説明

光ディスク装置、光ディスク装置の駆動方法

【課題】
多層対応光ディスク装置において、短時間で高精度な調整処理を行う。
【解決手段】
少なくとも2層以上の記録再生層を有する光ディスクに記録再生を行う光ディスク記録再生装置であって、前記球面収差補正部をあらかじめ求めてある各層ごとの適正な前記球面収差補正部の位置のうち、光ピックアップからみて最も奥の層に適正な位置と最も手前の層に適正な位置の中間位置に位置付け、対物レンズを光ディスクに近づける方向に駆動し、球面収差補正部をあらかじめ求めてある前記光ピックアップからみて最も奥の層に適正な位置に位置付け、対物レンズを前記光ディスクから遠ざける方向に駆動することを特徴とする光ディスク装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置またはその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置に関する文献として、特許文献1が公開されている。当該特許文献1には、例えば、その要約に、「光ディスク装置は、光透過層を表面コートしたディスク1の情報面に光ビームを照射し、記録再生を行う装置である。光ディスク装置は、光ビームに発生している球面収差を予め補正する球面収差制御部21と、フォーカスエラー信号を検出するフォーカスエラー検出部10と、球面収差制御部21により球面収差量を所定量に合致させた後、フォーカスエラー検出部10の信号振幅が所定値になるように調整するコントローラ17とを備えている。」と記載されている。また、該文献の段落番号0015には、「積層された2層以上の情報面をもつ多層ディスクにおいては、収差補正手段によって各層毎に球面収差またはコマ収差の補正を行うように構成したことが好ましい。」、「収差補正手段は、検出手段の信号振幅が略最大となるように、装置の起動時に球面収差またはコマ収差を予め補正することが好ましい。」との記載がある。そして、該文献に記載の光ディスク装置によると「球面収差、コマ収差が発生しても常に安定なフォーカス、トラッキング性能を確保できる自動振幅制御を可能とする」と記載されている(要約)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−332558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ディスク装置では、光ピックアップから光ディスクに向けて照射されたレーザ光と、光ディスクからの反射光を光ピックアップで受光し、記録再生を行っている。光ディスクの主な規格としてCD、DVD、BDの順で記録容量が増えており、DVDとBDではより記録容量を高めるため記録再生層を同一ディスク内に2層構造となっている。記録容量を高めるためには先にのべたレーザ/反射光をいかに精度高く発光/受光しその信号をもとに記録再生制御を行うことが重要となる。特にBDでは球面収差による発光/受光の精度を確保するため光ピックアップ内に光学的な補正機構として球面収差補正機構が必須となる。より記憶容量を高めるためには記録再生層をより増やすことで実現できるが、信号対ノイズの観点でより精度の高い発光/受光技術が必要となる。
【0005】
しかし、従来の技術では、2層以上の記録再生層を持つ光ディスクの場合に信号の調整に時間がかかり、使用者の使い勝手の点で課題が残る。例えば、調整処理に含まれる処理の中では、球面収差を補正する処理に時間がかかる。例えば、全ての層に対して球面収差を補正した上で調整処理を行う場合、球面収差の補正を行う回数が、光ディスクの層数よりも多くなってしまう可能性が高く、調整処理の短縮ができなくなる可能性がある。また、この課題は、光ディスクの層数が増えれば増えるほど顕著となる。
【0006】
本発明の目的は、調整処理を行う時間を短縮する光ディスク装置または光ディスク装置の駆動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、特許請求の範囲に記載の構成により達成される。例えば、本光ディスク装置は、球面収差補正部と、駆動部とを備える。そして、球面収差補正部は、補正量を光ピックアップから最も奥の層と最も手前の層との中間位置に対応する補正量に設定し、駆動部は、補正量が中間位置に対応する補正量に設定された場合に、対物レンズを光ディスクに近づける方向に駆動する。さらに、球面収差補正部は、対物レンズが光ディスクに近づけられる方向に駆動された場合に、補正量を最も奥の層に対応する補正量に設定し、駆動部は、補正量が最も奥の層に応じて設定された場合に、対物レンズを光ディスクから遠ざける方向に駆動する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、調整処理を行う時間を短縮する光ディスク装置または光ディスク装置の駆動方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】光ディスク記録再生装置の構成を示すブロック図。
【図2】光ピックアップ動作の詳細を示す。
【図3】光ピックアップ内部詳細図を示す。
【図4】球面収差補正機構の模式図を示す。
【図5】多層光ディスクのフォーカスエラー信号波形を示す。
【図6】ディスク認識処理を示すフローチャート。
【図7】振幅の調整処理を示すフローチャート。
【図8】フォーカスUpスイープ時のFE信号/PE信号振幅を示す。
【図9】フォーカスDownスイープ時のFE信号/PE信号振幅を示す。
【図10】各層のFE信号/PE信号振幅を示す。
【図11】レンズシフトが発生した場合のFE信号波形比較を示す。
【図12】フォーカス動作中心の調整処理を示すフローチャート。
【図13】フォーカス動作中心調整の適用処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施例について図を用いて説明する。また、光ディスク装置の一例として、光ディスク記録再生装置を例にして、以下説明する。
【0011】
図1は、光ディスク記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【0012】
光ディスク記録再生装置1内には光ピックアップ2を備える。光ピックアップ2はレーザを光ディスク100に照射し、かつ光ディスク100からの反射光を光ピックアップ2自身が受光する。光ディスク100は、スピンドルモータ4にチャッキングされており、ドライバ5、DSP3により制御されている。また、光ディスク100は、4層以上の記録再生層を備える。なお、記録再生層とは、ユーザデータの記録または再生の少なくともいずれか一方が行われる層である。また、記録再生層としては、例えば、再生専用層、ライトワンス層、書き換え可能層がある。光ピックアップ2は、モータ4と同様にドライバ5、DSP3により制御されている。DSP3は、図示しないCPUを内蔵し、バス6を介してRAM7およびフラッシュメモリ8と接続されている。また、DSP3が、光ディスクに対する各種の調整量を取得する取得部として機能する。また、フラッシュメモリ8内には光ディスク記録再生装置1の制御用プログラムが記録されている。光ディスク記録再生装置1は、外部インターフェイス9を介しパソコンなどのホスト10に接続される。
【0013】
図1では一例としてDSP3、ドライバ5、RAM7およびフラッシュメモリ8は個別デバイスとして説明したが、これらのうち、任意の組み合わせが統合された1つのデバイスであっても良い。
【0014】
図2は、光ピックアップ2の動作詳細を示す図である。
【0015】
光ピックアップ2には対物レンズ11を搭載している。対物レンズ11に対しては、ディスク面方向のフォーカス制御(12)およびディスク上に刻まれたトラックに追従させるのトラッキング制御(13)が行われている。また、光ピックアップ2は対物レンズ11と共にスレッドモータ14により光ディスク100の半径方向にスレッド制御(15)される。
【0016】
図3は、光ピックアップ2の内部の詳細図である。
【0017】
レーザ光源16からレーザが照射され、球面収差補正機構17を介し、さらにスプリッタ18を介し対物レンズ11を通過して光ディスク100に照射される。ここで、球面収差補正機構17は、例えば、レンズ間距離が可変である2以上のレンズを有するビームエキスパンダーによって構成される。照射されたレーザは光ディスク100で反射される。また、光ディスク100で反射されたレーザは、同じく対物レンズ11を通過し、スプリッタ18を介し、集光レンズ20で収束された光が光検出器19で受光される。光検出器19で受光した光は電気信号に変換され、変換された電気信号をもとに図示しないDSPは同じく図示しないドライバを介して光ピックアップ2の対物レンズ11を駆動するアクチュエータ21を制御する。光検出器19は反射光量に比例した信号や、先に示したフォーカス制御/トラッキング制御を行うために必要なフォーカスエラー信号(FE信号)、トラッキングエラー信号(TE信号)、全反射光量エラー信号(PE信号)の元となる信号を生成する。なお、全反射光量エラー信号は、和信号、総和信号、総光量信号と言い換えても良い。
【0018】
図4は球面収差補正機構17の各層に最適な球面収差補正機構17の位置を示す模式図である。
【0019】
球面収差補正機構17の可動範囲の一端をゼロ原点とする。また、たとえば多層ディスクの層数が4層である場合は、ゼロ原点に近い位置から順に、L3層に最適な位置31、L2層に最適な位置32、L1層に最適な位置33、L0層に最適な位置34となる。なお、光ピックアップの構成部品のばらつきにより各層における最適な球面収差補正機構17の位置は異なるが、ゼロ原点を基点とした位置関係は普遍である。光ディスク記録再生装置1では、あらかじめ基準となる多層ディスクを用いて再生性能指標であるジッターなどが最良になる各層に最適な球面収差補正機構17の位置を求め、図1に示したフラッシュメモリ8に記憶しておく。さらに、ディスク側のばらつきを取り除くため、ディスク認識過程でより厳密に各層における球面収差補正機構17の最適な位置を求める調整を行う。なお、本明細書において、球面収差補正機構17の第N層に最適な位置とは、球面収差補正機構17の第N層に対応する位置、または第N層に適した位置と言い換えてもよい。また、球面収差補正機構17の位置を設定するとは、球面収差の補正量を設定すると言い換えてもよい。また、球面収差補正機構17を第N層に最適な位置に設定するとは、球面収差の補正量を第N層に対応する補正量に設定する、または、球面収差の補正量を第N層に合わせると言い換えても良い。また、球面収差補正機構17について、以下の明細書では可動レンズを例にしているが、液晶素子でも構わない。ただし、球面収差の補正量により時間を要し、本実施例の処理がより顕著な効果を奏するのは、可動レンズを用いた構成である。また、球面収差補正機構17のゼロ原点は、L0層に対応する位置に近い構成であってもよい。
【0020】
図5は球面収差補正機構17を光ピックアップ2から見て最も奥の層(L0)35に最適な位置にあわせた場合の多層ディスクにおけるFE信号の模式図を示す。
【0021】
図5に示すように、光ピックアップ2の対物レンズ11を光ディスクに近づけるにあたり、レーザのジャストフォーカス点が各層をよぎる際に得られるFE信号振幅が異なる。また、多層ディスクの層間ばらつきなどにより、L0層35のFE信号振幅を100%として正規化した場合に、各層における振幅比は一意には決まらない。そこで、精度高く各層におけるFE信号振幅を正規化するには、球面収差補正機構17を各層に位置付けて、各層のFE信号振幅を取得することが望ましい。しかし、図に示したような多層4層ディスクでは、例えば、全部の層に対して球面収差を合わせた上で、4回FE信号振幅を調整する必要があり時間が増大する。なお、図示しないが、全反射光量エラー信号振幅においても同様な関係にある。また、球面収差補正機構17は、コストと光ピックアップ2内の設置場所の関係から、絶対位置センサは搭載されておらず、ゼロ原点検出のみ可能である場合が多い。この場合、光ディスク記録再生装置1の電源投入時は、球面収差補正機構17の位置が不定となるため、ゼロ原点を検出する必要がある。よって、ディスク認識時には球面収差補正機構17は一旦ゼロ原点を検出後、各層に最適な位置に移動することになる。BD規格においては、記録再生開始位置をL0層としていることから、ディスク認識過程で最初にフォーカスサーボをオンするのはL0層となる。よって、フォーカスサーボオンに備え、球面収差補正機構17の位置をL0層に対応する位置とする必要がある。なお、フォーカスサーボをオンするとは、レーザの焦点の位置を特定の層に追従するように動かす処理を行うこと示す。
【0022】
次に、図6のフローチャートを用いて本光ディスク記録再生装置1のディスク認識処理について説明する。なお、当該処理は、光ディスク記録再生装置1が、例えばDSP3の制御により実行する。
【0023】
ディスク認識過程においては、フォーカスサーボオンの前に層数の確認などが必要である。しかし、先に示したように球面収差補正機構17の位置とFE信号振幅、PE信号振幅は相関があり、球面収差補正機構17をL0層に最適な位置に設定してしまうと他層のFE信号振幅、PE信号振幅が低下し、検出できなくなる。また、図4で示したように、球面収差補正機構17がL0層に最適な位置に移動するにはゼロ原点から最も離れた位置のため時間がかかる。
【0024】
そこで、まず、光ディスク記録再生装置1は、球面収差補正機構17を各層の最適位置のうち光ピックアップ2からみて最も奥の層に対応する位置と最も手前の層に対応する位置との中間位置へ移動させる(s50)。これにより、各層のFE信号振幅、PE信号振幅を検出しやすくする。なお、中間位置とは、例えば、最も奥の層に対応する位置と最も手前の層に対応する位置との平均位置とするが、これに限られるものではない。例えば、中間位置とは、複数の層におけるFE信号振幅、PE信号振幅を、調整に必要な精度を満たす程度で得られる位置であればよい。
【0025】
次に、光ディスク記録再生装置1は、光ピックアップ2の対物レンズ11を光ディスクに近づける方向にフォーカスUpスイープを行う(s60)。なお、フォーカスUpスイープとは、対物レンズ11を光ディスク100に近づける方向に駆動する処理を示す。また、フォーカスUpスイープの駆動範囲は、光ディスク100の各層の再生信号を取得できる程度の範囲とする。
【0026】
次に、光ディスク記録再生装置1は、各層から再生信号を取得する(s100)。ここでいう再生信号とは、FE信号、PE信号の少なくともいずれかを含む。
【0027】
次に、光ディスク記録再生装置1は、フォーカスサーボオンに備え、球面収差補正機構17を最奥層に最適な位置へ移動する(s70)。
【0028】
次に、光ディスク記録再生装置1は、光ピックアップ2の対物レンズ11を光ディスクから遠ざけるフォーカスDownスイープを行う(s80)。なお、フォーカスDownスイープとは、対物レンズ11を光ディスク100から遠ざける方向に駆動する処理を示す。また、フォーカスDownスイープの駆動範囲は、光ディスク100の各層の再生信号を取得できる程度の範囲とする。
【0029】
次に、光ディスク記録再生装置1は、各層から再生信号を取得する(s110)。ここでいう再生信号とは、FE信号、PE信号の少なくともいずれかを含む。
【0030】
最後に、光ディスク記録再生装置1は、s80までの処理によって得られる再生信号を用いて、ディスク認識を行う(s120)。ディスク認識とは、FE信号のいわゆるS字波形の数や、S字波形の間隔に基づいて、光ディスク100の層数や層間隔を取得することにより行う。
【0031】
その後、光ディスク記録再生装置1は、その他必要な調整処理を行う。その他の調整処理は、例えば、各層での球面収差の補正量についての微調整を含む。さらに、光ディスク記録再生装置1は、微調整を終えると、記録または再生が可能であることを示すコマンドであるReadyコマンドを、PC本体等の上位装置またはホスト装置に送信する。
【0032】
上記した図6に示す認識処理によると、短時間で精度の高い、ディスク認識処理を提供できる。
【0033】
また、図6に示す処理によると、光ディスク記録再生装置1は、フォーカスDownスイープの前に球面収差補正機構17を最奥層に対応する位置へ移動することにより、最奥層のFE信号、PE信号を精度高く取得できる。
【0034】
なお、図6の処理では、球面収差補正機構17を中間位置に対応する位置へ移動する例を示したが、光ディスク記録再生装置1は、この例とは異なり、フォーカスUpスイープの前に、球面収差補正機構17を最も手前の層に対応する位置へ移動するようにしてもよい。また、s60では、フォーカスUpスイープに替えてフォーカスDownスイープを行い、s80ではフォーカスDownスイープに替えてフォーカスUpスイープを行うこととなる。なお、最も手前の層とは、光ディスク100が4層の場合には、L3層が該当する。これにより、最も手前の層のFE信号、PE信号を最も精度高く取得できる。この場合、初回の球面収差補正機構17の移動は、先に説明したように、ゼロ原点から一番短時間で移動できる最も手前の層に対応する位置への移動となるため、短時間で精度の高い、ディスク認識処理または調整処理を提供できる。
【0035】
次に、図7のフローチャートを用いて、振幅の調整処理について説明する。なお、当該処理は、光ディスク記録再生装置1が、例えばDSP3の制御により実行する。
【0036】
まず、光ディスク記録再生装置1は、球面収差補正機構17を各層の最適位置のうち中間位置へ移動させる(s50)。s50の処理により、各層のFE信号振幅、PE信号振幅を検出しやすくする。
【0037】
次に、光ディスク記録再生装置1は、光ピックアップ2の対物レンズ11を光ディスクに近づける方向にフォーカスUpスイープを行う(s60)。
【0038】
そして、光ディスク記録再生装置1は、フォーカスUpスイープを行う際に、各層のFE信号振幅、PE信号振幅を取得する(s61)。この際、取得する信号振幅は、FE信号振幅とPE信号振幅との両方であっても、もしくはいずれか一方であってもよい。
【0039】
次に、光ディスク記録再生装置1は、フォーカスサーボオンに備え、球面収差補正機構17を最奥層に最適な位置へ移動する(s70)。
【0040】
フォーカスDownスイープ(s80)を行う際に、各層のFE信号振幅、PE信号振幅を取得する(s81)。この際、取得する信号振幅は、FE信号振幅とPE信号振幅との両方であっても、もしくはいずれか一方であってもよい。また、s81が実行された場合に、光ディスク記録再生装置1は、各層での最適なゲインを計算により取得する。
【0041】
その後、光ディスク記録再生装置1は、その他の必要な調整処理を行う。その他の調整処理は、例えば、各層での球面収差の補正量についての微調整を含む。さらに、光ディスク記録再生装置1は、微調整を終えると、記録または再生が可能であることを示すコマンドであるReadyコマンドを、PC本体等の上位装置またはホスト装置に送信する。
【0042】
このように、図7の処理においては、振幅調整処理における球面収差補正機構17を最奥層に対応する位置に移動する処理を振幅を取得する処理よりも後にする。これにより、振幅調整後に最奥層のL0層にフォーカスサーボをオンするために球面収差補正機構17の位置を移動する必要がなくなり、短時間でかつ安定にフォーカスサーボをオンすることが可能となる。
【0043】
なお、以上の処理では最奥層のL0層でフォーカスサーボをオンする場合について記載したが、振幅調整処理における球面収差補正機構17を最奥層に対応する位置に移動する処理(s70)を球面収差補正機構17を最も手前の層に対応する位置に移動する処理とし、最も手前の層でフォーカスサーボをオンするようにしてもよい。すなわち、振幅調整処理における球面収差補正機構17の第2の設定位置をフォーカスサーボオンする層に適した位置とすればよい。この場合、s60では、フォーカスUpスイープに替えてフォーカスDownスイープを行い、s80ではフォーカスDownスイープに替えてフォーカスUpスイープを行うこととなる。なお、第2の設定位置とは、処理を開始してから1度目のフォーカススイープより後で、2度目のフォーカススイープの前にに設定される球面収差補正機構17の設定位置を示す。この場合、図7に示す処理に比して、処理を開始してからフォーカスサーボをオンするまでの球面収差補正機構17の変更量が少なくなるため、処理時間の短縮が可能となる。その他、第2の設定位置とは、フォーカスサーボオンする層でなくとも、第1の設定位置と異なる位置であればよい。第2の設定位置が第1の設定位置と異なる位置であれば、複数の設定位置に対する再生信号が取得できるため、再生信号に対する球面収差の補正量の影響を算出することが可能となる。また、上記の例では、1度目のフォーカススイープがフォーカスUpスイープ、2度目のフォーカススイープがフォーカスDownスイープであったが、これらの方向は任意のものであっても、球面収差を補正する回数の増大を抑制することが可能である。
【0044】
以上述べたように、本光ディスク記録再生装置1は、複数の層を備える光ディスクに対して調整処理を行う。具体的には、光ディスク記録再生装置1は、1度目のフォーカススイープの前に球面収差補正機構17を第1の設定位置にあわせ、1度目のフォーカススイープより後で、かつ、2度目のフォーカススイープ前に第2の設定位置にあわせる。第1の設定位置とは、例えば、各層でのゲイン調整の精度を損ねない程度の振幅をとれる位置とする。また、第1の設定位置の例としては、中間位置とする。第2の設定位置とは、例えば第1の設定位置と異なる位置とする。これにより、再生信号に対する球面収差の補正量の影響を算出することが可能となる。さらに具体的に言えば、第2の設定位置は、例えば、特定の層に対応する位置とする。これにより、調整完了後に当該特定の層へのフォーカスサーボオンするまでの球面収差補正機構17を補正量を変更する必要が無くなり、処理時間を短縮することができる。また、これにより、特定の層で得られるゲインの精度を向上させることも可能となる。
【0045】
次に、図8に図7で示したフローのうちフォーカスUpスイープ時に取得したFE信号/PE信号振幅を示す。ここでは多層ディスクとして4層ディスクとし、球面収差補正機構17の各層の最適な位置の中間位置はL2層とL1層の中間となるため添え字は−1.5とした。なお、図8ないし10において、FEX-Yは、球面収差補正機構17を、第Y層に対応する位置とし、レーザの焦点を第X層に合わせた場合のフォーカスエラー信号の振幅を示す。また、PEX-Yについても同様である。
【0046】
また、図9に図7で示したフローのうちフォーカスDownスイープ時に取得したFE信号/PE信号振幅を示す。ここでは同じく多層ディスクとして4層ディスクとし、球面収差補正機構17の最奥層に最適な位置はL0層となるため添え字は−0とした。
【0047】
また、図10に各層のFE信号/PE信号振幅を示す。そして、該図中の、FE信号/PE信号振幅のリストは、図8、図9の表に基づいて取得できる。具体的には、図8、図9に示した球面収差補正機構17の位置と取得したFE信号/PE信号振幅から、各層におけるFE信号/PE信号振幅と球面収差補正機構17の位置との関係が取得できる。以下、その詳細を説明する。
【0048】
ここでは、一例として、L0層の振幅について、FE信号振幅について説明する。球面収差補正機構17がL0層に対応する位置でのFE信号振幅FE0-0に対し、球面収差補正機構17が中間位置でのFE信号振幅FE0-1.5を取得している。よって、FE0-0―FE0-1.5の値から、球面収差補正機構位置の変化量がFE信号振幅へ及ぼす影響が求まる。よって、FE0-1、FE0-2、FE0-3は例えば球面収差の補正量の変化の影響が線形性を持っていると仮定し、計算により求めることが可能となる。
【0049】
この計算を各層、各球面収差補正機構位置で計算することにより、図10に示すように各層のFE信号/PE信号振幅が求まる。求まった信号振幅から正規化に必要なゲインを計算し、図1に示すDSP3にてゲイン設定をすることで、層、球面収差補正機構17の位置によらず正規化された一定振幅を得られる各条件におけるゲインを求める(図7におけるs90)ことが可能となる。また、ディスク認識過程において最初にフォーカスサーボオンするL0層に関するFE0-0については計算によるものではなく、球面収差補正機構17をL0層に最適な位置にした場合の振幅であるため、精度が高いゲインを求めることができる。なお、ここまでは、FE信号振幅について説明したが、PE信号振幅についても同様に求めることができる。また、フォーカスUpスイープ時には球面収差補正機構17を各層に最適な位置の中間位置ではなく、より時間を短縮するために、図4に示すように、L3層に最適な位置にすることでも実現可能である。
【0050】
これまで説明してきたように本実施例のFE信号振幅/PE信号振幅の調整方法では、FE信号振幅/PE信号振幅を取得する際の球面収差補正機構17の位置とFE信号振幅/PE信号振幅は演算により算出している。言い換えると、光ディスク記録再生装置1は、球面収差補正機構17を第1の設定位置及び第2の設定位置に合わせた場合に得られる各層の信号振幅に基づいて、各層のゲインを取得する構成を備えるといえる。そのため、これまでの調整方法では、球面収差補正機構17が特定の層への位置付けが誤った位置であった場合に、FE信号振幅/PE信号振幅が異常値となる。しかし、本実施例の光ディスク記録再生装置1によると、全層に球面収差補正機構17を位置付ける必要がないため、球面収差補正機構17の誤った位置づけに基づく異常値取得の可能性が低減できる。また、これまでの調整方法では、FE信号振幅/PE信号振幅を取得するディスク半径位置に指紋などによる汚れがあった場合には、特定の層のみFE信号振幅/PE信号振幅が異常値となる可能性がある。しかし、本実施例の光ディスク記録再生装置1によると、全層のFE信号振幅/PE信号振幅を取得する必要がないため、異常値取得の可能性が低減できる。
【0051】
また、各層でのゲインは、光ディスク記録再生装置1が検出する各層でのジャストフォーカス点の位置や、球面収差を微調整して得られる補正量に影響を与える。また、光ディスク記録再生装置1によると、第1の設定位置、第2の設定位置で得られる信号振幅に基づいて、第1の設定位置及び第2の設定位置と異なる層におけるゲインも設定する。従って、光ディスク記録再生装置1は、第1の設定位置と第2の設定位置とで得られる信号振幅に基づいて、第1の設定位置及び第2の設定位置と異なる層におけるジャストフォーカス点の位置や、球面収差の微調整により得られる補正量を取得し、該補正量にて記録または再生を行う。そして、光ディスク記録再生装置1によると、各層での調整量を得るために必要な信号振幅を取得するまでの処理時間を短縮することが可能となる。
【0052】
なお、光ディスク100が4層の場合を例にした説明を上記したが、光ディスク100が例えば、5層以上の層、例えば8層を有する場合にも光ディスク記録再生装置1は適用できる。この場合、上記の例のように、L2とL1との中間位置に球面収差補正機構17を合わせる処理に加えて、例えば、L6とL5との中間位置に球面収差補正機構17を合わせる処理を行う構成としてもよい。つまり、本光ディスク記録再生装置1は、調整処理を行うに際し、全ての層に球面収差補正機構17を合わせるのではなく、ある層と他層の中間位置に球面収差補正機構17を合わせながら、調整処理を実行する。これにより、4層より層数の多い光ディスクに対しても、調整の精度を維持しながら、処理時間の増加を抑制する光ディスク記録再生装置1を提供する事が可能となる。
【0053】
ここまでは、球面収差補正機構17とFE信号振幅、PE信号振幅の関係について説明してきたが、図2に示すトラッキング制御13による対物レンズ11のディスク半径方向の絶対位置(レンズシフト)がFE信号に影響をあたえることがわかっている。
【0054】
ここで、図11を用いて、レンズシフトが発生したまま、フォーカスUpスイープした際のFE信号波形について説明する。
【0055】
図11の実線は基準となるFE信号150であり、破線はレンズシフト状態でのFE信号151である。図に示されるように、レンズシフト状態でのFE信号151は、基準となるFE信号150に対し、フォーカス動作基準中心とのズレ152が発生することがわかっている。このズレ量は光ピックアップや光ディスクによりばらつきが発生するため、ディスク認識過程でレンズシフト量と発生するフォーカス動作中心ズレ量とを取得し、図1に示すDSP3で補正する必要がある。なお、レンズシフト量とは、光ピックアップ内における中立位置と対物レンズ11との半径方向のシフト量を示す。特定のレンズシフト量におけるフォーカス動作中心ズレ量を取得するには、ディスク外周方向のレンズシフト量でのフォーカス動作中心ズレ量とディスク内周方向のレンズシフト量でのフォーカス動作中心ズレ量とを2回取得する必要がある。しかし、ズレ量を2回取得するとしても、例えばUpスイープ、Downスイープ、Upスイープ、Downスイープと、上下のスイープを2回ずつ繰り返す場合には、その処理時間がかかる。これに対して、本実施例の光ディスク記録再生装置1は、以下示す処理を行うことにより、フォーカス動作中心を調整する時間を短縮する。
【0056】
次に、図12のフローチャートを用いて、フォーカス動作中心の調整処理について説明する。なお、当該処理は、光ディスク記録再生装置1が、例えばDSP3の制御により実行する。
【0057】
まず、光ディスク記録再生装置1をレンズシフトをディスク外周方向に移動させる(s51)。
【0058】
次に、光ディスク記録再生装置1は、光ピックアップの対物レンズ11を光ディスクに近づける方向にフォーカスUpスイープを行う(s60)。
【0059】
また、光ディスク記録再生装置1は、フォーカスUpスイープを行う際に、各層のフォーカス動作中心ズレ量を取得する(s62)。
【0060】
次に、光ディスク記録再生装置1は、レンズシフトをディスク内周方向に移動(s71)する。フォーカスDownスイープを行う(s80)。また、s80に伴い、光ディスク記録再生装置1は、各層のフォーカス動作中心ズレ量を取得する(s82)。
【0061】
次に、光ディスク記録再生装置1は、ディスク外周方向で求めたフォーカス動作中心ズレ量とディスク内周方向で求めたフォーカス動作中心ズレ量からレンズシフト量とフォーカス動作中心ズレ量の関係が線形であるとしてフォーカス動作中心ズレ量が0となるよう、レンズシフト量を計算により求める(s91)。
【0062】
続いて、図13のフローチャートを用いて、求めたフォーカス動作中心調整結果の適用方法について説明する。なお、当該処理は、光ディスク記録再生装置1が、例えばDSP3の制御により実行する。
【0063】
まず、光ディスク記録再生装置1は、図7で示したFE信号/PE信号振幅調整(s40)を行う。
【0064】
次に、光ディスク記録再生装置1は、図12で示したフォーカス動作点中心調整を行う(s41)。求めたフォーカス動作点中心調整結果を適用する(s42)。その結果、図11に示す基準FE波形150が得られ、フォーカス動作中心のズレがなくなることにより、フォーカス制御が動作中心に対し均等に制御可能となり、安定性が増す。
【0065】
次に、光ディスク記録再生装置1は、この安定した状態でフォーカスサーボオンを行う(s43)。
【0066】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0067】
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 光ディスク記録再生装置
2 光ピックアップ
3 DSP
4 スピンドルモータ
5 ドライバ
6 バス
7 RAM
8 フラッシュメモリ
9 外部インターフェイス
10 ホスト
11 対物レンズ
12 フォーカス制御
13 トラッキング制御
14 スレッドモータ
15 スレッド制御
16 レーザ光源
17 球面収差補正機構
18 スプリッタ
19 光検出器
20 集光レンズ
21 アクチュエータ
30 球面収差補正機構のゼロ原点
31 球面収差補正機構のL3層用最適位置
32 球面収差補正機構のL2層用最適位置
33 球面収差補正機構のL1層用最適位置
34 球面収差補正機構のL0層用最適位置
35 L0層
40 FE信号/PE信号振幅調整
41 フォーカス動作点中心調整
42 フォーカス動作点中心調整結果適用
43 フォーカスサーボオン
50 球面収差補正機構を各層の最適位置のうち中間位置へ移動処理
51 レンズシフトをディスク外周方向に移動
60 フォーカスUpスイープ
61 フォーカスUpスイープ時の各層のFE信号/PE信号振幅取得処理
62 フォーカスUpスイープ時のフォーカス動作中心ズレ量取得処理
70 球面収差補正機構を最奥層に最適な位置へ移動処理
71 レンズシフトをディスク内周方向に移動
80 フォーカスDownスイープ
81 フォーカスDownスイープ時の各層のFE信号/PE信号振幅取得処理
82 フォーカスDownスイープ時のフォーカス動作中心ズレ量取得処理
90 最適ゲイン計算処理
91 フォーカス動作点中心の最適点計算処理
100 多層光ディスク
150 基準FE信号波形
151 レンズシフト状態FE信号波形
152 フォーカス動作中心ズレ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2層以上の記録再生層を有する光ディスクに記録または再生を行う光ディスク装置であって、
球面収差の補正量を設定する球面収差補正部と、対物レンズと、前記対物レンズを駆動する駆動部と、を有する光ピックアップを備え、
前記球面収差補正部は、前記補正量を前記光ピックアップから最も奥の層と最も手前の層との中間位置に対応する補正量に設定し、
前記駆動部は、前記補正量が前記中間位置に対応する補正量に設定された場合に、前記対物レンズを前記光ディスクに近づける方向に駆動し、
前記球面収差補正部は、前記対物レンズが前記光ディスクに近づけられる方向に駆動された場合に、前記補正量を前記最も奥の層に対応する補正量に設定し、
前記駆動部は、前記補正量が前記最も奥の層に対応する補正量に設定された場合に、前記対物レンズを前記光ディスクから遠ざける方向に駆動することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
少なくとも2層以上の記録再生層を有する光ディスクに記録または再生を行う光ディスク装置であって、
球面収差の補正量を設定する球面収差補正部と、対物レンズと、前記対物レンズを駆動する駆動部と、を有する光ピックアップを備え、
前記球面収差補正部は、前記補正量を前記光ピックアップから最も奥の層と最も手前の層との中間位置に対応する補正量に設定し、
前記駆動部は、前記補正量が前記中間位置に対応する補正量に設定された場合に、前記対物レンズを前記光ディスクから遠ざける方向に駆動し、
前記球面収差補正部は、前記対物レンズが前記光ディスクに遠ざける方向に駆動された場合に、前記補正量を前記最も手前の層に対応する補正量に設定し、
前記駆動部は、前記補正量が前記最も手前の層に対応する補正量に設定された場合に、前記対物レンズを前記光ディスクから近づける方向に駆動することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光ディスク装置であって、
再生信号に対するゲインを取得する取得部を備え、
前記取得部は、前記光ピックアップを前記光ディスクに近づけるときに得られる前記再生信号の振幅と、前記光ピックアップを前記光ディスクから遠ざけるときに得られる前記再生信号の振幅とに基づいて、前記光ディスクの各層における前記再生信号に対するゲインを取得することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の光ディスク装置であって、
前記光ピックアップを前記光ディスクに近づけるときに得られる前記再生信号の振幅と、前記光ピックアップを前記光ディスクから遠ざけるときに得られる前記再生信号の振幅とに基づいて得られる球面収差の補正量またはフォーカス位置によって、前記光ディスク各層に対する記録または再生を行うことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項3に記載の光ディスク装置であって、前記再生信号とは、フォーカスエラー信号と総光量信号とのいずれか一方、または両方であることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の光ディスク装置であって、
前記球面収差補正部は、前記光ディスクに対して記録または再生が行われる前に、前記補正量を前記光ピックアップから最も奥の層と最も手前の層との中間位置に対応する補正量に設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の光ディスク装置であって、
前記球面収差補正部は、前記光ディスクの認識処理において、前記補正量を前記光ピックアップから最も奥の層と最も手前の層との中間位置に対応する補正量に設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスクとは、前記記録再生層としてL0層、L1層、L2層、L3層の4層を有するディスクであり、
前記中間位置とは、L1層とL2層との間の位置であることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項9】
少なくとも2層以上の記録再生層を有する光ディスクに記録または再生を行う光ディスク装置であって、
対物レンズと、前記対物レンズを光ディスクの半径方向及びフォーカス方向に駆動する駆動部とを有する光ピックアップを備え、
前記駆動部は、前記対物レンズをディスク外周方向もしくはディスク内周方向である第1の方向に駆動し、第1の半径位置で前記対物レンズを前記光ディスクに近づける方向に駆動し、前記対物レンズを前記弟1の方向とは逆方向である第2の方向に駆動し、弟2の半径位置で前記対物レンズを前記光ディスクから遠ざける方向に駆動することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光ディスク装置であって、
再生信号に対するゲインを取得する取得部を備え、
前記取得部は、前記光ピックアップを前記光ディスクに近づけるときに得られる前記再生信号の振幅と、前記光ピックアップを前記光ディスクから遠ざけるときに得られる前記再生信号の振幅とに基づいて、前記光ディスクの各層における前記再生信号に対するゲインを取得することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項11】
請求項9に記載の光ディスク装置であって、
レンズシフト量またはフォーカス動作中心位置を取得する取得部を備え、
前記取得部は、前記光ピックアップを前記光ディスクに近づけるときに得られる前記再生信号と、前記光ピックアップを前記光ディスクから遠ざけるときに得られる前記再生信号とに基づいて、前記レンズシフト量または前記フォーカス動作中心位置を取得することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項12】
球面収差の補正量を設定する球面収差補正部と、対物レンズと、を有する光ピックアップを備え、少なくとも2層以上の記録再生層を有する光ディスクに記録または再生を行う光ディスク装置の駆動方法であって、
前記補正量を前記光ピックアップから最も奥の層と最も手前の層との中間位置に対応する補正量に設定し、
前記補正量が前記中間位置に対応する補正量に設定された場合に、前記対物レンズを前記光ディスクに近づける方向に駆動し、
前記対物レンズが前記光ディスクに近づけられる方向に駆動された場合に、前記補正量を前記最も奥の層に対応する補正量に設定し、
前記補正量が前記最も奥の層に対応する補正量に設定された場合に、前記対物レンズを前記光ディスクから遠ざける方向に駆動することを特徴とする光ディスク装置の駆動方法。
【請求項13】
少なくとも2層以上の記録再生層を有する光ディスクに記録または再生を行う光ディスク装置であって、
球面収差の補正量を設定する球面収差補正部と、対物レンズと、前記対物レンズを駆動する駆動部と、を有する光ピックアップを備え、
前記球面収差補正部は、前記補正量を前記光ピックアップから最も奥の層と最も手前の層との中間位置に対応する補正量に設定し、
前記駆動部は、前記補正量が前記中間位置に対応する補正量に設定された場合に、前記対物レンズを前記光ディスクに近づける方向または遠ざける方向のいずれかである第1の方向に駆動し、
前記球面収差補正部は、前記対物レンズが前記光ディスクに近づけられる方向に駆動された場合に、前記中間位置とは異なる位置に対応する補正量に設定し、
前記駆動部は、前記補正量が前記中間位置とは異なる位置に対応する補正量に設定された場合に、前記対物レンズを前記第1の方向とは逆方向である第2の方向に駆動することを特徴とする光ディスク装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−154750(P2011−154750A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14986(P2010−14986)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】