説明

光ディスク再生装置及び光ディスク再生方法

【課題】光ディスクの大容量化を実現すると共に装置構成を小型化できるようにする。
【解決手段】光ディスク再生装置20は、光ピックアップ27に組み込まれた半導体レーザ3から特異出力光LEでなる光ビームLを出射させ、光ディスク100の記録層100Sに形成された局所マークMPに集光することにより、2ビット分の情報が波長帯ごとに変調された戻り光ビームLrを局所マークMPから発生させることができ、スペクトラム解析により第1強度V1及び第2強度V2をそれぞれ検出して符号を抽出し情報を再生できるので、比較的小型な構成により、一般的なピコ秒レーザやフェムト秒レーザを用いた場合と同様に、波長帯ごとに変調された情報を再生することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク再生装置及び光ディスク再生方法に関し、例えば光ディスクから情報を再生する光ディスク再生装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク再生装置においては、光情報記録媒体としてのCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びBlu−ray Disc(登録商標、以下BDと呼ぶ)等の光ディスクから情報を読み出すようになされたものが広く普及している。
【0003】
かかる光ディスク再生装置では、光ディスクに音楽コンテンツや映像コンテンツ等の各種コンテンツ、或いはコンピュータ用の各種データ等のような種々の情報が格納されるようになされている。
【0004】
特に近年では、映像の高精細化や音楽の高音質化等により情報量が増加しているため、当該光ディスクのさらなる大容量化が求められている。
【0005】
そこで、かかる光ディスクを大容量化する手法の一つとして、光ディスクの記録層に複数種類の記録マークを組み合わせて形成しておき、光ビームを照射した際に生じる戻り光に信号が波長帯ごとに多重変調されるようにしたものが提案されている。この手法の場合、光ディスク再生装置は、光ディスクから得られる戻り光において複数の周波数帯からそれぞれ信号を検出し、これらを基に情報を再生するようになされている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ISOM/ODS’08 WA02 TD05-31 “Plasmonic Nano-Structure for Optical DataStorage”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで上述した光ディスク再生装置では、光ディスクに対し光ビームをパルス状に照射するようになされており、当該光ビームの光源として、いわゆるピコ秒レーザやフェムト秒レーザを用いる必要がある。
【0008】
一般に、ピコ秒レーザやフェムト秒レーザは、その構成が比較的大型となる。これに伴い光ディスク再生装置は、装置構成が大型となってしまい、家庭内での使用や移動中の使用に耐えうる程度まで小型化することが困難である、という問題があった。
【0009】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、光ディスクの大容量化を実現すると共に装置構成を小型化し得る光ディスク再生装置及び光ディスク再生方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため本発明の光ディスク再生装置においては、パルス状でなり所定の特異電圧でなる駆動パルスが供給された際、パルス状の光強度特性を有し特異ピーク波長でなる特異ピーク光と、当該特異ピーク光よりも光強度が小さいスロープ状の光強度特性を有し特異ピーク波長と異なる特異スロープ波長でなる特異スロープ光とを、レーザ光として順次出射する半導体レーザと、光ディスクに設けられ複数種類の記録マークが形成された記録層に対しレーザ光を集光すると共に、複数の波長帯ごとに独立して光強度が変調されて記録層から戻される戻り光の発散角を変換する対物レンズと、戻り光における波長帯ごとの光強度をそれぞれ検出し、それぞれの光強度に応じた複数の検出信号をそれぞれ生成する検出信号生成部と、複数の検出信号を基に、光ディスクに記録されている情報を再生する再生処理部とを設けるようにした。
【0011】
これにより本発明の光ディスク再生装置は、比較的小型に構成し得る半導体レーザを用いて、極めて短いパルス幅でなる光ビームを光ディスクの記録層に照射できると共に、当該記録層からの戻り光を基に波長帯ごとに検出信号を取得して情報を再生することができる。
【0012】
また本発明の光ディスク再生方法においては、パルス状でなり所定の特異電圧でなる駆動パルスが供給された際、パルス状の光強度特性を有し特異ピーク波長でなる特異ピーク光と、当該特異ピーク光よりも光強度が小さいスロープ状の光強度特性を有し特異ピーク波長と異なる特異スロープ波長でなる特異スロープ光とを、所定の半導体レーザからレーザ光として順次出射する出射ステップと、光ディスクに設けられ所定の記録マークが形成された記録層に対し、所定の対物レンズによりレーザ光を集光する集光ステップと、複数の波長を含み当該波長ごとに独立して光強度が変調されて記録層から戻される戻り光の発散角を対物レンズにより変換する変換ステップと、戻り光における波長ごとの光強度をそれぞれ検出し、それぞれの光強度に応じた複数の検出信号をそれぞれ生成する検出信号生成ステップと、複数の検出信号を基に、光ディスクに記録されている情報を再生する再生ステップとを設けるようにした。
【0013】
これにより本発明の光ディスク再生方法は、比較的小型に構成し得る半導体レーザを用いて、極めて短いパルス幅でなる光ビームを光ディスクの記録層に照射できると共に、当該記録層からの戻り光を基に波長帯ごとに検出信号を取得して情報を再生することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、比較的小型に構成し得る半導体レーザを用いて、極めて短いパルス幅でなる光ビームを光ディスクの記録層に照射できると共に、当該記録層からの戻り光を基に波長帯ごとに検出信号を取得して情報を再生することができる。かくして本発明は、光ディスクの大容量化を実現すると共に装置構成を小型化し得る光ディスク再生装置及び光ディスク再生方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】短パルス光源装置の構成を示す略線図である。
【図2】パルス信号及びレーザ駆動信号を示す略線図である。
【図3】注入キャリア密度と光子密度との関係(1)の説明に供する略線図である。
【図4】注入キャリア密度とキャリア密度との関係の説明に供する略線図である。
【図5】注入キャリア密度と光子密度との関係(2)の説明に供する略線図である。
【図6】PT1における光子密度の説明に供する略線図である。
【図7】PT2における光子密度の説明に供する略線図である。
【図8】PT3における光子密度の説明に供する略線図である。
【図9】実際の発光波形を示す略線図である。
【図10】駆動信号と光強度との関係を示す略線図である。
【図11】光測定装置の構成を示す略線図である。
【図12】各パルスの形状を示す略線図である。
【図13】パルス信号と駆動パルスとの関係を示す略線図である。
【図14】駆動パルスの電圧を変化させたときの光強度特性を示す略線図である。
【図15】駆動パルスの電圧が8.8[V]のときにおける波長特性及び光強度特性を示す略線図である。
【図16】駆動パルスの電圧が13.2[V]のときにおける波長特性及び光強度特性を示す略線図である。
【図17】駆動パルスの電圧が15.6[V]のときにおける波長特性及び光強度特性を示す略線図である。
【図18】駆動パルスの電圧が17.8[V]のときにおける波長特性及び光強度特性を示す略線図である。
【図19】駆動パルスの電圧が38.4[V]のときにおける波長特性及び光強度特性を示す略線図である。
【図20】BPFの有無による光強度特性の相違を示す略線図である。
【図21】BPFの有無による波長特性の相違を示す略線図である。
【図22】特異出力光の光強度特性を示す略線図である。
【図23】光ディスクの記録層における記録マークの構成を示す略線図である。
【図24】戻り光ビームのスペクトラムを示す略線図である。
【図25】光ディスク再生装置の構成を示す略線図である。
【図26】第1の実施の形態における光ピックアップの構成を示す略線図である。
【図27】第2の実施の形態における光ピックアップの構成を示す略線図である。
【図28】第3の実施の形態における光ピックアップの構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.半導体レーザの動作原理
2.第1の実施の形態(スペクトラム解析を行う例)
3.第2の実施の形態(戻り光を波長ごとに分離する例)
4.第3の実施の形態(検出信号を時間ごとに分離する例)
5.他の実施の形態
【0017】
<1.半導体レーザの動作原理>
[1−1.短パルス光源装置の構成]
図1は本実施の形態による短パルス光源装置1の全体構成を示している。この短パルス光源装置1は、レーザ制御部2と半導体レーザ3とから構成されている。
【0018】
半導体レーザ3は、半導体発光を利用する一般的な半導体レーザ(例えばソニー株式会社製、SLD3233)でなる。レーザ制御部2は、半導体レーザ3に供給する駆動信号D1を制御することにより、当該半導体レーザ3からパルス状のレーザ光LLを出力させるようになされている。
【0019】
レーザ制御部2は、所定のタイミングで複数種類のパルス状の信号を生成するパルス信号発生器4及び半導体レーザ3を駆動する駆動回路6により構成されている。
【0020】
パルス信号発生器4は、その内部で所定の周期TSの矩形波でなる同期信号SSを生成しており、当該同期信号SSに基づいたタイミングで動作すると共に、当該同期信号SSを外部の測定装置等(図示せず)へ供給し得るようになされている。
【0021】
またパルス信号発生器4は、図2(A)に示すように、周期TSごとにパルス状に変化するパルス信号SLを生成し、これを駆動回路6へ供給する。このパルス信号SLは、駆動回路6に対し、半導体レーザ3へ電源を供給すべきタイミング、期間及び電圧レベルの大きさを示している。
【0022】
駆動回路6は、パルス信号SLを基に、図2(B)に示すようなレーザ駆動信号SDを生成し、これを半導体レーザ3へ供給する。
【0023】
このとき駆動回路6は、パルス信号SLを所定の増幅率で増幅することによりレーザ駆動信号SDを生成する。このためレーザ駆動信号SDのピーク電圧VDは、パルス信号SLのピーク電圧VLに応じて変化することになる。因みにレーザ駆動信号SDは、駆動回路6の増幅特性により、その波形が歪まされている。
【0024】
また駆動回路6は、外部からパルス信号SLの供給を受けた場合にも、当該パルス信号SLを所定の増幅率で増幅することによりレーザ駆動信号SDを生成するようになされている。
【0025】
半導体レーザ3は、レーザ駆動信号SDの供給を受けると、図2(C)に示すように、光強度LTをパルス状に変化させながらレーザ光LLを出射する。以下では、レーザ光をパルス状に出射することを「パルス出力する」と表記する。
【0026】
このように短パルス光源装置1は、レーザ制御部2の制御により、他の光学部品等を用いることなく、半導体レーザ3からレーザ光LLを直接的にパルス出力するようになされている。
【0027】
[1−2.緩和振動モードによるレーザ光のパルス出力]
ところで、一般にレーザの特性は、いわゆるレート方程式により表されることが知られている。例えば、閉込係数Γ、光子寿命τph[s]、キャリア寿命τ[s]、自然放出結合係数C、活性層厚d[mm]、電荷素量q[C]、最大利得gmax、キャリア密度N、光子密度S、注入キャリア密度J、光速c[m/s]、透明化キャリア密度N、群屈折率n及び面積Aを用いると、レート方程式は次に示す(1)式のように表される。
【0028】
【数1】

【0029】
次に、(1)式のレート方程式を基に、注入キャリア密度Jと光子密度Sとの関係を算出した結果を図3のグラフに示し、注入キャリア密度Jとキャリア密度Nとの関係を算出した結果を図4のグラフに示す。
【0030】
因みにこれらの算出結果は、閉込係数Γ=0.3、光子寿命τph=1e−12[s]、キャリア寿命τ=1e−9[s]、自然放出結合係数C=0.03、活性層厚d=0.1[μm]、電荷素量q=1.6e−19[C]、及び面積A=3e−16[cm]として得られたものである。
【0031】
図4に示したように、一般的な半導体レーザは、注入キャリア密度J(すなわちレーザ駆動信号SD)の増大に応じてキャリア密度Nが飽和状態の少し手前となる飽和前点Slにおいて、発光を開始する。
【0032】
また図3に示したように、半導体レーザは、注入キャリア密度Jの増大に伴って光子密度S(すなわち光強度)を増大させる。さらに図3と対応する図5に示すように、半導体レーザは、注入キャリア密度Jのさらなる増大に伴って、光子密度Sをさらに増大させることがわかる。
【0033】
次に、図5に示した特性曲線上に、注入キャリア密度Jが比較的大きいポイントPT1、及び当該ポイントPT1よりも注入キャリア密度Jが順次小さくなるポイントPT2及びPT3をそれぞれ選定した。
【0034】
続いて、ポイントPT1、PT2及びPT3における、レーザ駆動信号SDの印加を開始してからの、光子密度Sが変化する様子を算出した結果を図6、図7及び図8にそれぞれ示す。因みに、注入キャリア密度Jの大きさは半導体レーザに供給されるレーザ駆動信号SDの大きさに対応しており、また光子密度Sの大きさは光強度の大きさに対応している。
【0035】
図6に示すように、ポイントPT1において、光子密度Sは、いわゆる緩和振動により大きく振動してその振幅が大きくなり、かつ振幅の周期(すなわち極小値から極小値まで)となる振動周期taが約60[ps]と小さいことが確認された。また光子密度Sの値は、発光開始直後に出現する第1波の振幅が最も大きく、第2波、第3波と徐々に減衰し、やがて安定している。
【0036】
このポイントPT1の光子密度Sにおける第1波の最大値は約3×1016と、光子密度Sが安定したときの値である安定値(約1×1016)の約3倍であった。
【0037】
ここで、レーザ駆動信号SDを印加し始めてから発光を開始するまでの時間を発光開始時間τdとすると、(1)式に示したレート方程式から当該発光開始時間τdを算出することができる。
【0038】
すなわち、発振以前に光子密度S=0であったとすると、(1)式における上段の式は、次式のように表すことができる。
【0039】
【数2】

【0040】
ここでキャリア密度Nをスレショールド値Nthとすると、発光開始時間τdを次式のように表すことができる。
【0041】
【数3】

【0042】
このように発光開始時間τdは、注入キャリア密度Jに反比例することがわかる。
【0043】
図6に示すように、ポイントPT1では、(3)式から発光開始時間τdが約200[ps]と算出される。このポイントPT1では、半導体レーザに大きな電圧値でなるレーザ駆動信号SDを印加しているため、当該レーザ駆動信号SDを印加し始めてから発光を開始するまでの発光開始時間τdも短くなっている。
【0044】
図7に示すように、ポイントPT1よりもレーザ駆動信号SDの値が小さいポイントPT2では、明確な緩和振動を生じているものの、ポイントPT1と比して振動の振幅が小さくなり、且つ振動周期taが約100[ps]と大きくなった。
【0045】
またポイントPT2の場合、(3)式から算出される発光開始時間τdは約400[ps]となり、ポイントPT1と比較して大きくなった。このポイントPT2では、光子密度Sにおける第1波の最大値は約8×1015となり、安定値(約4×1015)の約2倍であった。
【0046】
図8に示すように、ポイントPT2よりも供給したレーザ駆動信号SDの値がさらに小さいポイントPT3では、緩和振動が殆どみられなかった。またポイントPT3の場合、(3)式から算出される発光開始時間τdは約1[ns]となり、比較的長いことが確認された。このポイントPT3の光子密度Sにおける最大値は安定値とほぼ同一であり、約1.2×1015であった。
【0047】
ところで一般的なレーザ光源では、半導体レーザに対してポイントPT3のように緩和振動の殆どみられない比較的低い電圧のレーザ駆動信号SDを印加するようになされている。すなわち一般的なレーザ光源は、レーザ光の出射開始直後における光強度の変動幅を小さく抑えることにより、レーザ光LLの出力を安定させるようになされている。
【0048】
以下では、短パルス光源装置1において、半導体レーザ3に比較的低い電圧でなるレーザ駆動信号SDを供給することにより、緩和振動を生じず安定した光強度でなるレーザ光LLを出力する動作モードを、通常モードと呼ぶ。また、この通常モードにおいて半導体レーザ3に供給するレーザ駆動信号SDの電圧を通常電圧VNと呼び、当該半導体レーザ3から出力されたレーザ光LLを通常出力光LNと呼ぶ。
【0049】
これに加えて本実施の形態による短パルス光源装置1は、ポイントPT1及びPT2の場合のように、比較的高い電圧のレーザ駆動信号SDが供給されることにより、光強度特性に緩和振動を生じさせる動作モード(以下、これを緩和振動モードと呼ぶ)を有している。
【0050】
この緩和振動モードの場合、短パルス光源装置1は、レーザ駆動信号SDの電圧V(以下これを振動電圧VBと呼ぶ)を通常電圧VNよりも高めることになる(例えば1.5倍以上)。この結果、短パルス光源装置1は、レーザ光の瞬間的な光強度LTの最大値を、通常モードの場合よりも増大させることができる。
【0051】
すなわち短パルス光源装置1は、緩和振動モードで動作する場合、半導体レーザ3に対して比較的高い振動電圧VBを供給することにより、当該振動電圧VBに応じた大きな光強度でなるレーザ光LLを出射することができる。
【0052】
これを別の観点から見れば、半導体レーザ3は、振動電圧VBでなるレーザ駆動信号SDが印加されることにより、通常電圧VNを印加していた従来と比較して、レーザ光LLの光強度を大幅に増加させることが可能となる。
【0053】
例えば半導体レーザは、ポイントPT1において緩和振動の第1波による光子密度Sが約3×1016であり、通常電圧VDNを印加した場合を示すポイントPT3の場合(約1.2×1015)と比して、半導体レーザ3の光強度を20倍以上に増大させることが可能となる。
【0054】
実際上、一般的な半導体レーザ(ソニー株式会社製、SLD3233VF)に対して、比較的高い電圧のレーザ駆動信号SDを印加した時に測定された光強度特性の波形を図9に示す。なお図9では、半導体レーザに対して矩形のパルス状でなるレーザ駆動信号SDを供給し、その結果得られたレーザ光LLの光強度特性の波形を示している。
【0055】
この図9から、図6及び図7において光子密度Sの算出結果としてみられた緩和振動が、実際の光強度の変化としても生じていることが確認された。
【0056】
ここで、半導体レーザ3に供給するレーザ駆動信号SDとレーザ光LLの光強度との関係について、詳細に検討する。
【0057】
図10(A)は、図7と同様、光子密度Sの時間変化の様子を示している。例えば図10(B)に示すように、短パルス光源装置1のレーザ制御部2は、緩和振動を生じさせるのに十分な振動電圧VB1でなるパルス状のレーザ駆動信号SDを半導体レーザ3に供給する。
【0058】
このときレーザ制御部2は、レーザ駆動信号SDを、発光開始時間τdに緩和振動の振動周期taを加算した時間(すなわちτd+ta、以下これを供給時間τPDと呼ぶ)に亘ってローレベルからハイレベルに立ち上げることにより、矩形状のパルス信号とする。
【0059】
なお説明の都合上、レーザ駆動信号SDのうちパルス状に立ち上がっている部分を駆動パルスPD1と呼ぶ。
【0060】
この結果半導体レーザ3は、図10(C)に示すように、緩和振動における第1波の部分のみに相当するパルス状のレーザ光LL(以下、これを振動出力光LBと呼ぶ)を出射することができる。
【0061】
このときレーザ制御部2は、パルス状でなる駆動パルスPDを供給しているため、高い振動電圧VBの印加時間を比較的短く抑えることができ、半導体レーザ3の平均消費電力を低下させて過発熱などによる当該半導体レーザ3の不具合や破壊を防止させることができる。
【0062】
一方レーザ制御部2は、図10(D)に示すように、緩和振動を生じさせ得る程度に高い電圧であり、且つ振動電圧VB1よりも低い振動電圧VB2でなる駆動パルスPD2を半導体レーザ3へ供給し得るようにもなされている。
【0063】
この場合半導体レーザ3は、図10(E)に示すように、駆動パルスPD1が供給された場合と比較して光強度の小さい振動出力光LBを出射することができる。
【0064】
このように短パルス光源装置1は、レーザ制御部2から比較的高い振動電圧VBでなる駆動パルスPD(すなわち駆動パルスPD1又はPD2)を半導体レーザ3へ供給する緩和振動モードで動作し得るようになされている。このとき短パルス光源装置1は、光強度が緩和振動によりパルス状に変化する振動出力光LBを出射し得るようになされている。
【0065】
[1−3.特異モードによるレーザ光のパルス出力]
さらに短パルス光源装置1は、通常モード及び緩和振動モードに加えて、振動電圧VBよりも高い特異電圧VEでなる駆動パルスPDを半導体レーザ3に供給する特異モードで動作するようにもなされている。
【0066】
このとき短パルス光源装置1は、半導体レーザ3から振動出力光LBよりもさらに大きな光強度でなるレーザ光LLをパルス出力し得るようになされている。
【0067】
[1−3−1.光測定装置の構成]
ここでは、短パルス光源装置1から出射されたレーザ光LLを測定及び分析する光測定装置11(図11)を用いることにより、短パルス光源装置1における駆動パルスPDの電圧Vを変化させた場合のレーザ光LLの光強度を測定する実験を行った。
【0068】
光測定装置11は、短パルス光源装置1の半導体レーザ3からレーザ光LLを出射させ、これをコリメータレンズ12へ入射させる。
【0069】
続いて光測定装置11は、レーザ光LLをコリメータレンズ12によって発散光から平行光に変換して集光レンズ15へ入射させ、さらに集光レンズ15によって集光させる。
【0070】
その後光測定装置11は、レーザ光LLを光サンプルオシロスコープ16(浜松ホトニクス株式会社製、C8188−01)へ供給することにより、当該レーザ光LLの光強度を測定し、その時間変化を光強度特性UT(後述する)として示すようになされている。
【0071】
また光測定装置11は、レーザ光LLを光スペクトラムアナザイザ17(株式会社エーディーシー製、Q8341)へ供給することにより、当該レーザ光LLの波長を分析し、その分布特性を波長特性UW(後述する)として示すようになされている。
【0072】
また光測定装置11は、コリメータレンズ12及び集光レンズ15の間にパワーメータ14(株式会社エーディーシー製、Q8230)が設置されており、当該パワーメータ14によりレーザ光LLの光強度LTを測定するようになされている。
【0073】
さらに光測定装置11は、必要に応じて、コリメータレンズ12及び集光レンズ15の間にBPF(Band Pass Filter)13を設置し得るようにもなされている。このBPF13は、レーザ光LLにおける特定波長成分の透過率を低減させることができる。
【0074】
[1−3−2.設定パルスと駆動パルスとの関係]
ところで短パルス光源装置1では、実際に生成されるパルス信号SLやレーザ駆動信号SD等がいわゆる高周波信号であることから、それぞれの波形が理想的な矩形波から変形した、いわゆる「なまった」波形となることが予想される。
【0075】
そこで、パルス信号発生器4に対し、図12(A)に示すように、パルス幅Wsが1.5[ns]でなる矩形状の設定パルスPLsを含むパルス信号SLを出力するよう設定した。このパルス信号SLを所定の測定装置により測定したところ、図12(B)に示すような測定結果が得られた。
【0076】
図12(B)のパルス信号SLにおいて、設定パルスPLsに対応して生成されるパルス(以下、これを生成パルスPLと呼ぶ)の半値幅である生成信号パルス半値幅PLhalfは、約1.5[ns]であった。
【0077】
また、パルス信号発生器4から駆動回路6に対し上述したパルス信号SLを供給した際に、当該駆動回路6から半導体レーザ3に実際に供給されたレーザ駆動信号SDについても同様に測定したところ、図12(C)に示すような測定結果が得られた。
【0078】
このレーザ駆動信号SDにおいて、生成パルスPLに対応して出現するパルス(すなわち駆動パルスPD)の半値幅である駆動パルス半値幅PDhalfは、生成パルスPLの信号レベルに応じて約1.5[ns]〜約1.7[ns]の範囲で変化した。
【0079】
このときの生成パルスPLの最大電圧値に対する駆動パルスPDにおける電圧パルス半値幅PDhalfの関係、及び当該生成パルスPLの最大電圧値に対する駆動パルスPDの最大電圧値Vmaxの関係を、図13に重ねて示す。
【0080】
この図13から、駆動回路6へ供給される生成パルスPLの最大電圧値が増加するに連れ、当該駆動回路6から出力されるレーザ駆動信号SDにおける駆動パルスPDの最大電圧値Vmaxも増加することが分かる。
【0081】
また図13から、駆動回路6へ供給される生成パルスPLの最大電圧値が増加するに連れ、駆動パルスPDの駆動パルス半値幅PDhalfも徐々に増加することが分かる。
【0082】
このことを換言すると、短パルス光源装置1は、一定のパルス幅でなる設定パルスPLsをパルス信号発生器4に設定した場合であっても、駆動回路6に供給する生成パルスPLの最大電圧値を変化させることにより、当該駆動回路6から出力されるレーザ駆動信号SDにおける駆動パルスPDのパルス幅及び電圧値を変化させることができる。
【0083】
[1−3−3.駆動パルスの電圧と出力されるレーザ光との関係]
そこで、駆動パルスPDの最大電圧値Vmaxを様々な値に設定した場合について、当該駆動パルスPDに応じて半導体レーザ3から出力されるレーザ光LLの光強度を、光測定装置11(図11)の光サンプルオシロスコープ16によりそれぞれ測定した。
【0084】
図14(A)及び(B)は、この測定の結果を示す。なおこの図14において、時間軸(横軸)は相対的な時間を表しており、絶対的な時間を表していない。またこの測定においては、BPF13は設置されていない。
【0085】
図14(A)に示すように、駆動パルスPDの最大電圧値Vmaxが8.8[V]のとき、レーザ光LLの光強度特性UT1には、比較的幅広い小さな出力ピーク(時間1550[ps]近傍)が1つのみ確認され、緩和振動による振動は見られなかった。すなわち光強度特性UT1は、短パルス光源装置1が通常モードで動作し半導体レーザ3から通常出力光LNを出力していることを表している。
【0086】
また図14(A)に示したように、駆動パルスPDの最大電圧値Vmaxが13.2[V]のとき、レーザ光LLの光強度特性UT2には、緩和振動による複数のピークが確認された。すなわち光強度特性UT2は、短パルス光源装置1が緩和振動モードで動作し半導体レーザ3から振動出力光LBを出力していることを表している。
【0087】
一方、図14(B)に示すように、駆動パルスPDの最大電圧値Vmaxが17.8[V]、22.0[V]、26.0[V]及び29.2[V]のとき、レーザ光LLの光強度特性UT3、UT4、UT5及びUT6には、比較的早い時間に先頭のピークとして表れるピーク部分と、その後細かい振動を伴い緩やかに減衰するスロープ部分が確認された。
【0088】
光強度特性UT3、UT4、UT5及びUT6は、先頭のピーク部分の後に大きなピークが表れていないことから、第1波に続いて第2波、第3波のピークを有する緩和振動モードによる光強度特性WT2(図14(A))と比較して、波形の傾向が明らかに異なっている。
【0089】
因みに、光測定装置11の光サンプルオシロスコープ16における解像度が約30[ps]以上であるため図14等には表われていないが、別途ストリークカメラを用いた実験により、先頭ピーク部分のピーク幅(半値幅)は、約10[ps]であることが確認された。
【0090】
このように光サンプルオシロスコープ16における解像度が低いため、光測定装置11では、必ずしも正しい光強度LTを測定できていない可能性がある。この場合、図14等における先頭ピーク部分の最大光強度は、実際の値よりも低く表われることになる。
【0091】
次に、駆動パルスPDの最大電圧値Vmaxを変化させたときのレーザ光LLについて、さらに詳細に分析する。
【0092】
ここでは、光測定装置11を用い、駆動パルスPDの最大電圧値Vmaxを変化させたときに半導体レーザ3から出射されるレーザ光LLについて、その光強度特性UT及び波長特性UWを光サンプルオシロスコープ16及び光スペクトラムアナライザ17によりそれぞれ測定した。
【0093】
図15〜図19は、この測定の結果をそれぞれ示す。因みに図15(A)〜図19(A)では、光スペクトラムアナライザ17により測定したレーザ光LLの波長特性UW(すなわち波長ごとに分解した結果)を表している。また図15(B)〜図19(B)は、図14と同様に、光サンプルオシロスコープ16により測定したレーザ光LLの光強度特性UT(すなわち時間変化の様子)を示している。この測定において、BPF13は設置されていない。
【0094】
図15(B)に示すように、駆動パルスPDの最大電圧値Vmaxが8.8[V]のとき、レーザ光LLの光強度特性UT11波形にはピークが1個のみ確認された。このことから、このとき短パルス光源装置1は通常モードで動作しており、当該レーザ光LLは通常出力光LNであるといえる。
【0095】
また図15(A)に示すように、このときの波長特性UW11には、波長約404[nm]に1個のピークのみが確認された。このことから、このレーザ光LLの波長は約404[nm]であることがわかる。
【0096】
図16(B)に示すように、駆動パルスPDの最大電圧値Vmaxが13.2[V]のとき、レーザ光LLの光強度特性UT12には比較的大きなピークが複数確認された。このことから、このとき短パルス光源装置1は緩和振動モードで動作しており、当該レーザ光LLは振動出力光LBであるといえる。
【0097】
また図16(A)に示すように、このときの波長特性UW12には、波長約404[nm]及び約407[nm]に2個のピークが確認された。このことから、このレーザ光LLの波長は約404[nm]及び約407[nm]であることがわかる。
【0098】
図17(B)に示すように、駆動パルスPDの最大電圧値Vmaxが15.6[V]のとき、レーザ光LLの光強度特性UT13には、先頭のピーク部分及び緩やかに減衰するスロープ部分が見られた。
【0099】
このとき図17(A)に示すように、波長特性UW13には、約404[nm]及び約408[nm]に2個のピークが確認された。この波長特性UW13では、緩和振動モードで確認された約406[nm]のピークが長波長側へ2[nm]移動しており、さらに398[nm]近傍が僅かに盛り上がっていることが確認された。
【0100】
図18(B)に示すように、駆動パルスPDの最大電圧値Vmaxが17.8[V]のとき、レーザ光LLの光強度特性UT14には、先頭のピーク部分及び緩やかに減衰するスロープ部分が見られた。
【0101】
また図18(A)に示すように、このときの波長特性UW14では、約398[nm]と約403[nm]に2個の大きなピークが確認された。この波長特性UW14では、波長特性UW13(図17(A))と比較して、約408[nm]のピークが非常に小さくなっており、その代わりに約398[nm]に大きなピークが形成されていることが確認された。
【0102】
図19(B)に示すように、駆動パルスPDの最大電圧値Vmaxが38.4[V]のとき、レーザ光LLの光強度特性UT15には先頭のピーク部分及び緩やかに減衰するスロープ部分が明確に見られた。
【0103】
また図19(A)に示すように、このときの波長特性UW15では、約398[nm]及び約404[nm]に2個のピークが確認された。この波長特性UW15は、波長特性UW14(図18(A))と比較すると、約408[nm]のピークが完全に消失しており、また約398[nm]に明確なピークが形成されていることが確認された。
【0104】
これらのことから、短パルス光源装置1では、振動電圧VBよりも大きな特異電圧VE(すなわち最大電圧値Vmax)でなる駆動パルスPDを半導体レーザ3に供給したことにより、振動出力光LBとはその波形及び波長の異なるレーザ光LLを出力し得ることが確認された。またこのレーザ光LLの発光開始時間τdは、上述したレート方程式から導かれる(3)式とは一致しなかった。
【0105】
ここでレーザ光LLの波長に着目する。レーザ光LLは、最大電圧値Vmaxが高くなるにつれて通常出力光LN(図15)から振動出力光LB(図16)へと変化し、さらに当該振動出力光LBからその波長を変化させる。
【0106】
具体的に振動出力光LB(図16)は、その波長特性UW12において、通常出力光LNとほぼ同等の波長(通常出力光LNの波長から±2[nm]以内)のピークに加えて、当該通常出力光LNよりも約3[nm](3±2[nm]以内)長波長側にピークを有する。
【0107】
これに対して図19に示したレーザ光LLは、その波長特性UW15において、通常出力光LNとほぼ同等の波長(通常出力光LNの波長から±2[nm]以内)のピークに加えて、当該通常出力光LNよりも約6[nm](6±2[nm]以内)短波長側にピークを有する。
【0108】
そこで以下では、図19に示したようなレーザ光LLを特異出力光LEと呼び、短パルス光源装置1において半導体レーザ3から当該特異出力光LEを出力するような動作モードを特異モードと呼ぶ。
【0109】
[1−3−4.特異モードにおけるレーザ光の波長]
ところで、最大電圧値Vmaxが15.6[V]のときの波長特性UW13(図17(A))に対して最大電圧値Vmaxが17.8[V]のときの波長特性UW14(図18(A))を比較すると、長波長側のピークは消失し、代りに短波長側のピークが出現している。
【0110】
すなわち波長特性UWは、最大電圧値Vmaxの上昇に伴いレーザ光LLが振動出力光LBから特異出力光LEへ変化する過程において、長波長側のピークが徐々に減少し、その代りに短波長側のピークが増大していくことがわかる。
【0111】
そこで、以下では、波長特性UWにおいて短波長側のピーク面積が長波長側のピーク面積以上となるレーザ光LLを特異出力光LEとし、当該波長特性UWにおいて短波長側のピーク面積が長波長側のピーク面積未満となるレーザ光LLを振動出力光LBと定義する。
【0112】
因みに、図18のように2つのピークが重複する場合には、通常出力光LNの波長から6[nm]短波長側の波長を短波長側の中心波長とし、当該中心波長±3[nm]の範囲における面積を当該ピークの面積とする。
【0113】
従って、この定義により、最大電圧値Vmaxが15.6[V]のとき(図17)のレーザ光LLは振動出力光LBとなり、最大電圧値Vmaxが17.8[V]のとき(図18)のレーザ光LLは特異出力光LEとなる。
【0114】
次に、光測定装置11において短パルス光源装置1を特異モードで動作させ、光ビームLL(すなわち特異出力光LE)の光強度特性UT16及び波長特性UW16を測定した。また、光測定装置11にBPF13を設置することにより光ビームLLにおける波長406±5[nm]の透過率を低下させるようにした状態で、同様に光強度特性UT17及び波長特性UW17を測定した。
【0115】
図20に、光強度特性UT16及び光強度特性UT17を重ねて示す。この図20からわかるように、BPF13が設置されたときの光強度特性UT17は、光強度特性UT16と比較して、ピーク部分の光強度が殆ど同等であったのに対し、スロープ部分の光強度が大きく減少した。
【0116】
このことは、スロープ部分の波長が約404[nm]であるためにBPF13により光強度が減少したのに対し、ピーク部分の波長が約398[nm]であるためにBPF13によっては光強度が減少しなかったことを表している。
【0117】
また図21(A)及び(B)に、波長特性UW16及びUW17をそれぞれ示す。因みに図21は、波長特性UW16及びUW17をそれぞれ最大の光強度に応じて正規化しており、縦軸の光強度を相対値としている。
【0118】
波長特性UW16(図21(A))では、光強度特性UT16において大きな面積を有するスロープ部分に対応するように、波長404[nm]の光強度が波長398[nm]の光強度に比して大きくなっている。
【0119】
一方波長特性UW17では、スロープ部分の減少に伴い、波長404[nm]の光強度と波長398[nm]の光強度とがほぼ同程度となった。
【0120】
このことからも、特異出力光LEは、図22に示す光強度特性UTにおける特異スロープESLの波長が約404[nm]であり特異ピークEPKの波長が約398[nm]であること、すなわちピーク部分の波長がスロープ部分の波長よりも短いことが分かった。
【0121】
これを換言すると、特異出力光LEの光強度特性UTにおけるピーク部分は、通常出力光LNの場合と比して、その波長が約6[nm]短波長側にシフトすることになる。因みに、他の実験において通常出力光LNの波長が異なる他の半導体レーザを用いた場合であっても、同様の結果が得られた。
【0122】
また光測定装置11において、半導体レーザ3としてソニー株式会社製SLD3233を使用して特異出力光LEを測定したところ、図22に示すような光強度特性UT20が得られた。
【0123】
このとき、特異出力光LEにおけるピーク部分(以下これを特異ピークEPKと呼ぶ)の光強度は、パワーメータ14により測定したところ、約12[W]であった。この約12[W]という光強度は、振動出力光LBにおける最大の光強度(約1〜2[W])と比較して極めて大きい値といえる。因みに図22では、光サンプルオシロスコープ16の解像度が低いために、この光強度は表れていない。
【0124】
さらにストリークカメラ(図示せず)による分析の結果、特異出力光LEの光強度特性UTは、特異ピークEPKにおけるピーク幅が10[ps]程度であり、振動出力光LBにおけるピーク幅(約30[ps])と比較して小さくなることも確認された。因みに図22では、光サンプルオシロスコープ16の解像度が低いために、このピーク幅は表れていない。
【0125】
一方、特異出力光LEの光強度特性UTにおけるスロープ部分(以下、これを特異スロープESLと呼ぶ)は、その波長が通常モードにおけるレーザ光LLの波長と同一であり、最大の光強度は約1〜2[W]程度であった。
【0126】
ところで、レーザ制御部2(図1)は、パルス信号発生器4により数十[ps]程度のパルス幅でなるパルス信号SLを生成し得れば良く、また駆動回路6によりパルス信号SLにおけるピーク電圧を約18〜40[V]程度に増幅し得れば良い。
【0127】
すなわちレーザ制御部2は、パルス信号発生器4及び駆動回路6を比較的簡易な回路構成により実現することができる。このため短パルス光源装置1は、一般的なピコ秒レーザやフェムト秒レーザと比較して、全体を小型に構成することができる。
【0128】
このように短パルス光源装置1は、半導体レーザ3に対し振動電圧VBよりもさらに高い特異電圧VEでなるレーザ駆動信号SDを供給する。これにより短パルス光源装置1は、光強度特性UTにおいて特異ピークEPK及び特異スロープESLを順次出現させるような特異出力光LEを半導体レーザ3から出射することができる。
【0129】
<2.第1の実施の形態>
[2−1.光ディスクの構成]
まず、光ディスク100の構成について説明する。光ディスク100は、全体として略円盤状に構成されると共に、厚さ方向に記録層100S等の複数の層が積層されている。
【0130】
記録層100Sは、螺旋状にトラックが形成されており、当該トラックに沿って、図23に示すような2種類の記録マークRMA及びRMBが組み合わされてなる記録マーク群RMが形成されている。因みに記録マークRMA及びRMBは、電子ビーム描画装置等により物理的に形成されている。
【0131】
記録層100Sは、所定の波長でなる光ビームLが照射されスポットP1が形成されると、当該スポットP1の照射箇所から戻り光ビームLrを発生し、これを光ビームLと反対方向へ進行させるようになされている。
【0132】
このとき記録マーク群RMは、スポットP1の照射箇所における局所的な記録マークRMA及びRMBの組み合わせ(以下これを局所マークMPと呼ぶ)と、光ビームLにおける特定の波長帯成分とに応じて、戻り光ビームLrにおける当該特定の波長帯成分の光強度を高めるようになされている。
【0133】
例えば光ビームLが所定の第1波長W1を中心とした第1波長帯B1を含む場合、戻り光ビームLrは、図24(A)に示すように、局所マークMPに応じてスペクトラム曲線における第1波長帯B1の強度(以下これを第1強度V1と呼ぶ)が変化する。
【0134】
また光ビームLが波長W1よりも長い第2波長W2を中心とした第2波長帯B2を含む場合、戻り光ビームLrは、図24(B)に示すように、局所マークMPに応じてスペクトラム曲線における第2波長帯B2の強度(以下これを第2強度V2と呼ぶ)が変化する。
【0135】
さらに光ビームLが第1波長帯B1及び第2波長帯B2の双方を含む場合、戻り光ビームLrは、図24(C)に示すように、局所マークMPに応じてスペクトラム曲線における第1強度V1と第2強度V2とがそれぞれ変化する。
【0136】
このとき局所マークMPは、記録マークRMA及びRMBの比率や配置等が適宜設定されることにより、戻り光ビームLrのスペクトラム曲線における第1強度V1と第2強度V2とを互いに独立して変化させることができる。
【0137】
そこで記録層100Sでは、光ディスク100に格納すべき情報を表す符号を2ビットごとに区切り、記録マーク群RMにおける各局所マークMPにより2ビットの符号がそれぞれ表されるようになされている。
【0138】
具体的に各局所マークMPでは、2ビットの符号のうち下位ビットの値「0」又は「1」に応じて第1強度V1を「低レベル」又は「高レベル」とし、上位ビットの値「0」又は「1」に応じて第2強度V2を「低レベル」又は「高レベル」とするようになされている。
【0139】
すなわち記録層100Sから得られる戻り光ビームLrは、2ビット分の情報が波長帯ごとに多重変調されていることになる。
【0140】
このように光ディスク100は、記録層100Sに記録マーク群RMが形成されることにより、光ビームLに含まれる波長帯及び局所マークMPに応じて、戻り光ビームLrにおけるスペクトラムの特性を変化させるようになされている。
【0141】
[2−2.光ディスク再生装置の構成]
次に、第1の実施の形態について説明する。図25に示す光ディスク再生装置20は、上述した半導体レーザ3を用いて、光ディスク100の記録層100S(図23)から情報を再生するようになされている。
【0142】
光ディスク再生装置20は、制御部21を中心に構成されている。制御部21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラム等が格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)とによって構成されている。
【0143】
制御部21は、光ディスク100から情報を再生する場合、駆動制御部22を介してスピンドルモータ25を回転駆動させ、ターンテーブル(図示せず)に載置された光ディスク100を所望の速度で回転させる。
【0144】
また制御部21は、駆動制御部22を介してスレッドモータ26を駆動させることにより、光ピックアップ27を移動軸G1及びG2に沿ってトラッキング方向、すなわち光ディスク100の内周側又は外周側へ向かう方向へ大きく移動させるようになされている。
【0145】
光ピックアップ27は、対物レンズ28等の複数の光学部品や半導体レーザ3等が組み込まれており、制御部21の制御に基づいて半導体レーザ3からレーザ光LLでなる光ビームLを出射し、これを光ディスク100へ照射するようになされている。
【0146】
また光ピックアップ27は、光ビームLに応じて光ディスク100の記録層100Sから戻って来る戻り光ビームLrを検出し、その検出結果に基づいた複数の検出信号Rを生成し、これらを信号処理部23へ供給する(詳しくは後述する)。
【0147】
信号処理部23は、検出信号Rに対し所定の復調処理及び復号化処理等を施すことにより、記録層100Sにスポット箇所マークとして格納されている情報を復元する(詳しくは後述する)。
【0148】
また信号処理部23は、供給された検出信号Rを用いた所定の演算処理を行うことにより、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ生成し、これらを駆動制御部22へ供給する。
【0149】
駆動制御部22は、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づき、図示しないアクチュエータによって対物レンズ28を駆動することにより、対物レンズ28のフォーカス制御及びトラッキング制御を行う。
【0150】
これにより駆動制御部22は、対物レンズ28により集光される光ビームLの焦点を、光ディスク100の記録層100Sにおける所望のトラックに追従させることができる。
【0151】
かくして光ディスク再生装置20は、光ディスク100の記録層100Sから情報を再生するようになされている。
【0152】
[2−3.光ピックアップの構成]
図26に示すように、光ピックアップ27は、上述した短パルス光源装置1(図1)のレーザ制御部2及び半導体レーザ3が組み込まれている。
【0153】
ここで短パルス光源装置1は、上述したように、一般的なピコ秒レーザやフェムト秒レーザと比較して、全体を小型に構成することができる。このため光ピックアップ27及び当該光ピックアップ27を有する光ディスク再生装置20も、一般的なピコ秒レーザやフェムト秒レーザと比較して、全体を小型に構成することができる。
【0154】
レーザ制御部2は、信号処理部23からパルス信号SL(図2)の供給を受け、特異電圧VEでなるレーザ駆動信号SDを生成して半導体レーザ3へ供給するようになされている。
【0155】
半導体レーザ3は、特異出力光LEを光ビームLとして出力し、これをコリメータレンズ31へ入射させる。因みに光ビームLは、発散光でなり、また直線偏光でなると共にその偏光方向がP偏光となっている。
【0156】
コリメータレンズ31は、光ビームLを発散光から平行光に変換し、偏光ビームスプリッタ32へ入射させる。
【0157】
偏光ビームスプリッタ32は、偏光反射面32SにおいてP偏光の光をほぼ全て透過すると共にS偏光の光をほぼ全て反射するようになされており、当該偏光反射面32SにおいてP偏光でなる光ビームLをほぼ全て透過し、1/4波長板33へ入射させる。
【0158】
1/4波長板33は、光を直線偏光と円偏光との間で相互変換するようになされており、P偏光でなる光ビームLを左円偏光に変換して対物レンズ28へ入射させる。対物レンズ28は、光ビームLを収束させ、光ディスク100の記録層100Sに集光する。
【0159】
このとき記録層100Sは、上述したように、光ビームLの照射箇所における局所マークMP及び当該光ビームLに含まれる波長帯に応じた戻り光ビームLrを発生し、これを当該光ビームLと反対方向へ進行させる。このとき戻り光ビームLrは光ビームLと反対の右円偏光となり、また発散光となる。
【0160】
ところで光ビームLは、波長約398[nm]でなる特異ピークEPK及び波長約404[nm]でなる特異スロープESL(図22)が順次出現する。このため戻り光ビームLrは、局所マークMPに応じて、スペクトラム曲線におけるピーク強度VP及びスロープ強度VSが順次変化する。
【0161】
戻り光ビームLrは、対物レンズ28により発散光から平行光に変換され、1/4波長板33により右円偏光からS偏光(直線偏光)に変換され、検出信号生成部30の偏光ビームスプリッタ32へ入射される。
【0162】
偏光ビームスプリッタ32は、偏光反射面32SにおいてS偏光でなる戻り光ビームLrを反射し、検出信号生成部30の集光レンズ35へ入射させる。
【0163】
集光レンズ35は、戻り光ビームLrを集光して光検出器36へ照射する。光検出器36は、戻り光ビームLrの光強度を検出して当該光強度に応じた検出信号Rを生成し、これを信号処理部23のスペクトラム検出器23Aへ供給する。
【0164】
スペクトラム検出器23Aは、検出信号Rに対しスペクトラム解析処理を施すことにより、図24(C)に示したようなスペクトラム特性曲線を得る。さらにスペクトラム検出器23Aは、第1波長W1における第1強度V1及び第2波長W2における第2強度V2をそれぞれ第1検出信号R1及び第2検出信号R2とする。
【0165】
このとき第1検出信号R1の第1強度V1は、局所マークMPに格納されている符号における下位ビットが値「0」又は「1」のいずれであるかを表すものとなる。また第2検出信号R2の第2強度V2は、局所マークMPに格納されている符号における上位ビットが値「0」又は「1」のいずれであるかを表すものとなる。
【0166】
このように検出信号生成部30は、戻り光ビームLrを基に得られた検出信号Rをスペクトラム解析することにより、第1検出信号R1及び第2検出信号R2を生成するようになされている。
【0167】
信号処理部23は、第1検出信号R1及び第2検出信号R2を基に、局所マークMPに格納されている符号における下位ビット及び上位ビットをそれぞれ抽出する。続いて信号処理部23は、抽出した符号に対し所定の復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に格納されている情報を再生するようになされている。
【0168】
このように光ピックアップ27は、半導体レーザ3から出射した光ビームLを局所マークMPへ集光することにより、2ビット分の情報が第1波長W1及び第2波長W2それぞれにおいて変調された戻り光ビームLrを発生させ、その光強度を表す検出信号Rを生成するようになされている。
【0169】
これに応じて信号処理部23は、検出信号Rをスペクトラム解析することにより第1検出信号R1及び第2検出信号R2を生成して第1波長W1及び第2波長W2における第1強度V1及び第2強度V2をそれぞれ検出し、これらを基に情報を再生する。
【0170】
[2−4.動作及び効果]
以上の構成において、光ディスク再生装置20は、光ピックアップ27に組み込まれたレーザ制御部2から特異電圧VEでなるレーザ駆動信号SDを半導体レーザ3へ供給することにより、特異出力光LEでなる光ビームLを出力させる。
【0171】
光ピックアップ27は、対物レンズ28により光ビームLを集光し、光ディスク100の記録層100Sに照射する。このとき記録層100Sに形成されている局所マークMPにより、2ビット分の情報が波長帯ごとに変調された戻り光ビームLrが生成される。
【0172】
検出信号生成部30は、光検出器36により戻り光ビームLrの光強度に応じた検出信号Rを生成し、スペクトラム検出器23Aにより当該検出信号Rにおける第1波長W1及び第2波長W2における光強度を表す第1検出信号R1及び第2検出信号R2をそれぞれ生成する。
【0173】
信号処理部23は、第1検出信号R1及び第2検出信号R2を基に第1強度V1及び第2強度V2を認識し、局所マークMPに格納されている符号を抽出した上で情報を再生する。
【0174】
従って光ディスク再生装置20は、一般的なピコ秒レーザやフェムト秒レーザと同様の、極めて短いパルス幅でなり十分な光強度を有する特異ピークEPKを含む特異出力光LEを、半導体レーザ3から光ビームLとして出力することができる。
【0175】
このため光ディスク再生装置20は、光ビームLの照射位置に形成されている局所マークMPに応じて、第1波長W1及び第2波長W2における光強度がそれぞれ変調された戻り光ビームLrを発生させることができる。
【0176】
ここで光ピックアップ27に組み込まれる短パルス光源装置1のレーザ制御部2については、上述したように比較的小型に構成できる。このため光ディスク再生装置20全体としても、一般的なピコ秒レーザやフェムト秒レーザを用いた場合と比較して、極めて小型に構成することができる。
【0177】
このとき光ディスク再生装置20は、信号処理部23からレーザ制御部2に対しパルス信号SLを供給するだけで良いため、複雑な発光制御等を行う必要がない。
【0178】
以上の構成によれば、光ディスク再生装置20は、光ピックアップ27に組み込まれた半導体レーザ3から特異出力光LEでなる光ビームLを出射させ、光ディスク100の記録層100Sに形成された局所マークMPに集光する。これにより光ディスク再生装置20は、2ビット分の情報が波長帯ごとに変調された戻り光ビームLrを局所マークMPから発生させることができ、スペクトラム解析により第1強度V1及び第2強度V2をそれぞれ検出して符号を抽出し情報を再生できる。この結果光ディスク再生装置20は、半導体レーザ3を用いた比較的小型な構成により、一般的なピコ秒レーザやフェムト秒レーザを用いた場合と同様に、波長帯ごとに変調された情報を再生することができる。
【0179】
<3.第2の実施の形態>
[3−1.光ディスクの構成]
第2の実施の形態において、光ディスク100は、第1の実施の形態とほぼ同様に構成されているものの、記録マーク群RMの構成が一部相違している。
【0180】
すなわち記録マーク群RMの記録マークRMA及びRMBは、戻り光ビームLrにおける第1波長W1が特異ピークEPKと同等の約398[nm]となり、第2波長W2が特異スロープESLと同等の約404[nm]となるように設計されている。
【0181】
このため戻り光ビームLrは、局所マークMPの形成パターン等に応じて、スペクトラム曲線において波長約398[nm]を中心とした第1波長帯B1及び波長約404[nm]を中心とした第2波長帯B2の強度がそれぞれ変化することになる。
【0182】
[3−2.光ディスク再生装置及び光ピックアップの構成]
第2の実施の形態における光ディスク再生装置120(図25)は、第1の実施の形態における光ディスク再生装置20と比較して、信号処理部23及び光ピックアップ27に代えて信号処理部123及び光ピックアップ127が設けられている点が相違している。
【0183】
図26との対応部分に同一符号を付した図27に示すように、光ディスク装置120には、検出信号生成部30に代えて検出信号生成部130が設けられている。また光ピックアップ127は、光ピックアップ27と比較して、波長選択ミラー134、集光レンズ137及び光検出器138を有する点が相違するものの、他は同様に構成されている。
【0184】
半導体レーザ3から出射される光ビームLは、上述したように、波長約398[nm]でなる特異ピークEPK及び波長約404[nm]でなる特異スロープESL(図22)が順次出現する。
【0185】
このため戻り光ビームLrでは、まず特異ピークEPKによる光ビーム(以下これを特異ピーク光ビームLEPと呼ぶ)が局所マークMPに照射されたときに、図24(A)に示したように、波長約398[nm]でなる第1波長W1の第1強度V1が変化する。
【0186】
続いて戻り光ビームLrでは、特異スロープESLによる光ビーム(以下これを特異スロープ光ビームLESと呼ぶ)が局所マークMPに照射されたときに、図24(B)に示したように、波長約404[nm]でなる第2波長W2の第2強度V2が変化する。
【0187】
このように第2の実施の形態では、光ビームLにおける特異ピーク光ビームLEPと特異スロープ光ビームLESとの波長が相違することに対応して、各波長における光強度である第1強度V1と第2強度V2とがそれぞれ変化するようになされている。
【0188】
この戻り光ビームLrは、偏光ビームスプリッタ32の偏光反射面32Sにおいて反射され、検出信号生成部130の波長選択ミラー134へ入射される。
【0189】
波長選択ミラー134は、波長選択性を有するミラー面134Sにおいて、波長401[nm]未満の光をほぼ全て透過すると共に、当該波長401[nm]以上の光をほぼ全て反射するようになされている。
【0190】
このため波長選択ミラー134は、戻り光ビームLrのうち波長401[nm]未満の成分を透過して第1戻り光ビームLr1とし、これを集光レンズ35へ入射させる。また波長選択ミラー134は、戻り光ビームLrのうち波長401[nm]以上の成分を反射して第2戻り光ビームLr2とし、これを集光レンズ137へ入射させる。
【0191】
集光レンズ35は、第1戻り光ビームLr1を集光して光検出器36へ照射する。光検出器36は、第1戻り光ビームLr1の光強度を検出して当該光強度に応じた信号レベルでなる第1検出信号R1を生成し、これを信号処理部123(図25)へ送出する。
【0192】
このとき第1検出信号R1は、光ビームLにおける波長約398[nm]でなる特異ピーク光ビームLEPに起因して、第1強度V1の大きさが支配的となり、当該第1強度V1の大きさに応じた信号レベルとなる。
【0193】
このため第1検出信号R1の信号レベルは、局所マークMPに格納されている2ビット分の符号における下位ビットが値「0」又は「1」のいずれであるかを表すものとなる。
【0194】
一方、集光レンズ137は、第2戻り光ビームLr2を集光して光検出器138へ照射する。光検出器138は、第2戻り光ビームLr2の光強度を検出して当該光強度に応じた信号レベルでなる第2検出信号R2を生成し、これを信号処理部23(図25)へ送出する。
【0195】
このとき第2検出信号R2は、光ビームLにおける波長約404[nm]でなる特異スロープ光ビームLESに起因して、第2強度V2の大きさが支配的となり、当該第2強度V2の大きさに応じた信号レベルとなる。
【0196】
このため第2検出信号R2の信号レベルは、局所マークMPに格納されている2ビット分の符号における上位ビットが値「0」又は「1」のいずれであるかを表すものとなる。
【0197】
かくして検出信号生成部130は、局所マークMPから得られる戻り光ビームLrを第1戻り光ビームLr1及び第2戻り光ビームLr2に分離した上で、それぞれの光強度を表す第1検出信号R1及び第2検出信号R2を生成するようになされている。
【0198】
これに応じて信号処理部123(図25)は、第1検出信号R1及び第2検出信号R2に対し、所定の復調処理等をそれぞれ施すことにより、局所マークMPに格納されている符号における下位ビット及び上位ビットをそれぞれ抽出する。
【0199】
さらに信号処理部123は、抽出した符号に対し所定の復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に格納されている情報を再生するようになされている。
【0200】
[3−3.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による光ディスク再生装置120は、光ピックアップ127に組み込まれた半導体レーザ3から特異出力光LEでなる光ビームLを出力させる。光ピックアップ127は、光ディスク100の記録層100Sに形成されている局所マークMPに光ビームLを照射する。
【0201】
このとき局所マークMPは、特異ピーク光ビームLEPが照射されたときに波長約398[nm]における第1強度V1を変化させ、特異スロープ光ビームLESが照射されたときに波長約404[nm]における第2強度V2を変化させる。
【0202】
検出信号生成部130は、波長選択ミラー134により戻り光ビームLrを第1戻り光ビームLr1及び第2戻り光ビームLr2に分離し、光検出器36及び138によりそれぞれの光強度を検出して第1検出信号R1及び第2検出信号R2を生成する。
【0203】
信号処理部123は、第1検出信号R1及び第2検出信号R2に対し、所定の復調処理等をそれぞれ施すことにより、局所マークMPに格納されている符号における下位ビット及び上位ビットをそれぞれ抽出し、情報を再生する。
【0204】
従って光ディスク再生装置120は、第1の実施の形態と同様、半導体レーザ3から特異出力光LEを光ビームLとして出力することができるため、一般的なピコ秒レーザやフェムト秒レーザを用いる場合と比較して、極めて小型化することができる。
【0205】
さらに第2の実施の形態では、光ディスク100に形成された局所マークMPが、特異ピーク光ビームLEP及び特異スロープ光ビームLESの波長に対応するよう設計されている。
【0206】
このため検出信号生成部130は、特異出力光LEでなる光ビームLのうち、まず第1波長W1を含む特異ピーク光ビームLEPを局所マークMPに照射することにより、戻り光ビームLrにおける当該第1波長W1の第1強度V1を変化させることができる。
【0207】
次に光ピックアップ127は、第2波長W2を含む特異スロープ光ビームLESを局所マークMPに照射することにより、戻り光ビームLrにおける当該第2波長W2の第2強度V2を変化させることができる。
【0208】
このため光ピックアップ127は、波長選択ミラー134により、戻り光ビームLrを、第1強度V1が表れる第1戻り光ビームLr1と第2強度V2が表れる第2戻り光ビームLr2とに分離することができる。
【0209】
これにより光検出器36は、第1戻り光ビームLr1の光強度を検出するだけで、第2波長W2の成分を排除した、第1強度V1が表れた第1検出信号R1を生成することができる。また光検出器138は、第2戻り光ビームLr2の光強度を検出するだけで、第1波長W1の成分を排除した、第2強度V2が表れた第2検出信号R2を生成することができる。
【0210】
従って第2の実施の形態では、スペクトラム検出器23Aのように高速フーリエ変換等の高度な演算処理を行うための高性能な処理回路を用いることなく、一般的な光検出器により、第1検出信号R1及び第2検出信号R2をそれぞれ独立して生成できる。
【0211】
その他の点についても、光ディスク再生装置120は、第1の実施の形態と同様の効果を奏し得る。
【0212】
以上の構成によれば、光ディスク再生装置120は、光ピックアップ127に組み込まれた半導体レーザ3から特異出力光LEでなる光ビームLを出射させ、光ディスク100の記録層100Sに形成された局所マークMPに集光する。このとき光ディスク再生装置120は、特異出力光LEに応じて第1波長W1の第1強度V1及び第2波長W2の第2強度V2が順次変化する戻り光ビームLrを局所マークMPから発生させ、これを第1戻り光ビームLr1及び第2戻り光ビームLr2に分離する。さらに光ディスク再生装置120は、第1戻り光ビームLr1及び第2戻り光ビームLr2の光強度をそれぞれ検出して第1検出信号R1及び第2検出信号R2を生成することにより、局所マークMPに格納されている符号を抽出して情報を再生する。この結果光ディスク再生装置120は、比較的小型かつ簡易な構成により、光ディスク100から情報を再生することができる。
【0213】
<4.第3の実施の形態>
第3の実施の形態では、光ディスク100の構成は第2の実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0214】
[4−1.光ディスク再生装置及び光ピックアップの構成]
第3の実施の形態における光ディスク再生装置220(図25)は、第1の実施の形態における光ディスク再生装置20と比較して、信号処理部23及び光ピックアップ27に代えて信号処理部223及び光ピックアップ227が設けられている点が相違している。
【0215】
図26及び図27との対応部分に同一符号を付した図28に示すように、光ディスク装置220には、検出信号生成部30に代えて検出信号生成部230が設けられている。また信号処理部223は、スペクトラム検出器23Aに代えて、時間分割信号選択器223Aを有する点が相違するものの、他は同様に構成されている。
【0216】
半導体レーザ3から出射される光ビームLは、上述したように、波長約398[nm]でなる特異ピークEPK及び波長約404[nm]でなる特異スロープESL(図22)が順次出現する。
【0217】
このため戻り光ビームLrでは、第2の実施の形態と同様、特異ピーク光ビームLEPが局所マークMPに照射されたときに、図24(A)に示したように、波長約398[nm]でなる第1波長W1の第1強度V1が変化する。
【0218】
続いて戻り光ビームLrでは、特異スロープ光ビームLESが局所マークMPに照射されたときに、図24(B)に示したように、波長約404[nm]でなる第2波長W2の第2強度V2が変化する。
【0219】
すなわち戻り光ビームLrは、光ビームLにおいて互いの波長が相違する特異ピークEPK及び特異スロープESL(図22)が順次表れることに対応して、各波長における光強度である第1強度V1及び第2強度V2が順次変化することになる。
【0220】
この戻り光ビームLrは、偏光ビームスプリッタ32の偏光反射面32Sにおいて反射され、集光レンズ35により集光され、光検出器36へ照射される。光検出器36は、戻り光ビームLrの光強度を検出して当該光強度に応じた検出信号Rを生成し、これを検出信号生成部230の時間分割信号選択器223Aへ供給する。
【0221】
時間分割信号選択器223Aは、パルス信号SLをレーザ制御部2へ供給した時点t0から所定の時点t1までの間は、検出信号Rをそのまま第1検出信号R1として出力し、時点t1以降は、検出信号Rをそのまま第2検出信号R2として出力する。
【0222】
ここで第1検出信号R1は、光ビームLにおける波長約398[nm]でなる特異ピーク光ビームLEPに起因して、第1強度V1の大きさに応じた信号レベルとなる。このため第1検出信号R1の信号レベルは、局所マークMPに格納されている2ビット分の符号における下位ビットが値「0」又は「1」のいずれであるかを表すものとなる。
【0223】
また第2検出信号R2は、光ビームLにおける波長約404[nm]でなる特異スロープ光ビームLESに起因して、第2強度V2の大きさに応じた信号レベルとなる。このため第2検出信号R2の信号レベルは、局所マークMPに格納されている2ビット分の符号における上位ビットが値「0」又は「1」のいずれであるかを表すものとなる。
【0224】
因みに時点t0から時点t1までの期間Δtは、半導体レーザ3の発光特性及び光ピックアップ227における光路長、光検出器36における応答特性等を基に定められている。この期間Δtは、概略的に、特異ピークEPKの時間幅と各種遅延時間とを加算した時間に相当する。
【0225】
かくして検出信号生成部230は、局所マークMPから得られる戻り光ビームLrを時間的に区切ることにより、第1検出信号R1及び第2検出信号R2に分離するようになされている。
【0226】
続いて信号処理部223は、第1検出信号R1及び第2検出信号R2に対し所定の復調処理等をそれぞれ施すことにより、局所マークMPに格納されている符号における下位ビット及び上位ビットをそれぞれ抽出する。
【0227】
さらに信号処理部223は、抽出した符号に対し所定の復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に格納されている情報を再生するようになされている。
【0228】
[4−2.動作及び効果]
以上の構成において、第3の実施の形態による光ディスク再生装置220は、光ピックアップ227に組み込まれた半導体レーザ3から特異出力光LEでなる光ビームLを出力させる。光ピックアップ227は、光ディスク100の記録層100Sに形成されている局所マークMPに光ビームLを照射する。
【0229】
このとき局所マークMPは、特異ピーク光ビームLEPが照射されたときに波長約398[nm]における第1強度V1を変化させ、特異スロープ光ビームLESが照射されたときに波長約404[nm]における第2強度V2を変化させる。
【0230】
光ピックアップ227は、光検出器36により戻り光ビームLrの光強度を検出して検出信号Rを生成する。検出信号生成部230は、時間分割信号選択器223Aにより検出信号Rを特異ピークEPKに対応する第1検出信号R1と特異スロープESLに対応する第2検出信号R2とに分割する。
【0231】
その後信号処理部223は、第1検出信号R1及び第2検出信号R2を基に局所マークMPに格納されている符号における下位ビット及び上位ビットをそれぞれ独立して抽出し、情報を再生する。
【0232】
従って光ディスク再生装置220は、第1及び第2の実施の形態と同様、半導体レーザ3から特異出力光LEを光ビームLとして出力することができるため、一般的なピコ秒レーザやフェムト秒レーザを用いる場合と比較して、極めて小型化することができる。
【0233】
さらに第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様、光ディスク100に形成された局所マークMPが、特異ピーク光ビームLEP及び特異スロープ光ビームLESの波長に対応するよう設計されている。
【0234】
このため光ピックアップ227は、特異出力光LEでなる光ビームLのうち、まず第1波長W1を含む特異ピーク光ビームLEPを局所マークMPに照射することにより、戻り光ビームLrにおける当該第1波長W1の第1強度V1を変化させることができる。
【0235】
次に光ピックアップ227は、第2波長W2を含む特異スロープ光ビームLESを局所マークMPに照射することにより、戻り光ビームLrにおける当該第2波長W2の第2強度V2を変化させることができる。
【0236】
このような光ビームL及び戻り光ビームLrの性質を利用することにより、時間分割信号選択器223Aは、検出信号Rを時間的に区切るだけで、第1強度V1が表れる第1検出信号R1と第2強度V2が表れる第2検出信号R2とに分離することができる。
【0237】
このとき信号処理部223は、自らがパルス信号SLをレーザ制御部2へ供給した時点t0を基準に、所定の期間Δtの経過後に、信号選択器223Aによる検出信号Rの出力先を切り換えるだけで良く、複雑な信号の同期処理等を行う必要がない。
【0238】
その他の点についても、光ディスク再生装置220は、第1及び第2の実施の形態と同様の効果を奏し得る。
【0239】
以上の構成によれば、光ディスク再生装置220は、光ピックアップ227に組み込まれた半導体レーザ3から特異出力光LEでなる光ビームLを出射させ、光ディスク100の記録層100Sに形成された局所マークMPに集光する。このとき光ディスク再生装置220は、特異出力光LEに応じて第1波長W1の第1強度V1及び第2波長W2の第2強度V2が順次変化する戻り光ビームLrを局所マークMPから発生させ、その光強度を検出して検出信号Rを生成する。さらに光ディスク再生装置220は、検出信号Rを時点t1で第1検出信号R1及び第2検出信号R2に分離し、これらを基に第1強度V1及び第2強度V2をそれぞれ独立して認識することにより、局所マークMPに格納されている符号を抽出して情報を再生する。この結果光ディスク再生装置220は、比較的小型かつ簡易な構成により、光ディスク100から情報を再生することができる。
【0240】
<5.他の実施の形態>
なお上述した第1の実施の形態においては、検出信号生成部30においてスペクトラム解析により第1波長W1及び第2波長W2それぞれの第1強度V1及び第2強度V2を表す第1検出信号R1及び第2検出信号R2を生成する場合について述べた。また第2の実施の形態では、検出信号生成部130において戻り光ビームLrを波長に応じて第1戻り光ビームLr1及び第2戻り光ビームLr2に分離した上で第1検出信号R1及び第2検出信号R2をそれぞれ生成する場合について述べた。さらに第3の実施の形態では、検出信号生成部230により検出信号Rを時点t1において第1検出信号R1及び第2検出信号R2に分離する場合について述べた。
【0241】
本発明はこれに限らず、検出信号生成部において例えば戻り光ビームLrを分離又は分割し、或いは検出信号Rを解析する等といった種々の手法を用いるようにしても良い。この場合、検出信号生成部としては、戻り光ビームLrを基に、第1波長W1における第1強度V1が表れた第1検出信号R1と、第2波長W2における第2強度V2が表れた第2検出信号R2とをそれぞれ生成できれば良い。
【0242】
また上述した第1の実施の形態では、戻り光ビームLrのスペクトラム曲線上において第1波長W1及び第2波長W2の2箇所にピークが表れるよう局所マークMPを形成し、それぞれの第1強度V1及び第2強度V2を基に符号を抽出するようにした場合について述べた。
【0243】
本発明はこれに限らず、例えば記録マーク群RMにおける記録マークRMの種類を増加することにより、戻り光ビームLrのスペクトラム曲線上に3箇所以上のピークが表れるようにし、それぞれの光強度を基に符号を抽出するようにしても良い。この場合、光ディスク100に格納し得る情報の量を増加することができる。
【0244】
また上述した第2の実施の形態においては、半導体レーザ3から出射される特異出力光LEにおける特異ピークEPK及び特異スロープESLに応じて、戻り光ビームLrのスペクトラム曲線上で波長約398[nm]及び約404[nm]の光強度を変化させるよう局所マークMPを形成する場合について述べた。
【0245】
本発明はこれに限らず、半導体レーザ3から出射される特異出力光LEにおける特異ピークEPK及び特異スロープESLがそれぞれ他の波長となる場合に、戻り光ビームLrのスペクトラム曲線上で当該他の波長において光強度を変化させるよう局所マークMPを形成しても良い。第3の実施の形態についても同様である。
【0246】
因みに第2の実施の形態の場合、波長選択ミラー134のミラー面134Sにより戻り光ビームLrを特異ピークEPKの波長を含む部分と特異スロープESLの波長を含む部分とに分離できるよう、波長特性が適宜調整されていれば良い。
【0247】
さらに上述した第3の実施の形態においては、時間分割信号選択器223Aにおいて、パルス信号SLをレーザ制御部2へ供給した時点t0から期間Δtが経過した時点t1に検出信号Rの出力先を切り換えるようにした場合について述べた。
【0248】
本発明はこれに限らず、様々な時点を基準として適切に定められた期間Δtが経過した時点で検出信号Rの出力先を切り換えるようにしても良い。さらには、例えば検出信号Rの信号レベルを確認しながら、当該検出信号Rにおいて特異ピークEPKに応じたピークを検出した時点で検出信号Rの出力先を切り換えるようにしても良い。
【0249】
さらに上述した第1の実施の形態においては、半導体レーザ3として一般的な半導体レーザ(ソニー株式会社製、SLD3233等)を用いるようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、要は、p型とn型の半導体を用いてレーザ発振を行ういわゆる半導体レーザであれば良い。さらに好ましくは、敢えて緩和振動を大きく生じさせやすくした半導体レーザを用いると良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0250】
さらに上述した実施の形態においては、記録マークRMA及びRMBを物理的な形状とするようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、記録マークRMA及びRMBを、例えば光の反射率や屈折率を局所的に相違させ、或いは相変化させることにより形成しても良く、要は光ビームLに対し戻り光ビームLrを発生できれば良い。
【0251】
また記録マークRMの形状としては、図23に示したように平面上の円形状とする以外にも、例えば他の種々の形状とし、或いはバーコードのように1次元に配列されるようにしても良い。
【0252】
さらに上述した実施の形態においては、半導体レーザとしての半導体レーザ3と、対物レンズとしての対物レンズ28と、検出信号生成部としての検出信号生成部30と、再生処理部としての信号処理部23とによって光ディスク再生装置としての光ディスク再生装置20を構成する場合について述べた。
【0253】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる半導体レーザと、対物レンズと、検出信号生成部と、再生処理部とによって光ディスク再生装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0254】
本発明は、例えば映像コンテンツや音声コンテンツ等のような大容量の情報を光ディスク等の記録媒体に記録し又は再生する光情報記録再生装置等でも利用できる。
【符号の説明】
【0255】
1……短パルス光源装置、2……レーザ制御部、3……半導体レーザ、20、120、220……光ディスク再生装置、21……制御部、22……駆動制御部、23、123、223……信号処理部、23A……スペクトラム検出器、30、130、230……検出信号生成部、36、138……光検出器、134……波長選択ミラー、100……光ディスク、100S……記録層、RM……記録マーク群、MP……局所マーク、L……光ビーム、Lr……戻り光ビーム、R……検出信号、R1……第1検出信号、R2……第2検出信号、W1……第1波長、W2……第2波長、V1……第1強度、V2……第2強度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス状でなり所定の特異電圧でなる駆動パルスが供給された際、パルス状の光強度特性を有し特異ピーク波長でなる特異ピーク光と、当該特異ピーク光よりも光強度が小さいスロープ状の光強度特性を有し上記特異ピーク波長と異なる特異スロープ波長でなる特異スロープ光とを、レーザ光として順次出射する半導体レーザと、
光ディスクに設けられ複数種類の記録マークが形成された記録層に対し上記レーザ光を集光すると共に、複数の波長帯ごとに独立して光強度が変調されて上記記録層から戻される戻り光の発散角を変換する対物レンズと、
上記戻り光における上記波長帯ごとの光強度をそれぞれ検出し、それぞれの光強度に応じた複数の検出信号をそれぞれ生成する検出信号生成部と、
上記複数の検出信号を基に、上記光ディスクに記録されている情報を再生する再生処理部と
を有する光ディスク再生装置。
【請求項2】
上記検出信号生成部は、
上記戻り光における上記特異ピーク波長成分の光強度及び上記特異スロープ波長成分の光強度をそれぞれ検出することによりそれぞれの光強度に応じた第1検出信号及び第2検出信号を生成し、
上記再生処理部は、
上記第1検出信号及び上記第2検出信号に基づき、上記光ディスクに記録されている情報を再生する
を有する請求項1に記載の光ディスク再生装置。
【請求項3】
上記検出信号生成部は、
上記戻り光を少なくとも上記特異ピーク波長成分と上記特異スロープ波長成分とに分離する光分離部と、
上記光分離部により上記戻り光から分離された上記特異ピーク波長成分を受光し上記第1検出信号を生成する特異ピーク受光部と、
上記光分離部により上記戻り光から分離された上記特異スロープ波長成分を受光し上記第2検出信号を生成する特異スロープ受光部と
を有する請求項2に記載の光ディスク再生装置。
【請求項4】
上記検出信号生成部の上記光分離部は、
上記戻り光のうち上記特異ピーク波長成分及び上記特異スロープ波長成分のいずれか一方を透過し他方を反射する波長選択ミラーでなる
請求項3に記載の光ディスク再生装置。
【請求項5】
上記検出信号生成部は、
上記戻り光に含まれる上記特異ピーク波長成分及び上記特異スロープ波長成分を順次受光し、その光強度に応じた検出信号を生成する受光部と、
上記検出信号を所定の時点で分割することにより上記第1検出信号及び上記第2検出信号をそれぞれ生成する信号分割部と
を有する請求項2に記載の光ディスク再生装置。
【請求項6】
上記信号分割部は、
上記半導体レーザから出射される上記レーザ光が上記特異ピーク光から上記特異スロープ光に切り替わるタイミングに応じて上記受光信号を上記第1検出信号及び上記第2検出信号に分割する
請求項5に記載の光ディスク再生装置。
【請求項7】
上記信号分割部は、
上記半導体レーザに上記駆動パルスが供給された時点から所定の分割時間が経過した時点で上記検出信号を上記第1検出信号及び上記第2検出信号に分割する
請求項6に記載の光ディスク再生装置。
【請求項8】
パルス状でなり所定の特異電圧でなる駆動パルスが供給された際、パルス状の光強度特性を有し特異ピーク波長でなる特異ピーク光と、当該特異ピーク光よりも光強度が小さいスロープ状の光強度特性を有し上記特異ピーク波長と異なる特異スロープ波長でなる特異スロープ光とを、所定の半導体レーザからレーザ光として順次出射する出射ステップと、
光ディスクに設けられ所定の記録マークが形成された記録層に対し、所定の対物レンズにより上記レーザ光を集光する集光ステップと、
複数の波長を含み当該波長ごとに独立して光強度が変調されて上記記録層から戻される戻り光の発散角を上記対物レンズにより変換する変換ステップと、
上記戻り光における上記波長ごとの光強度をそれぞれ検出し、それぞれの光強度に応じた複数の検出信号をそれぞれ生成する検出信号生成ステップと、
上記複数の検出信号を基に、上記光ディスクに記録されている情報を再生する再生ステップと
を有する光ディスク再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−165416(P2010−165416A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6930(P2009−6930)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】