説明

光ディスク記録装置

【課題】探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当しても、テスト領域の記録済み領域終端を探索する探索処理を正常に終了させることができる光ディスク記録装置を提供する。
【解決手段】光ディスク記録装置は、光ピックアップと、前記光ピックアップをサーボ制御するサーボ制御部と、光ディスクのテスト領域にテストデータを書き込んで前記光ピックアップの最適記録パワー値を決定する決定部とを備える。前記決定部は、前記光ディスクが追記型光ディスクである場合に、前記テスト領域の記録済み領域終端を2分岐探索で探索する探索処理を行い、前記探索処理中に前記サーボ制御に関するサーボ外れが発生し前記サーボ外れから復帰できないときに、前記テスト領域の所定の位置からトレースして前記テスト領域の記録済み領域終端を見つける(ステップS130)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書き込み可能な光ディスクに情報の記録を行える光ディスク記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク記録装置が光ディスクへ記録を行う場合、記録層の感度、記録層の温度、記録速度などに違いが生じるため、予め定められたレーザーパワーで書き込みを行ったのでは、常に一定の品質でデータ記録を行うことはできない。
【0003】
そこで、以前より、データ記録の際には、光ディスクの内周部に設けられたテスト領域に記録パワーを変化させながらテストデータを書き込み、そのテスト領域に書き込んだテストデータを再生して再生信号の特性を評価することで、最適なレーザーパワーを決定するOPC(Optimum Power Control)処理を行って、その後、その最適なレーザーパワーを用いてデータ記録を行うようにしている。
【0004】
追記型光ディスクのOPC処理では、テスト領域にテストデータを書き込む前に、どの位置からテストデータを追記して良いかを調べる為に、テスト領域の記録済み領域終端を探索する探索処理が行われる。当該探索処理は、処理時間の短縮を図るために、通常2分岐探索で行われる。
【0005】
ここで、2分岐探索について図4及び図5を参照して説明する。図4及び図5は追記型光ディスクのテスト領域を模式的に示す図である。2分岐探索では、まずテスト領域を2分岐した位置である1回目の探索箇所に光ピックアップを移動させ、1回目の探索箇所が記録済みか否かを確認する。1回目の探索箇所が図4に示すように記録済みでなければ、1回目の探索により2分岐された領域の外周側を2分岐した位置である2回目の探索箇所に光ピックアップを移動させ、2回目の探索箇所が記録済みか否かを確認する。これに対して、1回目の探索箇所が図5に示すように記録済みであれば、1回目の探索により2分岐された領域の内周側を2分岐した位置である2回目の探索箇所に光ピックアップを移動させ、2回目の探索箇所が記録済みか否かを確認する。上記のような探索を複数回繰り返し、最終の探索箇所からトレースして記録済み領域終端を探索する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−358648号公報
【特許文献2】特開2005−44430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の光ディスク記録装置では、例えば図6に示すように探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所(傷があったり高パワーでテストデータが書き込まれている箇所)DPに該当し、そのダメージ箇所DPでサーボ外れが生じて探索箇所が記録済みか否かを確認することができない場合、所定回数(例えば数十回)リトライし、それでも探索箇所が記録済みか否かを確認することができなければ、探索処理をエラー終了している。このように探索処理をエラー終了してしまった場合、光ディスクからの情報を読み出して再生することはできるが、光ディスクに情報を記録することができなくなってしまうという問題が生じる。
【0008】
尚、特許文献1及び特許文献2には、OPC処理に関連する技術が開示されているが、探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当した場合に、テスト領域の記録済み領域終端を探索する探索処理がエラー終了してしまうことを防止することができる技術に関しては何ら開示も示唆もされていない。
【0009】
本発明は、上記の状況に鑑み、探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当しても、テスト領域の記録済み領域終端を探索する探索処理を正常に終了させることができる光ディスク記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係る光ディスク記録装置は、光ディスクに光を照射すると共に、前記光ディスクからの戻り光を光検出器で検出する光ピックアップと、前記光検出器から出力される電気信号を信号処理することよって生成される信号に基づいて前記光ピックアップをサーボ制御するサーボ制御部と、前記光ディスクのテスト領域にテストデータを書き込んで前記光ピックアップの最適記録パワー値を決定する決定部とを備え、前記決定部は、前記光ディスクが追記型光ディスクである場合に、前記テスト領域の記録済み領域終端を2分岐探索で探索する探索処理を行い、前記探索処理中に前記サーボ制御に関するサーボ外れが発生し前記サーボ外れから復帰できないときに、前記テスト領域の所定の位置からトレースして前記テスト領域の記録済み領域終端を見つける構成(第1の構成)とする。
【0011】
このような構成によると、探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当し、そのダメージ箇所でサーボ外れが生じて探索箇所が記録済みか否かを確認することができない場合であっても、探索処理をエラー終了することなく、テスト領域の所定の位置からトレースして記録済み領域の終端を見つける処理を実行することで、探索処理を正常に終了させることができる。
【0012】
また、上記第1の構成の光ディスク記録装置において、前記決定部は、前記探索処理中に前記サーボ制御に関するサーボ外れが発生したときに、前記サーボ制御への引き込みをリトライし、リトライ回数が上限に達しても前記サーボ制御への引き込みが成功しなければ、前記サーボ外れから復帰できないと判断する構成(第2の構成)にしてもよい。
【0013】
また、上記第1又は第2の構成の光ディスク記録装置において、前記光ディスクが追記型光ディスクである場合に、前記テストデータの追記方向が前記光ディスクの外周から内周に向かう方向である構成(第3の構成)にしてもよい。
【0014】
また、上記第1〜第3のいずれかの構成の光ディスク記録装置において、前記2分岐探索において、1回目の探索箇所は前記テスト領域を2分岐した位置であり、k(kは2以上の整数)回目の探索箇所は、(k−1)回目の探索箇所が記録済みでなければ(k−1)回目の探索により2分岐された領域の外周側を2分岐した位置であり、(k−1)回目の探索箇所が記録済みであれば(k−1)回目の探索により2分岐された領域の内周側を2分岐した位置である構成(第4の構成)としてもよい。
【0015】
また、上記第1〜第4のいずれかの構成の光ディスク記録装置において、前記テスト領域の所定の位置は、前記テスト領域の両端部のうち、記録済み領域の始端にならない方の端部である構成としてもよい。
【0016】
また、上記第1〜第4のいずれかの構成の光ディスク記録装置において、前記テスト領域の所定の位置は、前記2分岐探索での未記録領域の探索箇所のうち最も後に探索した探索箇所である構成としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る光ディスク記録装置によると、テスト領域の記録済み領域終端を2分岐探索で探索する探索処理中に前記サーボ制御に関するサーボ外れが発生し前記サーボ外れから復帰できないときに、前記テスト領域の所定の位置からトレースして前記テスト領域の記録済み領域終端を見つけるので、探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当し、そのダメージ箇所でサーボ外れが生じて探索箇所が記録済みか否かを確認することができない場合であっても、探索処理をエラー終了することなく、テスト領域の所定の位置からトレースして記録済み領域の終端を見つける処理を実行することで、探索処理を正常に終了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る光ディスク記録装置の一概略構成例を示す図である。
【図2】図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置が行う追記型光ディスクのOPC処理の一部である探索処理を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置が行う追記型光ディスクのOPC処理の一部である探索処理の変形例を示すフローチャートである。
【図4】追記型光ディスクのテスト領域を模式的に示す図である。
【図5】追記型光ディスクのテスト領域を模式的に示す図である。
【図6】追記型光ディスクのテスト領域を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置の概略構成を図1に示す。
【0020】
図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置は、CD−R/RW、DVD−R/RW、DVD+R/RW、DVD−RAM及びBD−R/REといった書き込み可能な光ディスクODに情報の書き込みを行うことができる装置であって、スピンドルモータ1と、スピンドルモータ駆動部2と、光ピックアップ3と、エンコーダ4と、レーザ駆動部5と、信号処理部6と、サーボ制御部7と、ドライバ8と、入力部9と、記憶部10と、システムコントローラ11とを備える。なお、図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置は記録機能に加え再生機能も有している。
【0021】
スピンドルモータ1は、その出力軸がターンテーブル(不図示)に連結される。そして、そのターンテーブルは光ディスクODを着脱可能に保持できるようになっている。これにより、スピンドルモータ1を回転させることで光ディスクODを回転させることが可能となっている。
【0022】
なお、スピンドルモータ1は、スピンドルモータ駆動部2に接続されている。スピンドルモータ1の駆動制御は、システムコントローラ11の管理下において、スピンドルモータ駆動部2によって行われる。
【0023】
光ピックアップ3は、所定の波長のレーザ光を出射する半導体レーザ光源(不図示)と、半導体レーザ光源から出射されたレーザ光を光ディスクODの記録層に集光する対物レンズ(不図示)と、光ディスクODで反射されたレーザ光を受光して光電変換を行う光検出器(不図示)とを備える。また、光ピックアップ3は、移動手段(不図示)によって、光ディスクODの半径方向(図1の左右方向)に対して平行な方向に移動可能となっている。
【0024】
スピンドルモータ1によって光ディスクODを回転させて、光ピックアップ3の位置を適宜移動させることにより、光ピックアップ3から出射されるレーザ光のスポット位置を、光ディスクODの記録可能領域の全域に移動できる。したがって、光ピックアップ3を用いて、光ディスクODの記録可能領域の全てに情報を記録することが可能となる。
【0025】
なお、上述のように、図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置は、CD系、DVD系、及びBD系のディスクに対応している。このため、半導体レーザ光源は、例えば、波長780nm帯の赤外レーザビーム(CD用レーザビーム)と、波長650nm帯の赤色レーザビーム(DVD用レーザビーム)とを出射できる2波長一体型LD(Laser Diode)と、405nm帯の青色レーザビーム(BD用レーザビーム)を出射できるLDとによって構成される。
【0026】
また、光ピックアップ3が備える対物レンズは、対物レンズアクチュエータ(不図示)によって、光軸方向に対して平行な方向(図1の上下方向)であるフォーカス方向と、光ディスクODの半径方向に対して平行な方向(図1の左右方向)であるトラッキング方向とに移動可能となっている。これは、対物レンズの焦点位置が常に光ディスクODの記録層に合うように制御するフォーカス制御と、対物レンズによって集光されたビームスポットの位置が常に光ディスクODに形成されるトラックに追随するように制御するトラッキング制御とを行えるようにするためである。
【0027】
また、光ピックアップ3を移動させる移動手段は、例えば、固定部分に配置されるスライドモータ(不図示)と、スライドモータの回転によって回転されるピニオン(不図示)と、光ピックアップ3本体に取り付けられるラック(不図示)とによって構成される。このような構成によると、ラックとピニオンの関係を利用して、光ピックアップ3の移動が実現される。
【0028】
エンコーダ4は、システムコントローラ11から供給された情報について、所定の方式で符号化処理を行い、その符号化された情報に基づいて記録パルスを作成し、その記録パルスをレーザ駆動部5に出力する。レーザ駆動部5は、エンコーダ4から出力される記録パルスにしたがって、光ピックアップ3の半導体レーザ光源を発振させる。また、レーザ駆動部5は、光ディスクODの種類によって、光ピックアップ3の半導体レーザ光源から出射されるレーザ光の波長を切り替える機能も有する。
【0029】
信号処理部6は、光ピックアップ3に備えられ複数の領域に分割される光検出器から出力される電気信号を演算処理し、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、及びウォブル信号を生成する。これらの信号は、サーボ制御部7に送られる。また、信号処理部6は、光ピックアップ3に備えられる光検出器の各分割領域から出力される電気信号を総加算し、RF信号を生成してシステムコントローラ11のA/D変換入力ポート(不図示)に送出する。
【0030】
サーボ制御部7は、信号処理部6から送られてきたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を用いて、ドライバ8を介してフォーカス制御及びトラッキング制御を行う。また、サーボ制御部7は、ドライバ8を介して、光ディスクODの半径方向に対して平行な方向での光ピックアップ3の移動についても制御する。なお、サーボ制御部7は、ウォブル中にアドレス信号が含まれている場合には、アドレス生成を行う機能も有する。
【0031】
ドライバ8は、サーボ制御部7からの指令にしたがって、上述の光ピックアップ3を移動させる移動手段と、対物レンズアクチュエータとを駆動させる回路である。
【0032】
入力部9は、例えば、複数の入力ボタン(不図示)及び/又はリモートコントローラ送信機から送信されるリモートコントロール信号を受信する受信部(不図示)から成り、ユーザーからの指示内容を入力し、その指示内容をシステムコントローラ11に送出する。
【0033】
記憶部10は、各種のプログラムやデータを記憶しており、システムコントローラ11用の作業メモリや一時記憶メモリとしても機能する。
【0034】
システムコントローラ11は、図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置を構成する各部が実行すべき所要の動作に応じて適宜制御処理を実行する。
【0035】
次に、図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置が行う追記型光ディスクのOPC処理の一部である探索処理について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。尚、図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置が行う追記型光ディスクのOPC処理の一部である探索処理は、2分岐探索での探索処理である。
【0036】
光ディスクODが追記型光ディスクである場合にシステムコントローラ11が書き込みコマンドを受け付けると、図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置は図2に示すフローチャートの動作を開始する。
【0037】
まず、ステップS10において、システムコントローラ11は、記憶部10に記憶されているパラメータNを1にする。
【0038】
ステップS10に続くステップS20では、ドライバ8は、システムコントローラ11からの制御にしたがって、N回目の探索箇所に光スポットがくるように光ピックアップ3を移動させる。パラメータNが1である場合、N回目の探索箇所はテスト領域を2分岐した位置である。パラメータNが2以上である場合、N回目の探索箇所は、(N−1)回目の探索箇所が記録済みでなければ(N−1)回目の探索により2分岐された領域の外周側を2分岐した位置であり、(N−1)回目の探索箇所が記録済みであれば(N−1)回目の探索により2分岐された領域の内周側を2分岐した位置である。
【0039】
ステップS20に続くステップS30では、システムコントローラ11は、サーボ制御部7から送られてくるサーボ制御の状態を示す情報に基づいて、N回目の探索箇所でサーボ外れが発生していないか否かを判定する。
【0040】
N回目の探索箇所でサーボ外れが発生していなければ(ステップS30のNO)、システムコントローラ11は、パラメータNが所定数に達したか否かを判定する(ステップS40)。パラメータNが所定数に達していなければ(ステップS40のNO)、システムコントローラ11は、パラメータNを1つインクリメントして記憶部10に記憶させてから(ステップS50)、ステップS20に移行する。パラメータNが所定数に達していれば(ステップS40のYES)、後述するステップS80に移行する。
【0041】
一方、N回目の探索箇所でサーボ外れが発生すれば(ステップS30のYES)、システムコントローラ11は、サーボ制御への引き込みのリトライ回数が上限(例えば数十回)に達したか否かを判定する(ステップS60)。サーボ制御への引き込みのリトライ回数が上限に達していなければ(ステップS60のNO)、システムコントローラ11は、サーボ制御への引き込みのリトライをサーボ制御部7に命じてから(ステップS70)、ステップS30に移行する。サーボ制御への引き込みのリトライ回数が上限に達すれば(ステップS60のYES)、後述するステップS130に移行する。
【0042】
ステップS80では、ドライバ8は、システムコントローラ11からの制御にしたがって、最終の探索箇所からトレースを開始するように、光ディスク3を移動させる。(ステップS80)。最終の探索箇所が記録済みであれば、テストデータの追記方向が最終の探索箇所からのトレース方向になり、最終の探索箇所が記録済みでなければ、テストデータの追記方向の逆方向が最終の探索箇所からのトレース方向になる。
【0043】
最終の探索箇所が記録済みであれば、トレース中の或るトレース箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当し、そのダメージ箇所でサーボ外れが生じてトレース中の或るトレース箇所が記録済みか否かを確認することができないおそれがある。そこで、ステップS80に続くステップS90では、システムコントローラ11は、サーボ制御部7から送られてくるサーボ制御の状態を示す情報に基づいて、トレース中にサーボ外れが発生していないか否かを判定する(ステップS90)。
【0044】
トレース中にサーボ外れが発生していなければ(ステップS90のNO)、システムコントローラ11は、信号処理部6から送られてくるRF信号に基づいて、記録済み領域の終端を発見したか否かを判定する(ステップS100)。記録済み領域の終端が発見されていなければ(ステップS100のNO)、ステップS90に移行して、トレースを続行する。記録済み領域の終端が発見されると(ステップS100のYES)、本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置は探索処理を正常終了させる。
【0045】
一方、トレース中にサーボ外れが発生すれば(ステップS90のYES)、システムコントローラ11は、サーボ制御への引き込みのリトライ回数が上限(例えば数十回)に達したか否かを判定する(ステップS110)。サーボ制御への引き込みのリトライ回数が上限に達していなければ(ステップS110のNO)、システムコントローラ11は、サーボ制御への引き込みのリトライをサーボ制御部7に命じてから(ステップS120)、ステップS90に移行する。サーボ制御への引き込みのリトライ回数が上限に達すれば(ステップS110のYES)、後述するステップS130に移行する。
【0046】
ステップS130では、ドライバ8は、システムコントローラ11からの制御にしたがって、テスト領域の先頭位置からトレースして記録済み領域の終端を見つけるように、光ディスク3を移動させる。そして、そのトレースによって記録済み領域の終端が見つかると、探索処理を正常終了させる。ここで、テスト領域の先頭位置は、テスト領域の両端部のうち、記録済み領域の始端にならない方の端部である。
【0047】
上記のような動作により、探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当し、そのダメージ箇所でサーボ外れが生じて探索箇所が記録済みか否かを確認することができない場合であっても、探索処理をエラー終了することなく、テスト領域の先頭位置からトレースして記録済み領域の終端を見つける処理を実行することで、探索処理を正常に終了させることができる。
【0048】
図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置では、テスト領域の先頭位置からトレースして記録済み領域の終端を見つける処理を実行した場合、従来よりも探索処理に要する時間が長くなるが、あくまで、探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当し、そのダメージ箇所でサーボ外れが生じて探索箇所が記録済みか否かを確認することができない場合の例外的な処理であり、探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当しない場合には、従来と同様に処理時間で探索処理を正常に終了させることができる。
【0049】
また、図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置が、図2に示すフローチャートの動作の代わりに、図3に示すフローチャートの動作を行うようにしてもよい。
【0050】
図3に示すフローチャートは、図2に示すフローチャートにおいてステップS130をステップS140に置換したものである。
【0051】
ステップS140では、ドライバ8は、システムコントローラ11からの制御にしたがって、未記録領域の探索箇所のうち最も後に探索した探索箇所からトレースして記録済み領域の終端を見つけるように、光ディスク3を移動させる。そして、そのトレースによって記録済み領域の終端が見つかると、探索処理を正常終了させる。
【0052】
図3に示すフローチャートの動作により、探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当し、そのダメージ箇所でサーボ外れが生じて探索箇所が記録済みか否かを確認することができない場合であっても、探索処理をエラー終了することなく、未記録領域の探索箇所のうち最も後に探索した探索箇所からトレースして記録済み領域の終端を見つける処理を実行することで、探索処理を正常に終了させることができる。
【0053】
また、図3に示すフローチャートの動作では、探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当し、そのダメージ箇所でサーボ外れが生じて探索箇所が記録済みか否かを確認することができない場合に、テスト領域の先頭位置からトレースするのではなく、未記録領域の探索箇所のうち最も後に探索した探索箇所からトレースして記録済み領域の終端を見つける処理を実行する。したがって、図3に示すフローチャートの動作では、探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当し、そのダメージ箇所でサーボ外れが生じて探索箇所が記録済みか否かを確認することができない場合の例外的な処理に要する時間が、図2に示すフローチャートの動作に比べて短くなる。
【0054】
ただし、図3に示すフローチャートの動作では、探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当し、そのダメージ箇所でサーボ外れが生じて探索箇所が記録済みか否かを確認することができない場合に備えて、未記録領域の探索箇所のうち最も後に探索した探索箇所を記憶しておく必要があるため、図2に示すフローチャートの動作に比べて処理が複雑になる。
【0055】
また、1回目の探索箇所が記録済み領域内のダメージ箇所に該当する場合、ステップS140の実行が不可能になってしまうので、図に示すフローチャートの動作において、ステップS110からステップS140に移行したにもかかわらず、ステップS140の実行が不可能である場合には、ステップS140の代わりにステップS130を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 スピンドルモータ
2 スピンドルモータ駆動部
3 光ピックアップ
4 エンコーダ
5 レーザ駆動部
6 信号処理部
7 サーボ制御部
8 ドライバ
9 入力部
10 記憶部
11 システムコントローラ
DP 記録済み領域内のダメージ箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに光を照射すると共に、前記光ディスクからの戻り光を光検出器で検出する光ピックアップと、
前記光検出器から出力される電気信号を信号処理することよって生成される信号に基づいて前記光ピックアップをサーボ制御するサーボ制御部と、
前記光ディスクのテスト領域にテストデータを書き込んで前記光ピックアップの最適記録パワー値を決定する決定部とを備え、
前記決定部は、
前記光ディスクが追記型光ディスクである場合に、前記テスト領域の記録済み領域終端を2分岐探索で探索する探索処理を行い、
前記探索処理中に前記サーボ制御に関するサーボ外れが発生し前記サーボ外れから復帰できないときに、前記テスト領域の所定の位置からトレースして前記テスト領域の記録済み領域終端を見つけることを特徴とする光ディスク記録装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記探索処理中に前記サーボ制御に関するサーボ外れが発生したときに、前記サーボ制御への引き込みをリトライし、リトライ回数が上限に達しても前記サーボ制御への引き込みが成功しなければ、前記サーボ外れから復帰できないと判断する請求項1に記載の光ディスク記録装置。
【請求項3】
前記光ディスクが追記型光ディスクである場合に、前記テストデータの追記方向が前記光ディスクの外周から内周に向かう方向である請求項1または請求項2に記載の光ディスク記録装置。
【請求項4】
前記2分岐探索において、1回目の探索箇所は前記テスト領域を2分岐した位置であり、k(kは2以上の整数)回目の探索箇所は、(k−1)回目の探索箇所が記録済みでなければ(k−1)回目の探索により2分岐された領域の外周側を2分岐した位置であり、(k−1)回目の探索箇所が記録済みであれば(k−1)回目の探索により2分岐された領域の内周側を2分岐した位置である請求項3に記載の光ディスク記録装置。
【請求項5】
前記テスト領域の所定の位置は、前記テスト領域の両端部のうち、記録済み領域の始端にならない方の端部である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ディスク記録装置。
【請求項6】
前記テスト領域の所定の位置は、前記2分岐探索での未記録領域の探索箇所のうち最も後に探索した探索箇所である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ディスク記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−16223(P2013−16223A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147943(P2011−147943)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】