光ファイバガスセンサを備えた感知システム
【課題】感知システム及びセンサに関し、さらに詳しくは、温度補正ガス濃度の測定を可能にする格子型光ファイバガスセンサのアレイを備えた感知システム。
【解決手段】光ファイバガスセンサ(20)は、ファイバコア(32)並びにファイバコアの回りに配置された、相異なる振幅変調プロファイルを有する第1及び第2の屈折率周期変調格子構造(36、38)を含んでいる。第1及び第2の屈折率周期変調格子構造の回りにはファイバクラッディング(40)が配置されている。一方の屈折率周期変調格子構造のファイバクラッディングの回りには感知層(42)が配置されている。感知層は、ナノPdOx、ナノPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)又はナノPd/Au/WOxのようなPd基合金からなる感知材料を含んでいる。かかる光ファイバガスセンサは、燃焼環境から局部温度補正ガス濃度及び組成を測定することを可能にする。
【解決手段】光ファイバガスセンサ(20)は、ファイバコア(32)並びにファイバコアの回りに配置された、相異なる振幅変調プロファイルを有する第1及び第2の屈折率周期変調格子構造(36、38)を含んでいる。第1及び第2の屈折率周期変調格子構造の回りにはファイバクラッディング(40)が配置されている。一方の屈折率周期変調格子構造のファイバクラッディングの回りには感知層(42)が配置されている。感知層は、ナノPdOx、ナノPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)又はナノPd/Au/WOxのようなPd基合金からなる感知材料を含んでいる。かかる光ファイバガスセンサは、燃焼環境から局部温度補正ガス濃度及び組成を測定することを可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に感知システム及びセンサに関し、さらに詳しくは、温度補正ガス濃度の測定を可能にする格子型光ファイバガスセンサのアレイを備えた感知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、合成ガス(一酸化炭素(CO)と混合した水素(H2))を燃料として用いるタービンをを備えた動力発生システムが建造されている。合成ガスは、石炭ガス化器又は他の工業プロセスを用いて生成できる。今日のガスタービンはまた、一層良好な操作性、効率又は排出物制御を達成するため、動力発生用の燃料として天然ガス(NG)とH2のブレンドも使用できる。通例、タービンで使用される燃料の流れは、主としてメタン(CH4)である天然ガス(NG)、窒素(N2)や一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)のような希釈剤、並びにエタン(C2H6)やプロパン(C3H8)のような高分子量炭化水素を含み得る。水素含有燃料は、低率のH2を天然ガス中にブレンドしたもの、或いは高率のH2をNG及び/又は他の希釈剤と混合したもの、或いはH2とCOとの合成ガス混合物であり得る。かかる用途に関しては、タービンの出力及び効率に対する影響を効果的に制御するため、燃焼させる燃料の組成をモニタすることが不可欠となる。特に、H2に富む合成ガス又はH2をブレンドしたNGをガスタービン用の燃料として使用する場合、出力、排出物及び効率要件がもたらす所要の燃焼性能が得られるように制御するため、燃料組成をオンラインでモニタする必要がある。
【0003】
既存のH2感知技術は、いくつかの理由から、直接のオンラインH2濃度又は組成モニタリングのためには多くが不適当である。1つの理由は、高いH2濃度のため、かかる通常の可燃ガスセンサは飽和してしまうことである。クロマトグラフィー、質量分析計、ラマン分光器、リングダウン分光計などの分光方式の測定器のみはオフラインで使用できるが、オンラインH2濃度又は組成測定のためには使用できない。同時に、かかるバルキーな専用の分光測定式センサを、燃料品質のリアルタイムオンラインモニタリング/分析のため、特に石炭ガス化器及び合成ガス又は天然ガス燃焼器の苛酷な環境中に配備するのが困難なことは自明である。赤外線式、電気化学式、金属酸化物半導体式の可燃ガス検出装置のような数種の常用可燃ガスセンサが存在しているが、これらは水素ガスに対して感受性を有しないか、高い濃度で飽和するか、或いは苛酷な環境中に配備できない。
【0004】
H2に富む合成ガスの分析のためには、光ファイバエバネッセント場式近赤外レーザ吸光法のような他の光学的方法も開発されている。通常、これらのガス感知装置は透明な媒体及び感熱性光学部品の設置を必要とする。したがって、ガスタービン、燃焼器、ガス化器などの環境中における動力発生性能についてのオンライン合成ガス分析並びに動力発生効率の制御及び最適化のための実用的な解決策を得ることが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7151872号明細書
【特許文献2】米国特許第5783152号明細書
【特許文献3】米国特許第5708735号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0215959号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0169807号明細書
【発明の概要】
【0006】
一態様では、局部ガス濃度の温度補正測定を可能にする光ファイバガスセンサであって、軸線を有するファイバコア、局部ガス濃度を感知するためにファイバコアの回りに配置された、第1の振幅変調プロファイルを有する第1の屈折率周期変調格子構造、局部温度を感知するために軸線に沿って第1の屈折率周期変調格子構造から距離を置いてファイバコアの回りに配置された、第2の振幅変調プロファイルを有する第2の屈折率周期変調格子構造、第1及び第2の屈折率周期変調格子構造の回りに配置されたファイバクラッディング、並びに第1の屈折率周期変調格子構造のファイバクラッディングの回りに配置された感知層であって、ナノPdOx、ナノPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)及びナノPd/Au/WOxからなる群から選択される感知材料を含む感知層を含んでなる光ファイバガスセンサが提供される。
【0007】
別の態様では、局部ガス濃度の温度補正測定を可能にする光ファイバガスセンサであって、軸線を有するファイバコア、局部ガス濃度を感知するためにファイバコアの回りに配置された、第1の振幅変調プロファイルを有する長周期ファイバ格子構造、局部温度を感知するために軸線に沿って長周期ファイバ格子構造から距離を置いてファイバコアの回りに配置された、第2の振幅変調プロファイルを有する短周期ファイバ格子構造、長周期及び短周期ファイバ格子構造の回りに配置されたファイバクラッディング、並びに長周期ファイバ格子構造のファイバクラッディングの回りに配置された感知層であって、ナノPdOx、ナノPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)及びナノPd/Au/WOxからなる群から選択される感知材料を含む感知層を含んでなる光ファイバガスセンサが提供される。
【0008】
さらに別の態様では、1以上の光ファイバガスセンサ、各光ファイバガスセンサに機能的に結合されたFC/APCコネクタ、並びにFC/APCコネクタに機能的に結合された光スプリッタ/コンバイナ及び光スイッチの一方を含んでなる感知システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、動力発生システムの運転条件及び/又はパラメータをモニタするために本発明の光ファイバガスセンサ(FGS)を含む感知システムの略図である。
【図2】図2は、図1に示した光ファイバガスセンサの略図である。
【図3】図3は、図2に示したガスセンサの長周期格子(LPG)構造の部分断面図である。
【図4】図4は、反射式ガス感知システムにおける多点ガス感知のための光ファイバガスセンサ(FGS)の分布方法の略図である。
【図5】図5は、透過式ガス感知システムにおける多点ガス感知のための光ファイバガスセンサ(FGS)の分布方法の略図である。
【図6】図6は、N2と混合した75%のH2濃度を有する131°Fのガスに関し、本発明の光ファイバガスセンサを通して伝送される信号の波長を時間に対してプロットしたグラフである。
【図7】図7は、本発明の光ファイバガスセンサから得られた、様々な水素濃度及び高温での波長シフトを示すグラフである。
【図8】図8は、N2と混合した75%のH2濃度を有する131°Fのガスに関し、本発明の光ファイバガスセンサを通して伝送される信号の伝送電力損失を時間に対してプロットしたグラフである。
【図9】図9は、高温で様々な水素濃度に対する本発明の光ファイバガスセンサの応答時間を示すグラフである。
【図10】図10は、高温で様々な水素濃度に対する本発明のファイバガスセンサの回復時間を表すグラフである。
【図11】図11は、約5%のH2をCH4及び他の炭化水素ガスとブレンドしてなる約104°Fの燃料によって誘起された本発明の光ファイバガスセンサの波長シフト応答を表すグラフである。
【図12】図12は、約5%のH2をCH4及び他の炭化水素ガスとブレンドしてなる約104°Fの燃料によって誘起された本発明の光ファイバガスセンサの伝送電力損失応答を表すグラフである。
【図13】図13は、約50%のH2を約50%の天然ガス(NG)とブレンドしてなる室温の燃料によって誘起された本発明の光ファイバガスセンサの波長シフトを表すグラフである。
【図14】図14は、約52%のH2を約48%の天然ガス(NG)とブレンドしてなる室温の燃料によって誘起された本発明の光ファイバガスセンサの波長シフトを表すグラフである。
【図15】図15は、本発明の光ファイバガスセンサを用いたガスタービン用燃料デリバリ制御システムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず図1を参照すれば、本発明の一実施形態に係る感知システム10が略示されている。一般に、感知システム10は光カップラ又はサーキュレータ14と光伝送可能な状態にあるチューナブル広帯域光源のような光源12を含んでいる。光カップラ14は光源12から伝送される光を受光し、その光の一部を光ファイバケーブル16を通して伝送する。光ファイバケーブル16を通過した光は、本発明に係る1以上の光ファイバガスセンサ(一般的に20として示す)に入る。光ファイバガスセンサ20の下流に位置する光検出器22は、光ファイバケーブル24を通してガスセンサ20から伝送される光を受光する。光カップラ14によって反射された光の一部もまた、光ファイバケーブル26を通して光検出器22により受光される。光ファイバガスセンサ20が発生した光信号は、コンピュータ28で処理され及び/又はコンピュータ28に送信される。一実施形態では、1以上の光ファイバガスセンサ20から受光した光信号に応答して光検出器22が発生した電気信号がワイヤレスインターフェース30によってコンピュータ28に送信される。
【0011】
FGS20は、ガスタービン、燃焼器、石炭ガス化器などの動力発生装置(図示せず)の運転条件及び/又はパラメータをモニタする。かかる運転条件及び/又はパラメータには、特に限定されないが、内部温度、圧力、及び/又は装置内で発生する燃焼ガスの有無及び濃度レベルがある。ガスタービン制御システムのような制御システム(図示せず)がガスセンサ20と動作制御可能な状態にあって、センサ検出の結果として発生する信号を受信すると共に、バーナの燃料/空気比及び/又はタービンシステムへの総風量を調節することで排出物を減少させかつ動力発生効率を高めるように装置の動作を制御する。一実施形態では、例えば感知された温度、ひずみ又は圧力を用いてスラグ及び/又はファウリングのレベルを探知することにより、ファウリング及び/又はスラグを低減させることで効率が最適化される。別の実施形態では、例えば感知された水素ガス濃度又は天然ガス濃度を用いて燃焼プロセスを制御することにより、適正な燃料/空気比を維持することで効率が最適化される。
【0012】
次に図2を参照すれば、本発明の一実施形態に係る光ファイバガスセンサ20が示されている。一般に、光ファイバガスセンサ20は、GeO2及びFをコドープしたシリカで形成され、軸線34に沿って延在し、約5〜約9μmの直径を有する中心ファイバコア32を含んでいる。ファイバコア32は、コアモードからクラッディングモードへの結合を高めるために相異なる振幅変調プロフィル(アポダイズ(apodized)又はブレーズ(blazed)或いはこれらの組合せ)を有する2つの屈折率周期変調格子を含んでいる。
【0013】
一実施形態では、屈折率周期格子の一方はファイバコア32の回りに配置された長周期ファイバ格子(LPG)構造36からなり、他方の格子は軸線34に沿って長周期ファイバ格子構造36から距離を置いてファイバコア32の回りに配置された短周期ファイバ格子構造38からなっている。特定の実施形態では、短周期ファイバ格子構造38は高い熱安定性性能を有するファイバブラッグ格子(FBG)構造38からなっている。
【0014】
ファイバクラッディング40はファイバコア32の回りに円周方向に沿って配設され、約125μmの外径を有し、純粋なシリカで形成されている。一実施形態では、ファイバクラッディング40はファイバコア32を通っての光伝搬のための導波管として働くように構成されている。広帯域のチューナブル光源12が光ファイバケーブル16と光伝送可能な状態で配置され、ファイバコア32を通って伝搬する近赤外線を放射する。
【0015】
特定の実施形態では、FGS20は、光ファイバコア32の軸線34に沿って約10〜約50mmの長さを有している。LPG構造36は、軸線34に沿って約10〜約30mmの長さ及び約0.05〜約0.125mmのクラッディング直径を有している。LPG構造36は、軸線34に沿って約100〜約600μmのピッチサイズでの変調を有している。LPG構造36は、基本モードのエネルギーをファイバクラッディング40のモードに効果的に流し出すように構成されている。感知層42の感知材料の屈折率がファイバクラッディング40より低い場合、ファイバクラッディング40のモードは感知材料/クラッディングとファイバコアの界面によって導かれる。部分的な光エネルギーはエバネッセント場によって感知材料中に散逸する。逆に、クラッディングモードは部分的にエネルギーを放射モードとして感知コーティング層中に散逸させる。FBG構造38は、軸線34に沿って約3〜約10mmの長さ及び約0.125mmのクラッディング直径を有している。概して、LPG構造36の長さはFBG構造38の長さの約2〜5倍であり、後者はLPG構造36の透過スペクトルが12nm未満の狭い線幅及び10dBを超える大きいダイナミックレンジを有することを可能にする。
【0016】
長周期ファイバ格子(LPG)構造36のファイバクラッディング40の回りにはファイバガス感知層42が配設されている。図示された実施形態では、ガス感知層42はLPG構造36の又は又は又は又は又は又は又は又は又は又は又は又は又は回りにだけ配設されており、FBG構造38の回りには配設されていない。しかし、本発明は感知層42をFBG構造38の回りに配設して実施することもできる。感知層42は、屈折率の変化、吸光の変化又は感知材料応力の変化によってファイバクラッディング40のモードから基本モードへの結合を効果的に助けるように構成されている。かくして、FBG20により光検出器24に向けて反射及び/又は再導光される光信号は、測定量及び動作に依存する。
【0017】
感知層42は、(Pd,Pt)ドープトWOx、PdOx及び三元Pd(x)Au(y)Ni(1−x−y)合金のような1種以上の基材を含む感知材料又は化学ガス活性材料を含んでいる。感知材料の形態は、約5〜約10nmの直径を有するナノ粒子からなり得る。一実施形態では、感知層42は化学ガス感受性を有する感知材料を含んでおり、これは屈折率の変化、吸光の変化又は感知材料応力の変化を誘起する化学ガスとの相互作用によって感受性及び/又は活性を示す。
【0018】
一実施形態では、感知層42は、H2及び/又はH2+天然ガス(NG)の存在に対して感受性を有する感知材料を含んでいる。例えば、感知層42は、特に限定されないがナノ(Pd,Pt)−WOx(x=2.7〜3.0)感知材料、PdOx及び/又はナノPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)三元感知材料のようなパラジウム基合金を含んでいる。この実施形態では、吸着したH原子がパラジウムと反応して水素化物を生成する。感知材料中の水素化物はα相からβ相又はこれらの混合中間相への強い構造相転移を生じることにより、被覆感知材料の屈折率を変化させ、基本モードとクラッディングモードとの間の光結合を変化させ、長周期格子クラッディング40及び感知層42の両方においてクラッディングモードと放射モードとの間の結合を変化させる。これは、透過及び反射の両方について観測可能な変化を可能にし、最終的には吸着したH2ガスの同定をもたらす。本発明の多機能性差動呼掛け構成を用いた同一のガスセンサ20により、H2ガス濃度及び局部温度値の同時マッピングが得られる。
【0019】
パラジウム基合金感知材料は不透明であるが、水素と反応して水素化物を生成すると半透明になる。実際には、水素化物のα相がβ相に転移するのに伴い、誘電関数又は屈折率の変化が生じる。このような相転移特性を用いて、ファイバH2センサはかかる誘電関数の差を検出することができる。水素化物の生成は実際にはクラッディングモード境界及び結合効率を変化させる結果、ファイバ格子型水素センサの伝送波長及びその電力損失が変調されることになる。
【0020】
約1000°F未満の環境温度に対しては、感知層42はWO3又はSiO2の基材を含み得る。SiO2基材には、Pd、Pt、Au、Ag及び/又はNiからなる構成な材料のナノ粒子がドープされている。ナノ粒子は約5〜約10nmの直径を有している。この実施形態では、感知層42はスパッタリング法又は熱蒸着法を用いて作製される。感知層42を作製するために任意適宜の方法を使用できることは当業者にとって自明であり、また本明細書中に記載した教示によって手引きされている。感知層42を作製した後、感知層42はAr+環境中において約600℃で約2時間アニールされるか、或いは感知材料が約10nm未満のナノ粒子サイズを有するまでアニールされる。
【0021】
一実施形態では、感知層42はガス活性ナノ粒子材料を含んでいる。この実施形態では、感知層42は、感知層42の屈折率がファイバクラッディング40の屈折率に近い場合に若干のクラッディングモードの伝搬を許す厚さを有している。別法として、感知層42は、感知層42の屈折率がファイバクラッディング40の屈折率より大きい場合に若干の放射モードの伝搬を許す厚さを有している。さらに、感知層42はファイバクラッディング40の熱膨張率と異なる熱膨張率を有するので、100nm未満の感知コーティング層厚さを選択することで材料が誘起する界面ひずみを抑制する必要がある。高温でのガス感知に関する特定の実施形態では、感知層42とファイバクラッディング40との間の界面ひずみがナノ多孔質の感知材料形態によって熱的に補償される結果、感知材料の熱的効果はファイバクラッディングによって支配される。別の実施形態では、感知ガスセンサ20を保護してガスの透過のみを許すため、光ファイバケーブル16は疎水性膜(T<200℃に対してはPTFE)(図示せず)又は多孔質セラミック(T>200℃に対してはAl2O3)の薄層で気密封止されている。
【0022】
別の実施形態では、感知層42はPd基合金の組込みを含んでいる。かかるPd基合金は、特に限定されないが、約400℃未満の環境温度に対しては ナノPdOx又はPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)感知材料からなり、約400℃以上の環境温度に対してはナノPd/Au/WOx感知材料からなる。感知層42は、H2及びCH4とブレンドされたH2に対するガスセンサとして機能する円周方向に被覆された薄膜を含んでいる。水素化物の生成は強い感知材料ナノ構造の変化をもたらし、これが被覆感知材料の屈折率を変化させ、基本モードとクラッディングモードとの間の光結合を変化させ、長周期格子クラッディング領域及び感知層42においてクラッディングモードと放射モードとの間の結合を変化させる。
【0023】
次に図3を参照すれば、ファイバクラッディング40と感知層42との結合を向上させるため、ファイバクラッディング40に接着剤層44を適用できる。一実施形態では、接着剤層54は約5nmの厚さを有するニッケル層からなり得る。別の実施形態では、接着剤層54は約5nmの厚さを有するチタン層からなり得る。接着剤層44を堆積させる前に、ファイバクラッディング40の表面を50%HFで5分間処理し、次いで脱イオン水樹脂及びN2乾燥プロセスで処理することができる。
【0024】
動作に当たっては、まずFGS20中に光を伝送させると、光源12からの選択波長の光がLPG構造36に入り、1以上の運転条件及び/又はパラメータ(例えば、H2の濃度、H2+天然ガス(NG)の濃度又は他の可燃ガスの濃度)に対応する離散波長ピーク状の波長シフト及び伝送電力損失を受ける。光がFGS20中を進行し続けると、光はFBG構造38に入り、1以上の運転条件及び/又はパラメータ(例えば、温度など)に対応する波長シフトを受ける。
【0025】
動作に当たっては、感知システム10は、センサパッケージを包囲する発熱体によって与えられる、最適化H2感度及び選択性に対応する一定温度条件に保つことができる。別の態様では、感知システムは、ガス組成物の温度感受性によって様々な組成物及びH2とブレンドしたガスを識別するために使用される変調温度条件で動作させることができる。
【0026】
感知システム10は2つの動作モードで動作し得る。即ち、1)反射式感知システム及び2)透過式感知システムである。いずれの感知システム10でも、本発明のガスセンサ20は温度補正ガス濃度の測定を可能にする。透過式感知システムでは、ガスセンサ20のLPG構造36及びFBG構造38の両方を1回通過した光がファイバケーブル24に入り、光検出器22によって受光される。LPG構造36は、ガス(例えば、H2、H2+N2など)に対する感知層42の感受性のため、光信号中に伝送電力損失を生じる。さらに、LPG構造36及びFBG構造38からの波長シフトを用いて環境温度を測定できる。LPG構造36からの伝送電力損失並びにLPG構造36及びFBG構造38からの温度差を用いて温度補正ガス濃度を測定できる。
【0027】
反射式感知システム10では、LPG構造36を通過した光がFBG構造38で反射されて戻り、再びLPG構造36を通過する。反射された光は光カップラ14に入り、ファイバケーブル26を通して伝送され、光検出器22によって受光される。LPG構造36は、ガス(例えば、H2、H2+N2など)に対する感知層42の感受性のため、光信号中に伝送電力損失を生じる。FBG構造38からの波長シフトを用いて環境温度を測定できる。LPG構造36を2回通過した光からの伝送電力損失の差及びFBG構造38からの温度を用いて温度補正ガス濃度を測定できる。
【0028】
このようなガス濃度(例えばH2濃度)に比例する波長シフト及び電力損失の変調は、波長シフトとしての「ディジタル」H2濃度測定及び結果として生じる伝送電力損失としての「アナログ」H2濃度測定を可能にする。これら2種のセンサ応答は、本質的に統合された水素感知方法を提供する。
【0029】
FBG構造38はLPG構造36とほぼ同じ環境中に位置しているので、FBG構造38の相対波長シフトは環境温度をリアルタイムで測定するために使用できる。また、光が感知格子を2回通過するので、反射された伝送電力損失の変化はガス濃度の測定のためにも使用できる。その上、LPG構造36の波長シフト及び伝送電力損失は、一定温度又は変調温度動作条件下でガス濃度及び組成のリアルタイム測定のために使用できる。このような局部温度、ガス濃度及び組成の同時検出は、向上したセンサ性能及び低下した低擬陽性率を有することにより、温度変動及び/又は他のスプリアスイベントにかかわらず、H2ガス濃度の正確な測定を可能にする。
【0030】
再び図2を参照すれば、長周期ファイバ格子構造36及び短周期ファイバ格子構造38は、ファイバケーブルの軸線34に対して実質的に平行でありかつ一様な間隔を有するプロファイルを有している。しかし、本発明は他のタイプの長周期及び短周期ファイバ格子構造プロファイルを用いて実施することもできる。例えば、長周期ファイバ格子構造36及び/又は短周期ファイバ格子構造38は、ファイバケーブルの軸線34に対して約1〜約40度の角度をもったブレーズド格子プロファイルを有するファイバ格子構造からなり得る。別の例では、長周期ファイバ格子構造36及び/又は短周期ファイバ格子構造38は、例えばガウス形状、コサイン形状などを有し得るアポダイズドファイバ格子構造のように、一様でない格子プロファイルを有し得る。さらに別の例では、一様でない格子プロファイルは、ブレーズド格子プロファイルとアポダイズド格子プロファイルとの組合せであり得る。4つのタイプの格子(一様、ブレーズド、アポダイズド、ブレーズドかつアポダイズド)はいずれも、約10〜約30mmの典型的な長さ及び約0.05〜約0.125mmのクラッディング直径を有している。
【0031】
光ファイバガスセンサ20は4つのタイプの格子プロファイル(一様、ブレーズド、アポダイズド、ブレーズドかつアポダイズド)の任意の組合せであり得るので、複数のタイプのFGS20が存在する。例えば、第1のタイプのFGS20はLPG構造36及びFBG構造38に関して一様な格子プロファイルを有している。第2のタイプのFGS20はLPG構造36及びFBG構造38に関してブレーズド格子プロファイルを有している。第3のタイプのFGS20はLPG構造36及びFBG構造38に関してアポダイズド格子プロファイルを有している。第4のタイプのFGS20はLPG構造36及びFBG構造38に関してブレーズドかつアポダイズド格子プロファイルを有している。第5のタイプのFGS20はLPG構造36に関して一様な格子プロファイルを有し、FBG構造38に関してアポダイズド格子プロファイルを有している。第6のタイプのFGS20はLPG構造36に関してブレーズド格子プロファイルを有し、FBG構造38に関してアポダイズド格子プロファイルを有している。LPG構造36及びFBG構造38に関して他の組合せの格子プロファイルを使用することも本発明の技術的範囲内にあることは容易に理解されよう。
【0032】
図示された実施形態では、FGS20は、ガス感知層42で被覆された長周期ファイバ格子構造36及びガス感知層42をもたない短周期ファイバ格子構造38を含んでいる。別の実施形態では、FGS20は1対の短周期ファイバ格子(FBG)構造38を含むことができ、一方のFBG構造38はガス感知層42を有し、他方のFBG構造38はガス感知層42を有しない。両方のファイバ格子構造36,38が温度に対する感受性を有するので、第2のFBG構造38の温度測定を参照することでガス濃度及び組成の示差測定が行われる。上述した図示実施形態におけるLPG構造36及びFBG構造38と同じく、1対のFBG構造を有するFGS20の別の実施形態は、格子プロファイル(一様、ブレーズド、アポダイズド、ブレーズドかつアポダイズド)の任意の組合せであり得る。即ち、第1のタイプのFGS20は両方のFBG構造38に関して一様な格子プロファイルを有している。第2のタイプのFGS20は両方のFBG構造38に関してブレーズド格子プロファイルを有している。第3のタイプのFGS20は両方のFBG構造38に関してアポダイズド格子プロファイルを有している。第4のタイプのFGS20は両方のFBG構造38に関してブレーズドかつアポダイズド格子プロファイルを有している。第5のタイプのFGS20は一方のFBG構造38に関して一様な格子プロファイルを有し、他方のFBG構造38に関してアポダイズド格子プロファイルを有している。第6のタイプのFGS20は一方のFBG構造38に関してブレーズド格子プロファイルを有し、他方のFBG構造38に関してアポダイズド格子プロファイルを有している。FBG構造38に関して他の組合せの格子プロファイルを使用することも本発明の技術的範囲内にあることは容易に理解されよう。
【0033】
次に図4を参照すれば、ボイラ、燃焼器、ガス化器、エンジンなどの工業環境中に1以上の光ファイバガスセンサ20のアレイ412を分布させた反射式感知システム410が略示されている。反射式感知システム410では、例えば、可燃ガスをn個の位置での反射から測定することができる。各光ファイバガスセンサ(FGS)20は、ファイバコネクタ/アングルドポリッシュコネクタ(FC/APCコネクタ)414及び1×n光スプリッタ/コンバイナ416によって感知システム410に接続されている。一実施形態では、光スプリッタ/コンバイナ416は1×2、1×3、1×4又は1×8型のものである。別の実施形態では、多点可燃ガス感知のため、光スプリッタ/コンバイナ416の代わりに1×16の光スイッチが使用される。各光ファイバガスセンサ20からの反射光信号は、温度校正のための波長シフト、及びガス濃度モニタリングのための反射電力損失応答によって特徴づけられる。
【0034】
次に図5を参照すれば、ボイラ、燃焼器、ガス化器、エンジンなどの工業環境中に1以上の光ファイバガスセンサ20のアレイ412を分布させた透過式感知システム510が略示されている。透過式感知システム510では、例えば、可燃ガスをn個の位置での反射から測定することができる。各光ファイバガスセンサ(FGS)20は、1×n光スイッチ514によって感知システム510に接続されている。各光ファイバガスセンサ(FGS)20は、FC/APCコネクタ516及びn×1光コンバイナ518によって感知システム510に接続されている。一実施形態では、光スイッチ514及び光コンバイナ518は1×2、1×3、1×4又は1×8型のものである。別の実施形態では、多点可燃ガス感知のために1×16の光コンバイナ及び光スイッチが使用される。各光ファイバガスセンサ20からの伝送信号はガス濃度モニタリングのための波長シフト応答及び伝送電力損失応答によって特徴づけられ、この場合には短周期ブラッグ格子の波長シフトが環境温度校正のために使用される。
【0035】
別の実施形態では、水素感知を必要とする用途(例えば、燃焼用として水素を使用する動力発生システムタービン)において任意適宜の数の光ファイバ水素感知装置が使用できることは当業者にとって容易に理解され、また本明細書中に記載した教示によって手引きされている。同一ファイバ上に複数のガス感知素子を有するという融通性は、高い空間分解能で多点可燃ガス測定を可能にする。複数のかかるセンサは、1種のガス濃度の多点検出のため直列又は並列に配置できる。このように、高い空間分解能で多重測定が可能であることは、光ファイバ格子に基づく感知システムの最大の長所の一つである。別の長所は、多種組成物(H2、CO、CH4など)のオンラインモニタリング用の1つの感知システムにおいて異種の光ファイバガスセンサを直列に配置できることである。
【0036】
これまでの実施可能性研究は、現在のプロトタイプ光ファイバ水素感知装置が苛酷な環境中で使用できることを実証した。図6及び図7は、約10〜約75%の水素ガス濃度及び周囲温度ないし約260°Fの環境温度に対する光ファイバガスセンサ20からの波長シフト(Δλ)応答が約0.01〜約2.0nmであることを示している。センサ応答時間(H2の導入後に完全な波長シフトが起こるまでに要する時間)は通例約3.5秒であり、回復時間(N2パージ後に波長が基線に戻るための時間)は最大約25秒である。図6に示すように、伝送電力損失(ΔP)は約7.8dBであった。図8は、約10〜約75%の水素ガス濃度及び周囲温度ないし約260°Fの環境温度に対する光ファイバガスセンサ20からの伝送電力損失(ΔP)が約0.2〜約7.8dBの範囲内にあることを示している。
【0037】
高温での様々な水素濃度に対する光ファイバガスセンサ20のdB単位の伝送応答及び回復時間をそれぞれ図9及び図10に示す。図10に示すように、応答時間及び回復時間は主として感知環境温度に応じて数百秒ないし数秒の範囲内にある。光ファイバガスセンサ20のかかる応答特性は、温度及びガス濃度の両方に対するガスセンサ20の応答を区別するため、インライン(リアルタイム)温度測定を可能にするファイバブラッグ格子構造38を必要とすることに注意すべきである。
【0038】
上述の通り、H2感知装置及びシステムは、ナノフェーズ感知材料の組込みを含むファイバ格子式波長多重化技術に基づいている。長周期格子30は光ファイバ中に刻み込まれていて、格子位置で光がクラッディングに流れ出る。格子クラッディング24には、厚さ20〜30nmのナノフェーズ感知材料が堆積されている。H2又は測定量が存在しない場合、PdOx及びPdAuNi系感知材料は金属鏡に似ていて、クラッディングモードを反射してファイバコア中に戻す。感知層中における水素化物の生成は、実際にはクラッディングモード境界及び結合効率を変化させる結果、ファイバ格子型水素センサの伝送波長及びその電力損失が変調されることになる。
【0039】
感知材料は堆積方法によって調整できるので、プロセス流れ(例えば、合成ガスの場合)、H2燃料及び天然ガスとブレンドされたH2燃料の様々な成分を検出するため、ファイバ格子表面上に異なる感知材料を設置することが有用となる。同一ファイバ上に複数のパラメータ感受性素子を有し、さらにはこれらのパラメータの各々について複数の素子を有するという融通性は、高い空間分解能で多重パラメータ測定を可能にする。例えば、H2感知用途では、温度変動に対してH2測定値を補正するために温度用の感知素子も含まれる。同時に、H2及び温度の両方について高い空間分解能を得るため、単一のファイバ上に複数の感知素子を取り付けることができる。このように、高い空間分解能で多重測定が可能であることは、光ファイバ格子に基づく感知システムの最大の長所の一つである。
【0040】
水素ガスは感知層中に容易に拡散できるが、他の炭化水素ガスは大きい原子又は分子サイズのために拡散できないように感知層42の感知材料の形態を調節できることを確認するため、いくつかの実施可能性研究を行った。
【0041】
1つの実施可能性研究では、感知材料の形態は約3〜約5nmの範囲内のナノ粒子サイズを有していた。図11及び図12に示すように、約5%のH2を約92%のCH4及び他の炭化水素ガスとブレンドしてなる約104°Fの温度のガスタービン用燃料に関し、ガスセンサ20の波長シフト応答及び伝送電力損失応答は顕著であり、サイクリング試験を通じて再現可能である。この実施可能性研究は、本発明の光ファイバガスセンサ20の感知層42が、H2の存在、特に運転中のガスタービン(図示せず)の燃料組成中に通例見出される天然ガス(NG)と混合されたH2の存在を検出するように構成できることを実証した。表Iは、約5%の水素を約92.7%のCH4、0.74%のCO2、1.47%のC2H6、0.13%のC2H4及び他のガス組成物とブレンドしてなるガスタービン燃料組成の要約である。任意所望の化学ガスを感知又は検出するため、スパッタリング法、熱蒸着法、ゾル−ゲル浸漬被覆法及び他の薄膜堆積方法のような堆積方法を用いて感知層42を作製できることは当業者にとって自明であろう。
【0042】
【表1】
別の実施可能性研究では、運転中のガスタービンの燃焼セル中における2種の異なるガス濃度に対するガスセンサ20の感度を研究した。図13に示すように、FGS20は、約50%のH2を約50%のNGとブレンドしてなる燃料中で約3000pm又は約3nmの波長シフト応答を有している。図14に示すように、FGS20は、約52%のH2を約48%のNGとブレンドしてなる燃料中で約3500pm又は約3.5nmの波長シフト応答を有している。本発明のガスセンサ20は、わずか2%のH2増加が波長応答中において500pmのシフトをもたらすことを実証した。波長応答中におけるこのような500pmの追加シフトは、通常のガスセンサ装置に比べて高い感度を有することを表している。このように、感知層42の感知材料形態の効果的な調節は光ファイバガスセンサ20の感度を大幅に向上させた。
【0043】
可能な一実施形態では、図15に示すように、FGS20をガスタービン614
の燃料デリバリ制御システム612中に組み込むことができる。この実施形態では、FGS20からのデータ出力616がガスタービン614用の制御システム612と統合される。FGS20は、ガス組成(例えば、ガス中の水素(H2)の量)を測定するため燃料供給ライン618に接続されている。この実施形態では、燃料は水素を含有する任意のガスであり得る。かかるガスとしては、ガス化プラントからの合成ガス(H2+CO)、炭素捕獲を備えたガス化プラントから生じる水素/窒素ガスブレンド、又は工業プロセスからの水素含有ガスが挙げられる。工業プロセスガスの場合、水素は窒素(N2)のような不活性ガスによって運ばれるか、或いはメタン(CH4)のような別の反応性ガスによって運ばれることがある。FGS20はガス中の水素量を測定し、次いでこのデータをガスタービン制御システム612に送信する。制御システム612はこの情報を用ることで、燃料ガスのエネルギー含有量が任意所定の時点で許容範囲内にあるか否かを判定し、或いは制御論理の適用に基づいてガスのエネルギー含有量が許容範囲を上回るか下回る不許容レベルにシフトすると予想されるか否かを判定する。エネルギー含有量が許容範囲内になければ、制御システム612はガスタービン燃焼システム中への燃料流量、空気流量又は(存在するならば)希釈剤流量を調整することで、燃料のエネルギー密度を許容範囲内に合わせることができる。
【0044】
上述の通り、水素濃度の測定を必要とする工業システム又は用途のための光ファイバ格子型光ファイバガスセンサを発明した。例えば、かかる感知装置は、水素に富む合成ガスを使用する石炭ガス化式動力プラント又はH2とブレンドした天然ガスを使用するガスタービン動力発生プラントで使用できる。同時に、開示された感知技術は、化学プラント、ヘルスケアプラント又は工業/石油化学プラントにおけるH2含有ガス流中のH2濃度の検出に適用できる。H2感知は、合成ガス又はH2とブレンドした天然ガス(NG)を燃料として使用するタービンに関する燃料組成モニタリング及び制御にとって非常に重要である。他の化学又は石油化学プラントに関しては、H2感知は、H2測定を必要とするそれぞれのシステム構成部分(例えば、反応器、蒸留塔、溶鉱炉など)の最適性能を得るために必要な組成制御を可能にする。
【0045】
以上、様々な特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内で修正を行いながら本発明を実施できることが認められよう。
【符号の説明】
【0046】
20 光ファイバガスセンサ
32 ファイバコア
34 軸線
36 LPG
38 FBG
40 ファイバクラッディング
42 感知層
44 接着剤層
612 燃料デリバリ制御システム
614 ガスタービン
410 反射式感知システム
414 FC/APCコネクタ
416 光スプリッタ/コンバイナ
510 透過式感知システム
514 光スイッチ
516 FC/APCコネクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に感知システム及びセンサに関し、さらに詳しくは、温度補正ガス濃度の測定を可能にする格子型光ファイバガスセンサのアレイを備えた感知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、合成ガス(一酸化炭素(CO)と混合した水素(H2))を燃料として用いるタービンをを備えた動力発生システムが建造されている。合成ガスは、石炭ガス化器又は他の工業プロセスを用いて生成できる。今日のガスタービンはまた、一層良好な操作性、効率又は排出物制御を達成するため、動力発生用の燃料として天然ガス(NG)とH2のブレンドも使用できる。通例、タービンで使用される燃料の流れは、主としてメタン(CH4)である天然ガス(NG)、窒素(N2)や一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)のような希釈剤、並びにエタン(C2H6)やプロパン(C3H8)のような高分子量炭化水素を含み得る。水素含有燃料は、低率のH2を天然ガス中にブレンドしたもの、或いは高率のH2をNG及び/又は他の希釈剤と混合したもの、或いはH2とCOとの合成ガス混合物であり得る。かかる用途に関しては、タービンの出力及び効率に対する影響を効果的に制御するため、燃焼させる燃料の組成をモニタすることが不可欠となる。特に、H2に富む合成ガス又はH2をブレンドしたNGをガスタービン用の燃料として使用する場合、出力、排出物及び効率要件がもたらす所要の燃焼性能が得られるように制御するため、燃料組成をオンラインでモニタする必要がある。
【0003】
既存のH2感知技術は、いくつかの理由から、直接のオンラインH2濃度又は組成モニタリングのためには多くが不適当である。1つの理由は、高いH2濃度のため、かかる通常の可燃ガスセンサは飽和してしまうことである。クロマトグラフィー、質量分析計、ラマン分光器、リングダウン分光計などの分光方式の測定器のみはオフラインで使用できるが、オンラインH2濃度又は組成測定のためには使用できない。同時に、かかるバルキーな専用の分光測定式センサを、燃料品質のリアルタイムオンラインモニタリング/分析のため、特に石炭ガス化器及び合成ガス又は天然ガス燃焼器の苛酷な環境中に配備するのが困難なことは自明である。赤外線式、電気化学式、金属酸化物半導体式の可燃ガス検出装置のような数種の常用可燃ガスセンサが存在しているが、これらは水素ガスに対して感受性を有しないか、高い濃度で飽和するか、或いは苛酷な環境中に配備できない。
【0004】
H2に富む合成ガスの分析のためには、光ファイバエバネッセント場式近赤外レーザ吸光法のような他の光学的方法も開発されている。通常、これらのガス感知装置は透明な媒体及び感熱性光学部品の設置を必要とする。したがって、ガスタービン、燃焼器、ガス化器などの環境中における動力発生性能についてのオンライン合成ガス分析並びに動力発生効率の制御及び最適化のための実用的な解決策を得ることが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7151872号明細書
【特許文献2】米国特許第5783152号明細書
【特許文献3】米国特許第5708735号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0215959号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0169807号明細書
【発明の概要】
【0006】
一態様では、局部ガス濃度の温度補正測定を可能にする光ファイバガスセンサであって、軸線を有するファイバコア、局部ガス濃度を感知するためにファイバコアの回りに配置された、第1の振幅変調プロファイルを有する第1の屈折率周期変調格子構造、局部温度を感知するために軸線に沿って第1の屈折率周期変調格子構造から距離を置いてファイバコアの回りに配置された、第2の振幅変調プロファイルを有する第2の屈折率周期変調格子構造、第1及び第2の屈折率周期変調格子構造の回りに配置されたファイバクラッディング、並びに第1の屈折率周期変調格子構造のファイバクラッディングの回りに配置された感知層であって、ナノPdOx、ナノPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)及びナノPd/Au/WOxからなる群から選択される感知材料を含む感知層を含んでなる光ファイバガスセンサが提供される。
【0007】
別の態様では、局部ガス濃度の温度補正測定を可能にする光ファイバガスセンサであって、軸線を有するファイバコア、局部ガス濃度を感知するためにファイバコアの回りに配置された、第1の振幅変調プロファイルを有する長周期ファイバ格子構造、局部温度を感知するために軸線に沿って長周期ファイバ格子構造から距離を置いてファイバコアの回りに配置された、第2の振幅変調プロファイルを有する短周期ファイバ格子構造、長周期及び短周期ファイバ格子構造の回りに配置されたファイバクラッディング、並びに長周期ファイバ格子構造のファイバクラッディングの回りに配置された感知層であって、ナノPdOx、ナノPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)及びナノPd/Au/WOxからなる群から選択される感知材料を含む感知層を含んでなる光ファイバガスセンサが提供される。
【0008】
さらに別の態様では、1以上の光ファイバガスセンサ、各光ファイバガスセンサに機能的に結合されたFC/APCコネクタ、並びにFC/APCコネクタに機能的に結合された光スプリッタ/コンバイナ及び光スイッチの一方を含んでなる感知システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、動力発生システムの運転条件及び/又はパラメータをモニタするために本発明の光ファイバガスセンサ(FGS)を含む感知システムの略図である。
【図2】図2は、図1に示した光ファイバガスセンサの略図である。
【図3】図3は、図2に示したガスセンサの長周期格子(LPG)構造の部分断面図である。
【図4】図4は、反射式ガス感知システムにおける多点ガス感知のための光ファイバガスセンサ(FGS)の分布方法の略図である。
【図5】図5は、透過式ガス感知システムにおける多点ガス感知のための光ファイバガスセンサ(FGS)の分布方法の略図である。
【図6】図6は、N2と混合した75%のH2濃度を有する131°Fのガスに関し、本発明の光ファイバガスセンサを通して伝送される信号の波長を時間に対してプロットしたグラフである。
【図7】図7は、本発明の光ファイバガスセンサから得られた、様々な水素濃度及び高温での波長シフトを示すグラフである。
【図8】図8は、N2と混合した75%のH2濃度を有する131°Fのガスに関し、本発明の光ファイバガスセンサを通して伝送される信号の伝送電力損失を時間に対してプロットしたグラフである。
【図9】図9は、高温で様々な水素濃度に対する本発明の光ファイバガスセンサの応答時間を示すグラフである。
【図10】図10は、高温で様々な水素濃度に対する本発明のファイバガスセンサの回復時間を表すグラフである。
【図11】図11は、約5%のH2をCH4及び他の炭化水素ガスとブレンドしてなる約104°Fの燃料によって誘起された本発明の光ファイバガスセンサの波長シフト応答を表すグラフである。
【図12】図12は、約5%のH2をCH4及び他の炭化水素ガスとブレンドしてなる約104°Fの燃料によって誘起された本発明の光ファイバガスセンサの伝送電力損失応答を表すグラフである。
【図13】図13は、約50%のH2を約50%の天然ガス(NG)とブレンドしてなる室温の燃料によって誘起された本発明の光ファイバガスセンサの波長シフトを表すグラフである。
【図14】図14は、約52%のH2を約48%の天然ガス(NG)とブレンドしてなる室温の燃料によって誘起された本発明の光ファイバガスセンサの波長シフトを表すグラフである。
【図15】図15は、本発明の光ファイバガスセンサを用いたガスタービン用燃料デリバリ制御システムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず図1を参照すれば、本発明の一実施形態に係る感知システム10が略示されている。一般に、感知システム10は光カップラ又はサーキュレータ14と光伝送可能な状態にあるチューナブル広帯域光源のような光源12を含んでいる。光カップラ14は光源12から伝送される光を受光し、その光の一部を光ファイバケーブル16を通して伝送する。光ファイバケーブル16を通過した光は、本発明に係る1以上の光ファイバガスセンサ(一般的に20として示す)に入る。光ファイバガスセンサ20の下流に位置する光検出器22は、光ファイバケーブル24を通してガスセンサ20から伝送される光を受光する。光カップラ14によって反射された光の一部もまた、光ファイバケーブル26を通して光検出器22により受光される。光ファイバガスセンサ20が発生した光信号は、コンピュータ28で処理され及び/又はコンピュータ28に送信される。一実施形態では、1以上の光ファイバガスセンサ20から受光した光信号に応答して光検出器22が発生した電気信号がワイヤレスインターフェース30によってコンピュータ28に送信される。
【0011】
FGS20は、ガスタービン、燃焼器、石炭ガス化器などの動力発生装置(図示せず)の運転条件及び/又はパラメータをモニタする。かかる運転条件及び/又はパラメータには、特に限定されないが、内部温度、圧力、及び/又は装置内で発生する燃焼ガスの有無及び濃度レベルがある。ガスタービン制御システムのような制御システム(図示せず)がガスセンサ20と動作制御可能な状態にあって、センサ検出の結果として発生する信号を受信すると共に、バーナの燃料/空気比及び/又はタービンシステムへの総風量を調節することで排出物を減少させかつ動力発生効率を高めるように装置の動作を制御する。一実施形態では、例えば感知された温度、ひずみ又は圧力を用いてスラグ及び/又はファウリングのレベルを探知することにより、ファウリング及び/又はスラグを低減させることで効率が最適化される。別の実施形態では、例えば感知された水素ガス濃度又は天然ガス濃度を用いて燃焼プロセスを制御することにより、適正な燃料/空気比を維持することで効率が最適化される。
【0012】
次に図2を参照すれば、本発明の一実施形態に係る光ファイバガスセンサ20が示されている。一般に、光ファイバガスセンサ20は、GeO2及びFをコドープしたシリカで形成され、軸線34に沿って延在し、約5〜約9μmの直径を有する中心ファイバコア32を含んでいる。ファイバコア32は、コアモードからクラッディングモードへの結合を高めるために相異なる振幅変調プロフィル(アポダイズ(apodized)又はブレーズ(blazed)或いはこれらの組合せ)を有する2つの屈折率周期変調格子を含んでいる。
【0013】
一実施形態では、屈折率周期格子の一方はファイバコア32の回りに配置された長周期ファイバ格子(LPG)構造36からなり、他方の格子は軸線34に沿って長周期ファイバ格子構造36から距離を置いてファイバコア32の回りに配置された短周期ファイバ格子構造38からなっている。特定の実施形態では、短周期ファイバ格子構造38は高い熱安定性性能を有するファイバブラッグ格子(FBG)構造38からなっている。
【0014】
ファイバクラッディング40はファイバコア32の回りに円周方向に沿って配設され、約125μmの外径を有し、純粋なシリカで形成されている。一実施形態では、ファイバクラッディング40はファイバコア32を通っての光伝搬のための導波管として働くように構成されている。広帯域のチューナブル光源12が光ファイバケーブル16と光伝送可能な状態で配置され、ファイバコア32を通って伝搬する近赤外線を放射する。
【0015】
特定の実施形態では、FGS20は、光ファイバコア32の軸線34に沿って約10〜約50mmの長さを有している。LPG構造36は、軸線34に沿って約10〜約30mmの長さ及び約0.05〜約0.125mmのクラッディング直径を有している。LPG構造36は、軸線34に沿って約100〜約600μmのピッチサイズでの変調を有している。LPG構造36は、基本モードのエネルギーをファイバクラッディング40のモードに効果的に流し出すように構成されている。感知層42の感知材料の屈折率がファイバクラッディング40より低い場合、ファイバクラッディング40のモードは感知材料/クラッディングとファイバコアの界面によって導かれる。部分的な光エネルギーはエバネッセント場によって感知材料中に散逸する。逆に、クラッディングモードは部分的にエネルギーを放射モードとして感知コーティング層中に散逸させる。FBG構造38は、軸線34に沿って約3〜約10mmの長さ及び約0.125mmのクラッディング直径を有している。概して、LPG構造36の長さはFBG構造38の長さの約2〜5倍であり、後者はLPG構造36の透過スペクトルが12nm未満の狭い線幅及び10dBを超える大きいダイナミックレンジを有することを可能にする。
【0016】
長周期ファイバ格子(LPG)構造36のファイバクラッディング40の回りにはファイバガス感知層42が配設されている。図示された実施形態では、ガス感知層42はLPG構造36の又は又は又は又は又は又は又は又は又は又は又は又は又は回りにだけ配設されており、FBG構造38の回りには配設されていない。しかし、本発明は感知層42をFBG構造38の回りに配設して実施することもできる。感知層42は、屈折率の変化、吸光の変化又は感知材料応力の変化によってファイバクラッディング40のモードから基本モードへの結合を効果的に助けるように構成されている。かくして、FBG20により光検出器24に向けて反射及び/又は再導光される光信号は、測定量及び動作に依存する。
【0017】
感知層42は、(Pd,Pt)ドープトWOx、PdOx及び三元Pd(x)Au(y)Ni(1−x−y)合金のような1種以上の基材を含む感知材料又は化学ガス活性材料を含んでいる。感知材料の形態は、約5〜約10nmの直径を有するナノ粒子からなり得る。一実施形態では、感知層42は化学ガス感受性を有する感知材料を含んでおり、これは屈折率の変化、吸光の変化又は感知材料応力の変化を誘起する化学ガスとの相互作用によって感受性及び/又は活性を示す。
【0018】
一実施形態では、感知層42は、H2及び/又はH2+天然ガス(NG)の存在に対して感受性を有する感知材料を含んでいる。例えば、感知層42は、特に限定されないがナノ(Pd,Pt)−WOx(x=2.7〜3.0)感知材料、PdOx及び/又はナノPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)三元感知材料のようなパラジウム基合金を含んでいる。この実施形態では、吸着したH原子がパラジウムと反応して水素化物を生成する。感知材料中の水素化物はα相からβ相又はこれらの混合中間相への強い構造相転移を生じることにより、被覆感知材料の屈折率を変化させ、基本モードとクラッディングモードとの間の光結合を変化させ、長周期格子クラッディング40及び感知層42の両方においてクラッディングモードと放射モードとの間の結合を変化させる。これは、透過及び反射の両方について観測可能な変化を可能にし、最終的には吸着したH2ガスの同定をもたらす。本発明の多機能性差動呼掛け構成を用いた同一のガスセンサ20により、H2ガス濃度及び局部温度値の同時マッピングが得られる。
【0019】
パラジウム基合金感知材料は不透明であるが、水素と反応して水素化物を生成すると半透明になる。実際には、水素化物のα相がβ相に転移するのに伴い、誘電関数又は屈折率の変化が生じる。このような相転移特性を用いて、ファイバH2センサはかかる誘電関数の差を検出することができる。水素化物の生成は実際にはクラッディングモード境界及び結合効率を変化させる結果、ファイバ格子型水素センサの伝送波長及びその電力損失が変調されることになる。
【0020】
約1000°F未満の環境温度に対しては、感知層42はWO3又はSiO2の基材を含み得る。SiO2基材には、Pd、Pt、Au、Ag及び/又はNiからなる構成な材料のナノ粒子がドープされている。ナノ粒子は約5〜約10nmの直径を有している。この実施形態では、感知層42はスパッタリング法又は熱蒸着法を用いて作製される。感知層42を作製するために任意適宜の方法を使用できることは当業者にとって自明であり、また本明細書中に記載した教示によって手引きされている。感知層42を作製した後、感知層42はAr+環境中において約600℃で約2時間アニールされるか、或いは感知材料が約10nm未満のナノ粒子サイズを有するまでアニールされる。
【0021】
一実施形態では、感知層42はガス活性ナノ粒子材料を含んでいる。この実施形態では、感知層42は、感知層42の屈折率がファイバクラッディング40の屈折率に近い場合に若干のクラッディングモードの伝搬を許す厚さを有している。別法として、感知層42は、感知層42の屈折率がファイバクラッディング40の屈折率より大きい場合に若干の放射モードの伝搬を許す厚さを有している。さらに、感知層42はファイバクラッディング40の熱膨張率と異なる熱膨張率を有するので、100nm未満の感知コーティング層厚さを選択することで材料が誘起する界面ひずみを抑制する必要がある。高温でのガス感知に関する特定の実施形態では、感知層42とファイバクラッディング40との間の界面ひずみがナノ多孔質の感知材料形態によって熱的に補償される結果、感知材料の熱的効果はファイバクラッディングによって支配される。別の実施形態では、感知ガスセンサ20を保護してガスの透過のみを許すため、光ファイバケーブル16は疎水性膜(T<200℃に対してはPTFE)(図示せず)又は多孔質セラミック(T>200℃に対してはAl2O3)の薄層で気密封止されている。
【0022】
別の実施形態では、感知層42はPd基合金の組込みを含んでいる。かかるPd基合金は、特に限定されないが、約400℃未満の環境温度に対しては ナノPdOx又はPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)感知材料からなり、約400℃以上の環境温度に対してはナノPd/Au/WOx感知材料からなる。感知層42は、H2及びCH4とブレンドされたH2に対するガスセンサとして機能する円周方向に被覆された薄膜を含んでいる。水素化物の生成は強い感知材料ナノ構造の変化をもたらし、これが被覆感知材料の屈折率を変化させ、基本モードとクラッディングモードとの間の光結合を変化させ、長周期格子クラッディング領域及び感知層42においてクラッディングモードと放射モードとの間の結合を変化させる。
【0023】
次に図3を参照すれば、ファイバクラッディング40と感知層42との結合を向上させるため、ファイバクラッディング40に接着剤層44を適用できる。一実施形態では、接着剤層54は約5nmの厚さを有するニッケル層からなり得る。別の実施形態では、接着剤層54は約5nmの厚さを有するチタン層からなり得る。接着剤層44を堆積させる前に、ファイバクラッディング40の表面を50%HFで5分間処理し、次いで脱イオン水樹脂及びN2乾燥プロセスで処理することができる。
【0024】
動作に当たっては、まずFGS20中に光を伝送させると、光源12からの選択波長の光がLPG構造36に入り、1以上の運転条件及び/又はパラメータ(例えば、H2の濃度、H2+天然ガス(NG)の濃度又は他の可燃ガスの濃度)に対応する離散波長ピーク状の波長シフト及び伝送電力損失を受ける。光がFGS20中を進行し続けると、光はFBG構造38に入り、1以上の運転条件及び/又はパラメータ(例えば、温度など)に対応する波長シフトを受ける。
【0025】
動作に当たっては、感知システム10は、センサパッケージを包囲する発熱体によって与えられる、最適化H2感度及び選択性に対応する一定温度条件に保つことができる。別の態様では、感知システムは、ガス組成物の温度感受性によって様々な組成物及びH2とブレンドしたガスを識別するために使用される変調温度条件で動作させることができる。
【0026】
感知システム10は2つの動作モードで動作し得る。即ち、1)反射式感知システム及び2)透過式感知システムである。いずれの感知システム10でも、本発明のガスセンサ20は温度補正ガス濃度の測定を可能にする。透過式感知システムでは、ガスセンサ20のLPG構造36及びFBG構造38の両方を1回通過した光がファイバケーブル24に入り、光検出器22によって受光される。LPG構造36は、ガス(例えば、H2、H2+N2など)に対する感知層42の感受性のため、光信号中に伝送電力損失を生じる。さらに、LPG構造36及びFBG構造38からの波長シフトを用いて環境温度を測定できる。LPG構造36からの伝送電力損失並びにLPG構造36及びFBG構造38からの温度差を用いて温度補正ガス濃度を測定できる。
【0027】
反射式感知システム10では、LPG構造36を通過した光がFBG構造38で反射されて戻り、再びLPG構造36を通過する。反射された光は光カップラ14に入り、ファイバケーブル26を通して伝送され、光検出器22によって受光される。LPG構造36は、ガス(例えば、H2、H2+N2など)に対する感知層42の感受性のため、光信号中に伝送電力損失を生じる。FBG構造38からの波長シフトを用いて環境温度を測定できる。LPG構造36を2回通過した光からの伝送電力損失の差及びFBG構造38からの温度を用いて温度補正ガス濃度を測定できる。
【0028】
このようなガス濃度(例えばH2濃度)に比例する波長シフト及び電力損失の変調は、波長シフトとしての「ディジタル」H2濃度測定及び結果として生じる伝送電力損失としての「アナログ」H2濃度測定を可能にする。これら2種のセンサ応答は、本質的に統合された水素感知方法を提供する。
【0029】
FBG構造38はLPG構造36とほぼ同じ環境中に位置しているので、FBG構造38の相対波長シフトは環境温度をリアルタイムで測定するために使用できる。また、光が感知格子を2回通過するので、反射された伝送電力損失の変化はガス濃度の測定のためにも使用できる。その上、LPG構造36の波長シフト及び伝送電力損失は、一定温度又は変調温度動作条件下でガス濃度及び組成のリアルタイム測定のために使用できる。このような局部温度、ガス濃度及び組成の同時検出は、向上したセンサ性能及び低下した低擬陽性率を有することにより、温度変動及び/又は他のスプリアスイベントにかかわらず、H2ガス濃度の正確な測定を可能にする。
【0030】
再び図2を参照すれば、長周期ファイバ格子構造36及び短周期ファイバ格子構造38は、ファイバケーブルの軸線34に対して実質的に平行でありかつ一様な間隔を有するプロファイルを有している。しかし、本発明は他のタイプの長周期及び短周期ファイバ格子構造プロファイルを用いて実施することもできる。例えば、長周期ファイバ格子構造36及び/又は短周期ファイバ格子構造38は、ファイバケーブルの軸線34に対して約1〜約40度の角度をもったブレーズド格子プロファイルを有するファイバ格子構造からなり得る。別の例では、長周期ファイバ格子構造36及び/又は短周期ファイバ格子構造38は、例えばガウス形状、コサイン形状などを有し得るアポダイズドファイバ格子構造のように、一様でない格子プロファイルを有し得る。さらに別の例では、一様でない格子プロファイルは、ブレーズド格子プロファイルとアポダイズド格子プロファイルとの組合せであり得る。4つのタイプの格子(一様、ブレーズド、アポダイズド、ブレーズドかつアポダイズド)はいずれも、約10〜約30mmの典型的な長さ及び約0.05〜約0.125mmのクラッディング直径を有している。
【0031】
光ファイバガスセンサ20は4つのタイプの格子プロファイル(一様、ブレーズド、アポダイズド、ブレーズドかつアポダイズド)の任意の組合せであり得るので、複数のタイプのFGS20が存在する。例えば、第1のタイプのFGS20はLPG構造36及びFBG構造38に関して一様な格子プロファイルを有している。第2のタイプのFGS20はLPG構造36及びFBG構造38に関してブレーズド格子プロファイルを有している。第3のタイプのFGS20はLPG構造36及びFBG構造38に関してアポダイズド格子プロファイルを有している。第4のタイプのFGS20はLPG構造36及びFBG構造38に関してブレーズドかつアポダイズド格子プロファイルを有している。第5のタイプのFGS20はLPG構造36に関して一様な格子プロファイルを有し、FBG構造38に関してアポダイズド格子プロファイルを有している。第6のタイプのFGS20はLPG構造36に関してブレーズド格子プロファイルを有し、FBG構造38に関してアポダイズド格子プロファイルを有している。LPG構造36及びFBG構造38に関して他の組合せの格子プロファイルを使用することも本発明の技術的範囲内にあることは容易に理解されよう。
【0032】
図示された実施形態では、FGS20は、ガス感知層42で被覆された長周期ファイバ格子構造36及びガス感知層42をもたない短周期ファイバ格子構造38を含んでいる。別の実施形態では、FGS20は1対の短周期ファイバ格子(FBG)構造38を含むことができ、一方のFBG構造38はガス感知層42を有し、他方のFBG構造38はガス感知層42を有しない。両方のファイバ格子構造36,38が温度に対する感受性を有するので、第2のFBG構造38の温度測定を参照することでガス濃度及び組成の示差測定が行われる。上述した図示実施形態におけるLPG構造36及びFBG構造38と同じく、1対のFBG構造を有するFGS20の別の実施形態は、格子プロファイル(一様、ブレーズド、アポダイズド、ブレーズドかつアポダイズド)の任意の組合せであり得る。即ち、第1のタイプのFGS20は両方のFBG構造38に関して一様な格子プロファイルを有している。第2のタイプのFGS20は両方のFBG構造38に関してブレーズド格子プロファイルを有している。第3のタイプのFGS20は両方のFBG構造38に関してアポダイズド格子プロファイルを有している。第4のタイプのFGS20は両方のFBG構造38に関してブレーズドかつアポダイズド格子プロファイルを有している。第5のタイプのFGS20は一方のFBG構造38に関して一様な格子プロファイルを有し、他方のFBG構造38に関してアポダイズド格子プロファイルを有している。第6のタイプのFGS20は一方のFBG構造38に関してブレーズド格子プロファイルを有し、他方のFBG構造38に関してアポダイズド格子プロファイルを有している。FBG構造38に関して他の組合せの格子プロファイルを使用することも本発明の技術的範囲内にあることは容易に理解されよう。
【0033】
次に図4を参照すれば、ボイラ、燃焼器、ガス化器、エンジンなどの工業環境中に1以上の光ファイバガスセンサ20のアレイ412を分布させた反射式感知システム410が略示されている。反射式感知システム410では、例えば、可燃ガスをn個の位置での反射から測定することができる。各光ファイバガスセンサ(FGS)20は、ファイバコネクタ/アングルドポリッシュコネクタ(FC/APCコネクタ)414及び1×n光スプリッタ/コンバイナ416によって感知システム410に接続されている。一実施形態では、光スプリッタ/コンバイナ416は1×2、1×3、1×4又は1×8型のものである。別の実施形態では、多点可燃ガス感知のため、光スプリッタ/コンバイナ416の代わりに1×16の光スイッチが使用される。各光ファイバガスセンサ20からの反射光信号は、温度校正のための波長シフト、及びガス濃度モニタリングのための反射電力損失応答によって特徴づけられる。
【0034】
次に図5を参照すれば、ボイラ、燃焼器、ガス化器、エンジンなどの工業環境中に1以上の光ファイバガスセンサ20のアレイ412を分布させた透過式感知システム510が略示されている。透過式感知システム510では、例えば、可燃ガスをn個の位置での反射から測定することができる。各光ファイバガスセンサ(FGS)20は、1×n光スイッチ514によって感知システム510に接続されている。各光ファイバガスセンサ(FGS)20は、FC/APCコネクタ516及びn×1光コンバイナ518によって感知システム510に接続されている。一実施形態では、光スイッチ514及び光コンバイナ518は1×2、1×3、1×4又は1×8型のものである。別の実施形態では、多点可燃ガス感知のために1×16の光コンバイナ及び光スイッチが使用される。各光ファイバガスセンサ20からの伝送信号はガス濃度モニタリングのための波長シフト応答及び伝送電力損失応答によって特徴づけられ、この場合には短周期ブラッグ格子の波長シフトが環境温度校正のために使用される。
【0035】
別の実施形態では、水素感知を必要とする用途(例えば、燃焼用として水素を使用する動力発生システムタービン)において任意適宜の数の光ファイバ水素感知装置が使用できることは当業者にとって容易に理解され、また本明細書中に記載した教示によって手引きされている。同一ファイバ上に複数のガス感知素子を有するという融通性は、高い空間分解能で多点可燃ガス測定を可能にする。複数のかかるセンサは、1種のガス濃度の多点検出のため直列又は並列に配置できる。このように、高い空間分解能で多重測定が可能であることは、光ファイバ格子に基づく感知システムの最大の長所の一つである。別の長所は、多種組成物(H2、CO、CH4など)のオンラインモニタリング用の1つの感知システムにおいて異種の光ファイバガスセンサを直列に配置できることである。
【0036】
これまでの実施可能性研究は、現在のプロトタイプ光ファイバ水素感知装置が苛酷な環境中で使用できることを実証した。図6及び図7は、約10〜約75%の水素ガス濃度及び周囲温度ないし約260°Fの環境温度に対する光ファイバガスセンサ20からの波長シフト(Δλ)応答が約0.01〜約2.0nmであることを示している。センサ応答時間(H2の導入後に完全な波長シフトが起こるまでに要する時間)は通例約3.5秒であり、回復時間(N2パージ後に波長が基線に戻るための時間)は最大約25秒である。図6に示すように、伝送電力損失(ΔP)は約7.8dBであった。図8は、約10〜約75%の水素ガス濃度及び周囲温度ないし約260°Fの環境温度に対する光ファイバガスセンサ20からの伝送電力損失(ΔP)が約0.2〜約7.8dBの範囲内にあることを示している。
【0037】
高温での様々な水素濃度に対する光ファイバガスセンサ20のdB単位の伝送応答及び回復時間をそれぞれ図9及び図10に示す。図10に示すように、応答時間及び回復時間は主として感知環境温度に応じて数百秒ないし数秒の範囲内にある。光ファイバガスセンサ20のかかる応答特性は、温度及びガス濃度の両方に対するガスセンサ20の応答を区別するため、インライン(リアルタイム)温度測定を可能にするファイバブラッグ格子構造38を必要とすることに注意すべきである。
【0038】
上述の通り、H2感知装置及びシステムは、ナノフェーズ感知材料の組込みを含むファイバ格子式波長多重化技術に基づいている。長周期格子30は光ファイバ中に刻み込まれていて、格子位置で光がクラッディングに流れ出る。格子クラッディング24には、厚さ20〜30nmのナノフェーズ感知材料が堆積されている。H2又は測定量が存在しない場合、PdOx及びPdAuNi系感知材料は金属鏡に似ていて、クラッディングモードを反射してファイバコア中に戻す。感知層中における水素化物の生成は、実際にはクラッディングモード境界及び結合効率を変化させる結果、ファイバ格子型水素センサの伝送波長及びその電力損失が変調されることになる。
【0039】
感知材料は堆積方法によって調整できるので、プロセス流れ(例えば、合成ガスの場合)、H2燃料及び天然ガスとブレンドされたH2燃料の様々な成分を検出するため、ファイバ格子表面上に異なる感知材料を設置することが有用となる。同一ファイバ上に複数のパラメータ感受性素子を有し、さらにはこれらのパラメータの各々について複数の素子を有するという融通性は、高い空間分解能で多重パラメータ測定を可能にする。例えば、H2感知用途では、温度変動に対してH2測定値を補正するために温度用の感知素子も含まれる。同時に、H2及び温度の両方について高い空間分解能を得るため、単一のファイバ上に複数の感知素子を取り付けることができる。このように、高い空間分解能で多重測定が可能であることは、光ファイバ格子に基づく感知システムの最大の長所の一つである。
【0040】
水素ガスは感知層中に容易に拡散できるが、他の炭化水素ガスは大きい原子又は分子サイズのために拡散できないように感知層42の感知材料の形態を調節できることを確認するため、いくつかの実施可能性研究を行った。
【0041】
1つの実施可能性研究では、感知材料の形態は約3〜約5nmの範囲内のナノ粒子サイズを有していた。図11及び図12に示すように、約5%のH2を約92%のCH4及び他の炭化水素ガスとブレンドしてなる約104°Fの温度のガスタービン用燃料に関し、ガスセンサ20の波長シフト応答及び伝送電力損失応答は顕著であり、サイクリング試験を通じて再現可能である。この実施可能性研究は、本発明の光ファイバガスセンサ20の感知層42が、H2の存在、特に運転中のガスタービン(図示せず)の燃料組成中に通例見出される天然ガス(NG)と混合されたH2の存在を検出するように構成できることを実証した。表Iは、約5%の水素を約92.7%のCH4、0.74%のCO2、1.47%のC2H6、0.13%のC2H4及び他のガス組成物とブレンドしてなるガスタービン燃料組成の要約である。任意所望の化学ガスを感知又は検出するため、スパッタリング法、熱蒸着法、ゾル−ゲル浸漬被覆法及び他の薄膜堆積方法のような堆積方法を用いて感知層42を作製できることは当業者にとって自明であろう。
【0042】
【表1】
別の実施可能性研究では、運転中のガスタービンの燃焼セル中における2種の異なるガス濃度に対するガスセンサ20の感度を研究した。図13に示すように、FGS20は、約50%のH2を約50%のNGとブレンドしてなる燃料中で約3000pm又は約3nmの波長シフト応答を有している。図14に示すように、FGS20は、約52%のH2を約48%のNGとブレンドしてなる燃料中で約3500pm又は約3.5nmの波長シフト応答を有している。本発明のガスセンサ20は、わずか2%のH2増加が波長応答中において500pmのシフトをもたらすことを実証した。波長応答中におけるこのような500pmの追加シフトは、通常のガスセンサ装置に比べて高い感度を有することを表している。このように、感知層42の感知材料形態の効果的な調節は光ファイバガスセンサ20の感度を大幅に向上させた。
【0043】
可能な一実施形態では、図15に示すように、FGS20をガスタービン614
の燃料デリバリ制御システム612中に組み込むことができる。この実施形態では、FGS20からのデータ出力616がガスタービン614用の制御システム612と統合される。FGS20は、ガス組成(例えば、ガス中の水素(H2)の量)を測定するため燃料供給ライン618に接続されている。この実施形態では、燃料は水素を含有する任意のガスであり得る。かかるガスとしては、ガス化プラントからの合成ガス(H2+CO)、炭素捕獲を備えたガス化プラントから生じる水素/窒素ガスブレンド、又は工業プロセスからの水素含有ガスが挙げられる。工業プロセスガスの場合、水素は窒素(N2)のような不活性ガスによって運ばれるか、或いはメタン(CH4)のような別の反応性ガスによって運ばれることがある。FGS20はガス中の水素量を測定し、次いでこのデータをガスタービン制御システム612に送信する。制御システム612はこの情報を用ることで、燃料ガスのエネルギー含有量が任意所定の時点で許容範囲内にあるか否かを判定し、或いは制御論理の適用に基づいてガスのエネルギー含有量が許容範囲を上回るか下回る不許容レベルにシフトすると予想されるか否かを判定する。エネルギー含有量が許容範囲内になければ、制御システム612はガスタービン燃焼システム中への燃料流量、空気流量又は(存在するならば)希釈剤流量を調整することで、燃料のエネルギー密度を許容範囲内に合わせることができる。
【0044】
上述の通り、水素濃度の測定を必要とする工業システム又は用途のための光ファイバ格子型光ファイバガスセンサを発明した。例えば、かかる感知装置は、水素に富む合成ガスを使用する石炭ガス化式動力プラント又はH2とブレンドした天然ガスを使用するガスタービン動力発生プラントで使用できる。同時に、開示された感知技術は、化学プラント、ヘルスケアプラント又は工業/石油化学プラントにおけるH2含有ガス流中のH2濃度の検出に適用できる。H2感知は、合成ガス又はH2とブレンドした天然ガス(NG)を燃料として使用するタービンに関する燃料組成モニタリング及び制御にとって非常に重要である。他の化学又は石油化学プラントに関しては、H2感知は、H2測定を必要とするそれぞれのシステム構成部分(例えば、反応器、蒸留塔、溶鉱炉など)の最適性能を得るために必要な組成制御を可能にする。
【0045】
以上、様々な特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内で修正を行いながら本発明を実施できることが認められよう。
【符号の説明】
【0046】
20 光ファイバガスセンサ
32 ファイバコア
34 軸線
36 LPG
38 FBG
40 ファイバクラッディング
42 感知層
44 接着剤層
612 燃料デリバリ制御システム
614 ガスタービン
410 反射式感知システム
414 FC/APCコネクタ
416 光スプリッタ/コンバイナ
510 透過式感知システム
514 光スイッチ
516 FC/APCコネクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局部ガス濃度の温度補正測定を可能にする光ファイバガスセンサ(20)であって、
軸線(34)を有するファイバコア(32)、
局部ガス濃度を感知するためにファイバコア(32)の回りに配置された、第1の振幅変調プロファイルを有する第1の屈折率周期変調格子構造(36、38)、
局部温度を感知するために軸線(34)に沿って第1の屈折率周期変調格子構造(36、38)から距離を置いてファイバコア(32)の回りに配置された、第2の振幅変調プロファイルを有する第2の屈折率周期変調格子構造(36、38)、
第1及び第2の屈折率周期変調格子構造(36、38)の回りに配置されたファイバクラッディング(40)、並びに
第1の屈折率周期変調格子構造(36、38)のファイバクラッディング(40)の回りに配置された感知層(42)であって、Pd基合金からなる感知材料を含む感知層(42)
を含んでなる光ファイバガスセンサ(20)。
【請求項2】
さらに、ファイバクラッディング(40)と感知層(42)との間に配置された接着剤層(44)を含む、請求項1記載のガスセンサ。
【請求項3】
Pd基合金が、ナノPdOx、ナノPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)及びナノPd/Au/WOxからなる群から選択される、請求項1記載のガスセンサ。
【請求項4】
当該ガスセンサ(20)がガスタービン(614)の燃料デリバリ制御システム(612)中に組み込まれている、請求項1記載のガスセンサ。
【請求項5】
局部ガス濃度の温度補正測定を可能にする光ファイバガスセンサ(20)であって、
軸線(34)を有するファイバコア(32)、
局部ガス濃度を感知するためにファイバコア(32)の回りに配置された、第1の振幅変調プロファイルを有する第1の短周期ファイバ格子構造(38)、
局部温度を感知するために軸線に沿って第1の短周期ファイバ格子構造(38)から距離を置いてファイバコア(32)の回りに配置された、第2の振幅変調プロファイルを有する第2の短周期ファイバ格子構造(38)、
第1及び第2の短周期ファイバ格子構造(38)の回りに配置されたファイバクラッディング(40)、並びに
第1の短周期ファイバ格子構造(38)のファイバクラッディング(40)の回りに配置された感知層(42)であって、Pd基合金からなる感知材料を含む感知層(42)
を含んでなる光ファイバガスセンサ(20)。
【請求項6】
さらに、ファイバクラッディング(40)と感知層(42)との間に配置された接着剤層(44)を含む、請求項5記載のガスセンサ。
【請求項7】
Pd基合金が、ナノPdOx、ナノPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)及びナノPd/Au/WOxからなる群から選択される、請求項1記載のガスセンサ。
【請求項8】
感知システム(410、510)であって、
請求項1記載の光ファイバガスセンサ(20)の1以上、
各光ファイバガスセンサ(20)に機能的に結合されたFC/APCコネクタ(414、516)、並びに
FC/APCコネクタ(414、516)に機能的に結合された光スプリッタ/コンバイナ(416)及び光スイッチ(514)の一方
を含んでなる感知システム(410、510)。
【請求項9】
当該感知システム(410、510)が反射式感知システム(410)及び透過式感知システム(510)の一方からなる、請求項8記載の感知システム。
【請求項10】
当該感知システム(410、510)が単一組成物検出のための一定温度条件及び多重組成物検出のための温度変調条件の一方において動作する、請求項8記載の感知システム。
【請求項1】
局部ガス濃度の温度補正測定を可能にする光ファイバガスセンサ(20)であって、
軸線(34)を有するファイバコア(32)、
局部ガス濃度を感知するためにファイバコア(32)の回りに配置された、第1の振幅変調プロファイルを有する第1の屈折率周期変調格子構造(36、38)、
局部温度を感知するために軸線(34)に沿って第1の屈折率周期変調格子構造(36、38)から距離を置いてファイバコア(32)の回りに配置された、第2の振幅変調プロファイルを有する第2の屈折率周期変調格子構造(36、38)、
第1及び第2の屈折率周期変調格子構造(36、38)の回りに配置されたファイバクラッディング(40)、並びに
第1の屈折率周期変調格子構造(36、38)のファイバクラッディング(40)の回りに配置された感知層(42)であって、Pd基合金からなる感知材料を含む感知層(42)
を含んでなる光ファイバガスセンサ(20)。
【請求項2】
さらに、ファイバクラッディング(40)と感知層(42)との間に配置された接着剤層(44)を含む、請求項1記載のガスセンサ。
【請求項3】
Pd基合金が、ナノPdOx、ナノPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)及びナノPd/Au/WOxからなる群から選択される、請求項1記載のガスセンサ。
【請求項4】
当該ガスセンサ(20)がガスタービン(614)の燃料デリバリ制御システム(612)中に組み込まれている、請求項1記載のガスセンサ。
【請求項5】
局部ガス濃度の温度補正測定を可能にする光ファイバガスセンサ(20)であって、
軸線(34)を有するファイバコア(32)、
局部ガス濃度を感知するためにファイバコア(32)の回りに配置された、第1の振幅変調プロファイルを有する第1の短周期ファイバ格子構造(38)、
局部温度を感知するために軸線に沿って第1の短周期ファイバ格子構造(38)から距離を置いてファイバコア(32)の回りに配置された、第2の振幅変調プロファイルを有する第2の短周期ファイバ格子構造(38)、
第1及び第2の短周期ファイバ格子構造(38)の回りに配置されたファイバクラッディング(40)、並びに
第1の短周期ファイバ格子構造(38)のファイバクラッディング(40)の回りに配置された感知層(42)であって、Pd基合金からなる感知材料を含む感知層(42)
を含んでなる光ファイバガスセンサ(20)。
【請求項6】
さらに、ファイバクラッディング(40)と感知層(42)との間に配置された接着剤層(44)を含む、請求項5記載のガスセンサ。
【請求項7】
Pd基合金が、ナノPdOx、ナノPd(x)Au(y)Ni(1−x−y)及びナノPd/Au/WOxからなる群から選択される、請求項1記載のガスセンサ。
【請求項8】
感知システム(410、510)であって、
請求項1記載の光ファイバガスセンサ(20)の1以上、
各光ファイバガスセンサ(20)に機能的に結合されたFC/APCコネクタ(414、516)、並びに
FC/APCコネクタ(414、516)に機能的に結合された光スプリッタ/コンバイナ(416)及び光スイッチ(514)の一方
を含んでなる感知システム(410、510)。
【請求項9】
当該感知システム(410、510)が反射式感知システム(410)及び透過式感知システム(510)の一方からなる、請求項8記載の感知システム。
【請求項10】
当該感知システム(410、510)が単一組成物検出のための一定温度条件及び多重組成物検出のための温度変調条件の一方において動作する、請求項8記載の感知システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−244262(P2009−244262A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62264(P2009−62264)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】
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