説明

光ネットワークおよびその制御方法

【課題】光ネットワーク内のトラフィック量の変化に応じてWDM光のレベルダイヤを最適化することにより、光ネットワーク全体の消費電力を効率的に削減する。
【解決手段】ネットワーク管理システム(NMS)での演算処理結果に従って、OADMノードにおける各波長に対応した減衰量を最適化することで、全ての波長の終端ノードにおける光信号品質指標を所要の閾値以上に保ち、特定の波長の光信号品質指標を改善する、トラフィック量の変化に応じた光信号のレベルダイヤを設定し、該特定の波長に対応した光受信器のFEC回路をオフにするか、訂正処理能力を下げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長の異なる複数の光信号を波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)方式により伝送する光ネットワークおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)技術を適用した光ネットワークの分野では、光信号のまま波長単位の分岐挿入や経路切替を実現する光分岐挿入(OADM:Optical Add/Drop Multiplexer)装置などを使用することにより、リング相互接続やメッシュといった複雑なトポロジを持つ光ネットワークが構成可能となっている。
【0003】
このような複雑なトポロジを持つ光ネットワークでは、伝送されるWDM光の各波長の光信号が通過する経路(波長パス)が多岐にわたるようになり、終端ノード(受信端)に到達する各々の光信号の品質に対する要求が厳格になる。この要求に応えるためには、光ネットワーク内におけるWDM光のレベルダイヤをネットワーク構成に応じて設定することが重要になる。また、終端ノードで受信した光信号について、符号誤りを訂正する誤り訂正処理を行う場合に、当該訂正処理能力の高性能化を図ることにより、所望の受信信号品質を実現するのも有効である。
【0004】
従来の光ネットワーク内におけるWDM光のレベルダイヤに関しては、各波長の光信号のパワーが、各々の波長毎および各ノード間のスパン毎に同じになるように設定するのが一般的である。また、例えば特許文献1,2に記載されているように、受信端における光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal-to-Noise Ratio)等の特性が各波長でそれぞれ等しくなるように、送信端でのWDM光の信号レベルを波長毎に調整するプリエンファシス方式も知られている。
【0005】
上記のようなプリエンファシス方式によりWDM光の各波長に対応した送信パワーを設定することで、全ての波長の光信号の受信信号品質を同等レベルに保つことが可能になる。そして、該各波長に対応した受信信号に対して所要の性能を持つ誤り訂正処理をそれぞれ実施することで、多様な波長パスを通過してきた各波長の光信号を確実に受信することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−203414号公報
【特許文献2】特開平11−8590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来技術による光ネットワークについては、終端ノードで受信される各波長の光信号の受信信号品質が波長に依存することなく同等レベルに保たれることにより、全ての波長について均一に誤り訂正処理を行う必要があるため、光ネットワーク全体の消費電力増大が問題となる。
【0008】
具体的に、誤り訂正処理を行うLSI(Large Scale Integration)等の回路モジュールは、その訂正処理能力の高性能化に伴い、より複雑な演算を行なうことが求められる。このため、誤り訂正処理の回路モジュールは、ゲート規模が増大すると共に消費電力についても増大する傾向にある。WDM光の全ての波長について均一に誤り訂正処理を行う場合、所要の訂正処理能力を持つ回路モジュールをWDM光の波長数分用意して駆動することが必要になる。このため、光ネットワーク全体の消費電力は、WDM光の波長数の増加および訂正処理能力の高性能化と伴に増大する。
【0009】
ところで、前述したような複雑なトポロジを持つ光ネットワークでは、複数のOADMノードにおいて光信号の分岐および挿入が行われることにより、光ネットワーク内のトラフィック量が大きく変化する場合がある。この場合、トラフィック量に比較的余裕がある中継区間(スパン)については、該スパンを通過する光信号のレベルを高めに設定することで、当該光信号の受信信号品質を改善させることが可能である。すなわち、OADMノード間を伝送されるWDM光の波長数が少なくなるスパンでは、伝送路に送る各波長の光信号パワーがある程度大きくなっても、WDM光のトータルパワーは伝送路で非線形光学効果による信号劣化が発生する程に大きくはならないので、当該スパンでの信号レベルの上昇により受信端での信号品質は改善する。
【0010】
この点に注目すると、光ネットワーク内でのトラフィック量の変化を考慮してレベルダイヤの設定を行うようにすれば、特定の波長についての受信信号品質を他の波長よりも向上させることができる。特定の波長の受信信号品質が改善すれば、当該波長については相対的に能力の低い誤り訂正処理を適用可能、若しくは誤り訂正処理自体が不要になるので、光ネットワーク全体の消費電力削減が期待できる。しかし、前述した従来のプリエンファシス方式によるWDM光のレベルダイヤでは、各波長の光信号のパワーが送信端において設定され、伝送途中のノードにおいては波長毎のレベル調整が行われないため、上記のような光ネットワーク内でのトラフィック量の変化を考慮したレベルダイヤを実現することは困難である。
【0011】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、光ネットワーク内のトラフィック量の変化に応じてWDM光のレベルダイヤを最適化することにより、光ネットワーク全体の消費電力を効率的に削減できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明による光ネットワークの一態様は、伝送路を介して互いに接続された複数のノードおよび該複数のノードの動作を集中管理するネットワーク管理システムを備える。前記複数のノードのうちの2つ以上のノードは、それぞれ、前記伝送路を伝送された光信号が入力され、該光信号に対して所定の波長の光信号を分岐または挿入する光分岐挿入部と、前記光分岐挿入部で分岐された光信号を受信する光受信部と、当該ノードから前記伝送路に挿入する各波長の光信号のパワーを波長毎に可変減衰させる減衰部と、前記減衰部における各波長に対応した減衰量を制御する減衰量制御部と、前記光受信部で受信された光信号の品質をモニタし、該モニタ結果を示す受信品質情報を前記ネットワーク管理システムに伝達するモニタ部と、前記光受信部において受信信号の誤り訂正処理を行う誤り訂正処理回路の駆動状態を制御する誤り訂正処理制御部と、を備える。また、前記ネットワーク管理システムは、光ネットワーク情報を入力する入力部と、前記入力部で入力された光ネットワーク情報に基づき、該光ネットワーク内を伝送される各波長の光信号の終端ノードにおける信号品質を示す光信号品質指標について、2つ以上の閾値を設定する閾値設定部と、前記各ノードから伝達される前記受信品質情報を基に各波長に対応した前記光信号品質指標を求め、該光信号品質指標の全てが前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以上となり、かつ、前記光信号品質指標が前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以外の閾値を超える波長の数が目標値以上となるように、前記各ノードの前記減衰部における各波長に対応した減衰量を演算する演算部と、前記演算部の演算結果を示す減衰量設定情報を前記減衰量制御部に伝達すると共に、前記演算部の演算結果に基づいて決まる各波長に対応した誤り訂正処理の設定を示す誤り訂正処理設定情報を前記誤り訂正処理制御部に伝達する通信部と、を備える。
【0013】
また、本発明による光ネットワークの制御方法の一態様は、伝送路を介して互いに接続された複数のノードおよび該複数のノードの動作を集中管理するネットワーク管理システムを備えた光ネットワークの制御方法であって、まず、前記ネットワーク管理システムにおいて、光ネットワーク情報を入力し、該光ネットワーク情報に基づき、該光ネットワーク内を伝送される各波長の光信号の終端ノードにおける信号品質を示す光信号品質指標について、2つ以上の閾値を設定する。次に、前記複数のノードのうちで、前記伝送路を伝送された光信号が入力され、該光信号に対して所定の波長の光信号を分岐または挿入する、2つ以上の光分岐挿入ノードにおいて、それぞれ、分岐した光信号の品質をモニタし、該モニタ結果を示す受信品質情報を前記ネットワーク管理システムに伝達する。続いて、前記ネットワーク管理システムにおいて、前記各光分岐挿入ノードから伝達される前記受信品質情報を基に各波長に対応した前記光信号品質指標を求め、該光信号品質指標の全てが前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以上となり、かつ、前記光信号品質指標が前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以外の閾値を超える波長の数が目標値以上となるように、前記各光分岐挿入ノードにおける各波長に対応した減衰量を演算する。そして、前記ネットワーク管理システムにおける演算結果を示す減衰量設定情報を前記各光分岐挿入ノードに伝達すると共に、前記演算処理の結果に基づいて決まる各波長に対応した誤り訂正処理の設定を示す誤り訂正処理設定情報を前記各光分岐挿入ノードに伝達する。次に、前記各光分岐挿入ノードにおいて、それぞれ、前記ネットワーク管理システムからの前記減衰量設定情報に従って、当該光分岐挿入ノードから前記伝送路に挿入する各波長の光信号のパワーを波長毎に減衰すると共に、前記ネットワーク管理システムからの前記誤り訂正処理設定情報に従って、当該光分岐挿入ノードで受信した受信信号の誤り訂正処理を行う誤り訂正処理回路の駆動状態を制御する。
【発明の効果】
【0014】
上記光ネットワークおよびその制御方法によれば、ネットワーク管理システムにおける演算処理結果に従って、光分岐挿入ノードでの各波長に対応した減衰量が最適化されることで、全ての波長の終端ノードにおける光信号品質指標が所要の閾値以上に保たれ、特定の波長の光信号品質指標が改善されるようになり、光ネットワーク内のトラフィック量の変化に応じた光信号のレベルダイヤが実現される。これにより、上記特定の波長に対する誤り訂正処理の負担を軽減でき、全ての波長について所要の受信信号品質を保ちながら、光ネットワーク全体の消費電力を効率的に削減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】光ネットワークの一実施形態の全体構成を示す図である。
【図2】上記実施形態におけるOADM装置を備えたノードの構成例を示す図である。
【図3】OADM装置の他の構成例を示す図である。
【図4】上記実施形態におけるNMSのハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】上記実施形態のNMSで実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】個々のノードにおけるOSNRの算出方法を説明する図である。
【図7】OADMノードの減衰量の最適化により該ノードを通過する各波長チャネルの信号レベルが変化する様子を示す図である。
【図8】図7のOADMノードの下流ノードで終端される波長チャネルの光受信器におけるFEC回路の駆動状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による光ネットワークの全体構成を示す図である。
図1において、本実施形態の光ネットワークは、伝送路を介してメッシュ状に接続された複数(ここでは、例えば4つとする)のノード1,2,3,4を含み、該ノード1〜4のうちの2つ以上のノード内には、図示を省略した光分岐挿入(OADM)装置が備えられている。各ノード1〜4の設定および動作は、ネットワーク管理システム(NMS:Network Management System)10により集中管理される。
【0017】
図2は、上記ノード1〜4のうちでOADM装置を備えたノードの具体的な構成例を示す図である。図2のノード構成は、入力側光アンプ31、分散補償モジュール(DCM:Dispersion Compensation Module)32、OADM装置33、光受信部34、光送信部35、出力側光アンプ36、減衰量制御部37およびFEC制御部38を具備する。
【0018】
入力側光アンプ31は、各ノード間を接続する伝送路を伝送されたWDM光が入力され、該WDM光に含まれる各波長の光信号を一括増幅してDCM32に出力する。DCM32は、入力側光アンプ31で増幅されたWDM光について、伝送路で発生する波長分散とは逆の波長分散を与えることで分散補償を行い、該補償後のWDM光をOADM装置33に出力する。なお、DCM32は、当該ノードにおいて波長分散の補償を行う必要がなければ省略可能である。
【0019】
OADM装置33は、例えば、分岐器331、分波器332、波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)333および合波器334により構成される。分岐器331は、DCM32から出力されるWDM光を所要の分岐比に従って2つのWDM光に分岐し、一方のWDM光を分波器332に与え、他方のWDM光をWSS333に与える。分波器332は、分岐器331からのWDM光を波長に応じて分離し、該各波長の光信号をドロップ光として光受信部34に出力する。合波器334は、光送信部35からアド光として出力される各波長の光信号を合波してWSS333に出力する。
【0020】
WSS333は、入力される光を図示しない分光素子で波長に応じて分離した後に、該各光を図示しない可動ミラーで波長毎に反射させることで、各波長の光の入出力経路の切替を行う公知の光スイッチモジュールである(例えば、特開2006−243571号公報参照)。ここでは、WSS333への入力光として、分岐器331からのWDM光(スルー光)と、光送信部35から出力される各波長の光信号(アド光)を合波器334で合波した光とがそれぞれ与えられる。WSS333は、各波長についてスルー光およびアド光のいずれを選択するかの設定に応じて、各波長に対応した可動ミラーの反射面の角度を調整することにより、出力側光アンプ36に接続する1つの出力ポートから各波長の選択光(スルー光またはアド光)を出力する。また、WSS333は、減衰量制御部37から出力される制御信号に従って、各波長の選択光に対応した可動ミラーの反射面の角度を、上記出力ポートに対する最適結合状態からずらすことにより、選択光の出力パワーを波長毎に減衰させる。つまり、WSS333は、各波長についてスルー光およびアド光のいずれかを選択する光スイッチとしての機能と、該選択した各波長の光信号パワーを個別に減衰させる可変光減衰器としての機能とを備える。
【0021】
なお、ここではWSS333を使用してOADM装置33を構成する一例を示したが、OADM装置の構成はこれに限定されない。例えば、図3に示すOADM装置33’のように、上記のWSS333および合波器334に代えて、分波器335、2×1光スイッチ(SW)336、可変光減衰器(VOA:Variable Optical Attenuator)337および合波器338を適用することも可能である。図3のOADM装置33’では、分波器335で分波された各波長の光信号(スルー光)および図2の光送信部35から出力される各波長の光信号(アド光)の選択が、各波長に対応した光スイッチ336でそれぞれ行われる。各光スイッチ336で選択された各波長の光信号は、図2の減衰量制御部37からの制御信号に従って波長毎にVOA337で減衰された後に、合波器338で合波されて、図2の出力側光アンプ36に出力される。
【0022】
図2の光受信部34は、OADM装置33の分波器332で分波された各波長の光信号(ドロップ光)をそれぞれ受信処理する複数の光受信器RX1〜RXnを有する。各光受信器RX1〜RXnは、受信した光信号を電気信号に変換した後、該電気信号を用いてクロックの再生処理およびデータの識別処理を行うと共に、図示しない誤り訂正処理回路(FEC回路)により受信信号の誤り訂正処理を行う。また、各光受信器RX1〜RXnは、受信した光信号の品質をモニタするモニタ部としての機能を備え、該モニタ結果を示す受信品質情報INFrcvをNMS10に伝達する。
【0023】
光送信部35は、光ネットワークで伝送されるWDM光の各波長に対応した複数の光送信器TX1〜TXnを有する。各光送信器TX1〜TXnは、当該ノードよりネットワーク上に挿入する光信号(アド光)を生成し、該光信号をOADM装置33の分波器334に出力する。出力側光アンプ36は、OADM装置33で所要の波長の光信号が分岐、挿入されたWDM光が入力され、該WDM光に含まれる各波長の光信号を一括増幅して、ノード間を接続する伝送路に出力する。
【0024】
減衰量制御部37は、当該ノードにおける各波長の光信号に対する減衰量の設定に関する情報INFattがNMS10から伝達される。そして、減衰量制御部37は、NMS10からの減衰量設定情報INFattに従って、OADM装置33内のWSS333における各波長の選択光に対応した可動ミラーの反射面の角度を微調整することにより、WSS333の出力ポートから出力される各波長の光信号パワーを制御する。
【0025】
FEC制御部38は、当該ノードにおいて終端される光信号(ドロップ光)に対する誤り訂正処理の設定に関する情報INFfecがNMS10から伝達される。そして、FEC制御部38は、NMS10からの誤り訂正処理設定情報INFfecに従って、光受信部34内のドロップ波長に対応した光受信器RXにおけるFEC回路の駆動状態(オン、オフまたは訂正処理能力の切替)を制御する。
【0026】
なお、上記図2にはOADM装置を備えたノードの構成例を示したが、光ネットワーク上のノード1〜4はOADM装置を備えていないノードを含んでいてもよい。OADM装置を備えていないノードとしては、例えば、伝送路から入力されるWDM光の一括増幅だけを行う光中継ノードや、該光中継ノードに波長分散の補償機能を持たせた分散補償ノードなどがある。ただし、上記光中継ノードや分散補償ノードなどでは、通常、波長毎の光信号レベルの調整を行うことは困難である。このため、後で詳しく説明するトラフィック量の変化を考慮したレベルダイヤを実現するための各ノードにおける減衰量の設定は、波長毎の可変光減衰器としての機能を持つOADM装置を備えたノードを対象にして行われるものとする。
【0027】
図4は、図1に示したNMS10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4において、NMS10は、入力装置11、出力装置12、ドライブ装置13、補助記憶装置14、メモリ装置15、演算処理装置16、データベース17および外部通信装置18を含み、これらはシステムバス19で相互に接続されている。このNMS10は、専用の装置構成とすることができる他に、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等を適用することも可能である。
【0028】
具体的に、入力装置11は、光ネットワークの管理者が操作するキーボード及びマウス等を有しており、各種データを入力する。出力装置12は、NMS10のプログラムを操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するディスプレイを有し、実行プログラムに基づいた表示を行う。NMS10にインストールされる実行プログラムは、例えば、CD−ROM等の記録媒体20により提供される。プログラムを記緑した記録媒体20はドライブ装置13に装着され、記録媒体20に格納された実行プログラムが、記録媒体20からドライブ装置13を介して補助記憶装置14にインストールされる。
【0029】
演算処理装置16は、メモリ装置15により読み出され格納されている実行プログラムに基づいて、各種演算や後述する各処理を含むNMS10全体の処理を制御する。また、プログラムの実行中に必要な各種情報は、データベース17から取得することができ、また格納することもできる。外部通信装置18は、演算処理装置16における演算結果に基づいた情報を各ノード1〜4に送信すると共に、各ノード1〜4からNMS10に送られてくる情報を受信する。
【0030】
次に、本実施形態の光ネットワークの動作について説明する。
上記のような構成の光ネットワークでは、ノード1〜4のうちのOADM装置33を備えたノードにおいて、WSS333の可変光減衰器としての機能を利用して各波長の光信号レベルを調整することができる。このため、光ネットワーク内で伝送される各波長の光信号のレベルダイヤを、伝送途中におけるトラフィック量の変化に応じて柔軟に設定することが可能である。上述したようにトラフィック量に比較的余裕があるスパンで信号レベルを高めに設定すれば、特定の波長の受信信号品質が改善して当該波長に対する誤り訂正処理の負担が軽減され、光ネットワーク全体の消費電力削減が可能になる。
【0031】
光ネットワーク内のトラフィック量の変化に応じたレベルダイヤの設定は、NMS10において、各ノードから収集した受信品質情報INFrcvを利用して、光ネットワーク全体の消費電力を最小にするための各ノードにおける減衰量の最適値を求める演算処理を実行し、該演算結果に従って各ノードのOADM装置33を制御することによって実現される。以下、NMS10において実行される処理の一例を図5のフローチャートを参照しながら詳しく説明する。
【0032】
NMS10は、まず、ステップ11(図中S11で示し、以下同様とする)で光ネットワーク情報の入力を行う。この光ネットワーク情報の入力では、管理対象となる光ネットワークについて、各ノードにおける減衰量の最適値の演算に必要な光ネットワーク情報が、入力装置11(図4)を用いてネットワーク管理者により入力される。上記の光ネットワーク情報は、ここではネットワークトポロジ情報、ノード情報、スパン情報および波長パス情報を含むものとする。
【0033】
具体的に、ネットワークトポロジ情報としては、例えば、光ネットワーク上の各ノード1〜4の配置および各ノード間の接続状態に関する情報などが挙げられる。また、ノード情報としては、各ノードの種別若しくは機能(例えば、OADMノードや光増幅中継ノード、分散補償ノード等)に関する情報、各ノード内に具備される光デバイスの特性に関する情報(例えば、光アンプの雑音指数等)などがある。スパン情報としては、隣接するノード間を接続する伝送路に使用されている光ファイバの情報(例えば、ファイバ種、ファイバ長、伝送損失等)が挙げられる。波長パス情報としては、光ネットワーク上を伝送される各波長の光信号の経路情報、波長情報、各ノードからの光信号の出力パワー情報などが挙げられる。ただし、ステップ11で入力されるネットワーク情報は、上記の具体例に限定されるものではなく、後述する各ノードにおける減衰量の最適値の演算処理に用いる各パラメータに関連する情報であればその種類は問わない。
【0034】
次に、ステップ12では、ステップ11において入力された光ネットワーク情報を基に、各ノードでの減衰量の最適値の演算処理に必要なパラメータの一つとして、光ネットワーク内の各波長パスの終端ノードにおける光信号の品質に関する閾値が設定される。具体的には、後で詳しく説明する光信号品質指標Fについて2つ以上の閾値が設定される。第1閾値は、全ての波長パスの終端ノードにおける光信号品質指標Fが最低限満たさなければならない限界値として設定される。第2閾値は、終端ノードにおける光受信器のFEC回路をオフ(駆動停止)にすることが可能な光信号品質指標Fの下限値として設定される。第3閾値以降は、FEC回路のオン/オフの切替の他に、訂正処理能力を段階的に下げる切替を行って消費電力を削減する場合の光信号品質指標Fの基準値として設定される。以下では第n閾値をFth[n]と表記することにする。
【0035】
上記ステップ12で閾値の設定が完了すると、次に、ステップ13において、光ネットワーク全体の消費電力を最小にするための各ノードにおける減衰量の最適値を求める演算処理が実行される。ここでは、上記減衰量の最適値を得るために、線形計画法の1つである混合整数計画法(MIP:Mixed Integer Programming)を適用する場合を一例として示す。ただし、上記減衰量の最適値の演算手法が混合整数計画法に限定されることを意味するものではない。
【0036】
この場合、混合整数計画法おける目的関数として、「光ネットワークの各ノードにおけるFEC回路の消費電力を最小化する」を設定する。この目的関数は、例えば、ノードの番号をiとし、ノードiにおける全ての波長に対応したFEC回路の総消費電力をWiとして、次の(1)式に示すような関係式で記述することができる。
【数1】

【0037】
また、混合整数計画法おける制約条件としては、例えば、次の(2)式〜(4)式に示すような関係式で記述される条件を設定する。
【数2】

【0038】
上記(2)式は、WDM光に含まれる各波長の光信号(波長チャネル)の番号をkとして、ノードiにおける波長チャネルkの光信号品質指標Fi,kが、第1閾値Fth[1]以上となる条件を表している。また、上記(3)式は、ノードiにおける波長チャネルkに与える減衰量ATTi,k(真数値)が、その上限値ATThighi,kおよび下限値ATTlowi,kの範囲内となる条件を表している。なお、ノードiにおける波長チャネルkに与える減衰量の上限値ATThighi,kおよび下限値ATTlowi,kは、当該ノードのOADM装置33に使用されているWSS333(図2)やVOA337(図3)で設定可能な減衰量の範囲、当該ノードに接続する伝送路の特性および当該波長チャネルを受信する光受信器の性能に基づいて決定される。さらに、上記(4)式は、ノードiから出力される波長チャネルkのパワーをPouti,kとして、ノードiから出力される全ての波長チャネルのトータルパワーが、当該ノードに設定されたWDM光の出力トータルパワーの最大値以下となる条件を表している。
【0039】
上記のような目的関数および制約条件における各パラメータに関して、ノードiにおける全ての波長に対応したFEC回路の総消費電力Wiは、次の(5)式により求めることが可能である。
【数3】

【0040】
上記(5)式において、NumFth[n]は、ノードiにおける光信号品質指標が閾値Fth[n]以上で閾値Fth[n+1]未満となる波長チャネルの数である。Wnは、当該波長チャネルに対して適用されるFEC回路の消費電力である。Nは、光信号品質指標の閾値の設定数を表している。なお、該波長チャネル数について所要の目標値を予め設定しておくことで、該目標値以上の波長チャネル数の場合にもFEC回路の総消費電力削減を図ることが可能である。
【0041】
また、ノードiにおける波長チャネルkの光信号品質指標Fi,kは、ノードiにおける波長チャネルkの光信号対雑音比をFinalOSNRi,kとし、ノードiにおける波長チャネルkの非線形光学効果に起因した品質劣化量をNLi,kとして、次の(6)式により求めることができる。
【数4】

【0042】
上記(6)式のFinalOSNRi,kについては、送信端からノードiまでの波長パス上の個々のノードjにおける光信号対雑音比NodeOSNRj,kを用いて、次の(7)式に従い演算することが可能である。
【数5】

【0043】
上記(7)式におけるNodeOSNRj,kは、ノードjの波長チャネルkに対応した光受信器RXkで受信光のOSNRをモニタし、そのモニタ値を受信品質情報INFrcvとしてNMS10に伝達することで得ることが可能である。また、光受信器RXkで受信光のOSNRをモニタする代わりに、ノードjの構成に応じた以下の計算式を用いることでNodeOSNRj,kを算出するようにしてもよい。例えば、ノードjが図6の上段に示すような要部構成(前述の図2に示したOADMノードの構成例に対応)の場合、次の(8)式に示す関係を用いて算出することができる。
【数6】

【0044】
ただし、上記(8)式におけるNFprej,kは、入力側光アンプの雑音指数(NF:Noise Figure)であり、NFpostj,kは、出力側光アンプの雑音指数である。NFprej,kおよびNFpostj,kの各値は、ステップ11で入力されるノード情報を参照する。また、ATTj,kは、出力側光アンプの前段に位置するWSSで波長チャネルkに与える減衰量(真数値)である。さらに、Pin1j,kは、入力側光アンプへの波長チャネルkの入力パワーを表し、Pin2j,kは、WSSへの波長チャネルkの入力パワーを表す。Pin1j,kおよびPin2j,kの各値は、ステップ11で入力されるノード情報、スパン情報および波長パス情報を基に計算することが可能である、なお、hはプランク定数、νは波長チャネルkの周波数、ΔfはOSNRの測定帯域幅である。
【0045】
或いは、ノードjが図6の下段に示すような要部構成(分散補償ノードに対応)の場合、NodeOSNRj,kは、出力側光アンプへの波長チャネルkの入力パワーをPin2j,kとして、次の(9)式に示す関係を用いて算出することができる。
【数7】

【0046】
また、前述した(6)式のNLi,kについては、上記ノードjにおける波長チャネルkに対する減衰量が変化すると、伝送路ファイバで発生する非線形光学効果に影響が及ぶ点を考慮する。具体的には、NLi,kは、ノードjにおける波長チャネルkに対する減衰量をATTj,kとし、このATTj,kから非線形光学効果に起因した品質劣化量に変換する係数をαj,kとして、次の(10)式に従って計算することが可能である。αj,kは、光ネットワーク内のトラフィック量および伝送路ファイバの状態に応じて決定される。
【数8】

【0047】
なお、ここでは光信号品質指標Fi,kを求めるために、ノードiにおける波長チャネルkの光信号対雑音比FinalOSNRi,kと、伝送路ファイバで発生する非線形光学効果に起因した品質劣化量NLi,kとを考慮する一例を説明したが、前述した制約条件のうちの(3)式における減衰量の下限値ATTlowi,kの値を、伝送路ファイバで非線形光学効果が発生しないよう適切に設定することで、上記NLi,kを特に考慮しなくてもよくなる。つまり、上記(6)式の右辺におけるNLi,kの項を削除することも可能である。
【0048】
上記のようにして混合整数計画法における目的関数および制約条件を設定することにより、一般的な数理計画ソフトウェアを利用して、光ネットワーク全体の消費電力を最小にするための各ノードにおける減衰量の最適値を演算することができる。
【0049】
図5のフローチャートに戻り、ステップ13で混合整数計画法により各ノードにおける減衰量の最適値が演算されると、次のステップ14において、該演算結果がNMS10の出力装置12(図4)に出力されると共に、上記演算結果に従って各ノードに対応した減衰量の設定に関する情報INFattがNMS10で生成され、該減衰量設定情報INFattが外部通信装置18(図4)を介して各ノードの減衰量制御部37(図2)に伝達される。また、上記演算結果を基に各ノードにおいて終端される波長チャネルに対する誤り訂正処理の設定に関する情報INFfecがNMS10で生成され、該誤り訂正処理設定情報INFfecが外部通信装置18を介して各ノードのFEC制御部38(図2)に伝達される。
【0050】
上記誤り訂正処理設定情報INFfecは、上記混合整数計画法による演算処理における光信号品質指標の閾値の設定数が2つの場合、終端ノードでの光信号品質指標が、閾値Fth[1]以上で閾値Fth[2]未満となる波長チャネルについて当該FEC回路をオンに設定し、閾値Fth[2]以上となる波長チャネルについて当該FEC回路をオフに設定することを示す情報となる。また、光信号品質指標の閾値の設定数が3つの場合には、終端ノードでの光信号品質指標が、閾値Fth[1]以上で閾値Fth[2]未満となる波長チャネルについて当該FEC回路の訂正処理能力を相対的に上げた状態でオンに設定し、閾値Fth[2]以上で閾値Fth[3]未満となる波長チャネルについて当該FEC回路の訂正処理能力を相対的に下げた状態でオンに設定し、閾値Fth[3]以上となる波長チャネルについて当該FEC回路をオフに設定することを示す情報が、誤り訂正処理設定情報INFfecとなる。なお、光信号品質指標の閾値の設定数が4つ以上の場合については、上記3つの場合と同様の考え方により、光信号品質指標の値に応じてFEC回路の訂正処理能力が段階的に切り替えられる設定となる。
【0051】
ステップ15では、NMS10からの減衰量設定情報INFattを受けた各ノードの減衰量制御部37が、該減衰量設定情報INFattに従って、OADM装置33内のWSS333(図2)或いはOADM装置33’内のVOA337(図3)を制御することにより、当該ノードにおいて各波長チャネルに与える減衰量が設定される。続いて、ステップ16では、NMS10からの誤り訂正処理設定情報INFfecを受けた各ノードのFEC制御部38が、該誤り訂正処理設定情報INFfecに従って、該当する波長チャネルの光受信器RXにおけるFEC回路の駆動状態(オン、オフまたは訂正処理能力の切替)を制御する。
【0052】
上記ステップ15,16の処理により、例えば、図7の概念図に示すように、波長チャネルλ1〜λ8を含むWDM光が通過するOADMノードについて、各波長チャネルλ5〜λ8に与える減衰量が各波長チャネルλ1〜λ4よりも多くなるようにWSS333が制御されることで、該OADMノードから出力されるWDM光のうちの各波長チャネルλ1〜λ4の信号レベルが、各波長チャネルλ5〜λ8の信号レベルに対して相対的に高められるようになる。そして、上記OADMノードの下流において波長チャネルλ1,λ8を終端するOADMノードでは、図8の概念図に示すように、信号レベルが相対的に高い波長チャネルλ1の光受信器RX1におけるFEC回路がオフに設定され、信号レベルが相対的に低い波長チャネルλ8の光受信器RX8におけるFEC回路がオンに設定される。
【0053】
上記のようなステップ11〜ステップ16の一連の処理により、光ネットワーク内を伝送される各波長の光信号のレベルダイヤが、光ネットワーク内のトラフィック量の変化に応じて、波長チャネル毎およびOADM装置を備えたノードに対応するスパン毎に最適化され、特定の波長の受信信号品質が改善するようになる。これにより、当該波長についての誤り訂正処理の負担が軽減されるので、全ての波長パスについて所要の受信信号品質を保ちながら、光ネットワーク全体の消費電力を効率的に削減することが可能になる。
【0054】
なお、上述した実施形態では、光信号品質指標として、光信号対雑音比および非線形光学効果に起因した品質劣化量を用いた一例を説明したが、これ以外にも、例えば、光受信器で誤り訂正処理を行う際に検出される誤り訂正数、ビット誤り率(BER:Bit error rate)、Q値などを光信号品質指標とすることも可能である。また例えば、特開2009−198364号公報に記載されているようなデジタルコヒーレント受信器でモニタされる、受信信号の平均電力と標準偏差の比を光信号品質指標としてもよい。
【0055】
以上の各実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 伝送路を介して互いに接続された複数のノードおよび該複数のノードの動作を集中管理するネットワーク管理システムを備えた光ネットワークであって、
前記複数のノードのうちの2つ以上のノードは、それぞれ、
前記伝送路を伝送された光信号が入力され、該光信号に対して所定の波長の光信号を分岐または挿入する光分岐挿入部と、
前記光分岐挿入部で分岐された光信号を受信する光受信部と、
当該ノードから前記伝送路に挿入する各波長の光信号のパワーを波長毎に可変減衰させる減衰部と、
前記減衰部における各波長に対応した減衰量を制御する減衰量制御部と、
前記光受信部で受信された光信号の品質をモニタし、該モニタ結果を示す受信品質情報を前記ネットワーク管理システムに伝達するモニタ部と、
前記光受信部において受信信号の誤り訂正処理を行う誤り訂正処理回路の駆動状態を制御する誤り訂正処理制御部と、を備え、
前記ネットワーク管理システムは、
光ネットワーク情報を入力する入力部と、
前記入力部で入力された光ネットワーク情報に基づき、該光ネットワーク内を伝送される各波長の光信号の終端ノードにおける信号品質を示す光信号品質指標について、2つ以上の閾値を設定する閾値設定部と、
前記各ノードから伝達される前記受信品質情報を基に各波長に対応した前記光信号品質指標を求め、該光信号品質指標の全てが前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以上となり、かつ、前記光信号品質指標が前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以外の閾値を超える波長の数が目標値以上となるように、前記各ノードの前記減衰部における各波長に対応した減衰量を演算する演算部と、
前記演算部の演算結果を示す減衰量設定情報を前記減衰量制御部に伝達すると共に、前記演算部の演算結果に基づいて決まる各波長に対応した誤り訂正処理の設定を示す誤り訂正処理設定情報を前記誤り訂正処理制御部に伝達する通信部と、を備えたことを特徴とする光ネットワーク。
【0056】
(付記2) 付記1に記載の光ネットワークであって、
前記演算部は、前記求めた光信号品質指標の全てが前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以上となり、かつ、前記光信号品質指標が前記閾値設定部で設定された最も高い閾値を超える波長の数が最大になるように、前記各ノードの前記減衰部における各波長に対応した減衰量を求めることを特徴とする光ネットワーク。
【0057】
(付記3) 付記1または2に記載の光ネットワークであって、
前記誤り訂正処理制御部は、前記ネットワーク管理システムから伝達される前記誤り訂正処理設定情報に従って、当該ノードで終端される光信号のうちで、前記光信号品質指標が最も高い閾値以上となる光信号に対応した誤り訂正処理回路をオフにし、前記光信号品質指標が最も高い閾値未満となる光信号に対応した誤り訂正処理回路をオンにすることを特徴とする光ネットワーク。
【0058】
(付記4) 付記3に記載の光ネットワークであって、
前記誤り訂正処理制御部は、前記光信号品質指標が最も高い閾値未満となる光信号について、該閾値以外の他の閾値を基準にして前記光信号品質指標が高くなるのに伴い誤り訂正処理能力が下がるように、当該光信号に対応した誤り訂正処理回路の駆動状態を段階的に切り替えることを特徴とする光ネットワーク。
【0059】
(付記5) 付記1〜4のいずれか1つに記載の光ネットワークであって、
前記光分岐挿入部は、波長に応じて光の入出力経路を切り替える波長選択スイッチを含み、該波長選択スイッチが前記減衰部としての機能を具備することを特徴とする光ネットワーク。
【0060】
(付記6) 付記1〜4のいずれか1つに記載の光ネットワークであって、
前記光分岐挿入部は、波長分割多重光を分波する分波器と、該分波器で分波された各波長の光信号を合波する合波器と、を含み、
前記減衰部は、前記分波器および前記合波器の間の各波長に対応する光路上にそれぞれ配置した複数の可変光減衰器を含むことを特徴とする光ネットワーク。
【0061】
(付記7) 付記1〜6のいずれか1つに記載の光ネットワークであって、
前記演算部は、混合整数計画法により、前記各ノードの前記減衰部における各波長に対応した減衰量を演算することを特徴とする光ネットワーク。
【0062】
(付記8) 付記1〜7のいずれか1つに記載の光ネットワークであって、
前記光信号品質指標は、光信号対雑音比をパラメータとして含むことを特徴とする光ネットワーク。
【0063】
(付記9) 付記8に記載の光ネットワークであって、
前記モニタ部は、前記光受信部で受信された光信号の光信号対雑音比をモニタすることを特徴とする光ネットワーク。
【0064】
(付記10) 付記8または9に記載の光ネットワークであって、
前記光信号品質指標は、前記伝送路における非線形光学効果に起因した品質劣化量をパラメータとして含むことを特徴とする光ネットワーク。
【0065】
(付記11) 付記1〜10のいずれか1つに記載の光ネットワークであって、
前記複数のノードは、前記伝送路を介してメッシュ状に接続されていることを特徴とする光ネットワーク。
【0066】
(付記12) 付記1〜11のいずれか1つに記載の光ネットワークであって、
前記複数のノードは、前記伝送路を伝送された光信号が入力され、該光信号の増幅を行う光中継ノードを含むことを特徴とする光ネットワーク。
【0067】
(付記13) 付記1〜12のいずれか1つに記載の光ネットワークであって、
前記複数のノードは、前記伝送路を伝送された光信号が入力され、該光信号の波長分散を補償する分散補償ノードを含むことを特徴とする光ネットワーク。
【0068】
(付記14) 伝送路を介して互いに接続された複数のノードおよび該複数のノードの動作を集中管理するネットワーク管理システムを備えた光ネットワークの制御方法であって、
前記ネットワーク管理システムにおいて、光ネットワーク情報を入力し、該光ネットワーク情報に基づき、該光ネットワーク内を伝送される各波長の光信号の終端ノードにおける信号品質を示す光信号品質指標について、2つ以上の閾値を設定し、
前記複数のノードのうちで、前記伝送路を伝送された光信号が入力され、該光信号に対して所定の波長の光信号を分岐または挿入する、2つ以上の光分岐挿入ノードにおいて、それぞれ、分岐した光信号の品質をモニタし、該モニタ結果を示す受信品質情報を前記ネットワーク管理システムに伝達し、
前記ネットワーク管理システムにおいて、前記各光分岐挿入ノードから伝達される前記受信品質情報を基に各波長に対応した前記光信号品質指標を求め、該光信号品質指標の全てが前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以上となり、かつ、前記光信号品質指標が前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以外の閾値を超える波長の数が目標値以上となるように、前記各光分岐挿入ノードにおける各波長に対応した減衰量を演算し、
前記ネットワーク管理システムにおける演算結果を示す減衰量設定情報を前記各光分岐挿入ノードに伝達すると共に、前記演算処理の結果に基づいて決まる各波長に対応した誤り訂正処理の設定を示す誤り訂正処理設定情報を前記各光分岐挿入ノードに伝達し、
前記各光分岐挿入ノードにおいて、それぞれ、前記ネットワーク管理システムからの前記減衰量設定情報に従って、当該光分岐挿入ノードから前記伝送路に挿入する各波長の光信号のパワーを波長毎に減衰すると共に、前記ネットワーク管理システムからの前記誤り訂正処理設定情報に従って、当該光分岐挿入ノードで受信した受信信号の誤り訂正処理を行う誤り訂正処理回路の駆動状態を制御することを特徴とする光ネットワークの制御方法。
【符号の説明】
【0069】
1,2,3,4…ノード
10…ネットワーク管理システム(NMS)
11…入力装置
12…出力装置
13…ドライブ装置
14…補助記憶装置
15…メモリ装置
16…演算処理装置
17…データベース
18…外部通信装置
19…システムバス
20…記録媒体
31…入力側光アンプ
32…分散補償モジュール(DCM)
33,33’…光分岐挿入(OADM)装置
34…光受信部
35…光送信部
36…出力側光アンプ
37…減衰量制御部
38…FEC制御部
331…分岐器
332,335…分波器
333…波長選択スイッチ(WSS)
334,338…合波器
336…光スイッチ(SW)
337…可変光減衰器(VOA)
INFatt…減衰量設定情報
INFfec…誤り訂正処理設定情報
INFrcv…受信品質情報
RX1〜RXn…光受信器
TX1〜TXn…光送信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路を介して互いに接続された複数のノードおよび該複数のノードの動作を集中管理するネットワーク管理システムを備えた光ネットワークであって、
前記複数のノードのうちの2つ以上のノードは、それぞれ、
前記伝送路を伝送された光信号が入力され、該光信号に対して所定の波長の光信号を分岐または挿入する光分岐挿入部と、
前記光分岐挿入部で分岐された光信号を受信する光受信部と、
当該ノードから前記伝送路に挿入する各波長の光信号のパワーを波長毎に可変減衰させる減衰部と、
前記減衰部における各波長に対応した減衰量を制御する減衰量制御部と、
前記光受信部で受信された光信号の品質をモニタし、該モニタ結果を示す受信品質情報を前記ネットワーク管理システムに伝達するモニタ部と、
前記光受信部において受信信号の誤り訂正処理を行う誤り訂正処理回路の駆動状態を制御する誤り訂正処理制御部と、を備え、
前記ネットワーク管理システムは、
光ネットワーク情報を入力する入力部と、
前記入力部で入力された光ネットワーク情報に基づき、該光ネットワーク内を伝送される各波長の光信号の終端ノードにおける信号品質を示す光信号品質指標について、2つ以上の閾値を設定する閾値設定部と、
前記各ノードから伝達される前記受信品質情報を基に各波長に対応した前記光信号品質指標を求め、該光信号品質指標の全てが前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以上となり、かつ、前記光信号品質指標が前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以外の閾値を超える波長の数が目標値以上となるように、前記各ノードの前記減衰部における各波長に対応した減衰量を演算する演算部と、
前記演算部の演算結果を示す減衰量設定情報を前記減衰量制御部に伝達すると共に、前記演算部の演算結果に基づいて決まる各波長に対応した誤り訂正処理の設定を示す誤り訂正処理設定情報を前記誤り訂正処理制御部に伝達する通信部と、を備えたことを特徴とする光ネットワーク。
【請求項2】
請求項1に記載の光ネットワークであって、
前記演算部は、前記求めた光信号品質指標の全てが前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以上となり、かつ、前記光信号品質指標が前記閾値設定部で設定された最も高い閾値を超える波長の数が最大になるように、前記各ノードの前記減衰部における各波長に対応した減衰量を求めることを特徴とする光ネットワーク。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光ネットワークであって、
前記誤り訂正処理制御部は、前記ネットワーク管理システムから伝達される前記誤り訂正処理設定情報に従って、当該ノードで終端される光信号のうちで、前記光信号品質指標が最も高い閾値以上となる光信号に対応した誤り訂正処理回路をオフにし、前記光信号品質指標が最も高い閾値未満となる光信号に対応した誤り訂正処理回路をオンにすることを特徴とする光ネットワーク。
【請求項4】
請求項3に記載の光ネットワークであって、
前記誤り訂正処理制御部は、前記光信号品質指標が最も高い閾値未満となる光信号について、該閾値以外の他の閾値を基準にして前記光信号品質指標が高くなるのに伴い誤り訂正処理能力が下がるように、当該光信号に対応した誤り訂正処理回路の駆動状態を段階的に切り替えることを特徴とする光ネットワーク。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の光ネットワークであって、
前記光分岐挿入部は、波長に応じて光の入出力経路を切り替える波長選択スイッチを含み、該波長選択スイッチが前記減衰部としての機能を具備することを特徴とする光ネットワーク。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の光ネットワークであって、
前記光分岐挿入部は、波長分割多重光を分波する分波器と、該分波器で分波された各波長の光信号を合波する合波器と、を含み、
前記減衰部は、前記分波器および前記合波器の間の各波長に対応する光路上にそれぞれ配置した複数の可変光減衰器を含むことを特徴とする光ネットワーク。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の光ネットワークであって、
前記演算部は、混合整数計画法により、前記各ノードの前記減衰部における各波長に対応した減衰量を演算することを特徴とする光ネットワーク。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の光ネットワークであって、
前記光信号品質指標は、光信号対雑音比をパラメータとして含むことを特徴とする光ネットワーク。
【請求項9】
請求項8に記載の光ネットワークであって、
前記光信号品質指標は、前記伝送路における非線形光学効果に起因した品質劣化量をパラメータとして含むことを特徴とする光ネットワーク。
【請求項10】
伝送路を介して互いに接続された複数のノードおよび該複数のノードの動作を集中管理するネットワーク管理システムを備えた光ネットワークの制御方法であって、
前記ネットワーク管理システムにおいて、光ネットワーク情報を入力し、該光ネットワーク情報に基づき、該光ネットワーク内を伝送される各波長の光信号の終端ノードにおける信号品質を示す光信号品質指標について、2つ以上の閾値を設定し、
前記複数のノードのうちで、前記伝送路を伝送された光信号が入力され、該光信号に対して所定の波長の光信号を分岐または挿入する、2つ以上の光分岐挿入ノードにおいて、それぞれ、分岐した光信号の品質をモニタし、該モニタ結果を示す受信品質情報を前記ネットワーク管理システムに伝達し、
前記ネットワーク管理システムにおいて、前記各光分岐挿入ノードから伝達される前記受信品質情報を基に各波長に対応した前記光信号品質指標を求め、該光信号品質指標の全てが前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以上となり、かつ、前記光信号品質指標が前記閾値設定部で設定された最も低い閾値以外の閾値を超える波長の数が目標値以上となるように、前記各光分岐挿入ノードにおける各波長に対応した減衰量を演算し、
前記ネットワーク管理システムにおける演算結果を示す減衰量設定情報を前記各光分岐挿入ノードに伝達すると共に、前記演算処理の結果に基づいて決まる各波長に対応した誤り訂正処理の設定を示す誤り訂正処理設定情報を前記各光分岐挿入ノードに伝達し、
前記各光分岐挿入ノードにおいて、それぞれ、前記ネットワーク管理システムからの前記減衰量設定情報に従って、当該光分岐挿入ノードから前記伝送路に挿入する各波長の光信号のパワーを波長毎に減衰すると共に、前記ネットワーク管理システムからの前記誤り訂正処理設定情報に従って、当該光分岐挿入ノードで受信した受信信号の誤り訂正処理を行う誤り訂正処理回路の駆動状態を制御することを特徴とする光ネットワークの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−160162(P2011−160162A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19717(P2010−19717)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】