説明

光ディスク、光ディスク装置、情報記録方法、および情報再生方法

【課題】複数種類のデータ記録密度で記録されるディスクにおいて、そのディスク管理情報を誤りなく容易に読み出すこと。
【解決手段】光ディスク1には、互いに異なるデータ記録密度にて情報を記録する複数のデータ記録領域103,104を有する。データ記録領域103,104におけるデータ記録密度の情報は、管理情報記録領域(BCA領域101およびPIC領域102)に、データ記録領域103,104のデータ記録密度に依存しない特定のフォーマットにて記録する。ここに各データ記録領域は、ディスクの同一面内に分割して配置され、あるいは、複数の記録層に分割して配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類のデータ記録密度で情報を記録するための光ディスク、光ディスク記録再生装置および情報記録再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高密度大容量記録可能な光ディスクでは、記録層を多層化することで更なる大容量化が進められている。例えばブルーレイディスク(BD)では、1枚のディスクに100GBの情報を記録するために、標準のデータ記録密度である25GB/layerの4層化と、さらに高密度化した33GB/layerの3層化などのアプローチがなされている。このように、データ記録密度を始め記録フォーマットの異なる光ディスクが出現すると、これらを識別しそのフォーマットに対応して記録再生を行う光ディスク装置が必要になる。
【0003】
これに関連する技術として、例えば特許文献1には、ディスクの種類に応じて光学系(開口数、NA)を切り替え、さらにこれに連動して信号処理系の特性を変更する構成が開示されている。また特許文献2には、1枚のディスクが異なるフォーマットで記録された複数の記録層を持つ場合、各記録層のフォーマットを認識するために、リードイン領域に複数の記録層のフォーマット情報を記録する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−282785号公報
【特許文献2】特開2007−26617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記したように、BD多層ディスクの場合、従来の標準密度(25GB/layer)と高密度(33GB/layer)の2種類のデータ記録密度が候補とされている。この場合、いずれのフォーマットでも青色レーザーの波長は405nm、開口数(NA)は0.85を用いるので、ディスク面の反射率などによるフォーマット判別は困難になる。よって、前記特許文献1に記載の技術ではディスクを識別して再生することができない。
【0006】
特許文献2では、2種類のフォーマット(HD_DVDとDVD)が混在する多層ディスクの識別を行うため、リードインエリア(System/Data Read in Area)やBCA(Burst Cutting Area)に各層のフォーマット情報(レイヤーフォーマットテーブル)を記録しておくものである。しかしながら、次の点で不都合が生じる。
【0007】
(1)リードインエリアの場合、フォーマット情報自身が、そのリードインエリアが属する層のフォーマットに依存して記録されている。リードンエリアから情報を読み出すためにはそのフォーマットが既知でなければならないが、層とフォーマットの対応が決められていない場合、リードンエリアの情報の読み出しに失敗することが予想される。
【0008】
(2)フォーマット情報を記録する領域(ディスク管理情報領域)が高密度フォーマットで記録される領域であると、従来の標準密度(=低密度)にのみ対応した装置では読み出し不能となりディスクの判別が不可能である。
【0009】
(3)多層ディスクの場合、各層のフォーマットとともに層の記録可否情報を合わせて管理することが望ましい。その場合、ディスク製造後にフォーマット情報を記録できることが必要となる。特許文献2に示されるリードインエリアやBCAは、ディスク製造時に作成されるものであって、製造後に記録することはできない。
【0010】
本発明の目的は、複数種類のデータ記録密度で記録されるディスクにおいて、そのディスク管理情報を誤りなく容易に読み出し可能な光ディスク、光ディスク記録再生装置および情報記録再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、所定の記録密度で情報を記録する光ディスクにおいて、情報を記録するためのデータ記録領域と、データ記録領域におけるデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報を記録するための管理情報記録領域を有し、管理情報記録領域には、データ記録領域のデータ記録密度に依存しない特定のフォーマットにてディスク管理情報を記録する。
【0012】
本発明は、複数の記録密度で情報を記録可能な光ディスクにおいて、同一面内に分割して配置され、互いに異なるデータ記録密度にて情報を記録する複数のデータ記録領域と、複数のデータ記録領域における各々のデータ記録密度と各データ記録領域の境界位置の情報を含むディスク管理情報を記録するための管理情報記録領域を有し、管理情報記録領域には、複数のデータ記録領域の各々のデータ記録密度に依存しない特定のフォーマットにてディスク管理情報を記録する。
【0013】
本発明は、複数の記録層を有し複数の記録密度で情報を記録可能な光ディスクにおいて、記録層毎に異なるデータ記録密度にて情報を記録する複数のデータ記録領域と、各記録層のデータ記録領域における各々のデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報を記録するための管理情報記録領域を有し、管理情報記録領域には、複数のデータ記録領域の各々のデータ記録密度に依存しない特定のフォーマットにてディスク管理情報を記録する。
【0014】
本発明は、複数の記録層を有し複数の記録密度で情報を記録可能な光ディスクにおいて、記録層毎に異なるデータ記録密度にて情報を記録する複数のデータ記録領域と、複数のデータ記録領域における各々のデータ記録密度を含むディスク管理情報を記録するための管理情報記録領域を有し、管理情報記録領域は、複数のデータ記録領域の中でデータ記録密度が標準密度であるデータ記録領域内の一部領域に配置し、ディスク管理情報を該領域のデータ記録密度のフォーマットにて記録する。
【0015】
本発明は、光ディスクのデータ記録領域に情報を記録または再生する光ディスク記録再生装置において、光ディスクの管理情報記録領域には、データ記録領域のデータ記録密度に依存しない特定のフォーマットにてデータ記録領域のデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報が記録されているものであって、光ディスクを回転させるスピンドルモータと、光ディスクの管理情報記録領域からディスク管理情報を読み出すとともに、光ディスクのデータ記録領域に情報を記録または再生する光ヘッドと、光ヘッドに供給する記録信号または光ヘッドからの再生信号を処理する記録再生処理部と、光ヘッドにより読み出したディスク管理情報から目標のデータ記録領域のデータ記録密度または間接的にデータ記録密度と関連を持つ情報を判定する記録密度判定回路と、を備え、記録再生処理部は、記録密度判定回路により判定したデータ記録密度に応じて、記録再生処理条件を選択して設定するもしくは適切な方法で以降の動作を停止する。例えばディスク層数とデータ記録密度が一対一に対応をする場合は、ディスク層数により記録再生条件の選択、もしくは適切な方法で以降の動作を停止する動作を実施する。また、その他の例としてディスクの記録容量もデータ記録密度と関連する情報となる場合があり、その場合はディスク記録容量により記録再生条件の選択、もしくは適切な方法で以降の動作を停止する動作を実施する。
【0016】
本発明は、光ディスクのデータ記録領域に情報を記録または再生する情報記録再生方法において、光ディスクの管理情報記録領域には、データ記録領域のデータ記録密度に依存しない特定のフォーマットにてデータ記録領域のデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報が記録されており、前記特定のフォーマットに従ってディスク管理情報を再生するための再生条件を設定するステップと、光ディスクの管理情報記録領域からディスク管理情報を読み出すステップと、読み出したディスク管理情報からデータ記録領域のデータ記録密度または間接的にデータ記録密度と関連を持つ情報を判定するステップと、判定したデータ記録密度に応じて記録再生処理条件を選択して設定するステップと、設定した記録再生処理条件にてデータ記録領域にて情報を記録または再生するステップ、もしくは適切な方法で以降の動作を停止するステップとを備える。
【0017】
また本発明は、光ディスクのデータ記録領域に情報を記録または再生する情報記録再生方法において、光ディスクの管理情報記録領域には、データ記録領域のデータ記録密度に依存しない特定のフォーマットにてデータ記録領域のデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報を記録することにより、このディスクの記録、再生に対応していない既存ドライブに前記ディスクが装着された時に、既存ドライブが正しい処理(例えば安全に機能を停止する、ディスクを排出する)を行うために必要なディスク判別情報を既存ドライブが取得できるようにするための手段を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数種類のデータ記録密度で記録される光ディスクに対し、そのディスク管理情報を誤りなく容易に読み出し可能となる。また、従来の標準記録密度ディスクのみに対応した装置でもディスクの判別処理が可能となり、ユーザの利便性が向上する。さらに複数種類のデータ記録密度で記録された光ディスクに対応した装置でも、そのディスク管理情報を誤りなく容易に読み出し可能となる。さらに、既存ドライブ装置が記録、再生対応しない光ディスクが該装置に挿入された場合において、既存ドライブ装置が前記ディスクを安全に判別して正しく処理(例えば安全に機能を停止する、ディスクを排出する)を行うことができ、誤ってディスクのデータを消去する、もしくはドライブ装置内を破壊するなどの動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1における光ディスク(タイプA,タイプB)の記録レイアウトの一例を示す図。
【図2】実施例1のディスクにおけるディスク管理情報の表記例を示す図。
【図3】実施例1における光ディスク記録再生装置の構成例を示す図。
【図4】実施例1における光ディスク記録再生装置の他の構成例を示す図。
【図5】実施例1の記録再生処理の手順を示すフローチャート。
【図6】実施例2における光ディスク(タイプC)の記録レイアウトの一例を示す図。
【図7】実施例2のディスクにおけるディスク管理情報の表記例を示す図。
【図8】実施例2における光ディスク記録再生装置の構成例を示す図。
【図9】トラッキングよぎり数によるアドレス判定方法を示す図。
【図10】実施例2の記録再生処理の手順を示すフローチャート。
【図11】実施例3における光ディスク(タイプD)の記録レイアウトの一例を示す図。
【図12】実施例3のディスクにおけるディスク管理情報の表記例を示す図。
【図13】実施例3における光ディスク記録再生装置の構成例を示す図。
【図14】実施例3の記録再生処理の手順を示すフローチャート。
【図15】実施例4における光ディスク(タイプE)の記録レイアウトの一例を示す図。
【図16】実施例4における光ディスクの記録レイアウトの他の例(タイプE’)を示す図。
【図17】実施例4の記録再生処理の手順を示すフローチャート。
【図18】実施例5の処理の手順を示すフローチャート。
【図19】実施例5における光ディスク記録再生装置の構成例を示す図。
【図20】実施例1,2、4、5におけるPIC領域のウォブル構造の一例を示す図。
【図21】実施例1,2、4、5におけるPIC領域のディスク内配置の一例を示す図。
【図22】実施例1,2、4、5におけるPIC領域のディスク情報テーブルの一例を示す図。
【図23】1−7変調方式のテーブルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0021】
本実施例は、多層ブルーレイディスク(BD)において、データ記録密度が全層とも標準密度(25GB/layer)のディスク(以下、タイプAと呼ぶ)、または全層とも高密度(33GB/layer)のディスク(以下、タイプBと呼ぶ)を対象とする。層数については、例えば25GB/layer×4層構成、33GB/layer×3層構成として、両者ともディスク全体の容量を100GBとしたものである。但し、一層あたりの記録容量、ディスク一枚あたりの層数、ディスク一枚あたりの総記録容量は一例であり、これに限るものではない。また本明細書ではデータ記録密度の違いをユーザデータ領域の一層あたりの記録容量に換算して説明しているが、これは説明の都合上、そのように表記しているものである。タイプAとタイプBのディスクの識別法と、これに対する記録再生装置の処理法を述べる。
【0022】
表1は、タイプAとタイプBのディスクにおける記録フォーマットの主要諸元を比較して示したものである。なお、線速度はタイプAの標準速度である、4.917m/sを想定したものである。タイプA(25GB/layer)のディスクは、最短マーク長=0.149μm、トラックピッチ=0.32μmであるのに対し、タイプB(33GB/layer)のディスクは、最短マーク長=0.113μm、トラックピッチ=0.32μmである。なお、両者は記録情報信号の変調規則およびディスク上のデータ、アドレッシング、およびそれらに同期したウォブル等のディスクフォーマットを同一としている。また本説明では両者の線速度を同一と想定しており、タイプAよりもタイプBの方が線方向のデータ記録密度が高いことにより両者でチャンネルクロック周波数、ウォブル周波数が異なる。そのため、記録再生時にはこれらの変更に従って処理条件を切替える必要がある。すなわち、最短マーク長に対し再生信号レベル処理、クロック周波数に対し再生イコライザや記録ストラテジの条件、ウォブル周波数に対しアドレス再生条件の切り替えを行う。
【表1】

【0023】
図1は、光ディスク(タイプA,タイプB)の記録レイアウトの一例を示す図である。
【0024】
タイプA、タイプBのディスクは、ディスク内周側から、BCA(Burst Cutting Area)領域101、PIC(Permanent Information & Control data)領域102、データ記録領域103,104が置されている。BCA領域101は、ディスクの中心側に28.6um間隔に4〜17um幅のバーコードで情報が記載され、データ記録領域の記録密度とは独立した記録密度となっている。これらはディスク製造後にYAGレーザーと呼ばれる強力な赤外線レーザーにより反射膜を焼き切ることにより記録される。本領域はディスク製造後にメーカーの必要情報を記載するための領域であり、例えば各ディスクの識別を行なうためのシリアルID、および暗号化情報などが記録される。
【0025】
またPIC領域102は、BDにおける管理情報領域であり、トラックのウォブルに対してウォブル周波数の変化で管理情報を重畳させた領域である。図20にPIC領域のウォブル構造を示す。このウォブル周波数はチャネルクロック周波数の整数倍で定義され、高周波グルーブ(HFMグルーブ)を形成している。HFMグルーブの領域ではディスクフォーマットに従ったピット、マークなどによるデータ情報の記録を行わないため、ウォブル周波数をデータ領域の記録密度とは独立して設定可能である。これらはディスク製造時にスタンパ等によりデータ領域のウォブル(溝)と同様に形成され、ディスク製造時にあらかじめ定められた、たとえば記録/再生に必要とされるレーザーパワー値などが記述される。
【0026】
図21はBDディスクのある層のディスク内の領域配置を示す図である。ディスク最内周側にクランピング、および緩衝領域を含むインナーゾーンが配置され、最外周側にはリム領域が配置される。その間を情報領域とし、その最内周にはBCA領域が配置される。BCA領域の外周側から情報ゾーンが始まり、内周側からリードインゾーン、データゾーン、リードアウトゾーン(アウターゾーン)で構成される。
【0027】
リードインゾーンは各種ディスク管理情報が記録される領域であり、内周側からProtection Zone1、PIC領域、Protection Zone2,INFO2領域、Reserved領域、INFO1領域で構成される。
【0028】
BCA領域は前述のようにデータ領域とは独立した記録密度領域であるのに対し、PIC領域はチャネルクロックの整数倍であるため、両者のフォーマットは異なる。そのため、Protection Zone1が緩衝領域として設けられる。
【0029】
一方、INFO2以降はデータ領域と同じフォーマットで記録される。データ領域ではユーザ記録データ対して、LDC(Long Distance Code)コードを付加された上で、図23に一例が示される1−7変調テーブルに則ってデータが変調され、ディスク記録される。したがって、データ領域のフォーマットは前述したPIC領域のデータフォーマットと異なるため、Protection Zone2が緩衝領域として設けられる。
INFO1,2はそれぞれディフェクト管理などのディスク管理情報が記録される領域でありINFO1,2に同じデータを記録することで、ロバスト性を強化している。
【0030】
図22はPIC領域に記録されるディスク情報(DI:Disc Information)の種類、およびバイトテーブルの一例を示す。
【0031】
先頭バイトと次のバイトには、本バイトテーブルがDI情報であることを示す識別子と、テーブルに配置される情報の種類を示すDIフォーマットナンバーを配置する。
バイト4からバイト7はDI情報のフレーム数、連続数、DI数などDIの復調に必要な情報が格納される。
バイト8以降はディスク関連情報が記録される。バイト8からバイト10はディスクタイプを示す識別子が記録される。バイト11は規格で管理されるディスクのバージョン情報が記録される。
バイト12、13は層数などのディスク構造情報、およびチャネルビット長などディスクに依存する情報が記録される。
バイト24から31はデータゾーンの割り当て情報が記録される。
データ記録領域103と104には、それぞれ記録密度25GB/layerと33GB/layerにて情報(データ)を記録する。
【0032】
本実施例では、ディスク製造時に、BCA領域101またはPIC領域102に、さらにデータ記録領域103と104のデータ記録密度などのディスク管理情報を記録する。ここでBCA領域101とPIC領域102は、タイプA、タイプBのいずれのディスクでもユーザデータ記録領域と異なる固有のフォーマットでありタイプA、タイプBで同一である。ディスク管理情報はこのフォーマットに従った特定の記録密度にて記録される。言い換えれば、ディスク管理情報を記述する記録密度は、ディスク内のデータ記録領域103,104のデータ記録密度に依存しないようにする。
【0033】
図2は、タイプA,タイプBのディスクにおけるディスク管理情報(データ記録密度情報)の表記例を示す表である。データ記録密度情報もしくはデータ記録密度に関連する情報(例えば一層あたりの記録容量)を記述するときのビット配置の一例である。
【0034】
なお、以降の説明では、データ記録密度情報もしくはデータ記録密度に関連する情報(例えば一層あたりの記録容量)を、単に密度情報と称し、例えば25GB/layerと記載する。
【0035】
ここでは、記録密度25GB/layer相当(タイプA)を“0000”ビットで、記録密度33GB/layer相当(タイプB)を“0001”ビットと定義して記述している。このビット値を識別することで、当該ディスクの記録密度もしくはデータ記録密度に関連する情報を判別することができる。
【0036】
図3は、本実施例における光ディスク記録再生装置の構成例を示す図である。
【0037】
主な構成要素を説明する。1は光ディスク(ここでは図1に示したBD)、2は光ディスクを回転させるスピンドルモータ、25は光ヘッドである。光ヘッド25は、光ディスク1にレーザー光(波長405nm近傍の青色レーザー)を照射して、ディスク管理情報を読み出すとともに、光ディスク1のデータ記録領域103,104に対し情報の記録/再生を行う。また、複数のデータ記録密度に対応するため、密度判定回路35、第1および第2の再生信号処理回路9,10、第1および第2のウォブル信号処理回路14,15、第1および第2のストラテジ格納メモリ30,31を備える。マイコン32は、ディスク管理情報の読み出し、記録再生処理回路の設定、記録再生動作の実行などを制御する。
【0038】
本実施例では、光ディスクのBCA領域101またはPIC領域102からディスク管理情報を読み出し、密度判定回路35にて対象ディスクの密度情報(25GB/layerか、33GB/layerか)を判別する。その判別結果に従い、第1および第2の再生信号処理回路9,10を切り替えて、復調回路12で再生信号を復調する。また、第1および第2のウォブル信号処理回路14,15を切り替えて、アドレス生成回路17で記録再生アドレスを再生する。また、第1および第2のストラテジ格納メモリ30,31を切り替えて、記録ストラテジ生成回路27にて記録信号を生成する。再生信号処理回路9,10の切り替えでは、最短マーク長やクロック周波数に合わせた再生イコライザの設定、ウォブル信号処理回路14,15の切り替えでは、ウォブル周波数に合わせたアドレス再生の設定、ストラテジ格納メモリ30,31の切り替えでは、クロック周波数に合わせた記録ストラテジの設定を行う。
【0039】
図4は、光ディスク記録再生装置の他の構成例を示す図である。前記図3の構成と比較して、スピンドルモータ2の回転を制御する回転制御回路40と、第1および第2の回転制御係数格納メモリ42,43を設け、図3における第1および第2のウォブル信号処理回路14,15を削除した。密度判定回路35により対象ディスクの密度情報(25GB/layerか、33GB/layerか)を判定し、回転制御係数格納メモリ42,43の切り替えを行う。これにより、密度に応じてディスクの回転数を変更し、再生されるウォブル周波数を一定にすることができる。
【0040】
図5は、本実施例の記録再生処理の手順を示すフローチャートである。
【0041】
S301では、光ディスク装置にディスクを挿入する。ここでは、ディスクは25GB/layer(タイプA)か、33GB/layer(タイプB)である。
【0042】
S302では、ディスクからディスク管理情報(データ記録密度情報)を読み出すための再生条件を設定する。すなわち、BCA領域101またはPIC領域102のフォーマットに従った再生条件を設定する。
【0043】
S303では、光ヘッドをディスク上の管理情報記録領域(BCA領域またはPIC領域)へ移動させる。
【0044】
S304では、管理情報記録領域からディスク管理情報を読み出す。
【0045】
S305では、読み出した記録密度情報から、当該ディスクが25GB/layer(タイプA)か、33GB/layer(タイプB)かを判定する。
図22に示すPIC領域からディスク管理情報を読み出してデータ記録密度を判定する場合、以下の方法が考えられる。
1. バイト12に記載されるディスクの層構造の情報からの判別
2. バイト11に記載されるディスクのバージョン情報などの規格管理情報からの判別
3. バイト13に記載されるディスクのチャネルビット情報からの判別
上記の記録密度判定方法により25GB/layer(タイプA)と判定された場合は、S306へ進み、25GB/layer用の記録再生処理条件(再生信号処理回路、ウォブル信号処理回路、記録ストラテジ)に設定する。
【0046】
33GB/layer(タイプB)と判定された場合は、S307へ進み、33GB/layer用の記録再生処理条件(再生信号処理回路、ウォブル信号処理回路、記録ストラテジ)に設定する。
【0047】
S308では、ホストから情報の記録または再生指示のコマンドを待ち、指示があったらS306またはS307にて設定した条件にて記録/再生動作を実行する。
【0048】
本実施例では、ディスク管理情報はBCA領域またはPIC領域に特定のフォーマットにて記録されているので、管理情報の再生条件は一義に決定される。よって、いずれの記録密度のディスクが挿入されても、管理情報の再生条件は同一であるため、当該ディスクの記録密度を誤りなく容易に判定し、それに合った記録再生動作を実行することができる。
【実施例2】
【0049】
本実施例は、データ記録密度として標準密度(25GB/layer)の領域と高密度(33GB/layer)の領域とが、同一面内(同一層内)で混在するディスク(以下、タイプCと呼ぶ)を対象とする。簡単のために層数は単層とするが、多層であっても構わない。タイプCのディスクは、標準密度(25GB/layer)対応の従来装置と高密度(33GB/layer)対応の高密度対応装置のいずれの装置でも、装置が対応する領域に対して記録、再生が可能である。
【0050】
図6は、光ディスク(タイプC)の記録フォーマットの一例を示す図である。(a)は平面構成、(b)は半径方向の構成を示す。
【0051】
タイプCのディスクは、同一面内に内周側から、BCA領域111、PIC領域112、第1の記録密度領域(25GB/layer)113、第2の記録密度領域(33GB/layer)114の順に配置されている。符号115は、第1の記録密度領域113と第2の記録密度領域114との境界である。この境界部115には、半径方向に所定幅の未記録部(ギャップ領域)を持たせても良い。BCA領域111またはPIC領域112には、ディスク管理情報(データ記録密度情報)を記録する。BCA領域111とPIC領域112はユーザデータ記録領域と異なる固有のフォーマットを有するので、ディスク管理情報は特定の記録密度にて記録される。言い換えれば、ディスク管理情報の記録密度は、ディスク内のデータ記録領域113,114のデータ記録密度に依存しない。
【0052】
図7は、ディスクCにおけるディスク管理情報(データ記録密度情報)の表記例を示す図である。密度情報を記述するときのビット配置の一例である。情報の内容としては、複数の記録密度が混在するかどうかを示す項目(Hyblid)を追加し、また記録密度境界の位置情報(アドレス値)を記述する。Hyblid=“1”であれば混在ディスク(タイプC)であることを示し、複数の密度情報と境界アドレス値を記述する。Hyblid=“0”であれば、単一の記録密度(タイプA,タイプB)であることを示す。図7の表記によれば、タイプA,B,Cを判別することができる。
【0053】
なお、ディスクCにおけるデータ記録密度情報などのディスク管理情報の記載方法としては、図20から22に示すPICフォーマットによる記載も考えられる。
【0054】
図22に示すPIC領域からディスク管理情報を読み出してデータ記録密度を判定する場合、以下の方法が考えられる。
1. バイト12に記載されるディスクの層構造の情報からの判別
2. バイト11に記載されるディスクのバージョン情報などの規格管理情報からの判別
3. バイト13に記載されるディスクのチャネルビット情報からの判別
図8は、本実施例における光ディスク記録再生装置の構成例を示す図である。本実施例では、前記図3の構成において、密度情報格納メモリ50、アドレス判定回路51、トラッキングよぎり数(TES)カウント回路52を備えたものである。
【0055】
タイプCのディスクから読み出された密度情報や境界アドレス情報は密度情報格納メモリ50に格納され、これらはアドレス判定回路51にて参照される。アドレス判定回路51はアドレス生成回路17からの現在アドレス情報を受け、対象領域の密度(25GB/layerか、33GB/layerか)を判定する。判定結果により、第1および第2の再生信号処理回路9,10の切り替えと、第1および第2のウォブル信号処理回路14,15の切り替えと、第1および第2のストラテジ格納メモリ30,31の切り替えを行う。また、目標領域(目標アドレス)までのトラックよぎり数を計算し、TESカウント回路52によりトラック数をカウントすることで目標領域へのシーク動作を行う。
【0056】
図9は、トラッキングよぎり数によるアドレス判定方法を示す図である。横軸はアドレス値(半径位置)、縦軸はTESカウント回路52によるトラックよぎり(TES)数累計である。区間201は25GB/layerの領域、区間202は33GB/layerの領域で、境界アドレスは“1000000h”ある。アドレス増加とともにTES数累計は増加するが、その勾配は記録密度に依存し区間201と区間202とで異なる。境界アドレスが“1000000h”のときのTES数累計CNT1を算出しておき、TESカウント回路52によりCNT1までカウントすることで、境界アドレスにシークすることができる。さらに、境界部からのトラッキングよぎり数をカウントすることで、目標領域(アドレス)に到達することができる。
【0057】
図10は、本実施例の記録再生処理の手順を示すフローチャートである。(a)はディスクローディング時の工程、(b)は記録再生処理時の工程である。
【0058】
S401では、光ディスク装置にディスクを挿入する。ここでは、ディスクは標準密度(25GB/layer)の領域と高密度(33GB/layer)の領域とが、同一面内で混在するディスク(タイプC)である。
【0059】
S402では、ディスクからディスク管理情報(データ記録密度情報)を読み出すための再生条件を設定する。すなわち、BCA領域111またはPIC領域112のフォーマットに適合する再生条件を設定する。
【0060】
S403では、光ヘッドをディスク上の管理情報記録領域(BCA領域111またはPIC領域112)へ移動させる。
【0061】
S404では、管理情報記録領域からディスク管理情報を読み出す。
【0062】
S405では、管理情報記録領域から読み出したディスク管理情報(データ記録密度、密度境界アドレス値)を密度情報格納メモリ50に格納する。
【0063】
S406では、ホストから情報の記録または再生指示のコマンドを待つ。
【0064】
次に記録再生処理に進む。
【0065】
S411では、ホストから情報の記録または再生のコマンドを受ける。
【0066】
S412では、受けたコマンドから記録/再生の目標アドレスを取得する。
【0067】
S413では、目標アドレスと、密度情報格納メモリ50に格納しているディスク管理情報(データ記録密度、密度境界アドレス値)とから、目標アドレスでの記録/再生条件に設定する。すなわち、記録再生処理条件(再生信号処理回路、ウォブル信号処理回路、記録ストラテジ)を25GB/layer用の条件、または33GB/layer用の条件に設定する。
【0068】
S414では、目標アドレスと密度情報格納メモリ50に格納しているディスク管理情報とから、目標アドレスまでの各領域のデータ記録密度と、目標アドレスまでのトラックよぎり数(TES)を算出する。
【0069】
S415では、トラックよぎり数をカウントして、目標領域へシーク動作する。
【0070】
S416では、到着位置のアドレスを読み出して、シーク終了を確認する。
【0071】
S417では、データの記録/再生動作を開始する。
【0072】
S418では、記録/再生アドレスが記録密度の境界アドレスかどうかを判定する。境界の場合はS419へ、境界でなければS422へ進む。
【0073】
S419では、記録/再生動作を中断する。
【0074】
S420では、密度情報格納メモリ50から次の領域の記録密度情報を読み出し、その密度に対応する記録再生処理条件(再生信号処理回路、ウォブル信号処理回路、記録ストラテジ)に設定する。
【0075】
S421では、次の記録密度領域まで移動する。
【0076】
S422では、1アドレス単位で記録/再生処理を行う。
【0077】
S423では、記録/再生用データが全て終了したかどうか判定する。残りのデータがあればS418へ戻り処理を継続する。残りのデータがなくなれば、S424にて記録再生処理を終了する。
【0078】
本実施例によれば、データ記録密度が同一面内で混在するディスク(タイプC)においても、BCA領域またはPIC領域にディスク管理情報(記録密度の配置、境界アドレス)が固定のフォーマットにて記録されている。よって、管理情報の再生条件は一義に決定され、誤りなく容易に判定できる。そして、ディスク内の目標位置の記録密度に従い、それぞれの記録密度に合った記録再生動作を実行することができる。
【実施例3】
【0079】
本実施例は、データ記録密度が標準密度(25GB/layer)の層と高密度(33GB/layer)の層とが混在する多層ディスク(以下、タイプDと呼ぶ)を対象とする。タイプDのディスクは、標準密度(25GB/layer)対応の従来装置と高密度(33GB/layer)対応の高密度対応装置のいずれの装置でも装置が対応する層に対して記録、再生が可能である。
【0080】
図11は、光ディスク(タイプD)の記録フォーマットの一例を示す図である。ここでは、25GB/layerの層と33GB/layerの層とが交互に4層配置した構成の例である。ディスク表面側から各記録層をL0,L1,L2,L3とする。各層において、内周側から、BCA領域121、PIC領域122、データ記録領域123,124を配置している。各層のデータ記録領域123,124では25GB/layerまたは33GB/layerのデータ記録密度でデータが記録される。なお、BCA領域121は各層にて存在するが、PIC領域122はL0層のみに形成する。本例では、ディスク管理情報(データ記録密度情報)をPIC領域122に記録する。PIC領域122は、ユーザデータ記録領域と異なる固有のフォーマットを有するので、ディスク管理情報は特定の記録密度にて記録される。言い換えれば、ディスク管理情報の記録密度は、近接するデータ記録領域123のデータ記録密度に依存しない。なお、PIC領域122のあるL0層の記録密度を常に標準の25GB/layerとすることで、標準密度(25GB/layer)対応の従来装置との互換性を保持することができるという効果がある。あるいは、PIC領域122をデータ記録密度が最低となる記録層に配置するようにしても良い。
【0081】
なお、PIC領域へのデータ記録密度情報の記載方法としては、図22に示すようにディスクバージョン情報などの規格管理情報、チャネルビット長、および記録密度と関連した情報、例えば記録密度により層数が異なるようなディスクの場合はディスク構造情報などが考えられる。
【0082】
図12は、ディスクDにおけるディスク管理情報(データ記録密度情報)の表記例を示す図である。密度情報を記述するときのビット配置の一例である。情報の内容としては、各層毎の記録密度の記述欄を設け、データ記録密度を2ビットで記述する。ここでは8層分の欄を設け、記録密度25GB/layerを“00”ビットで、記録密度33GB/layerを“01”ビットと定義して記述している。
【0083】
図13は、本実施例における光ディスク記録再生装置の構成例を示す図である。本実施例では、前記図3の構成において、密度情報格納メモリ60、フォーカスエラー信号(FES)生成回路62、フォーカスエラーサーボ回路63、現在層判定回路64を備えたものである。FES生成回路62は各層からのよぎり信号を生成し、フォーカスエラーサーボ回路63は目標層へのフォーカス引き込みを行う。
【0084】
タイプDのディスクから読み出された各層の密度情報は、密度情報格納メモリ60に格納され、現在層判定回路64にて参照される。現在層判定回路64は、FES生成回路62からのFE信号と、アドレス生成回路17からの再生アドレスを入力して、現在層が何層目かを判定する。また密度情報格納メモリ60からの密度情報により、現在層の記録密度(25GB/layerか、33GB/layerか)を判定する。判定結果により第1および第2の再生信号処理回路9,10の切り替えと、第1および第2のウォブル信号処理回路14,15の切り替えと、第1および第2のストラテジ格納メモリ30,31の切り替えを行う。
【0085】
図14は、本実施例の記録再生処理の手順を示すフローチャートである。(a)はディスクローディング時の工程、(b)は記録再生処理時の工程である。
【0086】
S501では、光ディスク装置にディスクを挿入する。ここでは、ディスクは標準密度(25GB/layer)の層と高密度(33GB/layer)の層とが多層化されて混在するディスク(タイプD)である。
【0087】
S502では、光ヘッドのフォーカスを、ディスク管理情報(データ記録密度情報)が記録されている特定の層(L0層)へ引き込む。
【0088】
S503では、ディスクからディスク管理情報を読み出すための再生条件を設定する。
【0089】
S504では、光ヘッドをディスク上の管理情報記録領域(PIC領域122)へ移動させる。
【0090】
S505では、管理情報記録領域からディスク管理情報を読み出す。
【0091】
管理情報記録領域であるPIC領域から読み出すディスク管理情報としては、以下が考えられる。
1. バイト12に記載されるディスクの層構造の情報
2. バイト11に記載されるディスクのバージョン情報などの規格管理情報
3. バイト13に記載されるディスクのチャネルビット情報
S506では、管理情報記録領域から読み出したディスク管理情報(各層のデータ記録密度)を密度情報格納メモリ60に格納する。
【0092】
S507では、ホストから情報の記録または再生指示のコマンドを待つ。
【0093】
次に記録再生処理に進む。
【0094】
S511では、ホストから情報の記録または再生のコマンドを受ける。
【0095】
S512では、受けたコマンドから記録/再生の目標アドレスを取得する。
【0096】
S513では、記録/再生の目標アドレスから目標層が何層目かを計算する。
【0097】
S514では、密度情報格納メモリ60に格納した情報を参照し、目標層の記録密度を判定する。
【0098】
記録密度が25GB/layerの場合は、S515へ進み、25GB/layer用の記録再生処理条件(再生信号処理回路、ウォブル信号処理回路、記録ストラテジ)に設定する。
【0099】
記録密度が33GB/layerの場合は、S516へ進み、33GB/layer用の記録再生処理条件(再生信号処理回路、ウォブル信号処理回路、記録ストラテジ)に設定する。
【0100】
S517では、光ヘッドのフォーカスを目標層へ引き込む。
【0101】
S518では、到着位置のアドレスを読み出して、シーク終了を確認する。
【0102】
S519では、記録/再生動作を開始する。
【0103】
本実施例によれば、各層においてデータ記録密度が異なる多層ディスク(タイプD)においても、PIC領域にディスク管理情報(各層の記録密度)が固有のフォーマットにて記録されている。よって、管理情報の再生条件は一義に決定され、誤りなく容易に判定できる。そして、ディスク内の目標層の記録密度に従い、それぞれの記録密度に合った記録再生動作を実行することができる。
【実施例4】
【0104】
本実施例でも、前記実施例3と同様に、多層ディスクでデータ記録密度が標準密度(25GB/layer)の層と高密度(33GB/layer)の層とが混在するディスクを対象とする。ただし、ディスク管理情報(データ記録密度情報)を、標準密度(25GB/layer)のデータ記録領域の一部領域に記録する構成である(以下、このディスクをタイプEと呼ぶ)。この場合、データ記録領域を利用して管理情報を記録するので、ディスク製造後に情報を記録することが可能である。例えば、ディスク製造者は、ディスク製造後に製造した各ディスクを検査し、使用不可の層が存在しないかどうかを判定する。そしてその判定結果を、各層の記録密度情報とともにディスク管理情報に含めて記録することができる。
【0105】
図15は、光ディスク(タイプE)の記録フォーマットの一例を示す図である。
【0106】
ディスクは、25GB/layerの層と33GB/layerの層とを交互に4層配置し、ディスク表面側から各層をL0,L1,L2,L3とする。また内周側から、BCA領域131、PIC領域132(L0層のみ)、データ記録領域133,134を配置している。そして、記録密度が標準密度(25GB/layer)であるL0層とL2層のデータ記録領域133の一部には、管理情報記録領域135を設ける。このように管理情報を標準の記録密度の領域に記録することで、管理情報のフォーマットが一義に決定され、また従来の装置でも確実に管理情報を読み出すことができる。なお、L0層は常に標準密度(25GB/layer)の記録層であるように決めておけば、管理情報をより確実に読み出すことができる。あるいは、管理情報記録領域135をデータ記録密度が最低となる記録層のデータ記録領域に設けても良い。
【0107】
管理情報記録領域135には、エンボスピットや書換え可能なマークで管理情報を記録する。管理情報の内容は、各層のデータ記録密度とともにその層の使用可否情報を含む。例えば使用可能であれば“1”ビット、使用不可であれば“0”ビットとする。
【0108】
図16は、光ディスク(タイプE)の記録フォーマットの他の例を示す図である。図15と区別するためにタイプE’とする。
【0109】
これは、標準記録密度(25GB/layer)の層がどの層であるか、装置が分からない場合でも対応可能なようにするため、全ての層に管理情報記録領域136を設けたものである。いずれの領域も、標準記録密度(25GB/layer)のフォーマットに従い、エンボスピットや書換え可能なマークで管理情報を記録する。
【0110】
光ディスク装置は、ディスクローディングのときディスク管理情報(記録密度情報、使用可否情報)を読み出し、密度情報格納メモリに格納する。記録再生時には各層の記録密度に応じて記録再生条件を切り替えるとともに、使用不可の層については記録再生動作を中止することで、無駄な動作を回避することができる。
【0111】
図17は、本実施例の記録再生処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、ディスクローディング時の工程を示す。
【0112】
S601では、光ディスク装置にディスクを挿入する。ここでは、ディスクは標準密度(25GB/layer)の層と高密度(33GB/layer)の層とが多層化されて混在するディスク(タイプE、タイプE’)である。管理情報は、標準密度(25GB/layer)のデータ記録領域に記録されている。
【0113】
S602では、光ヘッドのフォーカスを、標準密度(25GB/layer)の層へ引き込む。図15のディスク(タイプE)の場合には、L0層またはL2層へ引き込む。図16のディスク(タイプE’)の場合には、いずれの層でも良い。
【0114】
S603では、ディスクからディスク管理情報を読み出すための再生条件を設定する。すなわち、標準密度(25GB/layer)の再生条件に設定する。
【0115】
S604では、光ヘッドを管理情報記録領域135,136へ移動させる。
【0116】
S605では、管理情報記録領域からディスク管理情報を読み出す。
【0117】
S606では、読み出したディスク管理情報(記録密度情報、使用可否情報)を密度情報格納メモリ60に格納する。
【0118】
S607では、ホストから情報の記録または再生指示のコマンドを待ち、コマンドを受けたら記録再生処理に進む。
【0119】
記録再生工程では、目標層の記録密度を判定して、記録密度に応じて記録再生条件を切り替える。もしも目標層が使用不可の層である場合は、その層での記録再生動作を中止し、必要に応じてホストに報告する。
【0120】
本実施例によれば、各層においてデータ記録密度が異なる多層ディスク(タイプE、タイプE’)において、標準密度のデータ記録領域の一部領域にディスク管理情報(各層の記録密度、使用可否情報)が標準密度のフォーマットにて記録されている。よって、管理情報の再生条件は一義に決定され、誤りなく判定できる。また、ディスク内の目標層の記録密度に従い、それぞれの記録密度に合った記録再生動作を実行するだけでなく、各記録層の使用可否情報を参照することで、使用不可の記録層を回避することができる。
【0121】
以上説明した各実施例では、データ記録密度が25GB/layerと33GB/layerの2種類について説明したが、記録密度はこれに限定するものではない。また、データ記録密度が3種類以上存在しても同様に適用できる。
【実施例5】
【0122】
本実施例では前記第1の実施例と同様に多層ブルーレイディスク(BD)において、データ記録密度が全層とも標準密度(25GB/layer)のディスク(以下、タイプAと呼ぶ)、または全層とも高密度(33GB/layer)のディスク(以下、タイプBと呼ぶ)を対象とする。層数については、例えば25GB/layer×4層構成、33GB/layer×3層構成として、両者ともディスク全体の容量を100GBとしたものである。上記タイプA,タイプBのディスクにおけるディスク管理情報(データ記録密度情報)の表記方法については、図1に示す第1の実施例と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0123】
本実施例では、上記タイプAのディスクとタイプBのディスクに対して、第1の実施例で説明したデータ記録密度と独立した記録密度の領域、例えばBCA、PIC領域に記載されたディスク管理情報からのデータ記録密度情報を判別し、所定のデータ記録密度と異なるディスクについては、再生処理、および記録処理を停止する例について説明する。この例は、当該装置に対して、装置が再生動作もしくは記録動作に対応していないフォーマットのディスクを正しく認識させ、その結果を用いて、当該ディスクを排出する、イジェクト動作以外の動作を受付けなくする等の処理を行うことにより、ディスクまたは装置に悪影響が発生するのを防止することを目的とする。
本発明における記録再生装置の構成は図19に示す。本記録再生装置は標準記録密度の光ディスクだけに対応し、高記録密度の光ディスクには対応しないものを想定している。
【0124】
図18は本実施例の処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、ディスクローディング時の工程を示す。
S701では、光ディスク装置にディスクを挿入する。ここでは、ディスクは25GB/layer(タイプA)か、33GB/layer(タイプB)である。
【0125】
S702では、ディスクからディスク管理情報(データ記録密度情報)を読み出すための再生条件を設定する。すなわち、図2に示すBCA領域101またはPIC領域102のフォーマットに従った再生条件を設定する。
【0126】
S703では、光ヘッドをディスク上の管理情報記録領域(BCA領域またはPIC領域)へ移動させる。
【0127】
S704では、管理情報記録領域からディスク管理情報を読み出す。
S705では、読み出した記録密度情報から、当該ディスクのデータ記録密度が所定の記録密度、例えば25GB/layer(タイプA)であるかどうかを判定する。
図22に示すPIC領域からディスク管理情報を読み出してデータ記録密度を判定する場合、以下の方法が考えられる。
1. バイト12に記載されるディスクの層構造の情報からの判別
2. バイト11に記載されるディスクのバージョン情報などの規格管理情報からの判別
3. バイト13に記載されるディスクのチャネルビット情報からの判別
上記の記録密判定方法により当該ディスクの記録密度が25GB/layer(タイプA)と判定されたS706に進み、第1の実施例と同様に25GB/layer用の記録再生処理条件(再生信号処理回路、ウォブル信号処理回路、記録ストラテジ)を設定し、S707のホストから情報の記録または再生指示のコマンドを待ち状態(レディ)とする。
【0128】
当該ディスクの記録密度が25GB/layer(タイプA)以外であると判定された場合は処理S707に進み、光ディスク装置からのディスクの排出処理を行う。
【0129】
本実施例のようなディスク判定処理が無い場合、例えば上記タイプAのみの記録、再生に対応した光ディスク装置に、タイプBのディスクが挿入された場合には データ記録密度の違いから再生処理、記録処理不能となり、最悪のケースとして例えばタイプBディスク上の記録データを破壊するなどの事故の発生などが考えられる。これに対して、本実施例のようにデータ記録密度と独立した記録密度の領域からディスク記録情報を判定して適切にディスク排出処理を行うことにより、上記の事故発生を未然に防ぐことができる。
【0130】
なお、本発明の第1の実施例1、および第5の実施例5では、ディスク層数の一例として、25GB/layer×4層構成、33GB/layer×3層構成による容量100GBのディスクを示したが、本発明は例えばタイプAのディスクを1層、もしくは2層構成、タイプBのディスクを3層、もしくは4層とした場合などでも同様の効果を得られることは言うまでもない。
【0131】
また、本発明ではユーザデータの異なる記録密度の例として、1層あたり25GBと33GBの例を示したが、2種類以上の異なるユーザデータ記録密度の領域があれば、上記記録密度の値にとらわれるものではない。
【符号の説明】
【0132】
1…光ディスク、
2…スピンドルモータ、
9,10…再生信号処理回路、
12…復調回路、
14,15…ウォブル信号処理回路、
17…アドレス生成回路、
25…光ヘッド、
27…記録ストラテジ生成回路、
30,31…ストラテジ格納メモリ、
32…マイコン、
35…密度判定回路、
40…回転制御回路、
42,43…回転制御係数格納メモリ、
50,60…密度情報格納メモリ、
51…アドレス判定回路、
52…トラッキングよぎり数(TES)カウント回路、
62…フォーカスエラー信号(FES)生成回路、
64…現在層判定回路、
101,111,121,131…BCA(Burst Cutting Area)領域、
102,112,122,132…PIC(Permanent Information & Control data)領域、
103,104,113,114,123,124,133,134…データ記録領域、
135,136…管理情報記録領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の記録密度で情報を記録する光ディスクにおいて、
情報を記録するためのデータ記録領域と、
データ記録領域の記録密度とは独立した記録密度であるBCA(Burst Cutting Area)領域と、
データ記録領域の記録フォーマットとは異なるフォーマットでデータが記録されたPIC(Permanent Information & Control data)領域とを具備し、
該データ記録領域におけるデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報をBCA領域およびPIC領域に記録すること
を特徴とする光ディスク。
【請求項2】
複数の記録密度で情報を記録可能な光ディスクにおいて、
同一面内に分割して配置され、互いに異なるデータ記録密度にて情報を記録する複数のデータ記録領域と、
データ記録領域の記録密度とは独立した記録密度であるBCA(Burst Cutting Area)領域と、
データ記録領域の記録フォーマットとは異なるフォーマットでデータが記録されたPIC(Permanent Information & Control data)領域とを具備し、
該複数のデータ記録領域における各々のデータ記録密度と各データ記録領域の境界位置の情報を含むディスク管理情報を記録するための管理情報記録領域を、BCA領域およびPIC領域に記録することを特徴とする光ディスク。
【請求項3】
複数の記録層を有し複数の記録密度で情報を記録可能な光ディスクにおいて、
記録層毎に異なるデータ記録密度にて情報を記録する複数のデータ記録領域と、
データ記録領域の記録密度とは独立した記録密度であるBCA(Burst Cutting Area)領域と、
データ記録領域の記録フォーマットとは異なるフォーマットでデータが記録されたPIC(Permanent Information & Control data)領域とを具備し、
各記録層のデータ記録領域における各々のデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報を記録するための管理情報記録領域をBCA領域およびPIC領域に記録することを特徴とする光ディスク。
【請求項4】
光ディスクのデータ記録領域に情報を記録または再生する光ディスク記録装置において、
上記光ディスクのBCA(Burst Cutting Area)領域およびPIC(Permanent Information & Control data)領域にて上記データ記録領域のデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報が記録されているものであって、
上記ディスク管理情報からデータ記録密度を判定する記録密度判定回路と、記録再生設定回路を備え、
上記記録密度判定回路により判定したデータ記録密度に応じて記録再生設定回路に記録再生処理条件を選択して設定することを特徴とする光ディスク記録装置。
【請求項5】
光ディスクのデータ記録領域に情報を再生する光ディスク再生装置において、
上記光ディスクのBCA(Burst Cutting Area)領域およびPIC(Permanent Information & Control data)領域に上記データ記録領域のデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報が記録されているものであって、
上記ディスク管理情報から目標のデータ記録領域のデータ記録密度を判定する記録密度判定回路と、記録再生設定回路を備え、
上記記録密度判定回路により判定したデータ記録密度に応じて記録再生設定回路に再生処理条件を選択して設定することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項6】
請求項4に記載の光ディスク記録装置において、
前記光ディスクは、複数の記録層を有し記録層毎に異なるデータ記録密度にて情報を記録する複数のデータ記録領域を有するものであって、
前記ディスク管理情報から検出したデータ記録密度情報を参照し、データ記録密度を判定する層判定回路を備え、
上記層判定回路の判定によりデータ記録密度が切り替わるとき、データ記録密度に応じて記録再生設定回路に記録再生処理条件を選択して設定することを特徴とする光ディスク記録装置。
【請求項7】
請求項5に記載の光ディスク再生装置において、
前記光ディスクは、複数の記録層を有し記録層毎に異なるデータ記録密度にて情報を記録する複数のデータ記録領域を有するものであって、
前記ディスク管理情報から検出したデータ記録密度情報を参照し、データ記録密度を判定する層判定回路を備え、
上記層判定回路の判定によりデータ記録密度が切り替わるとき、データ記録密度に応じて記録再生設定回路に再生処理条件を選択して設定することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項8】
光ディスクのデータ記録領域に情報を記録または再生する情報記録再生方法において、
上記光ディスクのBCA(Burst Cutting Area)領域およびPIC(Permanent Information & Control data)領域に上記データ記録領域のデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報が記録されており、
上記ディスク管理情報を読み出すステップと、
読み出した上記ディスク管理情報からデータ記録密度を判定するステップと、
判定したデータ記録密度に応じて記録再生処理条件を選択して設定するステップと、
設定した記録再生処理条件にて情報を記録または再生するステップと、
を備えることを特徴とする情報記録再生方法。
【請求項9】
光ディスクのデータ記録領域から情報を再生する情報再生方法において、
上記光ディスクのBCA(Burst Cutting Area)領域およびPIC(Permanent Information & Control data)領域に上記データ記録領域のデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報が記録されており、
上記ディスク管理情報を読み出すステップと、
読み出した上記ディスク管理情報からデータ記録密度を判定するステップと、
判定したデータ記録密度に応じて再生処理条件を選択して設定するステップと、
設定した再生処理条件にて情報を再生するステップと、
を備えることを特徴とする情報再生方法。
【請求項10】
請求項8に記載の情報記録再生方法において、
前記光ディスクは、複数の記録層を有し記録層毎に異なるデータ記録密度にてデータを記録可能な複数のデータ記録領域を有し、
前記ディスク管理情報からデータ記録密度を参照るステップと、
データ記録領域のデータ記録密度に応じた記録再生処理条件を選択して設定するステップ、
を備えることを特徴とする情報記録再生方法。
【請求項11】
請求項9に記載の情報再生方法において、
前記光ディスクは、複数の記録層を有し記録層毎に異なるデータ記録密度にてデータを記録可能な複数のデータ記録領域を有し、
前記ディスク管理情報からデータ記録密度を参照するステップと、
記録層のデータ記録領域のデータ記録密度に応じた再生処理条件を選択して設定するステップ、
を備えることを特徴とする情報再生方法。
【請求項12】
光ディスクのデータ記録領域に情報を再生する光ディスク再生装置において、
上記光ディスクのBCA(Burst Cutting Area)領域およびPIC(Permanent Information & Control data)領域に上記データ記録領域のデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報が記録されているものであって、
上記ディスク管理情報からデータ記録密度を判定する記録密度判定回路と、を備え、
上記記録密度判定回路により判定したデータ記録密度に応じて該光ディスクの再生処理を停止することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項13】
光ディスクのデータ記録領域に情報を記録または再生する光ディスク記録装置において、
上記光ディスクのBCA(Burst Cutting Area)領域およびPIC(Permanent Information & Control data)領域に上記データ記録領域のデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報が記録されているものであって、
上記ディスク管理情報からデータ記録密度を判定する記録密度判定回路と、を備え、
上記記録密度判定回路により判定したデータ記録密度に応じて該光ディスクの記録処理を停止することを特徴とする光ディスク記録装置。
【請求項14】
光ディスクのデータ記録領域に情報を再生する情報再生方法において、
上記光ディスクのBCA(Burst Cutting Area)領域およびPIC(Permanent Information & Control data)領域に上記データ記録領域のデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報が記録されており、
上記ディスク管理情報を読み出すステップと、
読み出した上記ディスク管理情報からデータ記録密度を判定するステップと、
判定したデータ記録密度に応じて情報の再生を停止するステップと、
を備えることを特徴とする情報再生方法。
【請求項15】
光ディスクのデータ記録領域に情報を記録する情報記録方法において、
上記光ディスクのBCA(Burst Cutting Area)領域およびPIC(Permanent Information & Control data)領域に上記データ記録領域のデータ記録密度の情報を含むディスク管理情報が記録されており、
上記ディスク管理情報を読み出すステップと、
読み出した上記ディスク管理情報からデータ記録密度を判定するステップと、
判定したデータ記録密度に応じて情報の記録を停止するステップと、
を備えることを特徴とする情報記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−187100(P2011−187100A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48582(P2010−48582)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】