光ディスク装置
【課題】光ディスク装置のサーボ制御において、光ディスク装置の信頼性を向上させることである。
【解決手段】前記対物レンズをアクチュエータにより駆動し、前記光ディスクからの反射光量に応じた電気信号を出力し、前記出力された電気信号からフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成し、前記フォーカスエラー信号に基づいて、フォーカス制御信号を出力して、前記アクチュエータを前記回転軸方向に駆動し、前記トラッキングエラー信号に基づいて、トラッキング制御信号を出力して、前記アクチュエータを前記光ディスク半径方向に駆動し、前記対物レンズのレンズシフトを検出し、前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが所定量よりも大きいと判断した場合に、前記レーザ光の発光パワーを下げる。
【解決手段】前記対物レンズをアクチュエータにより駆動し、前記光ディスクからの反射光量に応じた電気信号を出力し、前記出力された電気信号からフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成し、前記フォーカスエラー信号に基づいて、フォーカス制御信号を出力して、前記アクチュエータを前記回転軸方向に駆動し、前記トラッキングエラー信号に基づいて、トラッキング制御信号を出力して、前記アクチュエータを前記光ディスク半径方向に駆動し、前記対物レンズのレンズシフトを検出し、前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが所定量よりも大きいと判断した場合に、前記レーザ光の発光パワーを下げる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ディスクに対して情報を記録再生する光ディスク装置が実用化されている。このような光ディスク装置では、光ビームが情報トラックを追従できなくなる、いわゆるトラック外れが問題になる。そして光ディスク装置においては、光ビームが情報トラックを追従できなくなったことを検出する、トラック外れ検出機能が知られている。
【0003】
特許文献1によれば、その段落0002に、「従来の読みだし専用の光ディスク装置では、ディスクから読み出されるアドレス情報の連続性を監視して、トラック外れを検出していた。しかし、この方法を記録型光ディスク装置に用いた場合、記録中にトラック外れが発生しても、それを検出するまでに十数ミリ秒から数十ミリ秒の時間がかかり、相当の時間、隣接トラックに二重書きが行われてしまうという問題があった。」との記載がある。
【0004】
特許文献2によれば、その段落0018に、「トラック外れ検出手段は、入力信号を正の閾値、負の閾値と比較し、入力信号が正の閾値より大きいときおよび負の閾値より小さいときに所定レベルの信号を出力する比較手段と、所定の時間毎に比較手段から所定レベルの信号が出力される期間を測定するカウンタとを有し、カウンタ値が所定の閾値より大きくなったときに光ビームが情報トラックを追従していない状態であると判断し、トラック外れ信号を出力することを特徴とする。」との記載がある。
【0005】
また特許文献3によれば、その段落0022に「たとえば、何らかの原因で、図9の(a)に示すようにトラッキング誤差信号の振幅が正負の比較値の幅より狭くなった場合、トラッキング外れの検出はまったくできなくなってしまう。」との記載がある。また、その段落0025に、「このように、第4の実施例によれば、トラックジャンプを行うことによりトラッキング外れ状態をつくり、トラッキング外れ信号をモニタしながらトラッキング誤差信号の振幅を変化させることにより、トラッキング誤差信号と正負の比較値を正しい関係にすることができ、精度良く、トラッキング外れを検出することが可能となる。」との記載がある。
【0006】
特許文献4によれば、その段落0016に、「トラッキング制御の際に対物レンズ4aのレンズシフト量が大きくなると、図20に示すように、得られるトラッキングエラー信号の振幅量が小さくなる。」との記載がある。
【0007】
更に特許文献5によれば、その段落0034に、「DPP方式によるトラッキング制御時、対物レンズシフトに対する第1と第2の実施例で発生するデトラック量の見積りを図10に示す。第1の実施例では対物レンズシフトに伴って大きなデトラックが発生する。」との記載がある。
【0008】
また特許文献6の段落0028、0029には、「また、トラッキング・オフセットは、対物レンズ15によるレンズシフトによって変動する。これも非点収差の方向θによって変わる特性がある。また、光ピックアップ10内の光学系に球面収差がある場合は、この球面収差の大きさと、対物レンズ15によるレンズシフトの大きさに比例して変わるトラッキング・オフセットがある。」との記載がある。
【0009】
特許文献7の段落0005には、「(4)対物レンズを駆動しキャリッジ上に搭載されたアクチュエータと、対物レンズのシフト量をレンズシフト信号として検出するレンズシフト検出手段と、記録媒体を挟んで対物レンズと対向するようキャリッジに連結された磁気記録ヘッドと、レンズシフト信号を監視して対物レンズが所定のシフト量を超えた事を検出するウィンドーコンパレータ等から成る監視回路と、を備えた事、(5)上記(4)に関して、対物レンズのシフト量が約0.3mmに達した時点のレンズシフト信号レベルをもって、光源もしくは磁気記録ヘッドの駆動を停止するよう構成された事」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−344773号公報
【特許文献2】特開2003−173551号公報
【特許文献3】特開平8−30990号公報
【特許文献4】特開2008−33978号公報
【特許文献5】特開2008−198256号公報
【特許文献6】特開2001−338425号公報
【特許文献7】特開平6−44587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
光ディスク装置の光ピックアップは一般に、トラッキングエラー信号を生成し、光ディスク装置はこのトラッキングエラー信号を用いてトラッキングサーボを行う。
【0012】
光ディスク装置の光ピックアップは一般に、レンズシフトによりトラッキングエラー信号の振幅、バランスが変化することが知られている。本明細書では、これを視野特性と称する。
【0013】
ここで、本明細書におけるトラッキングエラー信号の振幅、バランスの定義について図11を用いて説明する。図11(a)はレンズシフトがゼロの場合のトラッキングエラー信号の1周期を示したもの、図11(b)はレンズシフトした場合のトラッキングエラー信号の1周期を示したものである。レンズシフトがゼロの場合のトラッキングエラー信号の両振幅をH0、レンズシフトした場合のトラッキングエラー信号の両振幅をH1とした場合、トラッキングエラー信号振幅を以下の式で定義する。
振幅=(H1/H0)×100[%]
これから明らかなように、レンズシフトがゼロの場合には、トラッキングエラー信号振幅は100%となる。
【0014】
続いて、本明細書におけるトラッキングエラー信号のバランスの定義について説明する。図11(c)は、トラッキングエラー信号の振幅中心レベルVcが、基準電位Vrefと一致していない場合のトラッキングエラー信号の1周期を示している。この時、トラッキングエラー信号が基準電位Vref以上となる部分の振幅Aと、トラッキングエラー信号が基準電位Vref以下となる部分の振幅Bを用いて、バランスを以下の式で定義する。
バランス=[(A−B)/2(A+B)]×100[%]
また本明細書では、前記振幅Aを上側振幅、前記振幅Bを下側振幅と呼ぶことにする。
【0015】
これから明らかなように、トラッキングエラー信号の振幅中心レベルVcが、基準電位Vrefと一致している場合には、トラッキングエラー信号のバランスは0%となる。このように、「振幅100%、バランス0%」が理想状態となる。また「振幅100%、バランス0%」の状態からの変化が大きいことを、バランスの劣化が大きい、と呼ぶことにする。
【0016】
図10を用いて、視野特性を説明する。図10(a)はレンズシフトによるトラッキングエラー信号振幅の変化、図10(a)はレンズシフトによるトラッキングエラー信号のバランスの変化を示している。
【0017】
図10からわかるように、レンズシフトをした場合のトラッキングエラー信号は、振幅が減少すると同時に、バランスが劣化する。
【0018】
なお特許文献5におけるデトラック量は、トラッキングエラー信号の振幅特性とバランス特性を掛け合わせた特性になる。トラッキングエラー信号の振幅特性はレンズシフトによって緩やかに減少する形状であるので、デトラック量とトラッキングエラー信号のバランスは似た形状となる。
【0019】
本発明者は、従来技術による光ディスク装置においては、レンズシフトが発生した場合に課題があることを見出した。レンズシフトが発生した場合の課題としては、例えば、上述した視野特性に関する課題がある。即ち、図10のような視野特性を有する光ピックアップを用いた光ディスク装置では、トラック外れ検出機能が正常にトラック外れを検出できなくなることを、本発明者は見出した。以下、この課題について説明する。
【0020】
まず、一般的なトラック外れ検出方法として、特許文献2で開示されている手法を考える。これは、トラッキングエラー信号の振幅の絶対値が所定の電圧以上となる期間が、所定の時間以上経過した場合に、トラック外れと検出する手法である。
【0021】
図12は特許文献2に記載されているトラック外れ検出方法の動作説明図である。(A)はトラッキングエラー信号、(B)は振幅が大きくなったことを示す信号、(C)は振幅が大きい時間長を測定するカウンタ出力、(D)はトラック外れ検出信号である。
【0022】
特許文献2に記載されているトラック外れ検出は、以下のように記載されている。該トラック外れ検出においては、トラッキングエラー信号に対して正の閾値TH1、負の閾値TH2を設ける。ここでは簡単に、TE2とTE1の絶対値は同一とする。トラッキングエラー信号を正の閾値TH1、負の閾値TH2と比較し、該信号が正の閾値TH1より大きい、あるいは負の閾値TH2より小さい場合にHighになるような信号を生成する(波形(B))。次に、波形(B)がHighの期間のみ、所定周期でインクリメントするカウンタを設け、振幅が大きい期間の長さを測定する(C)。カウンタは、所定時間T毎にリセットすることにより、所定時間Tにおける振幅が大きい期間の長さを算出する。このカウンタ出力を閾値TH3と比較し、前回の測定期間Tにおいて振幅が大きい期間の長さ(カウンタ出力値)が閾値TH3より大きくなった場合にトラック外れ信号(D)をHighとする。
【0023】
ここで図10の視野特性において、レンズシフトが−300μmの状態を例に、課題を説明する。レンズシフトが−300μmの状態では、図10に示すように、トラッキングエラー振幅が70%にまで低下する。更に、トラッキングエラー信号のバランスは、−20%となる。この結果、トラッキングエラー信号の振幅は、図13(a)に示すような状態になっている。
【0024】
図13(a)はレンズシフトが−300μmの状態でのトラッキングエラー信号の1周期、図13(b)はレンズシフトがゼロの状態でのトラッキングエラー信号の1周期である。レンズシフトがゼロの場合の片振幅をH0と表記している。
【0025】
即ち、レンズシフトがゼロの場合の片振幅を100%としたとき、レンズシフトが−300μmの状態での上側振幅は42%、下側振幅は98%となる。図14は、このような状態においてトラックが外れた場合を説明する波形図である。時刻toutはトラック外れが起こった時刻である。
【0026】
図14(a)は比較のため、レンズシフトがゼロの状態でトラック外れが起こった場合を示している。図14(b)はトラッキングサーボがかかった状態から、レンズシフトが300μmの状態でトラッキングエラー信号が正に変化する方向に変位した後にトラック外れが起こった場合を示し、逆に図14(c)は、レンズシフトが300μmの状態でトラッキングエラー信号が負に変化する方向に変位した後にトラック外れが起こった場合を示している。
【0027】
トラッキングエラー信号に対して前記トラック外れ検出方法を用いた場合、図14(b)の場合はトラック外れ後にトラック間隔の1/2だけずれる間(T1_bで示した期間)でトラッキングエラー信号の下側振幅が98%の振幅を持っているため、期間T1_b中にトラック外れを正常に検出できる。
【0028】
一方で図14(c)の場合は、トラック外れ後にトラック間隔の1/2だけずれる間(T1_cで示した期間)でトラッキングエラー信号の下側振幅が42%の振幅しか持っていない。これを検出するにはトラック外れ検出で設ける閾値を下げる必要があるが、下げすぎてしまうとトラックが外れていない場合でもトラック外れと検出してしまう、誤検出を招く。そのため、下側振幅が42%にまで低下してしまうような場合にも検出できるような閾値を決めることはできない。従って、期間T1_c中にトラック外れを検出することはできない。トラック外れ後にトラック間隔の1/2だけ移動した後、トラック間隔の1倍までずれる間(T2_cで示した期間)で、初めてトラック外れが検出される。
【0029】
ここで、図14(c)の点Aはトラック外れが起こる直前に追従していたトラックであり、点Bはトラックが外れた方向の隣接するトラックである。記録型光ディスク装置のトラック外れ検出を考えた場合、T2_cで示した期間で始めてトラック外れを検出しても、記録発光状態のまま隣接トラックを横切ってしまう。隣接トラックが記録済みの場合には、そのデータを二重書きして破壊してしまう可能性があるため、問題がある。
【0030】
更には、トラッキングエラー信号のバランスが悪い場合、バランスの崩れている側にトラック外れしやすい傾向がある。これは負帰還領域の端までの距離が短く、より小さい外乱でも制御不能な状態に至りやすいためである。即ち、図14の(b)と(c)では、(c)の状態のトラック外れの方が起こりやすい。そのため、視野特性の劣化の大きい光ピックアップでは、このトラック外れ検出が大きな問題となる。
【0031】
このように、劣化の大きい視野特性を有する光ピックアップを用いた光ディスク装置では、トラック外れ検出機能が正常にトラック外れを検出できなくなる。
【0032】
この課題を解決すれば、劣化の大きい視野特性を有する光ピックアップであっても、外部振動等によってトラック外れが発生した場合でも隣接するトラックのデータを破壊することのない、信頼性を向上した光ディスク装置を提供することができる。
【0033】
特許文献6で言及されているように、視野特性は非点収差や球面収差によるものであるので、従来は光ピックアップに収差を補正する素子を設ける等をして、視野特性の劣化を抑えていた。
【0034】
しかし最近では光ピックアップのコスト低減の要求が大きく、安価な光ピックアップの使いこなし技術が求められていた。このため、視野特性の劣化のある光ピックアップに対してもトラック外れ検出を行うことができれば、安価な光ピックアップを実現でき、ひいては安価な光ディスク装置を実現できる。
【0035】
一般に光ディスクドライブにおいては、光ディスクは偏芯を持って回転しており、偏芯を持った光ディスクに対して情報の記録や再生といった動作を行う。
【0036】
例えば偏芯300μmを持つ光ディスクに対してトラッキングサーボをかけ、トラック追従中にトラック外れが起こる場合、ディスク回転角によってトラック外れ時の挙動が異なる。即ち、レンズシフトがゼロとなる回転角で起こる場合には図14(a)のような波形になり、偏芯が最大となる回転角で起こる場合には図14(b)もしくは(c)のような波形になる。トラック外れの起こる回転角によって、1回転の中で挙動が変わるという特徴がある。
【0037】
そのため、特許文献3で開示されている技術を応用して、トラッキングエラー振幅を補正して正しく検出しようとすると、回転角を指定して複数回、トラックジャンプを行う必要が生じ、調整のための時間が延びるという課題がある。
【0038】
また、特許文献7では、レンズシフトに伴って、トラッキング信号のオフセットの変動が生じるこという課題を開示するに留まり、レンズシフトをした場合のトラッキングエラー信号は、振幅が減少すると同時に、バランスが劣化するという課題は考慮されていない。すなわち、レンズシフトに伴ってトラッキングエラー信号のバランスが劣化すると、正常なトラック外れ検出が難しくなるという課題は考慮されていない。さらには、特許文献7では、上述の様に「対物レンズのシフト量が約0.3mmに達した時点のレンズシフト信号レベルをもって、光源もしくは磁気記録ヘッドの駆動を停止する」構成であるため、記録動作を再開する際に再度、光源等の駆動開始処理を行う必要があり、記録再開までに時間がかかるという課題がある。 本発明の目的は、光ディスク装置の信頼性を向上させることである。また、安価なディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
上記課題を改善するために、本発明では一例として特許請求の範囲に記載の構成を用いる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、信頼性を向上した光ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施例1の光ディスク装置を示す構成図である。
【図2】実施例1のサーボ制御信号生成回路1035の構成図である。
【図3】実施例1のトラック外れ検出回路201の動作を説明する図である。
【図4】実施例1におけるデータ記録処理のフローチャートである。
【図5】実施例1の効果を説明する波形図である。
【図6】レンズシフト時のTE信号のエンベロープを示す特性図である。
【図7】実施例2の光ディスク装置を示す構成図である。
【図8】実施例2におけるデータ記録処理のフローチャートである。
【図9】実施例2の効果を説明する波形図である。
【図10】視野特性を説明する図である。
【図11】トラッキングエラー信号の振幅、バランスの定義を説明する波形図である。
【図12】トラック外れ検出方法の動作説明図である。
【図13】レンズシフト時のトラッキングエラー信号を示す波形図である。
【図14】レンズシフト時にトラックが外れた場合を説明する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
【実施例1】
【0043】
本発明における実施例1について、以下に説明する。
【0044】
図1は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【0045】
信号処理回路103は光ディスク装置の各種の信号処理を行う回路であり、電位Vrefを基準として動作する。
【0046】
光ディスク101は、信号処理回路103に搭載されたシステム制御回路1031からの指令信号を受けたスピンドル制御回路1038から出力される制御信号に基づいてスピンドルモータ駆動回路109によりスピンドルモータ104が駆動され、所定の回転数で回転される。
【0047】
レーザ光源1022は、ピックアップ102に搭載されたレーザパワー制御回路1021により、所定のパワーでレーザ光を発光させる。情報を再生する際のレーザ光源1022の発光パワーを再生パワー、情報を記録する際のレーザ光源1022の発光パワーを記録パワーと呼ぶ。記録パワーは再生パワーよりも大きなパワーとなる。
【0048】
レーザ光源1022から発光されたレーザ光は、コリメートレンズ1023、ビームスプリッタ1024、立上ミラー1025、対物レンズ1027を通して光ディスク101の情報記録面に光スポットとして集光される。光ディスク101の情報記録面で反射した光はビームスプリッタ1024で分岐され、集光レンズ1028で光検出器1029に集光される。光検出器1029は、集光された光を電気信号に変換し、サーボエラー信号生成回路105、RF信号生成回路106に出力する。
【0049】
サーボエラー信号生成回路105は、フォーカス制御に使用するためのフォーカスエラー信号(以下、FE信号)、トラッキング制御に使用するためのトラッキングエラー信号(以下、TE信号)、及び、中立位置からの対物レンズ1027の変位(レンズシフト)を示すレンズエラー信号(以下、LE信号)を生成して出力する。なお、本実施例のLE信号の極性は、対物レンズ1027が外周側にレンズシフトした場合に正の電圧を示し、対物レンズ1027が内周側にレンズシフトした場合に負の電圧を示すものとする。また、各エラー信号は、電位Vrefを基準として出力されるものとする。
【0050】
またRF信号生成回路106は、光検出器1029で検出した電気信号に対してイコライズ処理を行い、RF信号として出力する。
【0051】
フォーカス制御回路1032は、システム制御回路1031の指令信号により、フォーカスエラー信号FEに基づいてフォーカス駆動信号FODを出力する。
【0052】
アクチュエータ駆動回路107は、フォーカス駆動信号FODに従って対物レンズ1027と一体で動作するように構成されたアクチュエータ1026をディスク面に垂直な方向に駆動する。上記したようにフォーカス制御回路1032及びアクチュエータ駆動回路107が動作することで、光ディスク101に照射された光スポットが常に光ディスク101の情報記録面で合焦するようにフォーカス制御が行われる。
【0053】
フォーカス制御が動作して、光スポットがディスク101の情報記録面で合焦すると、サーボエラー信号生成回路105は、光スポットと情報記録面上のトラックとの位置のずれを示すトラッキングエラー信号TEを出力する。更にサーボエラー信号生成回路105は、対物レンズ1027のレンズシフト量を示すレンズエラー信号LEを出力する。
【0054】
トラッキング制御回路1033は、システム制御回路1031からの指令信号によりトラッキングエラー信号TEに基づいて、光ディスク101に照射された光スポットが情報記録面上のトラックを追従するように、対物レンズ1027をディスク半径方向に駆動するための信号を出力する。トラッキング制御回路1033から出力された信号は、スイッチ1034を介してアクチュエータ駆動回路107に入力される。
【0055】
スイッチ1034は、システム制御回路1031の出力するTRON信号に基づき、トラッキング制御回路1033の出力信号もしくは基準電位Vrefを選択して、トラッキング駆動信号TRDとして出力する。TRON信号としてHighレベルが入力されると、スイッチ1034は端子aを選択してトラッキング制御回路1033の出力信号がアクチュエータに出力される。一方でTRON信号としてLowレベルが入力されると、スイッチ1034は端子bを選択し、基準電位Vrefを出力する。
【0056】
この結果、TRON信号はトラッキングサーボのオン・オフを指示する信号となる。またスイッチ1034は、トラッキングサーボのオン、オフを切り替えるスイッチとして機能する。TRON信号がLowからHighに切り替わると、スイッチ1034によってトラッキング制御回路1033の出力信号がアクチュエータに供給される。これによってトラッキングサーボがオンされることになり、この動作はトラック引き込み動作と呼ばれる。
【0057】
アクチュエータ駆動回路107ではトラッキング駆動信号TRDに従ってアクチュエータ1026をディスク面に平行な方向に駆動することで対物レンズ1027がディスク半径方向に駆動される。トラッキング制御回路1033の出力信号に基づきアクチュエータが駆動されることで、光スポットが情報記録面上のトラックを追従する。このように、本実施例におけるアクチュエータ駆動回路107は、フォーカス方向に駆動する回路とトラッキング方向に駆動する回路を包含したものである。
【0058】
サーボ制御信号生成回路1035は、サーボエラー信号生成回路105の出力するTE信号とLE信号を入力として、各種制御信号を生成する。本実施例のサーボ制御信号生成回路1035は、トラック外れ検出信号TROUTと、LSNG信号を生成して出力する。TROUT信号、LSNG信号はシステム制御回路1031へ入力される。
【0059】
再生信号処理回路1036は、RF信号生成回路106の出力されるRF信号に対して復号処理を行い、光ディスク101から読み出した情報(現在のアドレス情報を含む)を生成してシステム制御回路1031及び記録信号処理回路1041に出力する。
【0060】
また、スライダ制御回路1037は、システム制御回路1031からの指令信号を受けると、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値に基づいてスライダモータ110を駆動するスライダ駆動信号を出力する。このスライダ駆動信号に従ってスライダモータ駆動回路108がスライダモータ110を駆動することにより、トラックを追従し続けた場合であっても対物レンズ1027が常にレンズシフトがゼロとなる中立位置近傍で動作するように、光ピックアップ102がディスク半径方向に移送される。
【0061】
更に、光ディスク101上の半径の異なる位置へ光ピックアップ102を駆動するシーク動作においては、システム制御回路1031からのシーク動作の指令信号を受けてスライダ制御回路1037がスライダ駆動信号を出力し、このスライダ駆動信号に従ってスライダモータ駆動回路108がスライダモータ110を駆動することでシーク動作を行う。なおシーク動作においては、再生信号処理回路1036で得られるアドレス情報を用いて、制御が行われる。
【0062】
また入出力回路1039は、端子111を介して、光ディスク装置と図示しないパーソナルコンピュータなどのホスト装置とのデータ転送を制御する。入出力回路1039は、ホスト装置からのコマンド内容をシステム制御回路1031に伝達すると共に、ホスト装置から伝送されるデータをバッファメモリ1040に転送する。
【0063】
バッファメモリ1040は、例えばデータ記録時にホスト装置から入出力回路1039と端子111を介して供給される記録データを、一時格納する。
【0064】
データ記録時の記録信号処理回路1041は、システム制御回路1031からの指示信号に基づき、バッファメモリ1040から所定量のデータを読み出して、エラー訂正符号付加、エンコード処理、変調処理などを行って記録信号を生成し、レーザ発光パルス列に変換して出力する。
【0065】
記録信号処理回路1041から出力された信号はレーザパワー制御回路1021に入力され、レーザ光源1022が記録パワーでの発光を行う。その際、記録信号処理回路1041は再生信号処理回路1036から入力されるアドレス情報を元に、記録すべきアドレス位置に同期して記録発光してデータが記録されるように、制御を行う。
【0066】
更に記録信号処理回路1041は、TROUT信号によって割り込みが入る構成である。TROUT信号による割り込みが入ると、瞬時にレーザパワー制御回路1021に信号を送って記録パワーでの発光を停止し、再生パワーでの発光に変更する。
【0067】
またデータ再生時の記録信号処理回路1041は、システム制御回路1031からの指示信号に基づき、再生パワーでの発光を行うよう、レーザパワー制御回路1021に対して指令信号を出力する。
【0068】
システム制御回路1031から記録信号処理回路1041への指示信号としては、再生発光開始や再生発光停止、記録発光開始や記録発光停止、記録発光パワー調整指示、などがある。
【0069】
また一般に光ディスクには、情報を記録する際に、記録する最小の単位が規格で規定されている。本明細書ではこれを最小記録単位と呼ぶ。Blu−ray Discの場合、最小記録単位は1クラスタである。以下では説明のため、光ディスク101はBlu−ray Discであるとし、最小記録単位は1クラスタとして説明する。
【0070】
従って以上で説明したデータ記録時は、最小記録単位ごとのデータ、もしくは最小記録単位を複数まとめたデータに対して、記録を行う。
【0071】
次に、かかる光ディスク装置におけるサーボ制御信号生成回路1035の構成について、図2を用いて説明する。
【0072】
サーボ制御信号生成回路1035は、TE信号、LE信号を入力とし、TROUT信号、LSOK信号を生成して出力する。サーボ制御信号生成回路1035は、トラック外れ検出回路201、レンズシフト量判定回路202から構成される。
【0073】
トラック外れ検出回路201は、減算器2011、絶対値化回路2012、コンパレータ2013、立上りエッジ検出回路2014、立下りエッジ検出回路2015、タイマ2016、コンパレータ2017から構成される。トラック外れ検出回路201は、TE信号を入力とし、トラック外れ検出信号TROUTを出力する。
【0074】
減算器2011は、トラック外れ検出回路201の入力信号であるTE信号と、リファレンスレベルVrefの差分を出力する。
【0075】
絶対値化回路2012は、減算器2011の出力信号に対して絶対値を取った信号を出力する。
【0076】
コンパレータ2013は、絶対値化回路2012の出力信号と所定の閾値Vth_TEとの大小を比較し、出力する。
【0077】
立上りエッジ検出回路2014は、コンパレータ2013の出力信号の立上りエッジを検出する。
【0078】
立下りエッジ検出回路2015は、コンパレータ2013の出力信号の立下りエッジを検出する。
【0079】
立上りエッジ検出回路2014及び立下りエッジ検出回路2015は、エッジを検出すると、所定の時間Highレベルを出力し、その後はLowレベルに戻る動作を行うものとする。
【0080】
タイマ2016は2入力1出力のタイマであり、入力信号はタイマ計測を開始するための信号と、タイマをリセットするための信号である。タイマ2016は、立上りエッジ検出回路2014の出力信号がHighレベルとなるとタイマ計測を開始し、立下りエッジ検出回路2015の出力信号がHighレベルとなるとタイマをリセットする。また、出力信号はタイマの値に比例した電圧レベルを出力する。
【0081】
コンパレータ2017は、タイマ2016の出力信号と所定の閾値Vtimeとの大小を比較し、TROUT信号として出力する。
【0082】
レンズシフト量判定回路202は減算器2021、絶対値化回路2022、コンパレータ2023から構成される。レンズシフト量判定回路202は、LE信号を入力とし、LSNG信号を出力する。
【0083】
減算器2021は、レンズシフト量判定回路202の入力信号であるLE信号と、リファレンスレベルVrefの差分を出力する。
【0084】
絶対値化回路2022は、減算器2021の出力信号に対して絶対値を取った信号を出力する。
【0085】
コンパレータ2023は、絶対値化回路2022の出力信号と所定の閾値Vth_LEとの大小を比較し、LSNG信号として出力する。
【0086】
次に、トラック外れ検出回路201の動作について、図3を用いて説明する。
【0087】
図3において(a)はトラック外れ検出回路201の入力信号であるTE信号、(b)は絶対値化回路2012の出力信号、(c)はタイマ2016の出力信号、(d)はTROUT信号である。図3(1)は説明のため、トラックが外れた場合の各部の信号波形を示しており、(a)のTE信号は、正弦波状の波形となる。
【0088】
時刻t=t1で絶対値化回路2012の出力信号が所定の閾値Vth_TEを越えると、立上りエッジ検出回路2014により検出され、タイマ2016の計測が開始される。
【0089】
時刻t=t2でタイマ2016の出力値が所定の閾値Vtimeを越えると、コンパレータ2017の出力信号であるTROUT信号がHighレベルとなる。ここで、時刻t1からt2までの時間をΔToutとする。
【0090】
時刻t=t3で絶対値化回路2012の出力信号が所定の閾値Vthを下回ると、立下りエッジ検出回路2015により検出され、タイマ2016の計測がリセットされる。この結果、コンパレータ2017の出力信号であるTROUT信号はLowレベルとなる。
【0091】
本実施例におけるトラック外れ検出は、TE信号の変動の絶対値が所定の閾値Vth_TEを越えている時間が、ΔToutより長いことをもってトラック外れが発生したと検出する。またトラック外れ検出回路201の出力するTROUT信号は、トラックが外れたと検出した場合にHighとなる信号である。
【0092】
一方、図3(2)は、トラッキングサーボの追従誤差が大きくなったがトラック外れには至らなかった場合の各部の信号波形を示しており、(a)のTE信号は、一時的にVrefからの振幅が大きくなっている。
【0093】
この図の場合には、TE信号の変動の絶対値が所定の閾値Vth_TEを上回ってから(時刻t4)、下回るまで(時刻t5)の時間が前記ΔToutより短いため、タイマ2016の出力信号(c)が所定の閾値Vtimeを越えることがなく、コンパレータ2017の出力信号であるTROUT信号(d)はHighレベルとならない。このため、トラック外れとは検出されない。
【0094】
またレンズシフト量判定回路202の出力するLSNG信号は、LE信号の変動の絶対値が所定の閾値Vth_LEを上回った場合にHighとなる信号である。これは、レンズシフト量判定回路202の構成がトラック外れ検出回路201の構成と類似していることから明らかである。
【0095】
本実施例におけるレンズシフト量判定は、LE信号の変動の絶対値が所定の閾値Vth_LEを越えたことをもって、レンズシフト量が大きいと判断する。またレンズシフト量判定回路202の出力するLSNG信号は、レンズシフト量が大きいと判断した場合にHighとなる信号である。
【0096】
次に、本実施例におけるデータ記録処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0097】
ホスト装置からのコマンドを受けて光ディスク装置がデータ記録処理を開始すると(ステップS401)、システム制御回路1031は記録信号処理回路1041に指示を出し、記録パワー調整を行う(ステップS402)。この記録パワー調整はOPCと呼ばれている。
【0098】
記録パワー調整が完了すると、システム制御回路1031は記録開始アドレスの直前へのシークを行い、続いてトラック追従動作を行う(ステップS403)。トラック追従動作とは、例えばシーク完了後などに、トラックを追従し続ける動作のことである。光ディスク記録面上のトラックは内周から外周に向かって螺旋状の構造をしているので、トラック追従動作を続けていると追従しているアドレスは変化していく。また、システム制御回路1031は記録信号処理回路1041に記録開始の指示を出す(フローチャートでは省略)。
【0099】
続いて記録信号処理回路1041は、再生信号処理回路1036から得られるアドレス情報から、記録開始アドレスに到達したかどうかを判定する(ステップS404)。記録開始アドレスに到達していない場合(ステップS404でNoの場合)は、ステップS404に戻る。即ち、記録開始アドレスに到達するまで待つ動作となる。
【0100】
記録開始アドレスに到達した場合(ステップS404でYesの場合)、記録信号処理回路1041は記録発光を開始し、データの記録を開始する(ステップS405)。
【0101】
記録動作を開始した後は、システム制御回路1031はTROUT信号のレベルがLowであるかを判定する(ステップS406)。
【0102】
TROUT信号のレベルがHighの場合(ステップS406でNoの場合)、システム制御回路1031はデータ記録処理を終了する(ステップS407)。
【0103】
ここでTROUT信号のレベルがHighであったということは、トラック外れ検出回路201がトラック外れを検出したことを意味する。この場合、記録信号処理回路1041に割り込みが入り、記録発光は停止されている。そのため、ホスト装置に記録失敗を報告してデータ記録処理を終了する動作となる。
【0104】
TROUT信号のレベルがLowの場合(ステップS406でYesの場合)、システム制御回路1031はLSNG信号のレベルがLowであるかを判定する(ステップS408)。
【0105】
LSNG信号がLowの場合(ステップS408でYesの場合)は、システム制御回路1031は記録終了アドレスに到達したかを判定する(ステップS409)。
【0106】
記録終了アドレスに到達した場合(ステップS409でYesの場合)、システム制御回路1031は記録信号処理回路1041に指示を出し、記録発光を停止する(ステップS414)。即ち、記録パワーでの発光を停止して再生パワーでの発光に変更する。
【0107】
一方、記録終了アドレスに到達していない場合(ステップS409でNoの場合)、ステップS406に戻り、データ記録動作を続行する。このためTROUT信号及びLSNG信号が共に常にLowレベルであった場合は、記録開始アドレスから記録終了アドレスまでデータ記録を続けることになり、一般的な光ディスク装置のデータ記録動作となる。なおフローチャートでは、記録信号処理回路1041がバッファメモリ1040から所定量のデータを読み出して、エラー訂正符号付加、エンコード処理、変調処理などを行って記録信号を生成し、レーザ発光パルス列に変換して出力する動作は省略している。
【0108】
ステップS408でLSNG信号がHighの場合(ステップS408でNoの場合)、システム制御回路1031はLSNG信号がHighであることを検出した時に記録しているクラスタ位置を記憶する(ステップS411)。
【0109】
続いてシステム制御回路1031は、再生信号処理回路1036から得られるアドレス情報から、ステップS411にて記憶したクラスタの終端まで記録が完了したかを判定する(ステップS412)。記憶したクラスタの終端まで記録が完了していない場合(ステップS412でNoの場合)は、ステップS412に戻り、記憶したクラスタの終端まで記録が完了するまで待つ。
【0110】
記憶したクラスタの終端まで記録が完了した場合(ステップS412でYesの場合)、システム制御回路1031は記録信号処理回路1041に指示を出し、記録発光を停止する(ステップS413)。即ち、記録パワーでの発光を停止して再生パワーでの発光に変更する。
【0111】
記録発光を停止した後、システム制御回路1031はLSNG信号のレベルがLowであるかを判定する(ステップS414)。LSNG信号のレベルがHighの場合(ステップS414でNoの場合)、ステップS414に戻り、LSNG信号のレベルがLowになるまで待つ。
【0112】
LSNG信号のレベルがLowの場合(ステップS414でYesの場合)、システム制御回路1031は、ステップS413で記録発光を停止した位置の手前へのシークを行い、続いてトラック追従動作を行う(ステップS415)。ここで記録発光を停止した位置とは、ステップS411にて記憶したクラスタの終端である。また、システム制御回路1031は記録信号処理回路1041に記録発光を停止した位置からの記録開始を指示する(フローチャートでは省略)。
【0113】
続いて、記録信号処理回路1041は再生信号処理回路1036から得られるアドレス情報から、記録発光を停止した位置に到達したかどうかを判定する(ステップS416)。記録発光を停止した位置に到達していない場合(ステップS416でNoの場合)は、ステップS416に戻る。即ち、記録発光を停止した位置に到達するまで待つ動作となる。
【0114】
記録発光を停止した位置に到達した場合(ステップS416でYesの場合)、ステップS405に戻り記録発光を開始する。
【0115】
続いて、本実施例の効果について、図5を用いて説明する。本実施例が効果を持つのは想定以上のレンズシフトが発生する場合であり、例えばそれは外部振動が加わる場合に起こりうる。そのため、外部振動が加わる場合を例に、説明する。また、本実施例におけるピックアップ102は、図10に示した視野特性を有しているものとする。
【0116】
図5は記録中のレンズシフト量を説明する模式図である。図5(a)はレンズシフト量であり、軸は外周方向を正とする。また図5(b)はスライダ駆動タイミングを示し、Highレベルの期間、スライダが駆動されることを示す。また光ディスク101は所定の偏芯量を持っているものとし、その量をECCで表す。更に、光ディスク101の記録面上のアドレスは、例えばBlu−ray DiscのL0層のように、内周から外周に向かってアドレスが増加していく場合を用いて説明する。
【0117】
なお本実施例では、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値に基づきスライダ制御回路1037がスライダ駆動信号を出力するため、図5(b)の信号はスライダ制御回路1037の内部で生成される信号と考えることもできる。例えばスライダモータ110としてステッピングモータを用いた場合には、この信号がHighの期間にステップが更新される。
【0118】
図5(1)は外部振動が加わらない場合を示しており、まずはこの図を用いて説明する。
【0119】
トラック追従動作中は所定のトラックを追従し続けるため、対物レンズは振幅ECCの正弦波状の波形となる。更には光ディスク101記録面上のアドレスは内周から外周に向かって増加していくので、レンズシフト量は徐々に外周方向、即ち正の方向にシフトしていく。
【0120】
時刻t2から時刻t3までの期間はスライダ駆動信号が出力されている期間であり、スライダが駆動された結果、光検出器1029が固定されているピックアップ102に対して、トラックを追従し続ける対物レンズ1027は内周方向に移動し、レンズシフト量が負の値に変化する。時刻t3以降はスライダ駆動が停止しているので、レンズシフト量は再び正の方向にシフトしていく。
【0121】
図5(a)中、Aで示す破線は、ディスク101記録面上のトラックは内周から外周に向かって螺旋状の構造をしていることによる成分であり、偏芯量がゼロであった場合のレンズシフト量と見ることもできる。図5(a)のLS_LSIは、この直線と時刻t2の直線の交差する点でのレンズシフト量である。
【0122】
このLS_LSIは、スライダ駆動設計時に想定しているレンズシフト量である。即ちスライダ制御回路1037においては、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値に基づいて図5(a)のAで示す破線に相当する信号を生成し、対物レンズが所定のレンズシフト量LS_LSIだけレンズシフトしたことを検出して、スライダを外周方向に駆動する。この時、スライダを駆動する量は、2×LS_LSIであることが望ましい。
【0123】
このようにスライダ駆動系を設計することにより、偏芯成分を平均化したときのレンズシフトが外周方向にLS_LSIになった段階でスライダが駆動され、内周方向にLS_LSIになった状態からトラック追従動作が開始される。そのため、トラックを追従し続けた場合であっても光ピックアップ102がディスク半径方向に移送され、対物レンズ1027のレンズシフトがゼロとなる位置を中心に、LS_LSI以下のレンズシフト量で動作する。
【0124】
なお図5からわかるように、レンズシフトが最大となるのは時刻t1であり、その時のレンズシフト量はLS_LSI+ECCと略一致する。但し偏芯最大となる時刻t1とスライダ駆動開始時刻t2が完全には一致しないので、完全にLS_LSI+ECCと一致しない。
【0125】
一方、図5(b)は外部振動が加わった時に起こりうる波形を示している。外部振動が加わったことによって、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値が正か負、いずれかの方向に偏ることがある。また、この方向の偏りは、外部振動が加わる方向によって、変わりうる。
【0126】
外部振動によってトラッキング制御回路1033の出力信号の平均値が正か負、いずれかの方向に偏ると、スライダ制御回路1037が誤ったタイミングでスライダを駆動してしまう。
【0127】
図5(b)は外部振動が加わった結果、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値が内周側にレンズシフトした時と同様の出力となり、スライダ駆動タイミングが遅れた場合を示している。この場合、時刻t2よりも遅い時刻t5において、スライダの駆動が開始されている。この結果、図5(b)においてはレンズシフトが最大となるのは時刻t4であり、その時のレンズシフト量はLS_LSI+ECCよりも大きい(図5(b)のBの矢印)。
【0128】
即ち、図5(b)のような場合には、スライダ駆動系の設計時の想定よりも大きなレンズシフト量が発生する。例えば時刻t5のタイミングのレンズシフト量が300μmであると、図13で示したように、上側振幅は42%、下側振幅は98%となる(レンズシフトがゼロの場合の片振幅を100%とする)。そのため、時刻t5においてトラック外れが起こってしまうと、図14で説明したように正常にトラック外れを検出できなくなる。
【0129】
本実施例においては、レンズシフト量判定回路202を設けている。レンズシフト量判定回路202はLE信号の変動の絶対値が所定の閾値Vth_LEを越えたことをもって、LSNG信号をHighとし、その結果、記録発光が停止される。以下、所定の閾値Vth_LEについて説明する。
【0130】
図6は、前述の図10の視野特性のデータを元に、レンズシフトによってTE信号の上下のエンベロープがどのように変化するかを示したものである。前述したように、レンズシフト量が−300μmの状態では、上側振幅は42%、下側振幅は98%となる。
【0131】
図6においては、図6のAで示した領域、即ちレンズシフト量の絶対値が250μm以上の領域では、TE信号の上側振幅、もしくはTE信号の下側振幅が75%以下となり、正常なトラック外れ検出が難しくなる。
【0132】
そこで本実施例のレンズシフト量判定回路202においては、閾値Vth_LEをレンズシフト量の絶対値が250μmになった場合に相当する電位とし、レンズシフト量の絶対値が250μmを越えたことをもって、レンズシフト量が大きいと判断してLSNG信号をHighとする。
【0133】
そのため、記録中のレンズシフトが250μmを超えた場合には、トラック外れ検出回路ではなくレンズシフト量判定回路202によって記録動作が停止される。このことによって、スライダ駆動系の設計時の想定よりも大きなレンズシフトが発生し、トラック外れが起こってしまうと正常にトラック外れを検出できなくなる状況になると、記録動作が停止される。
【0134】
このように本実施例によれば、トラック外れ検出回路が正常にトラック外れを検出できなくなるほど大きなレンズシフトが発生する場合には、レンズシフト量判定回路202によって記録動作が停止されるため、記録中にトラック外れを検出できない状態を回避することができる。
【0135】
更にレンズシフトが小さくなった後に記録動作を再開するため、トラック外れを検出できなくなるほど大きなレンズシフトが発生する状態での記録動作を回避できる。
【0136】
また本実施例では、実際にトラック外れが起こる前にレンズシフト量によって記録発光を停止するという特徴がある。
【0137】
なお図4で示したフローチャートにおいては、ステップS408やステップS414において、システム制御回路1031がLSNG信号のレベルを監視する構成とした。しかし例えば、LSNG信号によって割り込みが入り、システム制御回路1031はその割り込みが入った場合に処理を分岐するような動作であってもよい。
【0138】
図5(b)では外部振動が加わった結果、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値が内周側にレンズシフトした時と同様の出力となった場合で説明したが、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値が外周側にレンズシフトした時と同様の出力となった場合も同様に問題が起こる。即ち、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値が外周側にレンズシフトした時と同様の出力となると、スライダ制御回路1037は、対物レンズが実際よりも外周側にあると判断し、早いタイミングでスライダを駆動してしまう。スライダ駆動タイミングが早いと、内周側に−1*(LS_LSI+ECC)よりも大きなレンズシフトが発生する。そのため、スライダ駆動系の設計時の想定よりも大きなレンズシフト量が発生し、同様に問題となる。このことから、レンズシフト量判定回路202はLE信号の変動の絶対値に対して所定の閾値Vth_LEとの比較を行うことが望ましい。
【0139】
また図5では外部振動が加わって想定以上のレンズシフトが発生する場合を例に説明したが、外部振動以外の要因によって想定以上のレンズシフトが発生する場合であっても、本実施例が効果を持つことは明らかである。
【0140】
以上の動作により、実施例1の光ディスク装置は、光ディスク装置の信頼性を向上させることができる。
【実施例2】
【0141】
実施例2について、以下に説明する。説明のため、光ディスク101はBlu−ray Discであるとし、最小記録単位は1クラスタとして説明する。
【0142】
図7は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。実施例1のブロック線図である図1と共通の構成要素については同一の番号を付し、説明を省略する。
【0143】
本実施例においてサーボ制御信号生成回路1035の構成は、実施例1と共通であり、トラック外れ検出信号TROUTと、LSNG信号を生成して出力する。本実施例においては、TROUT信号はシステム制御回路1043へ入力され、LSNG信号はシステム制御回路1043と記録信号処理回路1042に入力される。
【0144】
本実施例における記録信号処理回路1042は、システム制御回路1043からの指示信号に基づき、データ記録時にはバッファメモリ1040から所定量のデータを読み出して、エラー訂正符号付加、エンコード処理、変調処理などを行って記録信号を生成し、レーザ発光パルス列に変換して出力する。
【0145】
記録信号処理回路1042から出力された信号はレーザパワー制御回路1021に入力され、レーザ光源1022が記録発光を行う。その際、記録信号処理回路1042は再生信号処理回路1036から入力される情報を元に、記録すべき位置に同期して記録発光してデータが記録されるように、制御を行う。
【0146】
更に記録信号処理回路1042は、TROUT信号によって割り込みが入る構成である。TROUT信号による割り込みが入ると、瞬時にレーザパワー制御回路1021に信号を送って記録パワーでの発光を停止し、再生パワーでの発光に変更する。
【0147】
本実施例の記録信号処理回路1042は、LSNG信号によっても割り込みが入る構成である。以下、LSNG信号によって割り込みが入った場合の記録信号処理回路1042の動作について説明する。
【0148】
LSNG信号による割り込みが入ると、記録信号処理回路1042は、クラスタの境界を待たずに瞬時にエラー訂正符号付加、エンコード処理、変調処理などの処理を中断すると共に、レーザパワー制御回路1021に信号を送って記録パワーでの発光を中断し、再生パワーでの発光に変更する。この時記録信号処理回路1042は、LSNG信号による割り込みが入った時に記録を中断した位置を記憶しておく。
【0149】
そしてシステム制御回路1043からの指示信号で記録再開を指示されると、クラスタの途中から中断したエラー訂正符号付加、エンコード処理、変調処理などの処理を再開すると共に、レーザパワー制御回路1021に信号を送って再生パワーでの発光から記録パワーでの発光に変更して、記録発光を再開する。その際、記録信号処理回路1042は再生信号処理回路1036から入力される情報を元に、記録を再開すべき位置に同期して記録発光を開始して、データの記録を再開するように制御を行う。
【0150】
本実施例における記録信号処理回路1042が再生信号処理回路1036から得る情報は、クラスタよりも短い長さの情報であり、例えば、PSN(Physical Sector Number)、や、PSNの1アドレスよりも短い、フレームナンバーなどが相当する。
【0151】
またデータ再生時の記録信号処理回路1042は、システム制御回路1043からの指示信号に基づき、再生パワーでの発光を行うよう、レーザパワー制御回路1021に対して指令信号を出力する。
【0152】
本実施例におけるシステム制御回路1043から記録信号処理回路1042への指示信号としては、再生発光開始や再生発光停止、記録発光開始や記録発光停止、記録発光パワー調整指示に加えて、記録再開などがある。
【0153】
次に、本実施例における記録処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0154】
ホスト装置からのコマンドを受けて光ディスク装置がデータ記録処理を開始すると(ステップS801)、システム制御回路1043は記録信号処理回路1042に指示を出し、記録パワー調整を行う(ステップS802)。この記録パワー調整はOPCと呼ばれている。
【0155】
記録パワー調整が完了すると、システム制御回路1043は記録開始アドレスの直前へのシークを行い、続いてトラック追従動作を行う(ステップS803)。トラック追従動作とは、例えばシーク完了後などに、トラックを追従し続ける動作のことである。光ディスク記録面上のトラックは内周から外周に向かって螺旋状の構造をしているので、トラック追従動作を続けていると追従しているアドレスは変化していく。また、システム制御回路1043は記録信号処理回路1042に記録開始の指示を出す(フローチャートでは省略)。
【0156】
続いて記録信号処理回路1042は、再生信号処理回路1036から得られるアドレス情報から、記録開始アドレスに到達したかどうかを判定する(ステップS804)。記録開始アドレスに到達していない場合(ステップS804でNoの場合)は、ステップS804に戻る。即ち、記録開始アドレスに到達するまで待つ動作となる。
【0157】
記録開始アドレスに到達した場合(ステップS804でYesの場合)、記録信号処理回路1042は記録発光を開始し、データの記録を開始する(ステップS805)。
【0158】
記録動作を開始した後は、システム制御回路1043はTROUT信号のレベルがLowであるかを判定する(ステップS806)。
【0159】
TROUT信号のレベルがHighの場合(ステップS806でNoの場合)、システム制御回路1043はデータ記録処理を終了する(ステップS807)。
【0160】
ここでTROUT信号のレベルがHighであったということは、トラック外れ検出回路201がトラック外れを検出したことを意味する。この場合、記録信号処理回路1042に割り込みが入り、記録発光は停止されている。そのため、ホスト装置に記録失敗を報告してデータ記録処理を終了する動作となる。
【0161】
TROUT信号のレベルがLowの場合(ステップS809でYesの場合)、システム制御回路1043はLSNG信号のレベルがLowであるかを判定する(ステップS808)。
【0162】
LSNG信号がLowの場合(ステップS810でYesの場合)は、システム制御回路1043は記録終了アドレスに到達したかを判定する(ステップS809)。
【0163】
記録終了アドレスに到達した場合(ステップS809でYesの場合)、システム制御回路1043は記録信号処理回路1042に指示を出し、記録発光を停止する(ステップS814)。即ち、記録パワーでの発光を停止して再生パワーでの発光に変更する。
【0164】
一方、記録終了アドレスに到達していない場合(ステップS809でNoの場合)、ステップS806に戻り、データ記録動作を続行する。このためTROUT信号及びLSNG信号が共に常にLowレベルであった場合は、記録開始アドレスから記録終了アドレスまでデータ記録を続けることになり、一般的な光ディスク装置のデータ記録動作となる。
【0165】
ステップS808でLSNG信号がHighの場合(ステップS808でNoの場合)、システム制御回路1043はLSNG信号がHighであることを検出した時に記録しているアドレスを記憶する(ステップS811)。
【0166】
ここでLSNG信号のレベルがHighであったということは、レンズシフト量判定回路202によってレンズシフトが大きいと判定したことを意味する。この場合、本実施例においては記録信号処理回路1042に割り込みが入り、記録発光は中断されている。
【0167】
ステップS811の後、システム制御回路1043はLSNG信号のレベルがLowであるかを判定する(ステップS812)。LSNG信号のレベルがHighの場合(ステップS812でNoの場合)、ステップS812に戻り、LSNG信号のレベルがLowになるまで待つ。
【0168】
LSNG信号のレベルがLowの場合(ステップS812でYesの場合)、システム制御回路1043は、記録発光を停止した位置の手前へのシークを行い、続いてトラック追従動作を行う(ステップS813)。また、システム制御回路1043は記録信号処理回路1042に記録発光を停止した位置からの記録再開を指示する(フローチャートでは省略)。
【0169】
ここで記録発光を停止した位置とは、ステップS811にて記憶したアドレスよりも手前である。ステップS808においてシステム制御回路1043がLSNG信号を監視する周期は決まっているので、ステップS811にて記憶したアドレスに対してどれだけ手前にシークすれば、実際に記録発光を停止した位置よりも手前に位置付けられるかは算出可能である。
【0170】
続いて、記録信号処理回路1042は再生信号処理回路1036から得られるアドレス情報から、記録発光を停止した位置に到達したかどうかを判定する(ステップS814)。記録発光を停止した位置に到達していない場合(ステップS814でNoの場合)は、ステップS814に戻る。即ち、記録発光を停止した位置に到達するまで待つ動作となる。
【0171】
記録発光を停止した位置に到達した場合(ステップS814でYesの場合)、記録信号処理回路は記録発光を再開し(ステップS815)、ステップS806に戻る。
【0172】
ここでステップS815において記録信号処理回路1042が行う記録発光の再開とは、上述したように、記録発光を再開する位置がクラスタの途中であっても、記録を再開すべき位置に同期して記録発光を開始することを意味する。更には、エラー訂正符号付加、エンコード処理、変調処理などの処理についても、クラスタの途中から再開する。
【0173】
続いて、本実施例の効果について、図9を用いて説明する。
【0174】
図9は、外部振動として短時間に大きな加速度の衝撃が加わり、トラック外れが起こる場合の波形図である。
【0175】
図9(a)はレンズシフト量である。ECCは光ディスク101の持っている偏芯量であり、LS_SLIはスライダ駆動設計時に想定しているレンズシフト量である。またLSthはレンズシフト量判定回路202がレンズシフト量の大小を判断する閾値となるレンズシフト量を示している。LSthは言い換えると、レンズシフト量判定回路202におけるLE信号の閾値Vth_LEに相当するレンズシフト量と言える。
【0176】
また図9(b)は衝撃の加わった期間を模式的に示しており、Highレベルの期間、光ディスク装置に対して衝撃が加わっていることを示す。時刻tshは衝撃が加わりだした時刻である。
【0177】
図9からわかるように、時刻tshから加わる衝撃によって図9(a)のレンズシフト量も増加する。ここでスライダ制御回路1037はトラッキング制御回路1033の出力信号の平均値に基づいてスライダ駆動信号を出力する構成である。そのため一時的にレンズシフトが大きくなった場合でも、すぐにはスライダが駆動されない。そのため衝撃が加わると、図9に示すように大きなレンズシフトが発生しうる。
【0178】
図9(c)はクラスタの境界を示す信号であり、クラスタの境界で一瞬だけHighになる信号である。図9(d)はLSNG信号、また図9(e)及び(f)は記録発光中であることを模式的に示す信号であり、説明のためこの信号をWR信号と呼ぶことにする。WR信号はHighレベルの期間が記録発光していることを示す。
【0179】
図9(e)は実施例1の構成による場合のWR信号、図9(f)は本実施例による場合のWR信号を示している。また図9(g)は、TE信号を示しており、TE信号である。
【0180】
時刻t1は、時刻tshから加わりだした衝撃によって図9(a)のレンズシフト量が増加していき、レンズシフト量判定回路202によってレンズシフト量が大きいと判断した時刻である。また時刻t2は、時刻t1以降で初めてのクラスタ境界を通過する時刻である、
時刻toutはトラック外れが起こった時刻であり、ここでは時刻toutは時刻t1より後で時刻t2より前である場合を示している。
【0181】
実施例1では、LSNG信号がHighとなってから初めて通過するクラスタ境界に合わせて記録発光を停止する。そのため、WR信号は図9(e)に示すように、時刻t2でLowになる波形となる。
【0182】
ここで、大きな衝撃が加わった場合には対物レンズに大きな加速度がかかり、瞬間的に大きくレンズシフトする。そのため、レンズシフト量判定回路202によってレンズシフト量が大きいと判断した時刻t1から実際に記録発光を停止する時刻t2までの間に、図9(a)のAの矢印で示すようにレンズシフトは大きくなっている。
【0183】
衝撃の大きさが大きい場合には、時刻t1から時刻t2までの間に、図9(g)のようにトラック外れが起こる可能性がある。時刻outは時刻t1より後で時刻t2より前であるので、実施例1の場合には記録発光中にトラック外れが起こることになる。
【0184】
更に実施例1においてレンズシフト量判定回路202がレンズシフト量の大小を判断する閾値LSthは、正常なトラック外れ検出が難しくなるレンズシフト量として決定した。そのため、時刻t2においてはLSth以上のレンズシフトがある状態で起こるトラック外れであるので、図9(g)に示すように上下いずれかの振幅が小さくなっており、正常なトラック外れ検出ができない。
【0185】
一方で本実施例では、LSNG信号がHighとなった瞬間に、割り込みによって瞬時に記録発光を停止する。そのため、WR信号は図9(f)に示すように、時刻t1でLowになる波形となる。
【0186】
再生パワーでのTE信号と記録パワーでのTE信号に差異がないとすると、本実施例においても図9(g)のTE信号の波形は共通である。しかし実施例1とは、記録発光を停止した後にトラック外れが起こる点が異なる。
【0187】
そのため本実施例では、衝撃が加わった場合でも記録発光状態のまま隣接トラックを横切ってしまうことを回避し、記録済みデータを破壊してしまうのを回避できる。
【0188】
また図9から明らかなように、本実施例では、トラック外れが起こる前にレンズシフト量によって記録発光を瞬時に停止するという特徴がある。
【0189】
なお図9ではトラック外れが起こった時刻toutは時刻t1より後で時刻t2より前であるとして説明した。時刻t1よりも前にトラック外れが起こった場合には、レンズシフト量がLSth以下の状態でトラックが外れたことになるので、トラック外れが正常に検出でき、同様に記録済みデータの破壊は起こらない。
【0190】
このことから、トラック外れ検出回路201とレンズシフト量判定回路202の両方の出力を併用して記録動作を停止することで、劣化の大きい視野特性を有する光ピックアップであっても隣接するトラックのデータを破壊することを回避できる。
【0191】
以上の動作により、実施例2の光ディスク装置は、光ディスク装置の信頼性を向上させることができる。
【0192】
以上の実施例ではLE信号から生成したLSNG信号を元に、レンズシフトの大小を判定する構成とした。しかし、レンズシフト量を検出する方法は、これに限るものではない。例えば、ピックアップ内に対物レンズの変位を計測するセンサを設け、光ディスクからの反射光から生成したLE信号によらずにレンズシフト量を検出してもよい。
【0193】
以上の実施例では、光ディスク101の記録面上のアドレスは内周から外周に向かって増加している場合を用いて説明したが、例えばBlu−rayDiscの2層ディスクのL1層のように、記録面上のアドレスが外周から内周に向かって増加している場合であっても、本発明は同様に適用できる。
【0194】
以上の実施例では、光ディスク101はBlu−ray Discであるとし、最小記録単位は1クラスタとして説明した。しかし光ディスク101は、Blu−ray Disc以外の規格の光ディスクであっても構わない。その場合は、本明細書中で最小記録単位を1クラスタとして説明している箇所を、規格に沿った名称で置き換えればよい。
【0195】
さらに、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0196】
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0197】
101…光ディスク、102…ピックアップ、103…信号処理回路、104…スピンドルモータ、105…サーボエラー信号生成回路、106…RF信号生成回路、107…アクチュエータ駆動回路、108…スライダモータ駆動回路、109…スピンドルモータ駆動回路、110…スライダモータ、111…端子、1021…レーザパワー制御回路、1022…レーザ光源、1023…コリメートレンズ、1024…ビームスプリッタ、1025…立上ミラー、1026…アクチュエータ、1027…対物レンズ、1028…集光レンズ、1029…光検出器、1031…システム制御回路、1032…フォーカス制御回路、1033…トラッキング制御回路、1034…スイッチ、1035…サーボ制御信号生成回路、1036…再生信号処理回路、1037…スライダ制御回路、1038…スピンドル制御回路、1039…入出力回路、1040…バッファメモリ、1041…記録信号処理回路、1042…記録信号処理回路、1043…システム制御回路、201…トラック外れ検出回路、202…レンズシフト量判定回路、2011…減算器、2012…絶対値化回路、2013…コンパレータ、2014…立上りエッジ検出回路、2015…立下りエッジ検出回路、2016…タイマ、2017…コンパレータ、2021…減算器、2022…絶対値化回路、2023…コンパレータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ディスクに対して情報を記録再生する光ディスク装置が実用化されている。このような光ディスク装置では、光ビームが情報トラックを追従できなくなる、いわゆるトラック外れが問題になる。そして光ディスク装置においては、光ビームが情報トラックを追従できなくなったことを検出する、トラック外れ検出機能が知られている。
【0003】
特許文献1によれば、その段落0002に、「従来の読みだし専用の光ディスク装置では、ディスクから読み出されるアドレス情報の連続性を監視して、トラック外れを検出していた。しかし、この方法を記録型光ディスク装置に用いた場合、記録中にトラック外れが発生しても、それを検出するまでに十数ミリ秒から数十ミリ秒の時間がかかり、相当の時間、隣接トラックに二重書きが行われてしまうという問題があった。」との記載がある。
【0004】
特許文献2によれば、その段落0018に、「トラック外れ検出手段は、入力信号を正の閾値、負の閾値と比較し、入力信号が正の閾値より大きいときおよび負の閾値より小さいときに所定レベルの信号を出力する比較手段と、所定の時間毎に比較手段から所定レベルの信号が出力される期間を測定するカウンタとを有し、カウンタ値が所定の閾値より大きくなったときに光ビームが情報トラックを追従していない状態であると判断し、トラック外れ信号を出力することを特徴とする。」との記載がある。
【0005】
また特許文献3によれば、その段落0022に「たとえば、何らかの原因で、図9の(a)に示すようにトラッキング誤差信号の振幅が正負の比較値の幅より狭くなった場合、トラッキング外れの検出はまったくできなくなってしまう。」との記載がある。また、その段落0025に、「このように、第4の実施例によれば、トラックジャンプを行うことによりトラッキング外れ状態をつくり、トラッキング外れ信号をモニタしながらトラッキング誤差信号の振幅を変化させることにより、トラッキング誤差信号と正負の比較値を正しい関係にすることができ、精度良く、トラッキング外れを検出することが可能となる。」との記載がある。
【0006】
特許文献4によれば、その段落0016に、「トラッキング制御の際に対物レンズ4aのレンズシフト量が大きくなると、図20に示すように、得られるトラッキングエラー信号の振幅量が小さくなる。」との記載がある。
【0007】
更に特許文献5によれば、その段落0034に、「DPP方式によるトラッキング制御時、対物レンズシフトに対する第1と第2の実施例で発生するデトラック量の見積りを図10に示す。第1の実施例では対物レンズシフトに伴って大きなデトラックが発生する。」との記載がある。
【0008】
また特許文献6の段落0028、0029には、「また、トラッキング・オフセットは、対物レンズ15によるレンズシフトによって変動する。これも非点収差の方向θによって変わる特性がある。また、光ピックアップ10内の光学系に球面収差がある場合は、この球面収差の大きさと、対物レンズ15によるレンズシフトの大きさに比例して変わるトラッキング・オフセットがある。」との記載がある。
【0009】
特許文献7の段落0005には、「(4)対物レンズを駆動しキャリッジ上に搭載されたアクチュエータと、対物レンズのシフト量をレンズシフト信号として検出するレンズシフト検出手段と、記録媒体を挟んで対物レンズと対向するようキャリッジに連結された磁気記録ヘッドと、レンズシフト信号を監視して対物レンズが所定のシフト量を超えた事を検出するウィンドーコンパレータ等から成る監視回路と、を備えた事、(5)上記(4)に関して、対物レンズのシフト量が約0.3mmに達した時点のレンズシフト信号レベルをもって、光源もしくは磁気記録ヘッドの駆動を停止するよう構成された事」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−344773号公報
【特許文献2】特開2003−173551号公報
【特許文献3】特開平8−30990号公報
【特許文献4】特開2008−33978号公報
【特許文献5】特開2008−198256号公報
【特許文献6】特開2001−338425号公報
【特許文献7】特開平6−44587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
光ディスク装置の光ピックアップは一般に、トラッキングエラー信号を生成し、光ディスク装置はこのトラッキングエラー信号を用いてトラッキングサーボを行う。
【0012】
光ディスク装置の光ピックアップは一般に、レンズシフトによりトラッキングエラー信号の振幅、バランスが変化することが知られている。本明細書では、これを視野特性と称する。
【0013】
ここで、本明細書におけるトラッキングエラー信号の振幅、バランスの定義について図11を用いて説明する。図11(a)はレンズシフトがゼロの場合のトラッキングエラー信号の1周期を示したもの、図11(b)はレンズシフトした場合のトラッキングエラー信号の1周期を示したものである。レンズシフトがゼロの場合のトラッキングエラー信号の両振幅をH0、レンズシフトした場合のトラッキングエラー信号の両振幅をH1とした場合、トラッキングエラー信号振幅を以下の式で定義する。
振幅=(H1/H0)×100[%]
これから明らかなように、レンズシフトがゼロの場合には、トラッキングエラー信号振幅は100%となる。
【0014】
続いて、本明細書におけるトラッキングエラー信号のバランスの定義について説明する。図11(c)は、トラッキングエラー信号の振幅中心レベルVcが、基準電位Vrefと一致していない場合のトラッキングエラー信号の1周期を示している。この時、トラッキングエラー信号が基準電位Vref以上となる部分の振幅Aと、トラッキングエラー信号が基準電位Vref以下となる部分の振幅Bを用いて、バランスを以下の式で定義する。
バランス=[(A−B)/2(A+B)]×100[%]
また本明細書では、前記振幅Aを上側振幅、前記振幅Bを下側振幅と呼ぶことにする。
【0015】
これから明らかなように、トラッキングエラー信号の振幅中心レベルVcが、基準電位Vrefと一致している場合には、トラッキングエラー信号のバランスは0%となる。このように、「振幅100%、バランス0%」が理想状態となる。また「振幅100%、バランス0%」の状態からの変化が大きいことを、バランスの劣化が大きい、と呼ぶことにする。
【0016】
図10を用いて、視野特性を説明する。図10(a)はレンズシフトによるトラッキングエラー信号振幅の変化、図10(a)はレンズシフトによるトラッキングエラー信号のバランスの変化を示している。
【0017】
図10からわかるように、レンズシフトをした場合のトラッキングエラー信号は、振幅が減少すると同時に、バランスが劣化する。
【0018】
なお特許文献5におけるデトラック量は、トラッキングエラー信号の振幅特性とバランス特性を掛け合わせた特性になる。トラッキングエラー信号の振幅特性はレンズシフトによって緩やかに減少する形状であるので、デトラック量とトラッキングエラー信号のバランスは似た形状となる。
【0019】
本発明者は、従来技術による光ディスク装置においては、レンズシフトが発生した場合に課題があることを見出した。レンズシフトが発生した場合の課題としては、例えば、上述した視野特性に関する課題がある。即ち、図10のような視野特性を有する光ピックアップを用いた光ディスク装置では、トラック外れ検出機能が正常にトラック外れを検出できなくなることを、本発明者は見出した。以下、この課題について説明する。
【0020】
まず、一般的なトラック外れ検出方法として、特許文献2で開示されている手法を考える。これは、トラッキングエラー信号の振幅の絶対値が所定の電圧以上となる期間が、所定の時間以上経過した場合に、トラック外れと検出する手法である。
【0021】
図12は特許文献2に記載されているトラック外れ検出方法の動作説明図である。(A)はトラッキングエラー信号、(B)は振幅が大きくなったことを示す信号、(C)は振幅が大きい時間長を測定するカウンタ出力、(D)はトラック外れ検出信号である。
【0022】
特許文献2に記載されているトラック外れ検出は、以下のように記載されている。該トラック外れ検出においては、トラッキングエラー信号に対して正の閾値TH1、負の閾値TH2を設ける。ここでは簡単に、TE2とTE1の絶対値は同一とする。トラッキングエラー信号を正の閾値TH1、負の閾値TH2と比較し、該信号が正の閾値TH1より大きい、あるいは負の閾値TH2より小さい場合にHighになるような信号を生成する(波形(B))。次に、波形(B)がHighの期間のみ、所定周期でインクリメントするカウンタを設け、振幅が大きい期間の長さを測定する(C)。カウンタは、所定時間T毎にリセットすることにより、所定時間Tにおける振幅が大きい期間の長さを算出する。このカウンタ出力を閾値TH3と比較し、前回の測定期間Tにおいて振幅が大きい期間の長さ(カウンタ出力値)が閾値TH3より大きくなった場合にトラック外れ信号(D)をHighとする。
【0023】
ここで図10の視野特性において、レンズシフトが−300μmの状態を例に、課題を説明する。レンズシフトが−300μmの状態では、図10に示すように、トラッキングエラー振幅が70%にまで低下する。更に、トラッキングエラー信号のバランスは、−20%となる。この結果、トラッキングエラー信号の振幅は、図13(a)に示すような状態になっている。
【0024】
図13(a)はレンズシフトが−300μmの状態でのトラッキングエラー信号の1周期、図13(b)はレンズシフトがゼロの状態でのトラッキングエラー信号の1周期である。レンズシフトがゼロの場合の片振幅をH0と表記している。
【0025】
即ち、レンズシフトがゼロの場合の片振幅を100%としたとき、レンズシフトが−300μmの状態での上側振幅は42%、下側振幅は98%となる。図14は、このような状態においてトラックが外れた場合を説明する波形図である。時刻toutはトラック外れが起こった時刻である。
【0026】
図14(a)は比較のため、レンズシフトがゼロの状態でトラック外れが起こった場合を示している。図14(b)はトラッキングサーボがかかった状態から、レンズシフトが300μmの状態でトラッキングエラー信号が正に変化する方向に変位した後にトラック外れが起こった場合を示し、逆に図14(c)は、レンズシフトが300μmの状態でトラッキングエラー信号が負に変化する方向に変位した後にトラック外れが起こった場合を示している。
【0027】
トラッキングエラー信号に対して前記トラック外れ検出方法を用いた場合、図14(b)の場合はトラック外れ後にトラック間隔の1/2だけずれる間(T1_bで示した期間)でトラッキングエラー信号の下側振幅が98%の振幅を持っているため、期間T1_b中にトラック外れを正常に検出できる。
【0028】
一方で図14(c)の場合は、トラック外れ後にトラック間隔の1/2だけずれる間(T1_cで示した期間)でトラッキングエラー信号の下側振幅が42%の振幅しか持っていない。これを検出するにはトラック外れ検出で設ける閾値を下げる必要があるが、下げすぎてしまうとトラックが外れていない場合でもトラック外れと検出してしまう、誤検出を招く。そのため、下側振幅が42%にまで低下してしまうような場合にも検出できるような閾値を決めることはできない。従って、期間T1_c中にトラック外れを検出することはできない。トラック外れ後にトラック間隔の1/2だけ移動した後、トラック間隔の1倍までずれる間(T2_cで示した期間)で、初めてトラック外れが検出される。
【0029】
ここで、図14(c)の点Aはトラック外れが起こる直前に追従していたトラックであり、点Bはトラックが外れた方向の隣接するトラックである。記録型光ディスク装置のトラック外れ検出を考えた場合、T2_cで示した期間で始めてトラック外れを検出しても、記録発光状態のまま隣接トラックを横切ってしまう。隣接トラックが記録済みの場合には、そのデータを二重書きして破壊してしまう可能性があるため、問題がある。
【0030】
更には、トラッキングエラー信号のバランスが悪い場合、バランスの崩れている側にトラック外れしやすい傾向がある。これは負帰還領域の端までの距離が短く、より小さい外乱でも制御不能な状態に至りやすいためである。即ち、図14の(b)と(c)では、(c)の状態のトラック外れの方が起こりやすい。そのため、視野特性の劣化の大きい光ピックアップでは、このトラック外れ検出が大きな問題となる。
【0031】
このように、劣化の大きい視野特性を有する光ピックアップを用いた光ディスク装置では、トラック外れ検出機能が正常にトラック外れを検出できなくなる。
【0032】
この課題を解決すれば、劣化の大きい視野特性を有する光ピックアップであっても、外部振動等によってトラック外れが発生した場合でも隣接するトラックのデータを破壊することのない、信頼性を向上した光ディスク装置を提供することができる。
【0033】
特許文献6で言及されているように、視野特性は非点収差や球面収差によるものであるので、従来は光ピックアップに収差を補正する素子を設ける等をして、視野特性の劣化を抑えていた。
【0034】
しかし最近では光ピックアップのコスト低減の要求が大きく、安価な光ピックアップの使いこなし技術が求められていた。このため、視野特性の劣化のある光ピックアップに対してもトラック外れ検出を行うことができれば、安価な光ピックアップを実現でき、ひいては安価な光ディスク装置を実現できる。
【0035】
一般に光ディスクドライブにおいては、光ディスクは偏芯を持って回転しており、偏芯を持った光ディスクに対して情報の記録や再生といった動作を行う。
【0036】
例えば偏芯300μmを持つ光ディスクに対してトラッキングサーボをかけ、トラック追従中にトラック外れが起こる場合、ディスク回転角によってトラック外れ時の挙動が異なる。即ち、レンズシフトがゼロとなる回転角で起こる場合には図14(a)のような波形になり、偏芯が最大となる回転角で起こる場合には図14(b)もしくは(c)のような波形になる。トラック外れの起こる回転角によって、1回転の中で挙動が変わるという特徴がある。
【0037】
そのため、特許文献3で開示されている技術を応用して、トラッキングエラー振幅を補正して正しく検出しようとすると、回転角を指定して複数回、トラックジャンプを行う必要が生じ、調整のための時間が延びるという課題がある。
【0038】
また、特許文献7では、レンズシフトに伴って、トラッキング信号のオフセットの変動が生じるこという課題を開示するに留まり、レンズシフトをした場合のトラッキングエラー信号は、振幅が減少すると同時に、バランスが劣化するという課題は考慮されていない。すなわち、レンズシフトに伴ってトラッキングエラー信号のバランスが劣化すると、正常なトラック外れ検出が難しくなるという課題は考慮されていない。さらには、特許文献7では、上述の様に「対物レンズのシフト量が約0.3mmに達した時点のレンズシフト信号レベルをもって、光源もしくは磁気記録ヘッドの駆動を停止する」構成であるため、記録動作を再開する際に再度、光源等の駆動開始処理を行う必要があり、記録再開までに時間がかかるという課題がある。 本発明の目的は、光ディスク装置の信頼性を向上させることである。また、安価なディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
上記課題を改善するために、本発明では一例として特許請求の範囲に記載の構成を用いる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、信頼性を向上した光ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施例1の光ディスク装置を示す構成図である。
【図2】実施例1のサーボ制御信号生成回路1035の構成図である。
【図3】実施例1のトラック外れ検出回路201の動作を説明する図である。
【図4】実施例1におけるデータ記録処理のフローチャートである。
【図5】実施例1の効果を説明する波形図である。
【図6】レンズシフト時のTE信号のエンベロープを示す特性図である。
【図7】実施例2の光ディスク装置を示す構成図である。
【図8】実施例2におけるデータ記録処理のフローチャートである。
【図9】実施例2の効果を説明する波形図である。
【図10】視野特性を説明する図である。
【図11】トラッキングエラー信号の振幅、バランスの定義を説明する波形図である。
【図12】トラック外れ検出方法の動作説明図である。
【図13】レンズシフト時のトラッキングエラー信号を示す波形図である。
【図14】レンズシフト時にトラックが外れた場合を説明する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
【実施例1】
【0043】
本発明における実施例1について、以下に説明する。
【0044】
図1は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【0045】
信号処理回路103は光ディスク装置の各種の信号処理を行う回路であり、電位Vrefを基準として動作する。
【0046】
光ディスク101は、信号処理回路103に搭載されたシステム制御回路1031からの指令信号を受けたスピンドル制御回路1038から出力される制御信号に基づいてスピンドルモータ駆動回路109によりスピンドルモータ104が駆動され、所定の回転数で回転される。
【0047】
レーザ光源1022は、ピックアップ102に搭載されたレーザパワー制御回路1021により、所定のパワーでレーザ光を発光させる。情報を再生する際のレーザ光源1022の発光パワーを再生パワー、情報を記録する際のレーザ光源1022の発光パワーを記録パワーと呼ぶ。記録パワーは再生パワーよりも大きなパワーとなる。
【0048】
レーザ光源1022から発光されたレーザ光は、コリメートレンズ1023、ビームスプリッタ1024、立上ミラー1025、対物レンズ1027を通して光ディスク101の情報記録面に光スポットとして集光される。光ディスク101の情報記録面で反射した光はビームスプリッタ1024で分岐され、集光レンズ1028で光検出器1029に集光される。光検出器1029は、集光された光を電気信号に変換し、サーボエラー信号生成回路105、RF信号生成回路106に出力する。
【0049】
サーボエラー信号生成回路105は、フォーカス制御に使用するためのフォーカスエラー信号(以下、FE信号)、トラッキング制御に使用するためのトラッキングエラー信号(以下、TE信号)、及び、中立位置からの対物レンズ1027の変位(レンズシフト)を示すレンズエラー信号(以下、LE信号)を生成して出力する。なお、本実施例のLE信号の極性は、対物レンズ1027が外周側にレンズシフトした場合に正の電圧を示し、対物レンズ1027が内周側にレンズシフトした場合に負の電圧を示すものとする。また、各エラー信号は、電位Vrefを基準として出力されるものとする。
【0050】
またRF信号生成回路106は、光検出器1029で検出した電気信号に対してイコライズ処理を行い、RF信号として出力する。
【0051】
フォーカス制御回路1032は、システム制御回路1031の指令信号により、フォーカスエラー信号FEに基づいてフォーカス駆動信号FODを出力する。
【0052】
アクチュエータ駆動回路107は、フォーカス駆動信号FODに従って対物レンズ1027と一体で動作するように構成されたアクチュエータ1026をディスク面に垂直な方向に駆動する。上記したようにフォーカス制御回路1032及びアクチュエータ駆動回路107が動作することで、光ディスク101に照射された光スポットが常に光ディスク101の情報記録面で合焦するようにフォーカス制御が行われる。
【0053】
フォーカス制御が動作して、光スポットがディスク101の情報記録面で合焦すると、サーボエラー信号生成回路105は、光スポットと情報記録面上のトラックとの位置のずれを示すトラッキングエラー信号TEを出力する。更にサーボエラー信号生成回路105は、対物レンズ1027のレンズシフト量を示すレンズエラー信号LEを出力する。
【0054】
トラッキング制御回路1033は、システム制御回路1031からの指令信号によりトラッキングエラー信号TEに基づいて、光ディスク101に照射された光スポットが情報記録面上のトラックを追従するように、対物レンズ1027をディスク半径方向に駆動するための信号を出力する。トラッキング制御回路1033から出力された信号は、スイッチ1034を介してアクチュエータ駆動回路107に入力される。
【0055】
スイッチ1034は、システム制御回路1031の出力するTRON信号に基づき、トラッキング制御回路1033の出力信号もしくは基準電位Vrefを選択して、トラッキング駆動信号TRDとして出力する。TRON信号としてHighレベルが入力されると、スイッチ1034は端子aを選択してトラッキング制御回路1033の出力信号がアクチュエータに出力される。一方でTRON信号としてLowレベルが入力されると、スイッチ1034は端子bを選択し、基準電位Vrefを出力する。
【0056】
この結果、TRON信号はトラッキングサーボのオン・オフを指示する信号となる。またスイッチ1034は、トラッキングサーボのオン、オフを切り替えるスイッチとして機能する。TRON信号がLowからHighに切り替わると、スイッチ1034によってトラッキング制御回路1033の出力信号がアクチュエータに供給される。これによってトラッキングサーボがオンされることになり、この動作はトラック引き込み動作と呼ばれる。
【0057】
アクチュエータ駆動回路107ではトラッキング駆動信号TRDに従ってアクチュエータ1026をディスク面に平行な方向に駆動することで対物レンズ1027がディスク半径方向に駆動される。トラッキング制御回路1033の出力信号に基づきアクチュエータが駆動されることで、光スポットが情報記録面上のトラックを追従する。このように、本実施例におけるアクチュエータ駆動回路107は、フォーカス方向に駆動する回路とトラッキング方向に駆動する回路を包含したものである。
【0058】
サーボ制御信号生成回路1035は、サーボエラー信号生成回路105の出力するTE信号とLE信号を入力として、各種制御信号を生成する。本実施例のサーボ制御信号生成回路1035は、トラック外れ検出信号TROUTと、LSNG信号を生成して出力する。TROUT信号、LSNG信号はシステム制御回路1031へ入力される。
【0059】
再生信号処理回路1036は、RF信号生成回路106の出力されるRF信号に対して復号処理を行い、光ディスク101から読み出した情報(現在のアドレス情報を含む)を生成してシステム制御回路1031及び記録信号処理回路1041に出力する。
【0060】
また、スライダ制御回路1037は、システム制御回路1031からの指令信号を受けると、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値に基づいてスライダモータ110を駆動するスライダ駆動信号を出力する。このスライダ駆動信号に従ってスライダモータ駆動回路108がスライダモータ110を駆動することにより、トラックを追従し続けた場合であっても対物レンズ1027が常にレンズシフトがゼロとなる中立位置近傍で動作するように、光ピックアップ102がディスク半径方向に移送される。
【0061】
更に、光ディスク101上の半径の異なる位置へ光ピックアップ102を駆動するシーク動作においては、システム制御回路1031からのシーク動作の指令信号を受けてスライダ制御回路1037がスライダ駆動信号を出力し、このスライダ駆動信号に従ってスライダモータ駆動回路108がスライダモータ110を駆動することでシーク動作を行う。なおシーク動作においては、再生信号処理回路1036で得られるアドレス情報を用いて、制御が行われる。
【0062】
また入出力回路1039は、端子111を介して、光ディスク装置と図示しないパーソナルコンピュータなどのホスト装置とのデータ転送を制御する。入出力回路1039は、ホスト装置からのコマンド内容をシステム制御回路1031に伝達すると共に、ホスト装置から伝送されるデータをバッファメモリ1040に転送する。
【0063】
バッファメモリ1040は、例えばデータ記録時にホスト装置から入出力回路1039と端子111を介して供給される記録データを、一時格納する。
【0064】
データ記録時の記録信号処理回路1041は、システム制御回路1031からの指示信号に基づき、バッファメモリ1040から所定量のデータを読み出して、エラー訂正符号付加、エンコード処理、変調処理などを行って記録信号を生成し、レーザ発光パルス列に変換して出力する。
【0065】
記録信号処理回路1041から出力された信号はレーザパワー制御回路1021に入力され、レーザ光源1022が記録パワーでの発光を行う。その際、記録信号処理回路1041は再生信号処理回路1036から入力されるアドレス情報を元に、記録すべきアドレス位置に同期して記録発光してデータが記録されるように、制御を行う。
【0066】
更に記録信号処理回路1041は、TROUT信号によって割り込みが入る構成である。TROUT信号による割り込みが入ると、瞬時にレーザパワー制御回路1021に信号を送って記録パワーでの発光を停止し、再生パワーでの発光に変更する。
【0067】
またデータ再生時の記録信号処理回路1041は、システム制御回路1031からの指示信号に基づき、再生パワーでの発光を行うよう、レーザパワー制御回路1021に対して指令信号を出力する。
【0068】
システム制御回路1031から記録信号処理回路1041への指示信号としては、再生発光開始や再生発光停止、記録発光開始や記録発光停止、記録発光パワー調整指示、などがある。
【0069】
また一般に光ディスクには、情報を記録する際に、記録する最小の単位が規格で規定されている。本明細書ではこれを最小記録単位と呼ぶ。Blu−ray Discの場合、最小記録単位は1クラスタである。以下では説明のため、光ディスク101はBlu−ray Discであるとし、最小記録単位は1クラスタとして説明する。
【0070】
従って以上で説明したデータ記録時は、最小記録単位ごとのデータ、もしくは最小記録単位を複数まとめたデータに対して、記録を行う。
【0071】
次に、かかる光ディスク装置におけるサーボ制御信号生成回路1035の構成について、図2を用いて説明する。
【0072】
サーボ制御信号生成回路1035は、TE信号、LE信号を入力とし、TROUT信号、LSOK信号を生成して出力する。サーボ制御信号生成回路1035は、トラック外れ検出回路201、レンズシフト量判定回路202から構成される。
【0073】
トラック外れ検出回路201は、減算器2011、絶対値化回路2012、コンパレータ2013、立上りエッジ検出回路2014、立下りエッジ検出回路2015、タイマ2016、コンパレータ2017から構成される。トラック外れ検出回路201は、TE信号を入力とし、トラック外れ検出信号TROUTを出力する。
【0074】
減算器2011は、トラック外れ検出回路201の入力信号であるTE信号と、リファレンスレベルVrefの差分を出力する。
【0075】
絶対値化回路2012は、減算器2011の出力信号に対して絶対値を取った信号を出力する。
【0076】
コンパレータ2013は、絶対値化回路2012の出力信号と所定の閾値Vth_TEとの大小を比較し、出力する。
【0077】
立上りエッジ検出回路2014は、コンパレータ2013の出力信号の立上りエッジを検出する。
【0078】
立下りエッジ検出回路2015は、コンパレータ2013の出力信号の立下りエッジを検出する。
【0079】
立上りエッジ検出回路2014及び立下りエッジ検出回路2015は、エッジを検出すると、所定の時間Highレベルを出力し、その後はLowレベルに戻る動作を行うものとする。
【0080】
タイマ2016は2入力1出力のタイマであり、入力信号はタイマ計測を開始するための信号と、タイマをリセットするための信号である。タイマ2016は、立上りエッジ検出回路2014の出力信号がHighレベルとなるとタイマ計測を開始し、立下りエッジ検出回路2015の出力信号がHighレベルとなるとタイマをリセットする。また、出力信号はタイマの値に比例した電圧レベルを出力する。
【0081】
コンパレータ2017は、タイマ2016の出力信号と所定の閾値Vtimeとの大小を比較し、TROUT信号として出力する。
【0082】
レンズシフト量判定回路202は減算器2021、絶対値化回路2022、コンパレータ2023から構成される。レンズシフト量判定回路202は、LE信号を入力とし、LSNG信号を出力する。
【0083】
減算器2021は、レンズシフト量判定回路202の入力信号であるLE信号と、リファレンスレベルVrefの差分を出力する。
【0084】
絶対値化回路2022は、減算器2021の出力信号に対して絶対値を取った信号を出力する。
【0085】
コンパレータ2023は、絶対値化回路2022の出力信号と所定の閾値Vth_LEとの大小を比較し、LSNG信号として出力する。
【0086】
次に、トラック外れ検出回路201の動作について、図3を用いて説明する。
【0087】
図3において(a)はトラック外れ検出回路201の入力信号であるTE信号、(b)は絶対値化回路2012の出力信号、(c)はタイマ2016の出力信号、(d)はTROUT信号である。図3(1)は説明のため、トラックが外れた場合の各部の信号波形を示しており、(a)のTE信号は、正弦波状の波形となる。
【0088】
時刻t=t1で絶対値化回路2012の出力信号が所定の閾値Vth_TEを越えると、立上りエッジ検出回路2014により検出され、タイマ2016の計測が開始される。
【0089】
時刻t=t2でタイマ2016の出力値が所定の閾値Vtimeを越えると、コンパレータ2017の出力信号であるTROUT信号がHighレベルとなる。ここで、時刻t1からt2までの時間をΔToutとする。
【0090】
時刻t=t3で絶対値化回路2012の出力信号が所定の閾値Vthを下回ると、立下りエッジ検出回路2015により検出され、タイマ2016の計測がリセットされる。この結果、コンパレータ2017の出力信号であるTROUT信号はLowレベルとなる。
【0091】
本実施例におけるトラック外れ検出は、TE信号の変動の絶対値が所定の閾値Vth_TEを越えている時間が、ΔToutより長いことをもってトラック外れが発生したと検出する。またトラック外れ検出回路201の出力するTROUT信号は、トラックが外れたと検出した場合にHighとなる信号である。
【0092】
一方、図3(2)は、トラッキングサーボの追従誤差が大きくなったがトラック外れには至らなかった場合の各部の信号波形を示しており、(a)のTE信号は、一時的にVrefからの振幅が大きくなっている。
【0093】
この図の場合には、TE信号の変動の絶対値が所定の閾値Vth_TEを上回ってから(時刻t4)、下回るまで(時刻t5)の時間が前記ΔToutより短いため、タイマ2016の出力信号(c)が所定の閾値Vtimeを越えることがなく、コンパレータ2017の出力信号であるTROUT信号(d)はHighレベルとならない。このため、トラック外れとは検出されない。
【0094】
またレンズシフト量判定回路202の出力するLSNG信号は、LE信号の変動の絶対値が所定の閾値Vth_LEを上回った場合にHighとなる信号である。これは、レンズシフト量判定回路202の構成がトラック外れ検出回路201の構成と類似していることから明らかである。
【0095】
本実施例におけるレンズシフト量判定は、LE信号の変動の絶対値が所定の閾値Vth_LEを越えたことをもって、レンズシフト量が大きいと判断する。またレンズシフト量判定回路202の出力するLSNG信号は、レンズシフト量が大きいと判断した場合にHighとなる信号である。
【0096】
次に、本実施例におけるデータ記録処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0097】
ホスト装置からのコマンドを受けて光ディスク装置がデータ記録処理を開始すると(ステップS401)、システム制御回路1031は記録信号処理回路1041に指示を出し、記録パワー調整を行う(ステップS402)。この記録パワー調整はOPCと呼ばれている。
【0098】
記録パワー調整が完了すると、システム制御回路1031は記録開始アドレスの直前へのシークを行い、続いてトラック追従動作を行う(ステップS403)。トラック追従動作とは、例えばシーク完了後などに、トラックを追従し続ける動作のことである。光ディスク記録面上のトラックは内周から外周に向かって螺旋状の構造をしているので、トラック追従動作を続けていると追従しているアドレスは変化していく。また、システム制御回路1031は記録信号処理回路1041に記録開始の指示を出す(フローチャートでは省略)。
【0099】
続いて記録信号処理回路1041は、再生信号処理回路1036から得られるアドレス情報から、記録開始アドレスに到達したかどうかを判定する(ステップS404)。記録開始アドレスに到達していない場合(ステップS404でNoの場合)は、ステップS404に戻る。即ち、記録開始アドレスに到達するまで待つ動作となる。
【0100】
記録開始アドレスに到達した場合(ステップS404でYesの場合)、記録信号処理回路1041は記録発光を開始し、データの記録を開始する(ステップS405)。
【0101】
記録動作を開始した後は、システム制御回路1031はTROUT信号のレベルがLowであるかを判定する(ステップS406)。
【0102】
TROUT信号のレベルがHighの場合(ステップS406でNoの場合)、システム制御回路1031はデータ記録処理を終了する(ステップS407)。
【0103】
ここでTROUT信号のレベルがHighであったということは、トラック外れ検出回路201がトラック外れを検出したことを意味する。この場合、記録信号処理回路1041に割り込みが入り、記録発光は停止されている。そのため、ホスト装置に記録失敗を報告してデータ記録処理を終了する動作となる。
【0104】
TROUT信号のレベルがLowの場合(ステップS406でYesの場合)、システム制御回路1031はLSNG信号のレベルがLowであるかを判定する(ステップS408)。
【0105】
LSNG信号がLowの場合(ステップS408でYesの場合)は、システム制御回路1031は記録終了アドレスに到達したかを判定する(ステップS409)。
【0106】
記録終了アドレスに到達した場合(ステップS409でYesの場合)、システム制御回路1031は記録信号処理回路1041に指示を出し、記録発光を停止する(ステップS414)。即ち、記録パワーでの発光を停止して再生パワーでの発光に変更する。
【0107】
一方、記録終了アドレスに到達していない場合(ステップS409でNoの場合)、ステップS406に戻り、データ記録動作を続行する。このためTROUT信号及びLSNG信号が共に常にLowレベルであった場合は、記録開始アドレスから記録終了アドレスまでデータ記録を続けることになり、一般的な光ディスク装置のデータ記録動作となる。なおフローチャートでは、記録信号処理回路1041がバッファメモリ1040から所定量のデータを読み出して、エラー訂正符号付加、エンコード処理、変調処理などを行って記録信号を生成し、レーザ発光パルス列に変換して出力する動作は省略している。
【0108】
ステップS408でLSNG信号がHighの場合(ステップS408でNoの場合)、システム制御回路1031はLSNG信号がHighであることを検出した時に記録しているクラスタ位置を記憶する(ステップS411)。
【0109】
続いてシステム制御回路1031は、再生信号処理回路1036から得られるアドレス情報から、ステップS411にて記憶したクラスタの終端まで記録が完了したかを判定する(ステップS412)。記憶したクラスタの終端まで記録が完了していない場合(ステップS412でNoの場合)は、ステップS412に戻り、記憶したクラスタの終端まで記録が完了するまで待つ。
【0110】
記憶したクラスタの終端まで記録が完了した場合(ステップS412でYesの場合)、システム制御回路1031は記録信号処理回路1041に指示を出し、記録発光を停止する(ステップS413)。即ち、記録パワーでの発光を停止して再生パワーでの発光に変更する。
【0111】
記録発光を停止した後、システム制御回路1031はLSNG信号のレベルがLowであるかを判定する(ステップS414)。LSNG信号のレベルがHighの場合(ステップS414でNoの場合)、ステップS414に戻り、LSNG信号のレベルがLowになるまで待つ。
【0112】
LSNG信号のレベルがLowの場合(ステップS414でYesの場合)、システム制御回路1031は、ステップS413で記録発光を停止した位置の手前へのシークを行い、続いてトラック追従動作を行う(ステップS415)。ここで記録発光を停止した位置とは、ステップS411にて記憶したクラスタの終端である。また、システム制御回路1031は記録信号処理回路1041に記録発光を停止した位置からの記録開始を指示する(フローチャートでは省略)。
【0113】
続いて、記録信号処理回路1041は再生信号処理回路1036から得られるアドレス情報から、記録発光を停止した位置に到達したかどうかを判定する(ステップS416)。記録発光を停止した位置に到達していない場合(ステップS416でNoの場合)は、ステップS416に戻る。即ち、記録発光を停止した位置に到達するまで待つ動作となる。
【0114】
記録発光を停止した位置に到達した場合(ステップS416でYesの場合)、ステップS405に戻り記録発光を開始する。
【0115】
続いて、本実施例の効果について、図5を用いて説明する。本実施例が効果を持つのは想定以上のレンズシフトが発生する場合であり、例えばそれは外部振動が加わる場合に起こりうる。そのため、外部振動が加わる場合を例に、説明する。また、本実施例におけるピックアップ102は、図10に示した視野特性を有しているものとする。
【0116】
図5は記録中のレンズシフト量を説明する模式図である。図5(a)はレンズシフト量であり、軸は外周方向を正とする。また図5(b)はスライダ駆動タイミングを示し、Highレベルの期間、スライダが駆動されることを示す。また光ディスク101は所定の偏芯量を持っているものとし、その量をECCで表す。更に、光ディスク101の記録面上のアドレスは、例えばBlu−ray DiscのL0層のように、内周から外周に向かってアドレスが増加していく場合を用いて説明する。
【0117】
なお本実施例では、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値に基づきスライダ制御回路1037がスライダ駆動信号を出力するため、図5(b)の信号はスライダ制御回路1037の内部で生成される信号と考えることもできる。例えばスライダモータ110としてステッピングモータを用いた場合には、この信号がHighの期間にステップが更新される。
【0118】
図5(1)は外部振動が加わらない場合を示しており、まずはこの図を用いて説明する。
【0119】
トラック追従動作中は所定のトラックを追従し続けるため、対物レンズは振幅ECCの正弦波状の波形となる。更には光ディスク101記録面上のアドレスは内周から外周に向かって増加していくので、レンズシフト量は徐々に外周方向、即ち正の方向にシフトしていく。
【0120】
時刻t2から時刻t3までの期間はスライダ駆動信号が出力されている期間であり、スライダが駆動された結果、光検出器1029が固定されているピックアップ102に対して、トラックを追従し続ける対物レンズ1027は内周方向に移動し、レンズシフト量が負の値に変化する。時刻t3以降はスライダ駆動が停止しているので、レンズシフト量は再び正の方向にシフトしていく。
【0121】
図5(a)中、Aで示す破線は、ディスク101記録面上のトラックは内周から外周に向かって螺旋状の構造をしていることによる成分であり、偏芯量がゼロであった場合のレンズシフト量と見ることもできる。図5(a)のLS_LSIは、この直線と時刻t2の直線の交差する点でのレンズシフト量である。
【0122】
このLS_LSIは、スライダ駆動設計時に想定しているレンズシフト量である。即ちスライダ制御回路1037においては、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値に基づいて図5(a)のAで示す破線に相当する信号を生成し、対物レンズが所定のレンズシフト量LS_LSIだけレンズシフトしたことを検出して、スライダを外周方向に駆動する。この時、スライダを駆動する量は、2×LS_LSIであることが望ましい。
【0123】
このようにスライダ駆動系を設計することにより、偏芯成分を平均化したときのレンズシフトが外周方向にLS_LSIになった段階でスライダが駆動され、内周方向にLS_LSIになった状態からトラック追従動作が開始される。そのため、トラックを追従し続けた場合であっても光ピックアップ102がディスク半径方向に移送され、対物レンズ1027のレンズシフトがゼロとなる位置を中心に、LS_LSI以下のレンズシフト量で動作する。
【0124】
なお図5からわかるように、レンズシフトが最大となるのは時刻t1であり、その時のレンズシフト量はLS_LSI+ECCと略一致する。但し偏芯最大となる時刻t1とスライダ駆動開始時刻t2が完全には一致しないので、完全にLS_LSI+ECCと一致しない。
【0125】
一方、図5(b)は外部振動が加わった時に起こりうる波形を示している。外部振動が加わったことによって、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値が正か負、いずれかの方向に偏ることがある。また、この方向の偏りは、外部振動が加わる方向によって、変わりうる。
【0126】
外部振動によってトラッキング制御回路1033の出力信号の平均値が正か負、いずれかの方向に偏ると、スライダ制御回路1037が誤ったタイミングでスライダを駆動してしまう。
【0127】
図5(b)は外部振動が加わった結果、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値が内周側にレンズシフトした時と同様の出力となり、スライダ駆動タイミングが遅れた場合を示している。この場合、時刻t2よりも遅い時刻t5において、スライダの駆動が開始されている。この結果、図5(b)においてはレンズシフトが最大となるのは時刻t4であり、その時のレンズシフト量はLS_LSI+ECCよりも大きい(図5(b)のBの矢印)。
【0128】
即ち、図5(b)のような場合には、スライダ駆動系の設計時の想定よりも大きなレンズシフト量が発生する。例えば時刻t5のタイミングのレンズシフト量が300μmであると、図13で示したように、上側振幅は42%、下側振幅は98%となる(レンズシフトがゼロの場合の片振幅を100%とする)。そのため、時刻t5においてトラック外れが起こってしまうと、図14で説明したように正常にトラック外れを検出できなくなる。
【0129】
本実施例においては、レンズシフト量判定回路202を設けている。レンズシフト量判定回路202はLE信号の変動の絶対値が所定の閾値Vth_LEを越えたことをもって、LSNG信号をHighとし、その結果、記録発光が停止される。以下、所定の閾値Vth_LEについて説明する。
【0130】
図6は、前述の図10の視野特性のデータを元に、レンズシフトによってTE信号の上下のエンベロープがどのように変化するかを示したものである。前述したように、レンズシフト量が−300μmの状態では、上側振幅は42%、下側振幅は98%となる。
【0131】
図6においては、図6のAで示した領域、即ちレンズシフト量の絶対値が250μm以上の領域では、TE信号の上側振幅、もしくはTE信号の下側振幅が75%以下となり、正常なトラック外れ検出が難しくなる。
【0132】
そこで本実施例のレンズシフト量判定回路202においては、閾値Vth_LEをレンズシフト量の絶対値が250μmになった場合に相当する電位とし、レンズシフト量の絶対値が250μmを越えたことをもって、レンズシフト量が大きいと判断してLSNG信号をHighとする。
【0133】
そのため、記録中のレンズシフトが250μmを超えた場合には、トラック外れ検出回路ではなくレンズシフト量判定回路202によって記録動作が停止される。このことによって、スライダ駆動系の設計時の想定よりも大きなレンズシフトが発生し、トラック外れが起こってしまうと正常にトラック外れを検出できなくなる状況になると、記録動作が停止される。
【0134】
このように本実施例によれば、トラック外れ検出回路が正常にトラック外れを検出できなくなるほど大きなレンズシフトが発生する場合には、レンズシフト量判定回路202によって記録動作が停止されるため、記録中にトラック外れを検出できない状態を回避することができる。
【0135】
更にレンズシフトが小さくなった後に記録動作を再開するため、トラック外れを検出できなくなるほど大きなレンズシフトが発生する状態での記録動作を回避できる。
【0136】
また本実施例では、実際にトラック外れが起こる前にレンズシフト量によって記録発光を停止するという特徴がある。
【0137】
なお図4で示したフローチャートにおいては、ステップS408やステップS414において、システム制御回路1031がLSNG信号のレベルを監視する構成とした。しかし例えば、LSNG信号によって割り込みが入り、システム制御回路1031はその割り込みが入った場合に処理を分岐するような動作であってもよい。
【0138】
図5(b)では外部振動が加わった結果、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値が内周側にレンズシフトした時と同様の出力となった場合で説明したが、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値が外周側にレンズシフトした時と同様の出力となった場合も同様に問題が起こる。即ち、トラッキング制御回路1033の出力信号の平均値が外周側にレンズシフトした時と同様の出力となると、スライダ制御回路1037は、対物レンズが実際よりも外周側にあると判断し、早いタイミングでスライダを駆動してしまう。スライダ駆動タイミングが早いと、内周側に−1*(LS_LSI+ECC)よりも大きなレンズシフトが発生する。そのため、スライダ駆動系の設計時の想定よりも大きなレンズシフト量が発生し、同様に問題となる。このことから、レンズシフト量判定回路202はLE信号の変動の絶対値に対して所定の閾値Vth_LEとの比較を行うことが望ましい。
【0139】
また図5では外部振動が加わって想定以上のレンズシフトが発生する場合を例に説明したが、外部振動以外の要因によって想定以上のレンズシフトが発生する場合であっても、本実施例が効果を持つことは明らかである。
【0140】
以上の動作により、実施例1の光ディスク装置は、光ディスク装置の信頼性を向上させることができる。
【実施例2】
【0141】
実施例2について、以下に説明する。説明のため、光ディスク101はBlu−ray Discであるとし、最小記録単位は1クラスタとして説明する。
【0142】
図7は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。実施例1のブロック線図である図1と共通の構成要素については同一の番号を付し、説明を省略する。
【0143】
本実施例においてサーボ制御信号生成回路1035の構成は、実施例1と共通であり、トラック外れ検出信号TROUTと、LSNG信号を生成して出力する。本実施例においては、TROUT信号はシステム制御回路1043へ入力され、LSNG信号はシステム制御回路1043と記録信号処理回路1042に入力される。
【0144】
本実施例における記録信号処理回路1042は、システム制御回路1043からの指示信号に基づき、データ記録時にはバッファメモリ1040から所定量のデータを読み出して、エラー訂正符号付加、エンコード処理、変調処理などを行って記録信号を生成し、レーザ発光パルス列に変換して出力する。
【0145】
記録信号処理回路1042から出力された信号はレーザパワー制御回路1021に入力され、レーザ光源1022が記録発光を行う。その際、記録信号処理回路1042は再生信号処理回路1036から入力される情報を元に、記録すべき位置に同期して記録発光してデータが記録されるように、制御を行う。
【0146】
更に記録信号処理回路1042は、TROUT信号によって割り込みが入る構成である。TROUT信号による割り込みが入ると、瞬時にレーザパワー制御回路1021に信号を送って記録パワーでの発光を停止し、再生パワーでの発光に変更する。
【0147】
本実施例の記録信号処理回路1042は、LSNG信号によっても割り込みが入る構成である。以下、LSNG信号によって割り込みが入った場合の記録信号処理回路1042の動作について説明する。
【0148】
LSNG信号による割り込みが入ると、記録信号処理回路1042は、クラスタの境界を待たずに瞬時にエラー訂正符号付加、エンコード処理、変調処理などの処理を中断すると共に、レーザパワー制御回路1021に信号を送って記録パワーでの発光を中断し、再生パワーでの発光に変更する。この時記録信号処理回路1042は、LSNG信号による割り込みが入った時に記録を中断した位置を記憶しておく。
【0149】
そしてシステム制御回路1043からの指示信号で記録再開を指示されると、クラスタの途中から中断したエラー訂正符号付加、エンコード処理、変調処理などの処理を再開すると共に、レーザパワー制御回路1021に信号を送って再生パワーでの発光から記録パワーでの発光に変更して、記録発光を再開する。その際、記録信号処理回路1042は再生信号処理回路1036から入力される情報を元に、記録を再開すべき位置に同期して記録発光を開始して、データの記録を再開するように制御を行う。
【0150】
本実施例における記録信号処理回路1042が再生信号処理回路1036から得る情報は、クラスタよりも短い長さの情報であり、例えば、PSN(Physical Sector Number)、や、PSNの1アドレスよりも短い、フレームナンバーなどが相当する。
【0151】
またデータ再生時の記録信号処理回路1042は、システム制御回路1043からの指示信号に基づき、再生パワーでの発光を行うよう、レーザパワー制御回路1021に対して指令信号を出力する。
【0152】
本実施例におけるシステム制御回路1043から記録信号処理回路1042への指示信号としては、再生発光開始や再生発光停止、記録発光開始や記録発光停止、記録発光パワー調整指示に加えて、記録再開などがある。
【0153】
次に、本実施例における記録処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0154】
ホスト装置からのコマンドを受けて光ディスク装置がデータ記録処理を開始すると(ステップS801)、システム制御回路1043は記録信号処理回路1042に指示を出し、記録パワー調整を行う(ステップS802)。この記録パワー調整はOPCと呼ばれている。
【0155】
記録パワー調整が完了すると、システム制御回路1043は記録開始アドレスの直前へのシークを行い、続いてトラック追従動作を行う(ステップS803)。トラック追従動作とは、例えばシーク完了後などに、トラックを追従し続ける動作のことである。光ディスク記録面上のトラックは内周から外周に向かって螺旋状の構造をしているので、トラック追従動作を続けていると追従しているアドレスは変化していく。また、システム制御回路1043は記録信号処理回路1042に記録開始の指示を出す(フローチャートでは省略)。
【0156】
続いて記録信号処理回路1042は、再生信号処理回路1036から得られるアドレス情報から、記録開始アドレスに到達したかどうかを判定する(ステップS804)。記録開始アドレスに到達していない場合(ステップS804でNoの場合)は、ステップS804に戻る。即ち、記録開始アドレスに到達するまで待つ動作となる。
【0157】
記録開始アドレスに到達した場合(ステップS804でYesの場合)、記録信号処理回路1042は記録発光を開始し、データの記録を開始する(ステップS805)。
【0158】
記録動作を開始した後は、システム制御回路1043はTROUT信号のレベルがLowであるかを判定する(ステップS806)。
【0159】
TROUT信号のレベルがHighの場合(ステップS806でNoの場合)、システム制御回路1043はデータ記録処理を終了する(ステップS807)。
【0160】
ここでTROUT信号のレベルがHighであったということは、トラック外れ検出回路201がトラック外れを検出したことを意味する。この場合、記録信号処理回路1042に割り込みが入り、記録発光は停止されている。そのため、ホスト装置に記録失敗を報告してデータ記録処理を終了する動作となる。
【0161】
TROUT信号のレベルがLowの場合(ステップS809でYesの場合)、システム制御回路1043はLSNG信号のレベルがLowであるかを判定する(ステップS808)。
【0162】
LSNG信号がLowの場合(ステップS810でYesの場合)は、システム制御回路1043は記録終了アドレスに到達したかを判定する(ステップS809)。
【0163】
記録終了アドレスに到達した場合(ステップS809でYesの場合)、システム制御回路1043は記録信号処理回路1042に指示を出し、記録発光を停止する(ステップS814)。即ち、記録パワーでの発光を停止して再生パワーでの発光に変更する。
【0164】
一方、記録終了アドレスに到達していない場合(ステップS809でNoの場合)、ステップS806に戻り、データ記録動作を続行する。このためTROUT信号及びLSNG信号が共に常にLowレベルであった場合は、記録開始アドレスから記録終了アドレスまでデータ記録を続けることになり、一般的な光ディスク装置のデータ記録動作となる。
【0165】
ステップS808でLSNG信号がHighの場合(ステップS808でNoの場合)、システム制御回路1043はLSNG信号がHighであることを検出した時に記録しているアドレスを記憶する(ステップS811)。
【0166】
ここでLSNG信号のレベルがHighであったということは、レンズシフト量判定回路202によってレンズシフトが大きいと判定したことを意味する。この場合、本実施例においては記録信号処理回路1042に割り込みが入り、記録発光は中断されている。
【0167】
ステップS811の後、システム制御回路1043はLSNG信号のレベルがLowであるかを判定する(ステップS812)。LSNG信号のレベルがHighの場合(ステップS812でNoの場合)、ステップS812に戻り、LSNG信号のレベルがLowになるまで待つ。
【0168】
LSNG信号のレベルがLowの場合(ステップS812でYesの場合)、システム制御回路1043は、記録発光を停止した位置の手前へのシークを行い、続いてトラック追従動作を行う(ステップS813)。また、システム制御回路1043は記録信号処理回路1042に記録発光を停止した位置からの記録再開を指示する(フローチャートでは省略)。
【0169】
ここで記録発光を停止した位置とは、ステップS811にて記憶したアドレスよりも手前である。ステップS808においてシステム制御回路1043がLSNG信号を監視する周期は決まっているので、ステップS811にて記憶したアドレスに対してどれだけ手前にシークすれば、実際に記録発光を停止した位置よりも手前に位置付けられるかは算出可能である。
【0170】
続いて、記録信号処理回路1042は再生信号処理回路1036から得られるアドレス情報から、記録発光を停止した位置に到達したかどうかを判定する(ステップS814)。記録発光を停止した位置に到達していない場合(ステップS814でNoの場合)は、ステップS814に戻る。即ち、記録発光を停止した位置に到達するまで待つ動作となる。
【0171】
記録発光を停止した位置に到達した場合(ステップS814でYesの場合)、記録信号処理回路は記録発光を再開し(ステップS815)、ステップS806に戻る。
【0172】
ここでステップS815において記録信号処理回路1042が行う記録発光の再開とは、上述したように、記録発光を再開する位置がクラスタの途中であっても、記録を再開すべき位置に同期して記録発光を開始することを意味する。更には、エラー訂正符号付加、エンコード処理、変調処理などの処理についても、クラスタの途中から再開する。
【0173】
続いて、本実施例の効果について、図9を用いて説明する。
【0174】
図9は、外部振動として短時間に大きな加速度の衝撃が加わり、トラック外れが起こる場合の波形図である。
【0175】
図9(a)はレンズシフト量である。ECCは光ディスク101の持っている偏芯量であり、LS_SLIはスライダ駆動設計時に想定しているレンズシフト量である。またLSthはレンズシフト量判定回路202がレンズシフト量の大小を判断する閾値となるレンズシフト量を示している。LSthは言い換えると、レンズシフト量判定回路202におけるLE信号の閾値Vth_LEに相当するレンズシフト量と言える。
【0176】
また図9(b)は衝撃の加わった期間を模式的に示しており、Highレベルの期間、光ディスク装置に対して衝撃が加わっていることを示す。時刻tshは衝撃が加わりだした時刻である。
【0177】
図9からわかるように、時刻tshから加わる衝撃によって図9(a)のレンズシフト量も増加する。ここでスライダ制御回路1037はトラッキング制御回路1033の出力信号の平均値に基づいてスライダ駆動信号を出力する構成である。そのため一時的にレンズシフトが大きくなった場合でも、すぐにはスライダが駆動されない。そのため衝撃が加わると、図9に示すように大きなレンズシフトが発生しうる。
【0178】
図9(c)はクラスタの境界を示す信号であり、クラスタの境界で一瞬だけHighになる信号である。図9(d)はLSNG信号、また図9(e)及び(f)は記録発光中であることを模式的に示す信号であり、説明のためこの信号をWR信号と呼ぶことにする。WR信号はHighレベルの期間が記録発光していることを示す。
【0179】
図9(e)は実施例1の構成による場合のWR信号、図9(f)は本実施例による場合のWR信号を示している。また図9(g)は、TE信号を示しており、TE信号である。
【0180】
時刻t1は、時刻tshから加わりだした衝撃によって図9(a)のレンズシフト量が増加していき、レンズシフト量判定回路202によってレンズシフト量が大きいと判断した時刻である。また時刻t2は、時刻t1以降で初めてのクラスタ境界を通過する時刻である、
時刻toutはトラック外れが起こった時刻であり、ここでは時刻toutは時刻t1より後で時刻t2より前である場合を示している。
【0181】
実施例1では、LSNG信号がHighとなってから初めて通過するクラスタ境界に合わせて記録発光を停止する。そのため、WR信号は図9(e)に示すように、時刻t2でLowになる波形となる。
【0182】
ここで、大きな衝撃が加わった場合には対物レンズに大きな加速度がかかり、瞬間的に大きくレンズシフトする。そのため、レンズシフト量判定回路202によってレンズシフト量が大きいと判断した時刻t1から実際に記録発光を停止する時刻t2までの間に、図9(a)のAの矢印で示すようにレンズシフトは大きくなっている。
【0183】
衝撃の大きさが大きい場合には、時刻t1から時刻t2までの間に、図9(g)のようにトラック外れが起こる可能性がある。時刻outは時刻t1より後で時刻t2より前であるので、実施例1の場合には記録発光中にトラック外れが起こることになる。
【0184】
更に実施例1においてレンズシフト量判定回路202がレンズシフト量の大小を判断する閾値LSthは、正常なトラック外れ検出が難しくなるレンズシフト量として決定した。そのため、時刻t2においてはLSth以上のレンズシフトがある状態で起こるトラック外れであるので、図9(g)に示すように上下いずれかの振幅が小さくなっており、正常なトラック外れ検出ができない。
【0185】
一方で本実施例では、LSNG信号がHighとなった瞬間に、割り込みによって瞬時に記録発光を停止する。そのため、WR信号は図9(f)に示すように、時刻t1でLowになる波形となる。
【0186】
再生パワーでのTE信号と記録パワーでのTE信号に差異がないとすると、本実施例においても図9(g)のTE信号の波形は共通である。しかし実施例1とは、記録発光を停止した後にトラック外れが起こる点が異なる。
【0187】
そのため本実施例では、衝撃が加わった場合でも記録発光状態のまま隣接トラックを横切ってしまうことを回避し、記録済みデータを破壊してしまうのを回避できる。
【0188】
また図9から明らかなように、本実施例では、トラック外れが起こる前にレンズシフト量によって記録発光を瞬時に停止するという特徴がある。
【0189】
なお図9ではトラック外れが起こった時刻toutは時刻t1より後で時刻t2より前であるとして説明した。時刻t1よりも前にトラック外れが起こった場合には、レンズシフト量がLSth以下の状態でトラックが外れたことになるので、トラック外れが正常に検出でき、同様に記録済みデータの破壊は起こらない。
【0190】
このことから、トラック外れ検出回路201とレンズシフト量判定回路202の両方の出力を併用して記録動作を停止することで、劣化の大きい視野特性を有する光ピックアップであっても隣接するトラックのデータを破壊することを回避できる。
【0191】
以上の動作により、実施例2の光ディスク装置は、光ディスク装置の信頼性を向上させることができる。
【0192】
以上の実施例ではLE信号から生成したLSNG信号を元に、レンズシフトの大小を判定する構成とした。しかし、レンズシフト量を検出する方法は、これに限るものではない。例えば、ピックアップ内に対物レンズの変位を計測するセンサを設け、光ディスクからの反射光から生成したLE信号によらずにレンズシフト量を検出してもよい。
【0193】
以上の実施例では、光ディスク101の記録面上のアドレスは内周から外周に向かって増加している場合を用いて説明したが、例えばBlu−rayDiscの2層ディスクのL1層のように、記録面上のアドレスが外周から内周に向かって増加している場合であっても、本発明は同様に適用できる。
【0194】
以上の実施例では、光ディスク101はBlu−ray Discであるとし、最小記録単位は1クラスタとして説明した。しかし光ディスク101は、Blu−ray Disc以外の規格の光ディスクであっても構わない。その場合は、本明細書中で最小記録単位を1クラスタとして説明している箇所を、規格に沿った名称で置き換えればよい。
【0195】
さらに、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0196】
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0197】
101…光ディスク、102…ピックアップ、103…信号処理回路、104…スピンドルモータ、105…サーボエラー信号生成回路、106…RF信号生成回路、107…アクチュエータ駆動回路、108…スライダモータ駆動回路、109…スピンドルモータ駆動回路、110…スライダモータ、111…端子、1021…レーザパワー制御回路、1022…レーザ光源、1023…コリメートレンズ、1024…ビームスプリッタ、1025…立上ミラー、1026…アクチュエータ、1027…対物レンズ、1028…集光レンズ、1029…光検出器、1031…システム制御回路、1032…フォーカス制御回路、1033…トラッキング制御回路、1034…スイッチ、1035…サーボ制御信号生成回路、1036…再生信号処理回路、1037…スライダ制御回路、1038…スピンドル制御回路、1039…入出力回路、1040…バッファメモリ、1041…記録信号処理回路、1042…記録信号処理回路、1043…システム制御回路、201…トラック外れ検出回路、202…レンズシフト量判定回路、2011…減算器、2012…絶対値化回路、2013…コンパレータ、2014…立上りエッジ検出回路、2015…立下りエッジ検出回路、2016…タイマ、2017…コンパレータ、2021…減算器、2022…絶対値化回路、2023…コンパレータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに対してレーザ光を照射して情報の記録もしくは再生を行う光ディスク装置であって、
前記光ディスクを所定の回転軸を中心に回転させる光ディスク回転部と、
前記レーザ光の発光パワーを変更する発光パワー変更部と、
前記レーザ光の光スポットを前記光ディスク上に集光させる対物レンズと、
前記対物レンズを駆動するアクチュエータと、
前記光ディスクからの反射光量に応じた電気信号を出力する光検出部と、
前記光検出部の出力信号からフォーカスエラー信号を生成するフォーカスエラー信号生成部と、
前記光検出部の出力信号からトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成部と、
前記フォーカスエラー信号に基づいて、フォーカス制御を行うフォーカス制御部と、
前記トラッキングエラー信号に基づいて、トラッキング制御を行うトラッキング制御部と、
前記対物レンズのレンズシフトを検出するレンズシフト検出部と、を備え、
前記光ディスクに対して情報を記録中に、前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが所定量よりも大きいことを検出した場合に、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスクの最小記録単位の境界を検出する最小記録単位境界検出部と、を備え、
前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが大きいことを検出した場合に、前記最小記録単位の境界に同期して前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスクは最小記録単位を規定されており、
前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが大きいことを検出した場合に、前記最小記録単位よりも細かい精度で、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが大きいことを検出した場合に、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止し、その後に前記レーザ光の発光パワーを下げた位置に同期して前記レーザ光の発光パワーを再生パワーから記録パワーへ上げて情報の記録を開始することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが大きいことを検出した場合に、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止し、前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが小さいと判断した後、レーザ光の発光パワーを下げた位置に同期して前記レーザ光の発光パワーを再生パワーから記録パワーへ上げて情報の記録を開始することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記レンズシフト検出部は、前記光検出部の出力信号を元にレンズシフトを検出することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記トラッキング制御が前記光ディスク上のトラックを追従しきれなくなったことを検出するトラック外れ検出部を備え、
前記光ディスクに対して情報を記録中に、トラック外れ検出部によって前記トラッキング制御が前記光ディスク上のトラックを追従しきれなくなったことが検出された場合においても、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記トラッキング制御が前記光ディスク上のトラックを追従しきれなくなるよりも前に、前記レンズシフト検出部の検出結果によって、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスクに対して情報を記録中に、前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトの絶対値が略250μm付近よりも大きいことを検出した場合に、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項1】
光ディスクに対してレーザ光を照射して情報の記録もしくは再生を行う光ディスク装置であって、
前記光ディスクを所定の回転軸を中心に回転させる光ディスク回転部と、
前記レーザ光の発光パワーを変更する発光パワー変更部と、
前記レーザ光の光スポットを前記光ディスク上に集光させる対物レンズと、
前記対物レンズを駆動するアクチュエータと、
前記光ディスクからの反射光量に応じた電気信号を出力する光検出部と、
前記光検出部の出力信号からフォーカスエラー信号を生成するフォーカスエラー信号生成部と、
前記光検出部の出力信号からトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成部と、
前記フォーカスエラー信号に基づいて、フォーカス制御を行うフォーカス制御部と、
前記トラッキングエラー信号に基づいて、トラッキング制御を行うトラッキング制御部と、
前記対物レンズのレンズシフトを検出するレンズシフト検出部と、を備え、
前記光ディスクに対して情報を記録中に、前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが所定量よりも大きいことを検出した場合に、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスクの最小記録単位の境界を検出する最小記録単位境界検出部と、を備え、
前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが大きいことを検出した場合に、前記最小記録単位の境界に同期して前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスクは最小記録単位を規定されており、
前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが大きいことを検出した場合に、前記最小記録単位よりも細かい精度で、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが大きいことを検出した場合に、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止し、その後に前記レーザ光の発光パワーを下げた位置に同期して前記レーザ光の発光パワーを再生パワーから記録パワーへ上げて情報の記録を開始することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが大きいことを検出した場合に、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止し、前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトが小さいと判断した後、レーザ光の発光パワーを下げた位置に同期して前記レーザ光の発光パワーを再生パワーから記録パワーへ上げて情報の記録を開始することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記レンズシフト検出部は、前記光検出部の出力信号を元にレンズシフトを検出することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記トラッキング制御が前記光ディスク上のトラックを追従しきれなくなったことを検出するトラック外れ検出部を備え、
前記光ディスクに対して情報を記録中に、トラック外れ検出部によって前記トラッキング制御が前記光ディスク上のトラックを追従しきれなくなったことが検出された場合においても、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記トラッキング制御が前記光ディスク上のトラックを追従しきれなくなるよりも前に、前記レンズシフト検出部の検出結果によって、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスクに対して情報を記録中に、前記レンズシフト検出部が前記対物レンズのレンズシフトの絶対値が略250μm付近よりも大きいことを検出した場合に、前記レーザ光の発光パワーを記録パワーから再生パワーへ下げて情報の記録を停止することを特徴とする光ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−208979(P2012−208979A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73866(P2011−73866)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]