説明

光センサのための共有結合されたナイルブルー誘導体

pHインジケータ、重合性基、及びこれらの間のスペーサを含む、組成物。重合性基は、アクリレート又はメタクリレートであってよく、そしてスペーサは、オキシアルキル基、オキシプロピル基、又はオキシベンゾイル基であってよい。組成物は、指示用ポリマー及びオプトードを形成するために、重合してコポリマーにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年11月10日付けで出願された米国特許仮出願第60/735,314号明細書の優先権を主張し、その内容全体を参考のため本明細書中に引用する。
【0002】
連邦政府委託研究に関する声明
本発明は、National Science Foundationからの認可番号第BIO8−004−00、及びNational Institutes of Healthからの認可番号第DE14590号及びEB002189号によって支援された作業の過程において為された。米国政府は、本発明における特定の権利を有する。
【0003】
背景
本発明は、試料中の標的イオンを検出するシステム、及び臨床検査設備においてこのシステムを使用する方法に関する。
【0004】
この出願全体を通して、種々の参考文献を括弧内に示す。本発明が関連する従来技術をさらに十分に記述するために、これらの刊行物の開示内容全体を、参考のため本明細書中に引用する。これらの参考文献の書誌的引用全体は、特許請求の範囲に先立つ、本出願の最後に見いだすことができる。
【0005】
イオン分析における重要な検知プラットフォームは、バルク・オプトードであり、このオプトードは、好適な支持体上に塗布された高分子膜内部に捕捉された、選択的であり且つ親油性のイオノフォア、クロモイオノフォア、及びイオン交換体を含有する。クロモイオノフォアは、イオン選択的オプトード内で使用される、通常は親油性のpHインジケータである。このような色素は普通、十分な親油性(logPTLC>10.6)、大きいモル吸光係数、高い化学・光安定性、及びH+に対する高い選択性を必要とする(1,2)。クロモイオノフォアは、これらの脱プロトン化形態の電荷に応じて、中性クロモイオノフォアと荷電クロモイオノフォアとに分類することができる。この20年で、種々異なる塩基性を有する一連の親油性H+選択的クロモイオノフォアが合成された(2)。具体的な分析ニーズに対応する種々異なる測定範囲を有するオプトードを設計するために、親油性H+選択的クロモイオノフォアは、種々異なるイオノフォアと合体させることができる(2)。
【0006】
これらのクロモイオノフォアの多くは、高親油性であり、一般用途に適している。しかし、これらのクロモイオノフォアに基づくオプトードは、親油性試料、例えば不希釈血清において短い寿命を示す。さらに、可塑剤及びその他のセンサ成分の浸出は、センサのサイズが低減されてマイクロメートル範囲(3)又はナノメートル範囲(4,5)のミクロ粒子になると、より劇的になる。さらに、このようなセンサを用いたin vivo測定における炎症性応答を防止するために、また、隣接するミクロスフェア間の交差汚染を回避するために、クロモイオノフォアを含む検知成分は、ポリマーマトリックス上に固定化される。
【0007】
以前の研究では、クロモイオノフォアは官能化ポリ(塩化ビニル)上(6,7)、及びポリウレタンマトリックス上(8)に共有結合されているが、しかし、このようなポリマーは、可塑剤なしでは使用することができず、より長い応答時間をもたらす。他方において、ポリマー上への非発色性イオノフォアの固定化が、一層幅広く研究されている。Na+、K+、及びPb+に対して選択的なイオノフォアは、ポリシロキサンマトリックスに共有結合的にグラフトされ、そしてCHEMFETセンサの製作に適用されている(9,10)。
【0008】
Kimuraは、イオノフォア及びイオン交換体を固定化するためにゾル・ゲル技術を導入した(11,12,13)。イオノフォア・グラフトにおける別の方向は、一段階溶液重合法によって、重合性イオノフォアとブランク・ポリマーとを共重合することである。このタイプの手順は、2種の親水性クラウンエーテル・タイプのカリウム選択的イオノフォア、すなわち4'-アクリロイルアミドベンゾ-15-クラウン-5(AAB15C5)及び4'-アクリロイルアミドベンゾ-18-クラウン-6(AAB18C6)(14,15,16)、ナトリウム選択的イオノフォア、すなわち4-tertブチルカリックス[4]アレーン四酢酸テトラエチルエステル(17)、カルシウムイオノフォア、すなわちN,N-ジシクロヘキシル-N'-フェニル-N'-3-(2-プロペノイル)オキシフェニル-3-オキサペンタンジアミド(AU−1)(16)、並びに重合性イオン交換体(18)を、アクリルポリマー上に共有結合するために、利用される。この手順の簡潔さは、上記のほとんどの他の方法に勝る重要な利点となる。グラフト型イオノフォアを含有するこれらのポリマーは、遊離した未結合イオノフォアに基づくISEと比較して、比較可能な選択性及び改善された寿命を示した。
【0009】
従来技術の欠点を取り除く、改善されたクロモイオノフォアが必要である。
【0010】
概要
本発明は、1実施態様によれば、pHインジケータ、スペーサ、及び重合性基を有する重合性組成物の合成に関する。重合性基は、アクリレート又はメタクリレートであることが可能である。スペーサは、オキシアルキル基、オキシプロピル基、又はオキシベンゾイル基であることが可能である。組成物は、図1に示すNB1又はNB2の構造を有することができる。
【0011】
本発明はまた、1実施態様によれば、pHインジケータ、スペーサ、及び重合性基を有する組成物と、コモノマーとのコポリマーを含む指示用ポリマーに関する。コモノマーは、アクリレート又はメタクリレートであることが可能である。任意には、コモノマーは、メチルメタクリレートとデシルメタクリレートとを含む。任意には、コモノマーは、ポリ(n-ブチルアクリレート)を含む。
【0012】
本発明はまた、1実施態様によれば、pHインジケータ、スペーサ、及び重合性基を有する組成物と、コモノマーとのコポリマーを有する指示用ポリマーを有するオプトードに関する。オプトードは自己可塑化ポリマーを有することもできる。オプトードはさらに、グラフト型イオノフォアを有することができる。任意には、オプトードは、粒子状オプトードである。
【0013】
本発明はまた、1実施態様によれば、標的イオンに対する選択性を有するコポリマーの製造方法に関する。この方法は、pHインジケータ、スペーサ、及び重合性基を含むモノマーを用意し;モノマーとコモノマーとを合体させ;そしてコポリマーを形成するために、モノマーとコモノマーとを重合する、ことを含む。モノマーとコモノマーとは、熱開始ラジカル溶液重合によって重合することができる。
【0014】
詳細な説明
本発明は、1実施態様によれば、アクリル基を有する重合性ナイルブルー誘導体の合成、及び単純な一段階溶液重合による、MMA−DMA系又はnBA系ポリマー中でのクロモイオノフォアの共有結合に関する。
【0015】
クロモイオノフォアは典型的には、プロトン化されたとき及び脱プロトン化されたときに、異なる吸光度スペクトル及び蛍光スペクトルを有し、親油性pHインジケータとして作用する。バルク・オプトードの場合、クロモイオノフォアのプロトン化及び脱プロトン化の変化は、2つのイオンが膜相内に競合的に抽出されることによる標的イオンの活性の変化に関連する。
【0016】
通常のイオン選択的センサにとって十分な親油性を提供するために、バルク・オプトードは長いアルキル鎖を含有する。しかし、センサの寿命を改善し、そしてin vivo測定中における親油性試料中への成分の浸出を排除するために、クロモイオノフォアを共有結合的にグラフトすることが重要である。本発明は、全てが高分子から成る材料を調製し、そしてこの浸出問題を排除するために、スペーサ及び重合性アクリル基と組み合わされたpHインジケータを有する重合性クロモイオノフォアに関する。
【0017】
本発明の目的に適したpHインジケータは、高塩基性オキサジン色素分子ナイルブルーである。図1に示されたナイルブルー誘導体、例えばETH 5294、ETH 2439、ETH 5350、ETH 5418は当業者によく知られている。本発明に適し得る他のpHインジケータは、ニュートラル・レッド(トルイレン・レッド);クロモイオノフォアX(ETH4004)、4-ジオクチルアミノ-4'-(トリフルオロアセチル)スチルベン;クロモイオノフォアIV(ETH2412)、5-オクタデカノイルオキシ-2-(4-ニトフェニルアゾ)フェノール;クロモイオノフォアVI(ETCH7075)、4',5'-ジブロモフルオレセインオクタデシルエステル;及びクロモイオノフォアVIII(TBTE)、3',3'',5',5''-テトラブロモフェニルフタレインエチルエステルを含む。
【0018】
本発明の目的に適したスペーサは、オキシアルキル、オキシプロピル、及びオキシベンゾイル基を含む。一般に、好適なスペーサは、炭素原子数が約2〜約18の長さの炭素鎖を有する。
【0019】
「重合性クロモイオノフォア」という用語は、クロモイオノフォアがコポリマーに共有結合されるようになるのを可能にする重合性基を有するクロモイオノフォアを意味する。重合性基は、クロモイオノフォアがコポリマーの反応性基、例えば炭素−炭素二重結合と反応して共有結合を形成するのを可能にするために必要となり、これにより、クロモイオノフォアは、コポリマー上に共有結合的にグラフトされるようになる。このような重合性基の一例としては、炭素−炭素二重結合、例えばアクリル及びメタクリル基、炭素−炭素三重結合、及びカルボニル基が挙げられる。
【0020】
本明細書中に使用する「共有結合的にグラフトされたクロモイオノフォア」という用語は、共有結合を介してポリマーに結合されたクロモイオノフォアを意味する。
【0021】
本発明による重合性クロモイオノフォアは、例えば下記例において記載した方法によって合成することができる。重合性クロモイオノフォアの形成方法は典型的には:(1)スペーサを重合性基に結合し;そして(2)例1に記載したように、pH指示用色素、例えばナイルブルー誘導体をスペーサに結合する。
【0022】
「ポリマー」及び「コポリマー」という用語は相互交換可能に使用され、重合によって形成され、そして反復モノマー単位を含む化合物又は化合物の混合物を意味し、ポリマーは、1つのタイプのモノマー単位を含むことができ、又は2つ又は3つ以上の異なるタイプのモノマー単位を含有することもできる。
【0023】
好ましいポリマーは、他の成分と混合できるように、そしてコンベンショナルな塗布方法によって塗膜に変換できるように、有機溶剤中の十分な溶解度を有することになる。ポリマーはさらにイオン透過性であるべきである。ポリマーの誘電定数は、100Hz及び室温で、好ましくは2〜25、特に好ましくは5〜15である。光学的透明度は好ましくは約400〜約1200nmであり、特に好ましくは約400〜約900nmである。
【0024】
好適なポリマーは、当業者に知られている。これらは、ホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー、及びポリマー合金であることが可能である。ポリマー合金の成分は、2種又は3種以上のポリマー成分の組み合わせであってよく、前記成分は、高いガラス転移温度と低いガラス転移温度とを有している。ガラス転移温度は、例えば、構造単位の極性及び鎖長及び含有率によって、調節することができる。ガラス転移温度は好ましくは、−130℃〜0℃である。Tg値が極めて低いポリマーは、通常の場合、著しく軟質であり、また機械的に取り扱うのがより難しい。Tgは典型的には、この目的において標準的な機器である示差走査熱量計を用いて、実験によって決定される。
【0025】
ポリマーは、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン尿素、及びポリシロキサンから成る群から選択することができ、ポリマーが、イオン化可能な塩基性基(例えばアミノ基)、又はイオン化可能な酸性基(例えばカルボキシル又はスルホニル基)を含有することが可能であり、これらの基は、親油性塩の対イオンの代わりとして使用されてよく、改善されたイオン輸送を提供することができる。
【0026】
ポリオレフィンを調製するためのモノマーのいくつかの例は、C2−C12オレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸及びメタクリル酸のC1−C30エステル、アクリル酸及びメタクリル酸のC1−C30アミド、アクリルアミド及びメタクリルアミド、C1−C20カルボン酸のビニルエステル、アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、クロロブタジエン、スチレン、α-エチルスチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、及びC1−C30アルコールのビニルエーテルである。
【0027】
ポリエステル、ポリエステルアミド、及びポリアミドは好ましくは、C2−C12ジカルボン酸及びC2−C18ジオール又はジアミンから合成される。ポリイミドは好ましくは、C2−C18テトラカルボン酸及びC2−C18ジアミンから合成される。ポリエーテルは好ましくは、脂肪族C2−C12ジオール(1,2-又はα,ω-ライニング)、又はこれらのジオールとC8−C30ジグリシジルエーテルとの線状アダクトから合成される。ポリウレタン及びポリ尿素は好ましくは、C2−C18ジオール又はジアミン、及びC2−C20ジイソシアネート、及び/又はトリイソシアネートから合成される。ポリシロキサンは好ましくは、ジ(C1−C4)アルキルシリルジクロロシランである。
【0028】
好ましい実施態様の場合、ポリマーは、種々異なるペンダント・アルキル基R1及びR2を有するメタクリレートモノマーのコポリマーを含み、R1は、C1-3アルキル基のいずれかであってよく、そしてR2は、C4-12アルキル基のいずれかであってよい。
【0029】
本明細書中に使用する「アルキル」という用語は、炭素原子数1〜12の飽和型の線状又は分枝鎖状の一価炭化水素基を意味し、アルキル基は任意には、下記1つ又は2つ以上の置換基で独立して置換されてよい。アルキル基の一例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、及びイソヘキシルなどを含む。
【0030】
本発明の実施態様によれば、好ましくはR1は、C1-2アルキル基であり、そしてR2は、C8-12アルキル基である。1実施態様の場合、本発明のメチルメタクリレート−デシルメタクリレート(MMA−DMA)コポリマーマトリックスを形成するために、メチルメタクリレートモノマーとデシルメタクリレートモノマーとが使用される。
【0031】
本発明のメタクリレートモノマーは、例えばPolysciences, Inc.(Warrington, Pa.)から商業的に入手可能である。或いは、メタクリレートモノマーは、当業者に知られた標準的な方法によって、又は熱開始溶液を介して調製することができる。
【0032】
1実施態様の場合、クロモイオノフォアモノマーは、重合性基を含み、そしてクロモイオノフォアは、クロモイオノフォアモノマーとメタクリレートコモノマー、例えばMMA及びDMAモノマーとを共重合することにより、ポリマー鎖上に共有結合的にグラフトされる。このような実施態様の場合、コポリマーは、MMA−DMAポリマー鎖内部に、固定化されたクロモイオノフォアのランダムな分布を含んでよい。
【0033】
共有結合的にグラフトされたクロモイオノフォアを含む本発明のグラフトコポリマーは、当業者に知られた方法、又は本明細書中に記載された方法に従って形成することができる。例えば、1実施態様の場合、グラフトコポリマーは、本明細書において例3に詳細に記載されているように、メタクリレートモノマーと、重合性クロモイオノフォアとの混合物の、熱開始ラジカル溶液重合によって調製される。
【0034】
或いは、クロモイオノフォアを共有結合的にグラフトするために、当業者に知られている他の方法を用いることもできる。例えば、グラフトコポリマーを調製するために、ゾル・ゲル技術を用いることができる。別のアプローチは、活性部位を有する既存のポリマー上にクロモイオノフォアを直接的にグラフトすることを伴う。さらに別のアプローチは、一方がグラフト型クロモイオノフォアを含有する2種の異なるポリマーを互いにブレンドすることを伴う。重合と、メタクリレートコポリマー上への重合性クロモイオノフォアの共有結合とを引き起こすために、メタクリル化モノマーと重合性クロモイオノフォアとを含有する溶液に、電子ビームを照射することもできる。
【0035】
コポリマーの所期特性の所望の改善、例えばイオン選択性、より高速の応答・回復時間、及びより長い寿命を達成するために、十分な量の重合性クロモイオノフォアがコポリマーと合体される。このような特性は、よく知られた試験法によって定量測定することができる。
【0036】
このような特性を著しく向上させるのに必要とされる重合性クロモイオノフォアの最適な量は、採用される成分の化学組成、構造、及び分子量、並びに達成されるグラフトの程度に応じて変化する。グラフトコポリマーは典型的には、ポリマーの量を基準として、例えば約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の量でクロモイオノフォアを含有する。しかし一般には、コポリマー1000重量部毎に、少なくとも1重量部の重合性クロモイオノフォアを使用することが有利となる。
【0037】
ポリマー組成物の成分の少なくとも部分的なグラフトを達成するために必要な条件は、個々の成分の反応性に応じて変化する。例えば、クロモイオノフォアが重合性アクリル基を含む場合、グラフト条件は、溶剤、例えばEtOAc中の熱又は光開始型共重合を含んでよい。グラフトコポリマーは、平均分子量が少なくとも5,000,好ましくは少なくとも10,000、そして特に好ましくは少なくとも20,000ダルトン、例えば20,000〜200,000ダルトン、好ましくは50,000〜200,000ダルトンとなることが好都合である。
【0038】
1実施態様の場合、特性又は性能特徴が改善されたブレンドを得るために、本発明のグラフトコポリマーは他のポリマーとブレンドし、混和し、又は合体させることができる。
【0039】
例えば、ポリマー組成物は、ポリ(塩化ビニル)又はポリウレタン及び可塑剤、例えばビス(2-エチルヘキシル)セバケート(DOS)又はo-ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)とブレンドすると、機械的堅牢度が増大するという有益な効果を有する。PVCポリマー:グラフトポリマー組成物の相対比は、所望の通り変化してよく、好ましくは重量を基準として約95:5〜約80:20であってよい。
【0040】
本発明のグラフトポリマー及びブレンドポリマー組成物は、標的アニオンとイオノフォアとの相互作用を検出することができる種々のアニオン選択的センサにおいて使用するように適合させることができる。例えばグラフトポリマー及びブレンドポリマー組成物は、イオン選択的な膜、フィルム、又は粒子、例えばキャリヤをベースとするイオン選択的な電極(ISE)、薄膜イオン特異的オプトード、粒子をベースとするオプトード、及びバルク・オプトードを製作するために使用することができる。
【0041】
例えば、本発明の例4において記載された方法、又は当業者に知られた他の方法に従って、イオン選択的電極(ISE)のポリマー膜を製作するために、本発明のグラフトポリマーを使用することができる。
【0042】
本発明のポリマーは、薄膜イオン特異的オプトードにおいて使用されるべき薄膜を製作するために、又は当業者に知られている方法に従って、粒子をベースとするオプトードにおいて使用されるべきミクロスフェア粒子を製作するために使用することもできる。例えば、例5及び6において考察するように、溶剤流延技術又はスピン塗布技術によって、電極及びオプトードを調製することができる。
【0043】
本発明によるクロモイオノフォアは、既知の、そして低廉な光源、例えばハロゲン又はキセノンランプ又は発光ダイオードの使用を可能にする好適な吸収波長範囲及び発光波長範囲を有する。採用することができる検出器の例は、光ダイオードである。蛍光分光法に加えて、他の光測定法、例えば吸収分光法を用いることもできる。
【0044】
本発明のイオン検出センサは、全てのタイプの体液試料のイオンを検出するために使用することができる。試料の例としては、例えば全血、髄液、血清、尿、唾液、精液、涙液が挙げられる。体液試料は、薄めずに、又は希釈後又は緩衝剤による処理後にアッセイすることができる。
【0045】

本発明は、下記例及び下記考察を参照すると、よりよく理解することができる。
【0046】
試薬
4-ヒドロ安息香酸、塩化アクリロイル、塩化チオニル、N,N-ジメチルホルムアミド、四塩化炭素、2-カルボキシエチルアクリレート、トリエチルアミン及びビス4(2-オキソ-3-オキアゾリジニル)-ホスフィン酸クロリド(BOP−Cl)は、Aldrich (Milwaukee, WI)から入手された試薬等級であった。ナイルブルー塩化をStrem (Newburyport, MA)から入手した。合成のために使用された全ての溶剤は、Fisher Scientific (Pittsburgh, PA)から入手し、使用前にこれらを乾燥させた。モノマーであるメチルメタクリレート99.5%、n-デシルメタクリレート99%、n-ブチルアクリレート99%を、Polysciences, Inc.(Warrington, Pa.)から得た。重合開始剤2,2'-アゾビスイソブチロニトリル98%(AIBN)を、Aldrichから得た。エチルアセテート、ジクロロメタン、及び1,4-ジオキサンは試薬等級であり、Fisherから入手した。報告済の方法(19)によって、モノマーから阻害剤を除去した。AIBNは使用前に、高温メタノールから再結晶化した。9-(ジエチルアミノ)-5-オクタデカノイルイミノ-5H-ベンゾ[a]フェノキサジン(クロモイオノフォアI、ETH 5294)、tert-ブチルカリックス[4]アレーン-テトラキス(N,N-ジメチルチオアセトアミド)(鉛イオノフォアIV)、4-tert-ブチルカリックス[4]アレーン四酢酸テトラエチルエステル(ナトリウム・イオノフォアX)、ナトリウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート(NaTFPB)、o-ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)、ビス(2-エチルヘキシル)セバケート(DOS)、高分子量ポリ(塩化ビニル)、テトラヒドロフラン(THF)、及び全ての塩は、Fluka (Milwaukee, WI)から、Selectophore又はpuriss品質において購入した。
【0047】
Nanopure精製水(18MQ cm)中に適切な塩化物を溶解することにより、水溶液を調製した。
【0048】
例1
NB1の合成
工程1:55mLの水中25mLの四塩化炭素と9.2gのNaOHとの混合物中に、13.8g(0.1モル)の4-ヒドロ安息香酸を溶解した。続いて、低温混合物に0.12モルのアクリレート塩化物を液滴状に添加した。室温で6時間にわたって撹拌した後、反応混合物を希塩酸で中和した。結果として生じた沈殿物を濾過し、そして温水、希塩酸、及び水で洗浄した。粗生成物をエタノールから再結晶化した。白色の固形粉末を得た(収率90%)。
【0049】
工程2:9.6g(0.05モル)の4-アクリロイルオキシ安息香酸を、数滴のN,N-ジメチルホルムアミドを含有する30mLの塩化チオニルと、10時間にわたって反応させ、次いで、減圧下で過剰塩化チオニルを除去することにより、対応する酸塩化物を提供した(収率85%)。
工程3:13mLのCH2CL2中の317mg(1mmol)の塩基性ナイルブルーの溶液に、2mLのCH2CL2中に溶解された242mg(0.8mmol)の4-アクリロイルオキシベンゾイルクロリドを添加した。
【0050】
室温で15分間にわたって撹拌した後、反応混合物を50mLのCH2CL2で希釈し、次いで50mLの0.1M NaOHで洗浄した。有機相を濾過し、溶剤を蒸発し、そして残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(シリカゲル、エチルアセテート)によって、そしてエチルアセテートからの再結晶化によって精製することにより、370mg(0.63mmol、40%)のNB1を提供した。NB1の構造を1HNMRによって確認した。
【0051】
例2
NB2の合成
30mLの乾燥CH2CL2中2-カルボキシエチルアクリレート(0.736g)及び塩基性ナイルブルー(0.529g)の溶液に、撹拌しながら室温でEt3N(0.8g)を添加した。次いで、0.612gのBOP−Clを添加した。混合物を24時間にわたって還流した。反応混合物を10mLの飽和型NaHCO3及び水で洗浄した。溶剤の分離及び蒸発後に有機相を得た。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(1:5のEtOAc:ヘキサン)を使用して精製した。溶剤の蒸発後に、固形物を31%の収率で得た。NB2の構造を1HNMRによって確認した。
【0052】
例3
ポリマーの合成及び特徴付け
熱開始ラジカル溶液重合を介して、全てのポリマーを合成した。使用したメチルメタクリレート及びn-デシルメタクリレートの量は、前に報告されたものと同じであった(16,20)。グラフト型イオノフォアを含有するポリマーの場合、1重量%のナイルブルー誘導体(20mg)、0.78gのMMA、及び0.20gのDMAを、無水EtOAc中に溶解した。5.1mgのAIBNを添加する前に、溶液を20分間にわたってN2でパージした。均一溶液を連続して撹拌し、そして温度を所定の勾配で90℃まで上昇させ、これを16時間にわたって維持した。反応が完了した後、溶剤を蒸発させ、そしてポリマーを10mLのジオキサン中に再溶解した。
【0053】
ポリマー溶液のアリコート(2mL)を、強力に撹拌しながら100mLの蒸留水に添加した。沈殿物を捕集し、25mLのジクロロメタン中に溶解し、続いて、無水NaSO4で水を除去し、そして濾過した。溶液を蒸発させ、その結果生じたポリマーをメタノールで洗浄することにより、遊離イオノフォアの完全な除去を保証した。ポリマーを、周囲実験室条件下で乾燥させた(収率80%)。グラフト型ポリマーを、報告されているように(21,22)、H1NMRによって特徴づけた。
【0054】
グラフトされた色素の濃度を、H1NMRスペクトルから、40mmol/kgであると推定した。n-ブチルアクリレートとの重合のために、1gのn-BAを含有するEtOAc溶液を、30分間にわたって90℃で加熱した。反応温度を60℃まで低下させ、そしてさらに16時間にわたって、溶液に25mgのNB2を添加した。この改変された手順は、色素の分解を防止するために用いた。上述のように、ポリマー(収率60%)を精製して特徴づけた。グラフト型NB2の濃度を、1HNMRスペクトルから、40mmol/kgであると推定した。
【0055】
例4
ISE膜の調製及び測定
1.5mLのTHF中140mgの総カクテル塊を提供するように、クロモイオノフォア(10mmol/kg)、NaTFPB(2mmol/kg)、PVC、及び可塑剤(DOS又はNPOE)を溶解することにより、ISE膜を調製した。グラフト型クロモイオノフォアを有する膜のカクテルは、2mmol/kgのNaTFPB、グラフトされたインジケータ、PVC及び可塑剤(DOS又はNPOE)を含む10重量%MMA−DMAを含有した。カクテルをガラス顕微鏡スライド上に固定されたガラス・リング(内径2.2cm)内に注いだ。
【0056】
溶剤を一晩蒸発させることにより、透明な膜を提供した。親膜を、次いでpH緩衝溶液中で少なくとも12時間にわたって状態調節した。pH滴定のために、緩衝溶液は、1M標準HClによってpH1.5に調節された指示濃度(10mM又は0.1mM)のNaClを含む10mMクエン酸、及び10mMホウ酸であるか、又はバックグラウンドとしてのNaClを含む10mMリン酸緩衝溶液である。溶液は、0.1M標準NaOH溶液で滴定し、そして試料pHをモニターするために、pH電極を使用した。与えられた全ての試験結果は、計算された標準偏差を伴う、少なくとも3つの電極の平均値である。
【0057】
グラフト型クロモイオノフォアのpKaを測定するために、サンドイッチ膜法(23,24)を用いた。一方の単一親膜は、PVC−DOS、PVC−NPOE、又はMMA−DMAポリマー中に10mmol/kgのクロモイオノフォアと、5mmol/kgのNaTFPBとを含有するのに対して、他方のセグメントは、同じマトリックス中にNaTFPBだけを含有した。グラフト型イオノフォアの場合、一方の単一膜は、PVC−DOS、又はブランクMMA−DMA中に1.5mmol/kgのNaTFPBと、10重量%のMMA−DMA−NBポリマーとを含有するのに対して、他方の膜は、PVC−DOS、又はブランクMMA−DMAポリマー中に同じ量のNaTFPBを含有した。親膜を、クエン酸−ホウ酸緩衝溶液中で一晩にわたって条件調節した。
【0058】
全ての膜電極電位測定を、1M LiOAcブリッジ電解質を有するAg/AgCl基準電極に対する無撹拌塩溶液(条件調節・内部充填溶液と同一)中で実験室周囲温度で行った。
【0059】
例5
オプトード膜の調製及び測定
オプトード薄膜をスピン塗布によって調製した。カクテルは、THF中に溶解された遊離クロモイオノフォア、又はグラフト型クロモイオノフォア、PVC,及び可塑剤を含有した。200μLアリコートのカクテルを、スピン塗布装置内に配置された石英ディスク上にシリンジを用いて移した(1)。結果として生じた2〜3μm厚の膜を、種々異なる溶液中で平衡させた。
【0060】
以前に報告されているように(3,25)、HP8452Aダイオード・アレイ分光光度計を用いて、吸光度スペクトルを記録し、そして、蛍光顕微鏡法及び分光法によって、蛍光スペクトルを記録した。NB1及びNB2のモル吸収効率(e)をメタノール中で測定した。MeOH中2mLの2x10MのNB1又はNB2を、1cm石英セル内に入れた。先ず3μLの1M NaOHを、次いで10μLの1M HClを添加することにより、それぞれクロモイオノフォアのプロトン化形態及び脱プロトン化形態を得た後で、吸収スペクトルを報告した。
【0061】
Pb2+選択的な三成分薄膜をベースとするオプトードの場合、5重量%のNB1−MMA−DMA、8.1mmol/kgのNaTFPB、18.6mmol/kgのPb(IV)イオノフォア、及びPVC−DOS(1:2)を含有する、全部で300mgの膜成分を、1.75mLのTHF中に溶解した。Na+選択的な三成分薄膜をベースとするオプトードの場合、5重量%のNB2−MMA−DMA、10mmol/kgのNaTFPB、20mmol/kgのNa(X)イオノフォア、及びPVC−DOS(1:2)を含有する、全部で300mgの膜成分を、1.75mLのTHF中に溶解した。
【0062】
上記と同じスピン塗布装置及び蛍光顕微鏡によって、薄膜を調製し、そして特徴づけた。全てのデータポイントは、計算された標準偏差を伴う、5つの測定値の平均である。
【0063】
例6
粒子の調製及び測定
可塑剤を含まないミクロスフェアを、以前に記載された高スループット粒子キャスティング装置(25)を用いて調製した。カクテルは、2.09mg(53mmol/kg)のNaイオノフォア(X)、0.75mg(21mmol/kg)のNaTFPB、PnBA(10mmol/kg)中11mgのグラフト型NB2、及び1.5mLのシクロヘキサノン中に溶解された25.4mgのブランクPnBAを秤量することにより調製した。混合物をボルテックス混合器内で30分間にわたって振盪し、次いで、静かに撹拌しながら25mLのジクロロメタンにこれを液滴状に添加した。
【0064】
0.5mLのキシレンを添加した後、溶液を0.45μmのGelmanフィルタを通して濾過し、そして気密なHamiltonシリンジに移した。ポリマーコア溶液を含有するシリンジを、シリンジポンプ(Stoelting, Wood Dale, IL)上に取り付け、そして0.29mL/分の速度で流れるように設定した。43mL/分の速度で流れるシース液体流として使用される脱イオン水を、圧力調節器を介して制御した。周波数発生器は、11.9〜12.3kHzの設定値で動作させる。
【0065】
内径1.0mm及び壁厚0.15mmのホウケイ酸ガラス・マイクロ毛管を、応答時間測定のために使用した。捕集された粒子の50Lアリコートを、毛管セル内部にピペットで入れ、次いで、粒子を数時間にわたって沈降させておいた。毛管の各端部に、ポリエチレン管を取り付け、そして毛管を0.1mL/分の速度で動作する蠕動ポンプに接続した。その後、蛍光顕微鏡(3,26)による測定を30〜60秒毎又はこれよりも長い間隔で行った。
【0066】
例の検討
第1の重合性クロモイオノフォアNB1は、アクリロイルオキシベンゾイル基に結合された高塩基性オキサジン色素分子ナイルブルーの誘導体である。NB1系のイオン選択的電極(ISE)膜のpH応答を先ず調べた。遊離NB1を含有するISE膜を調製した。しかし、このクロモイオノフォアは、不十分な親油性に基づき、緩衝剤と接触する状態調節工程中に、膜から浸出することが判った。
【0067】
従って、エチルアセテート中のNB1、MMA及びDMAの溶液重合によって、また開始剤としてAIBNを用いて、NB1グラフト型ポリマーを調製した。溶液が無色のままになり、またポリマー中の未反応遊離NB1の除去を示すまで、精製されたポリマーを洗浄した。1重量%のNB1を含有するポリマーを、1H−NMRによって特徴づけた。アクリレート基の二重結合に対応するδ=6.5〜7.4ppm付近での信号の消失は、ポリマー中に残された遊離色素がないことを裏付けた。イオノフォアがグラフトされたMMA−DMAポリマーと、他のポリマー、例えば可塑化PVCとをブレンドすると、このことは、センサ応答に対して顕著な影響を示さないが、しかしISE膜の機械的安定性を改善できることが、以前に報告されている(16)。この研究において、ISE膜における初期評価のために、同じブレンド法が採用された。ここでは、10重量%のグラフト型NB1−MMA−DMAを、90重量%のPVC及びDOS(1:2質量比)と混合することにより、ISE膜を調製した。状態調節中及び測定中には、色素の浸出は観察されなかった。
【0068】
図2A及び2Bは、結果として生じた膜の、記録されたpH応答を示す。ネルンスト応答が、3未満のpHでのみ見いだされた。対応するPVC−NPOE膜の場合、pH範囲約1〜5でネルンスト応答が見いだされた。NPOE膜のより広い応答範囲は、NPOE系膜内の色素のより高いpKa値と一致する。この傾向は以前に報告されており、クロモイオノフォアの測定範囲及びpKa値は、異なる可塑剤と共に変化する(2,24)。
【0069】
グラフト型NB1をベースとする膜のカチオン選択性を、0.1M NaClバックグラウンドにおけるpH応答曲線を測定することによる固定干渉法(27)に従って測定した。Na+に対するH+の対応対数選択係数は、PVC−DOSに関してはlogKH,Napot=−3.1として、またPVC−NPOEに関してはlogKH,Napot=−5.3として計算した。
【0070】
相対的に小さなイオン選択性、及び狭いpH応答範囲は、他の報告されているナイルブルー誘導体とは著しく異なる。これは、クロモイオノフォアの低いpKa値、又はナトリウム・イオン干渉に対する顕著な結合親和力によって説明することができる。新しい色素NB1のpKa値は、一般に使用されるクロモイオノフォア、例えばETH5294よりも低いことが予想される。NB1におけるカルボキシル基及びベンゾイル基は、強い電子求引効果を有し、そしてジエチルアミノ基の窒素上の電子密度を減少させる。この窒素上の電子は、ETH5294よりも大きく非局在化されており、そして色素の塩基性を減少させる。
【0071】
膜ブレンド中のグラフト型NB1の見かけpKa値は、いわゆるサンドイッチ膜法によって、PVC−DOSに関しては4.42±0.05と測定され、またPVC−NPOEに関しては7.12±0.02と測定された。これらのデータは、グラフト型NB1を含有する膜の測定範囲を概ね説明するように見えるが、しかしNB1内のエステル官能性は、以前の研究(8,20)と同様に、何らかのアルカリ金属結合に部分的に関与することもある。
【0072】
図3Aは、THF溶液中の脱プロトン化形態及びプロトン化形態を成すNB1の吸光度スペクトルを示し、それぞれ510nm及び560/640nmで最大値を示す。NB1の吸光度スペクトルは、ETH5294の吸光度スペクトルと極めて類似している。バルク・オプトードにおいて使用されるクロモイオノフォアが、高いモル吸収係数(ε)を必要とすることが報告されている。モル吸収係数(ε)は、参考文献(2)に従って測定して、メタノール中、2.9 x 104L mol-1cm-1(660nm、プロトン化形態)、及び2.2 x 104L mol-1cm-1(510nm、脱プロトン化形態)であると見いだされた。これらの値は、ナイルブルー誘導体にとって典型的である。
【0073】
NB1の低いpKa値は、低い試料pHで遷移金属イオンを測定するための光学センサにおいてNB1を極めて魅力的にする。例えば、pH4の水溶液における鉛イオンの蛍光検出が、バルク・オプトード(26)とともに以前に報告された。蛍光測定に基づく光学センサは、吸光度モードに基づくオプトードと類似の組成を有するが、しかし蛍光活性pHインジケータを必要とする。
【0074】
アゾ色素ETH5315は、オプトード膜において5.5のpKaを示し、酸性溶液中の重金属検出に適することになる。残念ながら、これは極めて貧弱な蛍光特性を示す。ナイルブルー誘導体は通常、蛍光性なので、pKa値8.8のETH5418が、鉛測定のための代替物として選択された。残念ながら、蛍光に基づく測定のためにETH5418を使用するためには、内部フィルターによるアプローチの開発が必要となる。それというのもETH5418の塩基性形態は発光性ではないからである。従って、付加的な親油性基準色素が必要となる。図3Bは、それぞれ0.01MのHCl溶液及び0.01MのNaOH溶液と接触したMMA−DMAポリマー中のグラフト型NB1の蛍光スペクトルを示す。640nm及び680nmにおける発光ピークは、色素の脱プロトン化形態及びプロトン化形態に対応する。
【0075】
ポリマーマトリックス中のグラフト型NB1の蛍光スペクトルは、従って、一般的な色素ETH5294の蛍光スペクトルとほとんど同一である。NB1のこれらの魅力的な蛍光特徴、及びその低いpKaは、NB1を、酸性媒質中の鉛又は他の遷移金属イオンを測定するのに好適にする。この点を推定するために、鉛イオンのための光学センサを製作した。今日まで報告されているほとんどの場合、完全に可塑剤のないメタクリレートコポリマー・オプトード膜は、可塑化PVC膜よりも低速の拡散挙動、及び長い応答時間を示した(28)。許容できる程度に高速の応答時間(<15分)は、イオノフォア(AU−1)が共有結合された10重量%のMMA−DMAをDOS−PVCと混合すると得られた(28)。従って、ここでは、Pb+オプトードは、MMA−DMA中のPb−イオノフォア(IV)、イオン交換体NaTFPB、グラフト型NB1(5重量%)と、PVC−DOS(1:2質量比、90重量%)とを含有した。
【0076】
オプトード機能を評価するために採用される検知原理は、イオン交換メカニズム:
2 IndH+(org)+n L(org)+Pb2+(aq)+2R-(org)==
2 Ind(org)+LnPb2+(org)+2H+(aq)+2R-(org)
(1)
に基づく(29)。
【0077】
ここで、それぞれ、Indは中性クロモイオノフォアであり、Lはイオノフォアであり、そしてR-は、カチオン交換体である。有機検知相及び水性相は、(org)及び(aq)として示される。オプトード膜が鉛イオンと接触すると、鉛イオンは膜内に抽出され、そしてその過程において、膜内部の電気的中性を保つために、水素イオンを駆出する。膜からのプロトン放出の結果であるフルオロイオノフォアのプロトン化の程度の変化は、その蛍光特性の測定可能な変化をもたらす。実験で入手可能な脱プロトン化クロモイオノフォアのモル分率αの関数として与えられた、イオン交換平衡に基づく膜の応答は、
【数1】

として提供される(29)。
【0078】
ここでLT、CT、及びRT-はそれぞれ、イオノフォア、クロモイオノフォア、及び親油性イオン交換体の総濃度であり、ZIは、被分析物の電荷であり(ここではZI=2)、nは、複素化学量論値であり(ここではn=1)、そしてkexchは、イオン交換定数である(eq2とする)。
【0079】
図4は、試験データが、eq2で計算された理論応答曲線(実線)に十分に対応することを示す。pH4.7における動的な鉛(II)測定範囲は、Pb(II)のlog kexchが−4.3であるとして、10-7M〜10-3Mであることが見いだされた。これは、ETH5418(それぞれPVC−DOS及びPVC−NPOE中でpKa=8.6及び11.7、(24))に基づく別の鉛オプトード(26)の場合の−2.4の対数イオン交換定数と同等である。
【0080】
中性pHで動作することができる、共有結合的にグラフトされたクロモイオノフォアを有する光学センサを実現するために、第2の重合性クロモイオノフォアNB2を合成した。遊離溶解されたNB2を含有するISE膜に対して明らかな浸出が観察されないので、遊離NB2は、NB1よりも高親油性であることが判った。PVC−DOS膜及びPVC−NPOE膜における遊離NB2のpH応答が、図5A及び図5Bに示すように測定された。
【0081】
NB2系の膜は、DOS膜に関してはpH6〜10、NPOE膜に関してはpH5〜11のネルンスト応答範囲をもたらした。Na+に対するH+の対数選択係数は、遊離NB2を含有するDOS膜に関しては−10.3、そして遊離NB2を含有するNPOE膜に関しては<−11であることが見いだされた。サンドイッチ法によって測定されたDOS膜及びNPOE膜における遊離NB2のpKa値は、10.10±0.02(DOS)及び12.49±0.02(NPOE)であった。これらの値は、それぞれ同じ方法を用いたETH5294のpKa値(11.4及び14.8)よりも僅かに小さい。この相違は、ETH5294中には存在しないNB2中のエステルの誘導効果によって引き起こされ得る。
【0082】
上で用いられたのと同じ溶液重合法によって、NB2を、MMA−DMAポリマーマトリックス内に共有結合的にグラフトした。図6は、PVC−DOS又はPVC−NPOEとブレンドされたグラフト型NB2系膜のpH応答を示す。ネルンストpH応答範囲は、DOS膜に関してはpH3〜8、そしてNPOE膜に関してはpH4〜9であることが見いだされた。サンドイッチ法によって測定されたDOS膜及びNPOE膜内の遊離NB2の見かけpKa値は、9.2±0.02(DOS)及び11.24±0.02(NPOE)であった。
【0083】
グラフト型NB2−MMA−DMA膜の場合、Na+に対するH+の対数選択係数は、DOS膜に関しては−8.8、そしてNPOE膜に関しては−9.3であることが見いだされた。遊離NB2を含有する膜と比較した、僅かに減少した選択性は、エステル官能性に由来する何らかのイオン結合特性を有するメタクリレート・タイプのコポリマーの影響によって部分的に説明することができる。図7Aに示すように、NB2の吸光度特性をTHF溶液中で特徴づけた。NB1及びETH5294と同様に、NB2はまた、脱プロトン化形態の場合、550nmでピークを示し、またプロトン化形態の場合610/670nmでピークを示す。メタノール中のNB2のε値は、3.5 x 10(660nm、プロトン化形態)、及び2.8 x 104(550nm、脱プロトン化形態)であると測定された。これらの値は、ETH5294に関して報告された値(2)と極めて近い。
【0084】
図7Bは、HCl溶液及びNaOH溶液と接触した遊離NB2系PVC−DOS膜の蛍光スペクトルを表す。640nm及び680nmにおけるピークは、それぞれ色素の脱プロトン化形態及びプロトン化形態の発光最大値に相当する。ポリマーマトリックス中のNB2の蛍光スペクトルはまた、ETH5294の蛍光スペクトルとほとんど同一である(3,30)。
【0085】
これらの結果は、共有結合が、クロモイオノフォアの蛍光特性を変化させないこと、そしてグラフト型NB2を、中性pHで測定されるオプトードを用いた蛍光比の検出のためのH+−フルオロイオノフォアとして使用できることを示している。例5において、Na選択的オプトード薄膜を調製した。膜は、NB2−MMA−DMA、ナトリウムイオノフォアNa−X及びNaTFPBを含有した。オプトード機能を評価するために採用される検知原理は、上記のものと同じ塩基性イオン交換メカニズムに基づく(eq2においてZI=1及びn=1)。
【0086】
Na+に対するオプトード膜の応答曲線、及び対応する選択性挙動が図8に示されている。データポイントは、標準偏差を表すエラーバーを伴う平均実験値(n=3)に対応する。実線は、eq2に基づいた理論曲線を描く。NB2−MMA−DMA膜で観察された応答曲線は、理論上予測される挙動に十分に対応し、このことは、フルオロイオノフォアがその共有結合状態において十分に機能的で有り続けることを裏付ける。観察されたイオン交換定数は、log kexch=−4.5であることが判り、この値は、同じNaイオノフォアとイオン交換体とを含有するが、しかしより塩基性のクロモイオノフォアであるETH5294を含有する膜に対応する−6.3(実験値)と同等である。2つのlog kexch値の差は、pKa値の差によく対応する。図8において破線で示されているように、マグネシウム、カリウム、及びナトリウム・イオンが全て良好に識別される。ナトリウム曲線と同じpHの1Mカチオン塩化物塩溶液中で、選択性を特徴づけた。カリウム、マグネシウム、及びカルシウム・イオンに対するナトリウムの対数選択係数は、それぞれ−2.03、−2.97、及び−3.07であることが判った(クロモイオノフォアの半プロトン化において)。これら3つの干渉イオンのそれぞれの対数値は、文献の値(31,32)に良好に対応する。
【0087】
過去の研究において、完全に可塑剤のないメタクリレートコポリマー・オプトード膜はしばしば、可塑化PVC膜よりも低速の拡散挙動、及び著しく長い応答時間を示した。MMA−DMAから成るミクロスフェアの応答時間は、12時間もの長さであることが判った(28)。応答時間を短縮するために、可塑剤無しのセンサを調製するための「内部可塑剤」としてポリn-ブチルアクリレート(PnBA)を使用することができる。その低いTg及び高い流動性により、PnBAは単独では、ISE膜を形成するのに適さず、他の、Tgがより高いポリマーと一緒に使用されなければならない。しかしながら、ポリ(n-ブチルアクリレート)は、可塑剤無しのミクロスフェアの調製には適していることが見いだされ、拡散はこのマトリックス中で迅速に生じる。
【0088】
例6において、NB2がグラフトされたポリ(n-ブチルアクリレート)を、EtOAc中でNB2とn-ブチルアクリレートとの共重合によって調製した。結果として生じたPnBA粒子を、以前に記載された高スループット粒子キャスティング装置(25)を用いて大量に製作した。図9は、ナトリウム・イオンに対するPnBA粒子の蛍光応答を示す。粒子は、イオノフォアNa−X、NaTFPB、NB2−PnBA、及びブランクPnBAを含有した。粒子の応答を、上述の類似のスピン塗布膜の応答と比較する。各データポイントは、10の測定値の平均であり、実線は、eq2に基づく理論上予測される応答である。
【0089】
粒子は、薄膜をベースとするオプトードと同じ選択シーケンスを有する。交換定数及び選択性も、薄膜オプトードに極めて類似しており、このことは、粒子が薄膜と完全に類似して機能することを示唆する。図10は、ガラス毛管セルの底部に堆積され、そしてナトリウム・イオン濃度を変化させる流動流れにおいて特徴付けられる単一の検知粒子の典型的な応答時間を示す。図10に見られるように、10μm粒子の平衡応答は、事実上10分以内に達成され、この応答時間は、以前に報告された12時間と比較して劇的に短縮され、多くの臨床用途及び生物医学用途にとって許容できるものである。
【0090】
2種の重合性ナイルブルー誘導体(NB1及びNB2)を合成した。これらの誘導体は、確立済のナイルブルー誘導体ETH5294と同様の吸光度及び蛍光スペクトルを示す。2種の色素の間の構造的な変化は、幅広く異なるpKa値、及び結果として生じる検知膜の測定範囲の大きなシフトをもたらす。ポリマーマトリックス中に色素が共有結合されると、この新しい材料は、イオン選択的オプトードにおけるpHインジケータ及びフルオロイオノフォアとして成功裡に使用することができる。
【0091】
NB1−MMA−DMAは、低いpKa値と2つの蛍光発光ピークとを示し、そして、低いpH値及び/又は低い被分析物濃度で動作する遷移金属選択的オプトードを製作するために、ETH5418よりも適したクロモイオノフォアであると思われる。PVC−DOS又はNPOEとブレンドされたNB2−MMA−DMAは、より大量のイオン(特にアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオン)の測定のために近中性pHで使用されるイオン・オプトードを調製するのに適している。
【0092】
より高速の応答時間を有するポリマーを調製するために、NB2をPnBAと共重合することもできる。グラフト型NB2を含有し、且つ可塑剤を含有しない最初に報告された疎水性バルク・オプトードを、NB2−MMA−DMAを使用して調製し、このオプトードは、高速応答時間と共に、古典的なオプトード理論に基づいて機能的なNa+応答を示した。一般的な干渉、例えばCa、K+、及びMg+に対して観察される選択性は、高いことが判った。
【0093】
特定の好ましい実施態様を参照しながら本発明をかなり詳細に説明してきたが、他の実施態様も可能である。従って、添付の特許請求の思想及び範囲は、本明細書中に記載された好ましい実施態様の記述内容に限定されるべきではない。
【0094】
特許請求の範囲、要約、及び図面を含む本明細書中に開示された全ての特徴、並びに、開示された任意の方法又はプロセスにおける工程全ては、このような特徴及び/又は工程の少なくともいくつかが互いに排他的であるような場合の組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。特許請求の範囲、要約、及び図面を含む本明細書中に開示されたそれぞれの特徴は、特に明示的な定めのない限り、同一、同等、又は類似の目的のために役立つ代わりの特徴によって置き換えることができる。従って、特に明示的な定めのない限り、開示されたそれぞれの特徴は、包括的な一連の同等又は類似の特徴の一例に過ぎない。
【0095】
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29.Lerchi, M.; Bakker, E.; Rusterholz, B.; Simon, W., Anal. Chem. 1992, 64, 1534-1540.
30.Shortreed, M.; Bakker, E.; Kopelman, R., Anal. Chem. 1996, 68, 2656-2662.
31.Seiler, K.; Simon, W., Anal. Chim. Acta 1992, 266, 73-87.
32.Chan, W. H.; Lee, A. W. M.; Lee, C. M.; Yau, K. W.; Wang, K., Analyst 1995, 120, 1963-1967.
【図面の簡単な説明】
【0096】
添付の図面を参照すれば、本発明がよりよく理解される。
【図1】図1は、H+−クロモ及びフルオロイオノフォアとして利用可能な、商業的に入手可能なナイルブルー誘導体、並びに本発明の実施態様に従って調製されるNB1及びNB2を示す概略図である。
【図2A】図2Aは、本発明の実施態様に従って調製されるNB1−MMA−DMA系PVC−DOS膜の電位差測定pH応答を示すグラフである。
【図2B】図2Bは、本発明の実施態様に従って調製されるNB1−MMA−DMA系PVC−NPOE膜の電位差測定pH応答を示すグラフである。
【図3A】図3Aは、MeOH中のプロトン化形態及び脱プロトン化形態を成す遊離NB1の吸光度スペクトルを示す図である。
【図3B】図3Bは、MeOH中のプロトン化形態及び脱プロトン化形態を成す遊離NB1の蛍光スペクトルを示す図である。
【図4】図4は、グラフト型NB1−MMA−DMA、Pb−イオノフォア(IV)、NaTFPB、PVC、及びDOSを含有するPb2+−選択的オプトード膜の蛍光応答曲線を示す図である。
【図5A】図5Aは、遊離溶解されたNB2を含有するPVC−DOS膜の電位差測定pH応答曲線を示す図である。
【図5B】図5Bは、遊離溶解されたNB2を含有するPVC−NPOE膜の電位差測定pH応答曲線を示す図である。
【図6A】図6Aは、グラフト型NB2−MMA−DMA系PVC−DOS膜の電位差測定応答を示す図である。
【図6B】図6Bは、グラフト型NB2−MMA−DMA系PVC−DOS膜の電位差測定応答を示す図である。
【図7A】図7Aは、MeOH中のプロトン化形態及び脱プロトン化形態を成す遊離NB2の吸光度スペクトルを示す図である。
【図7B】図7Bは、MeOH中のプロトン化形態及び脱プロトン化形態を成す遊離NB2の蛍光スペクトルを示す図である。
【図8】図8は、pH7.4における、ナトリウム(開いた円)、マグネシウム、カリウム、及びカルシウムイオンに対する、NB2−MMA−DMA、Na(X)、及びNaTFPBを含有するオプトード膜の蛍光応答曲線、及び観察された選択性を示すチャートである。
【図9】図9は、ナトリウム・イオンに対する、NB2−MMA−DMA、ポリ(n-ブチルアクリレート)、Na(X)、及びNaTFPBを含有する10μm直径のオプトード・ミクロスフェアの蛍光応答曲線、及び選択性を示すチャートである。
【図10】図10は、ガラス毛管セルの底部に堆積され、そしてナトリウム・イオン濃度を変化させる流動流れにおいて特徴付けられる図9の単一の検知ミクロスフェアの典型的な応答時間を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
pHインジケータ;重合性基;及びこれらの間のスペーサを含む、組成物。
【請求項2】
該pHインジケータが、ナイルブルー誘導体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該重合性基が、アクリレート又はメタクリレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
該スペーサがオキシアルキル基である、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
該スペーサがオキシプロピル基である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
該スペーサがオキシベンゾイル基である、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
構造:
【化1】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
構造:
【化2】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物を重合することによって形成される、ポリマー。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物を、重合性モノマーと共重合することにより形成される、指示ポリマー。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物とコモノマーとのコポリマーを含む、指示ポリマー。
【請求項12】
該pHインジケータがナイルブルー誘導体である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
該コモノマーが、アクリレートとメタクリレートとから成る群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
該コモノマーが、メチルメタクリレートとデシルメタクリレートとを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
コモノマーが、ポリ(n-ブチルアクリレート)を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
請求項11に記載のポリマーを含む、pHを指示するためのオプトード。
【請求項17】
さらに、自己可塑化ポリマーを含む、請求項16に記載のオプトード。
【請求項18】
さらに、グラフト型イオノフォアを含む、請求項16に記載のオプトード。
【請求項19】
粒子状オプトードであって:
NB1及びNB2から成る群から選択された少なくとも1種の組成物を含む指示用ポリマーと;
ポリ(n-ブチルアクリレート)と
を含む、粒子状オプトード。
【請求項20】
さらに、グラフト型イオノフォアを含む、請求項19に記載の粒子状オプトード。
【請求項21】
pHインジケータ、スペーサ、及び重合性基を含むモノマーを用意し;そして
該モノマーとコモノマーとを合体させ;
コポリマーを形成するために、該モノマーとコモノマーとを重合する
ことを含む、標的イオンに対する選択性を有するコポリマーの製造方法。
【請求項22】
該モノマーと該コモノマーとが、熱開始ラジカル溶液重合によって重合される、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−516030(P2009−516030A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540366(P2008−540366)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/060805
【国際公開番号】WO2007/059449
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(504227992)ベックマン コールター,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】