説明

光ディスク判別装置およびそれを備えた光ディスク再生装置

【課題】例えば、車載機器などで振動が多い場合でも、正確に種別を判別することができる光ディスク判別装置およびそれを備えた光ディスク再生装置を提供する。
【解決手段】ストッパ72が、レンズホルダ69の移動を制限して固定して、光源から光を照射して、クランパ34により光ディスク2をターンテーブル26に近づけるように移動させたときに受光素子が生成したフォーカスエラー信号に基づいてマイクロコンピュータ51が光ディスク2の種別を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)およびブルーレイディスクなどの光ディスクの種別を判別することができる光ディスク判別装置およびそれを備えた光ディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)およびブルーレイディスク(以下、BDとする)などの光ディスクの種別を判別する方法としては、光ピックアップからレーザ光を照射しなから対物レンズをフォーカス方向に移動させて、光ディスク表面からの反射を検出し、その表面反射の検出から記録面を横切ったことにより得られるSカーブが検出されるまでの時間を計測して記録面の位置を割り出し光ディスクの種別を判別していた。
【0003】
例えば、表面から記録面までの距離は、CDでは1.2mm、DVDでは0.6mm、BDでは0.1mmと、それぞれ異なるため、表面反射の検出から記録面を横切ったことにより得られるSカーブが検出されるまでの時間を計測して記録面の位置を割り出すことで、光ディスクの種別が判別できる(例えば、特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−141347号公報
【特許文献2】特開平9−320179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した光ディスクの種別判別方法では、車載機器の場合、車両から伝わる振動の影響により正確に時間の計測ができない場合がある。詳しく説明すると、光ディスク再生装置の光ピックアップにおいて、対物レンズはアクチュエータにバネで支持されているために、光ディスク(機器本体)の振動の受け方と、対物レンズの振動の受け方と、が異なってしまい、Sカーブの検出が正確な位置とならない場合があるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、例えば、車載機器などで振動が多い場合でも、正確に種別を判別することができる光ディスク判別装置およびそれを備えた光ディスク再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の光ディスク判別装置は、光ディスクから情報を読み出すための光を発生する光源と、前記光源が発生した光を前記光ディスクに合焦させる対物レンズと、前記光ディスクからの反射光を受光してフォーカスエラー信号を生成する受光手段と、前記対物レンズを前記光ディスクに対してフォーカス方向に移動させるアクチュエータと、を備えた光ピックアップと、前記光ディスクが載置され、機器本体に対して回転自在に設けられた回転テーブルと、前記回転テーブルに対して前記光ディスクを接離自在に移動させるクランパと、前記フォーカスエラー信号により前記光ディスクの種別を判別する判別手段と、を備えた光ディスク判別装置において、前記光ピックアップには、前記対物レンズの前記フォーカス方向への移動を制限するストッパが設けられ、前記アクチュエータが、前記対物レンズを前記ストッパによって移動が制限される位置まで移動させて固定し、そして、前記光源から光を照射して、前記クランパにより前記光ディスクを前記回転テーブルに近づけるように移動させたときに前記受光手段で生成される前記フォーカスエラー信号に基づいて前記判別手段が前記光ディスクの種別を判別する、ことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施例にかかる光ディスクプレーヤの斜視図である。
【図2】図1に示された光ディスクプレーヤのシャーシ本体及びクランプ再生ユニットなどを示す斜視図である。
【図3】図1に示された光ディスクプレーヤの概略の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示された光ディスクプレーヤの光ピックアップの要部斜視図である。
【図5】図4に示されたアクチュエータ装置の要部斜視図である。
【図6】図4に示されたアクチュエータ装置の側面図である。
【図7】図4に示されたアクチュエータ装置のホルダベースとレンズホルダ及びプリントコイル部分を示した斜視図である。
【図8】図1に示された光ディスクプレーヤにおける光ディスクの種別判別動作を示したフローチャートである。
【図9】フォーカスエラー信号と光ディスク2の移動距離との関係を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態にかかる光ディスク判別装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる光ディスク判別装置は、ストッパが、対物レンズの移動を制限して固定して、光源から光を照射して、クランパにより光ディスクを回転テーブルに近づけるように移動させたときに受光手段が生成したフォーカスエラー信号に基づいて判別手段が光ディスクの種別を判別するので、ストッパが対物レンズを固定することで、対物レンズの振動の受け方が機器本体、即ち光ディスクと極めて近い状態とすることができる。また、光ディスクがクランパによって回転テーブルに近づけられる(セットさせる)際の動作を、対物レンズをスイープさせる動作の代わりに行っているので、対物レンズを固定しても記録面を検出することができる。したがって、車載機器などで振動が多い場合でも、正確に種別を判別することができる。
【0010】
また、光ピックアップは、クランパに対して光ディスクの反対面側に設けられ、クランパは、回転テーブルと接離自在に機器本体に支持されているので、光ピックアップと光ディスクを回転させる回転テーブルなどの駆動機構が光ディスクに対して同じ側に設けられるために、部品配置が最適化され装置の薄型化を図ることができる。
【0011】
また、ストッパが、対物レンズを光ディスクに最も近づく位置に固定するように設けられていてもよい。このようにすることにより、光ディスクをクランパによって回転テーブルにセットさせる動作で、対物レンズから照射した光が確実に記録面を横切ることができる。
【0012】
また、判別手段が、光ディスクの表面から記録面までの時間に基づいて光ディスクの種別を判別してもよい。このようにすることにより、記録面までの時間を距離に換算し、記録面の位置に基づいた光ディスクの判別をすることができる。
【0013】
また、光ディスク再生装置に上述した光ディスク判別装置を備えてもよい。このようにすることにより、光ディスク再生装置において、振動が多い場合でも、正確に種別を判別することができる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の一実施例にかかる光ディスク再生装置としての光ディスクプレーヤ1を、図1ないし図9に基づいて説明する。図1などに示す光ディスクプレーヤ1は、移動体としての自動車のインストルメントパネル(以下、インパネと呼ぶ)などに取り付けられて、光ディスク2(図2に示す)を一枚収容して、この光ディスク2の種別を判別し、記録された情報を読み出して(再生して)、音声や映像として出力する装置である。
【0015】
光ディスク2は、勿論、円板状即ちディスク状に形成されており、コンピュータなどの電子機器で読みとることのできる情報を記録した記録媒体である。
【0016】
光ディスクプレーヤ1は、図1及び図2に示すように、機器本体3(図1に示す)と、搬送手段としての搬送ユニット5と、クランプ再生ユニット6と、連動機構と、図3に示したブロックからなる電気回路などを備えている。なお、以下、光ディスク2の表面と搬送ユニット5の光ディスク2の搬送方向との双方と平行な図1中の矢印Yを光ディスクプレーヤ1の奥行き方向と記し、光ディスク2の表面と平行でかつ前記奥行き方向Yと直交する矢印Xを光ディスクプレーヤ1の幅方向と記し、光ディスク2の表面と奥行き方向Yと幅方向Xの全てと直交する矢印Zを光ディスクプレーヤ1の厚み方向と記す。
【0017】
機器本体3は、合成樹脂や金属等からなる図1に示す外側ケース8と、図2に示すシャーシ本体9とを備えている。
【0018】
外側ケース8は、扁平な箱状に形成されている。外側ケース8の前述したインパネに取り付けると乗員に相対する前面8a(図1に示す)には、光ディスク2を出し入れ可能な挿入口10が一つ設けられている。なお、前面8aは、外側ケース8即ち光ディスクプレーヤ1がインパネに取り付けられると、該インパネの外側に露出する外側ケース8の一つの面である。
【0019】
挿入口10は、外側ケース8の外壁を貫通している。挿入口10は、長手方向の長さが光ディスク2の直径よりも若干大きく開口し、内側に光ディスク2を通すことができる。挿入口10を通して、前記光ディスク2は、外側ケース8即ち機器本体3内に収容されたり、該機器本体3内から排出される。即ち、挿入口10は、光ディスク2を機器本体3に出し入れ自在とする。
【0020】
さらに、前述した前面8aには、表示パネル11と、各種のスイッチ12とが設けられている。
【0021】
表示パネル11は、前面8aに露出して、使用者に対し各種の情報を表示する表示領域としての表示面を備えている。表示パネル11は、表示面に再生中のプログラム名等の情報を表示する。
【0022】
各種のスイッチ12は、使用者が操作するための操作部を構成している。スイッチ12が使用者などに操作されることによって、例えば、クランプ再生ユニット6が再生する光ディスク2のプログラムの選択や光ディスク2の出し入れなどが行われる。
【0023】
シャーシ本体9は、図2に示すように、複数の折り曲げられた板金などが互いに取り付けられて構成されている。シャーシ本体9は、図2に示すように、略平坦な底壁13と、該底壁13に間隔をおいて相対する略平坦な天井壁15と、これらの底壁13と天井壁15とに連なる複数の周壁14と、を備えている。これらの壁13,14,15には、それぞれ、前記シャーシ本体9の軽量化と剛性の確保とのために、複数の開口部が設けられている。
【0024】
また、シャーシ本体9の挿入口10の近傍には、発光部16aと受光部16b(図3に示す)とが設けられている。発光部16aは、発光ダイオードなどの発光素子から構成され、受光部16bは、フォトダイオードなどの受光素子から構成されている。この発光部16aと受光部16bは、挿入口10長手方向に互いに対向するように配置されている。
【0025】
発光部16aと受光部16bは、挿入口10内に光ディスク2が挿入されたか否かや、挿入口10外への光ディスク2の排出が完了したか否かを、発光部16aからの光が受光部16bで受光できたか否かで検出する。つまり、受光部16bは、光ディスク2が挿入される前は発光部16aからの光が受光している受光状態となっており、光ディスク2が挿入され発光部16aからの光が遮られると受光部は非受光状態となるので光ディスク2の検知ができる。受光部16bは、受光状態または非受光状態を示す信号を後述するマイクロコンピュータ51に向かって出力する。
【0026】
搬送ユニット5は、図3などに示すように、ローラアーム18と、ディスクガイド17と、を備えている。ローラアーム18は、挿入口10の近傍に配されている。ローラアーム18は、板金などからなるアーム本体19と、搬送ローラ20と、を備えている。
【0027】
アーム本体19は、長手方向が幅方向Xと平行な帯状に形成されている。アーム本体19は、当該アーム本体19自体の幅方向の一方の縁部を中心として底壁13に回転自在に支持されている。アーム本体19の回転中心は、幅方向Xと平行である。アーム本体19は、当該アーム本体19自体の幅方向の他方の縁部が底壁13から離れる方向に、図示しないコイルばねによって付勢されている。
【0028】
搬送ローラ20は、アーム本体19の前記他方の縁部に回転自在に支持されている。搬送ローラ20の回転中心は、幅方向Xと平行である。搬送ローラ20の一端部には、図示しない歯車が取り付けられている。アーム本体19の前記他方の縁部が底壁13から離れた状態において、搬送ローラ20の歯車は、駆動源としての搬送用モータ30(図3に示す)などにより回転駆動される歯車31(図3に示す)と噛み合う。搬送ローラ20は、前記歯車31などを介して、搬送用モータ30の回転駆動力によって回転される。なお、アーム本体19の前記他方の縁部が底壁13に近づいた状態において、搬送ローラ20の歯車は、前述した歯車31と噛み合わない。
【0029】
ディスクガイド17は、板金などからなるガイド本体21と、該ガイド本体21に取り付けられた平板状の滑り部材22と、を備えている。ガイド本体21は、ガイド本体21自体の長手方向が幅方向Xと平行な帯状に形成されている。ガイド本体21は、図示しない突出ピンと、該突出ピンが侵入するガイド孔とによって、鉛直方向に沿ってスライド自在にシャーシ本体9に支持されている。滑り部材22は、摩擦係数の小さい合成樹脂からなる。滑り部材22は、薄い板状に形成されている。滑り部材22は、ガイド本体21のシャーシ本体9の内側に位置する表面に取り付けられている。
【0030】
前述した構成のローラアーム18とディスクガイド17は、互いに接離自在に設けられ、かつ互いに近づいて互いの間に光ディスク2を挟んで、搬送ローラ20が搬送用モータ30により回転駆動されることで、機器本体3に光ディスク2を出し入れする。
【0031】
クランプ再生ユニット6は、図3などに示すように、キャリッジシャーシ23と、クランプアーム24と、を備えている。キャリッジシャーシ23は、板金などからなるシャーシ本体25と、該シャーシ本体25に取り付けられた回転テーブルとしてのターンテーブル26と、駆動源としてのスピンドルモータ32と、光ピックアップ43と、ディスク検出スイッチ40と、を備えている。
【0032】
シャーシ本体25は、略平板状に形成されている。ターンテーブル26は、シャーシ本体25に回転自在に支持されている。ターンテーブル26は、厚手の円盤状に形成されたテーブル本体28と、このテーブル本体28の表面28aから凸に形成された侵入凸部29とを一体に備えている。
【0033】
テーブル本体28は、その表面28a上に光ディスク2が載置される。侵入凸部29は、平面形状が円形に形成され、かつテーブル本体28と同軸に配置されている。
【0034】
侵入凸部29は、テーブル本体28の表面28aから凸の接頭円錐状に形成されている。侵入凸部29は、テーブル本体28の表面28aに載置された光ディスク2の中心に設けられたセンターホール内に侵入して、当該光ディスク2を係止する。
【0035】
前述した構成のターンテーブル26は、侵入凸部29がセンターホール内に侵入しかつテーブル本体28が表面28a上に光ディスク2を載置する。そして、ターンテーブル26は、シャーシ本体25に取り付けられたスピンドルモータ32の駆動力によって、その軸芯回りに回転されることで、光ディスク2を回転させる。スピンドルモータ32は、キャリッジシャーシ23に取り付けられている。
【0036】
ディスク検出スイッチ40は、キャリッジシャーシ23のシャーシ本体25に、挿入口10から離れた端部に設けられ、このスイッチがONになることで光ディスク2が後述するキャリッジシャーシ23とクランプアーム24とによりクランプされる位置であるホームポジションにあることが検出され、後述するマイクロコンピュータ51へ出力する。
【0037】
光ピックアップ43は、図4に示したように、ピックアップケース62と、アクチュエータ装置63と、を備えている。
【0038】
ピックアップケース62は、アクチュエータ装置63が固定されるとともに、図示しないCD/DVD用の光源およびBD用の光源、受光素子、コリメータレンズ、ビームスプリッタなどの光学部品が収容されている。また、ピックアップケース62は、図示しないキャリッジモータとキャリッジモータからの駆動力を伝達するリードスクリュー45などによって、図4に示す軸60上を光ディスクの径方向に沿って移動可能となっている。
【0039】
アクチュエータ装置63は、図5に示すように、アクチュエータケース64と、アクチュエータ可動部65と、を備えている。
【0040】
アクチュエータケース64は、アクチュエータ可動部65の後述するレンズホルダ69をフォーカスやトラッキング方向に移動させるためのマグネット73が含まれ、アクチュエータ可動部65のうち後述するホルダサスペンション68のサスペンションベース部70が固定されている。
【0041】
また、アクチュエータケース64には、アクチュエータ可動部65のレンズホルダ69のフォーカス方向およびトラッキング方向への移動を制限するストッパ72が設けられている。フォーカス方向とは、光ディスク2に対して近づいたり離れたりする方向(焦点を合わせる方向)、トラッキング方向とは、光ディスク2のトラックに対して平行な方向を示している。ストッパ72は、図6に示すように、後述するレンズホルダ69の厚み方向に設けられた一対の固定アーム部69dと凸部69eの間に、後述する線状弾性部材71と平行な平板状に形成され、上側の固定アーム部69dと凸部69eが当接することでフォーカス方向の移動下限となり、下側の固定アーム部69dと凸部69eが当接することでフォーカス方向の移動上限となる。ここで、フォーカス方向の移動下限は、光ディスク2から最も離れる位置、フォーカス方向の移動上限は、光ディスク2から最も近づく位置をそれぞれ示している。
【0042】
アクチュエータ可動部65は、図7に示すように、対物レンズ66と、プリントコイル67と、ホルダサスペンション68と、を備えている。
【0043】
対物レンズ66は、光源から発せられ光学部品を経由してきた光を光ディスク2に照射することおよび光ディスク2から反射された光を光学部品へ出力するためのレンズであり、本実施例ではCD/DVD用のレンズ66aとBD用レンズ66bの2種類が並列に設けられている。
【0044】
プリントコイル67は、ホルダサスペンション68のレンズホルダ69を挟んでレンズホルダ69の箱部69hの長手方向の側面に一対が接着剤などで固定される。プリントコイル67は、基板上にコイルの配線パターンが形成されたものであり、フォーカス制御用のコイルとトラッキング制御用のコイルが夫々形成されている。また、プリントコイル67には、後述する線状弾性部材71とはんだ付けにて電気的に接続するためのランドが該線状弾性部材71の接続部71bに対応する位置に設けられている。
【0045】
ホルダサスペンション68は図7に示すようにレンズホルダ69と、サスペンションベース部70と、線状弾性部材71と、を備えている。
【0046】
レンズホルダ69は、例えばLCP(液晶ポリマ)等の樹脂によって略箱型に成形され、略箱型の箱部69hと、箱部69hの端部から突出した固定アーム部69dと凸部69e等から構成されている。箱部69hの天面部69aの略中央には対物レンズ66を設置するための開口孔69bが設けられている。固定アーム部69dは、厚み方向に一対が並んで箱部69hの両端部に、計4つ設けられている。凸部69eも固定アーム部69dと同様に、厚み方向に一対が並んで箱部69hの両端部に、計4つ設けられている。
【0047】
サスペンションベース部70は、レンズホルダ69と同様に例えばLCP(液晶ポリマ)等の樹脂によって略箱型に成形されている。サスペンションベース部70の両端部には線状弾性部材71を固定するための線状弾性部材固定部70bが設けられている。
【0048】
線状弾性部材71は、例えば銅合金などの弾性力を備えるとともに導電性の良い部材で形成されサスペンションベース部70の線状弾性部材固定部70bとレンズホルダ69の固定アーム部69dとを結びレンズホルダ69を移動可能に支持した線状部71aと、線状部71aから分岐しプリントコイル67と電気的に接続される接続部71bと、を備えている。また、線状弾性部材71は、サスペンションベース部70の線状弾性部材固定部70bに貫通するように固定され、線状弾性部材71の貫通した部分は、外部からフォーカス制御やトラッキング制御のための電流が供給される。つまり、線状弾性部材71は、レンズホルダ69に対するサスペンション機能の他に、プリントコイル67に電流を供給する配線の機能も合わせて持つ。
【0049】
レンズホルダ69とサスペンションベース部70と線状弾性部材71は、インサート成形によりレンズホルダ69とサスペンションベース部70を成形する際に一体に成形される。すなわち、図7に示すように線状弾性部材71の線状部71aの一端がサスペンションベース部70の線状弾性部材固定部70bに内包され、線状部71aの他端および接続部71bの一部がレンズホルダ69の固定アーム部69d、凸部69eなどに内包されるとともに、線状弾性部材71の他の部分は露出した状態で固定される。
【0050】
レンズホルダ69に取り付けられたプリントコイル67は、線状断性部材71の接続部71bとはんだ付けされることで電気的に接続される。また、プリントコイル67はレンズホルダ69の側面に接着剤で固定されているが、線状断性部材71はレンズホルダ69と一体に成型されるため、はんだまたは接着剤のいずれか一方のみで固定しても良い。
【0051】
このように構成された光ピックアップ43は、受光素子の出力から光ディスク2に記録されている映像や音楽などのトラックデータを含むRF信号やフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号などを生成しRFアンプ46へ出力する。
【0052】
クランプアーム24は、板金などからなるアーム本体33と、クランパ34と、を備えている。アーム本体33は、略平板状に形成されている。キャリッジシャーシ23のシャーシ本体25に、挿入口10から離れた端部を中心として回転自在に支持されている。アーム本体33の回転中心は、幅方向Xと平行である。アーム本体33がシャーシ本体25に近づいた状態では、シャーシ本体25とアーム本体33とが略平行になる。
【0053】
クランパ34は、ターンテーブル26に相対する位置に配されている。クランパ34は、円板状に形成されているとともに、アーム本体33に回転自在に支持されている。クランパ34は、アーム本体33がシャーシ本体25と略平行な状態となると、ターンテーブル26との間に光ディスク2を挟むことができる。さらに、クランプ再生ユニット6のキャリッジシャーシ23とクランプアーム24とは、図示しないばねなどの付勢手段により互いに近づく方向に付勢されている。つまり、光ピックアップ43は、クランパ34に対して光ディスク2の反対面側に設けられている。
【0054】
また、前述した構成のクランプ再生ユニット6は、図示しないゴムなどの弾性体からなるダンパと、コイルばねなどによって、前記機器本体3に対し移動自在にシャーシ本体9内に支持される。クランプ再生ユニット6は、クランプアーム24のアーム本体33がキャリッジシャーシ23に回転自在に支持されることで、これらのキャリッジシャーシ23とクランプアーム24とが互いに接離自在に設けられている。クランプ再生ユニット6は、クランプアーム24がキャリッジシャーシ23に近づいて、クランパ34が光ディスク2を押してターンテーブル26へ載置されるようにし(即ち互いの間に光ディスク2を挟んでクランプし)、スピンドルモータ32及びターンテーブル26で光ディスク2を回転させ光ピックアップ43で該光ディスク2の種別を判別するとともに記録された情報を読み出す。
【0055】
また、キャリッジシャーシ23がターンテーブル26を回転自在に支持しかつ当該ターンテーブル26を回転させるスピンドルモータ32が設けられている。また、クランプアーム24がクランパ34を回転自在に支持している。
【0056】
次に、図3のブロックで示された光ディスクプレーヤ1の電気的構成を説明する。光ディスクプレーヤ1は、上述したスピンドルモータ32、光ピックアップ43に加えて、RFアンプ46と、サーボ信号処理部47と、ドライバ48と、音声/映像信号処理部49と、バッファ50、マイクロコンピュータ51も備えている。
【0057】
RFアンプ46は、光ピックアップ43から入力される信号を所定の値に増幅し、サーボ信号処理部47へ出力する。
【0058】
サーボ信号処理部47は、RFアンプ46から入力されるフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号などの制御信号を基に光ピックアップ43のアクチュエータを駆動させてフォーカスおよびトラッキングの制御などを行い光ディスク2に記録された情報を正確に読めるようにする。また、フォーカスエラー信号などの検出信号をマイクロコンピュータ51に出力する。さらに、光ディスク2に記録された映像や音楽などを含むRF信号をアナログ/デジタル変換して音声/映像信号処理部49へ出力する。
【0059】
ドライバ48は、サーボ信号処理部47から入力された信号からスピンドルモータ32および光ピックアップ43のアクチュエータおよびキャリッジモータ44への駆動信号の生成や記録データを出力する。
【0060】
音声/映像信号処理部49は、サーボ信号処理部47から入力された信号にエラー訂正などを行った後復調やデコードを行いバッファ50へ出力する。そしてマイクロコンピュータ51からの要求に従ってバッファ50から読み出して外部へ映像信号や音声信号として出力する。
【0061】
バッファ50は、振動などによって再生が途切れないように所定量一時的に音声/映像信号処理部49で再生された映像や音声などのデータを格納するためのメモリであり、揮発性の半導体メモリで構成される。バッファ50には光ディスク2から通常の数倍速の再生速度で読み込んだデータを格納し、通常の再生速度で出力する。
【0062】
判別手段としてのマイクロコンピュータ51は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)11aと、図示しないROM(Read Only Memory)とを内蔵し、光ディスク2の判別やおよび、セットアップなどの処理や、挿入や排出、再生や停止および一時停止などの各操作における光ディスクプレーヤ1全体の制御など行う。
【0063】
上述した構成の光ディスクプレーヤ1のうち、ターンテーブル26と、クランパ34と、光ピックアップ43と、マイクロコンピュータ51と、で本発明の一実施例にかかる光ディスク判別装置100を構成する。
【0064】
次に、上述した構成の光ディスクプレーヤ1において、光ディスク2がセットされてから、光ディスク判別装置100で当該光ディスク2の種別を判別し、再生が開始されるまでの動作を図8を参照して説明する。図8に示されたフローチャートはマイクロコンピュータ51で実行される。
【0065】
まず、ステップS1において、発光部16aと受光部16bで挿入口10から挿入された光ディスク2を検知したか否かを判断し、検知した場合(Yの場合)はステップS2に進み、検知しない場合(Nの場合)は、本ステップで待機する。
【0066】
次に、ステップS2において、搬送用モータ30を回転駆動させて搬送ローラ20を回転させ、光ディスク2がクランプされる位置であるホームポジションまで搬送しステップS3に進む。
【0067】
次に、ステップS3において、光ディスク2を搬送中にアクチュエータ可動部65(レンズホルダ69)をフォーカス方向の移動上限まで移動させて固定しステップS4に進む。
【0068】
次に、ステップS4において、光ディスク2がホームポジションまで移動したか否かを判断し、移動した場合(Yの場合)はステップS5に進み、移動していない場合(Nの場合)は本ステップで待機する。光ディスク2がホームポジションまで移動したかはディスク検出スイッチ40がONになったか否かで判断する。
【0069】
次に、ステップS5において、光源をONしてレーザ光の照射を開始させステップS6に進む。このときに使用する光源は、CD/DVD用の光源またはBD用の光源のうちいずれか一方を予め選択しておく。
【0070】
次に、ステップS6において、クランプアーム24がキャリッジシャーシ23に近づくように移動させて光ディスク2のクランプを開始し、ステップS7に進む。即ち、クランパ34により光ディスク2をターンテーブル26に近づけるように移動させる。
【0071】
次に、ステップS7において、光ディスク判別を行い、ステップS8に進む。光ディスクの判別は、図9に示したように、クランパ34によって光ディスク2がターンテーブル26に近づく動作により、レーザ光の合焦点が移動して、まず光ディスク2表面を検出し、その表面の検出から記録面を横切ったことにより得られるSカーブが検出されるまでの時間を計測して記録面の位置を割り出し光ディスク2の種別を判別する。
【0072】
図9は、フォーカスエラー信号と光ディスク2の移動距離との関係を示した図である。光ディスク2は光ピックアップ43に近づくにしたがって、まず、表面を示す波形(図中A)が検出され、次に記録面を示す波形(図中C、E)が検出される。そして、表面を示す波形(A)から記録面を示す波形(C)までの時間であるT1を計測して、予め記憶した時間と距離の対応を示すテーブルなどから記録面の位置を割り出して種別を判別する。なお、図9では、記録面を示す波形が2回(図中C、E)検出されているが、これは2層ディスクであることを意味し、本発明ではこのような記録面の層数も検出することができる。
【0073】
次に、ステップS8において、光ディスク2のクランプが完了したか否かを判断し、クランプが完了した場合(Yの場合)はステップS9に進み、完了していない場合(Nの場合)は本ステップで待機する。光ディスク2のクランプが完了したかは、例えば、クランプアーム24がキャリッジシャーシ23と平行になったことを検出する図示しないスイッチなどによって判断する。
【0074】
次に、ステップS9において、スピンドルモータ32の駆動を開始させて、ターンテーブル26、即ち、光ディスク2の回転を開始するとともに、アクチュエータ可動部65の固定を解除させてステップS10に進む。
【0075】
次に、ステップS10において、ステップS7で判別された光ディスク2の種別に基づいて各種特性を設定し、フォーカスやトラッキングサーボの動作開始などのセットアップを行い、光ディスク2から情報を読み出して再生を開始する。
【0076】
本実施例によれば、ストッパ72が、レンズホルダ69の移動を制限して固定して、光源から光を照射して、クランパ34により光ディスク2をターンテーブル26に近づけるように移動させたときに受光素子が生成したフォーカスエラー信号に基づいてマイクロコンピュータ51が光ディスク2の種別を判別するので、ストッパ72がレンズホルダ69を固定することで、対物レンズ66の振動の受け方が機器本体3、即ち光ディスク2と極めて近い状態とすることができる。また、光ディスク2がクランパ34によってターンテーブル26にセットさせる際の動作を、対物レンズ66をスイープさせる動作の代わりに行っているので、対物レンズ66(レンズホルダ69)を固定しても記録面を検出することができる。したがって、振動が多い場合でも、正確に種別を判別することができる。
【0077】
また、ストッパ72が、レンズホルダ69を光ディスク2に最も近づく位置に固定しているので、対物レンズ66が光ディスク2に最も近い位置に固定されるために、光ディスク2をクランパ34によってターンテーブル26にセットさせる動作で、対物レンズ66から照射したレーザ光が確実に記録面を横切ることができる。
【0078】
また、光ピックアップ43は、クランパ34に対して光ディスク2の反対面側に設けられ、クランパ34は、ターンテーブル26と接離自在に機器本体3に支持されているので、光ピックアップ43と光ディスク2を回転させるターンテーブル26などの駆動機構が光ディスク2に対して同じ側に設けられるために、部品配置が最適化され装置の薄型化を図ることができる。
【0079】
なお、上述した実施例では、レンズホルダ69(対物レンズ66)の固定位置は、光ディスク2と最も近づく位置である移動上限で固定していたが、移動下限でもよい。但し、移動下限の場合は、光ディスク2から最も離れる位置であるために、レーザ光の合焦点が光ディスク2の記録面を横切らない可能性があるため、移動上限の方が好ましい。
【0080】
前述した実施例によれば、以下の光ディスク判別装置100が得られる。
【0081】
(付記)光ディスク2から情報を読み出すための光を発生する光源と、光源が発生した光を光ディスク2に合焦させる対物レンズ66と、光ディスク2からの反射光を受光してフォーカスエラー信号を生成する受光素子と、対物レンズ66を光ディスク2に対してフォーカス方向に移動させるアクチュエータ装置63と、を備えた光ピックアップ43と、
光ディスク2が載置され、機器本体3に対して回転自在に設けられたターンテーブル26と、
ターンテーブル26に対して光ディスク2を接離自在に移動させるクランパ34と、
フォーカスエラー信号により光ディスク2の種別を判別するマイクロコンピュータ51と、
を備えた光ディスク判別装置100において、
光ピックアップ43には、対物レンズ66のフォーカス方向への移動を制限するストッパ72が設けられ、
アクチュエータ装置63が、対物レンズ66をストッパ72によって移動が制限される位置まで移動させて固定し、そして、
光源から光を照射して、クランパ34により光ディスク2をターンテーブル26に近づけるように移動させたときに受光素子で生成されるフォーカスエラー信号に基づいてマイクロコンピュータ51が光ディスク2の種別を判別する、
ことを特徴とする光ディスク判別装置100。
【0082】
この光ディスク判別装置100によれば、ストッパ72が対物レンズ66を固定することで、対物レンズ66の振動の受け方が機器本体3、即ち光ディスク2と極めて近い状態とすることができる。また、光ディスク2がクランパによってターンテーブル26にセットさせる際の動作を、対物レンズ66をスイープさせる動作の代わりに行っているので、対物レンズを固定しても記録面を検出することができる。
【0083】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 光ディスクプレーヤ(光ディスク再生装置)
2 光ディスク
26 ターンテーブル(回転テーブル)
34 クランパ
43 光ピックアップ
63 アクチュエータ装置(アクチュエータ)
66 対物レンズ
72 ストッパ
51 マイクロコンピュータ(判別手段)
100 光ディスク判別装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクから情報を読み出すための光を発生する光源と、前記光源が発生した光を前記光ディスクに合焦させる対物レンズと、前記光ディスクからの反射光を受光してフォーカスエラー信号を生成する受光手段と、前記対物レンズを前記光ディスクに対してフォーカス方向に移動させるアクチュエータと、を備えた光ピックアップと、
前記光ディスクが載置され、機器本体に対して回転自在に設けられた回転テーブルと、
前記回転テーブルに対して前記光ディスクを接離自在に移動させるクランパと、
前記フォーカスエラー信号により前記光ディスクの種別を判別する判別手段と、
を備えた光ディスク判別装置において、
前記光ピックアップには、前記対物レンズの前記フォーカス方向への移動を制限するストッパが設けられ、
前記アクチュエータが、前記対物レンズを前記ストッパによって移動が制限される位置まで移動させて固定し、そして、
前記光源から光を照射して、前記クランパにより前記光ディスクを前記回転テーブルに近づけるように移動させたときに前記受光手段で生成される前記フォーカスエラー信号に基づいて前記判別手段が前記光ディスクの種別を判別する、
ことを特徴とする光ディスク判別装置。
【請求項2】
前記光ピックアップは、前記クランパに対して前記光ディスクの反対面側に設けられ、
前記クランパは、前記回転テーブルと接離自在に前記機器本体に支持されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク判別装置。
【請求項3】
前記ストッパが、前記対物レンズを前記光ディスクに最も近づく位置に固定するように設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスク判別装置。
【請求項4】
前記判別手段が、前記光ディスクの表面から記録面までの時間に基づいて前記光ディスクの種別を判別することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の光ディスク判別装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の光ディスク判別装置を備えたことを特徴とする光ディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−150859(P2012−150859A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7540(P2011−7540)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】