光ディスク装置
【課題】MSK変調あるいHMW変調された信号からMSK変調成分あるいはHMW変調成分を簡易に抽出する。
【解決手段】MSK変調及びHMW変調されたウォブル信号はアドレスデコード回路28に供給される。MSK成分抽出部28aの第1のLPFで基準周波数信号を抽出して出力し、第2のLPFで基準周波数信号及びMSK変調成分を抽出して出力する。差分器で両信号の差分を演算してMSK成分を抽出する。HMW成分抽出部28bの第1のLPFでRFノイズを除去し、第2のLPFでHMW変調成分及びRFノイズを除去する。差分器で両者の差分を演算してHMW成分を抽出する。
【解決手段】MSK変調及びHMW変調されたウォブル信号はアドレスデコード回路28に供給される。MSK成分抽出部28aの第1のLPFで基準周波数信号を抽出して出力し、第2のLPFで基準周波数信号及びMSK変調成分を抽出して出力する。差分器で両信号の差分を演算してMSK成分を抽出する。HMW成分抽出部28bの第1のLPFでRFノイズを除去し、第2のLPFでHMW変調成分及びRFノイズを除去する。差分器で両者の差分を演算してHMW成分を抽出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォブル信号からMSK変調成分やHMW変調成分を抽出する光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代光ディスクでは、記録可能光ディスクのアドレス方式として、MSK(Minimum Shift Keying)変調方式とHMW(Harmonic Wave)変調方式とを併用している。MSK変調方式では、ウォブル信号の基本周波数信号(基準キャリア信号)の一部を1.5倍の周波数の信号に置換し、この周波数変調部を検出することでアドレッシングを行う。HMW変調方式では、基準キャリア信号に一部その2倍の周波数の信号を重畳してウォブル信号を鋸歯状とするもので、重畳信号の位相を検出することでアドレッシングを行う。MSK変調部とHMW変調部はそれそれブロック内の異なる位置に配置され、MSK変調部とHMW変調部との間には、1周期以上の基準キャリア信号が配置される。MSK変調方式は、比較的傷やクロストークに弱く、HMW変調方式はチルトに対して敏感である特性を有しており、両者を併用して相補うことによりアドレッシングの信頼性を向上させている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−123249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、MSK変調及びHMW変調されたウォブル信号の復調方法としては、上記の公報に開示されているようにヘテロダイン方式が一般的であり、乗算器や積分器、サンプルホールド回路、コンパレータ等が必要となって回路構成が複雑化する。
【0005】
本発明の目的は、より簡易な構成でMSK変調成分やHMW変調成分を抽出できる光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、記録トラックがウォブル信号に応じて形成され、該ウォブル信号がMSK変調された光ディスクに対して記録あるいは再生を行う光ディスク装置であって、前記光ディスクから前記ウォブル信号を読み出すピックアップと、第1の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分及びMSK変調成分を通過しRFノイズ成分を除去する第1フィルタと、第2の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分を通過しMSK変調成分及びRFノイズ成分を除去する第2フィルタと、前記第1フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する差分器とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、記録トラックがウォブル信号に応じて形成され、該ウォブル信号がHMW変調された光ディスクに対して記録あるいは再生を行う光ディスク装置であって、前記光ディスクから前記ウォブル信号を読み出すピックアップと、第1の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分を通過しHMW変調成分及びRFノイズ成分を除去する第1フィルタと、第2の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分及びHMW変調成分を通過しRFノイズ成分を除去する第2フィルタと、前記第1フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する差分器とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、記録トラックがウォブル信号に応じて形成され、該ウォブル信号がMSK変調及びHMW変調された光ディスクに対して記録あるいは再生を行う光ディスク装置であって、前記光ディスクから前記ウォブル信号を読み出すピックアップと、第1の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分を通過しMSK変調成分、HMW変調成分及びRFノイズ成分を除去する第1フィルタと、第2の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分及びMSK変調成分を通過しHMW変調成分及びRFノイズ成分を除去する第2フィルタと、第3の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分、MSK変調成分及びHMW変調成分を通過しRFノイズ成分を除去する第3フィルタと、前記第1フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する第1差分器と、前記第3フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する第2差分器とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フィルタと差分器の構成により簡易にMSK変調成分あるいはHMW変調成分を抽出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1に、本実施形態における光ディスク装置の全体構成図を示す。Blu−ray等の光ディスク10はスピンドルモータ(SPM)12により駆動される。スピンドルモータSPM12は、ドライバ14で駆動され、ドライバ14はサーボプロセッサ30により所望の回転速度となるようにサーボ制御される。光ディスク10にはウォブル信号に応じて蛇行形成された情報トラックを有し、ウォブル信号はMSK変調及びHMW変調されている。MSK変調部及びHMW変調部にアドレス情報が埋め込まれており、ウォブル信号からMSK変調成分及びHMW変調成分を抽出し、復調することでアドレス情報を得ることができる。MSK変調では、一方を基準キャリア信号と同一の周波数とし、他方を基準キャリア信号の1.5倍の周波数の信号とする。つまり、MSK変調に用いられる信号波形は、一方がcos(ωt)又は−cos(ωt)であり、他方がcos(1.5ωt)又は−cos(1.5ωt)である。ウォブル信号にMSK変調方式で被変調データを挿入する場合、被変調データのデータストリームに対してウォブル周期に対応するクロック単位で差動符号化処理をしてプリコードデータとし、このプリコードデータをMSK変調してMSKストリームを生成する。これにより、被変調データのデータ列が例えば“010”のときにはMSKストリームの信号波形は、1ウォブル周期毎に、cos(ωt)、cos(ωt)、cos(1.5ωt)、−cos(ωt)、−cos(1.5ωt)、cos(ωt)なる波形となる(上記の特許文献1参照)。また、HMW変調では、基準キャリア信号cos(ωt)の2次高調波であるsin(2ωt)、−2sin(ωt)を用い、被変調データが“1”のときには基準キャリア信号にsin(2ωt)を重畳し、被変調データが“0”のときには基準キャリア信号に−sin(2ωt)を重畳して変調する。
【0012】
光ピックアップ16は、レーザ光を光ディスク10に照射するためのレーザダイオード(LD)や光ディスク10からの反射光を受光して電気信号に変換するフォトディテクタ(PD)を含み、光ディスク10に対向配置される。光ピックアップ16はステッピングモータで構成されるスレッドモータ18により光ディスク10の半径方向に駆動され、スレッドモータ18はドライバ20で駆動される。ドライバ20は、ドライバ14と同様にサーボプロセッサ30によりサーボ制御される。また、光ピックアップ16のLDはドライバ22により駆動され、ドライバ22は、オートパワーコントロール回路(APC)24により、駆動電流が所望の値となるように制御される。APC24及びドライバ22は、システムコントローラ32からの指令によりLDの発光量を制御する。図ではドライバ22は光ピックアップ16と別個に設けられているが、ドライバ22を光ピックアップ16に搭載してもよい。
【0013】
光ディスク10に記録されたデータを再生する際には、光ピックアップ16のLDから再生パワーのレーザ光が照射され、その反射光がPDで電気信号に変換されて出力される。光ピックアップ16からの再生信号はRF回路26に供給される。RF回路26は、再生信号からフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を生成し、サーボプロセッサ30に供給する。サーボプロセッサ30は、これらのエラー信号に基づいて光ピックアップ16をサーボ制御し、光ピックアップ16をオンフォーカス状態及びオントラック状態に維持する。また、RF回路26は、再生信号に含まれるアドレス信号をアドレスデコード回路28に供給する。アドレスデコード回路28はアドレス信号から光ディスク10のアドレスデータを復調し、サーボプロセッサ30やシステムコントローラ32に供給する。
【0014】
アドレス信号はウォブル信号であり、このウォブル信号を再生信号から抽出しデコードすることでアドレスデータを得る。ウォブル信号の復調、より具体的にはウォブル信号からのMSK変調成分及びHMW変調成分の抽出及び復調については後述する。また、RF回路26は、再生RF信号を2値化回路34に供給する。2値化回路34は、再生信号を2値化し、得られた信号をエンコード/デコード回路36に供給する。エンコード/デコード回路36では、2値化信号を復調及びエラー訂正して再生データを得、当該再生データをインタフェースI/F40を介してパーソナルコンピュータなどのホスト装置に出力する。なお、再生データをホスト装置に出力する際には、エンコード/デコード回路36はバッファメモリ38に再生データを一旦蓄積した後に出力する。
【0015】
光ディスク10にデータを記録する際には、ホスト装置からの記録すべきデータはインターフェースI/F40を介してエンコード/デコード回路36に供給される。エンコード/デコード回路36は、記録すべきデータをバッファメモリ38に格納し、当該記録すべきデータをエンコードして変調データとしてライトストラテジ回路42に供給する。ライトストラテジ回路42は、変調データを所定の記録ストラテジに従ってマルチパルス(パルストレーン)に変換し、記録データとしてドライバ22に供給する。記録ストラテジは記録品質に影響することから、データ記録に先立って最適化が行われる。すなわち、光ディスク10の所定のテストエリアにおいて記録ストラテジを種々変化させてテストデータを試し書きし、試し書きしたテストデータを再生してその信号品質を評価する。そして、評価結果に基づいて最適な記録ストラテジが選択される。記録データによりパワー変調されたレーザ光は光ピックアップ16のLDから照射されて光ディスク10にデータが記録される。データを記録した後、光ピックアップ16は再生パワーのレーザ光を照射して当該記録データを再生し、RF回路26に供給する。RF回路26は再生信号を2値化回路34に供給し、2値化されたデータはエンコード/デコード回路36に供給される。エンコード/デコード回路36は、変調データをデコードし、バッファメモリ38に格納されている記録データと照合する。ベリファイの結果はシステムコントローラ32に供給される。システムコントローラ32はベリファイの結果に応じて引き続きデータを記録するか、あるいは交替処理を実行するかを決定する。システムコントローラ32は、システム全体の動作を制御し、サーボプロセッサ30を介してスレッドモータ18を駆動し、光ピックアップ16の位置を制御する。
【0016】
図2に、図1におけるアドレスデコード回路28の構成ブロック図を示す。アドレスデコード回路28は、大別してMSK成分復調回路とHMW成分復調回路から構成される。
【0017】
MSK成分抽出部28aは、RF回路部26からのウォブル信号を入力し、ウォブル信号に含まれるMSK変調成分を抽出してMSK2値化部28cに出力する。MSK成分抽出部28aは、2つのローパスフィルタと1つの差分器の組み合わせでMSK変調成分を簡易に抽出する。
【0018】
MSK2値化部28cは、MSK変調成分をPLL部28fで生成されたクロック信号CLKを用いて2値化し、デコーダ28eに出力する。
【0019】
HMW成分抽出部28cは、RF回路部26からのウォブル信号を入力し、ウォブル信号に含まれるHMW変調成分を抽出してHMW2値化・極判断部28dに出力する。HMW成分抽出部28bは、2つのローパスフィルタと1つの差分器の組み合わせでHMW変調成分を簡易に抽出する。
【0020】
HMW2値化・極判断部28dは、HMW変調成分をPLL部28fで生成されたクロック信号CLKを用いて2値化し、さらに極性(0か1か)を判断してデコーダ28eに出力する。デコーダ28eは、PLL部28fで生成されたクロック信号CLKを用いてMSK変調成分とHMW変調成分とからアドレス情報を復調し、得られたアドレス情報をシステムコントローラ32に出力する。
【0021】
図3に、図2におけるMSK成分抽出部28aの構成ブロック図を示す。MSK成分抽出部28aは、2つのローパスフィルタ28a2(LPF1)、28a1(LPF2)及び差分器28a3から構成される。LPF1及びLPF2は互いに並列に接続され、ウォブル信号はLPF1及びLPF2に供給される。
【0022】
LPF1は、カットオフ周波数がウォブル信号の基準キャリア信号の周波数と基準キャリア信号の周波数の1.5倍の周波数との間に設定され、ウォブル信号のうち基準キャリア信号を通過する一方、MSK変調性成分やHMW変調成分、及びRFノイズ成分を除去する。LPF1から出力された信号B、つまり基準キャリア信号を含む信号は差分器28a3の反転入力端子(−)に供給される。
【0023】
LPF2は、カットオフ周波数が基準キャリア信号の周波数の1.5倍と基準キャリア信号の周波数の2倍との間に設定され、ウォブル信号のうち基準キャリア信号及びMSK変調成分は通過する一方、HMW変調成分やRFノイズを除去する。LPF2から出力された信号A、つまり基準キャリア信号とMSK変調成分を含む信号は差分器28a3の非反転入力端子(+)に供給される。
【0024】
差分器28a3は、信号Aと信号Bの差分を演算することでMSK変調成分のみを抽出できる。
【0025】
図4に、図2におけるHMW成分抽出部28bの構成ブロック図を示す。HMW成分抽出部28bは、2つのローパスフィルタ28b1(LPF3)、28b2(LPF2)及び差分器28b3から構成される。LPF2及びLPF3は互いに並列に接続され、ウォブル信号はLPF2及びLPF3に供給される。
【0026】
LPF2は、図3に示されるLPF2と同様であり、ウォブル信号のうち基準キャリア信号及びMSK変調成分を通過する。LPF2を通過した信号D、つまり基準キャリア信号とMSK変調成分を含む信号は差分器b3の反転入力端子(−)に供給される。
【0027】
LPF3は、カットオフ周波数が基準キャリア信号の周波数の2倍より大きい周波数に設定され、ウォブル信号のうち基準キャリア信号とMSK変調成分とHMW変調成分を通過する一方、RFノイズ成分を除去する。LPF3を通過した信号C、つまり基準キャリア信号とMSK変調成分とHMW変調成分を含む信号は差分器28b3の非反転入力端子(+)に供給される。
【0028】
差分器28b3は、信号Cと信号Dの差分を演算することでHMW変調成分のみを抽出できる。
【0029】
図5に、図3及び図4に示されたLPF1〜3の周波数特性を示す。図において、fWはウォブル信号の基準キャリア信号の周波数であり、fMは基準キャリア信号の1.5倍の周波数であってMSK変調成分の周波数であり、fHは基準キャリア信号の2倍の周波数であってHMW変調成分の周波数である。LPF1は特性100で示す帯域通過特性を有し、基準キャリア信号のみを通過する。LPF2は特性200で示す帯域通過特性を有し、基準キャリア信号及びMSK変調成分のみを通過する。LPF3は特性300で示す帯域通過特性を有し、基準キャリア信号とMSK変調成分とHMW変調成分を通過する。この図より、LPF1とLPF2との組み合わせでMSK変調成分が抽出され、LPF2とLPF3との組み合わせでHMW変調成分が抽出されることが理解されよう。
【0030】
図6に、差分器28a3での差分演算結果であるMSK変調成分の信号波形を示す。図ではLPF1からの信号B(細線で示す)とLPF2からの信号A(破線で示す)も併せて示す。差分器28a3では信号A−信号Bを演算するため、信号Aに含まれるMSK変調成分の極性を反転したMSK変調成分400が抽出される。図7に、図6からMSK変調成分400のみを抜き出して示す。
【0031】
また、図8に、差分器28b3での差分演算結果であるHMW変調成分の信号波形を示す、図ではLPF2からの信号D(破線で示す)とLPF3からの信号C(細線で示す)も併せて示す。図9に、図8からHMW変調成分500のみを抜き出して示す。
【0032】
このように、本実施形態では、2つのローパスフィルタと1つの差分器の組み合わせで、ウォブル信号からMSK変調成分を抽出し、かつHMW変調成分を抽出することができる。抽出されたMSK変調成分及びHMW変調成分はそれぞれ2値化し、任意の方法で復調すればよい。以下、復調の一例について説明するが、これに限定されるものではない。
【0033】
図10に、MSK変調成分の復調処理を示す。図2におけるMSK部2値化部28cの処理である。MSK部2値化部28cは、全波整流回路、ピーク検波回路、スライス回路及びラッチ回路を備える。図10(a)は図2に示すPLL部28fで生成されるクロック信号CLKであり、ウォブル信号の基準周波数である。図10(b)はMSK成分抽出部28aで抽出されたMSK変調成分である。図10(c)は図10(b)に示すMSK変調成分を全波整流した後、ピーク検波した波形(図中破線)である。このピーク波形をスライス回路で所定のスライスレベルSL1を用いて2値化する。図10(d)はスライスレベルSL1で2値化した出力波形である。図10(e)は2値化信号を図10(a)のクロック信号CLKでラッチした信号であり、出力されるMSK信号である。
【0034】
図11に、HMW変調成分の復調処理を示す。図2におけるHMW部2値化・極判断部28dの処理である。HMW部2値化・極判断部28dは、スライス回路、ラッチ回路、論理和ゲート及び論理積ゲートを有する。図11(a)はPLL部28fで生成されるクロック信号CLKであり、図10(b)、(c)はクロック信号CLKを分周して作成される第2クロック信号CLK2及び第3クロック信号CLK3である。CLK2及びCLK3はCLKの2倍の周期を有するクロックであり、互いに逆位相の信号である。図10(d)はHMW成分抽出部28bで抽出されたHMW変調成分である。HMW変調成分は、所定のスライスレベルSL2及びSL3で2値化される。SL2>SL3である。図11(e)はSL2で2値化した信号HMWであり、図11(f)はSL3で2値化した信号である。図11(g)はSL2で2値化した信号をCLK2でラッチした信号であり、図11(h)はSLS3で2値化した信号をCLK2でラッチした信号である。また、図11(h)はSL3で2値化した信号をCLK3でラッチした信号であり、図11(i)はSL2で2値化した信号をCLK3でラッチした信号である。図11(k)はSL2をCLK2でラッチした信号とSL2をCLK3でラッチした信号の論理積信号であり、極性が「1」の信号である。図11(m)はSL3をCLK2でラッチした信号とSL3をCLK3でラッチした信号の論理積を演算した信号であり、極性が「0」の信号である。さらに、図11(n)は図11(k)の信号と図11(m)の信号の論理和信号であり、HMW信号として出力される信号である。なお、HMW信号が「0」あるいはローレベルのときにはHMW信号はなく、ウォブル信号の基準周波数信号(いわゆるモノトーン信号)として判断される。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。例えば、本実施形態では、MSK変調及びHMW変調されたウォブル信号からアドレス情報を復調する場合について例示したが、MSK変調のみされている信号からMSK変調成分を抽出する、あるいはHMW変調のみされている信号からHMW変調成分を抽出する場合についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】光ディスク装置の全体構成図である。
【図2】アドレスデコード回路の構成図である。
【図3】MSK成分抽出部の構成図である。
【図4】HMW成分抽出部の構成図である。
【図5】ローパスフィルタの特性図である。
【図6】MSK変調成分の抽出説明図である。
【図7】MSK変調成分の信号波形図である。
【図8】HMW変調成分の抽出説明図である。
【図9】HMW変調成分の信号波形図である。
【図10】MSK変調成分の復調処理を示すタイミングチャートである。
【図11】HMW変調成分の復調処理を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0037】
10 光ディスク、28 アドレスデコード回路、28a MSK成分抽出部、28b HMW成分抽出部、400 MSK変調成分、500 HMW変調成分。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォブル信号からMSK変調成分やHMW変調成分を抽出する光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代光ディスクでは、記録可能光ディスクのアドレス方式として、MSK(Minimum Shift Keying)変調方式とHMW(Harmonic Wave)変調方式とを併用している。MSK変調方式では、ウォブル信号の基本周波数信号(基準キャリア信号)の一部を1.5倍の周波数の信号に置換し、この周波数変調部を検出することでアドレッシングを行う。HMW変調方式では、基準キャリア信号に一部その2倍の周波数の信号を重畳してウォブル信号を鋸歯状とするもので、重畳信号の位相を検出することでアドレッシングを行う。MSK変調部とHMW変調部はそれそれブロック内の異なる位置に配置され、MSK変調部とHMW変調部との間には、1周期以上の基準キャリア信号が配置される。MSK変調方式は、比較的傷やクロストークに弱く、HMW変調方式はチルトに対して敏感である特性を有しており、両者を併用して相補うことによりアドレッシングの信頼性を向上させている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−123249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、MSK変調及びHMW変調されたウォブル信号の復調方法としては、上記の公報に開示されているようにヘテロダイン方式が一般的であり、乗算器や積分器、サンプルホールド回路、コンパレータ等が必要となって回路構成が複雑化する。
【0005】
本発明の目的は、より簡易な構成でMSK変調成分やHMW変調成分を抽出できる光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、記録トラックがウォブル信号に応じて形成され、該ウォブル信号がMSK変調された光ディスクに対して記録あるいは再生を行う光ディスク装置であって、前記光ディスクから前記ウォブル信号を読み出すピックアップと、第1の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分及びMSK変調成分を通過しRFノイズ成分を除去する第1フィルタと、第2の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分を通過しMSK変調成分及びRFノイズ成分を除去する第2フィルタと、前記第1フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する差分器とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、記録トラックがウォブル信号に応じて形成され、該ウォブル信号がHMW変調された光ディスクに対して記録あるいは再生を行う光ディスク装置であって、前記光ディスクから前記ウォブル信号を読み出すピックアップと、第1の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分を通過しHMW変調成分及びRFノイズ成分を除去する第1フィルタと、第2の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分及びHMW変調成分を通過しRFノイズ成分を除去する第2フィルタと、前記第1フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する差分器とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、記録トラックがウォブル信号に応じて形成され、該ウォブル信号がMSK変調及びHMW変調された光ディスクに対して記録あるいは再生を行う光ディスク装置であって、前記光ディスクから前記ウォブル信号を読み出すピックアップと、第1の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分を通過しMSK変調成分、HMW変調成分及びRFノイズ成分を除去する第1フィルタと、第2の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分及びMSK変調成分を通過しHMW変調成分及びRFノイズ成分を除去する第2フィルタと、第3の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分、MSK変調成分及びHMW変調成分を通過しRFノイズ成分を除去する第3フィルタと、前記第1フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する第1差分器と、前記第3フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する第2差分器とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フィルタと差分器の構成により簡易にMSK変調成分あるいはHMW変調成分を抽出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1に、本実施形態における光ディスク装置の全体構成図を示す。Blu−ray等の光ディスク10はスピンドルモータ(SPM)12により駆動される。スピンドルモータSPM12は、ドライバ14で駆動され、ドライバ14はサーボプロセッサ30により所望の回転速度となるようにサーボ制御される。光ディスク10にはウォブル信号に応じて蛇行形成された情報トラックを有し、ウォブル信号はMSK変調及びHMW変調されている。MSK変調部及びHMW変調部にアドレス情報が埋め込まれており、ウォブル信号からMSK変調成分及びHMW変調成分を抽出し、復調することでアドレス情報を得ることができる。MSK変調では、一方を基準キャリア信号と同一の周波数とし、他方を基準キャリア信号の1.5倍の周波数の信号とする。つまり、MSK変調に用いられる信号波形は、一方がcos(ωt)又は−cos(ωt)であり、他方がcos(1.5ωt)又は−cos(1.5ωt)である。ウォブル信号にMSK変調方式で被変調データを挿入する場合、被変調データのデータストリームに対してウォブル周期に対応するクロック単位で差動符号化処理をしてプリコードデータとし、このプリコードデータをMSK変調してMSKストリームを生成する。これにより、被変調データのデータ列が例えば“010”のときにはMSKストリームの信号波形は、1ウォブル周期毎に、cos(ωt)、cos(ωt)、cos(1.5ωt)、−cos(ωt)、−cos(1.5ωt)、cos(ωt)なる波形となる(上記の特許文献1参照)。また、HMW変調では、基準キャリア信号cos(ωt)の2次高調波であるsin(2ωt)、−2sin(ωt)を用い、被変調データが“1”のときには基準キャリア信号にsin(2ωt)を重畳し、被変調データが“0”のときには基準キャリア信号に−sin(2ωt)を重畳して変調する。
【0012】
光ピックアップ16は、レーザ光を光ディスク10に照射するためのレーザダイオード(LD)や光ディスク10からの反射光を受光して電気信号に変換するフォトディテクタ(PD)を含み、光ディスク10に対向配置される。光ピックアップ16はステッピングモータで構成されるスレッドモータ18により光ディスク10の半径方向に駆動され、スレッドモータ18はドライバ20で駆動される。ドライバ20は、ドライバ14と同様にサーボプロセッサ30によりサーボ制御される。また、光ピックアップ16のLDはドライバ22により駆動され、ドライバ22は、オートパワーコントロール回路(APC)24により、駆動電流が所望の値となるように制御される。APC24及びドライバ22は、システムコントローラ32からの指令によりLDの発光量を制御する。図ではドライバ22は光ピックアップ16と別個に設けられているが、ドライバ22を光ピックアップ16に搭載してもよい。
【0013】
光ディスク10に記録されたデータを再生する際には、光ピックアップ16のLDから再生パワーのレーザ光が照射され、その反射光がPDで電気信号に変換されて出力される。光ピックアップ16からの再生信号はRF回路26に供給される。RF回路26は、再生信号からフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を生成し、サーボプロセッサ30に供給する。サーボプロセッサ30は、これらのエラー信号に基づいて光ピックアップ16をサーボ制御し、光ピックアップ16をオンフォーカス状態及びオントラック状態に維持する。また、RF回路26は、再生信号に含まれるアドレス信号をアドレスデコード回路28に供給する。アドレスデコード回路28はアドレス信号から光ディスク10のアドレスデータを復調し、サーボプロセッサ30やシステムコントローラ32に供給する。
【0014】
アドレス信号はウォブル信号であり、このウォブル信号を再生信号から抽出しデコードすることでアドレスデータを得る。ウォブル信号の復調、より具体的にはウォブル信号からのMSK変調成分及びHMW変調成分の抽出及び復調については後述する。また、RF回路26は、再生RF信号を2値化回路34に供給する。2値化回路34は、再生信号を2値化し、得られた信号をエンコード/デコード回路36に供給する。エンコード/デコード回路36では、2値化信号を復調及びエラー訂正して再生データを得、当該再生データをインタフェースI/F40を介してパーソナルコンピュータなどのホスト装置に出力する。なお、再生データをホスト装置に出力する際には、エンコード/デコード回路36はバッファメモリ38に再生データを一旦蓄積した後に出力する。
【0015】
光ディスク10にデータを記録する際には、ホスト装置からの記録すべきデータはインターフェースI/F40を介してエンコード/デコード回路36に供給される。エンコード/デコード回路36は、記録すべきデータをバッファメモリ38に格納し、当該記録すべきデータをエンコードして変調データとしてライトストラテジ回路42に供給する。ライトストラテジ回路42は、変調データを所定の記録ストラテジに従ってマルチパルス(パルストレーン)に変換し、記録データとしてドライバ22に供給する。記録ストラテジは記録品質に影響することから、データ記録に先立って最適化が行われる。すなわち、光ディスク10の所定のテストエリアにおいて記録ストラテジを種々変化させてテストデータを試し書きし、試し書きしたテストデータを再生してその信号品質を評価する。そして、評価結果に基づいて最適な記録ストラテジが選択される。記録データによりパワー変調されたレーザ光は光ピックアップ16のLDから照射されて光ディスク10にデータが記録される。データを記録した後、光ピックアップ16は再生パワーのレーザ光を照射して当該記録データを再生し、RF回路26に供給する。RF回路26は再生信号を2値化回路34に供給し、2値化されたデータはエンコード/デコード回路36に供給される。エンコード/デコード回路36は、変調データをデコードし、バッファメモリ38に格納されている記録データと照合する。ベリファイの結果はシステムコントローラ32に供給される。システムコントローラ32はベリファイの結果に応じて引き続きデータを記録するか、あるいは交替処理を実行するかを決定する。システムコントローラ32は、システム全体の動作を制御し、サーボプロセッサ30を介してスレッドモータ18を駆動し、光ピックアップ16の位置を制御する。
【0016】
図2に、図1におけるアドレスデコード回路28の構成ブロック図を示す。アドレスデコード回路28は、大別してMSK成分復調回路とHMW成分復調回路から構成される。
【0017】
MSK成分抽出部28aは、RF回路部26からのウォブル信号を入力し、ウォブル信号に含まれるMSK変調成分を抽出してMSK2値化部28cに出力する。MSK成分抽出部28aは、2つのローパスフィルタと1つの差分器の組み合わせでMSK変調成分を簡易に抽出する。
【0018】
MSK2値化部28cは、MSK変調成分をPLL部28fで生成されたクロック信号CLKを用いて2値化し、デコーダ28eに出力する。
【0019】
HMW成分抽出部28cは、RF回路部26からのウォブル信号を入力し、ウォブル信号に含まれるHMW変調成分を抽出してHMW2値化・極判断部28dに出力する。HMW成分抽出部28bは、2つのローパスフィルタと1つの差分器の組み合わせでHMW変調成分を簡易に抽出する。
【0020】
HMW2値化・極判断部28dは、HMW変調成分をPLL部28fで生成されたクロック信号CLKを用いて2値化し、さらに極性(0か1か)を判断してデコーダ28eに出力する。デコーダ28eは、PLL部28fで生成されたクロック信号CLKを用いてMSK変調成分とHMW変調成分とからアドレス情報を復調し、得られたアドレス情報をシステムコントローラ32に出力する。
【0021】
図3に、図2におけるMSK成分抽出部28aの構成ブロック図を示す。MSK成分抽出部28aは、2つのローパスフィルタ28a2(LPF1)、28a1(LPF2)及び差分器28a3から構成される。LPF1及びLPF2は互いに並列に接続され、ウォブル信号はLPF1及びLPF2に供給される。
【0022】
LPF1は、カットオフ周波数がウォブル信号の基準キャリア信号の周波数と基準キャリア信号の周波数の1.5倍の周波数との間に設定され、ウォブル信号のうち基準キャリア信号を通過する一方、MSK変調性成分やHMW変調成分、及びRFノイズ成分を除去する。LPF1から出力された信号B、つまり基準キャリア信号を含む信号は差分器28a3の反転入力端子(−)に供給される。
【0023】
LPF2は、カットオフ周波数が基準キャリア信号の周波数の1.5倍と基準キャリア信号の周波数の2倍との間に設定され、ウォブル信号のうち基準キャリア信号及びMSK変調成分は通過する一方、HMW変調成分やRFノイズを除去する。LPF2から出力された信号A、つまり基準キャリア信号とMSK変調成分を含む信号は差分器28a3の非反転入力端子(+)に供給される。
【0024】
差分器28a3は、信号Aと信号Bの差分を演算することでMSK変調成分のみを抽出できる。
【0025】
図4に、図2におけるHMW成分抽出部28bの構成ブロック図を示す。HMW成分抽出部28bは、2つのローパスフィルタ28b1(LPF3)、28b2(LPF2)及び差分器28b3から構成される。LPF2及びLPF3は互いに並列に接続され、ウォブル信号はLPF2及びLPF3に供給される。
【0026】
LPF2は、図3に示されるLPF2と同様であり、ウォブル信号のうち基準キャリア信号及びMSK変調成分を通過する。LPF2を通過した信号D、つまり基準キャリア信号とMSK変調成分を含む信号は差分器b3の反転入力端子(−)に供給される。
【0027】
LPF3は、カットオフ周波数が基準キャリア信号の周波数の2倍より大きい周波数に設定され、ウォブル信号のうち基準キャリア信号とMSK変調成分とHMW変調成分を通過する一方、RFノイズ成分を除去する。LPF3を通過した信号C、つまり基準キャリア信号とMSK変調成分とHMW変調成分を含む信号は差分器28b3の非反転入力端子(+)に供給される。
【0028】
差分器28b3は、信号Cと信号Dの差分を演算することでHMW変調成分のみを抽出できる。
【0029】
図5に、図3及び図4に示されたLPF1〜3の周波数特性を示す。図において、fWはウォブル信号の基準キャリア信号の周波数であり、fMは基準キャリア信号の1.5倍の周波数であってMSK変調成分の周波数であり、fHは基準キャリア信号の2倍の周波数であってHMW変調成分の周波数である。LPF1は特性100で示す帯域通過特性を有し、基準キャリア信号のみを通過する。LPF2は特性200で示す帯域通過特性を有し、基準キャリア信号及びMSK変調成分のみを通過する。LPF3は特性300で示す帯域通過特性を有し、基準キャリア信号とMSK変調成分とHMW変調成分を通過する。この図より、LPF1とLPF2との組み合わせでMSK変調成分が抽出され、LPF2とLPF3との組み合わせでHMW変調成分が抽出されることが理解されよう。
【0030】
図6に、差分器28a3での差分演算結果であるMSK変調成分の信号波形を示す。図ではLPF1からの信号B(細線で示す)とLPF2からの信号A(破線で示す)も併せて示す。差分器28a3では信号A−信号Bを演算するため、信号Aに含まれるMSK変調成分の極性を反転したMSK変調成分400が抽出される。図7に、図6からMSK変調成分400のみを抜き出して示す。
【0031】
また、図8に、差分器28b3での差分演算結果であるHMW変調成分の信号波形を示す、図ではLPF2からの信号D(破線で示す)とLPF3からの信号C(細線で示す)も併せて示す。図9に、図8からHMW変調成分500のみを抜き出して示す。
【0032】
このように、本実施形態では、2つのローパスフィルタと1つの差分器の組み合わせで、ウォブル信号からMSK変調成分を抽出し、かつHMW変調成分を抽出することができる。抽出されたMSK変調成分及びHMW変調成分はそれぞれ2値化し、任意の方法で復調すればよい。以下、復調の一例について説明するが、これに限定されるものではない。
【0033】
図10に、MSK変調成分の復調処理を示す。図2におけるMSK部2値化部28cの処理である。MSK部2値化部28cは、全波整流回路、ピーク検波回路、スライス回路及びラッチ回路を備える。図10(a)は図2に示すPLL部28fで生成されるクロック信号CLKであり、ウォブル信号の基準周波数である。図10(b)はMSK成分抽出部28aで抽出されたMSK変調成分である。図10(c)は図10(b)に示すMSK変調成分を全波整流した後、ピーク検波した波形(図中破線)である。このピーク波形をスライス回路で所定のスライスレベルSL1を用いて2値化する。図10(d)はスライスレベルSL1で2値化した出力波形である。図10(e)は2値化信号を図10(a)のクロック信号CLKでラッチした信号であり、出力されるMSK信号である。
【0034】
図11に、HMW変調成分の復調処理を示す。図2におけるHMW部2値化・極判断部28dの処理である。HMW部2値化・極判断部28dは、スライス回路、ラッチ回路、論理和ゲート及び論理積ゲートを有する。図11(a)はPLL部28fで生成されるクロック信号CLKであり、図10(b)、(c)はクロック信号CLKを分周して作成される第2クロック信号CLK2及び第3クロック信号CLK3である。CLK2及びCLK3はCLKの2倍の周期を有するクロックであり、互いに逆位相の信号である。図10(d)はHMW成分抽出部28bで抽出されたHMW変調成分である。HMW変調成分は、所定のスライスレベルSL2及びSL3で2値化される。SL2>SL3である。図11(e)はSL2で2値化した信号HMWであり、図11(f)はSL3で2値化した信号である。図11(g)はSL2で2値化した信号をCLK2でラッチした信号であり、図11(h)はSLS3で2値化した信号をCLK2でラッチした信号である。また、図11(h)はSL3で2値化した信号をCLK3でラッチした信号であり、図11(i)はSL2で2値化した信号をCLK3でラッチした信号である。図11(k)はSL2をCLK2でラッチした信号とSL2をCLK3でラッチした信号の論理積信号であり、極性が「1」の信号である。図11(m)はSL3をCLK2でラッチした信号とSL3をCLK3でラッチした信号の論理積を演算した信号であり、極性が「0」の信号である。さらに、図11(n)は図11(k)の信号と図11(m)の信号の論理和信号であり、HMW信号として出力される信号である。なお、HMW信号が「0」あるいはローレベルのときにはHMW信号はなく、ウォブル信号の基準周波数信号(いわゆるモノトーン信号)として判断される。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。例えば、本実施形態では、MSK変調及びHMW変調されたウォブル信号からアドレス情報を復調する場合について例示したが、MSK変調のみされている信号からMSK変調成分を抽出する、あるいはHMW変調のみされている信号からHMW変調成分を抽出する場合についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】光ディスク装置の全体構成図である。
【図2】アドレスデコード回路の構成図である。
【図3】MSK成分抽出部の構成図である。
【図4】HMW成分抽出部の構成図である。
【図5】ローパスフィルタの特性図である。
【図6】MSK変調成分の抽出説明図である。
【図7】MSK変調成分の信号波形図である。
【図8】HMW変調成分の抽出説明図である。
【図9】HMW変調成分の信号波形図である。
【図10】MSK変調成分の復調処理を示すタイミングチャートである。
【図11】HMW変調成分の復調処理を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0037】
10 光ディスク、28 アドレスデコード回路、28a MSK成分抽出部、28b HMW成分抽出部、400 MSK変調成分、500 HMW変調成分。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録トラックがウォブル信号に応じて形成され、該ウォブル信号がMSK変調された光ディスクに対して記録あるいは再生を行う光ディスク装置であって、
前記光ディスクから前記ウォブル信号を読み出すピックアップと、
第1の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分及びMSK変調成分を通過しRFノイズ成分を除去する第1フィルタと、
第2の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分を通過しMSK変調成分及びRFノイズ成分を除去する第2フィルタと、
前記第1フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する差分器と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
記録トラックがウォブル信号に応じて形成され、該ウォブル信号がHMW変調された光ディスクに対して記録あるいは再生を行う光ディスク装置であって、
前記光ディスクから前記ウォブル信号を読み出すピックアップと、
第1の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分を通過しHMW変調成分及びRFノイズ成分を除去する第1フィルタと、
第2の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分及びHMW変調成分を通過しRFノイズ成分を除去する第2フィルタと、
前記第1フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する差分器と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
記録トラックがウォブル信号に応じて形成され、該ウォブル信号がMSK変調及びHMW変調された光ディスクに対して記録あるいは再生を行う光ディスク装置であって、
前記光ディスクから前記ウォブル信号を読み出すピックアップと、
第1の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分を通過しMSK変調成分、HMW変調成分及びRFノイズ成分を除去する第1フィルタと、
第2の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分及びMSK変調成分を通過しHMW変調成分及びRFノイズ成分を除去する第2フィルタと、
第3の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分、MSK変調成分及びHMW変調成分を通過しRFノイズ成分を除去する第3フィルタと、
前記第1フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する第1差分器と、
前記第3フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する第2差分器と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記MSK変調成分は前記基準周波数の1.5倍の周波数を有し、
前記HMW変調成分は前記基準周波数の2倍の周波数を有し、
前記第1フィルタのカットオフ周波数は前記基準周波数と前記MSK変調成分の周波数との間に設定され、
前記第2フィルタのカットオフ周波数は前記MSK変調成分の周波数と前記HMW変調成分の周波数との間に設定され、
前記第3フィルタのカットオフ周波数は前記HMW変調成分の周波数より大きく設定される
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項1】
記録トラックがウォブル信号に応じて形成され、該ウォブル信号がMSK変調された光ディスクに対して記録あるいは再生を行う光ディスク装置であって、
前記光ディスクから前記ウォブル信号を読み出すピックアップと、
第1の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分及びMSK変調成分を通過しRFノイズ成分を除去する第1フィルタと、
第2の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分を通過しMSK変調成分及びRFノイズ成分を除去する第2フィルタと、
前記第1フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する差分器と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
記録トラックがウォブル信号に応じて形成され、該ウォブル信号がHMW変調された光ディスクに対して記録あるいは再生を行う光ディスク装置であって、
前記光ディスクから前記ウォブル信号を読み出すピックアップと、
第1の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分を通過しHMW変調成分及びRFノイズ成分を除去する第1フィルタと、
第2の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分及びHMW変調成分を通過しRFノイズ成分を除去する第2フィルタと、
前記第1フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する差分器と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
記録トラックがウォブル信号に応じて形成され、該ウォブル信号がMSK変調及びHMW変調された光ディスクに対して記録あるいは再生を行う光ディスク装置であって、
前記光ディスクから前記ウォブル信号を読み出すピックアップと、
第1の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分を通過しMSK変調成分、HMW変調成分及びRFノイズ成分を除去する第1フィルタと、
第2の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分及びMSK変調成分を通過しHMW変調成分及びRFノイズ成分を除去する第2フィルタと、
第3の通過帯域を有し、前記ウォブル信号の基準周波数成分、MSK変調成分及びHMW変調成分を通過しRFノイズ成分を除去する第3フィルタと、
前記第1フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する第1差分器と、
前記第3フィルタの出力と前記第2フィルタの出力の差分を出力する第2差分器と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記MSK変調成分は前記基準周波数の1.5倍の周波数を有し、
前記HMW変調成分は前記基準周波数の2倍の周波数を有し、
前記第1フィルタのカットオフ周波数は前記基準周波数と前記MSK変調成分の周波数との間に設定され、
前記第2フィルタのカットオフ周波数は前記MSK変調成分の周波数と前記HMW変調成分の周波数との間に設定され、
前記第3フィルタのカットオフ周波数は前記HMW変調成分の周波数より大きく設定される
ことを特徴とする光ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−97743(P2008−97743A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279797(P2006−279797)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]