説明

光ピックアップ装置

【課題】消費電力の増加と寿命の低下を防止できる光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】光ピックアップ装置1はピックアップベース2と対物レンズ11が取り付けられたアクチュエータ本体9とアクチュエータ本体9を移動自在にピックアップベース2に取り付けたアクチュエータ駆動部10とアクチュエータ本体9のピックアップベース2に対する移動範囲を規制する規制部6と規制部6を移動させるモータ4とを備えている。規制部6がディスク形記録媒体の種類に対応して設けられかつモータ4により移動されることでいずれか一つがアクチュエータ本体9の移動範囲を規制する複数のディスク移動規制部28a,28b,28cを備えている。ディスク移動規制部28a,28b,28cがそれぞれアクチュエータ本体9の移動範囲を対応するディスク形記録媒体に応じた適切な移動範囲とする厚みに形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク再生装置などに使用される光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク再生装置には、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu-ray Disc)などの複数の種類のディスク形記録媒体としての光ディスクに記録された情報を読み取るために、従来から種々の光ピックアップ装置(例えば、特許文献1参照)が用いられている。
【0003】
前述した特許文献1などに示された光ピックアップ装置は、前述したCDなどの光ディスクの径方向に移動自在に設けられたピックアップベースと、光ディスクに間隔をあけて相対した対物レンズが取り付けられたアクチュエータ本体と、アクチュエータ本体を光ディスクの径方向と厚み方向との双方に移動自在にピックアップベースに取り付けたアクチュエータ駆動部と、前述したCD、DVD、BDなどの複数種の光ディスクから情報を読み取るため光源からのレーザ光の収差を補正するために、当該レーザ光を通すコリメータレンズなどの光学部品を取り付けたレンズホルダを移動させる移動機構と、前記アクチュエータ本体の前記ピックアップベースに対する移動範囲を規制する規制部と、を備えている。
【0004】
ピックアップベースには、光ディスクの周方向に互いに間隔をあけかつ互いの間に前記アクチュエータ本体を位置付けたマグネットが取り付けられている。アクチュエータ本体には、前記マグネットと間隔をあけて相対したプリントコイルが取り付けられている。アクチュエータ駆動部は、銅合金などの弾性力を備えるとともに高い導電性の材料で構成された線状弾性部材を複数備えている。
【0005】
線状弾性部材は、一端部がアクチュエータ本体に取り付けられかつ他端部がピックアップベースに取り付けられている。線状弾性部材は、その長手方向が光ディスクの周方向に沿っている。線状弾性部材は、弾性変形自在であるので、ピックアップベースに対してアクチュエータ本体を変位自在に支持している。
【0006】
さらに、線状弾性部材は、前述した一端部がプリントコイルと電気的に接続されて、ピックアップベース側の他端部が外部からフォーカス制御やトラッキング制御のための電流が供給される。
【0007】
前述した構成の光ピックアップ装置は、プリントコイルに線状弾性部材を介して、フォーカス制御やトラッキング制御のための電流が供給されて、プリントコイルとマグネットとが互いに協働して、アクチュエータ本体即ち対物レンズを少なくとも光ディスクの厚み方向即ちフォーカス方向と光ディスクの径方向即ちトラッキング方向との双方に沿って移動させて、光ディスクの情報記録面の所望の位置にレーザ光を照射する。こうして、光ピックアップ装置は、当該光ディスクから情報を読み出す。
【0008】
一般的に、前述したCD、DVD、BDなどの光ディスクは、各々の情報記録側の表面から対物レンズまでの作動距離や、光ディスクの反り、振れに対する規格が異なることなどにより、図1に示した例のように、情報を読み取る際に必要とされる前記アクチュエータ本体の前記ピックアップベースに対するフォーカス方向の移動範囲Sa1,Sa2,Sa3が互いに異なる。なお、図1中の符号Sa1はCDから情報を読み取る際に必要とされるアクチュエータ本体の移動範囲を示し、符号Sa2はDVDから情報を読み取る際に必要とされるアクチュエータ本体の移動範囲を示し、符号Sa3はBDから情報を読み取る際に必要とされるアクチュエータ本体の移動範囲を示している。このため、前述した特許文献1などに記載された従来の光ピックアップ装置では、全ての種類の光ディスクからの情報を読み取ることを可能とするために、規制部によるアクチュエータ本体の移動範囲Saを、全ての種類の光ディスクに適切とされる移動範囲Sa1,Sa2,Sa3を含んだ単一の範囲としている。
【特許文献1】特開2005−122828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した光ピックアップ装置では、規制部によるアクチュエータ本体のピックアップベースに対する移動範囲を、全ての種類の光ディスクに適切とされる移動範囲を含んだ単一の範囲としているので、例えば、CD、DVD、BDのうち最もアクチュエータ本体の必要とされる移動範囲が狭いBDから情報を読み取る際には、当該必要とされる移動範囲を超えて、アクチュエータ本体がピックアップベースに対して移動してしまうので、極端に反りや振れが大きな規格外のBDに対しても、アクチュエータ本体が追従して移動してしまい、当該極端に反りや振れが大きな規格外のBDから情報を読み取ろうとしてしまう。
【0010】
このため、前述した従来の光ピックアップ装置では、線状弾性部材やプリントコイルに過大な電流が流れてしまい、アクチュエータ本体が過熱してしまう。このため、消費電力が増加するとともに、アクチュエータ本体の寿命が低下する傾向であった。
【0011】
したがって、本発明の目的は、例えば、消費電力の増加と寿命の低下を防止できる光ピックアップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、複数種類のディスク形記録媒体から情報を読み出し可能な光ピックアップ装置において、前記ディスク形記録媒体の径方向に移動自在に設けられたピックアップベースと、前記ディスク形記録媒体に間隔をあけて相対した対物レンズが取り付けられたアクチュエータ本体と、前記アクチュエータ本体を前記ディスク形記録媒体の少なくとも径方向と厚み方向とに移動自在に前記ピックアップベースに取り付けたアクチュエータ駆動部と、前記ディスク形記録媒体の種類毎に、前記アクチュエータ本体の前記厚み方向の前記ピックアップベースに対する移動範囲を異ならせて規制する規制部と、前記情報を読み出すディスク形記録媒体の種類を判別する判別手段と、前記判別されたディスク形記録媒体の種類に応じて前記移動範囲を規制すべく前記規制部を前記アクチュエータ本体に対して相対的に移動させる駆動手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態にかかる光ピックアップ装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる光ピックアップ装置は、アクチュエータ本体のピックアップベースに対する移動範囲を規制する規制部に、各ディスク形記録媒体の種類に応じて適切な移動範囲にアクチュエータ本体の移動範囲を規制させている。こうすることで、各種類のディスク形記録媒体から情報を読み取る際に必要とされる適切な移動範囲を超えて、アクチュエータ本体が移動することを防止でき、アクチュエータ駆動部に過大な電流が流れることなどを防止できる。したがって、光ピックアップ装置の消費電力の増加と寿命の低下を防止することができる。
【0014】
また、規制部の種別規制部が駆動手段による規制部の移動方向に沿って並べてられても良い。この場合、駆動手段によって規制部を移動することで、アクチュエータ本体の移動範囲を規制する種別規制部を切り換えることができる。したがって、アクチュエータ本体の移動範囲を容易に切り換えることができる。
【0015】
さらに、規制部が、光学部品が取り付けられて、ディスク形記録媒体の種類に応じて、駆動手段に移動される光学部品ホルダに設けられても良い。この場合、規制部を移動させるために専用に部品を設ける必要がなくなるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0016】
また、規制部が光学部品ホルダに設けられ、駆動手段が、規制部を移動させて判別されたディスク形記録媒体の種類に応じた位置に光学部品としてのコリメータレンズを位置付けるとともに、当該ディスク形記録媒体の種類に対応する種別規制部をアクチュエータ本体と接触可能な位置に位置付けても良い。この場合、光学部品を適切な位置に位置付けると、適切な種別規制部がアクチュエータ本体の移動範囲を規制するので、部品点数が増加することを確実に防止できる。
【実施例】
【0017】
本発明の一実施例にかかる光ピックアップ装置1を、図2ないし図7を参照して説明する。光ピックアップ装置1は、ディスク形記録媒体としてのCD、DVD、BDに記録された情報を読み取る装置である。即ち、光ピックアップ装置1は、複数種類のディスク形記録媒体から情報を読み出し可能な装置である。光ピックアップ装置1は、前述したCD、DVD、BDに記録された情報を読み取る情報処理装置としての光ディスク再生装置などに用いられ、前述したディスク形記録媒体に記録された情報を読み取るために、当該ディスク形記録媒体の反りや振れに対して、ディスク形記録媒体の情報記録面と後述する対物レンズ11との距離を制御するフォーカス制御と、ディスク形記録媒体のトラックの偏心に対して対物レンズ11を追従するように制御するトラッキング制御等を行う。さらに、光ピックアップ装置1は、前述したCD、DVD、BDなどの情報を読み取るディスク形記録媒体の種類が変更されたり、当該ディスク形記録媒体が複数の情報記録面を有している場合に情報を読み取る情報記録面が変更される際に、後述するコリメータレンズ7の位置の変更を行う。
【0018】
光ピックアップ装置1は、図2に示すように、ピックアップベース2と、アクチュエータ装置3と、駆動手段としてのモータ4と、光学部品ホルダとしてのレンズホルダ5と、規制部6と、制御手段としてのμCOM21を備えている。
【0019】
ピックアップベース2は、図示しないモータからの駆動力により軸芯回りに回転駆動するリードスクリューなどによって、当該リードスクリュー上をディスク形記録媒体の径方向に沿って移動可能に設けられている。
【0020】
ピックアップベース2は、箱状に形成され、かつ光学部品としての光源、コリメータレンズ7、ビームスプリッタ、受光器などを収容している。前述した光源、コリメータレンズ7、ビームスプリッタ、受光器などの光学部品は、光源がディスク形記録媒体から情報を読み取るために最適な波長のレーザ光を発生し、このレーザ光をディスク形記録媒体まで導き、当該ディスク形記録媒体から反射されたレーザ光を受光器まで導いて、当該受光器で受光する。
【0021】
アクチュエータ装置3は、図2に示すように、アクチュエータベース8と、アクチュエータ本体9と、アクチュエータ駆動部10とを備えている。
【0022】
アクチュエータベース8は、ピックアップベース2に固定されている。アクチュエータ本体9は、扁平な箱状に形成され、かつディスク形記録媒体と相対する対物レンズ11が取り付けられている。
【0023】
対物レンズ11は、図示例では、二つ設けられている。図2中手前側の一方の対物レンズ11は、CD及びDVD用のレーザ光を通すものであり、図2中奥側の他方の対物レンズ11は、BD用のレーザ光を通すものである。これらの対物レンズ11は、情報読み取り用の光源から発せられて光学部品を経由してきたレーザ光を通して、当該レーザ光をディスク形記録媒体に照射することおよびディスク形記録媒体から反射されたレーザ光を通して、当該レーザ光を光学部品へ出力するためのレンズである。
【0024】
また、アクチュエータ本体9には、図2などに示すように、複数の突起としてのストッパ片12が突出している。ストッパ片12は、アクチュエータ本体9の各隅部にディスク形記録媒体の厚み方向に間隔をあけて二つ設けられて、合計八つ設けられている。ストッパ片12は、棒状に形成され、かつアクチュエータ本体9の各隅部から前述したリードスクリューと平行に直線状に延在している。
【0025】
アクチュエータ駆動部10は、図2に示すように、複数の線状弾性部材13と、一対のプリントコイル22と、一対のマグネット23と、を備えている。
【0026】
線状弾性部材13は、例えば銅合金などの弾性力を備えて導電性の良い材料で構成されて、直線状に延在した棒状(線状)に形成されている。線状弾性部材13は、弾性変形自在である。線状弾性部材13は、図示例では、四つ設けられ、それぞれ、ディスク形記録媒体の周方向と平行に配置されている。これら四つの線状弾性部材13のうち一対の線状弾性部材13と他の一対の線状弾性部材13とは、互いにディスク形記録媒体の径方向に間隔をあけて配置され、かつ、各対の線状弾性部材13は、互いにディスク形記録媒体の厚み方向に間隔をあけて配置されている。
【0027】
また、各線状弾性部材13は、その一端部がアクチュエータ本体9の前述したストッパ片12に取り付けられ、他端部がアクチュエータベース8を介してピックアップベース2に取り付けられている。アクチュエータ本体9とアクチュエータベース8と線状弾性部材13は、インサート成形により、これらのアクチュエータ本体9とアクチュエータベース8を成形する際に一体に成形される。すなわち、線状弾性部材13は、一端部がアクチュエータ本体9のストッパ片12に内包され、他端部がアクチュエータベース8に内包されるとともに、他の部分(即ち、中央部)は露出した状態で固定される。
【0028】
さらに、線状弾性部材13は、アクチュエータ本体9側の一端部が後述のプリントコイル22と電気的に接続されているとともに、アクチュエータベース8側の他端部が外部からフォーカス制御やトラッキング制御のための電流が供給される。つまり、線状弾性部材13は、弾性変形することで、アクチュエータ本体9をアクチュエータベース8即ちピックアップベース2に対して移動自在に支持しているとともに、プリントコイル22に電流を供給する配線の機能も合わせて持つ。
【0029】
プリントコイル22は、ディスク形記録媒体の周方向に沿って互いの間にアクチュエータ本体9を挟みこむ位置に配置されているとともに、それぞれ、アクチュエータ本体9の側面に接着剤などにより取り付けられている。プリントコイル22は、基板上にコイルの配線パターンが形成されたものであり、フォーカス制御用のコイルとトラッキング制御用のコイルが夫々形成されている。また、プリントコイル22には、線状弾性部材13とはんだ付けにて電気的に接続されている。
【0030】
一対のマグネット23は、アクチュエータ本体9をディスク形記録媒体の周方向に沿って互いの間に挟む位置に配置されて、アクチュエータベース8とピックアップベース2とに取り付けられている。また、マグネット23は、それぞれ、プリントコイル22と間隔をあけて相対している。
【0031】
アクチュエータ駆動部10は、線状弾性部材13を介して前述した制御のための電流がプリントコイル22に供給されることで、当該プリントコイル22内を流れる電流及びマグネット23の磁力により、アクチュエータ本体9をディスク形記録媒体の少なくとも径方向と厚み方向とに移動させる。
【0032】
モータ4は、ピックアップベース2内に収容されて、当該ピックアップベース2に固定されている。モータ4は、その出力軸にねじ軸14が取り付けられている。ねじ軸14の長手方向は、ディスク形記録媒体の周方向と平行に配置されている。また、モータ4は、ディスク形記録媒体の径方向に沿ってアクチュエータ装置3と並ぶ位置に配置されている。更に、モータ4の出力軸に取り付けられたねじ軸14の近傍には、当該ねじ軸14と平行なガイドシャフト15が設けられている。
【0033】
レンズホルダ5は、枠状の枠状部16と、棒状部17とを一体に備えている。枠状部16は、内側に光学部品としての前述したコリメータレンズ7を収容して、当該コリメータレンズ7が取り付けられている。棒状部17は、枠状部16の外周面から当該枠状部16の外周方向に直線状に延在している。棒状部17の枠状部16から離れた側の先端部には、内側にガイドシャフト15を通す通し孔18と、前記ねじ軸14に螺合するナット部19とが設けられている。
【0034】
レンズホルダ5は、モータ4の駆動力によりねじ軸14が軸芯周りに回転されると、ナット部19がねじ軸14に螺合しているので、通し孔18によりガイドシャフト15に案内されながら、ねじ軸14の長手方向に沿って移動する。そして、レンズホルダ5は、アクチュエータ装置3に対してコリメータレンズ7を接離させる。そして、モータ4は、情報を読み取るディスク形記録媒体の種類を変更する際や、当該ディスク形記録媒体の情報を読み取る情報記録面を切り換える際には、再生する情報記録面の位置などに応じてレンズホルダ5及びコリメータレンズ7をディスク形記録媒体の周方向に移動させて、対物レンズ11のディスク形記録媒体の情報記録面上での球面収差が適切となる位置にコリメータレンズ7の位置を変更する。
【0035】
規制部6は、レンズホルダ5に一体に設けられている。このため、規制部6は、モータ4によりアクチュエータ本体9に対して相対的に移動される。規制部6は、ホルダ連結部24と、一対の棒状部25と、を備えている。
【0036】
ホルダ連結部24は、レンズホルダ5の外面からディスク形記録媒体に向かって立設しかつディスク形記録媒体の径方向に間隔をあけた一対の支え柱26と、当該支え柱26のレンズホルダ5から離れた側の端部同士を連結した連結柱27と、を一体に備えている。一対の支え柱26は、レンズホルダ5の外面から互いに離れる方向に直線状に延在している。連結柱27は、その長手方向がディスク形記録媒体の情報記録面と平行でかつ前述したリードスクリューと平行に配置されている。
【0037】
棒状部25は、直線状に延在した棒状に形成され、かつ、支え柱26と連結柱27とが互いに連なる箇所からアクチュエータベース8に向かって延在している。一対の棒状部25は、長手方向が、互いに平行に配置されているとともに、前述したねじ軸14の長手方向(即ち、レンズホルダ5の移動方向)と平行である。棒状部25は、アクチュエータ本体9のレンズホルダ5寄りのストッパ片12間に配置される。
【0038】
棒状部25は、それぞれ、図3乃至図5に示すように、複数の種別規制部28を備えている。これら複数の種別規制部28は、棒状部25の長手方向即ちモータ4によるレンズホルダ5の移動方向に沿って直列に並べられている。図示例では、各棒状部25に種別規制部28が五つ設けられている。これらの種別規制部28のうちの中央に位置する一つの種別規制部28(以下符号28aで示す)は、レンズホルダ5がディスク形記録媒体としてのCDから情報を読み取る位置に位置付けられると、図3に示すように、前記ストッパ片12間に位置付けられる。即ち、この一つの種別規制部28aは、CDに対応して設けられている。
【0039】
種別規制部28aは、前記ストッパ片12間に位置付けられると、アクチュエータ駆動部10により移動されるアクチュエータ本体9のストッパ片12をその上下面に接触させることで、アクチュエータ本体9のディスク形記録媒体の厚み方向の移動範囲を規制する。そして、種別規制部28は、アクチュエータ本体9の移動範囲を、対応するCDから情報を読み取る際に必要とされる適切な移動範囲S1(図6に示す)とする厚み(即ち寸法)に形成されている。
【0040】
前述した種別規制部28のうちの前述した種別規制部28aと連なりかつ当該種別規制部28aを互いの間に挟む一対の種別規制部28(以下符号28bで示す)は、レンズホルダ5がディスク形記録媒体としてのDVDから情報を読み取る位置に位置付けられると、図4(a)及び図4(b)に示すように、前記ストッパ片12間に位置付けられる。即ち、これら一対の種別規制部28bは、DVDに対応して設けられている。
【0041】
なお、これら一対の種別規制部28bのうち一方がストッパ片12間に位置付けられると、レンズホルダ5がDVDの一方の情報記録面から情報を読み取る位置に位置付けられる。一対の種別規制部28bのうち他方がストッパ片12間に位置付けられると、レンズホルダ5がDVDの他方の情報記録面から情報を読み取る位置に位置付けられる。
【0042】
種別規制部28bは、前記ストッパ片12間に位置付けられると、アクチュエータ駆動部10により移動されるアクチュエータ本体9のストッパ片12をその上下面に接触させることで、アクチュエータ本体9のディスク形記録媒体の厚み方向の移動範囲を規制する。そして、種別規制部28bは、アクチュエータ本体9の移動範囲を、対応するDVDから情報を読み取る際に必要とされる適切な移動範囲S2(図6に示す)とする厚み(即ち寸法)に形成されている。
【0043】
前述した種別規制部28のうちの前述した種別規制部28bと連なりかつ当該種別規制部28bを互いの間に挟む一対の種別規制部28(以下符号28cで示す)は、レンズホルダ5がディスク形記録媒体としてのBDから情報を読み取る位置に位置付けられると、図5(a)及び図5(b)に示すように、前記ストッパ片12間に位置付けられる。即ち、これら一対の種別規制部28cは、BDに対応して設けられている。
【0044】
なお、これら一対の種別規制部28cのうち一方がストッパ片12間に位置付けられると、レンズホルダ5がBDの一方の情報記録面から情報を読み取る位置に位置付けられる。一対の種別規制部28cのうち他方がストッパ片12間に位置付けられると、レンズホルダ5がBDの他方の情報記録面から情報を読み取る位置に位置付けられる。
【0045】
種別規制部28cは、前記ストッパ片12間に位置付けられると、アクチュエータ駆動部10により移動されるアクチュエータ本体9のストッパ片12をその上下面に接触させることで、アクチュエータ本体9のディスク形記録媒体の厚み方向の移動範囲を規制する。そして、種別規制部28cは、アクチュエータ本体9の移動範囲を、対応するBDから情報を読み取る際に必要とされる適切な移動範囲S3(図6に示す)とする厚み(即ち寸法)に形成されている。
【0046】
なお、本実施例では、種別規制部28a,28b,28cは、順に厚みが厚くなるように形成されて、互いに厚みが異なっているとともに厚み方向の位置が互いに異なっている。即ち、これら種別規制部28a,28b,28cは、許容するアクチュエータ本体9の移動範囲S1,S2,S3の長さが互いに異なるとともに、移動範囲S1,S2,S3の位置が互いに異なっている。このため、規制部6はディスク形記録媒体の種類毎に、アクチュエータ本体9の厚み方向のピックアップベース2に対する移動範囲S1,S2,S3を異ならせて規制する。また、種別規制部28a,28b,28cは、ディスク型記録媒体の種類に対応して設けられかつ各々がアクチュエータ本体9の移動範囲S1,S2,S3を規制する。
【0047】
μCOM21は、プログラムに従って各種の処理を行う中央処理ユニット(CPU)と、CPUが行う処理のプログラムなどを格納した読み取り専用のメモリであるROMと、CPUでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ格納エリアなどを有する読み取り書き込み自在のメモリであるRAMなどを内蔵し、これらがバスラインによって互いに接続されている。
【0048】
μCOM21は、アクチュエータ駆動部10のプリントコイル22に接続して、当該プリントコイル22に供給される前述した電流を制御して、アクチュエータ装置3全体の制御を司る。さらに、μCOM21は、前述したモータ4などと接続して、これらの動作を制御して、光ピックアップ装置1全体の制御を司る。
【0049】
μCOM21は、ディスク形記録媒体からの情報の読み取りを開始する際に、まず、モータ4を駆動してレンズホルダ5を所定の位置に位置付けて、前述した光源からレーザ光を出射して、ディスク形記録媒体から反射されたレーザ光を受光器に受光されることにより、情報の読み取りを開始するディスク形記録媒体の種類を判別する。このように、μCOM21は、情報を読み出すディスク形記録媒体の種類を判別する判別手段をなしている。
【0050】
そして、μCOM21は、情報の読み取りを開始するディスク形記録媒体が情報の読み取りが可能なディスク形記録媒体であると判別すると(即ち、CD、DVD、BDのいずれかであると判別すると)、モータ4を駆動して、当該情報の読み取りを開始するディスク形記録媒体の種類に応じた適切な位置にレンズホルダ5を位置付ける。すると、モータ4が、レンズホルダ5即ち規制部6を移動させて判別されたディスク形記録媒体の種類に応じた適切な位置にコリメータレンズ7を位置付けるとともに、当該ディスク形記録媒体の種類に対応する種別規制部28a,28b,28cをストッパ片12間即ちアクチュエータ本体9と接触可能な位置に位置付ける。こうして、モータ4は、判別されたディスク形記録媒体の種類に応じてアクチュエータ本体9の移動範囲S1,S2,S3を規制すべく規制部6をアクチュエータ本体9に対して相対的に移動させる。
【0051】
その後、μCOM21は、線状弾性部材13を介してプリントコイル22にフォーカス制御及びトラッキング制御のための電流を供給しながら、レーザ光をディスク形記録媒体の情報記録面に照射して、情報を読み出して再生する。
【0052】
このとき、CDから情報を読み取る際には、μCOM21は、線状弾性部材13を介してプリントコイル22にフォーカス制御及びトラッキング制御のための電流を供給する。また、μCOM21は、DVD又はBDから情報を読み取る際には、線状弾性部材13を介してプリントコイル22にストッパ片12の中央に種別規制部28を位置付けるための電流を供給して、種別規制部28に対するストッパ片12の位置を線状弾性部材13が弾性変形していない図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)中に一点鎖線に示す位置から当該ストッパ片12の中央に種別規制部28を位置付ける図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)中に実線に示す位置まで移動させた後、プリントコイル22に前述したフォーカス制御及びトラッキング制御のための電流を供給する。
【0053】
μCOM21は、レーザ光のディスク形記録媒体の情報記録面への照射を停止して、ディスク形記録媒体からの情報の読み取りを停止すると、プリントコイル22へのフォーカス制御及びトラッキング制御のための電流の供給を停止する。
【0054】
また、μCOM21は、情報を読み取るディスク形記録媒体の種類が変更されて、レンズホルダ5を移動させる際には、プリントコイル22に電流を供給して、ストッパ片12が種別規制部28a,28b,28cの上下面のいずれかに接触するまで、アクチュエータ本体9を移動させた後、モータ4を駆動してレンズホルダ5を移動する。
【0055】
例えば、CDを再生していた態からDVDを再生する状態に切り換える際には、図7(a)に示すようにストッパ片12間の中央に種別規制部28aが位置した状態から、図7(b)に示すようにストッパ片12を種別規制部28aの上面に接触させた後、図7(c)に示すように、規制部6即ちレンズホルダ5を移動する。
【0056】
本実施例によれば、アクチュエータ本体9のピックアップベース2に対する移動範囲を規制する規制部6に、各ディスク形記録媒体の種類に応じて適切な移動範囲にアクチュエータ本体の移動範囲を規制させている。
【0057】
このため、各種類のディスク形記録媒体から情報を読み取る際に必要とされる適切な移動範囲S1,S2,S3(図6に示す)を超えて、アクチュエータ本体9が移動することを防止でき、アクチュエータ駆動部10に過大な電流が流れることなどを防止できる。したがって、光ピックアップ装置1の消費電力の増加と寿命の低下を防止することができる。
【0058】
また、種別規制部28がモータ4によるレンズホルダ5即ち規制部6の移動方向に沿って並べてられている。この場合、モータ4によって規制部6を移動することで、アクチュエータ本体9の移動範囲を規制する種別規制部28a,28b,28cを切り換えることができる。したがって、アクチュエータ本体9の移動範囲を容易に切り換えることができる。
【0059】
さらに、規制部6が、コリメータレンズ7が取り付けられて、ディスク形記録媒体の種類に応じて、モータ4に移動されるレンズホルダ5に設けられている。このため、規制部6を移動させるために専用に部品や駆動手段を設ける必要がなくなるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0060】
また、規制部6がレンズホルダ5に設けられ、モータ4が、規制部6を移動させて判別されたディスク形記録媒体の種類に応じた位置に光学部品としてのコリメータレンズ7を位置付けるとともに、当該ディスク形記録媒体の種類に対応する種別規制部28a,28b,28cをアクチュエータ本体9と接触可能な位置に位置付けている。このため、コリメータレンズ7を適切な位置に位置付けると、適切な種別規制部28a,28b,28cがアクチュエータ本体9の移動範囲S1,S2,S3を規制するので、部品点数が増加することを確実に防止できる。
【0061】
前述した実施例では、規制部6を、光学部品としてのコリメータレンズ7が取り付けられたレンズホルダ5に設けている。しかしながら、本発明では、コリメータレンズ7に限らず種々の光学部品を取り付けた光学部品ホルダに規制部6を設けても良い。また、本発明では、光学部品ホルダに規制部6を設けることなく、モータなどによりアクチュエータ装置3に対して移動自在に設けられた専用の部材に規制部6を設けても良いことは勿論である。
【0062】
前述した実施例によれば、以下の光ピックアップ装置1が得られる。
【0063】
(付記) 複数種類のディスク形記録媒体から情報を読み出し可能な光ピックアップ装置1において、
前記ディスク形記録媒体の径方向に移動自在に設けられたピックアップベース2と、
前記ディスク形記録媒体に間隔をあけて相対した対物レンズ11が取り付けられたアクチュエータ本体9と、
前記アクチュエータ本体9を前記ディスク形記録媒体の少なくとも径方向と厚み方向とに移動自在に前記ピックアップベース2に取り付けたアクチュエータ駆動部10と、
前記ディスク形記録媒体の種類毎に、前記アクチュエータ本体9の前記厚み方向の前記ピックアップベース2に対する移動範囲を異ならせて規制する規制部6と、
前記情報を読み出すディスク形記録媒体の種類を判別するμCOM21と、
前記判別されたディスク形記録媒体の種類に応じて前記移動範囲を規制すべく前記規制部6を前記アクチュエータ本体9に対して相対的に移動させるモータ4と、
を備えたことを特徴とする光ピックアップ装置1。
【0064】
付記によれば、アクチュエータ本体9のピックアップベース2に対する移動範囲を規制する規制部6に、各ディスク形記録媒体の種類に応じて適切な移動範囲にアクチュエータ本体の移動範囲を規制させている。このため、各種類のディスク形記録媒体から情報を読み取る際に必要とされる適切な移動範囲S1,S2,S3(図6に示す)を超えて、アクチュエータ本体9が移動することを防止でき、アクチュエータ駆動部10に過大な電流が流れることなどを防止できる。したがって、光ピックアップ装置1の消費電力の増加と寿命の低下を防止することができる。
【0065】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】従来の光ピックアップ装置のアクチュエータ本体の移動範囲を説明する説明図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる光ピックアップ装置の斜視図である。
【図3】図2に示された光ピックアップ装置がCDから情報を読み取る際のストッパ片と種別規制部との相対的な位置を説明する説明図である。
【図4】(a)は図2に示された光ピックアップ装置がDVDの一方の情報記録面から情報を読み取る際のストッパ片と種別規制部との相対的な位置を説明する説明図であり、(b)は図2に示された光ピックアップ装置がDVDの他方の情報記録面から情報を読み取る際のストッパ片と種別規制部との相対的な位置を説明する説明図である。
【図5】(a)は図2に示された光ピックアップ装置がBDの一方の情報記録面から情報を読み取る際のストッパ片と種別規制部との相対的な位置を説明する説明図であり、(b)は図2に示された光ピックアップ装置がBDの他方の情報記録面から情報を読み取る際のストッパ片と種別規制部との相対的な位置を説明する説明図である。
【図6】図2に示された光ピックアップ装置のアクチュエータ本体の移動範囲を説明する説明図である。
【図7】図2に示された光ピックアップ装置がCDから情報を読み取る状態からDVDから情報を読み取る状態に切換る工程を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0067】
1 光ピックアップ装置
2 ピックアップベース
4 モータ(駆動手段)
5 レンズホルダ(光学部品ホルダ)
6 規制部
7 コリメータレンズ(光学部品)
9 アクチュエータ本体
10 アクチュエータ駆動部
11 対物レンズ
21 μCOM(判別手段)
28,28a,28b,28c 種別規制部
S1,S2,S3 適切な移動範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のディスク形記録媒体から情報を読み出し可能な光ピックアップ装置において、
前記ディスク形記録媒体の径方向に移動自在に設けられたピックアップベースと、
前記ディスク形記録媒体に間隔をあけて相対した対物レンズが取り付けられたアクチュエータ本体と、
前記アクチュエータ本体を前記ディスク形記録媒体の少なくとも径方向と厚み方向とに移動自在に前記ピックアップベースに取り付けたアクチュエータ駆動部と、
前記ディスク形記録媒体の種類毎に、前記アクチュエータ本体の前記厚み方向の前記ピックアップベースに対する移動範囲を異ならせて規制する規制部と、
前記情報を読み出すディスク形記録媒体の種類を判別する判別手段と、
前記判別されたディスク形記録媒体の種類に応じて前記移動範囲を規制すべく前記規制部を前記アクチュエータ本体に対して相対的に移動させる駆動手段と、
を備えたことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記規制部が、前記ディスク型記録媒体の種類に対応して設けられかつ各々が前記アクチュエータ本体の前記移動範囲を規制する複数の種別規制部を備え、
前記複数の種別規制部が、前記駆動手段による前記規制部の移動方向に沿って直列に並べられていることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記規制部が、前記ディスク形記録媒体から情報を読み取るためのレーザ光が通される光学部品が取り付けられかつ当該情報を読み取る前記ディスク形記録媒体の種類に応じて前記駆動手段により移動される光学部品ホルダに設けられていることを特徴とする請求項2記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記規制部が、前記光学部品としてコリメータレンズが取り付けられた前記光学部品ホルダに設けられ、
前記駆動手段が、前記規制部を移動させて前記判別されたディスク形記録媒体の種類に応じた位置に前記コリメータレンズを位置付けるとともに、当該ディスク形記録媒体の種類に対応する前記種別規制部を前記アクチュエータ本体と接触可能な位置に位置付けることを特徴とする請求項3記載の光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−238356(P2009−238356A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86739(P2008−86739)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】