説明

光パケット交換システム、光パケット交換装置、および光パケット送信装置

【課題】光パケット交換方式において、光パケット破棄確率を低減する。
【解決手段】光パケット交換装置12は、宛先情報と使用波長情報とを有する光パケット信号を受信する第1入力部62および第2入力部63と、光パケット信号の方路を切り替える光スイッチ部60と、受信した光パケット信号を分岐する分岐部と、分岐した光パケット信号のヘッダを解析して、宛先情報および使用波長情報を検出する解析部と、宛先情報に基づいて光パケット信号の時間的な競合を判定し、競合が発生している場合には、使用波長情報に基づいて光パケット信号の通過/破棄を判定する出力競合判定部79とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パケット信号に付与された宛先情報に従って光スイッチを切り替えることにより、光パケット単位でのパケット交換を可能とする光パケット交換方式に関する。
【背景技術】
【0002】
波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)を用いた光伝送システムにおいて、波長選択スイッチ(WSS:wavelength selective switch)等を用いることで、波長単位のパス切替を行う技術が実用化されている。その次の技術として、切替を行う単位を例えばIPパケット(10GEther(10 Gigabit Ethernet(登録商標))信号等)一つ一つという細かい単位とし、各々を光パケットという形式に変換して、超高速の光スイッチで方路切り替えを行う光パケット交換方式が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
IPパケットはデータが存在しない間は有意な情報が転送されておらず、その分だけ帯域が無駄になっているが、光パケット交換方式が実現すれば、データが存在しない時間帯を別のパケットが占有できることになる。従って、光パケット交換方式は、伝送路の帯域利用効率を飛躍的に高める可能性があり、将来の技術として有望視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−235986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光パケット交換装置では、複数の入力部に同じタイミングで受信した複数の光パケット信号が、同じ出力部への出力を要求する場合がある。このような場合、光パケット交換装置は、先に受信した光パケット信号を有効としてスイッチングを行い、後に受信した光パケット信号を破棄する。このようにして破棄される光パケット信号が多くなると、通信品質が低下する。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、光パケット破棄確率を低減できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の光パケット交換システムは、光パケット送信装置と、光パケット交換装置とを備える。光パケット送信装置は、受信したクライアント信号のパケット長を検出するパケット長検出部と、パケット長に応じて、クライアント信号の分割数および送信する光パケット信号に使用する波長を設定する設定部と、使用波長情報およびクライアント信号の宛先情報を含むヘッダを生成するヘッダ生成部と、クライアント信号を設定した分割数に従って分割して複数のパケット信号を生成する送信処理部と、少なくとも1つのパケット信号に生成したヘッダを挿入するヘッダ挿入部と、複数のパケット信号を設定した使用波長に従って複数の波長の光パケット信号に変換する電気/光変換部とを備える。光パケット交換装置は、複数の波長の光パケット信号が波長多重された光パケット信号を受信する複数の受信部と、受信した波長多重光パケット信号から、ヘッダを有する波長の光パケット信号を分岐する分岐部と、波長多重光パケット信号の方路を切り替える光スイッチ部と、分岐した光パケット信号のヘッダを解析して、宛先情報および使用波長情報を検出する解析部と、宛先情報に基づいて複数の受信部に入力した複数の波長多重光パケット信号の時間的な競合を判定し、競合が発生している場合には、使用波長情報に基づいて波長多重光パケット信号の通過/破棄を判定する出力競合判定部とを備える。
【0008】
出力競合判定部は、複数の波長多重光パケット信号に時間的な競合が発生している場合であっても、波長に関して競合が発生していない場合には、複数の波長多重光パケット信号を共に通過させてもよい。
【0009】
設定部は、パケット長が所定長未満の場合には、クライアント信号の分割数およびそれに対応する使用波長数を第1所定値に設定するとともに使用波長を所定の第1波長グループに設定し、パケット長が所定長以上の場合には、分割数および使用波長数を第1所定値よりも大きい第2所定値に設定するとともに使用波長を所定の第2波長グループに設定してもよい。また、第1波長グループと第2波長グループは、異なる波長配置を有してもよい。
【0010】
複数の光パケット送信装置をノードとして備え、第1波長グループの波長配置がノード毎に異なってもよい。
【0011】
光パケット送信装置は、パケット長と波長グループとを関連付けしたテーブルをさらに備えてもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、光パケット交換装置である。この装置は、複数の波長の光パケット信号が波長多重された光パケット信号を受信する複数の受信部であって、該光パケット信号が宛先情報と使用波長情報とを有する受信部と、受信した波長多重光パケット信号から、ヘッダを有する波長の光パケット信号を分岐する分岐部と、波長多重光パケット信号の方路を切り替える光スイッチ部と、分岐した光パケット信号のヘッダを解析して、宛先情報および使用波長情報を検出する解析部と、宛先情報に基づいて複数の受信部に入力した複数の波長多重光パケット信号の時間的な競合を判定し、競合が発生している場合には、使用波長情報に基づいて波長多重光パケット信号の通過/破棄を判定する出力競合判定部とを備える。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、光パケット送信装置である。この装置は、光パケット交換システムで用いられる光パケット送信装置であって、受信したクライアント信号のパケット長を検出するパケット長検出部と、パケット長に応じて、クライアント信号の分割数および送信する光パケット信号に使用する波長を設定する設定部と、使用波長情報およびクライアント信号の宛先情報を含むヘッダを生成するヘッダ生成部と、クライアント信号を設定した分割数に従って分割して複数のパケット信号を生成する送信処理部と、少なくとも1つのパケット信号に生成したヘッダを挿入するヘッダ挿入部と、複数のパケット信号を設定した使用波長に従って複数の波長の光パケット信号に変換する電気/光変換部とを備える。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光パケット破棄確率を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】比較例に係る光パケット交換システムを示す図である。
【図2】比較例に係る光パケット送信装置の構成を示す図である。
【図3】比較例に係る光パケット受信装置の構成を示す図である。
【図4】比較例に係る光パケット交換装置の構成を示す図である。
【図5】図5(a)〜(c)は、比較例に係る光パケット交換装置における出力競合判定を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態に係る光パケット交換システムを示す図である。
【図7】本実施形態に係る光パケット送信装置の構成を示す図である。
【図8】波長配置の一例を示す図である。
【図9】本実施形態に係る光パケット受信装置の構成を示す図である。
【図10】本実施形態に係る光パケット交換装置の構成を示す図である。
【図11】図11(a)〜(c)は、本実施形態に係る光パケット交換装置における出力競合判定を説明するための図である。
【図12】波長配置の別の例を示す図である。
【図13】使用波長情報を送信するためのビット構成の一例を示す図である。
【図14】使用波長情報を送信するためのビット構成の別の例を示す図である。
【図15】グループと波長構成とを関連付けるテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る光パケット交換システムについて説明する。まず、本実施形態に係る光パケット交換システムについて説明する前に、本発明者が従来開発してきた光パケット交換システムを比較例として説明する。
【0018】
図1は、比較例に係る光パケット交換システム110を示す。図1に示すように、光パケット交換システム110は、光パケット送信装置111と、光パケット交換装置112と、光パケット受信装置113と、第1AWG114と、第2AWG115と、第1光増幅器116と、第2光増幅器117と、第1〜第4光伝送路118〜121とを備える。
【0019】
光パケット送信装置111は、クライアント側から受信した10GEtherパケットの転送先を示す経路情報ヘッダ(パケット長、宛先情報、自ノードIDを含む)を生成し、パケットの先頭に付加した後、パケットのデータをn分割する。そして、分割したn個のデータを波長λ1〜λnの光信号に載せ、n波の光パケット信号として出力する。なお、Ether信号のパケット長に関わらず、Etherパケットを分割する数はn(システムの使用できる最大波長数、例えばn=40)に固定されている。
【0020】
光パケット送信装置111から出力されたn波の光パケット信号(波長λ1〜λn)は、第1AWG114で合波された後、第1光増幅器116で増幅され、第2光伝送路119に出力される。
【0021】
第2光伝送路119を伝搬した光パケット信号は、光パケット交換装置112の第2入力部163に入力される。また、光パケット交換装置112の第1入力部162には、WDMネットワークに接続された別の光パケット送信装置からの波長多重された光パケット信号が第1光伝送路118を介して入力される。
【0022】
光パケット交換装置112は、光パケット信号に付与された宛先情報に従って、光パケット信号の方路を切り替える、2入力×2出力の光パケット交換装置である。光パケット交換装置112の第1出力部164には第3光伝送路120が接続され、第2出力部165には第4光伝送路121が接続されている。第3光伝送路120を伝搬した光パケット信号は、WDMネットワークに出力される。一方、第4光伝送路121を伝搬した光パケット信号は、第2光増幅器117で増幅された後、第2AWG115で波長λ1〜λnに分波される。第2AWG115で分波されたn波の光パケット信号は、光パケット受信装置113に入力される。
【0023】
光パケット受信装置113は、受信したn波の光パケット信号を元のEtherパケットに復元して、クライアント側に出力する。
【0024】
図2は、比較例に係る光パケット送信装置111の構成を示す。図2に示すように、光パケット送信装置111は、光/電気変換部130と、受信処理部132と、経路情報抽出部133と、シリアル/パラレル変換部134と、フレームメモリ135と、送信処理部136と、パケット長検出部137と、ルックアップテーブル138と、ヘッダ生成部139と、ヘッダ挿入部140と、第1〜第n電気/光変換部141−1〜141−nとを備える。
【0025】
光パケット送信装置111では、クライアント側から入力された10GEther信号は光/電気変換部130で電気信号に変換される。この電気のEther信号のデータフォーマットはMACフレームである。その後、Ether信号は、受信処理部132にて所定の受信処理が行われる。その後、経路情報抽出部133は、Ehter信号から経路情報を抽出する。この経路情報は、ルックアップテーブル138を参照することにより宛先情報に変換され、ヘッダ生成部139に入力される。また、パケット長検出部137は、受信したEhter信号のパケット長を抽出し、ヘッダ生成部139に出力する。
【0026】
経路情報抽出部133から出力されたEhter信号は、シリアル/パラレル変換部134にてパラレル信号に変換された後、フレームメモリ135に記憶される。その後、Ehter信号は、送信処理部136にてn等分に分割され、n個のパケット信号が生成される。また送信処理部136からは、光パケットID/コピー情報がヘッダ生成部139に出力される。
【0027】
ヘッダ生成部139は、パケット長、宛先情報、自ノードID、光パケットID/コピー情報に基づいて、経路情報ヘッダを生成する。生成された経路情報ヘッダは、ヘッダ挿入部140により、分割されたn個のパケット信号のうち一つのパケット信号に挿入される。そして、n個のパケット信号は、それぞれ第1〜第n電気/光変換部141−1〜141−nにより光信号に変換され、n波(λ1〜λn)の光パケット信号として出力される。経路情報ヘッダが挿入された光パケット信号の波長を「ヘッダ波長」と呼ぶ。ここでは、ヘッダ波長=λ1とする。
【0028】
図3は、比較例に係る光パケット受信装置113の構成を示す。図3に示すように、光パケット受信装置113は、第1〜第n光/電気変換部150−1〜150−nと、第1〜第nフレームメモリ151−1〜151−nと、ヘッダ処理部152と、パケット組立部153と、パケット識別部154と、MACテーブル155と、出力制御部156と、電気/光変換部158とを備える。
【0029】
光パケット受信装置113では、入力されたn波(λ1〜λn)の光パケット信号がそれぞれ第1〜第n光/電気変換部150−1〜150−nにより電気のパケット信号に変換される。また、ヘッダ処理部152は、ヘッダ波長λ1の光パケット信号に対応するパケット信号の経路情報ヘッダから、パケット情報、パケット長、ECC(Error Check Code)エラーを抽出し、パケット信号の正常性判断を行う。
【0030】
第1〜第n光/電気変換部150−1〜150−nから出力されたn個のパケット信号は、それぞれ第1〜第nフレームメモリ151−1〜151−nに蓄えられる。パケット組立部153は、ヘッダ処理部152からのパケット情報、パケット長、ECCエラーを参照して、パケット組み立てを行う。パケット識別部154は、パケット組立部153の出力からEtherパケットを識別し、Etherパケットを抜き取る。出力制御部156は、MACテーブル155を参照して、パケット識別部154から出力されたEtherパケット内の宛先MACアドレスを、MACテーブル155に登録されているMACアドレスに付け替える。その後、Etherパケットは電気/光変換部158に入力される。電気/光変換部158に入力されるEther信号のデータフォーマットは、MACフレームである。電気/光変換部158は、Etherパケットを光信号に変換し、クライアント側に出力する。
【0031】
図4は、比較例に係る光パケット交換装置112の構成を示す。図4に示すように、光パケット交換装置112は、光スイッチ部160と、光スイッチ制御部161と、第1入力部162と、第2入力部163と、第1入力側光増幅器166と、第2入力側光増幅器167と、第1分波器170と、第2分波器171と、第1光遅延線172と、第2光遅延線173と、第1出力側光増幅器168と、第2出力側光増幅器169と、第1出力部164と、第2出力部165とを備える。また、光スイッチ制御部161は、第1光/電気変換部174と、第2光/電気変換部175と、第1解析部176と、第2解析部178と、出力競合判定部179とを備える。
【0032】
光パケット交換装置112は、クライアント側またはネットワーク側からWDM信号として入力した光パケット信号から経路情報ヘッダを抽出する。そして、該経路情報ヘッダを基に出力先を決定し、光スイッチ部160にて出力先を切り替える。
【0033】
第1入力部162および第2入力部163には、波長多重されたn波の光パケット信号が入力される。ここでは、第1入力部162に入力される光パケット信号の波長をλ1_1〜λ1_nとし、第2入力部163に入力される光パケット信号の波長をλ2_1〜λ2_nとする。入力される光パケット信号は、自ノードのクライアント部または別ノードのクライアント部からのEhter信号が、図2に示すような光パケット送信装置で変換されたものである。
【0034】
入力された光パケット信号は、光レベル調整用の第1入力側光増幅器166、第2入力側光増幅器167で増幅された後、ヘッダ波長の光パケット信号(ここでは、λ1_1とλ2_1)のみが第1分波器170、第2分波器171で光分岐される。分岐した波長λ11とλ21の光パケット信号は、光スイッチ制御部161に入力される。一方、波長多重光パケット信号は、第1光遅延線172、第2光遅延線173を介して光スイッチ部160に入力される。
【0035】
分岐したヘッダ波長λ1_1とλ2_1の光パケット信号は、第1光/電気変換部174、第2光/電気変換部175でそれぞれ電気のパケット信号に変換された後、第1解析部176、第2解析部178にて経路情報ヘッダが解析され、宛先情報が検出される。
【0036】
出力競合判定部179は、検出された宛先情報に基づいて光パケット信号の通過/破棄を判定し、該判定結果に基づいて光スイッチ部160に光スイッチ制御信号を出力する。
【0037】
第1光遅延線172、第2光遅延線173は、光スイッチ制御部161が光スイッチ制御信号を生成するのに要する時間だけ、波長多重光パケット信号を遅延させる。第1光遅延線172、第2光遅延線173を設けることにより、光パケット信号が光スイッチ部160に到着するタイミングに合わせて、光スイッチ部160のオン/オフを制御できる。
【0038】
光スイッチ部160は、2×2の光スイッチであり、第1〜第4光ゲートスイッチ180〜183と、4つの光カプラ184〜187とを備える。光ゲートスイッチとしては、半導体光増幅器(SOA)を用いたものを利用できる。第1〜第4光ゲートスイッチ180〜183は、光スイッチ制御部161からの光スイッチ制御信号によりオン/オフが制御される。光パケット交換装置112では、1つのヘッダ波長の光パケット信号から抽出された宛先情報を基に、波長多重されたn波の光パケット信号の全てが一度に方路切替される。
【0039】
図5(a)〜(c)は、光パケット交換装置112における出力競合判定を説明するための図である。図5(a)は、第1入力部162に入力した光パケット信号を示し、図5(b)は、第2入力部163に入力した光パケット信号を示し、図5(c)は、第1出力部164から出力された光パケット信号を示す。入力した光パケット信号1−1、1−2および2−1は、いずれも第1出力部164を出力先としているとする。
【0040】
図5に示すように、まず第1入力部162に光パケット信号1−1が入力され、次に第2入力部163に光パケット信号2−1が入力され、最後に第1入力部162に光パケット信号1−2が入力されている。光パケット信号1−1は先着の信号であるので、出力競合判定部179は、光パケット信号1−1を第1出力部164に出力する。言い換えると、出力競合判定部179は、光スイッチ部160の光ゲートスイッチ180をオンとし、第1入力部162から第1出力部164へのパスを開放する(その他のパスは閉じる)。
【0041】
しかしながら、第2入力部163に入力した光パケット信号2−1は、第1入力部162に入力された光パケット信号1−1と時間的に競合している。つまり、時間的に重なっている。この場合、出力競合判定部179は、光パケット信号2−1を破棄する。言い換えると、出力競合判定部179は、光パケット信号2−1が入力する光ゲートスイッチ182と183をオフのままとする。
【0042】
次に第1入力部162に入力した光パケット信号1−2は、光パケット信号2−1とデータ部分が重なっているが、光パケット信号2−1が既に破棄されているので、出力競合判定部179は、光パケット信号1−2を第1出力部164に出力する。
【0043】
このように、光パケット交換装置では、複数の入力部から同じタイミングで光パケット信号を受信し、同じ出力方路への出力要求を受けた場合に、光パケット信号の一部での輻輳するときは、先に受信した光パケット信号を通過させ、後に受信した光パケット信号を破棄する。また、光パケット交換方式では、Ehter信号をn波の光パケット信号に分割後、全波長を一度に方路切り替えするため、一波でもデータが輻輳した場合は全波長に搭載されたデータを破棄することとなり、光パケット破棄確率が高い。そこで、以下に説明する本発明の実施形態では、光パケット破棄確率を低減できる光パケット交換システムを提案する。
【0044】
図6は、本発明の実施形態に係る光パケット交換システム10を示す。図6に示すように、光パケット交換システム10は、光パケット送信装置11と、光パケット交換装置12と、光パケット受信装置13と、第1AWG14と、第2AWG15と、第1光増幅器16と、第2光増幅器17と、第1〜第4光伝送路18〜21とを備える。光パケット交換システム10の基本的な構成は図1に示す光パケット交換システム110と類似するので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0045】
図7は、本実施形態に係る光パケット送信装置11の構成を示す。図7に示すように、光パケット送信装置11は、光/電気変換部30と、受信処理部32と、経路情報抽出部33と、シリアル/パラレル変換部34と、フレームメモリ35と、送信処理部36と、パケット長検出部37と、ルックアップテーブル38と、ヘッダ生成部39と、設定部88と、関連付テーブル89と、第1〜第nヘッダ挿入部40−1〜40−nと、第1〜第n電気/光変換部41−1〜41−nとを備える。光パケット送信装置11は、Ether信号/光パケット変換装置として機能する。
【0046】
光パケット送信装置11において、クライアント側から入力された10GEther信号は、光/電気変換部30で電気信号に変換される。この電気のEther信号のデータフォーマットはMACフレームである。その後、Ether信号は、受信処理部32にて所定の受信処理が行われる。その後、経路情報抽出部33は、Ehter信号から経路情報を抽出する。この経路情報は、ルックアップテーブル38を参照することにより宛先情報に変換され、ヘッダ生成部39に入力される。また、パケット長検出部37は、受信したEther信号のパケット長を抽出し、ヘッダ生成部39に出力する。また本実施形態では、パケット長検出部37は設定部88にもパケット長を出力する。
【0047】
設定部88は、パケット長に応じて、受信したEther信号の分割数と、送信する光パケット信号に使用する波長とを設定する。より具体的には、設定部88は、パケット長が所定の基準パケット長未満の場合には、分割数およびそれに対応する使用波長数を第1所定値mに設定し、使用波長を所定の第1波長グループ(波長λ1〜λm)に設定する。また、パケット長が基準パケット長以上の場合には、分割数およびそれに対応する使用波長数を第2所定値n−mに設定し、使用波長を所定の第2波長グループ(波長λm+1〜λn)に設定する。ここで、nはシステムの使用できる最大波長数であり、mはm<n−mとなる2以上の整数である。また、第1波長グループと第2波長グループは、異なる波長配置を有するように、言い換えると波長が重複しないように設定される。
【0048】
図8は、波長配置の一例を示す。図8では、基準パケット長=1519バイト、最大波長数n=40、第1所定値m=10、第2所定値n−m=30である。図8に示すように、Ether信号のパケット長が1519バイト未満(64〜1518バイト)の場合、設定部88は、分割数および使用波長数を10に設定し、使用波長を第1波長グループ(λ1〜λ10)に設定する。また、Ether信号のパケット長が1519バイト以上(1519〜9600バイト)の場合、設定部88は、分割数および使用波長数を30に設定し、使用波長を第2波長グループ(λ11〜λ40)に設定する。10GEtehr等では、1518バイトまでのパケットは「通常パケット」と呼ばれ、それ以上のパケットは「ジャンボパケット」と呼ばれる。つまり、通常パケットの場合には分割数および使用波長数が小さくされ、ジャンボパケットの場合には分割数および使用波長数が大きくされる。
【0049】
関連付テーブル89には、上記のようにパケット長と波長グループとを関連付けしたテーブルが記載されている。設定部88は、パケット長が入力された場合、関連付テーブル89を参照して使用する波長グループを設定する。
【0050】
ヘッダ生成部39は、パケット長、宛先情報、自ノードID、および使用波長を収集し、経路情報ヘッダを生成する。
【0051】
経路情報抽出部33から出力されたEhter信号は、シリアル/パラレル変換部34にてパラレル信号に変換された後、フレームメモリ35に記憶される。その後、送信処理部36は、Ether信号を設定部88にて設定した分割数に従って分割し、複数のパケット信号を生成する。すなわち、Ether信号が通常パケットの場合にはm等分に分割され、ジャンボパケットの場合にはn−m等分に分割される。
【0052】
Ether信号が通常パケットの場合、m個に分割されたパケット信号は、それぞれ第1〜第mヘッダ挿入部40−1〜40−mに入力される。第1ヘッダ挿入部40−1は、入力されたパケット信号にヘッダ生成部39にて生成された経路情報ヘッダを挿入する。また、第2〜第mヘッダ挿入部40−2〜40−mは、入力されたパケット信号にダミーヘッダを挿入する。第1〜第m電気/光変換部41−1〜41−mは、それぞれ第1〜第mヘッダ挿入部40−1〜40−mからのパケット信号を光信号に変換し、波長λ1〜λmの光パケット信号を送信する。ここでは、λ1がヘッダ波長となる。
【0053】
一方、Ether信号が通常パケットの場合、n−m個に分割されたパケット信号は、それぞれ第m+1〜第nヘッダ挿入部40−m+1〜40−nに入力される。第m+1ヘッダ挿入部40−m+1は、入力されたパケット信号にヘッダ生成部39にて生成された経路情報ヘッダを挿入する。また、第m+2〜第nヘッダ挿入部40−m+2〜40−nは、入力されたパケット信号にダミーヘッダを挿入する。第m+1〜第n電気/光変換部41−m+1〜41−nは、それぞれ第m+1〜第nヘッダ挿入部40−m+1〜40−nからのパケット信号を光信号に変換し、波長λm+1〜λnの光パケット信号を送信する。ここでは、λm+1がヘッダ波長となる。
【0054】
なお、本実施形態では、波長λ1とλm+1をヘッダ波長としているが、ヘッダ波長は適宜変更可能である。図7では、ヘッダ波長が変更可能であることを表すために、ヘッダ生成部39から第1ヘッダ挿入部40−1および第m+1ヘッダ挿入部40−m+1以外のヘッダ挿入部に向かう破線矢印が描かれている。
【0055】
図9は、本実施形態に係る光パケット受信装置13の構成を示す。図9に示すように、光パケット受信装置13は、第1〜第n光/電気変換部50−1〜50−nと、第1〜第nフレームメモリ51−1〜51−nと、ヘッダ処理部52と、パケット組立部53と、パケット識別部54と、MACテーブル55と、出力制御部56と、電気/光変換部58とを備える。光パケット受信装置13は、光パケット/Ether信号変換装置として機能する。
【0056】
光パケット受信装置13において、元のEther信号が通常パケットである波長λ1〜λmの光パケット信号は、第1〜第m光/電気変換部50−1〜50−mに入力され、電気のパケット信号に変換される。一方、元のEther信号がジャンボパケットである波長λm+1〜λnの光パケット信号は、第m+1〜第n光/電気変換部50−m+1〜50−nに入力され、電気のパケット信号に変換される。
【0057】
ヘッダ処理部52は、ヘッダ波長λ1またはλm+1の光パケット信号から変換されたパケット信号の経路情報ヘッダから、使用波長、パケット情報、パケット長、ECC(Error Check Code)エラーを抽出し、パケット組立部53に送信する。
【0058】
第1〜第n光/電気変換部50−1〜50−nから出力されたパケット信号は、それぞれ第1〜第nフレームメモリ51−1〜51−nに蓄えられる。パケット組立部53は、ヘッダ処理部52からの使用波長、パケット情報、パケット長、ECCエラーに基づいて、パケット組み立てを行う。パケット識別部54は、パケット組立部53の出力からEtherパケットを識別し、Etherパケットを抜き取る。パケット識別部54は、Ether信号の宛先アドレス、送信元アドレス、長さ/タイプ、データの各フィールドから計算したCRC(Cyclic Redundancy Check)値であるFCS(Frame Check Sequence)の読み出しと自局で計算したCRC値の比較を行うことにより、パケット異常検出を行い、異常の場合はデータを破棄する。
【0059】
出力制御部56は、MACテーブル55を参照して、パケット識別部54から出力されたEtherパケット内の宛先MACアドレスを、MACテーブル55に登録されているMACアドレスに付け替える。その後、Etherパケットは電気/光変換部58に入力される。電気/光変換部58に入力されるEther信号のデータフォーマットは、MACフレームである。電気/光変換部58は、Etherパケットを光信号に変換し、クライアント側に出力する。
【0060】
図10は、本実施形態に係る光パケット交換装置12の構成を示す。図10に示すように、光パケット交換装置12は、光スイッチ部60と、光スイッチ制御部61と、第1入力部62と、第2入力部163と、第1入力側光増幅器66と、第2入力側光増幅器67と、第1分波器70と、第2分波器71と、第3分波器90と、第4分波器91と、第1光遅延線72と、第2光遅延線73と、第1出力側光増幅器68と、第2出力側光増幅器69と、第1出力部64と、第2出力部65とを備える。また、光スイッチ制御部61は、第1光/電気変換部74と、第2光/電気変換部75と、第3光/電気変換部92と、第4光/電気変換部93と、第1解析部76と、第2解析部78と、第3解析部94と、第4解析部95と、出力競合判定部79とを備える。
【0061】
光パケット交換装置12は、クライアント側またはネットワーク側からWDM信号として入力した光パケット信号から経路情報ヘッダを抽出する。そして、該経路情報ヘッダを基に出力先を決定し、光スイッチ部60にて出力先を切り替える。
【0062】
第1入力部62および第2入力部63には、波長多重された光パケット信号が入力される。第1入力部62に入力される光パケット信号の波長をλ1_1〜λ1_n(元のEther信号が通常パケットの場合はλ1_1〜λ1_m(第1波長グループ)、元のEther信号がジャンボパケットの場合はλ1_m+1〜λ1_n(第2波長グループ))とし、第2入力部63に入力される光パケット信号の波長をλ2_1〜λ2_n(元のEther信号が通常パケットの場合はλ2_1〜λ2_m(第1波長グループ)、元のEther信号がジャンボパケットの場合はλ2_m+1〜λ2_n(第2波長グループ))とする。入力される光パケット信号は、自ノードのクライアント部または別ノードのクライアント部からのEhter信号が、図7に示すような光パケット送信装置で変換されたものである。
【0063】
第1入力側光増幅器66、第2入力側光増幅器67に波長λ1_1〜λ1_m、λ2_1〜λ2_mの波長多重光パケット信号(元のEther信号が通常パケット)が入力された場合、該光パケット信号は、光レベル調整用の第1入力側光増幅器66、第2入力側光増幅器67で増幅された後、ヘッダ波長λ1_1とλ2_1の光パケット信号のみが第1分波器70、第2分波器71で光分岐される。分岐したヘッダ波長λ1_1とλ2_1の光パケット信号は、光スイッチ制御部61に入力される。その後、ヘッダ波長λ1_1とλ2_1の光パケット信号は、それぞれ第1光/電気変換部74、第2光/電気変換部75で電気信号に変換された後、第1解析部76、第2解析部78にて経路情報ヘッダが解析され、宛先情報と使用波長情報が検出される。一方、第1分波器70、第2分波器71を通過した波長多重光パケット信号は、第1光遅延線72、第2光遅延線73を介して光スイッチ部60に入力される。
【0064】
また、第1入力側光増幅器66、第2入力側光増幅器67に波長λ1_m+1〜λ1_n、λ2_m+1〜λ2_nの波長多重光パケット信号(元のEther信号がジャンボパケット)が入力された場合、該光パケット信号は、第1入力側光増幅器66、第2入力側光増幅器67で増幅された後、ヘッダ波長λ1_m+1とλ2_m+1の光パケット信号のみが第3分波器90、第4分波器91で光分岐される。分岐したヘッダ波長λ1_m+1とλ2_m+1の光パケット信号は、光スイッチ制御部61に入力される。その後、ヘッダ波長λ1_m+1とλ2_m+1の光パケット信号は、それぞれ第3光/電気変換部92、第4光/電気変換部93で電気信号に変換された後、第3解析部94、第4解析部95にて経路情報ヘッダが解析され、宛先情報と使用波長情報が検出される。一方、第3分波器90、第4分波器91を通過した波長多重光パケット信号は、第1光遅延線72、第2光遅延線73を介して光スイッチ部60に入力される。
【0065】
出力競合判定部79は、各解析部にて検出された宛先情報に基づいて、第1入力側光増幅器66、第2入力側光増幅器67に入力した波長多重光パケット信号の時間的な競合を判定し、競合が発生している場合には、使用波長情報に基づいて波長多重光パケット信号の通過/破棄を判定する。そして、該判定結果に基づいて光スイッチ部60に光スイッチ制御信号を出力する。
【0066】
第1光遅延線72、第2光遅延線73は、光スイッチ制御部61が光スイッチ制御信号を生成するのに要する時間だけ、波長多重光パケット信号を遅延させる。第1光遅延線72、第2光遅延線73を設けることにより、光パケット信号が光スイッチ部60に到着するタイミングに合わせて、光スイッチ部60のオン/オフを制御できる。
【0067】
光スイッチ部60は、2×2の光スイッチであり、第1〜第4光ゲートスイッチ80〜83と、4つの光カプラ84〜87とを備える。光ゲートスイッチとしては、半導体光増幅器(SOA)を用いたものを利用できる。第1〜第4光ゲートスイッチ80〜83は、光スイッチ制御部61からの光スイッチ制御信号によりオン/オフが制御される。
【0068】
図11(a)〜(c)は、光パケット交換装置12における出力競合判定を説明するための図である。図11(a)は、第1入力部62に入力した光パケット信号96を示し、図11(b)は、第2入力部63に入力した光パケット信号97を示し、図11(c)は、第1出力部64から出力された光パケット信号を示す。入力した光パケット信号96および97は、いずれも第1出力部64を出力先としているとする。
【0069】
図11に示すように、まず第1入力部62に光パケット信号96が入力され、次に第2入力部63に光パケット信号97が入力されている。光パケット信号96は先着の信号であるので、出力競合判定部79は、光パケット信号96を第1出力部64に出力する。
【0070】
図11に示すように、光パケット信号96の後に第2入力部63に入力した光パケット信号97は、光パケット信号96と時間的に競合している。この時間的な競合は、検出した宛先情報に基づき判定できる。本実施形態においては、出力競合判定部は、光パケット信号96と97とに時間的な競合が発生している場合であっても、波長に関して競合が発生していない場合には、光パケット信号96と97を共に第1出力部64に出力する。光パケット信号96は、第1波長グループ(波長λ1_1〜λ1_m)の波長多重光パケット信号であり、光パケット信号97は、第2波長グループ(λ2_m+1〜λ2_n)の波長多重光パケット信号である。従って、光パケット信号96と97は波長に関しては競合しておらず、合波しても共存が可能である。光パケット信号97は、上述の比較例においては破棄されるはずの光パケット信号である。なお、光パケット信号96と97の使用波長が競合している(波長が重複している)場合には、先に入力された光パケット信号を通過させ、後の光パケット信号を破棄する処理を行う。
【0071】
このように、本実施形態によれば、複数の光パケット信号に時間的な競合が発生している場合であっても、波長に関して競合が発生していない場合には同一の出力先への通過を許可することで、上述の比較例であれば破棄されていたはずの光パケット信号を通過させることができる。その結果、パケット破棄確率を低減できる。
【0072】
光パケット交換装置における基本的な出力方路としてネットワーク出力及びクライアント出力の2つが考えられる。ネットワーク側に出力される場合は図11で示すように、波長競合がないときには同じ入力タイミングであっても同一出力方路に送信される。しかしながら、クライアント側に出力される場合には、同一タイミングで異なる光パケット信号が光パケット/Ether信号変換装置に入力される場合があるため、光パケット/Ether信号変換装置内でのEther信号変換時の競合回避が必要となる。
【0073】
競合回避の方法としては次の二つがある。一つは光パケット/Ether信号変換装置内において、各光パケット信号のヘッダ波長の入力タイミングを確認し、入力タイミングの早い光パケット信号を優先し、遅い光パケット信号を破棄する方法である。もう一つの方法は光パケット交換装置の出力競合判定部において、二つの入力光パケット信号が同一タイミングで入力し、波長競合がなく、且つクライアント側への宛先を持つ場合は、波長競合判定を行わず、出力競合判定のみで入力タイミングが早い光パケットをクライアント側に出力するものである。上記の二つの方法は入力タイミングが早い光パケット信号を優先的に通す方法であるが、光パケット/Ether信号変換装置における各光パケット信号のフレームメモリ部に十分な余裕がある場合には、二つの入力光パケット信号をフレームメモリ部に蓄え、入力タイミングの順にEther信号に変換する方法もある。
【0074】
図12は、波長配置の別の例を示す。実際の光パケット交換システムにおいては、複数の光パケット送信装置、光パケット交換装置、光パケット受信装置がノードとして設けられており、ネットワークを構成している。このような複数のノードを備える光パケット交換システムにおいては、第1波長グループの波長配置をノード毎に異ならせてもよい。つまり、Ether信号が通常パケットの場合に使用する波長をノード毎に異ならせるのである。
【0075】
図12は、ノード数を4、最大波長数を40波としたときに、第1ノードにおいて通常パケットの送信に第1波長グループ(λ1〜λ10)を使用し、第2ノードにおいて通常パケットの送信に第2波長グループ(λ11〜λ20)を使用し、第3ノードにおいて通常パケットの送信に第3波長グループ(λ21〜λ30)を使用し、第4ノードにおいて通常パケットの送信に第4波長グループ(λ31〜λ40)を使用することを示している。
【0076】
このようにEther信号のパケット長が通常パケットの場合に使用する波長配置をノード毎に変更することにより、光パケット交換装置において競合により通常パケットが破棄される確率を低減できる。つまり、例えば第1ノードからの光パケット信号(第1波長グループ)と第2ノードからの光パケット信号(第2波長グループ)とが光パケット交換装置で時間的に競合した場合でも、使用している波長グループが異なるので波長に関しては競合せず、一方の光パケット信号を破棄せずに同一の出力先に送信できる。これはネットワーク上で使用するEther信号に通常パケットが多い場合には特に有効である。
【0077】
図13は、使用波長情報を送信するためのビット構成の一例を示す。本例では、図13に示すように、WDM波長数全てに1ビット単位の情報を付加する。WDMの最大波長数が40波の場合は、40ビットが必要となる。使用波長のビットは「1」とし、不使用波長のビットは「0」とする。このような使用波長情報をヘッダに付加することにより、光パケット交換装置や光パケット受信装置に使用波長情報を送信できる。
【0078】
図14は、使用波長情報を送信するためのビット構成の別の例を示す。本例では、波長グループの数を固定にし、その波長グループ数に応じたビット数を用意している。図14に示すように、波長グループ数を8とした場合、3ビットで使用波長情報を送信できる。各装置内のメモリには、グループ名と、該グループに属する波長とを関連付けるテーブルが格納されている。
【0079】
図15は、グループと波長構成とを関連付けるテーブルの一例を示す。図15のようなテーブルを用いることにより、使用波長情報を送信するためのビット数を小さくできる。波長グループが8つである場合は3ビットの情報で使用波長の判別が可能である。
【0080】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せによりいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0081】
10 光パケット交換システム、 11 光パケット送信装置、 12 光パケット交換装置、 13 光パケット受信装置、 30 光/電気変換部、 32 受信処理部、 33 経路情報抽出部、 34 シリアル/パラレル変換部、 36 送信処理部、 37 パケット長検出部、 39 ヘッダ生成部、 40 ヘッダ挿入部、 52 ヘッダ処理部、 53 パケット組立部、 54 パケット識別部、 56 出力制御部、 58 電気/光変換部、 60 光スイッチ部、 61 光スイッチ制御部、 62 第1入力部、 63 第2入力部、 64 第1出力部、 65 第2出力部、 70 第1分波器、 71 第2分波器、 72 第1光遅延線、 73 第2光遅延線、 74 第1光/電気変換部、 75 第2光/電気変換部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信したクライアント信号のパケット長を検出するパケット長検出部と、
パケット長に応じて、クライアント信号の分割数および送信する光パケット信号に使用する波長を設定する設定部と、
使用波長情報およびクライアント信号の宛先情報を含むヘッダを生成するヘッダ生成部と、
クライアント信号を設定した分割数に従って分割して複数のパケット信号を生成する送信処理部と、
少なくとも1つのパケット信号に生成したヘッダを挿入するヘッダ挿入部と、
複数のパケット信号を設定した使用波長に従って複数の波長の光パケット信号に変換する電気/光変換部と、を備える光パケット送信装置と、
複数の波長の光パケット信号が波長多重された光パケット信号を受信する複数の受信部と、
受信した波長多重光パケット信号から、ヘッダを有する波長の光パケット信号を分岐する分岐部と、
波長多重光パケット信号の方路を切り替える光スイッチ部と、
分岐した光パケット信号のヘッダを解析して、宛先情報および使用波長情報を検出する解析部と、
宛先情報に基づいて複数の前記受信部に入力した複数の波長多重光パケット信号の時間的な競合を判定し、競合が発生している場合には、使用波長情報に基づいて波長多重光パケット信号の通過/破棄を判定する出力競合判定部と、を備える光パケット交換装置と、
を備えることを特徴とする光パケット交換システム。
【請求項2】
前記出力競合判定部は、複数の波長多重光パケット信号に時間的な競合が発生している場合であっても、波長に関して競合が発生していない場合には、複数の波長多重光パケット信号を共に通過させることを特徴とする請求項1に記載の光パケット交換システム。
【請求項3】
前記設定部は、パケット長が所定長未満の場合には、クライアント信号の分割数およびそれに対応する使用波長数を第1所定値に設定するとともに使用波長を所定の第1波長グループに設定し、パケット長が所定長以上の場合には、分割数および使用波長数を第1所定値よりも大きい第2所定値に設定するとともに使用波長を所定の第2波長グループに設定することを特徴とする請求項1または2に記載の光パケット交換システム。
【請求項4】
第1波長グループと第2波長グループは、異なる波長配置を有することを特徴とする請求項3に記載の光パケット交換システム。
【請求項5】
複数の前記光パケット送信装置をノードとして備え、
第1波長グループの波長配置がノード毎に異なることを特徴とする請求項3または4に記載の光パケット交換システム。
【請求項6】
前記光パケット送信装置は、パケット長と波長グループとを関連付けしたテーブルをさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項7】
複数の波長の光パケット信号が波長多重された光パケット信号を受信する複数の受信部であって、該光パケット信号が宛先情報と使用波長情報とを有する受信部と、
受信した波長多重光パケット信号から、ヘッダを有する波長の光パケット信号を分岐する分岐部と、
波長多重光パケット信号の方路を切り替える光スイッチ部と、
分岐した光パケット信号のヘッダを解析して、宛先情報および使用波長情報を検出する解析部と、
宛先情報に基づいて複数の前記受信部に入力した複数の波長多重光パケット信号の時間的な競合を判定し、競合が発生している場合には、使用波長情報に基づいて波長多重光パケット信号の通過/破棄を判定する出力競合判定部と、
を備えることを特徴とする光パケット交換装置。
【請求項8】
前記出力競合判定部は、複数の波長多重光パケット信号に時間的な競合が発生している場合であっても、波長に関して競合が発生していない場合には、複数の波長多重光パケット信号を共に通過させることを特徴とする請求項7に記載の光パケット交換装置。
【請求項9】
光パケット交換システムで用いられる光パケット送信装置であって、
受信したクライアント信号のパケット長を検出するパケット長検出部と、
パケット長に応じて、クライアント信号の分割数および送信する光パケット信号に使用する波長を設定する設定部と、
使用波長情報およびクライアント信号の宛先情報を含むヘッダを生成するヘッダ生成部と、
クライアント信号を設定した分割数に従って分割して複数のパケット信号を生成する送信処理部と、
少なくとも1つのパケット信号に生成したヘッダを挿入するヘッダ挿入部と、
複数のパケット信号を設定した使用波長に従って複数の波長の光パケット信号に変換する電気/光変換部と、
を備えることを特徴とする光パケット送信装置。
【請求項10】
前記設定部は、パケット長が所定長未満の場合には、クライアント信号の分割数およびそれに対応する使用波長数を第1所定値に設定するとともに使用波長を所定の第1波長グループに設定し、パケット長が所定長以上の場合には、分割数および使用波長数を第1所定値よりも大きい第2所定値に設定するとともに使用波長を所定の第2波長グループに設定することを特徴とする請求項9に記載の光パケット送信装置。
【請求項11】
第1波長グループと第2波長グループは、異なる波長配置を有することを特徴とする請求項10に記載の光パケット送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−165266(P2012−165266A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25242(P2011−25242)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】