイッチにおいて光信号の経路を設定するためには、光スイッチ素子の各々におけるヒータに印加する電流値を独立に設定する必要がある。光スイッチ素子の各々に対し独立に電源を接続する場合には、電源から各々の光スイッチ素子までの給電線を形成する必要がある。
【0012】
以下、4個の光スイッチ素子を用いたマトリクス光スイッチを例に、上述した給電線の構成について説明する。図7は、光回路チップ705の上に形成された4つの光スイッチ素子701〜704に対し、4つの電源711〜714を接続する給電線の構成を示す構成図である。この場合には、光スイッチ素子701〜704と電源711〜714との間に4本の給電線を形成する必要がある。
【0013】
マトリクス光スイッチの大規模化に向けて、これを構成する光スイッチ素子の数は著しく増加する。図7を用いて説明した構成と同様にすることで、N個の入力ポートおよびN個の出力ポートとした場合、光スイッチ素子の数はN2となるため、各光スイッチ素子へ給電する給電線および電源の数は、各々N2となり、著しく増加することになる。
【0014】
大規模化したマトリクス光スイッチの給電線や電源の数を抑えるための構成としては、例えば特許文献1に記載された構成があげられる。この構成は、図8に示すように、光回路チップ805の上にマトリクス配置された光スイッチ素子801〜804に対し、マトリクスの行に並ぶ光スイッチ素子801,802および光スイッチ素子803,804は、行毎に共通の給電線に接続している。また、マトリクスの列に並ぶ光スイッチ801,803および光スイッチ802,804においても、列毎に共通の給電線に接続している。また、共通化した各給電線に電気スイッチ832〜835を設け、1つの電源831で行および列の切り替えを可能としている。
【0015】
このマトリクス光スイッチでは、電源801の正側に電気スイッチ832を介して接続する給電線には、光スイッチ素子801のヒータと光スイッチ素子802のヒータの両方に共有されて接続している。同様に、電源801の正側に電気スイッチ833を介して接続する給電線には、光スイッチ素子803のヒータと光スイッチ素子804のヒータの両方に共有されて接続している。
【0016】
一方、電源831の負側に電気スイッチ834を介して接続する給電線には、光スイッチ素子801のヒータと光スイッチ素子803のヒータの両方に共有されて接続している。同様に、電源831負側に電気スイッチ835を介して接続する給電線には、光スイッチ素子802のヒータと光スイッチ素子804のヒータの両方に共有されて接続している。
【0017】
このマトリクス光スイッチの動作について簡単に説明すると、図9のタイミングチャートに示すように、電気スイッチ832〜835のオンオフ制御により、電源831からの電流は、光スイッチ素子801〜804に対して時分割で供給される。まず、図9の(a)に示すように、時刻t1からt2の間、電気スイッチ832および電気スイッチ834をオン状態とすると、光スイッチ801のヒータに電流が供給される。次に、図9の(b)に示すように、時刻t2からt3の間、電気スイッチ832および電気スイッチ835をオン状態とすると、光スイッチ802のヒータに電流が供給される。
【0018】
次に、図9の(c)に示すように、時刻t3からt4の間、電気スイッチ833および電気スイッチ834をオン状態とすると、光スイッチ803のヒータに電流が供給される。次に、図9の(d)に示すように、時刻t4からt5の間、電気スイッチ833および電気スイッチ835をオン状態とすると、光スイッチ804のヒータに電流が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平10−308961号公報
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】郷他著「ジャーナル・オブ・ライトウェイブ・テクノロジー」誌(Journal of Lightwave Technology)、第17巻、第1192頁〜第1199頁、1999年。
【非特許文献2】チュー他著「オプティクス・エクスプレス」誌(Optics Express)、第13巻、第10109頁〜第10114頁、2005年。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、上述したように複数の電気スイッチを用いて時分割で各光スイッチ素子へ給電を行う技術では、時分割で印加する電流の繰り返し間隔やデューティー比に対する制限から、短パルスの給電が要求される。例えば、光スイッチ素子が熱印加による屈折率変化を利用している場合、熱印加をオンする状態を保持するためには熱光学効果の緩和時間に比べて短い繰り返し間隔で電流を印加し続ける必要がある。また、給電線が共通化されている熱光スイッチ素子の数が増えると、デューティー比を小さくせざるを得なくなる。
【0022】
電気スイッチを用いる技術では、前述したように給電配線や電源の個数の増加を抑制できるが、上述したように、時分割された印加電流のパルス幅が短くなると、短パルスの電気信号を給電用の配線に流す必要が生じ、広い周波数帯域で電流印加が可能となるようにする必要があるため、構造の複雑化などの問題を招く。このように、電気スイッチを用いて時分割で各光スイッチ素子へ給電を行う技術では、給電線および電源の数の増加は抑制できるが、短パルスの電気信号を流すための構成が複雑になるという問題がある。
【0023】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、より簡単な構成で、マトリクス光スイッチが大規模化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明に係る光スイッチは、複数の光スイッチ素子と、各々の光スイッチ素子が並列に接続された電源供給手段と、各々の光スイッチ素子に接続して透過する電力の周波数が各々異なる選択給電線とを少なくとも備え、電源供給手段は、選択給電線の各々に対応する周波数の電力を各々制御して供給する。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、各々の光スイッチ素子に、透過する電力の周波数が各々異なる選択給電線を接続し、電源供給手段により、選択給電線の各々に対応する周波数の電力を各々制御して供給するようにしたので、より簡単な構成で、マトリクス光スイッチが大規模化できるようになるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1における光スイッチの構成を示す構成図である。
【図2】図2は、光スイッチ素子101〜104に対して供給する電流波形を示す特性図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2における光スイッチの構成を示す構成図である。
【図4】図4は、給電線301a,301bの周波数特性、および給電線302a,302bの周波数特性について示す特性図である。
【図5】図5は、マトリクス光スイッチの構成を示す構成図である。
【図6】図6は、光スイッチ素子の構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、マトリクス光スイッチの構成を示す構成図である。
【図8】図8は、マトリクス光スイッチの構成を示す構成図である。
【図9】図9は、マトリクス光スイッチの動作について説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0028】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における光スイッチの構成を示す構成図である。この光スイッチは、4個の光スイッチ素子101,102,103,104と、1つの電源(電源供給手段)106を備える。光スイッチ素子101〜104は、光回路チップ105の上に形成されている。光スイッチ素子101〜104は、例えば、一方のアーム(光導波路)に屈折率を変化させるための局所加熱を行うヒータを備えて構成されたマッハ・ツェンダ型光スイッチ素子である。
【0029】
この光スイッチでは、電源106の電気出力端子の一方に接続されている給電線106aは、光スイッチ素子101〜104のヒータに対して共有されている。また、電源106の電気出力端子の他方に接続されている給電線106bも、光スイッチ素子101〜104のヒータに対して共有されている。
【0030】
また、光スイッチ素子101に接続する選択給電線101a,101bは、周波数fの電気信号が通過するフィルター機能を有している。また、光スイッチ素子102に接続する選択給電線102a,102bは、周波数2fの電気信号が通過するフィルター機能を有している。また、光スイッチ素子103に接続する選択給電線103a,103bは、周波数3fの電気信号が通過するフィルター機能を有している。また、光スイッチ素子104に接続する選択給電線104a,104bは、周波数4fの電気信号が通過するフィルター機能を有している。
【0031】
各々の光スイッチ素子101〜104に対して供給する電流波形を図2に示す。本実施の形態においては、各光スイッチのヒータの動作に寄与する電源の電流波形となる。図2の(a)に示す周波数fの電流波形の電源が、光スイッチ素子101に対する加熱に寄与する。また、図2の(b)に示す周波数2fの電流波形の電源が、光スイッチ素子102に対する加熱に寄与する。また、図2の(c)に示す周波数3fの電流波形の電源が、光スイッチ素子103に対する加熱に寄与する。また、図2の(d)に示す周波数4fの電流波形の電源が、光スイッチ素子104に対する加熱に寄与する。
【0032】
電源106において、例えば、周波数f、2f、3f、4fの振幅を調整した後に合成することで、共通化された共通給電線106a,106bを用いても、各々の光スイッチ素子101〜104に印加する電力の配分を調整することが可能となる。このように、本実施の形態は、電源106が、選択給電線の各々に対応する周波数の電力を各々制御して供給するようにしたところに特徴がある。周波数fは、熱光学効果の緩和時定数の逆数よりも十分高くしておく必要がある。例えば、周波数fは100kHz以上であればよい。しかしながら、デューティー比の小さい短パルスを用いる必要はなく、光スイッチ素子の状態を保持する上でのゆらぎは小さく抑えられる。
【0033】
また、給電線が備えるべき周波数特性も、短パルスを給電する場合には広い周波数帯域が必要となるのに対し、本実施の形態によれば、所定の周波数の印加が可能であればよく、給電線の周波数特性に対する設計が簡単になる。なお、上述では、周波数f,周波数2f,周波数3f,周波数4fとしたが、これに限るものではなく、各々の周波数が異なっていればよい。また、各周波数の差は、例えば、60MHz以上であればよい。
【0034】
なお、上述では、例えば、選択給電線101a,101bの両方が、周波数fの電気信号が通過するフィルター機能を有しているものとしたが、これに限らず、選択給電線101aおよび選択給電線101bの一方が、周波数fの電気信号が通過するフィルター機能を有していればよい。また、例えば、選択給電線101aの全域がフィルター機能を有している必要はなく、選択給電線101aの一部にフィルター機能が備えられていればよい。
【0035】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図3は、実施の形態2における光スイッチの構成を示す構成図である。この光スイッチは、4個の光スイッチ素子301,302,303,304と、2つの電源306,307を備える。光スイッチ素子301〜304は、光回路チップ305の上に形成されている。光スイッチ素子301〜304は、例えば、一方のアーム(光導波路)に屈折率を変化させるための局所加熱を行うヒータを備えて構成されたマッハ・ツェンダ型光スイッチ素子である。
【0036】
この光スイッチでは、電源306の電気出力端子の一方に接続されている共通給電線306aは、光スイッチ素子301,302のヒータに対して共有されている。また、電源306の電気出力端子の他方に接続されている共通給電線306bも、光スイッチ素子301,302のヒータに対して共有されている。
【0037】
同様に、電源307の電気出力端子の一方に接続されている共通給電線307aは、光スイッチ素子303,304のヒータに対して共有されている。また、電源307の電気出力端子の他方に接続されている共通給電線307bも、光スイッチ素子303,304のヒータに対して共有されている。
【0038】
本実施の形態では、マトリクス光スイッチを構成する複数の光スイッチ素子のうちの一部に対し、電源と共通給電線を共有化したものであり、前述した実施の形態1における4つの光スイッチの中で、2つの光スイッチに対し、電源と共通給電線を共有化している。
【0039】
本実施の形態において、光スイッチ素子301に接続する選択給電線301a,301bは、例えば、周波数15MHzを中心とした電気信号が通過するバンドパスフィルター機能を有している。また、光スイッチ素子302に接続する選択給電線302a,302bは、例えば、周波数75MHzを中心とした電気信号が通過するフィルター機能を有している。また、光スイッチ素子303に接続する選択給電線303a,303bは、例えば、周波数15MHzを中心とした電気信号が通過するバンドパスフィルター機能を有している。また、光スイッチ素子304に接続する選択給電線304a,304bは、例えば、周波数75MHzを中心とした電気信号が通過するバンドパスフィルター機能を有している。一例として、本実施の形態における選択給電線301a,301bの周波数特性、および選択給電線302a,302bの周波数特性について、図4に示す。
【0040】
また、例えば、光スイッチ素子301のヒータ抵抗は200Ωであり、このヒータに30nFのキャパシタンスと2μHのインダクタンスを直列に接続している。また、光スイッチ素子302のヒータ抵抗は200Ωであり、このヒータに50nFのキャパシタンスと30μHのインダクタンスを直列に接続している。
【0041】
光スイッチ素子301〜304の熱光学効果の緩和時定数は、30μs〜300μsであるから、15MHzあるいは75MHzの交流電気信号に対して光スイッチ素子の経路切り替え動作は追随しない。すなわち、電源306において、15MHzの電気信号強度および75MHzの電気信号強度を独立に設定することで、光スイッチ素子301および光スイッチ素子302への熱印加用電力を独立に設定することが可能となる。
【0042】
また、電源307を電源とする光スイッチ素子303および光スイッチ素子304においても、各々の選択給電線に対応する周波数成分の電流強度を電源307で調整することにより、光スイッチ素子303と光スイッチ素子304のそれぞれに印加する加熱電力を調整することができる。
【0043】
以上に説明したように、本発明は、光スイッチの構成要素である複数の光スイッチ素子に対し、電源や給電線を共通化しつつ個別の光スイッチ素子に対する制御電力を配分する方法として、周波数分割を用いたことが特徴である。共通の電源に接続された光スイッチ素子の制御電気配線(選択給電線)は、各々異なる周波数特性を有している。また、電源(電源供給手段)では、異なる周波数成分の強度を調整してこれらを合成することにより制御用電気信号を生成する。このため、共通の電源に接続された光スイッチ素子の制御電気配線に対し、供給する電力の配分を調整することが可能となる。
【0044】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形が実施可能であることは明白である。例えば、上述では、4個の光スイッチ素子で構成されるマトリクス光スイッチの場合を例にとり説明したが、光スイッチ素子の数は4に限定されるものではない。4個を超えたより多くの数の光スイッチ素子が用いられる構成においても、同様である。
【0045】
また、上述では、光スイッチ素子として、マッハ・ツェンダ型光スイッチ素子を例に説明したが、これに限るものではない。例えば、リング共振器を用いた光スイッチ素子など、光導波路より構成されて一部の光導波路をヒータにより加熱することで導波する光の経路を切り替える光スイッチ素子であっても同様に適用できる。また、熱印加に限らず、電圧印加あるいはキャリア注入により光導波路よりなる光路切り替えを行う光スイッチで構成される場合についても同様の効果が得られる。
【0046】
上記実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下には限られない。
【0047】
(付記1)
複数の光スイッチ素子と、各々の前記光スイッチ素子が並列に接続された電源供給手段と、各々の前記光スイッチ素子に接続して透過する電力の周波数が各々異なる選択給電線とを少なくとも備え、前記電源供給手段は、前記選択給電線の各々に対応する周波数の電力を各々制御して供給することを特徴とする光スイッチ。
【0048】
(付記2)
付記1記載の光スイッチにおいて、前記光スイッチ素子は、一部の光導波路をヒータにより加熱することで導波する光の経路を切り替えるものであり、各々の前記光スイッチ素子のヒータが前記電源供給手段に並列に接続されていることを特徴とする光スイッチ。
【符号の説明】
【0049】
101,102,103,104…光スイッチ素子、101a,101b,102a,102b,103a,103b,104a,104b…選択給電線、105…光回路チップ、106…電源、106a,106b…共通給電線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光スイッチ素子と、
各々の前記光スイッチ素子が並列に接続された電源供給手段と、
各々の前記光スイッチ素子に接続して透過する電力の周波数が各々異なる選択給電線と
を少なくとも備え、
前記電源供給手段は、前記選択給電線の各々に対応する周波数の電力を各々制御して供給する
ことを特徴とする光スイッチ。
【請求項2】
請求項1記載の光スイッチにおいて、
前記光スイッチ素子は、一部の光導波路をヒータにより加熱することで導波する光の経路を切り替えるものであり、
各々の前記光スイッチ素子のヒータが前記電源供給手段に並列に接続されている
ことを特徴とする光スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−22184(P2012−22184A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160662(P2010−160662)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】