説明

光ディスクの記録方法及び記録装置

【課題】記録学習領域を消費した場合でも各種用途の領域を有効に利用し高精度大容量の記録が行え、かつ、既存の記録再生装置との記録再生互換を保った記録再生を行う。
【解決手段】学習実施量算出部11は、光ディスクへの記録条件やユーザーデータ領域の記録位置に応じて記録学習使用サイズを算出する。学習実施領域設定部12は、管理情報から学習領域の未使用部分の情報を取得し、その未使用部分の大きさが記録学習使用サイズに満たなかった場合に、ユーザーデータ領域全体の未記録領域のサイズの算出と連続未記録領域の探索を行い、ユーザーデータ領域上で記録学習使用サイズの予約領域を決定すると共に、光ディスク記録管理リストにその予約領域を記録済領域として登録する。予約領域開放部13は、予約領域が使用されずに光ディスクへの記録が完了する場合には光ディスク記録管理リストから記録済領域として登録されている予約領域を削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスクの記録方法及び記録装置に係り、特に学習領域を備える追記型光ディスクの記録方法及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクに高精度の記録を行うためには、レーザーパワーや記録パルス形状などを適正な値に設定する必要があり、そのために記録学習が重要になる。特にデータの上書きや消去ができないBD−Rのような追記型光ディスクでは記録学習は必須である。
【0003】
それ故記録学習を行う学習領域の消費が問題となる。追記型光ディスクでは当然ユーザーデータ領域と同じく学習領域も1回しか記録できないため、ユーザーデータの追記を繰り返していると、限られたサイズの学習領域を使い切ってしまう。光ディスクが大容量化し、ユーザーデータ書き込み回数も増加すると、その分学習を実行する回数も増えるため、より学習領域の使い切りが問題となり得る。
【0004】
また、ユーザーデータ領域がディスク半径方向に分割され、各分割領域毎に線速度など記録条件が変わるような光ディスクでも、各分割領域に対して記録学習を行わなければならないので、記録学習に費やす容量・回数が増え、学習領域の消費が早まることになる。
【0005】
学習領域が無くなると、以後適正な記録ができなくなる可能性が高いので、ユーザーデータ領域が残っていたとしても、光ディスク全体を記録禁止にするのが通常の扱いであり、結局本来の記録容量に満たないデータ記録しかできず、ユーザーに不利益を与えることになる。
【0006】
学習した結果を光ディスクに残すなどの学習領域の消費を抑える方法もなされているが、使用時の状況やレーザー、光ディスクの経年変化などの影響も考えられるため、リアルタイムの学習は必須である。
【0007】
このような状況を回避する策として、別の用途の領域を学習用に振り替える方法が提案されている。
【0008】
例えば、特許文献1には、ユーザーデータ領域の後に保護領域と学習領域を配置した光ディスクに対し、学習領域を使い切った後は保護領域であった部分を新規に学習領域として使用する光ディスク記録方法が開示されている。この特許文献1記載の光ディスク記録方法では、学習領域として使用する分保護領域を前側にシフトしてユーザーデータ領域を削減する。ユーザーデータは領域の先頭からシーケンシャルに記録するものであれば、終端を削減することの影響は小さく、記録領域全体を有効に使用することができる。
【0009】
その他にも、代替記録領域や一時的管理情報記録領域の一部を学習領域に振り替える案も出てきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−327385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1記載の光ディスクの記録方法では、ユーザーデータ領域の終端位置を変化させていくので、シーケンシャルなデータ記録でコンテンツを追記していく記録モードに適した対処法であり、ブルーレイディスク(BD)レコーダーで用いられるような、ユーザーデータ領域全面に予め論理アドレスを割り付けるフォーマットにおいては、ユーザーデータ領域終端に特定の情報を記録する領域が割り付けられる可能性があるので、この方法は非現実的である。従って、単純にシーケンシャルなデータ記録でコンテンツを追記していく記録モードに比べて、より学習領域の消費が早いと考えられるレコーダー記録に効果的な策が必要になる。
【0012】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、上記の問題点を解消し、記録学習領域を消費した場合でも各種用途の領域を有効に利用し高精度大容量の記録が行え、かつ、既存の記録装置との記録互換を保った記録ができる光ディスクの記録方法及び記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明の光ディスクの記録方法は、ユーザーデータを記録するためのユーザーデータ領域と、ユーザーデータ領域への記録条件の調整を行うための学習領域と、ユーザーデータ領域及び学習領域の記録状況を管理するための管理情報を記録する一時的管理情報記録領域と、物理情報が記録された物理情報領域とを有する光ディスクから、管理情報及び物理情報を取得する管理情報取得ステップと、管理情報取得ステップにより取得された管理情報及び物理情報を保存すると共に、管理情報及び物理情報に基づいて光ディスク記録管理リストを保存する保存ステップと、管理情報及び物理情報に基づいて、光ディスクへの記録条件やユーザーデータ領域の記録位置に応じて記録学習に使用する領域の大きさである記録学習使用サイズを算出する学習実施量算出ステップと、管理情報から学習領域の未使用部分の情報を取得し、その未使用部分の大きさが学習実施量算出ステップにて算出された記録学習使用サイズに満たなかった場合に、ユーザーデータ領域全体の未記録領域のサイズの算出と連続未記録領域の探索を行い、ユーザーデータ領域上で記録学習使用サイズの予約領域を決定すると共に、光ディスク記録管理リストにその予約領域を記録済領域として登録する学習実施領域設定ステップと、学習実施領域設定ステップにより設定された予約領域が使用されずに光ディスクへの記録が完了する場合には光ディスク記録管理リストから記録済領域として登録されている予約領域を削除する予約領域開放ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、上記の目的を達成するため、本発明の光ディスクの記録装置は、ユーザーデータを記録するためのユーザーデータ領域と、ユーザーデータの記録状況を管理するための一時的管理情報記録領域と、レーザーパワーなどの記録条件の調整を行うための学習領域と、物理情報領域とを有する光ディスクから、一時的管理情報及び物理情報を取得する管理情報取得ステップと、管理情報取得ステップにより取得された一時的管理情報及び物理情報を保存すると共に、それらの情報に基づいて光ディスク記録管理リストを保存手段に保存する保存ステップと、保存手段からの一時的管理情報及び物理情報に基づいて、記録条件やユーザーデータの記録位置に合わせた記録学習使用サイズを算出する学習実施量算出ステップと、一時的管理情報から学習領域の未使用部分の情報を取得し、その未使用部分の大きさが学習実施量算出手段により算出された記録学習使用サイズに満たなかった場合に、ユーザーデータ領域全体の空き領域サイズ算出と連続未記録領域の探索を行い、ユーザーデータ領域上で記録学習使用サイズの記録学習を実施する予約領域を決定すると共に、光ディスク記録管理リストにその予約領域を記録済領域として登録する学習実施領域設定ステップと、学習実施領域設定ステップにより設定された予約領域で記録学習を実行しなかった場合に、光ディスクの装置からの排出時に光ディスク記録管理リストから記録済領域として登録されている予約領域を削除する予約領域開放ステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、上記の目的を達成するため、本発明の記録装置は、ユーザーデータを記録するためのユーザーデータ領域と、ユーザーデータ領域への記録条件の調整を行うための学習領域と、ユーザーデータ領域及び学習領域の記録状況を管理するための管理情報を記録する一時的管理情報記録領域と、物理情報が記録された物理情報領域とを有する光ディスクから、管理情報及び物理情報を取得する管理情報取得部と、管理情報取得部により取得された管理情報及び物理情報を保存すると共に、管理情報及び物理情報に基づいて光ディスク記録管理リストを保存する保存部と、管理情報及び物理情報に基づいて、光ディスクへの記録条件やユーザーデータ領域の記録位置に応じて記録学習に使用する領域の大きさである記録学習使用サイズを算出する学習実施量算出部と、管理情報から学習領域の未使用部分の情報を取得し、その未使用部分の大きさが学習実施量算出部にて算出された記録学習使用サイズに満たなかった場合に、ユーザーデータ領域全体の未記録領域のサイズの算出と連続未記録領域の探索を行い、ユーザーデータ領域上で記録学習使用サイズの予約領域を決定すると共に、光ディスク記録管理リストにその予約領域を記録済領域として登録する学習実施領域設定部と、学習実施領域設定部により設定された予約領域が使用されずに光ディスクへの記録が完了する場合には光ディスク記録管理リストから記録済領域として登録されている予約領域を削除する予約領域開放部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、記録学習領域を消費した場合でも各種用途の領域を有効に利用し高精度大容量の記録が行え、かつ、既存の記録装置との記録互換を保った記録ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の光ディスクの記録装置の一実施の形態のブロック図である。
【図2】光ディスク上の領域配置の一例を示す図である。
【図3】図1の記録装置において管理情報に記載された学習関連情報から学習に使用する領域サイズを算出する例を示す図である。
【図4】図1の記録装置において学習領域またはユーザーデータ領域のどちらで学習を実施するかを判定する例を示す図である。
【図5】図1の記録装置において使用可能な学習領域が複数ある場合に学習領域またはユーザーデータ領域のどちらで学習を実施するかを判定する例を示す図である。
【図6】図1の記録装置によるユーザーデータ領域上での学習実施領域の設定の一例を示す図である。
【図7】図1の記録装置による記録学習を実行した時のメモリ上の学習実施領域情報の更新の一例を示す図である。
【図8】図1の記録装置による未使用の学習予約領域の開放の一例を示す図である。
【図9】図1の記録装置による一部記録済の学習予約領域の開放の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明になる光ディスクの記録装置の一実施の形態のブロック図を示す。同図に示すように、本実施の形態の記録再生装置10は、学習実施量算出部11、学習実施領域設定部12、予約領域開放部13、管理情報保存部(メモリ)14、記録再生系処理部15、及びピックアップ(P.U.)16を有し、ピックアップ16により追記型の光ディスク17に情報信号を記録し、再生する。
【0020】
なお、本実施の形態における記録再生装置10が記録再生系処理部15ほか記録再生装置における基本的な処理部分を有することは明白であるが、図1は主に学習領域の設定、開放処理に関する機能の構成例であり、その他の機能については本発明にて特記すべき項目は無いので、今回詳細な記載は省略している。
【0021】
図2は、追記型の光ディスク17の領域配置の一例を示す。図2において、光ディスク17は、ユーザーデータを記録するためのユーザーデータ領域27と、最適な記録ができるようにレーザーパワーなどの記録条件の調整を行うための学習領域22,30と、ユーザーデータ領域27の記録状況及び学習領域22、30の使用状況を示すデータを管理するための管理情報を一時的に記録しておく一時的管理情報記録領域23,25,29と、記録エラー時に代替記録を行う代替記録領域26,28と、物理情報が記録されている物理情報領域21と、学習結果を保存する学習結果保存領域24とが配置されている。
【0022】
記録学習の基本処理における使用領域サイズは、そのシーケンスにより概ね決まっているが、光ディスクの性質や状況によりトータルの学習量は変動する。例えば、高速での記録が可能な倍速対応光ディスクでは、対応する各速度での記録条件設定を求める必要があるので、その数だけ学習を行わなければならない。また、記録学習のシーケンスによっては内外周やゾーンに分割された領域毎に処理が必要であったり使用するサイズが異なることもある。
【0023】
学習結果保存領域24は、過去の学習結果を記録、保存し、その学習結果を利用することで学習を省略または短縮することが可能である。自社製ディスクなど、予め特定の種類の光ディスクについての調整データを装置が所有することでも学習の省略、短縮が可能になる。
【0024】
図1に戻って説明する。記録再生系処理部15は、ピックアップ16により光ディスク17から各種管理情報を公知の光学的読み出し方法により読み出し、所定の信号処理を施したのち管理情報保存部14に供給して保存する。
【0025】
学習実施量算出部11は、管理情報保存部14に保存された光ディスク17に記録されていた各種管理情報から学習関連情報を集め、ユーザ−データ領域27への記録条件やユーザーデータの記録位置に合わせた記録学習に使用する領域の大きさ(記録学習使用サイズ)を算出する。
【0026】
図3は、管理情報に含まれる学習関連情報を示す。図3において、物理情報31は光ディスク17の物理情報領域21から読み出された情報、学習結果保存データ32は光ディスク17の学習結果保存領域24から読み出された情報である。また、ドライブ内部メモリ33及びドライブ学習仕様34が用いられる。以下に、学習実施量算出部11が管理情報に含まれる学習関連情報から記録学習使用サイズを算出する一実施例を説明する。
【0027】
学習実施量算出部11が、供給される各種管理情報のうちディスクの物理情報31より、例えば8倍速対応でゾーンの分割や内外周差が無い光ディスクであるというデータを取得し、2倍速、4倍速、8倍速での学習が必要であるという情報を得たとする。また学習実施量算出部11が、学習結果保存データ32からは2倍速での過去の学習結果データを取得したものとすると、2倍速については学習不要となる。さらにドライブ内部メモリ33の所有する調整データのテーブルに当該光ディスクの2倍速、4倍速についての情報が存在したとすると、4倍速については調整データのテーブルに記録されたそのデータを基準値とすることで学習処理の短縮が図れる。8倍速については物理情報31に記載された基準値を使って基本シーケンスで学習を実行することになる。
【0028】
学習実施量算出部11は、ドライブ学習仕様34として、基本シーケンスでは16クラスタの領域を使用し、調整データを用いた短縮シーケンスでは2クラスタの領域を使用する。図3の例では学習実施量算出部11は、4倍速条件で2クラスタ、8倍速条件で16クラスタの記録学習使用サイズが必要になると決定する。学習実施量算出部11は、この記録学習使用サイズを学習実施領域設定部12に通知する。
【0029】
光ディスク17の内外周やゾーン別で特性や線速度などの条件が異なる場合には領域分だけ学習領域を確保しなければならない。
【0030】
学習実施領域設定部12は、学習領域22,30を消費した後は、ユーザーデータ領域27に学習領域に使用するための学習実施領域を設定する。具体的には、学習実施領域設定部12は、管理情報保存部14から光ディスク17に記録されていた一時的管理情報を取得して、その一時的管理情報から学習領域22,30の未使用領域情報を求め、その未使用領域内に学習実施量算出部11から通知された記録学習使用サイズが確保できるか判断する。記録学習使用サイズを学習領域22または学習領域30に確保できなかった場合に、学習実施領域設定部12はユーザーデータ領域27全体の空き領域サイズ算出と連続未記録領域の探索を行い、ユーザーデータ領域27上で記録学習を実施する領域(記録学習実施領域)を決定する。管理情報保存部14は、決定された記録学習実施領域の情報を保存し、かつ、管理情報保存部14内の光ディスク記録管理リストにその記録学習実施領域を記録済領域として登録する。
【0031】
設定方法例は以下の通りである。
【0032】
学習実施領域設定部12は、一時的管理情報記録領域より、学習領域の使用状況を示すデータを取得し学習領域の未使用領域(以下、「学習領域未使用範囲」ともいう)を算出する。学習領域が内外周や各ゾーン別に設定されている光ディスクでは、学習実施領域設定部12は、各領域毎に学習領域未使用範囲を算出する。
【0033】
次に、学習実施領域設定部12は、学習領域の未使用範囲と学習実施量算出部11により求められた学習に必要なサイズである記録学習使用サイズとを比較する。例えば、図4(a)又は図5(a)に示すように、学習領域の未使用範囲に必要な記録学習使用サイズを確保できる比較結果が得られるならば、学習実施領域設定部12は、その学習領域の未使用範囲内で学習実施領域を予約し、予約した学習実施領域のアドレス情報を管理情報保存部14に保存する。
【0034】
一方、図4(b)又は図5(b)に示すように、学習領域の未使用範囲に記録学習使用サイズを確保できない比較結果が得られる場合は、学習実施領域設定部12は、ユーザーデータ領域27で学習実施領域として使用可能な領域を設定する。
【0035】
ただし、図4に示すように複数の条件で学習が必要であったり、図5に示すように学習領域が複数残っている場合には、1つの条件における必要領域サイズが物理的に連続した範囲で確保できなければならない。
【0036】
次に、ユーザーデータ領域27上での学習実施領域を設定する一例を図6を用いて説明する。学習実施領域設定部12は図6に示すような、ユーザーデータ領域27を複数の領域(SRR)に分割し、SRR毎の先頭及びそこからの最終記録済アドレス(LRA)を記載した記録管理情報データを基に、学習実施領域に設定可能な領域を検索する。学習実施領域設定部12は、複数のSRRのうち記録可能なSRRに対して、学習実施領域として設定する(使用する)優先順位を設定する。順位の設定は次に従う。第1に、完全に未記録のSRRよりも一部記録有りのSRRを上位に設定する。複数の一部記録有りのSRRが存在する場合は、第2として未記録部分の長さ(隣接するSRRが未記録ならばその長さも含めた連続長)の短いものを上位に設定する。優先順位をつけられたSRRはその順に未記録部分の長さを必要領域サイズと比較され、必要領域サイズを満たす未記録部分を有するSRRが学習実施領域として設定される。図6ではSRR1、SRR2が共に記録済(空き無し)であるため、学習実施領域設定部12はSRR3とSRR4とを比較し順位を設定する。SRR3は一部記録有りで、SRR4は最終まで未記録のため優先順位1位がSRR3、2位がSRR4となる。
【0037】
例えば図4(b)に示したように4倍速用(4X用)に0x40セクタ及び8倍速用(8X用)に0x200セクタのサイズが必要な場合、SRR3に十分な空きがあるので(図6、空き0x8000)、学習実施領域設定部12は、SRR3の未記録部分先頭から学習実施領域を確保する。確保された領域については、条件別にアドレス情報を管理情報保存部14に格納する。すなわち、4X用に確保した領域(0x5F8000-0x5F8040)と8X用に確保した領域(0x5F8040-0x5F8240)のアドレス情報を管理情報保存部14に保存する。またこの時学習が必要無い条件、ここでは2倍速用(2X用)、についてもアドレスを0として保存し、すべての条件(2X、4X、8X)についてのアドレスを格納しておく。
【0038】
また、確保された領域はその段階では未記録だが、ユーザーデータ記録を行う際に記録学習に使用されるので、実質的にユーザーデータ記録ができない領域である。従って記録管理情報データ上で領域を区切ってその範囲を記録済設定で管理情報保存部14の記録管理リストに登録する。つまり、領域確保前のSRR3が記録済部分、学習実施領域として確保された二つの領域部分、未記録部分の4つに分割され、それぞれ新たに記録済領域SRR3、学習実施領域SRR4、学習実施領域SRR5、未記録領域SRR6と設定される。以降のSRR番号はシフトするので元のSRR4はSRR7に変更する。
【0039】
学習実施量算出部11及び学習実施領域設定部12の処理は、光ディスク17を記録再生装置10に挿入したときに実行される。この段階で算出され、ホスト(アプリケーション層)に報告されるユーザーデータ残り容量からは、学習用に予約された領域分が除かれており、実際にユーザーデータを記録できる最大サイズが正しく設定される。
【0040】
ユーザーデータ記録要求時に、指定の条件及び領域での記録学習がまだ行われていなければ、学習実施量算出部11及び学習実施領域設定部12は、管理情報保存部14に格納された学習予約領域情報を取得して学習を実行する。また、図7に示すように、実際に学習に使用された領域(4倍速での記録学習実行領域)については、管理情報保存部14に格納した学習予約アドレス情報を、学習不要を意味する0に変更しておく。
【0041】
ユーザーデータ記録が全く若しくは特定の条件において行われず、よって確保した予約領域の全て或いは一部が記録学習に使用されないままディスクイジェクト(媒体排出)要求が入力された場合に、予約領域開放部13による処理が実行される。
【0042】
予約領域開放部13は、学習を実行しなかった予約領域について、記録管理リストから記録済み設定を削除することでその領域を開放し、ユーザーデータの記録を可能な状態に戻す。領域開放の手順の例は以下の通りである。
【0043】
媒体排出要求が発生すると、予約領域開放部13は、管理情報保存部14に格納されている学習予約領域情報を取得する。学習不要または学習済の条件に関してはアドレスが0に設定されており、未実行の条件に関してのみ管理情報保存部14に予約されたアドレス情報(予約領域情報)が残っている。未実行の条件とは図7に示す例では8倍速であり、管理情報保存部14には8X用の予約領域情報が保存されている。
【0044】
次に、予約領域開放部13は、このアドレスを含む範囲を、記録管理情報データで検索する。これらの領域は装置への媒体挿入時に記録済と設定されているので、それを未記録に修正する。
【0045】
図8及び図9は、図6に示すSRR1〜SRR7の状況からユーザーデータ記録を行い、媒体排出要求発生で予約領域開放部13が実行する処理における記録管理情報データの一例を示す。この記録管理情報データにおいて、予約領域開放部13は、学習用に予約して実際に使用されなかった学習実施領域SRR5の領域を開放する。この時、図8(a)に示すように、未記録設定に戻す領域SRR5の直後の領域SRR6も未記録であれば、SRR5とSRR6の区切りを解除して1つの未記録領域SRR5として登録する。一方、図8(b)に示すように未記録設定に戻す領域SRR5の直後の領域SRR6が記録済であれば、領域の区切りはそのままで領域SRR5の最終記録アドレス情報をリセットする。
【0046】
また、図9(a)に示すように、予約領域開放部13は、学習が中断されたなどで予約領域SRR5内の一部が未記録で残った場合も、実際に使用された範囲に合わせて管理情報保存部14内の予約領域情報は更新する。また、予約領域開放部13は、図9(b)に示すように、記録管理情報データをSRR5の記録済部分と未記録部分とで分割し、記録済み部分を新たな領域SRR5と未記録部分を新たな領域SRR6と設定し、未記録部分の新たな領域SSR6は使用可能状態にしておく。なお、この分割設定により元の領域SSR6は領域SSR7に、元の領域SSR7は領域SSR8に変更される。なお、予約領域が全てフルに記録された場合は、既に記録済みでエントリ登録されているので特に修正する必要は無い。
【0047】
以上のように、本実施の形態の光ディスクの記録再生装置10は、記録学習領域を使い切った追記型光ディスク17に対して、その光ディスク17が挿入された時にユーザーデータ領域27内に学習に必要なサイズの領域を確保し、必要なタイミングで学習を実行できるようにしたので、高精度のユーザーデータ記録の継続ができる。
【0048】
また、本実施の形態の光ディスクの記録再生装置10は、光ディスク挿入時に学習用に予約した記録学習領域サイズに相当する領域を光ディスク17上の記録学習領域22,30またはユーザーデータ領域27上に確保し、その予約領域がユーザーデータ領域27上であった場合は、ユーザーデータ領域27の記録管理情報データの予約領域を記録済として処理する。このため、本実施の形態の記録再生装置10によれば、コンテンツの記録はユーザーデータ領域上の予約領域には直接行えず、ユーザーデータ領域上で学習が行われることを考慮に入れた実質的な記録可能ユーザーデータ領域サイズを正確に把握することができ、コンテンツの記録をユーザーデータ領域のみに確実に行える。
【0049】
更に、本実施の形態の光ディスクの記録再生装置10によれば、代替記録処理を発生させることなく記録ができるので複雑な記録シーケンスを必要とせず、記録レートの維持が重要なレコーダーフォーマットのストリーム記録に適した記録再生装置を提供できる。
【0050】
また更に、本実施の形態の光ディスクの記録再生装置10によれば、記録学習用に確保されたユーザーデータ領域で学習が行われなかった場合には、ディスクのイジェクト(媒体排出)時に記録管理情報データ上でその部分を未記録状態に戻し領域を開放してユーザーデータ記録可能な状態にするので、装置から排出された光ディスクの記録管理情報データは光ディスクの正確な記録状況を表している。つまり、他の既存の記録再生装置で使用するのと変わらない形式で管理情報データが残るので、それらとの記録再生互換性が保たれた記録再生装置を提供できる。
【0051】
なお、本発明の記録装置は、記録学習用に確保された領域を開放するのは、その領域が完全に未使用の場合のみとし、その領域内で記録学習が実施された場合は、その領域は次回以降も記録学習用として使用するようにしてもよい。また、本発明の記録装置は、記録学習用に確保された領域を開放するのは学習に使用した続き位置からとし、記録管理リストは記録学習が実施された範囲内のみを記録済み領域として登録し直すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 記録再生装置
11 学習実施量算出部
12 学習実施領域設定部
13 予約領域開放部
14 管理情報保存部(メモリ)
15 記録再生系処理部
16 ピックアップ(P.U.)
17 追記型光ディスク
21 物理情報領域
22、30 学習領域
23、25、29 一時的管理情報記録領域
24 学習結果保存領域
26、28 代替記録領域
27 ユーザーデータ領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーデータを記録するためのユーザーデータ領域と、前記ユーザーデータ領域への記録条件の調整を行うための学習領域と、前記ユーザーデータ領域及び前記学習領域の記録状況を管理するための管理情報を記録する一時的管理情報記録領域と、物理情報が記録された物理情報領域とを有する光ディスクから、前記管理情報及び物理情報を取得する管理情報取得ステップと、
前記管理情報取得ステップにより取得された前記管理情報及び物理情報を保存すると共に、前記管理情報及び物理情報に基づいて光ディスク記録管理リストを保存する保存ステップと、
前記管理情報及び物理情報に基づいて、前記光ディスクへの記録条件や前記ユーザーデータ領域の記録位置に応じて記録学習に使用する領域の大きさである記録学習使用サイズを算出する学習実施量算出ステップと、
前記管理情報から前記学習領域の未使用部分の情報を取得し、その未使用部分の大きさが前記学習実施量算出ステップにて算出された前記記録学習使用サイズに満たなかった場合に、前記ユーザーデータ領域全体の未記録領域のサイズの算出と連続未記録領域の探索を行い、前記ユーザーデータ領域上で前記記録学習使用サイズの予約領域を決定すると共に、前記光ディスク記録管理リストにその予約領域を記録済領域として登録する学習実施領域設定ステップと、
前記学習実施領域設定ステップにより設定された前記予約領域が使用されずに前記光ディスクへの記録が完了する場合には前記光ディスク記録管理リストから記録済領域として登録されている前記予約領域を削除する予約領域開放ステップと、
を含むことを特徴とする光ディスクの記録方法。
【請求項2】
ユーザーデータを記録するためのユーザーデータ領域と、前記ユーザーデータ領域への記録条件の調整を行うための学習領域と、前記ユーザーデータ領域及び前記学習領域の記録状況を管理するための管理情報を記録する一時的管理情報記録領域と、物理情報が記録された物理情報領域とを有する光ディスクから、前記管理情報及び物理情報を取得する管理情報取得部と、
前記管理情報取得部により取得された前記管理情報及び物理情報を保存すると共に、前記管理情報及び物理情報に基づいて光ディスク記録管理リストを保存する保存部と、
前記管理情報及び物理情報に基づいて、前記光ディスクへの記録条件や前記ユーザーデータ領域の記録位置に応じて記録学習に使用する領域の大きさである記録学習使用サイズを算出する学習実施量算出部と、
前記管理情報から前記学習領域の未使用部分の情報を取得し、その未使用部分の大きさが前記学習実施量算出部にて算出された前記記録学習使用サイズに満たなかった場合に、前記ユーザーデータ領域全体の未記録領域のサイズの算出と連続未記録領域の探索を行い、前記ユーザーデータ領域上で前記記録学習使用サイズの予約領域を決定すると共に、前記光ディスク記録管理リストにその予約領域を記録済領域として登録する学習実施領域設定部と、
前記学習実施領域設定部により設定された前記予約領域が使用されずに前記光ディスクへの記録が完了する場合には前記光ディスク記録管理リストから記録済領域として登録されている前記予約領域を削除する予約領域開放部と、
を有することを特徴とする光ディスクの記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−155776(P2012−155776A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11523(P2011−11523)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】