説明

光ディスク記録装置

【課題】記録層を3層以上備える追記型光ディスクを対象としたOPC処理の際にトラッキングサーボ外れが発生することを抑制することができる光ディスク記録装置を提供する。
【解決手段】記録層を単層又は2層のみ備える追記型光ディスクを対象としたOPC処理の際に、光ピックアップの記録パワー値を、標準記録パワー値の(100−A)%以上(100+B)%以下の範囲で変化させ、前記追記型光ディスクと同種の記録層を3層以上備える追記型光ディスクを対象としたOPC処理の際に、光ピックアップの記録パワー値を、標準記録パワー値の(100−C)%以上(100+D)%以下の範囲で変化させ、前記Dを前記Bよりも小さく設定する光ディスク記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書き込み可能な光ディスクに情報の記録を行える光ディスク記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)等の各種光ディスクが普及している。そして、記録層を3層以上備える光ディスクとしては、現在、2010年6月に策定されたBDXL規格に準拠したBDが存在している。
【0003】
BDXL規格はBDの拡張使用であるため、BDXL規格に準拠したBDに対応可能な光ディスク記録装置は、後方互換性を確保した構成、すなわち、記録層を単層又は2層のみ備えるBDにも対応可能な構成であることが一般的である。
【0004】
光ディスク記録装置が光ディスクへ記録を行う場合、記録層の感度、記録層の温度、記録速度などに違いが生じるため、予め定められたレーザーパワーで書き込みを行ったのでは、常に一定の品質でデータ記録を行うことはできない。
【0005】
そこで、以前より、データ記録の際には、光ディスクの内周部に設けられたテスト領域に記録パワーを変化させながらテストデータを書き込み、そのテスト領域に書き込んだテストデータを再生して再生信号の特性を評価することで、最適なレーザーパワーを決定するOPC(Optimum Power Control)処理を行って、その後、その最適なレーザーパワーを用いてデータ記録を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−129155号公報
【特許文献2】特開2008−130138号公報
【特許文献3】特開2009−43297号公報
【特許文献4】特開2007−35237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、BDXL規格に準拠したBDに対応可能であって後方互換性を確保している光ディスク記録装置において、BDXL規格に準拠した記録層を3層又は4層備える追記型BD(BD−R TL/QL)を対象としたOPC処理に関して、従来のOPC処理、すなわち、記録層を単層又は2層のみ備える追記型BD(BD−R SL/DL)を対象としたOPC処理を踏襲しただけでは、BDXL規格に準拠した記録層を3層又は4層備える追記型BD(BD−R TL/QL)を対象としたOPC処理の際にトラッキングサーボ外れが発生するおそれがあった。
【0008】
なお、特許文献1では、OPCのバラツキ及びIPOW(Inter Power Over Write)特性を考慮した最適な記録パワーを決定することができる光ディスクドライブが開示されているが、記録層を3層以上備える追記型光ディスクを対象としたOPC処理の際にトラッキングサーボ外れが発生するという問題に対する解決策は何ら開示も示唆もされていない。
【0009】
また、特許文献2では、書き換え可能な光ディスクに対し、OPU動作を迅速に行うとともに、未記録、記録済の両領域に対する適切な記録パワーを設定することができる光ディスク記録装置が開示されているが、記録層を3層以上備える追記型光ディスクを対象としたOPC処理の際にトラッキングサーボ外れが発生するという問題に対する解決策は何ら開示も示唆もされていない。
【0010】
また、特許文献3では、光ディスク媒体への記録パワーを粗い刻みで変化させて振幅情報を取得した後、記録パワーが小さい領域で記録パワーを細かい刻みで変化させて振幅情報を取得することで、PCA(Power Calibration Area)領域に記載されたデータの振幅情報から抽出する最適記録パワーのばらつきを低減させることにより、安定した記録を実行することができる光ディスク装置が開示されているが、記録層を3層以上備える追記型光ディスクを対象としたOPC処理の際にトラッキングサーボ外れが発生するという問題に対する解決策は何ら開示も示唆もされていない。
【0011】
また、特許文献4では、光ディスク面内の特性にバラつきがある場合でも光ディスクの特性に応じた最適な記録レーザーパワーで記録できるように、光ディスクにデータを記録処理するのに先立ち、光ディスクの内周部位と外周部位とにおいて、OPC学習に基づいて最適記録パワーを演算する光ディスク記録制御装置が開示されているが、記録層を3層以上備える追記型光ディスクを対象としたOPC処理の際にトラッキングサーボ外れが発生するという問題に対する解決策は何ら開示も示唆もされていない。
【0012】
本発明は、上記の状況に鑑み、記録層を3層以上備える追記型光ディスクを対象としたOPC処理の際にトラッキングサーボ外れが発生することを抑制することができる光ディスク記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明に係る光ディスク記録装置は、光ディスクに光を照射すると共に、前記光ディスクからの戻り光を光検出器で検出する光ピックアップと、前記光ピックアップの記録パワー値を変化させて前記光ディスクのテスト領域にテストデータを書き込んで前記光ピックアップの最適記録パワー値を決定する決定部とを備え、前記決定部は、前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクが特定の波長帯のレーザビームが照射されることにより情報の再生または記録がなされる記録層を単層又は2層のみ備える追記型光ディスクである場合、前記光ピックアップの記録パワー値を、前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100−A)%以上、前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100+B)%以下の範囲で変化させ、前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクが特定の波長帯のレーザビームが照射されることにより情報の再生または記録がなされる記録層を3層以上備える追記型光ディスクである場合、前記光ピックアップの記録パワー値を、前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100−C)%以上、前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100+D)%以下の範囲で変化させ、前記A、前記B、前記C、前記Dをいずれも0より大きく100より小さい値に設定し、前記Dを前記Bよりも小さく設定する構成(第1の構成)とする。なお、記録層を単層のみ備える追記型光ディスクと記録層を2層のみ備える追記型光ディスクとで、前記Aを異なる値に設定してもよく、前記Bを異なる値に設定してもよい。また、記録層を3層以上備える追記型光ディスクで、記録層の層数に応じて前記Cを異なる値に設定してもよく、記録層の層数に応じて前記Dを異なる値に設定してもよい。
【0014】
このような構成によると、光ディスク記録装置に装着されている光ディスクが記録層を3層以上備える追記型光ディスクである場合、単層又は2層のみ備える追記型光ディスクである場合に比べて、光ピックアップの最適記録パワー値を決定する処理(OPC処理)での光ピックアップの記録パワー値の上限に制限がかかる。したがって、光ディスク記録装置に装着されている光ディスクが記録層を3層以上備える追記型光ディスクである場合に、大きな記録パワーでテストデータが書き込まれた箇所でトラック(溝)がつぶれてトラッキングサーボ外れが発生してしまうことを抑制することができる。
【0015】
また、上記第1の構成の光ディスク記録装置において、前記決定部は、前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクに予め記録されているディスク情報を参考にして、前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値を設定する構成(第2の構成)にしてもよい。
【0016】
また、上記第1又は第2の構成の光ディスク記録装置において、前記決定部は、前記Aと前記Bとを同一に設定し、前記Cと前記Dとを同一に設定する構成(第3の構成)にしてもよい。
【0017】
また、上記第1〜第3のいずれかの構成の光ディスク記録装置において、前記特定の波長帯のレーザビームが照射されることにより情報の再生または記録がなされる記録層を単層又は2層のみ備える追記型光ディスクがBDであり、前記特定の波長帯のレーザビームが照射されることにより情報の再生または記録がなされる記録層を3層以上備える追記型光ディスクが、BDXL規格に準拠したBDである構成にしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る光ディスク記録装置によると、光ディスク記録装置に装着されている光ディスクが記録層を3層以上備える追記型光ディスクである場合、単層又は2層のみ備える追記型光ディスクである場合に比べて、光ピックアップの最適記録パワー値を決定する処理(OPC処理)での光ピックアップの記録パワー値の上限に制限がかかる。したがって、光ディスク記録装置に装着されている光ディスクが記録層を3層以上備える追記型光ディスクである場合に、大きな記録パワーでテストデータが書き込まれた箇所でトラック(溝)がつぶれてトラッキングサーボ外れが発生してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る光ディスク記録装置の一概略構成例を示す図である。
【図2】図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置が行う追記型BDを対象としたOPC処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置の概略構成を図1に示す。
【0021】
図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置は、CD−R/RW、DVD−R/RW、DVD+R/RW、DVD−RAM及びBD−R/REといった書き込み可能な光ディスクODに情報の書き込みを行うことができる装置であって、スピンドルモータ1と、スピンドルモータ駆動部2と、光ピックアップ3と、エンコーダ4と、レーザ駆動部5と、信号処理部6と、サーボ制御部7と、ドライバ8と、入力部9と、記憶部10と、システムコントローラ11とを備える。なお、図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置は記録機能に加え再生機能も有している。
【0022】
スピンドルモータ1は、その出力軸がターンテーブル(不図示)に連結される。そして、そのターンテーブルは光ディスクODを着脱可能に保持できるようになっている。これにより、スピンドルモータ1を回転させることで光ディスクODを回転させることが可能となっている。
【0023】
なお、スピンドルモータ1は、スピンドルモータ駆動部2に接続されている。スピンドルモータ1の駆動制御は、システムコントローラ11の管理下において、スピンドルモータ駆動部2によって行われる。
【0024】
光ピックアップ3は、所定の波長のレーザ光を出射する半導体レーザ光源(不図示)と、半導体レーザ光源から出射されたレーザ光を光ディスクODの記録層に集光する対物レンズ(不図示)と、光ディスクODで反射されたレーザ光を受光して光電変換を行う光検出器(不図示)とを備える。また、光ピックアップ3は、移動手段(不図示)によって、光ディスクODの半径方向(図1の左右方向)に対して平行な方向に移動可能となっている。
【0025】
スピンドルモータ1によって光ディスクODを回転させて、光ピックアップ3の位置を適宜移動させることにより、光ピックアップ3から出射されるレーザ光のスポット位置を、光ディスクODの記録可能領域の全域に移動できる。したがって、光ピックアップ3を用いて、光ディスクODの記録可能領域の全てに情報を記録することが可能となる。
【0026】
なお、上述のように、図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置は、CD系、DVD系、及びBD系のディスクに対応している。このため、半導体レーザ光源は、例えば、波長780nm帯の赤外レーザビーム(CD用レーザビーム)と、波長650nm帯の赤色レーザビーム(DVD用レーザビーム)とを出射できる2波長一体型LD(Laser Diode)と、405nm帯の青色レーザビーム(BD用レーザビーム)を出射できるLDとによって構成される。
【0027】
また、光ピックアップ3が備える対物レンズは、対物レンズアクチュエータ(不図示)によって、光軸方向に対して平行な方向(図1の上下方向)であるフォーカス方向と、光ディスクODの半径方向に対して平行な方向(図1の左右方向)であるトラッキング方向とに移動可能となっている。これは、対物レンズの焦点位置が常に光ディスクODの記録層に合うように制御するフォーカス制御と、対物レンズによって集光されたビームスポットの位置が常に光ディスクODに形成されるトラックに追随するように制御するトラッキング制御とを行えるようにするためである。
【0028】
また、光ピックアップ3を移動させる移動手段は、例えば、固定部分に配置されるスライドモータ(不図示)と、スライドモータの回転によって回転されるピニオン(不図示)と、光ピックアップ3本体に取り付けられるラック(不図示)とによって構成される。このような構成によると、ラックとピニオンの関係を利用して、光ピックアップ3の移動が実現される。
【0029】
エンコーダ4は、システムコントローラ11から供給された情報について、所定の方式で符号化処理を行い、その符号化された情報に基づいて記録パルスを作成し、その記録パルスをレーザ駆動部5に出力する。レーザ駆動部5は、エンコーダ4から出力される記録パルスにしたがって、光ピックアップ3の半導体レーザ光源を発振させる。また、レーザ駆動部5は、光ディスクODの種類によって、光ピックアップ3の半導体レーザ光源から出射されるレーザ光の波長を切り替える機能も有する。レーザ駆動部5が半導体レーザ光源に供給する駆動電流を変更することで、光ピックアップ3の記録パワー値の変更が実現される。
【0030】
信号処理部6は、光ピックアップ3に備えられ複数の領域に分割される光検出器から出力される電気信号を演算処理し、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、及びウォブル信号を生成する。これらの信号は、サーボ制御部7に送られる。また、信号処理部6は、光ピックアップ3に備えられる光検出器の各分割領域から出力される電気信号を総加算し、RF信号を生成してシステムコントローラ11のA/D変換入力ポート(不図示)に送出する。
【0031】
サーボ制御部7は、信号処理部6から送られてきたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を用いて、ドライバ8を介してフォーカス制御及びトラッキング制御を行う。また、サーボ制御部7は、ドライバ8を介して、光ディスクODの半径方向に対して平行な方向での光ピックアップ3の移動についても制御する。なお、サーボ制御部7は、ウォブル中にアドレス信号が含まれている場合には、アドレス生成を行う機能も有する。
【0032】
ドライバ8は、サーボ制御部7からの指令にしたがって、上述の光ピックアップ3を移動させる移動手段と、対物レンズアクチュエータとを駆動させる回路である。
【0033】
入力部9は、例えば、複数の入力ボタン(不図示)及び/又はリモートコントローラ送信機から送信されるリモートコントロール信号を受信する受信部(不図示)から成り、ユーザーからの指示内容を入力し、その指示内容をシステムコントローラ11に送出する。
【0034】
記憶部10は、各種のプログラムやデータを記憶しており、システムコントローラ11用の作業メモリや一時記憶メモリとしても機能する。
【0035】
システムコントローラ11は、図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置を構成する各部が実行すべき所要の動作に応じて適宜制御処理を実行する。
【0036】
図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置は、光ディスクODが挿入されると、スピンドルモータ1によって光ディスクODを少し回転させるとともに光ピックアップ3を駆動させ、光ディスクODからディスク情報(DI:Disc Information)を読み出す処理である所謂マウント処理を行う。
【0037】
次に、図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置が行う追記型BDを対象としたOPC処理について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0038】
光ディスクODが追記型BDである場合にシステムコントローラ11が書き込みコマンドを受け付けると、図1に示す本発明の一実施形態に係る光ディスク記録装置は図2に示すフローチャートの動作を開始する。
【0039】
まず、ステップS10において、システムコントローラ11は、光ディスクOD(追記型BD)の今回テストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値を設定する。記憶部10は、光ディスクの種類毎に基準記録パワー値を予め記憶している。なお、多層光ディスクに関しては、各層共通で一つの基準記録パワー値が定められている場合もあり、層毎に別個の基準記録パワー値が定められている場合もある。システムコントローラ11は、マウント処理によって既に読み出しているディスク情報を参考にして、光ディスクOD(追記型BD)の今回テストデータを書き込む記録層に対応する基準記録パワー値を適宜補正して、光ディスクOD(追記型BD)の今回テストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値を設定する。
【0040】
ステップS10に続くステップS20では、システムコントローラ11は、マウント処理によって既に読み出しているディスク情報に含まれているディスクの種類に関する情報及び記録層の層数に関する情報に基づいて、光ディスクOD(追記型BD)が記録層を単層又は2層のみ備える追記型BD(BD−R SL/DL)であるか、それとも、BDXL規格に準拠した記録層を3層又は4層備える追記型BD(BD−R TL/QL)であるかを判定する。実際には、システムコントローラ11は、マウント処理時にディスクの種類や記録層の層数を把握しているので、ステップS20において一から判定を行うのではなく、ステップS20ではマウント処理時に把握した結果を利用することになる。
【0041】
光ディスクOD(追記型BD)が記録層を単層のみ備える追記型BD(BD−R SL)或いは記録層を2層のみ備える追記型BD(BD−R DL)であれば(ステップS20のYES)、システムコントローラ11は、ドライバ8及びレーザ駆動部5を制御し、光ディスクOD(追記型BD)のテスト領域の記録済み領域終端からテストデータの追記方向に光スポットをスイープさせるとともに、光ピックアップ3の記録パワー値を、光ディスクOD(追記型BD)の今回テストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100−23)%以上、光ディスクOD(追記型BD)の今回テストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100+23)%以下の範囲で変化させて、光ディスクOD(追記型BD)のテスト領域にテストデータを書き込む(ステップS30)。
【0042】
一方、光ディスクOD(追記型BD)が記録層を3層備える追記型BD(BD−R TL)或いは記録層を4層備える追記型BD(BD−R QL)であれば(ステップS20のNO)、システムコントローラ11は、ドライバ8及びレーザ駆動部5を制御し、光ディスクOD(追記型BD)のテスト領域の記録済み領域終端からテストデータの追記方向に光スポットをスイープさせるとともに、光ピックアップ3の記録パワー値を、光ディスクOD(追記型BD)の今回テストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100−20)%以上、光ディスクOD(追記型BD)の今回テストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100+20)%以下の範囲で変化させて、光ディスクOD(追記型BD)のテスト領域にテストデータを書き込む(ステップS40)。
【0043】
ステップS30又はステップS40の処理が終了すると、システムコントローラ11は、光ディスクOD(追記型BD)のテスト領域に書き込んだテストデータを再生させて、その再生信号(信号処理部6から出力されるRF信号)の特性(例えばジッタ特性)を評価し、その評価結果を基に光ピックアップ3の最適記録パワー値を決定し(ステップS50)、追記型BDを対象としたOPC処理を終了する。
【0044】
上記のような動作により、光ディスクODがBDXL規格に準拠した記録層を3層又は4層備える追記型BD(BD−R TL/QL)である場合、記録層を単層又は2層のみ備える追記型BD(BD−R SL/DL)である場合に比べて、OPC処理での光ピックアップ3の記録パワー値の上限に制限がかかる。したがって、光ディスクODがBDXL規格に準拠した記録層を3層又は4層備える追記型BD(BD−R TL/QL)である場合に、大きな記録パワーでテストデータが書き込まれた箇所でトラック(溝)がつぶれてトラッキングサーボ外れが発生してしまうことを抑制することができる。
【0045】
なお、ステップS30で用いた±23%、ステップS40で用いた±20%はあくまで例示であり、光ディスク記録装置の仕様等に応じて適切な値を設定すればよい。本実施形態において、ステップS40で±20%という値を用いた理由は、或る仕様の光ディスク記録装置で、最適記録パワー値の(100+25)〜(100+30)%以上の高い記録パワーでテストデータが書き込まれた箇所でトラック(溝)がつぶれてトラッキングサーボ外れが発生し易くなり、標準記録パワー値と最適記録パワー値とのずれの実績を考慮すると、ステップS40で±20%という値を用いると、大きな記録パワーでテストデータが書き込まれた箇所でトラック(溝)がつぶれてトラッキングサーボ外れが発生してしまうことを抑制できることが実験的に確認されたためである。また、光ディスクODが記録層を3層以上備える追記型光ディスクである場合に、大きな記録パワーでテストデータが書き込まれた箇所でトラック(溝)がつぶれてトラッキングサーボ外れが発生してしまうことを抑制することが本発明の目的であるため、OPC処理での光ピックアップ3の記録パワー値の下限については、図2のフローチャートとは異なる設定にしても構わない。すなわち、OPC処理での光ピックアップ3の記録パワー値の下限について、光ディスクODが記録層を単層又は2層のみ備える追記型光ディスクである場合と、光ディスクODが記録層を3層以上備える追記型光ディスクである場合とで同様の設定にしても構わない。また、OPC処理での光ピックアップ3の記録パワー値の下限について、光ディスクODが記録層を3層以上備える追記型光ディスクである場合、光ディスクODが記録層を単層又は2層のみ備える追記型光ディスクである場合に比べて、OPC処理での光ピックアップ3の記録パワー値の下限に制限がかからないようにしても構わない。
【0046】
したがって、本発明では、光ディスクODが特定の波長帯のレーザビームが照射されることにより情報の再生または記録がなされる記録層を単層又は2層のみ備える追記型光ディスクである場合、光ピックアップ3の記録パワー値を、光ディスクODのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100−A)%以上、光ディスクODのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100+B)%以下の範囲で変化させ、光ディスクODが特定の波長帯のレーザビームが照射されることにより情報の再生または記録がなされる記録層を3層以上備える追記型光ディスクである場合、光ピックアップ3の記録パワー値を、光ディスクODのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100−C)%以上、光ディスクODのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100+D)%以下の範囲で変化させ、 前記A、前記B、前記C、前記Dをいずれも0より大きく100より小さい値に設定し、前記Dを前記Bよりも小さく設定するようにする。なお、書換え型光ディスクについても、記録層を3層以上備える書換え型光ディスクである場合、記録層を単層又は2層のみ備える書換え型光ディスクである場合に比べて、OPC処理での光ピックアップの記録パワー値の上限に制限がかかるようにしてもよい。この場合、書換え型光ディスクについて、追記型光ディスクで用いた前記A、前記B、前記C、及び前記Dをそのまま利用しても良く、追記型光ディスクとは異なる値を設定してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 スピンドルモータ
2 スピンドルモータ駆動部
3 光ピックアップ
4 エンコーダ
5 レーザ駆動部
6 信号処理部
7 サーボ制御部
8 ドライバ
9 入力部
10 記憶部
11 システムコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに光を照射すると共に、前記光ディスクからの戻り光を光検出器で検出する光ピックアップと、
前記光ピックアップの記録パワー値を変化させて前記光ディスクのテスト領域にテストデータを書き込んで前記光ピックアップの最適記録パワー値を決定する決定部とを備え、
前記決定部は、
前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクが特定の波長帯のレーザビームが照射されることにより情報の再生または記録がなされる記録層を単層又は2層のみ備える追記型光ディスクである場合、前記光ピックアップの記録パワー値を、前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100−A)%以上、前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100+B)%以下の範囲で変化させ、
前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクが特定の波長帯のレーザビームが照射されることにより情報の再生または記録がなされる記録層を3層以上備える追記型光ディスクである場合、前記光ピックアップの記録パワー値を、前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100−C)%以上、前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値の(100+D)%以下の範囲で変化させ、
前記A、前記B、前記C、前記Dをいずれも0より大きく100より小さい値に設定し、前記Dを前記Bよりも小さく設定することを特徴とする光ディスク記録装置。
【請求項2】
前記決定部は、
前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクに予め記録されているディスク情報を参考にして、前記光ディスク記録装置に装着されている光ディスクのテストデータを書き込む記録層に対応する標準記録パワー値を設定する請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記Aと前記Bとを同一に設定し、前記Cと前記Dとを同一に設定する請求項1または請求項2に記載の光ディスク記録装置。
【請求項4】
前記特定の波長帯のレーザビームが照射されることにより情報の再生または記録がなされる記録層を単層又は2層のみ備える追記型光ディスクがBDであり、
前記特定の波長帯のレーザビームが照射されることにより情報の再生または記録がなされる記録層を3層以上備える追記型光ディスクが、BDXL規格に準拠したBDである請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ディスク記録装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−25839(P2013−25839A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158597(P2011−158597)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】