説明

光ドロップケーブル

【課題】光ファイバユニット及び光ファイバ心線の分離が容易且つ確実に行え、更に、蝉の産卵の影響を受けないようにした光ドロップケーブルを提供する。
【解決手段】光ファイバユニット20,21相互間の境界に沿って外被16の四隅のうちの対向する2つの角部から断面中心に向けて斜めに形成されると共に、分離後の各光ファイバユニット20,21に配置された光ファイバ心線14,15が剥き出しにならないように外被16で被覆された状態で各光ファイバユニット20,21を互いに分離可能に形成された分離用ノッチ23A,23Bと、各光ファイバ心線14,15を挟んで対向する位置の外被16の側面及び分離用ノッチ23A,23Bの内側面にそれぞれ形成された心線引き出し用ノッチ22A,22B,24A,24Bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロージャ等の接続材から光ファイバを分岐してオフィスや一般加入者宅等へ引き込み配線をするために用いられる光ドロップケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
電柱等に架設された架空用ケーブル(幹線ケーブル)からオフィスや一般加入者宅等へ光ファイバを引き込み配線する場合、柱上の引き落とし用クロージャから光ドロップケーブル(引き込みケーブル)を用いてオフィスや一般加入者宅等への引き込みが行われる。
【0003】
従来の代表的な光ドロップケーブルとしては、例えば、図4に示すような構成のものが知られている。すなわち、図示された光ドロップケーブル100は、鋼線等による支持線101と、2本の光ファイバ心線102a,102b及びこの光ファイバ心線102a,102bの両側にそれぞれテンションメンバ103a,103bを配設してなる光ファイバユニット104と、を備えて構成された長尺のケーブルである。光ファイバユニット104及び支持線101は、難燃ポリエチレンによって形成された外被105によって一体化されている。なお、光ドロップケーブル100は、例えば、高さが約5mm、幅が約2mmの断面形状を有している。
【0004】
光ファイバユニット104は概略として角形の断面形状とされており、光ファイバ心線102a,102bが配置される位置の両側面にはV字形のノッチ106A,106Bが対向するようにして設けられ、支持線101との結合部には幅を狭くした接続部107が形成されている。ノッチ106A,106Bは、例えば、入り口幅が0.4〜0.5mm、深さ0.5mm程度である。なお、この値は風圧荷重の影響を抑制できるサイズとされている。
【0005】
この光ドロップケーブル100は、オフィスや加入者宅等へ引き込む場合には、作業者により、屋外において支持線101が光ファイバユニット104から分離され、支持線101は建屋に係着される。そして、光ファイバユニット104が加入者宅に設置された図示しない光成端箱へ布設され、その場所でノッチ106A,106Bの部位からドロップセパレータ等の工具で外被105を2分すると、光ファイバ心線102a,102bが露出する。これによって、外被105から光ファイバ心線102a,102bを取り出すことができ、図示しない光成端箱での接続が可能になる。
【0006】
ここで、既設のFTTH(Fiber To The Home)回線の中間点で新たに光ファイバの引き落としが必要になった場合、上述した従来の光ドロップケーブル100にあっては、2心のうちの1心を電柱間に架空布設された所定箇所から分岐するいわゆる中間後分岐によって容易に対応することができるようにも思える。しかしながら、従来の光ドロップケーブル100は、光ファイバ心線102a,102bが非常に近接して配置されていたため、ノッチ106A,106Bに沿って外被105を2分すると分離された面側には光ファイバ心線102a,102bを保護する外被105が存在しない状態となり光ファイバ心線102a,102bが両方とも剥き出しになってしまうという問題がある。また、光ファイバ心線102aと光ファイバ心線102bとが近接して配置されているため両者を傷つけずに分離することが非常に困難であり、分岐作業中に光ファイバ心線102a,102bを破損してしまうおそれが高い。そのため、従来の光ドロップケーブル100では中間後分岐は極めて困難であり、新たな光ドロップケーブルの追い張り作業を解消することができないという問題があった。
【0007】
そのため、図5に示すような光ドロップケーブル200も提案されている。この光ドロップケーブル200は、図4に示す光ドロップケーブル100において、テンションメンバ103aを除去すると共にテンションメンバ103aが設けられていた位置に光ファイバ心線102aを移し、更に、外被105には、光ファイバ心線102aの両側に位置させてノッチ108A,108Bを設け、光ファイバ心線102bの両側に位置させてノッチ109A,109Bを設けたものである。この構成によれば、光ファイバユニット104の光ファイバ心線102a,102bの分離にはノッチ106A,106Bを用い、光ファイバ心線102a,102bの引き出しにはそれぞれノッチ108A,108B,109A,109Bを用いることで光ファイバ心線102a,102bを破損することなく両者を分離することが可能となる。尚、複数の光ファイバユニットを連結することによって構成された光ドロップケーブルの例が、例えば、特許文献1,2に開示されている。
【0008】
一方で、ノッチを有する光ドロップケーブルにあっては、クマゼミによる光ファイバの断線が問題になっている。クマゼミは枯れ木に産卵するという習性があり、難燃ポリエチレンの外被を枯れ木と勘違いしてノッチに沿って産卵管を挿入して産卵することでその先に配置されている光ファイバ心線を断線させてしまうことが知られている。クマゼミの産卵管は、先端が鋭角で硬く、図4、図5に示した様なノッチ106A,106Bに挿入し易い状況になっている。このため、ノッチを通して刺し込まれた産卵管によって光ファイバ心線が断線する事故が多発している。そのため、例えば、特許文献3〜6にはこの蝉対策として、ノッチの延長線方向に光ファイバ心線を配設しないようにした光ドロップケーブルが開示されている。また、外被の材質を硬いものにする等の研究も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−283764号公報
【特許文献2】特開2005−283765号公報
【特許文献3】特開2002−90595号公報
【特許文献4】特開2006−163337号公報
【特許文献5】特開2007−41337号公報
【特許文献6】特開2009−63880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、図5に示した従来の光ドロップケーブルは、外被105の片側にノッチが3つ並び、どのノッチが光ファイバユニットや光ファイバ心線に対応するのか区別をし難く作業性が良くない。これについては引用文献3も同様である。また、光ファイバ心線102a側にはテンションメンバが配置されていないので光ファイバ心線102aの保護が十分でない。この場合、光ファイバ心線102a側にもテンションメンバを配置することも考えられるが、そうなると光ファイバユニット104の高さ(図5における光ファイバユニット104の上下方向の長さ)が長くなってケーブルに受ける風圧が大きくなり、電柱に対する負荷が大きくなるという問題がある。また、上記特許文献1,2に示された光ドロップケーブルは、蝉対策が図られていない。
【0011】
そこで、本発明が解決すべき課題は、従来の光ドロップケーブルの外形寸法を変更することなく、且つ、光ファイバ心線の中間後分岐を行った場合でも光ファイバ心線が剥き出しになることなく外皮によって確実に保護される光ドロップケーブルを提供することである。
【0012】
また、本発明が解決すべき課題は、FTTH回線の中間点での引き落としを容易、且つ、確実に行うことができる光ドロップケーブルを提供することである。
【0013】
さらに、本発明が解決すべき課題は、蝉の産卵による光ファイバ心線の断線被害を防止することが可能な光ドロップケーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項に記載の本発明は、光ファイバ心線とテンションメンバとを外皮で被覆した光ファイバユニットを光ファイバ心線同士が相対するようにして複数並列して配置してなる光ドロップケーブルであって、外皮は複数の光ファイバユニットを一体に被覆すると共に、さらに支持線と結合されて形成された光ドロップケーブルにおいて、それぞれの光ファイバユニット相互間の境界に沿って光ドロップケーブルの略矩形の断面形状における外被の四隅のうちの対向する2つの角部から断面中心に向けて斜めに形成されると共に、分離後の各光ファイバユニットに配置された光ファイバ心線が剥き出しにならないように外被で被覆された状態で各光ファイバユニットを互いに分離可能に形成された分離用ノッチと、各光ファイバ心線を挟んで対向する位置の外被の側面及び分離用ノッチの内側面にそれぞれ形成された心線引き出し用ノッチとを備えて構成されていることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、請求項に記載の本発明は、請求項に記載の光ドロップケーブルにおいて、複数の光ファイバユニットに設けられたテンションメンバ及び光ファイバ心線は偏心して配置され、分離用ノッチによって分けられる各光ファイバユニットは断面形状が略三角形を有し、分離用ノッチの先端に形成された連結部によって一体化されていることを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するため、請求項に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の光ドロップケーブルにおいて、分離用ノッチ及び心線引き出し用ノッチは、断面形状が先端側が次第に狭まった略V字状とされていることを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するため、請求項に記載の本発明は、請求項1からのいずれか1項に記載の光ドロップケーブルにおいて、さらに、支持線が外被と一体に被覆されて形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る光ドロップケーブルによれば、分離した光ファイバ心線は外皮によって保護されているので単独の光ドロップケーブルとして機能することから、中間点で新たに光ファイバの引き落としが必要になった場合でも中間後分岐が可能となる。従って、新たな光ドロップケーブルの追い張りが不要となり、ケーブル布設コストの低減及び工期の短縮を図ることができるという効果がある。
【0019】
また、本発明に係る光ドロップケーブルによれば、分離用ノッチと心線引き出し用ノッチの区別が容易に行えるので光ファイバユニットとの分離及び光ファイバ心線の取り出しが容易、且つ、確実に行うことができるという効果がある。
【0020】
さらに、従来の光ドロップケーブルと変わらない外形寸法を確保することができたので光ドロップケーブルが受ける風圧による影響もこれまでと変わらず、従って、電柱に対しても余計な負荷を与えることがないという効果がある。
【0021】
さらに、本発明に係る光ドロップケーブルによれば、蝉の産卵の影響を受けないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る光ドロップケーブルと関連する光ドロップケーブルを示す断面図である。
【図2】(a)(b)は、光ドロップケーブルの中間後分岐を説明する図である。
【図3】本発明に係る光ドロップケーブルの一実施形態を示す断面図である。
【図4】従来の光ドロップケーブルを示す断面図である。
【図5】従来の他の光ドロップケーブルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る本発明に係る光ドロップケーブルの好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0024】
[光ドロップケーブルの構成]
初めに、本発明に係る光ドロップケーブルと関連する光ドロップケーブルの一実施形態について説明し、それとの対比において本発明に係る光ドロップケーブルの好ましい一実施形態について説明する。図1は、本発明に係る光ドロップケーブルと関連する光ドロップケーブルを示す断面図である。図示された光ドロップケーブル1は、電柱間に架設する際の支持媒体となる鋼線(例えば、1.2mmφ)等によって形成された支持線10と、支持線10の外面を所定の厚みで覆う難燃ポリエチレン等などの合成樹脂によって形成された被覆11と、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)等によって形成された第1,第2のテンションメンバ12,13と、第1のテンションメンバ12と第2のテンションメンバ13との間に配設された第1,第2の光ファイバ心線14,15と、第1,第2のテンションメンバ12,13及び第1,第2の光ファイバ心線14,15を内装すると共に狭い幅の接続部160によって支持線10を覆う被覆11と一体に結合された難燃ポリエチレンによる長方形状の外被16と、外被16の断面におけるその中心部の両側に設けられて連結部161を形成するV字状の第1,第2のノッチ(後述する第1及び第2の光ファイバユニット20,21の分離用ノッチ)17A,17Bと、略矩形の断面形状における外被16の四隅の角部から断面中心に向けて形成された長溝状の第3,第4のノッチ18A,18Bと、同様にして外被16の他の角部から断面中心に向けて設けられた長溝状の第5,第6のノッチ19A,19Bと、を有して構成されている。この光ドロップケーブル1のサイズは、従来の光ドロップケーブルと同じ2mm×5mm(幅×高さ)の外形寸法で構成することができる。
【0025】
図1において、第1のテンションメンバ12と第1の光ファイバ心線14を含む外被16の上部側の半分は第1の光ファイバユニット20を形成し、第2のテンションメンバ13と第2の光ファイバ心線15を含む外被16の下部側の半分は第2の光ファイバユニット21を形成している。従って、第1,第2のノッチ17A,17Bは、第1の光ファイバユニット20と第2の光ファイバユニット21相互間の境界に沿って外被16の両側面に形成されている。また、第1及び第2の光ファイバユニット20,21に設けられた第1,第2のテンションメンバ12,13と第1,第2の光ファイバ心線14,15はそれぞれ一直線上に位置するようにして一体とされている。さらに、第1の光ファイバユニット20と第2の光ファイバユニット21を分離した後の第1及び第2の光ファイバユニット20,21にそれぞれ配置されている光ファイバ心線14,15が剥き出しにならないように外被で被覆16された状態で互いに分離されるようにして形成されている。
【0026】
第1,第2の光ファイバ心線14,15は、例えば、紫外線硬化型樹脂被覆単心光ファイバである。そして、シリコーン樹脂、紫外線硬化型樹脂、熱可塑性エラストマ等でその周囲に被覆が施されている場合もある。
【0027】
外被16は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等の合成樹脂材を押し出し成形するなどして被覆11と一体に製造することができる。第3,第4のノッチ18A,18B及び第5,第6のノッチ19A,19Bは、光ファイバ心線14,15を取り出すための引き出し用ノッチであり、その先端側はそれぞれ第1,第2の光ファイバ心線14,15の近傍へ至る形状とされ、この引き出し用ノッチに沿って外被16を引き剥がすことによって第1,第2の光ファイバ心線14,15を引き出すことができる。
【0028】
ここで、第3,第4のノッチ18A,18B及び第5,第6のノッチ19A,19Bは、その延長線上に光ファイバ心線14,15が位置することなく、且つ、光ファイバ心線14,15の近傍に達するようにして形成されている。さらに、第3,第4のノッチ18A,18B及び第5,第6のノッチ19A,19Bの先端側はそれぞれ光ファイバ心線14,15の方向を向くように屈折して形成されている。これにより、クマゼミの産卵管が第3,第4のノッチ18A,18B又は第5,第6のノッチ19A,19Bに挿入されてそのまま外被16を突き破ったとしてもその延長線上には光ファイバ心線14,15が配置されていないのでそれによって断線事故を起こすおそれがない。
【0029】
[光ドロップケーブルの中間後分岐]
次に、光ドロップケーブル1の中間後分岐について説明する。図2(a)(b)は、光ドロップケーブルの中間後分岐の説明図であり、以下、図1及び図2(a)(b)を参照しつつ、新規加入者住宅31へ光ドロップケーブル1を中間後分岐によって引き込む場合について説明する。初めに、図2(a)は電柱A,B,C間に光ドロップケーブル1が布設され、先行加入者住宅30に光ドロップケーブル1が引き込まれている状態を示している。なお、この場合、先行加入者宅30には第1の光ファイバユニット20と第2の光ファイバユニット21の両方が引き込まれているが、そのうち第1の光ファイバユニット20のみが使用されている。
【0030】
図2(a)に示す状態において、電柱BC間に新たな加入者が現れた場合には、新規加入者宅31には第2の光ファイバユニット21の引き込みを行う。すなわち、電柱A,B間に布設されている光ドロップケーブル1の第1のノッチ17Aと第2のノッチ17Bを利用して所定の位置で第1の光ファイバユニット20と第2の光ファイバユニット21と分離する。分離した第2の光ファイバユニット21を切断し、第5ノッチ19Aと第6のノッチ19Bによって光ファイバ心線15を露出させる。露出させた第2の光ファイバユニット21の光ファイバ心線15と新規加入者宅31へ引き込むための引き込み用の光ドロップケーブル37の図示しない光ファイバ心線とをクロージャ35内で光学的に接続を行う。これにより、追い張りを行うことなく光ファイバケーブルを新規加入者宅31へ引き込むことができる。
【0031】
光ドロップケーブル1の効果]
光ドロップケーブル1によれば、第1,第2の光ファイバ心線14,15を取り出すための第3,第4のノッチ18A,18B及び第5,第6のノッチ19A,19Bを角部に設け、一方、第1の光ファイバユニット20と第2の光ファイバユニット21とを分離するための第1,第2のノッチ17A,17Bを側部に設けたことにより第1のノッチ17Aから第3のノッチ18Aまでの長さ及び第1のノッチ17Aから第5のノッチ19Aまでの長さ、同様に、第2のノッチ17Bから第4のノッチ18Bまでの長さ及び第2のノッチ17Bから第6のノッチ19Bまでの長さが長く確保でき、それによって分離後の第1の光ファイバユニット20と第2の光ファイバユニット21の被覆16の量のバランスが良くなり、分離作業が行い易い。また、第1の光ファイバユニット20と第2の光ファイバユニット21の視認性が良くなり、他の用途のノッチと誤認することなく作業を確実に行うことが可能となる。
【0032】
また、蝉が産卵管を第1〜第6のノッチ17A,17B,18A,18B,19A,19Bに刺し込んだ場合でも、産卵管の延長上に第1,第2の光ファイバ心線14,15が存在しないため、蝉による第1,第2の光ファイバ心線14,15の断線を防止することができる。
【0033】
また、光ドロップケーブル1は、第1,第2の光ファイバ心線14,15と第1,第2のテンションメンバ12,13を備えた2芯構造でありながら、サイズは従来と同じ2mm×5mmに納めることができ、光ドロップケーブル1が受ける風圧による電柱への負荷も従来と同様に押さえることができる。
【0034】
本発明に係る光ドロップケーブルの好ましい一実施形態
[光ドロップケーブルの構成]
次に、本発明に係る光ドロップケーブルの好ましい一実施形態について説明する。図3は、本発明に係る光ドロップケーブルの好ましい一実施形態を示す断面図である。図示された光ドロップケーブル2は、上述した光ドロップケーブル1において、第1,第2のテンションメンバ12,13を略矩形断面における外被16の対角位置に配置すると共に、第1,第2の光ファイバ心線14,15を第1,第2のテンションメンバ12,13に対して外被16の高さ方向(図3における上下方向)の内側に配置し、第1,第2の光ファイバユニット20,21相互間の境界に沿って光ドロップケーブル2の略矩形の断面形状における外被16の四隅のうちの対向する2つの角部から断面中心に向けて斜めに形成した第9,第10のノッチ(第1,第2の光ファイバユニット20,21の分離用ノッチ)23A,23Bを形成すると共に、第9,第10のノッチ23A,23Bの間には連結部162が形成され、一方、第1,第2の光ファイバ心線14,15を挟んでそれぞれ対向する位置の外被16の側面と第9,第10のノッチ23A,23Bの内側面にはそれぞれ断面V字状の心線引き出し用ノッチである第11,12のノッチ24A,24B及び第7,第8のノッチ22A,22Bを形成したものであり、その他の構成は上述した光ドロップケーブル1とほぼ同様である。なお、第9,第10のノッチ23A,23Bによって図3における左側に位置する第1の光ファイバユニット20が形成され、図3における右側に位置する第2の光ファイバユニット21が形成されている。そして、第1,第2の光ファイバ心線14,15は第1,第2の光ファイバユニット20,21が分離された後も剥き出しにならないように外被16で被覆された状態で第1,第2の光ファイバユニット20,21内に配置されている。
【0035】
上述したように、光ドロップケーブル2は第1,第2の光ファイバユニット20,21に設けられた第1,第2のテンションメンバ12,13及び第1,第2の光ファイバ心線14,15は互いに偏心して配置され、分離用ノッチによって分けられる各光ファイバユニットは断面形状が略三角形を有し、分離用ノッチである第9,第10のノッチ23A,23Bの先端に形成された連結部162によって一体化されている。
【0036】
第9,第10のノッチ23A,23Bには、先端側の内部に第1,第2の光ファイバ心線14,15の方向を向いて形成されたV字状の第11,12のノッチ24A,24Bが設けられている。第9,第10のノッチ23A,23Bで第1,第2の光ファイバユニット20,21をそれぞれ分離する第11,12のノッチ24A,24Bは外部に晒されることになるので第1,第2の光ファイバ心線14,15の方向に向けて亀裂を入れることが容易になる。この第7,第8のノッチ22A,22Bと第11,12のノッチ24A,24Bは第1,第2の光ファイバ心線14,15の引き出し用ノッチとして機能する。
【0037】
光ドロップケーブル2は、第1の光ファイバユニット2に対して第2の光ファイバユニット21を手で捩じるか又は専用の工具によって連結部162を切断することにより第1の光ファイバユニット20から第2の光ファイバユニット21を分離することができる。また、第7のノッチ22Aから第11のノッチ24Aにかけて手で力を付与するか又は専用の工具によって外被16を切断すると、第1の光ファイバ心線14を引き出すことができる。同様にして、第8のノッチ22Bから第12のノッチ24Bにかけて手で力を付与するか又は専用の工具によって外被16を切断すると、第2の光ファイバ心線15を引き出すことができる。また、手で力を付与するか又は専用の工具によって連結部160を切断すると、支持線10と第1,第2の光ファイバユニット20,21とを分離することができる。なお、本実施形態の施工方法は、光ドロップケーブル1の場合とほぼ同様であるので、その説明は省略する。
【0038】
本発明に係る光ドロップケーブルの好ましい一実施形態の効果]
光ドロップケーブル2によれば、光ドロップケーブル1に比べ、ノッチ数を少なくできると共に、第1の光ファイバユニット20と第2の光ファイバユニット21の分離位置及び第1,第2の光ファイバ心線14,15の引き出し位置をより明確にすることができる。その他、光ドロップケーブル1と同様の効果を得ることができる。
【0039】
[他の実施形態]
なお、本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々な変形が可能である。例えば、光ファイバユニットは2つの例を示したが、2以上であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 光ドロップケーブル
2 光ドロップケーブル
10 支持線
11 被覆
12 第1のテンションメンバ
13 第2のテンションメンバ
14 第1の光ファイバ心線
15 第2の光ファイバ心線
16 外被
17A 第1のノッチ
17B 第2のノッチ
18A 第3のノッチ
18B 第4のノッチ
19A 第5のノッチ
19B 第6のノッチ
20 第1の光ファイバユニット
21 第2の光ファイバユニット
22A 第7のノッチ
22B 第8のノッチ
23A 第9のノッチ
23B 第10のノッチ
24A 第11のノッチ
24B 第12のノッチ
30 先行加入者住宅
31 新規加入者宅
35 クロージャ
160 接続部
161 連結部
162 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ心線とテンションメンバとを外皮で被覆した光ファイバユニットを前記光ファイバ心線同士が相対するようにして複数並列して配置してなる光ドロップケーブルであって、前記外皮は複数の前記光ファイバユニットを一体に被覆すると共に、さらに支持線と結合されて形成された光ドロップケーブルにおいて、
それぞれの前記光ファイバユニット相互間の境界に沿って前記光ドロップケーブルの略矩形の断面形状における前記外被の四隅のうちの対向する2つの角部から断面中心に向けて斜めに形成されると共に、分離後の各前記光ファイバユニットに配置された光ファイバ心線が剥き出しにならないように前記外被で被覆された状態で各前記光ファイバユニットを互いに分離可能に形成された分離用ノッチと、
各前記光ファイバ心線を挟んで対向する位置の前記外被の側面及び前記分離用ノッチの内側面にそれぞれ形成された心線引き出し用ノッチと、
を備えて構成されていることを特徴とする光ドロップケーブル。
【請求項2】
請求項に記載の光ドロップケーブルにおいて、
複数の前記光ファイバユニットに設けられた前記テンションメンバ及び前記光ファイバ心線は偏心して配置され、前記分離用ノッチによって分けられる各前記光ファイバユニットは断面形状が略三角形を有し、前記分離用ノッチの先端に形成された連結部によって一体化されていることを特徴とする光ドロップケーブル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光ドロップケーブルにおいて、
前記分離用ノッチ及び前記心線引き出し用ノッチは、断面形状が先端側が次第に狭まった略V字状とされていることを特徴とする光ドロップケーブル。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光ドロップケーブルにおいて、
さらに、前記支持線が前記外被と一体に被覆されて形成されていることを特徴とする光ドロップケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−118382(P2011−118382A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254518(P2010−254518)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【分割の表示】特願2009−271360(P2009−271360)の分割
【原出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(591160268)北日本電線株式会社 (41)
【Fターム(参考)】