説明

光デバイス

【課題】出力信号光とモニタ光との位相関係のずれであるバイアスシフトを抑制させる。
【解決手段】電気光学効果を有する基板91と、基板91の表層部に形成され、入力光を変調する干渉型光変調器を構成する変調用光導波路7と、基板91の表層部に形成され、変調用光導波路7の下流側箇所を分岐して接続される出力光導波路5および変調用光導波路7での光変調動作をモニタするための光を導波するモニタ用光導波路6′と、をそなえ、反射部における反射面13の幅と、モニタ用光導波路6′による光伝搬方向についての切り出し幅とを実質的に同等とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調動作をモニタするためのモニタ光を取り込む際に用いて好適の、光デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光デバイスを適用して、基板に形成された光導波路を伝搬する光に変調信号電圧を印加することにより光変調を行なう光変調器は、高速長距離光通信伝送装置に用いられてきている。この光変調のための光導波路としては、Mach-Zehnder型(以下、単にMZと記載する)の光導波路が知られている。
このMZ型の光導波路を適用する光デバイスとしての光変調器においては、MZ型の光導波路をなす各アーム導波路を伝播する光の相対的位相を制御するための進行波電極(電気導波路)が形成されている。即ち、この進行波電極に変調信号電圧を印加することにより、各アームの屈折率を制御し、2つのアーム間の光路長差を変化させることにより光変調を実現している。
【0003】
なお、このような構成の変調器を用い適切な光変調信号を得るには、上述のアーム導波路に適切な電圧のRF変調信号を印加すること、及び、2つのアーム導波路間の相対的位相シフト量を制御する適切なDCバイアス電圧を印加(動作点制御)することが求められる。特に、後者の動作点制御を適切に行なうためには、正確に光出力信号をモニタする必要がある。
【0004】
このため、一般的には、光変調器の中に光出力信号をモニタするための機能が集積されているが、このような適切な出力信号光をモニタするための手法としては一般的に2種類の手法がある。一つは、(a)変調されている出力信号光(主信号)そのものをモニタする手法であり、もう一つは、(b)主信号そのものではなく、主信号に何らかの相関をもった光から間接的に出力信号光をモニタする手法である。
【0005】
前者の手法としては、(a−i)主信号を光導波路でタップを設け分岐モニタする手法、(a−ii)光学基板より出射された後にハーフミラー等を配置し主信号を分岐モニタする手法、および(a−iii)主信号導波路よりの漏洩光を拾う手法、などがある。
後者の手法としては、(b−i)MZの各アームの位相変調された光が合波する時に基板内に漏洩する光をモニタする手法、および(b−ii)MZの各アームの位相変調された光を合波する場所をMMI(Multi-mode Interferometer)等で構成することによりスイッチング動作させて、片側の出力をモニタとして用いる手法、などの手法がある。即ち、この手法では、MMI等を通じて、実質的に位相反転された光が2つの導波路を通じて交互に出力させるようにして、一方を出力信号光とし他方をモニタ光として取り込むようになっている。
【0006】
前者の手法においては、主信号とモニタ光との位相差θ=0+αが概略0(即ちα→0)となっていることが、適正なDCバイアス電圧を印加する動作が機能する前提であり、後者の手法においては、例えば図4に示すように、主信号光(出力信号光)とモニタ光とは逆位相となり主信号とモニタ光との位相差θ=π+αが概略π(即ちα→0)となっていることが、適正なDCバイアス電圧を印加する動作が機能する前提である。即ち、上述の位相関係の下で、モニタ光から主信号光の変調状態を正確にモニタすることができるのである。
【0007】
一例として、図5は、上述の(b−ii)の手法を適用した光デバイスとしての光変調器100の構成例を示す図である。この図5に示す光変調器100は、MZ型光導波路110および電極111が基板191に形成されるとともに、モニタ光を受光する受光部121,電極111に供給する変調データに応じた電気信号を発生する変調電気信号発生部123,電極111に供給する変調電気信号についての動作点電圧を発生させるバイアス電圧発生部124および受光部121で受光するモニタ光に応じてバイアス電圧発生部124で発生させる動作点電圧を制御する制御部125をそなえる。
【0008】
MZ型光導波路110は、入力光を導入する入力導波路101,入力導波路101に接続されたMMI102,MMI102で分岐された2本のアーム導波路103,2本のアーム導波路103に接続されたMMI104,並びに、MMI104で2本のアーム導波路103を合波した後のMMI104と更に分岐接続される出力光導波路105およびモニタ用光導波路106をそなえている。
【0009】
出力光導波路105を伝搬する出力信号光は、入力光を導入する基板191の面とは反対側の面から出射されるようになっている。又、モニタ用光導波路106の下流側端部には反射溝113が形成されており、この反射溝113で反射された光は出力信号光が出射される端面とは異なる基板191側面を通じて出射されるようになっている。即ち、上述の受光部121は、基板191の側面側にそなえられ、モニタ用光導波路106を伝搬し反射溝113で反射された光をモニタ光として受光するようになっている。
【0010】
これにより、図5に示す光変調器100において、例えばNRZ(Non Return to Zero)による変調方式を採用する場合には、図4の電圧V1−V2を半波長電圧Vπとすることができる。そして、制御部125では、受光部121からのモニタ光(図4のB参照)の値に基づいて、光出力信号のハイレベル時に電圧V1が、ローレベル時に電圧V2が、それぞれ電極111に印加されるように、バイアス電圧V3をフィードバック制御している。
【0011】
光信号の変調方式としては、上述のNRZのほか、デュオバイナリ、DPSK(Differential Phase Shift Keying)、DQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)等様々な方式があるが、いずれの場合にも、受光部121として、モニタ光ビームのほぼ中心に受光部121としての比較的受光径の大きいフォトダイオードを配置し、モニタ光を受光する。これにより、受光部121として受光できる光量を確保しつつ、フォトダイオードでの受光量を基準とした実装位置の許容度を緩和させている。
【0012】
すなわち、出力信号光が、基板191の出射端面に接続された図示しない光ファイバにより、導波路中心の狭いエリアの光のみを拾い出されたものであるのに対し、モニタ光は受光部121を通じて広いエリアの光を受光することになる。
また、図20は、出力信号光をモニタするための手法として、前述の(a−ii)光学基板より出射された後にハーフミラー等を配置し主信号を分岐モニタする手法を採用した場合の光デバイスとしての光変調器200の構成例を示す図である。
【0013】
この図20に示す光変調器200においては、基板191に、図5に示すモニタ用光導波路106が省略されたMZ型光導波路210が形成されている。即ち、MZ型光導波路210は、入力光を導入する入力導波路101,入力導波路101に接続されこの入力導波路101を分岐するMMI102,MMI102で分岐された2本のアーム導波路103,2本のアーム導波路103に接続されこの2本のアーム導波路103を合波するMMI104,並びに、MMI104で2本のアーム導波路103を合波した後のMMI104に接続される出力光導波路105をそなえている。
【0014】
さらに、出力光導波路105を伝搬し基板191の出射端面210aから出射された光の一部を分岐するハーフミラー231をそなえるとともに、前述の図5に示すものと同様の電極111,受光部121,変調電気信号発生部123,バイアス電圧発生部124および制御部125をそなえる。又、尚、変調電気信号発生部123およびバイアス電圧発生部124により、電極111に対する電圧信号を発生させる電圧信号発生部122を構成する。図20において、受光部121はハーフミラー231で分岐した一方の光について受光されるように配置され、ハーフミラー231で分岐した他方の光は図示しないレンズ等を介して光ファイバに結合させることができるようになっている。
【0015】
これにより、図20に示す光変調器200においては、モニタ光として出力信号光に相当する光を受光部121で取り込んでいるので、図5に示す光変調器110と同様に、制御部125では、受光部121からのモニタ光の値に基づいてバイアス電圧発生部124でのバイアス電圧をフィードバック制御している。尚、図20に示す光変調器200においては、モニタ光を受光部121で取り込むためにハーフミラー231を適用しているので、受光量確保のため、受光部121としての比較的受光径の大きいフォトダイオードを適用することは、図5に示す光変調器100の場合よりも重要になると想定できる。
【0016】
なお、本願発明に関連する公知技術としては、例えば以下の特許文献1〜3に記載されたものがある。
【特許文献1】特開2003−270468号公報
【特許文献2】特開平11−52158号公報
【特許文献3】特開2006−91785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述の図5に示すような光デバイスを適用する光変調器100の動作点制御においては、出力信号光とモニタ光との位相差のずれπ+αにおけるαは望ましくはほぼ0となるが、例えば図6のαに示すように、完全には0にならない。この位相ずれαはバイアスシフトと呼ばれている(以下、バイアスシフトを、単にBSと記載する場合がある)。尚、この図6においては、前述の(b−ii)の手法でモニタ光を取り入れる場合のバイアスシフトαについて示す図である。
【0018】
出力信号光およびモニタ光は、それぞれ出力光導波路105およびモニタ用光導波路106を伝搬して出射されるものであるが、各導波路105,106での光伝搬の過程において、0次モードと1次モードとの間のミキシングによって位相変動が生じる。そして、出力光導波路105およびモニタ用光導波路106をそれぞれ伝搬する光に生じる位相変動の偏差は、上述のバイアスシフト発生の原因となる。
【0019】
また、上述のバイアスシフトの量が大きくなると、光の伝送品質が劣化する。つまり、バイアスシフトの分だけ、バイアス電圧のフィードバック制御の基準となるモニタ信号の変化が、出力信号光の変化とずれることになるため、出力信号光は、フィードバック制御の最適点からずれたバイアスポイントで制御されることとなるのである。
前述のNRZ変調方式の場合においては、扱われる変調信号のビットレートが比較的低速であったこともあり、バイアスシフトが伝送品質に与える影響は比較的軽微だが、近年の変調データのビットレートの高速化に伴い登場したデュオバイナリ、DPSK、DQPSKなどの変調方式においては、わずかなバイアスシフトの量でも伝送品質に与える影響は大きくなると想定される。
【0020】
図7(a)〜図7(d)は、一例として、上述の図5に示す光変調器100におけるバイアスシフトαの発生を招くモニタ光の位相変動について説明するための図である。
反射溝113で基板191の側面から出射され受光部121で受光されるモニタ用の光は、0次モード光の成分と1次モード光の成分が支配的に含まれる。反射溝113で反射した光が基板191を出射する出射端面の位置をX座標に置くと、図7(a)のA1,A2にそれぞれ示すような0次モード光および1次モード光の電場強度分布を有している。又、図7(b)のB1に示すように、0次モード光については前述のバイアスシフト成分は含まれないが、B2に示すように、1次モード光については端面位置によらない一定の位相変動量成分が含まれている。
【0021】
そして、これらの0次モード光および1次モード光は、図7(c)のC1,C2に示すように、出射位置によって光強度が異なるものである。又、各0次モード光および1次モード光の位相についても異なる。端面位置Xによって実際に端面から出射される光は、0次モード光および1次モード光が干渉した光であり、その強度はC3に示すようになる。
すなわち、端面位置Xに応じて0次モード光および1次モード光の強度や位相が異なるために、1次モード光と0次モード光とが干渉すると、干渉態様も端面位置Xに応じて異なる。このため、1次モード光が端面位置Xによらないある一定のバイアスシフト量を有し、0次モード光が位相変動量を持たないとしても、図7(d)に示すように、端面位置Xによって位相変動量が変化、即ち空間分布が発生する。
【0022】
上述の図7(a)〜図7(d)における端面位置Xは、受光部121をなすフォトダイオードの受光面の中心位置に対応付けることができる。即ち、比較的受光径の大きいフォトダイオードを配置したとしても、モニタ光を受光する受光面の中心位置によって、図7(d)に示すような位相変動量の空間分布が発生することになるため、わずかなフォトダイオードの搭載位置のずれによって位相変動量の値が変動し、従って伝送品質に与える影響の変動につながることになる。
【0023】
前述したように、受光部121としては比較的受光径の大きいフォトダイオードが適用されているので、厳密なフォトダイオードの受光面位置のアライメントを行なわずともモニタに必要な光強度が得られる反面、端面から出射される光のうちでバイアスシフト成分を持たない0次モード光がバイアスシフト成分を有する1次モード光と干渉された光をも受光することになるため、上述したようなバイアスシフトが発生し、又そのバイアスシフト量についても、モニタ光のみでは把握することが困難である。
【0024】
出力光導波路105は通常はある程度の導波路長が確保されて、高次モードは出射時点では排除されていることから、出力光導波路105から出力される出力信号光には上述のモニタ用光導波路106から受光部121で受光する際に生じる位相変動は生じない。このため、出力光導波路105から出射される出力信号光についての位相変動量を無視すれば、モニタ用光導波路106を伝搬する光の位相変動量が、そのままバイアスシフトの量と同視することができる。
【0025】
前述の図4に示すようなバイアスシフトは、このように0次モード光が高次モード光と干渉した光をフォトダイオードで受光することが要因となるほか、モニタ用の光を導入する光導波路の曲げパターンにより、伝搬する光の0次モードと高次モードとの間でミキシングが発生し、0次モード光自身の位相がシフトすることも、これらのミキシングの態様が異なれば、バイアスシフト発生の要因となる。
【0026】
また、前述の図20に示すような光デバイスとしての光変調器200の動作点制御においても、図21に示すように、ハーフミラー231で分岐した一方の光を受光部121で受光することでモニタされる成分には、ハーフミラー231で分岐して図示しない光ファイバに結合されることとなる出力光信号と対比して、半波長電圧Vπにバイアスシフトをなす位相ずれαが含まれる場合がある(図21の動作点電圧のずれΔV参照)。
【0027】
すなわち、図20に示す光変調器200において、各アーム導波路103において位相変調された光がMMI104で合波され、出力光導波路105に結合されることになるが、この変調光には、例えば図22に示すように、本来の適切な変調がかかった0次モードの他に、本来の変調とは位相がずれた高次モードも混入する。
一般的には、出力光導波路105はある程度の長さが確保されて、この高次モードはカットオフされるように設計される。しかし、デバイス縮小化のために基板191の長さに制約が与えられ、低電圧化のためにアーム導波路103の長さの確保が求められるなど、様々な設計上の制約の中では、高次モードを完全に除去する出力光導波路105とすることは困難であり、少なからず高次モードが出力光導波路105に残留する。
【0028】
このように高次モードが残留した光を受光する受光部121として、前述したように受光エリアの大きいフォトダイオードを適用する場合には、0次モードの成分とともに、残留した高次モードについても受光することになり、受光部121でモニタされる成分には、前述の図7(a)〜図7(d)で示した場合と同様のバイアスシフトが生じることとなるのである。
【0029】
なお、特許文献1〜3に記載された技術は、いずれも高次モード光の光伝送を抑制するものであり、バイアスシフトを抑制するための構成について開示又は示唆するものではない。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、出力信号光とモニタ光との位相関係のずれであるバイアスシフトを抑制させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
(1)このため、本発明の光デバイスは、電気光学効果を有する基板をそなえるとともに、該基板に入力される光についての光変調用の光導波路と、該変調用光導波路の下流側箇所を分岐して接続される出力光導波路および該変調用光導波路での光変調動作をモニタするための光を導波するモニタ用光導波路と、をそなえてなる光導波路が該基板の表層部に形成され、該モニタ用光導波路の下流側において、該モニタ用光導波路を伝搬する光を反射させる反射部をそなえ、かつ、該反射部における反射面の幅を、該モニタ用光導波路による光伝搬方向についての切り出し幅と実質的に同等としたことを特徴としている。
【0031】
(2)また、本発明の光デバイスは、電気光学効果を有する基板と、該基板の表層部に形成され、入力光を変調する干渉型光変調器を構成する変調用光導波路と、該基板の表層部に形成され、該変調用光導波路の下流側箇所に接続される出力光導波路と、該出力光導波路を伝搬され該基板の出射端面から出射された光の分岐光をモニタする分岐モニタ部と、をそなえ、該出力導波路に導波路幅を狭められた狭幅領域をそなえたことを特徴としている。
【0032】
(3)この場合においては、該出力光導波路は、該狭幅領域よりも光伝搬方向の下流側に、該狭幅領域で狭められた導波路幅をもとの導波路幅に広げる拡幅領域をそなえることとしてもよい。
(4)また、上記(2)の構成の光デバイスにおいて、該狭幅領域よりも光伝搬方向の下流側位置における該出力光導波路両側の該基板領域に、当該出力光導波路両側の基板領域を伝搬する光の該出射端面への到達を阻止する光阻止溝を形成することとしてもよい。
【0033】
(5)さらに、上記(3)の構成の光デバイスにおいて、該拡幅領域よりも光伝搬方向の下流側位置における該出力光導波路両側の該基板領域に、当該出力光導波路両側の基板領域を伝搬する光の該出射端面への到達を阻止する光阻止溝を形成することとしてもよい。
(6)また、上記(2)の構成の光デバイスにおいて、該変調用導波路を伝搬する光に光変調用の電圧を印加する電極と、該電極に印加する電圧信号を発生する電圧信号発生部と、をそなえるとともに、該分岐モニタ部が、該出射端面から出射された光を分岐する分岐部と、該分岐部で分岐された光をモニタ用に受光する受光部と、をそなえ、かつ、該受光部で受光した光のモニタ結果に基づいて、該電圧信号発生部で発生する電圧信号を制御する制御部をそなえることとしてもよい。
【発明の効果】
【0034】
このように、本発明によれば、モニタ光に含まれる高次モードを従来技術の場合よりも低減させることができ、出力信号光とモニタ光との位相関係のずれであるバイアスシフトを抑制させることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。又、上述の本願発明の目的のほか、他の技術的課題,その技術的課題を解決する手段及び作用効果についても、以下の実施の形態による開示によって明らかとなる。
〔a〕第1実施形態の説明
図1は、本発明の第1実施形態にかかる光デバイス30を示す図であり、図2は図1に示す光デバイス30の要部拡大図である。本実施形態における光デバイス30についても、前述の図5に示すものと同様、入力光についてデータ信号に基づく光変調を行なうものであって、光導波路デバイス31をそなえるとともに、電圧信号発生部32と、受光部33と、受光部33で受光した光のモニタ結果に基づいて、電圧信号発生部32で発生する電圧信号を制御する制御部34をそなえている。
【0036】
ここで、光導波路デバイス31は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の電気光学効果を有する基板91をそなえるとともに、基板91に光導波路10,電極11および反射溝13が形成されている。又、電圧信号発生部32は、電極11に印加する電圧信号を発生するものであり、前述の図5に符号123,124で示すものと同様の変調電気信号発生部32aおよびバイアス電圧発生部32bをそなえている。
【0037】
さらに、受光部33は光導波路10を構成するモニタ用光導波路6を伝搬してきた光を受光するものであり、制御部34は電圧信号発生部32で発生する電圧信号を制御するものである。従って、これらの受光部33および制御部34についても、前述の図5に符号121および125としてそれぞれ示すものと基本的に同様である。
ここで、変調電気信号発生部32aは、例えばデュオバイナリ、DPSK又はDQPSKによる変調方式で入力光を変調するための電圧信号を電極11に供給するものである。即ち、本実施形態においては、以下に示すようにバイアスシフトを抑圧したモニタ光を得ることができるので、バイアスシフトに対する許容度が厳しいと想定される変調方式においても、求められる伝送品質を実現することができるようになっている。言い換えれば、制御部34において、受光部33で受光するバイアスシフトの抑制された光に基づいて、バイアス電圧発生部32bで発生するバイアス電圧を制御することができるからである。
【0038】
また、光導波路10は基板91の表層部に形成されたものであって、基板91に入力される光変調用の光導波路7と、光変調用光導波路7の下流側箇所を分岐して接続される出力光導波路5および変調用光導波路7での光変調動作をモニタするための光を導波するモニタ用光導波路6と、をそなえている。
さらに、光変調用光導波路7は、入力光を変調する干渉型光変調器を構成する変調用光導波路であり、例えばマッハツェンダ型の光導波路を適用することができるが、本実施形態においては、マッハツェンダ型の光導波路として、基板91に入力される入力光を導波する入力導波路1と、入力導波路1の下流側に接続され入力導波路1を複数に分岐させるとともに合流させる分岐合流導波路2と、をそなえている。又、出力光導波路5及びモニタ用光導波路6は、分岐合流導波路2における合流した箇所の下流側箇所において分岐して接続されるようになっている。
【0039】
さらには、この分岐合流導波路2は、入力導波路1からの入力光について分岐された光を導波する複数本(本実施形態では2本)のアーム導波路2bと、入力導波路1とアーム導波路2bとを接続して入力導波路1からの入力光を複数本のアーム導波路2bへ分岐する第1接続部2aと、アーム導波路2bと出力光導波路5およびモニタ用光導波路6を接続してアーム導波路2bからの光を合流した後に出力光導波路5およびモニタ用光導波路6に分岐させる第2接続部2cと、をそなえている。
【0040】
なお、上述の第1接続部2aおよび第2接続部2cとしては、入力される光に対する出力される光との位相の対応関係を保ちつつ分岐/合流させる構成を適用する。例えばMMIを用いて構成したり、方向性結合導波路や光カプラにより構成したりすることができる。
ここで、本実施形態においては、モニタ用光導波路6には、当該モニタ用光導波路6の光伝搬方向の上流側よりも下流側の導波路幅が狭められた狭幅領域6aが含まれている。この狭幅領域6aとしては、例えば、当該モニタ用光導波路6の光伝搬方向に従って導波路幅が連続的に狭められるテーパ状の導波路パターン領域6aにより構成することができる。更に、モニタ用光導波路6には、狭幅領域6aよりも光伝搬方向の下流側に、狭幅領域6aで狭められた導波路幅を保持した幅保持領域6b含まれている。
【0041】
これにより、狭幅領域6aは、モニタ用光導波路6を伝搬する光について、高次モード光については当該モニタ用光導波路6の外部に放射される一方、0次モード光については狭幅領域6aの下流側のモニタ用光導波路6をなす幅保持領域6bを伝搬させることができる。即ち、第2接続部2cからのモニタ用の光が上述の狭幅領域6aを通過するときに、0次モード光はモニタ用光導波路6内部に閉じ込める一方、高次モード光については積極的にカットオフすることで、1次モード光等の高次モード光については、モニタ用光導波路6から空間的に分離させることができる。
【0042】
特に、前述の図5に示すように、狭幅領域6aの構成を有さず、高次モードの分離を積極的に行なわない場合、バイアスシフト値は、単位周期に対する位相ずれの比率として例えば+/-3%程度残留するが、狭幅領域6aとして、導波路幅を7μmより4μm程度にテーパをつける構成とすることで、バイアスシフトの値は、前述の比率として例えば1%程度以内に抑圧可能となる。
【0043】
さらに、反射溝13は、モニタ用光導波路6をなす幅保持領域6bの下流側端部において、幅保持領域6bを伝搬する光を反射させる反射部であり、これにより、反射溝13で反射されたモニタ用の光の基板91における出射端面は、出力光導波路5を伝搬する光の基板91における出射端面とは異なるようにすることができる。
そして、この反射溝13については、幅保持領域6bの導波路幅に対応した反射面を有している。具体的には、図2のAに示すように、反射溝13における反射面の幅を、モニタ用光導波路6をなす幅保持領域6bによる光伝搬方向についての切り出し幅と実質的に同等としている。
【0044】
換言すれば、この反射溝13は、モニタ用光導波路6の外部に放射される高次モード光の受光部33に向けた端面への反射を回避させるとともに、狭幅領域6aの下流側のモニタ用光導波路である幅保持領域6bを伝搬する0次モード光については、受光部33に向けた端面へ反射されるように、幅保持領域6bによる0次モード光の伝搬方向に対する反射角度および反射面形状が設定される。
【0045】
具体的には、反射溝13による溝形状としては、幅保持領域6bの延長上の幅範囲(図2のA参照)においては、反射光となる0次モード光のビームが受光部33をなすフォトダイオードの受光面に収まるような形状とし、幅保持領域6bの延長上の幅範囲Aの外側(図2のB参照)においては、反射光が受光部33からそれた方向を指向する形状としている。これにより、幅保持領域6bの延長上の幅範囲Aの外側Bに入射される高次モード光については、結果的に受光部33の受光面からそれることとなる。
【0046】
また、このような構成の反射溝13においては、幅範囲Aのみの反射溝を形成する場合に比べて、溝形成工程に求められる精度に対する要求を緩和しながら、実質的には反射により受光部33へ入射される高次モードに対するカットオフ効果を同等とすることができる。
さらに、本実施形態においては、図3(b)に示すように、モニタ用光導波路6に狭幅領域6aをそなえているので、狭幅領域6aをそなえないモニタ用光導波路6′とする場合[図3(a)におけるR1参照]に比べて、0次モード光L0の伝搬方向に対する高次モード光L1の放射角度R2を大きくすることができ、反射溝13に入射される段階で高次モード光L1を0次モード光L0からより大きく分離させることができる。
【0047】
したがって、狭幅領域6aをそなえないモニタ用光導波路6′とする場合には、図3(a)に示すように、反射溝13として形成すべき反射面の大きさC1は、0次モード光からの分離度が比較的小さい高次モード光L1が受光部33の反射面に向けた反射を受けることを回避させなければならないため、望ましくは比較的小さく形成しなければならない。
【0048】
これに対して、本実施形態のような狭幅領域6aをそなえたモニタ用光導波路6とする場合には、図3(b)に示すように、反射溝13として形成すべき反射面の大きさC2は、0次モード光からの分離度が比較的大きい高次モード光が受光部33の反射面に向けた反射を受けることを回避させれば足りるため、比較的大きく形成することが許容される。従って、狭幅領域6aを形成する構成によって、図3(a)の場合よりも反射溝13にかかるデバイス製造精度に対する要求を軽減しながら、より高精度に受光部33への高次モード光の入射を排除して、バイアスシフトの発生を防止できるようになる。
【0049】
すなわち、例えば、狭幅領域6aをそなえないモニタ用光導波路6′としその幅を7μmとした場合には、図3(a)に示すように、反射溝13として形成すべき反射面の大きさC1は、反射溝13を導波路進行方向に対し45度傾けて形成し、その反射面の長さを15μm程度にすることで、バイアスシフトの値を効率的に抑圧可能となるのに対し、狭幅領域6aをそなえたモニタ用光導波路6とする場合には、図3(b)に示すように、反射溝13として形成すべき反射面の大きさC2は、30μm程度でも効果が得られる。
【0050】
ところで、出力光導波路5については、図2に示すように、変調用導波路7に接続される箇所から所定の湾曲角で湾曲する形状を有する第1湾曲領域5aが含まれている。モニタ用光導波路6においても、変調用導波路7に接続される箇所から湾曲する形状を有する第2湾曲領域6cをそなえている。換言すれば、本実施形態におけるモニタ用光導波路6は、変調用導波路7をなす第2接続部2cからの接続箇所を起点として連続的に形成される、第2湾曲領域6c,狭幅領域6aおよび幅保持領域6bにより構成される。
【0051】
ここで、第2接続部2cをなす例えばMMIから導入されて、出力光導波路5の第1湾曲領域5aおよびモニタ用光導波路6の第2湾曲領域6cを伝搬する光は、それぞれ、0次モードと1次モードとの間のミキシングにより0次モード自体に位相変動が発生する。即ち、第1,第2湾曲領域5a,6cのごとき導波路曲げにより、0次モードと1次モードとの間でミキシングが発生すると、各導波路5,6から出射される0次モードにも位相変動が発生するのである。
【0052】
前述したように、各導波路5,6での光伝搬の過程において、0次モードと1次モードとの間のミキシングにより生じる出射光の位相変動の偏差によって、上述のバイアスシフが発生する。換言すれば、各導波路5,6において上述のごとき0次モードと1次モードとの間のミキシングが発生したとしても、位相変動の偏差が生じなければ、出力信号光とモニタ光との間での相対的な位相差は発生せず、制御部34(図1参照)によるフィードバック制御には支障は生じない。
【0053】
つまり、仮にミキシングが発生したとしても、出力光導波路5、及び、モニタ用光導波路6において、同等にミキシングが発生し、その結果として、各導波路5,6より出射される0次モードの相対的位相差が発生しないようにすることが重要となる。これを可能とするために、第2接続部2cの下流側の出力光導波路5、及び、モニタ用光導波路6を、湾曲度合いを実質的に同等となるようにする。これにより、出力光導波路5およびモニタ用光導波路6からそれぞれ出射される0次モード間の位相ずれを低減させることができるようになる。
【0054】
具体的には、モニタ用光導波路6の第2湾曲領域6cを、狭幅領域6aよりも光伝搬方向の上流側であって、変調用導波路7に接続される箇所を含む領域を第1湾曲領域5aの湾曲角に対応した角度で湾曲させるように構成する。
本実施形態においては、出力光導波路5の第1湾曲領域5aとモニタ用光導波路6の第2湾曲領域6cとが、更には、第1湾曲領域5aの下流側の出力光導波路5の領域5bとモニタ用光導波路6の狭幅領域6aとが、光伝搬方向の軸について線対称となるようにパターン形成されている。即ち、各出力光導波路5,6を伝搬する光から実質的に高次モードが分離されるまでの領域を対称形状となるようにパターン形成することで、出力光導波路5およびモニタ用光導波路6を伝搬する0次モードと1次モードとのミキシングの態様を実質的に同等とし、更に、狭幅領域5b,6aでの0次モードと1次モードとの分離態様も実質的に同等とすることで、出力光導波路5およびモニタ用光導波路6からそれぞれ出射される0次モード間の位相ずれを実質的に解消させることができるようになる。
【0055】
上述のごとく構成された光デバイス30では、入力導波路1に入力された入力光が、電極11によって印加される電圧を通じて、各アーム導波路2bにおいて位相変調され、第2接続部2cで合波され、出力光導波路5およびモニタ用光導波路6に結合される。第2接続部2cをMMIで構成する場合には、出力光導波路5およびモニタ用光導波路6には互いに反転した位相関係を有する変調光が出力されることになる。
【0056】
このとき、この出力光導波路5およびモニタ用光導波路6に出力される変調光には、本来の適切な変調がかかった0次モードの他に、本来の変調とは位相がずれた高次もモードも含まれることとなる。出力光導波路5およびモニタ用光導波路6を伝搬する光に含まれる0次モードと1次モードは、前述したようなバイアスシフト発生の要因となりうる。
これに対し、本実施形態においては、モニタ用光導波路6に当該モニタ用光導波路6の導波路幅を狭める狭幅領域6aが含まれているので、受光部33をなすフォトダイオードで、このモニタ用光導波路5を伝搬してきた光を受光する時点で、高次モード光の受光を排除し0次モード光をロスを少なく受光しているので、モニタ用光導波路6に、出力光導波路5よりも短い導波路長としなければならない設計上の制約があったとしても、又、受光部33の配置位置、即ち受光面位置の高精度なアライメントを行なわずとも、受光部33での受光の際に高次モードを効率的に除去することができる。
【0057】
また、モニタ用光導波路6を伝搬した光を反射溝13で反射させ、受光部33でその反射光を受光する構成とする場合において、狭幅領域6aを形成しない場合よりも、反射溝13にかかるデバイス製造精度に対する要求を軽減しながら、より高精度に受光部33への高次モード光の入射を排除させることができる。
さらに、モニタ用光導波路6が、狭幅領域6aよりも光伝搬方向の上流側であって、変調用導波路7に接続される箇所を含む領域を第1湾曲領域5aの湾曲角に対応した角度で湾曲させる第2湾曲領域6cを含んでいるので、出力光導波路5およびモニタ用光導波路6を伝搬する0次モードと1次モードとのミキシングの態様を実質的に同等とし、更に、狭幅領域5b,6aでの0次モードと1次モードとの分離態様も実質的に同等とすることで、出力光導波路5およびモニタ用光導波路6からそれぞれ出射される0次モード間の位相ずれを実質的に解消させることができるようになる。
【0058】
このように、本実施形態によれば、モニタ用光導波路6に、当該モニタ用光導波路6の導波路幅を狭める狭幅領域6aが含まれているので、受光部33で受光する光に含まれる高次モードを従来技術の場合よりも低減させることができ、出力信号光とモニタ光との位相関係のずれであるバイアスシフトを抑制させることができる利点がある。
また、モニタ用光導波路6の下流側において、モニタ用光導波路6を伝搬する光を反射させる反射溝13をそなえ、かつ、反射溝13における反射面の幅を、モニタ用光導波路6の導波路幅に対応させた構成としているので、モニタ用光導波路6に閉じ込められて伝送される成分が比較的多い0次モードについては積極的に受光部33に向けて反射させる一方、高次モードについては0次モードに比べて反射を排除させることができるので、受光部33で受光する光に含まれる高次モードを従来技術の場合よりも低減させることができ、出力信号光とモニタ光との位相関係のずれであるバイアスシフトを抑制させることができる利点がある。
【0059】
さらに、狭幅領域6aを形成するとともに、反射溝13を形成しているので、狭幅領域6aを形成せずに反射溝13を設ける場合よりも、反射溝13にかかるデバイス製造精度に対する要求を軽減しながら、より高精度に受光部33への高次モード光の入射を排除させることができる。
さらに、モニタ用光導波路6が、狭幅領域6aよりも光伝搬方向の上流側であって、変調用導波路7に接続される箇所を含む領域を第1湾曲領域5aの湾曲角に対応した角度で湾曲させる第2湾曲領域6cを含んでいるので、出力光導波路5およびモニタ用光導波路6を伝搬する0次モードと1次モードとのミキシングの態様を実質的に同等とし、更に、狭幅領域5b,6aでの0次モードと1次モードとの分離態様も実質的に同等とすることで、出力光導波路5およびモニタ用光導波路6からそれぞれ出射される0次モード間の位相ずれを実質的に解消させることができるようになる。
【0060】
〔b〕第2実施形態の説明
図9は本発明の第2実施形態にかかる光デバイスとしての光変調器40を示す図である。ここで、図9に示す光変調器40は、前述の図20に示すものと異なる出力光導波路42をそなえたものである。
すなわち、第2実施形態にかかる光変調器40は、LiNbO3等の電気光学効果を有する基板91をそなえるとともに、基板91の表層部に、入力光を変調する干渉型光変調器を構成する変調用光導波路41および変調用光導波路41の下流側箇所に接続される出力光導波路42が形成されるとともに、変調用光導波路41を伝搬する光に対して変調信号電圧を供給する進行波電極(電気導波路)43が形成され、更にハーフミラー44,受光部45および制御部46とともに、電圧信号発生部47をなすバイアス電圧発生部47bおよび変調電気信号発生部47aがそなえられている。
【0061】
変調用光導波路41は、入力光を導入する入力光導波路41a,入力光導波路41aからの入力光を2分岐するMMI41b,MMI41bで2分岐された光について進行波電極43に印加される変調信号電圧により相対的な光路長差を与える2本のアーム導波路41c及び2本のアーム導波路41cからの光を合流させるMMI41dをそなえて構成される。
【0062】
すなわち、MMI41b,アーム導波路41cおよびMMI41dにより、入力光導波路41aの下流側に接続され入力光導波路41aを複数に分岐させるとともに合流させる分岐合流導波路を構成し、出力光導波路42は、分岐合流導波路における合流した箇所であるMMI41dの下流側箇所に接続される。
また、進行波電極43に供給すべき変調電圧信号については、変調電気信号発生部47aで発生されるようになっているが、更に、バイアス電圧発生部47bにおいて、変調電気信号発生部47aで発生する変調電圧信号における動作点電圧制御用のバイアス電圧を発生させて、上述の進行波電極43に供給するようになっている。尚、変調電気信号発生部47aにおいては、例えば前述したデュオバイナリ、DPSK、DQPSKなどの変調方式による変調電圧信号を発生することができる。
【0063】
また、分岐部としてのハーフミラー44は、前述の図20に示すもの(符号231)に対応し、出力光導波路42を伝搬され基板91の出射端面91aから出射された光(変調が施された信号光)について、一部をモニタ用に分岐する一方残りを主信号光として図示しない出力光ファイバ等に向けて出力する。受光部45についても図20に示すもの(符号121)に対応し、ハーフミラー44でモニタ用に分岐された光(モニタ光)を受光しその光量に応じた振幅の電気信号をモニタ結果として制御部46に出力するものであり、受光面の比較的広いフォトダイオードが用いられる。従って、上述のハーフミラー44および受光部45により、出力光導波路42を伝搬され基板91の出射端面91aから出射された光の分岐光をモニタする分岐モニタ部を構成する。
【0064】
制御部46では、受光部45からのモニタ光の値(モニタ光の光量に応じた電気信号振幅)に基づいて、バイアス電圧発生部47bでのバイアス電圧をフィードバック制御している。換言すれば、上述のバイアス電圧発生部47bおよび変調電気信号発生部47aにより電極43に印加する電圧信号を発生する電圧信号発生部47を構成する一方、制御部46は、受光部45で受光した光のモニタ結果に基づいて、電圧信号発生部としてのバイアス電圧発生部47bで発生する電圧信号を制御するようになっている。
【0065】
ここで、前述の図20に示す光変調器200の構成においては、出力光導波路105を伝搬する変調光に、本来の適切な変調が与えられた0次モードとともに、本来の変調成分とは位相がずれた高次モード(例えば1次モード)が混入している。前述したように、この高次モードが受光部121での受光の際のバイアスシフト発生の原因となっていた。
これに対し、第2実施形態においては、上述のバイアスシフトの発生原因となっている高次モードを、本来の適切な変調が与えられている0次モードから分離させるために、出力光導波路42に導波路幅を狭められた狭幅領域42aをそなえている。狭幅領域42aは、MMI41dからの光の伝搬方向に対して連続的に導波路幅が狭められるように形成されている。又、この狭幅領域42aの導波路長、即ち連続的に狭められている出力光導波路42の領域長さは、高次モードの分離効果を得られるに十分な長さが与えられる。
【0066】
そして、この出力光導波路42にそなえられた狭幅領域42aにより、空間的に高次モードを0次モードと分離させて、高次モードを積極的にカットオフさせることができるようになっている。即ち、狭幅領域42aで高次モードがカットオフされると、出力光導波路42における狭幅領域42aの下流側領域を伝搬する0次モードの光には、前述の図20の場合よりも高次モードの混入を少なくさせることができる。
【0067】
すなわち、連続的に狭められた出力光導波路を設けることにより、基板の長さの制限や、アーム導波路の長さ確保等の要因により、出力光導波路の長さに制限があっても、高次モードの光の混入を防止することができる。
尚、図9中においては、出力光導波路42は、出射端面91aでの反射減衰を抑制させるために出射端面91aに対して斜めに案内される構成をそなえている。
【0068】
これにより、ハーフミラー44を介して受光部45で受光するモニタ光中においても、図20の場合よりも高次モードの混入を少なくさせることができ、従って、受光部45での電気信号に含まれるバイアスシフト量についても、図20の場合よりも少なくさせることができる。
図10(a)〜図10(d)は、図9に示す光変調器40によるバイアスシフトの低減効果について、図20の構成の場合において生じるバイアスシフトの場合(図7(a)〜図7(d))と対比して説明するための図である。図10(a)に示すように、出射端面91a(図9参照)における端面位置に応じた電場強度の分布は、図20の構成に対応する場合(図7(a)参照)よりも横軸に広がり、強度については低減される。
【0069】
したがって、図10(b)に示すように、1次モードについての位相変動量成分があったとしても、図20に示す従来構造に比べ1次モードの0次モードとの干渉が弱く、図1
0(c)に示すように、受光部45としてのフォトダイオードで受光する1次モード成分を低減させているので、図10(d)に示すように、受光部45をなすフォトダイオードでの受光面の中心位置に応じたバイアスシフトの変動量ΔBS1を抑制させることができる。
【0070】
図11,図12はともに、信号光波長に応じた、受光部をなすフォトダイオードでの受光面の中心位置に応じたバイアスシフトの変動量について示す図であり、図11は図20の構成における変動量について、図12は第2実施形態にかかる光変調器構成における変動量について、それぞれ示すものである。第2実施形態にかかる光変調器40においては、図12に示すように、図20に示すものについての信号光波長に応じた変動量の特性(図11参照)に比べて、信号光波長による変動量のばらつきについても抑制させることができるようになっている。
【0071】
このように、第2実施形態にかかる光デバイスとしての光変調器40によれば、狭幅領域42aにより高次モードと0次モードとを分離させているので、モニタ光と主信号光との位相ずれを抑制させることができる利点がある。
〔b1〕第2実施形態の第1変形例の説明
図13は第2実施形態の第1変形例にかかる光デバイスとしての光変調器40Aを示す図である。この図13に示すように、狭幅領域42aの下流側における出力光導波路42の両側(両サイド)の直近に溝49Aを形成することとしてもよい。このような溝49Aにより、出力光導波路42の両サイドに放射された高次モードを溝49Aにて反射させることで、狭幅領域42aで放射された高次モードを、出射端面91aで出射されることを阻止し、ハーフミラー44での分岐を介した受光部45での受光をより積極的に阻止することができるようになる。これにより、受光部45での電気信号に含まれるバイアスシフト量について、図9の場合に比べてもより低減できることが期待できる。
【0072】
したがって、上述の溝49Aは、狭幅領域42aよりも光伝搬方向の下流側位置における出力光導波路両側の基板領域に形成された、当該出力光導波路42両側の基板領域を伝搬する光(高次モード)の出射端面91aへの到達を阻止する光阻止溝である。
図14は、図13に示すように狭幅領域42a及び溝49Aをそなえた場合において、1次モード光が分離されること、および出射端面91aでの出射が阻止されることについて説明するための模式図である。この図14に示すように、長さA1の狭幅領域42aでは、MMI41dからの変調光のうちで、1次モードが出力光導波路42の外周部(基板91の表層部のみならず深さ方向)に放射される一方、0次モードは出力光導波路42の軸上に電界分布の山が保たれた状態で伝搬される。このようにして0次モードと1次モードとを分離させることができる。尚、図9の構成においても同様に0次モードと1次モードとが分離されている。
【0073】
また、狭幅領域42aで出力光導波路42の外周部に放射された1次モードは、図14に示すように、狭幅領域42aの下流側に形成された溝49Aで反射させているので、1次モードの、溝49Aの形成位置よりも光伝搬方向下流側への伝搬、即ち0次モードへの混入を抑制している。
さらに、1次モードの分離効果は、狭幅領域42aの長さ方向全体で起こっているため、溝49Aの位置はその下流以下にする必要があるが、分離された1次モードは、深さ方向にも放射されるため、狭幅領域42aの下流側でも、できるだけ当該狭幅領域42aの終端位置に近い位置に形成する。例えば、この図14に示すように、狭幅領域42aの開始端位置から距離C2だけ下流側の位置P2よりも、開始端位置から距離C1(=A1>C2)だけ下流側の位置P1に形成する。
【0074】
これにより、溝49Aについては、狭幅領域42aの終端位置から光伝搬方向について離れた位置P2に形成するよりも、近い位置P1に形成することで、比較的浅い(位置P2の場合の溝深さD1>位置P1の場合の溝深さD2)で放射光を効率的に反射させることができるようになる。又、溝49Aは、出力光導波路42との距離(B1)をできるだけ近づけ、放射光を反射する効果を向上させることが望ましい。
【0075】
図15(a)〜図15(d)は、図13に示す光変調器40Aによるバイアスシフトの低減効果について説明するための図である。図15(a)に示すように、出射端面91a(図9参照)における端面位置に応じた1次モードの電場強度の分布は、図9の構成に対応する場合(図10(a)参照)よりも更に低減される。従って、図15(b)に示すように、1次モードについての位相変動量成分があったとしても、図15(c)に示すように、受光部45としてのフォトダイオードで受光する1次モード成分を、図10(c)の場合よりも低減させているので、図15(d)に示すように、受光部45をなすフォトダイオードでの受光面の中心位置に応じたバイアスシフトの変動量ΔBS2については、図10(d)の場合よりも更に抑制させることができる(ΔBS1>ΔBS2)。
【0076】
〔b2〕第2実施形態の第2変形例の説明
図16は第2実施形態の第2変形例にかかる光デバイスとしての光変調器40Bを示す図である。図9,図13に示す構成の場合、狭幅領域42aにより導波路幅が狭められた出力光導波路42を伝搬する0次モードは、モードフィールドが広げられているので、出射端部91aまでの伝搬中において0次モードの放射によって挿入損失が発生する場合がある。
【0077】
特に、図13の場合には、出力光導波路42の両側に形成される溝49Aは、高次モードが出射端部91a側に漏洩しないように極力出力光導波路42に近接するように形成されるべきところ(図14のB1参照)、このようにモードフィールドが広がった0次モードは、溝49Aによる反射によって損失が増大することになる。他方、出力光導波路42からの距離(図14のB1参照)を十分に離した位置に溝49Aを形成することで、モードフィールドが広がった0次モードの反射による損失を低減させることとなると、高次モード光の漏洩が増大し、抑制すべきバイアスシフトの増大を招く。
【0078】
第2実施形態の第2変形例においては、図16,図17に示すように、出力光導波路42Bとして、0次モードの損失を低減させるため、狭幅領域42aの下流側に拡幅領域42bをそなえたものである。即ち、図16,図17に示すように、拡幅領域42bは、長さA1の狭幅領域42aよりも光伝搬方向の下流側に、狭幅領域42aで狭められた導波路幅をもとの導波路幅に広げるものである。
【0079】
これにより、図14に示すように、狭幅領域42aで高次モードが放射される一方、0次モードのモードフィールドが広がるが、狭幅領域42aに続く拡幅領域42bにより、0次モードのモードフィールドをもとの幅に戻すことができるので、0次モードと高次モードとを分離しながら、0次モードの損失を低減させることができるようになる。
なお、このときの溝49Aの位置は、0次モードの損失及び高次モードの漏洩を最小限とするために、拡幅領域42bの下流以下にする必要がある。前述したように、狭幅領域42aで分離された1次モードは、深さ方向にも放射される。従って、拡幅領域42bの下流側でもできるだけ拡幅領域42bの終端位置に近い位置(狭幅領域42aの開始端から距離C3だけ下流側の位置P3)に溝49Aを形成することで、位置P3よりも下流側に溝49Aを形成する場合よりも、浅い溝49Aで放射光を効率的に反射させることができるようになり(深さD2)、溝49Aの形成による基板強度を維持させることができる。
【0080】
したがって、溝49Aは、拡幅領域42bよりも光伝搬方向の下流側位置における出力光導波路42の両側の基板91領域に形成された、当該出力光導波路42の両側の基板91の領域を伝搬する光(高次モード)の出射端面への到達を阻止する光阻止溝である。
なお、拡幅領域42bにより、0次モードのモードフィールドが狭められているため、導波路と溝49Aとの距離(図17のB2参照)を図12の構成(図14のB1参照)よりも近づけることができる(B2<B1)。
【0081】
また、拡幅領域42bの長さA2は、上述のごとくより浅い溝49Aでの効率的な放射光の反射のため、極力狭幅領域42aに近い位置に形成すべく、急激な拡幅でモードフィールドの変化による損失が発生することがない範囲で、できるだけ短くする(少なくとも、狭幅領域42aの長さA1よりは短くすることができる)。
第2実施形態の第2変形例にかかる光変調器40Bは、上述のごとく構成されているので、特に出力光導波路42Bの狭幅領域42aで0次モードと1次モードとを分離する一方、拡幅領域42bにおいて、広がった0次モードのモードフィールドを元に戻すことにより損失を低減させ、更に溝49Aにおいて、狭幅領域42aで分離した高次モードを反射により出射端部91aで出射されることを阻止することができるので、前述の図9,図13に示す構成に比べても、よりバイアスシフトを低減させるとともに0次モードの損失を低減させることができる利点がある。
【0082】
図18は、図13に示す光変調器構成の場合において、信号光波長ごとの、受光部をなすフォトダイオードでの受光面の中心位置に応じたバイアスシフトの変動量について示す図である。図13に示す光変調器40Aにおいては、図18に示すように、図9に示す光変調器40についての特性(図12参照)に比べて、信号光波長による変動量のばらつきについても更に抑制させることができるようになっている。
【0083】
したがって、第2実施形態の第2変形例にかかる光変調器40Bによれば、狭幅領域42aにより高次モードと0次モードとを分離させるとともに、溝49Aにより分離された高次モードを反射させているので、モニタ光と主信号光との位相ずれを更に抑制させることができる利点がある。
なお、上述の光変調器40Bにおいては、溝49Aが形成された構成を有しているが、例えば図19に示す光変調器40Cのように、溝49Aが形成されない構成としても、少なくとも、出力光導波路42Bの狭幅領域42aで0次モードと1次モードとを分離することができるので、図20に示す従来構成の場合よりもバイアスシフトを低減させることができる一方、拡幅領域42bにおいて、広がった0次モードのモードフィールドを元に戻すことにより損失を低減させることができる。
【0084】
〔c〕その他
上述の実施形態にかかわらず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
すなわち、上述の第1実施形態においては、モニタ用光導波路6に狭幅領域6aを含む構成としながら、反射溝13を形成する構成について詳述したが、例えば図3(a)または図8に示すように、狭幅領域6aを含まないモニタ用光導波路6′の構成としても、反射溝13における反射面の幅を、モニタ用光導波路6′の導波路幅に対応させた構成とすることで、モニタ用光導波路6′に閉じ込められて伝送される成分が比較的多い0次モードについては積極的に受光部33に向けて反射させる一方、高次モードについては0次モードに比べて反射を排除させることができるので、従来技術の場合よりもバイアスシフトを抑制させることができる。すなわち、例えば、狭幅領域6aをそなえないモニタ用光導波路6′としその幅を7μmとした場合には、図3(a)に示すように、反射溝13として形成すべき反射面の大きさC1は、反射溝13を導波路進行方向に対し45度傾けて形成し、その反射面の長さを15μm程度にすることで、バイアスシフトの値を効率的に抑圧可能
となる。又は、図8に示すように、モニタ用光導波路6′の幅範囲(図2の場合のA参照)においては、反射光のビームが受光部33をなすフォトダイオードの受光面に収まるような形状とし、モニタ用光導波路6′の幅範囲Aの外側(図2の場合のB参照)においては、反射光が受光部33からそれた方向を指向する形状としてもよい。更に、このような狭幅領域6aを含まないモニタ用光導波路6′とする場合についても、前述の実施形態と同様に、各導波路5,6′での光伝搬の過程において0次モードと1次モードとの間のミキシングにより生じる出射光の位相変動の偏差によってバイアスシフトが発生しないようにするために、モニタ用光導波路6の湾曲領域6cを、反射溝13よりも光伝搬方向の上流側であって、変調用導波路7に接続される箇所を含む領域を湾曲領域5aの湾曲角に対応した角度で湾曲させるように構成することが重要になる。
【0085】
すなわち、図8に示すように、出力光導波路5を、変調用導波路7に接続される箇所から所定の湾曲角で湾曲する形状を有する第1湾曲領域5aを含んで構成するとともに、モニタ用光導波路6′を、反射溝13よりも光伝搬方向の上流側であって、変調用導波路7に接続される箇所を含む領域を第1湾曲領域5aの湾曲角に対応した角度で湾曲させる第2湾曲領域6cを含んで構成する。尚、図8中、図1と同一の符号は同様の部分を示す。
【0086】
また、上述の実施形態においては、出力光導波路5の第1湾曲領域5aとモニタ用光導波路6の第2湾曲領域とが、光伝搬方向の軸について線対称となるようにパターン形成しているが、本発明によれば、各出力光導波路5,6を伝搬する光における0次モードと1次モードとのミキシングが実質的に同等となれば、上述のごとき線対称な導波路パターンとすることに限定されるものではない。
【0087】
さらに、上述の第1実施形態においては、受光部33をなすフォトダイードについては、その配置位置について限定するものではなく、基板91の側面に接して搭載してもよいし、基板91の側面から隔離して搭載してもよい。
さらに、上述の実施形態の開示により、本発明の装置を製造することは可能である。
〔d〕付記
(付記1)
電気光学効果を有する基板と、
該基板の表層部に形成され、入力光を変調する干渉型光変調器を構成する変調用光導波路と、
該基板の表層部に形成され、該変調用光導波路の下流側箇所を分岐して接続される出力光導波路および該変調用光導波路での光変調動作をモニタするための光を導波するモニタ用光導波路と、をそなえ、
該モニタ用光導波路に、導波路幅の狭められた狭幅領域を有することを特徴とする光デバイス。
【0088】
(付記2)
該狭幅領域は、当該モニタ用光導波路の光伝搬方向に従って導波路幅が連続的に狭められていることを特徴とする付記1記載の光デバイス。
(付記3)
該モニタ用光導波路は、該狭幅領域よりも光伝搬方向の下流側に、該狭幅領域で狭められた導波路幅を保持した幅保持領域をそなえたことを特徴とする付記1又は2記載の光デバイス。
【0089】
(付記4)
該幅保持領域の下流側端部において、該モニタ用光導波路を伝搬する光を反射させる反射部をそなえ、該出力光導波路を伝搬する光の該基板における出射端面と該反射部で反射された光の該基板における出射端面とが異なるように構成されたことを特徴とする付記1〜3のいずれか1項記載の光デバイス。
【0090】
(付記5)
該反射部における反射面の幅を、該モニタ用光導波路による光伝搬方向についての切り出し幅と実質的に同等としたことを特徴とする付記4記載の光デバイス。
(付記6)
該反射部は、該基板上に形成された反射溝であることを特徴とする付記4記載の光デバイス。
【0091】
(付記7)
該出力光導波路が、該変調用導波路に接続される箇所から所定の湾曲角で湾曲する形状を有する第1湾曲領域を含んで構成されるとともに、
該モニタ用光導波路が、該狭幅領域よりも光伝搬方向の上流側であって、該変調用導波路に接続される箇所を含む領域を前記第1湾曲領域の湾曲角に対応した角度で湾曲させる第2湾曲領域を含んで構成されたことを特徴とする付記1〜6のいずれか1項記載の光デバイス。
【0092】
(付記8)
該狭幅領域が、該モニタ用光導波路を伝搬する光について、高次モード光については当該モニタ用光導波路の外部に放射される一方、0次モード光については該狭幅領域の下流側の該モニタ用光導波路を伝搬させることを特徴とする付記1〜7のいずれか1項記載の光デバイス。
【0093】
(付記9)
該狭幅領域が、該モニタ用光導波路を伝搬する光について、高次モード光については当該モニタ用光導波路の外部に放射される一方、0次モード光については該狭幅領域の下流側の該モニタ用光導波路を伝搬させ、
かつ、該反射部が、該モニタ用光導波路の外部に放射される前記高次モード光の前記反射を回避させるとともに該狭幅領域の下流側の該モニタ用光導波路を伝搬する前記0次モード光を反射されるように構成されたことを特徴とする付記4記載の光デバイス。
【0094】
(付記10)
該変調用光導波路が、前記入力光を導波する入力導波路と、該入力導波路の下流側に接続され該入力導波路を複数に分岐させるとともに合流させる分岐合流導波路と、をそなえ、該出力光導波路及び該モニタ用光導波路が、該分岐合流導波路における前記合流した箇所の下流側箇所において分岐して接続されることを特徴とする付記1〜9のいずれか1項記載の光デバイス。
【0095】
(付記11)
電気光学効果を有する基板をそなえるとともに、
該基板に入力される光についての光変調用の光導波路と、該変調用光導波路の下流側箇所を分岐して接続される出力光導波路および該変調用光導波路での光変調動作をモニタするための光を導波するモニタ用光導波路と、をそなえてなる光導波路が該基板の表層部に形成され、
該モニタ用光導波路の下流側において、該モニタ用光導波路を伝搬する光を反射させる反射部をそなえ、かつ、該反射部における反射面の幅を、該モニタ用光導波路による光伝搬方向についての切り出し幅と実質的に同等としたことを特徴とする光デバイス。
【0096】
(付記12)
該出力光導波路が、該変調用導波路に接続される箇所から所定の湾曲角で湾曲する形状を有する第1湾曲領域を含んで構成されるとともに、
該モニタ用光導波路が、該反射部よりも光伝搬方向の上流側であって、該変調用導波路に接続される箇所を含む領域を前記第1湾曲領域の湾曲角に対応した角度で湾曲させる第2湾曲領域を含んで構成されたことを特徴とする付記11項記載の光デバイス。
【0097】
(付記13)
該変調用導波路を伝搬する光に光変調用の電圧を印加する電極と、
該電極に印加する電圧信号を発生する電圧信号発生部と、
該モニタ用光導波路を伝搬してきた光を受光する受光部と、
該受光部で受光した光のモニタ結果に基づいて、該電圧信号発生部で発生する電圧信号を制御する制御部をそなえたことを特徴とする、付記1〜12のいずれか1項記載の光デバイス。
【0098】
(付記14)
電気光学効果を有する基板と、
該基板の表層部に形成され、入力光を変調する干渉型光変調器を構成する変調用光導波路と、
該基板の表層部に形成され、該変調用光導波路の下流側箇所に接続される出力光導波路と、
該出力光導波路を伝搬され該基板の出射端面から出射された光の分岐光をモニタする分岐モニタ部と、をそなえ、
該出力導波路に導波路幅を狭められた狭幅領域をそなえたことを特徴とする、光デバイス。
【0099】
(付記15)
該出力光導波路は、該狭幅領域よりも光伝搬方向の下流側に、該狭幅領域で狭められた導波路幅をもとの導波路幅に広げる拡幅領域をそなえたことを特徴とする付記14記載の光デバイス。
(付記16)
該狭幅領域よりも光伝搬方向の下流側位置における該出力光導波路両側の該基板領域に、当該出力光導波路両側の基板領域を伝搬する光の該出射端面への到達を阻止する光阻止溝が形成されたことを特徴とする、付記14記載の光デバイス。
【0100】
(付記17)
該拡幅領域よりも光伝搬方向の下流側位置における該出力光導波路両側の該基板領域に、当該出力光導波路両側の基板領域を伝搬する光の該出射端面への到達を阻止する光阻止溝が形成されたことを特徴とする、付記15記載の光デバイス。
(付記18)
該変調用光導波路が、前記入力光を導波する入力導波路と、該入力導波路の下流側に接続され該入力導波路を複数に分岐させるとともに合流させる分岐合流導波路と、をそなえ、該出力光導波路が、該分岐合流導波路における前記合流した箇所の下流側箇所に接続されることを特徴とする付記14記載の光デバイス。
【0101】
(付記19)
該変調用導波路を伝搬する光に光変調用の電圧を印加する電極と、
該電極に印加する電圧信号を発生する電圧信号発生部と、をそなえるとともに、
該分岐モニタ部が、該出射端面から出射された光を分岐する分岐部と、該分岐部で分岐された光をモニタ用に受光する受光部と、をそなえ、
かつ、
該受光部で受光した光のモニタ結果に基づいて、該電圧信号発生部で発生する電圧信号を制御する制御部をそなえたことを特徴とする、付記14記載の光デバイス。
【0102】
(付記20)
該基板は、ニオブ酸リチウムを材質とすることを特徴とする、付記1〜14のいずれか1項記載の光デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる光デバイスを示す図である。
【図2】図1に示す光デバイスの要部拡大図である。
【図3】(a),(b)はともに本発明の第1実施形態の作用について説明するための図である。
【図4】理想的な出力信号光とモニタ光との位相関係の例を示す図である。
【図5】従来の光デバイスを示す図である。
【図6】バイアスシフトαを有する出力信号光とモニタ光との位相関係の例を示す図である。
【図7】(a)〜(d)はいずれも、図5に示す光変調器におけるバイアスシフトαの発生について説明するための図である。
【図8】本発明の他の実施形態にかかる光デバイスを示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態にかかる光デバイスとしての光変調器を示す図である。
【図10】(a)〜(d)はいずれも、図9に示す光変調器によるバイアスシフトの低減効果を説明するための図である。
【図11】図20の構成における信号光波長に応じたバイアスシフトの変動量について示す図である。
【図12】第2実施形態にかかる光変調器構成における信号光波長に応じたバイアスシフトの変動量について示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態の第1変形例にかかる光デバイスとしての光変調器を示す図である。
【図14】第2実施形態の第1変形例にかかる光デバイスとしての光変調器の作用効果を説明するための図である。
【図15】(a)〜(d)はいずれも、図13に示す光変調器によるバイアスシフトの低減効果を説明するための図である。
【図16】本発明の第2実施形態の第2変形例にかかる光デバイスとしての光変調器を示す図である。
【図17】第2実施形態の第2変形例にかかる光デバイスとしての光変調器の作用効果を説明するための図である。
【図18】第2実施形態の第2変形例にかかる光変調器構成における信号光波長に応じたバイアスシフトの変動量について示す図である。
【図19】本発明の第2実施形態の第3変形例にかかる光デバイスとしての光変調器を示す図である。
【図20】従来の光デバイスを示す図である。
【図21】バイアスシフトを有する出力信号光とモニタ光との位相関係の例を示す図である。
【図22】0次モードのほかに高次モードが混入することについて説明するための図である。
【符号の説明】
【0104】
1 入力導波路
2 分岐合流導波路
2a 第1接続部
2b アーム導波路
2c 第2接続部
5 出力光導波路
5a 第1湾曲領域
5b 狭幅領域
6,6′ モニタ用光導波路
6a 狭幅領域
6b 幅保持領域
6c 第2湾曲領域
7 光変調用光導波路
10 光導波路
11 電極
13 反射溝
30 光デバイス
31 光導波路デバイス
32 電圧信号発生部
32a 変調電気信号発生部
32b バイアス電圧発生部
33 受光部
34 制御部
40,40A〜40C 光変調器(光デバイス)
41 変調用光導波路
41a 入力光導波路
41b MMI
41c アーム導波路
41d MMI
42,42B 出力光導波路
42a 狭幅領域
42b 拡幅領域
43 進行波電極
44 ハーフミラー
45 受光部
46 制御部
47 電圧信号発生部
47a バイアス電圧発生部
47b 変調電気信号発生部
49A 溝
91 基板
91a 出射端面
100 光変調器
101 入力導波路
102 MMI
103 アーム導波路
104 MMI
105 出力光導波路
106 モニタ用光導波路
110 MZ型光導波路
111 電極
113 反射溝
121 受光部
122 電圧信号発生部
123 変調電気信号発生部
124 バイアス電圧発生部
125 制御部
191 基板
200 光変調器
210 MZ型光導波路
210a 出射端面
231 ハーフミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果を有する基板をそなえるとともに、
該基板に入力される光についての光変調用の光導波路と、該変調用光導波路の下流側箇所を分岐して接続される出力光導波路および該変調用光導波路での光変調動作をモニタするための光を導波するモニタ用光導波路と、をそなえてなる光導波路が該基板の表層部に形成され、
該モニタ用光導波路の下流側において、該モニタ用光導波路を伝搬する光を反射させる反射部をそなえ、かつ、該反射部における反射面の幅を、該モニタ用光導波路による光伝搬方向についての切り出し幅と実質的に同等としたことを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
電気光学効果を有する基板と、
該基板の表層部に形成され、入力光を変調する干渉型光変調器を構成する変調用光導波路と、
該基板の表層部に形成され、該変調用光導波路の下流側箇所に接続される出力光導波路と、
該出力光導波路を伝搬され該基板の出射端面から出射された光の分岐光をモニタする分岐モニタ部と、をそなえ、
該出力導波路に導波路幅を狭められた狭幅領域をそなえたことを特徴とする、光デバイス。
【請求項3】
該出力光導波路は、該狭幅領域よりも光伝搬方向の下流側に、該狭幅領域で狭められた導波路幅をもとの導波路幅に広げる拡幅領域をそなえたことを特徴とする請求項2記載の光デバイス。
【請求項4】
該狭幅領域よりも光伝搬方向の下流側位置における該出力光導波路両側の該基板領域に、当該出力光導波路両側の基板領域を伝搬する光の該出射端面への到達を阻止する光阻止溝が形成されたことを特徴とする、請求項2記載の光デバイス。
【請求項5】
該拡幅領域よりも光伝搬方向の下流側位置における該出力光導波路両側の該基板領域に、当該出力光導波路両側の基板領域を伝搬する光の該出射端面への到達を阻止する光阻止溝が形成されたことを特徴とする、請求項3記載の光デバイス。
【請求項6】
該変調用導波路を伝搬する光に光変調用の電圧を印加する電極と、
該電極に印加する電圧信号を発生する電圧信号発生部と、をそなえるとともに、
該分岐モニタ部が、該出射端面から出射された光を分岐する分岐部と、該分岐部で分岐された光をモニタ用に受光する受光部と、をそなえ、
かつ、
該受光部で受光した光のモニタ結果に基づいて、該電圧信号発生部で発生する電圧信号を制御する制御部をそなえたことを特徴とする、請求項2記載の光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−133404(P2012−133404A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−91895(P2012−91895)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2007−10847(P2007−10847)の分割
【原出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(309015134)富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 (72)
【Fターム(参考)】