光パフォーマンスモニタ
【課題】伝送されている光信号波長、各光信号の光パワー、およびOSNRを精度良く測定することが可能な光パフォーマンスモニタを提供する。
【解決手段】導波路型分光器2と、導波路型分光器2から出射され第1レンズ3を透過した光をX偏光とY偏光に分離して第2レンズ7に出射する偏光分離素子6と、導波路型分光器2と偏光分離素子6との間に設けられ、その一方の複屈折軸方向の偏光成分とそれと直交する他方の偏光成分との位相差を調整することでX偏光とY偏光の光パワー比を調節する可変リターダ4と、第2レンズ7から出射されたX偏光とY偏光のどちらか一方の偏光のみを空間的に90度回転させる1/2波長板8と、1/2波長板8からの一方の偏光と第2レンズ7からの他方の偏光とを第2レンズ7に反射する光位相変調器9と、第2レンズ7で集光された両偏光の干渉縞を検出する受光素子アレイ10と、を備えた。
【解決手段】導波路型分光器2と、導波路型分光器2から出射され第1レンズ3を透過した光をX偏光とY偏光に分離して第2レンズ7に出射する偏光分離素子6と、導波路型分光器2と偏光分離素子6との間に設けられ、その一方の複屈折軸方向の偏光成分とそれと直交する他方の偏光成分との位相差を調整することでX偏光とY偏光の光パワー比を調節する可変リターダ4と、第2レンズ7から出射されたX偏光とY偏光のどちらか一方の偏光のみを空間的に90度回転させる1/2波長板8と、1/2波長板8からの一方の偏光と第2レンズ7からの他方の偏光とを第2レンズ7に反射する光位相変調器9と、第2レンズ7で集光された両偏光の干渉縞を検出する受光素子アレイ10と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長多重通信方式の光ネットワークにおいて光信号の伝送状況を監視する導波路型の光パフォーマンスモニタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
波長多重通信(Wavelength Division Multiplexing;WDM)方式は、1本の光ファイバに、近接した波長の光信号を多重化する方式であり、爆発的なインターネットの普及を支え情報を大容量化する手段として広く普及している。
【0003】
一方、WDM方式を基盤とする光ネットワークでは、光を分岐・挿入(光Add/Drop)することで、ある波長信号(波長チャネル)を用いて各ノード間にコネクションを張り、そのコネクションの状態をネットワークの使用状況に応じて時間的に変更するROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexing;再構築可能な光分岐・挿入多重化)の導入が進められている。今後は、光のままでクロスコネクトする光クロスコネクト(Optical Cross-connect;OXC)方式も導入される機運にある。
【0004】
これらを実現するためには、光ネットワークの各ノードでは、波長選択スイッチ(Wavelength Selectable Switch;WSS)や上述のOXCの装置の他、波長信号(波長チャネル)の伝送状況を監視し、常に正常に光ネットワークが動作しているかを管理する光パフォーマンスモニタが不可欠である。
【0005】
光パフォーマンスモニタには、下記の(1)〜(3)の項目を測定・監視し、それをネットワーク管理層の装置に報告することが要求される。
(1)伝送されている光信号波長
(2)各光信号の光パワー
(3)光信号対雑音比(Optical Signal to Noise Ratio;以下、OSNRという)
【0006】
また、光パフォーマンスモニタでは、上記の(1)〜(3)の項目を高速に測定し、光ネットワークでその情報を共有し、伝送トラブルに対処する必要がある。
【0007】
図10に、従来の光パフォーマンスモニタの一例を示す。
【0008】
図10に示す光パフォーマンスモニタ101では、光ファイバ102から出射した光は、分光機能を持つ回折格子103で分光された後、レンズ104により集光され、MEMS(Micro-Electro-Machining System)ミラー105に入射する。MEMSミラー105に入射した光は、波長毎にそれぞれの角度で反射され、任意の波長の光が受光器106に入射し、受光器106にてその波長の光パワーが測定される。
【0009】
MEMSミラー105は、印加する電圧で図示θ、φ方向に回転できるようになっており、任意の波長の光の反射角度を変化させて受光器106に入射させることで、それぞれの波長の光パワーを測定できる。
【0010】
図11(a)に、従来の光パフォーマンスモニタ101で測定した波長スペクトルの一例を示す。図11(a)の波長スペクトルを得ることにより、伝送されている信号波長と伝送されていない信号波長を確認でき、伝送されている信号波長の光パワーを監視することができる。また、OSNRは、下式(1),(2)より近似的に求めることができる。
OSNR=10×log(Pi/Ni) ・・・(1)
但し、Pi:信号パワー(W)
Ni:ノイズパワー(W)
Ni={N(λi−Δλ)+N(λi+Δλ)}/2 ・・・(2)
【0011】
なお、式(2)におけるN(λi−Δλ)とN(λi+Δλ)は、図11(b)に示すように、OSNRを測定する光信号の波長λiの前後の光パワーの極小値を表している。式(2)では、これらN(λi−Δλ)とN(λi+Δλ)の平均をとることで、波長λiにおけるノイズパワーNiを推定している。つまり、この方法は、各信号波長の間の光ノイズを補間し、波長λiの光ノイズNiを推定する方法である。
【0012】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−107377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図10の従来の光パフォーマンスモニタ101では、隣り合う信号波長のパワーレベルが大きく違う場合や波長間隔が狭い場合、隣接した大きなパワーを持つ信号波長のテール(裾野)の影響を受け、ノイズパワーNiが精度良く測定できない問題がある。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、伝送されている光信号波長、各光信号の光パワー、ノイズパワー、およびOSNRを精度良く測定することが可能な光パフォーマンスモニタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、伝送状況の監視対象となる光が入射される入力導波路と、その入力導波路に接続されたスラブ導波路と、そのスラブ導波路に接続された複数の導波路からなるアレイ導波路とを有し、前記入力導波路に入射された光を前記アレイ導波路の出射端から分光して出射する導波路型分光器と、前記導波路型分光器の前記出射端から距離F1の位置に配置され前記出射端から出射された光を集光する焦点距離がF1である第1レンズと、前記第1レンズから距離F1の位置に配置され、前記導波路型分光器の前記出射端から出射され前記第1レンズを透過してきた光を互いに直交するX偏光とY偏光に分離して出射する偏光分離素子と、前記導波路型分光器と前記偏光分離素子との間に設けられ、その一方の複屈折軸方向の偏光成分とそれに直交する他方の偏光成分との位相差を調整することで前記X偏光とY偏光の光パワー比を調節する可変リターダと、前記偏光分離素子から距離F2の位置に前記偏光分離素子に臨むよう配置され前記X偏光とY偏光をそれぞれ集光する焦点距離がF2である第2レンズと、前記第2レンズから出射されたX偏光とY偏光のどちらか一方の偏光のみを空間的に90度回転させることで偏光方向を同じにする1/2波長板と、前記第2レンズから距離F2の位置に配置されると共に、前記第2レンズから出射されて前記1/2波長板を介して出射された前記一方の偏光と前記第2レンズから出射された他方の偏光とを前記第2レンズに反射する反射型の光位相変調器と、前記第2レンズから前記偏光分離素子と同じ側で距離F2の位置に前記第2レンズに臨ませて配置され、前記光位相変調器で反射され前記第2レンズで集光された前記一方の偏光と前記他方の偏光の干渉縞を検出する受光素子アレイと、を備えた光パフォーマンスモニタである。
【0017】
前記受光素子アレイと並列に設けられ、前記光位相変調器で反射され前記第2レンズで集光された前記一方の偏光と前記他方の偏光を反射し、再び前記第2レンズに入射する反射ミラーと、前記反射ミラーで反射され、前記第2レンズ、前記光位相変調器、前記1/2波長板、前記第2レンズを経た前記一方の偏光と、前記反射ミラーで反射され、前記第2レンズ、前記光位相変調器、前記第2レンズを経た前記他方の偏光とが前記偏光分離素子にて合成され、かつ、前記可変リターダ、前記第1レンズを経た光が入射される複数の導波路からなるアレイ導波路と、そのアレイ導波路に接続されたスラブ導波路と、そのスラブ導波路に接続された複数の出力導波路と、を有する波形モニタ用導波路型分光器と、前記波形モニタ用導波路型分光器の前記複数の出力導波路に対応するように受光素子が配置された波形モニタ用受光素子アレイと、をさらに備えてもよい。
【0018】
前記可変リターダは、前記X偏光とY偏光の光パワー比が1:1となるように、可変リターダの一方の複屈折軸方向の偏光成分とそれに直交する他方の偏光成分との位相差を調整するようにされてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、伝送されている光信号波長、各光信号の光パワー、およびOSNRを精度良く測定することが可能な光パフォーマンスモニタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は、本発明の一実施の形態に係る光パフォーマンスモニタの概略構成図であり、(b)はその側面図である。
【図2】図1の光パフォーマンスモニタに用いる低分解能導波路型分光器の平面図である。
【図3】(a)は、図1の光パフォーマンスモニタに用いるLCOSの断面図、(b)はその正面図、(c)はX軸方向に配列したセルにおける屈折率分布の一例を示す図である。
【図4】図1の光パフォーマンスモニタのPDアレイで検出する干渉縞の一例を示す図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る光パフォーマンスモニタの概略構成図であり、(a)は低分解能導波路型分光器からPDアレイと反射ミラーに至る光路を、(b)は反射ミラーから第2PDアレイに至る光路を示す図である。
【図6】図5の光パフォーマンスモニタの側面図である。
【図7】図5の光パフォーマンスモニタに用いる高分解能導波路型分光器の平面図である。
【図8】各変調方式における信号スペクトルの微細構造を示す図である。
【図9】本発明の光パフォーマンスモニタを利用した通信システムの構成図である。
【図10】従来の光パフォーマンスモニタの概略構成図である。
【図11】(a),(b)は、図10の従来の光パフォーマンスモニタにおける伝送されている光信号波長、各光信号の光パワー、およびOSNRの測定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0022】
図1(a)は、本実施の形態に係る光パフォーマンスモニタの概略構成図であり、図1(b)はその側面図である。
【0023】
図1(a),(b)に示すように、光パフォーマンスモニタ1は、導波路型分光器としての低分解能導波路型分光器2と、第1レンズ3と、可変リターダ4と、偏光分離素子6と、第2レンズ7と、1/2波長板8と、光位相変調器としてのLCOS(Liquid Crystal On Silicon)9と、受光素子アレイとしてのPD(Photo Diode)アレイ10と、を備えている。可変リターダ4は第1レンズ3と導波路型分光器2の間(図1中の5の位置)に配置されていても良い。また、例えば、低分解能導波路型分光器2として、フリースペクトラルレンジ(FSR)が10THz程度のものを用いる。
【0024】
低分解能導波路型分光器2は、1つ以上の入力ポート(図示せず)を有し、このうち1本の入力ポートに、伝送状況の監視対象となる光を入射する入力光ファイバ11が接続される。
【0025】
図2に示すように、低分解能導波路型分光器2は、平らな基板(図示せず)上に、屈折率の高いコア21がそれよりも屈折率の低いクラッド22に埋め込まれた構造の導波路型分光回路23を積層して形成されている。導波路型分光回路23は、入力光ファイバ11から光が入射される1本以上の入力導波路24と、その入力導波路24に接続された厚さ方向(図示紙面方向)のみに閉じ込め構造のあるスラブ導波路25と、そのスラブ導波路25に接続された複数の一定長ΔLずつ長さが順次異なった導波路26からなるアレイ導波路27とを有する。アレイ導波路27の出射端28から出射される光の方向は波長毎に異なるので、入力導波路24に入力された光は、アレイ導波路27の出射端から分光(図1(a)のX軸方向に分光)して出射されることになる。出射される光の方向(角度)はアレイ導波路27の導波路26の長さの差ΔLに依存し、ΔLを大きくすると、僅かに異なった波長でも、大きな角度で分光することができる。
【0026】
図1に戻り、第1レンズ3は、その中心が低分解能導波路型分光器2の出射端28から距離F1の位置となるように配置される。第1レンズ3の焦点距離は、両側ともF1である。第1レンズ3は、低分解能導波路型分光器2の出射端28から出射された光を集光するもので、図示X軸方向及びY軸方向にコリメートする機能を有する。第1レンズ3としては、球面レンズ、円筒レンズなどを用いることができる。
【0027】
偏光分離素子6は、その一方の端面が第1レンズ3の中心から距離F1の位置となるように配置される。偏光分離素子6は、ウォラストンプリズムからなり、導波路型分光器2の出射端28から出射され第1レンズ3を透過してきた光を互いに直交するX偏光とY偏光に分離(図示Y軸方向に分離)して出射するものである。
【0028】
導波路型分光器2と偏光分離素子6との間には、その複屈折軸が導波路型分光器2の複屈折軸に対してπ/4+m×π/2(mは整数)の角度で傾けて配置され、その一方の複屈折軸方向の偏光成分とそれに直交する他方の偏光成分との位相差を調整することで偏光分離素子6で分離されるX偏光とY偏光の光パワー比を調節する可変リターダ4が配置される。可変リターダ4としては、例えば、液晶パネルを使用し、液晶パネルに印加する電圧を制御することで、任意のリターダンス(位相差)を発生させる液晶可変リターダ(LVR)を用いることができる。可変リターダ4では、例えば、5V程度の電圧を印加することで、2π程度のリターダンス(位相差)を得ることができる。詳細は後述するが、PDアレイ10で検出する干渉縞の可干渉度(ビジビリティー)を最大とするために、可変リターダ4は、X偏光とY偏光の光パワー比が1:1となるように、リターダンスを調整するようにされる。
【0029】
一般に、光ファイバの偏光状態は、時間的に変化する。このため、光ファイバが接続された低分解能導波路型分光器2の出射端28から出射された光も偏光状態が変化することになる。この時間的な変化は、通常の状態であれば、比較的ゆっくり(数秒オーダの周期で)変化する。このため、ここでは可変リターダ4を用いて通過光のリターダンスを時間的にミリ秒オーダーで高速に変化させることで、光ファイバ11から入射されるいかなる偏光状態の光であっても偏光分離素子6に入射されるX偏光とY偏光の振幅比(パワーは振幅の2乗)を1:1にすることができる。実際は、上記したように、PDアレイ10で検出する干渉縞の可干渉度(ビジビリティー)が最大となるときが、X偏光とY偏光の振幅比(パワーは振幅の2乗)が1:1になることが解析的に示される。
【0030】
以上の方法により、可変リターダ4により光パワー比が調整された互いに直交する偏光が、偏光分離素子6にてX偏光、Y偏光として分離されることになる。
【0031】
第2レンズ7は、その中心が偏光分離素子6の中心から距離F2の位置となるように、かつ、第2レンズ7の上半分が偏光分離素子6に臨むように配置される。第2レンズ7の焦点距離は、両側ともF2である。第2レンズ7は、X偏光とY偏光をそれぞれ集光するもので、図示X軸方向及びY軸方向にコリメートする機能を有する。第2レンズ7としては、球面レンズ、円筒レンズなどを用いることができる。
【0032】
光位相変調器として用いるLCOS9は、一軸方向に振動する偏光成分に対してのみしか屈折率を変化させることができない、すなわち単一の偏光の位相のみしか変化させることができない。しかし、一般に光は、X偏光とY偏光の成分を有しており、またそれらの比率は時間と共に変化する。そのため、X偏光及びY偏光を同様に位相制御する必要がある。そこで、本実施の形態では、第2レンズ7とLCOS9との間に、一つの偏光のみをカバーするよう、X偏光の光路またはY偏光の光路のいずれかのみに1/2波長板8を配置し、第2レンズ7から出射されたX偏光とY偏光のどちらか一方の偏光のみを空間的に90度回転させることで偏光方向を同じとするようにした。ここでは、1/2波長板8にてX偏光をY偏光に変換して偏光方向をY軸方向に揃える場合を示しているが、Y偏光をX偏光に変換して偏光方向をX軸方向に揃えるようにしてもよい。1/2波長板8は、その複屈折軸が入射する偏光方向(ここではX軸方向)に対してπ/4+n×π/2(nは整数)となるように配置される。
【0033】
LCOS9は、その反射膜33が第2レンズ7の中心から距離F2の位置となるように配置される。但し、距離F2はセンチメートルオーダであり、LCOS9を構成する各膜33〜37(図3(a)参照)は数ミクロンオーダであるため、第2レンズ7側に位置するLCOS9の端面が、第2レンズ7の中心から距離F2の位置に配置されても実質的に問題は無い。LCOS9は、第2レンズ7で集光されたY偏光と、第2レンズ7で集光されたX偏光を1/2波長板8で変換して得られるY偏光とをセルごとに任意の角度で反射するためのもので、複数のセルからなり、セルごとに屈折率が可変に構成されている。図示しない制御回路によりLCOS9の屈折率分布を制御することで、セルごとに反射光の位相変化を与えることができる。
【0034】
図3(a)に示すように、LCOS9は、電子回路が形成されたSi基板31上に、電極(例えばITO)32、反射膜33、SiO2膜34、配向膜35、液晶層36、SiO2膜34、電極32、及び薄膜状のガラス基板37を順次積層して構成される。
【0035】
図3(b)に示すように、LCOS9は、縦横複数に配列されたセル38を備え、各セル38の屈折率を独立に制御可能である。具体的には、各セル38毎に電圧を印加することにより液晶層36の配向方向(複屈折率)を制御し、これによりLCOS9の上面で入反射する光ビームの位相を各セル38毎に変調させることができる。
【0036】
LCOS9の各セル38内に入射した光ビームを反射させるために必要な位相変化は最大で2π程度である。そのため、X軸方向に整列するセル38においては、光ビームに与える位相は2πを超えず、図3(c)に示すように、鋸歯状の電圧を印加して鋸歯状の屈折率分布を与える。またLCOS9に対しては、各セル38に印加する電圧をそれぞれ変えることによって、第1レンズ3及び第2レンズ7の収差による波面歪みを補正するような屈折率分布を与えることもできる。つまり、LCOS9では、X軸方向の鋸歯状の屈折率分布と収差補正のための屈折率分布を重畳した屈折率分布を与えることになる。
【0037】
LCOS9を反射した光は第2レンズ7を通過し、PDアレイ10と同一平面に像を結ぶ。このとき結像位置は波長毎に異なる。この屈折率分布をLCOS9へ付与することにより、これら像の結像位置をX軸方向にシフトすることができ、上記した鋸歯状の屈折率分布の周期を変えることでシフト量を制御できる。これにより、入射された光ビームのうち、所定の波長の光ビームをPDアレイ10に入射させることができる。なお、LCOS9は、ヒータあるいはペルチェ素子によって一定の温度となるように温度制御されることが望ましい。
【0038】
PDアレイ10は、第2レンズ7の偏光分離素子6と同じ側に配置され、その端面が第2レンズ7の中心から距離F2の位置となるように、第2レンズ7の下半分に臨ませて配置される。PDアレイ10には、LCOS9で選択された波長の光、すなわち、Y偏光に変換されたX偏光と、Y偏光の両者が入射する。これら2つの光は、干渉して干渉縞を形成するが、PDアレイ10では、この干渉縞を検出することになる。
【0039】
次に、光パフォーマンスモニタ1の動作を説明する。
【0040】
入力光ファイバ11より入力された種々の波長の光(波長多重化光信号、伝送状況の監視対象となる光)は、低分解能導波路型分光器2に入射すると、出射端28から、各波長毎に異なった方向に出射する(分光され出射する)。これら分光された光が第1レンズ3を通過すると、各波長の光は、互いにオフセットした並行ビームとして可変リターダ4に入射する。
【0041】
可変リターダ4に入射した各波長の光は、可変リターダ4にてリターダンスが調整され、X偏光とY偏光の光パワー比が1:1に調整されて出射される(なお、ここでいうX偏光、Y偏光とは、偏光分離素子6で分離される偏光をいう)。
【0042】
このとき、入力される光の光電界をEx,Eyとすると、偏光分離素子6を通過後のX偏光の光パワーPx、Y偏光の光パワーPyは、それぞれ下式(3),(4)
Px=(Ex2+Ey2−2ExEycosφ)/2 ・・・(3)
Py=(Ex2+Ey2+2ExEycosφ)/2 ・・・(4)
で与えられる。式(3),(4)におけるφは、可変リターダ4と入力光ファイバ11からの出力を合わせた位相差である。なお、Px+Py=Ex2+Ey2となり、式(3),(4)はエネルギー保存則を満たしている。
【0043】
式(3),(4)より、入力光ファイバ11から如何なる位相差を持った光が入射しても、可変リターダ4により位相差を0〜2πと変化させ、φ=±π/2とすることで、Px=Pyとすることが可能となる。
【0044】
偏光分離素子6に入射した各波長の光は、X偏光のグループとY偏光のグループに分離され、それぞれ、第2レンズ7の上半分に入射する。第2レンズ7を通過した2つの偏光グループ(X偏光のグループ及びY偏光のグループ)は、それぞれ平行ビームとなり、LCOS9に入射する。このとき、2つに分離した内の一方の偏光グループであるX偏光のグループは、LCOS9に入射する前に、1/2波長板8を通過し、偏光方向が空間的に90°回転してY偏光となり、それからLCOS9に入射することになる。
【0045】
このように、X偏光の偏光グループは1/2波長板8を通過し、Y偏光の偏光グループは1/2波長板8を通過せずLCOS9に入射する構成にした理由は、LCOS9が一つの偏光(ここではY偏光)のみに作用する(反射光の方向を制御する)ためである。LCOS9がX偏光のみに作用する場合はY偏光のみが1/2波長板8を通過するように構成するとよい。
【0046】
LCOS9に入射した各波長の光は、LCOS9上で、X偏光(変換後のY偏光)、Y偏光毎に1つの像として集光する(図1(a)ではグループAとグループBとして示している)。このLCOS9上の像は、低分解能導波路型分光器2の端面での像を、ある倍率で変換した像となる。これは、ビーム像が2つのレンズ、すなわち第1レンズ3と第2レンズ7による2回のフーリエ変換の関係の結果だからである。このときの倍率Bは、第1レンズ3と第2レンズ7の焦点距離F1,F2の比率によって決定され、B=F2/F1で与えられる。
【0047】
LCOS9で反射された光は、第2レンズ7の下半分に入射し、対向する焦点面(F2の位置)に配置されたPDアレイ10で受光される。この焦点面では、LCOS9上の光分布はそのフーリエ像に変換される。このため、LCOS9にて波長毎に異なった角度で反射した各波長の光はX軸方向に分光され、またLCOS9で楕円であった光分布は、偏平の方向が90°変化した像となる。さらに、この焦点面では、LCOS9上の2つのグループA,Bの光は、第2レンズ7によりある角度を持って各波長毎に入射し結像するため、干渉縞が形成されることになる。
【0048】
本実施の形態では、可変リターダ4により、X偏光とY偏光のパワー比を1:1としており、2つのグループA,Bの光パワーは同じとなっているので、焦点面に形成される干渉縞の可干渉度(ビジビリティー)は最大となる。
【0049】
第2レンズ7の焦点面に配置されたPDアレイ10は、分光された各波長の干渉縞を検出する。このとき、PDアレイ10で検出される干渉縞の一例を図4に示す。
【0050】
図4における縦軸はPDアレイ10の各PDでの出力電流値であり、横軸はPDアレイ10の各PDの番号である。このように、PDアレイ10の各PDの出力から、干渉縞(図示実線)を検出することができる。なお、図4における破線は、可変リターダ4に印加する電圧が適当でなく、最大のビジビリティーが得られない場合に検出される干渉縞を表している。
【0051】
図4に実線で示した干渉縞(ビジビリティーが最大の干渉縞)におけるバックグランドレベルを電圧換算するとノイズ成分VBが得られ、PDアレイ10の電流振幅を電圧換算すると信号成分VAが得られる。これら信号成分VAとノイズ成分VBの比から、OSNRを求めることができる。また、信号成分VAとノイズ成分VBを足し合わせると、光パワーを求めることができる。
【0052】
LCOS9に印加する電圧分布を変化させてPDアレイ10に入射する光の波長を変化させる(スイープする)ことで、PDアレイ10にて各波長毎の光パワー、OSNRを求め、伝送している波長信号を検出することが可能となる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態に係る光パフォーマンスモニタ1では、低分解能導波路型分光器2で分光した各波長の光を可変リターダ4に入射し、可変リターダ4にてX偏光とY偏光の位相差を調整した後、偏光分離素子6にてX偏光とY偏光に分離し、分離した一方の偏光であるX偏光を1/2波長板8でY偏光に変換して、偏光方向をY軸方向に揃えてLCOS9に入射し、LCOS9で反射された両偏光を干渉させて、その干渉縞をPDアレイ10にて測定するようにしている。
【0054】
入力光ファイバ11を伝送してきた光(伝送状況の監視対象となる光)は、時々刻々と偏光状態が変化するが、光パフォーマンスモニタ1によれば、1/2波長板8を用いて偏光方向を揃えることで、入力された光の偏光状態に拘わらず、LCOS9にて反射方向(位相)を制御することが可能となり、また、可変リターダ4により位相差を調整してX偏光とY偏光の光パワー比を1:1に調整することで、入力された光の偏光状態に拘わらず、PDアレイ10で検出する干渉縞のビジビリティーを常に最大とすることが可能となる。よって、LCOS9を用いて各波長の光をスイープすることにより、PDアレイ10で検出した干渉縞から各波長毎の光パワーとOSNRを同時に検出し、伝送されている光信号波長を検出することが可能となる。このように、光パフォーマンスモニタ1によれば、伝送されている光信号波長、各光信号の光パワー、およびOSNRを常時測定することが可能となる。
【0055】
さらに、本光パフォーマンスモニタ1では、求めたい波長そのもののOSNRを直接測定できるものであり、従来の光パフォーマンスモニタで行われていた補間的な推定法ではないため、従来の欠点であった、隣接した光波長信号のテール(裾野)の影響は受けず、極めて精度の高い測定が可能となる。
【0056】
また、光パフォーマンスモニタ1によれば、分光された光をX偏光とY偏光に分離し、X偏光をY偏光に変換した後に、両偏光を干渉させるという簡易な構成で、OSNRを常時検出することが可能となる。よって、低価格、小型、高性能な光パフォーマンスモニタ1を実現でき、今後の光システム、光ネットワークを大幅にレベルアップできる。
【0057】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。
【0058】
図5,6に示す光パフォーマンスモニタ51は、伝送されている光波長、各光信号の光パワー、OSNRに加えて、チャネルにどのような変調信号が伝送されているかを示すチャネル識別子(Channel identification)を検出可能としたものである。
【0059】
光パフォーマンスモニタ51は、図1の光パフォーマンスモニタ1に加え、さらに、反射ミラー52と、波形モニタ用導波路型分光器としての高分解能導波路型分光器53と、波形モニタ用受光素子アレイとしての第2PDアレイ54と、を備えたものである。
【0060】
反射ミラー52は、PDアレイ10に干渉しないように、PDアレイ10と並列にX軸方向に並べて配置され、その表面が第2レンズ7から距離F2の位置となるように配置される。この反射ミラー52は、LCOS9で反射され第2レンズ7で集光された光(Y偏光に変換されたX偏光と、Y偏光)を反射し、再び第2レンズ7に入射するためのものである。
【0061】
高分解能導波路型分光器53は、低分解能導波路型分光器2の上方に並行して(両導波路型分光器2,53の端面が揃うように)配置され、その入射端55が第1レンズ3の中心から距離F1の位置となるように配置される。図5,6では、図の簡略化のため、低分解能導波路型分光器2と高分解能導波路型分光器53とを離して描いているが、両導波路型分光器2,53は、近接して積層して配置される。なお、ここでは高分解能導波路型分光器53を低分解能導波路型分光器2の上方に配置する場合を説明するが、低分解能導波路型分光器2の下方に配置してもよい。
【0062】
図7に示すように、高分解能導波路型分光器53は、反射ミラー52で反射された光が入射される複数の一定長ΔL’ずつ長さが順次異なった導波路71からなるアレイ導波路72と、アレイ導波路72に接続された厚さ方向(図示紙面方向)のみに閉じ込め構造のあるスラブ導波路73と、そのスラブ導波路73に接続された複数の出力導波路74とを有する。
【0063】
高分解能導波路型分光器53のアレイ導波路72における導波路71の長さの差ΔL’は、低分解能導波路型分光器2における導波路26の長さの差ΔLと比較して、数倍から数十倍の大きさとされる。また、高分解能導波路型分光器53の出力導波路74は、数十〜数百本とされる(図7では、簡略化して示してある)。例えば、高分解能導波路型分光器53として、フリースペクトラルレンジ(FSR)が100GHz程度のものを用いる。
【0064】
第2PDアレイ54は、高分解能導波路型分光器53の複数の出力導波路74に対応するように受光素子(PD)54aを配置してなる。これにより、各出力導波路74より出射された光は、対応する第2PDアレイ54のPD54aでそれぞれ受光されることになる。
【0065】
光パフォーマンスモニタ51の動作を説明する。
【0066】
図5(a)に示すように、入力光ファイバ11から入力された光は、低分解能導波路型分光器2で分光され、第1レンズ3、可変リターダ4を順次通過し、偏光分離素子6でX偏光とY偏光に分離され、第2レンズ7を通ってLCOS9に入射する。このとき、X偏光のみが1/2波長板8を通過し、Y偏光に変換されてLCOS9に入射する。LCOS9に入射した両偏光は、LCOS9にて波長ごとに反射方向が制御されて、第2レンズ7を通ってPDアレイ10とミラー52に入射する。PDアレイ10では、入射したある波長の光の干渉縞が検出され、その波長における光パワーとOSNRが検出される。なお、可変リターダ4は第1レンズ3と導波路型分光器2の間(図5中の5の位置)に配置されていても良い。
【0067】
他方、図5(b)に示すように、反射ミラー52に入射したある波長の光は、反射ミラー52にて反射され、再び第2レンズ7を通り、LCOS9に入射する。LCOS9に入射した一方の偏光(Y偏光に変換されたX偏光)は、LCOS9にて反射され、1/2波長板8で再びX偏光に変換され、第2レンズ7を経て偏光分離素子6に入射する。また、LCOS9に入射した他方の偏光(Y偏光)は、LCOS9にて反射され、1/2波長板8を通らずに、第2レンズ7を経て偏光分離素子6に入射する。両偏光は、偏光分離素子6にて合成され、可変リターダ4、第1レンズ3を通って、高分解能導波路型分光器53の入射端55に入射する。すなわち、反射ミラー52で反射された光は、入射してきた光路を逆行して、高分解能導波路型分光器53に入射する。反射ミラー52の角度を適宜調整することで、反射ミラー52で反射した光を、高分解能導波路型分光器53に入射させることが可能である。
【0068】
高分解能導波路型分光器53は、入力された光をさらに高分解能で波長ごとに分光し、分光された各波長の光を各出力導波路74から出射する。高分解能導波路型分光器53の各出力導波路74から出射された光は、第2PDアレイ54の対応するPD54aにてそれぞれ受光され、各PD54aの出力を基に、信号スペクトルの微細構造(変調によるスペクトル広がりの微細な構造)を検出する。
【0069】
ここで、図8に、各変調方式における信号スペクトルの微細構造を示す。図8では、NRZ(Non Return Zero)、デュオバイナリ(Duobinary)、CS−RZ(Carrier Suppressed Return to Zero)、RZ−DPSK(Return to Zero Differential Phase Shift Keying)、RZ−DQPSK(Return to Zero Differential Quadrature Phase Shift Keying)の各変調方式における信号スペクトルの微細構造をそれぞれ示している。
【0070】
図8に示すように、変調方式により、スペクトルの広がり、すなわち信号スペクトルの微細構造が異なるので、第2PDアレイ54で検出した信号スペクトルの微細構造から、変調方式、すなわちチャネル識別子(Channel identification)を検出することが可能となる。
【0071】
LCOS9に印加する電圧分布を変化させて反射ミラー52に入射する光の波長を変化させる(スイープする)ことで、各波長(各チャネル)における信号スペクトルの微細構造を検出し、チャネル識別子を検出することが可能となる。
【0072】
以上説明したように、光パフォーマンスモニタ51によれば、伝送されている光波長、各光信号の光パワー、ノイズパワー、OSNRに加えて、チャネル識別子(Channel identification)を検出することが可能となる。
【0073】
従来、信号スペクトルの微細構造を検出するためには、高速受信器を用いて光信号を電気信号に変換し、その電気信号をフーリエ変換するなど、極めて高価な装置を用いる必要があり、チャネル識別子を検出する機能を光パフォーマンスモニタに搭載することが困難であったが、本発明によれば、チャネル識別子を検出する機能を有する光パフォーマンスモニタ52を安価に実現することができる。
【0074】
次に、本発明の光パフォーマンスモニタ1,51の使用方法を示す。図9に示すように、光パフォーマンスモニタ1,51は、メトロコア501の各ノード502において使用され、通常の光信号の分岐・挿入(光Add/Drop)システムのほか光クロスコネクトシステムへの応用も可能である。なお、従来の光パフォーマンスモニタは幹線系あるいはメトロコアのような比較的大規模システムに用いられているが、本発明により大幅なコスト低減が可能になると、メトロエッジ、アクセス系への広範囲なシステムへの導入が可能になり、光ネットワークの革新的な発展につながる。
【0075】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0076】
例えば、上記実施の形態では言及しなかったが、低分解能導波路型分光器2は、温度により分波特性が変化するので、この温度特性による分波特性の変化を、LCOS9にて補正するようにしてもよい。この場合、光パフォーマンスモニタ1,51内にモニタ用の温度センサを配置し、その温度センサで検出した温度と、予め測定し電子回路のメモリ等に書き込んだ温度毎の低分解能導波路型分光器2の分波特性とを基に、付加的な位相分布をLCOS9に持たせることにより、温度変化による低分解能導波路型分光器2の分波波長ずれを補正するようにすればよい。
【符号の説明】
【0077】
1 光パフォーマンスモニタ
2 低分解能導波路型分光器(導波路型分光器)
3 第1レンズ
4 可変リターダ
6 偏光分離素子
7 第2レンズ
8 1/2波長板
9 LCOS(光位相変調器)
10 PDアレイ(受光素子アレイ)
28 出射端
52 反射ミラー
53 高分解能導波路型分光器(波形モニタ用導波路型分光器)
54 第2PDアレイ(波形モニタ用受光素子アレイ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長多重通信方式の光ネットワークにおいて光信号の伝送状況を監視する導波路型の光パフォーマンスモニタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
波長多重通信(Wavelength Division Multiplexing;WDM)方式は、1本の光ファイバに、近接した波長の光信号を多重化する方式であり、爆発的なインターネットの普及を支え情報を大容量化する手段として広く普及している。
【0003】
一方、WDM方式を基盤とする光ネットワークでは、光を分岐・挿入(光Add/Drop)することで、ある波長信号(波長チャネル)を用いて各ノード間にコネクションを張り、そのコネクションの状態をネットワークの使用状況に応じて時間的に変更するROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexing;再構築可能な光分岐・挿入多重化)の導入が進められている。今後は、光のままでクロスコネクトする光クロスコネクト(Optical Cross-connect;OXC)方式も導入される機運にある。
【0004】
これらを実現するためには、光ネットワークの各ノードでは、波長選択スイッチ(Wavelength Selectable Switch;WSS)や上述のOXCの装置の他、波長信号(波長チャネル)の伝送状況を監視し、常に正常に光ネットワークが動作しているかを管理する光パフォーマンスモニタが不可欠である。
【0005】
光パフォーマンスモニタには、下記の(1)〜(3)の項目を測定・監視し、それをネットワーク管理層の装置に報告することが要求される。
(1)伝送されている光信号波長
(2)各光信号の光パワー
(3)光信号対雑音比(Optical Signal to Noise Ratio;以下、OSNRという)
【0006】
また、光パフォーマンスモニタでは、上記の(1)〜(3)の項目を高速に測定し、光ネットワークでその情報を共有し、伝送トラブルに対処する必要がある。
【0007】
図10に、従来の光パフォーマンスモニタの一例を示す。
【0008】
図10に示す光パフォーマンスモニタ101では、光ファイバ102から出射した光は、分光機能を持つ回折格子103で分光された後、レンズ104により集光され、MEMS(Micro-Electro-Machining System)ミラー105に入射する。MEMSミラー105に入射した光は、波長毎にそれぞれの角度で反射され、任意の波長の光が受光器106に入射し、受光器106にてその波長の光パワーが測定される。
【0009】
MEMSミラー105は、印加する電圧で図示θ、φ方向に回転できるようになっており、任意の波長の光の反射角度を変化させて受光器106に入射させることで、それぞれの波長の光パワーを測定できる。
【0010】
図11(a)に、従来の光パフォーマンスモニタ101で測定した波長スペクトルの一例を示す。図11(a)の波長スペクトルを得ることにより、伝送されている信号波長と伝送されていない信号波長を確認でき、伝送されている信号波長の光パワーを監視することができる。また、OSNRは、下式(1),(2)より近似的に求めることができる。
OSNR=10×log(Pi/Ni) ・・・(1)
但し、Pi:信号パワー(W)
Ni:ノイズパワー(W)
Ni={N(λi−Δλ)+N(λi+Δλ)}/2 ・・・(2)
【0011】
なお、式(2)におけるN(λi−Δλ)とN(λi+Δλ)は、図11(b)に示すように、OSNRを測定する光信号の波長λiの前後の光パワーの極小値を表している。式(2)では、これらN(λi−Δλ)とN(λi+Δλ)の平均をとることで、波長λiにおけるノイズパワーNiを推定している。つまり、この方法は、各信号波長の間の光ノイズを補間し、波長λiの光ノイズNiを推定する方法である。
【0012】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−107377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図10の従来の光パフォーマンスモニタ101では、隣り合う信号波長のパワーレベルが大きく違う場合や波長間隔が狭い場合、隣接した大きなパワーを持つ信号波長のテール(裾野)の影響を受け、ノイズパワーNiが精度良く測定できない問題がある。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、伝送されている光信号波長、各光信号の光パワー、ノイズパワー、およびOSNRを精度良く測定することが可能な光パフォーマンスモニタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、伝送状況の監視対象となる光が入射される入力導波路と、その入力導波路に接続されたスラブ導波路と、そのスラブ導波路に接続された複数の導波路からなるアレイ導波路とを有し、前記入力導波路に入射された光を前記アレイ導波路の出射端から分光して出射する導波路型分光器と、前記導波路型分光器の前記出射端から距離F1の位置に配置され前記出射端から出射された光を集光する焦点距離がF1である第1レンズと、前記第1レンズから距離F1の位置に配置され、前記導波路型分光器の前記出射端から出射され前記第1レンズを透過してきた光を互いに直交するX偏光とY偏光に分離して出射する偏光分離素子と、前記導波路型分光器と前記偏光分離素子との間に設けられ、その一方の複屈折軸方向の偏光成分とそれに直交する他方の偏光成分との位相差を調整することで前記X偏光とY偏光の光パワー比を調節する可変リターダと、前記偏光分離素子から距離F2の位置に前記偏光分離素子に臨むよう配置され前記X偏光とY偏光をそれぞれ集光する焦点距離がF2である第2レンズと、前記第2レンズから出射されたX偏光とY偏光のどちらか一方の偏光のみを空間的に90度回転させることで偏光方向を同じにする1/2波長板と、前記第2レンズから距離F2の位置に配置されると共に、前記第2レンズから出射されて前記1/2波長板を介して出射された前記一方の偏光と前記第2レンズから出射された他方の偏光とを前記第2レンズに反射する反射型の光位相変調器と、前記第2レンズから前記偏光分離素子と同じ側で距離F2の位置に前記第2レンズに臨ませて配置され、前記光位相変調器で反射され前記第2レンズで集光された前記一方の偏光と前記他方の偏光の干渉縞を検出する受光素子アレイと、を備えた光パフォーマンスモニタである。
【0017】
前記受光素子アレイと並列に設けられ、前記光位相変調器で反射され前記第2レンズで集光された前記一方の偏光と前記他方の偏光を反射し、再び前記第2レンズに入射する反射ミラーと、前記反射ミラーで反射され、前記第2レンズ、前記光位相変調器、前記1/2波長板、前記第2レンズを経た前記一方の偏光と、前記反射ミラーで反射され、前記第2レンズ、前記光位相変調器、前記第2レンズを経た前記他方の偏光とが前記偏光分離素子にて合成され、かつ、前記可変リターダ、前記第1レンズを経た光が入射される複数の導波路からなるアレイ導波路と、そのアレイ導波路に接続されたスラブ導波路と、そのスラブ導波路に接続された複数の出力導波路と、を有する波形モニタ用導波路型分光器と、前記波形モニタ用導波路型分光器の前記複数の出力導波路に対応するように受光素子が配置された波形モニタ用受光素子アレイと、をさらに備えてもよい。
【0018】
前記可変リターダは、前記X偏光とY偏光の光パワー比が1:1となるように、可変リターダの一方の複屈折軸方向の偏光成分とそれに直交する他方の偏光成分との位相差を調整するようにされてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、伝送されている光信号波長、各光信号の光パワー、およびOSNRを精度良く測定することが可能な光パフォーマンスモニタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は、本発明の一実施の形態に係る光パフォーマンスモニタの概略構成図であり、(b)はその側面図である。
【図2】図1の光パフォーマンスモニタに用いる低分解能導波路型分光器の平面図である。
【図3】(a)は、図1の光パフォーマンスモニタに用いるLCOSの断面図、(b)はその正面図、(c)はX軸方向に配列したセルにおける屈折率分布の一例を示す図である。
【図4】図1の光パフォーマンスモニタのPDアレイで検出する干渉縞の一例を示す図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る光パフォーマンスモニタの概略構成図であり、(a)は低分解能導波路型分光器からPDアレイと反射ミラーに至る光路を、(b)は反射ミラーから第2PDアレイに至る光路を示す図である。
【図6】図5の光パフォーマンスモニタの側面図である。
【図7】図5の光パフォーマンスモニタに用いる高分解能導波路型分光器の平面図である。
【図8】各変調方式における信号スペクトルの微細構造を示す図である。
【図9】本発明の光パフォーマンスモニタを利用した通信システムの構成図である。
【図10】従来の光パフォーマンスモニタの概略構成図である。
【図11】(a),(b)は、図10の従来の光パフォーマンスモニタにおける伝送されている光信号波長、各光信号の光パワー、およびOSNRの測定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0022】
図1(a)は、本実施の形態に係る光パフォーマンスモニタの概略構成図であり、図1(b)はその側面図である。
【0023】
図1(a),(b)に示すように、光パフォーマンスモニタ1は、導波路型分光器としての低分解能導波路型分光器2と、第1レンズ3と、可変リターダ4と、偏光分離素子6と、第2レンズ7と、1/2波長板8と、光位相変調器としてのLCOS(Liquid Crystal On Silicon)9と、受光素子アレイとしてのPD(Photo Diode)アレイ10と、を備えている。可変リターダ4は第1レンズ3と導波路型分光器2の間(図1中の5の位置)に配置されていても良い。また、例えば、低分解能導波路型分光器2として、フリースペクトラルレンジ(FSR)が10THz程度のものを用いる。
【0024】
低分解能導波路型分光器2は、1つ以上の入力ポート(図示せず)を有し、このうち1本の入力ポートに、伝送状況の監視対象となる光を入射する入力光ファイバ11が接続される。
【0025】
図2に示すように、低分解能導波路型分光器2は、平らな基板(図示せず)上に、屈折率の高いコア21がそれよりも屈折率の低いクラッド22に埋め込まれた構造の導波路型分光回路23を積層して形成されている。導波路型分光回路23は、入力光ファイバ11から光が入射される1本以上の入力導波路24と、その入力導波路24に接続された厚さ方向(図示紙面方向)のみに閉じ込め構造のあるスラブ導波路25と、そのスラブ導波路25に接続された複数の一定長ΔLずつ長さが順次異なった導波路26からなるアレイ導波路27とを有する。アレイ導波路27の出射端28から出射される光の方向は波長毎に異なるので、入力導波路24に入力された光は、アレイ導波路27の出射端から分光(図1(a)のX軸方向に分光)して出射されることになる。出射される光の方向(角度)はアレイ導波路27の導波路26の長さの差ΔLに依存し、ΔLを大きくすると、僅かに異なった波長でも、大きな角度で分光することができる。
【0026】
図1に戻り、第1レンズ3は、その中心が低分解能導波路型分光器2の出射端28から距離F1の位置となるように配置される。第1レンズ3の焦点距離は、両側ともF1である。第1レンズ3は、低分解能導波路型分光器2の出射端28から出射された光を集光するもので、図示X軸方向及びY軸方向にコリメートする機能を有する。第1レンズ3としては、球面レンズ、円筒レンズなどを用いることができる。
【0027】
偏光分離素子6は、その一方の端面が第1レンズ3の中心から距離F1の位置となるように配置される。偏光分離素子6は、ウォラストンプリズムからなり、導波路型分光器2の出射端28から出射され第1レンズ3を透過してきた光を互いに直交するX偏光とY偏光に分離(図示Y軸方向に分離)して出射するものである。
【0028】
導波路型分光器2と偏光分離素子6との間には、その複屈折軸が導波路型分光器2の複屈折軸に対してπ/4+m×π/2(mは整数)の角度で傾けて配置され、その一方の複屈折軸方向の偏光成分とそれに直交する他方の偏光成分との位相差を調整することで偏光分離素子6で分離されるX偏光とY偏光の光パワー比を調節する可変リターダ4が配置される。可変リターダ4としては、例えば、液晶パネルを使用し、液晶パネルに印加する電圧を制御することで、任意のリターダンス(位相差)を発生させる液晶可変リターダ(LVR)を用いることができる。可変リターダ4では、例えば、5V程度の電圧を印加することで、2π程度のリターダンス(位相差)を得ることができる。詳細は後述するが、PDアレイ10で検出する干渉縞の可干渉度(ビジビリティー)を最大とするために、可変リターダ4は、X偏光とY偏光の光パワー比が1:1となるように、リターダンスを調整するようにされる。
【0029】
一般に、光ファイバの偏光状態は、時間的に変化する。このため、光ファイバが接続された低分解能導波路型分光器2の出射端28から出射された光も偏光状態が変化することになる。この時間的な変化は、通常の状態であれば、比較的ゆっくり(数秒オーダの周期で)変化する。このため、ここでは可変リターダ4を用いて通過光のリターダンスを時間的にミリ秒オーダーで高速に変化させることで、光ファイバ11から入射されるいかなる偏光状態の光であっても偏光分離素子6に入射されるX偏光とY偏光の振幅比(パワーは振幅の2乗)を1:1にすることができる。実際は、上記したように、PDアレイ10で検出する干渉縞の可干渉度(ビジビリティー)が最大となるときが、X偏光とY偏光の振幅比(パワーは振幅の2乗)が1:1になることが解析的に示される。
【0030】
以上の方法により、可変リターダ4により光パワー比が調整された互いに直交する偏光が、偏光分離素子6にてX偏光、Y偏光として分離されることになる。
【0031】
第2レンズ7は、その中心が偏光分離素子6の中心から距離F2の位置となるように、かつ、第2レンズ7の上半分が偏光分離素子6に臨むように配置される。第2レンズ7の焦点距離は、両側ともF2である。第2レンズ7は、X偏光とY偏光をそれぞれ集光するもので、図示X軸方向及びY軸方向にコリメートする機能を有する。第2レンズ7としては、球面レンズ、円筒レンズなどを用いることができる。
【0032】
光位相変調器として用いるLCOS9は、一軸方向に振動する偏光成分に対してのみしか屈折率を変化させることができない、すなわち単一の偏光の位相のみしか変化させることができない。しかし、一般に光は、X偏光とY偏光の成分を有しており、またそれらの比率は時間と共に変化する。そのため、X偏光及びY偏光を同様に位相制御する必要がある。そこで、本実施の形態では、第2レンズ7とLCOS9との間に、一つの偏光のみをカバーするよう、X偏光の光路またはY偏光の光路のいずれかのみに1/2波長板8を配置し、第2レンズ7から出射されたX偏光とY偏光のどちらか一方の偏光のみを空間的に90度回転させることで偏光方向を同じとするようにした。ここでは、1/2波長板8にてX偏光をY偏光に変換して偏光方向をY軸方向に揃える場合を示しているが、Y偏光をX偏光に変換して偏光方向をX軸方向に揃えるようにしてもよい。1/2波長板8は、その複屈折軸が入射する偏光方向(ここではX軸方向)に対してπ/4+n×π/2(nは整数)となるように配置される。
【0033】
LCOS9は、その反射膜33が第2レンズ7の中心から距離F2の位置となるように配置される。但し、距離F2はセンチメートルオーダであり、LCOS9を構成する各膜33〜37(図3(a)参照)は数ミクロンオーダであるため、第2レンズ7側に位置するLCOS9の端面が、第2レンズ7の中心から距離F2の位置に配置されても実質的に問題は無い。LCOS9は、第2レンズ7で集光されたY偏光と、第2レンズ7で集光されたX偏光を1/2波長板8で変換して得られるY偏光とをセルごとに任意の角度で反射するためのもので、複数のセルからなり、セルごとに屈折率が可変に構成されている。図示しない制御回路によりLCOS9の屈折率分布を制御することで、セルごとに反射光の位相変化を与えることができる。
【0034】
図3(a)に示すように、LCOS9は、電子回路が形成されたSi基板31上に、電極(例えばITO)32、反射膜33、SiO2膜34、配向膜35、液晶層36、SiO2膜34、電極32、及び薄膜状のガラス基板37を順次積層して構成される。
【0035】
図3(b)に示すように、LCOS9は、縦横複数に配列されたセル38を備え、各セル38の屈折率を独立に制御可能である。具体的には、各セル38毎に電圧を印加することにより液晶層36の配向方向(複屈折率)を制御し、これによりLCOS9の上面で入反射する光ビームの位相を各セル38毎に変調させることができる。
【0036】
LCOS9の各セル38内に入射した光ビームを反射させるために必要な位相変化は最大で2π程度である。そのため、X軸方向に整列するセル38においては、光ビームに与える位相は2πを超えず、図3(c)に示すように、鋸歯状の電圧を印加して鋸歯状の屈折率分布を与える。またLCOS9に対しては、各セル38に印加する電圧をそれぞれ変えることによって、第1レンズ3及び第2レンズ7の収差による波面歪みを補正するような屈折率分布を与えることもできる。つまり、LCOS9では、X軸方向の鋸歯状の屈折率分布と収差補正のための屈折率分布を重畳した屈折率分布を与えることになる。
【0037】
LCOS9を反射した光は第2レンズ7を通過し、PDアレイ10と同一平面に像を結ぶ。このとき結像位置は波長毎に異なる。この屈折率分布をLCOS9へ付与することにより、これら像の結像位置をX軸方向にシフトすることができ、上記した鋸歯状の屈折率分布の周期を変えることでシフト量を制御できる。これにより、入射された光ビームのうち、所定の波長の光ビームをPDアレイ10に入射させることができる。なお、LCOS9は、ヒータあるいはペルチェ素子によって一定の温度となるように温度制御されることが望ましい。
【0038】
PDアレイ10は、第2レンズ7の偏光分離素子6と同じ側に配置され、その端面が第2レンズ7の中心から距離F2の位置となるように、第2レンズ7の下半分に臨ませて配置される。PDアレイ10には、LCOS9で選択された波長の光、すなわち、Y偏光に変換されたX偏光と、Y偏光の両者が入射する。これら2つの光は、干渉して干渉縞を形成するが、PDアレイ10では、この干渉縞を検出することになる。
【0039】
次に、光パフォーマンスモニタ1の動作を説明する。
【0040】
入力光ファイバ11より入力された種々の波長の光(波長多重化光信号、伝送状況の監視対象となる光)は、低分解能導波路型分光器2に入射すると、出射端28から、各波長毎に異なった方向に出射する(分光され出射する)。これら分光された光が第1レンズ3を通過すると、各波長の光は、互いにオフセットした並行ビームとして可変リターダ4に入射する。
【0041】
可変リターダ4に入射した各波長の光は、可変リターダ4にてリターダンスが調整され、X偏光とY偏光の光パワー比が1:1に調整されて出射される(なお、ここでいうX偏光、Y偏光とは、偏光分離素子6で分離される偏光をいう)。
【0042】
このとき、入力される光の光電界をEx,Eyとすると、偏光分離素子6を通過後のX偏光の光パワーPx、Y偏光の光パワーPyは、それぞれ下式(3),(4)
Px=(Ex2+Ey2−2ExEycosφ)/2 ・・・(3)
Py=(Ex2+Ey2+2ExEycosφ)/2 ・・・(4)
で与えられる。式(3),(4)におけるφは、可変リターダ4と入力光ファイバ11からの出力を合わせた位相差である。なお、Px+Py=Ex2+Ey2となり、式(3),(4)はエネルギー保存則を満たしている。
【0043】
式(3),(4)より、入力光ファイバ11から如何なる位相差を持った光が入射しても、可変リターダ4により位相差を0〜2πと変化させ、φ=±π/2とすることで、Px=Pyとすることが可能となる。
【0044】
偏光分離素子6に入射した各波長の光は、X偏光のグループとY偏光のグループに分離され、それぞれ、第2レンズ7の上半分に入射する。第2レンズ7を通過した2つの偏光グループ(X偏光のグループ及びY偏光のグループ)は、それぞれ平行ビームとなり、LCOS9に入射する。このとき、2つに分離した内の一方の偏光グループであるX偏光のグループは、LCOS9に入射する前に、1/2波長板8を通過し、偏光方向が空間的に90°回転してY偏光となり、それからLCOS9に入射することになる。
【0045】
このように、X偏光の偏光グループは1/2波長板8を通過し、Y偏光の偏光グループは1/2波長板8を通過せずLCOS9に入射する構成にした理由は、LCOS9が一つの偏光(ここではY偏光)のみに作用する(反射光の方向を制御する)ためである。LCOS9がX偏光のみに作用する場合はY偏光のみが1/2波長板8を通過するように構成するとよい。
【0046】
LCOS9に入射した各波長の光は、LCOS9上で、X偏光(変換後のY偏光)、Y偏光毎に1つの像として集光する(図1(a)ではグループAとグループBとして示している)。このLCOS9上の像は、低分解能導波路型分光器2の端面での像を、ある倍率で変換した像となる。これは、ビーム像が2つのレンズ、すなわち第1レンズ3と第2レンズ7による2回のフーリエ変換の関係の結果だからである。このときの倍率Bは、第1レンズ3と第2レンズ7の焦点距離F1,F2の比率によって決定され、B=F2/F1で与えられる。
【0047】
LCOS9で反射された光は、第2レンズ7の下半分に入射し、対向する焦点面(F2の位置)に配置されたPDアレイ10で受光される。この焦点面では、LCOS9上の光分布はそのフーリエ像に変換される。このため、LCOS9にて波長毎に異なった角度で反射した各波長の光はX軸方向に分光され、またLCOS9で楕円であった光分布は、偏平の方向が90°変化した像となる。さらに、この焦点面では、LCOS9上の2つのグループA,Bの光は、第2レンズ7によりある角度を持って各波長毎に入射し結像するため、干渉縞が形成されることになる。
【0048】
本実施の形態では、可変リターダ4により、X偏光とY偏光のパワー比を1:1としており、2つのグループA,Bの光パワーは同じとなっているので、焦点面に形成される干渉縞の可干渉度(ビジビリティー)は最大となる。
【0049】
第2レンズ7の焦点面に配置されたPDアレイ10は、分光された各波長の干渉縞を検出する。このとき、PDアレイ10で検出される干渉縞の一例を図4に示す。
【0050】
図4における縦軸はPDアレイ10の各PDでの出力電流値であり、横軸はPDアレイ10の各PDの番号である。このように、PDアレイ10の各PDの出力から、干渉縞(図示実線)を検出することができる。なお、図4における破線は、可変リターダ4に印加する電圧が適当でなく、最大のビジビリティーが得られない場合に検出される干渉縞を表している。
【0051】
図4に実線で示した干渉縞(ビジビリティーが最大の干渉縞)におけるバックグランドレベルを電圧換算するとノイズ成分VBが得られ、PDアレイ10の電流振幅を電圧換算すると信号成分VAが得られる。これら信号成分VAとノイズ成分VBの比から、OSNRを求めることができる。また、信号成分VAとノイズ成分VBを足し合わせると、光パワーを求めることができる。
【0052】
LCOS9に印加する電圧分布を変化させてPDアレイ10に入射する光の波長を変化させる(スイープする)ことで、PDアレイ10にて各波長毎の光パワー、OSNRを求め、伝送している波長信号を検出することが可能となる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態に係る光パフォーマンスモニタ1では、低分解能導波路型分光器2で分光した各波長の光を可変リターダ4に入射し、可変リターダ4にてX偏光とY偏光の位相差を調整した後、偏光分離素子6にてX偏光とY偏光に分離し、分離した一方の偏光であるX偏光を1/2波長板8でY偏光に変換して、偏光方向をY軸方向に揃えてLCOS9に入射し、LCOS9で反射された両偏光を干渉させて、その干渉縞をPDアレイ10にて測定するようにしている。
【0054】
入力光ファイバ11を伝送してきた光(伝送状況の監視対象となる光)は、時々刻々と偏光状態が変化するが、光パフォーマンスモニタ1によれば、1/2波長板8を用いて偏光方向を揃えることで、入力された光の偏光状態に拘わらず、LCOS9にて反射方向(位相)を制御することが可能となり、また、可変リターダ4により位相差を調整してX偏光とY偏光の光パワー比を1:1に調整することで、入力された光の偏光状態に拘わらず、PDアレイ10で検出する干渉縞のビジビリティーを常に最大とすることが可能となる。よって、LCOS9を用いて各波長の光をスイープすることにより、PDアレイ10で検出した干渉縞から各波長毎の光パワーとOSNRを同時に検出し、伝送されている光信号波長を検出することが可能となる。このように、光パフォーマンスモニタ1によれば、伝送されている光信号波長、各光信号の光パワー、およびOSNRを常時測定することが可能となる。
【0055】
さらに、本光パフォーマンスモニタ1では、求めたい波長そのもののOSNRを直接測定できるものであり、従来の光パフォーマンスモニタで行われていた補間的な推定法ではないため、従来の欠点であった、隣接した光波長信号のテール(裾野)の影響は受けず、極めて精度の高い測定が可能となる。
【0056】
また、光パフォーマンスモニタ1によれば、分光された光をX偏光とY偏光に分離し、X偏光をY偏光に変換した後に、両偏光を干渉させるという簡易な構成で、OSNRを常時検出することが可能となる。よって、低価格、小型、高性能な光パフォーマンスモニタ1を実現でき、今後の光システム、光ネットワークを大幅にレベルアップできる。
【0057】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。
【0058】
図5,6に示す光パフォーマンスモニタ51は、伝送されている光波長、各光信号の光パワー、OSNRに加えて、チャネルにどのような変調信号が伝送されているかを示すチャネル識別子(Channel identification)を検出可能としたものである。
【0059】
光パフォーマンスモニタ51は、図1の光パフォーマンスモニタ1に加え、さらに、反射ミラー52と、波形モニタ用導波路型分光器としての高分解能導波路型分光器53と、波形モニタ用受光素子アレイとしての第2PDアレイ54と、を備えたものである。
【0060】
反射ミラー52は、PDアレイ10に干渉しないように、PDアレイ10と並列にX軸方向に並べて配置され、その表面が第2レンズ7から距離F2の位置となるように配置される。この反射ミラー52は、LCOS9で反射され第2レンズ7で集光された光(Y偏光に変換されたX偏光と、Y偏光)を反射し、再び第2レンズ7に入射するためのものである。
【0061】
高分解能導波路型分光器53は、低分解能導波路型分光器2の上方に並行して(両導波路型分光器2,53の端面が揃うように)配置され、その入射端55が第1レンズ3の中心から距離F1の位置となるように配置される。図5,6では、図の簡略化のため、低分解能導波路型分光器2と高分解能導波路型分光器53とを離して描いているが、両導波路型分光器2,53は、近接して積層して配置される。なお、ここでは高分解能導波路型分光器53を低分解能導波路型分光器2の上方に配置する場合を説明するが、低分解能導波路型分光器2の下方に配置してもよい。
【0062】
図7に示すように、高分解能導波路型分光器53は、反射ミラー52で反射された光が入射される複数の一定長ΔL’ずつ長さが順次異なった導波路71からなるアレイ導波路72と、アレイ導波路72に接続された厚さ方向(図示紙面方向)のみに閉じ込め構造のあるスラブ導波路73と、そのスラブ導波路73に接続された複数の出力導波路74とを有する。
【0063】
高分解能導波路型分光器53のアレイ導波路72における導波路71の長さの差ΔL’は、低分解能導波路型分光器2における導波路26の長さの差ΔLと比較して、数倍から数十倍の大きさとされる。また、高分解能導波路型分光器53の出力導波路74は、数十〜数百本とされる(図7では、簡略化して示してある)。例えば、高分解能導波路型分光器53として、フリースペクトラルレンジ(FSR)が100GHz程度のものを用いる。
【0064】
第2PDアレイ54は、高分解能導波路型分光器53の複数の出力導波路74に対応するように受光素子(PD)54aを配置してなる。これにより、各出力導波路74より出射された光は、対応する第2PDアレイ54のPD54aでそれぞれ受光されることになる。
【0065】
光パフォーマンスモニタ51の動作を説明する。
【0066】
図5(a)に示すように、入力光ファイバ11から入力された光は、低分解能導波路型分光器2で分光され、第1レンズ3、可変リターダ4を順次通過し、偏光分離素子6でX偏光とY偏光に分離され、第2レンズ7を通ってLCOS9に入射する。このとき、X偏光のみが1/2波長板8を通過し、Y偏光に変換されてLCOS9に入射する。LCOS9に入射した両偏光は、LCOS9にて波長ごとに反射方向が制御されて、第2レンズ7を通ってPDアレイ10とミラー52に入射する。PDアレイ10では、入射したある波長の光の干渉縞が検出され、その波長における光パワーとOSNRが検出される。なお、可変リターダ4は第1レンズ3と導波路型分光器2の間(図5中の5の位置)に配置されていても良い。
【0067】
他方、図5(b)に示すように、反射ミラー52に入射したある波長の光は、反射ミラー52にて反射され、再び第2レンズ7を通り、LCOS9に入射する。LCOS9に入射した一方の偏光(Y偏光に変換されたX偏光)は、LCOS9にて反射され、1/2波長板8で再びX偏光に変換され、第2レンズ7を経て偏光分離素子6に入射する。また、LCOS9に入射した他方の偏光(Y偏光)は、LCOS9にて反射され、1/2波長板8を通らずに、第2レンズ7を経て偏光分離素子6に入射する。両偏光は、偏光分離素子6にて合成され、可変リターダ4、第1レンズ3を通って、高分解能導波路型分光器53の入射端55に入射する。すなわち、反射ミラー52で反射された光は、入射してきた光路を逆行して、高分解能導波路型分光器53に入射する。反射ミラー52の角度を適宜調整することで、反射ミラー52で反射した光を、高分解能導波路型分光器53に入射させることが可能である。
【0068】
高分解能導波路型分光器53は、入力された光をさらに高分解能で波長ごとに分光し、分光された各波長の光を各出力導波路74から出射する。高分解能導波路型分光器53の各出力導波路74から出射された光は、第2PDアレイ54の対応するPD54aにてそれぞれ受光され、各PD54aの出力を基に、信号スペクトルの微細構造(変調によるスペクトル広がりの微細な構造)を検出する。
【0069】
ここで、図8に、各変調方式における信号スペクトルの微細構造を示す。図8では、NRZ(Non Return Zero)、デュオバイナリ(Duobinary)、CS−RZ(Carrier Suppressed Return to Zero)、RZ−DPSK(Return to Zero Differential Phase Shift Keying)、RZ−DQPSK(Return to Zero Differential Quadrature Phase Shift Keying)の各変調方式における信号スペクトルの微細構造をそれぞれ示している。
【0070】
図8に示すように、変調方式により、スペクトルの広がり、すなわち信号スペクトルの微細構造が異なるので、第2PDアレイ54で検出した信号スペクトルの微細構造から、変調方式、すなわちチャネル識別子(Channel identification)を検出することが可能となる。
【0071】
LCOS9に印加する電圧分布を変化させて反射ミラー52に入射する光の波長を変化させる(スイープする)ことで、各波長(各チャネル)における信号スペクトルの微細構造を検出し、チャネル識別子を検出することが可能となる。
【0072】
以上説明したように、光パフォーマンスモニタ51によれば、伝送されている光波長、各光信号の光パワー、ノイズパワー、OSNRに加えて、チャネル識別子(Channel identification)を検出することが可能となる。
【0073】
従来、信号スペクトルの微細構造を検出するためには、高速受信器を用いて光信号を電気信号に変換し、その電気信号をフーリエ変換するなど、極めて高価な装置を用いる必要があり、チャネル識別子を検出する機能を光パフォーマンスモニタに搭載することが困難であったが、本発明によれば、チャネル識別子を検出する機能を有する光パフォーマンスモニタ52を安価に実現することができる。
【0074】
次に、本発明の光パフォーマンスモニタ1,51の使用方法を示す。図9に示すように、光パフォーマンスモニタ1,51は、メトロコア501の各ノード502において使用され、通常の光信号の分岐・挿入(光Add/Drop)システムのほか光クロスコネクトシステムへの応用も可能である。なお、従来の光パフォーマンスモニタは幹線系あるいはメトロコアのような比較的大規模システムに用いられているが、本発明により大幅なコスト低減が可能になると、メトロエッジ、アクセス系への広範囲なシステムへの導入が可能になり、光ネットワークの革新的な発展につながる。
【0075】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0076】
例えば、上記実施の形態では言及しなかったが、低分解能導波路型分光器2は、温度により分波特性が変化するので、この温度特性による分波特性の変化を、LCOS9にて補正するようにしてもよい。この場合、光パフォーマンスモニタ1,51内にモニタ用の温度センサを配置し、その温度センサで検出した温度と、予め測定し電子回路のメモリ等に書き込んだ温度毎の低分解能導波路型分光器2の分波特性とを基に、付加的な位相分布をLCOS9に持たせることにより、温度変化による低分解能導波路型分光器2の分波波長ずれを補正するようにすればよい。
【符号の説明】
【0077】
1 光パフォーマンスモニタ
2 低分解能導波路型分光器(導波路型分光器)
3 第1レンズ
4 可変リターダ
6 偏光分離素子
7 第2レンズ
8 1/2波長板
9 LCOS(光位相変調器)
10 PDアレイ(受光素子アレイ)
28 出射端
52 反射ミラー
53 高分解能導波路型分光器(波形モニタ用導波路型分光器)
54 第2PDアレイ(波形モニタ用受光素子アレイ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送状況の監視対象となる光が入射される入力導波路と、その入力導波路に接続されたスラブ導波路と、そのスラブ導波路に接続された複数の導波路からなるアレイ導波路とを有し、前記入力導波路に入射された光を前記アレイ導波路の出射端から分光して出射する導波路型分光器と、
前記導波路型分光器の前記出射端から距離F1の位置に配置され前記出射端から出射された光を集光する焦点距離がF1である第1レンズと、
前記第1レンズから距離F1の位置に配置され、前記導波路型分光器の前記出射端から出射され前記第1レンズを透過してきた光を互いに直交するX偏光とY偏光に分離して出射する偏光分離素子と、
前記導波路型分光器と前記偏光分離素子との間に設けられ、その一方の複屈折軸方向の偏光成分とそれに直交する他方の偏光成分との位相差を調整することで前記X偏光とY偏光の光パワー比を調節する可変リターダと、
前記偏光分離素子から距離F2の位置に前記偏光分離素子に臨むよう配置され前記X偏光とY偏光をそれぞれ集光する焦点距離がF2である第2レンズと、
前記第2レンズから出射されたX偏光とY偏光のどちらか一方の偏光のみを空間的に90度回転させることで偏光方向を同じにする1/2波長板と、
前記第2レンズから距離F2の位置に配置されると共に、前記第2レンズから出射されて前記1/2波長板を介して出射された前記一方の偏光と前記第2レンズから出射された他方の偏光とを前記第2レンズに反射する反射型の光位相変調器と、
前記第2レンズから前記偏光分離素子と同じ側で距離F2の位置に前記第2レンズに臨ませて配置され、前記光位相変調器で反射され前記第2レンズで集光された前記一方の偏光と前記他方の偏光の干渉縞を検出する受光素子アレイと、
を備えたことを特徴とする光パフォーマンスモニタ。
【請求項2】
前記受光素子アレイと並列に設けられ、前記光位相変調器で反射され前記第2レンズで集光された前記一方の偏光と前記他方の偏光を反射し、再び前記第2レンズに入射する反射ミラーと、
前記反射ミラーで反射され、前記第2レンズ、前記光位相変調器、前記1/2波長板、前記第2レンズを経た前記一方の偏光と、前記反射ミラーで反射され、前記第2レンズ、前記光位相変調器、前記第2レンズを経た前記他方の偏光とが前記偏光分離素子にて合成され、かつ、前記可変リターダ、前記第1レンズを経た光が入射される複数の導波路からなるアレイ導波路と、そのアレイ導波路に接続されたスラブ導波路と、そのスラブ導波路に接続された複数の出力導波路と、を有する波形モニタ用導波路型分光器と、
前記波形モニタ用導波路型分光器の前記複数の出力導波路に対応するように受光素子が配置された波形モニタ用受光素子アレイと、
をさらに備えた請求項1記載の光パフォーマンスモニタ。
【請求項3】
前記可変リターダは、前記X偏光とY偏光の光パワー比が1:1となるように、前記可変リターダの一方の複屈折軸方向の偏光成分とそれに直交する他方の偏光成分との位相差を調整するようにされる
請求項1または2記載の光パフォーマンスモニタ。
【請求項1】
伝送状況の監視対象となる光が入射される入力導波路と、その入力導波路に接続されたスラブ導波路と、そのスラブ導波路に接続された複数の導波路からなるアレイ導波路とを有し、前記入力導波路に入射された光を前記アレイ導波路の出射端から分光して出射する導波路型分光器と、
前記導波路型分光器の前記出射端から距離F1の位置に配置され前記出射端から出射された光を集光する焦点距離がF1である第1レンズと、
前記第1レンズから距離F1の位置に配置され、前記導波路型分光器の前記出射端から出射され前記第1レンズを透過してきた光を互いに直交するX偏光とY偏光に分離して出射する偏光分離素子と、
前記導波路型分光器と前記偏光分離素子との間に設けられ、その一方の複屈折軸方向の偏光成分とそれに直交する他方の偏光成分との位相差を調整することで前記X偏光とY偏光の光パワー比を調節する可変リターダと、
前記偏光分離素子から距離F2の位置に前記偏光分離素子に臨むよう配置され前記X偏光とY偏光をそれぞれ集光する焦点距離がF2である第2レンズと、
前記第2レンズから出射されたX偏光とY偏光のどちらか一方の偏光のみを空間的に90度回転させることで偏光方向を同じにする1/2波長板と、
前記第2レンズから距離F2の位置に配置されると共に、前記第2レンズから出射されて前記1/2波長板を介して出射された前記一方の偏光と前記第2レンズから出射された他方の偏光とを前記第2レンズに反射する反射型の光位相変調器と、
前記第2レンズから前記偏光分離素子と同じ側で距離F2の位置に前記第2レンズに臨ませて配置され、前記光位相変調器で反射され前記第2レンズで集光された前記一方の偏光と前記他方の偏光の干渉縞を検出する受光素子アレイと、
を備えたことを特徴とする光パフォーマンスモニタ。
【請求項2】
前記受光素子アレイと並列に設けられ、前記光位相変調器で反射され前記第2レンズで集光された前記一方の偏光と前記他方の偏光を反射し、再び前記第2レンズに入射する反射ミラーと、
前記反射ミラーで反射され、前記第2レンズ、前記光位相変調器、前記1/2波長板、前記第2レンズを経た前記一方の偏光と、前記反射ミラーで反射され、前記第2レンズ、前記光位相変調器、前記第2レンズを経た前記他方の偏光とが前記偏光分離素子にて合成され、かつ、前記可変リターダ、前記第1レンズを経た光が入射される複数の導波路からなるアレイ導波路と、そのアレイ導波路に接続されたスラブ導波路と、そのスラブ導波路に接続された複数の出力導波路と、を有する波形モニタ用導波路型分光器と、
前記波形モニタ用導波路型分光器の前記複数の出力導波路に対応するように受光素子が配置された波形モニタ用受光素子アレイと、
をさらに備えた請求項1記載の光パフォーマンスモニタ。
【請求項3】
前記可変リターダは、前記X偏光とY偏光の光パワー比が1:1となるように、前記可変リターダの一方の複屈折軸方向の偏光成分とそれに直交する他方の偏光成分との位相差を調整するようにされる
請求項1または2記載の光パフォーマンスモニタ。
【図4】
【図6】
【図7】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図8】
【図9】
【図11】
【図6】
【図7】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図8】
【図9】
【図11】
【公開番号】特開2012−220843(P2012−220843A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88526(P2011−88526)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】
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