説明

光ファイバ、光ファイバの製造方法及び光増幅器

【課題】マルチコアの希土類元素添加光ファイバに光ファイバ横断面において強度が均一な励起光の入射を安価に且つ比較的容易に行うことができる光ファイバ及びそれを用いた光増幅器を提供する。
【解決手段】本発明の光ファイバは、希土類元素を実質的に含有しない複数のコア10と、複数のコア10の周囲を囲繞する第1クラッド20と、第1クラッド20の周囲を囲繞する第2クラッド30とを備え、複数のコア10のいずれのコア10よりも第1クラッド20の方が屈折率が低く、第1クラッド20よりも第2クラッド30の方が屈折率が低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコアを備えた光ファイバ、光ファイバの製造方法及び光増幅器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバのコア内にEr(エルビウム),Pr(プラセオジウム),Nd(ネオジム),Yb(イッテルビウム)等の希土類元素を添加した光ファイバを用いた光増幅器が実用化されている。特に、Erを添加した光ファイバ増幅器は、1.55μm帯において、高利得、高飽和出力を有することから種々のシステムへ適用されている。その中でも1.53μmから1.56μmの波長帯の信号光を数波以上用いた波長多重伝送による高速、大容量、長距離伝送、CATVシステムへの適用が検討され、実用化に移っている。
【0003】
コア内に希土類元素を添加した光ファイバを用いた光増幅器は、コアに信号光と励起光の両方を入射させて伝搬させて信号光を増幅する方式であり、WDMカプラなどを用いて希土類元素添加光ファイバに信号光と励起光を入射させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−242548号公報
【特許文献2】特開平9−159846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常の光ファイバはコアが一つのシングルコア光ファイバであるが、一つの光ファイバに複数のコアを備えさせるようにすれば、信号光の増幅を複数のコアで同時に行うことができる。例えば特許文献1,2にはそのような複数の希土類元素添加コアを備えたマルチコア光ファイバが開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に開示された技術では、一つ一つのコアに独立に信号光と励起光との両方を入射させる必要があり、細い光ファイバの端面においてそれぞれのコアに信号光と励起光の両方を位置ずれなく入射させるのは非常に困難であるとともに、各コアごとに励起光入射装置が必要となりコスト増となる。特許文献1には、該文献の図5に光増幅器全体の構造が示されているが、信号光・励起光の入射部分は明記されておらず、各コアに位置ずれなく信号光・励起光を入射させるという問題についてはなんら記載されていない。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マルチコアの希土類元素添加光ファイバに光ファイバ横断面において強度分布が均一な励起光の入射を安価に且つ比較的容易に行うことができる光ファイバ及びそれを用いた光増幅器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光ファイバは、希土類元素を実質的に含有していない複数のコアと、前記複数のコアの周囲を囲繞する第1クラッドと、前記第1クラッドの周囲を囲繞する第2クラッドとを備え、前記複数のコアのいずれのコアよりも前記第1クラッドの方が屈折率が低く、前記第1クラッドよりも前記第2クラッドの方が屈折率が低い構成である。希土類元素を実質的に含有しないコアというのは、励起光による光の増幅機能を有していないコアであり、該コアに含まれる希土類元素の和が10質量ppm以下あるいは該コアには希土類元素が含まれていないことである。
【0009】
前記第1クラッドは、光ファイバ横断面において円形であり、前記第1クラッド内に、該第1クラッドとは屈折率が異なるとともに光ファイバ軸に沿って延びる光方向変更部が存している構成であってもよい。
【0010】
前記光方向変更部は、前記複数のコアのうち前記第2クラッドに最も近いコアよりも該第2クラッドに近い位置に存している構成であってもよい。
【0011】
前記光方向変更部は、前記第1クラッドよりも屈折率が低い構成であってもよい。
【0012】
前記光方向変更部は、複数であって、それぞれが光ファイバ中心軸を含む面において線対称とならない構成であってもよい。
【0013】
光ファイバ横断面において、前記第1クラッドの外周の形状は、円弧と弦との組合せ又は多角形であってもよい。
【0014】
本発明の光ファイバの第1の製造方法は、石英パイプの空孔部分に、フッ素含有石英ロッド、ホウ素含有石英ロッド及び石英キャピラリから選ばれたもの少なくとも1本と、中心軸部分に希土類元素を実質的に含有していない複数の石英円柱とを挿入して光ファイバ母材を形成する工程と、前記光ファイバ母材を加熱し延伸して光ファイバ前駆体を形成する工程と、前記光ファイバ前駆体の外周を石英よりも屈折率の低い樹脂により被覆する工程とを含む構成である。石英パイプとは、石英からなる筒体のことであり、石英ロッドとは、石英からなる棒のことである。また石英キャピラリとは、石英からなり中心軸部分に孔が伸びていて中空である棒のことである。
【0015】
本発明の光ファイバの第2の製造方法は、石英ロッドに、ロッド中心軸に沿った複数の孔を開ける工程と、前記複数の孔に、フッ素含有石英ロッド、ホウ素含有石英ロッド及び石英キャピラリから選ばれたもの少なくとも1本と、中心軸部分に希土類元素を実質的に含有していない複数の石英柱とを挿入して光ファイバ母材を形成する工程と、前記光ファイバ母材を加熱し延伸して光ファイバ前駆体を形成する工程と、前記光ファイバ前駆体の外周を石英よりも屈折率の低い樹脂により被覆する工程とを含む構成である。
【0016】
本発明の光ファイバの第3の製造方法は、石英パイプの空孔部分に、フッ素含有石英ロッド、ホウ素含有石英ロッド及び石英キャピラリから選ばれたもの少なくとも1本と、中心軸部分に希土類元素を実質的に含有していない複数の石英柱とを挿入し、前記石英パイプの外周を石英よりも屈折率の低い低屈折率部材で囲繞して光ファイバ母材を形成する工程と、前記光ファイバ母材を加熱し延伸する工程とを含む構成である。
【0017】
本発明の光ファイバの第4の製造方法は、石英ロッドに、ロッド中心軸に沿った複数の孔を開ける工程と、前記複数の孔に、フッ素含有石英ロッド、ホウ素含有石英ロッド及び石英キャピラリから選ばれたもの少なくとも1本と、中心軸部分に希土類元素を含有していない複数の石英柱とを挿入し、前記石英ロッドの外周を石英よりも屈折率の低い低屈折率部材で囲繞して光ファイバ母材を形成する工程と、前記光ファイバ母材を加熱し延伸する工程とを含む構成である。
【0018】
本発明の光ファイバの第5の製造方法は、外層側がフッ素又はホウ素を含有した石英あるいは中心軸に沿って延びる複数の孔を備えた石英からなり、内層側が石英からなる二層構造石英ロッドを用意する工程と、前記二層構造石英ロッドの内層側に、ロッド中心軸に沿った複数の孔を開ける工程と、前記複数の孔に、フッ素含有石英ロッド、ホウ素含有石英ロッド及び石英キャピラリから選ばれたもの少なくとも1本と、中心軸部分に実質的に希土類元素を含有していない複数の石英柱とを挿入して光ファイバ母材を形成する工程と、前記光ファイバ母材を加熱し延伸する工程とを含む構成である。
【0019】
本発明の光増幅器は、第1の光ファイバと第2の光ファイバとを備え、前記第1の光ファイバは、希土類元素を実質的に含有していない複数のコアと、前記複数のコアの周囲を囲繞する第1クラッドと、前記第1クラッドの周囲を囲繞する第2クラッドとを備え、前記複数のコアのいずれのコアよりも前記第1クラッドの方が屈折率が低く、前記第1クラッドよりも前記第2クラッドの方が屈折率が低く、前記第2の光ファイバは、複数のコアと、前記複数のコアの周囲を囲繞する第1クラッドと、前記第1クラッドの周囲を囲繞する第2クラッドとを備え、前記複数のコアの少なくとも一つには希土類元素が含まれており、前記複数のコアのいずれのコアよりも前記第1クラッドの方が屈折率が低く、前記第1クラッドよりも前記第2クラッドの方が屈折率が低い構成である。第2の光ファイバにおいては、希土類元素が含まれているコアは二つ以上であることが好ましい。
【0020】
前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとは端部同士が接続されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
複数のコアが第1クラッドに囲繞されて、第1クラッドはより屈折率が低い第2クラッドに囲繞されており、コアには実質的に希土類元素が含有されていないので、モードスクランブル効果により、第1クラッドに入射させた光は光ファイバを進むに連れて、光ファイバ断面において均一な強度分布を有する光となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は実施形態1に係る光ファイバの横断面である。
【図2】図2は実施形態1に係る光ファイバの製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図3】図3は実施形態1に係る光ファイバの別の製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図4】図4は実施形態2に係る光ファイバの横断面である。
【図5】図5は実施形態2に係る光ファイバの製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図6】図6は実施形態2に係る光ファイバの別の製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図7】図7は実施形態2に係る光ファイバの他の製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図8】図8は実施形態2の変形例1に係る光ファイバの横断面である。
【図9】図9は実施形態2の変形例2に係る光ファイバの横断面である。
【図10】図10は実施形態2の変形例3に係る光ファイバの横断面である。
【図11】図11は実施形態3に係る光ファイバの横断面である。
【図12】図12は実施形態3に係る光ファイバの製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図13】図13は実施形態3に係る光ファイバの別の製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図14】図14は実施形態3の変形例に係る光ファイバの横断面である。
【図15】図15は実施形態4に係る光ファイバの横断面である。
【図16】図16は実施形態4に係る光ファイバの製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図17】図17は実施形態4に係る光ファイバの別の製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図18】図18は実施形態4に係る光ファイバの他の製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図19】図19は実施形態4の変形例aに係る光ファイバの横断面図である。
【図20】図20は実施形態4の変形例bに係る光ファイバの横断面図である。
【図21】図21は実施形態4の変形例cに係る光ファイバの横断面図である。
【図22】図22は実施形態4の変形例dに係る光ファイバの横断面図である。
【図23】図23は実施形態4の変形例eに係る光ファイバの横断面図である。
【図24】図24は実施形態1に係る希土類元素添加光ファイバの横断面である。
【図25】図25は実施形態に係る光増幅器の模式図である。
【図26】図26(a)はリレー光ファイバに入射するときの励起光の強度分布を示す図であ、図26(b)はリレー光ファイバから出射するときの励起光の強度分布を係る光増幅器の模式図である。
【図27】図27は実施形態1に係る希土類元素添加光ファイバの製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図28】図28は実施形態1に係る希土類元素添加光ファイバの別の製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図29】図29は実施形態2に係る希土類元素添加光ファイバの横断面である。
【図30】図30は実施形態2に係る希土類元素添加光ファイバの製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図31】図31は実施形態2に係る希土類元素添加光ファイバの別の製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図32】図32は実施形態2に係る希土類元素添加光ファイバの他の製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図33】図33は実施形態3に係る希土類元素添加光ファイバの横断面である。
【図34】図34は実施形態3に係る希土類元素添加光ファイバの製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図35】図35は実施形態3に係る希土類元素添加光ファイバの別の製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図36】図36は実施形態4に係る希土類元素添加光ファイバの横断面である。
【図37】図37は実施形態4に係る希土類元素添加光ファイバの製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図38】図38は実施形態4に係る希土類元素添加光ファイバの別の製造工程の途中の半製品の横断面である。
【図39】図39は実施形態4に係る希土類元素添加光ファイバの他の製造工程の途中の半製品の横断面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
【0024】
(実施形態1)
実施形態1に係る光ファイバ100の横断面を図1に示す。本実施形態の光ファイバ100は希土類元素を実質的に含有していない7本のコア10,10,…が光ファイバ軸方向に伸びているマルチコア光ファイバである。光ファイバ横断面において各コア10,10,…は、正六角形の6つの頂点と中心とに位置するように配置されており、正六角形の中心は光ファイバの中心軸に略一致している。
【0025】
複数のコア10,10,…は、単一の第1クラッド20によってそれぞれの周囲を囲繞されている。第1クラッド20は光ファイバ横断面においては光ファイバ中心軸を中心とする円形であり、第1クラッド20内に複数のコア10,10,…が埋め込まれている。なお、各コア10,10,…は、外周を第1クラッド20に囲繞されているが、光ファイバ両端部においては第1クラッド20と共に露出している。つまり複数のコア10,10,…は光ファイバ端部を除いて単一の第1クラッド20内に存している。
【0026】
第1クラッド20は、第2クラッド30によって周囲を囲繞されている。第2クラッド30の外周は光ファイバ中心軸を中心とする円であって、第2クラッド30は第1クラッド20の外周面をほぼ均一な厚みの層によって被覆している状態となっている。もちろん、光ファイバ両端部においては第1クラッド20の端面は第2クラッド30の端面と共に露出している。
【0027】
本実施形態の光ファイバ100においては、各コア10,10,…はGe(ゲルマニウム)を添加した石英ガラスから形成されている。第1クラッド20は純粋石英ガラスから形成されている。第2クラッド30は第1クラッドよりも屈折率の低いシリコーン樹脂或いは第1クラッドよりも屈折率の低いアクリル樹脂から形成されている。このような構成であるため、コア10の屈折率が最も高く、次が第1クラッド20の屈折率であり、最も低いのが第2クラッド30の屈折率である。従って、コア10を伝搬する光は第1クラッド20によってコア10内に閉じ込められ、第1クラッド20を伝搬する光は第2クラッド30によって第1クラッド20内に閉じ込められる。即ち、本実施形態の光ファイバ100はダブルクラッド光ファイバと呼ばれる構造を有している。また、コア10,10,…には希土類元素を添加していないので、コア10,10,…に含有されている希土類元素の量としては、全ての種類の希土類元素の和が10質量ppm以下である。即ち、検出される希土類元素の量は、不純物として混入していると考えられる程度の量である。
【0028】
この光ファイバ100は光増幅においてリレー光ファイバとして用いることができる。光増幅そのものは図24に示す、コア18,18,…にEr,Pr,Nd,Yb等の希土類元素(ここではEr)が添加された光増幅用の光ファイバ300により行われる。光増幅用の光ファイバ300はコア18,18,…に希土類元素が添加されていることが、リレー光ファイバとしての光ファイバ100と異なっており、他の構造、材質などは光ファイバ100と同じである。なお、光増幅用の光ファイバ300のコア18,18,…に添加されている希土類元素の濃度は、100〜30000質量ppmである。
【0029】
上記の2種類の光ファイバ100,300を用いた光増幅器は図25に示すように、光ファイバ100からなる第1の光ファイバ510と、光ファイバ300からなる第2の光ファイバ520とをA点にて接続した構造を備えている。第1の光ファイバ510と第2の光ファイバ520とは、各コア10,10,…、18,18,…同士及び第1のクラッド20,20同士を位置合わせして突き合わせ、融着して接続を行っている。
【0030】
信号光の増幅は具体的には、図25に示すように、信号光導入光ファイバ501により信号光を、励起光源530,530から励起光を、それぞれ合波器502を介して第1の光ファイバ510に入れて通過させた後、第2の光ファイバ520に入れて行う。信号光は第1の光ファイバ510の各コア10,10,…に入れられ、励起光は第1の光ファイバ510の第1クラッド20に入れられる。
【0031】
図26(a)は合波器502から第1の光ファイバ510に入る位置での、光ファイバ横断面における励起光の強度分布を示したものである。合波器502において信号光と励起光とを一緒にして第1の光ファイバ510に入れるため、励起光の強度分布は光ファイバ横断面において均一ではなく、バラツキがある。このように励起光強度分布にバラツキがある状態で光増幅用の光ファイバである第2の光ファイバ520に励起光が入ると、7つのコア18,18,…における増幅利得がコア18ごとにばらついてしまう。しかしながら図26(a)に示す状態の励起光が第1の光ファイバ510を通過すると、モードスクランブル効果により図26(b)に示すように、光ファイバ横断面において励起光強度の分布が均一になる。従って図26(b)に示す強度分布にバラツキがない励起光が第2の光ファイバ520に入り、各コア18,18,…の増幅利得も略同じになり、コア18ごとに増幅利得がばらつくことがない。
【0032】
光ファイバ300による信号光増幅について説明すると、光ファイバ100に接続された光ファイバ300の一方の端から各コア18,18,…に信号光が入射され、第1クラッド20には励起光が入射される。即ち第1クラッド20をポンプガイドとして用いる。一般的には、各コア18,18,…にそれぞれ異なる信号光を入れて伝搬させるため、本実施形態の光ファイバ300を用いると1本の光ファイバで7つの信号を同時に送信・増幅することができる。第1クラッド20を進んでいく励起光は第1クラッド20と第2クラッド30との境界で反射して向きを変え、時々コア18を通過する。コア18を通過する励起光はErの働きによって信号光を増幅する。
【0033】
本実施形態の光ファイバ100は簡単な構造で励起光の光ファイバ横断面における強度分布を均一にすることができ、光ファイバ300は、簡単な構造であって複数のコア18,18,…に同時に励起光を容易に導入することができる。従って、効率的かつ各コアでの利得が均一な光増幅を安価に行うことができる。
【0034】
次に本実施形態の光ファイバ100及び光ファイバ300の製造方法について説明する。
【0035】
−製造方法A1−
製造方法A1では、図2(a)に示すように、まず石英パイプ60と、中心軸部分75にGeを含有している石英円柱であるコア母材70,70,…を用意する。
【0036】
それから石英パイプ60の中心の空孔部分に、コア母材70,70,…を挿入して詰め込み、光ファイバ母材200を作製する。
【0037】
次に光ファイバ母材200を加熱し、柔らかくして中心軸方向に延伸すると、石英パイプ60とコア母材70,70,…との間の隙間、及びコア母材70とコア母材70との間の隙間がなくなり、図2(b)に示す光ファイバ前駆体201が形成される。
【0038】
その次に、光ファイバ前駆体201の外周にシリコーン樹脂あるいはアクリル樹脂を塗布することにより、光ファイバ前駆体201をシリコーン樹脂あるいはアクリル樹脂によって被覆する。こうして図1に示す光ファイバ100が出来上がる。
【0039】
光増幅用の光ファイバ300は図27に示すように、コア母材70,70,…の替わりに中心軸部分475にGeとErとを含有している石英円柱であるコア母材470,470,…を用いて光ファイバ母材400が作成され、Erをコア18部分に含有する光ファイバ前駆体401が形成されることのみが光ファイバ100との製造方法と異なっており、それ以外の部分は同じである。
【0040】
−製造方法B1−
別の製造方法である製造方法B1を図3を参照して説明する。まず、石英ロッドを用意し、ロッド中心軸に沿って複数の孔をあける。孔は、石英ロッドの横断面において正六角形の各頂点とその中心に配置されるように開けられる。
【0041】
次に、孔を開けられた有孔石英ロッド62の孔に、7本のコア母材70,70,…を挿入して光ファイバ母材202を作製する。コア母材70,70,…の外径は、孔の径よりも少し小さく設定されている。
【0042】
光ファイバ母材202を加熱し、柔らかくして中心軸方向に延伸すると、有孔石英ロッド62とコア母材70,70,…との間の隙間がなくなり、光ファイバ前駆体201ができあがる。
【0043】
その次に、光ファイバ前駆体201の外周にシリコーン樹脂あるいはアクリル樹脂を塗布することにより、光ファイバ前駆体201をシリコーン樹脂あるいはアクリル樹脂によって被覆する。こうして図1に示す光ファイバ100が出来上がる。
【0044】
光増幅用の光ファイバ300は図28に示すように、コア母材70,70,…の替わりに中心軸部分475にGeとErとを含有している石英円柱であるコア母材470,470,…を用いて光ファイバ母材402が作成され、Erをコア18部分に含有する光ファイバ前駆体401が形成されることのみが光ファイバ100との製造方法と異なっており、それ以外の部分は同じである。
【0045】
(実施形態2)
実施形態2に係る光ファイバ101の断面を図4に示す。本実施形態の光ファイバ101と実施形態1の光ファイバ100との違いは、第2クラッド31にあり、その他は同じであるので、実施形態1と異なっているところを主として説明する。また、図29に示す希土類元素がコアに添加されている本実施形態の光ファイバ301も実施形態1の光ファイバ300との違いは第2クラッド31のみである。
【0046】
本実施形態の光ファイバ101及び光ファイバ301は、純粋石英からなる第1クラッド20の周囲を囲繞する第2クラッド31がフッ素含有石英ガラスからなっている。第2クラッド31はフッ素含有石英ガラスであるため、純粋の石英ガラスよりも屈折率が低くなる。従って、実施形態1と同じように第1クラッド20を通過していく励起光が第2クラッド31により第1クラッド20内に閉じ込められる。そのため、本実施形態の光ファイバ101及び光ファイバ301は、実施形態1と同じ効果を奏する。本実施形態の光ファイバ101及び光ファイバ301により構成される光増幅器も実施形態1の光増幅器と同じ効果を奏する。
【0047】
−製造方法C1−
本実施形態の光ファイバ101を製造する製造方法C1を、図5を参照にして説明する。
【0048】
まず石英パイプ61と、中心軸部分75にEr,Pr,Nd,Yb等の希土類元素を含有している石英円柱であるコア母材70,70,…を用意する。コア母材70の中心軸部分75にはGeも含有されている。
【0049】
それから石英パイプ61の中心の空孔部分に、コア母材70,70,…を挿入して詰め込む。さらにこの石英パイプ61をフッ素含有石英パイプ(低屈折率部材)76の中心の空孔部に入れて光ファイバ母材210を形成する。
【0050】
次に光ファイバ母材210を加熱し、柔らかくして中心軸方向に延伸すると、石英パイプ61とコア母材70,70,…との間の隙間、コア母材70とコア母材70との間の隙間、及び石英パイプ61とフッ素含有石英パイプ76との間の隙間がなくなり、図4に示す光ファイバ101が形成される。
【0051】
光増幅用の光ファイバ301は図30に示すように、コア母材70,70,…の替わりに中心軸部分475にGeとErとを含有している石英円柱であるコア母材470,470,…を用いて光ファイバ母材410が形成されることのみが光ファイバ101との製造方法と異なっており、それ以外の部分は同じである。
【0052】
−製造方法D1−
別の製造方法である製造方法D1を図6を参照して説明する。まず、石英ロッドを用意し、ロッド中心軸に沿って複数の孔をあける。孔は、石英ロッドの横断面において正六角形の各頂点とその中心に配置されるように開けられる。
【0053】
次に、孔を開けられた有孔石英ロッド63の孔に、複数のコア母材70,70,…を挿入する。コア母材70,70,…の外径は、孔の径よりも少し小さく設定されている。さらにこの有孔石英ロッド63をフッ素含有石英パイプ(低屈折率部材)76の中心の空孔部に入れて光ファイバ母材211を形成する。
【0054】
次に光ファイバ母材211を加熱し、柔らかくして中心軸方向に延伸すると、有孔石英ロッド63とコア母材70,70,…との間の隙間、及び有孔石英ロッド63とフッ素含有石英パイプ76との間の隙間がなくなり、図4に示す光ファイバ101が形成される。
【0055】
光増幅用の光ファイバ301は図31に示すように、コア母材70,70,…の替わりに中心軸部分475にGeとErとを含有している石英円柱であるコア母材470,470,…を用いて光ファイバ母材411が形成されることのみが光ファイバ101との製造方法と異なっており、それ以外の部分は同じである。
【0056】
−製造方法E1−
別の製造方法である製造方法E1を図7を参照して説明する。まず、二層構造石英ロッドを用意する。この二層構造石英ロッドは内層64が石英からなり、外層77がフッ素含有石英からなっている。この二層構造石英ロッドの内層64に、ロッド中心軸に沿って複数の孔をあける。孔は、石英ロッドの横断面において正六角形の各頂点とその中心に配置されるように開けられる。
【0057】
次に、孔を開けられた有孔二層構造石英ロッド78の孔に、複数のコア母材70,70,…を挿入して光ファイバ母材212を形成する。コア母材70,70,…の外径は、孔の径よりも少し小さく設定されている。
【0058】
次に光ファイバ母材212を加熱し、柔らかくして中心軸方向に延伸すると、有孔二層構造石英ロッド78とコア母材70,70,…との間の隙間がなくなり、図4に示す光ファイバ101が形成される。
【0059】
光増幅用の光ファイバ301は図32に示すように、コア母材70,70,…の替わりに中心軸部分475にGeとErとを含有している石英円柱であるコア母材470,470,…を用いて光ファイバ母材412が形成されることのみが光ファイバ101との製造方法と異なっており、それ以外の部分は同じである。
【0060】
<実施形態2の変形例1,2>
図8,9に本実施形態の変形例1,2に係る光ファイバ102,103の横断面を示す。これらの変形例は、第1クラッド21,22の形状が上記の実施形態と異なっており、それにより第2クラッド31の内周側形状も異なっているが、それ以外は上記の実施形態と同じであるので、同じところは説明を省略する。
【0061】
変形例1の光ファイバ102の第1クラッド21は、光ファイバ横断面において外周の円の一部が切り欠かれて、外周が円弧と弦との組合せとなっている。第2クラッド31の内周形状も円弧と弦との組合せであるが、外周形状は円である。
【0062】
上記の実施形態では、第1クラッド20の外周が円形であるので、第1クラッド20内部を進んでいく励起光の一部は、第1クラッド20と第2クラッド31との境界で反射を繰り返してコア10,10,…が存する範囲の外側の第1クラッド20部分のみを反射を繰り返しながら進んで行ってしまう、いわゆるスキュー光となってしまう。スキュー光が存在すると、励起光の強度分布は光ファイバ断面において均一となるのに比較的長い伝達経路が必要となる。しかしながら変形例1の光ファイバ102は実施形態1,2の光ファイバ100,101に比べて短いものであっても励起光の強度分布を均一とすることができる。
【0063】
また、上記の実施形態では、スキュー光はコアを通過しないので光の増幅に寄与しない。従って励起光の一部が無駄になってしまう。しかしながら変形例1の構造であれば、第1クラッドの外周部分が上述の形状であることにより、弦の部分での反射がスキュー光をコア方向へ進行させるようにするため、励起光の全てを光増幅に寄与させるようにできる。そして第1クラッドの面内での励起光強度の分布が均一になり、各コアにおいて利得がばらついてしまうことを抑制することができる。
【0064】
変形例2に係る光ファイバ103の第1クラッド22は、光ファイバ横断面において外周が正六角形となっている。この形状により、変形例2と同様にスキュー光の進行方向を変えることができる。従って、変形例1と同様の効果が得られる。
【0065】
<実施形態2の変形例3>
図10に本実施形態の変形例3に係る光ファイバ104の横断面図を示す。この変形例は第2クラッド32が上記の実施形態とは異なっており、それ以外は上記の実施形態と同じであるので、同じところは説明を省略する。
【0066】
変形例3の光ファイバ104に係る第2クラッド32は、石英ガラスにより構成されていると共に、第1クラッド20との境界部分に第1クラッド20を囲繞するように多数の空孔35,35,…が配置されている。空孔35,35,…は光ファイバ中心軸に沿って延びている。
【0067】
本変形例に係る光ファイバ104では、空孔35,35,…部分の屈折率が石英ガラスよりも小さいので、第1クラッド20に導入された光は第1クラッド20内に閉じ込められ、上記の実施形態1と同じ効果を奏する。コアに希土類元素が添加されている光ファイバにおいても同様の構造の場合、上記の実施形態1と同じ効果を奏する。
【0068】
(実施形態3)
実施形態3に係る光ファイバ110は、図11に示すように、実施形態1の光ファイバ100に光方向変更部40が加わったものである。
【0069】
本実施形態の光ファイバ110は7本のコア10,10,…が光ファイバ軸方向に伸びているマルチコア光ファイバである。光ファイバ横断面において各コア10,10,…は、正六角形の6つの頂点と中心とに位置するように配置されており、正六角形の中心は光ファイバの中心軸に略一致している。
【0070】
複数のコア10,10,…は、単一の第1クラッド20によってそれぞれの周囲を囲繞されている。第1クラッド20は光ファイバ横断面においては光ファイバ中心軸を中心とする円形であり、第1クラッド20内に複数のコア10,10,…および光方向変更部40が埋め込まれている。なお、各コア10,10,…および光方向変更部40は、外周を第1クラッド20に囲繞されているが、光ファイバ両端部においては第1クラッド20と共に露出している。つまり複数のコア10,10,…および光方向変更部40は光ファイバ端部を除いて単一の第1クラッド20内に存している。
【0071】
第1クラッド20は、第2クラッド30によって周囲を囲繞されている。第2クラッド30の外周は光ファイバ中心軸を中心とする円形であって、第2クラッド30は第1クラッド30の外周をほぼ均一な厚みの層が被覆している状態となっている。もちろん、光ファイバ両端部においては第1クラッド20の端面は第2クラッド30の端面と共に露出している。
【0072】
本実施形態の光ファイバ110においては、各コア10,10,…は石英にGeを添加したものから形成されている。第1クラッド20は石英から形成されている。第2クラッド30は第1クラッドよりも屈折率の低いシリコーン樹脂或いは第1クラッドよりも屈折率の低いアクリル樹脂から形成されている。このような構成であるため、コア10の屈折率が最も高く、次が第1クラッド20の屈折率であり、最も低いのが第2クラッド30の屈折率である。従って、コア10を伝搬する光は第1クラッド20によってコア10内に閉じ込められ、第1クラッド20を伝搬する光は第2クラッド30によって第1クラッド20及びコア10内に閉じ込められる。即ち、本実施形態の光ファイバ110はダブルクラッド光ファイバと呼ばれる構造を有している。
【0073】
第1クラッド20内に存する光方向変更部40は、各コア10,10,…のうち第2クラッド30に最も近いコア10(正六角形の頂点に存するコア)よりも第2クラッド30に近い位置に存しており、光ファイバ軸に沿って延びている。つまり光方向変更部40と第2クラッド30との距離は、複数のコア10,10,…と第2クラッド30との最短距離よりも小さい。この光方向変更部40は、フッ素含有石英ガラスからなっており、第1クラッド20よりも屈折率が小さい。また、コア10,10,…には希土類元素を添加していないので、コア10,10,…に含有されている希土類元素の量としては、全ての種類の希土類元素の和が10質量ppm以下である。即ち、検出される希土類元素の量は、不純物として混入していると考えられる程度の量である。
【0074】
この光ファイバ110は光増幅においてリレー光ファイバとして用いることができる。光増幅そのものは図33に示す、コア18,18,…に希土類元素(ここではEr)が添加された光増幅用の光ファイバ310により行われる。光増幅用の光ファイバ310はコア18,18,…に希土類元素が添加されていることが、リレー光ファイバとしての光ファイバ110と異なっており、他の構造、材質などは光ファイバ110と同じである。なお、光増幅用の光ファイバ310のコア18,18,…に添加されている希土類元素の濃度は、100〜30000質量ppmである。
【0075】
本実施形態の光ファイバ110では、第1クラッド20を進んでいく励起光のうち、第1クラッド20と第2クラッド30との境界で何度も反射してもコア10を通過しないいわゆるスキュー光は、光方向変更部40を通過すると、第1クラッド20と光方向変更部40との屈折率の差のため、進行方向を変更し、実施形態1の光ファイバよりも光ファイバの長さが小さくても励起光の強度分布が光ファイバ横断面において均一になる。
【0076】
また光増幅用の光ファイバ310では、光方向変更部40によってスキュー光がやがてコア10を通過するようになる。コア10を通過する励起光はErの働きによって信号光を増幅する。従って、上記の2種類の光ファイバ110,310を用いた光増幅器は実施形態1の光増幅器と同じ効果を奏し、さらに第1の光ファイバ510を実施形態1よりも短くすることができ、励起光の全てを光増幅に寄与するようにできる。そして第1クラッドの面内での励起光強度が均一になり、各コア18,18,…において利得がばらついてしまうことを抑制することができる。
【0077】
本実施形態の光ファイバ110は、実施形態1の効果に加えて、光方向変更部40が第1クラッド20の外層側に存していてスキュー光をコア方向へ進行させるようにするため、光ファイバ長さが短くても励起光強度分布を均一にすることができる。また光ファイバ310も実施形態1の効果に加えて、励起光を全て光増幅に利用することができ、効率よい光増幅ができる。そして第1クラッド20の面内での励起光強度が均一になり、各コア18,18,…において利得がばらついてしまうことを抑制することができる。また、実施形態1の変形例1,2では光ファイバ102,103と他の光ファイバを融着接続する場合に第1クラッド21,22が表面張力のため光ファイバ横断面において円形になろうとしてコアの位置がずれてしまい、接続損失が生じるようになるが、本実施形態の光ファイバ110は第1クラッド20が光ファイバ横断面において円形であるため、コアの位置ずれによる接続損失は生じない。
【0078】
次に本実施形態の光ファイバ110及び光ファイバ310の製造方法について説明する。
【0079】
−製造方法A2−
製造方法A2では、図12(a)に示すように、まず石英パイプ60と、中心軸部分75に希土類元素を含有している石英円柱であるコア母材70,70,…とフッ素含有石英ロッド80とを用意する。コア母材70の中心軸部分75にはGeも含有されている。
【0080】
それから石英パイプ60の中心の空孔部分に、コア母材70,70,…を正六角形配置に挿入して詰め込み、その正六角形の外側の隙間にフッ素含有石英ロッド80を詰め込んで光ファイバ母材204を作製する。
【0081】
次に光ファイバ母材204を加熱し、柔らかくして中心軸方向に延伸すると、石英パイプ60とコア母材70,70,…との間の隙間、石英パイプ60とフッ素含有石英ロッド80との間の隙間、コア母材70,70とフッ素含有石英ロッド80との間の隙間及びコア母材70とコア母材70との間の隙間がなくなり、図12(b)に示す光ファイバ前駆体203が形成される。
【0082】
その次に、光ファイバ前駆体203の外周にシリコーン樹脂あるいはアクリル樹脂を塗布することにより、光ファイバ前駆体203をシリコーン樹脂あるいはアクリル樹脂によって被覆する。こうして図11に示す光ファイバ110が出来上がる。
【0083】
光増幅用の光ファイバ310は図34に示すように、コア母材70,70,…の替わりに中心軸部分475にGeとErとを含有している石英円柱であるコア母材470,470,…を用いて光ファイバ母材404が作成され、Erをコア18部分に含有する光ファイバ前駆体403が形成されることのみが光ファイバ110との製造方法と異なっており、それ以外の部分は同じである。
【0084】
−製造方法B2−
別の製造方法である製造方法B2を図13を参照して説明する。まず、石英ロッドを用意し、ロッド中心軸に沿って複数の孔をあける。孔は、石英ロッドの横断面において正六角形の各頂点とその中心及び正六角形配置の外側に配置されるように開けられる。
【0085】
次に、孔を開けられた有孔石英ロッド65の孔に、複数のコア母材70,70,…及び正六角形配置の外側の孔にフッ素含有石英ロッド80を挿入して光ファイバ母材206を作製する。コア母材70,70,…及びフッ素含有石英ロッド80の外径は、孔の径よりも少し小さく設定されている。
【0086】
光ファイバ母材206を加熱し、柔らかくして中心軸方向に延伸すると、有孔石英ロッド62とコア母材70,70,…との間の隙間、及び有孔石英ロッド62とフッ素含有石英ロッド80との間の隙間がなくなり、光ファイバ前駆体203ができあがる。
【0087】
その次に、光ファイバ前駆体203の外周にシリコーン樹脂あるいはアクリル樹脂を塗布することにより、光ファイバ前駆体203をシリコーン樹脂あるいはアクリル樹脂によって被覆する。こうして図11に示す光ファイバ110が出来上がる。
【0088】
光増幅用の光ファイバ310は図35に示すように、コア母材70,70,…の替わりに中心軸部分475にGeとErとを含有している石英円柱であるコア母材470,470,…を用いて光ファイバ母材406が作成され、Erをコア18部分に含有する光ファイバ前駆体403が形成されることのみが光ファイバ110との製造方法と異なっており、それ以外の部分は同じである。
【0089】
<実施形態3の変形例>
図14に本実施形態の変形例に係る光ファイバ120の横断面図を示す。この変形例はコア11,11,…の数と配置が上記の実施形態とは異なっており、それ以外は上記の実施形態と同じであるので、同じところは説明を省略する。
【0090】
本変形例の光ファイバ120に係るコア11,11,…は光ファイバ横断面において、正方形の各辺に3つ、中心に1つの9つの位置のうち、一つの頂点を除いた8つの位置に配置されており、正方形の中心が光ファイバ中心軸に略一致している。コア11,11,…の材質は、上記の実施形態と同じく、石英にGeとErを添加したものである。光方向変更部40はコア11が存していない正方形の頂点の近辺であってその頂点よりも第2クラッド30に近い位置に配置されている。
【0091】
本変形例の光ファイバ120は上記の実施形態3の効果と同様の効果を奏する。この変形例においてコアに希土類元素を添加して光増幅機能を持たせてもよい。
【0092】
(実施形態4)
実施形態4に係る光ファイバ111の断面を図15に示す。本実施形態の光ファイバ111と実施形態3の光ファイバ110との違いは、第2クラッド31と、光方向変更部40,41が2つあるところとにあり、その他は同じであるので、実施形態3と異なっているところを主として説明する。
【0093】
本実施形態の光ファイバ111は、純粋石英ガラスからなる第1クラッド20の周囲を囲繞する第2クラッド31がフッ素含有石英ガラスからなっている。第2クラッド31はフッ素含有石英ガラスであるため、純粋の石英よりも屈折率が低くなる。従って、実施形態3と同じように第1クラッド20を通過していく励起光が第2クラッド31により第1クラッド20内に閉じ込められる。
【0094】
本実施形態では、フッ素含有石英ガラスからなる光方向変更部40と、光ファイバ中心軸に沿って延びる空孔である光方向変更部41との2種類の光方向変更部40,41が存している。2つの光方向変更部40,41は、コア10,10,…が形成する正六角形の隣り合う2辺の外側にそれぞれ存している。これにより、スキュー光の進行方向をより効率的に変更することができると同時に、他の光ファイバとの接続の場合のコアの順序を示すマーカーとなる。即ち、2種類の光方向変更部40,41は光ファイバ端面において見え方が異なって2つを識別することができ、光ファイバ中心軸を含む面において線対称とならないのでマーカーとして使用可能となる。そのため、光ファイバの両端のどちらを見ても、各コア10,10,…を一つ一つ個別に特定できる。
【0095】
図36に示す本実施形態の光増幅機能を備えた光ファイバ311は、コア18,18,…に希土類元素が添加されていることが、上記の光ファイバ111と異なっており、他の構造、材質などは光ファイバ111と同じである。なお、光増幅用の光ファイバ310のコア18,18,…に添加されている希土類元素の濃度は、100〜30000質量ppmである。
【0096】
本実施形態の光ファイバ111を、図25に示す第1の光ファイバ510として用い、光ファイバ311を第2の光ファイバ520として用いて光増幅器を作成する場合、実施形態1の光増幅器と同じ効果を奏する上に、Aにおける接続を、2種類の光方向変更部40,41をマーカーとして用いることにより容易に行うことができる。
【0097】
以上より、本実施形態の光ファイバ111及び光ファイバ311は実施形態3の光ファイバ110及び光ファイバ310と同様な効果を奏し、さらに、実施形態3の効果に加えて、他の光ファイバとの接続の際に光方向変更部40,41を、コア10,10,…及びコア18,18,…それぞれを個別に識別できるマーカーとして利用することができる。
【0098】
−製造方法C2−
本実施形態の光ファイバ111を製造する製造方法C2を、図16を参照にして説明する。
【0099】
まず石英パイプ61と、中心軸部分75に希土類元素を含有している石英円柱であるコア母材70,70,…と、フッ素含有石英ロッド80と、石英キャピラリ82とを用意する。コア母材70の中心軸部分75にはGeも含有されている。石英キャピラリ82の両端は封止されて閉じられている。
【0100】
それから石英パイプ61の中心の空孔部分に、まず7本のコア母材70,70,…を挿入して詰め込み、コア部材70,70と石英パイプ61との間にフッ素含有石英ロッド80と石英キャピラリ82とを詰め込む。フッ素含有石英ロッド80と石英キャピラリ82とは、1本のコア部材70を間に挟む位置に配置させる。
【0101】
さらにこの石英パイプ61をフッ素含有石英パイプ(低屈折率部材)76の中心の空孔部に入れて光ファイバ母材220を形成する。
【0102】
次に光ファイバ母材220を加熱し、柔らかくして中心軸方向に延伸すると、石英パイプ61とコア母材70,70,…との間の隙間、コア母材70とコア母材70との間の隙間、石英パイプ61、コア母材70とフッ素含有石英ロッド80との間の隙間、石英パイプ61、コア母材70と石英キャピラリ80との間の隙間、及び石英パイプ61とフッ素含有石英パイプ76との間の隙間がなくなり、図15に示す光ファイバ111が形成される。
【0103】
光増幅用の光ファイバ311は図37に示すように、コア母材70,70,…の替わりに中心軸部分475にGeとErとを含有している石英円柱であるコア母材470,470,…を用いて光ファイバ母材420が形成されることのみが光ファイバ111との製造方法と異なっており、それ以外の部分は同じである。
【0104】
−製造方法D2−
別の製造方法である製造方法D2を図17を参照して説明する。まず、石英ロッドを用意し、ロッド中心軸に沿って複数の孔をあける。孔は、石英ロッドの横断面において正六角形の各頂点とその中心及び正六角形配置の外側に2つ配置されるように開けられる。
【0105】
次に、孔を開けられた有孔石英ロッド63’の孔に、複数のコア母材70,70,…及び正六角形配置の外側の孔にフッ素含有石英ロッド80と石英キャピラリ82を挿入する。コア母材70,70,…、フッ素含有石英ロッド80、石英キャピラリ82の外径は、孔の径よりも少し小さく設定されている。また石英キャピラリ82の両端は封止されて閉じられている。
【0106】
さらにこの有孔石英ロッド63’をフッ素含有石英パイプ(低屈折率部材)76の中心の空孔部に入れて光ファイバ母材221を形成する。
【0107】
次に光ファイバ母材221を加熱し、柔らかくして中心軸方向に延伸すると、有孔石英ロッド63’とコア母材70,70,…との間の隙間、有孔石英ロッド63’と石英キャピラリ82との間の隙間、有孔石英ロッド63’とフッ素含有石英ロッド80との間の隙間及び有孔石英ロッド63’とフッ素含有石英パイプ76との間の隙間がなくなり、図15に示す光ファイバ111が形成される。
【0108】
光増幅用の光ファイバ311は図38に示すように、コア母材70,70,…の替わりに中心軸部分475にGeとErとを含有している石英円柱であるコア母材470,470,…を用いて光ファイバ母材421が形成されることのみが光ファイバ111との製造方法と異なっており、それ以外の部分は同じである。
【0109】
−製造方法E2−
別の製造方法である製造方法E2を図18を参照して説明する。まず、二層構造石英ロッドを用意する。この二層構造石英ロッドは内層64が石英からなり、外層77がフッ素含有石英からなっている。この二層構造石英ロッドの内層64に、ロッド中心軸に沿って複数の孔をあける。孔は、石英ロッドの横断面において正六角形の各頂点とその中心及び正六角形配置の外側に2つに配置されるように開けられる。
【0110】
次に、孔を開けられた有孔二層構造石英ロッド78’の孔に、複数のコア母材70,70,…及び正六角形配置の外側の孔にフッ素含有石英ロッド80と石英キャピラリ82を挿入して光ファイバ母材222を形成する。コア母材70,70,…、フッ素含有石英ロッド80、石英キャピラリ82の外径は、孔の径よりも少し小さく設定されている。また石英キャピラリ82の両端は封止されて閉じられている。
【0111】
次に光ファイバ母材222を加熱し、柔らかくして中心軸方向に延伸すると、有孔二層構造石英ロッド78’とコア母材70,70,…との間の隙間、有孔二層構造石英ロッド78’と石英キャピラリ82との間の隙間及び有孔二層構造石英ロッド78’とフッ素含有石英ロッド80との間の隙間がなくなり、図15に示す光ファイバ111が形成される。
【0112】
光増幅用の光ファイバ311は図39に示すように、コア母材70,70,…の替わりに中心軸部分475にGeとErとを含有している石英円柱であるコア母材470,470,…を用いて光ファイバ母材422が形成されることのみが光ファイバ111との製造方法と異なっており、それ以外の部分は同じである。
【0113】
<実施形態4の変形例>
−変形例a−
図19に本実施形態の変形例aに係る光ファイバ121の横断面図を示す。この変形例は光方向変更部40a,40b,40cの種類、数、配置が上記の実施形態とは異なっており、それ以外は上記の実施形態と同じであるので、同じところは説明を省略する。
【0114】
本変形例の光ファイバ121に係る光方向変更部40a,40b,40cは3つ存しており、いずれもフッ素含有石英からなっている。一つの光方向変更部40aは、コア10,10が形成する正六角形の一つの辺の外側に存し、残りの二つの光方向変更部40b,40cはその隣の辺の外側に存している。このような配置により、光方向変更部40a,40b,40cを他の光ファイバとの融着接続するためのマーカーとして使用することができ、光ファイバの両端のどちらを見ても、各コア10,10,…を一つ一つ個別に特定できる。
【0115】
本変形例の光ファイバ121は上記の実施形態4の効果と同様の効果を奏する。コアに希土類元素が添加されている光ファイバにおいてもこの変形例と同様の構造の場合、上記の実施形態4と同じ効果を奏する。
【0116】
−変形例b−
図20に本実施形態の変形例bに係る光ファイバ122の横断面図を示す。この変形例はコア12,12,…の数と配置及び光方向変更部40の数、種類、配置が上記の実施形態とは異なっており、それ以外は上記の実施形態と同じであるので、同じところは説明を省略する。
【0117】
本変形例の光ファイバ122に係る4つのコア12,12,…は、光ファイバ横断面において正方形の各頂点に位置しており、正方形の中心が光ファイバ中心軸に略一致している。コア12,12,…の材質は、上記の実施形態と同じく、石英にGeとErを添加したものである。
【0118】
光方向変更部40はコア12,12,…が形成する正方形の一つの辺の延長線上に位置している。このような配置により、光方向変更部40を他の光ファイバとの融着接続するためのマークとして使用することができ、光ファイバの両端のどちらを見ても、各コア12,12,…を一つ一つ個別に特定できる。
【0119】
本変形例の光ファイバ122は上記の実施形態4の効果と同様の効果を奏する。コアに希土類元素が添加されている光ファイバにおいてもこの変形例と同様の構造の場合、上記の実施形態4と同じ効果を奏する。
【0120】
−変形例c−
図21に本実施形態の変形例cに係る光ファイバ123の横断面図を示す。この変形例はコア13,13,…の数と配置及び光方向変更部40の数、種類、配置が上記の実施形態とは異なっており、それ以外は上記の実施形態と同じであるので、同じところは説明を省略する。
【0121】
本変形例の光ファイバ123に係る5つのコア13,13,…は、光ファイバ横断面において正方形の中心と各頂点とに位置しており、正方形の中心が光ファイバ中心軸に略一致している。コア13,13,…の材質は、上記の実施形態と同じく、石英にGeとErを添加したものである。
【0122】
光方向変更部40はコア13,13,…が形成する正方形の一つの辺のほぼ延長線上に位置している。このような配置により、光方向変更部40を他の光ファイバとの融着接続するためのマーカーとして使用することができ、光ファイバの両端のどちらを見ても、各コア13,13,…を一つ一つ個別に特定できる。
【0123】
本変形例の光ファイバ123は上記の実施形態4の効果と同様の効果を奏する。コアに希土類元素が添加されている光ファイバにおいてもこの変形例と同様の構造の場合、上記の実施形態4と同じ効果を奏する。
【0124】
−変形例d−
図22に本実施形態の変形例dに係る光ファイバ124の横断面図を示す。この変形例はコア14,14,…の数と配置及び光方向変更部40の数、種類、配置が上記の実施形態とは異なっており、それ以外は上記の実施形態と同じであるので、同じところは説明を省略する。
【0125】
本変形例の光ファイバ124に係る9つのコア14,14,…は、光ファイバ横断面において正方形の各辺に3つ、中心に1つの9つの位置に存しており、正方形の中心が光ファイバ中心軸に略一致している。コア14,14,…の材質は、上記の実施形態と同じく、石英にGeとErを添加したものである。
【0126】
光方向変更部40はコア14,14,…が形成する正方形の一つの辺の外方であって隣り合う2つのコア14,14からほぼ等距離の位置に配置されている。このような配置により、光方向変更部40を他の光ファイバとの融着接続するためのマークとして使用することができ、光ファイバの両端のどちらを見ても、各コア14,14,…を一つ一つ個別に特定できる。
【0127】
本変形例の光ファイバ124は上記の実施形態4の効果と同様の効果を奏する。コアに希土類元素が添加されている光ファイバにおいてもこの変形例と同様の構造の場合、上記の実施形態4と同じ効果を奏する。
【0128】
−変形例e−
図23に本実施形態の変形例eに係る光ファイバ125の横断面図を示す。この変形例はコア15,15,…の数と配置及び光方向変更部40の数、種類、配置が上記の実施形態とは異なっており、それ以外は上記の実施形態と同じであるので、同じところは説明を省略する。
【0129】
本変形例の光ファイバ125に係る8つのコア15,15,…は、光ファイバ横断面において正方形の各辺に3つずつ配置された位置に存しており、正方形の中心が光ファイバ中心軸に略一致している。コア15,15,…の材質は、上記の実施形態と同じく、石英にGeとErを添加したものである。
【0130】
光方向変更部40はコア15,15,…が形成する正方形の一つの辺の外方であって隣り合う2つのコア15,15からほぼ等距離の位置に配置されている。このような配置により、光方向変更部40を他の光ファイバとの融着接続するためのマーカーとして使用することができ、光ファイバの両端のどちらを見ても、各コア15,15,…を一つ一つ個別に特定できる。
【0131】
本変形例の光ファイバ125は上記の実施形態4の効果と同様の効果を奏する。コアに希土類元素が添加されている光ファイバにおいてもこの変形例と同様の構造の場合、上記の実施形態4と同じ効果を奏する。
【0132】
(その他の実施形態)
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されず、これらの例に周知技術や慣用技術、公知技術を組み合わせたり、一部置き換えたりしてもよい。実施形態、実施例同士を組み合わせても構わない。例えば第2クラッドの外側にさらにサポートのための第3のクラッドを設けても構わない。上述の実施形態の光増幅用の光ファイバにおいて、各光ファイバの複数のコアのうち、全てのコアに希土類元素が添加されていなくてもよく、1つの光ファイバにおいて少なくとも1本のコアに希土類元素が含まれていればよい。光増幅器の構成も図25の構成に限定されず、例えば励起光源は1つでもよいし、信号光と励起光とを同時に一つの合波器で合波しなくてもよい。合波器は、光ファイバカプラ、光ファイバを使用したコンバイナ、レンズ等で構成される空間光学系などを用いることができる。
【0133】
実施形態1の変形例2において、第1クラッドの外周形状は正六角形以外の他の多角形形状であってもよい。
【0134】
コアに添加する希土類元素は、Erに限定されずYb、Nd、Pr等どのような希土類元素でも構わない。希土類元素の種類によって信号光および励起光の波長が異なる。
【0135】
コア、第1クラッドおよび第2クラッドの屈折率は、用いる信号光の波長における屈折率であるが、本願発明では可視光から近赤外光の範囲における屈折率である。
【0136】
フッ素含有石英の替わりにホウ素含有石英を用いてもよい。ただし、ホウ素含有石英を用いると、周囲の石英に対して応力を付与して影響を与えるため、フッ素含有石英の方が好ましい。
【0137】
光方向変更部に用いる材質は、第1クラッドよりも屈折率が高いものであっても、スキュー光を消滅させるので、高屈折率の部材を用いても構わない。ただ、光方向変更部に第1クラッドよりも屈折率が高い材質が用いられていると、光方向変更部もコアとして機能してしまい、他のコアとの摂動が発生してしまう。
【0138】
光方向変更部としてフッ素含有石英の替わりに空孔を用いてもよい。
【0139】
実施形態4の各変形例において、第2クラッドを実施形態3の樹脂としてもよい。
【0140】
実施形態4及びその変形例において光方向変更部の光ファイバ横断面における位置及び数は、光ファイバの両端のどちらから見ても各コアを一つ一つ個別に特定できるのであれば特に位置・数は限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0141】
以上説明したように、本発明に係る光ファイバは、光増幅器等に用いられる光ファイバとして有用である。
【符号の説明】
【0142】
10 コア
11 コア
12 コア
13 コア
14 コア
15 コア
18 コア
20,21,22 第1クラッド
30 第2クラッド
31,32 第2クラッド
35 空孔
40 光方向変更部
40a,40b,40c 光方向変更部
41 光方向変更部
60 石英パイプ
61 石英パイプ
62,63,63’,65 有孔石英ロッド
64 内層
70 コア母材
75 中心軸部分
76 フッ素含有石英パイプ(低屈折率部材)
77 外層
78,78’ 有孔二層構造石英ロッド
80 フッ素含有石英ロッド
82 石英キャピラリ
100 光ファイバ
101 光ファイバ
102,103,104 光ファイバ
110,120 光ファイバ
111 光ファイバ
121,122 光ファイバ
123,124 光ファイバ
125 光ファイバ
200 光ファイバ母材
201,203 光ファイバ前駆体
202,206 光ファイバ母材
210,211,212 光ファイバ母材
220,221,222 光ファイバ母材
300,301 光ファイバ
310,311 光ファイバ
400 光ファイバ母材
401,403 光ファイバ前駆体
410,411,412 光ファイバ母材
420,421,422 光ファイバ母材
470 コア母材
475 中心軸部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類元素を実質的に含有していない複数のコアと、前記複数のコアの周囲を囲繞する第1クラッドと、前記第1クラッドの周囲を囲繞する第2クラッドとを備え、
前記複数のコアのいずれのコアよりも前記第1クラッドの方が屈折率が低く、
前記第1クラッドよりも前記第2クラッドの方が屈折率が低い、
光ファイバ。
【請求項2】
前記第1クラッドは、光ファイバ横断面において円形であり、
前記第1クラッド内に、該第1クラッドとは屈折率が異なるとともに光ファイバ軸方向に沿って延びる光方向変更部が存している、請求項1に記載されている光ファイバ。
【請求項3】
前記光方向変更部は、前記複数のコアのうち前記第2クラッドに最も近いコアよりも該第2クラッドに近い位置に存している、請求項2に記載されている光ファイバ。
【請求項4】
前記光方向変更部は、前記第1クラッドよりも屈折率が低い、請求項3に記載されている光ファイバ。
【請求項5】
前記光方向変更部は、複数であって、それぞれが光ファイバ中心軸を含む面において線対称とならない、請求項2に記載されている光ファイバ。
【請求項6】
石英パイプの空孔部分に、フッ素含有石英ロッド、ホウ素含有石英ロッド及び石英キャピラリから選ばれたもの少なくとも1本と、中心軸部分に希土類元素を実質的に含有していない複数の石英円柱とを挿入して光ファイバ母材を形成する工程と、
前記光ファイバ母材を加熱し延伸して光ファイバ前駆体を形成する工程と、
前記光ファイバ前駆体の外周を石英よりも屈折率の低い樹脂により被覆する工程と
を含む、
光ファイバの製造方法。
【請求項7】
石英ロッドに、ロッド中心軸に沿った複数の孔を開ける工程と、
前記複数の孔に、フッ素含有石英ロッド、ホウ素含有石英ロッド及び石英キャピラリから選ばれたもの少なくとも1本と、中心軸部分に希土類元素を実質的に含有していない複数の石英柱とを挿入して光ファイバ母材を形成する工程と、
前記光ファイバ母材を加熱し延伸して光ファイバ前駆体を形成する工程と、
前記光ファイバ前駆体の外周を石英よりも屈折率の低い樹脂により被覆する工程と
を含む、
光ファイバの製造方法。
【請求項8】
石英パイプの空孔部分に、フッ素含有石英ロッド、ホウ素含有石英ロッド及び石英キャピラリから選ばれたもの少なくとも1本と、中心軸部分に希土類元素を実質的に含有していない複数の石英柱とを挿入し、前記石英パイプの外周を石英よりも屈折率の低い低屈折率部材で囲繞して光ファイバ母材を形成する工程と、
前記光ファイバ母材を加熱し延伸する工程と
を含む、
光ファイバの製造方法。
【請求項9】
石英ロッドに、ロッド中心軸に沿った複数の孔を開ける工程と、
前記複数の孔に、フッ素含有石英ロッド、ホウ素含有石英ロッド及び石英キャピラリから選ばれたもの少なくとも1本と、中心軸部分に希土類元素を実質的に含有していない複数の石英柱とを挿入し、前記石英ロッドの外周を石英よりも屈折率の低い低屈折率部材で囲繞して光ファイバ母材を形成する工程と、
前記光ファイバ母材を加熱し延伸する工程と
を含む、
光ファイバの製造方法。
【請求項10】
外層側がフッ素又はホウ素を含有した石英あるいは中心軸に沿って延びる複数の孔を備えた石英からなり、内層側が石英からなる二層構造石英ロッドを用意する工程と、
前記二層構造石英ロッドの内層側に、ロッド中心軸に沿った複数の孔を開ける工程と、
前記複数の孔に、フッ素含有石英ロッド、ホウ素含有石英ロッド及び石英キャピラリから選ばれたもの少なくとも1本と、中心軸部分に希土類元素を実質的に含有していない複数の石英柱とを挿入して光ファイバ母材を形成する工程と、
前記光ファイバ母材を加熱し延伸する工程と
を含む、
光ファイバの製造方法。
【請求項11】
第1の光ファイバと第2の光ファイバとを備え、
前記第1の光ファイバは、
希土類元素を実質的に含有していない複数のコアと、前記複数のコアの周囲を囲繞する第1クラッドと、前記第1クラッドの周囲を囲繞する第2クラッドとを備え、
前記複数のコアのいずれのコアよりも前記第1クラッドの方が屈折率が低く、
前記第1クラッドよりも前記第2クラッドの方が屈折率が低く、
前記第2の光ファイバは、
複数のコアと、前記複数のコアの周囲を囲繞する第1クラッドと、前記第1クラッドの周囲を囲繞する第2クラッドとを備え、
前記複数のコアの少なくとも一つには希土類元素が含まれており、
前記複数のコアのいずれのコアよりも前記第1クラッドの方が屈折率が低く、
前記第1クラッドよりも前記第2クラッドの方が屈折率が低い、
光増幅器。
【請求項12】
前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとは端部同士が接続されている、請求項10に記載されている光増幅器。
【請求項13】
光ファイバ横断面において、前記第1クラッドの外周の形状は、円弧と弦との組合せ又は多角形である、請求項1に記載されている光ファイバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2013−33863(P2013−33863A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169427(P2011−169427)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/革新的光ファイバ技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】