説明

光センサ装置及びEUV放射を検出する方法

【課題】EUVシステム内で蓄積される汚染の量をモニタリングできる光センサ装置を提供する。
【解決手段】極端紫外線リソグラフィシステムにおける使用のための光センサ装置が開示される。装置は、センサ表面およびセンサ表面からデブリを除去する除去機構を備えた光るセンサを含む。したがって、ドーズおよび/または汚染測定は、リソグラフィシステムに対して都合よく行われ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、光センサ装置およびこれを含むリソグラフィ装置に関する。一実施形態では、本発明は、極端紫外線リソグラフィシステムにおける使用のための光センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射するステッパ、および放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射する、スキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0003】
[0003] EUV放射に加えて、EUVリソグラフィに使用される放射源は、一般に、光学部品およびリソグラフィプロセスが行われる作業環境に対して有害である汚染物質材料を生成する。これは、特に、放電生成レーザ誘導プラズマを介して動作するEUV源の場合において行われる。したがって、EUVリソグラフィにおいては、EUV源から来る放射ビームを調節するように構成された光学システムの汚染を制限するという願望が存在する。さらに、EUVシステム内で蓄積される汚染の量をモニタリングできることが望ましい場合もある。別の願望は、EUV源によって生成されるEUVエネルギーの量をモニタリングできることであり得る。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本発明の一態様によると、極端紫外線リソグラフィシステムにおける使用のための光センサ装置であって、センサ表面を含む光センサと、センサ表面からデブリを除去する除去機構とを含む光センサ装置が提供される。
【0005】
[0005] 本発明の一態様によると、EUV放射を検出する方法であって、EUV放射を検出するために光センサのセンサ表面をEUV放射を生成するEUV源に露光させることと、センサ表面からデブリを除去することとを含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
[0006] 本発明の実施形態は、一例としてのみ、対応の参照符号が対応部分を示す付属の概略図を参照して説明される。
【0007】
【図1】[0007] 本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を示す。
【図2】[0008] 本発明の一実施形態を示す。
【図3】[0009] 本発明の別の実施形態を示す。
【図4】[0010] EUV透過率比と汚染度との間の関係を図示するグラフを示す。
【図5】[0011] 本発明の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0012] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示している。装置は、
[0013] -放射ビームB(例えば、UV放射またはEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0014] -パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置付けるように構成された第1のポジショナPMに連結されているサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、
[0015] -基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置付けるように構成された第2のポジショナPWに連結されている基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、
[0016] -パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成されている投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0009】
[0017] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0010】
[0018] サポート構造は、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0011】
[0019] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定機能層に対応することになる。
【0012】
[0020] パターニング構造は、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニング構造の例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは周知であり、バイナリ、レベンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0013】
[0021] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0014】
[0022] 本明細書に示されているとおり、装置は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)である。また、装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0015】
[0023] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のサポート構造)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブル(および/またはサポート構造)を並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル(および/またはサポート構造)上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブル(および/またはサポート構造)を露光用に使うこともできる。
【0016】
[0024] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体、例えば水、によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間、例えば、マスクと投影システムとの間、に液浸液を加えてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるための技術においてよく知られている。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、単に、露光中、投影システムと基板との間に液体があるということを意味するものである。
【0017】
[0025] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0018】
[0026] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタを含んでもよい。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータおよびコンデンサといったさまざまな他のコンポーネントを含んでもよい。イルミネータは、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせるように、放射ビームを調整するために使用することができる。
【0019】
[0027] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2のポジショナPWおよび位置センサIF2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置付けるように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1のポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使い、例えば、マスクライブラリからマスクを機械的に取り出した後またはスキャン中に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置付けることもできる。通常、サポート構造MTの移動は、第1のポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2のポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、サポート構造MTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、1つより多いダイがパターニングデバイスMA上に設けられている場合、パターニングデバイスアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0020】
[0028] 例示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0021】
[0029] 1.ステップモードにおいては、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度に(すなわち、単一静止露光)ターゲット部分C上に投影する。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静止露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0022】
[0030] 2.スキャンモードにおいては、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズよって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0023】
[0031] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0024】
[0032] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0025】
[0033] 図2では、本発明の実施形態が示されている。EUV放射システム2のための光センサシステム1が示され、センサシステム1は、EUV源4に露光されたセンサ表面3を含む。さらに、除去機構5が示されており、除去機構5は、センサ表面3からデブリ層6を除去するように構成されている。デブリ層は、例えば、Sn(一般的に、SnEUV源を使用している場合)および/または炭素のような他の汚染物質を含む。一般的に、放射システム2は、SnまたはXe源のような放電生成プラズマ源4を含むが、他の種類の放射源も可能である。図2に示された放射源4は、一般的に、放射源4から伝わるデブリ8と共にEUV放射7が定期的に生成されるように、パルス方法で動作する。典型的な動作周波数は、数(十)kHzの範囲内にある。
【0026】
[0034] 図2に示された実施形態では、光センサシステム1は、EUV感応性シンチレーション(scintillation)材料9およびシンチレーション材料9から電磁放射11を受けるために光検出器10を含み、放射11は、入射EUV放射7によるシンチレーション材料9のシンチレーション12によって生成される。他の材料も可能ではあるが、一実施形態では、EUV感応性シンチレーション材料9は、YAG:Ceを含む。したがって、YAG:Ce材料は、EUV放射をより高い波長放射、一般的に、光ダイオード等を用いて通常電子的に変換される可視光放射(青)へと変換する。
【0027】
[0035] 化学洗浄等の他の洗浄方法も可能であり得るが、一実施形態では、デブリ除去機構は、水素ラジカル供給システム5を含む。そのような水素ラジカル供給システムは、供給された水素ガス分子からラジカル15を生成するために、水素ガス供給システム13およびフィラメント14または当業者に知られているマイクロ波等の他の手段を含んでもよい。示された実施形態では、例えば、このラジカルジェネレータは、例えば2000℃の熱フィラメントであってもよい。水素ラジカルでの洗浄を使用して、EUV源に直接面するドーズセンサを提供することが可能であり得る。
【0028】
[0036] 動作の一態様では、デブリ層6は、センサ表面3から間欠的に除去されてもよい。そのような動作モードでは、センサは、一定の時間間隔において、あるいは例えば、光検出器10がフォトニックエネルギー(photonic energy)11をもう受けていないか、または不十分に受けているかを示す所定の閾値を達した場合のような要求の際に、時々洗浄される汚染検出器として使用されてもよい。そのような動作モードでは、汚染度は、センサ表面上の堆積したデブリ層6の厚さを導き出すことによってモニタリングすることができ、これは図4を参照してさらに明らかになる。動作の別の態様では、デブリ8は、センサ表面3から連続的に除去されてもよく、これは、光センサシステム1の使用中に除去機構が有効的にアクティブであることを意味する。ここで、汚染度は、一定のレベル、望ましくはゼロまたは、例えば、デブリ層6の厚さを実質的に一定に保つことによってEUVエネルギーの入射ドーズを確実に決定できるレベルで保たれる。
【0029】
[0037] 図2に示された実施形態では、EUV放射7を使用する利点は、特にEUV放射が、高波長放射とは対照的に、薄い汚染層5に対して非常に敏感であることである。これによって、前述の実施形態は、最も敏感であり、最も速い応答を与える。
【0030】
[0038] しかしながら、一部の場合、そのような高い感度を必要としないこともある。その場合、YAG:Ce材料9は、例えば、一片のガラスで置換することができ、LEDのような別の放射源(図示せず)によって生成される、例えば、UV−IR光の範囲のより長い波長の放射ビームを使用することができる。そのような実施形態は、費用がかからない場合があり、それと同時に、センサを汚染8に対してあまり敏感ではないようにする。したがって、この実施形態は、より厚い厚さの汚染が期待される用途に適している。これは、例えば、放射源デブリ8が十分に存在しているEUV源の近くの位置であり得る。
【0031】
[0039] 一実施形態では、センサは、EUV放射に露光されたEUVリソグラフィ装置における様々な箇所に配置されてもよい。例えば、光学部品上の汚染(例えば、炭素)量の増加をモニタリングし、かつ汚染増加における突然の増大(例えば、真空における漏れによって)を警戒するためのアラームを有するために、センサは、イルミネータまたは投影光学部品の近くに配置されてもよい。
【0032】
[0040] 一実施形態では、センサは、EUV放射およびデブリに直接面して、EUV源の近くに配置されてもよい。
【0033】
[0041] 一実施形態では、センサは、パターニングデバイス上に累積する汚染量をモニタリングするためにパターニングデバイス(例えば、マスク)の近くに配置される。パターニングデバイスが清潔であり続けることが重要であり、したがって、ここでは、汚染量を検出するように構成されたモニタが有利である。例えば、パターニングデバイスは、EUVレジストの脱ガスによって汚染される場合がある。
【0034】
[0042] 水素ラジカルを使用してYAGサンプルからSn汚染を除去することができるか否かがテストされ、高い洗浄レート(560nm/h以上であり得る)が生み出されることが分かった。実験では、スパッタ堆積を使用して4.7nmのSnの薄い層が上に堆積した円形(直径1cm)の片のYAGが使用された。次に、Sn層の厚さが測定された。次に、サンプルが、熱フィラメントHラジカル源を使用して水素ラジカルにさらされた。動作電流は22.0Aであり、電圧は21.0Vであった。バックグラウンド圧力は20.0mbarであり、サンプルホルダの温度は15〜50℃の間で変化した。表1は、実験の結果を示している。30秒の全処理時間の中で、全てのSnがサンプルから除去され、少なくとも4.7nm/30秒=0.16nm/s=564nm/hの洗浄レートに対応した。
【0035】
[0043]
【表1】

【0036】
[0044] 図3は、光センサ装置の別の実施形態を示している。この実施形態では、EUV源4が示されている。さらに、光センサシステム1およびデブリ除去機構5が示されている。ここで、センサ表面3は、回転可能なEUV半透明プレート16の表面部である。除去機構5は、半透明プレート16の別の部分からデブリ8を除去するように構成されている。プレート16は、連続的または間欠的に回転されてもよく、検出器10の前に位置付けされた部分はスペクトルフィルタとして使用されてもよく、除去機構5の近くに位置付けされた部分は洗浄される。あるいは、プレートは、デブリにさらされた部分を除去機構5に向かって移動するためにシフトまたは移されてもよい。一実施形態では、EUV半透明プレート16は、10〜20nmの範囲内の波長を有する放射を選択的に通過させる。例えば、EUV半透明プレート16は、Nbフィルタ、Zr/Si多層フィルタまたはZr/Nb多層フィルタを含んでもよい。また、図3に示された実施形態のように、このセンサシステム1の用途は、例えば、汚染モニタまたはドーズセンシングシステムとして使用されてもよい。
【0037】
[0045] 本発明の一態様によると、図3の実施形態は、EUVに対する一部の透過を有する一方、Snデブリを止めるフィルタ(例えば、厚さ100nmのNbフィルタは、62%のEUV透過を有する)を使用し、フィルタの通常洗浄は水素洗浄を使用する。これは、フィルタ16が一周ごと洗浄ステーション5を通過するようにフィルタ16を回転させ、かつ検出器10がEUVを受けるが、検出器に面していないフィルタの一部が放射源4から遮蔽されるようにアパーチャ17をフィルタ16の前に置くことによって行うことができる。
【0038】
[0046] 実用例として、図3に示された実施形態によるEUV検出器1は、EUV源4から10cmの距離を置いて配置されている。EUV源4は、一般的に、1パルス当たり1015〜1016の原子と等しい量のデブリを生成する。15kHzの繰り返し周波数に対しては、2.510−5〜2.510−4モルのSn(SnEUV源に対して)と等しい、1秒当たり151018〜151019の原子の総量が発される。したがって、この例においては、単位面積当たりのSn原子のフラックス(10cmの距離)は、1.9810−4〜1.9810−3mol/(m2*s)であり、2.3510−5〜2.3510−4kg/(m2*s)のSnの堆積マスおよび3.2〜32nm/sの層の厚さ(Snの密度は7.2910kg/mである)に対応する。この例を使用して、一般的なSn洗浄レートは、3.2〜32nm/sであるかまたはそれより良く、これは、例えば、図2および図3の実施形態に示されたように、水素ラジカル15を水素ラジカル供給システム13から供給することによる水素洗浄方法を使用することによって可能である。当然、洗浄方法は、この種類の水素洗浄に制限されておらず、ハロゲン洗浄等の別の洗浄方法であってもよい。
【0039】
[0047] 水素洗浄が適用される実施形態では、望ましくは、洗浄される表面には、例えば、Si層によって提供され得る、0.2より少ない水素ラジカル再結合定数を有するキャップ層が提供される。そのようなキャップ層は、水素洗浄の効率を大幅に改善し得る。
【0040】
[0048] さらに、フィルタ16が放射源4に露光される露光の時間が0.8nmの厚さ、またはより一般には、0.4〜2nmの範囲の厚さのSn層という結果になるように、回転周波数Qは、望ましく選択される。約32nm/sの増加レートに対しては、これは、約0.8/32=25msより少ない露光時間を意味する。1cmのアクティブセンサ面積3に対する典型的な値では、これは、約0.01/0.025=0.4m/sより速い直線速度を意味し、15cmのEUV検出器1のアクティブ面積3の中心と回転の中心との間の典型的な半径方向距離に対しては、0.4Hzより高い回転周波数に対応し得る。
【0041】
[0049] 図4を参照すると、EUV透過率比と汚染度との間の関係を示すグラフが図示されている。したがって、入射および透過したエネルギーの比率として規定される透過率がデブリ層6の厚さとともに指数関数的に減少する指数関数の関係がほぼあることを示している。例えば、1nmの汚染の厚さは、5%の透過率の違いに対応し、これは、放射センサで通常達成することが容易な精度である。30nmの厚さに対しては、透過率比は約0.1であり、100nmの厚さに対しては、透過率比はほぼゼロに減少する。
【0042】
[0050] したがって、検出器10による透過率比の測定は、汚染量、より詳細には、デブリ層6の厚さを示す。汚染は、ゆっくりと時間内に累積されるか、または、例えば真空システムにおける問題(例えば、真空タンク内の漏れ)によって直ちに増加するかのいずれかであり得る。したがって、光センサシステム1によって検出される透過率比の連続的モニタリングは、汚染の急激な増大のような検出された不規則性の際に行われる適時で十分な作用のための手段であり得る。さらに、一実施形態では、シンチレーション材料は、およそ2〜3%の変換効率(すなわち、EUV放射を可視光に変換する)を有するYAG:Ceである。別の材料であるCaS:Ceは、およそ0.1〜2%の変換効率を有しており、これも適している。
【0043】
[0051] 図5は、センサ表面3からデブリ6を除去するように構成された除去機構5の別の実施形態を示している。この実施形態では、除去機構5は、センサ表面3の温度を能動的または受動的に上昇させるために加熱システム18を含む。温度を上昇させることによって、堆積したデブリの量をデブリ蒸発レートに合わせることができる動的平衡を達成でき、例えば、Snデブリの場合、そのような上昇温度は約900℃より高く、最高約1400℃であり得る。したがって、長期のタイムフレームにわたってドーズ測定または汚染測定を行うことができる、連続的または半連続的な状態を達することができる。例えば、図5に示されるように、センサ表面は、壁19を加熱するように構成された加熱要素20を含む直立壁19で囲まれてもよい。さらに、これらの壁は、光をセンサ表面3および/または検出器10に向かって収集およびコリメートするためにコリメータ21として提供されてもよい。
【0044】
[0052] さらに、例えば、図5に関連して示された構成では、10mmの流水層22は、IR吸収ガラスフィルタ23と組み合わせて、25.4Wおよび1.6Wのそれぞれ(27Wの推定総量に基づく)を冷却することが可能であり得る。水流の上層を、例えば、MgF、SiOまたはCaFの広帯域スペクトル透過フィルタを使用して封鎖することができる。
【0045】
[0053] 本明細書中の1つ以上の実施形態は、実質的に、センサシステム1とEUV源4との間の経路に提供されるさらなるデブリ緩和手段なしにEUV源4付近で使用されてもよい。しかしながら、目的によっては、センサシステム1は、放射システム2のさらに下流、例えば、汚染物質トラップ(図示せず)の付近にあってもよい。汚染物質トラップは、EUV源によって生成される放射の透過の方向に対して略平行に位置合わせされた多数のきっちり詰まったホイルを使用するデバイスであってもよい。微小粒子、ナノ粒子およびイオンなどの汚染物質デブリ8は、ホイルプレート8によって提供される壁にトラップされることができる。したがって、そのようなホイルトラップは、放射源から汚染物質材料をトラップする汚染バリアとして機能する。ホイルトラップから下流には、コレクタが存在してもよく、このコレクタは、EUV源からEUV放射を収集し、かつEUV放射を投影光学部品によって下流にさらに調節されたビームへと焦点を合わせるように機能する。したがって、コレクタは、EUV源4からのEUV放射をさらなるEUV光学部品へと収束する。そのようなコレクタ要素は、中心軸方向に沿って円柱状に対称であってもよく、実質的に1〜7cmの範囲の距離で積み重ねられた、同軸に曲がったシェルで形成された反射面を含む。あるいは、多層法線入射型であってもよい。
【0046】
[0054] 本明細書中に説明された光センサ装置の1つ以上の実施形態が放射源の付近に配置された装置として説明されたが、センサは、例えばシステムの汚染レベルを測定するため、特に、例えば炭素レベル等を測定するためにさらなる下流光学部品で使用することができる。そのような実施形態では、センサ表面は、EUV放射源に直接露光されないかもしれないが、1つ以上のEUV反射ミラーを介して間接的に露光される場合がある。
【0047】
[0055] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ露光装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0048】
[0056] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0049】
[0057] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)、および極端紫外線(EUV)放射(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0050】
[0058] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0051】
[0059] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。
【0052】
[0060] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外線リソグラフィシステムにおける使用のための光センサ装置であって、
センサ表面を含む光センサと、
前記センサ表面からデブリを除去する除去機構と
を含む、光センサ装置。
【請求項2】
前記光センサは、EUV感応性シンチレーション材料および検出器を含み、前記検出器は、入射EUV放射が引き起こすシンチレーションに応答して前記シンチレーション材料から発されるフォトニックエネルギーを検出する、請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項3】
前記EUV感応性シンチレーション材料は、YAG:Ceを含む、請求項2に記載の光センサ装置。
【請求項4】
前記センサ表面は、回転可能プレートの表面部を含み、前記除去機構はデブリを前記プレートの別の部分から除去する、請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項5】
前記プレートは、EUV半透明プレートまたはEUV感応性シンチレーション材料である、請求項4に記載の光センサ装置。
【請求項6】
前記EUV半透明プレートは、前記EUV源からEUV放射ビームのスペクトル範囲を選択的に透過させる、請求項5に記載の光センサ装置。
【請求項7】
前記EUV半透明プレートは、10〜20nmの範囲内の波長を有する放射を選択的に通過させる、請求項5に記載の光センサ装置。
【請求項8】
前記EUV半透明プレートは、Nbフィルタ、Zr/Si多層フィルタまたはZr/Nb多層フィルタを含む、請求項5に記載の光センサ装置。
【請求項9】
前記除去機構は、水素ラジカル供給システムを含む、請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項10】
前記センサ表面は、0.2より少ない水素ラジカル再結合定数を有するキャップ層を含む、請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項11】
前記キャップ層は、Siを含む、請求項10に記載の光センサ装置。
【請求項12】
前記除去機構は、前記センサ表面の温度を上昇させる加熱システムを含む、請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項13】
前記上昇温度は、少なくとも900℃である、請求項12に記載の光センサ装置。
【請求項14】
前記センサ表面は、壁を加熱する加熱要素を含む直立周囲壁に囲まれている、請求項12に記載の光センサ装置。
【請求項15】
前記EUV源は、レーザ誘導プラズマ源または放電生成プラズマ源である、請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項16】
前記プラズマ源は、SnまたはXeを含む、請求項15に記載の光センサ装置。
【請求項17】
EUV放射を検出する方法であって、
前記EUV放射を検出するために光センサのセンサ表面をEUV放射を生成するEUV源に露光させることと、
前記センサ表面からデブリを除去することと
を含む、方法。
【請求項18】
前記センサ表面上に配置されたデブリ層を介して透過される放射の放射透過率比を導き出すことと、
放射システムの汚染度に前記透過率比を関連させることと
をさらに含み、
前記デブリは前記センサ表面から間欠的に除去される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記デブリ層を介して透過される放射は、前記EUV放射源によって透過されたEUV放射である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記センサ表面上に配置されたデブリの一定の量を提供するために前記センサ表面から前記デブリを連続的に除去することと、
前記センサ表面に入射するEUV放射エネルギーレベルを計算することと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記一定の量は、実質的にゼロに等しい、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−228742(P2011−228742A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−162445(P2011−162445)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【分割の表示】特願2009−530300(P2009−530300)の分割
【原出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】