光スキャニング装置
【課題】装置全体の小型化、軽量化、低消費電力化を図ることができる光スキャニング装置を提供すること。
【解決手段】発光部32からの光Lを被照射体4に向けてスキャニングし、その反射光を受光部35で受けて情報を得る光スキャニング装置31において、揺動軸36を有し、この揺動軸36の周りに揺動しながら前記発光部32からの光Lの光路を前記被照射体4に向けるとともに、前記被照射体4からの反射光を受ける光路変換面34を備え、前記受光部35を前記光路変換面34上に設ける。以上の構成により、受光部の設置スペースを省略して装置の小型化を図りながら、受光効率の向上を図る。
【解決手段】発光部32からの光Lを被照射体4に向けてスキャニングし、その反射光を受光部35で受けて情報を得る光スキャニング装置31において、揺動軸36を有し、この揺動軸36の周りに揺動しながら前記発光部32からの光Lの光路を前記被照射体4に向けるとともに、前記被照射体4からの反射光を受ける光路変換面34を備え、前記受光部35を前記光路変換面34上に設ける。以上の構成により、受光部の設置スペースを省略して装置の小型化を図りながら、受光効率の向上を図る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバーコードリーダや、光ディスク装置の光ピックアップ等に適用される光スキャニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9はバーコードリーダに適用される従来の光スキャニング装置の概要を示している。光スキャニング装置は、発光部1から出射されたレーザ光Lは、集光レンズ2を介してミラー3へ向かい、ここで光路が変換されて被照射体であるバーコード4を照射する。バーコード4からの反射光は再びミラー3により光路が変換され、集光レンズ5を介して受光部6で受光される。
【0003】
ミラー3には、揺動軸7を支点としてミラー3を矢印Aで示す方向に所定の周期で揺動する電磁石からなる駆動部8の駆動ロッド8aが固定されている。したがって、このミラー3に向けて投光されたレーザ光Lはバーコード4全体にわたってスキャニングされ、その反射光を受光部6にて受光することによりバーコード4の読み取りが行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のように構成される従来の光スキャニング装置では、例えば発光部1とミラー3との間、あるいはミラー3と受光部6との間などの部品間にある程度の空間が必要であるため、各構成部品を小さくして装置全体の小型化を図る上で限界がある。特に、バーコード4からの反射光を効率良く受光するために、図示するように集光レンズ5を比較的大きくする必要があり、そのため当該集光レンズ5の設置スペースを大きく確保しなければならない。
【0005】
近年における光スキャニング装置の適用技術分野は広範囲にわたっているが、その低消費電力化の要求が高く、そのために装置全体の小型化が強く望まれている。
【0006】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、装置全体の小型化、軽量化、低消費電力化を図ることができる光スキャニング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するに当たり、本発明は、発光部からの光を被照射体に向けてスキャニングし、その反射光を受光部で受けて情報を得る光スキャニング装置において、揺動軸を有し、この揺動軸の周りに揺動しながら前記発光部からの光の光路を前記被照射体に向けるとともに、前記被照射体からの反射光を受ける光路変換面を備え、前記受光部を前記光路変換面上に設けたことを特徴としている。
【0008】
すなわち請求項1の発明は、受光部の設置スペースを省略して装置の小型化を図りながら、受光効率の向上を図ろうとしている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、受光部の設置スペースを大きく確保することなく、しかも受光効率を低下させることなく装置の小型化に貢献することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、より一層の受光効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す光スキャニング装置の斜視図である。
【図2】同正面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す光スキャニング装置の斜視図である。
【図4】図3における[4]−[4]線方向断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示す光スキャニング装置の概略構成図である。
【図6】A、Bともに図1の変形例を示す斜視図である。
【図7】A、Bともに図3の変形例を示す斜視図であり、Aは電磁力による揺動機構を示し、Bは圧電体の振動による揺動機構を示す。
【図8】本発明の第2の実施の形態における配線構造を模式的に示す斜視図であり、Aは単層並列形成を示し、Bは多層単列形成を示す。
【図9】従来の光スキャニング装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態では、本発明に係る光スキャニング装置をバーコードリーダに適用した場合について説明する。
【0013】
図1及び図2は、本発明の第1の実施の形態による光スキャニング装置11を示している。図示しないケーシングに固定される固定部12に対し、これと一体的に設けられた揺動軸13を介して可動部14が揺動可能に支持されている。可動部14の上面には、例えば発光素子、受光素子でなる発光部15、受光部16を同一面内にマウントした基板17が固着されている。基板17上の発光部15及び受光部16は、可動部14内を貫通する揺動軸13の軸線に沿って、互いに近接した状態で配置されている。
【0014】
揺動軸13の軸線を境界とする固定部12の両側には、U字形状のヨーク18、18が据え付けられている。各々のヨーク18の外側壁部内面には永久磁石19が一体的に固定され、ヨーク18と永久磁石19とで構成される磁気回路の中を通過するように可動部14に巻回されたコイル20が位置している。これらヨーク18、永久磁石19及びコイル20により、本発明に係る駆動部が構成される。
【0015】
なお、発光部15及び受光部16の各素子と基板17との間の配線は図示せずともボンディングワイヤでなされている。また、集光のためのレンズが各素子15、16と一体あるいは、発光から受光光路間に設けられるが、その図示は省略している。さらに、図示せずとも、可動部14の共振を制御するダンピング手段が設けられている。
【0016】
本実施の形態の光スキャニング装置11は以上のように構成され、次にこの作用について説明する。
【0017】
コイル20に交流電流を流すと、コイル20に対して公知のように、各ヨーク18及び永久磁石19で構成される磁気回路から互いに逆方向へ向かう電磁力(ローレンツ力)が作用し、可動部14が揺動軸13の周りに固定部12に対して揺動する。可動部14の揺動周期は、コイル20に通電される交流周波数(本実施の形態では40Hz程度)によって決定される。
【0018】
これと同時に、発光部15よりレーザ光Lを出射させると、上方に位置するバーコード4全体にわたってレーザ光Lがスキャニングされる。レーザ光Lのスキャニング領域は、固定部12に対する可動部14の揺動角度で調整される。バーコード4に照射されたレーザ光Lの反射光は揺動する可動部14上の受光部16で受光され、これによりバーコードパターンに応じた信号が読み取られる。
【0019】
このとき、受光部16は発光部15とともに、常に、レーザ光Lが照射されるバーコード4の方向を向いているので、バーコード4からのレーザ光Lの反射光を効率良く受光することができる。また、これら発光部15及び受光部16が可動部14の揺動軸線上に沿って配置されているため、揺動角度による発光部15及び受光部16間の光軸のずれを最小化でき、さらに効率良く受光することが可能となる。
【0020】
さらに、これら発光部15と受光部16とを互いに近接させて配置することにより、主光線の受光効率が向上するばかりでなく、外乱光や迷光などのノイズ成分の光による影響も少なくでき、受光効率の向上が図られる。したがって、発光部15と受光部16とが一体となった光複合素子を用いると、上記の効果が大きくなる。
【0021】
以上のように、本実施の形態によれば、発光部15及び受光部16を可動部14上に直接取り付けて装置の小型化を図り、装置の軽量化、低消費電力化を図ることができるとともに、装置の小型化による受光効率の低下を防止することができる。
【0022】
図3及び図4は、本発明の第2の実施の形態を示している。なお、図において上述の第1の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0023】
本実施の形態における光スキャニング装置21は、固定部であるガラス基板22の上に、発光部15及び受光部16をマウントしたシリコン基体23を接合してなる。シリコン基体23には、公知のエッチング技術を用いて形成されたスリット25を有し、その内方側の領域を可動部24としている。発光部15及び受光部16はこの可動部24の上に取り付けられている。
【0024】
可動部24は、その周縁の相対向する2点に設けられた橋絡部24a、24aを介して、ガラス基板24と一体化されるスリット25外方側のシリコン基体23に支持され、所定の隙間26をおいてガラス基板22に対向している。橋絡部24a、24aを結ぶ直線を境とする可動部24の両側下面に対向して、電極部27a、27bがガラス基板22上に形成されている。
【0025】
したがって、これら電極部27a、27bへ極性を変えて周期的に電圧を印加することにより、可動部24の裏面との間の電気的な力(クーロン力)でもって、橋絡部24a、24aを結ぶ直線を揺動軸とする可動部24の揺動作用を得ることができる。
【0026】
以上のように、本実施の形態では、上述の第1の実施の形態と同様な作用を得ながらも、装置全体を一層小型化して、装置全体の更なる軽量化、低消費電力化を図ることができる。特に、本実施の形態では、一連の半導体プロセスにて高精度に製造することができ、一辺約2mm四方の超小型の光スキャニング装置を得ることができる。
【0027】
図5は、本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態における光スキャニング装置31は、図9を参照して説明した従来の光スキャニング装置に対して受光部の構成を異ならせた構造を有している。
【0028】
すなわち、発光部32から出射したレーザ光Lは集光レンズ33で集光されて光路変換面であるミラー34に反射され、バーコード4に向けて照射されるが、バーコード4からの反射光は、ミラー34上に固定配置された受光部35で受光されるように構成される。
【0029】
ミラー34は、例えば電磁石で構成される駆動部37の駆動ロッド37aにより揺動軸36の周りに図中矢印Aで示す方向に所定の周期で揺動されるように構成され、これにより発光部32からのレーザ光Lがバーコード4の全体にわたってスキャニングされる。このときバーコード4の濃淡パターンに応じた戻り光を受光部35で受光し、バーコード4の読み取りが行われる。
【0030】
本実施の形態によれば、レーザスキャニング光Lの受光関連の設置スペースを極力小さくすることができるので、従来よりも装置全体の小型化を図ることができるとともに、受光効率の向上を図ることができる。
【0031】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0032】
例えば以上の第1の実施の形態では、発光部15及び受光部16を揺動させるのに、固定部12に設けた揺動軸13を介して可動部13を支持するように構成したが、これに代えて、図6A及び図6Bに示すような構成としてもよい。
【0033】
すなわち、図6Aに示す構成例では、発光部15及び受光部16を備えた基板17の下面を、合成樹脂製の可撓性のあるヒンジ部材41の可動端部41aで支持するようにし、ヨーク18、永久磁石19及びコイル20からなる上述した駆動部の作用により、ヒンジ部材41の固定端部41bに対し、ヒンジ部41cを介して可動端部41aを揺動させるようにしている。ヒンジ部材41の固定端部41bは、当該光スキャニング装置を収容する例えば内径12mm程度の円筒状ケーシング44内の取付台部に固定される。
【0034】
一方、図6Bに示す構成例では、発光部15及び受光部16を備えた基板17の両側面を、合成樹脂製の可撓性のあるヒンジ部材47の一対の可動端部47aで支持するようにし、ヨーク18、永久磁石19及びコイル20からなる上述した駆動部の作用により、上記一対の可動端部47a共通の固定端部47bに対し、ヒンジ部47cを介して可動端部41aを揺動させるようにしている。
【0035】
以上のような構成を採用することにより、駆動部全体を基板17とともに揺動させる構成であるので、ヨーク18内でコイル20を揺動させるためのスペースが不要となり、上記第1の実施の形態に比べて、装置全体を更に小型化することができる。また、基板17をヒンジ部材41、47の可動単部41a、47aに直接固定するだけなので、特別な加工を必要とすることもない。
【0036】
また、以上の第2の実施の形態では、ガラス基板22に対する可動部24の揺動作用を、これら両者の間の静電力を利用して得るようにしたが、他の揺動機構として図7A及び図8Bに示す構成を採用することができる。
【0037】
すなわち、図7Aに示す構成例では、可動部24の面内に渦巻き状に電気配線51を公知の半導体プロセス技術で形成するとともに、図示せずとも上記第1の実施の形態と同様な構成で、橋絡部24a、24aを結ぶ直線と垂直な方向に磁界を発生させる駆動部を配置し、上記電気配線51への交流電流の通電により、上記橋絡部24a、24aを結ぶ直線を揺動軸として、可動部24全体を揺動させるようにしている。
【0038】
一方、図7Bに示す構成例では、ガラス基板22の裏面に圧電体52を固着し、ガラス基板22を通じて圧電体52からの振動を可動部24に付与することにより、可動部24を所定の共振周波数で揺動させる構成をとっている。
【0039】
これらいずれの構成を採用しても、上述の第2の実施の形態と同様な作用及び効果を得ることができる。なお、上記各構成例では、可動部24の橋絡部24aを設ける位置が、上記第2の実施の形態と異なるが、いずれの構成を採用してもよいことを示唆するものである。更に、図において発光部15及び受光部16の図示を省略しているが、上記第2の実施の形態と同様、各々可動部24の同一面上に、且つ、上記揺動軸の軸線に沿って配置されるものとする。
【0040】
また、上述の第2の実施の形態及び図7A、図7Bの構成では、発光部15及び受光部16用の各配線、及び図7Aに示す揺動駆動用の電気配線51は、装置外部から引き回されることになるが、この配線の引き回しは可動部24の橋絡部24a、24aを介して行われる。図8A及び図8Bは、橋絡部24aにおける配線の形成例を示す。すなわち、図8Aは各種配線部53を単層で並列的に形成した構成例を示し、図8Bは各種配線部53を多層的に形成した構成例を示している。なお、両構成例を複合した構成も当然に適用可能である。
【0041】
次に、以上の各実施の形態では、可動部に対して発光部15及び受光部16を別部品として取り付けた構成を採用したが、上記可動部にこれら発光部及び受光部を公知の半導体プロセス技術を用いて一体的に形成するようにしてもよい。この場合、可動部形成の段階で発光部及び受光部の位置精度を高い精度で出すことができるので、光学的なアライメントの調整が不要となり、後工程の簡易化あるいは省略化を図って製造コストの低減に寄与する。
【0042】
また、上記構成を第3の実施の形態に適用する場合、光路変換部であるミラー全体を受光部として構成することができる。これにより更なる受光効率の向上が図れる。この場合、受光面全体をレーザ光Lの光路を変換可能に、鏡面化等の変換面化を施せばよい。
【0043】
更に、以上の第1、第2の実施の形態では、可動部14、24上に発光部15及び受光部16の双方を設けたが、発光部15及び受光部16のいずれか一方のみを設け、他方は別途、配置するようにしてもよい。
【0044】
最後に、以上の各実施の形態では光スキャニング装置としてバーコードリーダを例にとり説明したが、勿論、これだけに限らず、公知の光ディスク用の光学的読取機構(光ピックアップ)や光通信用の調整機構、あるいは自動車用車間距離調整機構あるいは障害物探知機構などの、静止あるいは運動している被照射体を対象とする光スキャニング機構に対しても、本発明は有効に適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
4…バーコード(被照射体)、11、21、31…光スキャニング装置、12、22…固定部、13、36…揺動軸、14、24…可動部、15、32…発光部、16、35…受光部、24a…橋絡部、27a、27b…電極、34…ミラー(光路変換部)、37…駆動部、41、47…合成樹脂製ヒンジ部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバーコードリーダや、光ディスク装置の光ピックアップ等に適用される光スキャニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9はバーコードリーダに適用される従来の光スキャニング装置の概要を示している。光スキャニング装置は、発光部1から出射されたレーザ光Lは、集光レンズ2を介してミラー3へ向かい、ここで光路が変換されて被照射体であるバーコード4を照射する。バーコード4からの反射光は再びミラー3により光路が変換され、集光レンズ5を介して受光部6で受光される。
【0003】
ミラー3には、揺動軸7を支点としてミラー3を矢印Aで示す方向に所定の周期で揺動する電磁石からなる駆動部8の駆動ロッド8aが固定されている。したがって、このミラー3に向けて投光されたレーザ光Lはバーコード4全体にわたってスキャニングされ、その反射光を受光部6にて受光することによりバーコード4の読み取りが行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のように構成される従来の光スキャニング装置では、例えば発光部1とミラー3との間、あるいはミラー3と受光部6との間などの部品間にある程度の空間が必要であるため、各構成部品を小さくして装置全体の小型化を図る上で限界がある。特に、バーコード4からの反射光を効率良く受光するために、図示するように集光レンズ5を比較的大きくする必要があり、そのため当該集光レンズ5の設置スペースを大きく確保しなければならない。
【0005】
近年における光スキャニング装置の適用技術分野は広範囲にわたっているが、その低消費電力化の要求が高く、そのために装置全体の小型化が強く望まれている。
【0006】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、装置全体の小型化、軽量化、低消費電力化を図ることができる光スキャニング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するに当たり、本発明は、発光部からの光を被照射体に向けてスキャニングし、その反射光を受光部で受けて情報を得る光スキャニング装置において、揺動軸を有し、この揺動軸の周りに揺動しながら前記発光部からの光の光路を前記被照射体に向けるとともに、前記被照射体からの反射光を受ける光路変換面を備え、前記受光部を前記光路変換面上に設けたことを特徴としている。
【0008】
すなわち請求項1の発明は、受光部の設置スペースを省略して装置の小型化を図りながら、受光効率の向上を図ろうとしている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、受光部の設置スペースを大きく確保することなく、しかも受光効率を低下させることなく装置の小型化に貢献することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、より一層の受光効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す光スキャニング装置の斜視図である。
【図2】同正面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す光スキャニング装置の斜視図である。
【図4】図3における[4]−[4]線方向断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示す光スキャニング装置の概略構成図である。
【図6】A、Bともに図1の変形例を示す斜視図である。
【図7】A、Bともに図3の変形例を示す斜視図であり、Aは電磁力による揺動機構を示し、Bは圧電体の振動による揺動機構を示す。
【図8】本発明の第2の実施の形態における配線構造を模式的に示す斜視図であり、Aは単層並列形成を示し、Bは多層単列形成を示す。
【図9】従来の光スキャニング装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態では、本発明に係る光スキャニング装置をバーコードリーダに適用した場合について説明する。
【0013】
図1及び図2は、本発明の第1の実施の形態による光スキャニング装置11を示している。図示しないケーシングに固定される固定部12に対し、これと一体的に設けられた揺動軸13を介して可動部14が揺動可能に支持されている。可動部14の上面には、例えば発光素子、受光素子でなる発光部15、受光部16を同一面内にマウントした基板17が固着されている。基板17上の発光部15及び受光部16は、可動部14内を貫通する揺動軸13の軸線に沿って、互いに近接した状態で配置されている。
【0014】
揺動軸13の軸線を境界とする固定部12の両側には、U字形状のヨーク18、18が据え付けられている。各々のヨーク18の外側壁部内面には永久磁石19が一体的に固定され、ヨーク18と永久磁石19とで構成される磁気回路の中を通過するように可動部14に巻回されたコイル20が位置している。これらヨーク18、永久磁石19及びコイル20により、本発明に係る駆動部が構成される。
【0015】
なお、発光部15及び受光部16の各素子と基板17との間の配線は図示せずともボンディングワイヤでなされている。また、集光のためのレンズが各素子15、16と一体あるいは、発光から受光光路間に設けられるが、その図示は省略している。さらに、図示せずとも、可動部14の共振を制御するダンピング手段が設けられている。
【0016】
本実施の形態の光スキャニング装置11は以上のように構成され、次にこの作用について説明する。
【0017】
コイル20に交流電流を流すと、コイル20に対して公知のように、各ヨーク18及び永久磁石19で構成される磁気回路から互いに逆方向へ向かう電磁力(ローレンツ力)が作用し、可動部14が揺動軸13の周りに固定部12に対して揺動する。可動部14の揺動周期は、コイル20に通電される交流周波数(本実施の形態では40Hz程度)によって決定される。
【0018】
これと同時に、発光部15よりレーザ光Lを出射させると、上方に位置するバーコード4全体にわたってレーザ光Lがスキャニングされる。レーザ光Lのスキャニング領域は、固定部12に対する可動部14の揺動角度で調整される。バーコード4に照射されたレーザ光Lの反射光は揺動する可動部14上の受光部16で受光され、これによりバーコードパターンに応じた信号が読み取られる。
【0019】
このとき、受光部16は発光部15とともに、常に、レーザ光Lが照射されるバーコード4の方向を向いているので、バーコード4からのレーザ光Lの反射光を効率良く受光することができる。また、これら発光部15及び受光部16が可動部14の揺動軸線上に沿って配置されているため、揺動角度による発光部15及び受光部16間の光軸のずれを最小化でき、さらに効率良く受光することが可能となる。
【0020】
さらに、これら発光部15と受光部16とを互いに近接させて配置することにより、主光線の受光効率が向上するばかりでなく、外乱光や迷光などのノイズ成分の光による影響も少なくでき、受光効率の向上が図られる。したがって、発光部15と受光部16とが一体となった光複合素子を用いると、上記の効果が大きくなる。
【0021】
以上のように、本実施の形態によれば、発光部15及び受光部16を可動部14上に直接取り付けて装置の小型化を図り、装置の軽量化、低消費電力化を図ることができるとともに、装置の小型化による受光効率の低下を防止することができる。
【0022】
図3及び図4は、本発明の第2の実施の形態を示している。なお、図において上述の第1の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0023】
本実施の形態における光スキャニング装置21は、固定部であるガラス基板22の上に、発光部15及び受光部16をマウントしたシリコン基体23を接合してなる。シリコン基体23には、公知のエッチング技術を用いて形成されたスリット25を有し、その内方側の領域を可動部24としている。発光部15及び受光部16はこの可動部24の上に取り付けられている。
【0024】
可動部24は、その周縁の相対向する2点に設けられた橋絡部24a、24aを介して、ガラス基板24と一体化されるスリット25外方側のシリコン基体23に支持され、所定の隙間26をおいてガラス基板22に対向している。橋絡部24a、24aを結ぶ直線を境とする可動部24の両側下面に対向して、電極部27a、27bがガラス基板22上に形成されている。
【0025】
したがって、これら電極部27a、27bへ極性を変えて周期的に電圧を印加することにより、可動部24の裏面との間の電気的な力(クーロン力)でもって、橋絡部24a、24aを結ぶ直線を揺動軸とする可動部24の揺動作用を得ることができる。
【0026】
以上のように、本実施の形態では、上述の第1の実施の形態と同様な作用を得ながらも、装置全体を一層小型化して、装置全体の更なる軽量化、低消費電力化を図ることができる。特に、本実施の形態では、一連の半導体プロセスにて高精度に製造することができ、一辺約2mm四方の超小型の光スキャニング装置を得ることができる。
【0027】
図5は、本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態における光スキャニング装置31は、図9を参照して説明した従来の光スキャニング装置に対して受光部の構成を異ならせた構造を有している。
【0028】
すなわち、発光部32から出射したレーザ光Lは集光レンズ33で集光されて光路変換面であるミラー34に反射され、バーコード4に向けて照射されるが、バーコード4からの反射光は、ミラー34上に固定配置された受光部35で受光されるように構成される。
【0029】
ミラー34は、例えば電磁石で構成される駆動部37の駆動ロッド37aにより揺動軸36の周りに図中矢印Aで示す方向に所定の周期で揺動されるように構成され、これにより発光部32からのレーザ光Lがバーコード4の全体にわたってスキャニングされる。このときバーコード4の濃淡パターンに応じた戻り光を受光部35で受光し、バーコード4の読み取りが行われる。
【0030】
本実施の形態によれば、レーザスキャニング光Lの受光関連の設置スペースを極力小さくすることができるので、従来よりも装置全体の小型化を図ることができるとともに、受光効率の向上を図ることができる。
【0031】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0032】
例えば以上の第1の実施の形態では、発光部15及び受光部16を揺動させるのに、固定部12に設けた揺動軸13を介して可動部13を支持するように構成したが、これに代えて、図6A及び図6Bに示すような構成としてもよい。
【0033】
すなわち、図6Aに示す構成例では、発光部15及び受光部16を備えた基板17の下面を、合成樹脂製の可撓性のあるヒンジ部材41の可動端部41aで支持するようにし、ヨーク18、永久磁石19及びコイル20からなる上述した駆動部の作用により、ヒンジ部材41の固定端部41bに対し、ヒンジ部41cを介して可動端部41aを揺動させるようにしている。ヒンジ部材41の固定端部41bは、当該光スキャニング装置を収容する例えば内径12mm程度の円筒状ケーシング44内の取付台部に固定される。
【0034】
一方、図6Bに示す構成例では、発光部15及び受光部16を備えた基板17の両側面を、合成樹脂製の可撓性のあるヒンジ部材47の一対の可動端部47aで支持するようにし、ヨーク18、永久磁石19及びコイル20からなる上述した駆動部の作用により、上記一対の可動端部47a共通の固定端部47bに対し、ヒンジ部47cを介して可動端部41aを揺動させるようにしている。
【0035】
以上のような構成を採用することにより、駆動部全体を基板17とともに揺動させる構成であるので、ヨーク18内でコイル20を揺動させるためのスペースが不要となり、上記第1の実施の形態に比べて、装置全体を更に小型化することができる。また、基板17をヒンジ部材41、47の可動単部41a、47aに直接固定するだけなので、特別な加工を必要とすることもない。
【0036】
また、以上の第2の実施の形態では、ガラス基板22に対する可動部24の揺動作用を、これら両者の間の静電力を利用して得るようにしたが、他の揺動機構として図7A及び図8Bに示す構成を採用することができる。
【0037】
すなわち、図7Aに示す構成例では、可動部24の面内に渦巻き状に電気配線51を公知の半導体プロセス技術で形成するとともに、図示せずとも上記第1の実施の形態と同様な構成で、橋絡部24a、24aを結ぶ直線と垂直な方向に磁界を発生させる駆動部を配置し、上記電気配線51への交流電流の通電により、上記橋絡部24a、24aを結ぶ直線を揺動軸として、可動部24全体を揺動させるようにしている。
【0038】
一方、図7Bに示す構成例では、ガラス基板22の裏面に圧電体52を固着し、ガラス基板22を通じて圧電体52からの振動を可動部24に付与することにより、可動部24を所定の共振周波数で揺動させる構成をとっている。
【0039】
これらいずれの構成を採用しても、上述の第2の実施の形態と同様な作用及び効果を得ることができる。なお、上記各構成例では、可動部24の橋絡部24aを設ける位置が、上記第2の実施の形態と異なるが、いずれの構成を採用してもよいことを示唆するものである。更に、図において発光部15及び受光部16の図示を省略しているが、上記第2の実施の形態と同様、各々可動部24の同一面上に、且つ、上記揺動軸の軸線に沿って配置されるものとする。
【0040】
また、上述の第2の実施の形態及び図7A、図7Bの構成では、発光部15及び受光部16用の各配線、及び図7Aに示す揺動駆動用の電気配線51は、装置外部から引き回されることになるが、この配線の引き回しは可動部24の橋絡部24a、24aを介して行われる。図8A及び図8Bは、橋絡部24aにおける配線の形成例を示す。すなわち、図8Aは各種配線部53を単層で並列的に形成した構成例を示し、図8Bは各種配線部53を多層的に形成した構成例を示している。なお、両構成例を複合した構成も当然に適用可能である。
【0041】
次に、以上の各実施の形態では、可動部に対して発光部15及び受光部16を別部品として取り付けた構成を採用したが、上記可動部にこれら発光部及び受光部を公知の半導体プロセス技術を用いて一体的に形成するようにしてもよい。この場合、可動部形成の段階で発光部及び受光部の位置精度を高い精度で出すことができるので、光学的なアライメントの調整が不要となり、後工程の簡易化あるいは省略化を図って製造コストの低減に寄与する。
【0042】
また、上記構成を第3の実施の形態に適用する場合、光路変換部であるミラー全体を受光部として構成することができる。これにより更なる受光効率の向上が図れる。この場合、受光面全体をレーザ光Lの光路を変換可能に、鏡面化等の変換面化を施せばよい。
【0043】
更に、以上の第1、第2の実施の形態では、可動部14、24上に発光部15及び受光部16の双方を設けたが、発光部15及び受光部16のいずれか一方のみを設け、他方は別途、配置するようにしてもよい。
【0044】
最後に、以上の各実施の形態では光スキャニング装置としてバーコードリーダを例にとり説明したが、勿論、これだけに限らず、公知の光ディスク用の光学的読取機構(光ピックアップ)や光通信用の調整機構、あるいは自動車用車間距離調整機構あるいは障害物探知機構などの、静止あるいは運動している被照射体を対象とする光スキャニング機構に対しても、本発明は有効に適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
4…バーコード(被照射体)、11、21、31…光スキャニング装置、12、22…固定部、13、36…揺動軸、14、24…可動部、15、32…発光部、16、35…受光部、24a…橋絡部、27a、27b…電極、34…ミラー(光路変換部)、37…駆動部、41、47…合成樹脂製ヒンジ部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部からの光を被照射体に向けてスキャニングし、その反射光を受光部で受けて情報を得る光スキャニング装置において、
揺動軸を有し、この揺動軸の周りに揺動しながら前記発光部からの光の光路を前記被照射体に向けるとともに、前記被照射体からの反射光を受ける光路変換面を備え、
前記受光部を前記光路変換面上に設けた
ことを特徴とする光スキャニング装置。
【請求項2】
前記光路変換面が前記受光部の受光面で形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の光スキャニング装置。
【請求項1】
発光部からの光を被照射体に向けてスキャニングし、その反射光を受光部で受けて情報を得る光スキャニング装置において、
揺動軸を有し、この揺動軸の周りに揺動しながら前記発光部からの光の光路を前記被照射体に向けるとともに、前記被照射体からの反射光を受ける光路変換面を備え、
前記受光部を前記光路変換面上に設けた
ことを特徴とする光スキャニング装置。
【請求項2】
前記光路変換面が前記受光部の受光面で形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の光スキャニング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−151326(P2009−151326A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30629(P2009−30629)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【分割の表示】特願2000−72576(P2000−72576)の分割
【原出願日】平成12年3月15日(2000.3.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【分割の表示】特願2000−72576(P2000−72576)の分割
【原出願日】平成12年3月15日(2000.3.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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