説明

光ディスク装置及び光ディスク記録再生方法

【課題】現行光ディスクのフォーマットを流用して線方向に記録密度を向上した次世代光ディスクの記録再生装置において、現行光ディスクの記録再生互換を維持する。また、次世代光ディスクの記録再生性能を向上する。
【解決手段】光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数の領域に分割され前記光束の主光線を含む領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップを備え、該光ピックアップにより前記光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行う。光ディスクに応じて、またドライブの動作状態に応じて、光スポット形状、レーザパワー設定およびPRMLのパラメータ設定を切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置及び光ディスク記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、例えば、特許文献1(特開2006−14049号公報)、特許文献(特開平10−106161号公報)、特許文献3(特開平6−290485号公報)がある。
【0003】
特許文献1には、「単一の記録再生装置において、例えば、PR(1,2,1)とPR(1,3,3,1)のように拘束長の異なる複数の動作モードを備えることが要求されている。」と記載されている。
【0004】
また特許文献1には、「この回路においては、それぞれの動作モードに最適なPRクラスを選択することができるので、再生特性の向上を図ることができる。」と記載されている。
【0005】
特許文献2には、「光ディスク1として用いる媒体の種類の依存した光ディスク1からの再生波形の特性(ビットエラー率)に応じて、PR等化における符号間干渉付与値のXの値を選定し、このXの値からトランスバーサルフィルタ3のタップ係数と、ML復号器11における識別点信号レベルを求めることにより、光ディスク1として用いる媒体の種類が異なっても、正しく再生を行うことが可能となる。」と記載されている。
【0006】
特許文献3には、「制御手段110を操作して中央部112の光透過率を0、すなわち遮光状態にしたときは、図38の従来の遮光版107と同様に1方向に径を縮小した超解像スポットを得る。また制御手段110を操作して中央部112の光透過率を1、すなわち素通しにしたときは、超解像を用いない通常の集光スポットを得る。これにより、記録密度の高い媒体に対しては小径の集光スポットを用いて駆動し、記録密度の低い媒体に対しては通常の集光スポットを用いて駆動することができる。従って、従来規格の媒体と大容量媒体を同一のヘッドで扱うことができる。」と記載されている。
【0007】
また特許文献3には、「記録時はスポット径を絞らない。ここで変調手段111でコリメートビームに振幅変調をかける方式では、既に指摘したようにレーザパワーの損失が大きい。一方、光ディスク装置では、半導体レーザの最大出力パワーの限界によってデータ転送速度(すなわちディスクの回転数)の上限が制約され、あるいは、記録媒体で使用可能な記録パワーの上限が抑えられる。これにより、レーザパワーの損失は性能上問題が大きい。したがって記録時や消去時には、できれば振幅変調をかけずに駆動するのが望ましい。ところで、記録時の集光スポット径は、再生時ほど縮小しなくとも動作可能である。」と記載されている。
【0008】
また特許文献3には、「実施例18は最適と判断した集光スポットを得られるように設定していた変調信号を、あらかじめ定めておいた範囲で変化させ、リトライ再生を行う。これにより、信号の読取り不能状態を回避できる可能性が増加し、データ保存の信頼性向上を図ることができる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−14049号公報
【特許文献2】特開平10−106161号公報
【特許文献3】特開平6−290485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
高精細映像を2時間以上記録可能な光ディスクとして、Blu−ray Disc(ブルーレイディスク)(以降、BDと略称する)が開発・製品化されている。片面1層あたり25GBの容量を実現しているBDにおいては、光源として波長405nm帯(青紫色)の半導体レーザが用いられ、対物レンズの開口数は0.85である。変調符号については1−7PP変調が採用されており、データ検出窓幅をTとすると最短マーク長及び最短スペース長は2Tであって、約0.15μmである。また、トラックピッチは約0.32μmである。
【0011】
現行BDの光学系や信号フォーマットを流用して、記録密度を対現行BD比約1.35倍に高密度化した光ディスク(以降、次世代BDと称する)の開発が検討されている。これは片面1層あたり約33GBに相当し、これを3層ないし4層の多層構造とすることによって片面あたり100GB超の大容量ディスクの実現を目指すものである。
【0012】
次世代BDの記録再生装置においては、現行BDも記録再生可能であること、即ち互換性が要求される。
【0013】
単一の装置で密度の異なる複数のディスクに対して互換性を確保する技術に関して、前記特許文献1及び特許文献2には再生系にPRML方式を採用し、前者においてはPRの拘束長を切替えて対応する技術が開示されており、後者においてはPRクラスを切替えると共にトランスバーサルフィルタのタップ係数とML復号器の識別点信号レベルとを切替えて対応する技術が開示されている。また前記特許文献3には集光スポット形状を切替えて対応する技術が開示されている。
【0014】
ところで、現行BDにおいては、前述の波長と対物レンズの開口数とから計算される光学系のカットオフ空間周波数は約4200本/mmである。一方、最短マーク及び最短スペースの繰返しパターンの空間周波数は約3360本/mmであり、カットオフ空間周波数の約80%であった。ところが次世代BDにおいては、最短マーク及び最短スペースの繰返しパターンの空間周波数は約4430本/mmであり、カットオフ空間周波数の約105%である。即ち、最短マーク及び最短スペースの再生信号振幅が得られないという、従来は考慮されていなかった課題がある。
【0015】
本発明は、以上を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、該次世代BDの記録再生装置において現行BDの記録再生互換を維持することである。また、本発明の別の目的は、次世代BDの記録再生性能を向上することである。また、本発明の更に別の目的は、例えば片面1層あたり36GBなどの更なる高密度化を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決するために、本発明では一例として特許請求の範囲記載の構成を用いる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、次世代BDの記録再生装置において現行BDの記録再生互換を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による光ディスク装置の第1実施例における記録再生動作のフローチャートである。
【図2】第1実施例における光ピックアップの構成図である。
【図3】第1実施例における光変調手段の平面図である。
【図4】第1実施例における第1の光スポットのディスク接線方向に関する強度分布の計算結果の一例である。
【図5】第1実施例におけるトランスバーサルフィルタのブロック図である。
【図6】第1実施例における光学系のMTF計算結果の一例である。
【図7】第1実施例における光学系のMTF計算結果に関して、X軸をマーク長およびスペース長としてプロットした図である。
【図8】第3実施例における光学系のMTF計算結果に関して、X軸をマーク長およびスペース長としてプロットした図である。
【図9】第1実施例における光ディスク装置のブロック図である。
【図10】第2実施例における記録再生動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に従う光ディスク装置及び光ディスク記録再生方法の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。以下の実施例に示される光ディスク装置によれば、特に最短マーク及び最短スペースの繰り返しパターンの空間周波数を光学系のカットオフ周波数以上に高密度化した光ディスクを、安定して記録再生可能となる。
【実施例1】
【0020】
本発明の実施例としての次世代BDの記録再生装置の構成ならびに動作を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図2は第1実施例における光ピックアップの構成図である。本実施例における光ピックアップは、BDの対応波長である405nm帯のレーザ光源1と、このレーザ光源1を駆動するレーザ駆動回路12と、このレーザ光源1から放射された光束を平行光束に変換するコリメートレンズ2と、平行光束が透過する際に光束の一部に対して振幅を変調可能な光変調手段3と、所定の直線偏光を略100%透過し、この直線偏光と直交する直線偏光を略100%反射する偏光ビームスプリッタ4と、直線偏光を円偏光に変換し、また、円偏光を直線偏光に変換する1/4波長板5と、レンズ間距離が可変な2枚組合せレンズで構成されて装着された光ディスク14のカバー層厚さに応じて平行光束の球面収差を調整する球面収差補正手段6と、平行光束を光ディスク14の所定の情報記録層に所定のNA且つ所定の収差量以下で光スポットを形成する対物レンズ7と、この対物レンズ7をフォーカシング方向及びトラッキング方向に変位させるための対物レンズアクチュエータ8と、を備える。また、レーザ光源1から放射された光束の一部を受光して電気信号に変換するフロントモニタ11と、ディスクからの反射光束を所定の収束光束に変換する検出レンズ9と、この収束光束を受光して電気信号に変換する光検出器10と、を備える。
【0022】
レーザ光源1から放射された直線偏光の光束は、コリメートレンズ2で平行光束に変換され、光変調手段3に入射する。
【0023】
本実施例の光変調手段3は、ディスク接線方向に対応する方向に関して3つの領域に分割された液晶素子と、所定の直線偏光を略100%透過し、この直線偏光と直交する直線偏光を略100%反射する偏光素子と、で構成される。図3は本実施例の光変調手段3の平面図であり、液晶素子の分割パターンの一例を示している。本実施例においては中央部領域の幅は入射光束径の略1/3である。この中央部領域は、光変調手段制御回路13を介して電気的に動作させることで旋光度の制御が可能であり、動作状態においては透過光束が入射光束に対して30°旋光し、非動作状態においては旋光しない。一方、両側の側部領域に入射した直線偏光については、偏光方向が変化せずに透過する。また、偏光素子は、この側部領域を透過した直線偏光および非動作状態で中央部を透過した直線偏光が、略100%透過する配置とする。
【0024】
前述の平行光束は、液晶素子に所定の直線偏光で入射する。入射光束の中心は、ディスク接線方向に関して、中央部領域の中心と概ね一致させる。光変調手段制御回路13を介して液晶素子を動作状態とした場合には、中央部を透過した光束は略30°旋光し、その結果、偏光素子を透過する光束は振幅が概ね0.87倍の直線偏光となる。即ち、中央部の透過光強度が入射光強度の概ね75%に減光される。また、液晶素子が非動作状態の場合には、中央部を透過した光束は旋光せず、偏光素子を透過する光束の振幅は入射光束と変わらない。即ち、中央部の透過光強度は入射光強度と変わらず概ね100%である。一方、側部を透過する光束については、液晶素子が動作状態か非動作状態かに関わらず、透過光強度は入射光強度と変わらず概ね100%である。
【0025】
光変調手段3を透過した光束は光変調手段3が動作状態か非動作状態かに関わらず所定の直線偏光であり、この直線偏光を略100%透過する方向に配置された偏光ビームスプリッタ4に入射する。偏光ビームスプリッタ4を透過した光束は、次いで、1/4波長板5で円偏光に変換され、球面収差補正手段6で所定の球面収差が付与された後、対物レンズ7に導かれる。対物レンズ7は入射した光束を光ディスク14の情報記録層に集光して光スポットを形成する。
【0026】
ここで、本実施例においては、前述の光変調手段3が動作状態か非動作状態かによって、光スポットの形状が異なることについて説明する。
【0027】
対物レンズ7の入射瞳上の光強度分布は図3に示した入射光束径と各領域との関係に対応する。即ち、入射瞳はディスク接線方向に関して略3等分され、光変調手段3が動作状態か非動作状態かに応じて、中央部の光強度が変化する。
具体的には、光変調手段3が非動作状態において第1の光スポットを形成するが、光変調手段3の各領域の透過率は等しく、入射瞳上の光強度分布はレーザ光源1から出射するガウス分布状の光強度分布に対応した連続的な光強度分布である。図4はこの第1の光スポットの強度分布に関する計算結果の一例であって、ディスク接線方向に関する断面図である。これは現行BDの記録再生装置における光スポットと同等の光強度分布を示している。
【0028】
一方、光変調手段3が動作状態においては、光変調手段3の中央部の透過率が概ね75%に低下するが、側部の透過率は非動作状態と変わらないので、入射瞳上の光強度分布は、中央部の光強度が相対的に低下すると共に中央部と側部とで不連続な光強度分布となる。その結果、第1の光スポットとは形状の異なる第2の光スポットを形成する。ディスク接線方向に関しては、入射瞳上での不連続な光強度分布を反映して、所謂、超解像による光スポットの傾向を示す。即ち、ピーク強度の1/e^2となる2点間の距離で定義する光スポット径については相対的に縮小され、サイドローブのピーク強度については相対的に増加する傾向を示す。本実施例における計算結果の一例によれば、ディスク接線方向に関して第2の光スポットの光スポット径は0.411μmであり、第1の光スポットの光スポット径は0.416μmであり、縮小される。
【0029】
一方で、ディスク半径方向に関しては、光変調手段3が動作状態か非動作状態かで、スポット形状に有意差は無い。また、対物レンズアクチュエータ8によって対物レンズ7がトラッキング方向、即ちディスク半径方向に変位しても入射瞳上で前述の3等分された領域が変化しないことから、トラッキング動作時における光スポットの形状変化を、光変調手段3が非動作状態における第1の光スポットの形状変化と同程度に抑制することができる。
【0030】
光ディスク14で反射した光束は再び対物レンズ7と球面収差補正手段6を透過し、1/4波長板5で光変調手段3を透過する直線偏光と直交する直線偏光に変換される。この光束は偏光ビームスプリッタ4で略100%反射され、検出レンズ9で所定の収束光束に変換されて光検出器10に導かれる。
【0031】
ここで、本実施例の光学系におけるMTF(Modulation Transfer Function)の計算結果の一例を図6に示す。DC(空間周波数=0本/mm)でのゲインを1として規格化した。なお、ピット形状等のディスク構造の影響は考慮していない。
【0032】
現行BDに対応する光学系のMTFと比較すると、カットオフ空間周波数については、光変調手段3が動作状態か非動作状態かに関わらず開口数と波長とで決まり、約4200本/mmで一致している。一方、ゲインについては、光変調手段3が非動作状態においては現行BDと同様の特性であるが、光変調手段3が動作状態においては、高周波数側で増加し低周波側で減少する特性を示す。斯様なゲイン変化を示す特性は前述の超解像による光スポットに特徴的である。
【0033】
本実施例では、長マークおよび長スペースの再生波形の歪みを抑制するために、敢えてゲインが空間周波数に対して単調減少となるようにしているが、光変調手段3のパターン及び動作時の透過率を本実施例とは異なる構成にすることで入射瞳上の光強度分布を変更し、本実施例とは異なるゲイン特性を得ることが可能である。定性的には、中央部の幅を大きくするほど、また、透過率を低下させるほど、高周波側でのゲインを増加し低周波側でのゲインを減少させることができる。
【0034】
図7は、図6に示すMTFの計算結果を元にして、X軸をマーク長、スペース長とし、Y軸をこのマーク長およびスペース長の繰返しパターンに対するMTFのゲインとしてプロットした図である。現行BDにおいては2Tのマーク長、スペース長に対して0.1程度のゲインであるが、次世代BDにおいては2Tマーク長、スペース長に対してゲインが0であって再生信号振幅が得られない。
【0035】
ところで、本実施例においてはPRML方式による再生信号処理を行う。PRML方式とは、符号間干渉を伝送路の伝達関数としてモデル化し、符号間干渉を受けて歪んだ波形に逆伝達関数を乗じて元の波形を予測するPR法と、過去のデータ列をもとにして本来のデータに一番近いデータ列を導くアルゴリズムであるML法とを組合せた再生信号処理の方式である。PRML方式の詳細説明は省略するが、本方式を用いることにより、2T信号振幅が得られずとも振幅のない信号を2Tと判定することでデータ再生が可能となる。ただし、3T信号の振幅が必ずしも大きくはないことから、2T信号と3T信号との誤判別が発生しやすいという課題がある。そこで、エラー率の低い安定なデータ再生を実現するためには、3T信号のCNR(Carieer to Noise Ratio)の確保が重要である。
【0036】
本実施例においては、光変調手段3を動作状態にすることで、図7に示す如く3T信号のゲインが増加、即ち、3T信号のCNR向上が可能であり、非動作状態と比較して2dB程度のCNR改善が見込まれる。
【0037】
図9は本実施例の光ディスク記録再生装置のブロック図である。本実施例の光ディスク記録再生装置は、光ピックアップ18と、スピンドルモータ19と、スライダ機構20と、システム制御回路21と、サーボ制御回路22と、光変調手段制御回路13と、サーボ信号生成回路23と、再生信号生成回路24と、PRML再生回路26と、エンコーダ25と、デコーダ30と、を備える。
【0038】
光ピックアップ18の構成並びに動作は前述したとおりである。
【0039】
システム制御回路21は、本実施例の光ディスク記録再生装置全体の動作を制御する機能を備えている。即ち、サーボ制御回路22を介して、スピンドルモータ19に装着された光ディスク14の回転制御を行い、スライダ機構20を駆動して光ピックアップ18を光ディスク14の半径方向に変位させるアクセス制御及び送り制御を行い、光ピックアップ18に搭載されている対物レンズアクチュエータ8を駆動して対物レンズ7のフォーカス制御及びトラッキング制御を行い、同じく光ピックアップ18に搭載されている球面収差補正手段6を駆動して球面収差を補正する。また、前述したように光変調手段制御回路13を介して、光変調手段3の動作状態と非動作状態とを切替える。
【0040】
また、システム制御回路21は、光ピックアップ18に搭載されたフロントモニタ11の出力に基づいて、レーザ光源1の出射光量が所定の光量となるように、レーザ駆動回路12を介してこのレーザ光源1を駆動する。記録時には、記録データ信号がエンコーダ25によって所定の変調規則によるNRZI信号に変換されてシステム制御回路21に供給され、システム制御回路21はこのNRZI信号に対応した記録ストラテジ(発光パルス列)に変換して、所定の光強度及びパルス幅でレーザ光源1を発光させる。
【0041】
光ディスク14からの反射光束は光検出器10で受光されて電気信号に変換され、サーボ信号生成回路23及び再生信号生成回路24とに送られる。サーボ信号生成回路23では、装着された光ディスク14に好適な検出方法で各種のサーボ信号を選択して生成し、システム制御回路21に供給する。サーボ信号にはフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号とが含まれる。システム制御回路21では、これらサーボ信号に基づき、前述したようにサーボ制御回路を介して対物レンズアクシュエータ8を駆動し、フォーカスサーボ及びトラッキングサーボを動作させる。またサーボ信号生成回路23で生成されたプッシュプル信号の振幅や再生信号生成回路24を介して供給された再生信号の振幅に基づいて、サーボ制御回路22を介して球面収差補正手段6を駆動し、光ディスク14のカバー層厚さに対応して球面収差を補正する。
【0042】
再生信号生成回路24は、波形等化回路とA/Dコンバータとを備えており、光ピックアップ18から供給されたアナログの再生信号に対して、所定の波形等化処理の後、標本化及び量子化を行ってデジタル信号に変換し、PRML再生回路26に供給する。
【0043】
PRML再生回路26は、トランスバーサルフィルタ27と、ビタビ復号回路28と、PRML再生系パラメータ設定回路29とを備える。再生信号生成回路24から供給されたデジタル信号は、トランスバーサルフィルタ27で所定のPRクラスに等化される。ビタビ復号器28は最尤復号を行ってこの等化波形を所定の変調規則によるNRZI信号に変換する。PRML再生系パラメータ設定回路29は、ビタビ復号器28により生成されたNRZI信号のエラーを評価する機能を備えている。また、PRクラスおよび再生波形生成回路24から供給された信号レベルに対応したトランスバーサルフィルタ27によるPR等化後の目標波形を決定し、この目標波形および前述のエラー評価結果に基づいて、トランスバーサルフィルタ27のタップ係数とビタビ復号器28における識別点レベルとを設定する機能を備えている。
【0044】
図5は本実施例におけるトランスバーサルフィルタ27のブロック図である。1T相当の遅延時間を有する16個の遅延回路15を直列接続し、各遅延回路の入出力端の信号に対して増幅器16により重み付けを行い、重み付け後の信号を加算器17により加算してPR等化波形を生成する。ここで、各増幅器16のゲインを特にタップ係数と呼ぶ。本実施例においては15個の増幅器を備えており、C0、・・・、C3、C5、・・・、C11、C13、・・・、C16のタップ係数が可変である。
PRML再生回路26で生成されたNRZI信号はデコーダ30によって、再生データ信号に変換される。
【0045】
図1は本実施例の記録再生動作のフローチャートである。まず、ステップ100として、装着されたディスクが現行BDであるか次世代BDであるかを判断する。現行BDの場合には、現行BDの記録再生装置で行われている記録再生処理に準じた現行BD処理フローに分岐する。次世代BDの場合には、ステップ101として処理内容が記録動作か再生動作かを判断する。つまり、ホストからの命令が記録か再生かで処理を分岐する。
【0046】
記録の場合には、ステップ102として、光ピックアップ18の光変調手段3を非動作状態とし第1の光スポットに設定する。
光変調手段3が動作状態か非動作状態かによって、レーザ光源1の発光パワーと対物レンズ7により集光される光スポットの実効パワーとの比率(以下、光利用効率と呼ぶ)が異なるため、同じ駆動電流をレーザ光源1に供給して発光させても実際に対物レンズ7から出射されて光ディスク14に集光される光スポットのパワーは異なる。そこで、ステップ103として、光変調手段3が非動作状態である第1の光利用効率に対応した第1レーザパワー設定を行う。
【0047】
本実施例においては、フロントモニタ11を光変調手段3と対物レンズ7との間に備え、光変調手段3の状態がフロントモニタ11の出力信号と光スポットの実効パワーとの関係には影響しない構成としている。再生パワーについては、フロントモニタ11の出力信号が目標レベルになるように駆動電流を設定することにより設定可能である。記録パワーについては、フロントモニタ11の帯域不足や出力信号の飽和を勘案し、予め係数をメモリに記憶しておいたレーザ光源1の駆動電流とフロントモニタ11の出力信号との第1の関係式を参照して設定する。通常、この関係式はレーザ発光の範囲においては1次式で近似できる。
【0048】
なお、本実施例においては、光ディスク14からの反射光束が光変調手段3を透過しない構成とすることで、検出信号のSNR(Signal to Noise Ratio)の低下を抑制すると共に、光変調手段3の状態に応じた光検出器10の出力ゲイン切替えを不要としている。
【0049】
ステップ104として、第1再生回路設定を行う。即ち、前述したPRML再生系パラメータ設定回路29により、トランスバーサルフィルタ27のタップ係数とビタビ復号器28の識別点レベルとを設定する。本実施例において、次世代BDに対応するPRクラスはPR(1,2,2,2,1)である。また、光スポットにおけるサイドローブの位置は、次世代BDにおけるスポットの走査時間に対応させると、概ね7Tがピークなので、対応するタップ係数C0、C1、C2及びC14、C15、C16を0に設定し、サイドローブによって検出される信号成分をマスクする。
【0050】
ステップ105として、記録を行うセクタにアクセスし、レーザ光源1を記録パワーで発光させて記録を行う。記録時には光変調手段3を非動作状態としていることで光利用効率の低下を抑制しレーザ光源への負担を軽減することができる。大電流でレーザ光源1を駆動する高パワー発光は、発熱量の増加、寿命の短縮に影響する。
【0051】
ステップ106として、ベリファイ処理の有無を判定し、分岐する。ベリファイを実施しない場合には、処理を終了する。ベリファイを実施する場合には、第1の光スポット設定、第1レーザパワー設定、第1再生回路設定を変更することなく、ステップ107にて記録したセクタにアクセスし、データを再生して記録品質を評価する。ステップ108として、記録品質の判定を行い、不良判定の場合には、再度ステップ105に戻って記録処理を行う。良判定の場合には、処理を終了する。
【0052】
前記ステップ101において再生であった場合には、ステップ109として、光ピックアップ18の光変調手段3を動作状態とし第2の光スポットに設定する。
【0053】
ステップ110として、光変調手段3が動作状態である第2の光利用効率に対応した第2レーザパワー設定を行う。前述したように、再生パワーについては、フロントモニタ11の出力信号が目標レベルになるように駆動電流を設定することにより設定可能である。また必要に応じて、予め係数をメモリに記憶しておいたレーザ光源1の駆動電流とフロントモニタ11の出力信号との第2の関係式を参照する。
【0054】
ステップ111として、第2再生回路設定を行う。前記ステップ104と同様に、トランスバーサルフィルタ27のタップ係数とビタビ復号器28の識別点レベルとを設定するが、MTFに応じて再生信号波形が異なるので設定値は違う値となる。第2の光スポットにおいても、次世代BDにおけるスポットの走査時間に対応させたサイドローブの位置は概ね7Tがピークであり、対応するタップ係数C0、C1、C2及びC14、C15、C16を0に設定してサイドローブによって検出される信号成分をマスクする。
【0055】
ステップ107として、再生を行うセクタにアクセスし、再生を行う。前述のとおり、光変調手段3を動作させることで光スポットが縮小してMTFの特性が変化し、図7に示したように3TのCNRが向上することから、PRML再生系における2T信号と3T信号との誤判別を抑制してビットエラー率が改善する。即ち、再生性能が向上する。
なお、前記ステップ102ないしステップ104、および、前記ステップ109ないしステップ111については、既に設定済であればスキップ可能である。
【0056】
前述のベリファイにおいては、記録を行うのと同じ第1の光スポットで再生を行う。上記第2の光スポットで再生を行うよりも再生性能において劣るが、厳しい条件で記録品質を評価することにより、異なる装置で光ディスク14を記録再生する装置互換での安定性が向上する。また、光変調手段3の動作状態と非動作状態の切替えには所定の時間が必要であるが、記録とベリファイ再生とで各設定を変更しないことにより、切替える場合と比較してベリファイを含む記録時間を短縮する効果がある。
【0057】
前述の現行BD処理フローについては、詳細説明は省略するが、記録か再生かベリファイ再生か、に関わらず、光変調手段3を非動作状態として第1の光スポットを設定し、第1レーザパワー設定とする。また、PRクラスをPR(1,2,2,1)とした第3再生回路設定とする。サイドローブについては、現行BDにおけるスポットの走査時間に対応させると、概ね5Tがピークなので、対応するタップ係数C1、C2、C3及びC13、C14、C15を0に設定し、サイドローブによって検出される信号成分をマスクする。
【0058】
現行BDに対しては、斯様に現行BD対応の従来の記録再生装置と同等に構成可能であり、記録ストラテジ等の設計ノウハウを流用できる。また従来の記録再生装置において本実施例で記録した光ディスク14を再生する、あるいはその逆といった、装置互換の安定性を容易に確保することができる。
【0059】
なお、現行BDに対する再生については、PRクラスを次世代BDと同じくPR(1,2,2,2,1)としてもよいし、PRML方式に限らずレベルスライス方式を用いてもよい。
【0060】
ところで、本実施例の光変調手段3の液晶素子は旋光性の制御が可能な構成としたが、これに限らず複屈折による偏光制御が可能な構成としてもよい。また本実施例の光変調手段3は振幅を変調する構成としたが、これに限らず屈折率や光路長が制御可能であって位相を変調する構成としてもよい。
【実施例2】
【0061】
図10は第2実施例における記録再生動作のフローチャートである。なお、本実施例における記録再生装置の構成は第1実施例と同様であり、説明を省略する。
【0062】
ステップ102として、第1実施例と同様に、光変調手段3を非動作状態に設定して第1の光スポットとする。
ステップ103として、第1実施例と同様に、第1レーザパワー設定を行う。
ステップ100として、ディスクが現行BDか次世代BDかを判断して分岐処理を行う。現行BDの場合には、現行BD処理フローに分岐する。
次世代BDの場合には、ステップ104として、第1実施例と同様に、第1再生回路設定を行う。
ステップ101として、処理内容が記録動作か再生動作かを判断する。つまり、ホストからの命令が記録か再生かで処理を分岐する。
記録の場合には、第1実施例と同様であり、ステップ105として、記録するセクタにアクセスし、レーザ光源を記録パワーで発光させて記録を行う。ステップ106でベリファイ処理の有無を判定し、ベリファイを実施しない場合には、処理を終了する。ベリファイを実施する場合には、ステップ107にて記録したセクタにアクセスし、データを再生して記録品質を評価する。ステップ108として、記録品質の判定を行い、不良判定の場合には、再度ステップ105に戻って記録処理を行う。良判定の場合には、処理を終了する。
再生の場合には、ステップ107として、再生するセクタにアクセスし、再生を行う。ステップ108として再生結果を評価し、再生エラーがない場合には処理を終了する。
再生エラーがある場合には、ステップ109として、第1実施例と同様に、光変調手段3を動作状態に設定して第2の光スポットとする。
ステップ110として、第1実施例と同様に、第2レーザパワー設定を行う。
ステップ111として、第1実施例と同様に、第2再生回路設定を行う。
この状態で、ステップ107として、再生するセクタにアクセスし、再生を行い、処理を終了する。
【0063】
即ち、1回目の再生でエラーがあった場合に、光変調手段3を動作させると共に各設定条件を変更し、リトライ再生を行う。このリトライ時には、前述したように3TのCNRが向上してビットエラー率が改善するので、再生可能となる確率が向上する。
【0064】
以上説明したように、本実施例の動作は、リトライ時にのみ光変調手段3を動作させる点で、第1実施例と異なる。ディスク再生可否という点で再生能力は第1実施例と同等であり、一方で、光変調手段3および各設定を切替える頻度の低下が期待できるので、記録再生処理にかかる平均時間の短縮や、平均レーザ駆動電流の低減による発熱量抑制などに有効である。
【0065】
本実施例では、次世代BDに対するリトライについてのみ説明したが、現行BDのリトライ再生に対しても適用可能である。即ち、現行BDのリトライ再生時には、光変調手段3を動作状態に設定して第2の光スポットとし、第2レーザパワー設定とする。また、これらの設定条件に適合した第4の再生回路設定とする。これにより、現行BDに対する再生能力が向上する。
【実施例3】
【0066】
以下、第3実施例について説明する。本実施例においては、光ディスク14の記録密度を現行BDの1.45倍、即ち、片面1層あたり36GBに高密度化した光ディスクに記録再生を行う。
【0067】
本実施例の記録再生装置においては、前述の液晶素子の中央部は動作時において透過光を略45度旋光させる構成とし、光変調手段3の動作状態における中央部の透過率を略50%とする。中央部の幅は第1実施例と同様に入射光束径の略1/3とする。
【0068】
図8は、図7と同様に本実施例におけるMTFの計算結果を元にして、X軸をマーク長、スペース長とし、Y軸をこのマーク長およびスペース長の繰返しパターンに対するMTFのゲインとしてプロットした図である。
【0069】
光変調手段3を動作させることによって3TのCNRが向上し、光変調手段3を非動作状態で(換言すると現行BDに対応した光学系で)33GBの次世代BDを再生する場合のCNRと同程度に改善する。
【0070】
光変調手段3が動作状態における光スポットのサイドローブは、本実施例の36GBの光ディスクにおけるスポットの走査時間に対応させると、概ね8Tがピークである。そこで図5に示したトランスバーサルフィルタ27において対応するタップ係数C0、C1及びC15、C16を0に設定し、サイドローブによって検出される信号成分をマスクする。あるいは、トランスバーサルフィルタ27を、1T相当の遅延時間を有する18個の遅延回路15を直列接続し、増幅器16を17個備えて、C0、・・・、C4、C6、・・・、C12、C14、・・・、C18のタップ係数が可変な構成として、タップ係数C0、C1、C2及びC16、C17、C18を0に設定する。
【0071】
その他の装置構成、および記録再生動作については、第1実施例ないし第2実施例に準じる。なお、PRクラスは第1実施例に準じてPR(1,2,2,2,1)とするが、これに限定するものではなく、例えば拘束長を5から6に延長することで再生性能の向上が期待できる場合がある。
【0072】
以上、本実施例の構成によれば、現行BDの光学系でPRML方式を用いて33GBの次世代BDを再生可能であるように、光変調手段3が動作状態の光スポットを用い、適切なレーザパワー設定と適切な再生回路設定とを行うことによって、36GBに高密度化した光ディスクの再生が可能である。
【0073】
更に中央部の透過率を低下させる等によってMTFの高周波側のゲインを持ち上げると共に、低周波側のゲインの低下に対応した波形歪みを補償する補償回路を追加することにより、3Tの空間周波数がカットオフ周波数より小さい限りにおいて高密度化が可能である。
【0074】
なお、実施例においてBDという名称を用いて説明したが、当然ながらこれに限るものではなく、第1の光ディスクと、該光ディスクのフォーマットを流用して線方向の記録密度を向上した第2の光ディスクと、に対して記録再生を行う光ディスク装置に適用可能である。
【0075】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0076】
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 レーザ光源
2 コリメートレンズ
3 光変調手段
4 偏光ビームスプリッタ
5 1/4波長板
6 球面収差補正手段
7 対物レンズ
8 対物レンズアクチュエータ
9 検出レンズ
10 光検出器
11 フロントモニタ
14 光ディスク
15 遅延回路
16 増幅器
17 加算器
18 光ピックアップ
19 スピンドルモータ
20 スライダ機構
26 PRML再生回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク装置であって、
光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数の領域に分割され前記光束の主光線を含む領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップと、
該光ピックアップにより前記光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行う再生部とを有する光ディスク装置。
【請求項2】
光ディスク装置であって、
光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数の領域に分割され前記光束の主光線を含む領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップと、
前記光変調手段を制御する光変調手段制御回路と、
タップ係数が可変なトランスバーサルフィルタと、
識別点レベルが可変なビタビ復号器と、該タップ係数と該識別点レベルを設定するパラメータ設定回路と、を備え、
第1の光ディスクに対して、前記光変調手段を動作状態として第1の光スポットを集光し、前記光源を第1の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第1のパラメータ設定として、前記第1の光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行い、
前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第2のパラメータ設定として前記第1の光ディスクに記録を行う光ディスク装置。
【請求項3】
前記第1の光ディスクに記録を行った後、前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第2のパラメータ設定として、前記記録データを再生して記録品質評価を行うことを特徴とする請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記第1の光ディスクよりも線方向の記録密度が低い第2の光ディスクに対して、前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第3のパラメータ設定として、記録および再生を行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
光ディスク装置であって、
光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数の領域に分割され前記光束の主光線を含む領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップと、
前記光変調手段を制御する光変調手段制御回路と、
タップ係数が可変なトランスバーサルフィルタと、
識別点レベルが可変なビタビ復号器と、該タップ係数と該識別点レベルを設定するパラメータ設定回路と、を備え、
第1の光ディスクに対して、前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第2のパラメータ設定として、前記光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行い、
再生結果を判定し、再生不良であれば前記光変調手段を動作状態として第1の光スポットを集光し、前記光源を第1の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第1のパラメータ設定として、前記第1の光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行う光ディスク装置。
【請求項6】
前記第1の光ディスクよりも線方向の記録密度が低い第2の光ディスクに対して、前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第3のパラメータ設定として、前記第2の光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行うことを特徴とする請求項5に記載の光ディスク装置。
【請求項7】
前記第2の光ディスクに対して、前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第3のパラメータ設定として、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第3のパラメータ設定として、前記第2の光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行い、
再生結果を判定し、再生不良であれば前記光変調手段を動作状態として第1の光スポットを集光し、前記光源を第1の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第4のパラメータ設定として、前記第2の光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行うことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の光ディスク装置。
【請求項8】
光ディスク装置であって
光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数の領域に分割され前記光束の主光線を含む領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップと、
前記光変調手段を制御する光変調手段制御回路と、
タップ係数が可変なトランスバーサルフィルタと、
識別点レベルが可変なビタビ復号器と、
該タップ係数と該識別点レベルを設定するパラメータ設定回路と、を備え、
第1の光ディスクに対して、前記光変調手段を動作状態として第1の光スポットを集光し、前記光源を第1の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第1のパラメータ設定とし、
前記第1の光ディスクよりも線方向の記録密度が低い第2の光ディスクに対して、前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第2のパラメータ設定とし、
前記第1の光ディスクおよび第2の光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行う光ディスク装置。
【請求項9】
前記光変調手段は、動作状態において所定の領域に入射した光束を所定の角度だけ旋光させる液晶素子と、偏光方向に応じて透過率が異なる偏光素子とで構成され、動作状態において前記光束の主光線を含む領域を強度変調して透過率を低下せしめることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項10】
動作状態における前記光束の主光線を含む領域の幅は入射光束径の1/4以上1/2以下であり、前記領域の透過率は40%以上80%以下であることを特徴とする請求項9に記載の光ディスク装置。
【請求項11】
光ディスク装置による光ディスク記録再生方法であって、
前記光ディスク装置は、
光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数の領域に分割され前記光束の主光線を含む領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップと、
前記光変調手段を制御する光変調手段制御回路と、
タップ係数が可変なトランスバーサルフィルタと、
識別点レベルが可変なビタビ復号器と、
該タップ係数と該識別点レベルを設定するパラメータ設定回路と、を備え、
第1の光ディスクに対して、前記光変調手段を動作状態として第1の光スポットを集光し、前記光源を第1の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第1のパラメータ設定として、前記第1の光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行い、
前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第2のパラメータ設定として前記第1の光ディスクに記録を行う光ディスク記録再生方法。
【請求項12】
前記第1の光ディスクに記録を行った後、前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第2のパラメータ設定として、前記記録データを再生して記録品質評価を行うことを特徴とする請求項11に記載の光ディスク記録再生方法。
【請求項13】
前記第1の光ディスクよりも線方向の記録密度が低い第2の光ディスクに対して、前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第3のパラメータ設定として、記録および再生を行うことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の光ディスク記録再生方法。
【請求項14】
光ディスク装置による光ディスク再生方法であって、
前記光ディスク装置は、
光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数の領域に分割され前記光束の主光線を含む領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップと、
前記光変調手段を制御する光変調手段制御回路と、
タップ係数が可変なトランスバーサルフィルタと、
識別点レベルが可変なビタビ復号器と、
該タップ係数と該識別点レベルを設定するパラメータ設定回路と、を備え、
第1の光ディスクに対して、前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第2のパラメータ設定として、前記光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行い、
再生結果を判定し、再生不良であれば前記光変調手段を動作状態として第1の光スポットを集光し、前記光源を第1の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第1のパラメータ設定として、前記第1の光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行う光ディスク再生方法。
【請求項15】
前記第1の光ディスクよりも線方向の記録密度が低い第2の光ディスクに対して、前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第3のパラメータ設定として、前記第2の光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行うことを特徴とする請求項14に記載の光ディスク再生方法。
【請求項16】
前記第2の光ディスクに対して、前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第3のパラメータ設定として、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第3のパラメータ設定として、前記第2の光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行い、
再生結果を判定し、再生不良であれば前記光変調手段を動作状態として第1の光スポットを集光し、前記光源を第1の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第4のパラメータ設定として、前記第2の光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行うことを特徴とする請求項14または請求項15に記載の光ディスク再生方法。
【請求項17】
光ディスク装置による光ディスク再生方法であって
前記光ディスク装置は、
光源と、該光源から出射された光束を集光して光ディスクの情報記録面に光スポットを形成する対物レンズと、複数の領域に分割され前記光束の主光線を含む領域を変調して前記光スポットの形状を変化させる光変調手段と、を具備した光ピックアップと、
前記光変調手段を制御する光変調手段制御回路と、
タップ係数が可変なトランスバーサルフィルタと、
識別点レベルが可変なビタビ復号器と、
該タップ係数と該識別点レベルを設定するパラメータ設定回路と、を備え、
第1の光ディスクに対して、前記光変調手段を動作状態として第1の光スポットを集光し、前記光源を第1の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第1のパラメータ設定とし、
前記第1の光ディスクよりも線方向の記録密度が低い第2の光ディスクに対して、前記光変調手段を非動作状態として第2の光スポットを集光し、前記光源を第2の出射光量設定とし、前記トランスバーサルフィルタと前記ビタビ複合器を第2のパラメータ設定とし、
前記第1の光ディスクおよび第2の光ディスクから読み出した再生信号をPRML方式で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してデータ再生を行う光ディスク再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−60396(P2011−60396A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211248(P2009−211248)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】