説明

光ディスク再生装置

【課題】 低消費電力で、かつ十分な再生性能を実現可能な光ディスク再生装置を提供する。
【解決手段】 光ディスク媒体1から検出した再生RF信号3を波形整形した後、チャネルクロックの2倍の周期のサンプリングクロック8でデジタルRF信号6に変換する。その後、第一のオフセット補正回路9により高域のオフセット変動分を補正し、デジタル適応イコライザ23で適応等化した後、第二のオフセット補正回路27により、第一のオフセット補正回路9で残留したオフセット成分を補正して、デジタル二値化信号37を復調する。これにより、高倍速再生時、かつ、記録品質に依存するアシンメトリが大きい場合にも、高性能な再生性能を維持しつつ、消費電力の低減を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体からデジタルデータを再生するための光ディスク再生装置に関するものである。
【0002】
より詳細には、再生RF信号からデジタル二値化信号を復調するリードチャネル技術に関するものである。
【背景技術】
【0003】
光ディスク媒体にデジタルデータを記録する方式として、コンパクトディスク(Compact Disc;以下、CDと称す)、DVD(Digital Versatile Disk;以下、DVDと称す)、および、DVD−RAM(Digital Versatile Disk−Random Access Memory;以下、DVD−RAMと称す)に見られるように線速度を一定にして記録媒体上の記録密度を一様にする方式が多く用いられている。線記録密度が一定となるようにマーク幅変調してデジタル変調記録された再生RF(Radio Frequecy;以下、RFと称す)信号に対してデジタル二値化信号を再生する場合、デジタルデータの記録品質や、再生経路での信号劣化に依存ぜず高い再生能力を実現する方法として、PRML(パーシャルレスポンス マキシマムライクリフード;以下、PRMLと称す)信号処理方式を適用するデジタルリードチャネル方式が知られている。PRML信号処理を適用する場合には、再生RF信号が有するチャネルビット周波数に相当するクロック成分の位相を、振幅方向のオフセット成分を補正した信号から検出し、位相同期引き込みを実現してサンプリング信号の同期化を図る必要があるが、高倍速再生時は、高速で動作するデジタル回路による消費電力を低減するために、再生RF信号が有するチャネルビット周波数の半分の周波数に相当するクロック成分の位相に同期した信号を用いる方法もある。
【0004】
以下、再生RF信号が有するチャネルビット周波数の半分の周波数に相当するクロック成分の位相に同期した信号を用いて、デジタル二値化信号を検出する方法について説明する。
【0005】
図17において、光記録媒体1から再生手段55により再生された光ディスク再生信号をプリアンプ56で出力振幅を強調した後、波形等化手段57で高域を強調するような補正を施す。波形等化手段57は、ブースト量とカットオフ周波数を任意に設定できるフィルタで構成される。波形等化手段57の出力信号をクロック発生手段58により生成される再生クロックを用いてアナログ信号をデジタル信号に変換する手段としてのアナログデジタルコンバータ5により多ビットのデジタルRF信号6に標本化する。このとき、復調されるべきデジタル二値化信号37の符号が、例えば、DVDで用いられているような8−16変調符号のように、最小ランレングスが2で制限された符号を用いており、かつ、光再生特性であるMTF(Mutual Transfer Function;以下、MTFと称す)特性が、図3に示すように、チャネルビット周波数のほぼ1/4以下の帯域で分布している場合、サンプリングの定理により、チャネルビット周波数の半分の周波数成分を有する再生クロックを用いて、アナログデジタルコンバータ5で標本化した場合において、理論上は、デジタル二値化信号37を復調することが可能である。
【0006】
この標本化された多ビットのデジタルRF信号6をハーフレート処理用オフセット制御手段59に入力することにより、デジタルRF信号6に含まれる振幅方向のオフセット成分を補正する。(詳しくは、特許文献1の発明の開示の図4の説明箇所を参照)。
【0007】
一方、PRML信号処理を実現するために、再生信号から、それに含まれるクロック成分の半分の周波数の位相と同期した標本化信号を生成することが必要である。それを実現するためのハーフレート処理用位相同期制御手段60は、アナログデジタルコンバータ5とハーフレート処理用オフセット制御手段59を経て生成された出力信号から、ハーフレート処理用位相誤差情報検出手段61により、正規の標本化位置の信号と、時間方向に欠落した信号を補間処理により復元した補間信号を用いて位相誤差情報を検出する。そこで生成された位相誤差情報を平滑化するためのループフィルタ62の出力信号を基に、クロック発生手段58を用いて、再生クロックの位相と再生信号が有するクロック成分の半分の周波数の位相が同期するように制御する。これら、アナログデジタルコンバータ5から開始し、クロック発生手段58までの経路により生成される再生クロックを用いて、再生RF信号3が有するクロック成分の半分の周波数の位相と同期した多ビットのデジタルRF信号6を生成することができ、PRML信号処理を実現することが可能となる。
【0008】
次に、ハーフレート処理用オフセット制御手段59の出力信号を、ハーフレート処理用適応等化手段63に入力して、パーシャルレスポンス等化を行なう。ここで、パーシャルレスポンス等化は、例えば、DVDに対して、図15(b)に示すように、等化後の波形振幅が、5値に別れるようなPR(a,b,b,a)方式を用いるものとする。ここで、図15(b)における、白丸○は、再生RF信号3が有するクロック成分の半分の周波数の位相と同期した標本化信号をパーシャルレスポンス等化したものであり、黒丸●は、ハーフレート処理用適応等化手段63が有する、ナイキスト帯域を復元することが可能な補間フィルタ28により、時間方向に欠落した信号を復元したものである。
【0009】
上述したように、PRML信号処理方式は、再生波形の特性や変調符号により、様々な組み合わせが存在するため、各種記録再生系に対して、適切な方式を選択することが必要である。ハーフレート処理用適応等化手段63は、例えば、パーシャルレスポンス等化を行うための有限インパルス応答フィルタと、有限インパルス応答フィルタから出力されるパーシャルレスポンス等化出力信号に存在する等化誤差が最小になるように適応的に制御するLMS(最小二乗法;以下、LMSと称す)アルゴリズムを利用したフィルタ係数学習回路と、時間方向に欠落した信号を復元するためのナイキスト帯域を復元することが可能な補間フィルタ28により構成される。この有限インパルス応答フィルタによる等化特性は、フィルタ係数を可変させることで実現されるものである。(詳しくは、特許文献1の発明の開示の図6、図10、および、図11の説明箇所を参照)。
【0010】
以上、一連の動作により出力された、パーシャルレスポンス等化信号を用いて、パーシャルレスポンスの型に応じて復号を行なうハーフレート処理用最尤復号器64を通してデータ復調を行なう。ここで、ハーフレート処理用最尤復号器64は、チャネルビット周波数の半分の周波数を用いて復調処理を行うビタビ復号器である。ビタビ復号器は、パーシャルレスポンスの型に応じて意図的に付加された符号の相関の法則にしたがって確率計算を行ない、尤も確からしい系列を推定するものである。ただし、処理周波数が、チャネルビット周波数の半分の周波数である場合は、状態遷移において、隣接する2つの状態を一つにまとめて考える必要がある。例えば、ハーフレート処理用適応等化手段63の出力信号が、正規の標本化位置における信号と、補間により復元された補間信号を並列に出力している場合は、隣接する2つの状態に対し、正規の標本化位置における正規データと補間データをそれぞれ入力し、並列処理を行う方法を用いる。(詳しくは、特許文献1の発明の開示の図12の説明箇所を参照)。
【0011】
このような、8−16変調符号等が有する特徴を生かして、PRML信号処理方式を、チャネルビット周波数の半分の周波数で行う、という一連の手段により、消費電力を大幅に低減することが可能となる。また、直線補間フィルタやナイキスト補間フィルタを用いて、時間方向に欠落した信号を復元して、オフセット補正制御や位相同期制御を行うことが可能であるため、再生性能を維持することが可能となる。
【特許文献1】特開2003−36612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来の構成では、再生RF信号において記録デジタルデータ品質に依存して発生する上下非対称歪であるアシンメトリが大きい場合は、時間方向に欠落したデータを直線補間により復元して振幅方向のオフセット成分を補正する方法では、アシンメトリによる演算誤差が発生するために、オフセット補正精度が悪くなり、PRML信号処理時にも、オフセット成分が残るためにデジタル二値化信号の復調性能が低下する。また、オフセット成分の補正時にナイキストフィルタを用いたデータ補間により精度を向上する場合にも、ナイキスト補間処理によりフィードバック制御ループが長くなってしまうために、ディフェクト通過時やオフセットの急激な変化等に対して、高速なフィードバック制御を必要とする場合には、制御性能が劣化してしまう。同様に、パーシャルレスポンス等化性能も、フィルタ係数学習の源信号がオフセット成分を持ってしまうため、劣化してしまう。
【0013】
一方、PRML信号処理方式ではなく任意のレベルで二値化判別を行うレベル判別方式を適用する場合、および、再生系の信号品質を示すジッタを正確に検出する場合は、再生RF信号のクロック成分に対して、上述したサンプリング位相の180度シフトした位相でサンプリングをすることが望ましいが、同様にアシンメトリが大きい場合には、正確なデジタル二値化信号の検出およびジッタの検出ができない、という課題を有していた。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、高倍速再生時においても、かつ、記録品質に依存するアシンメトリが大きい場合においても、低消費電力で、かつ充分な再生性能を実現することが可能な光ディスク再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、本発明にかかる光ディスク再生装置は、同じ符号が少なくとも3つ以上連続する制約を有する記録符号によりデジタル記録されている光記録媒体から、デジタルデータを復調する光ディスク再生装置において、前記光記録媒体から再生RF信号を検出する再生信号検出回路と、前記再生RF信号の振幅の調整を行い、かつジッタを良化する再生RF信号調整回路と、前記再生RF信号に含まれるクロック成分の2倍の周期に同期したサンプリングクロックを生成するクロック生成回路と、前記再生RF信号調整回路の出力信号を前記サンプリングクロックでサンプリングすることにより、デジタルRF信号を生成するアナログデジタルコンバータと、前記デジタルRF信号における振幅方向のオフセット成分を補正する第一のオフセット補正回路と、前記第一のオフセット補正回路の出力信号から位相誤差情報を抽出して、該位相誤差情報をゼロに近づけるように、前記クロック生成回路が生成する前記サンプリングクロックの位相同期制御を行う位相同期制御回路と、前記第一のオフセット補正回路の出力信号を適応的に等化するデジタル適応イコライザと、前記第一のオフセット補正回路の出力信号を適応的に等化するデジタル適応イコライザと、前記第一のオフセット補正回路において補正できなかったオフセット成分の影響により、前記デジタル適応イコライザの出力信号において発生する振幅方向のオフセット成分を補正する第二のオフセット補正回路と、前記デジタル適応イコライザの出力信号を入力信号として、これを一定時間遅延して出力する第一の復調前処理信号と、これの時間方向に欠落した信号である第二の復調前処理信号とを生成する補間フィルタとを備え、前記第二のオフセット補正回路は、前記第一の復調前処理信号と前記第二の復調前処理信号から、振幅方向のオフセット情報を抽出して、前記デジタル適応イコライザの出力信号の振幅方向のオフセット成分を補正するものであり、さらに、前記第一の復調前処理信号と前記第二の復調前処理信号から、ジッタ情報を抽出するジッタ検出回路と、前記第一の復調前処理信号と前記第二の復調前処理信号を復調してデジタル二値化信号を得るデータ復調回路とを備えた、ことを特徴とするものである。
【0016】
さらに、光ディスク再生装置において、前記第一のオフセット補正回路が、前記デジタルRF信号をチャネルビットで換算した際に時間方向に欠落した信号を、時間的に隣接する前記デジタルRF信号の平均値を求めることにより復元する第一の直線補間フィルタを備え、前記デジタルRF信号と前記第一の直線補間フィルタの出力信号から、前記デジタルRF信号の振幅方向のオフセット成分を抽出して、前記デジタルRF信号の振幅方向のオフセット成分を補正する、ことを特徴とするものである。
【0017】
さらに、光ディスク再生装置において、前記位相同期制御回路が、前記デジタルRF信号をチャネルビットで換算した際に時間方向に欠落した信号を、時間的に隣接する前記第一のオフセット補正回路の出力信号の平均値を求めることにより復元する第二の直線補間フィルタを備え、前記第一のオフセット補正回路の出力信号と前記第二の直線補間フィルタの出力信号からと位相誤差情報を抽出して、該位相誤差情報をゼロに近づけるように、前記クロック生成回路が生成する前記サンプリングクロックの位相同期制御を行うことを特徴とするものである。
【0018】
さらに、光ディスク再生装置において、前記補間フィルタが、精度を維持するのに必要な最小限のタップ数を有する有限インパルス応答フィルタにより構成され、ナイキスト帯域を復元するものである、ことを特徴とするものである。
【0019】
さらに、光ディスク再生装置において、前記第一のオフセット補正回路が、制御速度を調整する第一の制御ゲイン調整回路を備え、前記第二のオフセット補正回路が、制御速度を調整する第二の制御ゲイン調整回路を備え、第一の制御ゲイン調整回路は、高速に制御できるように制御ゲインを設定し、第二の制御ゲイン調整回路は、低速に制御できるように制御ゲインを設定する、ことを特徴とするものである。
【0020】
さらに、光ディスク再生装置において、前記アナログデジタルコンバータのサンプリング位相を、チャネルビット周波数の位相で0度と180度のいずれとするかで切り替えるためのサンプリング位相切り替えフラグを生成するサンプリング位相切り替えフラグ発生回路を、さらに備え、前記位相同期制御回路が、前記サンプリング位相切り替えフラグに応じて、前記位相誤差情報を検出する方法を切り替えるものであり、前記第一のオフセット補正回路と前記第二のオフセット補正回路が、前記サンプリング位相切り替えフラグに応じて、前記振幅方向のオフセット成分を抽出する方法を切り替えるものであり、前記デジタル適応イコライザが、パーシャルレスポンス方式に準じて適応的に等化を行うものであり、前記データ復調回路が、前記パーシャルレスポンス方式に応じて確率演算を行う最尤復号回路をさらに備え、前記サンプリング位相切り替えフラグに応じて、復調方式を切り替えるものである、ことを特徴とするものである。
【0021】
さらに、光ディスク再生装置において、前記デジタル適応イコライザが、有限インパルス応答フィルタで構成され、その各タップの重み係数を、前記第一の復調前処理信号と前記第二の復調前処理信号が、目標とするパーシャルレスポンス方式の目標レベルとの誤差の二乗平均がゼロに近づくように学習するフィルタ係数学習回路を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る光ディスク再生装置によれば、直線補間を前提にして高速制御に対応する位相同期制御を行うための第一のオフセット補正回路と、ナイキスト補間を前提にして高精度でオフセット補正を行うための第二のオフセット補正回路とを備えることにより、ディフェクトや急激なオフセット変動に対しても、第一のオフセット補正と位相同期制御とを対応して行うことができるとともに、第二のオフセット補正により、レベル判別処理方式、およびPRML信号処理方式のいずれにおいても、該各方式に用いる信号の振幅方向のオフセット成分を高精度で低減することが可能となるものであり、記録されたデジタルデータの記録品質に依存して再生RF信号に存在するアシンメトリが大きい場合においても、充分な再生性能を実現することができる。
【0023】
また、本発明に係る光ディスク再生装置によれば、再生信号品質の指標となるジッタの検出を高精度でおこなえるため、再生RF信号のジッタを良好にするためのアナログイコライザのカットオフ周波数やブースト学習の調整、および再生RF信号の性能に関係するフォーカスサーボにおけるバランス学習の最良点の調整、等を高精度で行えるため、高倍速再生時等においても再生信号品質の大幅な向上を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の光ディスク再生装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
この実施の形態1は、本発明の請求項1ないし請求項5に対応するものであり、光ディスク媒体から再生された再生RF信号をデジタル化してデジタル二値化信号を復調する際に、チャネルビット周期の2倍の周期のサンプリングクロックに同期してデジタル信号に変換した後、高速制御に対応できる第一のオフセット補正回路と、低速制御かつオフセット補正精度重視の第二のオフセット補正回路を適用し、位相同期制御、適応等化処理、ジッタ検出などを有効に機能させることにより、低消費電力を実現するとともに、再生RF信号に存在するアシンメトリが大きい場合にも、高性能な再生能力を実現できるようにしたものに関する。
【0026】
図1において、光ディスク媒体1から再生信号検出回路2により再生された再生RF信号3に対して、再生RF信号調整回路4により、出力信号を強調するとともに、高域を強調するような補正を施すとともに、復調信号以外の帯域に存在する雑音成分を除去することにより、ジッタの改善を図る。ここで、再生RF信号調整回路4は、ブースト量とカットオフ周波数とを任意に設定できるフィルタで構成される。このフィルタは、例えば、図2の実線で示すような周波数特性を有する高次等リップルフィルタ等であってもよい。この図において、点線で示した特性は、高域のブーストを行わない場合の特性である。
【0027】
再生RF信号調整回路4の出力信号を、クロック生成回路7により生成されるサンプリングクロック8を用いて、アナログ信号をデジタル信号に変換する回路としてのアナログデジタルコンバータ5により多ビットのデジタルRF信号6に標本化する。このとき、復調されるべきデジタル二値化信号37の符号が、例えば、DVDで用いられているような8−16変調符号のように、同じ符号が少なくとも3つ以上連続する制約を有する記録符号(最小ランレングスが2で制限された符号)を用いており、かつ、光再生特性であるMTF( Mutual Transfer Function;以下、MTFと称す )特性が、図3に示すように、チャネルビット周波数のほぼ1/4(規格化周波数で0.25)以下の帯域で分布している場合、標本化定理により、チャネルビット周波数の半分の周波数成分を有するサンプリングクロック8を用いて、アナログデジタルコンバータ5で標本化した場合において、理論上は、デジタル二値化信号37を復調することが可能である。
【0028】
この標本化された多ビットのデジタルRF信号6を第一のオフセット補正回路9に入力することにより、デジタルRF信号6に含まれる振幅方向のオフセット成分を補正する。
【0029】
以下、第一のオフセット補正回路9の詳細な回路構成、および、動作原理について、図4(a)、及び、図4(b)を用いて説明する。なお、ここで図示する回路はあくまでも一例であり、本発明はこの図示回路に限定されるものではない。
【0030】
図4(a)は、第一のオフセット補正回路9の構成を示すブロック図である。また、図4(b)は、第一のオフセット補正回路9の動作原理を示す説明図である。
【0031】
図4(a)、および、図4(b)において、チャネルビット周波数の半分の周波数を基準に生成されたサンプリングクロック8により標本化された、白丸○で示すようなデジタルRF信号6Aないし6Lから、隣接データ間で平均化を行う機能を備えた第一の直線補間フィルタ10により、チャネルビットレートで見た場合に欠落した時間方向の成分である補間信号11(黒丸●で示す11Aないし11L)を復元する。例えば、デジタルRF信号6Fと6Gを加算して平均することにより補間信号11Gが生成される。次に、オフセット情報検出回路12により、デジタルRF信号6と補間信号11を用いて、図4(b)に示す、ゼロレベルに対して両信号の符号の極性が異なるものとなるゼロクロス位置を検出するとともに、そのゼロクロス位置におけるオフセット情報13(白三角△で示す13Aないし13E)を検出する。このとき、オフセット情報検出回路12の動作原理としては、デジタルRF信号6Fの符号の極性と補間信号11Gの符号の極性が異なる場合に、この位置がゼロクロス位置であると特定する(11Bと6B、6Cと11D、11Eと6E、その他についても同じ)。このようにゼロクロス位置と特定された箇所において、デジタルRF信号6Fと補間信号11Gを加算して平均することによりオフセット情報13Dを生成する。オフセット情報13は、オフセットレベル平滑化回路14により平滑化した後、第一の制御ゲイン調整回路15によりオフセット補正の目的の応答特性に合わせたゲイン調整を行った後、デジタルRF信号6から減算回路16により減算することにより、デジタルRF信号6に含まれる振幅方向のオフセット成分を低減するものである。
【0032】
このように第一のオフセット補正回路9によりオフセット補正された信号は、図4(b)に示すように上下非対称歪が大きい信号に対しては、上述した直線補間の演算精度によりオフセット情報13が正確に演算できないため、符号的中心レベルとゼロレベルが一致しない場合がある。しかしながら、第一のオフセット補正回路9の出力信号は、後述する位相同期制御回路17に用いられる信号であるため、制御ループ遅延が可能な限り短い方が、位相同期制御において性能面で有利となるため、ゼロレベルと符号的センターレベルの差は、後述する第二のオフセット補正回路27により補償することを選択して、第一の制御ゲイン調整回路15を高速な応答が可能なゲインに設定することにより、第一のオフセット補正回路9は、光ディスク媒体1の記録データ表面の汚れや傷等のディフェクトや、トラッキングサーボにおけるオフトラックなどに依存して発生する振幅方向のオフセット変動の高速な補正を目的として適用することが望ましい。
【0033】
一方、デジタル信号処理方式を適用する場合に、消費電力の低減を行うために、再生RF信号3から、それに含まれるクロック成分の半分の周波数の位相と同期したデジタルRF信号6を生成することが必要である。それを実現するために、位相同期制御回路17を用いて、アナログデジタルコンバータ5から第一のオフセット補正回路9を経て生成された出力信号と、その信号から時間方向に欠落した信号を補間処理により復元した信号を用いて位相誤差情報20を検出した後、これを位相同期制御を行うための位相同期制御信号17に加工して、クロック生成回路7に入力することにより、サンプリングクロック8の位相と再生RF信号調整回路4の出力信号が有するクロック成分の半分の周波数の位相が同期するように制御する。ここで、クロック生成回路7は、入力される電圧値に応じてサンプリングクロック8を生成するものであり、電圧制御発振器(以下、VCOと称す)により構成されるものであっても良い。このように、アナログデジタルコンバータ5→第一のオフセット補正回路9→位相同期制御回路17→クロック生成回路7→アナログデジタルコンバータ5の一連の回路動作を行うことにより位相同期制御を実現できる。
【0034】
以下、位相同期制御回路17の詳細な回路構成、および、動作原理について、図5(a)、及び、図5(b)を用いて説明する。なお、ここで図示する回路はあくまでも一例であり、本発明はこの図示回路に限定されるものではない。
【0035】
図5(a)は、位相同期制御回路17の構成を示すブロック図である。また、図5(b)は、位相同期制御回路17における位相誤差情報20の生成原理を示す説明図である。
【0036】
図5(a)、および、図5(b)において、白丸○で示すような第一のオフセット補正回路9の出力信号から、隣接データ間で平均化を行う機能を備えた第二の直線補間フィルタ18により、黒丸で示すようなチャネルビットレートで見た場合に欠落した時間方向の成分である補間信号(18Aないし18H)を復元する。例えば、隣接する第一のオフセット補正回路9の出力信号を加算して平均することにより、第二の直線補間フィルタ18の出力信号(18Aないし18H)が生成される。
【0037】
次に、位相誤差情報検出回路19により、第一のオフセット補正回路9の出力信号と、第二の直線補間フィルタ18の出力信号を用いて、図5(b)に示す、ゼロレベルに対して両信号の符号の極性が異なるものとなるゼロクロス位置を検出するとともに、そのゼロクロス位置における位相誤差情報20(白三角△で示す20Aないし20D)を検出する。このとき、位相誤差情報検出回路19の動作原理は、ゼロクロス位置と特定された箇所において、立ち上がりエッジに関しては、第一のオフセット補正回路9の出力信号と、第二の直線補間フィルタ18の出力信号18を加算して平均することにより、位相誤差情報20C(20A、およびその他も同じ)を生成する。一方、立下りエッジに関しては、第一のオフセット補正回路9の出力信号と、第二の直線補間フィルタ18の出力信号を加算して平均することにより、黒三角▲で示すような位相誤差情報前処理信号(立下りエッジ)20B’を生成した後、極性を反転させることによって、位相誤差情報20B(20D、およびその他も同じ)を生成する。このようにして得た、位相誤差情報20Aないし20Dを結んだ位相誤差曲線は、ゼロレベルに対して正の極性を示しており、これにより、位相が遅れていることを示している。これが反対になる場合は、位相が進んでいることを示している。
【0038】
位相同期ループフィルタ21は、上記のようにして検出された位相誤差情報20に対してフィルタ処理を施して出力する。デジタルアナログコンバータ22は、上記位相同期ループフィルタ21の出力信号をアナログ制御信号である位相同期制御信号に変換する。なお、位相同期ループフィルタ21は、比例成分と積分成分のゲインを調整し、それぞれをミックスして積分処理を行うような構成のものでも良い。
【0039】
次に、第一のオフセット補正回路9の出力信号を入力として、デジタル適応イコライザ23により、入力信号のジッタが良化するような等化処理を行う。この時、デジタル適応イコライザ23は、一例として、図6に示すような、Dフリップフロップにより構成される2T(Tは、チャネルビットレート周期)分信号を遅延させるための遅延素子24aないし24fと、入力信号(第一のオフセット補正回路9の出力信号)、および、それぞれの遅延素子24aないし24fの出力に対して、フィルタ係数C1ないしC7を乗算するための乗算器25aないし25gと、乗算器25aないし25gの出力信号を乗算する加算器26により構成される有限インパルス応答フィルタで構成されるものであっても良い。ここで、図6に示す回路構成はあくまでも一例であり、本発明はそれに限られるものではない。
【0040】
デジタル適応イコライザ23の出力信号は、第二のオフセット補正回路27に入力されて、第一のオフセット補正回路9で補正しきれなかった振幅方向のオフセット成分を補正する。ここで、補間フィルタ28により、第二のオフセット補正回路27の出力信号を入力信号として、直線補間よりも高精度にナイキスト帯域を復元することにより、チャネルビットレートで見た場合に欠落した時間方向の成分である第二の復調前処理信号30を生成する。同時に、補間フィルタ28により、第一のオフセット補正回路9の出力信号を、補間フィルタ28での第二の復調前処理信号30を得るための演算遅延時間に相当する時間分を遅延して、第一の復調前処理信号29を生成する。そして、この第二のオフセット補正回路27は、第一の復調前処理信号29と第二の復調前処理信号30を入力信号として、上記デジタル適応イコライザ23の出力信号における振幅方向のオフセット成分を抽出し、該デジタル適応イコライザ23の出力信号に対して、該オフセット成分を補正するものである。第二のオフセット補正回路27の入力信号においては、上述したディフェクトや振幅方向のオフセット変動は、第一のオフセット補正回路9により低減されているため、第二のオフセット補正回路27は、第一のオフセット補正回路9の応答速度と比較して、充分に応答速度を遅くするのが望ましい。
【0041】
上記の補間フィルタ28は、上述したように、図7に示すようなナイキスト帯域を復元するフィルタ係数を持った有限インパルス応答フィルタにより構成されるものであっても良い。ここで、Tchは、チャネルビットレートを示しており、縦軸は、有限インパルス応答フィルタのフィルタ係数である。有限長が長いフィルタほどナイキスト補間の精度が向上するが、例えば、窓関数を用いて、有限タップの打ち切り演算誤差の影響を軽減することにより回路規模を削減することも可能である。ここで図示する構成とフィルタ係数はあくまでも一例であり、本発明はこの図示回路に限定されるものではない。
【0042】
以下、第二のオフセット補正回路27の詳細な回路構成、および、補間フィルタ28をも含めた動作原理について、図8(a)、及び、図8(b)を用いて説明する。なお、ここで図示する回路はあくまでも一例であり、本発明はこの図示回路に限定されるものではない。
【0043】
図8(a)は、第二のオフセット補正回路27の構成を示すブロック図である。また、図8(b)は、第二のオフセット補正回路27、および、補間フィルタ28の動作原理を示す説明図である。
【0044】
図8(a)、および、図8(b)において、白丸○で示すような第一の復調前処理信号29Aないし29Lから、ナイキスト帯域を復元可能な補間フィルタ28により、チャネルビットレートで見た場合に欠落した時間方向の成分である第二の復調前処理信号30(黒丸●で示す30Aないし30L)を復元する。次に、オフセット情報検出回路31により、第一の復調前処理信号29と第二の復調前処理信号30を用いて、図8(b)に示す、ゼロレベルに対して両信号の符号の極性が異なるものとなるゼロクロス位置を検出するとともに、そのゼロクロス位置におけるオフセット情報32(白三角△で示す32Aないし32E)を検出する。すなわち、オフセット情報検出回路31の動作原理としては、第一の復調前処理信号29Fの符号の極性と、第二の復調前処理信号30Gの符号の極性が異なるものとなっているため、この位置をゼロクロス位置と特定することができる(30Bと29B、29Cと30D、30Eと29E、その他についても同じ)。そして、このようにゼロクロス位置と特定された箇所において、第一の復調前処理信号29Fと第二の復調前処理信号30Gを加算して平均することによりオフセット情報32D(32A、32B、32C、その他についても同じ)を生成する。オフセット情報32は、オフセットレベル平滑化回路33により平滑化した後、その出力を第二の制御ゲイン調整回路34によりオフセット補正の目的の応答特性に合わせたゲイン調整を行った後、デジタル適応イコライザ23の出力信号から減算回路35により減算することにより、デジタル適応イコライザ23の出力信号に含まれる振幅方向のオフセット成分を低減するものである。
【0045】
このように第二のオフセット補正回路27と補間フィルタ28によりオフセット補正された信号は、図8(b)に示すように上下非対称歪が大きい信号に対しても、上述したナイキスト補間の演算精度によりオフセット情報を正確に演算できるため、符号的中心レベルとゼロレベルがほとんど変わらなくなる。ここでは、上述した第一のオフセット補正回路9により、ディフェクトや振幅方向のオフセット変動の時間的変化に対しては補償されているため、第二の制御ゲイン調整回路34を低速な応答が可能なゲインに設定することにより、第二のオフセット補正回路27は、アシンメトリが大きい場合等にも、後述するデジタル二値化信号37の復調性能や、ジッタ検出精度を確保できるように、低速で高精度な補正を目的として適用することが望ましい。
【0046】
補間フィルタ28により生成される第一の復調前処理信号29と第二の復調前処理信号30は、データ復調回路36に入力されて、ゼロレベルに対して、正の極性か負の極性を判別されて、一例として、正の極性であった場合は、“1”に、負の極性であった場合は、“0”に確定することによりデジタル二値化信号37を復調する。詳細には、図8(b)の白丸○で示す第一の復調前処理信号29A、29D、29G、29H、29Iと、黒丸●で示す第二の復調前処理信号30A、30B、30D、30E、30G、30H,30Iが、“1”に復調される。一方、白丸○で示す第一の復調前処理信号29B、29C、29E、29F、29J、29K、29Lと、黒丸●で示す第二の復調前処理信号30C、30F、30J、30K、30Lが、“0”に復調される。また、上記ゼロレベルではなく、任意のスレッショルドレベルにより二値に判別しても良い。ここでの復調方法は、一例であり、本発明はこの復調方法に限定されるものではない。
【0047】
また、補間フィルタ28により生成される第一の復調前処理信号29と第二の復調前処理信号30は、ジッタ検出回路38に入力されて、ジッタ情報39が検出される。
【0048】
以下、ジッタ検出回路38の動作原理について、図9を用いて説明する。なお、ここで図示する原理はあくまでも一例であり、本発明はこの図示原理に限定されるものではない。
【0049】
図9は、ジッタ検出回路38の動作原理の説明図である。
図9において、白丸○で示すような第一の復調前処理信号29と、黒丸●で示すような第二の復調前処理信号30を入力信号として用いて、上述した第二のオフセット補正回路27と同じ原理にてゼロクロス位置を特定した後、ゼロクロス位置において、第一の復調前処理信号29と第二の復調前処理信号30を加算した後平均化することにより、白三角△で示すように瞬時ジッタ前情報40を生成する。同時に、第一の復調前処理信号29と第二の復調前処理信号30の差分の絶対値を計算することにより、図9に示す瞬時傾き成分が計算される。これは、ジッタ検出対象となる信号のセンターレベル近傍が線形性を有している場合に、時間方向に射影すると、チャネルビット周期に相当する。この時の、瞬時ジッタ前情報40のゼロレベルからの振幅方向の距離の絶対値を瞬時振幅ジッタ情報とした場合に、この信号を時間方向に射影すると、瞬時時間ジッタ情報に相当することになる。これより、以下の数1に示したような関係が導き出される。なお、記号“| |”は、絶対値を表す。
【0050】
【数1】

【0051】
したがって、ゼロクロス位置での瞬時ジッタ情報は、以下の数2に示したような関係から、計算することが可能となる。
【0052】
【数2】

【0053】
ここで抽出されたゼロクロス毎の瞬時ジッタ情報に、平滑化処理を施すことにより、ジッタ情報39を抽出することが可能となる。
ジッタ情報39は、再生RF信号3の品質やデジタルRF信号6の品質を示す指標となるため、光ディスク媒体1に記載されている記録データの品質を正確に認識可能であり、ジッタ情報39の値を最小にするようにフォーカスサーボのバランス学習や、再生RF信号調整回路4における高次等リップルフィルタのブースト量とカットオフ周波数の調整を行う際に、より高精度に調整が可能となるため、再生性能が向上する。
【0054】
以上のように本実施の形態1による光ディスク再生装置においては、直線補間を前提にして高速制御に対応する位相同期制御を行うための第一のオフセット補正回路と、ナイキスト補間を前提にして高精度でオフセット補正を行うための第二のオフセット補正回路を備えたので、ディフェクトや急激なオフセット変動に対して、第一のオフセット補正と位相同期制御を対応して行なうことができるとともに、第二のオフセット補正により、レベル判別処理方式に用いる信号の振幅方向のオフセット成分を高精度で低減することが可能となり、記録されたデジタルデータの記録品質に依存して再生RF信号に存在するアシンメトリが大きい場合にも、充分な再生性能を実現できる。
【0055】
また、再生信号品質の指標となるジッタの検出を高精度でおこなえるため、再生RF信号のジッタを良好にするためのアナログイコライザのカットオフ周波数やブースト学習の調整、および再生RF信号の性能に関係するフォーカスサーボにおけるバランス学習の最良点の調整等を高精度で行うことができ、高倍速再生時等においても再生信号品質の向上が可能となり、かつ低消費電力を実現できる光ディスク再生装置を得ることができる。
【0056】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2における光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【0057】
本実施の形態2は、本発明の請求項6および請求項7に対応するものであり、上記実施の形態1と異なる点は、チャネルビットクロックで見た場合に、位相同期制御において、実施の形態1と同じ位相で位相制御を行なうか、あるいは、それと180度位相が異なる位相で同期制御を行うかを切り替えるためのサンプリング位相切り替えフラグを発生する回路、および、該サンプリング位相切り替えフラグ発生回路から生成されるサンプリング位相切り替えフラグに従って、実施の形態1で説明した、第一のオフセット補正回路、位相同期制御回路、デジタル適応イコライザ、第二のオフセット補正回路、および、データ復調回路を、上記PRML信号処理方式に応じたサンプリング方式に切り替えるための手段を有することと、デジタル適応イコライザが、第二のオフセット補正回路後の補間フィルタの出力信号を入力信号として適応自動学習制御を行うフィルタ係数学習回路を備えていることとにある。これらの機能が追加されたことにより、レベル判別方式に限らず、PRML信号処理方式を適用する場合においても、またその場合にアシンメトリが大きい場合にも、再生性能の向上を実現することが可能となる。
【0058】
図10において、サンプリング位相切り替えフラグ発生回路41から生成されるサンプリング位相切り替えフラグ42が“0”であれば、上記実施の形態1におけると基本的に同じ動作を行う。ただし、この動作は、あくまでも一例であり、本発明は、ここで開示した動作に限定されるものではない。
【0059】
続いて、サンプリング位相切り替えフラグ42が“1”である場合の、第一のオフセット補正回路9、位相同期制御回路17、デジタル適応イコライザ23、第二のオフセット補正回路27、および、データ復調回路36の回路構成、および、動作原理について、以下に順番に説明を行う。
【0060】
以下、本実施の形態2における第一のオフセット補正回路9の詳細な回路構成、および、動作原理について、図11(a)、及び、図11(b)を用いて説明する。なお、ここで図示する回路はあくまでも一例であり、本発明はこの図示回路に限定されるものではない。
【0061】
図11(a)は、本実施の形態2における第一のオフセット補正回路9の構成を示すブロック図である。また、図11(b)は、本実施の形態2における第一のオフセット補正回路9の動作原理を示す説明図である。
【0062】
図11(a)、および、図11(b)において、上記実施の形態1と異なる点は、サンプリング位相切り替えフラグ42がオフセット情報検出回路43に入力されており、サンプリング位相切り替えフラグ42が“0”の場合は、実施の形態1と同じ原理により動作し、サンプリング位相切り替えフラグ42が “1”の場合は、PRML信号処理方式を適用できるように、チャネルビットクロックに対して位相が180度ずれた位置で位相同期制御がかかるようになっている点であり、このため実施の形態1と比較すると、オフセット情報13の検出原理が異なるものとなっている。それ以外は、実施の形態1で説明した機能,動作と同じであるため、ここでは、オフセット情報検出回路43の動作原理を詳細に説明し、これ以外の機能の説明は省略する。
【0063】
図11(b)において、サンプリング位相切り替えフラグ42が“1”の場合は、例えば、デジタルRF信号6Fと6Gを加算して平均することにより補間信号11Gが生成される。次に、オフセット情報検出回路43により、隣接するデジタルRF信号6(例えば、6B)と補間信号11(例えば、11C)を加算した後、平均化することにより、白三角△で示すような、ゼロクロス位置検出用データ44(例えば44B、44A〜44Jについて同様)を生成して、図11(b)に示す、ゼロレベルに対して該ゼロクロス位置検出用データ44の符号の極性が異なるものとなるゼロクロス位置を検出するとともに、そのゼロクロス位置におけるオフセット情報13(この場合、6B、11D、6E、11G、11Jがこれに該当する。)を検出する。
【0064】
以下、本実施の形態2における位相同期制御回路17の詳細な回路構成、および、動作原理について、図12(a)、及び、図12(b)を用いて説明する。なお、ここで図示する回路はあくまでも一例であり、本発明はこの図示回路に限定されるものではない。
【0065】
図12(a)は、本実施の形態2における位相同期制御回路17の構成を示すブロック図である。また、図12(b)は、本実施の形態2における位相同期制御回路17における位相誤差情報20の生成原理を示す説明図である。
【0066】
図12(a)、および、図12(b)において、実施の形態1と異なる点は、サンプリング位相切り替えフラグ42が位相誤差情報検出回路45に入力されており、サンプリング位相切り替えフラグ42が“0”の場合は、実施の形態1と同じ原理により動作し、サンプリング位相切り替えフラグ42が“1”の場合は、PRML信号処理方式を適用できるように、チャネルビットクロックに対して、位相が180度ずれた位置で位相同期制御がかかるようになっている点であり、このため実施の形態1と比較すると、位相誤差情報20の検出原理が異なるものである。それ以外は、実施の形態1で説明した機能,動作と同じであるため、ここでは、位相誤差情報検出回路45の動作原理を詳細に説明し、これ以外の機能の説明は省略する。
【0067】
図12(b)において、サンプリング位相切り替えフラグ42が“1”の場合は、例えば、隣接する第一のオフセット補正回路9の出力信号と、第二の直線補間フィルタ18の出力信号を加算して平均することにより白四角□で示すような、ゼロクロス位置検出用信号60A〜60G(図11(b)における44A〜44Jに該当する)を生成する。続いて、位相誤差情報検出回路45により、前記ゼロクロス位置検出用信号60A〜60Gを用いて、図11(b)に示す、ゼロレベルに対して前記ゼロクロス位置検出用信号の符号の極性が異なるものとなるゼロクロス位置を検出するとともに、そのゼロクロス位置における位相誤差情報20(この場合、20Aないし20D)を検出する。この時、立下りエッジに関しては、第一のオフセット補正回路9の出力信号9Cと、第二の直線補間フィルタ18の出力信号18Bを加算して平均することにより、黒丸●で示すような位相誤差情報前処理信号20A′,20C′を生成した後、白三角△20Aおよび20Cで示すように、第二の直線補間フィルタ18の出力信号20A′,20C′の極性を反転させることによって、位相誤差情報20A、20Cを得る。
【0068】
ここで、本実施の形態2においては、位相誤差情報20Aないし20Dを結んだ位相誤差曲線は、ゼロレベルに対して負の極性を示しており、これにより、位相が進んでいることを示している。
【0069】
以下、本実施の形態2におけるデジタル適応イコライザ23の詳細な回路構成、および、動作原理について、図6、及び、図13を用いて説明する。なお、ここで図示する回路はあくまでも一例であり、本発明はこの図示回路に限定されるものではない。
【0070】
図13は、本実施の形態2におけるデジタル適応イコライザ23の構成要素の一つであるフィルタ係数学習回路のブロック図を示す。フィルタ係数学習回路130は、例えば、最小二乗法(Least Mean Square;以下、LMSと称す)を用いて、適用しているパーシャルレスポンスの方式に合わせて、パーシャルレスポンス等化を行うために、図6に示す有限インパルス応答フィルタのC1ないしC7のフィルタ係数の適応自動学習を行うための回路である。
【0071】
ここで、パーシャルレスポンス等化としては、例えば、DVDに対して、図14(c)に示すように、等化後の波形振幅が、5値に別れるようなPR(a,b,b,a)方式を用いるものとする。ここで、図14における、白丸○は、再生RF信号3が有するクロック成分の半分の周波数の位相と同期した標本化信号をパーシャルレスポンス等化したものであり、黒丸●は、補間フィルタ28により、チャネルビットレートで見た場合に時間方向に欠落した信号を復元したものである。図14(a)は、再生RF信号調整回路4の出力信号を示しており、図14(b)は、実施の形態1における、もしくは、実施の形態2においてサンプリング位相切り替えフラグ42が“0”の場合における、2値化判別時(レベル判別時)のサンプリング信号である第一の復調前処理信号29(白丸○)と第二の復調前処理信号30(黒丸●)を示しており、図14(c)は、実施の形態2における、サンプリング位相切り替えフラグ42が“1”の場合でPRML信号処理方式を適用した復調を行なう場合におけるPR(a,b,b,a)等化出力信号、即ち、デジタル適応イコライザ23の出力信号を示している。
【0072】
PR(a,b,b,a)方式とは、異なる4つ時間の標本化データを、a:b:b:aの比率で足しあわせた特徴(a+b*D+b*D2+a*D3)を有しており、再生信号に対して、図3に示すような、低域通過型フィルタの特性を付加するものである。図3においては、PR(1,2,2,1)方式と、PR(3,4,4,3)方式がこれにあたる。図3に示すMTF特性に近い周波数特性を有する方式ほど、有利なパーシャルレスポンス方式と考えられている。図3に示す方式だけでなく、PR(a,b,b,a)方式以外にも、多種多様なパーシャルレスポンスの型は存在するが、特定の方式に限定するだけでなく、性能に見合うものであれば、他の方式を用いても問題はない。これら再生データの時間方向に相関性を付加するパーシャルレスポンス方式と、後述する最尤復号法(マキシマムライクリフード)の一つであり、付加したデータの相関性を利用して尤も確からしい系列を推定するビタビ復号器を合わせて、線記録方向の高密度記録再生に有利とされるPRML信号処理を実現することになる。上述したように、PRML信号処理方式は、再生波形の特性や変調符号により、様々な組み合わせが存在するため、各種記録再生系に対して、適切な方式を選択することが必要である。
【0073】
サンプリング位相切り替えフラグ42が“0”の場合は、実施の形態1と同じ原理により動作するため、特に、フィルタ係数学習回路を用いる必要はないが、サンプリング位相切り替えフラグ42が“1”の場合は、PRML信号処理方式が適用できるようになるため、例えば、図6に示すような有限インパルス応答フィルタのフィルタ係数C1ないしC7は、加算器26から出力されるデジタル適応イコライザ23の出力信号に存在する等化誤差が最小になるように適応的に制御するLMSアルゴリズムを利用したフィルタ係数学習回路により設定される。
【0074】
図13に示すように、フィルタ係数学習回路130は、第一の復調前処理信号29と、第二の復調前処理信号30から、仮判定回路46によりパーシャルレスポンス方式に対応した各々の等化目標値を検出し、その等化目標値29a,30aと、第一の復調前処理信号29,第二の復調前処理信号30とを減算して等化誤差信号47aを検出する等化誤差検出回路47と、等化誤差検出回路47の出力信号と、有限インパルス応答フィルタの入力信号である第一のオフセット補正回路9の出力信号との相関を演算するために、第一のオフセット補正回路9の出力信号を、第一の復調前処理信号29と第二の復調前処理信号30との相関を合わせるために遅延させるための遅延回路48と、等化誤差検出回路47の出力信号と、遅延回路48の出力信号とを乗算するための相関器49と、相関器49から出力された信号にゲインを付加することにより自動適応フィードバック制御の制御ゲインを決定するフィードバックゲイン制御回路50と、その出力を各タップのフィルタ係数に加算し、フィルタ係数を更新するフィルタ係数更新部51aないし51gと、により構成されるものであり、適応制御開始時に、初期値記憶手段52aないし52gに格納されているフィルタ係数の初期値をロード信号によりロードして、以後、フィルタ係数の適応自動等化制御を行う機能を有するものである。そして、図10の本実施の形態2によるディスク再生装置における、デジタル適応イコライザ23の出力信号である等化出力信号は、図14(c)における白丸○になり、一方、補間フィルタ28により補間された補間信号は、図14(c)における黒丸●になる。
【0075】
上述した一連の動作により、適応自動等化を行うことにより、アシンメトリが大きい場合であって、第一のオフセット補正回路9にて十分に振幅方向のオフセットが低減されていない場合においても、第二のオフセット補正回路27の高精度なオフセットの補正効果により、第一の復調前処理信号29と第二の復調前処理信号30を用いて仮判定を行い、目標とするパーシャルレスポンスの型との等化誤差を演算することが可能となるため、誤ったフィードバック等が低減されて適応自動等化性能を向上することができ、後述する最尤復号と合わせて再生性能を大きく向上することができる。
【0076】
次に、本実施の形態2における第二のオフセット補正回路27の詳細な回路構成、および、動作原理について、図15(a)、及び、図15(b)を用いて説明する。なお、ここで図示する回路はあくまでも一例であり、本発明はこの図示回路に限定されるものではない。
【0077】
図15(a)は、本実施の形態2における第二のオフセット補正回路27の構成を示すブロック図である。また、図15(b)は、本実施の形態2における第二のオフセット補正回路27の動作原理を示す説明図である。
【0078】
図15(a)、および、図15(b)において、上記実施の形態1における第二のオフセット補正回路27と異なる点は、サンプリング位相切り替えフラグ42がオフセット情報検出回路53に入力されており、サンプリング位相切り替えフラグ42が“0”の場合は、実施の形態1と同じ原理により動作し、サンプリング位相切り替えフラグ42が“1”の場合は、PRML信号処理方式を適用できるように、チャネルビットクロックに対して位相が180度ずれた位置で位相同期制御がかかるようになっている点であり、実施の形態1と比較すると、オフセット情報32の検出原理が異なるものである。それ以外は、実施の形態1で説明した機能と同じであるため、ここでは、オフセット情報検出回路53の動作原理を詳細に説明し、これ以外の機能の説明は省略する。
【0079】
図15(b)において、サンプリング位相切り替えフラグ42が“1”の場合は、例えば、第二の復調前処理信号30Gを生成し、次に、オフセット情報検出回路53により、隣接する第一の復調前処理信号29(例えば、29B)と第二の復調前処理信号30(例えば、30C)を加算した後、平均化することにより、白三角△で示すような、ゼロクロス位置検出用データ54(例えば54B、54Aないし54Jについて同様)を生成して、図15(b)に示す、ゼロレベルに対して、隣接するデータ(例えば、54Aと54B,54Cと54D,…)が符号の極性が異なるものとなるゼロクロス位置を検出するとともに、そのゼロクロス位置におけるオフセット情報32(この場合、29B、30D、29E、30G、30Jがこれに該当する。)を検出する。
【0080】
上述する一連の動作により、サンプリング位相切り替えフラグ42が“1”の場合においても、アシンメトリが大きい場合であっても、第二のオフセット補正回路27の出力信号である第一の復調前処理信号29と、その信号のナイキスト帯域を復元することが可能な補間フィルタ28により変換した第二の復調前処理信号30は、符号的中心レベルとゼロレベルがほぼ一致するため、振幅方向のオフセット成分はこれを大きく低減することができる。この効果により、かつこれと後述する最尤復号との組み合わせにより、よりアシンメトリに対する再生性能を向上することができる。
【0081】
次に、補間フィルタ28により生成される第一の復調前処理信号29と第二の復調前処理信号30は、データ復調回路36に入力されて、デジタル二値化信号37を生成することになるが、実施の形態1と異なる点は、サンプリング位相切り替えフラグ42がデータ復調回路36に入力されており、サンプリング位相切り替えフラグ42が“0”の場合は、実施の形態1と同じ原理によりレベル判別処理方式により動作し、サンプリング位相切り替えフラグ42が“1”の場合は、PRML信号処理方式を適用可能となるものである。
【0082】
例えば、サンプリング位相切り替えフラグ42が “1”の場合、データ復調回路36は、最尤復号(Maximum Likelihood;以下、MLと称す)方式によりデジタル二値化信号37を復調するものであっても良い。また、最尤復号方式の代表的な実現の形式であるビタビ復号器により、デジタル二値化信号37を復調するものであっても良い。
【0083】
以下に、ビタビ復号器の動作原理について、図16(a)、及び、図16(b)を用いて説明する。なお、ここで図示する動作原理はあくまでも一例であり、本発明はこの動作原理に限定されるものではない。
【0084】
ビタビ復号器は、パーシャルレスポンスの型に応じて意図的に付加された符号の相関の法則にしたがって確率計算を行ない、尤も確からしい系列を推定するものである。例えば、適用したパーシャルレスポンスの型がPR(a,b,b,a)方式の場合、図16(a)に示すような、状態遷移図に基づいて状態が変化するものである。これは、特に、DVDで用いられている8−16変調符号を考慮したものとなっており、最小ランレングス長を2で制限していることも関係して、S0ないしS5までの6状態の状態遷移で表現可能となっている。図16(a)において、X/Yは、Xが記録符号の遷移を、Yがその時の信号振幅を示している。また、1つの状態は、隣接する3つの時間の符号で表わされ、例えば、S4「110」からS3「100」への状態遷移では、「110」に符号“0”が加わり左にシフトされることにより、左端の“1”が消え、状態S3「100」となることを意味している。ただし、処理レートが、チャネルビット周波数の半分の周波数である場合は、図16(a)に示す状態遷移において、隣接する2つの状態を一つにまとめて考える必要がある。例えば、補間フィルタ28が、第一の復調前処理信号29と第二の復調前処理信号30を並列に出力している場合は、隣接する2つの状態に対し、正規の標本化位置における正規データ(ここでは、第一の復調前処理信号29)と補間データ(第二の復調前処理信号30)をそれぞれ入力し、並列処理を行う方法を用いても良い。その際の時間的変化は、図16(b)に示すような正規データと補間データを並列に処理することを特徴とするトレリス線図で表わされる。そこで、この各パスの確率的な長さlkab(以下ブランチメトリック)を計算し、それぞれの状態に推移する場合に、ブランチメトリックを加算していく。ここで、kは時間的な推移を、abは、状態SaからSbへの遷移でのブランチメトリックを表わしている。そのブランチメトリックの各状態における加算値は、メトリックと呼ばれ、このメトリックが最小となるパスを生き残りパスとして、順次出力していくことにより、デジタル二値化信号37に復調していくものである。つまり、図16(b)の記録符号にしたがって復調されるとすれば、実線で示したパスが生き残りパスということになる。
【0085】
なお、ジッタ検出回路38は、直線補間等の演算誤差の観点からサンプリング位相切り替えフラグ42が“0”の時、つまり、レベル判別処理方式を適用するための位相同期状態の方が、検出精度が向上するため、サンプリング位相切り替えフラグ42を“0”として動作させることが望ましい。
【0086】
以上のような本実施の形態2による光ディスク再生装置においては、PRML信号処理方式をも適用する場合において、直線補間を前提にして高速制御に対応する位相同期制御のための第一のオフセット補正回路と、ナイキスト補間を前提にして高精度でオフセット補正を行うための第二のオフセット補正回路とを備えたので、ディフェクトや急激なオフセット変動に対して、第一のオフセット補正と位相同期制御を対応して行なうことができるとともに、第二のオフセット補正により、PRML信号処理方式を用いる場合を含めて信号の振幅方向のオフセット成分を高精度で低減することが可能となり、記録されたデジタルデータの記録品質に依存して再生RF信号に存在するアシンメトリが大きい場合にも、充分な再生性能を実現することができる。
【0087】
すなわち、デジタルデータの復調に、レベル判別処理方式に限らず、PRML信号処理方式をも用いる場合においても、デジタル復調処理をチャネルビット周波数の半分の周波数で行う場合の、アシンメトリによる演算誤差が発生するためにオフセット補正精度が悪くなり、このオフセット成分が残ることによってデジタル二値化信号の復調性能が低下するという問題を、上述した2種類の役割が異なるオフセット補正回路を適用することにより解消でき、再生性能の良好な光ディスク再生装置を提供できるものである。
【0088】
さらには、再生信号品質の指標となるジッタの検出を高精度でおこなえるため、再生RF信号のジッタを良好にするためのアナログイコライザのカットオフ周波数やブースト学習の調整、および再生RF信号の性能に関係するフォーカスサーボにおけるバランス学習の最良点の調整等をも高精度で行うことができ、高倍速再生時等においても再生信号品質の向上が可能となり、かつ低消費電力を実現できる光ディスク再生装置を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明にかかる光ディスク再生装置は、低消費電力で、かつ、アシンメトリなどの光記録媒体に記録されたデータ品質の劣化に対して再生性能を高品質に維持できるものであり、DVDプレーヤーや、DVDレコーダーなどにおいて有用である。
【0090】
さらには、上記低消費電力の面では、記録型光ディスクを搭載したデジタルハンディーカムムービーや、ノート型パーソナルコンピュータ用の光ディスクドライブにおいても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施の形態1のよる光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】高次等リップルフィルタの周波数特性の説明図である。
【図3】各種パーシャルレスポンス方式の周波数特性とMTF特性を示す図である。
【図4(a)】実施の形態1における第一のオフセット補正回路9の構成を示すブロック図である。
【図4(b)】実施の形態1における第一のオフセット補正回路9の動作原理を説明する図である。
【図5(a)】実施の形態1における位相同期制御回路17の構成を示すブロック図である。
【図5(b)】実施の形態1における位相誤差情報20の検出原理を説明する図である。
【図6】有限インパルス応答フィルタの構成を示すブロック図である。
【図7】ナイキスト帯域を復元するための補間フィルタ28の動作原理を説明する図である。
【図8(a)】実施の形態1における第二のオフセット補正回路27の構成を示すブロック図である。
【図8(b)】実施の形態1における第二のオフセット補正回路27の動作原理を説明する図である。
【図9】実施の形態1におけるジッタ情報39の検出原理を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態2による光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図11(a)】実施の形態2における第一のオフセット補正回路9の構成を示すブロック図である。
【図11(b)】実施の形態2における第一のオフセット補正回路9の動作原理を説明する図である。
【図12(a)】実施の形態2における位相同期制御回路17の構成を示すブロック図である。
【図12(b)】実施の形態2における位相誤差情報20の検出原理を説明する図である。
【図13】実施の形態2におけるデジタル適応イコライザ23の構成要素であるフィルタ係数学習回路の構成を示すブロック図である。
【図14】記録符号とレベル判別方式とPR(a,b,b,a)等化方式についての説明図である。
【図15(a)】実施の形態2における第二のオフセット補正回路27の構成を示すブロック図である。
【図15(b)】実施の形態2における第二のオフセット補正回路27の動作原理を説明する図である。
【図16(a)】実施の形態2におけるデータ復調回路36の構成要素である並列型ビタビ復号器の状態遷移を示す図である。
【図16(b)】実施の形態2におけるデータ復調回路36の構成要素である並列型ビタビ復号器の復号の手順を示す図である。
【図17】従来の光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0092】
1 光ディスク媒体(光記録媒体)
2 再生信号検出回路
3 再生RF信号
4 再生RF信号調整回路
5 アナログデジタルコンバータ
6 デジタルRF信号
6A〜6L デジタルRF信号
7 クロック生成回路
8 サンプリングクロック
9 第一のオフセット補正回路
10 第一の直線補間フィルタ
11 補間信号
11A〜11L 補間信号
12 オフセット情報検出回路
13 オフセット情報
13A〜13E オフセット情報
14 オフセットレベル平滑化回路
15 第一の制御ゲイン調整回路
16 減算回路
17 位相同期制御回路
18 第二の直線補間フィルタ
18A〜18H 補間信号
19 位相誤差情報検出回路
20 位相誤差情報
20A〜20D 位相誤差情報
21 位相同期ループフィルタ
22 デジタルアナログコンバータ
23 デジタル適応イコライザ
24a〜24f 遅延素子
25a〜25g 乗算器
26 加算器
27 第二のオフセット補正回路
28 補間フィルタ
29 第一の復調前処理信号
29A〜29L 第一の復調前処理信号
30 第二の復調前処理信号
30A〜30L 第二の復調前処理信号
31 オフセット情報検出回路
32 オフセット情報
32A〜32E オフセット情報
33 オフセットレベル平滑化回路
34 第二の制御ゲイン調整回路
35 減算回路
36 データ復調回路
37 デジタル二値化信号
38 ジッタ検出回路
39 ジッタ情報
40 瞬時ジッタ前情報
41 サンプリング位相切り替えフラグ発生回路
42 サンプリング位相切り替えフラグ
43 オフセット情報検出回路
44A〜44J ゼロクロス位置検出用データ
45 位相誤差情報検出回路
46 仮判定回路
29a,30a 等化目標値
47 等化誤差検出回路
47a 等化誤差信号
48 遅延回路
49 相関器
50 フィードバックゲイン制御回路
51a〜51g フィルタ係数更新部
52a〜52g 初期値記憶手段
53 オフセット情報検出回路
54A〜54J ゼロクロス位置検出用データ
55 再生手段
56 プリアンプ
57 波形等化手段
58 クロック発生手段
59 ハーフレート処理用オフセット制御手段
60 ハーフレート処理用位相同期制御手段
61 ハーフレート処理用位相誤差情報検出手段
62 ループフィルタ
63 ハーフレート処理用適応等化手段
64 ハーフレート処理用最尤復号器
60A〜60G ゼロクロス位置検出用信号
130 フィルタ係数学習回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ符号が少なくとも3つ以上連続する制約を有する記録符号によりデジタル記録されている光記録媒体から、デジタルデータを復調する光ディスク再生装置において、
前記光記録媒体から再生RF信号を検出する再生信号検出回路と、
前記再生RF信号の振幅の調整を行い、かつジッタを良化する再生RF信号調整回路と、
前記再生RF信号に含まれるクロック成分の2倍の周期に同期したサンプリングクロックを生成するクロック生成回路と、
前記再生RF信号調整回路の出力信号を前記サンプリングクロックでサンプリングすることにより、デジタルRF信号を生成するアナログデジタルコンバータと、
前記デジタルRF信号における振幅方向のオフセット成分を補正する第一のオフセット補正回路と、
前記第一のオフセット補正回路の出力信号から位相誤差情報を抽出して、該位相誤差情報をゼロに近づけるように、前記クロック生成回路が生成する前記サンプリングクロックの位相同期制御を行う位相同期制御回路と、
前記第一のオフセット補正回路の出力信号を適応的に等化するデジタル適応イコライザと、
前記第一のオフセット補正回路において補正できなかったオフセット成分の影響により、前記デジタル適応イコライザの出力信号において発生する振幅方向のオフセット成分を補正する第二のオフセット補正回路と、
前記デジタル適応イコライザの出力信号を入力信号として、これを一定時間遅延した第一の復調前処理信号と、これの時間方向に欠落した信号である第二の復調前処理信号とを生成する補間フィルタとを備え、
前記第二のオフセット補正回路は、前記第一の復調前処理信号と前記第二の復調前処理信号から、振幅方向のオフセット情報を抽出して、前記デジタル適応イコライザの出力信号の振幅方向のオフセット成分を補正するものであり、さらに、
前記第一の復調前処理信号と前記第二の復調前処理信号から、ジッタ情報を抽出するジッタ検出回路と、
前記第一の復調前処理信号と前記第二の復調前処理信号を復調してデジタル二値化信号を得るデータ復調回路とを備えた、
ことを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク再生装置において、
前記第一のオフセット補正回路は、前記デジタルRF信号をチャネルビットで換算した際に時間方向に欠落した信号を、時間的に隣接する前記デジタルRF信号の平均値を求めることにより復元する第一の直線補間フィルタを備え、
前記デジタルRF信号と前記第一の直線補間フィルタの出力信号から、前記デジタルRF信号の振幅方向のオフセット成分を抽出して、前記デジタルRF信号の振幅方向のオフセット成分を補正するものである、
ことを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスク再生装置において、
前記位相同期制御回路は、前記デジタルRF信号をチャネルビットで換算した際に時間方向に欠落した信号を、時間的に隣接する前記第一のオフセット補正回路の出力信号の平均値を求めることにより復元する第二の直線補間フィルタを備え、
前記第一のオフセット補正回路の出力信号と前記第二の直線補間フィルタの出力信号とから位相誤差情報を抽出して、該位相誤差情報をゼロに近づけるように、前記クロック生成回路が生成する前記サンプリングクロックの位相同期制御を行うものである、
ことを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスク再生装置において、
前記補間フィルタは、精度を維持するのに必要な最小限のタップ数を有する有限インパルス応答フィルタにより構成され、ナイキスト帯域を復元するものである、
ことを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光ディスク再生装置において、
前記第一のオフセット補正回路は、制御速度を調整する第一の制御ゲイン調整回路を備え、
前記第二のオフセット補正回路は、制御速度を調整する第二の制御ゲイン調整回路を備え、
前記第一の制御ゲイン調整回路は、高速に制御できるように制御ゲインを設定し、
前記第二の制御ゲイン調整回路は、低速に制御できるように制御ゲインを設定する、
ことを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光ディスク再生装置において、
前記アナログデジタルコンバータのサンプリング位相を、チャネルビット周波数の位相を0度と180度のいずれとするかで切り替えるためのサンプリング位相切り替えフラグを生成するサンプリング位相切り替えフラグ発生回路を、さらに備え、
前記位相同期制御回路は、前記サンプリング位相切り替えフラグに応じて、前記位相誤差情報を検出する方法を切り替えるものであり、
前記第一のオフセット補正回路と前記第二のオフセット補正回路は、前記サンプリング位相切り替えフラグに応じて、前記振幅方向のオフセット成分を抽出する方法を切り替えるものであり、
前記デジタル適応イコライザは、パーシャルレスポンス方式に準じて適応的に等化を行うものであり、
前記データ復調回路は、前記パーシャルレスポンス方式に応じて確率演算を行う最尤復号回路をさらに備え、前記サンプリング位相切り替えフラグに応じて、復調方式を切り替えるものである、
ことを特徴とする、光ディスク再生装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光ディスク再生装置において、
前記デジタル適応イコライザは、有限インパルス応答フィルタで構成され、その各タップの重み係数を、前記第一の復調前処理信号と前記第二の復調前処理信号が、目標とするパーシャルレスポンス方式の目標レベルとの誤差の二乗平均がゼロに近づくように学習するフィルタ係数学習回路を備える、
ことを特徴とする光ディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9】
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【図10】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図13】
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【図14】
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【図15(a)】
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【図15(b)】
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【図16(a)】
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【図16(b)】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−216187(P2006−216187A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29768(P2005−29768)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】