説明

光ディスクドライブ装置

【課題】 カムスライダの側でトラバースアッシーを下方に押し下げるものではなかった。
【解決手段】 カムスライダ40が左方に移動して上記カム機構によりレバーシフト30が上昇移動し、メカストップ位置に至ってチャッキング完了すると、ボス31aはカム溝43aにおける水平部43a3に載置された状態であり、ボス31aの先端部に設けたリブ31a1は樹脂バネ片44の傾斜面44a1に当接して押し上げる。リブ31a1は傾斜面44a1を押し上げることから、その反作用として鉛直方向下方の押圧力でボス31aを水平部43a3に押しつけ、水平方向右方の押圧力でボス31aをローダーシャーシ10におけるスリット12aの開口縁部に押しつけ、両方の押圧力により、カムスライダ40とレバーシフト30の振動を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状記録担体である光ディスクを用いる光ディスクドライブ装置に関し、特に、トレイロックとトラバースアッシー昇降の切替動作を行うカムスライダを備え、光ディスク媒体の供給案内構造における好ましくない振動を遮断または吸収する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、トラバースアッシーの昇降中に樹脂バネ片が撓み始め、チャッキング完了後に撓みが完了する構造のため、昇降中の負荷と樹脂バネ片撓みの負荷が同時に発生するので動作不安定の要因となっていた。
また、レバーシフトに設けた振動防止の樹脂バネ片の効果があり、カムスライダの振動防止の樹脂バネ片の効果が発揮されるので、レバーシフトの姿勢が不安定になればカムスライダの振動防止にまで影響してしまう。
また、チャッキング後の振動防止を行なうものとして、以下のものが知られている。
【0003】
特許文献1には、偏重心ディスク再生時の振動を押さえ、騒音の小さな光ディスク装置が開示されている。同公報には、解決手段の欄に「カムスライダ20に、再生位置にある前記トラバースシャーシの嵌合ボス10aの下面を支持するL字型で樹脂製の板バネ20eを一体成形する構成」と記載されている。
特許文献2には、部品点数や組み立て工数が増加せず、レバーシフトがトラバースシャーシと共に下向きに回動した時にこれを制動することにより、レバーシフトがボトムシャーシに衝突して衝突音を発するのを防止できるディスク装置が開示されている。同公報には、「ローダーシャーシ1とレバーシフト10の間に樹脂バネ片13を設けて、一つの樹脂バネ片で二つの部品の振動を押さえている」と記載されている。
【0004】
特許文献3には、トラバースシャーシの振動を確実に抑制できる光ディスク装置が開示されている。同公報には、解決手段の欄に「メインシャーシ1には、トラバースシャーシ2が回動してシフトレバー7がトラバースシャーシ2と共に最上昇した時に、シフトレバー7の突片7cの後面が当接する当接部1bが形成」と記載され、シフトレバー7がトラバースシャーシ2と共に最上昇した時にシフトレバー7の突片7cの後面が当接する。
特許文献4には、スロットイン型ディスク装置で、ディスク再生時のトラバースベースの微振動の発生を防止する技術が開示されている。同公報には、解決手段の欄に、「カムレバー70に弾性部材75を設け、ディスクの再生時には、弾性部材75がトラバースベース30に当接する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−226923号公報
【特許文献2】特開2008−34046号公報
【特許文献3】特開2007−234148号公報
【特許文献4】特開2007−207372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1を始めとする従来の技術は、いずれもカムスライダの側でトラバースアッシーを下方に押し下げるものではなかった。上方に押し上げるものでは固定が不十分で振動防止の効果が低い。
また、その他も、部品の追加をすることなく既存の部品形状・配置の変更だけでの対応が不可能であった。
本発明は、チャッキング後の振動防止を部品の追加をせずに行い、動作中に負荷とならない構造を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上面が開口する薄箱形のローダーシャーシと、このローダーシャーシに収容され、一の辺の近辺にて他端を上下に揺動可能なように回動可能に支持されると共に、同他端の辺にはカム機構を構成するレバーシフトが形成されたトラバースアッシーと、上記ローダーシャーシに対してスライド可能に支持されると共に、上記レバーシフトと係合して上記カム機構を構成するカムスライダと、上記トラバースアッシーにてダンパを介して支持される光ドライブユニットとからなり、上記カムスライダの往復動動作により上記レバーシフトは鉛直方向に上下動し、上記トラバースアッシーを、その一端を回動軸として、水平状態のチャッキング状態と、これよりも下がった斜めの傾斜状態の開放状態との間で往復動動作させる光ディスクドライブ装置であって、上記レバーシフトが上昇移動してチャッキング完了する際に、上記カムスライダに一体的に形成された板状の樹脂バネ片が同レバーシフトにて上方に押し上げられ、同レバーシフトは下方に向けた押圧力を受ける構成としてある。
【0008】
上記構成において、上面が開口する薄箱形のローダーシャーシには、ダンパを介して光ドライブユニットを支持するトラバースアッシーが収容されている。同トラバースアッシーは、一の辺の近辺にて他端を上下に揺動可能なように回動可能に支持されており、同他端の辺にはカム機構を構成するレバーシフトが形成されている。
そして、カムスライダが上記ローダーシャーシに対して往復動されると、カム機構を介して上記レバーシフトは鉛直方向に上下動し、上記トラバースアッシーは、その一端を回動軸として回動し、水平状態のチャッキング状態と、これよりも下がった斜めの傾斜状態の開放状態との間で往復動動作する。
【0009】
このとき、上記レバーシフトが上昇移動してチャッキング完了する際に、上記カムスライダに一体的に形成された板状の樹脂バネ片が同レバーシフトにて上方に押し上げられるので、同レバーシフトは下方に向けた押圧力を受ける。すなわち、振動をより効果的に押さえることができるようになる。
また、上記レバーシフトは、上記カム機構の一方として上記回動軸の側と反対の側に向けて突出するボスを有し、上記カムスライダは、鉛直方向の鉛直壁面と、水平方向の水平壁面とを有し、上記鉛直壁面を上記レバーシフトに対面して平行に直線移動可能であり、かつ、同鉛直壁面には上記ボスにて貫通される上記カム機構の他方としてのカム溝が形成され、同カム溝は一端にて上記鉛直壁面の下部側に位置し、同位置より斜めに上方に傾斜して形成され、最上位置にて略水平となるように形成され、また、上記水平壁面にはコの字状の切り込みを形成した内部の舌状部位を樹脂バネ片とすると共に、同樹脂バネ片は、先端寄りの部位に下方に向けて断面V字状に突出する突起を形成してあり、かつ、同突起は上記ボスが上記カム溝の水平部分に移動した時に同ボスに対して斜辺で当接して押し上げられ、同ボスを斜め下方に押圧する構成としても良い。
【0010】
すなわち、上記レバーシフトには上記回動軸の側と反対の側に向けて突出するボスを形成してあり、上記カムスライダの鉛直方向の鉛直壁面に形成されたカム溝を貫通している。同カム溝の一端は上記鉛直壁面の下部側に位置し、同位置より斜めに上方に傾斜し、最上位置にて略水平となるように形成されているので、カムスライダが上記鉛直壁面を上記レバーシフトに対面して平行に直線移動すると、ボスがカム溝に沿って上下動する。一方、カムスライダの水平壁面にはコの字状の切り込みを形成してあり、内部の舌状部位が樹脂バネ片となっている。また、同樹脂バネ片は、先端寄りの部位に下方に向けて断面V字状に突出する突起を形成してあり、上記ボスが上記カム溝に沿って持ち上げられ、最上位置の水平部分に移動した時に、同突起は同ボスに対して斜辺で当接して押し上げられる。斜辺で樹脂バネ片に当接するので、その反作用としてボスは斜め下方に押圧される。
【0011】
すなわち、単なる下方に押し当てるだけでなく、水平方向にも押圧力をかけ、振動の発生を防止する。
さらに、上記ローダーシャーシは、上記カムスライダの鉛直壁面に当接して支持する鉛直支持壁面を有し、同鉛直支持壁面には上記カムスライダのカム溝を貫通する上記レバーシフトのボスにて貫通される鉛直方向のスリットが形成されており、上記突起が上記ボスを斜め下方に押圧する際、同ボスは、鉛直方向では下方のカム溝に当接しつつ、水平方向では同スリットの鉛直方向の開口縁部に当接する構成としても良い。
【0012】
このような構成において、上記ローダーシャーシの鉛直支持壁面には上記カムスライダのカム溝を貫通する上記レバーシフトのボスにて貫通される鉛直方向のスリットが形成されているので、上記突起が上記ボスを斜め下方に押圧する際、同ボスは、鉛直方向では下方のカム溝に当接しつつ、水平方向では同スリットの鉛直方向の開口縁部に当接する。
すなわち、ボスは、下のカム溝に当接するとともに横の開口縁部に当接し、鉛直方向と水平方向の両方で固定部分に当接されるので、振動の発生を効率的に防止する。
【0013】
また、上記ボスの先端にはリブが形成され、同リブを介して上記樹脂バネ片に当接する構成としても良い。
レバーシフトに形成したボスが直に樹脂バネ片に当接しなくても、一体的に形成されているリブで当接して押圧力を受けるものとしても、同様に作用する。
この他、これらの総合的な構成として、上面が開口する薄箱形のローダーシャーシと、このローダーシャーシに収容され、一の辺の近辺にて他端を上下に揺動可能なように回動可能に支持されると共に、同他端の辺にはカム機構を構成するレバーシフトが形成されたトラバースアッシーと、上記ローダーシャーシに対してスライド可能に支持されると共に、上記レバーシフトと係合して上記カム機構を構成するカムスライダと、上記トラバースアッシーにてダンパを介して支持される光ドライブユニットとからなり、上記カムスライダの往復動動作により上記レバーシフトは鉛直方向に上下動し、上記トラバースアッシーを、その一端を回動軸として、水平状態のチャッキング状態と、これよりも下がった斜めの傾斜状態の開放状態との間で往復動動作させる光ディスクドライブ装置であって、上記レバーシフトは、上記カム機構の一方として上記回動軸の側と反対の側に向けて突出するボスを有し、上記カムスライダは、鉛直方向の鉛直壁面と、水平方向の水平壁面とを有し、上記鉛直壁面を上記レバーシフトに対面して平行に直線移動可能であり、かつ、同鉛直壁面には上記ボスにて貫通される上記カム機構の他方としてのカム溝が形成され、同カム溝は一端にて上記鉛直壁面の下部側に位置し、同位置より斜めに上方に傾斜して形成され、最上位置にて略水平となるように形成され、また、上記水平壁面にはコの字状の切り込みを形成した内部の舌状部位を樹脂バネ片とすると共に、同樹脂バネ片は、先端寄りの部位に下方に向けて断面V字状に突出する突起を形成してあり、上記ローダーシャーシは、上記カムスライダの鉛直壁面に当接して支持する鉛直支持壁面を有し、同鉛直支持壁面には上記カムスライダのカム溝を貫通する上記レバーシフトのボスにて貫通される鉛直方向のスリットが形成されており、上記ボスの先端にはリブが形成され、同リブを介して上記樹脂バネ片に当接するものであり、上記カムスライダが移動して上記カム機構により上記レバーシフトが上昇移動してチャッキング完了する際に、上記カムスライダに一体的に形成された板状の樹脂バネ片の上記突起は上記ボスが上記カム溝の水平部分に移動した時に同ボスに対して斜辺で当接して押し上げられ、同ボスを斜め下方に押圧し、同ボスは、鉛直方向では下方のカム溝に当接しつつ、水平方向では同スリットの鉛直方向の開口縁部に当接する構成としても良い。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば、部品の追加をすることなく既存の部品形状・配置の変更だけでの対応が可能であり、トラバースアッシーの昇降途中は負荷とならず、チャッキング完了後のカムスライダのみが水平移動する時に作用する樹脂バネ片を設けているので、動作負荷の低減や振動防止の効果がある。また、下方に押し下げる動作により、振動の発生を効果的に防止する。
さらに、斜め下方に押し下げることで垂直方向のみならず、水平方向の振動の防止にも貢献する。
【0015】
特に、ローダーシャーシのスリットの開口縁部でボスを支持する場合は、鉛直方向と水平方向の両方で固定部材に当接することになり、より効果的に振動の発生を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光ディスクドライブ装置の概略構成および配置を示す模式図である。
【図2】トラバースアッシーが上昇途中の場合のカム機構の係合状態を示す図である。
【図3】トラバースアッシーが最上位置の水平部分に移動した時のカム機構と樹脂バネ片の状態を示す図である。
【図4】ボスに対してかかる押圧力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる光ディスクドライブ装置の概略構成および配置を模式的に示す図である。
同図において、便宜上、図面の下方左側を前方、下方右側を右側、上方右側を後方、上方左側を左側と呼ぶことにする。なお、図面の上方は上方、図面の下方は下方と呼ぶ。
ローダーシャーシ10は上面が開口する薄箱形の形状となっている。トラバースアッシー20は、このローダーシャーシ10に収容され、後方側の辺の近辺にて前方側の他端を上下に揺動可能なように回動可能にローダーシャーシ10にて支持されると共に、同他端の一辺の近辺にはカム機構を構成するレバーシフト30が備えられている。
【0018】
また、ローダーシャーシ10の内部における前方側は浅底となっており、同浅底部分が水平支持壁面11となっている。また、前面の壁面と平行となるように同水平壁面の後方端部から下方に鉛直支持壁面12が形成されている。このローダーシャーシ10の水平支持壁面11と鉛直支持壁面12とに接するように、カムスライダ40も、水平方向の水平壁面41と鉛直方向の鉛直壁面42とを有しており、水平支持壁面11と鉛直支持壁面12に接しながらスライド可能に支持されている。
【0019】
ここで、カムスライダ40とレバーシフト30とは互いに係合してカム機構を構成している。すなわち、カムスライダ40が往復動動作すると、カム機構を介してレバーシフト30は鉛直方向に上下動し、トラバースアッシー20を、その後端を回動軸として、水平状態のチャッキング状態と、これよりも下がった斜めの傾斜状態の開放状態との間で往復動動作させる。
なお、トラバースアッシー20には光ドライブユニット50が支持されており、チャッキング状態となった時に、装着された光ディスクを駆動し、かつ、読み取りや書き取りなどの動作を行う。また、トラバースアッシー20自体は、ダンパとなる部材を介してローダーシャーシ10とレバーシフト30とで支持される。
【0020】
レバーシフト30は、上記カム機構の一方として上記回動軸の側と反対の側に向けて突出するボス31a,31bを有している。カム機構の他方の側となるカムスライダ40は、鉛直壁面42を同レバーシフト30に対面して平行に左右に直線移動可能であり、かつ、同鉛直壁面42には上記ボス31にて貫通されるカム溝43a,43bが形成されている。すなわち、凸部材としてのボス31(31a,31b)と、凹部材としてのカム溝43(43a,43b)とにより、カム機構を構成している。
【0021】
カム溝43a,43bは、一端の最下部43a1,43b1が鉛直壁面42の下部側に位置し、同位置より斜めに上方に傾斜する傾斜部43a2,43b2を有し、最上位置にて略水平部分である水平部43a3,43b3を有している。従って、カムスライダ40が移動すると、最初に最下部43a1,43b1を貫通していたボス31a,31bは、傾斜部43a2,43b2に入り込み、その傾斜に沿って上方に持ち上げられ、水平部43a3,43b3に入って最上位置に移動される。また、カムスライダ40が逆に移動すると、ボス31a,31bこの経路を逆に辿り、水平部43a3,43b3の最上位置から傾斜部43a2,43b2に沿って徐々に下方に移動し、最下部43a1,43b1に至って最下位置に移動される。
【0022】
カムスライダ40の水平壁面41には、コの字状の切り込みを形成することにより、内部の舌状部位を樹脂バネ片44としており、同樹脂バネ片44は、先端寄りの部位に下方に向けて断面V字状に突出する突起44aを形成してある。突起44aはV字状であることから、下方に向けて傾斜面44a1を有している。この突起44aの形成位置は、一方のボス31aが水平部43a3に入った直後に同ボス31aの先端に形成したリブ31a1が上記傾斜面44a1に当接して押し上げる位置となっている。すなわち、ボス31aは先端に形成されたリブ31a1を介して樹脂バネ片44に当接するものであり、当接時に反力を受ける。
【0023】
また、ローダーシャーシ10の鉛直支持壁面12は、カムスライダ40の鉛直壁面42に当接して支持するとともに、上記ボス31a,31bの突出位置に対応した鉛直方向のスリット12a,12bが形成されている。レバーシフト30のボス31a,31bは、カムスライダ40のカム溝43a,43bを貫通しつつ、このスリット12a,12b内に入りこみ、同カム溝43a,43bにて上下に駆動され、左右方向においてスリット12a,12bにて動作範囲を制限されている。
【0024】
なお、図1は本光ディスクドライブ装置を模式的に示しており、上記カムスライダ40を左右に駆動するメカニカル機構や、光ディスクを載置するトレイおよびその駆動機構などを図示していない。また、カムスライダ40の主な役目は、光ディスクを載置するトレイのロックとトラバースアッシー20の昇降の切替動作を行うことである。
次に、上記構成からなる本光ディスクドライブ装置の動作を説明する。
:部品組付
まず、ローダーシャーシ10にカムスライダ40を組み付け、レバーシフト30のボス31a,31b(二本)をカムスライダ40のカム溝43a,43bを介してローダーシャーシ10のスリット12a,12bに挿入する。
トラバースアッシー20に図示しない前側ダンパー2コを取り付け、同ダンパー2コをレバーシフト30の図示しないボスに嵌め込み、ビス止めを行う。後側はトラバースアッシー20に取り付けた図示しないダンパー2コをローダーシャーシ10の図示しないボスに嵌め込みビス止めを行う。
この基本構成により、トラバースアッシー20はローダーシャーシ10に収容され、後端側の回動軸を支軸として前端側をレバーシフト30と共に上下動可能となり、同レバーシフト30自体はボス31a,31bとカム溝43a,43bからなるカム機構を介してカムスライダ40に連結する。
:動作説明
:1
図示しないトレイの開閉中は同トレイのリブによって、カムスライダ40は図示しないトレイギアと噛合していない。
【0025】
:2
トレイが閉まる寸前にトレイのリブによってカムスライダ40の図示しないラックギアとトレイギアとが噛合し始める。
:3
カムスライダ40のラックギアとトレイギアとの噛合が始まると、トレイラックギアとトレイギアとの噛合が外れる。
:4
カムスライダ40のカム溝43によってレバーシフト30が組み付けられたトラバースアッシー20を上方向に持ち上げる。
ここで図2は、トラバースアッシー20が上昇途中の場合のカム機構の係合状態を示している。
【0026】
同図に示すように、ボス31aは光ディスクの開放状態においてカム溝43aにおける最下部43a1に位置している。しかし、上記操作を経てカムスライダ40が右方から左方に移動し始めると、カム溝43aにおける傾斜部43a2に入り込む。傾斜部43a2では、その開口端部がボス31aの下部(より正確には底側の左端の角)に当接し、傾斜に沿って同ボス31aを徐々に上方に押し上げることになる。なお、もう一方のボス31bとカム溝43bにおいても同期して同じ動作を行っている。
【0027】
:5
カムスライダ40が左方に移動し、カム溝43aの上側の水平部43a3までボス31aが入り込んでレバーシフト30を持ち上げると、トラバースアッシー20はチャッキング完了となる。そして、この時点で、カムスライダ40の樹脂バネ片44とレバーシフト30のボス31aの先端部に設けたリブ31a1とが接触を始める。
:6
カムスライダ40が、メカストップ位置まで移動する時に、樹脂バネ片44がレバーシフト30におけるボス31a先端のリブ31a1を押さえ、カムスライダ40の振動を防止する。
【0028】
:7
レバーシフト30としてもカムスライダ40の樹脂バネ片44によって、斜め下に押さえられローダーシャーシ10におけるスリット12aの開口縁部の壁とカムスライダ40のカム溝43aにおける水平部43a3で押さえられることになる。
ここで図3は、トラバースアッシー20のボス31aが最上位置の水平部43a3に移動した時のカム機構と樹脂バネ片44の状態を示している。
同図に示すように、カムスライダ40が左方に移動して上記カム機構によりレバーシフト30が上昇移動し、メカストップ位置に至ってチャッキング完了すると、ボス31aはカム溝43aにおける水平部43a3に載置された状態であり、ボス31aの先端部に設けたリブ31a1は樹脂バネ片44の傾斜面44a1に当接し、さらに、押し上げている。
【0029】
すなわち、カムスライダ40に一体的に形成された板状の樹脂バネ片44の突起44aはボス31aがカム溝43aの水平部43a3に移動し、同ボス31のリブ31aに対して傾斜面44a1の斜辺で当接して押し上げられ、同ボス31aを斜め下方に押圧し、同ボス31aは、鉛直方向では下方のカム溝43aの水平部43a3に当接しつつ、水平方向ではスリット12aの鉛直方向の開口縁部に当接している。
この押し上げた状態での作用反作用を図4に示している。
【0030】
リブ31a1は傾斜面44a1を押し上げることから、その反作用として鉛直方向下方と、水平方向右方の押圧力を受ける。鉛直方向下方の押圧力は当該ボス31aを水平部43a3に押しつけ、水平方向右方の押圧力は当該ボス31aをローダーシャーシ10におけるスリット12aの開口縁部に押しつける。この両方の押圧力により、カムスライダ40の振動を防止し、また、レバーシフト30の振動を防止することになる。
なお、チャッキング状態から開放状態へ移行する時には、カムスライダ40は右方に移動し、上述したのと逆の動作でレバーシフト30が下がっていく。
このように、カムスライダ40に樹脂バネ片44を設けつつ、その位置を適切な位置とすることで、負荷の発生タイミングをずらし、上昇動作中には負荷をかけることなく、メカストップ位置でのみ負荷をかける(集中化を回避)ことができるようになった。また、一つの樹脂バネ片44でカムスライダ40とレバーシフト30の二つの部品の振動を押さえることができるようになった。
【0031】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0032】
10…ローダーシャーシ、11…水平支持壁面、12…鉛直支持壁面、12a,12b…スリット、20…トラバースアッシー、30…レバーシフト、31,31a,31b…ボス、31a1…リブ、40…カムスライダ、41…水平壁面、42…鉛直壁面、43,43a,43b…カム溝、43a1,43b1…最下部、43a2,43b2…傾斜部、43a3,43b3…水平部、44…樹脂バネ片、44a…突起、44a1…傾斜面、50…光ドライブユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口する薄箱形のローダーシャーシと、
このローダーシャーシに収容され、一の辺の近辺にて他端を上下に揺動可能なように回動可能に支持されると共に、同他端の辺にはカム機構を構成するレバーシフトが形成されたトラバースアッシーと、
上記ローダーシャーシに対してスライド可能に支持されると共に、上記レバーシフトと係合して上記カム機構を構成するカムスライダと、
上記トラバースアッシーにてダンパを介して支持される光ドライブユニットとからなり、
上記カムスライダの往復動動作により上記レバーシフトは鉛直方向に上下動し、上記トラバースアッシーを、その一端を回動軸として、水平状態のチャッキング状態と、これよりも下がった斜めの傾斜状態の開放状態との間で往復動動作させる光ディスクドライブ装置であって、
上記レバーシフトが上昇移動してチャッキング完了する際に、上記カムスライダに一体的に形成された板状の樹脂バネ片が同レバーシフトにて上方に押し上げられ、同レバーシフトは下方に向けた押圧力を受けることを特徴とする光ディスクドライブ装置。
【請求項2】
上記レバーシフトは、上記カム機構の一方として上記回動軸の側と反対の側に向けて突出するボスを有し、上記カムスライダは、鉛直方向の鉛直壁面と、水平方向の水平壁面とを有し、上記鉛直壁面を上記レバーシフトに対面して平行に直線移動可能であり、かつ、同鉛直壁面には上記ボスにて貫通される上記カム機構の他方としてのカム溝が形成され、同カム溝は一端にて上記鉛直壁面の下部側に位置し、同位置より斜めに上方に傾斜して形成され、最上位置にて略水平となるように形成され、また、上記水平壁面にはコの字状の切り込みを形成した内部の舌状部位を樹脂バネ片とすると共に、同樹脂バネ片は、先端寄りの部位に下方に向けて断面V字状に突出する突起を形成してあり、かつ、同突起は上記ボスが上記カム溝の水平部分に移動した時に同ボスに対して斜辺で当接して押し上げられ、同ボスを斜め下方に押圧することを特徴とする請求項1に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項3】
上記ローダーシャーシは、上記カムスライダの鉛直壁面に当接して支持する鉛直支持壁面を有し、同鉛直支持壁面には上記カムスライダのカム溝を貫通する上記レバーシフトのボスにて貫通される鉛直方向のスリットが形成されており、上記突起が上記ボスを斜め下方に押圧する際、同ボスは、鉛直方向では下方のカム溝に当接しつつ、水平方向では同スリットの鉛直方向の開口縁部に当接することを特徴とする請求項2に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項4】
上記ボスの先端にはリブが形成され、同リブを介して上記樹脂バネ片に当接することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項5】
上面が開口する薄箱形のローダーシャーシと、
このローダーシャーシに収容され、一の辺の近辺にて他端を上下に揺動可能なように回動可能に支持されると共に、同他端の辺にはカム機構を構成するレバーシフトが形成されたトラバースアッシーと、
上記ローダーシャーシに対してスライド可能に支持されると共に、上記レバーシフトと係合して上記カム機構を構成するカムスライダと、
上記トラバースアッシーにてダンパを介して支持される光ドライブユニットとからなり、上記カムスライダの往復動動作により上記レバーシフトは鉛直方向に上下動し、上記トラバースアッシーを、その一端を回動軸として、水平状態のチャッキング状態と、これよりも下がった斜めの傾斜状態の開放状態との間で往復動動作させる光ディスクドライブ装置であって、
上記レバーシフトは、上記カム機構の一方として上記回動軸の側と反対の側に向けて突出するボスを有し、上記カムスライダは、鉛直方向の鉛直壁面と、水平方向の水平壁面とを有し、上記鉛直壁面を上記レバーシフトに対面して平行に直線移動可能であり、かつ、同鉛直壁面には上記ボスにて貫通される上記カム機構の他方としてのカム溝が形成され、同カム溝は一端にて上記鉛直壁面の下部側に位置し、同位置より斜めに上方に傾斜して形成され、最上位置にて略水平となるように形成され、また、上記水平壁面にはコの字状の切り込みを形成した内部の舌状部位を樹脂バネ片とすると共に、同樹脂バネ片は、先端寄りの部位に下方に向けて断面V字状に突出する突起を形成してあり、
上記ローダーシャーシは、上記カムスライダの鉛直壁面に当接して支持する鉛直支持壁面を有し、同鉛直支持壁面には上記カムスライダのカム溝を貫通する上記レバーシフトのボスにて貫通される鉛直方向のスリットが形成されており、
上記ボスの先端にはリブが形成され、同リブを介して上記樹脂バネ片に当接するものであり、
上記カムスライダが移動して上記カム機構により上記レバーシフトが上昇移動してチャッキング完了する際に、上記カムスライダに一体的に形成された板状の樹脂バネ片の上記突起は上記ボスが上記カム溝の水平部分に移動した時に同ボスに対して斜辺で当接して押し上げられ、同ボスを斜め下方に押圧し、同ボスは、鉛直方向では下方のカム溝に当接しつつ、水平方向では同スリットの鉛直方向の開口縁部に当接することを特徴とする光ディスクドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−129234(P2011−129234A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289827(P2009−289827)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】