説明

光スキャナ

【課題】小型化を実現するとともに、二次元で高トルクを発生することにより、二次元の大きな偏向角度を得ることができる電磁共振型の光スキャナを提供する。
【解決手段】固定部10に回転可能に支持された可動部30の反射面で入射光を反射させることにより、光を走査させる光スキャナ1において、可動部30は、2軸のジンバル機構により上記反射面とともに回転する構成を有し、固定部10は、永久磁石によって発生する定常磁束と、コイルに電流を流すことによって発生する駆動磁束との合成により、可動部30を回転させる電磁トルクを発生させる構成を有し、y軸まわりの電磁トルクを発生させる駆動磁束は、可動部30の共振周波数に合わせた周波数の交流電圧が上記コイルに与えられることにより発生し、x軸まわりの電磁トルクを発生させる駆動磁束は、段階的に変化する直流電圧が上記コイルに与えられることにより発生している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁共振型の光スキャナに関するものであり、特に、電磁力と板バネのねじれ共振とを利用してミラーを振動させることによって、光を二次元に走査させることができる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光スキャナとは、レーザ光などの光を走査させるデバイスであり、バーコードリーダや、レーザープリンタ、計測機器、ディスプレイなどへ広く応用されている。光スキャナは、光を走査させるミラーの駆動方式の違いにより、ポリゴンミラー型、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)型、および共振型の3つのタイプに分類できる。
【0003】
ポリゴンミラー型は、アルミ板やガラス板を回転軸に平行な多面体にカット・研磨・コートして、各面に反射面を施したミラーを、モータで回転することによって光を走査させる方式である。その最大偏向角度および走査周波数は、モータの回転数を一定とすれば、ミラーの反射面の数に依存する。ポリンゴンミラー型の光スキャナは、その優れた最大偏向角度および走査周波数から、現在最も幅広く利用されている。しかし、モータを用いるため、小型化および省電力化に限界があるという課題がある。
【0004】
MEMS型は、主に静電力によるものが主である駆動方式である。MEMS型は、MEMS技術により小型化には非常に有効である。しかし、MEMS型の光スキャナは、大きなトルクを得ることができないため、偏向角度が小さい、すなわち、光の走査角度を大きく取ることが難しいという課題がある.
共振型は、板バネのねじれ運動による共振現象を利用しミラーを振動(回転)させることによって、光を走査させる方式である。共振型は、モータを回転させるポリゴンミラー型に比べて、小型かつ省電力で、摩擦箇所が少ないために、長寿命などの利点はある。例えば特許文献1には、小型化および軽量化を図った電磁共振型の光スキャナが記載されている。しかし、共振型は、偏向角度を、MEMS型と比較して優位であるものの大きくとることができない。また、特許文献1に記載の光スキャナでは、その構造上、可動部と固定部とのギャップが、回転角の増加とともに増加することから、駆動時において変動するため、トルクが大きく減少し、大きな偏向角度を確保することが困難である。
【0005】
さて、今後、一次元から二次元に走査可能な光スキャナが非常に期待されている。現状では、ポリゴンミラーを2つのモータを用いて光を走査させる方式が一般的である。
【0006】
図5は、従来のポリゴンミラー型の二次元走査式光スキャナの構成を示す図である。
【0007】
図5に示すように、従来のポリゴンミラー型の二次元走査式光スキャナは、モータ103により回転するミラー102と、モータ105により回転するミラー104とが、互いの反射面が対向するように配置され、レーザ101からのレーザ光がミラー102の反射面に出射される構成を有している。この構成によれば、ミラー102およびミラー104の反射面の数を適宜設定し、モータ103およびモータ105の回転数を制御することにより、レーザ光を二次元的に走査させることが可能となっている。
【0008】
しかしながら、上記のようなポリゴンミラー型の二次元走査式光スキャナでは、2つのモータ103およびモータ105を使用しているため、さらなる大型化および消費電力の増大が生じている。
【0009】
一方、MEMS型の光スキャナなどにおいても、二次元に走査可能な構成についての開発が行われている。MEMS型の二次元走査式光スキャナとしては、例えば特許文献2に、レーザ光のスキャニングシステムなどに適用するガルバノミラーが記載されている。
【0010】
図6は、従来のMEMS型の二次元走査式光スキャナの構成を示す図である。
【0011】
図6に示すように、従来のMEMS型の二次元走査式光スキャナは、ミラー111、4つの永久磁石112〜115、4つのトーションバー116〜119、固定板120、外側可動板121、並びに内側可動板122により構成されている。ミラー111は、内側可動板122の上に設けられている。
【0012】
この構成によれば、ローレンツ力が生じ、トーションバー116・118がねじれ運動を繰り返すことで、内側可動板122が振動することによって、ミラー111が振動する。また、ローレンツ力が生じ、トーションバー117・119がねじれ運動を繰り返すことで、外側可動板121が振動することによって、ミラー111が振動する。このように、各トーションバー116〜119がねじれ運動を繰り返すことによって、ミラー111を二次元に振動させることが可能となっている。
【特許文献1】特開2007−94109号公報(平成19年4月12日公開)
【特許文献2】特開平7−175005号公報(1995年7月14日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来のMEMS型の二次元走査式光スキャナでは、従来のポリゴンミラー型の二次元走査式光スキャナと比較して、小型化が可能であるものの、一次元での走査と同様にトルクが小さいため、偏向角度が小さいという問題が残ったままとなっている。また、MEMS型の光スキャナには、強磁性体を組み込むことができないという問題点がある。
【0014】
それゆえ、強磁性体を組み込むことが可能な共振型で、小型化を実現するとともに、大きな偏向角度でミラーを二次元に振動させることが可能な光スキャナの開発が望まれている。
【0015】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、小型化を実現するとともに、二次元で高トルクを発生することにより、二次元の大きな偏向角度を得ることができる電磁共振型の光スキャナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の光スキャナは、上記課題を解決するために、固定部に回転可能に支持された可動部の反射面で入射光を反射させることにより、光を走査させる光スキャナにおいて、上記可動部は、2軸のジンバル機構により上記反射面とともに回転する構成を有し、上記固定部は、永久磁石によって発生する定常磁束と、コイルに電流を流すことによって発生する駆動磁束との合成により、上記可動部を回転させる電磁トルクを発生させる構成を有し、上記可動部を一方の軸で回転させる電磁トルクを発生させる駆動磁束は、上記可動部の共振周波数に合わせた周波数の交流電圧が上記コイルに与えられることにより発生し、上記可動部を他方の軸で回転させる電磁トルクを発生させる駆動磁束は、段階的に変化する直流電圧が上記コイルに与えられることにより発生していることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、コイルに電流を流すことによって発生する駆動磁束は、永久磁石によって発生する定常磁束と逆方向に発生していると打ち消しあって弱くなり、永久磁石によって発生する定常磁束と同一方向に発生していると合成して強くなる。よって、可動部と固定部との間の吸引力が、一方では増加して、他方では減少する。これにより、電磁トルクが発生し、可動部が回転する。
【0018】
また、可動部を一方の軸で回転させる電磁トルクを発生させる駆動磁束は、コイルに交流電圧が与えられることにより発生するので、その発生方向は交互に切り替わる。これにより、可動部はねじれ運動を繰り返す。そして、交流電圧の周波数は、可動部の共振周波数に合わせられていることにより、可動部は共振駆動を行うので、回転角度(偏向角度)を増幅することが可能となっている。
【0019】
可動部を他方の軸で回転させる電磁トルクを発生させる駆動磁束は、コイルに段階的に変化する直流電圧が与えられることにより発生するので、発生方向は一定で、磁束の強さが段階的に変化する。これにより、可動部は段階的に回転する。
【0020】
このように、可動部が大きな角度で二次元で回転することにより、反射面も大きな角度で二次元で回転することが可能となる。また、従来のポリゴンミラー型の二次元光スキャナと比較して、モータを用いていないので、小型化が可能となる。したがって、小型化を実現するとともに、二次元で高トルクを発生させることにより、二次元の大きな偏向角度を得ることが可能となる。
【0021】
また、本発明の光スキャナは、上記課題を解決するために、固定部に回転可能に支持された可動部の反射面で入射光を反射させることにより、光を走査させる光スキャナにおいて、上記可動部は、トーションバーにより回転する第1回転軸、および、該第1回転軸に直交し別のトーションバーにより回転する第2回転軸が同一平面上にあるジンバル機構により回転し、該第1回転軸と該第2回転軸との直交点を含むように形成された磁性板と、上記磁性板に設けられた上記反射面とを備え、上記直交点に重心が位置するように構成されており、上記固定部は、自身の中心軸上に上記直交点が位置し、該中心軸を含む第1平面上に上記第1回転軸が位置し、該中心軸を含みかつ該第1平面に直交する第2平面上に上記第2回転軸が位置するとともに、上記反射面が上側に露出するように、上記可動部を回転可能に支持する磁性体支柱と、上記磁性体支柱の上記可動部を支持する側とは反対側の面に固定された永久磁石と、上記第1平面において上記中心軸に対し左右対称な上側が開口したコの字型の断面形状を有するとともに、上記第2平面において上記中心軸に対し左右対称な上側が開口したコの字型の断面形状を有し、上記磁性体支柱が上側に位置するように上記永久磁石が固定された磁性体本体と、電流が流れることで、上記磁性体本体の上記第1平面の断面形状をなす部分を通る第1磁束を発生させるように、該磁性体本体に巻き付けられた第1コイルと、電流が流れることで、上記磁性体本体の上記第2平面の断面形状をなす部分を通る第2磁束を発生させるように、該磁性体本体に巻き付けられた第2コイルとを備え、上記第1コイルには、上記可動部の共振周波数に合わせた周波数の交流電圧が与えられ、上記第2コイルには、段階的に変化する直流電圧が与えられることを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、磁性体本体には、永久磁石により、第1平面において中心軸に対し左右対称な位置に磁極が形成されるとともに、第2平面において中心軸に対し左右対称な位置に磁極が形成される。これにより、第1平面では、永久磁石から磁性体支柱および可動部を順次経由して磁極に向かう方向の磁束が、中心軸に対し左右対称に発生する。また、第2平面では、永久磁石から磁性体支柱および可動部を順次経由して磁極に向かう方向の磁束が、中心軸に対し左右対称に発生する。よって、第1磁束および第2磁束は、永久磁石により磁束が発生している状態において発生することになる。
【0023】
ここで、第1平面において説明すると、磁性体本体は、中心軸に対し左右対称な上側が開口したコの字型の断面形状を有しているので、第1磁束は、磁性体本体および可動部を通るように発生する。このため、コイルによる第1磁束は、片側の永久磁石による磁束とは打ち消しあって弱くなり、もう片側の永久磁石による磁束とは合成して強くなる。よって、可動部と固定部との間の吸引力が、一方では増加して、他方では減少する。これにより、電磁トルクが発生し、可動部が回転する。
【0024】
また、第1磁束は、第1コイルに交流電圧が与えられることにより発生するので、その発生方向は交互に切り替わる。これにより、可動部はねじれ運動を繰り返す。そして、交流電圧の周波数は、可動部の共振周波数に合わせられていることにより、可動部は共振駆動を行うので、回転角度(偏向角度)を増幅することが可能となっている。
【0025】
第2平面においても、同様の原理により可動部が回転する。そして、第2磁束は、第2コイルに段階的に変化する直流電圧が与えられることにより発生するので、発生方向は一定で、磁束の強さが段階的に変化する。これにより、可動部は段階的に回転する。
【0026】
このように、可動部が大きな角度で二次元で回転することにより、反射面も大きな角度で二次元で回転することが可能となる。また、従来のポリゴンミラー型の二次元光スキャナと比較して、モータを用いていないので、小型化が可能となる。したがって、小型化を実現するとともに、二次元で高トルクを発生させることにより、二次元の大きな偏向角度を得ることが可能となる。
【0027】
また、本発明の光スキャナは、上記磁性体本体の上記中心軸に平行な内側の面は、上記可動部が回転するときの端部の軌道に対し一定の隙間を形成するような形状を有していることが好ましい。
【0028】
または、本発明の光スキャナは、上記磁性体本体の上記中心軸に平行な内側の面に、上記可動部が回転するときの端部の軌道に対し一定の隙間を形成するような形状の延長磁性体が設けられていることが好ましい。
【0029】
上記の各構成によれば、可動部と固定部との隙間が一定となるので、永久磁石から磁性体支柱および可動部を順次経由して磁極に向かう方向の磁束を、効率良く発生させることが可能となる。よって、トルクの減少を防止し、大きな偏向角度を確保することが可能となる。
【0030】
また、本発明の光スキャナは、上記磁性体本体の上記中心軸に平行な内側の面は、内側に下りるような階段形状を有していることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、第2磁束のように、磁束の強さが段階的に変化することにより、可動部が段階的に回転する場合、各段階において、可動部を安定して落着させることが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明の光スキャナは、可動部は、2軸のジンバル機構により上記反射面とともに回転する構成を有し、上記固定部は、永久磁石によって発生する定常磁束と、コイルに電流を流すことによって発生する駆動磁束との合成により、可動部を回転させる電磁トルクを発生させる構成を有し、上記可動部を一方の軸で回転させる電磁トルクを発生させる駆動磁束は、上記可動部の共振周波数に合わせた周波数の交流電圧が上記コイルに与えられることにより発生し、上記可動部を他方の軸で回転させる電磁トルクを発生させる駆動磁束は、段階的に変化する直流電圧が上記コイルに与えられることにより発生している構成である。
【0033】
また、本発明の光スキャナは、可動部は、トーションバーにより回転する第1回転軸、および、該第1回転軸に直交し別のトーションバーにより回転する第2回転軸が同一平面上にあるジンバル機構により回転し、該第1回転軸と該第2回転軸との直交点を含むように形成された磁性板と、上記磁性板に設けられた上記反射面とを備え、上記直交点に重心が位置するように構成されており、上記固定部は、自身の中心軸上に上記直交点が位置し、該中心軸を含む第1平面上に上記第1回転軸が位置し、該中心軸を含みかつ該第1平面に直交する第2平面上に上記第2回転軸が位置するとともに、上記反射面が上側に露出するように、上記可動部を回転可能に支持する磁性体支柱と、上記磁性体支柱の上記可動部を支持する側とは反対側の面に固定された永久磁石と、上記第1平面において上記中心軸に対し左右対称な上側が開口したコの字型の断面形状を有するとともに、上記第2平面において上記中心軸に対し左右対称な上側が開口したコの字型の断面形状を有し、上記磁性体支柱が上側に位置するように上記永久磁石が固定された磁性体本体と、電流が流れることで、上記磁性体本体の上記第1平面の断面形状をなす部分を通る第1磁束を発生させるように、該磁性体本体に巻き付けられた第1コイルと、電流が流れることで、上記磁性体本体の上記第2平面の断面形状をなす部分を通る第2磁束を発生させるように、該磁性体本体に巻き付けられた第2コイルとを備え、上記第1コイルには、上記可動部の共振周波数に合わせた周波数の交流電圧が与えられ、上記第2コイルには、段階的に変化する直流電圧が与えられる構成である。
【0034】
それゆえ、可動部が大きな角度で二次元で回転することにより、反射面も大きな角度で二次元で回転することができる。また、従来のポリゴンミラー型の二次元光スキャナと比較して、モータを用いていないので、小型化ができる。したがって、小型化を実現するとともに、二次元で高トルクを発生させることにより、二次元の大きな偏向角度を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0036】
(二次元電磁共振型光スキャナの構成)
図1は、本実施の形態の二次元電磁共振型光スキャナ1の一構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示す二次元電磁共振型光スキャナ1における、(a)は固定部10の構成を示す斜視図であり、(b)は可動部30の構成を示す斜視図である。
【0037】
図1および図2に示すように、本実施の形態の二次元電磁共振型光スキャナ1(以下、光スキャナ1と略記する)は、固定部10と、固定部10に支持されながら動作する可動部30とを備えている。なお、光スキャナ1は、固定部10の磁性体支柱21の中心軸を中心として構成している。
【0038】
図2(a)に示すように、固定部10は、コア11、4つのコイル12〜15、延長磁極16・17、非磁性体18・19、永久磁石20、並びに磁性体支柱21により構成されている。
【0039】
コア11は、磁性材料(SUY)からなる多面体(固定鉄心)である。コア11は、上面視が十字型の多面体において、4つの端部を上方向に直角に折り曲げたような形状を有している。言い換えると、コア11は、中心軸を含む第1平面において、中心軸に対し左右対称な上側が開口したコの字型の断面形状を有するとともに、中心軸を含みかつ第1平面に直交する第2平面において、中心軸に対し左右対称な上側が開口したコの字型の断面形状を有している。
【0040】
ここで、上面視で十字型を形成する一方の方向を、光スキャナ1全体としてのx方向とし、他方の方向(x方向に直交する方向)をy方向とする。また、xy平面に直交する方向をz方向とする。さらに、z方向のうち、コア11のz方向に平行な部分が立ち上がっている方向を、光スキャナ1全体としての上側とする。
【0041】
コア11における、上面視で十字型を形成する4つの部分には、4つのコイル12〜15(例えば各100T)がそれぞれ巻かれている。また、コイル12〜15には、コイル12〜15に電流を流すように、電圧を与えることが可能な部材(図示せず)が接続されている。
【0042】
コア11におけるz方向に平行に立ち上がっている4つの部分は、対向するもの同士が同じ高さを有している。そして、一方の対向するものの高さは、もう一方の対向するものの高さと比較して、低くなっている。図2(a)では、x方向に沿って対向する部分の上面の位置が、y方向に沿って対向する部分の上面の位置よりも低くなっている。
【0043】
コア11におけるy方向に沿って対向する2つの部分、すなわち上面の位置が高い方の2つの部分は、先端部における中心軸に平行な内側の側面が、球面凹形状に形成されている。球面凹形状の詳細な大きさは、後述するように可動部30がx軸に基づき回転するときの端部の軌道に対し、一定のギャップ(隙間)を形成するように決められる。
【0044】
コア11におけるx方向に沿って対向する2つの部分、すなわち上面の位置が低い方の2つの部分は、先端部に、延長磁極16・17がそれぞれ設けられるとともに、非磁性体18・19がそれぞれ設けられている。
【0045】
延長磁極16・17は、コア11と同一の材料からなり、低い方の上面と一体面となるように、先端から内側かつx方向に伸びた形状で形成されている。延長磁極16・17における、内側に位置し固定されていない端部は、内側の側面が球面凹形状に形成されている。球面凹形状の詳細な大きさは、後述するように可動部30がy軸に基づき回転するときの端部の軌道に対し、一定のギャップ(隙間)を形成するように決められる。
【0046】
非磁性体18・19は、低い方の上面を底面として所定の高さを有する角柱の形状を有している。非磁性体18・19の高さは、固定部10に磁束が流れないほど充分な磁気抵抗を有するギャップを確保できる高さが必要である。または、後述の可動部30のトーションバー35・36を非磁性体とする。
【0047】
永久磁石20は、円柱形状を有しており、コア11における上面視で十字型が交わった部分の上に、中心軸と同心になるように設けられている。そして、永久磁石20は、S極が下側、N極が上側に位置するように固定部10の中心に設けられ、z軸方向に着磁されている(例えば残留磁束密度1.4T)。
【0048】
磁性体支柱21は、先端が円錐状の円柱形状を有している。磁性体支柱21は、尖端が上側に位置するように、永久磁石20の上に設けられている。この尖端により、可動部30が回転可能に支持される。
【0049】
図2(b)に示すように、可動部30は、外側磁性体31、内側磁性体32、並びに4つのトーションバー33〜36により構成されている。なお、可動部30では、ミラーが、内側磁性体32の中央部分の上に設けられているが、図示は省略している。ミラーは、内側磁性体32の表面領域に収まるような形状であればよい。
【0050】
外側磁性体31は、上面視で中空長方形の形状を有している。そして、長手方向の外側の両側面に、トーションバー35・36がそれぞれ設けられている。
【0051】
内側磁性体32は、上面視で長方形の形状を有している。そして、長手方向の両側面に、トーションバー33・34がそれぞれ設けられている。また、トーションバー33・34は、一方の端が内側磁性体32にそれぞれ接続されるとともに、他方の端が、外側磁性体31の短手方向の内側の両側面にそれぞれ接続されている。つまりは、トーションバー35・36により回転する第1回転軸と、トーションバー33・34により回転する第2回転軸とが、同一平面上で直交している。
【0052】
外側磁性体31、内側磁性体32、並びに、内側に位置するトーションバー33・34は、磁性材料(SUY)からなる。外側に位置するトーションバー35・36は、非磁性体である。
【0053】
このように、可動部30では、トーションバー35・36により、外側磁性体31、トーションバー33・34、並びに内側磁性体32が回転するとともに、外側磁性体31の内側で、トーションバー33・34により、内側磁性体32が回転するように構成されている。よって、可動部30は、平面状の板バネとなるように、2軸のジンバル機構により回転する構成を有している。また、可動部30は、第1回転軸と第2回転軸との直交点に、重心が位置するように構成されている。
【0054】
上記構成を有する固定部10および可動部30は、図1に示すように、磁性体支柱21の尖端に、内側磁性体32の中心が当てられて、可動部30が固定部10に支持される。すなわち、磁性体支柱21の中心軸上に直交点が位置するように支持される。またこのとき、トーションバー35・36による第1回転軸が、上記第1平面に位置し、トーションバー33・34による第2回転軸が、上記第2平面に位置するとともに、ミラーが上側に露出している。
【0055】
さらに、可動部30を固定部10に載せたとき、トーションバー35・36は、非磁性体18・19に接触している。一方、外側磁性体31の端部は、コア11と接触せず、内側磁性体32の端部は、延長磁極16・17と接触しない。
【0056】
ここで、光スキャナ1における各幅の一例について、以下に挙げる。
コア11の下面から非磁性体18の上面までの高さ:11mm
コア11における上面の位置が高い方の2つの部分の最外形の幅:29mm
コア11における上面の位置が低い方の2つの部分の最外形の幅:33mm
可動部30の厚み:0.2mm
外側磁性体31の長手方向の長さ:23mm
内側磁性体32の長手方向の長さ:6.6mm。
【0057】
(二次元電磁共振型光スキャナの動作原理)
次に、上記構成を有する光スキャナ1の動作原理について説明する。光スキャナ1は、x軸まわりの動作と、y軸まわりの動作とに大別され、コイル12〜15に電圧が与えられることにより駆動される。
【0058】
図3は、図1に示した光スキャナ1のP断面を示すものであり、x軸まわりの駆動原理を説明するための図である。
【0059】
コイル12・13に電圧が与えられていない停止状態では、図2(a)に示すように、永久磁石20により、コア11の先端部に磁極A〜磁極Dがそれぞれ形成される。これにより、図3に実線で示すように、永久磁石20による磁束(定常磁束)が、中心軸に対し左右対称であって、異なる向きに発生している。詳細には、一方の磁束は、永久磁石20のN極から、磁性体支柱21、可動部30(詳細には、内側磁性体32、トーションバー34、および外側磁性体31)、並びに、コイル12が設けられている側のコア11を順次経由して、永久磁石20のS極に向かう方向に発生している。他方の磁束は、永久磁石20のN極から、磁性体支柱21、可動部30(詳細には、内側磁性体32、トーションバー33、および外側磁性体31)、並びに、コイル13が設けられている側のコア11を順次経由して、永久磁石20のS極に向かう方向に発生している。よって、磁束は、左右均等に流れ、バランスが保たれている。
【0060】
続いて、コイル12・13に交流電圧(正弦波交流電圧)を与え、図3に示すような方向でコイル12・13に交流電流を流す。この駆動状態では、破線で示すように、コイル12・13に流れる電流により磁束(駆動磁束、第2磁束)が発生する。詳細には、コイル12が設けられている側のコア11から、可動部30(詳細には、外側磁性体31、トーションバー34、内側磁性体32、トーションバー33、および外側磁性体31)を経由して、コイル13が設けられている側のコア11に向かう方向に、磁束が発生する。
【0061】
それゆえ、コイル13が設けられている側のコア11側(図中の右側)では、磁束が合成して強められる。一方、コイル12が設けられている側のコア11側(図中の左側)では、磁束が打ち消しあって弱められる。よって、可動部30と固定部10との間の吸引力は、一方では増加して、他方では減少する。これにより、左右のバランスが崩れ、電磁トルクが発生し、可動部30が、コイル13が設けられている側に回転する。
【0062】
また、交流電流が反転すると、磁束が逆向きに発生するので、可動部30は、反対方向、すなわちコイル12が設けられている側に回転する。このように、コイル12・13に交流電流を流すことにより、可動部30は、トーションバー35・36からなる第1回転軸を用いて、ねじれ運動を繰り返す。
【0063】
図4は、図1に示した光スキャナ1のQ断面を示すものであり、y軸まわりの駆動原理を説明するための図である。
【0064】
コイル14・15に電圧が与えられていない停止状態では、実線で示すように、永久磁石20により、磁束(定常磁束)が、中心軸に対し左右対称であって、両側で異なる向きに発生している。詳細には、一方の磁束は、永久磁石20のN極から、磁性体支柱21、可動部30(詳細には内側磁性体32)、延長磁極16、および、コイル14が設けられている側のコア11を順次経由して、永久磁石20のS極に向かう方向に発生している。他方の磁束は、永久磁石20のN極から、磁性体支柱21、可動部30(詳細には内側磁性体32)、延長磁極17、および、コイル15が設けられている側のコア11を順次経由して、永久磁石20のS極に向かう方向に発生している。よって、磁束は、左右均等に流れ、バランスが保たれている。
【0065】
続いて、コイル14・15に交流電圧を与え、図4に示すような方向でコイル14・15に交流電流を流す。この駆動状態では、破線で示すように、コイル14・15に流れる電流により磁束(駆動磁束、第1磁束)が発生する。詳細には、コイル14が設けられている側のコア11から、延長磁極16、可動部30(詳細には内側磁性体32)、および、延長磁極17を順次経由して、コイル15が設けられている側のコア11に向かう方向に、磁束が発生する。
【0066】
それゆえ、コイル15が設けられている側のコア11側(図中の右側)では、磁束が合成して強められる。一方、コイル14が設けられている側のコア11側(図中の左側)では、磁束が打ち消しあって弱められる。よって、可動部30と固定部10との間の吸引力は、一方では増加して、他方では減少する。これにより、左右のバランスが崩れ、電磁トルクが発生し、可動部30が、コイル15が設けられている側に回転する。
【0067】
また、交流電流が反転すると、磁束が逆向きに発生するので、可動部30は、反対方向、すなわちコイル14が設けられている側に回転する。このように、コイル14・15に交流電流を流すことにより、可動部30は、トーションバー33・34からなる第2回転軸を用いて、ねじれ運動を繰り返す。
【0068】
このように、光スキャナ1では、コイル12〜15に与えられた電流の方向に応じて、可動部30が、x軸まわりとy軸まわりとにおいて回転する(ねじれ運動を行う)。よって、可動部30に設けられたミラーも共に回転するので、ミラーを二次元に回転させることが可能となる。
【0069】
つまりは、永久磁石20によって生じる磁束と、コイル12〜15に電圧を印加することにより生じる磁束との合成により、コア11と可動部30との間のギャップ部の磁束バランスを崩し、可動部30である磁性体の板バネと、コア11である固定鉄心との間に、電磁トルクを生じさせている。
【0070】
また、コイル12〜15に与える交流電圧を、可動部30の共振周波数に合わせた周波数とすることによって、可動部30の機械共振を発生させ、回転角度を増幅することが可能となる。
【0071】
なお、コイル12〜15には、交流電圧に限らず、直流電圧を与えることもできる。直流電圧を与える場合は、コイルにより発生する磁束が一定方向に固定されるので、可動部30を回転した状態、すなわち所定の傾きで安定させることが可能となる。直流電圧の値に応じて、可動部30の回転角度を制御することが可能となる。
【0072】
(二次元電磁共振型光スキャナの使用例)
次に、光スキャナ1の用途に応じた使用例について説明する。光スキャナ1は、例えば、レーザープリンタや、各種光計測機器、携帯型プロジェクターなどの情報機器などに応用される。各種機器において、光スキャナ1は、対象領域を光で走査する。
【0073】
2次元の走査の場合、何れか一方の方向を高速に走査するとともに、他方の方向を低速に走査することが多い。例えば、主走査方向と副走査方向とを決めて、対象領域を走査する方法がある。つまりは、主走査方向を1行走査すると、副走査方向を1行移動し、その行を主走査方向に走査することを繰り返すことにより、全体を走査する方法である。このような方法では、主走査方向では、ミラーを高速に回転させ、副走査方向では、ミラーを低速または段階的に回転させることが望まれる。
【0074】
光スキャナ1では、y軸まわりの回転を主走査方向に適用し、x軸まわりの回転を副走査方向に適用する。すなわち、高速回転が必要な方向は、y軸まわりの回転を使用することが望ましい。これは、y軸まわりの回転では、可動部30において小型の内側磁性体32のみが回転するので、高周波数で高速に回転させやすいためである。
【0075】
この場合、コイル14・15に、可動部30の共振周波数に合わせた高周波数の交流電圧を与えるとともに、コイル12・13には、段階的に変化する直流電圧を与える。これにより、コイル14・15による磁束は、可動部30に高速なねじれ運動を繰り返させ、共振駆動を行わせる。また、コイル12・13による磁束は、可動部30を段階的に回転させる。よって、主走査方向では、ミラーを高速に回転させて、高速走査を可能とし、副走査方向では、ミラーを段階的に回転させることが可能となる。
【0076】
以上のように、光スキャナ1は、固定部10に回転可能に支持された可動部30のミラーで入射光を反射させることにより、光を走査させる光スキャナである。可動部30は、2軸のジンバル機構によりミラーとともに回転する構成を有している。固定部10は、永久磁石20によって発生する定常磁束と、コイル12〜15に電流を流すことによって発生する駆動磁束との合成により、可動部30を回転させる電磁トルクを発生させる構成を有している。可動部30をy軸で回転させる電磁トルクを発生させる駆動磁束は、可動部30の共振周波数に合わせた周波数の交流電圧がコイル14・15に与えられることにより発生する。可動部30をx軸で回転させる電磁トルクを発生させる駆動磁束は、段階的に変化する直流電圧がコイル12・13に与えられることにより発生する。
【0077】
より詳細には、
可動部30は、
トーションバー35・36により回転する第1回転軸、および、第1回転軸に直交し別のトーションバー33・34により回転する第2回転軸が同一平面上にあるジンバル機構により回転し、第1回転軸と第2回転軸との直交点を含むように形成された内側磁性体32と、
内側磁性体32に設けられたミラーと、を備えている。
また、可動部30は、直交点に重心が位置するように構成されている。
固定部10は、
自身の中心軸上に上記直交点が位置し、中心軸を含む第1平面上に上記第1回転軸が位置し、中心軸を含みかつ第1平面に直交する第2平面上に上記第2回転軸が位置するとともに、ミラーが上側に露出するように、可動部30を回転可能に支持する磁性体支柱21と、
磁性体支柱21の可動部30を支持する側とは反対側の面に固定された永久磁石20と、
上記第1平面において中心軸に対し左右対称な上側が開口したコの字型の断面形状を有するとともに、上記第2平面において中心軸に対し左右対称な上側が開口したコの字型の断面形状を有し、磁性体支柱21が上側に位置するように永久磁石20が固定されたコア11と、
電流が流れることで、コア11の上記第1平面の断面形状をなす部分を通る第1磁束(駆動磁束)を発生させるように、コア11に巻き付けられたコイル14・15と、
電流が流れることで、コア11の上記第2平面の断面形状をなす部分を通る第2磁束(駆動磁束)を発生させるように、コア11に巻き付けられたコイル12・13と、を備えている。
コイル14・15には、可動部30の共振周波数に合わせた周波数の交流電圧が与えられる。コイル12・13には、段階的に変化する直流電圧が与えられる。
【0078】
上記の光スキャナ1の構成によれば、コア11には、永久磁石20により、第1平面において中心軸に対し左右対称な位置に磁極C・Dが形成されるとともに、第2平面において中心軸に対し左右対称な位置に磁極A・Bが形成される。これにより、第1平面では、永久磁石20から磁性体支柱21および可動部30を順次経由して磁極C・Dに向かう方向の磁束(定常磁束)が、中心軸に対し左右対称に発生する。また、第2平面では、永久磁石20から磁性体支柱21および可動部30を順次経由して磁極A・Bに向かう方向の磁束(定常磁束)が、中心軸に対し左右対称に発生する。よって、第1磁束および第2磁束は、永久磁石20により磁束が発生している状態において発生することになる。
【0079】
第1平面において説明すると、コア11は、中心軸に対し左右対称な上側が開口したコの字型の断面形状を有しているので、第1磁束は、コア11および可動部30を通るように発生する。このため、コイル14・15による第1磁束は、片側の永久磁石20による磁束とは打ち消しあって弱くなり、もう片側の永久磁石20による磁束とは合成して強くなる。よって、可動部30と固定部10との間の吸引力が、一方では増加して、他方では減少する。これにより、電磁トルクが発生し、可動部30が回転する。
【0080】
また、第1磁束は、コイル14・15に交流電圧が与えられることにより発生するので、その発生方向は交互に切り替わる。これにより、可動部30はねじれ運動を繰り返す。そして、交流電圧の周波数は、可動部30の共振周波数に合わせられていることにより、可動部30は共振駆動を行うので、回転角度(偏向角度)を増幅することが可能となっている。
【0081】
第2平面においても、同様の原理により可動部30が回転する。そして、第2磁束は、コイル12・13に段階的に変化する直流電圧が与えられることにより発生するので、発生方向は一定で、磁束の強さが段階的に変化する。これにより、可動部30は段階的に回転する。
【0082】
このように、可動部30が、ジンバル機構の板バネのトーションバーによるねじれ共振と電磁力とを利用して、大きな角度で二次元で回転することにより、ミラーも大きな角度で二次元で回転することが可能となる。また、従来のポリゴンミラー型の二次元光スキャナと比較して、モータを用いていないので、小型化が可能となる。したがって、小型化を実現するとともに、二次元で高トルクを発生させることにより、二次元の高速で大きな偏向角度を得ることが可能となる。
【0083】
また、光スキャナ1では、コア11の中心軸に平行な内側の面は、可動部30が回転するときの端部の軌道に対し一定の隙間を形成するような形状を有している。さらに、光スキャナ1では、コア11の中心軸に平行な内側の面に、可動部30が回転するときの端部の軌道に対し一定の隙間を形成するような形状の延長磁極16・17が設けられている。これにより、可動部30と固定部10との隙間が一定となるので、永久磁石20から、磁性体支柱21および可動部30を順次経由して、各磁極A〜Dに向かう方向の磁束を、効率良く発生させることが可能となる。よって、トルクの減少を防止し、大きな偏向角度を確保することが可能となる。
【0084】
なお、光スキャナ1では、コア11の中心軸に平行な内側の面は、上述した形状に限るものではなく、例えば、内側に下りるような階段形状を有していてもよい。これによれば、段階的に変化する直流電圧が与えられて、磁束の強さが段階的に変化することにより、可動部30が段階的に回転する場合、各段階において、可動部30を安定して落着させることが可能となる。
【0085】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、光スキャナに関する分野に好適に用いることができるだけでなく、光スキャナの制御方法や光スキャナの製造方法に関する分野にも好適に用いることができ、さらには、光スキャナを備える各種電子機器、例えば、レーザープリンタ、バーコードリーダ、空間エリアセンサ、レーザマーカ、光VOA、光無線通信機、画像表示器、並びに、3次元形状測定器やレーザ寸法測定器などの光計測機器などの分野にも幅広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明における二次元電磁共振型光スキャナの実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】上記二次元電磁共振型光スキャナにおける、(a)は固定部の構成を示す斜視図であり、(b)は可動部の構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示した二次元電磁共振型光スキャナのP断面を示すものであり、x軸まわりの駆動原理を説明するための図である。
【図4】図1に示した二次元電磁共振型光スキャナのQ断面を示すものであり、y軸まわりの駆動原理を説明するための図である。
【図5】従来のポリゴンミラー型の二次元走査式光スキャナの構成を示す図である。
【図6】従来のMEMS型の二次元走査式光スキャナの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
1 二次元電磁共振型光スキャナ(光スキャナ)
10 固定部
11 コア(磁性体本体)
12,13 コイル(第2コイル)
14,15 コイル(第1コイル)
16,17 延長磁極(延長磁性体)
18,19 非磁性体
20 永久磁石
21 磁性体支柱
30 可動部
31 外側磁性体
32 内側磁性体(磁性板)
33,34 トーションバー
35,36 トーションバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部に回転可能に支持された可動部の反射面で入射光を反射させることにより、光を走査させる光スキャナにおいて、
上記可動部は、2軸のジンバル機構により上記反射面とともに回転する構成を有し、
上記固定部は、永久磁石によって発生する定常磁束と、コイルに電流を流すことによって発生する駆動磁束との合成により、上記可動部を回転させる電磁トルクを発生させる構成を有し、
上記可動部を一方の軸で回転させる電磁トルクを発生させる駆動磁束は、上記可動部の共振周波数に合わせた周波数の交流電圧が上記コイルに与えられることにより発生し、
上記可動部を他方の軸で回転させる電磁トルクを発生させる駆動磁束は、段階的に変化する直流電圧が上記コイルに与えられることにより発生していることを特徴とする光スキャナ。
【請求項2】
固定部に回転可能に支持された可動部の反射面で入射光を反射させることにより、光を走査させる光スキャナにおいて、
上記可動部は、
トーションバーにより回転する第1回転軸、および、該第1回転軸に直交し別のトーションバーにより回転する第2回転軸が同一平面上にあるジンバル機構により回転し、該第1回転軸と該第2回転軸との直交点を含むように形成された磁性板と、
上記磁性板に設けられた上記反射面とを備え、上記直交点に重心が位置するように構成されており、
上記固定部は、
自身の中心軸上に上記直交点が位置し、該中心軸を含む第1平面上に上記第1回転軸が位置し、該中心軸を含みかつ該第1平面に直交する第2平面上に上記第2回転軸が位置するとともに、上記反射面が上側に露出するように、上記可動部を回転可能に支持する磁性体支柱と、
上記磁性体支柱の上記可動部を支持する側とは反対側の面に固定された永久磁石と、
上記第1平面において上記中心軸に対し左右対称な上側が開口したコの字型の断面形状を有するとともに、上記第2平面において上記中心軸に対し左右対称な上側が開口したコの字型の断面形状を有し、上記磁性体支柱が上側に位置するように上記永久磁石が固定された磁性体本体と、
電流が流れることで、上記磁性体本体の上記第1平面の断面形状をなす部分を通る第1磁束を発生させるように、該磁性体本体に巻き付けられた第1コイルと、
電流が流れることで、上記磁性体本体の上記第2平面の断面形状をなす部分を通る第2磁束を発生させるように、該磁性体本体に巻き付けられた第2コイルとを備え、
上記第1コイルには、上記可動部の共振周波数に合わせた周波数の交流電圧が与えられ、上記第2コイルには、段階的に変化する直流電圧が与えられることを特徴とする光スキャナ。
【請求項3】
上記磁性体本体の上記中心軸に平行な内側の面は、上記可動部が回転するときの端部の軌道に対し一定の隙間を形成するような形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の光スキャナ。
【請求項4】
上記磁性体本体の上記中心軸に平行な内側の面に、上記可動部が回転するときの端部の軌道に対し一定の隙間を形成するような形状の延長磁性体が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光スキャナ。
【請求項5】
上記磁性体本体の上記中心軸に平行な内側の面は、内側に下りるような階段形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の光スキャナ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate