説明

光パケット交換システム

【課題】各光パケット信号毎に光信号対雑音比を測定する。
【解決手段】光パケット交換システム10は、光パケット信号を生成する光パケット生成部12と、光スイッチを備え、該光スイッチのオン/オフを制御することにより、入力された光パケット信号の方路を切り替える光パケット交換部18と、光パケット交換部18から出力された光パケット信号の光信号対雑音比を測定する光信号対雑音比測定部22とを備える。光パケット交換部18は、光パケット信号の方路切替を行う際に、該光パケット信号の時間幅よりも長く光スイッチをオン状態とすることにより、該光パケット信号に雑音光が付加された雑音光付き光パケット信号を出力する。光信号対雑音比測定部22は、雑音光付き光パケット信号における信号光パワーと、雑音光パワーとを測定し、それらの比を計算することにより光信号対雑音比を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パケット信号に付与された宛先情報に従って光スイッチを切り替えることにより、光パケット単位でのパケット交換を可能とする光パケット交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)を用いた光伝送システムにおいて、波長選択スイッチ(WSS:wavelength selective switch)等を用いることで、波長単位のパス切替を行う技術が実用化されている。その次の技術として、切替を行う単位を例えばIPパケット(10GEther(10 Gigabit Ethernet(登録商標))信号等)一つ一つという細かい単位とし、各々を光パケットという形式に変換して、超高速の光スイッチで方路切り替えを行う光パケット交換方式が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
IPパケットはデータが存在しない間は有意な情報が転送されておらず、その分だけ帯域が無駄になっているが、光パケット交換方式が実現すれば、データが存在しない時間帯を別のパケットが占有できることになる。従って、光パケット交換方式は、伝送路の帯域利用効率を飛躍的に高める可能性があり、将来の技術として有望視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−235986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、長距離且つ多中継の光伝送システムにおいては、伝送損失を補償するために光増幅器が用いられている。これは光/電気・電気/光変換を行うことなく伝送距離を伸ばすことができるためである。しかし伝送距離は光増幅を行えばどこまでも延ばせるわけではなく、光増幅器を通過するたびに光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal to Noise Ratio)が劣化する。ビット誤り率を決める最も重要なパラメータが光信号対雑音比であるといえる。そこで、光信号対雑音比を測定することでシステムとしての回線品質の性能を確認することができる。さらに、波長多重光伝送システムにおいては、各波長の光信号対雑音比を測定し、送信端で光信号対雑音比の低い波長のパワーを高くすることで全波長の雑音品質の均一化を図るプリエンファシス制御という方法も実用に供されている。
【0006】
従来の波長単位のパス切替を行うシステム(以下、光パスシステムと呼ぶ)においては、信号光のマーク率は50%に保たれるため、信号光パワーは定常的である。また、雑音光についても同様で、ある信号光について着目すると、該信号光は同じ光増幅器を定常的に通過し続けるので、該信号光の雑音は定常的である。従って、信号光パワーと雑音光パワーとをそれぞれ測定し、信号光パワー/雑音光パワーを算出することで光信号対雑音比を測定することができる。
【0007】
図1は、光信号対雑音比の測定方法の一例を説明するための図である。図1に示すように、信号光と雑音光が混ざった状態の光スペクトルを測定し、信号光はその信号波長のピークパワーを、雑音光は信号光の波長から少し離れた点におけるパワーを測定する。光パスシステムにおいては、信号光および雑音光のパワーは信号光のビットレート等によらず定常的であるため、低速の光スペクトラムアナラザイザを用いて光信号対雑音比を測定できる。
【0008】
光パケット交換システムにおいても、光パスシステムと同様に光信号対雑音比は非常に重要な性能指標であるため、測定することが望まれる。しかし、光パケット交換システムには光パケット特有の事情により光パスシステムと同じ測定方法では正しい測定結果が得られないという問題がある。以下にその理由について述べる。
【0009】
図2は、光パケット交換システムにおいて光信号対雑音比を測定する際の問題点を説明するための図である。光パケット交換システムにおいては、光パケット毎に宛先が付与され、光パケットはその宛先に従ってスイッチングされながら転送される。従って、ある測定ポイントを通過する光パケットは、いろいろな送信局からそのポイントに到着したものであり、連続して通過する複数の光パケットは、それぞれ異なる光信号対雑音比を持つことになる。
【0010】
図2に示す例では、宛先をノード3とする光パケット♯1がノード1から送信され、宛先を同じくノード3とする光パケット♯2がノード2から送信されている。ノード3の測定ポイントには、光パケット♯1および♯2が連続して到着している。図2に示すように、光パケット♯1は、ノード2を介してノード3に到着しており、光パケット♯2は、ノード5,ノード6,およびノード2を介してノード3に到着している。このような例の場合、光パケット♯2は、より多くのノードを通過しているために光パケット♯1よりも光信号対雑音比が低くなる。
【0011】
しかしながら、上述した従来の測定方法によって光信号対雑音比を測定すると、複数の光パケットの光信号対雑音比を平均化したような何ら意味のない測定結果となってしまい、真に測定したい各光パケット毎の光信号対雑音比を測定することが難しいという問題がある。
【0012】
さらに、光パケット交換システムにおいては、雑音光パワーの測定に関する問題点が存在する。図3(a)〜(c)は、この問題点を説明するための図である。図3(a)は、光パケット交換スイッチに入力される雑音光を含む光パケット信号を示す。図3(b)は、光パケット交換スイッチに与えられる制御信号を示す。図3(c)は、光パケット交換スイッチから出力される光パケット信号を示す。
【0013】
図3(a)に示すように、光パケットスイッチの入力側であれば、雑音光パワーは安定している。しかしながら、図3(b)に示すような制御信号により光パケット信号の長さに合わせて光パケットスイッチをオン/オフすると、図3(c)に示すように光パケットスイッチの出力側においては光パケットスイッチの消光比分だけパワーが減衰されるため、大部分の雑音光パワーは切り取られてしまう。例えば、半導体光増幅型ゲート素子を用いた光パケットスイッチは50dB程度の消光比を実現しているため、光パケットスイッチから出力される光パケット信号の前後には殆ど雑音光パワーが無い状態といえる。こうなると光パケットスイッチの出力側においては、雑音光パワーを測定すること自体が困難であり、その結果光信号対雑音比を測定できないという問題がある。
【0014】
なお、図3(a)〜(c)においては、説明のために、光パケットスイッチをオフからオンにするタイミングと光パケット信号の先頭ビットとの間の時間、および、光パケットスイッチをオンからオフにするタイミングと光パケット信号の最終ビットとの間の時間を大きく図示しているが、これらの時間が大きくなると帯域利用効率が低下するので、実際には数ns程度の非常に短い時間に設定される。
【0015】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、光パケット交換システムにおいて、各光パケット信号毎に光信号対雑音比を測定できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の光パケット交換システムは、光パケット信号を生成する光パケット生成部と、光スイッチを備え、該光スイッチのオン/オフを制御することにより、入力された光パケット信号の方路を切り替える光パケット交換部と、光パケット交換部から出力された光パケット信号の光信号対雑音比を測定する光信号対雑音比測定部とを備える。光パケット交換部は、光パケット信号の方路切替を行う際に、該光パケット信号の時間幅よりも長く光スイッチをオン状態とすることにより、該光パケット信号に雑音光が付加された雑音光付き光パケット信号を出力する。光信号対雑音比測定部は、雑音光付き光パケット信号における信号光パワーと、雑音光パワーとを測定し、それらの比を計算することにより光信号対雑音比を測定する。
【0017】
光パケット生成部の後段に、光パケット信号の消光比を高めるための光スイッチ部をさらに備えてもよい。
【0018】
光信号対雑音比測定部は、光パケット信号の到着時刻と、光パケット信号に付与された光パケット長情報とに基づいて、雑音光付き光パケット信号における信号光と雑音光とを判別し、それぞれの光パワーを測定してもよい。
【0019】
光パケット信号は、複数の波長の光パケット信号が波長多重された波長多重光パケット信号であり、光信号対雑音比測定部は、入力された波長多重光パケット信号を複数の波長の光パケット信号に分波した後、各波長の光パケット信号ごとに光信号対雑音比を測定してもよい。
【0020】
光パケット生成部は、光パケット信号を生成する際に、該光パケット信号に光信号対雑音比の測定を行うか否かを示す情報ビットを付与し、光パケット交換部は、入力された光パケット信号の情報ビットが光信号対雑音比の測定を示している場合に、雑音光付き光パケット信号を出力し、光信号対雑音比測定部は、入力された光パケット信号の情報ビットが光信号対雑音比の測定を示している場合に、光信号対雑音比を測定してもよい。
【0021】
光パケット生成部は、定期的に、光信号対雑音比の測定を示す情報ビットを光パケット信号に付与してもよい。
【0022】
光パケット生成部は、外部からの指示により、光信号対雑音比の測定を示す情報ビット測定指示情報を光パケット信号に付与してもよい。
【0023】
光信号対雑音比測定部は、測定した光パケット信号の光信号対雑音比を、該光パケット信号の送信元情報および該光パケット信号の到着時刻と関連付けて記憶する記憶部を備えてもよい。
【0024】
光信号対雑音比測定部は、光パケット信号の時間幅にわたって複数の測定ポイントで光パケット信号部分の光パワーを測定し、それらの光パワーの平均値を信号光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出してもよい。
【0025】
光パケット生成部は、光パケット信号を生成する際に、光パケット信号内の所定の位置に固定パターンを挿入し、光信号対雑音比測定部は、固定パターンの光パワーを測定し、該光パワーを信号光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出してもよい。
【0026】
光パケット生成部は、光パケット信号を生成する際に、該光パケット信号内の任意の位置に固定パターンを挿入するとともに、固定パターンの位置情報を該光パケット信号のヘッダに付与し、光信号対雑音比測定部は、固定パターンの位置情報に基づいて該固定パターンの光パワーを測定し、該光パワーを信号光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出してもよい。
【0027】
光パケット生成部は、固定パターンの長さを可変できるとともに、固定パターンの長さ情報を光パケット信号のヘッダに付与し、光信号対雑音比測定部は、固定パターンの長さ情報に基づいて固定パターンの光パワーを測定し、該光パワーを信号光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出してもよい。
【0028】
光パケット交換部は、光パケット信号の前および/または後に雑音光が付加されるよう、光スイッチを制御し、光信号対雑音比測定部は、光パケット信号の前および/または後に付加された雑音光のパワーを測定し、該光パワーを雑音光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出してもよい。
【0029】
光パケット生成部は、光パケット信号を生成する際に、該光パケット信号内の任意の位置に雑音光パワーを測定するための雑音光領域を挿入するとともに、雑音光領域の位置情報を該光パケット信号のヘッダに付与し、光信号対雑音比測定部は、雑音光領域の位置情報に基づいて雑音光領域の光パワーを測定し、該光パワーを雑音光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出してもよい。
【0030】
光パケット生成部は、雑音光領域の長さを可変できるとともに、雑音光領域の長さ情報を該光パケット信号のヘッダに付与し、光信号対雑音比測定部は、雑音光領域の長さ情報に基づいて雑音光領域の光パワーを測定し、該光パワーを雑音光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出してもよい。
【0031】
光パケット生成部の後段に複数の光パケット交換部が設けられており、複数の光パケット交換部は、上流に位置する光パケット交換部から下流に位置する光パケット交換部にかけて徐々に、光スイッチをオン状態とする時間を長くすることにより、雑音光パワーが階段状に変化した雑音光付き光パケット信号を生成し、光信号対雑音比測定部は、雑音光付き光パケット信号における階段状の雑音光のパワーを測定し、該光パワーを用いて各光パケット交換部からの出力毎に光信号対雑音比を算出してもよい。
【0032】
光パケット生成部、光パケット交換部、および光信号対雑音比測定部が一つの端局装置を構成しており、複数の端局装置が接続されて光パケット交換ネットワークが構成されており、ある端局装置の光スイッチ生成部は、光信号対雑音比測定用の光パケット信号を生成し、他の端局装置にユニキャスト、マルチキャスト、またはブロードキャストで送信してもよい。
【0033】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、光パケット交換システムにおいて、各光パケット信号毎に光信号対雑音比を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】光信号対雑音比の測定方法の一例を説明するための図である。
【図2】光パケット交換システムにおいて光信号対雑音比を測定する際の問題点を説明するための図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、光パケット交換システムにおける雑音光パワーの測定に関する問題点を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光パケット交換システムを示す図である。
【図5】光パケット交換部の構成を説明するための図である。
【図6】図6(a)〜(d)は、図4に示す測定ポイントA〜Dにおける光パワー波形の一例を示す図である。
【図7】光パケット信号のフォーマットの一例を示す図である。
【図8】光信号対雑音比測定部の構成例を説明するための図である。
【図9】光信号対雑音比測定部の別の構成例を説明するための図である。
【図10】光パケット信号のフォーマットの別の一例を示す図である。
【図11】光信号対雑音比測定部のさらに別の構成例を説明するための図である。
【図12】光信号対雑音比測定部のさらに別の構成例を説明するための図である。
【図13】光パケット信号を高速オシロスコープで測定した波形の一例を示す図である。
【図14】信号光パワーの測定方法を説明するための図である。
【図15】信号光パワーの別の測定方法を説明するための図である。
【図16】信号光パワーのさらに別の測定方法を説明するための図である。
【図17】雑音光パワーの測定ポイントを任意の位置に設定する方法における光パケット信号のフォーマットの一例を示す図である。
【図18】図18(a)〜(e)は、雑音光パワーの測定ポイントを任意の位置に設定する方法における各構成要素の動作を説明するための図である。
【図19】図19(a)および(b)は、雑音光の測定時間幅を可変とする方法を説明するための図である。
【図20】光パケット交換システムの別の構成を示す図である。
【図21】図21(a)〜(c)は、1つの測定ポイントで各光パケット交換部から出力された光パケット信号の光信号対雑音比を測定する方法を説明するための図である。
【図22】本発明の実施例に係る光パケット交換システムを示す図である。
【図23】本発明の実施例に係る光信号対雑音比測定部を示す図である。
【図24】光パケット中継増幅装置に光信号対雑音比測定部を設けた実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る光パケット交換システムについて説明する。
【0037】
図4は、本発明の実施形態に係る光パケット交換システム10を示す。図4に示す光パケット交換システム10は、一つの端局装置を構成しており、複数の端局装置が接続されて光パケット交換ネットワークが構成される。
【0038】
図4に示すように、光パケット交換システム10は、光パケット生成部12と、光スイッチ部14と、光増幅器16と、光パケット交換部18と、光分岐部19と、光パケット受信部20と、光信号対雑音比測定部22とを備える。
【0039】
光パケット生成部12は、クライアント側から受信したクライアント信号(例えば、10GEtherパケット)に宛先情報やパケット長情報を含むヘッダを付加して光パケット信号を生成する。
【0040】
光パケット生成部12から出力された光パケット信号は、光パケット生成部12の後段に設けられた光スイッチ部14に入力される。後述するように、光スイッチ部14は、光パケット信号の消光比を高める機能を有する。
【0041】
光スイッチ部14から出力された光パケット信号は、光伝送路24を介して光増幅器16に入力される。光増幅器16は、光伝送路24にて減衰した光パケット信号を増幅する。光増幅器16から出力された光パケット信号は、光伝送路26を介して光パケット交換部18に入力される。
【0042】
光パケット交換部18は、複数の入力ポートおよび出力ポートを備える。一つの入力ポートには、光増幅器16からの光パケット信号が入力される。他の入力ポートは、光パケットネットワークに接続されており、例えば他の光パケット交換部から光パケット信号が入力される。光パケット交換部18は、入力された光パケット信号から宛先情報を抽出し、該宛先情報に従って、光パケット信号の方路を切り替える。光パケット交換部18の一つの出力ポートは、光分岐部19に接続されており、他の出力ポートは光パケットネットワークに接続されている。
【0043】
図5は、光パケット交換部18の構成を説明するための図である。ここでは、説明を簡略化するために、2入力×2出力の光パケット交換部18を説明する。光パケット交換部18は、光スイッチ28と、光スイッチ制御部30と、第1光カプラ32と、第2光カプラ34と、第1光遅延線36と、第2光遅延線38とを備える。
【0044】
第1光カプラ32には、光伝送路26が接続されており、光パケット生成部12で生成された光パケット信号が入力される。第1光カプラ32に入力された光パケット信号は、二つに分岐される。分岐された一方の光パケット信号は、第1光遅延線36を介して光スイッチ28の第1入力ポート28aに入力される。他方の光パケット信号は、光スイッチ制御部30に入力される。
【0045】
第2光カプラ34には、光伝送路27を介して光パケットネットワークが接続されており、例えば他の光パケット交換部から光パケット信号が入力される。第2光カプラ34に入力された光パケット信号は、二つに分岐される。分岐された一方の光パケット信号は、第2光遅延線38を介して光スイッチ28の第2入力ポート28bに入力される。他方の光パケット信号は、光スイッチ制御部30に入力される。
【0046】
光スイッチ制御部30は、入力された光パケット信号から宛先情報を抽出し、該宛先情報に応じて光スイッチ28に対して制御信号を出力する。図5に示すように、光スイッチ制御部30は、第1光/電気変換部40と、第2光/電気変換部42と、第1解析部44と、第2解析部46と、制御信号生成部48とを備える。
【0047】
第1光/電気変換部40は、第1光カプラ32から受信した光パケット信号を電気信号に変換する。また、第2光/電気変換部42は、第2光カプラ34から受信した光パケット信号を電気信号に変換する。
【0048】
第1解析部44は、第1光/電気変換部40から受信したパケット信号のヘッダを解析し、宛先情報を抽出する。また、第2解析部46は、第2光/電気変換部42から受信したパケット信号のヘッダを解析し、宛先情報を抽出する。
【0049】
制御信号生成部48は、第1解析部44および第2解析部46でのヘッダ解析結果に基づいて、光パケットの通過・破棄を判定し、光スイッチ28のオン/オフを制御するための光スイッチ制御信号を生成する。例えば、第1光カプラ32と第2光カプラ34にそれぞれ光パケットが入力され、それら2つの光パケットの出力先が第1出力ポート28cである場合を考える。この場合、制御信号生成部48は、2つの光パケットが競合しているか否かを判定する。言い換えると、2つの光パケットが時間的に重なっているか否かを判定する。2つの光パケットが競合している場合、先に到着した光パケットを通過させ、後の光パケットを破棄する判定を行う。
【0050】
第1光遅延線36および第2光遅延線38は、光スイッチ制御部30が光スイッチ制御信号を生成するのに要する時間だけ、光パケット信号を遅延させる。第1光遅延線36および第2光遅延線38を設けることにより、光パケット信号が光スイッチ28に到着するタイミング合わせて、光スイッチ28のオン/オフを制御できる。
【0051】
光スイッチ28は、光スイッチ制御部30からの光スイッチ制御信号によりオン/オフを制御され、入力された光パケット信号の方路を切り替えて出力する。光スイッチ28としては、例えば半導体光増幅器(SOA)を用いたものを使用できる。本実施形態では、光スイッチ28は2×2の光スイッチであるので、4つのSOAゲート(図示せず)を備える。ある光パケット信号を通過させる場合、光スイッチ28は該光パケットが通過している間はオン状態とされ、通過が終わるとオフ状態とされる。
【0052】
図4に戻り、光パケット交換システム10の説明を続ける。光パケット交換部18の後段に設けられた光分岐部19は、光パケット交換部18から入力された光パケット信号を二つに分岐する。光分岐部19にて分岐された一方の光パケット信号は、主信号として光パケット受信部20に入力され、他方の光パケット信号は、光信号対雑音比測定部22に入力される。
【0053】
光パケット受信部20は、入力された光パケット信号に対してヘッダを除去する等の所定の受信処理を行い、クライアント信号を生成する。光パケット受信部20にて生成されたクライアント信号は、クライアント側に出力される。
【0054】
光信号対雑音比測定部22は、入力された光パケット信号の光信号対雑音比を測定する。光信号対雑音比測定部22の詳細な構成については後述する。
【0055】
図6(a)〜(d)は、図4に示す測定ポイントA〜Dにおける光パワー波形の一例を示す。図4に示す光パケット交換システム10において、実際に光信号対雑音比の測定を行うポイントは、光パケット交換部18の後の測定ポイントDのみであるが、ここでは、説明のために測定ポイントA〜Cにおける光パワー波形を示している。
【0056】
図6(a)は、光パケット生成部12の後の測定ポイントAにおける光パワー波形を示す。図6(a)には、光パケット生成部12にて生成された一つの光パケット信号が示されている。ここでは、光パケット生成部12が消光比12dBのEA変調器を用いて、ピークパワーが0dBmの光パケット信号を出力することを想定している。LN変調器を用いた場合、20dB程度の消光比を実現できる。
【0057】
図6(b)は、光スイッチ部14の後の測定ポイントBにおける光パワー波形を示す。ここでは、光スイッチ部14として、消光比が35dBであり、オン状態のとき光が減衰しない理想的な光スイッチを想定している。光スイッチ部14は、光パケット信号が存在している間のみ光スイッチをオン状態とし、その他の時間はオフ状態とする。これにより、図6(b)に示すように、消光比の高い光パケット信号を得ることができる。光スイッチ部14が必要な理由は、測定ポイントBでの消光比が小さいと、後段の光増幅器16で発生する雑音光よりも光パケット生成部12の変調器のゼロレベルの方が大きく見えてしまい、光信号対雑音比を測定できないからである。光パケット生成部12において消光比が非常に高い変調器を用いた場合、光スイッチ部14を設けなくてもよい。
【0058】
図6(c)は、光増幅器16の後の測定ポイントCにおける光パワー波形を示す。図6(b)に示すような光パケット信号が光伝送路24を通過すると、光パワーが減衰する。光増幅器16は、光パケット信号のピークパワーが0dBmとなるように、光パケット信号を増幅する。ここでは、光増幅器16の自然放出光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)を−25dBmと想定している。光パケット信号が光増幅器16を通過すると、光増幅器16で発生するASEによって雑音光が追加される。その結果、図6(c)に示されるように、光パケット信号の前後の光パワーがかさ上げされ、雑音光が見えてくる。なお、光パケット信号のピークパワーはほとんど変化しない。
【0059】
図6(d)は、光パケット交換部18の後の測定ポイントDにおける光パワー波形を示す。この測定ポイントDでの光信号対雑音比が光信号対雑音比測定部22により測定される。
【0060】
ここで本実施形態においては、光パケット交換部18は、光パケット信号の方路切替を行う際に、該光パケット信号の時間幅よりも長く光スイッチをオン状態とする。言い換えると、光パケット信号の存在している時間よりも余分に光スイッチのオン状態を継続する。図6(d)の例では、光パケット交換部18は、光パケット信号の最終ビットが光パケット交換部18を通過した後でも光スイッチのオン状態を継続している。その結果、図6(d)に示されるように、信号光の後側には光増幅器16で付加された雑音光が残されている。以下においては、図6(d)に示すような雑音光が残された(言い換えると、付加された)光パケット信号を「雑音光付き光パケット信号」と呼ぶ。
【0061】
図4に示す光パケット交換システム10において、光パケット交換部18の後段に設けられた光信号対雑音比測定部22には、図6(d)に示すような雑音光付き光パケット信号が入力される。光信号対雑音比測定部22は、雑音光付き光パケット信号における信号光部分の光パワーと、雑音光部分の光パワーとを測定し、それらの比を計算することにより光信号対雑音比を測定する。
【0062】
このように、本実施形態に係る光パケット交換システム10によれば、光パケット交換部18において雑音光付き光パケット信号を生成することにより、後段の光信号対雑音比測定部22にて信号光パワーと、雑音光パワーとを測定できるようになり、光パケット信号の光信号対雑音を算出することができる。
【0063】
なお、光スイッチ部14は必ずしも消光比を高めるためだけに用意する必要はなく、1段目の光パケット交換部であってもよい。この場合、1段目と2段目以降における光スイッチの制御タイミングを変えればよい。具体的には、光パケット交換を行う際に、1段目の光パケット交換部は、光パケット信号の時間幅と同じだけ光スイッチをオン状態とする制御を行い、2段目以降の光パケット交換部は、光パケット信号の時間幅よりも長く光スイッチをオン状態とする制御を行えばよい。
【0064】
図7は、光パケット信号のフォーマットの一例を示す。光パケット信号は、図7に示すように、ユーザ領域であるデータと、データの前に設けられたヘッダと、ヘッダの前に設けられたプリアンブルと、データの後に設けられた誤り検出用のFCS(Frame check sequence)とから構成される。プリアンブルは、光パケット信号を受信する光受信器の安定化に使用される。ヘッダは、宛先情報と、送信元情報と、パケット長情報とを有する。このように、光パケット信号にはパケット長情報が付与されているので、これと光パケット信号の到着時刻とから光パケット信号が存在する時間幅を確定することができる。
【0065】
図8は、光信号対雑音比測定部22の構成例を説明するための図である。図8に示すように、光信号対雑音比測定部22は、光分岐部49と、光/電気変換部50と、ヘッダ読取部52と、AD変換部54と、取込時刻決定部56と、信号光パワー取込部58と、雑音光パワー取込部60と、光信号対雑音比算出部62とを備える。
【0066】
光信号対雑音比測定部22に入力された雑音光付き光パケット信号は、まず光分岐部49にて二つに分岐される。分岐された一方の光パケット信号は、光/電気変換部50に入力され、他方の光パケット信号は、ヘッダ読取部52に入力される。
【0067】
光/電気変換部50は、入力された光パケット信号を電気のパケット信号に変換し、AD変換部54に出力する。AD変換部54は、入力されたパケット信号をアナログ・デジタル変換し、得られたデジタル信号を信号光パワー取込部58および雑音光パワー取込部60に出力する。
【0068】
一方、ヘッダ読取部52は、入力された光パケット信号を電気信号に変換した後、ヘッダに記載されたパケット長情報を読み取る。取込時刻決定部56は、光パケット信号が到着した時刻と、ヘッダ読取部52で取得されたパケット長情報とに基づいて、雑音光付き光パケット信号における信号光部分と雑音光部分とを判別し、信号光および雑音光を取り込むタイミングを決定する。
【0069】
信号光パワー取込部58は、取込時刻決定部56で決定された信号光の取込タイミングに基づいて、AD変換部54から入力されたデジタル信号を取り込む。また、雑音光パワー取込部60は、取込時刻決定部56で決定された雑音光の取込タイミングに基づいて、AD変換部54から入力されたデジタル信号を取り込む。
【0070】
光信号対雑音比算出部62は、信号光パワー取込部58で取得された信号光パワーと、雑音光パワー取込部60で取得された雑音光パワーの比を計算し、光信号対雑音比を出力する。
【0071】
図9は、光信号対雑音比測定部22の別の構成例を説明するための図である。図9に示す光信号対雑音比測定部22において、図8に示す光信号対雑音比測定部と同一または対応する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0072】
信号光と雑音光は、20dB以上のパワー差がある場合が多いため、入力ダイナミックレンジを広く取ることが望ましい。入力ダイナミックレンジを拡大するために、本構成例においては、光/電気変換部50をアナログ・デジタル変換するAD変換部として、大レベル信号用の第1AD変換部54aと、中レベル信号用の第2AD変換部54bと、小レベル信号用の第3AD変換部54cとを用意し、独立にアナログ・デジタル変換を行っている。
【0073】
図10は、光パケット信号のフォーマットの別の一例を示す。光パケット交換方式においては、複数の異なる波長の光パケット信号が波長多重された波長多重光パケット信号が光パケット交換される場合がある。図10に示す波長多重光パケット信号のフォーマット例では、波長λ1の光パケット信号にヘッダを割り付け、波長λ2〜λ4の光パケット信号にデータを割り付けている。各波長の光パケット信号の先頭にはプリアンブルが設けられている。
【0074】
図11は、光信号対雑音比測定部22のさらに別の構成例を説明するための図である。図11に示す光信号対雑音比測定部22は、波長多重光パケット信号の光信号対雑音比を測定するのに適した構成となっている。この光信号対雑音比測定部22によれば、各波長毎に光信号対雑音比を測定できる。
【0075】
図11に示す光信号対雑音比測定部22は、波長分岐部51と、第1〜第3光/電気変換部50a〜50cと、ヘッダ読取部52と、第1〜第3AD変換部54a〜54cと、取込時刻決定部56と、信号光パワー取込部58と、雑音光パワー取込部60と、光信号対雑音比算出部62とを備える。
【0076】
波長分岐部51は、入力された波長多重光パケット信号を波長λ1〜λ4の光パケット信号に分波する。波長λ1の光パケット信号は、ヘッダ読取部52に入力される。一方、波長λ2〜λ4の光パケット信号は、それぞれ第1〜第3AD変換部54a〜54cに入力される。
【0077】
第1〜第3光/電気変換部50a〜50cは、それぞれ入力された波長λ2〜λ4の光パケット信号を電気のパケット信号に変換し、第1〜第3AD変換部54a〜54cに出力する。第1〜第3AD変換部54a〜54cは、それぞれ入力されたパケット信号をアナログ・デジタル変換し、得られたデジタル信号を信号光パワー取込部58および雑音光パワー取込部60に出力する。
【0078】
一方、ヘッダ読取部52は、入力された波長λ1の光パケット信号を電気信号に変換した後、ヘッダに記載されたパケット長情報を読み取る。取込時刻決定部56は、波長多重光パケット信号が到着した時刻と、ヘッダ読取部52で取得されたパケット長情報とに基づいて、雑音光付き光パケット信号における信号光部分と雑音光部分とを判別し、信号光および雑音光を取り込むタイミングを決定する。波長λ2〜λ4のフォーマットが同一であれば、信号光パワーおよび雑音光パワーの取り込みタイミングは波長によらず同一でよい。
【0079】
信号光パワー取込部58は、取込時刻決定部56で決定された信号光の取込タイミングに基づいて、第1〜第3AD変換部54a〜54cから入力されたデジタル信号を取り込む。また、雑音光パワー取込部60は、取込時刻決定部56で決定された雑音光の取込タイミングに基づいて、第1〜第3AD変換部54a〜54cから入力されたデジタル信号を取り込む。
【0080】
光信号対雑音比算出部62は、各波長λ2〜λ4毎に信号光パワー取込部58で取得された信号光パワーと、雑音光パワー取込部60で取得された雑音光パワーの比を計算する。本実施形態に係る光信号対雑音比測定部22によれば、このようにして、各波長λ2〜λ4毎に光信号対雑音比を測定できる。
【0081】
上記の実施形態では、ヘッダが割り当てられた波長λ1の光パケット信号は、光信号対雑音比の監視対象外としてるが、別途波長λ1用の光/電気変換部を用意すれば監視対象に含めることができる。
【0082】
図12は、光信号対雑音比測定部22のさらに別の構成例を説明するための図である。図12に示す光信号対雑音比測定部22もまた、波長多重光パケット信号の光信号対雑音比を測定するのに適した構成となっている。図12に示す光信号対雑音比測定部22において、図11に示す光信号対雑音比測定部と同一または対応する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0083】
本実施形態に係る光信号対雑音比測定部22においては、第1〜第3光/電気変換部に代えて、スペクトラムアナライザ64を設けている点が、図11に示す光信号対雑音比測定部と異なる。スペクトラムアナライザにはいくつかの原理がある。図12は、スペクトラムアナライザを例えば回折格子と並列PDアレイで構成した場合の光信号対雑音比測定部22の構成例を示す。
【0084】
本構成例ではまず、波長分岐部51にてヘッダが割り当てられた波長λ1の光パケット信号と、データが割り当てられた波長λ2〜λ4の光パケット信号とが分波される。そして、波長λ2〜λ4の光パケット信号が、回折格子と並列PDアレイを組み合わせたスペクトラムアナライザ64に入力される。スペクトラムアナライザ64は、波長λ2〜λ4の光パケット信号をそれぞれ第1〜第3AD変換部54a〜54cに出力する。第1〜第3AD変換部54a〜54c以降の処理は図11に示す光信号対雑音比測定部と同様である。
【0085】
光スペクトラムアナライザは通常、定常的な光信号および雑音を測定する事を目的としているため、動作速度が遅いものが多いが、本装置においては光パケット単位での測定が必要であるため、超高速動作が可能な光スペクトラムアナライザを用いる必要がある。
【0086】
本実施形態に係る光パケット交換システムでは、光パケット信号が存在しない時間も光パケット交換部において光スイッチをオン状態に保持し、残された雑音光のパワーを測定するという原理を用いている。これは光パケット信号が本来占有できるはずの時間スロットを雑音光のために浪費することになるので、帯域利用効率の低下や、空きタイミングが不足することによってパケット破棄が発生する可能性もある。
【0087】
そこで、常時光信号対雑音比の測定を実施し続けるのではなく、必要なときだけに測定を行うようにする制御を行ってもよい。具体的には、光パケット生成部において光パケット信号を生成する際に、光信号対雑音比の測定を行うか否かを示す情報ビットをヘッダに付与する。そして、光パケット交換部は、入力されたパケット信号のヘッダに付与された情報ビットが光信号対雑音比の測定を示している場合に、雑音光付き光パケット信号を生成する。一方、情報ビットが光信号対雑音比の測定を示していない場合、通常の光パケット交換の制御通り、光パケット信号の時間幅のみ光スイッチをオン状態とする制御を行う。
【0088】
光信号対雑音比測定部22は、入力された光パケット信号に付与された情報ビットが光信号対雑音比の測定を示している場合のみ、信号光パワーと雑音光パワーの取込を行い、光信号対雑音比を算出する。このような制御を行うことにより、帯域利用効率の低下を抑制でき、また、パケット破棄率の上昇を抑制できる。
【0089】
上記においては、必要なときに光信号対雑音比の測定を実施するとしたが、測定タイミングの設定方法について述べる。
【0090】
一つ目の方法は、光パケット生成部において内部にタイマーを持ち、自律的に一定周期毎に光信号対雑音比の測定を示す情報ビットを光パケット信号のヘッダに付与し、送信するという方法である。本方法の場合には、自動で測定が実施されるので、光信号対雑音比の情報は常時更新されることになる。そこで、光信号対雑音比の測定結果がある特性劣化閾値よりも低くなった場合には、該当の光パケット信号について特性劣化を報告する警報を発出してもよい。
【0091】
二つ目の方法は、装置の保守者が測定を実施したいときに命令を出し、これを受けて光パケット生成部が光信号対雑音比の測定を示す情報ビットを送信するという方法である。例えば、A局からB局を通ってC局に至るルートの光信号対雑音比を測定したい場合であれば、装置の保守者は、A局の光パケット生成部に指示を出し、C局宛の光パケット信号に光信号対雑音比の測定を示す情報ビットを付与させる。これにより、B局およびC局では、光信号対雑音比が測定されるので、保守者は、B局およびC局に遠隔アクセスして、光信号対雑音比の測定結果を取得することができる。
【0092】
次に、光信号対雑音比の測定結果を保持する方法について考える。本実施形態に係る光パケット交換システムでは、光パケット単位で光信号対雑音比の測定を実施するため、数分間に何10万パケットの光信号対雑音比の測定結果が得られる。さらにその測定結果は様々な送信元から届いたパケットであり、どの局からのパケットであるか等の情報が重要である。
【0093】
そこで、光信号対雑音比測定部は、光信号対雑音比の測定結果を記憶するための記憶部を備えてもよい。光信号対雑音比の測定結果は、光パケット信号の送信元情報(送信元の光パケット生成部の装置アドレス等)および光パケット信号の到着時刻と関連付けて記憶することが望ましい。これにより、光信号対雑音比の悪い光パケット信号が見つかった場合に、光パケットネットワークのどのルートに問題があるのか解析することが容易となる。また、多くの光パケット信号が到着するため、それらの時間平均値や経時的な変動量を算出して記憶することとしてもよい。
【0094】
次に、信号光パワーの測定方法について述べる。図13は、光パケット信号を高速オシロスコープで測定した波形の一例を示す。
【0095】
光パケット信号のデータは、クライアント信号に依存して任意の1、0パターンを取る。図13の波形を見てわかるとおり、「1」が連続している部分においては光パワーが高めになり、「0」が連続している部分においては光パワーが低めになり、細かい1,0遷移が連続する部分においてはビットがつぶれて光パワーが中間値になる、といった事象が起こる。従って、任意のビット列の光パケット信号が到着した際に、光パケット信号の中で適当にサンプリングを行っただけでは正しい測定値を得られない可能性がある。
【0096】
図14は、信号光パワーの測定方法を説明するための図である。本方法においては、光パケット信号の時間幅にわたって複数の測定ポイントで光パワーを測定し、それらの光パワーの平均値を信号光パワーとする。光パケット信号において1、0のビット数がほぼ均衡するようにスクランブル処理が実施されている場合には、平均化によってほぼデューティ比=50%に見えるはずであるため、本方法は有効である。
【0097】
光パケット信号がNRZではなく、RZなどの平均パワーが50%にならないような変調フォーマットである場合には、実際のピークパワーと測定結果の間に差分が残ることも考えられる。その場合には、より高精度な測定器で測った信号光パワーの値と、本装置で測った信号光パワーの値との差分を予め装置内に保持しておき、本装置の測定結果から該差分を差し引いてもよい。これにより、高精度測定器で測定したのと同等な測定結果を得ることができる。
【0098】
図15は、信号光パワーの別の測定方法を説明するための図である。本方法においては、光パケット生成部にて光パケット信号を生成する際に、光パケット信号内の所定に位置に所定の「固定パターン」を挿入しておく。この固定パターンは、例えば10101010等のパターンである。固定パターンの挿入位置は、ヘッダに対して固定された位置、例えば図15に示すように、ヘッダの直後であってよい。
【0099】
信号光パワー取込部は、パケット信号の時間幅にわたって複数の測定ポイントで光パワーを測定するが、固定パターンについて測定した光パワーのみを信号光パワーとして光信号対雑音比算出部に出力する。あるいは、最初から固定パターンについてのみ光パワーを測定してもよい。図15の例では、2つの測定ポイントで固定パターンの測定しているが、もちろん固定パターンの測定ポイントは1つであってもよい。2つ以上の測定ポイントで固定パターンの光パワーを測定した場合にはそれらの平均値を信号光パワーとすればよい。必要となる固定パターン長は、光信号対雑音比測定部のサンプリング速度に依存し、高速であれば長さは短くてよい。また、光パケット信号に例えば同期を確立するための同期コード等が存在する場合には、そのパターンを測定ポイントとして利用してもよい。
【0100】
図13で説明したように、信号光の光パワーは1,0のパターンに依存して変化する。そこで、上記のように固定パターンについて測定した光パワーを信号光パワーとすることにより、データパターンに依存しない安定した測定結果を得ることができる。
【0101】
図16は、信号光パワーのさらに別の測定方法を説明するための図である。図15で説明した信号光パワーの測定方法では、固定パターンの挿入位置をヘッダに対して固定している。しかしながら、例えば光電気変換器や光増幅器の過渡応答の影響で、光パケット信号の先頭と、中間と、最後尾でピークパワーが変化するような場合に、各々のポイントで光信号対雑音比を測定したいというニーズが考えられる。これに対応するために、本方法では、固定パターンの位置を任意の位置に配置する方法を示す。
【0102】
本方法においては、光パケット生成部は、光パケット信号を生成する際に、光パケット信号内の任意の位置に所定の固定パターンを挿入するとともに、固定パターンの位置情報を該光パケット信号のヘッダに付与する。そして、光信号対雑音比測定部は、固定パターンの位置情報に基づいて固定パターンの光パワーを測定し、該光パワーを信号光パワーとして光信号対雑音比測定部22に出力する。図16の例では、2つの測定ポイントで固定パターンの測定しているが、もちろん固定パターンの測定ポイントは1つであってもよい。2つ以上の測定ポイントで固定パターンの光パワーを測定した場合にはそれらの平均値を信号光パワーとすればよい。
【0103】
本方法によれば、可変長の光パケット信号であっても任意の位置の光信号対雑音比を測定することができる。なお、固定パターンはクライアント信号には余分な情報であるため、光パケット受信部にて破棄する必要がある。
【0104】
次に、雑音光パワーの測定方法について述べる。図6(d)に示す雑音光付き光パケット信号の一例では、信号光の後側に雑音光が残るよう光パケット交換部を制御したが、信号光の前側に雑音光が残るよう制御してもよい。また、信号光の前後両方に雑音光が残るよう光パケット交換部18を制御してもよい。光信号対雑音比測定部は、雑音光が存在しているタイミングにおいて光パワーの取得を行えばよい。雑音光の時間幅は光信号対雑音比測定部のサンプリング速度に依存し、高速であれば長さは短くてよい。信号光よりもパワーレベルが低いため、固定パターンの測定時間よりも長い時間幅としてもよい。
【0105】
次に、雑音光パワーの測定ポイントを任意の位置に設定する方法について説明する。図17は、本方法における光パケット信号のフォーマットの一例を示す。本方法において、光パケット生成部は、光パケット信号を生成する際に、該光パケット信号内の任意の位置に、雑音光パワーを測定するための「雑音光領域」を挿入する。この雑音光領域は、データビットの存在しない領域である。また、光パケット生成部は、雑音光領域の位置を光信号対雑音比測定部などに通知するために、雑音光領域の位置情報を光パケット信号のヘッダに付与する。
【0106】
図18(a)〜(e)は、本方法における各構成要素の動作を説明するための図である。図18(a)は、光パケット生成部によって生成された光パケット信号を示す。これは、図17において説明したものと同様であり、光パケット信号内の任意の位置に雑音光領域が設けられている。
【0107】
図18(b)は、光パケット生成部の後段に設けられた光スイッチ部の動作を示す。上述したように、光スイッチ部は、光パケット信号が存在している間光スイッチをオン状態とするが、雑音光領域についてはオフ状態とする。これにより、信号光部分の消光比を高めることができる。
【0108】
図18(c)は、光パケット交換部の動作を示す。光パケット交換部は、光パケット信号の存在している間、光スイッチをオン状態とする。光パケット交換部は、雑音光領域についてもオン状態を継続する。これにより、図18(d)に示すような雑音光付き光パケット信号が光パケット交換部から出力される。光信号対雑音比測定部には、図18(c)に示すような波形の雑音光付き光パケット信号が届く。
【0109】
図18(e)は、雑音光パワーの測定ポイントを示す。光信号対雑音比測定部は、雑音光付き光パケット信号のヘッダから雑音光領域の位置情報を読み取り、該位置情報に基づいて、雑音光領域において光パワーを取り込む。そして、該光パワーを雑音光パワーとして用いて、光信号対雑音比を算出する。
【0110】
例えばパケット長が長い光パケット信号においては、信号内の位置によって光信号対雑音比が変化する場合がある。本方法によれば、光パケット信号内の任意の位置の光信号対雑音比を測定できる。
【0111】
複数の局の間を光パケット信号が転送されていく場合には、信号光パワーは局間の伝送路の距離や光増幅器の利得によって変動し、それが累積するためある程度の幅を持つ。雑音光に至っては、送信端はほぼ無雑音なので非常に光パワーが弱く、光増幅器を経由する度に増加していくので、光パワー変動幅は非常に大きい。
【0112】
信号光と雑音光のパワーを測定する際に光パワーが強ければ測定値の精度が確保できるものの、弱い場合には光モニタ回路の増幅倍率を上げる必要が生じる可能性がある。増幅倍率を上げると周波数応答が劣化し、測定精度を確保するためには、信号光、雑音光の測定時間幅を長く確保とる必要がある。そこで、ここでは信号光または雑音光の測定時間幅を可変とする方法を説明する。
【0113】
図19(a)および(b)は、雑音光の測定時間幅を可変とする方法を説明するための図である。本方法においては、光パケット生成部は、光パケット信号を生成する際に、光パケット信号内の任意の位置に、雑音光領域を挿入する。本方法において、光パケット生成部は、雑音光領域の時間幅を可変できる。また、光パケット生成部は、雑音光領域の時間幅を示す情報を光パケット信号のヘッダに付与する。図19(a)は、雑音光領域の時間幅を6(任意単位)とした光パケット信号のフォーマットの例を示す。また、図19(b)は、雑音光領域の時間幅を12(任意単位)とした光パケット信号のフォーマットの別の例を示す。なお、図17で説明した雑音光領域の位置情報を光パケット信号のヘッダに付与してもよい。
【0114】
このように、雑音光領域の時間幅を可変できるようにすることで、例えば、雑音光パワーが小さい場合には雑音光領域の時間幅を長くし、一方雑音光パワーが大きい場合には雑音光領域の時間幅を長くするといった制御が可能となる。
【0115】
本方法においては、光スイッチ部および光パケット交換部は、雑音光領域の時間幅を考慮して、光スイッチのオン/オフ制御を行う。また、光信号対雑音比測定部は、雑音光領域の長さ情報に基づいて雑音光領域の光パワー測定に利用できる時間を判定し、該時間を利用して雑音光領域の光パワーを測定する。測定精度を向上するためには、雑音光領域の時間幅内に出来るだけ多くの測定ポイントを設定することが好ましい。
【0116】
図19(a)および(b)では、雑音光の時間幅を可変とする場合について説明したが、固定パターンの長さを変えることにより信号光の時間幅を可変とし、該信号光の時間幅情報を光パケット信号のヘッダに付与してもよい。これにより、信号光パワーの測定精度が向上し、結果として光信号対雑音比の測定精度を向上できる。あるいは、信号光と雑音光の両方の時間幅を可変できるように構成してもよい。この場合、さらなる光信号対雑音比の向上が可能となる。
【0117】
本方法においては、実際にどの時間幅を用いればよいかは測定してみなければわからない。そこで、装置の保守者の命令に基づいて測定を実行する場合であれば、まず所定の時間幅での測定を行い、測定結果の妥当性を確認した上で精度が不足していると判断された場合には、より長い時間幅の条件で再測定を行ってもよい。
【0118】
あるいは、自律的に一定周期毎に光信号対雑音比の測定を行うよう構成されている場合であれば、何度も測定を行う中で時間幅を変更していき、最適な時間幅を探索してもよい。
【0119】
または、光信号対雑音比測定部で得られた測定結果の精度情報、もしくは測定結果のばらつき情報を光パケット生成部にフィードバックしてもよい。具体的には、精度情報やばらつき情報を確認した結果、精度が不足している光パケット信号が見つかった場合、光パケット生成部は、次回の光パケット信号から、信号光および/または雑音光の時間幅を長くする。これにより、さらなる光信号対雑音比の向上が可能となる。
【0120】
図20は、光パケット交換システム10の別の構成を示す図である。図20に示す光パケット交換システム10において、図4に示す光パケット交換システムと同一または対応する構成要素については説明を適宜省略する。
【0121】
図20に示す光パケット交換システム10においては、光パケット生成部12の後段に、第1光パケット交換部18a、第2光パケット交換部18b、および第3光パケット交換部18cの三つの光パケット交換部がシリーズに接続されている。また、各光パケット交換部の前後には光増幅器(図示せず)が設けられている。そして、第3光パケット交換部18cの後段に光パケット受信部20および光信号対雑音比測定部22が設けられている。
【0122】
このような構成においては、光パケット信号が複数段の光パケット交換部を通過すると、雑音光は徐々に増加していくという現象が発生する。ここでは、各光パケット交換部の直後に光信号対雑音比測定部を配置するのではなく、1つの測定ポイントで各光パケット交換部から出力された光パケット信号の光信号対雑音比を測定する方法を説明する。
【0123】
図21(a)〜(c)は、本方法に係る光信号対雑音比の測定方法を説明するための図である。本方法においては、上流に位置する光パケット交換部18から下流に位置する光パケット交換部18にかけて徐々に、光パケット信号の方路切替を行う際に光スイッチをオン状態とする時間を長くする。図21(a)は、第1光パケット交換部18aから出力された雑音光付き光パケット信号を示す。第1光パケット交換部18aが光パケット信号の長さよりも長く光スイッチをオン状態とすることにより、雑音光1が付加されている。この雑音光1は、第1光パケット交換部18aを通過することにより付加された雑音光である。
【0124】
図21(b)は、第2光パケット交換部18bから出力された雑音光付き光パケット信号を示す。第2光パケット交換部18bは、第1光パケット交換部18aの光スイッチオン時間よりも長く光スイッチをオン状態とする。これにより、雑音光1の後に雑音光2が付加されている。この雑音光2は、第2光パケット交換部18bを通過することにより付加された雑音光である。
【0125】
図21(c)は、第3光パケット交換部18cから出力された雑音光付き光パケット信号を示す。第3光パケット交換部18cは、第2光パケット交換部18bの光スイッチオン時間よりも長く光スイッチをオン状態とする。これにより、雑音光2の後に雑音光3が付加されている。この雑音光3は、第3光パケット交換部18cを通過することにより付加された雑音光である。
【0126】
光信号対雑音比測定部22には、図21(c)に示すような雑音光パワーが階段状に変化した雑音光付き光パケット信号が入力される。光信号対雑音比測定部22は、雑音光1〜3のそれぞれについて雑音光パワーを測定し、各雑音光パワーを用いて光信号対雑音比を計算する。これにより、1つの測定ポイントにおいて、各光パケット交換部から出力された光パケット信号の光信号対雑音比を測定できる。
【0127】
なお、各光スイッチ交換部は、受信した光パケット信号にとって自身が何段目の光パケット交換部であるかを知らなければ、光スイッチオン時間に差分を設けることができない。これについては、例えば保守者が測定開始命令を投入する場合であれば、予め転送ルートにあたる光スイッチ交換部に何スパン目であるかを設定しておく、という方法が考えられる。また、自律的に一定周期毎に光信号対雑音比の測定を行うよう構成されている場合であれば、例えば隣接する光スイッチ交換部間で情報を交換しあうことによって、各光スイッチ交換部は、送信元から自身に届くまでのスパン数を求め、テーブルに保持しておく。そして、実際に光パケット信号が届いたときにこのテーブルを参照して光スイッチの制御を行う、という方法が考えられる。
【0128】
本実施形態に係る光パケット交換システムでは、クライアントから受信している実データパケットに雑音光を付加することで光パケット信号毎に光信号対雑音比の測定を行う。これは通信を切断せず、インサービス測定を行うことができるが、クライアント信号に依存していると、クライアント信号の宛先になっている端局装置にしかパケットが送信されないため、測定が実施されない穴あきのような場所が残ってしまうことが考えられる。この穴あきの場所に光パケット信号が届いたとき、その場所で光信号対雑音比が悪く、パケット破棄が起こってしまうということでは品質確保できているとは言えない。
【0129】
そこで、クライアント信号によらず、光パケット生成部において光信号対雑音比を測定するための専用の光パケット信号を自ら生成し送信する方法をとってもよい。
【0130】
測定が実施されているルートについては敢えて光パケット信号を送る必要はないので、一定時間の間に全く測定を行っていないルートがあった場合に、そのルートの先に存在する端局装置に対してユニキャストのパケットを送信する事としてもよい。また、測定ルートが複数存在する場合は、マルチキャストパケットを送信することとしてもよい。また、測定が実施されているかどうかは関係なく、全端局装置に対してブロードキャストする事で漏れなく光信号対雑音比を測定するという方法をとってもよい。この方法によれば、新規に追加された端局装置に対しても光信号対雑音比の測定が実施されるというメリットがある。
【0131】
次に、本発明の実施例について説明する。図22は、本実施例に係る光パケット交換システム10を示す。図22に示すように、光パケット交換システム10は、光パケット生成部12と、光パケット交換部18と、光分岐部19と、光パケット受信部20と、光信号対雑音比測定部22とを備える。
【0132】
光パケット交換部18は、クライアント信号である10GEther信号を受信し、電気信号に変換する物理層(PHY)70と、10GEther信号を分割した後、複数のパケット信号に変換する変換部72と、複数のパケット信号を光パケット信号に変換する複数のEA変調型トランスミッタ74と、複数の光パケット信号を波長多重するAWG(Arrayed-Waveguide Grating)とを備える。
【0133】
光パケット生成部12から出力された波長多重光パケット信号は、光パケット交換部18に入力される。また、光パケット交換部18には、光パケットネットワークからの光パケット信号が、光増幅器80で増幅された後、入力される。光パケット交換部18は、複数のSOAゲート78を備え、これらのSOAゲートのオン/オフを制御することにより、入力された光パケット信号の方路を切り替える。SOAゲートを用いた光スイッチは、nsオーダの応答速度を有する。別の光パケット交換システムに転送される光パケット信号は、光増幅器82で増幅された後、光パケットネットワークに出力される。一方、自局の光パケット受信部20のドロップされる光パケット信号は、光増幅器84で増幅された後、光分岐部19に入力される。光分岐部19で二つに分岐された光パケット信号は、光パケット受信部20と、光信号対雑音比測定部22とに入力される。
【0134】
光パケット受信部20は、入力された波長多重光パケット信号を分波するAWG86と、AWG86からの複数の波長の光パケット信号を電気信号に変換するPIN型レシーバ88と、複数のパケット信号を逆変換し、10GEther信号を組み立てる逆変換部90と、電気の10GEther信号を光信号に変換し、クライアント側に出力する物理層92とを備える。
【0135】
図23は、本実施例に係る光信号対雑音比測定部22を示す。光信号対雑音比測定部22は、波長分岐部としてのAWG57と、複数の光/電気変換部50と、ヘッダ読取部52と、複数のAD変換部54と、取込時刻決定部56と、信号光パワー取込部58と、雑音光パワー取込部60と、光信号対雑音比算出部62と、測定結果保持テーブル63とを備える。本実施例の構成は、図11で説明した波長多重光パケット信号の光信号対雑音比を測定するための構成と類似している。
【0136】
本実施例では、ヘッダが割り当てられた波長の光パケット信号を光分岐部53で二つに分岐して、光/電気変換部50とヘッダ読取部52とに入力する構成となっている。これにより、ヘッダが割り当てられた波長の光パケット信号についても、光信号対雑音比を測定できる。本実施例に係る光信号対雑音比測定部22は、光信号対雑音比算出部62にて測定した光信号対雑音比を保持するための測定結果保持テーブル63を備える。取込時刻決定部56、信号光パワー取込部58、雑音光パワー取込部60、光信号対雑音比算出部62、および測定結果保持テーブル63は、FPGA等を用いて構成できる。
【0137】
本実施例では、AWG57で波長ごとに光パケット信号を分岐する構成を記載しているが、広帯域測定回路を複数持つことがコスト面で難しい場合には、測定回路を1つとし、AWG57の代わりにバンドパスフィルタを用いて測定波長を個別に分離し、一波長ずつ測定してもよい。
【0138】
図24は、光パケット中継増幅装置94に光信号対雑音比測定部22を設けた実施例を示す。光信号対雑音比測定部22は、光パケット交換部18の下流であれば、様々な位置に配置することが可能である。
【0139】
図24に示すように、光パケット中継増幅装置94は、光増幅器95と、光分岐部96と、光信号対雑音比測定部22とを備える。光パケット中継増幅装置94には、光パケット交換部18から出力された雑音光付き光パケット信号が入力される。この雑音光付き光パケット信号は、光増幅器95で増幅された後、光分岐部96で二つに分岐される。一方の雑音光付き光パケット信号は、光パケットネットワークに出力される。他方の雑音光付き光パケット信号は、光信号対雑音比測定部22に入力され、光信号対雑音比が測定される。本実施例に係る光信号対雑音比測定部22は、図23に示す光信号対雑音比測定部と同様の構成とすることができる。
【0140】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せによりいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0141】
10 光パケット交換システム、 12 光パケット生成部、 14 光スイッチ部、 16 光増幅器、 18 光パケット交換部、 19 光分岐部、 20 光パケット受信部、 22 光信号対雑音比測定部、 28 光スイッチ、 30 光スイッチ制御部、51 波長分岐部、 52 ヘッダ読取部、 54 AD変換部、 56 取込時刻決定部、 58 信号光パワー取込部、 60 雑音光パワー取込部、 62 光信号対雑音比算出部、 63 測定結果保持テーブル、 64 スペクトラムアナライザ、 94 光パケット中継増幅装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光パケット信号を生成する光パケット生成部と、
光スイッチを備え、該光スイッチのオン/オフを制御することにより、入力された光パケット信号の方路を切り替える光パケット交換部と、
前記光パケット交換部から出力された光パケット信号の光信号対雑音比を測定する光信号対雑音比測定部と、
を備える光パケット交換システムであって、
前記光パケット交換部は、光パケット信号の方路切替を行う際に、該光パケット信号の時間幅よりも長く前記光スイッチをオン状態とすることにより、該光パケット信号に雑音光が付加された雑音光付き光パケット信号を出力し、
前記光信号対雑音比測定部は、雑音光付き光パケット信号における信号光パワーと、雑音光パワーとを測定し、それらの比を計算することにより光信号対雑音比を測定することを特徴とする光パケット交換システム。
【請求項2】
前記光パケット生成部の後段に、光パケット信号の消光比を高めるための光スイッチ部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光パケット交換システム。
【請求項3】
前記光信号対雑音比測定部は、光パケット信号の到着時刻と、光パケット信号に付与された光パケット長情報とに基づいて、雑音光付き光パケット信号における信号光と雑音光とを判別し、それぞれの光パワーを測定することを特徴とする請求項1または2に記載の光パケット交換システム。
【請求項4】
前記光パケット信号は、複数の波長の光パケット信号が波長多重された波長多重光パケット信号であり、
前記光信号対雑音比測定部は、入力された波長多重光パケット信号を複数の波長の光パケット信号に分波した後、各波長の光パケット信号ごとに光信号対雑音比を測定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項5】
前記光パケット生成部は、光パケット信号を生成する際に、該光パケット信号に光信号対雑音比の測定を行うか否かを示す情報ビットを付与し、
前記光パケット交換部は、入力された光パケット信号の情報ビットが光信号対雑音比の測定を示している場合に、雑音光付き光パケット信号を出力し、
前記光信号対雑音比測定部は、入力された光パケット信号の情報ビットが光信号対雑音比の測定を示している場合に、光信号対雑音比を測定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項6】
前記光パケット生成部は、定期的に、光信号対雑音比の測定を示す情報ビットを光パケット信号に付与することを特徴とする請求項5に記載の光パケット交換システム。
【請求項7】
前記光パケット生成部は、外部からの指示により、光信号対雑音比の測定を示す情報ビット測定指示情報を光パケット信号に付与することを特徴とする請求項5に記載の光パケット交換システム。
【請求項8】
前記光信号対雑音比測定部は、測定した光パケット信号の光信号対雑音比を、該光パケット信号の送信元情報および該光パケット信号の到着時刻と関連付けて記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項9】
前記光信号対雑音比測定部は、光パケット信号の時間幅にわたって複数の測定ポイントで光パケット信号部分の光パワーを測定し、それらの光パワーの平均値を信号光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項10】
前記光パケット生成部は、光パケット信号を生成する際に、光パケット信号内の所定の位置に固定パターンを挿入し、
前記光信号対雑音比測定部は、前記固定パターンの光パワーを測定し、該光パワーを信号光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項11】
前記光パケット生成部は、光パケット信号を生成する際に、該光パケット信号内の任意の位置に固定パターンを挿入するとともに、前記固定パターンの位置情報を該光パケット信号のヘッダに付与し、
前記光信号対雑音比測定部は、前記固定パターンの位置情報に基づいて該固定パターンの光パワーを測定し、該光パワーを信号光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項12】
前記光パケット生成部は、前記固定パターンの長さを可変できるとともに、前記固定パターンの長さ情報を光パケット信号のヘッダに付与し、
前記光信号対雑音比測定部は、前記固定パターンの長さ情報に基づいて前記固定パターンの光パワーを測定し、該光パワーを信号光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出することを特徴とする請求項10または11に記載の光パケット交換システム。
【請求項13】
前記光パケット交換部は、光パケット信号の前および/または後に雑音光が付加されるよう、前記光スイッチを制御し、
前記光信号対雑音比測定部は、光パケット信号の前および/または後に付加された雑音光のパワーを測定し、該光パワーを雑音光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項14】
前記光パケット生成部は、光パケット信号を生成する際に、該光パケット信号内の任意の位置に雑音光パワーを測定するための雑音光領域を挿入するとともに、前記雑音光領域の位置情報を該光パケット信号のヘッダに付与し、
前記光信号対雑音比測定部は、前記雑音光領域の位置情報に基づいて前記雑音光領域の光パワーを測定し、該光パワーを雑音光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項15】
前記光パケット生成部は、前記雑音光領域の長さを可変できるとともに、前記雑音光領域の長さ情報を該光パケット信号のヘッダに付与し、
前記光信号対雑音比測定部は、前記雑音光領域の長さ情報に基づいて前記雑音光領域の光パワーを測定し、該光パワーを雑音光パワーとして用いて光信号対雑音比を算出することを特徴とする請求項14に記載の光パケット交換システム。
【請求項16】
前記光パケット生成部の後段に複数の前記光パケット交換部が設けられており、
複数の前記光パケット交換部は、上流に位置する光パケット交換部から下流に位置する光パケット交換部にかけて徐々に、前記光スイッチをオン状態とする時間を長くすることにより、雑音光パワーが階段状に変化した雑音光付き光パケット信号を生成し、
前記光信号対雑音比測定部は、前記雑音光付き光パケット信号における階段状の雑音光のパワーを測定し、該光パワーを用いて各光パケット交換部からの出力毎に光信号対雑音比を算出することを特徴とする請求項13に記載の光パケット交換システム。
【請求項17】
前記光パケット生成部、前記光パケット交換部、および前記光信号対雑音比測定部が一つの端局装置を構成しており、
複数の前記端局装置が接続されて光パケット交換ネットワークが構成されており、
ある端局装置の光スイッチ生成部は、光信号対雑音比測定用の光パケット信号を生成し、他の端局装置にユニキャスト、マルチキャスト、またはブロードキャストで送信することを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の光パケット交換システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−244612(P2012−244612A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116301(P2011−116301)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】